以下に、実施の形態にかかるエネルギー管理装置、サーバ、エネルギー管理システム、エネルギー管理方法、およびエネルギー管理プログラムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの開示が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置を含む生産施設の構成の一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる生産施設1は、生産設備2と、関連設備3と、電力センサ4,5と、生産量センサ6と、環境センサ7と、生産管理装置8と、エネルギー管理装置10とを備える。なお、以下においては、生産設備2および関連設備3によって使用されるエネルギーは、電力であるが、石油、石炭、ガス、水素などの一次エネルギーなどであってもよく、電力と一次エネルギーの組み合わせであってもよい。
生産設備2は、複数の物品を生産する生産工程を実行する。生産設備2では、例えば、複数の生産装置によって生産ラインが構成されるが、生産設備2は1つの生産装置のみを有する構成であってもよい。生産設備2によって生産される物品は、例えば、工業製品または工業製品の仕掛品であり、以下、生産対象品と記載する場合がある。なお、生産対象品は、液体または気体であってもよい。
関連設備3は、生産設備2に関連して用いられる設備である。例えば、関連設備3は、生産設備2での生産対象品の生産時に作業者などによってオンにされる照明装置、エアーコンディショナー、コンプレッサ、または集塵機などの設備である。関連設備3は、ユーティリティ設備とも呼ばれる。
電力センサ4は、生産設備2への送電を行う送電線または生産設備2などに取り付けられ、生産設備2の消費電力量を定期的に測定し、測定した消費電力量を示す情報をエネルギー管理装置10へ不図示の専用線または不図示のネットワークを介して送信する。
電力センサ5は、関連設備3への送電を行う送電線または関連設備3などに取り付けられ、関連設備3の消費電力量を定期的に測定し、測定した消費電力量を示す情報をエネルギー管理装置10へ不図示の専用線または不図示のネットワークを介して送信する。電力センサ4で測定される消費電力量は、生産設備2の消費エネルギーの一例である。電力センサ5で測定される消費電力量は、関連設備3の消費エネルギーの一例である。
生産量センサ6は、生産設備2に設けられ、生産設備2の生産量を定期的に測定し、測定した生産量を示す情報をエネルギー管理装置10へ不図示の専用線または不図示のネットワークを介して送信する。生産量センサ6は、例えば、生産設備2の生産ラインにおける生産対象品の通過数をカウントし、カウントした値を生産量として測定する。なお、生産量センサ6によって測定される生産量は、生産対象品が液体または気体である場合、生産流量である。また、生産量センサ6によって測定される生産量は、重さまたは長さで表されてもよい。
環境センサ7は、生産設備2の生産工程における環境である生産環境を定期的に測定し、測定した生産環境を示す情報をエネルギー管理装置10へ送信する。環境センサ7によって測定される生産環境は、例えば、生産設備2が配置された室内の温度、湿度、二酸化炭素濃度、明るさ、騒音、または振動などである。なお、生産環境を示す情報は、不図示の端末装置へ入力された情報であってもよい。この場合、生産環境を示す情報は、不図示の端末装置から不図示の専用線または不図示のネットワークを介してエネルギー管理装置10へ送信される。
生産管理装置8は、生産管理情報を記憶する不図示の記憶部を有する。生産管理情報は、生産対象品の種類、生産工程の担当者、生産設備2のエラー情報、生産対象品のロット数、および生産設備2のタクトタイムなどの情報を日毎に含む。タクトタイムは、例えば、1日における生産設備2の稼働時間を1日の生産量で除算して得られる時間である。
生産管理装置8における不図示の処理部は、記憶部に記憶している生産管理情報を記憶部から読み出し、読み出した情報をエネルギー管理装置10へ不図示の専用線または不図示のネットワークを介して送信する。生産管理装置8は、生産設備2から不図示の専用線または不図示のネットワークを介して生産管理情報の一部の情報を取得することができる。
また、生産管理装置8は、画像センサによって生産管理情報の一部の情報を特定することができる。また、生産管理装置8は、不図示の入力部からの入力される情報を生産管理情報の一部の情報として記憶することもできる。入力部は、キーボードによる入力、または音声認識による入力を受け付け、受け付けた情報を生産管理装置8へ出力することができる。
エネルギー管理装置10は、電力センサ4,5、生産量センサ6、環境センサ7、および生産管理装置8の各々から情報を収集し、収集した情報に基づいて、生産設備2と関連設備3とを含む診断対象において生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因を診断する。以下においては、診断対象での生産に寄与しないエネルギー消費を、生産に寄与しないエネルギー消費またはエネルギーロスと記載する場合がある。なお、生産に寄与しなかったエネルギー消費とは、例えば生産設備2の稼働に必要な暖気のエネルギー消費(後述する時間T1での生産設備2のエネルギー消費)なども含まれ、間接的に生産に寄与していると捉えることができる場合もあるが、エネルギーロスともあるように可能な限り削減したいエネルギー消費を指す。
図2は、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置の構成の一例を示す図である。図2に示すように、エネルギー管理装置10は、処理部11と、生産関連情報記憶部12と、表示部13とを備える。処理部11は、情報収集部21と、情報生成部22と、指標値算出部23と、スコア算出部24と、情報提供部25とを備える。
情報収集部21は、電力センサ4,5、生産量センサ6、環境センサ7、および生産管理装置8の各々から情報を収集し、収集した情報に収集時の時刻を関連付けて生産関連情報記憶部12の生産関連情報に追加する。収集時の時刻は、例えば、時、分、および秒の情報に加え、年、月、日の情報を含む。生産関連情報は、過去の生産に関する情報であり、情報収集部21によって収集されて生産関連情報記憶部12に記憶される情報である。
情報収集部21によって収集される情報は、アナログ信号で示される情報およびデジタル信号で示される情報のいずれの情報であってもよい。情報収集部21は、収集した情報がアナログ信号である場合、AD(Analog to Digital)変換によって収集した情報をデジタル信号へ変換する。なお、情報収集部21は、例えば、収集した情報に対して実効値演算またはフィルタ処理などを実施することもできる。
情報生成部22は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に基づいて、エネルギーロスを発生させる要因の候補である要因候補の情報を複数含む要因候補情報を生成する。要因候補情報は、第1の要因候補情報および第2の要因候補情報を含む。
情報生成部22は、内部に保持するカレンダー情報と、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報とに基づいて、第1の要因候補情報を生成する。図3は、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置の情報生成部によって生成される第1の要因候補情報の一例を示す図である。
図3に示すように、第1の要因候補情報は、「月」、「曜日」、「週」、「生産開始時刻」、および「生産終了時刻」を「日」毎に含み、「日」、「月」、「曜日」、「週」、「生産開始時刻」、および「生産終了時刻」は互いに関連付けられる。
「日」は、年月日を示す情報であり、「月」は月を示す情報であり、「曜日」は曜日を示す情報であり、「週」は、「日」が「月」の何週目であるかを示す情報である。「生産開始時刻」は、生産設備2による生産対象品の生産が開始された時刻を示す情報である。「生産終了時刻」は、生産設備2による生産対象品の生産が終了した時刻を示す情報である。図3に示す例では、「2019年10月20日」は、10月の第4週の日曜日であり、生産開始時刻が7時であり、生産終了時刻が17時であることが示される。
情報生成部22は、「日」毎の「月」を「日」に含まれる月の情報から取得する。また、情報生成部22は、内部に保持しているカレンダー情報に基づいて、「日」毎の「曜日」および「週」を判定し、判定した「曜日」および「週」を第1の要因候補情報に含める。また、情報生成部22は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報から、日毎の「生産開始時刻」および「生産終了時刻」を判定し、判定した「生産開始時刻」および「生産終了時刻」を第1の要因候補情報に含める。
情報生成部22は、例えば、生産設備2の消費電力量が予め設定された閾値Pth以上になった時刻から1つの生産対象品を生産するのに要する時間を減算した時刻を生産開始時刻として判定する。また、情報生成部22は、例えば、生産設備2の生産量が予め設定された閾値Mth未満になった時刻を生産終了時刻として判定する。なお、情報生成部22は、生産開始時刻および生産終了時刻が生産関連情報に含まれる場合、生産関連情報から「生産開始時刻」および「生産終了時刻」を特定することもできる。
また、第1の要因候補情報には、例えば、当日の生産量の情報と、前日の生産量の情報とが含まれていてもよい。この場合、情報生成部22は、当日における総生産量を当日の生産量として算出し、前日における総生産量を前日の生産量として算出する。例えば、「2019年10月20日」における当日の生産量の情報は、「2019年10月20日」における総生産量であり、「2019年10月20日」における前日の生産量の情報は、「2019年10月19日」における総生産量である。
また、情報生成部22は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報から第2の要因候補情報を生成する。第2の要因候補情報は、例えば、対象機種、担当者、および発生エラーの各々を数値で表したと仮定した場合、対象機種、担当者、および発生エラーの各々についての日毎の代表値である。例えば、情報生成部22は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に含まれる1日の時系列情報の中の対象機種、担当者、および発生エラーの各々の最頻値を対象機種、担当者、および発生エラーの代表値として判定する。なお、対象機種は、対象生産品の種別を示し、担当者は、生産設備2での生産を担当する人を示し、発生エラーは、生産設備2で発生したエラーの種別を示す。
図4は、実施の形態1にかかる情報生成部によって判定される第2の要因候補情報の一例を示す図である。図4に示す第2の要因候補情報は、「対象機種」、「担当者」、および「発生エラー」を「日」毎に含み、「対象機種」、「担当者」、および「発生エラー」は互いに関連付けられる。
図4では、対象機種が少なくとも「A1」または「A2」であり、担当者が少なくとも「B1」または「B2」であり、発生エラーが少なくとも「♯1」または「♯2」である場合の例が示される。図4に示す例では、2019年10月20日において、対象機種として「A1」が主に生産され、担当者「B2」が主に生産を担当し、最も多い発生エラーが「♯2」であることが示されている。
また、第2の要因候補情報は、例えば、生産設備2または関連設備3が稼働している状態の室内の温度、湿度、明るさ、騒音、および振動の各々の平均値および変動幅を示す情報を含む。例えば、情報生成部22は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に含まれる環境情報に基づいて、室内の温度、湿度、明るさ、騒音、および振動の各々の平均値および変動幅などを算出する。
指標値算出部23は、生産関連情報記憶部12によって記憶された情報に基づいて、生産設備2と関連設備3とを含む診断対象でのエネルギー消費に関する1種類以上の指標の値を算出する。以下においては、指標値算出部23は、5種類の指標の値を算出するが、指標値算出部23によって値が算出される指標の種類は、4つ以下であってもよく、6つ以上であってもよい。
指標値算出部23は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に基づいて、第1の指標、第2の指標、第3の指標、第4の指標、および第5の指標の各々の値を算出する。図5は、実施の形態1にかかる指標値算出部によって値が算出される第1の指標、第2の指標、第3の指標、第4の指標、および第5の指標を説明するための図である。以下において、指標値算出部23によって算出される第1の指標の値を第1の指標値と記載し、指標値算出部23によって算出される第2の指標の値を第2の指標値と記載し、指標値算出部23によって算出される第3の指標の値を第3の指標値と記載する。また、指標値算出部23によって算出される第4の指標の値を第4の指標値と記載し、指標値算出部23によって算出される第5の指標の値を第5の指標値と記載する。
第1の指標値は、生産設備2がオンになってから生産設備2の生産が開始されるまでの時間T1である。指標値算出部23は、例えば、生産設備2の消費電力量が予め設定された閾値Pth以上になった時刻と生産設備2の生産量が予め設定された閾値Mth以上になった時刻との差を算出する。指標値算出部23は、算出した差から生産設備2で1つの生産対象品を生産するのに要する時間を減算した時間を第1の指標値として算出することができる。かかる第1の指標は、生産設備2が起動されてから生産が開始するまで無駄な時間といえ、生産に寄与しないエネルギー消費が生じる時間といえる。
第2の指標値は、生産設備2の生産が終了してから生産設備2がオフになるまでの時間T2である。指標値算出部23は、例えば、生産設備2の生産量が予め設定された閾値Mth未満になった時刻と生産設備2の消費電力量が予め設定された閾値Pth未満になった時刻との差を第2の指標値として算出することができる。かかる第2の指標は、生産が終了してから生産設備2が停止されるまでの無駄な時間といえ、生産に寄与しないエネルギー消費が生じる時間といえる。
第3の指標値は、関連設備3がオンである時間T4と生産設備2がオンである時間T5との差を示す時間T3である。かかる第3の指標は、生産設備2が停止しているのに関連設備3が起動している時間を示し、無駄な時間を表すといえ、生産に寄与しないエネルギー消費が生じる時間といえる。
第4の指標値は、生産設備2がオンである時間のうち生産設備2による生産が行われている時間の割合を示す。指標値算出部23は、例えば、生産設備2の消費電力量が予め設定された閾値Pth以上である時間T5に対する生産設備2の生産量が予め設定された閾値Mth以上である時間T6の比である。かかる第4の指標値が小さいほど、生産設備2が起動されている時間のうち生産が無駄に停止した時間が多くなるといえる。無駄に停止した時間が多くなるほど、生産に寄与しないエネルギー消費が増える。
第5の指標値は、単位生産高あたりの消費電力量を示す。単位生産高あたりの消費電力量は、例えば、1日における消費電力量を1日における生産高で割ることで得られる。生産高は、生産対象品の数、重さ、または長さなどの任意の単位である。
指標値算出部23は、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に含まれる生産量の情報と生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に含まれる生産設備2および関連設備3の消費電力量の情報とに基づいて、第5の指標値を算出する。
具体的には、指標値算出部23は、生産関連情報に含まれる生産量の情報に基づいて、日毎の総生産量を算出する。また、指標値算出部23は、生産関連情報に含まれる生産設備2および関連設備3の消費電力量の情報に基づいて、日毎に、生産設備2の消費電力量と関連設備3の消費電力量とを加算した総消費電力量を算出する。指標値算出部23は、日毎に、総消費電力量を総生産量で除算することによって、第5の指標値を算出する。かかる第5の指標値が大きくなるほど生産に寄与しない無駄なエネルギー消費が増えるといえる。
なお、指標値算出部23は、上述した指標以外の種類の指標値を算出することもできる。例えば、指標値算出部23は、1日あたりの総消費電力量、1日あたりの総生産量、または休憩時間の消費電力量などを指標値として算出することができる。また、指標値算出部23は、上述した複数種類の指標値を統合して一つの指標値として算出することもできる。この場合、指標値算出部23は、例えば、重要度に応じて各指標値に重み付けして加算した値を一つの指標値として算出する。
図6は、実施の形態1にかかる指標値算出部によって算出される複数種類の指標値の一例を示す図である。図6に示す例では、第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値が日毎に算出されている。例えば、「2019年10月20日」では、第1の指標値は「15」であり、第2の指標値は「14」であり、第3の指標値は「213」であり、第4の指標値は「31」であり、第5の指標値は「0.37」である。
スコア算出部24は、指標値算出部23によって算出された日毎の指標値に基づいて、複数の要因候補の各々のエネルギーロスに対する影響度を示すスコアを指標毎に算出する。かかるスコア算出部24は、複数種類の指標値と複数の要因候補とを関連付けた統合情報を生成する。図7は、実施の形態1にかかる統合情報の一例を示す図である。図7に示す統合情報は、第1の指標値と複数の要因候補とが関連付けられた情報であり、第1の指標値が目的変数として設定され、第1の要因候補情報と第2の要因候補情報とを含む複数の要因候補の情報が説明変数として設定されている。
図7では図示されていないが、統合情報には、室内の温度、湿度、明るさ、騒音、および振動の各々の平均値および変動幅などの要因候補の情報も説明変数として設定される。また、スコア算出部24は、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々についても、図7に示す統合情報と同様の統合情報を生成する。
スコア算出部24は、上述した統合情報を用いたデータマイニングによって第1の指標、第2の指標、第3の指標、第4の指標、および第5の指標の各々について、複数の要因候補の各々のエネルギーロスに対する影響度を示すスコアを算出する。スコアが高い要因候補ほどエネルギーロスに対する影響が大きい。
データマイニングで用いられる解析方法は、例えば、回帰分析、クラスタリング、または頻出パターン抽出などである。以下においては、スコア算出部24が回帰分析によってスコアを算出する例を説明するが、スコア算出部24は、重回帰分析以外の解析方法を用いたデータマイニングを行うこともできる。
スコア算出部24は、要因候補に対して前処理を行って各説明変数の値を決定する。スコア算出部24は、要因候補に応じた種類の前処理を行う。要因候補に対して行われる前処理の種類には、第1の前処理と第2の前処理とがある。まず、第1の前処理について説明する。
第1の前処理は、量で表せない要因候補に対して行われる処理である。量で表せない要因候補は、例えば、「月」、「曜日」、「週」、「生産開始時刻」、「生産終了時刻」、「対象機種」、「担当者」、または「発生エラー」などである。
スコア算出部24は、要因候補が「曜日」である場合、7種類の説明変数で「曜日」を表す。具体的には、スコア算出部24は、日曜日から月曜日までの7種類の曜日のうち対応する曜日である場合に「1」が設定される7種類の説明変数で曜日を表す。スコア算出部24は、例えば、「曜日」が「日曜日」である場合、7種類の説明変数のうち、日曜日に対応する説明変数の値を「1」にし、それ以外の説明変数の値を「0」にする。また、スコア算出部24は、「曜日」が「月曜日」である場合、7種類の説明変数のうち、月曜日に対応する説明変数の値を「1」にし、それ以外の説明変数の値を「0」にする。
また、スコア算出部24は、担当者の数と同数の種類の説明変数で「担当者」を表す。例えば、スコア算出部24は、担当者の数が4人である場合、4種類の説明変数で「担当者」を表す。また、スコア算出部24は、対象機種の種類と同数の種類の説明変数で「対象機種」を表す。例えば、スコア算出部24は、対象機種の種類が5種類である場合、5種類の説明変数で「対象機種」を表す。また、スコア算出部24は、発生エラーの種類と同数の種類の説明変数で「発生エラー」を表す。例えば、スコア算出部24は、発生エラーの種類が10種類である場合、10種類の説明変数で「発生エラー」を表す。
次に、第2の処理について説明する。第2の処理は、量で表せる要因候補に対して行われる処理であり、第2の処理によって量で表せる要因候補が1つの説明変数で表される。量で表せる要因候補は、例えば、「温度の平均値」、「温度の変動幅」、「湿度の平均値」、「湿度の変動幅」、「二酸化炭素の平均値」、「二酸化炭素の変動幅」、「明るさの平均値」、および「明るさの変動幅」などである。
スコア算出部24は、各説明変数において平均が0で且つ分散が1になるように調整する処理を第2の前処理として行う。具体的には、第2の処理において、スコア算出部24は、各要因候補について、要因候補の平均値を算出し、日毎の要因候補の値から要因候補の平均値を減算し、かかる減算結果を標準偏差で除算することによって、説明変数の値を算出する。スコア算出部24は、エネルギーロスが大きくなるほど値が小さくなる指標に対する要因候補のスコアを算出する場合、上述した方法で算出した説明変数の値の正負を反転させる。値が大きくなるほどエネルギーロスが小さくなる指標は、第4の指標値である。
スコア算出部24は、各指標について下記式(1)を用いて重回帰分析を行う。下記式(1)において、「n」は、上述した説明変数の総数であり、「y」は指標値であり、「x1」,「x2」,「x3」,・・・,「xn」は説明変数の値であり、「a1」,「a2」,「a3」,・・・,「an」は係数である。
y=a1×x1+a2×x2+a3×x3+・・・an×xn ・・・(1)
スコア算出部24は、各指標について、日毎に、統合情報で設定されている複数の説明変数の値を「x1」,「x2」,「x3」,・・・,「xn」に代入し、式(1)で得られる「y」の値と統合情報で設定されている目標変数の値との差を算出する。スコア算出部24は、例えば、各指標について、算出した差の平均値または合計値が最も小さくなるように、「a1」,「a2」,「a3」,・・・,「an」の最適化を行う。
スコア算出部24は、各指標について、各係数の絶対値を要因候補のスコアとして算出する。例えば、「x1」が日曜日に対応する説明変数である場合、日曜日のスコアは、「a1」である。また、「x2」が月曜日に対応する説明変数である場合、月曜日のスコアは、「a2」である。量で表せる要因候補に対する係数はその絶対値がスコアとなる。例えば、「x3」が温度の平均値に対する説明変数であった場合、温度の平均値のスコアは「a3」の絶対値である。
上述した例では、スコア算出部24は、統合情報を生成するが、指標毎に、データマイニング処理を行うことができればよく、統合情報を生成しなくてもよい。例えば、スコア算出部24は、重回帰分析によって各要因候補のスコアを算出する場合、情報生成部22と指標値算出部23とから得られる情報に基づいて、指標値を目的変数の値とし各要因候補の値を説明変数の値とすればよく、上述した例に限定されない。
図2に示す情報提供部25は、各指標について、スコア算出部24によって算出されたスコアが上位の2つ以上の要因候補の情報を出力する。例えば、情報提供部25は、スコア算出部24によって算出されたスコアが大きい順に複数の要因候補を並べて複数の要因候補をランキング表の形式で表すランキング情報を生成し、生成したランキング情報のうち少なくとも上位の2つの要因候補の情報を出力する。情報提供部25は、上述したランキング情報を生成するランキング情報生成部41と、ランキング情報生成部41によって生成されたランキング情報のうち少なくとも一部の情報を含むロス要因情報を表示部13に表示させる表示処理部42とを備える。
表示処理部42は、例えば、ランキング情報のうちスコアが大きい順に予め設定された数の要因候補を含む情報をランキング表の形式で表示部13に表示させる。また、表示処理部42は、ランキング情報のうちスコアが予め設定された値以上である要因候補をランキング表の形式で表した情報であるロス要因情報を表示部13に表示させることもできる。また、表示処理部42は、ランキング情報のすべてをランキング表の形式で表示部13に表示させることもできる。なお、表示処理部42は、ランキング表の形式以外の形式でロス要因情報を表示部13に表示させることができる。
図8は、実施の形態1にかかる情報提供部によって表示部に表示されるロス要因情報の一例を示す図である。図8に示すロス要因情報には、第1の指標について、スコアが上位5つの要因候補の種別および内容がエネルギーロスの推定要因として含まれている。
図8に示す例では、第1の指標に関し、曜日「月曜日」が最もスコアが高く、対象機種「A」、週「4週目」、月「3月」、および生産終了時刻「17時」の順にスコアが低くなっていることを示している。
このように、エネルギー管理装置10は、診断対象でのエネルギー消費に関する指標を用いて、複数の要因候補の各々のエネルギーロスに対する影響度を示すスコアを算出することによって、エネルギーロスに対する影響度が高い複数の要因を特定することができる。また、エネルギー管理装置10は、エネルギーロスに対する影響度順に複数の要因候補を並べたランキング表の形式の情報をユーザに提示することができる。そのため、ユーザは、エネルギーロスに対する影響度が高い項目を把握することができ、エネルギー管理装置10の診断結果をエネルギーロスに対する改善活動の検討に役立てることができる。
上述した例では、スコア算出部24は、指標毎に、各要因候補のスコアを算出するが、各要因候補について、複数の指標におけるスコアを合計した値である合計スコアを算出することができる。この場合、ランキング情報生成部41は、スコア算出部24によって算出された合計スコアが大きい順に複数の要因候補を並べて複数の要因候補をランキング表の形式で表すランキング情報を生成する。
上述した例では、スコア算出部24は、複数の指標の各々について複数の要因候補のスコアを算出するが、複数の指標をまとめて統合指標とし、かかる統合指標について複数の要因候補のスコアを算出することもできる。例えば、スコア算出部24は、第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々に対して対応する係数を乗算または加算し、かかる乗算結果の合計値または加算結果の合計値を統合指標の値として日毎に算出することができる。そして、スコア算出部24は、統合指標の値と複数の要因候補の値とからデータマイニングによって、統合指標について複数の要因候補の各々のスコアを算出することができる。
つづいて、フローチャートを用いてエネルギー管理装置10の処理部11による処理を説明する。図9は、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置の処理部による処理の一例を示すフローチャートである。
図9に示すように、エネルギー管理装置10の処理部11は、情報収集タイミングになったか否かを判定する(ステップS10)。ステップS10において、処理部11は、電力センサ4、電力センサ5、生産量センサ6、環境センサ7、または生産管理装置8から送信された情報を受信した場合に情報収集タイミングになったと判定する。また、処理部11は、予め設定された周期で到来するタイミングになった場合に情報収集タイミングになったと判定することもできる。
処理部11は、情報収集タイミングになったと判定した場合(ステップS10:Yes)、生産関連情報を更新する(ステップS11)。ステップS11において、処理部11は、電力センサ4、電力センサ5、生産量センサ6、環境センサ7、または生産管理装置8から送信された情報を生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に追加することによって、生産関連情報を更新する。
また、処理部11は、情報収集タイミングが予め設定された周期で到来するタイミングである場合、ステップS11において、電力センサ4、電力センサ5、生産量センサ6、環境センサ7、および生産管理装置8へ情報の送信を要求する。この場合、処理部11は、要求に応じて電力センサ4、電力センサ5、生産量センサ6、環境センサ7、および生産管理装置8から送信される情報を受信する。処理部11は、受信した情報を生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報に追加することによって、生産関連情報を更新する。
処理部11は、ステップS11の処理が終了した場合、または情報収集タイミングになっていないと判定した場合(ステップS10:No)、診断開始タイミングになったか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、処理部11は、例えば、ユーザから診断要求があった場合に、診断開始タイミングになったと判定する。
処理部11は、診断開始タイミングになったと判定した場合(ステップS12:Yes)、生産関連情報記憶部12から生産関連情報を取得する(ステップS13)。そして、処理部11は、ステップS13で取得された生産関連情報およびカレンダー情報などに基づいて、要因候補情報を生成する(ステップS14)。また、処理部11は、ステップS13で取得された生産関連情報に基づいて、日毎の指標値を指標毎に算出する(ステップS15)。
次に、処理部11は、ステップS14で生成された要因候補情報とステップS15で生成された指標値とに基づいて、指標毎に各要因候補のスコアを算出する(ステップS16)。処理部11は、ステップS16で算出された各要因候補のスコアに基づいて、複数の要因候補をスコアが大きい順に並べたランキング情報を指標毎に生成する(ステップS17)。そして、処理部11は、指標毎のランキング情報のうち少なくとも一部を表示部13に表示する(ステップS18)。ステップS18において、処理部11は、例えば、指標毎のランキング情報のうち上位の2つ以上の要因候補の情報を表示部13にランキング表の形式で表示する。
処理部11は、ステップS18の処理が終了した場合、または診断開始タイミングになっていないと判定した場合(ステップS12:No)、図9に示す処理を終了する。
図10は、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置の処理部のハードウェア構成の一例を示す図である。図10に示すように、エネルギー管理装置10の処理部11は、プロセッサ101と、メモリ102と、入出力インタフェイス103とを備えるコンピュータを含む。入出力インタフェイス103は、電力センサ4,5、生産量センサ6、環境センサ7、および生産管理装置8との間の情報の送受信を行う通信部を含む。
プロセッサ101、メモリ102、および入出力インタフェイス103は、例えば、バス104によって互いにデータの送受信が可能である。処理部11の情報収集部21の一部および処理部11の表示処理部42の一部の各々は、入出力インタフェイス103によって実現される。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、情報収集部21、情報生成部22、指標値算出部23、スコア算出部24、および情報提供部25の機能を実行する。プロセッサ101は、例えば、処理回路の一例であり、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、およびシステムLSI(Large Scale Integration)のうち一つ以上を含む。
メモリ102は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、およびEEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)のうち一つ以上を含む。また、メモリ102は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVD(Digital Versatile Disc)のうち一つ以上を含む。なお、エネルギー管理装置10は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)およびFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置10は、指標値算出部23と、スコア算出部24と、情報提供部25とを備える。指標値算出部23は、過去の生産に関する情報である生産関連情報に基づいて、生産設備2を含む診断対象でのエネルギー消費に関する1種類以上の指標値を算出する。スコア算出部24は、指標値算出部23によって算出された1種類以上の指標値に基づいて、診断対象での生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因の候補である複数の要因候補の各々の生産に寄与しなかったエネルギー消費に対する影響度を示すスコアを算出する。情報提供部25は、複数の要因候補のうちスコア算出部24によって算出されたスコアが上位の2つ以上の要因候補の情報を出力する。このように、エネルギー管理装置10は、複数の要因候補の各々の生産に寄与しなかったエネルギー消費に対する影響度を示すスコアを算出することによって、生産に寄与しなかったエネルギー消費に対する影響度が高い複数の要因を特定することができる。また、エネルギー管理装置10は、例えば、生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因を特徴パターンに事前に人手で対応付けるなどの手間をかけることなく、生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因を特定することができる。
また、診断対象には、生産設備2に関連して用いられる関連設備3が含まれる。生産関連情報には、生産設備2の消費エネルギーを示す情報、関連設備3の消費エネルギーを示す情報、および生産設備2の生産量を示す情報が含まれる。指標値算出部23は、生産設備2の消費エネルギーを示す情報、関連設備3の消費エネルギーを示す情報、および生産設備2の生産量を示す情報に基づいて、1種類以上の指標値を算出する。このように、エネルギー管理装置10は、関連設備3の消費エネルギーも生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因として扱うことから、例えば、生産施設1全体のエネルギー消費のうち生産に寄与しないエネルギー消費に対する改善活動に有益な情報をユーザへ提供することができる。
また、指標値算出部23によって算出される指標値は、第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値のうち少なくとも1つを含む。第1の指標値は、生産設備2がオンになってから生産設備2の生産が開始されるまでの時間を示す。第2の指標値は、生産設備2による生産が終了してから生産設備2がオフになるまでの時間を示す。第3の指標値は、関連設備3がオンである時間と生産設備2がオンである時間との差を示す。第4の指標値は、生産設備2がオンである時間のうち生産設備2による生産が行われている時間の割合を示す。第5の指標値は、生産設備2による単位生産高あたりの診断対象のエネルギー消費量を示す。このように、エネルギー管理装置10は、把握が容易な観点から生産に寄与しないエネルギー消費の改善活動に対して有益な情報をユーザへ提供することができる。
また、エネルギー管理装置10は、生産関連情報に基づいて、複数の要因候補の情報を生成する情報生成部22を備える。スコア算出部24は、指標値算出部23によって算出された複数種類の指標値と、情報生成部22によって生成された複数の要因候補の情報とに基づいて、複数の要因候補の各々の生産に寄与しなかったエネルギー消費に対する影響度を示すスコアを算出する。このように、エネルギー管理装置10は、生産関連情報に複数の要因候補の情報を生成することから、複数の要因候補の情報を人手で入力する場合に比べ、ユーザの負荷を大幅に軽減することができる。
また、複数の要因候補は、生産設備2によって物品を生産した日の曜日、週、および月、生産の担当者、生産設備2によって生成される物品の種類、生産設備2で発生したエラー、および生産設備2の環境のうち2つ以上を含む。これにより、エネルギー管理装置10は、時間的観点、人的観点、生産対象の観点、生産設備2の観点、または環境的観点から生産に寄与しなかったエネルギー消費に対する影響度が高い複数の要因を特定することができる。
また、スコア算出部24は、複数の要因候補の各々のスコアを複数種類の指標値の各々に対して算出する。情報提供部25は、複数種類の指標値の各々について、複数の要因候補のうちスコア算出部24によって算出されたスコアが上位の2つ以上の要因候補の情報を出力する。このように、エネルギー管理装置10は、複数の指標を用いることから、複数の観点の各々に対して生産に寄与しないエネルギー消費の改善活動に対して有益な情報をユーザへ提供することができる。
また、情報提供部25は、複数の要因候補のうちスコアが大きな要因候補から順に予め設定された数の要因候補をランキング表の形式で表すランキング情報を出力する。これにより、エネルギー管理装置10は、生産に寄与しなかったエネルギー消費に対する影響度が高い複数の要因の情報をランキング表の形式でユーザに提供することができる。
実施の形態2.
実施の形態2にかかるエネルギー管理装置は、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動への複数の要因候補の各々の貢献度に基づいてスコアを補正する点で、実施の形態1にかかるエネルギー管理装置10と異なる。以下においては、実施の形態1と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態1のエネルギー管理装置10と異なる点を中心に説明する。
図11は、実施の形態2にかかるエネルギー管理装置の構成の一例を示す図である。図11に示すように、実施の形態2にかかるエネルギー管理装置10Aは、入力部14と貢献度情報記憶部15とを備え、かつ処理部11に代えて処理部11Aを備える点で、実施の形態1のエネルギー管理装置10と異なる。入力部14は、例えば、キーボード、マウス、または携帯端末のタッチパネルなどの入力装置である。
処理部11Aは、貢献度推定部26を備える。また、処理部11Aは、情報提供部25に代えて情報提供部25Aを備える。貢献度推定部26は、入力部14によって入力された情報に基づいて、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザによる改善活動に対する複数の要因候補の各々の貢献度を推定する。貢献度推定部26は、推定した複数の要因候補の各々の貢献度を示す情報を貢献度情報記憶部15に記憶させる。
情報提供部25Aは、ランキング情報生成部41Aと、表示処理部42Aとを備える。ランキング情報生成部41Aは、貢献度推定部26によって推定されて貢献度情報記憶部15に記憶される複数の要因候補の各々の貢献度に基づいて、複数の要因候補のうち対応する要因候補のスコアを補正する。ランキング情報生成部41Aは、補正したスコアに基づいて、ランキング情報を生成する。
表示処理部42Aは、上位の複数の推定要因の種別および内容に加え、ユーザの評価を入力するための入力ボックスを含むロス要因情報を表示部13に表示させる。図12は、実施の形態2にかかる情報提供部によって表示部に表示されるロス要因情報の一例を示す図である。
図12に示すロス要因情報では、図8に示すロス要因情報の内容に加えて、複数の要因候補の各々に対するユーザの評価を入力するための入力ボックスが含まれる。具体的には、要因情報には、複数の要因候補の各々に対して、「役に立った」に対応する第1入力ボックスと、「役に立たなかった」に対応する第2入力ボックスとが含まれる。ユーザは、役に立ったと考えた要因候補に対応する第1入力ボックスにチェックマークを入力し、役に立たなかったと考えた要因候補に対応する第2入力ボックスにチェックマークを入力する。チェックマークは、例えば、マウスのクリック操作またはタッチパネルへのタッチ操作などによって行われる。
貢献度推定部26は、各要因候補に対する第1入力ボックスまたは第2入力ボックスへの入力履歴に基づいて、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの活動への各要因候補の貢献度を推定する。例えば、貢献度推定部26は、下記式(2)を用いることによって、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの活動への各要因候補の貢献度を推定する。下記式(2)において、「Z」は、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの活動への貢献度であり、「α」は1より大きな係数であり、「β」は1未満の係数である。また、下記式(2)において、「N」は、ユーザが過去に第1入力ボックスにチェックマークを入力した回数であり、「M」は、ユーザが過去に第2入力ボックスにチェックマークを入力した回数である。
Z=αN×βM ・・・(2)
貢献度Zが大きいほど、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動に役に立つ度合いが高いことを意味する。なお、貢献度推定部26は、上記式(2)による貢献度の算出に代えて、機械学習によって、各要因候補に対するユーザの貢献度を推定することもできる。
ユーザによる評価の入力方法は、第1入力ボックスおよび第2入力ボックスに限らず、例えば、選択ボックスで「役に立った」および「役に立たなかった」のうち1つを選択して入力する方法であってもよい。また、ユーザによる評価は、「役に立った」と「役に立たなかった」の2種類に限定されず、3段階以上の情報から選択されて入力されてもよい。また、ユーザによる評価は、役に立った度合いを示す数値で入力されてもよい。
ランキング情報生成部41Aは、貢献度推定部26によって推定された複数の要因候補の各々の貢献度を示す情報を貢献度情報記憶部15から取得する。ランキング情報生成部41Aは、スコア算出部24によって算出された複数の要因候補の各々のスコアに対して、複数の要因候補の貢献度のうち対応する要因候補の貢献度を乗算することによって、複数の要因候補の各々のスコアを補正する。
例えば、要因候補が「月曜日」であり、「月曜日」のスコアが「0.2」であり、「月曜日」の貢献度が「3」であるとする。この場合、ランキング情報生成部41Aは、「0.2」に「3」を乗算することで、「月曜日」のスコアを「0.2」から「0.6」へ補正する。補正後のスコアは、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動に役に立つ度合いを数値化したものともいえる。
ランキング情報生成部41Aは、上述のように補正したスコアが大きい順に複数の要因候補を並べて複数の要因候補をランキング形式で表すランキング情報を生成する。表示処理部42Aは、ランキング情報生成部41Aによって生成されたランキング情報のうち少なくとも一部の情報と、上述した第1入力ボックスおよび第2入力ボックスの情報とを含むロス要因情報を表示部13に表示させる。例えば、ランキング情報生成部41Aは、図12に示すロス要因情報を表示部13に表示させる。
なお、スコア算出部24は、上述したように、統合指標について複数の要因候補の各々のスコアを算出することもできる。この場合、スコア算出部24は、統合指標について複数の要因候補の各々のスコアを複数の要因候補の貢献度のうち対応する要因候補の貢献度を乗算することによって、複数の要因候補の各々のスコアを補正する。ランキング情報生成部41Aは、統合指標についての補正後の複数の要因候補の各々のスコアに基づいてランキング情報を生成する。
このように、エネルギー管理装置10Aは、エネルギー管理装置10と同様に、生産に寄与しないエネルギー消費に対する影響度が高い複数の要因を特定することができる。さらに、エネルギー管理装置10Aは、例えば、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動への貢献度が高い要因候補を優先してユーザに提供することができる。これにより、ユーザは、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動に対して効果の高い要因を把握し、生産に寄与しないエネルギー消費の改善活動の検討に役立てることができる。
つづいて、フローチャートを用いてエネルギー管理装置10Aの処理部11Aによる処理を説明する。図13は、実施の形態2にかかるエネルギー管理装置の処理部による処理の一例を示すフローチャートである。図13に示すステップS20~S22の処理は、図9に示すステップS10~S12の処理と同じであるため、説明を省略する。
図13に示すように、エネルギー管理装置10Aの処理部11Aは、診断開始タイミングになったと判定した場合(ステップS22:Yes)、診断処理を行う(ステップS23)。ステップS23の処理は、図14に示すステップS30~S36の処理であり、後で詳述する。
処理部11Aは、ステップS23の処理が終了した場合、または診断開始タイミングになっていないと判定した場合(ステップS22:No)、ユーザの入力があるか否かを判定する(ステップS24)。ステップS24において、処理部11Aは、例えば、図12に示す「役に立った」に対応する第1入力ボックスまたは「役に立たなかった」に対応する第2入力ボックスへチェックマークが入力された場合に、ユーザの入力があると判定する。
処理部11Aは、ユーザの入力があったと判定した場合(ステップS24:Yes)、ユーザの入力履歴に基づいて、生産に寄与しないエネルギー消費であるエネルギーロスに対するユーザの改善活動に対する各要因候補の貢献度を算出する(ステップS25)。そして、処理部11Aは、算出した各要因候補の貢献度を示す情報を貢献度情報記憶部15に記憶させる(ステップS26)。
処理部11Aは、ステップS26の処理が終了した場合、またはユーザの入力がないと判定した場合(ステップS24:No)、図13に示す処理を終了する。
図14は、実施の形態2にかかるエネルギー管理装置の処理部による診断処理の一例を示すフローチャートである。図14に示すステップS30~S33の処理は、図9に示すステップS13~S16の処理と同じであるため、説明を省略する。
処理部11Aは、ステップS30~S33の処理が終了した場合、複数の要因候補のスコアの各々を、対応する要因候補の貢献度に基づいて補正する(ステップS34)。そして、処理部11Aは、指標毎に補正後のスコアでランキング情報を指標毎に生成する(ステップS35)。ステップS35において、処理部11Aは、ステップS34で補正された各要因候補のスコアに基づいて、複数の要因候補をスコアが大きい順に並べたランキング情報を指標毎に生成する。
ステップS35において、処理部11Aは、ステップS34で補正された各要因候補のスコアに基づいて、複数の要因候補を補正後のスコアが大きい順に並べたランキング情報を生成する。そして、処理部11Aは、ステップS35で生成したランキング情報のうち少なくとも一部を表示部13に表示し(ステップS36)、図14に示す処理を終了する。
実施の形態2にかかるエネルギー管理装置10Aの処理部11Aのハードウェア構成の一例は、図10に示すエネルギー管理装置10の処理部11のハードウェア構成と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、情報収集部21、情報生成部22、指標値算出部23、スコア算出部24、情報提供部25A、および貢献度推定部26の機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態2にかかるエネルギー管理装置10Aは、貢献度推定部26を備える。貢献度推定部26は、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動への複数の要因候補の各々の貢献度を推定する。情報提供部25Aは、貢献度推定部26によって推定された複数の要因候補の各々の貢献度に基づいて、複数の要因候補のうち対応する要因候補のスコアを補正し、補正したスコアに基づいて、ランキング情報を生成する。これにより、エネルギー管理装置10Aは、例えば、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動への貢献度が高い要因候補を優先してユーザに提供することができる。そのため、ユーザは、生産に寄与しないエネルギー消費に対するユーザの改善活動に対して効果の高い要因を把握し、生産に寄与しないエネルギー消費の改善活動の検討に役立てることができる。
実施の形態3.
実施の形態3にかかるエネルギー管理システムは、エネルギー管理装置から得られる情報に基づいて1種類以上の指標値の情報を入力とし生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因の候補のスコアを出力する学習モデルを生成するサーバを備える。以下においては、実施の形態2と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態2と異なる点を中心に説明する。
図15は、実施の形態3にかかるエネルギー管理システムの構成の一例を示す図である。図15に示すように、実施の形態3にかかるエネルギー管理システム200は、エネルギー管理装置10B1,10B2,10B3と、サーバ50と、モバイル端末60とを備える。エネルギー管理装置10B1,10B2,10B3は互いに同じ構成であり、以下において、エネルギー管理装置10B1,10B2,10B3の各々を個別に区別せずに示す場合、エネルギー管理装置10Bと記載する場合がある。
各エネルギー管理装置10Bは、エネルギー管理装置10Aと同様に、不図示の電力センサ、生産量センサ、環境センサ、および生産管理装置などに接続され、これらの電力センサ、生産量センサ、環境センサ、および生産管理装置などから情報を収集する。各エネルギー管理装置10Bは、収集した情報に収集時の時刻を関連付けて生産関連情報に追加する。エネルギー管理装置10Bに接続される電力センサ、生産量センサ、環境センサ、および生産管理装置は、エネルギー管理装置10B毎に異なる生産施設1に設けられる。
エネルギー管理装置10Bは、エネルギー管理装置10Aと同様に、生産関連情報に基づいて、エネルギーロスを発生させる要因の候補である要因候補の情報を複数含む要因候補情報を生成する。また、エネルギー管理装置10Bは、エネルギー管理装置10Aと同様に、不図示の生産設備と関連設備とを含む診断対象でのエネルギー消費に関する1種類以上の指標値を算出する。また、エネルギー管理装置10Bは、エネルギー管理装置10Aと同様に、複数の要因候補の各々のエネルギーロスに対する影響度を示すスコアを指標毎に算出する。
エネルギー管理装置10Bは、学習用情報をサーバ50へ送信する。学習用情報は、1種類以上の指標値の情報と、指標毎の各要因候補のスコアの情報と、エネルギー管理装置10Bの識別情報とを含む。以下において、要因候補のスコアを要因スコアと記載する場合がある。なお、学習用情報に含まれる要因候補のスコアは、スコア算出部24によって算出されたスコアであるが、ランキング情報生成部41Aによって補正されたスコアであってもよい。
サーバ50は、エネルギー管理装置10Bおよびモバイル端末60と不図示のネットワークを介して接続されており、エネルギー管理装置10Bおよびモバイル端末60との間で情報の送受信を行う。不図示のネットワークは、例えば、インターネットなどのWAN(Wide Area Network)であるが、LAN(Local Area Network)などのネットワークであってもよい。
サーバ50は、要因スコアを算出するのに十分な情報量の生産関連情報を記憶しているエネルギー管理装置10Bから学習用情報を取得し、取得した学習用情報に基づいて、1種類以上の指標値の情報を入力とし複数の要因スコアを出力とする学習済みモデルを生成する。
そして、サーバ50は、要因スコアを算出するのに十分な情報量の生産関連情報を記憶していないエネルギー管理装置10Bから1種類以上の指標値の情報を含む診断対象情報を取得する。要因スコアを算出するのに十分な情報量の生産関連情報を記憶していないエネルギー管理装置10Bは、例えば、生産施設1に新たに設置されたエネルギー管理装置10Bまたは新たな設備が設置された生産施設1に設置されているエネルギー管理装置10Bである。
サーバ50は、エネルギー管理装置10Bから取得した診断対象情報と、学習用情報に基づく学習によって生成した学習済みモデルの情報とに基づいて、複数の要因スコアを算出し、算出した要因スコアが上位の2以上の要因候補の情報を含む診断結果情報をモバイル端末60または診断対象情報を送信したエネルギー管理装置10Bへ送信する。
モバイル端末60は、例えば、スマートフォン、タブレット、またはノートパソコンなどであり、サーバ50から送信された診断結果情報に基づいて、上位の2以上の要因候補の情報を表示する。また、診断対象情報を送信したエネルギー管理装置10Bの処理部11Bは、サーバ50から送信された診断結果情報に基づいて、上位の2以上の要因候補の情報を表示部13に表示する。
このように、サーバ50は、要因スコアを算出するのに十分な情報量の生産関連情報を記憶していないエネルギー管理装置10Bからの情報に基づいて、1種類以上の指標についての要因スコアを算出し、算出した要因スコアが上位の2以上の要因候補の情報を含む診断結果情報を提供する。
そのため、サーバ50は、例えば、エネルギー管理装置10Bが導入されてから数日以内である場合などのように、診断対象の設備である診断対象設備に関する生産関連情報の収集が十分でない場合であっても、既に診断が完了している診断済み設備の情報に基づいて、生産に寄与しないエネルギー消費を生じさせた複数の要因を特定することができる。以下、エネルギー管理装置10Bおよびサーバ50の構成について具体的に説明する。
図16は、実施の形態3にかかるエネルギー管理装置の構成の一例を示す図である。図16に示すように、実施の形態3にかかるエネルギー管理装置10Bは、処理部11に代えて処理部11Bを備える点、および通信部16をさらに備える点で、実施の形態2に係るエネルギー管理装置10Aと異なる。通信部16は、不図示のネットワークを介してサーバ50との間で情報の送受信を行う。
処理部11Bは、情報提供部25Aに代えて、情報提供部25Bを備える点で、実施の形態2にかかる処理部11Aと異なる。情報提供部25Bは、指標値算出部23によって算出された1種類以上の指標値の情報と、スコア算出部24によって算出された複数の要因候補の各々の指標毎のスコアの情報と、エネルギー管理装置10Bの識別情報とを含む学習用情報を生成する。情報提供部25Bは、生成した学習用情報をサーバ50へ通信部16を介して送信する。
また、情報提供部25Bは、生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報の情報量が要因スコアを算出するには十分でない場合、指標値算出部23によって算出された1種類以上の指標値の情報を含む診断対象情報をサーバ50へ通信部16を介して送信する。以下において、エネルギー管理装置10B3の生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報の情報量が要因スコアを算出するには十分でないとし、エネルギー管理装置10B1,10B2の生産関連情報記憶部12に記憶された生産関連情報の情報量が要因スコアを算出するのに十分であるとする場合がある。
図17は、実施の形態3にかかるサーバの構成の一例を示す図である。図17に示すように、実施の形態3にかかるサーバ50は、通信部51と、情報取得部52と、要因推定部53と、記憶部54とを備える。通信部51は、不図示のネットワークを介してエネルギー管理装置10Bおよびモバイル端末60との間で情報の送受信を行う。
情報取得部52は、エネルギー管理装置10Bから送信され通信部51で受信された学習用情報または診断対象情報などの情報を取得する。情報取得部52は、エネルギー管理装置10Bから取得した情報を記憶部54に記憶させたり、要因推定部53へ出力したりする。
要因推定部53は、情報取得部52によって学習用情報が取得された場合、かかる学習用情報に基づいて、診断済み設備において生産に寄与しないエネルギー消費を生じさせた要因の学習を行い、学習モデルを生成する。なお、診断済み設備は、エネルギー管理装置10Bにおいてエネルギー消費を生じさせた要因を推定するのに十分な生産関連情報が蓄積された生産設備であり、例えば、エネルギー管理装置10B1,10B2の診断対象設備である。
また、要因推定部53は、情報取得部52によって診断対象情報が取得された場合、診断対象情報と学習済みモデル57とに基づいて、診断対象設備において生産に寄与しないエネルギー消費を生じさせる複数の要因の推定を行う。診断対象設備は、例えば、生産施設1に新たに設置された設備であり、エネルギー管理装置10B3による診断対象の設備である。
要因推定部53は、モデル生成部55と、推論部56とを備える。モデル生成部55は、情報取得部52から出力される学習用情報に基づいて得られる入力情報およびラベル情報に基づいて学習を行い、入力情報から適切な出力を推定する学習済みモデルを生成する。入力情報は、1種類以上の指標値の情報であり、ラベル情報は、複数の要因候補の各々の指標毎のスコアの情報である。
モデル生成部55は、例えば、ニューラルネットワークモデルを用いた、教師有り学習により学習を行う。ここで、教師あり学習とは、入力の情報とラベルと呼ばれる結果の情報との組を含む学習用情報を学習装置に与えることで、かかる学習用情報にある特徴を学習し、入力から結果を推論する手法をいう。入力の情報とラベルの情報の組はデータセットとも呼ばれる。
ニューラルネットワークは、複数のニューロンからなる入力層、複数のニューロンからなる中間層、および複数のニューロンからなる出力層で構成される。中間層は、1層であっても2層以上であってもよい。中間層は、隠れ層とも呼ばれる。
図18は、実施の形態3にかかるニューラルネットワークの一例を示す図である。図18に示すニューラルネットワークは、3層のニューラルネットワークであり、入力層X1,X2,X3と、中間層Y1,Y2と、出力層Z1,Z2,Z3とを含む。
入力情報に含まれる複数の入力値が入力層X1,X2,X3に入力されると、複数の入力値に重みW1が乗算され、重みW1が乗算された複数の入力値が中間層Y1,Y2へ入力される。重みW1は、w11,w12,w13,w14,w15,w16を含む。
中間層Y1,Y2では、重みW1が乗算された複数の入力値に基づく演算が行われ、中間層Y1,Y2の演算結果に重みW2が乗算されて出力層Z1,Z2,Z3へ入力される。重みW2は、w21,w22,w23,w24,w25,w26を含む。
出力層Z1,Z2,Z3では、中間層Y1,Y2の演算結果に重みW2が乗算された複数の値に基づく演算が行われ、かかる演算結果が出力層Z1,Z2,Z3から出力される。ニューラルネットワークの出力結果は、重みW1とW2の値によって変わる。
図17に戻って、サーバ50の構成についての説明を続ける。モデル生成部55は、例えば、予め設定された情報量以上の情報量を有する学習用情報が情報取得部52によって取得された場合に、かかる学習用情報を用いて上述した学習を実行することで学習済みモデル57を生成する。モデル生成部55は、生成した学習済みモデル57を記憶部54に記憶させる。
モデル生成部55は、1種類以上の指標値の情報を入力とし複数の要因候補の要因スコアを出力とする学習済みモデル57を生成する。1種類以上の指標値の情報は、例えば、サンプリング期間の情報および入力指標値の情報を含む。この場合、モデル生成部55は、サンプリング期間の情報および入力指標値の情報を入力情報とし、複数の要因スコアの情報をラベル情報として、学習を行う。
入力指標値は、例えば、サンプリング期間で第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々を平均化した値である。ラベル情報で示される複数の要因スコアは、例えば、第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々に対してエネルギー管理装置10Bで算出された複数の要因スコアを要因候補毎に加算したものである。
なお、サンプリング期間の情報および入力指標値の情報は、エネルギー管理装置10Bで生成されて学習用情報に含まれていてもよく、エネルギー管理装置10Bから送信される学習用情報に基づいて、モデル生成部55によって生成されてもよい。
上述した例では、モデル生成部55の学習手法の一例としてニューラルネットワークを利用する例を挙げたが、モデル生成部55の学習手法は、上述した例に限定されず、例えば、遺伝的プログラミング、またはサポートベクターマシンなどの学習手法であってもよい。
推論部56は、新たな診断対象設備のエネルギー消費の要因を診断するためのエネルギー管理装置10Bから得られる診断対象情報または診断対象情報に基づく情報をモデル生成部55によって生成された学習済みモデル57へ入力する。
例えば、推論部56は、診断対象情報にサンプリング期間の情報と入力指標値の情報とが含まれている場合、診断対象情報に含まれるサンプリング期間の情報と入力指標値の情報とを学習済みモデル57に入力する。
また、推論部56は、診断対象情報にサンプリング期間の情報と入力指標値が含まれていない場合、診断対象情報で示される第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々を予め設定されたサンプリング期間で平均化した値を入力指標値として算出する。推論部56は、算出した入力指標値の情報とサンプリング期間の情報とを学習済みモデル57に入力する。
推論部56は、複数の要因候補のうち学習済みモデル57から出力される要因スコアに基づいて、要因スコアが上位の2以上の要因候補の情報を判定する。推論部56は、要因スコアが上位の2以上の要因候補の情報である上位要因情報を出力する。推論部56から出力された上位要因情報は、モバイル端末60または診断対象情報を送信したエネルギー管理装置10Bへ通信部51によって送信される。
なお、入力指標値は、複数種類の指標値の各々の平均値に代えて、複数種類の指標値をまとめた統合指標値であってもよい。例えば、統合指標値は、複数種類の指標値の各々に重み付けした値を統合した値、例えば、複数種類の指標値の各々に係数を乗算した結果を合算した値であってもよい。また、入力指標値の情報は、1種類の指標値の情報であってもよい。
また、上述した例では、入力情報にサンプリング期間の情報が含まれるが、サンプリング期間が予め定められた固定のサンプリング期間である場合、入力情報にはサンプリング期間の情報が含まれていなくてもよい。
このように、サーバ50は、生産設備2のエネルギー消費の要因を診断するのに十分な生産関連情報を収集しているエネルギー管理装置10B1,10B2から出力される学習用情報を用いた学習により学習済みモデル57を生成する。そして、サーバ50は、かかる学習済みモデル57を用いて、生産関連情報の収集が十分に収集されていない診断対象設備において生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因のうち改善効果の高い要因を推定する。これにより、サーバ50は、生産関連情報の収集が十分に収集されていない診断対象設備についても、エネルギー消費の改善活動の検討に役立てることができる情報を提供することができる。
つづいて、フローチャートを用いてエネルギー管理装置10Bの処理部11Bによる処理を説明する。図19は、実施の形態3にかかるエネルギー管理装置の処理部による処理の一例を示すフローチャートである。なお、図19に示すステップS40,S41,S44~S48,S50,S51の処理は、図9に示すステップS10~S18の処理と同じであるため、説明を省略する。
図19に示すように、エネルギー管理装置10Bの処理部11Bは、ステップS41において生産関連情報の更新が行われた後、診断対象情報送信タイミングになったか否かを判定する(ステップS42)。診断対象情報送信タイミングは、例えば、生産関連情報の情報量がランキング情報を生成するための情報量未満である場合において予め設定されたサンプリング期間毎に発生するタイミングである。
処理部11Bは、診断対象情報送信タイミングになったと判定した場合(ステップS42:Yes)、診断対象情報の生成および送信を行う(ステップS43)。ステップS43の処理において、処理部11Bは、生産関連情報記憶部12に記憶されている生産関連情報に基づいて、生産設備を含む診断対象でのエネルギー消費に関する1種類以上の指標値の情報を含む診断対象情報を生成し、生成した診断対象情報をサーバ50へ通信部16を介して送信する。
処理部11Bは、ステップS43の処理が終了した場合、または診断対象情報送信タイミングになっていないと判定した場合(ステップS42:No)、ステップS44の処理を行う。
処理部11Bは、ステップS48において、指標毎に各要因候補のスコアを算出した後、ステップS47で算出した1種類以上の指標値の情報とステップS48で算出した指標毎の各要因候補のスコアの情報とを含む学習用情報をサーバ50へ通信部16を介して送信する(ステップS49)。
つづいて、フローチャートを用いてサーバ50による学習処理および推論処理を説明する。図20は、実施の形態3にかかるサーバによる学習処理の一例を示すフローチャートである。図20に示すように、サーバ50の情報取得部52は、エネルギー管理装置10Bから学習用情報を取得する(ステップS60)。ステップS60において、情報取得部52は、例えば、エネルギー管理装置10B1およびエネルギー管理装置10B2から学習用情報を取得する。
次に、サーバ50における要因推定部53のモデル生成部55は、情報取得部52によって取得された学習用情報に基づいて、学習済みモデル57を生成する学習処理を実行する(ステップS61)。ステップS61の処理において、モデル生成部55は、情報取得部52によって取得された学習用情報にサンプリング期間の情報および入力指標値の情報が含まれていない場合、情報取得部52によって取得された学習用情報に基づいて、サンプリング期間の情報および入力指標値の情報を生成する。モデル生成部55は、サンプリング期間の情報および入力指標値の情報を入力情報とし各要因スコアの情報をラベル情報として、いわゆる教師あり学習により学習を行い、学習済みモデル57を生成する。
要因推定部53のモデル生成部55は、学習済みモデル57を生成した後、生成した学習済みモデル57の情報を記憶部54に記憶させ(ステップS62)、図20に示す処理を終了する。
図21は、実施の形態3にかかるサーバによる推論処理の一例を示すフローチャートである。図21に示すように、サーバ50の情報取得部52は、エネルギー管理装置10Bから診断対象情報を取得する(ステップS70)。ステップS70において、情報取得部52は、例えば、エネルギー管理装置10B3から診断対象情報を取得する。
次に、要因推定部53は、情報取得部52によって取得された診断対象情報と記憶部54に記憶された学習済みモデル57の情報とに基づいて、複数の要因スコアを算出する(ステップS71)。ステップS71の処理において、要因推定部53は、情報取得部52によって取得された診断対象情報または診断対象情報に基づく情報を学習済みモデル57へ入力し、学習済みモデル57の演算によって、学習済みモデル57から出力される複数の要因スコアを取得する。診断対象情報または診断対象情報に基づく情報は、サンプリング期間の情報および入力指標値の情報を含む。
次に、要因推定部53は、複数の要因候補のうちステップS71で算出された要因スコアに基づいて、要因スコアが上位の2以上の要因候補を改善効果が高い要因として推定する(ステップS72)。要因推定部53は、推定した改善効果が高い要因の情報をモバイル端末60へ通信部51を介して送信し(ステップS73)、図21の処理を終了する。
図22は、実施の形態3にかかるモバイル端末による処理の一例を示すフローチャートである。図22に示すように、モバイル端末60は、ユーザによる不図示の操作部への操作によって、診断対象設備のエネルギー管理装置10B3の識別番号が入力された場合、エネルギー管理装置10B3の識別番号を含む診断リクエストをサーバ50へ送信する(ステップS80)。診断リクエストを受信したサーバ50は、エネルギー管理装置10B3の診断対象情報に基づいて図21に示す推論処理を実行し、かかる推論処理で得られた上位要因情報をモバイル端末60へ送信する。
モバイル端末60は、診断リクエストのサーバ50への送信に応じてサーバ50から送信される上位要因情報を受信する(ステップS81)。そして、モバイル端末60は、受信した上位要因情報を不図示の表示部に表示し(ステップS82)、図22に示す処理を終了する。
これにより、モバイル端末60のユーザは、生産関連情報の収集が十分に収集されていない診断対象設備において、生産に寄与しなかったエネルギー消費の要因の候補である複数の要因候補のうち、改善効果が高い要因候補の情報を把握することができる。
このように、実施の形態3にかかるサーバ50の要因推定部53は、診断済み設備の指標値の情報と要因スコアの情報とに基づく学習用情報を学習し、学習後の推定時は、診断対象情報または診断対象情報に基づく情報を入力として要因を推定する。なお、要因推定部53に入力される診断対象情報は、ユーザが同一組織内の診断結果を利用し、サーバ50へ入力される場合もあれば、エネルギー管理装置10Bの提供者がクラウドサービスなどを通じてサーバ50へ入力することもできる。
実施の形態3にかかるエネルギー管理装置10Bの処理部11Bのハードウェア構成の一例は、図10に示すエネルギー管理装置10の処理部11のハードウェア構成と同じである。プロセッサ101は、メモリ102に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、処理部11Bの機能を実行することができる。
図23は、実施の形態3にかかるサーバのハードウェア構成の一例を示す図である。図23に示すように、サーバ50は、プロセッサ201と、メモリ202と、通信装置203とを備えるコンピュータを含む。記憶部54は、メモリ202で実現される。通信部51は、通信装置203で実現される。プロセッサ201、メモリ202、および通信装置203は、例えば、バス204によって互いにデータの送受信が可能である。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、情報取得部52および要因推定部53の機能を実行する。プロセッサ201は、例えば、処理回路の一例であり、CPU、DSP、およびシステムLSIのうち一つ以上を含む。
メモリ202は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、およびEEPROMのうち一つ以上を含む。また、メモリ202は、コンピュータが読み取り可能なプログラムが記録された記録媒体を含む。かかる記録媒体は、不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルメモリ、光ディスク、コンパクトディスク、およびDVDのうち一つ以上を含む。なお、サーバ50は、ASICおよびFPGAなどの集積回路を含んでいてもよい。
以上のように、実施の形態3にかかるサーバ50は、モデル生成部55を備える。モデル生成部55は、学習用情報に基づいて、1種類以上の指標値の情報を入力とし複数の要因スコアを出力とする学習済みモデル57を生成する。学習用情報は、1種類以上の指標値の情報と複数の要因候補の各々のスコアである要因スコアの情報とを含む。これにより、サーバ50は、1種類以上の指標値の情報から複数の要因スコアの情報を出力する学習済みモデル57を生成することができる。
また、サーバ50は、推論部56を備える。推論部56は、エネルギー管理装置10B1,10B2とは異なる他のエネルギー管理装置10B3の診断対象でのエネルギー消費に関する1種類以上の指標値の情報を学習済みモデル57へ入力し学習済みモデル57から出力される情報に基づいて、複数の要因候補のうち上位の2つ以上の要因候補を判定する。これにより、サーバ50は、診断対象設備に関する生産関連情報の収集が十分でない期間、例えば、エネルギー管理装置10B3が導入されてから数日以内の場合であっても、既に診断が完了している診断済み設備の情報を参考により効果が期待できる改善要因を推定することができる。
また、サーバ50は、推論部56によって判定された上位の2つ以上の要因候補の情報をエネルギー管理装置10B3またはモバイル端末60へ送信する通信部51を備える。モバイル端末60は、外部装置の一例である。これにより、サーバ50は、生産に寄与しないエネルギー消費の改善活動に対して有益な情報をユーザへ提供することができる。
実施の形態4.
実施の形態4にかかるエネルギー管理システムのサーバは、複数種類の指標値のばらつき度合いを用いたレーダチャートを生成する点、および1種類以上の指標値を正規化し、正規化した1種類以上の指標値の情報を学習処理および推論処理で用いる点などで、実施の形態3にかかるサーバ50と異なる。以下においては、実施の形態3と同様の機能を有する構成要素については同一符号を付して説明を省略し、実施の形態3と異なる点を中心に説明する。
図24は、実施の形態4にかかるエネルギー管理システムの構成の一例を示す図である。図24に示すエネルギー管理システム200Aは、サーバ50に代えて、サーバ50Aを備える点で、実施の形態3にかかるエネルギー管理システム200と異なる。
サーバ50Aは、生産関連情報の収集が十分に収集されているエネルギー管理装置10Bの学習用情報に基づいて、複数種類の指標値にばらつき度合いを判定し、複数種類の指標の各々に対応して上位の2以上の要因候補の情報と指標値のばらつき度合いの情報とを示すレーダチャートを生成する。これにより、サーバ50Aは、レーダチャートのように各指標間の相互的な影響度合いを直感的に把握できるような情報をユーザに提示することができる。
また、サーバ50Aは、生産関連情報の収集が十分に収集されているエネルギー管理装置10Bの学習用情報で示される1種類以上の指標値を正規化し、正規化した1種類以上の指標値に基づいて、学習処理を行う。また、サーバ50Aは、生産関連情報の収集が十分に収集されていないエネルギー管理装置10Bの診断対象情報で示される各指標値を正規化し、正規化した1種類以上の指標値の情報に基づいて、推論処理を行う。
これにより、サーバ50Aは、複数のエネルギー管理装置10Bにおいて診断対象設備の特徴または使用状況などが異なる場合であっても、複数のエネルギー管理装置10B間で、取り得る範囲が異なる指標値の分布または単位を同じスケールで比較可能することができる。そのため、サーバ50Aは、既に診断が完了している診断済み設備の情報を参考により効果が期待できる改善要因を精度よく推定することができる。
図25は、実施の形態4にかかるサーバの構成の一例を示す図である。図25に示すように、実施の形態4にかかるサーバ50Aは、要因推定部53に代えて要因推定部53Aを備える点、および指標正規化部58およびレーダチャート生成部59をさらに備える点で、実施の形態3にかかるサーバ50と異なる。まず、指標正規化部58およびレーダチャート生成部59について説明する。
指標正規化部58は、単位および値の取り得る範囲が異なる各指標値の正規化を行う。指標正規化部58は、例えば、情報取得部52によって取得された情報で示される複数種類の指標値を正規化して、複数種類の正規化指標値を生成する。
例えば、指標正規化部58は、情報取得部52によって取得された学習用情報で示される複数種類の指標値を正規化して複数種類の第1の正規化指標値を生成する。また、指標正規化部58は、診断対象情報で示される複数種類の指標値を正規化して複数種類の第2の正規化指標値を生成する。
また、指標正規化部58は、指標値の正規化処理において、指標値のばらつき度合いを算出する。例えば、指標正規化部58は、下記式(3)に示す判定アルゴリズムによって、情報取得部52によって取得された情報に含まれる指標値のばらつき度合いを指標毎に算出する。例えば、指標正規化部58は、第1の指標、第2の指標、第3の指標、第4の指標、および第5の指標の各々について指標値のばらつき度合いを算出する。
指標値のばらつき度合い={最大値-最小値}/平均値 ・・・(3)
上記式(3)において、「最小値」は、同一指標についての複数の指標値のうちの最小の指標値であり、「最大値」は、同一指標についての複数の指標値のうちの最大の指標値であり、「平均値」は、同一指標についての複数の指標値の平均値である。
指標正規化部58は、レーダチャート生成部59によるレーダチャートの生成のために、指標値のばらつき度合いを例えば5段階で評価する。例えば、上記式(3)によって算出された指標値のばらつき度合いが、1~100までの値をとり、指標正規化部58によって指標値のばらつきが5段階スコアで評価されるとする。
この場合、指標正規化部58は、指標値のばらつき度合いが「1~20」の範囲であれば、5段階評価のスコアを「5」とし、指標値のばらつき度合いが「21~40」の範囲であれば5段階評価のスコアを「4」とし、指標値のばらつき度合いが「41~60」の範囲であれば5段階評価のスコアを「3」とする。また、指標正規化部58は、指標値のばらつき度合いが「61~80」の範囲であれば5段階評価のスコアを「2」とし、指標値のばらつき度合いが「81~100」の範囲であれば5段階評価のスコアを「1」とする。
このように、指標正規化部58は、ばらつき度合いが大きい指標はスコアを低く、ばらつき度合いが小さい指標はスコアを高くすることができる。以下において、指標値のばらつきを示すスコアをばらつきスコアと記載する場合がある。
レーダチャート生成部59は、指標正規化部58によって判定された各指標のばらつきスコアと、情報取得部52によって取得された学習用情報に含まれる複数の要因候補の各々の指標毎の要因スコアとに基づいて、レーダチャートを生成する。かかるレーダチャートによって、各指標間のバランスを表すことができる。
レーダチャート生成部59は、エネルギー管理装置10B毎のレーダチャートを生成するが、複数のエネルギー管理装置10Bに対して1つのレーダチャートを生成することもできる。
レーダチャート生成部59は、生成したレーダチャートの情報をモバイル端末60または学習用情報を送信したエネルギー管理装置10Bへ通信部51を介して送信する。モバイル端末60は、サーバ50Aからレーダチャートの情報を取得した場合、不図示の表示部にレーダチャートを表示する。また、学習用情報を送信したエネルギー管理装置10Bの処理部11Bは、サーバ50Aからレーダチャートの情報を取得した場合、表示部13にレーダチャートを表示させる。
図26は、実施の形態4にかかるモバイル端末の表示部に表示されるレーダチャートの一例を示す図であり、図27は、実施の形態4にかかるモバイル端末の表示部に表示されるレーダチャートの他の例を示す図である。図26に示すレーダチャート80は、例えば、エネルギー管理装置10B1の診断結果であり、図27に示すレーダチャート81は、例えば、エネルギー管理装置10B2の診断結果である。
レーダチャート80,81は、第1の指標、第2の指標、第3の指標、第4の指標、および第5の指標の各々についての指標値のばらつき度合いと、生産に改善効果の高い上位の2つの要因とを示す。これらレーダチャート80,81において、各頂点の数字の「1,2,3,4,5」は、指標の種類を示し、各頂点のアルファベットの「a,b,c,d,e,f,g」は、改善効果の高い上位2つの要因を示す。改善効果の高い上位2つの要因は、各指標について生産に寄与しないエネルギー消費の複数の要因のうち上位2つの要因である。
図26に示すように、レーダチャート80では、第1の指標は、スコアが「4」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「a」と「c」であり、第2の指標は、スコアが「2」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「b」と「c」であり、第3の指標は、スコアが「5」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「a」と「b」である。また、レーダチャート81では、第4の指標は、スコアが「4」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「d」と「e」であり、第5の指標は、スコアが「3」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「d」と「f」である。
図27に示すように、レーダチャート81では、第1の指標は、スコアが「4」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「c」と「g」であり、第2の指標は、スコアが「5」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「d」と「e」であり、第3の指標は、スコアが「4」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「a」と「c」である。また、レーダチャート80では、第4の指標は、スコアが「4」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「d」と「f」であり、第5の指標は、スコアが「3」であり、改善効果の高い上位2つの要因が「f」と「g」である。
したがって、ユーザは、レーダチャート80,81によって、各指標に対する改善効果の高い上位2つの要因を一見して把握することができる。また、ユーザは、レーダチャート80,81によって、ばらつき度合いが大きい指標を直感的かつ容易に把握することができる。例えば、ユーザは、レーダチャート80によってばらつき度合いが最も大きい指標が第2の指標であることを直感的かつ容易に把握でき、レーダチャート81によってばらつき度合いが最も大きい指標が第5の指標であることを直感的かつ容易に把握できる。
このように、エネルギー管理システム200Aでは、サーバ50Aによってレーダチャート80,81の情報を生成することができ、かかるレーダチャート80,81の情報がモバイル端末60またはエネルギー管理装置10Bに表示される。そのため、ユーザは、直感的に改善余地が大きい指標を知ることができ、エネルギーロスに対する改善活動の検討により効果的に役立てることができる。
ここで、指標値のばらつき度合いが大きい場合に改善の余地があることについて説明する。第1の指標値である「生産設備2がオンになってから生産設備2の生産が開始されるまでの時間T1」の場合、作業手順などが一定であれば、時間T1のばらつき度合いが少ないが、作業手順などのばらつきが大きい場合、時間T1のばらつき度合いが大きくなり、曜日または担当者などのなんらかの要因が関係しており、改善の余地があると推測される。
そして、時間T1のばらつきが大きいほど、作業手順などのばらつきが大きいと推測され、改善の余地が大きくなると予測される。このことは、第1の指標値に限定されず、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値などでも同様である。
なお、指標正規化部58は、上記式(3)以外のばらつき判定のアルゴリズムによって、各指標値のばらつき度合いを判定することもできる。例えば、指標正規化部58は、通常の分散σまたはその他の方法を用いて各指標値のばらつき度合いを判定することができる。指標正規化部58による各指標値のばらつき度合いの評価方法として、各設備から収集された指標値の分散度合いに応じて、改善余地のユーザへの提示が容易に行える評価方法が適宜採用される。
要因推定部53Aは、学習処理および推論処理の各々において指標正規化部58によって正規化された1種類以上の指標値を用いる点で、正規化されていない1種類以上の指標値を用いる要因推定部53と異なる。要因推定部53Aは、モデル生成部55および推論部56に代えて、モデル生成部55Aおよび推論部56Aを備える点で、実施の形態3にかかる要因推定部53と異なる。
モデル生成部55Aは、学習用情報に含まれる入力指標値に代えて、かかる入力指標値が指標正規化部58によって正規化された1種類以上の第1の正規化指標値を用いた学習を行って学習済みモデル57を生成する点で、モデル生成部55と異なる。
モデル生成部55Aによって生成される学習済みモデル57は、1種類以上の第1の正規化指標値に基づく入力指標値を入力とし複数の要因候補の要因スコアを出力とするモデルである。1種類以上の第1の正規化指標値は、例えば、第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々が正規化されサンプリング期間で平均化された値である。なお、入力指標値は、複数種類の指標値の各々の平均値に代えて、複数種類の指標値をまとめた統合指標値であってもよい。
推論部56Aは、診断対象情報に含まれる1種類以上の指標値に代えて、かかる1種類以上の指標値が指標正規化部58によって正規化された1種類以上の第2の正規化指標値の情報を学習済みモデル57へ入力する。1種類以上の第2の正規化指標値は、例えば、第1の指標値、第2の指標値、第3の指標値、第4の指標値、および第5の指標値の各々が正規化されサンプリング期間で平均化された値である。推論部56Aは、推論部56と同様に、複数の要因候補のうち学習済みモデル57から出力される要因スコアが上位の2以上の要因候補の情報を判定する。
このように、サーバ50Aは、1種類以上の指標値を正規化する指標正規化部58を備えているため、複数のエネルギー管理装置10Bにおいて診断対象設備の特徴または使用状況などが異なる場合であっても、複数のエネルギー管理装置10B間で、取り得る範囲が異なる指標値の分布または単位を同じスケールで比較可能することができる。
つづいて、フローチャートを用いてサーバ50Aによる処理を説明する。図28は、実施の形態4にかかるサーバによる学習処理の一例を示すフローチャートである。図28のステップS90,S93の処理は、図20に示すステップS60,S62の処理であり,説明を省略する。
図28に示すように、サーバ50Aの指標正規化部58は、ステップS90の処理が終了した後、ステップS90で取得された学習用情報で示される1種類以上の指標値を正規化する指標値正規化処理を行う(ステップS91)。モデル生成部55Aは、情報取得部52によって取得された学習用情報に含まれるサンプリング期間およびラベル情報と指標正規化部58によって正規化された1種類以上の指標値の情報とに基づいて、学習済みモデル57を生成する学習処理を実行する(ステップS92)。
ステップS92の処理において、モデル生成部55Aは、サンプリング期間の情報および正規化された1種類以上の指標値の情報を入力情報とし各要因スコアの情報をラベル情報として、いわゆる教師あり学習により学習を行い、学習済みモデル57を生成する。
図29は、実施の形態4にかかるサーバによる推論処理の一例を示すフローチャートである。図29に示すステップS100,S103,S104の処理は、図21に示すステップS70,S72,S73の処理と同じであるため、説明を省略する。
図29に示すように、サーバ50Aの指標正規化部58は、情報取得部52によって取得された診断対象情報で示される1種類以上の指標値を正規化する指標値正規化処理を行う(ステップS101)。
次に、サーバ50Aの要因推定部53Aは、指標正規化部58によって正規化された1種類以上の指標値である1種類以上の第2の正規化指標値の情報と記憶部54に記憶された学習済みモデル57の情報とに基づいて、複数の要因スコアを算出する(ステップS102)。ステップS102の処理において、要因推定部53Aは、第2の正規化指標値の情報を学習済みモデル57へ入力し、学習済みモデル57の演算によって、学習済みモデル57から出力される複数の要因スコアを取得する。
実施の形態4にかかるサーバ50Aのハードウェア構成の一例は、図23に示すサーバ50のハードウェア構成と同じである。プロセッサ201は、メモリ202に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、要因推定部53A、指標正規化部58、およびレーダチャート生成部59の機能を実行することができる。
以上のように、実施の形態4にかかるサーバ50Aは、指標正規化部58と、レーダチャート生成部59とを備える。指標正規化部58は、学習用情報で示される複数種類の指標値のばらつき度合いを指標値の種類毎に算出する。レーダチャート生成部59は、指標正規化部58によって算出された複数種類の指標値の各々のばらつき度合いと上位の2つ以上の要因候補との関係を示すレーダチャートの情報を生成する。これにより、サーバ50Aは、各指標間の相互的な影響度合いを直感的に把握できるような情報をユーザに提示することができる。
また、サーバ50Aは、指標正規化部58を備える。指標正規化部58は、1種類以上の指標値を正規化する。モデル生成部55Aは、要因スコアの情報と指標正規化部58によって正規化された1種類以上の指標値の情報とに基づいて、学習済みモデル57を生成する。推論部56Aは、指標正規化部58によって正規化された1種類以上の指標値の情報を学習済みモデル57へ入力し、学習済みモデル57から出力される情報に基づいて、複数の要因候補のうち上位の2つ以上の要因候補を判定する。これにより、サーバ50Aは、複数のエネルギー管理装置10Bにおいて診断対象設備の特徴または使用状況などが異なる場合であっても、複数のエネルギー管理装置10B間で、取り得る範囲が異なる指標値の分布または単位を同じスケールで比較可能することができる。
エネルギー管理装置10,10A,10Bの処理部11,11A,11Bは、日単位で指標値および要因候補を特定するが、時間帯単位、週単位、または月単位などで指標値および要因候補を特定することもできる。また、処理部11,11A,11Bは、上述した指標以外の種類の指標を用いて各要因候補のスコアを算出することもでき、上述した複数の指標の一部の指標のみを用いて各要因候補のスコアを算出することもできる。また、処理部11,11A,11Bは、上述した要因候補以外の要因候補のスコアを算出することもでき、上述した複数の要因候補のうち一部の要因候補のスコアのみを算出することもできる。
また、エネルギー管理装置10,10A,10Bは、互いに異なる位置に配置される複数の装置から構成されてもよい。例えば、エネルギー管理装置10,10A,10Bは、収集装置と、処理装置とを含む構成であってもよい。収集装置は、電力センサ4,5、生産量センサ6、環境センサ7、および生産管理装置8から情報を収集する。処理装置は、収集装置で収集された情報に基づいてランキング情報のうち少なくとも一部を出力する。この場合、収集装置は、例えば、PLC(Programmable Logic Controller)、またはデータロガーなどによって構成されてもよく、処理装置は、例えば、クラウドサーバまたは携帯端末によって構成されてもよい。収集装置と処理装置とは無線または有線によって通信可能に接続される。
また、エネルギー管理装置10,10A,10Bは、サーバ50,50Aの機能を有する構成であってもよい。例えば、エネルギー管理装置10B1,10B2は、情報取得部52、要因推定部53,53A、指標正規化部58、およびレーダチャート生成部59のうちの一部または全部を含む構成であってもよい。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。