JP7268532B2 - 照明装置、照明システムおよび照明方法 - Google Patents

照明装置、照明システムおよび照明方法 Download PDF

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Description

本発明の実施形態は、照明装置、照明システムおよび照明方法に関する
従来、対象物を鮮やかに見せることができる照明装置が知られている。このような照明装置は、例えば、スーパーマーケットで使用されており、食品陳列棚に陳列された食品に向かって照明装置から光を照射することで、食品を鮮やかに見せつつ陳列することが可能となる。
しかし鮮やかに見せる対象物の中には、生鮮食品や塗料など経時的に品質が低下するものが存在する。このような対象物に、従来の鮮やかに見せる照明装置から光を照射した場合、品質が低下した対象物についても鮮やかに見せてしまうため、目視で品質が低下したことを認識させにくくなる。そのため、例えば、品質が低下した商品をそのまま店頭に並べてしまうという問題が生じる虞があった。
特開2013-127855号公報 特開2015-41633号公報
本発明が解決しようとする課題は、対象物の状態を適切に見せることができる照明装置を提供することである。
実施形態の一例に係る照明装置は、波長に対する分光反射率が相対的に高い第1の波長領域を有し、経時的に波長に対する分光反射率が変動する対象物を照射する照明装置である。照明装置は、第1スペクトルを有する光源を備えている。第1スペクトルは、第1の波長領域であって、対象物における経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きい第2の波長領域に第1ピークを有する。そして、第1ピークにおける半値幅は前記第2の波長領域の幅より狭くなっている。
実施形態によれば、対象物の状態を適切に見せることができる照明装置を提供することが期待できる。
一実施形態を示す照明装置を示す図である。 一実施形態を示す照明装置に備わっている光源装置を示す図である。 (a)対象物としての牛肉の分光反射率を示したグラフの一例である。(b)対象物としての牛肉の単位時間ごと分光反射率の差分を示したグラフの一例である。 (a)一実施形態を示す照明装置の分光分布の一例を示したグラフである。(b)従来照明装置の分光分布を示したグラフである。 各光源で対象物としての牛肉を照射した際のL値の変動をシミュレートした結果の一例である。 (a)従来照明装置と基準光で対象物としての牛肉を照射した際の単位時間ごとの色度変化をシミュレートした図の一例である。(b)照明装置と基準光で対象物としての牛肉を照射した際の単位時間ごとの色度変化をシミュレートした図の一例である。 第1の変形例としての照明装置を示す図である。 第2の変形例としての照明装置を示す図である。 照明装置、基準光、従来照明装置それぞれで牛肉を照射した際のL値、a値、b値の変動をL3次元座標空間でシミュレートした結果を示す図である。
以下、一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、以下では波長については可視光領域での説明を行う。つまり、人間の目で感じとれることが可能な可視光線である、波長が380nm~780nmの範囲の光について説明するものとする。
図1に対象物を照射する照明装置1を示す。照明装置1は光源装置2、光源装置2を点灯・制御する点灯制御部3を備える。ここでの対象物は、経時的に反射状態が変動するものとする。つまり、時間が経つにつれて、例えば組成が変化することで反射率が変動するものや、例えば表面状態が変化することで光反射の向きや拡散反射の割合が変動するものを対象物とする。また本実施形態における対象物は、例えば、初期状態から数日以内に反射状態が変動するようなものであることが好ましい。
図2に光源装置2を示す。光源装置2は第1光源10、第2光源20、第3光源30を備えている。第1光源10、第2光源20、第3光源30は、それぞれ1つの光源もしくは複数の光源によって形成される。また図2に示すように、第1光源10、第2光源20、第3光源30をそれぞれ個別に1列ずつ配設する形態に限定されるものではい。例えば、それぞれの光源が点在する千鳥配置で配設されたり、第1光源10を覆うように第2光源20、第3光源30が配設されたりしても良い。
第1光源10は、ピーク波長が450nm~490nmの青色光源である。また、第1光源10は半値幅が10nm~40nmの光源であり、例えば、約19nmである。第2光源20は、ピーク波長が610nm~650nmの赤色光源である。また第2光源20は半値幅が10nm~40nmであり、例えば、約28nmである。第3光源30は白色光源であり、例えば、色温度が3000K、色偏差が-0.030の白色光源である。第3光源30は、例えば、少なくとも赤色と緑色と青色の3色の光源を備えた光源であったり、少なくとも赤色と黄色と青色の3色の光源を備えた光源であったり、励起光源により黄色蛍光体、緑色蛍光体、赤色蛍光体のうち少なくとも1種類の蛍光体が励起される光源であっても良い。また、ここでの光源はLEDやLDやOLEDなどの固体光源であることが望ましい。
点灯制御部3は光源装置2を駆動されるための電源装置40を備えている。電源装置40は1つまたは2つまたは3つの電源から構成されていても良い。電源装置40が1つの電源で構成されている場合は、例えば、第1光源10と第2光源20と第3光源30を直列または並列に接続し、すべてを一緒に点灯させる。電源装置40が2つ(電源40A、40Bとする)の電源で構成されている場合は、例えば、第1光源10と第3光源30を直列または並列に接続し電源40Aで点灯、第2光源20を電源40Bで点灯する。または第1光源10を電源40Aで点灯し、第2光源20と第3光源30を直接または並列に接続し電源40Bで点灯する形態でも良い。電源装置40が3つ(電源40A、40B、40Cとする)の電源で構成されている場合は、例えば、第1光源10を電源40Aで点灯し、第2光源20を電源40Bで点灯し、第3光源30を電源40Cで点灯する。
また、点灯制御部3は制御部50を有していても良い。制御部50で行う制御機能としては、例えば、光源装置2を調光して発光強度を変化させる動作をしても良いし、光源装置2を調色して光の色温度を変化させる動作をしても良いし、光源装置2の特定の光源からの発光強度を変化させる動作をしても良い。特定の光源を変化させる動作としては、例えば、第1光源10の発光強度を高めて青色スペクトルを強めたり、第2光源20の発光強度を高めて赤色のスペクトルを強めたりする。また、制御機部50は、電源装置40とは別に配設されていても良いし、電源装置40と連結して配設されても良いし、電源装置40と一体に形成されていても良い。
例えば、照明装置1の調光操作を行う場合は、電源装置40が1つの電源で構成されている場合は、全体を一纏めに調光操作を行うことしかできないが、電源装置40が2つもしくは3つの電源で構成されている場合は、電源装置ごとに細かい単位で調光操作を行うことが可能となる。特に、電源装置40が3つの電源で構成されている場合は、第1光源10、第2光源20、第3光源30をそれぞれ個別に調光操作を行うことができる。もちろん、電源装置40が3つの電源で構成されている場合でも、全体を一纏めに調光操作を行っても良い。
制御機能を動作させるための制御用信号は、照明装置1に設けられた、例えば、ボタンやツマミを操作することで入力されて良いし、外部から制御用信号を入力されても良い。外部から制御用信号を入力する場合は、図1に示すように、照明装置1に受信部60を設け、受信部60で制御用信号を受け取る。その後、制御用信号を点灯制御部3へ渡し、制御用信号に応じて電源装置40の出力を変化させる。外部から制御用信号を入力する場合、例えば、リモコンから赤外線や可視光などの光信号を入力したり、通信機器から有線もしくは無線通信で信号を入力したりしても良い。
次に、照明装置1から発せられる光で対象物を照射する際の動きについて説明する。本実施形態においては、照射対象物としては赤身つまり赤色の肉や果肉を取り上げて説明を行う。赤身とは具体的に、牛肉・豚肉・鯨肉・馬肉などの赤身肉、マグロ・カツオ・アジなどの赤身魚、スイカ・メロンなどの果物を指し、本実施形態においては、牛肉を照射対象物の例として説明を行う。しかし、照射対象物としては、牛肉に限定されるものではなく、他の赤身であっても良いし、白身であったり緑色の野菜であったり、魚の場合は切り身ではなく魚全体が照射対象となっても良い。照明装置1は第1スペクトルを有する光源である光源装置2を備えており、本実施形態においては、第1スペクトルは牛肉に対応するスペクトルとなっている。
図3に、牛肉における波長に対する分光反射率の一例を示す。図3(a)は横軸に波長(nm)、縦軸に牛肉の分光反射率の絶対値(%)を示したグラフである。牛肉においては、波長約600nm以上の領域では分光反射率が相対的に高くなっており、分光反射率の絶対値は25%を越えている。この分光反射率が相対的に高い領域を第1の波長領域とする。第1の波長領域は、可視光領域において、最も反射率が高い波長を含むことが望ましい。本実施形態においては、波長600nm以上の領域が第1の波長領域となる。なお、本実施形態における第1の波長領域の最大波長は、例えば、可視光の最大波長である780nmであり、波長600nm以上780nm以下の領域を第1の波長領域としても良い。なお、第1の波長領域は、可視光領域における分光反射率の平均値を超える波長領域としても良い。例えば本実施形態の場合、可視光領域における牛肉の分光反射率の平均値は約19.3%であるため、分光反射率19.3%より高い反射率を示す、波長615nm以上780nm以下の領域を第1の波長領域としても良い。反射率が高い第1の波長領域の光を中心とした光を牛肉に照射することで、牛肉からの反射光が多くなり、人間の目では色鮮やかに感じ取る効果を期待できる。
基本的に、牛肉は時間が経つとともに鮮度が低下し、見た目が赤色から例えば茶色に変色する。図3(b)は横軸に波長(nm)、縦軸に初期状態(例えば、スーパーマーケットにおいては牛肉を店頭に並べた日)を基準として単位時間ごとの牛肉の分光反射率の差分(%)を示したグラフの例である。つまり、牛肉の分光反射率の経時的な変化量を示したグラフの例である。0%であれば初期状態から分光反射率の変動がなく、0%からプラス方向またはマイナス方向に離れることで分光反射率が変動していることを示す。なお、例えば、2単位時間後のラインは、初期状態と2単位時間経過後の分光反射率の差分を示すラインである。
牛肉においては、単位時間を経ても分光反射率がほとんど変化しない波長領域と、単位時間ごとに分光反射率が変動する波長領域と、が存在する。分光反射率がほとんど変化しない波長領域は、例えば、波長430nm以下の領域や、波長680nm以上の領域である。分光反射率が変動する波長領域については、単位時間を経て牛肉の鮮度が低下するとともに分光反射率が変動し、牛肉からの光反射具合が初期状態から変化する。その光反射具合の変化を人間が肉眼で捉えて鮮度の変化を認識する。そのため、分光反射率が変動する波長領域の光を牛肉に照射すれば、鮮度の変化を認識しやすくなる。
牛肉での分光反射率の変動は、約610nm~約650nmの領域は、単位時間を経るごとに分光反射率の差分がマイナスとなり、分光反射率が小さくなっていく傾向にある。波長640nmにおいては、3単位時間後には反射率が約8.0%低下し、分光反射率低下の絶対値が最も大きくなる。
分光反射率が相対的に高い第1の波長領域(本実施形態では600nm以上780nm以下)において、経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きくなる領域を第2の波長領域とする。本実施形態では、約610nm~約650nmの領域が第2の波長領域となる。この第2の波長領域は、経時的な分光反射率の変動を示すグラフにおいて、分光反射率が最も低下する波長を含むことが望ましい。また、第2の波長領域の幅は、分光反射率の変動が低下に転じた谷部分において、谷が立ち下がる両端の幅としても良いし、分光反射率の全体的な変動の平均値を閾値として閾値を下回る領域の幅としても良いし、最も分光反射率が低下したピーク値に対する半値幅をその幅としても良い。
照明装置1は、第2の波長領域に第1ピークを有する第1スペクトルを有する光源装置2を備えている。、本実施形態においては、光源装置2の第1スペクトルは牛肉に対応するスペクトルとなっており、第2の波長領域である約610nm~約650nmの領域にピークを有している。
また、牛肉での分光反射率の変動は、約450nm~約490nmの領域で3単位時間後から分光反射率の差分がプラスとなり、分光反射率が大きくなっていく傾向にある。波長470nmにおいては、3単位時間後には反射率が約1.5%上昇し、分光反射率上昇の絶対値が最も大きくなる。さらに、図3(b)には図示しないが、4単位時間後においても波長470nmにおいては反射率が約3.9%上昇し、3単位時間後は経時的に分光反射率の上昇していく傾向にある。
この経時的な分光反射率の上昇量が相対的に大きくなる領域を第3の波長領域とする。本実施形態では、約450nm~約490nmの領域が第3の波長領域となる。この第3の波長領域は、経時的な分光反射率の変動を示すグラフにおいて、分光反射率が最も上昇する波長を含むことが望ましい。また、第3の波長領域の幅は、分光反射率の変動が上昇に転じた山部分において、山が立ち上がる両端の幅としても良いし、分光反射率の全体的な変動の平均値を閾値として閾値を上回る領域の幅としても良いし、最も分光反射率が上昇したピーク値に対する半値幅をその幅としても良い。
照明装置1は、ピーク波長が610nm~650nmの第2光源20を備えている。つまり、図3(a)に示した牛肉の分光反射率において、分光反射率が高い第1の波長領域を有する光源を備えている。牛肉の分光反射率が高い領域の光を照明装置1より牛肉に照射することで、牛肉からの反射光を多く得ることができ、より牛肉を色鮮やかに見せる効果を期待できる。なお、牛肉を色鮮やかに見せる効果を得るためには、図3(a)にて分光反射率が高い領域である610nm~780nmの波長を持つ光であれば良い。しかし、長い波長の光ほど視感度が低くなり人間の目では感じ取りにくくなるため、牛肉を色鮮やかに見せるためには光量を強くする必要があり、効率が悪くなってしまう虞がある。そのため、短い波長(例えば、610nm~700nm)の光を用いることで、効率良く牛肉を色鮮やかに見せることが可能となる。
また、照明装置1の第2光源20は、ピーク波長が610nm~650nmであるため、照射対象物の分光反射率が高い第1の波長領域、かつ照射対象物の経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きくなる領域である第2の波長領域にピークを有する光源を備えている。つまり本実施形態において、第2光源20は、波長に対する照射対象物の分光反射率が相対的に高い第1の波長領域であって、照射対象物における経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きい第2の波長領域に第1ピークを有する第1スペクトルを有する光源である。この第2の波長領域は、分光反射率の絶対値が高く、かつ、経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きいため、経時的な分光反射率の変動が顕著で変動幅が大きい領域となる。そのため、この第2の波長領域にピークを有する光源を照射することで、経時的な分光反射率の変化をより忠実に人間の目で感じ取ることが可能となる。
さらに、照明装置1の第2光源20は、半値幅が10nm~40nmとなっている。つまり、本実施形態における第1ピークの半値幅は10nm~40nmである。先述の通り、第1ピークは第1の波長領域かつ第2の波長領域に存在するが、第1ピークにおける半値幅が大きい場合は、第1の波長領域または第2の波長領域の外に光を照射してしまう虞がある。その場合、分光反射率の変動が顕著ではなく、変動幅が少ない波長領域にも光も照射してしまうため、平均化されて人間の目で経時的な分光反射率の変化を感じ取る効果が弱くなり、人間の目で照射対象物の色の変動を認識しにくくなる虞がある。そのため、第1ピークにおける半値幅は第2の波長領域の幅より狭いことが望ましい。本実施形態においては、第2の波長領域の幅である約40nmに対して、第2光源20の半値幅は10nm~40nmとしており、第2の波長領域の幅より狭い半値幅を持つ光源を第2の光源20としている。また照明装置1の第2光源20において、第1ピークの半値幅を構成する2つの波長、つまり、第1ピークの半分の強度となる2つ波長が両方とも第2の波長領域内に存在することが好ましい。さらに、第1ピークを構成する裾野(立ち上がり部)も第2の波長領域内に存在することがなお好ましい。
また照明装置1は、ピーク波長が450nm~490nmの第1光源10を備えている。つまり、図3(b)に示した経時的な分光反射率の変動を示す牛肉において、経時的な分光反射率の上昇量が相対的に大きくなる第3の波長領域に第2ピークを有する光源を備えている。この第3の波長領域の光は、経時的な分光反射率の上昇量が相対的に大きいため、反射率が上昇する方向に顕著に変動する領域となる。そのため、この第3の波長領域を有する光源を照射することで、経時的な分光反射率の変化をより忠実に人間の目で感じ取ることが可能となる。
さらに、照明装置1の第1光源10は、半値幅が10nm~40nmとなっている。つまり、本実施形態における第2ピークの半値幅は半値幅が10nm~40nmである。先述の通り、第2ピークは第3の波長領域に存在するが、第2ピークにおける半値幅が大きい場合は、第3の波長領域の外に光を照射してしまう虞がある。その場合、分光反射率の変動が顕著ではなく、変動幅が少ない波長領域にも光も照射してしまうため、平均化されて人間の目で経時的な分光反射率の変化を感じ取る効果が弱くなり、人間の目で照射対象物の色の変動を認識しにくくなる虞がある。そのため、第2ピークにおける半値幅は第3の波長領域の幅より狭いことが望ましい。本実施形態においては、第3の波長領域の幅である約40nmに対して、第1光源10の半値幅は10nm~40nmとしており、第3の波長領域の幅より狭い半値幅を持つ光源を第1の光源10としている。また照明装置1の第2光源20において、第2ピークの半値幅を構成する2つの波長、つまり、第2ピークの半分の強度となる2つ波長が両方とも第2の波長領域内に存在することが好ましい。さらに、第2ピークを構成する裾野(立ち上がり部)も第2の波長領域内に存在することがなお好ましい。
これらのように、照明装置1は、牛肉の分光反射率が経時的に顕著に変動する波長領域にピークを持った第1スペクトルを有する光源を備えている。そのため、照明装置1より牛肉に光を照射することで、牛肉の分光反射率変動を強調してより忠実に人間の目で捉えることができるため、より牛肉の鮮度を適切に見せる効果を期待できる。つまり、鮮度が良い場合は鮮度良く、鮮度が悪い場合は鮮度が低下した状態で見せる効果が期待できる。
なお、図3(a)、図3(b)に示した牛肉と同様の分光反射率の特性を示すものであれば、同様の効果を期待することができる。例えば、牛肉以外の赤身肉、赤身魚、さらには赤やオレンジ系統の塗料でも同様の効果が期待できる。
次に、照明装置1の照射対象物である牛肉の鮮度を適切に見せる効果を検証するためのシミュレーション結果を示す。鮮度による分光分布の変化をそのまま色度で変換するために基準光を等エネルギー白色として、基準光と従来照明装置と照明装置1それぞれで牛肉を照らしたときの色度の変化を分析した。基準光で牛肉を照らした状態が本来の牛肉の色度変化であり、従来照明装置と照明装置1で照らした状態が人間の目で感じ取る色度変化に相当する。図4(a)に照明装置1が発する光の分光分布を、図4(b)に従来照明装置が発する光の分光分布を示す。照明装置1が発する光はとしては上述した光源装置2の要件を満たすものを用いた。また、従来照明装置から発する光としては、「ショーケースなどに展示された食肉品、鮮魚、野菜、果物などの食品を生き生きと見せ、美味しさを引きたたせる」効果を持った光源を用いた。従来照明装置は、ピーク波長が450nm、半値幅が約18nmの青色光源と、ピーク波長が650nm、半値幅が約88nmの赤色光源を有している。また、ピーク波長が525nm、半値幅が約77nmの緑色もしくは黄色光源を有している。従来照明装置から発する光は例えば、色温度が2923K、色偏差が-0.029の白色光である。なお本実施形態のシミュレーションでは、基準光は等エネルギー白色として、可視光の波長領域で一定の強度を示すスペクトルを用いているが、基準光は等エネルギー白色に限定されるものではない。実際の使用形態では、基準光を太陽光、疑似太陽光、ハロゲン光とすることも可能である。
図5、図6にシミュレーション結果を示す。図5、図6は単位時間ごとに各光源で牛肉を照射した際の、L座標系におけるL、a、bの値の変動をシミュレートした結果である。本シミュレートで用いた単位時間は1日である。つまり、単位時間3の結果は、初日から3日経過した状態の牛肉を基準光と従来照明装置と照明装置1の各光源で照射した際に得られるL、a、bの値を算出した結果である。
図5は、縦軸にL値、横軸に単位時間とし、単位時間ごとのL値の変動をシミューレとした折れ線グラフである。基準光と従来照明装置と照明装置1いずれも単位時間ごとのL値の変動傾向は同様であり、1単位時間(1日)経過時点でL値が約5%低下し、その後は、1%以下/単位時間の変動率でL値の値が変動する。L値については、従来光源、照明装置1で照射した方が基準光源で照射した時より高い値となるが、従来光源より照明装置1で照射した方が基準光源に近いL値が得られている。L値が高いほど明度が高く、鮮やかに見せる効果が高い。言い換えると、L値と鮮度の見え方は比例するとも言える。つまりL値の観点からは、初期から4単位時間経過後までにおいては、照明装置1、従来光源どちらも基準光で照射した場合より鮮度良く見せる効果を有しており、その効果は従来光源の方が高く、照明装置1で照射した場合の方が、本来の鮮度に近い見え方であると言える。
図6(a)、(b)はa2次元座標上にて色度の変動をシミュレートした結果を示している。図6(a)、(b)で示すa2次元座標上においては、赤方向aの値が大きいほど赤方向の彩度が高く、黄方向bの値が大きいほど黄方向の彩度が高く見えることを示している。一般的に、鮮度が良い牛肉は赤方向の彩度が高いためaの値が高く、鮮度の低い牛肉はaの値が低くなる傾向を示す。また、bの値も鮮度に伴って低下する傾向を示す。
図6(a)は、従来照明装置で牛肉を照射した場合と基準光で牛肉を照射した場合を比較した結果である。初期状態から4単位時間(本シミュレートでは4日)経過後までの各光源で牛肉を照射した際の色度を示している。初期状態から4単位時間経過後までに、基準光で牛肉を照射した際の色度は+aで約-8.7ポイント、+bで約-6.0ポイント変動している。つまり、初期状態から4単位時間経過するまでに牛肉の鮮度が低下し赤色みや黄色みが弱まったことを示している。
初期状態における、従来光源装置で牛肉を照射した際の色度は、基準光と比較して+aで約+5.0ポイント、+bで約+7.8ポイントの差がある状態となっている。つまり図6(a)に示すように、a2次元座標上において、初期状態では、基準光での色度プロット点より従来光源装置の色度プロット点はa、b共に大きい値となる右上方向に位置することとなる。また、この結果は、初期状態において従来光源装置で牛肉を照射すると、基準光で照射した本来の色味より赤色と黄色が鮮やかに感じ取れ、鮮度良く感じることができることを示している。
4単位時間経過後における、従来光源装置で牛肉を照射した際の色度は、基準光と比較して+aで約+5.8ポイント、+bで約+6.7ポイントの差がある状態となっている。つまり図6(a)に示すように、a2次元座標上において、4単位時間経過後でも、基準光での色度プロット点より従来光源装置の色度プロット点はa、b共に大きい値となる右上方向に位置することとなる。また、この結果は、4単位時間経過後でも、従来光源装置で牛肉を照射すると、基準光で照射した本来の見え方より、鮮度良く感じることができることを示している。
そのため、いずれの時間においても、従来照明装置で牛肉を照射した際は、本来の牛肉の見え方に近い基準光を照射した状態より、赤色みや黄色みが強く見えるため、牛肉を色鮮やかに見えることとなる。この場合、初期状態においては、鮮度の良い牛肉を、さらに色鮮やかに見えるため特段の問題はないが、単位時間が経過し鮮度が低下した際に問題が生じる可能性がある。例えば、初期状態から4単位時間(本シミュレートでは4日)経過した牛肉を従来照明装置で照射した場合の見え方は、初期状態から1単位時間(本シミュレートでは1日)経過した牛肉を基準光で照射した場合とほぼ同等の見え方となる。つまり、4日経過して鮮度が低下しているはずの牛肉を、1日経過相当の鮮度に見せてしまう。そのため、店頭から下げるタイミングを見誤り、客が違和感を持たず鮮度が低下した牛肉を購入してしまう虞がある。そのため、単位時間が経った状態では、目視での見た目と実際の鮮度が釣り合った状態とすることが望ましい。
図6(b)は、照明装置1と基準光を比較した結果である。初期状態から4単位時間経過後までの各光源で牛肉を照射した際の色度を示している。図6(a)で示した従来照明装置で照射した場合と比べて、照明装置1と基準光のプロット点が大きく乖離していないことが確認できる。つまり、照明装置1で牛肉を照射することで、より基準光で牛肉を照射した本来の色味を見せることが可能となる。
初期状態における、照明装置1で牛肉を照射した際の色度は、基準光と比較して+aで約+0.4ポイント、+bで約+1.5ポイントの差がある。つまり図6(b)に示すように、a2次元座標上において、初期状態では、基準光での色度プロット点より照明装置1の色度プロット点はa、b共に大きい値となる右上方向に位置することとなる。またこの結果は、初期状態では、従来光源装置ほどではないが、照明装置1で牛肉を照射すると、基準光で照射した本来の見え方より、鮮度良く感じることができることを示している。
4単位時間経過後における、照明装置1で牛肉を照射した際の色度は、基準光と比較して+aで約+2.7ポイント、+bで約-2.9ポイントの差がある状態となっている。つまり図6(b)に示すように、a2次元座標上において、4単位時間経過後では、基準光での色度プロット点より照明装置1での色度プロット点はaは大きい値、bは小さい値となる右下方向に位置することとなる。またこの結果は、4単位時間経過後では、照明装置1で牛肉を照射すると、基準光で照射した本来の見え方より、赤色は鮮やかに、黄色は鮮やかでないくすんだように感じることができることを示している。
初期状態から4単位時間経過後まで、従来光源装置で牛肉を照射した場合と照明装置1で牛肉を照射した場合とを比較すると、上記の通り、照明装置1で牛肉を照射した方がより基準光に近い牛肉本来の色度を示している。そのため、照明装置1で牛肉を照射した方が牛肉の鮮度低下に伴う色度変化を忠実に表すことができる。よって、照明装置1で牛肉を照射することで、牛肉の鮮度が良い場合は鮮度良く、牛肉の鮮度が悪い場合はそれなりの鮮度が低下した状態を見せる効果が期待できる。
なお本実施形態では、照明装置1で牛肉を照射した場合、単位時間経過後に、基準光での色度プロット点より照明装置1の色度プロット点はaは大きい値、bは小さい値となる右下方向に位置する例を示したが、より好適な実施例としては、基準光での色度プロット点より従来光源装置の色度プロット点がa、b共に小さい値となる左下方向に位置することが望ましい。単位時間経過後のプロット点が基準光でのプロット点より左下方向に位置することで、照射対象である牛肉を基準光で照射したときの色味より悪い色味で見せることが可能となり、より鮮度の変化を認識しやすくなる効果が期待できる。つまり好適な実施例としては、照明装置1で照射対象に照射することで、初期状態においては、a2次元座標上にて基準光源で照射対象を照射した場合のプロット点より右上にプロットされ、単位時間経過後においては、a2次元座標上にて基準光源で照射対象を照射した場合のプロット点より左下にプロットされることが好ましい。
さらに好適な条件としては、照明装置1で照射対象に照射することで、初期状態においては、a2次元座標上にて基準光源で照射対象を照射した場合のプロット点より右上にプロットされる条件に加えて、L値が基準光源で照射した場合よりも大きい値を示すことがなお好ましい。言い換えると、CIE Lの3次元座標空間において、基準光源で照射対象を照射した場合のプロット点より、L値、a値、b値いずれも大きい値となる点に、照明装置1で照射対象に照射した場合のプロット点がプロットされることがなお好ましい。さらに、単位時間経過後においては、照明装置1で照射対象に照射することで、a2次元座標上にて基準光源で照射対象を照射した場合のプロット点より左下にプロットされる条件に加えて、L値が基準光源で照射した場合よりも小さな値を示すことがなお好ましい。こちらも言い換えると、Lの3次元座標空間において、基準光源で照射対象を照射した場合のプロット点より、L値、a値、b値いずれも小さい値となる点に、照明装置1で照射対象に照射した場合のプロット点がプロットされることがなお好ましい。このように、L値の大小も判断条件に加えることによって、鮮度の変化を認識しやすくする効果を高めることが期待できる。
次に、L3次元座標空間でのシミュレーション結果について紹介する。L3次元座標空間では、下記式(1)に示すΔErn、下記式(2)に示すΔEtn、下記式(3)に示すFIでも評価を行う。
Figure 0007268532000001
なお、nは単位時間を示すパラメータであり、任意の正の数が当てはめられても良い。nは単位時間管理のために付与しているため、必ずしも表記の必要はない。つまり評価パラメータとしてはnを表記せず、ΔE、ΔE、FIとして評価を行っても良い。
式(1)~(3)に用いられている、「L」、「a」、「b」はそのままL、a、bの値である。「r」は基準光を示すアルファベットである。ここでの基準光は等エネルギー白色であったり、太陽光であったり、ハロゲン光であったりする。「t」はテスト光を示すアルファベットである。ここでのテスト光とは、照明装置1や従来照明装置から発せられる光である。「0」は初期状態を示す数字である。「n」は単位時間を表すアルファベットであるが、実評価では任意の正の数が当てはめられても良い。
具体的に、式(1)~(3)のパラメータの解説をする。なお以下では、「L〇☆」(〇:rもしくはt、☆:0もしくはnもしくは任意の正の数)を取り上げて解説するが、「a〇☆」「b〇☆」でも同様であり、「L値」の部分が「a値」もしくは「b値」に置き替わるだけである。「Lr0」は「初期状態を基準光で照射した際のL値」を示す。「Lrn」は「n単位時間後を基準光で照射した際のL値」を示す。この「n」に任意の正の数として「1」を当てはめ、「Lr1」とすることで、「1単位時間後を基準光で照射した際のL値」を示すこととなる。「Lt0」は「初期状態をテスト光で照射した際のL値」を示す。「Ltn」は「n単位時間後をテスト光で照射した際のL値」を示す。この「n」に任意の正の数として「2」を当てはめ、「Lt2」とすることで、「2単位時間後を基準光で照射した際のL値」を示すこととなる。
つまり、ΔErnは基準光にて照射対象物を照射した際の、L3次元座標空間における初期状態のプロット点からn単位時間後のプロット点の移動量を表している。同様に、ΔEtnはテスト光にて照射対象物を照射した際の、L3次元座標空間における初期状態のプロット点からn単位時間後のプロット点の移動量を表している。そしてFIはテスト光での移動量と基準光での移動量の差を表している。FIが正の値であれば、基準光よりテスト光で照射対象物を照射した方がL3次元座標空間での移動量が大きいことを示している。つまり、基準光よりテスト光で照射対象物を照射した方が、照射対象物色の変化(つまり鮮度の変化)を人間の目で認識しやすいということを示している。さらにFIの値が大きくなるほどその効果は顕著となる。
3次元座標空間でのシミュレーションを行うにあたって、基準光としては
より実際の使用環境に近い基準光Eを用いた。基準光Eは色温度5456K、Ra95の白色光源である。テスト光としては、図4(a)、(b)に示す、照明装置1と従来照明装置を用いた。光照射対象としては、牛肉を用い、初期状態と単位時間として1日経過後の各パラメータの比較を行った。そのため、以降では状況に応じて先述のパラメータ「n」に「1」を当てはめて表記する。なお以下では、L3次元座標空間での座標を定義し、具体的には、基準光Eで照射した際の座標をE0またはE1、照明装置1で照射した際の座標をH0またはH1、従来照明装置で照射した際の座標をG0またはG1と定義する。座標に付された数字は単位時間を示しており、0は初期状態、1は1単位時間後での座標である。例えば、E0は基準光Eで初期状態の牛肉を照射した際のL3次元座標空間での座標であり、H1は照明装置1で1単位時間後の牛肉を照射した際のL3次元座標空間での座標である。
図9に各条件でのL、a、bの値を示す。初期状態においては、照明装置1で照射した場合、従来照明装置で照射した場合の両方とも、L、a、bいずれの値も基準光で照射した場合より高い値を示している。つまり、基準光Eでの座標E0よりも照明装置1での座標H0と従来照明装置での座標G0の方が上方に存在している。また、L3次元座標空間において、照明装置1での座標H0よりも従来照明装置での座標G0の方が上方に存在している。そのため、初期状態において、基準光で牛肉を照射した場合よりも、照明装置1や従来照明装置で牛肉照射した場合の方が牛肉は鮮やかに見える。
1日後においては、照明装置1で照射した場合は、Lは基準光より高い値を示しているが、a値は基準光より低く、b値は基準光とほぼ同等となっている。また、従来照明装置で照射した場合は、L、a、bいずれの値も基準光で照射した場合より高い値を示している。つまり、L3次元座標空間において、1日後の基準光Eでの座標E1よりも照明装置1での座標H1は下方もしくは左方向(厳密には、b値がほぼ同じであるため、Lの2次元座標では下方、Lの2次元座標では左方、aの2次元座標では左方)に、従来照明装置での座標G1は上方に存在している。そのため、基準光で1日後の牛肉を照射した場合と、照明装置1で1日後の牛肉を照射した場合と、を比べると両者で牛肉の鮮度はほぼ同等のように見える。細かく言うと、照明装置1での座標H1の方が小さい値を示すため、照明装置1で牛肉を照射した方が鮮度が悪いように見える。また、基準光で1日後の牛肉を照射した場合と、従来照明装置で1日後の牛肉を照射した場合と、を比べると従来照明装置で牛肉を照射した場合の方が牛肉は鮮度良く、鮮やかに見える。
図9に示したパラメータで、式(1)で表されるΔEr1、式(2)で表されるΔEt1を算出した場合、ΔEr1=3.4、ΔEt1(照明装置1)=4.4、ΔEt1(従来照明装置)=3.6となる。つまり、L3次元座標空間での初期状態から1日後での座標の移動量は、照明装置1で照射した場合が最も大きく、初期状態から1日後での見た目の色の変動が最も大きいことを示している。
次に、式(3)で表されるFIを算出すると、FI(照明装置1)=1.0、FI(照明装置1)=0.3となり、基準光と比較した移動量が算出される。照射対象の色を適切にみせるには、基準光で照射対象を照射した際の座標の移動量より、座標の移動量が大きくなる光源を用いることが望ましい。そのためFI値が正の値となることが望ましく、さらにFI値の絶対値が大きい値であることがなお望ましい。
また、実際に図4に示した分光分布をもつ照明装置を製作し、初期状態の鮮度の高い牛肉と、単位時間が経過した鮮度の低い牛肉にこれらの照明装置の光を照射し、被験者が確認する試験を行った。結果、図4(a)の分光分布の照明装置で光を照射した場合、鮮度の違いを目視で顕著に確認でき、図4(b)の分光分布の照明装置で光を照射した場合、鮮度が変わっていても目視では違いを捉えにくいという意見が多く、おおよそシミュレーション結果と一致する結果となった。
なお本実施形態における1単位時間は、例えば1日である。対象物(本実施例においては牛肉)は保管・保存される際の温度や湿度などの周囲環境に応じて、鮮度が早く低下したり、遅く低下したりする虞がある。そのため、保管・保存される際の周囲環境によっては、1日より短い単位時間や1日より長い単位時間でも図3(b)に示した分光反射率の割合変動を示す場合もある。
次に第1の変形例を図7に示す。第1の変形例としては、照明装置1に外部から制御用信号を入力する形態ではなく、照明装置1に外部から対象物の情報を入力する形態でも良い。この場合、図7に示すように照明装置1に対象物の情報が入力される処理部70を設ける。外部から送信された対象物の情報を受信部60で受信し、受信部60から処理部70へ対象物の情報を入力する。処理部70では、入力された対象物の情報から制御方法を判断する。その後、処理部70から制御情報が出力され、制御情報を受け取った点灯制御部3が光源部2を制御する。処理部70は、例えば、プロセッサやCPUを備えている。
処理部70へ入力される対象物の情報は、例えば、カメラやセンサで取得された実態画像データや熱画像データなどの画像データであったり、反射率情報、色情報、温度情報、変位情報などの数値データであったりする。カメラやセンサは照明装置1とは別に建物に備え付けられたものであっても良いし、携帯用通信機器に備え付けられたものであっても良い。
処理部70での処理は、対象物の現在データを抽出するステップと、以前に抽出した対象物のデータと比較して差分を計算するステップと、差分が閾値を越えているか判断するステップと、閾値を越えている場合は、閾値を越えた度合い応じて制御方法を判断するステップと、制御情報を出力するステップを備えている。例えば、入力された対象物の情報が実態画像データの場合は、対象物の現在データとして画像データから分光反射率を抽出し、前回取得した分光反射率との差分を計算し、波長ごとに差分が閾値を越えているが判断し、閾値を越えた波長での発光強度を高めるという制御を判断し、制御情報を出力するというステップでも良い。また、入力された対象物の情報が反射率データの場合は、入力された反射率データを現在データとし、前回入力された反射率データとの差分を計算し、波長ごとに差分が閾値を越えているが判断し、閾値を越えた波長の発光強度を高めるという制御を判断し、制御情報を出力するというステップでも良い。
処理部70には、予め対象物と制御方法とが紐付けられたデータが記憶されている記憶部を備えていても良い。その場合、処理部70での処理は、対象物が何でどのような状態か認識するステップと、認識した対象物の状態と記憶部のデータを照合し制御方法を選択するステップと、制御情報を出力するステップとなっても良い。この時、制御方法としては、時間ごとの出力変化が記憶されていても良いし、単純に出力変化のみが記憶されていても良い。また、処理部70がクラウドサーバーと接続し、クラウドサーバー上でデータを検索し照合する構成でも良い。
処理部70から出力される制御情報は、例えば、制御用信号そのものであったり、制御に必要な通信データであったりする。
また、受信部60と処理部70は一体に形成されても良いし、点灯制御部3に受信部60と処理部70の機能を持たせていても良い。さらに、処理部70での処理はクラウドサーバー上で行われても良い。この場合、照明装置1の構成は図1に示す構成でも良く、処理部70は配設されなくても良い。対象物の情報は直接クラウドサーバーへ送信され、クラウドサーバーにて処理を行い、制御情報を照明装置1へ送信する。制御情報は受信部60で受け取り、その後、制御情報を受け取った点灯制御部3が光源部2を制御する。
次に第2の変形例を図8に示す。第2の変形例としては、照明装置1に外部から信号や情報を入力する形態ではなく、照明装置1で対象物の情報を取得する形態でも良い。この場合、図8に示すように照明装置1に対象物の情報を取得する取得部80を設ける。取得部80で取得された対象物の情報は処理部70へ入力される。処理部70では、入力された対象物の情報から制御方法を判断する。その後、処理部70から制御情報が出力され、制御情報を受け取った点灯制御部3が光源部2を制御する。
取得部80は、例えば、カメラやセンサを備えており、実態画像データや熱画像データなどの画像データや、反射率情報、色情報、温度情報、変位情報などの数値データを取得する。
また、取得部80と処理部70は一体に形成されても良いし、点灯制御部3に取得部80と処理部70の機能を持たせていても良い。さらに、第1の変形例と第2の変形例2の両方に対応できるように、受信部60と取得部80両方とも備える形態としても良い。また、第2の変形例においても、処理部70での処理はクラウドサーバー上で行われても良い。一度、クラウドサーバー上に対象物の情報を上げることで、対象物の情報蓄積や監視を円滑に行うことができたり、複数の照明装置に同じ制御情報を渡して複数台から同じ光を照射したりすることが可能となる。また、クラウドサーバー上に対象物の情報を集めることで処理を学習させ、より適切な照明制御を提供することも可能となる。
さらに、照明装置1は光源装置2を複数種類搭載していても良い。この場合、個々の光源装置2はそれぞれ異なった対象物に対応する第1スペクトルを有しており、照明装置1としては複数の対象物に照射対応できる形態とする。この場合は、照射対象物の情報が入力される処理部70を照明装置1もしくはネットワーク上に備えており、処理部70で照射対象物を判断後、照射対象物に対応する第1スペクトルを照射するような制御を行っても良い。
次に、第1の変形例を焼肉屋で用いた場合を説明する。網にのせた牛肉の写真を、例えばスマートフォンのカメラで撮影し、照明装置1へ送信する。照明装置1では、受信した写真を元に、焼き上がりの状態に合わせた照明制御を行う。例えば、表面を軽く焼くような肉であれば焼き上がりの赤みが強調されるような制御を、じっくり焼くような肉であればコントラストをはっきりさせ焦げつく前に認識させる制御を行う。
次に、第2の変形例をスーパーマーケットで用いた場合を説明する。なお、対象物の情報としては反射率を取得する例を示す。まず牛肉の陳列が完了した段階で照明装置1が対象物の反射率を初期データとして取得する。この時、初期データを参照し、牛肉を鮮やかに見せる照明制御を行っても良い。また、初期データとしては、記憶部やクラウドサーバー上にあるデータを用いる形態でも良い。そして、単位時間(例えば1時間)ごとに、照明装置1で対象物の反射率を取得し、前単位時間にて取得した反射率との差分を計算する。その後、波長ごとに反射率の差分が閾値を越えているが判断し、閾値を越えている波長が存在しない場合は照明制御の変更は行わない。閾値を越えた波長が存在する場合は、閾値を越えた波長での発光強度を高めるという照明制御が行われる。この照明制御によって時間を経て鮮度が低下した牛肉を目視で認識しやすくなるため、客が鮮度を低下した牛肉を購入するという事態を防ぐことでき、また店においても鮮度が低下した牛肉を陳列対象から外すことができる。
このとき、照明装置1はピーク波長が680nm以上の第4光源を備え、初期状態において第4光源を点灯し、経時的に第4光源の出力を低くしていくような制御を行っても良い。第4光源は、図3(a)に示すように、牛肉の反射率が高い領域の光を照射する光源である。そのため初期状態においては、第4光源を点灯することで、牛肉を鮮やかに見せることができる。その後、初期状態から時間が経ち牛肉の鮮度が落ちた状態では、牛肉を鮮やかに見せる必要は薄れるため、第4光源の出力を低くするもしくは出力を0にする。これにより、初期状態では購買意欲を高める光を、鮮度が低下した状態では鮮度が低下した状態を見せる光を適切に照射することができる。
本実施形態では対象物として食料品であり特に牛肉を選択し説明を行ったが、本実施形態に限定されるものではない。例えば、牛肉ではなく豚肉、鶏肉などでも同様の効果は期待できるし、食品ではなく塗料が塗られた構造物を対象物として照射しても良い。塗料が塗られた構造物の場合、初期状態から単位時間を経るごとに塗料が劣化して外観が損なわれるだけでなく、例えば防水性能が低下してしまう虞がある。本実施形態で示した照明装置で構造物を照射することにより、塗料が劣化したことを適切に認識させることも可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 照明装置
2 光源装置
3 点灯制御部
10 第1光源
20 第2光源
30 第3光源
40 電源装置
50 制御部

Claims (5)

  1. 波長に対する分光反射率が相対的に高い第1の波長領域を有するとともに経時的に波長に対する分光反射率が変動する対象物を照射する照明装置であって、
    前記第1の波長領域であって前記対象物における経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きい第2の波長領域に第1ピークを有する第1スペクトルを有する光源を備え、
    前記第1ピークにおける半値幅は前記第2の波長領域の幅より狭いことを特徴とする照明装置。
  2. 前記光源は、前記対象物における経時的な分光反射率の上昇量が相対的に大きい第3の波長領域に第2ピークを含み、
    前記第2ピークにおける半値幅は前記第3の波長領域の幅より狭いことを特徴とする請求項1記載の照明装置。
  3. 複数の対象物に対応する第1スペクトルをそれぞれ有する複数の光源を備える請求項1に記載の照明装置と;
    前記対象物の情報が入力される処理部と;をさらに備え、
    前記処理部に入力される対象物の情報に基づき、前記対象物に対応する第1スペクトルを有する光源を制御することを特徴とした照明システム。
  4. 波長に対する分光反射率が相対的に高い第1の波長領域を有するとともに経時的に波長に対する分光反射率が変動する対象物を照射する照明方法であって、
    対象物の情報を処理部に入力するステップと;
    前記処理部に入力される対象物の情報に基づき、前記第1の波長領域であって前記対象物における経時的な分光反射率の低下量が相対的に大きい第2の波長領域に第1ピークを有する第1スペクトルを有し、かつ、前記第1ピークにおける半値幅は前記第2の波長領域の幅よりも狭い光源で前記対象物に光を照射するステップと;
    を含む照明方法。
  5. 初期状態の前記対象物に対して、CIE L色空間においてL≧41.0、a≧23.5、b≧16.5を満たす光を照射し、かつ、分光反射率変動後の前記対象物に対して、CIE L色空間においてL≦39.0、a≦20.7、b≦16.5を満たす光を照射することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。

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