以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態に係る蓄電装置について説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、製造工程、製造工程の順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、寸法等は厳密に図示したものではない。
また、以下の説明及び図面中において、1つの蓄電ユニットにおける複数の蓄電素子の並び方向、複数のスペーサの並び方向、一対のエンド部材の並び方向、蓄電素子とスペーサとエンド部材との並び方向、1つの蓄電素子の容器における一対の長側面の対向方向、または、蓄電素子、スペーサ若しくはエンド部材の厚み方向を、X軸方向と定義する。1つの蓄電ユニットにおける一対のサイド部材の並び方向、蓄電素子とサイド部材との並び方向、1つの蓄電素子における一対の電極端子の並び方向、または、1つの蓄電素子の容器における一対の短側面の対向方向を、Y軸方向と定義する。複数の蓄電ユニットの並び方向、蓄電ユニットと電気機器との並び方向、1つの蓄電ユニットにおける蓄電素子とバスバー保持部材とバスバーとの並び方向、1つの蓄電素子の容器における容器本体と蓋との並び方向、または、上下方向を、Z軸方向と定義する。これらX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向は、互いに交差(本実施の形態では直交)する方向である。なお、使用態様によってはZ軸方向が上下方向にならない場合も考えられるが、以下では説明の便宜のため、Z軸方向を上下方向として説明する。
また、以下の説明において、例えば、X軸プラス方向とは、X軸の矢印方向を示し、X軸マイナス方向とは、X軸プラス方向とは反対方向を示す。Y軸方向及びZ軸方向についても同様である。さらに、平行及び直交などの、相対的な方向または姿勢を示す表現は、厳密には、その方向または姿勢ではない場合も含む。例えば、2つの方向が直交している、とは、当該2つの方向が完全に直交していることを意味するだけでなく、実質的に直交していること、すなわち、例えば数%程度の差異を含むことも意味する。
(実施の形態)
[1 蓄電装置1の全般的な説明]
まず、蓄電装置1の構成について、説明する。図1は、本実施の形態に係る蓄電装置1の外観を示す斜視図である。図2は、本実施の形態に係る蓄電装置1を複数の蓄電ユニット10に分解した場合の構成を示す分解斜視図である。
蓄電装置1は、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電することができる装置であり、本実施の形態では、略直方体形状を有している。例えば、蓄電装置1は、電力貯蔵用途や電源用途等に使用される電池モジュール(組電池)である。具体的には、蓄電装置1は、例えば、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、プラグインハイブリッド電気自動車(PHEV)若しくはガソリン自動車等の自動車、自動二輪車、ウォータークラフト、スノーモービル、農業機械、建設機械、または、電車、モノレール若しくはリニアモーターカー等の電気鉄道用の鉄道車両等の移動体の駆動用またはエンジン始動用等のバッテリ等として用いられる。また、蓄電装置1は、家庭用または発電機用等に使用される定置用のバッテリ等としても用いることができる。
図1及び図2に示すように、蓄電装置1は、3つの蓄電ユニット10(第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13)と、電気機器20と、を備えている。また、蓄電装置1は、これら蓄電ユニット10等を収容する外装体(モジュールケース)、及び、外部からの電気を充電し、また外部へ電気を放電する外部端子等も備えているが、これらの図示及び詳細な説明は省略する。
蓄電ユニット10は、蓄電装置1を構成する略直方体形状(箱形)の単位モジュール(組電池)であり、Z軸方向に、3つの蓄電ユニット10である第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13が連結されて配置されている。つまり、第一蓄電ユニット11のZ軸マイナス方向側に第二蓄電ユニット12が配置され、第二蓄電ユニット12のZ軸マイナス方向側に第三蓄電ユニット13が配置されている。具体的には、第一蓄電ユニット11は、第二蓄電ユニット12に載置されて第二蓄電ユニット12と接続(連結)され、第二蓄電ユニット12は、第三蓄電ユニット13に載置されて第三蓄電ユニット13と接続(連結)されている。
例えば、これら3つの蓄電ユニット10のうちの隣り合う蓄電ユニット10同士が電気的に接続されることで、3つの蓄電ユニット10が直列接続されている。なお、これら3つの蓄電ユニット10は、並列接続されていてもよいし、その接続形態は特に限定されない。この3つの蓄電ユニット10(第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13)の詳細な構成についての説明は、後述する。
電気機器20は、蓄電ユニット10の状態を監視したり蓄電ユニット10の充放電を制御したりするための電気品であり、第一蓄電ユニット11のZ軸プラス方向側に配置されている。具体的には、電気機器20は、第一蓄電ユニット11に載置されて、第一蓄電ユニット11に接続(固定)されている。
電気機器20は、載置台21と、電気部品22と、基板23と、を有している。載置台21は、電気部品22及び基板23等が載置されて、上面にこれらが固定される板状部材である。載置台21は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の材料、または、樹脂材料等で形成されている。電気部品22は、ブレーカ、リレー、シャント抵抗等の電気部品である。基板23は、3つの蓄電ユニット10の充電状態及び放電状態等を集中監視するための電子部品等(図示せず)が実装された回路基板である。基板23には、コネクタ24が設けられており、コネクタ24を介して、蓄電ユニット10に接続された電線(電圧計測用の電線、及び、温度計測用の電線等)と接続されている。このように、3つの蓄電ユニット10のそれぞれが基板等の電気機器を個別に有するのではなく、蓄電装置1が1つの電気機器20を有している構成であるので、省スペース化を図ることができている。
[2 蓄電ユニット10の構成の説明]
次に、図3も用いて、蓄電ユニット10の構成について、詳細に説明する。なお、3つの蓄電ユニット10(第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13)は、全て同様の構成を有しているため、以下では、1つの蓄電ユニット10について説明する。図3は、本実施の形態に係る蓄電ユニット10を分解した場合の各構成要素を示す分解斜視図である。
図2及び図3に示すように、蓄電ユニット10は、複数の蓄電素子100と、複数のスペーサ200と、一対のエンド部材300と、一対のサイド部材400と、バスバー保持部材500と、複数のバスバー600と、カバー部材700と、を備えている。
蓄電素子100は、電気を充電し、また、電気を放電することのできる二次電池(単電池)であり、より具体的には、リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池である。蓄電素子100は、扁平な直方体形状(角形)の形状を有しており、スペーサ200に隣接して配置されている。つまり、複数の蓄電素子100のそれぞれが、複数のスペーサ200のそれぞれと交互に配置され、X軸方向に並べられている。本実施の形態では、20個の蓄電素子100のそれぞれを挟む位置に、21個のスペーサ200がそれぞれ配置されている。
具体的には、蓄電素子100は、容器110と、一対(正極側及び負極側)の電極端子120と、を備えている。また、容器110の内方には、電極体、一対の集電体、一対のガスケット、及び、電解液(非水電解質)等が収容されているが、これらの図示は省略する。なお、当該電解液としては、蓄電素子100の性能を損なうものでなければその種類に特に制限はなく、様々なものを選択することができる。また、集電体の側方等にスペーサが配置されていてもよいし、容器110の外面を覆う絶縁シートが配置されていてもよい。
容器110は、開口が形成された容器本体と、容器本体の開口を閉塞する蓋体とを有する直方体形状(角形)の容器である。容器本体は、容器110の本体部を構成する矩形筒状で底を備える部材であり、Y軸方向両側の側面に一対の長側面部を有し、X軸方向両側の側面に一対の短側面部を有し、Z軸マイナス方向側に底面部を有している。蓋体は、容器110の蓋部を構成する矩形状の板状部材であり、容器本体のZ軸プラス方向側に配置されている。蓋体には、容器110内方の圧力が上昇した場合に当該圧力を開放するガス排出弁、及び、容器110内方に電解液を注液するための注液部等も設けられている。このような構成により、容器110は、電極体等を容器本体の内方に収容後、容器本体と蓋体とが溶接等によって接合されることにより、内部が密封される構造となっている。なお、容器110の材質は特に限定されないが、例えばステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄、メッキ鋼板など溶接可能(接合可能)な金属であるのが好ましい。
なお、蓄電素子100の個数は20個には限定されず、20個以外の複数個であってもよいし、1個であってもよい。また、蓄電素子100の形状は、特に限定されず、直方体形状以外の多角柱形状、円柱形状、楕円柱形状、長円形柱形状等、どのような形状であってもよいし、ラミネート型の蓄電素子とすることもできる。また、蓄電素子100は、非水電解質二次電池には限定されず、非水電解質二次電池以外の二次電池であってもよいし、キャパシタであってもよい。また、蓄電素子100は、二次電池ではなく、使用者が充電をしなくても蓄えられている電気を使用できる一次電池であってもよい。さらに、蓄電素子100は、固体電解質を用いた電池であってもよい。
また、以下では、第一蓄電ユニット11が有する蓄電素子100を第一蓄電素子101(図示せず)とも呼び、第二蓄電ユニット12が有する蓄電素子100を第二蓄電素子102(図示せず)とも呼び、第三蓄電ユニット13が有する蓄電素子100を第三蓄電素子103(図示せず)とも呼ぶ。
電極端子120は、容器110の蓋体に配置される蓄電素子100の端子(正極端子及び負極端子)であり、集電体を介して、電極体の正極板及び負極板に電気的に接続されている。つまり、電極端子120は、電極体に蓄えられている電気を蓄電素子100の外部空間に導出し、また、電極体に電気を蓄えるために蓄電素子100の内部空間に電気を導入するための金属製の部材である。電極端子120は、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金などで形成されている。
電極体は、正極板と負極板とセパレータとが積層されて形成された蓄電要素(発電要素)である。電極体が有する正極板は、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である正極基材層上に正極活物質層が形成されたものである。また、負極板は、銅または銅合金などの金属からなる長尺帯状の集電箔である負極基材層上に負極活物質層が形成されたものである。また、正極活物質層に用いられる正極活物質、負極活物質層に用いられる負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵放出可能なものであれば、適宜公知の材料を使用できる。また、集電体は、電極端子120と電極体とに電気的に接続される導電性と剛性とを備えた部材(正極集電体及び負極集電体)である。なお、正極集電体は、正極板の正極基材層と同様、アルミニウムまたはアルミニウム合金などで形成され、負極集電体は、負極板の負極基材層と同様、銅または銅合金などで形成されている。ガスケットは、蓋体と電極端子120及び集電体との間に配置され、蓋体と電極端子120及び集電体との間の絶縁性及び気密性を確保するための絶縁部材である。
スペーサ200は、蓄電素子100の側方(X軸プラス方向またはX軸マイナス方向)に配置され、蓄電素子100と他の部材とを絶縁する矩形状かつ板状のスペーサである。具体的には、スペーサ200は、隣り合う2つの蓄電素子100の間、及び、端部の蓄電素子100とエンド部材300との間に配置され、当該2つの蓄電素子100の間、及び、端部の蓄電素子100とエンド部材300との間を絶縁する。なお、本実施の形態では、20個の蓄電素子100に対応して21個のスペーサ200が配置されているが、蓄電素子100の個数が20個以外の場合には、スペーサ200の個数も蓄電素子100の個数に応じて適宜変更される。
スペーサ200は、例えば、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリフェニレンエーテル(PPE(変性PPEを含む))、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ABS樹脂、または、それらの複合材料等の絶縁性の樹脂材料等で形成されている。
エンド部材300及びサイド部材400は、複数の蓄電素子100の並び方向(X軸方向)において、蓄電素子100を外方から圧迫(拘束)する拘束部材である。つまり、エンド部材300及びサイド部材400は、複数の蓄電素子100を当該並び方向の両側から挟み込むことで、複数の蓄電素子100に含まれるそれぞれの蓄電素子100を当該並び方向の両側から圧迫(拘束)する。
具体的には、エンド部材300は、複数の蓄電素子100のX軸方向両側に配置され、複数の蓄電素子100を、当該複数の蓄電素子100の並び方向(X軸方向)の両側から挟み込んで保持する扁平なブロック状のエンドプレート(挟持部材)である。エンド部材300は、強度確保の観点等から、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の材料で形成されている。なお、エンド部材300の材質は特に限定されず、例えば強度の高い絶縁性の材料で形成されていてもよいし、絶縁処理が施されていたりしていてもよい。また、エンド部材300は、ブロック状のエンドプレートではなく、板状のエンドプレート等であることにしてもよい。
ここで、一対のエンド部材300のうち、X軸プラス方向側のエンド部材300を、第一エンド部材301とも呼び、X軸マイナス方向側のエンド部材300を、第二エンド部材302とも呼ぶ。つまり、第一エンド部材301及び第二エンド部材302は、X軸方向において蓄電素子100を挟む位置に配置されて蓄電素子100を拘束する部材である。これら一対のエンド部材300(第一エンド部材301及び第二エンド部材302)の構成の詳細な説明については、後述する。
サイド部材400は、両端がエンド部材300に取り付けられて、複数の蓄電素子100を拘束する長尺状かつ平板状のサイドプレート(拘束バー)である。つまり、サイド部材400は、複数の蓄電素子100及び複数のスペーサ200を跨ぐようにX軸方向に延設されて配置され、当該複数の蓄電素子100等に対してこれらの並び方向(X軸方向)における拘束力を付与する。本実施の形態では、当該複数の蓄電素子100等のY軸方向両側方に、一対のサイド部材400が配置されている。そして、当該一対のサイド部材400のそれぞれが、X軸方向両端部において、一対のエンド部材300のY軸方向端部に取り付けられている。これにより、一対のサイド部材400は、当該複数の蓄電素子100等をX軸方向の両側及びY軸方向の両側から挟み込んで拘束する。
また、サイド部材400は、Z軸方向に並ぶ複数の接合部材410によって、エンド部材300に接合されている。本実施の形態では、接合部材410は、サイド部材400を貫通してエンド部材300に締結されるボルトである。つまり、エンド部材300には、接合部材410が挿入されるネジ孔が形成されており、当該ネジ孔に接合部材410が螺合することで、サイド部材400がエンド部材300に接合される。また、サイド部材400は、エンド部材300と同様に、強度確保の観点等から、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、鉄、メッキ鋼板等の金属製の材料で形成されているが、例えば強度の高い絶縁性の部材で形成されていてもよいし、絶縁処理が施されていたりしていてもよい。また、サイド部材400は、板状のサイドプレートではなく、ブロック状または棒状の部材等であることにしてもよい。
バスバー保持部材500は、バスバー600を保持し、バスバー600と他の導電部材との絶縁、及び、バスバー600の位置規制を行うことができる矩形状かつ板状の部材(バスバープレート、バスバーフレーム)である。バスバー保持部材500は、例えば、PC、PP、PE等のスペーサ200と同様の絶縁性の樹脂材料等で形成されている。
また、バスバー保持部材500のX軸プラス方向側の端部には、後述の第一電線40が挿通される開口部510が形成されている。開口部510は、バスバー保持部材500のX軸プラス方向側の端部を、Z軸マイナス方向に矩形状に切り欠いた切り欠きである。バスバー保持部材500のX軸マイナス方向側の端部には、後述の第二電線50が挿通される開口部520が形成されている。開口部520は、バスバー保持部材500のX軸マイナス方向側の端部を、Z軸マイナス方向に矩形状に切り欠いた切り欠きである。なお、開口部510及び520の形状は、特に限定されず、どのような形状に切り欠いた切り欠きであってもよいし、切り欠きではなく貫通孔であってもよい。
バスバー600は、複数の蓄電素子100上に配置され、複数の蓄電素子100の電極端子120同士を電気的に接続する導電性の板状部材である。バスバー600は、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、銅合金等の金属製の導電部材で形成されている。本実施の形態では、バスバー600は、隣り合う蓄電素子100の正極端子と負極端子とを順に接続することで、複数の蓄電素子100を直列に接続している。なお、蓄電素子100の接続形態は特に限定されず、いずれかの蓄電素子100が並列接続されていることにしてもよい。また、端部に配置されるバスバー600(図3のバスバー610)には、第一電線40が接続され、第一電線40は、上述の開口部510を通って、他の蓄電ユニット10、または、蓄電装置1の外部端子に接続される。この第一電線40の配線等についての詳細な説明は、後述する。
カバー部材700は、バスバー保持部材500及びバスバー600のZ軸プラス方向側に配置される矩形状かつ板状の部材である。具体的には、カバー部材700は、バスバー600の上方を覆うように配置され、バスバー600と他の導電部材とを絶縁する絶縁カバーである。つまり、カバー部材700は、バスバー保持部材500とでバスバー600を挟み込んで、バスバー600が他の導電部材と接触するのを回避する。カバー部材700は、例えば、PC、PP、PE等のスペーサ200やバスバー保持部材500等と同様の絶縁性の樹脂材料等で形成されている。
また、カバー部材700のX軸マイナス方向側の端部には、第二電線50が挿通される開口部710が形成されている。開口部710は、カバー部材700のX軸マイナス方向側の端部を、X軸プラス方向に矩形状に切り欠いた切り欠きである。なお、開口部710の形状は、特に限定されず、どのような形状に切り欠いた切り欠きであってもよいし、切り欠きではなく貫通孔であってもよい。第二電線50は、開口部520及び開口部710を通って、上述の電気機器20の基板23に設けられたコネクタ24に接続される。この第二電線50の配線等についての詳細な説明は、後述する。
[3 エンド部材300の構成の説明]
次に、エンド部材300(第一エンド部材301及び第二エンド部材302)の構成について、詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係るエンド部材300(第一エンド部材301及び第二エンド部材302)の構成を示す斜視図である。具体的には、図4の(a)は、図3における第一エンド部材301の構成、または、第二エンド部材302をZ軸まわりに180°回転させた場合の構成を示す斜視図である。図4の(b)は、図4の(a)のエンド部材300を下方(Z軸マイナス方向)から見た場合の構成を示す斜視図である。なお、第一エンド部材301と第二エンド部材302とは、Z軸まわりに180°回転させた場合に同じ構成を有するため、同じ図で示している。
図4に示すように、エンド部材300は、本体部310と、2つの第一接続部320とを有している。また、本体部310には、接続部間凹部330と、第一端部凹部340と、第二端部凹部350と、第一中央凹部360と、第二中央凹部370と、2つの第二接続部380とが形成されている。
本体部310は、エンド部材300の本体を構成する部位であり、本実施の形態では、Y軸方向に長くX軸方向に薄い直方体形状を有している。第一接続部320は、他の蓄電ユニット10が有するエンド部材300と接続される部位である。具体的には、第一接続部320は、他の蓄電ユニット10と凹凸嵌合構造で着脱自在に接続される部位である。本実施の形態では、第一接続部320は、本体部310からZ軸プラス方向に突出する円柱形状を有しており、2つの第一接続部320がY軸方向に並んで配置されている。
接続部間凹部330は、2つの第一接続部320の間に配置される凹部である。具体的には、接続部間凹部330は、本体部310のZ軸プラス方向側の端部のY軸方向中央部が、Z軸マイナス方向に向けて矩形状に凹んだ凹部である。第一端部凹部340は、Y軸マイナス方向側の第一接続部320のY軸マイナス方向側に配置される凹部である。具体的には、第一端部凹部340は、本体部310のZ軸プラス方向側の端部のY軸マイナス方向側の部位が、Z軸マイナス方向に向けて矩形状に凹んだ凹部である。第二端部凹部350は、Y軸プラス方向側の第一接続部320のY軸プラス方向側に配置される凹部である。具体的には、第二端部凹部350は、本体部310のZ軸プラス方向側の端部のY軸プラス方向側の部位が、Z軸マイナス方向に向けて矩形状に凹んだ凹部である。
第一中央凹部360は、蓄電装置1が備える電線が配置される凹部であり、エンド部材300の中央部に形成されている。具体的には、第一中央凹部360は、本体部310のY軸方向中央部において、Z軸方向に延設されて配置される、X軸マイナス方向に矩形状に凹んだ凹部である。
さらに具体的には、本体部310のY軸方向中央部に形成されたZ軸方向に延びる凹部が、壁部360aによって仕切られることで、Z軸方向に延設される2つの第一中央凹部360がY軸方向に並んだ構成となっている。つまり、この2つの第一中央凹部360のうちのいずれかの第一中央凹部360に、電線が配置される。なお、第一中央凹部360のZ軸方向における両端部はZ軸方向に向けて開口しており、これにより、電線を、第一中央凹部360をZ軸方向に貫通するように配置することができる。このように、第一中央凹部360は、壁部360aによって仕切られることで、Z軸方向に貫通する2つの電線の通路(第一通路及び第二通路)を形成している。なお、第一中央凹部360は、複数の壁部360aによって仕切られることで、さらに多くの電線の通路を形成していてもよい。
壁部360aは、第一中央凹部360の底面部(X軸マイナス方向側の壁面部)からX軸プラス方向に突出し、かつ、Z軸方向に延設される板状の部位であり、X軸プラス方向に向かうほどY軸方向の幅(厚み)が小さくなるテーパ形状を有している。つまり、壁部360aは、Y軸方向両側の側面に、X軸プラス方向に向かうほど互いに近付く方向に傾斜する2つの側面部363aを有している。この側面部363aは、第一中央凹部360の側面部でもある。このため、側面部363aは、第一中央凹部360の底面部からX軸プラス方向に向かうほど、第一中央凹部360の開口(X軸プラス方向に向く開口)がY軸方向に広がるように傾斜している、とも言える。つまり、壁部360aは、第一中央凹部360の側面部であって、第一中央凹部360の底面部から遠ざかるほど第一中央凹部360の開口が広がるように傾斜した側面部363aを有している。
なお、第一中央凹部360の側面(壁部360aの側面部363a等)のX軸プラス方向側の端部には、第一中央凹部360の内方に突出する突起が形成されていてもよい。この突起により、第一中央凹部360内に電線が配置された場合に、当該電線がX軸プラス方向側へはみ出るのを抑制することができる。
また、第一中央凹部360の底面部には、リブ360bが配置されている。リブ360bは、第一中央凹部360の底面部(X軸マイナス方向側の壁面部)において、X軸プラス方向に突出し、かつ、Y軸方向及びZ軸方向に延設される格子状のリブである。リブ360bは、壁部360aのX軸マイナス方向側に配置されている。つまり、リブ360bは、壁部360aよりもX軸プラス方向への突出量が小さい突出部である。言い換えると、リブ360bがX軸プラス方向へさらに突出したものが、壁部360aである。
第二中央凹部370は、蓄電装置1が備える電線に接続されるコネクタが配置される凹部である。具体的には、第二中央凹部370は、本体部310のZ軸方向中央部、かつ、第一中央凹部360のY軸プラス方向側において、X軸マイナス方向に凹んだ凹部である。また、第二中央凹部370は、第一中央凹部360と接続されている。つまり、第一中央凹部360と第二中央凹部370とで、空間が遮られずに連続したT字状の凹部が形成されている。また、第二中央凹部370のY軸プラス方向側には、Z軸方向中央部からZ軸プラス方向側の端部まで延びる凹部が形成されており、この凹部と第二中央凹部370とで、空間が遮られずに連続したL字状の凹部が形成されている。蓄電素子100の電極端子120は、Y軸方向の端部寄りに配置されているため、このようなL字状の凹部が形成されることで、第一電線40の長さを短くすることができる。
なお、第二中央凹部370のZ軸プラス方向側の壁及びZ軸マイナス方向側の壁には、X軸マイナス方向に切り欠いた切り欠きが形成されている。この切り欠きは、例えば、以下の用途で使用される。後述のコネクタ30が例えばZ軸方向両側の面に突起を有していてもよく、この場合、コネクタ30の当該突起が上記切り欠きに嵌まり込むことで、コネクタ30が第二中央凹部370に取り付けられる。
第二接続部380は、他の蓄電ユニット10が有するエンド部材300と接続される部位である。具体的には、第二接続部380は、本体部310のZ軸マイナス方向側の端部に形成された円形状の凹部であり、2つの第二接続部380がY軸方向に並んで配置されている。さらに具体的には、この2つの第二接続部380は、Z軸方向において、第一接続部320と対向する位置に配置されている。これにより、第二接続部380には、他の蓄電ユニット10が有するエンド部材300の第一接続部320が挿入されて、第一接続部320と第二接続部380とが嵌合し、蓄電ユニット10同士が接続される。このようにして、蓄電ユニット10同士が、凹凸嵌合構造で着脱自在に接続される。
ここで、上述の通り、本実施の形態では、部品を共通化して製造コストの低減等を図るために、第一エンド部材301と第二エンド部材302とは、同じ形状を有している。つまり、第一エンド部材301及び第二エンド部材302は、エンド部材300と同じ形状を有しており、エンド部材300が有する各構成要素を有している。
このため、第一エンド部材301の本体部310、第一接続部320、接続部間凹部330、第一端部凹部340、第二端部凹部350、第一中央凹部360、壁部360a、リブ360b、第二中央凹部370及び第二接続部380を、本体部311、第一接続部321、接続部間凹部331、第一端部凹部341、第二端部凹部351、第一中央凹部361、壁部361a、リブ361b、第二中央凹部371及び第二接続部381とも呼ぶ。また、第二エンド部材302の本体部310、第一接続部320、接続部間凹部330、第一端部凹部340、第二端部凹部350、第一中央凹部360、壁部360a、リブ360b、第二中央凹部370及び第二接続部380を、本体部312、第一接続部322、接続部間凹部332、第一端部凹部342、第二端部凹部352、第一中央凹部362、壁部362a、リブ362b、第二中央凹部372及び第二接続部382とも呼ぶ。なお、第一エンド部材301の第一中央凹部361は、第一凹部の一例であり、第一エンド部材301の第二中央凹部371は、第二凹部の一例であり、第二エンド部材302の第一中央凹部362は、第三凹部の一例である。
このような構成のエンド部材300は、例えば、鋳造(ダイカスト)によって作製することができる。
[4 エンド部材300への電線の配線の説明]
次に、エンド部材300への電線の配線について、説明する。具体的には、第一エンド部材301への第一電線40の配線、及び、第二エンド部材302への第二電線50の配線について、詳細に説明する。図5は、本実施の形態に係る第一エンド部材301への第一電線40の配線の構成を示す斜視図である。具体的には、図5は、3つの蓄電ユニット10(第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13)が有する第一エンド部材301への第一電線40の配線の構成を示す斜視図である。図6は、本実施の形態に係る第二エンド部材302への第二電線50の配線の構成を示す斜視図である。具体的には、図6は、当該3つの蓄電ユニット10が有する第二エンド部材302への第二電線50の配線の構成を示す斜視図である。なお、3つの蓄電ユニット10は、当接して配置されるが、図5及び図6では、説明の便宜のため、3つの蓄電ユニット10を離間して図示している。図7及び図8は、本実施の形態に係る第一エンド部材301の第一中央凹部361内に第一電線40(電線44a及び44d)を配置した状態を示す上面図(電線44a、44d等は断面図)である。
まず、図5に示すように、蓄電装置1は、第一電線40と、第一電線40に接続されるコネクタ30と、を備えている。本実施の形態では、第一電線40は、蓄電装置1が備える蓄電素子100の充放電による電流(主電流)が流れる電源線である。つまり、第一電線40は、それぞれの蓄電ユニット10が有する蓄電素子100に接続される電源線を有している。具体的には、第一電線40は、第一蓄電ユニット11が有する第一蓄電素子101に、バスバー610を介して接続される電源線である電線41a及び41bを有している。また、第一電線40は、第二蓄電ユニット12が有する第二蓄電素子102に、バスバー610を介して接続される電源線である電線42a及び42bを有している。また、第一電線40は、第三蓄電ユニット13が有する第三蓄電素子103に、バスバー610を介して接続される電源線である電線43a及び43bを有している。さらに、第一電線40は、電線41a、41b、42a、42b、43a及び43bがコネクタ30を介して接続される電源線である電線44a、44b、44c及び44dも有している。
コネクタ30は、それぞれの蓄電ユニット10に接続された第一電線40を接続するためのコネクタであり、コネクタ31a及び31b、32a及び32b、並びに、33a及び33bを有している。コネクタ31a及び31bは、第一電線40のうちの電線41a及び41bと電線44a及び44bとを接続するコネクタである。コネクタ32a及び32bは、電線42a及び42bと電線44b及び44cとを接続するコネクタである。コネクタ33a及び33bは、電線43a及び43bと電線44c及び44dとを接続するコネクタである。
このような構成において、第一エンド部材301の第一中央凹部361(第一凹部)は、第一エンド部材301の中央部に形成されており、第一中央凹部361には、第一電線40が配置される。また、第一エンド部材301の第二中央凹部371(第二凹部)には、コネクタ30が配置される。つまり、コネクタ30は、第一エンド部材301の中央部寄りに配置される。これにより、電線の配線作業の作業性を向上させることができる。つまり、第一電線40の引き出し口である第二端部凹部351の近くにコネクタ30を配置する場合は、第二端部凹部351からコネクタ30までの電線長が短くなるために、コネクタ配置の作業性が悪くなることがある。これに対し、コネクタ30を、第一エンド部材301の中央部寄りの第二中央凹部371に配置すれば、第二端部凹部351からコネクタ30までの電線が長くなるため、コネクタ30の取り回しに余裕ができ、コネクタ配置の作業性がよくなる。なお、第一電線40は、第一中央凹部361に着脱可能に配置され、コネクタ30は、第二中央凹部371に着脱可能に配置される。
具体的には、蓄電装置1の例えば正極側の外部端子(図示せず)に接続された電線44aは、コネクタ31bに接続され、コネクタ31aを介して、電線41aに接続されている。コネクタ31aに接続された電線41aは、第一蓄電ユニット11において、第一エンド部材301の第二端部凹部351内に配置されて、かつ、バスバー保持部材500の開口部510を通り、第一蓄電ユニット11の第一蓄電素子101の正極端子に接続されている。そして、第一蓄電ユニット11において、第一蓄電素子101の負極端子に接続された電線41bは、バスバー保持部材500の開口部510を通り、かつ、第一エンド部材301の第二端部凹部351内に配置されて、コネクタ31aに接続されて、コネクタ31bを介して、電線44bに接続されている。コネクタ31a及び31bは、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301の第二中央凹部371に配置されている。
同様に、コネクタ31bに接続された電線44bは、コネクタ32bに接続され、コネクタ32aを介して、電線42aに接続されている。コネクタ32aに接続された電線42aは、第二蓄電ユニット12において、第一エンド部材301の第二端部凹部351内に配置されて、かつ、バスバー保持部材500の開口部510を通り、第二蓄電ユニット12の第二蓄電素子102の正極端子に接続されている。そして、第二蓄電ユニット12において、第二蓄電素子102の負極端子に接続された電線42bは、バスバー保持部材500の開口部510を通り、かつ、第一エンド部材301の第二端部凹部351内に配置されて、コネクタ32aに接続されて、コネクタ32bを介して、電線44cに接続されている。コネクタ32a及び32bは、第二蓄電ユニット12の第一エンド部材301の第二中央凹部371に配置されている。そして、コネクタ31bとコネクタ32bとを接続する電線44bは、第一蓄電ユニット11及び第二蓄電ユニット12に跨って、これらの第一エンド部材301の第一中央凹部361内に配置されている。第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13についても同様である。
また、コネクタ31bと蓄電装置1の正極側の外部端子(図示せず)とを接続する電線44aは、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301の第一中央凹部361内に配置されている。コネクタ33bと蓄電装置1の負極側の外部端子(図示せず)とを接続する電線44dは、第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13に跨って、これらの第一エンド部材301の第一中央凹部361内に配置されている。
このように、第一電線40は、第二蓄電ユニット12から配線され、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301の第一中央凹部361に配置される電線44bを有している。また、第一電線40は、第三蓄電ユニット13から配線され、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301の第一中央凹部361に配置される電線44dも有している。つまり、第一電線40は、第一蓄電ユニット11から配線された電線、及び、第一蓄電ユニット11以外の蓄電ユニット10から配線された電線の双方を有し、これらの電線が、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301の第一中央凹部361内に配置されている。本実施の形態では、これらの電線は、第一中央凹部361内にY軸方向に並んで(Y軸方向に拡がって)配置されている。これにより、蓄電ユニット10の積層数が増える等により第一中央凹部361内に配置される電線の数が増えても、第一中央凹部361内に電線を収容することができるため、電線がX軸プラス方向側へはみ出るのを抑制することができる。第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13についても同様である。
なお、第一蓄電ユニット11において、電線41a及び41bは、第一エンド部材301のY軸プラス方向側の端部のZ軸プラス方向側の部位に設けられた、Y軸マイナス方向に突出する突出片390によって、X軸プラス方向側へはみ出るのが抑制されている。第二蓄電ユニット12における電線42a及び42b、及び、第三蓄電ユニット13における電線43a及び43bについても同様である。
次に、図6に示すように、蓄電装置1は、さらに、第二電線50を備えている。本実施の形態では、第二電線50は、蓄電装置1が備える蓄電素子100に関する情報を伝達する通信線である。つまり、第二電線50は、それぞれの蓄電ユニット10が有する蓄電素子100に関する情報(電流、電圧、温度等)を伝達する通信線を有している。具体的には、第二電線50は、第一蓄電ユニット11が有する第一蓄電素子101に関する情報を伝達する通信線である電線51を有している。また、第二電線50は、第二蓄電ユニット12が有する第二蓄電素子102に関する情報を伝達する通信線である電線52を有している。また、第二電線50は、第三蓄電ユニット13が有する第三蓄電素子103に関する情報を伝達する通信線である電線53を有している。なお、図6では、通信線として、形式的に1本の電線を図示しているが、蓄電ユニット10が有する複数の蓄電素子100ごとの電圧や複数箇所の温度を伝達するように、複数本の電線で構成されていてもよい。また、通信線として1本の電線を用いて、各種情報を信号に変換して通信することにしてもよい。
このような構成において、第二エンド部材302の第一中央凹部362(第三凹部)には、第二電線50が配置される。なお、第二電線50は、第二エンド部材302の第一中央凹部362に着脱可能に配置される。つまり、第二電線50は、蓄電ユニット10の第一電線40が配置される側面とは異なる側面(本実施の形態では、反対側の側面)に配設されている。これにより、通信線である第二電線50に対する、電源線である第一電線40からのノイズの影響を低減できる。
具体的には、第一蓄電ユニット11において、電線51は、バスバー保持部材500の開口部520及びカバー部材700の開口部710を通り、電気機器20の基板23に設けられたコネクタ24に接続される。また、第二蓄電ユニット12においては、電線52は、バスバー保持部材500の開口部520及びカバー部材700の開口部710を通り、かつ、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302の第一中央凹部362内に配置されて、コネクタ24に接続される。第三蓄電ユニット13においては、電線53は、バスバー保持部材500の開口部520及びカバー部材700の開口部710を通り、かつ、第二蓄電ユニット12及び第一蓄電ユニット11に跨って、これらの第二エンド部材302の第一中央凹部362内に配置されて、コネクタ24に接続される。なお、電線51~53は、端部にコネクタを有しており、当該コネクタが、図1等に示した3つのコネクタ24にそれぞれ接続される。
このように、第二電線50は、第二蓄電ユニット12から配線され、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302の第一中央凹部362に配置される電線52を有している。また、第二電線50は、第三蓄電ユニット13から配線され、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302の第一中央凹部362に配置される電線53も有している。つまり、第二電線50は、第一蓄電ユニット11から配線された電線、及び、第一蓄電ユニット11以外の蓄電ユニット10から配線された電線の双方を有している。そして、第一蓄電ユニット11以外の蓄電ユニット10から配線された電線が、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302の第一中央凹部362内に配置されている。第二蓄電ユニット12についても同様である。
なお、複数の電線が配線チューブ等に挿入されて配置されており、この配線チューブが第一中央凹部360に配置されていてもよい。例えば、図7に示すように、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301において、電線44a及び44dが配線チューブ45内に挿入されて配置されており、配線チューブ45が第一中央凹部361内に配置されていることにしてもよい。上述の通り、第一中央凹部361は、底面部から遠ざかるほど開口が広がるテーパ形状を有しているため、配線チューブ45(電線44a及び44d)は、第一中央凹部361の底面部側の幅が狭い位置で、強固に固定(保持)される。なお、第一エンド部材301が金属製の材料で形成されている場合には、配線チューブ45は絶縁性の材料で形成されているのが好ましい。
また、図8に示すように、第一中央凹部361の幅(Y軸方向における幅)を電線(電線44a、44d)の幅に合わせることで、配線チューブ等を設けることなく、電線を、第一中央凹部361の底面部側の幅が狭い位置で、強固に固定(保持)することができる。または、電線の太さが太い場合に、配線チューブ等を使用せずに、電線を直接、第一中央凹部361内に配置することにしてもよい。なお、これら図7及び図8で説明した内容は、第二エンド部材302側についても同様である。
[5 効果の説明]
以上のように、本実施の形態に係る蓄電装置1によれば、第一蓄電ユニット11は、第一蓄電素子101を拘束する第一エンド部材301及び第二エンド部材302を有しており、第一エンド部材301には、第一電線40が配置される第一中央凹部361が形成されている。このように、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301に形成した第一中央凹部361に、第一電線40を配置する。これにより、第一電線40を第一中央凹部361に収容することができるため、第一電線40が第一蓄電ユニット11からはみ出るのを抑制することができ、省スペース化を図ることができる。
発明者が上記構成を見出した経緯は、以下の通りである。車両用や産業用電源装置向けの蓄電装置では、複数の蓄電ユニットを組み合わせて蓄電装置が構成されるが、当該蓄電装置においては、省スペース化が求められている。このため、蓄電装置をできるだけコンパクトな構成にしたいとの要望がある。ここで、蓄電ユニットを直積みすることにより、棚板等のスペースをなくすことができる。しかし、蓄電素子は重量物であるため、蓄電素子群となる蓄電ユニットは、さらに重量物となる。このため、蓄電ユニットを直積みするために、強力に蓄電素子群を拘束し、積載に耐えうるエンド部材が必要であり、ダイカスト製のエンド部材を使用するのが好ましい。そして、本願発明者は、ダイカスト製のエンド部材は厚みがあり、電線配設用のスペースが省スペース化の障害になっていることを見出し、厚みのあるエンド部材に電線やコネクタを収容させることを考案した。これにより、省スペース化を実現することが可能となった。
また、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301において、第一中央凹部361は、第一エンド部材301の中央部に形成されている。このように、第一中央凹部361を第一エンド部材301の中央部に形成することで、第一エンド部材301で第一蓄電素子101を拘束する際に、当該中央部を挟んで両側から第一蓄電素子101に対して同等の拘束力を付与することができる。これにより、第一蓄電素子101をバランスよく拘束しつつ、第一電線40を第一中央凹部361に収容して第一電線40が第一蓄電ユニット11からはみ出るのを抑制することができるため、省スペース化を図ることができる。
また、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301は、第一中央凹部361の底面部にリブ361bを有している。このように、第一エンド部材301において、第一中央凹部361の底面部にリブ361bを設けることで、第一中央凹部361を形成することによって強度が弱くなった部位を補強することができる。これにより、第一エンド部材301の強度低下を抑制しつつ、省スペース化を図ることができる。
また、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301は、第一中央凹部361の底面部から遠ざかるほど第一中央凹部361の開口が広がるように傾斜した第一中央凹部361の側面部363aを有しており、第一電線40は、第一中央凹部361に着脱可能に配置されている。このように、第一中央凹部361の側面部363aが、第一中央凹部361の開口が広がるように傾斜していることで、第一中央凹部361に第一電線40を容易に取り付けたり取り外したりすることができる。これにより、第一電線40の着脱を容易にしつつ、省スペース化を図ることができる。
なお、図7に示すように、第一電線40は、複数の電線(例えば電線44a及び44d)が配線チューブ45に挿入された構成を有しており、この配線チューブ45が第一中央凹部361に配置されていてもよい。これにより、第一電線40が有する複数の電線をまとめて、第一中央凹部361に収納できるため、複数の電線が第一蓄電ユニット11からはみ出るのを抑制することができる。また、複数の電線を、第一中央凹部361のテーパ状の箇所に適切に保持させ、かつ、容易に取り付けたり取り外したりすることができる。第二電線50についても同様である。
また、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301には、第一電線40に接続されるコネクタ30が配置される第二中央凹部371が形成されている。このように、蓄電装置1がコネクタ30を有する場合には、コネクタ30を、第一エンド部材301に形成した第二中央凹部371に配置する。これにより、コネクタ30を第二中央凹部371に収容することができるため、コネクタ30が第一蓄電ユニット11からはみ出るのを抑制することができ、省スペース化を図ることができる。
また、第一電線40は、第二蓄電ユニット12から配線され、第一エンド部材301の第一中央凹部361に配置される電線44bを有している。このように、第二蓄電ユニット12から配線された電線44bを、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301に形成された第一中央凹部361に配置することで、電線44bを第一中央凹部361に収容することができる。これにより、第二蓄電ユニット12から配線された電線44bが第一蓄電ユニット11からはみ出るのを抑制することができるため、省スペース化を図ることができる。電線44dについても同様である。
また、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302には、第二電線50が配置される第一中央凹部362が形成されている。このように、蓄電装置1がさらに第二電線50を有する場合には、第二電線50を、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302に形成した第一中央凹部362に配置する。これにより、第二電線50を第一中央凹部362に収容することができるため、第二電線50が第一蓄電ユニット11からはみ出るのを抑制することができ、省スペース化を図ることができる。
また、第一電線40は、電源線であり、第二電線50は、通信線である。このように、電源線を第一エンド部材301の第一中央凹部361に配置し、通信線を第二エンド部材302の第一中央凹部362に配置する。これにより、用途の異なる電線ごとにまとめて配置することができるため、電線の配線作業の効率化を図りつつ、省スペース化を図ることができる。また、電源線と通信線とを離間して配置することで、通信線にノイズが発生するのを抑制することができる。
なお、上述した第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301についての効果は、第二エンド部材302についても同様に適用することができる。また、第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13についても、同様に適用することができる。
[6 変形例の説明]
以上、本発明の実施の形態に係る蓄電装置1について説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。つまり、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
例えば、上記実施の形態では、第一電線40は電源線であり、第二電線50は通信線であることとした。しかし、第一電線40及び第二電線50は、どのような電線であってもよい。例えば、第一電線40は、通信線であってもよいし、第二電線50は、電源線であってもよいし、第一電線40及び第二電線50は、電源線及び通信線とは異なる電線であってもよい。
また、上記実施の形態では、第一蓄電ユニット11の第一エンド部材301の第一中央凹部361には、第一蓄電ユニット11から配線された電線、及び、第一蓄電ユニット11以外の蓄電ユニット10から配線された電線の双方が、配置されることとした。しかし、第一中央凹部361には、第一蓄電ユニット11から配線された電線、及び、第一蓄電ユニット11以外の蓄電ユニット10から配線された電線のいずれか一方しか、配置されないことにしてもよい。第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13についても同様である。
また、上記実施の形態では、第一蓄電ユニット11の第二エンド部材302の第一中央凹部362には、第一蓄電ユニット11以外の蓄電ユニット10から配線された電線が配置されることとした。しかし、第一中央凹部362には、当該電線に加えて、または、当該電線に代えて、第一蓄電ユニット11から配線された電線が配置されることにしてもよい。第二蓄電ユニット12及び第三蓄電ユニット13についても同様である。
また、上記実施の形態では、第一中央凹部360は、エンド部材300の中央部に配置されていることとした。しかし、第一中央凹部360の配置位置は特に限定されない。また、第一中央凹部360の形状についても特に限定されず、リブ360b及び壁部360aの形状についても特に限定されない。または、第一中央凹部360の底面部にはリブ360bが設けられていなくてもよいし、壁部360aも設けられていなくてもよい。第二中央凹部370等の、エンド部材300が有する他の部位についても同様に、配置位置及び形状は特に限定されない。
また、上記実施の形態では、蓄電装置1は、コネクタ30を備えており、コネクタ30は、エンド部材300の第二中央凹部370に配置されていることとした。しかし、蓄電装置1は、コネクタ30を備えておらず、例えば、第二中央凹部370には第一電線40が配置されていることにしてもよい。または、コネクタ30はエンド部材300に埋め込まれてエンド部材300と一体化されており、当該埋め込まれたコネクタ30に第一電線40が接続される構成でもよい。
また、上記実施の形態では、蓄電装置1は、3つの蓄電ユニット10を備えていることとした。しかし、蓄電装置1が備える蓄電ユニット10の数は特に限定されず、3つ以外の複数個であってもよいし、1つの蓄電ユニット10しか配置されていなくてもよい。また、全ての蓄電ユニット10が同じ形状を有している必要はなく、いずれかの蓄電ユニット10が上記形状を有していなくてもよい。
また、上記実施の形態では、エンド部材300は、ダイカストによって作製されることとした。しかし、エンド部材300は、ダイカストではなく、板金部材に凹凸構造を設けて強度を持たせた部材であり、凹部の箇所に電線を配置するような構成でもよい。つまり、エンド部材300は、電線を埋め込む厚みがあればよい。
また、上記実施の形態では、第一エンド部材301と第二エンド部材302とは同じ形状を有していることとした。しかし、第一エンド部材301と第二エンド部材302とは、異なる形状を有していることにしてもよい。例えば、蓄電装置1が第二電線50を備えていない場合には、第二エンド部材302には第一中央凹部362は形成されていなくてもよい。
また、上記実施の形態において、蓄電装置1及び蓄電ユニット10は、図2及び図3に示した構成要素を全て備えている必要はない。例えば、蓄電装置1は、電気機器20を備えていなくてもよいし、蓄電ユニット10は、スペーサ200、バスバー保持部材500またはカバー部材700を備えていなくてもよい。
また、上記実施の形態及び上記変形例が備える各構成要素を任意に組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
また、本発明は、このような蓄電装置1として実現することができるだけでなく、蓄電装置1が備える蓄電ユニット10(第一蓄電ユニット11、第二蓄電ユニット12等)、または、蓄電ユニット10が備えるエンド部材300(第一エンド部材301、第二エンド部材302等)としても実現することができる。