JP7267662B2 - 膣内装置 - Google Patents

Description

関連出願の相互参照
本出願は、２０２０年１月１４日に出願された米国出願第６２／９６０，８３９号の出願日の利益を主張するものであり、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。

技術分野
本発明は、膣内装置およびその使用に関する。

背景
腹圧性尿失禁は、咳、くしゃみ、笑い、運動、または重いものを持ち上げることにより膀胱にかかる圧力が増加することによる尿漏れを指す。これは、女性における尿失禁の最も一般的な原因であり、この問題に苦しむ女性の生活の質に著しく影響を及ぼす。

女性の過活動膀胱は、頻繁かつ緊急に排尿する必要があることを指し、これは、非常に突然起こる可能性がある。膀胱を空にする必要があるというシグナルは、膀胱が部分的にしか充満していない場合であっても発生し得る。

排尿不全は、可能な限り排尿した後、膀胱がいくらかの尿を保持する状態を指す。これは、脱出に起因した、尿道に対する膀胱の位置が原因であり得る。

骨盤臓器脱は、通常の解剖学的位置から膣口に向かって、または膣口を通って、１つ以上の骨盤構造（膀胱、子宮、膣、結腸、直腸）が下垂することである。骨盤臓器脱は、骨盤底筋および靭帯が伸びて脆弱化し、もはや骨盤構造を十分に支持することができなくなると発生し得る。骨盤臓器脱は、腹圧性尿失禁に関連し得る。

スリング手術および膣断端固定術などの、腹圧性尿失禁および骨盤臓器脱を治療するための外科的選択肢が存在するが、重大なリスクおよび合併症が発生する場合がある。これらのリスクおよび合併症を考慮して、多くの場合、非外科的アプローチが腹圧性尿失禁および骨盤臓器脱の管理に使用される。

腹圧性尿失禁の制御を支援し、かつ／または脱出した構造を支持するために、装置、すなわち膣ペッサリーが膣に挿入され得る。様々な膣ペッサリーが当該技術分野で知られており、これらにはリングペッサリーおよびシェルフペッサリーが挙げられるが、これらに限定されない。

米国特許第６，４１３，２０６Ｂ２号（特許文献１）は、前膣壁を係合して膣壁およびその後ろの尿道を支持することにより尿失禁の制御を支援する膣内装置について記載している。

米国特許第６，４１３，２０６Ｂ２号

概要
本発明の目的は、膣内装置を提供することである。

本発明の一態様によれば、中空の開放端式円筒形本体と、取り出しストリップと、を備える、膣内装置であって、本体が、第１の端部および第２の端部、前壁、ならびに後壁を有し、本体が、前壁の第１の端部に第１のノッチを有し、かつ前壁の第２の端部に第２のノッチを有し、第１のノッチおよび第２のノッチが、一列に、かつ実質的に前壁の正中線に配置されて、取り出しストリップのための軌道を形成し、後壁が、舌様形状の延長部と、第１のノッチの実質的に向かいに配置された開口部と、を備え、開口部が、その中を通して取り出しストリップを受容するように適合されており、取り出しストリップが、第１のノッチ、第２のノッチ、および開口部を通過し、取り出しストリップに力が印加されると、前壁および後壁が一緒に圧縮される、膣内装置が提供される。

本発明の別の態様によれば、中空の開放端式円筒形本体と、取り出しストリップと、を備える、膣内装置であって、本体が、非吸収性の可撓性材料から形成されており、本体が、第１の端部および第２の端部、前壁、ならびに後壁を有し、後壁が、舌様形状の延長部を備え、本体が、前壁の第１の端部に第１のノッチを有し、かつ前壁の第２の端部に第２のノッチを有し、第１のノッチおよび第２のノッチが、一列に、かつ実質的に前壁の正中線に配置されて、取り出しストリップのための軌道を形成し、後壁が、その中を通して取り出しストリップを受容するように適合された開口部をさらに備え、開口部が、第１のノッチの実質的に向かいに配置されており、取り出しストリップが、非吸収性の可撓性材料から形成されており、取り出しストリップが、第１のノッチ、第２のノッチ、および開口部を通過し、かつ、取り出しストリップに力が印加されると、前壁および後壁を一緒に圧縮し、それによって、本体の断面積が減少される、膣内装置が提供される。

本発明の別の態様によれば、女性の腹圧性尿失禁の制御を支援するための本発明の膣内装置の使用が提供される。

本発明の別の態様によれば、骨盤臓器脱を支援するための本発明の膣内装置の使用が提供される。

本発明の別の態様によれば、直腸瘤を支援するための本発明の膣内装置の使用が提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の装置を膣に挿入することを含む、女性の腹圧性尿失禁を制御する方法が提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の装置を膣に挿入することを含む、骨盤臓器脱を支援する方法が提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の装置を膣に挿入することを含む、直腸瘤を支援する方法が提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の装置を膣に挿入することを含む、女性の過活動膀胱を制御する方法が提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の装置を膣に挿入することを含む、女性の排尿不全を制御する方法が提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の膣内装置と、取り出しストリップと、説明書と、を含む、キットが提供される。

本発明の別の態様によれば、本発明の膣内装置と、補助ワンドと、取り出しストリップと、説明書と、を含む、キットが提供される。
[本発明1001]
中空の開放端式円筒形本体と、取り出しストリップと、を備える、膣内装置であって、
前記本体が、第1の端部および第2の端部、前壁、ならびに後壁を有し、
前記本体が、前記前壁の前記第1の端部に第1のノッチを有し、かつ前記前壁の前記第2の端部に第2のノッチを有し、前記第1のノッチおよび前記第2のノッチが、一列に、かつ実質的に前記前壁の正中線に配置されて、前記取り出しストリップのための軌道を形成し、
前記後壁が、舌様形状の延長部と、前記第1のノッチの実質的に向かいに配置された開口部と、を備え、前記開口部が、その中を通して前記取り出しストリップを受容するように適合されており、
前記取り出しストリップが、前記第1のノッチ、第2のノッチ、および開口部を通過し、前記取り出しストリップに力が印加されると、前記前壁および前記後壁が一緒に圧縮される、膣内装置。
[本発明1002]
前記本体が、非吸収性の可撓性材料を含む、本発明1001の膣内装置。
[本発明1003]
前記非吸収性の可撓性材料が、熱可塑性エラストマー、熱可塑性加硫物、Ｓａｎｔｏｐｒｅｎｅ（商標）、またはＳａｎｔｏｐｒｅｎｅ（商標）8281－55ＭＥＤを含む、本発明1001または1002の膣内装置。
[本発明1004]
前記取り出しストリップが、非吸収性の可撓性材料を含む、本発明1001、1002、または1003の膣内装置。
[本発明1005]
中空の開放端式円筒形本体と、取り出しストリップと、を備える、膣内装置であって、
前記本体が、非吸収性の可撓性材料から形成されており、
前記本体が、第1の端部および第2の端部、前壁、ならびに後壁を有し、
前記後壁が、舌様形状の延長部を備え、
前記本体が、前記前壁の前記第1の端部に第1のノッチを有し、かつ前記前壁の前記第2の端部に第2のノッチを有し、前記第1のノッチおよび前記第2のノッチが、一列に、かつ実質的に前記前壁の正中線に配置されて、前記取り出しストリップのための軌道を形成し、
前記後壁が、その中を通して前記取り出しストリップを受容するように適合された開口部をさらに備え、前記開口部が、前記第1のノッチの実質的に向かいに配置されており、
前記取り出しストリップが、非吸収性の可撓性材料から形成されており、前記取り出しストリップが、前記第1のノッチ、第2のノッチ、および開口部を通過し、かつ、前記取り出しストリップに力が印加されると、前記前壁および前記後壁を一緒に圧縮し、それによって、前記本体の断面積が減少される、膣内装置。
[本発明1006]
女性の腹圧性尿失禁の制御を支援するための、本発明1001～1005のいずれかの膣内装置の使用。
[本発明1007]
骨盤臓器脱を支援するための、本発明1001～1005のいずれかの膣内装置の使用。
[本発明1008]
膀胱瘤、尿道瘤、子宮脱、膣円蓋脱、腸瘤、直腸瘤、またはそれらの組み合わせを支援するための、本発明1001～1005のいずれかの膣内装置の使用。
[本発明1009]
本発明1001～1005のいずれかの装置を膣に挿入することを含む、女性の腹圧性尿失禁を制御する方法。
[本発明1010]
本発明1001～1005のいずれかの装置を膣に挿入することを含む、女性の過活動膀胱を制御する方法。
[本発明1011]
本発明1001～1005のいずれかの装置を膣に挿入することを含む、女性の排尿不全を制御する方法。
[本発明1012]
本発明1001～1005のいずれかの装置を膣に挿入することを含む、骨盤臓器脱を支援する方法。
[本発明1013]
前記骨盤臓器脱が、ステージ1の骨盤臓器脱である、本発明1012の方法。
[本発明1014]
前記骨盤臓器脱が、ステージ2の骨盤臓器脱である、本発明1012の方法。
[本発明1015]
前記骨盤臓器脱が、膀胱瘤、尿道瘤、子宮脱、膣円蓋脱、腸瘤、直腸瘤、またはそれらの組み合わせである、本発明1012の方法。
[本発明1016]
本発明1001～1005のいずれかの装置を膣に挿入することを含む、直腸瘤を支援する方法。
[本発明1017]
本発明1001～1005のいずれかの膣内装置と、説明書と、を含む、キット。
[本発明1018]
本発明1001～1005のいずれかの膣内装置と、補助ワンドと、取り出しストリップと、説明書と、を含む、キット。
[本発明1019]
前記補助ワンドが、フックを備える、本発明1018のキット。
[本発明1020]
前記補助ワンドが、前記膣内装置を圧潰された位置に保持するボウル端部を備える、本発明1018または1019のキット。
[本発明1021]
前記説明書が、デジタルおよび／または書面形式で提供される、本発明1018～1020のいずれかのキット。

本発明のこれらおよび他の特徴は、添付の図面を参照する以下の詳細な説明においてより明らかになるであろう。

本発明の実施形態の膣内装置の斜視図を示す。 図１に示した膣内装置の側面図を示す。 図１に示した膣内装置の正面図を示す。 図１に示した膣内装置の下端部の断面図を示す。 取り出しストリップを備えた膣内装置の実施形態の３Ｄ図を示す。 図５に示した膣内装置の代替図を示す。 図５に示した膣内装置の代替図を示す。 図５に示した膣内装置の代替図を示す。 本発明の実施形態の膣内装置を保持している手の線画である。 圧縮されている本発明の実施形態の膣内装置を保持する手の線画である。 圧縮されている本発明の実施形態の膣内装置の線画である。 圧縮されている本発明の実施形態の膣内装置の線画である。 膀胱および尿道の正常な生理機能を示す女性患者の矢状腹部断面図である。 膀胱頸部が下垂位置にある失禁症の女性患者の矢状腹部断面図である。 挿入された本発明の実施形態の装置を示す、図１３の女性患者の矢状腹部断面図である。 取り出しのために圧縮された本発明の実施形態の装置を示す、図１４の女性患者の矢状腹部断面図である。 本発明の実施形態の膣内装置の線画である。 わずかに圧縮されている本発明の実施形態の膣内装置の線画である。 本発明の実施形態の膣内装置の挿入および取り出し中に使用するための補助ワンド、ならびに膣内装置の線画である。 本発明の実施形態の膣内装置の挿入および取り出し中に使用するための補助ワンド、ならびに膣内装置の線画である。 本発明の実施形態の膣内装置の挿入および取り出し中に使用するための補助ワンド、ならびに膣内装置の線画である。 本発明の実施形態の取り出しストリップの線画である。 本発明の実施形態の取り出しストリップの線画である。 本発明の実施形態の取り出しストリップの線画である。 本発明の実施形態の取り出しストリップの線画である。

詳細な説明
本発明は、腹圧性尿失禁および／もしくは過活動膀胱および／もしくは排尿不全の制御を支援するための、ならびに／または骨盤臓器の支持を必要とする対象、例えば、骨盤臓器脱を有するかもしくはそのリスクがある対象において骨盤臓器を支持するための、膣内装置を提供する。

膣内装置
本発明の膣内装置１は、膣壁に係合して支持するための本体２と、取り出しストリップ４と、を備える。図１～１８Ｄを参照されたい。

膣内装置の本体：
膣内装置の本体２は、非吸収性（任意選択的に疎水性）かつ可撓性の材料から形成されている。非吸収性（任意選択的に疎水性）の材料を使用することにより、臭気の発生、細菌の増殖、および毒素性ショック症候群のリスクが軽減され得る。ある特定の実施形態では、非吸収性材料は洗浄可能であり、したがって、そのような実施形態では、装置は再利用可能である。他の実施形態では、装置は、使い捨てである。

例示的な非吸収性の可撓性材料としては、熱可塑性加硫物などの熱可塑性エラストマーが挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、膣内装置の本体は、非吸湿性の熱可塑性加硫物で作製されている。特定の実施形態では、本体は、Ｓａｎｔｏｐｒｅｎｅ（商標）で作製されている。本体の製造に使用され得るＳａｎｔｏｐｒｅｎｅ（商標）の例示的なグレードには、Ｓａｎｔｏｐｒｅｎｅ（商標）８２８１－５５ＭＥＤが挙げられる。

膣内装置の本体２は、前膣壁に係合するように形作られており、それにより、尿道を閉じて排尿を妨げることなく、前壁および尿道を支持および持ち上げる。本体２は、後膣壁にさらに係合する。一実施形態では、装置は、装置が存在しないときは骨盤臓器が膣腔に押し入って膨隆を作る、脆弱な膣壁に、圧力を印加する。一実施形態では、膣内の装置の向きは、脆弱な前膣壁または後膣壁を支持するのに適切である。

ある特定の実施形態では、本体２は、後壁が第１の端部で延長されて、実質的に舌様形状の延長部を形成する、中空の開放端式円筒形本体（リング）である。舌様形状の延長部は、装置が挿入時に回転して変位することを防止する。ある特定の実施形態では、本体の第２の端部は、本体部分の後方に向かってわずかな傾斜を有する。ある特定の実施形態では、傾斜は、１～５°である。特定の実施形態では、傾斜は、４°である。

ある特定の実施形態では、本体２は、取り出しストリップを係合するための１つ以上の手段を含む。取り出しストリップ（４）を係合するための手段の非限定的な例としては、１つ以上のノッチ（３）、切り欠き、開口部（５）、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、本体は、前壁の第１の端部に第１のノッチを含み、前壁の第２の端部に第２のノッチを含み、第１のノッチおよび第２のノッチは、一列に、かつ実質的に前壁の正中線に配置されて、取り出し部分のための軌道を形成し、後壁は、その中を通して取り出しストリップを受容するように適合された開口部（５）と、第１のノッチの実質的に向かいに配置された開口部と、をさらに備える。

ある特定の実施形態では、膣内装置は、装置の可撓性を高めるために、１つ以上の領域、屈曲点（６）を含む。可撓性を高める領域としては、例えば、膣内装置の壁の溝、穴、切り欠き、または切り込みが挙げられるがこれらに限定されない、膣内装置の壁厚が減少した領域が挙げられ得る。１つ以上の屈曲点は、膣内装置によって尿道に対して過剰な圧力がかかることを防止し、ひいては排尿が妨げられる可能性を防止することを補助し得る。１つ以上の領域は、膣内装置の挿入および膣からの取り出し中に装置の圧潰または折り畳みを補助し得る。特定の実施形態では、装置は、膣内装置の内部前壁に屈曲点を含む。より具体的な実施形態では、屈曲点は、膣内装置の内部前壁に位置する浅い切り込み（図９および１６Ｂを参照）を備える。特定の実施形態では、前方内部ブリッジの切り込みの深さは、約２ｍｍ～約４ｍｍの範囲である。特定の実施形態では、切り込みの深さは、装置のサイズに依存する。例えば、小型装置の場合は２ｍｍ、中型装置の場合は３ｍｍ、大型装置の場合は４ｍｍの深さである。特定の実施形態では、切り込みの長さは、約３ｍｍである。

取り出しストリップ
膣内装置は、膣内装置の取り出しを補助するために使用され得る取り出しストリップをさらに備える。図１８Ａ～１８Ｄならびに図５～７を参照されたい。取り出しストリップ４としては、例えば、１つ以上のリボン、紐、および／またはストリップが挙げられ得る。ある特定の実施形態では、取り出しストリップは、非吸収性材料から構築される。特定の実施形態では、取り出しストリップは、非吸収性の可撓性材料から形成された取り出しリボンである。例示的な材料としては、シリコンが挙げられるが、これに限定されない。

ある特定の実施形態では、取り出しストリップ４を引っ張ることにより、膣内装置の断面積が減少する。特定の実施形態では、断面積は、前壁を後壁に、または後壁を前壁に圧潰することによって減少する。ある特定の実施形態では、取り出しストリップ４は、装置本体２に取り付けられている。他の実施形態では、取り出しストリップ４は、本体２に関連付けられてはいるが、固定されていない。例えば、取り出しストリップ４は、本体２の周囲に／それを通ってループを形成し得る。ある特定の実施形態では、取り出しストリップは、本体２の１つ以上のノッチ３および／または開口部５を通過し、１つ以上のノッチ３および／または開口部５は、力が印加されると、本体の断面積が減少するように構成されている。特定の実施形態では、取り出しストリップの少なくとも一方の端部は、それが本体の１つ以上の開口部を通過するのを防止するためのストッパーを備える。特定の実施形態では、取り出しストリップ４の一方の端部は、取り出しストリップの第２の端部の開口部１４を通して挿入され、それによってループを形成し、このループは、第１の端部に下方向の力が印加されると締まり、それによって本体の断面積を減少させることができる。一実施形態では、取り出しストリップ４の両端部は、開口部１４を有する。各端部の開口部は、同じかまたは異なるサイズおよび／もしくは形状であり得る。例えば、第１の端部の開口部は、装置の取り出しを支援するためのツールの挿入を可能にするように構成され得、第２の端部の開口部は、取り出しストリップの第１の端部が第２の端部の開口部を通して挿入され、それによってループを形成することを可能にするように構成され得る。装置を取り出すことを所望する場合は、膣の外に延長する取り出しストリップの第１の端部を手動で、または補助ワンドのフック端部などのフックを使用することによって引っ張ることができる。取り出しストリップに力が印加されると、装置の本体の断面積が減少して、取り出しを支援する。または、装置の前方ブリッジに人差し指を挿入し、下方向に引っ張ることによって取り出される。

取り出しストリップ４の両端部が開口部を有する、ある特定の実施形態では、フックは、膣の外に延長する取り出しストリップの第１の端部の開口部１４に挿入することができる。

ある特定の実施形態では、取り出しストリップ４は、後方の穴または開口部５を通して取り付けられ、ノッチ３内で前方ブリッジに巻き付けられる、取り出しリボンである。図５～７を参照されたい。

キット
ある特定の実施形態では、本発明の膣内装置と、取り出しストリップと、補助ワンドと、説明書と、を含む、キットが提供される。ある特定の実施形態では、説明書は、ウェブサイトまたはデジタル資料によって提供される。

補助ワンド１０の例示的な実施形態を図１７Ａ～１７Ｃに示す。ある特定の実施形態では、補助ワンドは、フック１１の端部およびボウル１２の端部を有する、細長い部材である。フック端部は、膣内装置の取り出しを容易にするために使用され得る。具体的には、フックは、装置の取り出しストリップ４または本体２によって装置をつかむために使用され得る。ある特定の実施形態では、補助ワンドのボウル１２の端部は、膣内装置の本体を圧潰された位置に保持することができる。装置がその圧潰された位置にあると、装置を挿入することがより簡単である。したがって、ある特定の実施形態では、膣内装置の挿入を容易にするために、補助ワンドが使用され得る。いくつかの実施形態では、補助ワンドは、膣内装置が補助ワンド１０のボウル１２の端部に位置する間、膣内装置をその圧潰された位置に維持する、ロッド１３を含む。

方法および使用
女性患者の泌尿器系の正常な解剖学的構造を図１２に示す。通常の解剖学的構造では、膀胱６２は、膀胱頸部６４が骨盤底６８の上に配置されるように位置している。尿道６６の上部８４は、腹腔７８内に存在し、尿道の下部８６は、膣腔８０内に存在する。尿道６６の上部８４が腹腔７８内に存在している結果、運動または咳などによって動的な腹圧がかかると、腹圧は、膀胱６２にだけでなく、尿道６６の上部８４にもかかる。尿道６６の上部８４への、この一時的な圧力は、膀胱６２にかかる圧力と釣り合い、したがって、一時的な膀胱圧の増加にもかかわらず、尿漏れを防止するのに役立つ。

失禁症の女性患者の泌尿器系の解剖学的構造を図１３に示す。そのような患者において、膀胱頸部は、骨盤底６８またはその下の位置にあるように下垂位置にある。尿道６６全体が、膣腔８０内に存在する。この状態において、動的な腹圧がかかると、尿道６６の上部８４はもはや腹腔７８内に存在しないことから、一時的な膀胱圧の増加を相殺するために尿道６６にかかる増加した圧力は存在しない。結果的に、動的な腹圧がかかると尿が漏れ、これが腹圧性尿失禁として知られている状態である。

膣に取り付けられると（図１４を参照）、装置は、尿道の不適切な位置を矯正する。具体的には、本体の後壁は後膣壁上にあり、前壁は前膣壁を前方向および上方向に変位させて、尿道を支持する。この支持は、尿道の上部が腹腔内に保持されるように、移動性の尿道を安定させる。結果的に、動的な腹圧がかかると、腹圧の一部が尿道の上部に対して印加され、一時的な膀胱圧の増加を相殺するために付加的な力を提供する。

したがって、ある特定の実施形態では、腹圧性尿失禁を制御する方法が提供され、この方法は、本発明の装置を、腹圧性尿失禁の制御を必要とする対象の膣に挿入することを含む。

本膣内装置は、骨盤臓器に対する支持を提供する。したがって、ある特定の実施形態では、骨盤臓器の支持を必要とする対象、例えば、骨盤臓器脱を有するかまたはそのリスクがある対象において骨盤臓器を支持するために使用され得る。ある特定の実施形態では、本発明の膣内装置は、脱出の防止、管理、および進行の遅延に役立つ。ある特定の実施形態では、膣内装置の使用により、骨盤臓器脱の１つ以上の症状が軽減される。

当業者であれば、骨盤臓器脱を有する対象において骨盤臓器を支持するための膣内装置の使用が、骨盤臓器脱の重症度に依存し得ることを容易に理解するであろう。ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、ステージ１の骨盤臓器脱である。ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、ステージ２の骨盤臓器脱である。

当業者であれば、骨盤臓器脱を有する対象において骨盤臓器を支持するための膣内装置の使用が、骨盤臓器脱の種類に依存し得ることをさらに理解するであろう。骨盤臓器脱の種類としては、膀胱瘤（すなわち、膀胱の膣への脱出）、尿道瘤（すなわち、尿道の脱出）、子宮脱、膣円蓋脱出、腸瘤（すなわち、小腸脱）、および直腸瘤（すなわち、膣と直腸との間の後膣壁の脱出）が挙げられる。

ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、以下の膀胱瘤、尿道瘤、子宮脱、膣円蓋脱、腸瘤、および直腸瘤のうちの１つ以上から選択される。

ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、膀胱瘤である。

ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、尿道瘤である。

ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、直腸瘤である。膣に配置されると、膣内装置の後壁は膣の後壁に寄りかかり、膣と直腸とを隔離する組織の脆弱化した壁または薄い壁を支持するのに役立つ。すなわち、本発明の膣内装置は、後膣壁に圧力を印加する（ならびに、尿道と膣との間の前壁に圧力を印加する）。この後圧は、便が直腸を介して結腸から出ることができるように結腸を正しい位置に保つのに役立ち、脱出した膿嚢に便が捕捉されるのを防止し得る。

ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱を有する対象において骨盤臓器を支持する方法が提供され、この方法は、本発明の装置を、骨盤臓器の支持を必要とする対象の膣に挿入することを含む。ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、ステージ１の骨盤臓器脱である。ある特定の実施形態では、骨盤臓器脱は、ステージ２の骨盤臓器脱である。

ある特定の実施形態では、本発明の膣内装置は、骨盤臓器脱の治療のために骨盤底療法と組み合わせて使用され得、かつ／または常用することにより骨盤底筋を強化するのに役立ち得る。骨盤底療法としては、骨盤底運動が挙げられるが、これに限定されない。

過活動膀胱および排尿不全は、骨盤臓器脱に起因し得る。

したがって、ある特定の実施形態では、本発明の膣内装置は、女性の過活動膀胱を制御する方法、および／または女性の排尿不全を制御する方法に使用され得る。

装置を手動で挿入するための例示的な非限定的な方法を以下に詳述する。
１．膀胱を空にする。
２．必要に応じて、挿入する前に、取り出しストリップを後方の穴を通して取り付け、ノッチ内の前壁（すなわち、前方ブリッジ）に巻き付ける。図５～７を参照されたい。
３．装置を、各使用の前後に、例えば、無香料の石鹸を使用して温水で洗浄し、すすぐことによって清浄化する。
４．装置は、タンポンの挿入と同様の様々な手法を使用して挿入することができる。ユーザはリラックスして、足を開いてトイレに座るか、または立って片足を上げる（膝の高さの何かの上に置く）か、しゃがむか、もしくは足を開いて仰向けに横になるかのいずれかである必要がある。
５．挿入するために、装置を温水で濡らしてもよいし、または膣の乾燥が発生した場合には、非常に少量の水性潤滑剤を使用してもよい。
６．人差し指で中央ブリッジ（リング）を圧縮することによって、および側面を一緒に押し潰すことによって、装置を折り畳む。図９および１０を参照されたい。
７．前方中央ブリッジ（リング）は、膣口から離れた方向を向いているが、上を向いており、より長い後方端部が膣口を向いている。
８．ここで、折り畳まれた装置を、ブリッジ（リング）が膣口の外部に存在しなくなるまで、膣管の内部に向かってかつ上方向に徐々に挿入することができる。装置は恥骨の後ろにフィットするはずであり、それが下を通過するときに感じられるはずである。

補助ワンドを使用して装置を挿入するための例示的な非限定的な方法を以下に詳述する。
１．膀胱を空にする。
２．必要に応じて、挿入する前に、取り出しストリップを後方の穴を通して取り付け、ノッチ内の前壁（すなわち、前方ブリッジ）に巻き付ける。図５～７を参照されたい。
３．装置を、各使用の前後に、例えば、無香料の石鹸を使用して温水で洗浄し、すすぐことによって清浄化する。
４．装置は、タンポンの挿入と同様の様々な手法を使用して挿入することができる。ユーザはリラックスして、足を開いてトイレに座るか、または立って片足を上げる（膝の高さの何かの上に置く）か、しゃがむか、もしくは足を開いて仰向けに横になるかのいずれかである必要がある。
５．挿入するために、装置を温水で濡らしてもよいし、または膣の乾燥が発生した場合には、非常に少量の水性潤滑剤を使用してもよい。
６．人差し指で中央ブリッジ（リング）を圧縮することによって、および側面を一緒に押し潰すことによって、装置を折り畳む。図９および１０を参照されたい。
７．装置を、補助ワンドのボウル端部に配置し、折り畳まれた位置に保持する。前方中央ブリッジ（リング）は、膣口から離れた方向を向いているが、上を向いており、より長い後方端部が膣口を向いている。
８．ここで、補助ワンドに保持されている折り畳まれた装置を、ブリッジ（リング）が膣口の外部に存在しなくなるまで、膣管の内部に向かってかつ上方向に徐々に挿入することができる。装置は恥骨の後ろにフィットするはずであり、それが下を通過するときに感じられるはずである。上記の装置が正しい位置になったら、ワンドを上方向に傾けて装置をワンドから解放すべきであり、次いで、ワンドを膣から徐々に取り出すことができる。

装置を手動で取り出すための例示的な非限定的な方法を以下に詳述する。
１．装置を取り出すために、ユーザは、挿入に使用したのと同じ位置に着く。
２．取り出しストリップを徐々に下に引っ張ることにより、装置は、取り出しがより容易になるように再び折り畳まれる／圧潰される。
３．装置が膣口に近づいたら、ユーザの人差し指を使用してリングの側面を引っ掛け、装置が取り出されるまで徐々に下方向に引っ張ることができる。

補助ワンドを使用して装置を取り出すための例示的な非限定的な方法を以下に詳述する。
１．装置を取り出すために、ユーザは、挿入に使用したのと同じ位置に着く。
２．補助ワンドのフック端部を使用して、取り出しストリップ上の開口部において引っ掛けることによって、または装置の前方ブリッジ（リング）に引っ掛けることによって、のいずれかで、取り出しストリップを下方向に引っ張る。取り出しストリップが引っ張られると、装置は再び折り畳まれる／圧潰される。
３．装置が膣口に近づいたら、補助ワンドのフック端部を使用してリングの側面を引っ掛け、装置が取り出されるまで徐々に下方向に引っ張ることができるか、またはユーザの人差し指を使用してリングの側面を引っ掛け、装置が取り出されるまで徐々に下方向に引っ張ることができる。
４．少量の滅菌水性潤滑剤または単に水を使用して、装置の周囲の膣内を濡らし、取り出しストリップを徐々に引っ張ってもよい。代替的には、指または補助ワンドのフック端部を膣内に挿入して、装置のリングを一緒に押し潰して、形成されたあらゆる真空を解放することができる。

等価物
当業者であれば、本説明がある特定の実施形態を参照してなされていること、ならびに本発明の原理を用いてその趣旨および範囲内に含まれる他の実施形態を作製することが可能であることを理解するであろう。

Claims (13)

1. 中空の開放端式円筒形本体（２）と、取り出しストリップ（４）と、を備える、膣内装置（１）であって、
   前記本体が、第１の端部および第２の端部、前壁、ならびに後壁を有し、
   前記本体が、前記前壁の前記第１の端部に第１のノッチ（３）を有し、かつ前記前壁の前記第２の端部に第２のノッチ（３）を有し、前記第１のノッチおよび前記第２のノッチが、一列に、かつ実質的に前記前壁の正中線に配置されて、前記取り出しストリップのための軌道を形成し、
   前記後壁が、舌様形状の延長部と、前記第１のノッチの実質的に向かいに配置された開口部（５）と、を備え、前記開口部が、その中を通して前記取り出しストリップを受容するように適合されており、
   前記取り出しストリップが、前記第１のノッチ、第２のノッチ、および開口部を通過し、前記取り出しストリップに力が印加されると、前記前壁および前記後壁が一緒に圧縮される、膣内装置。
2. 前記本体（２）が、非吸収性の可撓性材料を含む、請求項１に記載の膣内装置（１）。
3. 前記非吸収性の可撓性材料が、熱可塑性エラストマーまたは熱可塑性加硫物を含む、請求項２に記載の膣内装置（１）。
4. 前記取り出しストリップ（４）が、非吸収性の可撓性材料を含む、請求項１、２、または３に記載の膣内装置（１）。
5. 前記取り出しストリップ（４）が、非吸収性の可撓性材料を含み、前記取り出しストリップ（４）に力が印加されると、前記前壁および前記後壁が一緒に圧縮され、それによって、前記本体の断面積が減少される、請求項２に記載の膣内装置（１）。
6. 前記取り出しストリップ（４）の第１の端部が、前記取り出しストリップ（４）の第２の端部の開口部（１４）を通して挿入され、それによってループを形成し、このループは、前記取り出しストリップ（４）の前記第１の端部に下方向の力が印加されると締まり、それによって前記本体（２）の断面積を減少させることができる、請求項１～５のいずれか一項に記載の膣内装置（１）。
7. 女性の腹圧性尿失禁の制御の支援に使用するための、請求項１～６のいずれか一項に記載の膣内装置（１）。
8. 骨盤臓器脱の支援に使用するための、請求項１～６のいずれか一項に記載の膣内装置（１）。
9. 膀胱瘤、尿道瘤、子宮脱、膣円蓋脱、腸瘤、直腸瘤、またはそれらの組み合わせの支援に使用するための、請求項１～６のいずれか一項に記載の膣内装置（１）。
10. 請求項１～６のいずれか一項に記載の膣内装置（１）と、説明書と、を含む、キット。
11. 補助ワンド（１０）をさらに含む、請求項１０に記載のキット。
12. 前記補助ワンド（１０）が、フック（１１）を備える、請求項１１に記載のキット。
13. 前記補助ワンド（１０）が、前記膣内装置（１）を圧潰された位置に保持するボウル（１２）端部を備える、請求項１１または１２に記載のキット。

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