JP7265517B2 - 成膜方法 - Google Patents

成膜方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7265517B2
JP7265517B2 JP2020207865A JP2020207865A JP7265517B2 JP 7265517 B2 JP7265517 B2 JP 7265517B2 JP 2020207865 A JP2020207865 A JP 2020207865A JP 2020207865 A JP2020207865 A JP 2020207865A JP 7265517 B2 JP7265517 B2 JP 7265517B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
raw material
material solution
film forming
mist
film
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020207865A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2022094781A (ja
Inventor
崇寛 坂爪
武紀 渡部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2020207865A priority Critical patent/JP7265517B2/ja
Publication of JP2022094781A publication Critical patent/JP2022094781A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7265517B2 publication Critical patent/JP7265517B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Liquid Deposition Of Substances Of Which Semiconductor Devices Are Composed (AREA)

Description

本発明は、ミスト化した原料溶液を用いて基板上に成膜を行う成膜方法に関する。
従来、パルスレーザー堆積法(Pulsed laser deposition:PLD)、分子線エピタキシー法(Molecular beam epitaxy:MBE)、スパッタリング法等の非平衡状態を実現できる高真空成膜装置が開発されており、これまでの融液法等では作製不可能であった酸化物半導体の作製が可能となってきた。また、霧化されたミスト状の原料を用いて、基板上に結晶成長させるミスト化学気相成長法(Mist Chemical Vapor Deposition:Mist CVD。以下、「ミストCVD法」ともいう。)が開発され、コランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga)の作製が可能となってきた。α-Gaは、バンドギャップの大きな半導体として、高耐圧、低損失及び高耐熱を実現できる次世代のスイッチング素子への応用が期待されている。
ミストCVD法に関して、特許文献1には、管状炉型のミストCVD装置が記載されている。特許文献2には、ファインチャネル型のミストCVD装置が記載されている。特許文献3には、リニアソース型のミストCVD装置が記載されている。特許文献4には、管状炉のミストCVD装置が記載されており、特許文献1に記載のミストCVD装置とは、ミスト発生器内にキャリアガスを導入する点で異なっている。特許文献5には、ミスト発生器の上方に基板を設置し、さらにサセプタがホットプレート上に備え付けられた回転ステージであるミストCVD装置が記載されている。
特開平1-257337号公報 特開2005-307238号公報 特開2012-46772号公報 特許第5397794号公報 特開2014-63973号公報
ミストCVD法は、他のCVD法とは異なり比較的低温で成膜が行うことができ、α-Gaのコランダム構造のような準安定相の結晶構造も作製可能である。しかしながら、本発明者らは、従来のミストCVD法による成膜ではミストの生成量が少ないために成膜速度が遅いという問題を見出した。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ミストの生成量を増大させ、成膜速度に優れた成膜方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、ミスト化した原料溶液を成膜部内の基板上で熱処理して成膜を行う成膜方法であって、成膜原料を含む原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、前記原料溶液に対し霧化又は液滴化処理を行い、前記霧化又は液滴化処理を受けた液状の前処理済原料溶液を得る前処理工程と、前記前処理済原料溶液を霧化又は液滴化してミストを生成するミスト化ステップと、前記ミストをキャリアガスにより前記成膜部に搬送する搬送ステップと、前記成膜部において前記ミストを加熱した前記基板上にて熱処理して成膜を行う熱処理ステップを含む成膜工程を有する成膜方法を提供する。
このような成膜方法によれば、ミストの生成量を増大させ、成膜速度に優れた成膜方法となる。
このとき、前記原料溶液がガリウムを含む成膜方法とすることができる。
これにより、成膜速度が優れたガリウム含有膜の成膜方法とすることができる。
このとき、前記原料溶液がハロゲンを含む成膜方法とすることができる。
これにより、ミストの生成量を更に増加させることができ、成膜速度が優れた成膜方法とすることができる。
このとき、前記前処理工程において、超音波により前記霧化又は液滴化を行う成膜方法とすることができる。
これにより、ミストの生成量を安定してより増加させることができ、成膜速度が更に優れた成膜方法とすることができる。
このとき、前記前処理工程において前記霧化又は液滴化処理を行う前処理容器と前記成膜工程のミスト化ステップにおいて前記霧化又は液滴化を行うミスト化容器とを異なるものとする成膜方法とすることができる。
これにより、成膜工程を行いながら前処理工程を行うことができ、高い成膜速度で生産性に優れた成膜方法とすることができる。
このとき、前記成膜工程が、前記ミスト化ステップ中に前記前処理済原料溶液を前記ミスト化容器に補給する補液ステップを更に含む成膜方法とすることができる。
これにより、ミストの生成量が多い状態で連続的に成膜工程を行うことができ、長時間の成膜においても高い成膜速度で生産性に優れた成膜方法とすることができる。
以上のように、本発明の成膜方法によれば、ミストの生成量を増大させ、成膜速度に優れた成膜が可能となる。
本発明に係る成膜方法のフローの概略を示す図である。 本発明に係る成膜方法で使用可能な成膜装置の一例を示す概略構成図である。 成膜装置のミスト化部の一例を説明する図である。 本発明に係る成膜方法で使用可能な、前処理部を備えた成膜装置の一例を示す概略構成図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上述のように、ミストの生成量を増大させ、成膜速度に優れた成膜方法が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、ミスト化した原料溶液を成膜部内の基板上で熱処理して成膜を行う成膜方法であって、成膜原料を含む原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、前記原料溶液に対し霧化又は液滴化処理を行い、前記霧化又は液滴化処理を受けた液状の前処理済原料溶液を得る前処理工程と、前記前処理済原料溶液を霧化又は液滴化してミストを生成するミスト化ステップと、前記ミストをキャリアガスにより前記成膜部に搬送する搬送ステップと、前記成膜部において前記ミストを加熱した前記基板上にて熱処理して成膜を行う熱処理ステップを含む成膜工程を有する成膜方法により、ミストの生成量を増大させ、成膜速度に優れた成膜が可能となることを見出し、本発明を完成した。
以下、本発明について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明に係る成膜方法に用いることが可能な成膜装置について説明する。なお、本発明でいうミストとは、気体中に分散した液体の微粒子の総称を指し、霧、液滴等と呼ばれるものも含む。
[成膜装置]
図2に、本発明に係る成膜方法に使用可能な成膜装置101の一例を示す。成膜装置101は、原料溶液をミスト化してミストを発生させるミスト化部120と、ミストを搬送するキャリアガスを供給するキャリアガス供給部130と、ミストを熱処理して基板上に成膜を行う成膜部140と、ミスト化部120と成膜部140とを接続し、キャリアガスによってミストが搬送される搬送部109とを有する。また、成膜装置101は、成膜装置101の全体又は一部を制御する制御部(図示なし)を備えることによって、その動作が制御されてもよい。
(ミスト化部)
ミスト化部120では、原料溶液をミスト化してミストを発生させる。ミスト化手段は、原料溶液をミスト化できさえすれば特に限定されず、公知のミスト化手段であってもよいが、超音波振動によるミスト化手段を用いることが好ましい。より安定してミスト化することができるためである。
このようなミスト化部120の一例について、図3も併せて参照しながら説明する。例えば、原料溶液104aが収容されミスト発生源として機能するミスト化容器104と、超音波振動を伝達可能な媒体、例えば水105aが入れられる容器105と、容器105の底面に取り付けられた超音波振動子106を含んでもよい。詳細には、原料溶液104aが収容されている容器からなり、ミスト発生源として機能するミスト化容器104が、水105aが収容されている容器105に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器105の底部には、超音波振動子106が備え付けられており、超音波振動子106と発振器116とが接続されている。そして、発振器116を作動させると、超音波振動子106が振動し、水105aを介して、ミスト化容器104内に超音波が伝播し、原料溶液104aがミスト化するように構成されている。このような成膜装置では、ミスト化部120において後述する原料溶液の前処理工程と成膜工程におけるミスト化ステップの両方を行うことができる。
本発明に係る成膜方法に使用する成膜装置としては、ミスト化部120とは別に、原料溶液の前処理のみを行う前処理部を備える装置も好適である。このような成膜装置の一例を図4に示す。図4に示す成膜装置201において、前処理部220では原料溶液に対し霧化又は液滴化処理のみを行うため、生成したミストを前処理部220の外部へと排出する必要はない。前処理部220では、原料溶液を霧化又は液滴化処理できさえすれば特に限定されず、ミスト化部120と異なる霧化又は液滴化手段(方法)を用いてもよいが、超音波振動による霧化又は液滴化手段を用いることが好ましい。簡便にかつより安定して、霧化又は液滴化処理することができるためである。
前処理部220は、例えば図4に示すように、原料溶液204aが収容され、原料溶液に対し霧化又は液滴化処理が可能な前処理容器204と、超音波振動を伝達可能な媒体、例えば水205aが入れられる容器205と、容器205の底面に取り付けられた超音波振動子206を含んでもよい。詳細には、原料溶液204aが収容されている容器からなり、原料溶液に対し霧化又は液滴化処理が可能な前処理容器204が、水205aが収容されている容器205に、支持体(図示せず)を用いて収納されている。容器205の底部には、超音波振動子206が備え付けられており、超音波振動子206と発振器216とが接続されている。そして、発振器216を作動させると、超音波振動子206が振動し、水205aを介して、前処理容器204内に超音波が伝播し、原料溶液204aに対し霧化又は液滴化処理するように構成されている。
またこの場合図4に示すように、ミスト化部120には、前処理部220で処理した前処理済原料溶液を収容しミスト化部120に補給することのできる補液容器230を設けることも好ましい。このような装置は、成膜工程を行いながら、前処理済原料溶液をミスト化部120に補充可能なものであり、長時間の成膜工程を行う場合であっても、連続して原料溶液をミスト化できるものとなるためである。
(キャリアガス供給部)
図2,4におけるキャリアガス供給部130は、キャリアガスを供給するキャリアガス源102aを有し、キャリアガス源102aから送り出されるキャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103aを備えていてもよい。また、必要に応じて希釈用キャリアガスを供給する希釈用キャリアガス源102bや、希釈用キャリアガス源102bから送り出される希釈用キャリアガスの流量を調節するための流量調節弁103bを備えることもできる。
キャリアガスの種類は、特に限定されず、成膜物に応じて適宜選択可能である。例えば、酸素、オゾン、窒素やアルゴン等の不活性ガス、又は水素ガスやフォーミングガス等の還元ガスなどが挙げられる。また、キャリアガスの種類は1種類でも、2種類以上であってもよい。例えば、第1のキャリアガスと同じガスをそれ以外のガスで希釈した(例えば10倍に希釈した)希釈ガスなどを、第2のキャリアガスとしてさらに用いてもよく、空気を用いることもできる。また、キャリアガスの供給箇所も1箇所だけでなく、2箇所以上あってもよい。
(搬送部)
搬送部109は、ミスト化部120と成膜部140とを接続する。搬送部109を介して、ミスト化部120のミスト化容器104から成膜部140の成膜室107へと、キャリアガスによってミストが搬送される。搬送部109は、例えば、供給管109aとすることができる。供給管109aとしては、例えば石英管や樹脂製のチューブなどを使用することができる。
(成膜部)
成膜部140では、ミストを加熱し熱反応を生じさせて、基板の表面の一部又は全部に成膜を行う。成膜部140は、例えば成膜室107を備え、成膜室107内には基板110が設置され、該基板110を加熱するためのホットプレート108を備えることができる。ホットプレート108は、図2,4に示されるように成膜室107の内部に設けられていてもよいし、成膜室107の外部に設けられていてもよい。また、成膜室107には、基板110へのミストの供給に影響を及ぼさない位置に、排ガスの排気口111が設けられてもよい。また、基板110を成膜室107の上面に設置するなどして、フェイスダウンとしてもよいし、基板110を成膜室107の底面に設置して、フェイスアップとしてもよい。
[成膜方法]
次に、本発明に係る成膜方法について、図を参照しながら説明する。図1に本発明に係る成膜方法のフローの概略を示す。
(原料溶液調製工程:P1)
図1のP1に示すように、まず、成膜原料を含む原料溶液を調製する。原料溶液は、ミスト化が可能な材料を含んでいれば特に限定されず、無機材料であっても、有機材料であってもよい。金属又は金属化合物が好適に用いられ、ガリウム、鉄、インジウム、アルミニウム、バナジウム、チタン、クロム、ロジウム、ニッケル及びコバルトから選ばれる1種又は2種以上の金属を含むものを使用できる。特に原料溶液としては、ガリウムを含むものを用いることが好ましい。これにより酸化ガリウムなどのガリウム含有膜を高い成膜速度で成膜できる。また、原料溶液としては、ハロゲンを含むものを用いることが好ましい。これにより後述の前処理工程によるミストの生成量が更に増加し、成膜速度に優れた成膜方法となる。
また、原料溶液として、金属を錯体又は塩の形態で、有機溶媒又は水に溶解又は分散させたものを好適に用いることができる。特に水溶液とすることが好ましい。錯体の形態としては、例えば、アセチルアセトナート錯体、カルボニル錯体、アンミン錯体、ヒドリド錯体などが挙げられる。塩の形態としては、例えば、塩化金属塩、臭化金属塩、ヨウ化金属塩などが挙げられる。また、上記金属を、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸等に溶解したものも塩の水溶液として用いることができる。溶質濃度は0.01~1mol/Lが好ましい。
また、原料溶液には、ハロゲン化水素酸や酸化剤等の添加剤を混合してもよい。前記ハロゲン化水素酸としては、例えば、臭化水素酸、塩酸、ヨウ化水素酸などが挙げられるが、なかでも、臭化水素酸又はヨウ化水素酸が好ましい。酸化剤としては、例えば、過酸化水素(H)、過酸化ナトリウム(Na)、過酸化バリウム(BaO)、過酸化ベンゾイル(CCO)等の過酸化物、次亜塩素酸(HClO)、過塩素酸、硝酸、オゾン水、過酢酸やニトロベンゼン等の有機過酸化物などが挙げられる。
さらに、原料溶液にはドーパントが含まれていてもよい。ドーパントの種類は特に限定されない。例えば、スズ、ゲルマニウム、ケイ素、チタン、ジルコニウム、バナジウム又はニオブ等のn型ドーパント、又は、銅、銀、スズ、イリジウム、ロジウム等のp型ドーパントなどが挙げられる。ドーパントの濃度は、例えば、約1.0×10-9~1.0mol/Lであってもよく、約1.0×10-7mol/L以下の低濃度にしても、約0.01mol/L以上の高濃度としてもよい。
(前処理工程:P2)
次に、図1のP2に示すように、原料溶液調製工程で調整した原料溶液に対し霧化又は液滴化処理を行い、霧化又は液滴化処理を受けた液状の前処理済原料溶液を得る。このように、原料溶液に対し霧化又は液滴化処理の前処理を行っておくことで、次の成膜工程のミスト化ステップにおいて原料溶液のミスト化を行うときに、ミスト発生量を増大させることができる。
前処理工程にて霧化又は液滴化処理するときの条件は特に限定されない。後の成膜工程におけるミスト化ステップのミスト生成条件と同じ条件としてもよいし、異なる条件としてもよい。特に、超音波により霧化又は液滴化処理を行うことが好ましい。但し、前処理工程にて原料溶液を霧化又は液滴化処理するとミストが生成するが、前処理工程を行う容器の外部へ排出しないことが好ましい。
前処理工程にて霧化又は液滴化処理する時間は特に限定されないが、好ましくは、5分以上が120分未満であり、より好ましくは10分以上が60分未満である。前処理工程における原料溶液の温度は、特に限定されないが、好ましくは5℃以上60℃未満であり、より好ましくは20℃以上50℃未満である。このような時間、温度の範囲であれば、より安定して後のミスト化ステップで生成するミストの量を増大させることができる。
このような原料溶液の前処理により後の成膜工程におけるミスト化ステップでのミスト発生量が増大する理由の詳細は不明であるが、原料溶液を調製した状態では溶液中の成膜原料成分がクラスター化しており、ミスト化しにくい状態となっていることが考えられる。これに対し、原料溶液に対し上記のような前処理を行うことで、クラスターが細分化され、後のミスト化ステップで効率的なミスト化が可能となると考えられる。
前処理工程は、図2に記載されるような装置を用いてミスト化部120で行ってもよいし、図4に記載されるような成膜装置201のような、ミスト化部120とは別に前処理部220を備えた成膜装置を用いてもよい。前処理工程において霧化又は液滴化処理を行う前処理容器と、成膜工程のミスト化ステップにおいて霧化又は液滴化を行うミスト化容器とを異なるものとして、前処理部220で前処理工程のみを行うこととすれば、成膜工程と並行して前処理工程を行うことができ、後述するように、ミスト化ステップ中に前処理済原料溶液をミスト化容器に補給することが可能となる。
(成膜工程:P3)
図1のP3に示すように、本発明に係る成膜方法における成膜工程は、前処理済原料溶液を霧化又は液滴化してミストを生成するミスト化ステップ(S1)と、ミストをキャリアガスにより成膜装置の成膜部に搬送する搬送ステップ(S2)と、成膜部においてミストを加熱した基板上にて熱処理して成膜を行う熱処理ステップ(S3)を含んでいる。
ミスト化ステップ(S1)では原料溶液がミスト化されればどのような方法、条件であってもよい。簡便かつ安定的にミストを生成できる点で、超音波によるミスト化が好ましい。また、搬送ステップ(S2)において、キャリアガスの流量は特に限定されない。例えば、直径4インチ(直径100mm)の基板上に成膜する場合には、1~80L/分とすることが好ましく、4~40L/分とすることがより好ましい。
また、上述のように図4に記載されるような成膜装置201を用いて、ミスト化ステップ(S1)中に、別途前処理を行った前処理済原料溶液をミスト化容器に補給する補液ステップ(S4)を行うことが好ましい。長時間の成膜工程を行う場合でも連続して前処理済原料溶液のミスト化を行うことができ、生産性を向上できるからである。
なお、基板110は、成膜可能であり膜を支持できるものであれば特に限定されない。前記基板110の材料も、特に限定されず、公知の基板を用いることができ、有機化合物であってもよいし、無機化合物であってもよい。例えば、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素樹脂、鉄やアルミニウム、ステンレス鋼、金等の金属、シリコン、サファイア、石英、ガラス、酸化ガリウム、タンタル酸リチウム等が挙げられるが、これに限られるものではない。結晶性の基板も好適に用いることができる。また基板の厚さは特に限定されないが、好ましくは、10~2000μmであり、より好ましくは50~800μmである。
また、熱処理ステップ(S3)における成膜では、基板上に直接成膜を行ってもよいし、基板上に形成された中間層の上に積層させてもよい。この場合中間層は特に限定されず、例えば、アルミニウム、チタン、バナジウム、クロム、鉄、ガリウム、ロジウム、インジウム、イリジウムのいずれかを含む酸化物を主成分とすることができる。より具体的には、Al、Ti、V、Cr、Fe、Ga、Rh、In、Irであり、また上記の金属元素から選ばれる2元素をA、Bとした場合に(A1-x(0<x<1)で表される2元系の金属酸化物や、あるいは、上記の金属元素から選ばれる3元素をA、B、Cとした場合に(Al1-x-y(0<x<1、0<y<1)で表される3元系の金属酸化物とすることができる。
熱処理によるミストの熱反応は、加熱によりミストが反応すればよく、反応条件等も特に限定されない。原料や成膜物に応じて適宜設定することができる。例えば、加熱温度は120~600℃の範囲であり、好ましくは200℃~600℃の範囲であり、より好ましくは300℃~550℃の範囲とすることができる。
熱処理は、真空下、非酸素雰囲気下、還元ガス雰囲気下、空気雰囲気下及び酸素雰囲気下のいずれの雰囲気下で行われてもよく、成膜物に応じて適宜設定すればよい。また、熱処理時の圧力は、大気圧下、加圧下又は減圧下のいずれの条件下で行われてもよいが、大気圧下の成膜であれば、装置構成が簡略化できるので好ましい。
本発明においては、熱処理による成膜工程の後にアニール処理を行ってもよい。アニール処理の温度は特に限定されないが、600℃以下が好ましく、550℃以下がより好ましい。膜の結晶性を安定的に維持するためである。アニール処理の処理時間は特に限定されないが、10秒~10時間とすることが好ましく、10秒~1時間とすることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について具体的に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
図1に示す成膜装置を用いてミストCVDによる酸化ガリウムの成膜を行った。まず、ヨウ化ガリウムを水に溶解させ、0.05mol/Lの水溶液を調製し、これを原料溶液とした。上述のようにして得た原料溶液をミスト化容器104内に収容した。このときの溶液の温度は25℃であった。
次に、基板昇温工程を行った。基板110として直径4インチ(直径100mm)のc面サファイア基板を、成膜室107内でホットプレート108に載置し、ホットプレート108を作動させて温度を500℃に昇温した。
次に、前処理工程を行った。超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液に伝播させることによって、原料溶液をミスト化してミストを生成した。30分後、超音波振動子の振動を停止させ原料溶液104aを調製した。このとき、生成したミストを成膜室107へと送ることはしなかった。
続いて、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、102bからキャリアガスとして窒素ガスを成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量を10L/分に、希釈用キャリアガスの流量を10L/分にそれぞれ調節した。
次に、超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて原料溶液104aに伝播させることによって、原料溶液104aをミスト化してミストを生成し、成膜工程を開始した。
このミストを、キャリアガスによって供給管109aを経て成膜室107内に導入した。そして、大気圧下、500℃の条件で、成膜室107内でミストを熱反応させて、基板110上にコランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga)の薄膜を形成した。成膜工程の時間は30分とした。
(比較例1)
原料溶液に対して前処理工程を行わず、調製したままの原料溶液を用いてミスト化して生成したミストを成膜に用いた以外は、実施例1と同様に成膜を行った。
(実施例2)
アルミニウムアセチルアセトナート錯体を塩酸溶液に溶解させ、0.05mol/Lの水溶液を調製し、原料溶液としたこと以外は、実施例1と同様に成膜を行った。
(実施例3)
硝酸ガリウムを水に溶解させ0.05mol/Lの水溶液を調製し、原料溶液としたこと以外は、実施例1と同様に成膜を行った。
(実施例4)
ミスト化ステップ中に補液ステップを行うため、図4に示すような、前処理部220及びミスト化容器104の上面に補液容器230を設置した成膜装置201を用いた。
ヨウ化ガリウムを水に溶解させ、0.05mol/Lの水溶液を500mL調製し、これを原料溶液とした。上述のようにして得た原料溶液のうち200mLを前処理容器204内に収容した。このときの溶液の温度は25℃であった。
次に、基板昇温工程を行った。基板110として直径4インチ(直径100mm)のc面サファイア基板を、成膜室107内でホットプレート108に載置し、ホットプレート108を作動させて温度を500℃に昇温した。
次に、前処理工程を行った。超音波振動子206を2.4MHzで振動させ、その振動を、水205aを通じて原料溶液に伝播させることによって、原料溶液に対し霧化又は液滴化処理を行った。30分後、超音波振動子の振動を停止させ前処理済原料溶液を調製した。
続いて、前処理部220の前処理容器204内の前処理済原料溶液を、ミスト化容器104及び補液容器230にそれぞれ100mLずつ加えた。その後、流量調節弁103a、103bを開いてキャリアガス源102a、102bからキャリアガスとして窒素ガスを成膜室107内に供給し、成膜室107の雰囲気をキャリアガスで十分に置換するとともに、主キャリアガスの流量を10L/分に、希釈用キャリアガスの流量を10L/分にそれぞれ調節した。
次に、成膜工程を開始した。超音波振動子106を2.4MHzで振動させ、その振動を、水105aを通じて前処理済原料溶液に伝播させることによって、前処理済原料溶液をミスト化してミストを生成した。このミストを、キャリアガスによって供給管109aを経て成膜室107内に導入した。そして、大気圧下、500℃の条件で、成膜室107内でミストを熱反応させて、基板110上にコランダム構造を有する酸化ガリウム(α-Ga)の薄膜を形成した。また、補液容器からミスト化容器内に、3mL/分で前処理済原料溶液を供給できるように調整した。成膜工程の時間は150分とした。
次に、前処理用容器に原料溶液を100mL加え、前処理工程を30分行い、再度前処理済原料溶液を調製した。そして、前処理済原料溶液を補液容器230に移した。その後、前処理工程を更に2度繰り返し、ミスト化容器内の原料溶液が不足しないように、補液ステップを行った。
(評価1)
成膜工程中の原料溶液の消費量を測定し、原料溶液の消費量を成膜工程の時間で割った平均値をミストの生成速度とした。
(評価2)
基板上に形成した薄膜について、測定箇所を基板上の面内の17点として、段差計を用いて膜厚を測定し、それぞれの値から平均膜厚を算出した。平均膜厚を成膜工程の時間で割ることで成膜速度を算出した。
表1に、実施例1-4、比較例1の代表的な条件と、評価1,2の結果を示す。
Figure 0007265517000001
表1に示す実施例1~4と比較例1との比較より、調製した原料溶液を霧化又は液滴化処理する前処理工程を行うことで、成膜速度が増大し優れた生産性となることが分かった。また実施例4では、ミスト生成速度、成膜速度ともに実施例1と同等であり、さらに補液ステップを行っているため、原料溶液が枯渇することなく長時間の連続した成膜を行うことが可能であった。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
101…成膜装置、 102a…キャリアガス源、
102b…希釈用キャリアガス源、 103a…流量調節弁、
103b…流量調節弁、 104…ミスト化容器、 104a…原料溶液、
105…容器、 105a…水、 106…超音波振動子、 107…成膜室、
108…ホットプレート、 109…搬送部、 109a…供給管、 110…基板、
111…排気口、 116…発振器、 120…ミスト化部、
130…キャリアガス供給部、 140…成膜部、
201…成膜装置、 204…前処理容器、 204a…原料溶液、 205…容器、
205a…水、 206…超音波振動子、 216…発振器、 220…前処理部、
230…補液容器。

Claims (5)

  1. ミスト化した原料溶液を成膜部内の基板上で熱処理して成膜を行う成膜方法であって、
    成膜原料を含む原料溶液を調製する原料溶液調製工程と、
    前記原料溶液に対し超音波により霧化又は液滴化処理を行い、前記霧化又は液滴化処理を受けた液状の前処理済原料溶液を得る前処理工程と、
    前記前処理済原料溶液を霧化又は液滴化してミストを生成するミスト化ステップと、前記ミストをキャリアガスにより前記成膜部に搬送する搬送ステップと、前記成膜部において前記ミストを加熱した前記基板上にて熱処理して成膜を行う熱処理ステップを含む成膜工程を有し、
    前記前処理工程と前記成膜工程における前記ミスト化ステップとの間では、前記原料溶液の霧化又は液滴化を行わないことを特徴とする成膜方法。
  2. 前記原料溶液がガリウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の成膜方法。
  3. 前記原料溶液がハロゲンを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の成膜方法。
  4. 前記前処理工程において前記霧化又は液滴化処理を行う前処理容器と前記成膜工程のミスト化ステップにおいて前記霧化又は液滴化を行うミスト化容器とを異なるものとすることを特徴とする請求項1からのいずれか一項に記載の成膜方法。
  5. 前記成膜工程が、前記ミスト化ステップ中に前記前処理済原料溶液を前記ミスト化容器に補給する補液ステップを更に含むことを特徴とする請求項に記載の成膜方法。
JP2020207865A 2020-12-15 2020-12-15 成膜方法 Active JP7265517B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020207865A JP7265517B2 (ja) 2020-12-15 2020-12-15 成膜方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020207865A JP7265517B2 (ja) 2020-12-15 2020-12-15 成膜方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022094781A JP2022094781A (ja) 2022-06-27
JP7265517B2 true JP7265517B2 (ja) 2023-04-26

Family

ID=82162464

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020207865A Active JP7265517B2 (ja) 2020-12-15 2020-12-15 成膜方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7265517B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019009405A (ja) 2017-06-28 2019-01-17 株式会社Flosfia 積層構造体および半導体装置
JP2021188090A (ja) 2020-05-29 2021-12-13 株式会社日本マイクロニクス 酸化タンタル薄膜の製造方法及び薄膜固体二次電池

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2019009405A (ja) 2017-06-28 2019-01-17 株式会社Flosfia 積層構造体および半導体装置
JP2021188090A (ja) 2020-05-29 2021-12-13 株式会社日本マイクロニクス 酸化タンタル薄膜の製造方法及び薄膜固体二次電池

Also Published As

Publication number Publication date
JP2022094781A (ja) 2022-06-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7223515B2 (ja) 成膜装置及び成膜方法
JP7374282B2 (ja) ガリウム含有膜の成膜方法
JP7285889B2 (ja) 酸化ガリウム半導体膜の製造方法及び成膜装置
JP7473591B2 (ja) 成膜装置及び成膜方法
JP2023015226A (ja) 酸化ガリウム半導体膜及び原料溶液
JP2024023981A (ja) 結晶性酸化物薄膜、積層体及び結晶性酸化物薄膜の製造方法
JP7265517B2 (ja) 成膜方法
JP7313530B2 (ja) 成膜方法
JP7316451B2 (ja) 成膜装置及び成膜方法
WO2023062889A1 (ja) 成膜装置及び製造方法
JP7436333B2 (ja) 成膜方法及び成膜装置
WO2022234750A1 (ja) 原料溶液の製造方法、成膜方法及び製品ロット
JP7274024B2 (ja) 成膜装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220614

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20220614

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220720

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221004

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20221122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230131

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230314

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230404

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230414

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7265517

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150