以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。なお、以下で説明する実施の形態は一例であり、本発明が適用される実施の形態は、以下の実施の形態に限られない。
本発明の実施の形態の無線通信システムの動作にあたっては、適宜、既存技術が使用される。ただし、当該既存技術は、例えば既存のLTEであるが、既存のLTEに限られない。また、本明細書で使用する用語「LTE」は、特に断らない限り、LTE-Advanced、及び、LTE-Advanced以降の方式(例:NR又は5G)を含む広い意味を有するものとする。
また、以下で説明する本発明の実施の形態では、既存のLTEで使用されているSS(Synchronization Signal)、PSS(Primary SS)、SSS(Secondary SS)、PBCH(Physical broadcast channel)、PRACH(Physical RACH)等の用語を使用している。これは記載の便宜上のためであり、これらと同様の信号、機能等が他の名称で呼ばれてもよい。
また、本発明の実施の形態において、複信(Duplex)方式は、TDD(Time Division Duplex)方式でもよいし、FDD(Frequency Division Duplex)方式でもよいし、又はそれ以外(例えば、Flexible Duplex等)の方式でもよい。
また、以下の説明において、送信ビームを用いて信号を送信することは、プリコーディングベクトルが乗算された(プリコーディングベクトルでプリコードされた)信号を送信することとしてもよい。同様に、受信ビームを用いて信号を受信することは、所定の重みベクトルを受信した信号に乗算することであってもよい。また、送信ビームを用いて信号を送信することは、特定のアンテナポートで信号を送信することであってもよい。同様に、受信ビームを用いて信号を受信することは、特定のアンテナポートで信号を受信することであってもよい。アンテナポートとは、3GPPの規格で定義されている論理アンテナポート又は物理アンテナポートを指す。
なお、送信ビーム及び受信ビームの形成方法は、上記の方法に限られない。例えば、複数アンテナを備える基地局装置100又は端末200において、それぞれのアンテナの角度を変える方法を用いてもよいし、プリコーディングベクトルを用いる方法とアンテナの角度を変える方法を組み合わせる方法を用いてもよいし、異なるアンテナパネルを切り替えて利用してもよいし、複数のアンテナパネルを合わせて使う方法を組み合わせる方法を用いてもよいし、その他の方法を用いてもよい。また、例えば、高周波数帯において、複数の互いに異なる送信ビームが使用されてもよい。複数の送信ビームが使用されることを、マルチビーム運用といい、ひとつの送信ビームが使用されることを、シングルビーム運用という。
また、本発明の実施の形態において、無線パラメータ等が「設定される」とは、所定の値が予め設定(Pre-configure)又は規定されることであってもよいし、基地局装置100又は端末200から通知される無線パラメータが設定されることであってもよい。
図1は、本発明の実施の形態における無線通信システムの構成例を示す図である。本発明の実施の形態における無線通信システムは、図1に示されるように、基地局装置100及び端末200を含む。図1には、基地局装置100及び端末200が1つずつ示されているが、これは例であり、それぞれ複数であってもよい。
基地局装置100は、1つ以上のセルを提供し、端末200と無線通信を行う通信装置である。図1に示されるように、基地局装置100は、端末200の電力制御に係る情報を端末200に送信する。電力制御に係る情報とは、例えば、DCI(Downlink Control Information)によって送信されるTPCコマンド(Transmission Power Controlコマンド)である。TPCコマンドによって、PUSCH(Physical Uplink Shared Channel)の送信電力の絶対値又は累積される値が端末200に通知される。
図1に示されるように、端末200は、UE能力報告を基地局装置100に送信する。UE能力報告とは、例えば、送信電力に係るパワークラス(Power class、PC)である。端末200は、いずれのパワークラスに対応するかを基地局装置100に報告する。また、図1に示されるように、端末200は、パワークラスに応じた送信電力制御が適用されたビームフォーミングによる上りリンク送信信号を基地局装置100に向けて送信する。
図2は、デジタルビームフォーミングを行う回路の構成例を示す図である。ビームフォーミングを実現する方法として、図2に示されるように、送信アンテナ素子数と同じ数のDAC(Digital Analog Converter)を備えると共に、プリコーディングを行うベースバンド信号処理を送信アンテナ素子の数だけ行うデジタルビームフォーミングが検討されている。
図3は、アナログビームフォーミングを行う回路の構成例を示す図である。アナログビームフォーミングを実現する方法として、図3に示されるように、送信信号がDACを介してアナログ信号に変換された後段において、RF(Radio Frequency)回路内の可変移相器を用いてビームフォーミングを実現するアナログビームフォーミングが検討されている。
図4は、ハイブリッドビームフォーミングを行う回路の構成例を示す図である。図4に示されるように、デジタルビームフォーミング及びアナログビームフォーミングを組み合わせることで、ビームフォーミング処理を、プリコーディングを行うベースバンド信号処理とRF回路内の可変移相器との両方で実現するハイブリッドビームフォーミングが検討されている。
図5は、本発明の実施の形態における本発明の実施の形態におけるビームフォーミング時のEIRP及びCDFについて説明するための図である。図5において、端末200のビームフォーミング時のアンテナ特性を模式的に示す。図5に示されるように、端末200のビームフォーミング時のアンテナ特性は、指向性を有する。
図5の上側の図は、水平面のアンテナ特性を示しており、最大の放射に対応するメインローブと、その他のサブローブとが示されている。図5に示されるように、指向性を持つアンテナであるため、放射角によって利得が大きく変わる。等方性アンテナゲイン0dBiを示す点線から、メインローブの最大放射までが、端末200の指向性アンテナのアンテナゲインとなる。
図5の下側の図は、垂直面のアンテナ特性を示しており、最大の放射に対応するメインローブと、その他のサブローブとが示されている。端末200が地表にあることを想定しているため、半球型の垂直面を表示しているが、実際は球状に電力は放射される。
ここで、EIRP(Equivalent Isotropic Radiated Power、等価等方放射電力)におけるCDF(Cumulative Distribution Function、累積分布関数)を定義する一例を説明する。アンテナから球状に放射される電力に対して、電力を測定する試験点を、端末を中心とする3次元の球状に複数設け、各試験点における電力を測定し、各試験点において達成可能なEIRPの割合を累積分布としてプロットしたものが、CDFとなる。
図5に示されるように、端末200のアンテナのメインローブの最大放射が、ピークEIRPに対応する。すなわち、端末200のアンテナが最大のアンテナゲインを得られる方向で、CDFは100パーセントとなりピークEIRPが達成される。このとき、等方性アンテナゲイン0dBiで示した点線から、メインローブの先端までが、アンテナゲインに対応する。例えば、アンテナコネクタ端において20dBmの送信電力であり、ピークEIRPが30dBmであった場合、ピークEIRPを達成しているときのアンテナゲインは10dBである。端末200が、ピークEIRPを達成しないとき、すなわち、端末200が、アンテナのボアサイトに向けて送信していない場合、例えば、7dB等にアンテナゲインは低下する。
また、図5に示される端末200のアンテナにおいて、CDFが50%となるEIRPを「CDF 50% EIRP」の破線で示した。このとき、等方性アンテナゲイン0dBiで示した点線から、CDFが50%となるEIRPを達成する位置までが、アンテナゲインに対応する。例えば、アンテナコネクタ端において20dBmの送信電力であり、CDFが50%となるEIRPが24dBmであった場合、アンテナゲインは4dBである。
図6は、本発明の実施の形態におけるUE能力報告の手順を説明するためのシーケンス図である。ステップS1において、端末200は、送信電力に係るUE能力を基地局装置100に送信する。送信電力に係るUE能力として、パワークラス及び球状カバレッジ(spherical coverage)を示す情報がある。球状カバレッジとは、図5で説明したEIRP又はCDFで規定される球状の範囲である。
NRにおいて、UE能力の通知に含まれるパワークラスは、例えば以下の4つが検討されている。
1)FR1 UE power class
2)FR2 UE power class
3)FR1 UE power class for EN-DC
4)FR1 UE power class for NR CA
上記におけるFR(Frequency Range)は、周波数帯を示す。例えば、FR1は、450MHzから6000MHzに対応し、FR2は、24250MHzから52600MHzに対応してもよい。上記の周波数は一例であり、周波数帯を規定する周波数は変更されてもよい。
上記1)FR1 UE power classは、RF特性に関連する特徴を有し、バンドごとに規定されるパワークラスである。上記2)FR2 UE power classは、RF特性に関連する特徴を有し、バンドごとに規定されるパワークラスである。上記3)FR1 UE power class for EN-DCは、RF特性及びベースバンド処理に係る特徴を有し、バンドコンビネーションごとに規定されるパワークラスである。EN-DCとは、E-UTRA(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)及びNR双方で通信を行うデュアルコネクティビティである。上記4)FR2 UE power class for NR CAは、RF特性及びベースバンド処理に係る特徴を有し、バンドコンビネーションごとに規定されるパワークラスである。NR CAは、NRにおけるキャリアアグリゲーション(CA:Carrier Aggregation)である。
例えば、EN-DCにおけるパワークラスは、LTEのパワークラスと、NRのパワークラスとに基づいて規定されてもよい。例えば、LTEのパワークラスと、NRのパワークラスとで、最大のパワークラスがEN-DCにおけるパワークラスとして規定されてもよい。また、例えば、LTEのパワークラスと、NRのパワークラスとの和が、EN-DCにおけるパワークラスとして規定されてもよい。
EN-DCのパワークラスは、端末200のパワーアンプ及びRF回路の実装に応じて、規定されてもよい。例えば、LTEとNRとでパワーアンプ及びRF回路が共通である場合、LTEのパワークラスと、NRのパワークラスとで、最大のパワークラスがEN-DCにおけるパワークラスとして規定されてもよい。また、例えば、LTEとNRとでパワーアンプ及びRF回路が独立である場合、LTEのパワークラスと、NRのパワークラスとの和が、EN-DCにおけるパワークラスとして規定されてもよい。
FR1におけるNRのパワークラスは、LTEと同様に規定されてもよい。すなわち、バンドごとにデフォルトパワークラスが規定されてもよい。デフォルトパワークラスとは、予め規定された所定のパワークラスである。端末200が、デフォルトパワークラスのみに対応する場合、UE能力のシグナリングに、デフォルトパワークラスは含まれず、対応する周波数バンドのみが含まれる。端末200が、デフォルトパワークラスに加えて、他のパワークラスに対応する場合のみ、当該他のパワークラスは、UE能力のシグナリングに含まれる。
ここで、FR2におけるNRのパワークラスは、各バンドにデフォルトパワークラスを規定せずに、端末200の用途又は特性に応じてパワークラスを変更してもよい。しかしながら、FR2における詳細なパワークラスの定義の検討はされていない。また、NR CA又はEN-DC向けに、詳細なパワークラスの定義の検討はされていない。特に、セルごとに規定される最大送信電力であるP_MAXで、各RAT(Radio Access Technology)の最大送信電力であるP_CMAXが、パワークラス以下に抑制されている場合、EN-DC向けのP_CMAXが規定されていない。
以下、UE能力に関する第1の報告手順を説明する。表1は、FR2のNR各周波数バンドに対して、端末種別ごとに、デフォルトパワークラス及び球状カバレッジ、追加パワークラス及び球状カバレッジが規定される一例である。
表1に示される「Band number」は、各バンドを識別する。また、端末種別「UE types」は、移動可能な端末200を示す「Mobile」及び固定された端末200を示す「Fixed」を含む。端末200は、接続可能なバンドに対応する「Band number」と、「UE types」とをUE能力に含めて基地局装置100に報告する。
表1に示される「Default PC / Spherical coverage」は、デフォルトパワークラス及び球状カバレッジであり、予め各バンド及び端末種別に対して規定され、端末200から基地局装置100にUE能力として報告されなくてもよい。表1に示される「Additional PC / Spherical coverage」は、デフォルトパワークラス及び球状カバレッジ以外に追加されるパワークラス及び球状カバレッジであり、端末200から基地局装置100にUE能力として報告される。
表1に示される第1の例は、「Band number」が「n256」であり「UE types」が「Mobile」である場合、デフォルトパワークラスは「23dBm」であり、球状カバレッジは、EIRP20dBm及びCDF20パーセンタイルで示され、追加のパワークラス及び球状カバレッジはサポートされない。ここで、デフォルトパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP20dBmから23dBmまで、CDF20パーセンタイルで示されるものであってもよい。
表1に示される第2の例は、「Band number」が「n256」であり「UE types」が「Fixed」である場合、デフォルトパワークラスは「26dBm」であり、球状カバレッジは、EIRP23dBm及びCDF95パーセンタイルで示され、追加のパワークラスは「30dBm」及び球状カバレッジは、EIRP27dBm及びCDF95パーセンタイルで示される。ここで、デフォルトパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP23dBmから26dBmまで、CDF95パーセンタイルで示されるものであってもよく、追加のパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP27dBmから30dBmまで、CDF95パーセンタイルで示されるものであってもよい。
表1に示される第3の例は、「Band number」が「n257」であり「UE types」が「Mobile」である場合、デフォルトパワークラスは「23dBm」であり、球状カバレッジは、EIRP20dBm及びCDF20パーセンタイルで示され、追加のパワークラスは「26dBm」及び球状カバレッジは、EIRP23dBm及びCDF20パーセンタイルで示される。ここで、デフォルトパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP20dBmから23dBmまで、CDF20パーセンタイルで示されるものであってもよく、追加のパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP23dBmから26dBmまで、CDF20パーセンタイルで示されるものであってもよい。
表1に示される第4の例は、「Band number」が「n257」であり「UE types」が「Mobile」である場合、デフォルトパワークラスは「30dBm」であり、球状カバレッジは、EIRP27dBm及びCDF95パーセンタイルで示され、追加のパワークラスは「33dBm」及び球状カバレッジは、EIRP30dBm及びCDF95パーセンタイルで示される。ここで、デフォルトパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP27dBmから30dBmまで、CDF95パーセンタイルで示されるものであってもよく、追加のパワークラスに対応する球状カバレッジは、EIRP30dBmから33dBmまで、CDF95パーセンタイルで示されるものであってもよい。
以下、UE能力に関する第2の報告手順を説明する。第2の報告手順において、端末200が、デフォルトパワークラスのみに対応する場合、UE能力のシグナリングに、デフォルトパワークラスは含まれず、対応する周波数バンドのみが含まれる。端末200が、デフォルトパワークラスに加えて、他のパワークラスに対応する場合のみ、当該他のパワークラスは、UE能力のシグナリングに含まれる。さらに、FR2のNR各周波数バンドに対して、パワークラスごとに、表2に示されるような球状カバレッジクラスが規定されて、端末200は、当該球状カバレッジクラスをUE能力のシグナリングに含める。または、複数のパワークラスに共通して、球状カバレッジクラスが規定されてもよく、パワークラスとは独立して、球状カバレッジクラスが規定されてもよい。
表2に示されるように、球状カバレッジクラス「Spherical coverage class」が、EIRP及びCDFで規定される。表2に示される第1の例では、球状カバレッジクラス「1」が、EIRPが20dBm及びCDFが20%で規定される。表2に示される第2の例では、球状カバレッジクラス「2」が、EIRPが30dBm及びCDFが50%で規定される。表2に示される第3の例では、球状カバレッジクラス「3」が、EIRPが40dBm及びCDFが95%で規定される。
端末200は、サポートする周波数バンドナンバと共に、デフォルトパワークラスに対応する球状カバレッジクラスをUE能力に含めて基地局装置100に報告する。複数のパワークラスに共通するかパワークラスとは独立して球状カバレッジクラスが規定される場合、デフォルトパワークラスとは独立して、球状カバレッジクラスはUE能力として基地局装置100に報告されてもよい。
端末200は、サポートする周波数バンドナンバと共に、デフォルトパワークラス以外のパワークラスをサポートする場合、当該サポートするパワークラスに対応する球状カバレッジクラスをUE能力に含めて基地局装置100に報告する。複数のパワークラスに共通するかパワークラスとは独立して球状カバレッジクラスが規定される場合、デフォルトパワークラス以外のパワークラスとは独立して、球状カバレッジクラスはUE能力として基地局装置100に報告されてもよい。
なお、球状カバレッジクラスは、表2のようにEIRP及びCDFで規定されてもよいし、EIRPのみで規定されてもよいし、CDFのみで規定されてもよい。
表3は、球状カバレッジクラスを規定する他の例である。
表3に示されるように、球状カバレッジクラスが、EIRPと、所定の範囲のCDFで規定されてもよい。表3に示される第1の例では、球状カバレッジクラス「1」が、EIRPが20dBm及びCDFが20%以上50%未満で規定される。表3に示される第2の例では、球状カバレッジクラス「2」が、EIRPが20dBm及びCDFが50%以上で規定される。表3に示される第3の例では、球状カバレッジクラス「3」が、EIRPが30dBm及びCDFが50%以上で規定される。表3に示される第4の例では、球状カバレッジクラス「4」が、EIRPが40dBm及びCDFが95%以上で規定される。
表4は、球状カバレッジクラスを規定する他の例である。
表4に示されるように、球状カバレッジクラスが、所定の範囲のEIRPと、CDFで規定されてもよい。表4に示される第1の例では、球状カバレッジクラス「1」が、EIRPが20dBm以上及びCDFが20%で規定される。表3に示される第2の例では、球状カバレッジクラス「2」が、EIRPが20dBm以上及びCDFが50%で規定される。表3に示される第3の例では、球状カバレッジクラス「3」が、EIRPが30dBm以上及びCDFが50%で規定される。表3に示される第4の例では、球状カバレッジクラス「4」が、EIRPが40dBm以上及びCDFが95%で規定される。
以下、NR CAにおけるパワークラスの定義について説明する。NR CAにおけるパワークラスは、CAが適用されない場合とは別途、NR CAのバンドコンビネーションごとにデフォルトパワークラスが規定されてもよい。端末200が、デフォルトパワークラスのみに対応する場合、UE能力のシグナリングに、対応するパワークラスは含まれず、対応するバンドコンビネーションのみが含まれる。端末200が、デフォルトパワークラスに加えて、他のパワークラスに対応する場合のみ、当該他のパワークラスは、UE能力のシグナリングに含まれて基地局装置100に通知される。なお、NR CAにおいて、FR1に含まれる周波数バンド及びFR2に含まれる周波数バンドの双方が使用されてもよい。
以下、EN-DCにおけるパワークラスの定義について説明する。上記のNR CAにおけるパワークラスと同様に、EN-DCにおけるパワークラスは、EN-DCのバンドコンビネーションごとにデフォルトパワークラスが規定されてもよい。端末200が、デフォルトパワークラスのみに対応する場合、UE能力のシグナリングに、デフォルトパワークラスは含まれず、対応するバンドコンビネーションのみが含まれる。端末200が、デフォルトパワークラスに加えて、他のパワークラスに対応する場合のみ、当該他のパワークラスは、UE能力のシグナリングに含まれて基地局装置100に通知される。
なお、EN-DCバンドコンビネーションにおけるNRでCAが適用されていてもよい。以下の1)~5)は、EN-DCバンドコンビネーションにおけるパワークラスの定義の例である。以下の1)~5)のようにパワークラスを定義することで、所望の送信電力制御を行うことができる。
1)EN-DCバンドコンビネーションごとに、LTEの周波数バンドのパワークラスと、NR CAバンドコンビネーションのパワークラスの総和との和が、当該EN-DCバンドコンビネーションのパワークラスとして定義されてもよい。
2)EN-DCバンドコンビネーションごとに、LTEの周波数バンドのパワークラスと、NR CAバンドコンビネーションのパワークラスの総和とで、より大きい方が当該EN-DCバンドコンビネーションのパワークラスとして定義されてもよい。
3)EN-DCバンドコンビネーションごとに、LTEの周波数バンドのパワークラスと、NR CAバンドコンビネーションのパワークラスとで、より小さい方が当該EN-DCバンドコンビネーションのパワークラスとして定義されてもよい。
4)EN-DCバンドコンビネーションごとに、LTEの周波数バンドのパワークラスと、NR CAバンドコンビネーションの各パワークラスとにおいて、最大のパワークラスが当該EN-DCバンドコンビネーションのパワークラスとして定義されてもよい。
5)EN-DCバンドコンビネーションごとに、LTEの周波数バンドのパワークラスと、NR CAバンドコンビネーションの各パワークラスとにおいて、最小のパワークラスが当該EN-DCバンドコンビネーションのパワークラスとして定義されてもよい。
なお、上記の1)~5)のうち、いずれの定義をEN-DCバンドコンビネーションのパワークラスとして使用するかを、EN-DCバンドコンビネーションごとに、基地局装置100は端末200に通知してもよい。
以下、EN-DCにおける最大送信電力値P_CMAXの定義について説明する。LTE又はNRにおけるP_CMAXは、以下のように算出されてもよい。
P_CMAX(LTE)=MIN(PowerClass_LTE,P_MAX(LTE))
P_CMAX(NR)=MIN(PowerClass_NR,P_MAX(NR))
さらに、EN-DCにおいて、MCG(Master Cell Group)とSCG(Secondary Cell Group)の合計のセルグループで許容される最大送信電力をP_MAX(EN-DC)として新たに定義する。P_MAX(EN-DC)は、RRC(Radio Resource Control)シグナリングで個別に端末200に通知されてもよい。
EN-DCにおけるP_CMAXは、P_MAX(EN-DC)を用いて以下のように算出されてもよい。
P_CMAX(EN-DC)=MIN{[P_CMAX(LTE)+P_CMAX(NR)],P_MAX(EN-DC),PowerClass(EN-DC)}
ステップS2において、基地局装置100は、ステップS1で受信した送信電力に係るUE能力に基づいて、電力制御に係る情報を端末200に送信する。電力制御に係る情報は、例えば、TPCコマンド、最大送信電力を決定するためのパラメータ等が含まれる。続くステップS3において、端末200は、ステップS2で受信した電力制御に係る情報に基づいて、送信電力制御を行う。例えば、端末200は、受信した電力制御に係る情報からP_MAXを取得して、P_CMAXを算出してもよいし、受信した電力制御に係る情報からTPCコマンドを取得して、送信電力制御を行ってもよい。
図7は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(1)である。図7において新たなパワークラスの定義の例を説明する。図7に示されるように、端末種別「UE type」と、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」とで、球状カバレッジを規定する例である。なお、表1と同様に、端末200が、デフォルトパワークラスのみに対応する場合、UE能力のシグナリングに、デフォルトパワークラスは含まれなくてもよい。
図7に示される第1の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」であり「UE type」が「Handheld」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「[21.2-25.2]」であり、対応する球状カバレッジは、CDFが20パーセンタイルでありEIRPが18dBmである。なお、当該「Power Class Min Peak EIRP」はデフォルトパワークラスであって、最大許容EIRPは43dBm、最大送信電力は23dBmである。
図7に示される第2の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」であり「UE type」が「Handheld」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「26」であり、対応する球状カバレッジは、CDFが20パーセンタイルでありEIRPが21dBmである。なお、最大許容EIRPは43dBm、最大送信電力は26dBmである。
図7に示される第3の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」であり「UE type」が「FWA(Fixed wireless access)」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「36」であり、対応する球状カバレッジは、CDFが95パーセンタイルでありEIRPが35dBmである。なお、当該「Power Class Min Peak EIRP」はデフォルトパワークラスであって、最大許容EIRPは55dBm、最大送信電力は26dBmである。
図7に示される第4の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」であり「UE type」が「FWA」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「26」であり、対応する球状カバレッジは、CDFが95パーセンタイルでありEIRPが25dBmである。なお、最大許容EIRPは43dBm、最大送信電力は23dBmである。
図8は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(2)である。図8において新たなパワークラスの定義の例を説明する。図8に示されるように、端末種別「UE type」と、ピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」とで、球状カバレッジクラスを規定し、球状カバレッジクラスが対応する球状カバレッジを別途規定される例である。なお、表1と同様に、端末200が、デフォルトパワークラスのみに対応する場合、UE能力のシグナリングに、デフォルトパワークラスは含まれなくてもよい。
図8の「NR FR2 UE Power Class」に示される第1の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「[21.2-25.2]」であり、対応する球状カバレッジクラスは、「1」である。なお、最大許容EIRPは43dBm、最大送信電力は23dBmである。
図8の「NR FR2 UE Power Class」に示される第2の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「36.0」であり、対応する球状カバレッジクラスは、「2」である。なお、最大許容EIRPは43dBm、最大送信電力は23dBmである。
図8の「NR FR2 UE Power Class」に示される第3の例は、バンドを識別する「NR band」が「n257」である場合、最小のピークEIRPで規定されるパワークラス「Power Class Min Peak EIRP」は、「36.0」であり、対応する球状カバレッジクラスは、「3」である。なお、最大許容EIRPは55dBm、最大送信電力は26dBmである。
図8の「NR FR2 UE Spherical Class」において、球状カバレッジクラス「1」は、球状カバレッジのCDFが20パーセンタイルでありEIRPが15dBmであることを示す。また、球状カバレッジクラス「2」は、球状カバレッジのCDFが50パーセンタイルでありEIRPが25dBmであることを示す。また、球状カバレッジクラス「3」は、球状カバレッジのCDFが95パーセンタイルでありEIRPが35dBmであることを示す。
図9は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(3)である。図9に示されるように、MR-DC(Multi RAT DC)時に規定される最大送信電力であるPEMAX,MR-DCが、端末200に上位レイヤを介してシグナリングされる。ここで、MR-DCは、EN-DCを指してもよい。
また、図9に示されるように、EN-DC時のデフォルトパワークラスPPowerClass_Default,EN-DCは、特に設定されない限り、パワークラス3であってよい。
また、図9に示されるように、EN-DC時のデフォルトパワークラスPPowerClass_Default,EN-DCとPEMAX,MR-DCとに基づいて、最大送信電力PCMAXが算出される。
また、図9に示されるように、デフォルトパワークラスより高いパワークラスに対応する端末200において、PEMAX,MR-DCが通知されないか、PEMAX,MR-DCが通知されてデフォルトパワークラス以下の最大送信電力である場合、ΔPPowerClass,EN-DCは、PPowerClass,EN-DC-PPowerClass_Default,EN-DCで定義され、他の場合、ΔPPowerClass,EN-DCは、0である。
上述の実施例において、基地局装置100及び端末200は、周波数バンド及び端末種別に関連付けられたデフォルトパワークラス又はパワークラスと、球状カバレッジクラスとをUE能力として基地局装置100に通知することができる。また、基地局装置100及び端末200は、デフォルトパワークラス又はパワークラスと、球状カバレッジクラスとに基づいて、送信電力制御を行うことができる。また、基地局装置100及び端末200は、LTE又はNRの各RATの最大送信電力に基づいて、EN-DCにおける最大送信電力を定義することができる。
すなわち、無線通信システムにおいて、ユーザ装置が適切な送信電力制御を行うことができる。
上述の通り、P_MAXは、セルごとに規定される最大送信電力である。現在、3GPPの会合では、FR2において、P_MAXを導入することについての検討が行われている。3GPPのリリース15では、FR2において、P_MAXが導入されないことが想定されている。これに対して、3GPPのリリース16では、FR2において、P_MAXが導入される可能性がある。
3GPPのリリース16で、FR2において、P_MAXが導入されると仮定する。さらに、3GPPのリリース15で、FR2において、P_MAXが導入されないと仮定する。この場合において、例えば、リリース16に対応する端末200は、基地局100から通知されるFR2に対するP_MAXに基づいて、FR2のセルに対して規定される最大送信電力を設定することが可能である。しかしながら、端末200がリリース15の機能をサポートし、かつリリース16の機能をサポートしない場合には、基地局100からFR2に対するP_MAXが通知された場合であっても、リリース15の機能では、FR2に対するP_MAXは通知されないことが想定されているため、端末200は適切に、通知されたFR2のP_MAXに基づいて、FR2のセルに対する最大送信電力を設定することができない可能性がある。なお、上述の例では、3GPPのリリース15及びリリース16としているが、適用される仕様は、この例には限定されない。仕様の更新に伴い、旧仕様では、FR2において、P_MAXが導入されず、更新された仕様では、FR2において、P_MAXが導入される場合には、上述の例と同様の問題が発生し得る。
従って、仕様の更新に伴い、旧仕様では、FR2において、P_MAXが導入されず、更新された仕様では、FR2において、P_MAXが導入される場合において、旧仕様の機能をサポートし且つ更新後の仕様の機能をサポートしない端末200に対して、FR2のP_MAXが通知された場合に、当該端末200を適切に動作させることを可能とする方法が必要とされている。
(Alt1)
System Information Block2(SIB2)は、セル再選択の情報及び周波数内セル再選択の情報を含む。例えば、旧仕様において、SIB2に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルに対するP_MAXのフィールドを無視し、当該FR2のセルに対するP_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
System Information Block4(SIB4)は、異なる周波数間のセル再選択に関する情報を含む。例えば、旧仕様において、SIB4に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルに対するP_MAXのフィールドを無視し、当該FR2のセルに対するP_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
情報要素FrequencyInfoUL-SIBは、アップリンクキャリア及びアップリンクキャリアでの送信の基本的なパラメータを含む。例えば、旧仕様において、FrequencyInfoUL-SIBに、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルに対するP_MAXのフィールドを無視し、当該FR2のセルに対するP_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
また、セルごとに規定される最大送信電力であるP_MAXの規定を変更してもよい。例えば、旧仕様において、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルに対するP_MAXのフィールドを無視し、当該FR2のセルに対するP_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
図10は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(4)を示す図である。図10の例に示されるように、旧仕様において、SIB2に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該P_MAXのフィールドを無視し、P_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力、つまり端末が当該セルの周波数バンド向けに対応しているPower classで定義される最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
図11は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(5)である。図11の例に示されるように、旧仕様において、SIB4に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該P_MAXのフィールドを無視し、P_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力、つまり端末が当該セルの周波数バンド向けに対応しているPower classで定義される最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
図12は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(6)を示す図である。図12の例に示されるように、旧仕様において、FrequencyInfoUL-SIBに、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該P_MAXのフィールドを無視し、P_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力、つまり端末が当該セルの周波数バンド向けに対応しているPower classで定義される最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
図13は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(7)を示す図である。図13の例に示されるように、旧仕様において、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該P_MAXのフィールドを無視し、P_MAXが含まれていないと見なして、仕様で規定されている最大送信電力、つまり端末が当該セルの周波数バンド向けに対応しているPower classで定義される最大送信電力を適用することが規定されてもよい。
上述のように、Alt1の方式によれば、旧仕様では、FR2において、P_MAXが導入されず、更新された仕様では、FR2において、P_MAXが導入される場合において、旧仕様の機能をサポートし且つ更新後の仕様の機能をサポートしない端末200に対して、FR2のP_MAXが通知された場合に、当該端末200は適切に動作することが可能となる。
(Alt2)
例えば、旧仕様において、SIB2に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
例えば、旧仕様において、SIB4に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
例えば、旧仕様において、FrequencyInfoUL-SIBに、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
例えば、旧仕様において、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
図14は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(8)を示す図である。図14の例に示されるように、旧仕様において、SIB2に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
図15は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(9)である。図15の例に示されるように、旧仕様において、SIB4に、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
図16は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(10)を示す図である。図16の例に示されるように、旧仕様において、FrequencyInfoUL-SIBに、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
図17は、本発明の実施の形態における仕様変更の例(11)を示す図である。図17の例に示されるように、旧仕様において、FR2のセルに対するP_MAXが含まれている場合、端末200は、当該FR2のセルを使用不能と見なさなければならないことが規定されてもよい。
上述のように、Alt2の方式によれば、旧仕様では、FR2において、P_MAXが導入されず、更新された仕様では、FR2において、P_MAXが導入される場合において、旧仕様の機能をサポートし且つ更新後の仕様の機能をサポートしない端末200に対して、FR2のP_MAXが通知された場合に、当該端末200は適切に動作することが可能となる。
(装置構成)
次に、これまでに説明した処理及び動作を実行する基地局装置100及び端末200の機能構成例を説明する。基地局装置100及び端末200はそれぞれ、少なくとも実施例を実施する機能を含む。ただし、基地局装置100及び端末200はそれぞれ、実施例の中の一部の機能のみを備えることとしてもよい。
図10は、基地局装置100の機能構成の一例を示す図である。図10に示されるように、基地局装置100は、送信部110と、受信部120と、設定情報管理部130と、電力設定部140とを有する。図10に示される機能構成は一例に過ぎない。本発明の実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
送信部110は、端末200に送信する信号を生成し、当該信号を無線で送信する機能を含む。受信部120は、端末200から送信されたNR-PUSCHを含む各種の信号を受信し、受信した信号から、例えばより上位のレイヤの情報を取得する機能を含む。また、受信部120は、端末200から受信したPT-RSに基づいて、NR-PUSCHを復調する。また、送信部110は、端末200へNR-PSS、NR-SSS、NR-PBCH、NR-PDCCH又はNR-PDSCH等を送信する機能を有する。また、送信部110は、端末200に各種の参照信号、例えば、DM-RSを送信する。
設定情報管理部130は、予め設定される設定情報、及び、端末200に送信する各種の設定情報を格納する。設定情報の内容は、例えば、端末200の送信電力制御に関する情報等である。
電力設定部140は、実施例において説明したように、電力制御に係る情報を基地局装置100から端末200に送信する。なお、電力設定部140における端末200への送信に係る機能部を送信部110に含めてもよいし、電力設定部140における端末200からの受信に係る機能部を受信部120に含めてもよい。
図11は、端末200の機能構成の一例を示す図である。図11に示されるように、端末200は、送信部210と、受信部220と、設定情報管理部230と、電力制御部240とを有する。図11に示される機能構成は一例に過ぎない。本発明の実施の形態に係る動作を実行できるのであれば、機能区分及び機能部の名称はどのようなものでもよい。
送信部210は、送信データから送信信号を作成し、当該送信信号を無線で送信する。また、送信部210は、基地局装置100に各種の参照信号を含む信号、例えば、PT-RS及び当該PT-RSに対応するNR-PUSCHを送信する。受信部220は、各種の信号を無線受信し、受信した物理レイヤの信号からより上位のレイヤの信号を取得する。また、受信部220は、基地局装置100から送信されるNR-PSS、NR-SSS、NR-PBCH、NR-PDCCH又はNR-PDSCH等を受信する機能を有する。また、送信部210は、基地局装置100に上りリンク信号を送信し、受信部220は、基地局装置100から各種の参照信号、例えば、DM-RS、PT-RS等を受信する。設定情報管理部230は、受信部220により基地局装置100から受信した各種の設定情報を格納する。また、設定情報管理部230は、予め設定される設定情報も格納する。設定情報の内容は、例えば、端末200の送信電力制御に関する情報等である。
電力制御部240は、実施例において説明したように、送信電力に係るUE能力を基地局装置100に送信する。また、電力制御部240は、基地局装置100から受信した電力制御に係る情報に基づいて、送信電力制御を行う。なお、電力制御部240における基地局装置100への送信に係る機能部を送信部210に含めてもよいし、電力制御部240における基地局装置100からの受信に係る機能部を受信部220に含めてもよい。
(ハードウェア構成)
上述の本発明の実施の形態の説明に用いた機能構成図(図10及び図11)は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に複数要素が結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
また、例えば、本発明の一実施の形態における基地局装置100及び端末200はいずれも、本発明の実施の形態に係る処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図12は、本発明の実施の形態に係る基地局装置100又は端末200である無線通信装置のハードウェア構成の一例を示す図である。上述の基地局装置100及び端末200はそれぞれ、物理的には、プロセッサ1001、記憶装置1002、補助記憶装置1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。基地局装置100及び端末200のハードウェア構成は、図に示した1001~1006で示される各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
基地局装置100及び端末200における各機能は、プロセッサ1001、記憶装置1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信、記憶装置1002及び補助記憶装置1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール又はデータを、補助記憶装置1003及び/又は通信装置1004から記憶装置1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、図10に示した基地局装置100の送信部110、受信部120、設定情報管理部130、電力設定部140は、記憶装置1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。また、例えば、図11に示した端末200の送信部210と、受信部220と、設定情報管理部230、電力制御部240は、記憶装置1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
記憶装置1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。記憶装置1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。記憶装置1002は、本発明の一実施の形態に係る処理を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
補助記憶装置1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。補助記憶装置1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、記憶装置1002及び/又は補助記憶装置1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、基地局装置100の送信部110及び受信部120は、通信装置1004で実現されてもよい。また、端末200の送信部210及び受信部220は、通信装置1004で実現されてもよい。
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
また、プロセッサ1001及び記憶装置1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
また、基地局装置100及び端末200はそれぞれ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
(実施の形態のまとめ)
本明細書には、少なくとも以下の端末及び通信方法が開示されている。
Frequency Range 1(FR1)及びFrequency Range 2(FR2)のうち、前記FR2のセルにおける最大送信電力の設定情報であるP-Maxを受信する受信部と、前記FR2のセルにおけるP-Maxをサポートしない場合に、前記FR2のセルにおけるP-Maxを無視すること、及び前記FR2のセルを規制されたセルと見なすこと、のうちのいずれか一方の動作を行う制御部と、を備える端末。
上記の構成によれば、仕様の更新に伴い、旧仕様では、FR2において、P_MAXが導入されず、更新された仕様では、FR2において、P_MAXが導入される場合において、旧仕様の機能をサポートし且つ更新後の仕様の機能をサポートしない端末に対してFR2のP_MAXが通知された場合であっても、端末は適切に動作することが可能となる。実施例によると、Frequency Range 1(FR1)及びFrequency Range 2(FR2)のうち、前記FR2のセルにおける最大送信電力の設定情報であるP-Maxを受信する受信部と、前記FR2のセルにおけるP-Maxをサポートしない場合に、前記FR2のセルにおけるP-Maxを無視する動作を行う制御部と、を備える端末が提供される。また、実施例によると、Frequency Range 1(FR1)及びFrequency Range 2(FR2)のうち、前記FR2のセルにおける最大送信電力の設定情報であるP-Maxを受信する受信部と、前記FR2のセルにおけるP-Maxをサポートしない場合に、前記FR2のセルを規制されたセルと見なす動作を行う制御部と、を備える端末が提供される。
前記P-Maxは、System Information Block2(SIB2)、System Information Block4(SIB4)、及びSystem Information Block1(SIB1)中のFrequencyInfoUL-SIB、のうちのいずれか1つに含まれてもよい。
前記制御部は、前記FR2のセルにおけるP-Maxを無視した場合に、前記FR2のセルにおける最大送信電力として、Power classとして定義される前記FR2向けのデフォルトの最大送信電力を設定してもよい。
前記制御部は、前記FR2のセルを規制されたセルと見なすことを選択した場合、前記FR1のセルを選択してもよい。
Frequency Range 1(FR1)及びFrequency Range 2(FR2)のうち、前記FR2のセルにおける最大送信電力の設定情報であるP-Maxを受信するステップと、前記FR2のセルにおけるP-Maxをサポートしない場合に、前記FR2のセルにおけるP-Maxを無視すること、及び前記FR2のセルを規制されたセルと見なすこと、のうちのいずれか一方の動作を行うステップと、を備える、端末による通信方法。
上記の構成によれば、仕様の更新に伴い、旧仕様では、FR2において、P_MAXが導入されず、更新された仕様では、FR2において、P_MAXが導入される場合において、旧仕様の機能をサポートし且つ更新後の仕様の機能をサポートしない端末に対してFR2のP_MAXが通知された場合であっても、端末は適切に動作することが可能となる。
(実施形態の補足)
以上、本発明の実施の形態を説明してきたが、開示される発明はそのような実施形態に限定されず、当業者は様々な変形例、修正例、代替例、置換例等を理解するであろう。発明の理解を促すため具体的な数値例を用いて説明がなされたが、特に断りのない限り、それらの数値は単なる一例に過ぎず適切な如何なる値が使用されてもよい。上記の説明における項目の区分けは本発明に本質的ではなく、2以上の項目に記載された事項が必要に応じて組み合わせて使用されてよいし、ある項目に記載された事項が、別の項目に記載された事項に(矛盾しない限り)適用されてよい。機能ブロック図における機能部又は処理部の境界は必ずしも物理的な部品の境界に対応するとは限らない。複数の機能部の動作が物理的には1つの部品で行われてもよいし、あるいは1つの機能部の動作が物理的には複数の部品により行われてもよい。実施の形態で述べた処理手順については、矛盾の無い限り処理の順序を入れ替えてもよい。処理説明の便宜上、基地局装置100及び端末200は機能的なブロック図を用いて説明されたが、そのような装置はハードウェアで、ソフトウェアで又はそれらの組み合わせで実現されてもよい。本発明の実施の形態に従って基地局装置100が有するプロセッサにより動作するソフトウェア及び本発明の実施の形態に従って端末200が有するプロセッサにより動作するソフトウェアはそれぞれ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、EPROM、EEPROM、レジスタ、ハードディスク(HDD)、リムーバブルディスク、CD-ROM、データベース、サーバその他の適切な如何なる記憶媒体に保存されてもよい。
また、情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、ブロードキャスト情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
本明細書において基地局装置100によって行われるとした特定動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)によって行われることもある。基地局装置100を有する1つ又は複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて、端末200との通信のために行われる様々な動作は、基地局装置100及び/又は基地局装置100以外の他のネットワークノード(例えば、MME又はS-GWなどが考えられるが、これらに限られない)によって行われ得ることは明らかである。上記において基地局装置100以外の他のネットワークノードが1つである場合を例示したが、複数の他のネットワークノードの組み合わせ(例えば、MME及びS-GW)であってもよい。
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。
端末200は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
基地局装置100は、当業者によって、NB(NodeB)、eNB(enhanced NodeB)、gNB、ベースステーション(Base Station)、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
本明細書で使用する「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及びそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
本開示の全体において、例えば、英語でのa、an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含み得る。
なお、本発明の実施の形態において、電力制御部240は、制御部の一例である。電力設定部140は、設定部の一例である。送信部210は、通知部又は送信部の一例である。受信部120は、取得部又は受信部の一例である。「Band number」は、周波数バンドを示す情報の一例である。「UE types」は、ユーザ装置の種別を示す情報の一例である。LTEは、第1のRATの一例である。NRは、第2のRATの一例である。
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。