JP7262918B2 - 回路基板用積層板、金属ベース回路基板及びパワーモジュール - Google Patents

回路基板用積層板、金属ベース回路基板及びパワーモジュール Download PDF

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Description

本発明は、回路基板用積層板、この回路基板用積層板から製造される金属ベース回路基板、及び、この金属ベース回路基板を備えるパワーモジュールに関する。
近年のエレクトロニクス技術の発達は目覚しく、電気電子機器の高性能化及び小型化は急速に進行している。これに伴い、これらに使用される高密度実装対応の金属ベース回路基板は、従来にも増して小型化且つ高密度化が進んでいる。従って、金属ベース回路基板についても、様々な性能の改善が求められており、これら要望に応えるべく幅広い取り組みがなされている。
これまで、金属ベース回路基板を構成する絶縁層に用いられる樹脂組成物としては、エポキシ樹脂を用いた樹脂組成物が幅広く使用されている。例えば、特許文献1には、絶縁層表面の粗度が小さくても導体層との界面密着強度が高い絶縁層を提供可能な樹脂組成物として、エポキシ樹脂含有組成物に、特定のフェノール系硬化剤、フェノキシ樹脂及びゴム粒子を添加した樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、メッキ密着性に加え、耐熱性及び耐湿信頼性の改善を図るべく、エポキシ樹脂含有組成物に特定のフェノキシ樹脂、シアネート樹脂を添加した樹脂組成物が開示されている。
特開2007-254709号公報 国際公開第2009/119598号公報
上述した電気電子機器の高性能化及び小型化の急速な進行に伴い、電気素子及び/又は電子素子を実装した部品の発熱量は益々大きくなっている。このため高密度実装対応の金属ベース回路基板には、加工性、並びに、高温吸湿条件下での耐吸水性及び耐酸化劣化性の更なる改善が求められる。
本発明は、加工性に優れ、且つ、高温吸湿条件下での耐吸水性及び耐酸化劣化性に優れた回路基板用積層板、この回路基板用積層板から製造される金属ベース回路基板、及び、この金属ベース回路基板を備えるパワーモジュールを提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、金属基板と、該金属基板の少なくとも片面に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた金属箔とを具備する回路基板用積層板であって、上記絶縁層は樹脂成分と無機充填材とを含有し、上記樹脂成分は、熱硬化性樹脂を含有する非連続相と、ゴムを含有する連続相とを含む相分離構造を有している回路基板用積層板が提供される。
本発明の他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記ゴムとして、重量平均分子量が150万以下のゴムを少なくとも含有する。
更に他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記ゴムとして、主鎖が飽和構造であるゴムを少なくとも含有する。
更に他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記ゴムとして、アクリルゴムを少なくとも含有する。
更に他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記絶縁層における上記ゴムの配合比が、上記樹脂成分の全質量に対して1~40質量%である。
更に他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記熱硬化性樹脂として、シアネート樹脂を少なくとも含有する。
更に他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記熱硬化性樹脂として、ビスフェノール型シアネート樹脂及びノボラック型シアネート樹脂を含有する。
更に他の側面によれば、上記回路基板用積層板は、上記熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂の配合比が、上記熱硬化性樹脂の全質量に対して0~10質量%である。
また、本発明の他の側面によると、上記回路基板用積層板のいずれかが具備する上記金属箔をパターニングすることによって得られる金属ベース回路基板が提供される。
また、本発明の他の側面によると、上記金属ベース回路基板を備えるパワーモジュールが提供される。
本発明により、加工性に優れ、且つ、高温吸湿条件下での耐吸水性及び耐酸化劣化性に優れた回路基板用積層板、この回路基板用積層板から製造される金属ベース回路基板、及び、この金属ベース回路基板を備えるパワーモジュールを提供することが可能となった。
図1Aは、連続相のゴムと非連続相の熱硬化性樹脂からなる相分離構造の一例を示すSEM写真である。 図1Bは、連続相のゴムと非連続相の熱硬化性樹脂からなる相分離構造に、無機充填材が分散している構造の一例を示す光学顕微鏡写真である。 図1Cは、連続相の熱硬化性樹脂中に、無機充填材が分散している構造の一例を示す光学顕微鏡写真である。 図1Dは、連続相の熱硬化性樹脂と、非連続相のゴム粒子とからなる相分離構造の一例を示すSEM写真である。 図1Eは、連続相の熱硬化性樹脂と非連続相のゴム粒子からなる相分離構造に、無機充填材が分散している構造の一例を示すSEM写真である。 図2は、本発明の実施形態に係る回路基板用積層板を概略的に示す斜視図である。 図3は、図2に示す回路基板用積層板のII-II線に沿った断面図である。 図4は、図2及び図3に示す回路基板用積層板から得られる金属ベース回路基板の一例を概略的に示す断面図である。 図5は、本発明の実施形態に係るパワーモジュールを概略的に示す断面図である。 図6は、従来のパワーモジュールを概略的に示す断面図である。 図7Aは、実施例3の回路基板用積層体に含まれる絶縁層についての、DMA測定により得られたtanδの挙動を示すグラフである。 図7Bは、比較例3の回路基板用積層体に含まれる絶縁層についての、DMA測定により得られたtanδの挙動を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態について詳述する。
本発明の実施形態に係る回路基板用積層板は、金属基板と、この金属基板の少なくとも片面に設けられた絶縁層と、この絶縁層上に設けられた金属箔とを具備する。図2及び図3に示す回路基板用積層板1は、金属基板2の片面に絶縁層3が形成され、絶縁層3の上に金属箔4が形成された3層構造をしている。本発明の他の実施形態において、回路基板用積層板は、金属板2の両面に絶縁層3が形成され、更に各絶縁層3の上に金属箔4が形成された5層構造をしていてもよい。なお、図2及び図3において、X及びY方向は金属基板2の主面に平行であり且つ互いに直交する方向であり、Z方向はX及びY方向に対して垂直な厚さ方向である。図2には、一例として矩形上の回路基板用積層板1を示しているが、回路基板用積層板1は他の形状を有していてもよい。
実施形態に係る回路基板用積層板が備える絶縁層は、樹脂成分と無機充填材とを少なくとも含有する樹脂組成物を用いて形成される塗膜の硬化物である。絶縁層は、樹脂成分として少なくとも熱硬化性樹脂とゴムを含有する。
樹脂成分は絶縁層中で相分離構造を形成している。この相分離構造は、連続相(マトリックス)中に非連続相が分散している海島構造であり、非連続相は熱硬化性樹脂を含有し、連続相はゴムを含有する。このように、実施形態において、絶縁層は、マトリクス中にゴムが非連続相として分散しているのではなく、ゴムが連続相(マトリクス)を構成し、その連続相中に熱硬化性樹脂が非連続相(分散相)として分散した相分離構造を有することを特徴の一つとしている。以下において、絶縁層が含んでいる、ゴムを含む連続相と、熱硬化性樹脂を含む非連続相を有する相分離構造を、本発明の相分離構造などという。
ゴムは低吸水性であるが、絶縁層を構成するマトリクス中に非連続相(分散相)としてゴムが分散していても、金属ベース回路基板として所望される低吸水性は得られない。絶縁層においてゴムが連続相(マトリクス)を構成することにより、絶縁層における吸水の抑制効果が発揮され、金属ベース回路基板における低吸水性の向上に寄与する。また、ゴムは酸素透過性も低いため、ゴムが連続相を構成することは、金属ベース回路基板における耐酸化劣化性の向上にも寄与する。
柔軟性を有するゴムが熱硬化性樹脂と相溶して加工性が向上し、硬化に伴い相分離構造が形成され絶縁層の機械強度や応力緩和が改善される。
絶縁層における本発明の相分離構造の有無は、例えば、顕微鏡観察および/または散乱測定により確認することができる。顕微鏡観察の場合、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡、光学顕微鏡、透過型電子顕微鏡等により相分離構造を確認することができる。また、散乱測定の場合、微小角入射小角X線散乱測定、元素分析、エネルギー分散型X線分析、電子線プローブマイクロアナライザ、X線光電子分光法等により、相分離構造の有無を確認することができる。
また、絶縁層における本発明の相分離構造の有無は、DMA測定(動的粘弾性測定)によっても確認することができる。このDMA測定による本発明の相分離構造の確認手段は、樹脂成分中のゴムの配合比が高くない場合に特に有効な手段である。例えば、ゴムの配合比が樹脂成分の全質量に対して通常50質量%未満、好ましくは40質量%以下の場合に特に有効な手段となる
すなわち、ゴムが連続相を形成する本発明の相分離構造の場合は、ゴムの配合比が少量でもDMA測定によりゴム由来のピークが明確に観測できる。一方、例えばゴム粒子のように、ゴムが非連続相を形成する逆相分離構造の場合、ゴムの配合比が高くないとDMA測定によってはゴム由来のピークは検出されない。これは、ゴムが非連続相を形成する逆相分離構造の場合、ゴムの配合比が少量であると樹脂の挙動が支配的となり、DMA測定によりゴム由来のピークが観測しにくくなるためと推測される。
本発明の相分離構造について、図1A~図1Eに示された写真を用いて以下に説明する。ここで、図1A~図1Eに示された写真は、いずれも、絶縁層を切断し、その断面を機械的に研磨したものを観察した写真である。
図1Aは、本発明の相分離構造の一例を示す走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope;SEM)写真である。本発明の相分離構造を分かりやすく説明するため、図1Aに示.される相分離構造は無機充填材を含んでいない。図1Aに示された相分離構造では、連続相のゴム101中に、非連続相(分散相)の熱硬化性樹脂102が分散している。このようにゴムが連続相を構成することにより、上述の通り、低吸水性と耐酸化劣化性が向上する。
これに対し、図1DのSEM写真は、本発明の相分離構造と逆の相分離構造(以下において、「逆相分離構造」などという。)を示す。図1Dに示される逆相分離構造では、連続相の熱硬化性樹脂111中に、非連続相(分散相)のゴム粒子112が分散している。このような逆相分離構造では、ゴム成分を含有していても上記効果は得られない。
図1Bは、本発明の相分離構造に、無機充填材が分散している構造の一例を示す光学顕微鏡写真である。ここでは、無機充填材として2種類の無機充填材103a、103bが使用されている。無機充填材103aは、窒化アルミニウムであり、実線で囲まれた筋状の無機充填材103bは窒化ホウ素である。この写真から無機充填材103a、103bの隙間又は空隙から、本発明の相分離構造を確認することができる。例えば、破線枠A内をみると、無機充填材(窒化アルミニウム)103aの空隙において、連続相のゴム101中に非連続相(分散相)の熱硬化性樹脂102が分散していることが確認される。
図1Bに示される相分離構造に対し、図1Cはゴムを含有しない系の光学顕微鏡写真である。図1Cに示される構造では、連続相の熱硬化性樹脂121中に、無機充填材(窒化アルミニウム)123a、及び、実線で囲まれた筋状の無機充填材(窒化ホウ素)123bが分散している。破線枠A’内をみると、無機充填材(窒化アルミニウム)123aの空隙は熱硬化性樹脂121のみで埋まっていることがわかる。
また、図1Eは、逆相分離構造が示された図1Dに対し、無機充填材が分散している構造の一例を示すSEM写真である。ここでは、連続相の熱硬化性樹脂111中に、2種の無機充填材、すなわち、無機充填材(アルミナ)113a、及び、破線で囲まれた筋状の無機充填材(窒化ホウ素)113bと、ゴム粒子112とが分散している。2種の無機充填材(アルミナ)113a及び無機充填材(窒化ホウ素)113bの隙間にゴム粒子112が均一に分散していないことがわかる。
本発明において用い得るゴムは、常温でゴム弾性を有する高分子材料であればよく、例えば、常温(例えば、25℃)における弾性率が100MPa以下のものであればよい。
絶縁層において、本発明の相分離構造を形成するためには、硬化前の絶縁層用樹脂組成物において、ゴムと熱硬化性樹脂とが溶剤に溶け互いに均一に分散した相溶状態となることが好ましい。その状態から加熱して熱硬化性樹脂の硬化を進めると、部分的に熱硬化性樹脂の分子量が増大して粘度が高くなり、最終的にゴムよりも粘度が高く(硬く)なる。粘度の観点から考察すると、より低粘度の成分が連続相を形成することから、ゴムを含む連続相と、熱硬化性樹脂を含む非連続相を有する本発明の相分離構造が形成される。
このため、ゴムの重量平均分子量は、溶剤に対する溶解性の観点から150万以下であることが好ましく、より好ましくは130万以下であり、更に好ましくは90万以下である。ゴムの重量平均分子量の下限値は、特に限定するものではないが、例えば、5万以上であることが好ましい。
ここで、重要平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法により測定されたポリスチレン換算値を表す。
実施形態において好適に用い得るゴムとしては、例えば、下記のようなものが挙げられる。すなわち、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、またはアクリロニトリル・ブタジエンゴムなどのジエン系ゴム;ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、多硫化ゴム、またはエピクロルヒドリンゴムなどの非ジエン系ゴム;スチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系、ポリ塩化ビニル(polyvinyl chloride;PVC)系、またはフッ素系などの熱可塑性エラストマー;もしくは天然ゴム等が挙げられる。
本発明の実施形態において、ゴムは主鎖が飽和構造であることが好ましい。ここで、主鎖が飽和構造であるとは、ポリマー主鎖が炭素原子どうしの結合においては二重結合や三重結合の不飽和結合を有さない構造をいう。
主鎖が飽和構造のゴムとしては、例えば、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレン、アクリルゴム、多硫化ゴム、またはエピクロルヒドリンゴムなどの非ジエン系ゴム、もしくはスチレン系、オレフィン系、エステル系、ウレタン系、アミド系、PVC系、またはフッ素系などの熱可塑性エラストマー等が挙げられる。一実施形態において、アクリルゴムが特に好ましい。
絶縁層は、ゴムとして1種を単独で含有していてもよいし、2種以上を含有していてもよい。
非連続相を構成する熱硬化性樹脂としては、例えば、シアネート樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、マレイミド樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、アルキド樹脂等を挙げることができる。熱硬化性樹脂として1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の実施形態において、熱硬化性樹脂としてシアネート樹脂が特に好ましい。シアネート樹脂としては、例えば、ビスフェノール型シアネート樹脂、ノボラック型シアネート樹脂が挙げられる。
ビスフェノール型シアネート樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型フェノール樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂等を挙げることができる。ビスフェノール型シアネート樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではなく、オリゴマーやモノマーであってもよい。例えば、耐熱性の観点からは、テトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂、ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂の順に優れており、反応性の観点からはビスフェノールA型シアネート樹脂が優れている。
本発明の一実施形態において、熱硬化性樹脂として、ビスフェノール型シアネート樹脂及びノボラック型シアネート樹脂の混合系を用いることが好ましい。その比率としては、例えば、ビスフェノール型シアネート樹脂:ノボラック型シアネート樹脂で表される質量比が、11:1~1:1であることが好ましく、9:1~2:1であることがより好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリアジン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂等の分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂等を挙げることができる。
但し、本発明の実施形態において、エポキシ樹脂を含有しないか、あるいは、エポキシ樹脂を含有する場合には、その含有率は、熱硬化性樹脂の全質量に対し所定量以下であることが好ましい場合がある。例えば、エポキシ樹脂の含有率は、熱硬化性樹脂の全質量を基準として、0~10質量%が好ましく、0~7質量%がより好ましく、0~5質量%が更に好ましい。
上述した通り、絶縁層の樹脂成分は、熱硬化性樹脂を含有する非連続相と、ゴムを含有する連続相から構成される相分離構造を有しているが、放熱性の観点から、ゴムを含有する連続相の配合比は熱硬化性樹脂を含有する非連続相の配合比よりも低い方が好ましい。一実施形態において、ゴムの配合比は、樹脂成分の全質量に対して1~40質量%の範囲であることが好ましく、5~30質量%であることがより好ましく、5~20質量%であることが更に好ましい。
実施形態において、絶縁層は、樹脂成分と共に無機充填材を含有している。この無機充填材としては、例えば、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等が挙げられる。これらの中から選ばれる1種又は2種以上を用いることが好ましい。無機充填材は、非連続相及び連続相の区別なく樹脂成分中に存在する。すなわち、無機充填材は、非連続相中に存在してもよいし、連続相中に存在してもよいし、双方に存在してもよい。また、無機充填材は、非連続相及び連続相にまたがって存在してもよい。
無機充填材を含有する系においては、硬化に伴う発熱反応が無機充填材の存在によって抑制される傾向がある。具体的には、無機充填材に反応熱が吸収されるため硬化反応が遅くなることや、無機充填材の表面官能基によっては熱硬化性樹脂の硬化反応を阻害する等の問題が考えられる。このため、表面処理された無機充填材を使用してもよいし、後述する効果促進剤との適切な組み合わせにおいて無機充填材を使用することが好ましい。無機充填材の表面処理としては、例えば、無機充填材の表面を熱硬化性樹脂と反応を伴って化学結合できる官能基で修飾してもよいし、もしくは熱硬化性樹脂と相溶性が高い官能基で修飾してもよく(例えば、シアネート基、エポキシ基、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、ビニル基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、ウレイド基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基等)、例えば、シランカップリング処理やプラズマ処理などが用いられる。
実施形態において、絶縁層に含有される無機充填材の割合は、樹脂成分の合計体積を基準として50~90体積%であることが好ましい。無機充填材の含有率は、より好ましくは60~80体積%である。充填率が低すぎると、所望の熱伝導率が得られない上に、無機充填材が沈殿する傾向がある。一方、充填率が高すぎると、粘度が高くなりすぎて均一な塗膜が得られず、気孔欠陥が増える原因となり得る。
絶縁層は、硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゾオキサジン化合物、ボレート錯体、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物等が挙げられる。
ベンゾオキサジン化合物は、分子内に少なくとも一つのベンゾオキサジン環を有するものであればよい。ベンゾオキサジン化合物としては、モノマーを用いてもよいし、数分子が重合してオリゴマー状態となっているものを用いてもよい。一実施形態において、ベンゾオキサジン化合物としては、分子内に2個以上のベンゾオキサジン環を有するモノマーが好ましい。また、異なる構造を有する複数種のベンゾオキサジン化合物を同時に用いてもよい。
ベンゾオキサジン化合物としては、例えば、P-d型ベンゾオキサジン、ビスフェノールF型ベンゾオキサジン、F-a型ベンゾオキサジンなどが挙げられるが、中でもP-d型ベンゾオキサジンが好ましい。P-d型ベンゾオキサジンはジフェニルメチレン骨格等の剛直な骨格を有するため、その由来化合物は、例えばBa型ベンゾオキサジンに由来する化合物と比較してより良好な熱特性を有する架橋構造を形成することができる。
ボレート錯体は、リン系ボレート錯体でも非リン系ボレート錯体でもよい。
リン系ボレート錯体の例として、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、トリ-tert-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、ジ-tert-ブチルメチルホスホニウムテトラフェニルボレート、p-トリルトリフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボレートなどが挙げられる。
非リン系ボレート錯体の例として、ソジウムテトラフェニルボレート、ピリジントリフェニルボレート、2-エチル-4-メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、1,5-ジアゾビシクロ[4.3.0]ノネン-5-テトラフェニルボレート、リチウムトリフェニル(n-ブチル)ボレートなどが挙げられる。
実施形態において、絶縁層に硬化促進剤を添加する場合、その含有率は適宜設定することができる。例えば、硬化促進剤としてベンゾオキサジン化合物を使用する場合、その含有率は、熱硬化性樹脂の合計質量を基準として1~20質量%であることが好ましく、5~15質量%であることがより好ましい。
実施形態において、絶縁層は、更に他の成分を含有していてもよい。絶縁層が含有していてもよい他の成分としては、例えば、シランカップリング剤及びチタンカップリング剤などのカップリング剤、イオン吸着剤、沈降防止剤、加水分解防止剤、レベリング剤、酸化防止剤等などが挙げられる。
絶縁層は、上述した樹脂成分及び無機充填材を少なくとも含有する樹脂組成物から形成される塗膜の硬化物である。上述したように、この樹脂組成物は、本発明の相分離構造の形成を可能とするために、ゴムと熱硬化性樹脂とが互いに均一に分散した相溶状態となることが好ましいため、ゴムと樹脂を溶解することができる溶剤を含有することが好ましい。このような溶剤としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)等のアミド系溶剤、1-メトキシ-2-プロパノ-ル、エチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶剤、メチルエチルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、シクロペンタノン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤等を挙げることができる。その使用形態としては、溶剤を1種単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
本発明の相分離構造が形成される前の塗膜(例えば、乾燥膜)は、好ましくはゴムと熱硬化性樹脂とが互いに均一に分散した相溶状態となるため、柔軟性が高く加工性に優れる。このため、このようなゴムと熱硬化性樹脂との相溶状態を経て形成される本発明の相分離構造を有する絶縁層は、加工性に優れる。
実施形態に係る回路基板用積層板において、金属基板は、例えば、単体金属又は合金からなる。金属基板の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、銅、アルミニウム合金、又はステンレスを使用することができる。金属基板は、炭素などの非金属を更に含んでいてもよい。例えば、金属基板2は、炭素と複合化したアルミニウムを含んでいてもよい。また、金属基板は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。
金属基板は、高い熱伝導率を有している。典型的には、金属基板2は、60W・m-1・K-1以上の熱伝導率を有している。
金属基板は、可撓性を有していてもよく、可撓性を有していなくてもよい。金属基板の厚さは、例えば、0.2-5mmの範囲内にある。
金属箔は、絶縁層上に設けられている。金属箔は、絶縁層を間に挟んで金属基板と向き合っている。
金属箔は、例えば、単体金属又は合金からなる。金属箔の材料としては、例えば、銅又はアルミニウムを使用することができる。金属箔の厚さは、例えば、10~500μmの範囲である。
実施形態に係る回路基板用積層板は、例えば、以下の方法により製造することができる。
まず、上述した樹脂組成物を、金属基板及び金属箔の少なくとも一方に塗布する。樹脂組成物の塗布には、例えば、ロールコート法、バーコート法又はスクリーン印刷法を利用することができる。連続式で行ってもよく、単板式で行ってもよい。
必要に応じて塗膜を乾燥させた後、金属基板と金属箔とが塗膜を挟んで向き合うように重ね合わせる。さらに、それらを熱プレスする。以上のようにして、回路基板用積層板を得る。
この方法では、樹脂組成物を金属板及び金属箔の少なくとも一方に塗布することにより塗膜を形成するが、他の態様において、分散液をPETフィルム等の基材に塗布し乾燥することにより予め塗膜を形成し、これを金属基板及び金属箔の一方に熱転写してもよい。
次に、上述した回路基板用積層板から得られる金属ベース回路基板について説明する。
図4に金属ベース回路基板の一実施形態を示す。図4に示される金属ベース回路基板1´は、図2及び図3に示す回路基板用積層板1から得られるものであり、金属基板2と、絶縁層3と、回路パターン4´とを含んでいる。回路パターン4´は、図2及び図3を参照しながら説明した回路基板用積層板の金属箔4をパターニングすることにより得られる。このパターニングは、例えば、金属箔4の上にマスクパターンを形成し、金属箔4の露出部をエッチングによって除去することにより得られる。金属ベース回路基板1´は、例えば、先の回路基板用積層板1の金属箔4に対して上記のパターニングを行い、必要に応じて、切断及び穴あけ加工などの加工を行うことにより得ることができる。
実施形態に係る金属ベース回路基板は、上述した回路基板用積層板から得られるので、低吸水性、加工性及び耐酸化劣化性に優れている。
図5に一実施形態に係るパワーモジュールを示す。このパワーモジュール100は、金属基板13cと、絶縁層13bと、回路パターン13aを含む本発明の一実施形態に係る金属ベース回路基板13を備えるため、低吸水性、加工性及び耐酸化劣化性に優れる。パワーデバイスの高性能化に伴い発熱温度が増加傾向にある現状において、従来のパワーモジュールでは対応できなかった温度領域にも本発明のモジュールは好適に用いることができる。
更に、実施形態に係るパワーモジュール100は、図6に一例を示した従来のパワーモジュール200と比較し、金属ベース回路基板13を備えることで構成部材(層)が少なくなり、全体としての厚みが薄くなることから、より低熱抵抗でコンパクト設計が可能となる。また、穴あけ、切断等の加工が容易なため組立てが容易であるなどのメリットも有している。
以下に、本発明の例を記載する。本発明はこれらに限定されるものでない。
<組成物の調製>
合成例1~6:樹脂組成物1~6の調製
ビスフェノール型シアネート樹脂(以下、「B型シアネート樹脂」ともいう。)(商品名「BA200」;ロンザジャパン株式会社製)と、ノボラック型シアネート樹脂(以下、「N型シアネート樹脂」ともいう。)(商品名「PT30」;ロンザジャパン株式会社製)を、質量比でB型シアネート樹脂:N型シアネート樹脂=9:1になるように混合した。得られたシアネート樹脂の混合物100質量部に対し、硬化促進剤として、下式で表されるPd型ベンゾオキサジン化合物(商品名「Pd型ベンゾオキサジン」;四国化成工業株式会社製)を10質量部添加し、100℃において混合物が均一になるまで撹拌し、溶剤メチルエチルケトン(MEK)により溶液化した。
得られた樹脂溶液に、ゴム(ポリマー主鎖が飽和結合のアクリル酸エステル共重合物)を、樹脂成分全体(当該ゴムを含む)の100質量部に対してそれぞれ1、5、10、20、30、40質量部と、フィラー(無機充填材)として窒化アルミニウム(AlN)と窒化ホウ素(BN)の1:1(質量比)の混合物を、樹脂成分全体に対して、合計で65体積%になるように分散させることにより、樹脂組成物1~6を調製した。
Figure 0007262918000001
合成例7:樹脂組成物1Rの調製
B型シアネート樹脂(商品名「BA200」;ロンザジャパン株式会社製)と、N型シアネート樹脂(商品名「PT30」;ロンザジャパン株式会社製)を、質量比でB型シアネート樹脂:N型シアネート樹脂=9:1になるように混合した。得られたシアネート樹脂の混合物100質量部に対し、硬化促進剤として、上記式で表されるPd型ベンゾオキサジン化合物(商品名「Pd型ベンゾオキサジン」;四国化成工業株式会社製)を10質量部添加し、100℃において混合物が均一になるまで撹拌し、溶剤エチレングリコールモノメチルエーテルにより溶液化した。
得られた樹脂溶液に、窒化アルミニウム(AlN)と窒化ホウ素(BN)の1:1(質量比)の混合物を、樹脂成分全体に対して、合計で65体積%になるように分散させることにより、樹脂組成物1Rを調製した。
合成例8:樹脂組成物2Rの調製
フェノキシ樹脂(商品名「YP-50」;新日鉄住金化学株式会社製)を、シアネート樹脂の混合物90質量部に対して10質量部添加し、均一になるまで混合した以外は、樹脂組成物1Rと同様の方法で樹脂組成物2Rを調製した。
合成例9:組成物3Rの調製
アクリルゴム粒子(商品名「ユニパウダー」;JXエネルギー株式会社製)を、シアネート樹脂の混合物90質量部に対して10質量部添加し、均一になるまで混合した以外は、樹脂組成物1Rと同様の方法で樹脂組成物3Rを調製した。
得られた樹脂組成物1~6、1R~3Rを表1に示す。尚、ゴムの重量平均分子量は、GPC法により測定されたポリスチレン換算値である。
Figure 0007262918000002
<積層板の製造>
上記で調製した各樹脂組成物を、加熱加圧後の厚みが100μmになるように回路用銅箔に塗布した。次いで、溶剤を乾燥させた後、ベースとなる銅板と貼り合せて加熱加圧成形し、積層板を作製した。
<相分離構造の確認>
絶縁層における本発明の相分離構造の有無を、絶縁層の断面を走査型電子顕微鏡で観察することにより確認した。
その結果、樹脂組成物1~6のいずれかを使用した絶縁層(実施例1~6)では、図1Bと同様の相分離構造が確認された。これに対し、樹脂組成物1R又は2Rを使用した絶縁層(比較例1、比較例2)では、相分離構造は確認されなかった。また、樹脂組成物3Rを使用した絶縁層(比較例3)では、図1Eと同様の相分離構造(逆相分離構造)が確認された。
更に、絶縁層における本発明の相分離構造の有無を、DMA測定を用いた分析手段によっても確認した。
DMA測定では、各積層板に対し、回路用銅箔とベース銅板をエッチングにて除去し、得られた絶縁層を幅3mm×長さ50mmの短冊状に切り出したものをサンプルとした。測定条件は、-50℃~350℃まで5℃/分で昇温し、周波数1Hz、引張モードで測定した。そこで得られた貯蔵弾性率と損失弾性率の比をtanδとした。
図7Aは、樹脂組成物3を使用した絶縁層(実施例3)についての、DMA測定により得られたtanσの挙動を示すグラフであり、図7Bは、樹脂組成物3Rを使用した絶縁層(比較例3)についての、DMA測定により得られたtanσの挙動を示すグラフである。
図7Aに示されるグラフでは、熱硬化性樹脂(シアネート樹脂)由来のピークTと、ゴム由来のピークTが検出されており、本発明の相分離構造が形成されていることがわかる。これに対し、図7Bに示されるグラフでは、ゴム由来のピークが検出されていないことから、添加されたアクリルゴム粒子は連続相を形成せず、非連続相として分散状態にあり、本発明の相分離構造が形成されていないことがわかる。
樹脂組成物1、2、4~6のいずれかを使用した絶縁層(実施例1、2、4~6)についてのDMA測定においても、図7Aと同様、熱硬化性樹脂(シアネート樹脂)由来のピークTと、ゴム由来のピークTが検出され、本発明の相分離構造が形成されていることが確認された。
本発明の相分離構造が形成されていたものをA、形成されていなかったものをBとして、結果を表2に示す。
<評価>
以下に示す方法により、加工性、吸水率、吸水はんだ耐電圧、及び耐熱接着力を評価した。結果を表2に示す。尚、吸水率が小さく、吸水はんだ耐電圧が大きいほど、低吸水性に優れることを示す。また、耐熱接着力が大きいほど、耐酸化劣化性に優れることを示す。
[加工性]
加工性は、回路用銅箔に各樹脂組成物を塗布し、これを乾燥して形成した乾燥膜をシャーリングにてカットした際の塗膜の欠けの有無を目視で観察した。
乾燥膜に欠けがなかったものをA、乾燥膜に欠けがあったものをBとして、結果を表2に示す。
なお、乾燥膜に欠けがなかったものは加工性に優れることがわかり、更に、それを硬化させた絶縁層においても加工性に優れることがわかる。
[吸水率(質量%)]
各積層板に対し、回路用銅箔とベース銅板をエッチングにて除去した後、得られた絶縁層について、以下の方法により吸水率を測定した。
温度100℃で24時間乾燥した後で絶縁層の質量を測定した。その後、温度85℃、湿度85%の条件下で24時間吸湿させた後で再度、絶縁層の質量を測定した。吸湿前後の質量増加率を算出し、これを吸水率とした。
[吸水はんだ耐電圧(kV)]
各積層板の回路用銅箔面をエッチングし、φ20mmの回路パターンを形成した。この回路パターンに、40℃98%の雰囲気で24時間吸水させた。次いで、280℃のはんだ浴に5分間浮かべた後、以下の方法により破壊電圧を測定することで、吸水はんだ耐電圧を得た。
φ20mmの回路パターンと、裏面の銅板との間に、絶縁油中で交流電圧を印加して耐電圧を測定する。スタート電圧から500Vずつ電圧を上げ、各電圧で20秒間ずつ印加するという作業を繰り返しながら、ステップ昇圧していき、破壊電圧を測定した。
[耐熱接着力(MPa)]
各積層板の回路用銅箔面をエッチングし、φ4mmの回路パターンを形成した。この回路パターンを、大気雰囲気中、200℃で1000時間放置した後、以下の方法により回路パターンの垂直引き剥がし強度を測定することで耐熱接着力を得た。
φ4mmの回路パターン上に、エポキシ接着剤付きのスタッドピンを垂直に固定し、150℃で1時間加熱することで硬化接着させ、引張試験のサンプルを作製した。次いで、サンプルを引張試験機に固定し、スタッドピンを垂直方向に引張り、回路パターンが剥離した時の荷重と接着面積から接着力を算出することにより、回路パターンの垂直引き剥がし強度を測定した。
Figure 0007262918000003
表2より、本発明の実施形態に係る実施例1~6は、加工性に優れることがわかる。
また、本発明の実施形態に係る実施例1~6は、吸水率が小さく、且つ、吸水はんだ耐電圧が大きくことから、低吸水性にも優れることがわかる。
また、本発明の実施形態に係る実施例1~6は、耐熱接着力が大きいことから、耐酸化劣化性にも優れることがわかる。
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
1 回路基板用積層板
1’ 金属ベース回路基板
2 金属基板
3 絶縁層
4 金属箔
4’ 回路パターン
100 パワーモジュール
11 パワーデバイス
12 はんだ層
13 金属ベース回路基板
13a 回路パターン
13b 絶縁層
13c 金属基板
14 放熱シート
15 ヒートシンク
200 従来のパワーモジュール
21 パワーデバイス
22 第一はんだ層
23 回路パターン
24 セラミック基板
25 メタライズ層
26 第二はんだ層
27 金属基板
28 放熱シート
29 ヒートシンク
101 連続相(ゴム)
102 非連続相(熱硬化性樹脂)
103a 無機充填材(窒化アルミニウム)
103b 無機充填材(窒化ホウ素)
111 連続相(熱硬化性樹脂)
112 非連続相(ゴム粒子)
113a 無機充填材(アルミナ)
113b 無機充填材(窒化ホウ素)
121 連続相(熱硬化性樹脂)
123a 無機充填材(窒化アルミニウム)
123b 無機充填材(窒化ホウ素)

Claims (7)

  1. 金属基板と、該金属基板の少なくとも片面に設けられた絶縁層と、該絶縁層上に設けられた金属箔とを具備する回路基板用積層板であって、前記絶縁層は樹脂成分と無機充填材とを含有し、前記樹脂成分は、熱硬化性樹脂を含有する非連続相と、ゴムを含有する連続相とを含む相分離構造を有し、前記熱硬化性樹脂としてビスフェノール型シアネート樹脂及びノボラック型シアネート樹脂を含有し、且つ、エポキシ樹脂を含有しない回路基板用積層板。
  2. 前記ゴムとして、重量平均分子量が150万以下のゴムを少なくとも含有する、請求項1に記載の回路基板用積層板。
  3. 前記ゴムとして、主鎖が飽和構造であるゴムを少なくとも含有する、請求項1又は2に記載の回路基板用積層板。
  4. 前記ゴムとして、アクリルゴムを少なくとも含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の回路基板用積層板。
  5. 前記絶縁層における前記ゴムの配合比が、前記樹脂成分の全質量に対して1~40質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の回路基板用積層板。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の回路基板用積層板が具備する前記金属箔をパターニングすることによって得られる金属ベース回路基板。
  7. 請求項に記載の金属ベース回路基板を備えるパワーモジュール。
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