以下、図面を参照しつつ、本開示に係る技術思想の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
図1は、本実施の形態に従う分析装置の外観の一例を示す図である。分析装置20は、内部に情報処理装置と、外部機器と接続可能な入力インターフェイスおよび出力インターフェイスとを備える。ある局面において、マウスおよびキーボードなどの入力装置が、入力インターフェイスに接続され得る。その場合、分析装置20は、入力装置からの指示に従い動作する。他の局面において、液晶ディスプレイなどの出力装置が、出力インターフェイスに接続され得る。その場合、分析装置20は、検体の分析結果を出力装置に出力する。
分析装置20は、種々の検体の有形成分分析に利用され得る。分析される検体は、一例として尿を含み、他の例として髄液(たとえば、腰椎髄液)を含み、さらに他の例として後頭下液を含み、さらに他の例として脳室液を含む。分析装置20は、本体20Aと、搬送部20Bとを含む。本体20Aは、後述する制御部210、試料調製部222、および撮像装置223などを収容する。
搬送部20Bは、検体を収容する容器(スピッツ)を搬送する。より具体的には、分析装置20において、各検体は、容器4に収容される。ラック7は、1本以上の容器4を収容する。搬送部20Bは、溝250を含む。搬送部20Bでは、1本以上の容器4が、ラック7に収容された状態で搬送される。図1を参照して説明された容器4の搬送態様は、単なる一例である。分析装置20において、容器4は、ラック7に収容されることなく単独で搬送されてもよい。
容器4の素材は、荷電イオンが生じにくいという観点から、プラスチック素材(ポリスチレン、ポリカーボン、ポリプロピレンなど)であることが好ましい。一般的に容器4の素材として利用されるガラスは、通常マイナスに帯電する。一方、PLL(ポリ-L-リジン)などでコートされた容器は、プラスに帯電する。このため、検体が白血球などのマイナスに帯電している細胞を含む場合、容器4の素材が検体(試料)内の要素(細胞など)の沈降速度に影響を及ぼし得る。ただし、容器4の素材が検体(試料)内の要素の沈降速度に影響を及ぼす場合であっても、キャリブレーションにより、当該影響を考慮した分析が実現され得る。
本体20Aには、バーコードリーダー224が設けられている。各容器4には、各検体を識別するためのバーコードが付されている。分析装置20は、容器4のそれぞれのバーコードをバーコードリーダー224で読み取ることにより、検査対象の検体のそれぞれを識別する。
図2は、本実施の形態に従う分析装置20のハードウェア構成の一例を示す図である。分析装置20は、制御部210と、通信部221と、試料調製部222と、撮像装置223と、バーコードリーダー224と、第1の駆動部225と、第2の駆動部226と、第3の駆動部227と、操作部228と、入力インターフェイス229と、出力インターフェイス230とを含む。制御部210は、CPU(Central Processing Unit)211と記憶装置212とを有する。
CPU211は、記憶装置212に読み込まれた各種プログラムおよびデータを実行または参照する。ある局面において、CPU211は、組み込みCPUであってもよいし、FPGA(Field-Programmable Gate Array)であってもよいし、またはこれらの組み合わせなどによって構成される。CPU211は、分析装置20の各種機能を実現するためのプログラムを実行し得る。
ある局面において、CPU211は、撮像された画像を解析することによって、検体の分析結果を特定する。画像の解析の一例は、生体由来検体(例えば、体液、生体分泌液、排泄物等)における有形成分分析である。有形成分分析では、CPU211は、検体の画像において予め記憶された有形成分の画像パターンが含まれるか否かを判断する。その後、CPU211は、検体の画像が有形成分の画像パターンを含むと判断すると、画像における当該有形成分の個数を計数し、当該個数を出力する。
記憶装置212は、CPU211が実行または参照する任意のプログラムおよびデータを保存し得る。以下の説明において、記憶装置212は、情報の記憶場所の一例として説明される。つまり、「記憶装置212に記憶される」情報は、CPU211などの、本明細書において処理を実行するプロセッサがアクセス可能な記憶装置に格納されていれば、必ずしも記憶装置212に記憶されている必要はない。
記憶装置212は、RAM(Random Access Memory)および不揮発性記憶装置を含む。ある局面において、DRAM(Dynamic Random Access Memory)またはSRAM(Static Random Access Memory)が、RAMとして使用されてもよい。他の局面において、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリー、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはこれらの組み合わせが、不揮発性記憶装置として使用されてもよい。
通信部221は、制御部210からのデータを他の機器に送信し、他の機器からの情報を制御部210に入力する。ある局面において、有線LAN(Local Area Network)ポートおよびWi-Fi(登録商標)モジュールなどが通信部221として使用されてもよい。他の局面において、通信部221は、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、UDP(User Datagram Protocol)などの通信プロトコルを用いてデータを送受信してもよい。
試料調製部222は、分析に必要な試料を調製する。試料は、たとえば、容器4内の検体と測定に必要な試薬とが混合攪拌されることによって、調製される。
撮像装置223は、試料調製部222によって調製された試料の画像を撮像する。撮像装置223は、自動ピント合わせの機構を有する。これにより、試料調製部222で調製された試料は、撮像装置223によって自動的に撮像される。撮像装置223は、撮像された画像を、制御部210へ出力する。
バーコードリーダー224は、容器4に付されたバーコードを読み、読み出した情報を制御部210へ出力する。ある局面において、バーコードは、1次元バーコードであってもよいし、2次元バーコードであってもよい。他の局面において、非接触ICリーダーが、バーコードリーダー224の代わりに使用されてもよい。その場合、容器4には、非接触ICが設けられる。
撮像装置223は、1つの検体に対して、複数枚の画像を撮像し、制御部210へ出力してもよい。CPU211は、1つの検体に対する複数の画像のうち、予め定められた記憶装置212に格納された画像パターン(たとえば、尿に関する特定の有形成分の画像パターン)を含む画像を、検体ごとに、当該有形成分に関連付けて、記憶装置212に記憶してもよい。
第1の駆動部225は、搬送部20B(図1参照)に設けられたモータなどを、ラック7(または、容器4)を搬送するために駆動する。第2の駆動部226は、後述する搬送機構404を駆動する。第3の駆動部227は、後述するカセット403またはカセット403が載置される台座等を駆動する。ある局面において、第1の駆動部225、第2の駆動部226および第3の駆動部227は、それぞれモータを制御する回路およびモータの両方を含んでいてもよい。制御部210は、これらの各駆動部を制御する。
操作部228は、たとえば、本体20Aに設けられたハードウェアボタンなどによって実現される。操作部228は、当該操作部228が操作されると、操作されたボタンなどの種類に応じた信号をCPU210へ出力する。
入力インターフェイス229は、キーボード、マウスまたはゲームパッドなどの任意の入力装置に接続され得る。ある局面において、USB(Universal Serial Bus)端子、PS/2端子およびBluetooth(登録商標)モジュールなどが入力インターフェイス229として使用されてもよい。
出力インターフェイス230は、ブラウン管ディスプレイ、液晶ディスプレイまたは有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの任意の出力装置に接続され得る。ある局面において、USB(Universal Serial Bus)端子、D-sub端子、DVI(Digital Visual Interface)端子およびHDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)端子などが出力インターフェイス230として使用されてもよい。
図3は、分析装置20における検体の分析の工程の一例を示す図である。検体の分析は、主に図3に示される5つの工程(工程(i)~(v))を含む。工程(i)は、試料の調製である。より具体的には、検体ごとに検体容器であるプレパラート70が準備される。プレパラート70は、貯留部71と、凹部72と、カバーガラス73とを含む。カバーガラス73は、凹部72を覆う。工程(i)では、容器4(図1参照)から検体(の一部)が抽出されて貯留部71へ注入され、さらに、貯留部71へ薬剤(たとえば、染色液)が注入される。これにより、貯留部71において試料が調製される。薬剤の添加は省略され得る。つまり、工程(i)では、検体(の一部)の貯留部71への注入のみが実行され得る。
工程(ii)は、貯留部71において調製された試料(検体+薬剤)の混合、および、加熱(加温)である。当該混合および加熱は、公知の技術によって実現されてもよい。加熱によって、試料は、分析に適した、予め設定された温度まで加熱される。混合および加熱の少なくとも一方は、不要な場合には省略され得る。
工程(iii)は、貯留部71内の試料の、凹部72への導入である。より具体的には、貯留部71内の検体は、たとえば毛細管現象によって、凹部72へと導入される。試料の導入を促進するために、カバーガラス73に刺激が加えられてもよい。凹部72への試料の導入のために、後述されるようにプレパラート70に設けられた展開槽74が利用されてもよい。
工程(iv)は、検体(試料)の撮像である。より具体的には、撮像装置223は、凹部72へ導入された検体(試料)を、カバーガラス73の上方から撮像する。当該画像の撮像は、オートフォーカス機能により自動化されていてもよい。工程(v)は、工程(iv)で撮像された画像の解析である。解析の一例は、検体(試料)における所定の成分の含有量の特定を含む。
工程(i)~(iii)は、分析装置20の試料調製部222によって実行される。試料の画像の撮像(工程(iv))は、撮像装置223によって実行される。撮像装置223は、試料の画像を取得するためのカメラを含む。カメラは、たとえば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ、3CCDイメージセンサ、または、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサである。撮像装置223のカメラによって撮像される面積は、当該カメラの解像度および/またはレンズの倍率に依存する。たとえば、生物顕微鏡(例、オリンパス光学社製BX-50)に20倍の対物レンズを装着して、CCDカメラ(例、ソニー社製XC-003)で撮像する場合には被写体の撮像範囲が0.0432mm2となる(横0.24mm、縦0.18mm)。工程(v)は、制御部210によって実行される。
図4は、分析装置20を上面から見た内部機構の一例を示す図である。最初に、分析装置20の内部機構について説明する。分析装置20は、図1の構成に加えて、センサー401A,401B,401Cと、カセット403と、搬送機構404と、搬送台405と、撮像台406と、保持部407と、廃棄容器408と、薬剤入れ409と、洗浄部410とを備える。保持部407は、外壁407Aと、脱落防止部品407Bとを含む。
センサー401A,401B,401Cは、それぞれ溝250の壁面付近まで運ばれてきたラック7を検出する。溝250は、2つの区画(区画(A),区画(B))に分けられており、1以上のラック7が区画(A)にセットされる。ラック7は、溝250の壁面などに設けられた第1の駆動部225によって、区画(A)から区画(B)に1つずつ搬送される。センサー401A,401B,401Cは、それぞれラック7の進行方向となる溝250の壁面に設けられている。ある局面において、ラック7は、区画(B)にセットされて、区画(A)に搬送されてもよい。
カセット403(収納容器)は、検体の分析に使用されるプレパラート70を収納する。分析装置20は、検体の分析毎にプレパラート70をカセット403から取り出す。図4の例では、カセット403は、4つの収納部を備える。それぞれの収納部は、たとえば、10~100枚のプレパラート70、好ましくは20~70枚のプレパラート、一例として40枚のプレパラート70を収納する領域である。
カセット403は、第3の駆動部227によって、搬送機構404の進行方向に対して垂直に駆動される。搬送機構404の正面に位置する収納部内のプレパラート70が搬送台405(試料作成台)に押し出される。
制御部210は、カセット403が移動した回数をカウントしておくことで、どの収納部からプレパラート70が搬送台405に向けて供給されているかを検出する。ある局面において、制御部210は、どの収納部からプレパラート70が搬送台405に向けて供給されているかに基づいて、カセット403に収納されたプレパラート70の残数の範囲を検出し得る。
一例として、第1~第4の収納部にそれぞれ40枚のプレパラート70が収納されているとする。カセット403が移動した回数が0の場合、プレパラート70は、例えば、第1の収納部から供給されていると検出することができる。この場合のプレパラート70の残数は、第2~第4の収納部のプレパラート70の枚数「3*40=120」と、第1の収納部のプレパラート70の残数「0~40」との合計である。よって、制御部210は、プレパラート70の残り枚数を「120~160」であると検出する。
他の例として、カセット403が移動した回数が3の場合、プレパラート70は、例えば、第4の収納部から供給されていると検出することができる。この場合のプレパラート70の残数は、第4の収納部のプレパラート70の残数「0~40」である。よって、制御部210は、プレパラート70の残り枚数を「0~40」であると検出する。
また、他の局面において、カセット403は、赤外線センサーまたはスイッチなどの各種センサーを備えていてもよい。その場合、制御部210は、当該センサーの検出結果に基づいて、収納部におけるプレパラート70の残数が0であるか否かを判定し得る。制御部210は、搬送機構404の押し出し位置にある収納部のプレパラート70の残数が0である場合、カセット403を移動させる。
搬送機構404は、直動機構であり、カセット403の収納部に収納されたプレパラート70を搬送台405まで押し出す。搬送機構404は、第2の駆動部226によって、駆動される。プレパラート70は、搬送台405の上で試料の調製を行なわれる。その後、搬送機構404は、搬送台405上のプレパラート70を撮像台406まで押し出す。
ある局面において、制御部210は、搬送機構404が、搬送機構404の押し出し位置にある収納部からプレパラート70を押し出した回数をカウントしてもよい。制御部210は、カセット403が移動した回数と、搬送機構404が収納部からプレパラート70を押し出した回数とに基づいて、カセット403に収納されるプレパラート70の残数を検出し得る。他の局面において、制御部210は、通信部221または出力インターフェイス230を介して、カセット403に収納されたプレパラート70の残数の範囲、またはカセット403に収納されるプレパラート70の残数をユーザーに通知してもよい。これらの構成により、ユーザーは、カセット403に収納されるプレパラート70が無くなる前に、カセット403の交換またはプレパラート70の補充を行い得る。
搬送台405は、プレパラート70が搬送される通路である。プレパラート70は、搬送機構404によって、一旦、搬送台405の中央に配置される。プレパラート70は、搬送台405上で試料の調製を行なわれてから、搬送機構404によって、撮像台406に押し出される。
撮像台406は、撮像装置223がプレパラート70内の試料を撮像するための台である。撮像台406の上部には、撮像装置223が配置されている。撮像装置223は、撮像台406上に配置されたプレパラート70内の試料を撮像する。
保持部407は、撮像台406上に配置されたプレパラート70を保持し、プレパラート70の位置を調整する。保持部407は、駆動部(図示せず)と接続されている。当該駆動部により、保持部407は、撮像装置223の撮像方向に対して垂直方向、すなわち撮像台406に対して水平方向に移動することができる。保持部407が移動することにより、プレパラート70の撮像装置223に対する位置も調整される。
外壁407Aは開口部を有しており、プレパラート70は、搬送機構404によって、当該開口部から外壁407Aの内部に挿入される。外壁407Aは、内部に挿入されたプレパラート70を3方向から囲む。脱落防止部品407Bは、バネなどの弾性体を含み、外壁407Aの開口部の一部を塞ぐことで、外壁407Aの内部のプレパラート70の脱落を防止する。また、脱落防止部品407Bは、プレパラート70の進行方向に相対する面に傾斜が設けられている。搬送機構404がプレパラート70を保持部407に向かって押し出すと、脱落防止部品407Bの傾斜面がプレパラート70に押圧される。そして、脱落防止部品407Bは、プレパラート70が開口部から外壁407Aの内部に押し込まれることを妨げない位置に移動する。プレパラート70が外壁407A内に押し込まれると、脱落防止部品407Bは、元の位置に戻り、外壁407A内のプレパラート70が外壁407A内から脱落しないようにする。
廃棄容器408は、撮像後のプレパラート70が廃棄される。撮像完了後、保持部407は、駆動部によって、撮像台406から廃棄容器408までスライド移動する。保持部407が廃棄容器408までスライド移動すると、保持部407の内部のプレパラート70は、廃棄容器408内に落下する。プレパラート70が廃棄容器408内に落下した後、保持部407は、撮像台406まで戻る。
薬剤入れ409は、検体と混ぜ合わされて試料を作成するための薬剤(例えば、試料中の有形成分の視認性を高めるための染色液など)が入っている。搬送台405の上部には、後述する可動式の検体取得部が設けられている。検体取得部は、薬剤入れ409から薬剤を取得し、搬送台405上のプレパラート70に薬剤を入れる。検体取得部は、同様に、分析装置20の中央に配置される検査対象の容器4から、検体を取得し、搬送台405上のプレパラート70に検体を入れる。
洗浄部410は、検体取得部の先端を洗浄する。検体取得部は、洗浄部410内で、内部から洗浄液を排出することで、検体取得部の先端を洗浄する。洗浄部410は、洗浄液用の排水溝を有する。
次に、図5~図15を参照して、分析装置20の内部機構および各機構の動作手順について詳細に説明する。図5は、分析装置20の内部機構の動作手順(1)の一例を示す図である。動作手順(1)において、溝250にセットされたラック7は、溝250の壁面などに設けられた第1の駆動部225によって、矢印501の方向に搬送される。センサー401Aが、ラック7を検出すると、ラック7の搬送の向きが変わり、ラック7は、矢印502の方向に搬送される。ラック7が搬送されることにより、分析対象のスピッツ503は、分析装置20の中央に運ばれてくる。
図6は、分析装置20の内部機構の動作手順(2)の一例を示す図である。動作手順(2)において、搬送機構404は、矢印601の方向に駆動する。そして、搬送機構404は、カセット403のいずれかの収納部から、1枚のプレパラート70を搬送台405の中央に押し出す。搬送機構404は、プレパラート70を搬送台405の中央に押し出した後、そのままの位置で停止する。
搬送機構404の押し出し動作によって、搬送機構404の押し出し位置にある収納部のプレパラート70の残数が0になった場合、制御部210は、搬送機構404が元の位置に戻るタイミングで、駆動部を制御してカセット403を移動させ、プレパラート70を供給する収納部を変更する。
図7は、分析装置20の内部機構の動作手順(3)の一例を示す図である。動作手順(3)において、検体取得部701は、薬剤入れ409から薬剤を取得し、矢印702の向きに移動し、搬送台405上のプレパラート70に薬剤を供給する。プレパラート70は、試料用容器の一例である。検体取得部701は、試料調製部222の一部を構成し、一実現例では、気体/液体を吸引/吐出するノズル、および、当該ノズルによる吸引/吐出のためのポンプを含む。また、検体取得部701は、その内部に流路切替弁(例えば、三方弁)を備えていてもよい。
図8は、分析装置20の内部機構の動作手順(4)の一例を示す図である。動作手順(4)において、検体取得部701は、プレパラート70に薬剤を供給した後、矢印801の向きに移動し、洗浄部410に検体取得部701の先端を入れて、洗浄処理を行なう。検体取得部701は、内部から洗浄液を排出することで、検体取得部701の先端の吸い取り口を洗浄する。
図9は、分析装置20の内部機構の動作手順(5)の一例を示す図である。動作手順(5)において、検体取得部701は、洗浄処理の完了後、矢印901の向きに移動し、分析対象のスピッツ503から、検体を取得する。
図10は、分析装置20の内部機構の動作手順(6)の一例を示す図である。動作手順(6)において、検体取得部701は、検体取得の完了後、矢印1001の向きに移動し、搬送台405上のプレパラート70に検体を供給する。動作手順(6)までの処理によって、図3の工程(i)~(iii)において説明した撮像対象の試料が調製される。
図11は、分析装置20の内部機構の動作手順(7)の一例を示す図である。動作手順(7)において、検体取得部701は、プレパラート70に検体を供給した後、矢印1101の向きに移動し、洗浄部410に検体取得部701の先端を入れて、洗浄処理を行なう。検体取得部701は、内部から洗浄液を排出することで、検体取得部701の先端の吸い取り口を洗浄する。なお、図11に示すように、実際には、2枚以上のプレパラート70が搬送台405に搬送されてもよい。
図12は、分析装置20の内部機構の動作手順(8)の一例を示す図である。動作手順(8)において、プレパラート70に試料(検体+薬剤)が供給された後、搬送機構404は、矢印1201の方向に駆動する。そして、搬送機構404は、搬送台405上のプレパラート70を保持部407内に挿入する。2枚以上のプレパラート70が搬送台405にある場合、搬送機構404は、搬送台405にある全てのプレパラート70を保持部407の方向に押し出す。
ある局面において、脱落防止部品407Bは、プレパラート70と対面する位置に傾斜面を設けられていてもよい。さらに、プレパラート70の脱落防止部品407Bと接する位置にも傾斜面が設けられていてもよい。搬送機構404が、2枚のプレパラート70を保持部407に向けて押し出した場合、1枚目のプレパラート70の傾斜面は、脱落防止部品407Bの傾斜面と接することで、脱落防止部品407Bを開口部の外側に押し出す。脱落防止部品407Bは、開口部の外側に移動するため、1枚目のプレパラート70の外壁407A内への移動を妨げない。
1枚目のプレパラート70が完全に外壁407A内に入った後、脱落防止部品407Bは、元の位置に戻り、続けて2枚目のプレパラート70の傾斜面と接することで、2枚目のプレパラート70が外壁407A内に移動することを阻害する。このように、分析装置20は、脱落防止部品407Bおよびプレパラート70の両方に傾斜面を備えることで、搬送機構404の押し出し量を精密に制御することなく、プレパラート70が2枚同時に撮像台406に供給され、保持部407が詰まることを防止し得る。
図13は、分析装置20の内部機構の動作手順(9)の一例を示す図である。動作手順(9)において、保持部407は、撮像装置223の撮像方向に対して垂直になる2軸方向(矢印1301の2軸方向)に動くことで、撮像装置223に対するプレパラート70の位置を調整する。撮像装置223は、プレパラート70に対して上下方向に移動することで、撮像装置223のレンズのフォーカスを調整する。撮像装置223は、プレパラート70の位置の調整および撮像装置223のレンズのフォーカスの調整が完了した後に、プレパラート70内の検体(試料)を撮像する。なお、図13以降の動作時に、分析装置20は、後続のプレパラート70に対して、図5~図11までの動作を実施し得る。
図14は、分析装置20の内部機構の動作手順(10)の一例を示す図である。動作手順(10)において、保持部407は、プレパラート70内の検体(試料)の撮像の完了後、廃棄容器408の位置(矢印1401の方向)に動くことで、プレパラート70を廃棄する。
図15は、分析装置20の内部機構の動作手順(11)の一例を示す図である。動作手順(11)において、動作手順(1)~(10)が完了する毎に、次の検査対象の容器4が分析装置20の中央に来るように、ラック7が矢印1501~1503の向きに運ばれていく。
[試料調製に関する設定]
分析装置20は、試料の調製についての設定の入力を受け付ける。図16は、設定の設定画面の一例を示す図である。
図16に示されるように、設定画面1600は、吸引/吐出設定部1610と、保存ボタン1620と、速度設定部1630とを含む。吸引/吐出設定部1610は、試料の調製における、検体取得部701の吸引量および吐出量についての設定の入力を受け付ける。保存ボタン1620は、設定画面1600に入力された設定内容を記憶装置212に格納するために操作される。速度設定部1630は、吸引/吐出設定部1610において設定された吸引量/吐出量の実施における、吸引/吐出の速度の設定の入力を受け付ける。ここで、吸引/吐出設定部1610に入力される設定内容についてより具体的に説明する。
吸引/吐出設定部1610は、6項目(「検体」「染色液」「染色液洗浄」「検体洗浄」「混合槽」「展開槽」)の設定の入力を受け付ける。より具体的には、6項目に関し、以下の10種類の設定の入力を受け付ける。
・「検体」の吸引量
・「検体」の吐出量
・「染色液」の吸引量
・「染色液洗浄」の吸引量
・「染色液洗浄」の吐出量
・「検体洗浄」の吸引量
・「検体洗浄」の吐出量
・「混合槽」の吸引量
・「混合槽」の吐出量
・「展開槽」の吸引量
上記10種類の設定のそれぞれは、図5~図15を参照して上述した動作手順に関連する。以下、10種類の設定のそれぞれについて説明する。
「検体」の吸引量は、動作手順(5)として説明された、検体の取得のための検体取得部701の吸引量を規定する。「検体」の吸引量は、実質的に、試料の調製のためにプレパラート70に注入される検体の量を規定する。
「検体」の吐出量は、動作手順(5)として説明された検体の取得の前に、容器4内の検体の撹拌のために容器4に対して吐出される空気の量を規定する。当該撹拌により、容器4において沈殿している(または底部近傍に溜まっている)有形成分が容器4内のより広い領域に拡散し得る。「検体」の吐出量は、実質的に、検体の撹拌の強さを規定する。
「染色液」の吸引量は、動作手順(3)として説明された、薬剤(染色液)の取得のための検体取得部701の吸引量を規定する。「染色液」の吸引量は、実質的に、プレパラート70に注入される薬剤の量を規定する。以下の説明では、試料において検体と混合される薬剤の一例として染色液が採用される。
「染色液洗浄」の吸引量は、動作手順(4)として説明された、検体取得部701の洗浄処理のための検体取得部701の吸引量を規定する。ここでは、染色液を吸引した後の検体取得部701に洗浄液を吸引させることによって、検体取得部701が洗浄される。ここで行われ得る洗浄液の吸引は、検体取得部701に備えたノズルからの吸引に限定されず、検体取得部701の内部に設けられた流路切替弁(例えば、三方弁)のバルブを切り替えることによって実施される洗浄液タンクから検体取得部701への洗浄液の吸引であってもよい。「染色液洗浄」の吸引量は、実質的に、洗浄処理に利用される洗浄液の量を規定する。「染色液洗浄」の吐出量は、動作手順(4)として説明された、検体取得部701の洗浄処理における、上記吸引後の検体取得部701の吐出量を規定する。
「検体洗浄」の吸引量は、動作手順(7)として説明された、検体取得部701からプレパラート70への検体の供給の後の、検体取得部701の洗浄の際の吸引量を規定する。ここでは、検体を吸引した後の検体取得部701に洗浄液を吸引させることによって、検体取得部701が洗浄される。ここで行われ得る洗浄液の吸引もまた、検体取得部701に備えたノズルからの吸引に限定されず、検体取得部701の内部に設けられた流路切替弁(例えば、三方弁)のバルブを切り替えることによって実施される洗浄液タンクから検体取得部701への洗浄液の吸引であってもよい。「検体洗浄」の吸引量は、実質的に、洗浄に利用される洗浄液の量を規定する。
「検体洗浄」の吐出量は、動作手順(7)として説明された、検体取得部701の洗浄処理において、検体取得部701の吐出量を規定する。
「混合槽」の吸引量は、動作手順(6)として説明された、検体取得部701からプレパラート70への検体の供給の後、検体取得部701のノズルの先端をプレパラート70の貯留部71内の混合液の表面近傍または混合液の内部に位置させた状態で、検体取得部701から吸引させる混合液の量を規定する。「混合槽」の吐出量は、当該状態で、検体取得部701をプレパラート70の凹部72に吐出させる混合液の量を規定する。プレパラート70の凹部72への混合液の吐出は、凹部72においてカバーガラス73に覆われていない開口部(展開槽74)を設けておき、この展開槽74に混合液を吐出する態様であってもよい。展開槽74に吐出された混合液は、例えば、毛細管現象により展開槽74から凹部72に導入され得る。
「展開槽」の吸引量は、動作手順(7)として説明された検体取得部701からプレパラート70への検体の供給の後(例えば、展開槽74を通じて、検体と染色液の混合液をプレパラート70の凹部72に供給後)、検体取得部701をプレパラート70の上方から移動させる前に、検体取得部701に吸引させる空気の量を規定する。プレパラート70への検体の供給の後、検体取得部701に空気を吸引させることにより、検体取得部701の移動中に、検体取得部701の先端に付着した検体が垂れることおよび飛び散ること等が抑制され得る。
[処理の流れ]
図17および図18は、検体の分析に際して分析装置20において実行される処理のフローチャートである。一実現例では、分析装置20は、図17および図18に示された処理を、CPU211が所与のプログラムを実行することによって実行し得る。
まず図17を参照して、ステップS100にて、分析装置20は、分析に関する設定の要求を受けたか否かを判断する。一実現例では、ユーザは、入力インターフェイス229に接続されたキーボードまたはマウスを操作することによって、分析装置20に対して設定の要求を入力する。この意味において、入力インターフェイス229は、入力部の一例である。他の実現例では、ユーザは、通信部221を介して分析装置20と通信可能なコンピュータを操作することによって、分析装置20に対して設定の要求を入力する。この意味において、通信部221は、入力部の一例である。
分析装置20は、分析に関する設定の要求を受けたと判断するまでステップS100の制御を継続し(ステップS100にてNO)、当該要求を受けたと判断すると(ステップS100にてYES)、ステップS110へ制御を進める。
ステップS110にて、分析装置20は、設定内容の入力を受け付け、受け付けた設定内容を記憶装置212に格納する。一実現例では、分析装置20は、出力インターフェイス230に接続されたディスプレイに設定用の画面(たとえば、設定画面1600)を表示し、当該画面に対して入力されたデータを設定内容として記憶装置212に格納する。
ステップS120にて、分析装置20は、分析の開始のタイミングが到来したか否かを判断する。一実現例では、分析装置20は、分析装置20内の所与の操作部(たとえばハードウェアボタン)が操作されたことにより、または、通信部221が外部のコンピュータから開始の指示を受信したことにより、分析の開始のタイミングが到来したと判断する。他の実現例では、分析装置20は、所与の数の検体(容器4)の分析の指示を受けた後、当該所与の数の検体の分析が終了するまで、1つの検体の分析が終了するたびに、分析の開始のタイミングが到来したことと判断する。
分析装置20は、分析の開始のタイミングが到来していないと判断すると(ステップS120にてNO)、ステップS100へ制御を戻し、当該タイミングが到来したと判断すると(ステップS120にてYES)、ステップS130へ制御を進める。
ステップS130にて、分析装置20は、検体の有形成分分析を実施する。図18には、ステップS130のサブルーチンのフローチャートが示される。ステップS130の内容は、図18を参照して詳説される。
図18を参照して、ステップS200にて、分析装置20は、記憶装置212に格納された設定内容のうち、染色液用の吸引量を読み出す。一実現例では、当該吸引量は設定画面1600の「染色液」の吸引量として設定される。
ステップS210にて、分析装置20は、検体取得部701のノズルを薬剤入れ409に移動させた後、検体取得部701にステップS200において読み出された吸引量の吸引を実行させる。これにより、検体取得部701は染色液を吸引する。
ステップS220にて、分析装置20は、検体取得部701のノズルをプレパラート70に移動させた後、検体取得部701に、プレパラート70(例えば、プレパラート70の貯留部71)に向けて染色液を吐出させる。これにより、プレパラート70に染色液が供給される。
ステップS230にて、分析装置20は、記憶装置212に格納された設定内容のうち、検体用の吐出量および吸引量を読み出す。一実現例では、当該吐出量および吸引量は、設定画面1600の「検体」の吐出量および「検体」の吸引量として設定される。
ステップS240にて、分析装置20は、容器4内の検体を撹拌する。一実現例では、分析装置20は、検体取得部701のノズルを容器4まで移動させた後、検体取得部701にステップS230にて読み出された吐出量の吐出を実行させることにより、検体を撹拌する。
ステップS250にて、分析装置20は、検体取得部701に、容器4内の検体を吸引させる。このとき、一実現例では、分析装置20は、検体取得部701に、ステップS230にて読み出された吸引量の吸引を実行させる。
ステップS260にて、分析装置20は、検体取得部701のノズルをプレパラート70へと移動させた後、検体取得部701に、吐出を実行させて、プレパラート70(例えば、プレパラート70の貯留部71)へ検体を注入させる。
その後、分析装置20は、検体取得部701のノズルを利用して(例えば、ノズルの吸引・吐出動作を繰り返すことによって、又はノズルを上下・左右に動かすことによって)、検体取得部701に貯留部71内の溶液を撹拌させても良い。分析装置20は、記憶装置212に格納された設定内容のうち、混合槽の吸引量および吐出量を読み出す。一実現例では、分析装置20は、当該設定内容に従って、検体取得部701に貯留部71(混合槽)から混合液を吸引させ、プレパラート70の展開槽74に検体取得部701のノズルを移動させ、検体取得部701に展開槽74へ混合液を吐出させる。当該吐出により展開槽74に注入された混合液は、凹部72へと導入され得る。このときの吐出量および吸引量は、設定画面1600の「混合槽」の吐出量および「混合槽」の吸引量として設定される。
さらに、分析装置20は、ノズルをプレパラート70(例えば、プレパラート70の展開槽74)から移動させる前に、検体取得部701に吸引を実行させてもよい。分析装置20は、記憶装置212に格納された設定内容のうち、展開槽の吸引量を読み出す。一実現例では、当該吸引量は、設定画面1600の「展開槽」の吸引量として設定される。このように移動前に吸引させることにより、ノズル先端の検体が垂れることおよび飛び散ること等が抑制され得る。
ステップS270にて、分析装置20は、プレパラート70を撮像位置まで移動させた後、撮像装置223にプレパラート70内の試料の画像を撮影させる。
ステップS280にて、分析装置20は、ステップS270の撮像画像を解析する。解析の一例は、試料に含まれる有形成分の特定である。
ステップS290にて、分析装置20は、試料の分析結果を記憶装置212に出力する。分析結果の一例は、ステップS280における解析の結果を含む。分析結果は、出力インターフェイス230に格納されたディスプレイに表示されてもよい。
その後、分析装置20は図17のステップS130へ制御を戻す。
以上、図17および図18を参照して説明された処理によれば、ステップS110にて、検体(試料)の分析に関する設定内容が受け付けられ、かつ、記憶装置212に格納される。検体および染色液のプレパラート70(試料用容器)への注入量は、図16の設定画面1600にて設定され得る。
以上説明された処理では、プレパラート70への検体の注入量および染色液の注入量の双方の設定を受け付け、これらの設定に従って各注入量が実現されるように検体取得部701が制御された。これにより、ユーザは、試料の量、および、試料における検体と染色液の比率を変更し得る。したがって、分析装置20が実施し得る分析の種類が増加され得る。
なお、分析装置20において、検体の注入量および染色液の注入量のいずれか一方は固定されており、ユーザが他方のみを入力できるように構成されていてもよい。この場合であっても、ユーザの入力に従って、試料における検体と染色液の比率を適宜変更し得る。したがって、分析装置20が実施し得る分析の種類が増加され得る。
[検体の種類に従った条件]
分析装置20では、検体と染色液とのプレパラート70への注入の量に関する条件が予め設定されていてもよい。設定画面1600(図16)に当該条件を満たさないような数値が入力された場合、分析装置20は、入力された数値が当該条件を満たさないことを報知してもよい。以下、図19~図21を参照して、検体と染色液との分量の比に関する条件に基づいた制御の一例を説明する。図19は、検体と染色液との注入量に関する条件の一例を示す図である。図19に示された条件を表す情報は、たとえば記憶装置212に格納される。
図19の例では、検体の種類ごとに、検体に対する染色液の割合の範囲が設定されている。「R11」「R12」「R21」「R22」「R31」および「R32」のそれぞれは、予め定められたまたはユーザによって設定された正の値を表す。
たとえば、検体の種類が「尿」である場合、図19に示された条件は、染色液の量が検体の量に対してR11倍~R12倍の範囲に設定されることを規定する。検体の種類が「髄液」である場合、当該条件は、染色液の量が検体の量に対してR21倍~R22倍の範囲に設定されることを規定する。検体の種類が「LBC」である場合、当該条件は、染色液の量が検体の量に対してR31倍~R32倍の範囲に設定されることを規定する。なお、「LBC」は、液状化検体細胞診(liquid-based cytology: LBC 法)に従って分析される検体の種類を意味する。
図20は、当該条件が利用される場合の設定画面を示す図である。図20に示されるように、設定画面2000は、図16に示された設定画面1600内の要素に加えて、設定欄1640を含む。設定欄1640は、分析装置20において分析される検体の種類の設定に利用される。
図20では、吸引/吐出設定部1610においてポップアップ1611が示されている。ポップアップ1611は、メッセージ「染色液の吸引量は、QaμL~QbμLの範囲で入力してください。」を表す。分析装置20は、染色液の吸引量として入力された値が図19に示された条件を満たさない場合に、ポップアップ1611を表示して、ユーザに値の修正を指示してもよい。
分析装置20は、「QaμL」および「QbμL」のそれぞれを、設定欄1640において設定された検体の種類、吸引/吐出設定部1610において検体の吸引量として入力された値、および、図19の条件に従って導出し得る。たとえば、設定欄1640において設定された種類が「尿」であり、吸引/吐出設定部1610において検体の吸引量として入力された値が「QxμL」である場合を想定する。一実現例では、分析装置20は、「QxμL」のR11倍の容量として「QaμL」を導出し、また、「QxμL」のR12倍の容量として「QbμL」を導出する。
図21は、図17に示された処理の変形例のフローチャートである。図21の処理は、図17の処理と比較して、ステップS112およびステップS114をさらに含む。
より具体的には、分析装置20は、ステップS110にて、設定画面2000に入力された設定内容を記憶装置212に格納した後、ステップS112へ制御を進める。
ステップS112にて、分析装置20は、入力された設定内容が図19に示された条件を満たしているか否かを判断する。分析装置20は、上記設定内容が上記条件を満たすと判断すると(ステップS112にてYES)、ステップS120へ制御を進め、上記設定内容が上記条件を満たさないと判断すると(ステップS112にてNO)、ステップS114へ制御を進める。
ステップS114にて、分析装置20は、条件が満たされないことを報知する。図20のポップアップ1611は、当該報知の一例である。当該報知は、音声または振動であってもよい。
以上、図19~図21を参照して説明された例では、ポップアップ1611は、入力された「検体」の吸引量と「染色液」の吸引量との間の関係が条件を満たさない場合に、「染色液」の吸引量の入力の変更を指示するメッセージを含む。なお、表示されるメッセージは、「検体」の吸引量の方の入力の変更を指示するメッセージであってもよいし、「検体」の吸引量と「染色液」の吸引量の双方の入力の変更を指示するメッセージであってもよい。
[検体の種類に従った設定]
分析装置20では、検体の種類に従って、試料調製における「検体」の吸引量(注入量)および「染色液」の吸引量(注入量)が予め設定されていてもよい。図22は、検体の種類に従った設定の一例を示す図である。図22の設定を表す情報は、たとえば記憶装置212に格納される。
図22には、「検体」の吸引量、「検体」の吐出量、および、「染色液」の吸引量を含む。これらの量は、図16の例では、吸引/吐出設定部1610においてユーザにより設定される。図22の例では、これらの量は予め設定されている。
図22には、4種類の検体(「尿(染色分析)」「尿(無染色分析)」「髄液」「LBC」)が示される。「尿(染色分析)」は、染色液を利用する分析において、検体の種類として「尿」が指定されることを意味する。「尿(無染色分析)」は、染色液を利用しない分析において、検体の種類として「尿」が指定されることを意味する。
たとえば、図22の設定は、検体の種類が「尿(染色分析)」である場合、検体の吸引量として「Q11μL」を規定し、検体の吐出量として「Q12μL」を規定し、染色体の吸引量として「Q13μL」を規定する。
また、図22の設定は、検体の種類が「尿(無染色分析)」である場合、検体の吸引量として「Q21μL」を規定し、検体の吐出量として「Q22μL」を規定し、染色体の吸引量として「0μL」を規定する。
図23は、図17の処理の変形例のフローチャートである。図22の処理は、図17の処理と比較して、ステップS116およびステップS118をさらに備える。
より具体的には、分析装置20は、ステップS100にて設定の要求を受けると、ステップS110にて、入力された設定内容を記憶装置212に格納する。なお、図23の処理では、入力される設定内容は、検体の種類を含み、図22に示された設定(「検体」の吸引量、「検体」の吐出量、および、「染色液」の吸引量)は含まない。その後、制御はステップS116へ進められる。
ステップS116にて、分析装置20は、入力された検体の種類を読み出す。
ステップS118にて、分析装置20は、入力された検体の種類に対応した設定(すなわち、図22に示された、「検体」の吸引量、「検体」の吐出量、および、「染色液」の吸引量)を記憶装置212に格納する。その後、制御はステップS120へ進められる。
なお、図22の例では、3種類の設定値(「検体」の吸引量、「検体」の吐出量、および、「染色液」の吸引量)が検体の種類に関連付けられていたが、検体の種類に対して関連付けられる設定値はこれらの中の少なくとも1種類であってもよい。これにより、ユーザが検体の種類を入力することにより、分析装置20は、ユーザからのそれ以上の入力を必要とすることなく、設定された検体の種類について、少なくとも1種類の設定値を提示し得る。
[試料調製時の状況に応じた設定の変更]
各種の設定値は、試料の調製の際の状況に応じて変更されてもよい。一実現例では、検体の撹拌のための空気の吐出量(「検体」の吐出量)が検体の粘度に従って変更される。
図24は、検体の粘度と「検体」の吐出量の設定値との関係の一例を示す図である。図24では、「検体」の吐出量の設定値は、「検体」(吐出)設定値として示される。図24に示された情報は、たとえば記憶装置212に格納される。
図24において粘度として示される値V1,V2,V3のそれぞれは、予め定められた正の値を表す。一実現例では、検体の粘度が高くなるほど、「検体」の吐出量の設定値がより大きくなる。すなわち、粘度の高い検体ほどより大きな力で撹拌され得る。
図25は、図18の処理の変形例のフローチャートである。図18の処理と比較して、図25の処理はステップS228をさらに含む。
より具体的には、ステップS220にて検体取得部701にプレパラート70(例えば、プレパラート70の貯留部71)へ染色液を注入させた後、分析装置20は、ステップS228へ制御を進める。
ステップS228にて、分析装置20は、処理対象の検体の粘度を読み出す。
分析装置20は、検体の粘度を検出してもよく、この場合には、ステップS228にて当該検出の結果が読み出される。
分析装置20は、他の装置から、処理対象の検体の粘度を取得してもよい。たとえば、分析装置20の前段には定性分析装置が配置されていてもよく、分析装置20は、当該定性分析装置による分析の対象とされた検体を分析してもよい。この場合、分析装置20は、定性分析装置から、検体の粘度を取得してもよい。
次に、ステップS230にて、分析装置20は、検体用の吐出量および吸引量を読み出す。このとき、分析装置20は、検体用の吐出量として、ステップS228にて読み出された(取得された)粘度に対応した吐出量(図24参照)を読み出す。その後、制御はステップS240へ進められる。
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内で全ての変更が含まれることが意図される。