以下、実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態にかかる位置検出システムの適用例を示した例示的かつ模式的な図である。
図1に示されるように、第1実施形態にかかる位置検出システムは、たとえば、移動体としての車両Vが屋内の領域A1内へ自動運転(半自動運転)によって移動して駐停車するような状況に適用される。このような状況では、走行中の車両Vの位置(現在位置)を把握することが重要となる。なお、ここで言及している車両Vの位置は、車両Vの向き(方位)も含む概念である。
ここで、車両Vの位置を把握するための手法として、たとえばGPS(Global Positioning System)などといった、衛星を利用した位置測位システムを用いた手法が従来から一般的に知られている。しかしながら、このような技術は、たとえば屋内やビルの谷間などといった、衛星を利用した測位の誤差が大きくなりやすい環境においてはその機能を十分に発揮しないため、図1に示されるような状況には適用することができない。
そこで、第1実施形態は、車両Vと別体であり、位置が特定可能なように、車両Vの外である屋内の領域A1の予め決められた位置(たとえば領域A1の近傍)に地上装置100を固定的に設けるとともに、車両Vに車上装置200を設け、地上装置100と車上装置200とに所定の信号の送受信を実行させることで、衛星を利用した測位の誤差が大きくなりやすい環境においても車両Vの位置を把握することを実現する。なお、地上装置100は、「第1装置」の一例であり、車上装置200は、「第2装置」の一例である。
たとえば、図1に示される例では、地上装置100は、水平方向(路面と実質的に平行な方向)に互いに異なる位置に設けられた2つの送波器121aおよび122aを介して音波(超音波)を出力可能に構成されており、車上装置200は、水平方向に互いに異なる位置に設けられた2つの受波器221aおよび222aを介して送波器121aおよび122aからそれぞれ出力される音波を受信可能に構成されている。なお、送波器121aおよび122aは、圧電素子などにより構成される振動子を有し、受波器221aおよび222aも、同様の振動子を有している。
なお、第1実施形態では、車両Vに設けられる測距のためのソナーが送波器121aおよび122aとして兼用されてもよいし、当該ソナーとは別個に設けられた専用のスピーカやマイクなどが送波器121aおよび122aとして使用されてもよい。なお、ソナーが送波器121aおよび122aとして兼用される場合、送波器121aおよび122aは、1つのソナーに2つとも内蔵されてもよいし、2つのソナーにそれぞれ1つずつ内蔵されてもよい。
第1実施形態は、上記のような音波を用いた所定の信号の送受信の結果に基づいて、車両Vの位置を把握する。
図2は、第1実施形態にかかる位置検出システムの地上装置100および車上装置200の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図2に示されるように、地上装置100は、第1信号送信部110と、第2信号送信部121および122と、タイマ130と、を有している。また、車上装置200は、第1信号受信部210と、第2信号受信部221および222と、位置検出部230と、を有している。なお、図2に示される機能モジュール群の一部または全部は、コンピュータを用いたハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現されてもよいし、専用の回路などのハードウェアのみによって実現されてもよい。
第1信号送信部110は、たとえば光などの電磁波を用いて、アンテナ110aを介して所定の信号(以下、第1信号と記載する)を送信する。また、第2信号送信部121および122は、それぞれ、送波器121aおよび122a(図1も参照)を介して所定の信号(以下、第2信号と記載する)を送信する。また、タイマ130は、所定の条件下でカウントアップすることで、たとえば第1信号および第2信号が送信されてからの経過時間などを計測する。
第1信号受信部210は、アンテナ210aを介して、第1信号送信部110から送信された第1信号を受信する。また、第2信号受信部221および222は、それぞれ、受波器221aおよび222aを介して、第2信号送信部121および122から送信された第2信号を受信する。また、位置検出部230は、第2信号の送受信の結果に基づいて、車両Vの位置を検出(算出、推定、取得)する。
ここで、第1実施形態において、第2信号は、第1信号の送受信に応じて送受信される。したがって、第1信号は、第2信号の送受信のタイミングの同期をとるための同期信号としての役割を有する。位置検出部230による車両Vの位置検出は、上述したように、第2信号の送受信の結果に基づいて実施されるため、第1信号は、車両Vの位置検出の実施のトリガとしての役割を有するとも言える。
以下、位置検出部230により実施される、第2信号の送受信の結果に基づいた車両Vの位置検出の手法について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図3は、第1実施形態にかかる位置検出システムにおける車両Vの位置検出の手法の一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図3において、S0は、第1信号送信部110が送信する第1信号の出力レベルの時間変化を表している。また、T1は、第2信号送信部121が送信する第2信号の出力レベルの時間変化を表しており、R1は、第2信号受信部221が受信する第2信号の出力レベルの時間変化を表している。また、T2は、第2信号送信部122が送信する第2信号の出力レベルの時間変化を表しており、R2は、第2信号受信部222が受信する第2信号の出力レベルの時間変化を表している。なお、図3に示される第1信号および第2信号の波形は、例として簡略化したものに過ぎず、第1信号および第2信号は、様々な波形をとりうる。
図3に示される例では、第2信号送信部121が第2信号の送信を開始するタイミングt10と、第2信号受信部221が第2信号送信部121からの第2信号の受信を開始するタイミングt11とが、時間Δt1分だけずれている。この時間Δt1は、音波としての第2信号が送波器121aから受波器221aに到達するまでのタイムラグに相当する。したがって、時間Δt1からは、送波器121aと受波器221aとの間の距離を算出することが可能である。
同様に、図3に示される例では、第2信号送信部122が第2信号の送信を開始するタイミングt10と、第2信号受信部222が第2信号送信部122からの第2信号の受信を開始するタイミングt12とが、時間Δt2分だけずれている。この時間Δt2は、音波としての第2信号が送波器122aから受波器222aに到達するまでのタイムラグに相当する。したがって、時間Δt2からは、送波器122aと受波器222aとの間の距離を算出することが可能である。
このように、第1実施形態では、第2信号送信部121および122と第2信号受信部221および222とによる第2信号の送受信のタイミングのずれを計測すれば、当該ずれに基づいて、地上装置100と車上装置200との絶対的な位置関係、より具体的には送波器121aと受波器221aとの間の距離および送波器122aと受波器222aとの間の距離を、特定(算出)することが可能である。
ここで、送波器121aおよび122aの位置(絶対位置)は、不変のものとして予め決まっている。また、受波器221aおよび222aの車両V上での位置も、不変のものとして予め決まっている。したがって、これらの各部の位置と、上記の手法により特定した位置関係(送波器121aと受波器221aとの間の距離および送波器122aと受波器222aとの間の距離)と、を考慮すれば、最終的には、車両Vの絶対位置(および絶対方位)を推定することが可能である。
なお、前述したように、第1信号は、第2信号の送受信のタイミングの同期をとるための同期信号としての役割を有する。したがって、第2信号の送受信のタイミングのずれは、第1信号の送受信のタイミングを基準として計測される。図3に示される例では、簡単化のため、第1信号送信部110が第1信号の送信を開始するタイミングt10が、時間Δt1およびΔt2の基準となっているが、実際には、第1信号受信部210が第1信号送信部110からの第1信号の受信を開始するタイミングが、時間Δt1およびΔt2の基準となりうる。
ただし、前述したように、第1信号は、光などの電磁波を用いて送受信される信号であり、第2信号は、光よりも伝播速度が十分に遅い音波を用いて送受信される信号である。したがって、第1信号送信部110が第1信号の送信を開始するタイミングt10と、第1信号受信部210が第1信号送信部110からの第1信号の受信を開始するタイミングとのずれは、時間Δt1およびΔt2に対して十分に小さいため、無視することも可能である。
図4は、第1実施形態にかかる位置検出システムにおける車両Vの位置検出の手法の他の一例を説明するための例示的かつ模式的な図である。
図4に示される手法では、受波器221aにより受信される送波器121aからの第2信号の受信方位(方向D1)と、受波器222aにより受信される送波器122aからの第2信号の受信方位(方向D2)と、に基づいて、車両Vの絶対位置(および絶対方位)が推定される。
ここで、前述したように、送波器121aおよび122aの位置(絶対位置)は、不変のものとして予め決まっており、受波器221aおよび222aの車両V上での位置も、不変のものとして予め決まっている。したがって、これらの各部の位置と、上記の2つの受信方位と、を考慮すれば、三角測量と同様の手法により、地上装置100(送波器121aおよび122a)と車上装置200(受波器221aおよび222a)との絶対的な位置関係を特定することが可能であり、最終的には、車両Vの絶対位置(および絶対方位)を推定することが可能である。
以上のように、第1実施形態において、車上装置200の位置検出部230は、上述した2つの手法のいずれかに基づいて地上装置100と車上装置200との位置関係を特定する位置関係特定部231(図2参照)と、当該位置関係特定部231が特定した位置関係に基づいて車両Vの位置(方位を含む)を推定する位置推定部232(図2参照)と、を有している。位置推定部232による推定結果は、車輪速センサなどの検出値を用いて車両Vの現在位置を推定する手法(いわゆるオドメトリ)による推定結果の補正などに用いることが可能である。オドメトリにおいては、車両Vの移動距離が大きくなる程、推定結果の誤差が累積されて大きくなっていくため、第1実施形態の技術は、このような累積誤差の解消に有効である。
次に、図5および図6を参照して、第1実施形態にかかる位置検出システムで実行される処理の一例について説明する。
図5は、第1実施形態にかかる位置検出システムの地上装置100が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図5に示される処理フローでは、まず、S501において、地上装置100は、タイマ130のカウントアップを実行する。
そして、S502において、地上装置100は、S501の処理が実行されてから所定時間が経過したか否かを判断する。
S502において、S501の処理が実行されてから所定時間が経過していないと判断された場合、S501に処理が戻る。一方、S502において、S501の処理が実行されてから所定時間が経過したと判断された場合、S503に処理が進む。
S503において、地上装置100は、第1信号送信部110により、光などの電磁波を用いた第1信号を送信する。
そして、S504において、地上装置100は、第2信号送信部121および122により、音波を用いた第2信号を送信する。
S504の処理が完了すると、S501に処理が戻る。したがって、図5に示される処理フローにおいて、地上装置100は、所定時間毎に第1信号および第2信号を繰り返し送信する。
一方、図6は、第1実施形態にかかる位置検出システムの車上装置200が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この図6に示される処理フローは、たとえば、地上装置100が設けられた領域A1(図1参照)に車両Vが接近した場合に実行される。
図6に示される処理フローでは、まず、S601において、車上装置200は、上述したS503において地上装置100(第1信号送信部110)から送信された第1信号が第1信号受信部210により受信されたか否かを判断する。
S601の処理は、第1信号が受信されたと判断されるまで繰り返し実行される。そして、S601において、第1信号が受信されたと判断された場合、S602に処理が進む。
そして、S602において、車上装置200は、上述したS504において地上装置100(第2信号送信部121および122)から送信された第2信号を、第2信号受信部221および222により受信する。
そして、S603において、車上装置200は、地上装置100と車上装置200との位置関係を、位置検出部230の位置関係特定部231により特定する。地上装置100と車上装置200との位置関係は、上述した図3および図4のいずれかの手法を用いて特定することが可能である。
そして、S604において、車上装置200は、車両Vの位置(方位を含む)を、位置検出部230の位置推定部232により推定する。車両Vの位置の推定には、S603で特定された位置関係が考慮される。
S604の処理が完了すると、S601に処理が戻る。図6に示される処理フローは、たとえば、地上装置100が設けられた領域A1(図1参照)への車両Vの駐停車が完了した場合に終了する。
以上説明したように、第1実施形態にかかる位置検出システムは、車両Vが移動可能な屋内の領域(たとえば図1に示される領域A1)の予め決められた位置に設けられる地上装置100と、車両Vに搭載される車上装置200と、を有している。地上装置100は、車両Vの位置検出の実施のトリガを含む所定の第1信号を送信する第1信号送信部110を有しており、車上装置200は、第1信号を受信する第1信号受信部210を有している。地上装置100は、第1信号送信部110および第1信号受信部210による第1信号の送受信に応じて、第1信号とは異なる第2信号を送信する第2信号送信部121および122を有しており、車上装置200は、第2信号を受信する第2信号受信部221および222を有している。第2信号送信部121および122は、水平方向において互いに異なる位置に設けられており、第2信号受信部221および222も、水平方向において互いに異なる位置に設けられている。車上装置200は、第2信号送信部121および122と第2信号受信部221および222とによる第2信号の送受信の結果に基づいて、地上装置100と車上装置200との位置関係を特定し、当該位置関係に基づいて、車両Vの位置を検出する位置検出部230を有している。
上述した第1実施形態にかかる位置検出システムによれば、水平方向において互いに異なる2つの位置における第1信号および第2信号の送受信に基づいて、衛星を利用することなく、第1装置と第2装置との位置関係を容易に特定することができるので、衛星を利用した測位の誤差が大きくなりやすい環境においても、車両Vの位置を適切に把握することができる。
また、第1実施形態において、位置検出部230は、第2信号送信部121および122により送信される2つの第2信号の送信時刻と、第2信号受信部221および222により受信される2つの第2信号の受信時刻と、のそれぞれの差に基づいて、地上装置100と車上装置200との位置関係を特定しうる。この構成によれば、2組の送信時刻および受信時刻の差に基づいて、第2信号送信部121と第2信号受信部221との間の距離および第2信号送信部122と第2信号受信部222との間の距離を算出することができ、結果として、地上装置100と車上装置200との位置関係を容易に特定することができる。
また、第1実施形態において、位置検出部230は、第2信号受信部221および222によりそれぞれ受信される2つの第2信号の受信方位に基づいて、地上装置100と車上装置200との位置関係を特定しうる。この構成によれば、2つの受信方位に基づいて、三角測量と同様の手法により、地上装置100と車上装置200との位置関係を容易に特定することができる。
また、第1実施形態において、第1信号送信部110および第1信号受信部210は、それぞれ、第1速度で伝播する第1波動(たとえば光などの電磁波)を用いて第1信号を送信および受信し、第2信号送信部121および122と第2信号受信部221および222とは、それぞれ、第1速度よりも遅い第2速度で伝播する第2波動(たとえば音波)を用いて第2信号を送信および受信する。この構成によれば、第1信号の送受信のタイミングのずれが第2信号の送受信のタイミングのずれよりも小さくなるので、第1信号の送受信のタイミングのずれが第2信号の送受信の結果に影響を与えるのを抑制することができる。
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、車両Vの位置検出のトリガを含む第1信号が地上装置100から車上装置200に送信される構成が例示されている。しかしながら、第2実施形態として、以下に説明するような、第1信号が車上装置1200から地上装置1100に送信される構成も考えられる。
以下、第2実施形態にかかる位置検出システムについて説明する。なお、以下では、第1実施形態と第2実施形態とで同様の部分については説明を省略する。
図7は、第2実施形態にかかる位置検出システムの地上装置1100および車上装置1200の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。地上装置1100は、「第1装置」の一例であり、車上装置1200は、「第2装置」の一例である。
図7に示されるように、地上装置1100は、第1信号通信部1110と、第2信号送信部121および122と、タイマ130と、を有している。また、車上装置1200は、第1信号通信部1210と、第2信号受信部221および222と、位置検出部230と、を有している。なお、第2信号送信部121および122と、タイマ130と、第2信号受信部221および222と、位置検出部230と、については、上述した第1実施形態(図2参照)と同様である。
地上装置1100の第1信号通信部1110は、アンテナ110aを介して第1信号の送信と受信との双方を実行可能に構成されている。同様に、車上装置1200の第1信号通信部1210も、アンテナ210aを介して第1信号の送信と受信との双方を実行可能に構成されている。したがって、第1信号通信部1110および1210は、「第1信号送信部」の一例であるとともに「第1信号受信部」の一例である。これらの構成によれば、以下に説明するように、たとえば、地上装置1100が設けられた領域A1(図1参照)に車両Vが接近した場合など、車両Vの位置検出が必要になった場合にのみ、第1信号および第2信号の送受信を実行する位置検出システムを実現することが可能である。
図8は、第2実施形態にかかる位置検出システムの車上装置1200が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この図8に示される処理フローは、たとえば、地上装置1100が設けられた領域A1(図1参照)に車両Vが接近した場合に実行される。
図8に示される処理フローでは、まず、S801において、車上装置1200は、第1信号通信部1210により、光などの電磁波を用いた第1信号を送信する。
そして、S802において、車上装置1200は、S801で送信された第1信号に対する地上装置1100からの応答(後述)が第1信号通信部1210により受信されたか否かを判断する。
S802において、第1信号に対する応答が受信されていないと判断された場合、S801に処理が戻る。一方、S802において、第1信号に対する応答が受信されたと判断された場合、S803に処理が進む。
S803において、車上装置1200は、地上装置1100から送信される第2信号を、第2信号受信部221および222により受信する。
そして、S804において、車上装置1200は、地上装置1100と車上装置1200との位置関係を、位置検出部230の位置関係特定部231により特定する。地上装置1100と車上装置1200との位置関係は、上述した図3および図4のいずれかの手法を用いて特定することが可能である。
そして、S805において、車上装置1200は、車両Vの位置(方位を含む)を、位置検出部230の位置推定部232により推定する。車両Vの位置の推定には、S804で特定された位置関係が考慮される。
S805の処理が完了すると、S801に処理が戻る。図8に示される処理フローは、たとえば、地上装置1100が設けられた領域A1(図1参照)への車両Vの駐停車が完了した場合に終了する。
一方、図9は、第2実施形態にかかる位置検出システムの地上装置1100が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図9に示される処理フローでは、まず、S901において、地上装置1100は、上述したS801において車上装置1200(第1信号通信部1210)から送信された第1信号が、第1信号通信部1110により受信されたか否かを判断する。
S901の処理は、第1信号が受信されたと判断されるまで繰り返し実行される。そして、S901において、第1信号が受信されたと判断された場合、S902に処理が進む。
S902において、地上装置1100は、S901で受信された第1信号に対する応答を、光などの電磁波を用いて、第1信号通信部1110により送信する。
そして、S903において、地上装置1100は、第2信号送信部121および122により、音波を用いた第2信号を送信する。
S903の処理が完了すると、S901に処理が戻る。このため、図9に示される処理フローにおいては、S903からS901に処理が戻った後は、車上装置1200から送信される第1信号が再び受信されるまで、地上装置1100は、S903における第2信号の送信を実行することはない。
このように、第2実施形態は、車上装置1200からの要求があった場合にのみ、地上装置1100が第2信号を送信するように構成されている。したがって、第2実施形態によれば、車両Vの位置検出が必要な場合にのみ、適切なタイミングで、位置検出に必要な第2信号の送受信を実行することができる。
<第1実施形態および第2実施形態の変形例>
上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、屋内における移動体としての車両Vの位置を検出するための技術が例示されている。しかしながら、この技術は、屋内以外にも、たとえばビルの谷間などといった、衛星を利用した測位の誤差が大きくなりやすい環境に対して広く適用可能である。また、この技術は、車両V以外の移動体の位置を検出するためにも利用可能である。
また、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、地上装置100(および1100)と車上装置200(および1200)との信号の送受信により、車上装置200が設けられた車両Vの位置を検出する構成が例示されている。しかしながら、変形例として、車上装置を有した車両同士で行われる所定の信号の送受信の結果に基づいて、各車両が自らの位置を検出するという構成も考えられる。この構成において、各車両は、通信相手の車両の位置を、当該通信相手の車両が写るようにカメラなどによって撮像された画像に対する画像認識処理を実施したり、通信相手の車両がオドメトリなどの手法で自ら推定した位置をいわゆる車車間通信によって受信したりすることで取得することが可能である。そして、各車両は、このように取得された通信相手の車両の位置と、車両同士での所定の信号の送受信の結果と、に基づいて、自らの位置を検出する。
また、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、第2信号送信部121および122(送波器121aおよび122a)が水平方向において互いに異なる位置に設けられ、第2信号受信部221および222(受波器221aおよび222a)も水平方向において互いに異なる位置に設けられた構成が例示されている。しかしながら、変形例として、第2信号送信部および第2信号受信部が鉛直方向において異なる位置に設けられた構成も考えられる。この構成では、車両の位置として、車両のピッチ方向の傾き(路面の傾きを含む)を取得することが可能になる。
また、上述した第1実施形態では、第1装置としての地上装置100が第1信号送信部110を有し、第2装置としての車上装置200が第1信号受信部210を有する構成が例示されている。しかしながら、第1装置が第1信号受信部を有し、第2装置が第1信号送信部を有する構成であっても、適切な制御を実施すれば、上述した第1実施形態と同等の結果を得ることは可能である。
同様に、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、第1装置としての地上装置100(および1100)が第2信号送信部121および122を有し、第2装置としての車上装置200(および1200)が第2信号受信部221および222を有する構成が例示されている。しかしながら、第1装置が第2信号受信部を有し、第2装置が第2信号送信部を有する構成であっても、適切な制御を実施すれば、上述した第1実施形態(および第2実施形態)と同等の結果を得ることは可能である(たとえば後述する第3実施形態参照)。
また、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、第2装置としての車上装置200(および1200)が位置検出部230を有する構成が例示されている。しかしながら、第1装置としての地上装置100(および1100)が位置検出部を有する構成であっても、第1装置および第2装置の両方が位置検出部を有する構成であっても、適切な制御を実施すれば、上述した第1実施形態と同等の結果を得ることは可能である(たとえば後述する第3実施形態参照)。
また、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、2つの第2信号送信部121および122(送波器121aおよび122a)と、2つの第2信号受信部221および222(受波器221aおよび222a)が設けられた構成が例示されている。しかしながら、上述した図3および図4のいずれかの手法が使用可能になる条件は、第2信号送信部および第2信号受信部のうち少なくとも一方が少なくとも2つ設けられていることである。したがって、第2信号送信部が1つだけ設けられるとともに第2信号受信部が2つ以上設けられた構成であっても、第2信号送信部が2つ以上設けられるとともに第2信号受信部が1つだけ設けられた構成であっても、第2信号送信部および第2信号受信部が共に3つ以上設けられた構成であっても、適切な制御を実施すれば、上述した第1実施形態と同等の結果を得ることが可能である。
ただし、車両Vの位置の推定は、上述した図3および図4のいずれかの手法を使用しなくても、つまり第2信号送信部および第2信号受信部がそれぞれ1つずつしか設けられていなくても、実現可能である。たとえば、第1の時点における第2信号の送受信の結果と、第1の時点とは異なる第2の時点における第2信号の送受信の結果と、第1の時点と第2の時点との間の期間において各種のセンサ(舵角センサや車輪速センサなど)の検出結果に基づいて車両V自身で推定した車両Vの移動を表すパラメータと、を利用すれば、第2信号送信部および第2信号受信部がそれぞれ1つずつしか設けられていなくても、車両Vの位置は推定可能である。
また、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、第1信号が光などの電磁波を用いて送受信され、第2信号が音波を用いて送受信される構成が例示されている。しかしながら、第1信号を送受信するための波動(第1波動)の伝播速度(第1速度)が、第2信号を送受信するための波動(第2波動)の伝播速度(第2速度)よりも早ければ、上述した第1実施形態(および第2実施形態)と同等の結果を得ることは可能である。
また、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、地上装置100(および1100)に対する電力供給について特に例示されていないが、地上装置100(および1100)に対する電力供給は、外部電源に接続するための給電配線などといった通常の手段によって実現されてもよいし、後述する第3実施形態のような技術によって実現されてもよい。
さらに、上述した第1実施形態(および第2実施形態)では、位置検出が実施される状況として、車両Vが屋内の領域A1内へ自動運転(半自動運転)によって移動して駐停車するような状況(図1参照)が例示されている。しかしながら、位置検出は、図1に示される状況の他、以下に説明するような状況にも適用可能である。
図10は、第1実施形態および第2実施形態の変形例にかかる位置検出システムの適用例を示した例示的かつ模式的な図である。
図10に示されるように、第1実施形態および第2実施形態の変形例にかかる位置検出システムは、たとえばショッピングモールの屋内駐車場のような、柱などといった位置が不変の構造物Pが複数設けられた屋内の領域A2の通路を車両Vが自動運転(半自動運転)によって移動するような状況に適用される。このような状況においても、走行中の車両Vの位置(現在位置)を把握することは重要である。
図10に示される例では、構造物Pの予め決められた位置に設けられた地上装置2100(送波器121aおよび122a)と、車両Vに設けられた車上装置2200(受波器221aおよび222a)との間で第2信号が送受信され、当該第2信号の送受信の結果に基づいて、上述した図3および図4のいずれかの手法により、車両Vの位置検出が実施される。
なお、図10に示されるような、送波器121aおよび122aの組み合わせが3組以上設けられた構成においては、どの組の送波器121aおよび122aから送信された第2信号か、車上装置2200側で適宜判別する必要がある。したがって、図10に示される例では、第2信号に位相変調などを利用した符号化が施されることで、第2信号に識別情報が付与されうる。
<第3実施形態>
車上側と地上側との両方に位置検出のための装置を設けることが前提となる上記のような構成においては、地上側の装置に対する電力供給に工夫の余地がある。すなわち、車上側の装置に対する電力供給は、車両V内の電源を用いれば容易に実現することができるが、地上側の装置に対する電力供給は、通常、外部電源に接続するための給電配線など、構成の複雑化の要因となりうる何らかの手段を別途用意しなければ、容易に実現することができない。
そこで、第3実施形態は、以下に説明するような構成により、地上側の装置に対する電力供給を容易に(簡単な構成で)実現する。
図11は、第3実施形態にかかる位置検出システムの地上装置3100および車上装置3200の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。この第3実施形態では、車両Vの位置を特定する機能が地上装置3100に設けられている。なお、地上装置3100は、「第1装置」および「処理装置」の一例であり、車上装置3200は、「第2装置」の一例である。
図11に示されるように、地上装置3100は、通信部3110と、2つの第2信号受信部3121および3122と、蓄電部3130と、位置検出部3140と、を有している。なお、第2信号受信部3121および3122は、「受信部」の一例である。また、通信部3110は、「送信部」の一例であるとともに「処理部」の一例であり、位置検出部3140は、「処理部」の一例である。また、通信部3110は、第1信号送信部3111と、位置情報送信部3112と、を有しており、位置検出部3140は、位置関係特定部3141と、位置推定部3142と、を有している。
第1信号送信部3111、第2信号受信部3121および3122、位置関係特定部3141、および位置推定部3142は、上述した第1実施形態および第2実施形態における同名の構成と略同様の機能を有している。
より具体的に、第1信号送信部3111は、たとえば光などの電磁波を送受信するアンテナ3110aを介して、車両Vの位置検出の実施のトリガを含む第1信号を送信する。また、第2信号受信部3121および3122は、それぞれ、音波(超音波)を受信する受波器3121aおよび3122aを介して、第1信号とは異なる第2信号を受信する。なお、受波器3121aおよび3122aは、たとえば圧電素子などといった、音波の受信に応じて振動する振動子3120を有している。
また、位置関係特定部3141は、第1信号送信部3111による第1信号の送信に応じて第2信号受信部3121および3122により受信される第2信号に基づいて、地上装置3100と車両V(車上装置3200)との(相対的な)位置関係を特定する。このような位置関係の特定に、上述した第1実施形態および第2実施形態と同様の、第2信号の送信時刻と受信時刻との差に基づいた方法や、第2信号の受信方位に基づいた方法などが使用されることは言うまでもない。そして、位置推定部3142は、地上装置3100自身の(予め記憶された絶対的な)位置と、位置関係特定部3141により特定された位置関係と、に基づいて、車両V(車上装置3200)の位置を推定(検出、算出、取得)する。
一方、車上装置3200は、通信部3210と、2つの第2信号送信部3221および3222と、制御部3230と、を有している。通信部3210は、第1信号受信部3211と、位置情報受信部3212と、を有している。
第1信号受信部3211、および第2信号送信部3221および3222は、上述した第1実施形態および第2実施形態における同名の構成と略同様の機能を有している。
より具体的に、第1信号受信部3211は、たとえば光などの電磁波を送受信するアンテナ3210aを介して、第1信号を受信する。また、第2信号送信部3221および3222は、それぞれ、音波(超音波)を送信する送波器3221aおよび3222aを介して、第2信号を送信する。なお、送波器3221aおよび3222aは、上述した受波器3121aおよび3122aと同様に、たとえば圧電素子などといった、音波の受信に応じて振動する振動子3220を有している。
ここで、第3実施形態においては、地上装置3100に設けられる蓄電部3130および位置情報送信部3112と、車上装置3200に設けられる位置情報受信部3212および制御部3230と、において、上述した第1実施形態および第2実施形態と明確に異なっている。以下、これらの構成についてより詳細に説明する。
蓄電部3130は、第2信号受信部3121および3122による第2信号の受信に応じて発生する電力を蓄える。より具体的に、蓄電部3130は、受波器3121aおよび3122aの振動子3120の振動に応じて発生する電力を蓄える。すなわち、第2信号受信部3121および3122による第2信号の受信は、受波器3121aおよび3122aの振動子3120の振動に起因するので、蓄電部3130は、振動子3120の振動による力学的なエネルギーを電気的なエネルギーに変換し、当該電気的なエネルギーを電力として蓄える。
蓄電部3130は、蓄えた電力を、地上装置3100の各部に供給する。これにより、地上装置3100は、蓄電部3130に蓄えられた電力に基づいて動作する。たとえば、第1信号送信部3111は、蓄電部3130に蓄えられた電力に基づいて第1信号の送信を実施し、位置検出部3140は、蓄電部3130に蓄えられた電力に基づいて車両V(車上装置3200)の位置の検出を実施する。
ここで、第3実施形態においては、車両V(車上装置3200)の位置の検出が、地上装置3100によって実施される。しかしながら、車両Vの位置は、自動走行などといった車両Vの走行制御に利用されるものであるので、地上装置3100によって検出された後、車両V側に伝達されることが必要となる。
そこで、第3実施形態において、位置情報送信部3112は、位置検出部3140による検出結果を、車両Vの位置を表す位置情報として、アンテナ3110aを介して車上装置3200に送信する。
そして、第3実施形態において位置情報受信部3212は、位置情報送信部3112からの位置情報を、アンテナ3210aを介して受信する。そして、制御部3230は、位置情報受信部3212により受信された位置情報を、車両Vの走行制御を司るECU(エレクトロニックコントロールユニット)などといった走行制御部(不図示)に通知する。これにより、車両Vの走行制御に、地上装置3100によって検出された車両Vの正確な位置を反映することができる。
なお、制御部3230は、位置情報受信部3212を含む通信部3210の制御の他、第2信号送信部3221および3222の制御も司る。
ところで、第3実施形態の技術は、車両Vが駐車場内を自動走行することで所定の駐車領域に自動で駐車する自動バレー駐車のような、複数の車両Vが駐車場内を同時に走行しうる状況にも適用されうる。このような状況においては、駐車場内の所定の位置に設けられた地上装置3100が、複数の車両V(車上装置3200)から同時に第2信号を受信しうるので、上述した変形例において触れたような、地上装置3100側で複数の車両Vを適切に識別するための技術が必要となる。
そこで、第3実施形態において、第2信号送信部3221および3222は、位相変調や振幅変調、周波数変調などを用いた符号化に基づき、音波としての第2信号を、車両V(車上装置3200)に固有に設定された識別情報を付与した符号化信号として送信する。そして、位置検出部3140は、第2信号受信部3121および3122により受信された符号化信号を復号することで得られる識別情報に基づいて、当該識別情報に対応した車両V(車上装置3200)の位置を検出する。これにより、地上装置3100が複数の車両V(車上装置3200)から同時に第2信号を受信する状況が発生した場合においても、それら複数の車両V(車上装置3200)をそれぞれ区別しながら、適切に位置検出を実施することができる。
次に、図12および図13を参照して、第3実施形態にかかる位置検出システムで実行される処理の一例について説明する。
図12は、第3実施形態にかかる位置検出システムの地上装置3100が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この図12に示される処理フローは、車上装置3200からの第2信号が受信されることで受波器3121aおよび3122aの振動子3120が振動し、その結果として蓄電部3130に所定の電力が蓄えられた場合に開始する。
図12に示される処理フローでは、まず、S1201において、地上装置3100は、通信部3110の第1信号送信部3111により、光などの電磁波を用いた第1信号を送信する。
そして、S1202において、地上装置3100は、S1201で送信された第1信号に対する車上装置3200からの応答(後述)が通信部3110により受信されたか否かを判断する。
S1202において、第1信号に対する応答が受信されていないと判断された場合、S1201に処理が戻る。一方、S1202において、第1信号に対する応答が受信されたと判断された場合、S1203に処理が進む。
S1203において、地上装置3100は、車上装置3200から送信される第2信号としての符号化信号を、第2信号受信部3121および3122により受信する。前述したように、車上装置3200から送信される符号化信号には、車上装置3200に対して固有に設定された識別情報が付与されている。
S1204において、地上装置3100(たとえば位置検出部3140)は、S1203で受信された符号化信号を復号し、当該符号化信号に付与された識別情報を特定する。
そして、S1205において、地上装置3100は、S1204で特定された識別情報に対応した車上装置3200と地上装置3100との位置関係を、位置検出部3140の位置関係特定部3141により特定する。なお、位置関係は、第2信号(符号化信号)の送信時刻と受信時刻との差や、第2信号(符号化信号)の受信方位などに基づく前述したような方法で特定される。
S1206において、地上装置3100は、S1205で特定された位置関係に基づいて、S1204で特定された識別情報に対応した車上装置3200が搭載された車両Vの位置を、位置検出部3140の位置推定部3142により推定する。
そして、S1207において、地上装置3100は、S1206の推定結果としての位置情報を、通信部3110の位置情報送信部3112により送信する。そして、S1201に処理が戻る。
一方、図13は、第3実施形態にかかる位置検出システムの車上装置3200が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図13に示される処理フローでは、まず、S1301において、車上装置3200は、第2信号としての符号化信号を、第2信号送信部3221および3222により送信する。
そして、S1302において、車上装置3200は、上述したS1201において地上装置3100から送信された第1信号が、通信部3210の第1信号受信部3211により受信されたか否かを判断する。
S1302において、第1信号が受信されていないと判断された場合、S1301に処理が戻る。一方、S1302において、第1信号が受信されたと判断された場合、S1303に処理が進む。
そして、S1303において、車上装置3200は、S1202で受信された第1信号に対する応答を、光などの電磁波を用いて、通信部3210により送信する。
そして、S1304において、車上装置3200は、第2信号としての符号化信号を、第2信号送信部3221および3222により送信する。
そして、S1305において、車上装置3200(たとえば制御部3230)は、地上装置3100の位置検出部3140によって検出(推定)された位置情報が、通信部3210の位置情報受信部3212により受信されたか否かを判断する。
S1305において、位置情報が受信されていないと判断された場合、S1304に処理が戻る。一方、S1305において、位置情報が受信されたと判断された場合、S1306に処理が進む。
S1306において、車上装置3200(たとえば制御部3230)は、S1305で受信された位置情報を、車両Vの走行制御を司る走行制御部(不図示)に通知し、走行制御に反映する。そして、S1301に処理が戻る。
以上説明したように、第3実施形態にかかる地上装置3100は、移動体としての車両Vに搭載された車上装置3200により送信される信号(第2信号)を受信する受信部としての第2信号受信部3121および3122と、第2信号受信部3121および3122による第2信号の受信に応じて発生する電力を蓄える蓄電部3130と、蓄電部3130に蓄えられた電力に基づいて、第2信号を利用して、車両Vの位置検出のための処理を実行する処理部としての第1信号送信部3111および位置検出部3140と、を備える。
上述した地上装置3100によれば、衛星を利用することなく、移動体の位置検出のための処理を実行することができるので、たとえば屋内やビルの谷間などといった、衛星を利用した測位の誤差が大きくなりやすい環境においても、車両Vの位置を把握することができる。また、上述した地上装置3100によれば、地上装置3100に対する電力供給を非接触で実現することができる。これにより、外部電源に接続するための給電配線など、構成の複雑化の要因となりうる何らかの手段を別途用意することなく、地上装置3100に対する電力供給を容易に(簡単な構成で)実現することができる。
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態においても、第1実施形態および第2実施形態の変形例と同様の変形例を適宜想定することが可能である。第1実施形態および第2実施形態の変形例の具体的な内容については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
<第4実施形態>
上述した第1~第3実施形態では、第1信号の送受信が単一のアンテナによって実現される例が記載されている。しかしながら、本開示の技術は、第1信号を送信するための構成と受信するための構成とが別々に分かれた例にも適用することが可能である。たとえば、本開示の技術は、第1信号を送信するための構成が、LEDなどの発光部であり、第1信号を受信するための構成が、発光部からの光を受光するカメラなどの受光部である例にも適用することが可能である。
また、上述した第1~第3実施形態では、第2信号の送信が送波器によって実現され、第2信号の受信が受波器によって実現される例が記載されている。しかしながら、本開示の技術は、第2信号の送受信を、送波器としても受波器としても機能する送受波器によって実現される例にも適用することが可能である。
さらに、上述した第1~第3実施形態では、第1信号を送受信するための構成が地上側に1つしか設けられていない例、すなわち、第1信号を送受信するための構成が、第2信号を送受信するための2つの構成に対して共用されている例が記載されている。しかしながら、本開示の技術は、第1信号を送受信するための構成が、第2信号を送受信するための2つの構成のそれぞれに1つずつ対応するように、地上側に2つ設けられている例にも適用することが可能である。
ところで、上述した第1~第3実施形態のような位置検出システムが正常に動作するためには、第1信号および第2信号を送受信するための構成が正常に動作することが前提となる。したがって、上述した第1~第3実施形態のような位置検出システムにおいては、第1信号および第2信号を送受信するための構成が正常に動作するか否かの判定を、位置検出に先だって実行することができれば、より有益である。
そこで、第4実施形態は、以下に説明するような構成および動作に基づき、第1信号および第2信号を送受信するための構成が正常に動作するか否かの判定を、位置検出に先だって実行する。なお、以下では、便宜上、位置検出のために上述した第1~第3実施形態のような形で送受信される第1信号および第2信号を、それぞれ、第1の第1信号および第1の第2信号と記載することがある。
図14は、第4実施形態にかかる位置検出システムの適用例を示した例示的かつ模式的な図である。図14に示されるように、第4実施形態にかかる位置検出システムも、上述した第1~第3実施形態と同様に、移動体としての車両Vが屋内の領域A1内へ自動運転(半自動運転)によって移動して駐停車するような状況に適用される。
また、図14に示されるように、第4実施形態にかかる位置検出システムは、領域A1の近傍に固定的に設置された2つの地上装置1401および1402と、車両Vに搭載された車上装置1500と、を備えている。以下では、特に区別する必要がない場合、地上装置1401および1402を地上装置1400と簡単に記載することがある。なお、2つの地上装置1400は、共に、「第1装置」の一例であり、一方の地上装置1400は、「第1の第1装置」の一例であり、他方の地上装置1400は、「第2の第1装置」の一例である。また、車上装置1500は、「第2装置」の一例である。
ここで、図14に示される例では、第1の第2信号を送受信するための車上装置1500側の構成としての2つの送受波器1531および1532のみが図示されているが、次の図15に示されるように、第4実施形態では、2つの地上装置1400および車上装置1500の全てが、第1の第1信号を送受信するための構成と、第1の第2信号を送受信するための構成と、を備えている。そして、2つの地上装置1400および車上装置1500は、光および音波(超音波)を利用して相互に通信可能に構成されている。光は、第1の第1信号を送受信するための第1波動の一例であり、音波(超音波)は、第1の第2信号を送受信するための第2波動の一例である。
図15は、第4実施形態にかかる位置検出システムの地上装置1400および車上装置1500の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。なお、2つの地上装置1401および1402は、同一の構成を有しているため、それぞれ区別せずに同一の符号を用いて一括して説明する。
図15に示されるように、第4実施形態において、地上装置1400は、第1信号送信部1410と、第1信号受信部1420と、第2信号送受信部1430と、処理部1440と、を備えている。第2信号送受信部1430は、「第2信号送信部」の一例であるとともに「第2信号受信部」の一例である。
第1信号送信部1410は、発光部1411を介して、光に基づく信号を送信する。第4実施形態では、発光部1411からの光に基づく信号が他の地上装置1400および車上装置1500の両方に届くように、発光部1411のスペックが設定される。
第1信号受信部1420は、受光部1421を介して、他の地上装置1400および車上装置1500から送信される光に基づく信号を受信する。
第2信号送受信部1430は、送受波器1431を介して、他の地上装置1400および車上装置1500との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信する。
処理部1440は、地上装置1400において実行されるべき各種の処理を実行する。処理部1440は、第1判定部1441と、第2判定部1442と、距離検出部1443と、を備えている。なお、地上装置1401および1402のうち一方の距離検出部1443は、「第1距離検出部」の一例であり、他方の距離検出部1443は、「第2距離検出部」の一例である。
詳細は後述するが、第1判定部1441は、第1信号送信部1410および第1信号受信部1420に、他の地上装置1400との間で、光に基づく第1判定信号および当該第1判定信号に対する応答の送受信を試行させることで、2つの地上装置1400の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420の異常の有無を判定する。なお、以下では、説明の便宜上、光に基づく第1判定信号および当該第1判定信号に対する応答を、位置検出のための第1の第1信号と区別する意味で、第2の第1信号と記載することがある。
また、第2判定部1442は、第2信号送受信部1430に、他の地上装置1400との間で、音波(超音波)に基づく第2判定信号および当該第2判定信号に対する応答の送受信を試行させることで、2つの地上装置1400の第2信号送受信部1430の異常の有無を判定する。なお、以下では、説明の便宜上、音波(超音波)に基づく第2判定信号および当該第2判定信号に対する応答を、位置検出のための第1の第2信号と区別する意味で、第2の第2信号と記載することがある。
ここで、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合、位置検出のための第1の第1信号および第2の第2信号の送受信を実行することができないので、上述した第1~第3実施形態と同様の方法で位置検出を実行することができない。
したがって、距離検出部1443は、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合に、上述した第1~第3実施形態とは異なる方法で、位置検出のための情報として、地上装置1400と車上装置1500との間の距離を検出する。距離検出部1443により検出された距離は、音波(超音波)に基づく信号として、第2信号送受信部1430によって車上装置1500に向けて送信される。
なお、距離検出部1443がどのような方法で距離を検出するかの詳細については、シーケンス図およびフローチャートなどを参照しながら後で説明するため、ここではこれ以上の説明を省略する。
一方、第4実施形態において、車上装置1500は、第1信号送信部1510と、第1信号受信部1520と、2つの第2信号送受信部1530および1540と、処理部1550と、を備えている。第2信号送受信部1530および1540は、「第2信号送信部」の一例であるとともに「第2信号受信部」の一例である。
第1信号送信部1510は、発光部1511を介して、光に基づく信号を送信する。第4実施形態では、発光部1511からの光に基づく信号が地上装置1401および1402の両方に届くように、発光部1511のスペックが設定される。
第1信号受信部1520は、受光部1521を介して、地上装置1401および1402から送信される光に基づく信号を受信する。
第2信号送受信部1530は、送受波器1531を介して、地上装置1401および1402との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信する。同様に、第2信号送受信部1540は、送受波器1541を介して、地上装置1401および1402との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信する。第2信号送受信部1530および1540は、互いに異なる位置に設けられている(図14参照)。
処理部1550は、地上装置1400において実行されるべき各種の処理を実行する。処理部1550は、制御部1551と、位置検出部1552と、を備えている。
詳細は後述するが、制御部1551は、所定の条件下で、第2信号送受信部1530および1540を、音波(超音波)に基づく信号の受信専用の受信モードに設定する。また、位置検出部1552は、車両Vの現在位置を検出する。
ここで、第4実施形態において、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合、位置検出部1552は、第2信号送受信部1530および1540によって取得される距離検出部1443の検出結果に基づいて、車両Vの現在位置を検出する。これにより、第4実施形態では、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を実行することができない場合であっても、車両Vの現在位置を検出することができる。
なお、第4実施形態において、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420の両方が正常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を実行することができる。したがって、この場合、地上装置1400および車上装置1500は、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を通常動作として実行し、位置検出部1552は、上述した第1~第3実施形態と同様の方法で車両Vの現在位置を検出する。
以下、図16を参照して、第4実施形態の特徴的な動作の流れとして、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合における地上装置1400および車上装置1500の連携した動作の流れを説明する。
図16は、第4実施形態にかかる位置検出システムの地上装置1400および車上装置1500の動作の一例を示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。
図16に示されるように、まず、S1601において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540により、音波(超音波)に基づく検知信号を、地上装置1400に向けて送信する。検知信号は、たとえば、車両Vが自動運転に当たり障害物の検知を実行するような状況で、自動でまたはドライバの操作に応じて送信される。
そして、S1602において、地上装置1401は、検知信号を受信すると、第1信号送信部1410により、光に基づく第1判定信号を、地上装置1402に向けて送信する。前述したように、第1判定信号は、地上装置1401および1402の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420の異常の有無の判定に用いられる第2の第1信号の一例である。
第1判定信号が地上装置1401から地上装置1402に正常に届いた場合、S1603において、地上装置1402は、第1信号送信部1410により、第1判定信号に対する応答を、地上装置1401に向けて送信する。
しかしながら、
(1)地上装置1401の第1信号送信部1410が異常である場合と、
(2)地上装置1401の第1信号送信部1410が正常であっても、地上装置1402の第1信号受信部1420が異常である場合と、
(3)地上装置1401の第1信号送信部1410および地上装置1402の第1信号受信部1420が正常であっても、地上装置1401の第1信号送信部1410が異常である場合と、
(4)地上装置1401の第1信号送信部1410、地上装置1402の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420が正常であっても、地上装置1401の第1信号受信部1420が異常である場合と、
においては、地上装置1401と地上装置1402との間で第1判定信号および当該第1判定信号に対する応答の送受信が正常に実行されない。
したがって、地上装置1401の第1判定部1441は、第1判定信号に対する応答が、たとえば当該第1判定信号を送信してから所定時間内に受信されない場合、上記の(1)~(4)のいずれかに該当し、地上装置1401および1402のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であると判定する。
以下、第1判定部1441が、地上装置1401および1402のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であると判定したことを前提として説明を進める。
S1604において、地上装置1401は、第2信号送受信部1430により、音波(超音波)に基づく第2判定信号を、地上装置1402に向けて送信する。前述したように、第2判定信号は、地上装置1401および1402の第2信号送受信部1430の異常の有無の判定に用いられる第2の第2信号の一例である。
第2判定信号が地上装置1401から地上装置1402に正常に届いた場合、S1605において、地上装置1402は、第2信号送受信部1430により、第2判定信号に対する応答を、地上装置1401に向けて送信する。
しかしながら、
(5)地上装置1401の第2信号送受信部1430の送信機能が異常である場合と、
(6)地上装置1401の第2信号送受信部1430の送信機能が正常であっても、地上装置1402の第2信号送受信部1430の受信機能が異常である場合と、
(7)地上装置1401の第2信号送受信部1430の送信機能および地上装置1402の第2信号送受信部1430の受信機能が正常であっても、地上装置1402の第2信号送受信部1430の送信機能が異常である場合と、
(8)地上装置1401の第2信号送受信部1430の送信機能、地上装置1402の第2信号送受信部1430の受信機能および送信機能が正常であっても、地上装置1401の第2信号送受信部1430の受信機能が異常である場合と、
においては、地上装置1401と地上装置1402との間で第2判定信号および当該第2判定信号に対する応答の送受信が正常に実行されない。
したがって、地上装置1401の第2判定部1442は、第2判定信号に対する応答が、たとえば当該第2判定信号を送信してから所定時間内に受信されない場合、上記の(5)~(8)のいずれかに該当し、地上装置1401および1402のうち少なくとも一方の第2信号送受信部1430が異常であると判定する。
以下、第2判定部1442が、地上装置1401および1402の両方の第2信号送受信部1430が正常であると判定したことを前提として説明を進める。この場合、地上装置1401は、第2信号送受信部1430により、音波(超音波)に基づく以下に説明するような通知信号および識別信号を、車上装置1500に向けて段階的に送信する。なお、以下では、通知信号および識別信号を、上述した第1および第2の第2信号と区別する意味で、第3の第2信号と記載することがある。
S1606において、地上装置1401は、第2信号送受信部1430により、第3の第2信号の一つとしての通知信号を、車上装置1500に向けて送信する。通知信号とは、地上装置1401および1402のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることの通知を含むように符号化された信号である。
S1607において、車上装置1500は、通知信号の受信に応じて、第2信号送受信部1530および1540を、音波(超音波)に基づく信号の地上装置1401からのさらなる受信に備えた受信モードに設定する。
S1608において、地上装置1401は、第2信号送受信部1430により、第3の第2信号の他の一つとしての識別信号を、車上装置1500に向けて送信する。識別信号とは、所定の識別情報(たとえば地上装置1401の識別情報)を含むように符号化された信号である。なお、このとき、地上装置1401は、識別信号の送信タイミングを記憶しておく。
S1609において、車上装置1500は、識別信号の受信に応じて、第2信号送受信部1530および1540により、音波(超音波)に基づく時間情報信号を、地上装置1401に向けて送信する。時間情報信号とは、車上装置1500の第2信号送受信部1530および1540が識別信号を受信してから時間情報信号を送信するまでに要する準備時間を含むように符号化された信号である。準備時間は、たとえば、第2信号送受信部1530および1540の回路のスペックに応じて決まる所定時間を含んでいる。以下では、時間情報信号を、上述した第1~第3の第2信号と区別する意味で、第4の第2信号と記載することがある。
S1610において、地上装置1401は、時間情報信号の受信に応じて、距離検出部1443により、地上装置1401と車上装置1500との間の距離を検出する。より具体的に、地上装置1401は、識別信号の送信タイミングと、時間情報信号の受信タイミングと、の差から、時間情報信号から抽出される準備時間を差し引いた時間に基づいて、音速を考慮して、地上装置1401と車上装置1500との間の距離を検出する。識別信号の送信タイミングと時間情報信号の受信タイミングとの差から準備時間を差し引いた時間は、地上装置1401と車上装置1500との間における音波(超音波)の往復時間に相当するので、たとえば当該往復時間と音速との積を2で割れば、地上装置1401と車上装置1500との間の距離を検出(推定)することができる。
S1611において、地上装置1401は、第2信号送受信部1430により、S1610の検出結果を、音波(超音波)に基づく信号に載せて、車上装置1500に向けて送信する。より具体的に、地上装置1401は、第2信号送受信部1430により、S1610で検出された距離を含むように符号化された信号を、車上装置1500に向けて送信する。
S1612において、車上装置1500は、地上装置1401の距離検出部1443の検出結果の受信に応じて、地上装置1401と車上装置1500との位置関係を特定し、特定した位置関係に基づいて、車両Vの位置を検出する。なお、図16には図示されていないが、地上装置1402は、車上装置1500から検知信号の受信に応じて、地上装置1401と同様の動作を実行するので、車上装置1500は、地上装置1402の距離検出部1443の検出結果も同様に受信する。したがって、S1612において、車上装置1500は、地上装置1401と車上装置1500との位置関係と、地上装置1402と車上装置1500との位置関係と、の両方を特定し、特定した位置関係に基づいて、車両Vの位置を検出する。
このように、第4実施形態にかかる地上装置1400および車上装置1500は、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を実行することができない場合であっても、第2~第4の第2信号の送受信の結果に基づいて、車両Vの現在位置を検出する。
なお、第4実施形態では、第1判定部1441および第2判定部1442の判定結果が、図16に示される例の前提となるパターン(光に基づく信号の送受信は不可能だが音波(超音波)に基づく信号の送受信は可能なパターン)と異なる他のパターンを示す場合も想定される。
たとえば、第4実施形態では、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420の両方が正常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合も想定される。この場合、地上装置1400および車上装置1500は、前述したように、通常動作として、位置検出のための第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を上述した第1~第3実施形態と同様の形で実行し、上述した第1~第3実施形態と同様の方法で車両Vの現在位置を検出する。
さらに、第4実施形態では、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第2信号送受信部1430が異常であることを示す場合も想定される。詳細は後述するが、この場合、地上装置1400は、異常を通知するための、音波(超音波)に基づくシステム異常信号を車上装置1500に向けて送信し、車上装置1500は、システム異常信号の受信に応じて、光に基づく信号および音波(超音波)に基づく信号を利用した地上装置1400との通信の試行を終了する。なお、以下では、システム異常信号を、上述した第1~第4の第2信号と区別する意味で、第8の第2信号と記載することがある。なお、第5~第7の第2信号については、後述する変形例(図19参照)において説明する。
以下、地上装置1400および車上装置1500が実行する一連の処理を個別に説明する。
図17は、第4実施形態にかかる位置検出システムの地上装置1400が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この図17に示される一連の処理は、車上装置1500からの検知信号(図16のS1601参照)の受信に応じて開始する。
図17に示されるように、第4実施形態では、まず、S1701において、地上装置1400は、第1信号送信部1410により、第2の第1信号としての第1判定信号の他の地上装置1400への送信を試行する。
そして、S1702において、地上装置1400は、第1信号受信部1420により、第1判定信号に対する応答の受信を試行する。
そして、S1703において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、第2の第2信号としての第2判定信号の他の地上装置1400への送信を試行する。
そして、S1704において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、第2判定信号に対する応答の受信を試行する。
そして、S1705において、地上装置1400は、第1判定部1441および第2判定部1442により、第1判定信号に対する応答と第2判定信号に対する応答との両方が正常に受信されたか否かを判定する。
S1705において、両方の応答が正常に受信されたと判定された場合、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を正常に実行することができる。したがって、この場合、S1706に処理が進み、当該S1706において、地上装置1400は、上述した第1~第3実施形態と同様の方法で位置検出を実行するための通常動作に移行する。そして、処理が終了する。
一方、S1705において、両方の応答が正常に受信されなかったと判定された場合、S1707に処理が進む。そして、S1707において、地上装置1400は、第1判定部1441および第2判定部1442により、第2判定信号に対する応答が正常に受信されたか否かを判定する。
S1707において、第2判定信号に対する応答が正常に受信されなかったと判定された場合、第1の第1信号および第1の第2信号の送受信も、第3の第2信号および第4の第2信号の送受信も正常に実行することができない。したがって、この場合、S1708に処理が進み、当該S1708において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、第8の第2信号としてのシステム異常信号を、車上装置1500に向けて送信する。他の地上装置1400の第2信号送受信部1430のみが異常であることに起因して第2判定信号の応答が正常に受信されない場合は、システム異常信号が正常に車上装置1500に届く。そして、処理が終了する。
一方、S1707において、第2信号に対する応答が正常に受信されたと判定された場合、第1の第1信号および第1の第2信号の送受信は正常に実行することができないものの、第3の第2信号および第4の第2信号の送受信は正常に実行することができる。したがって、この場合、S1709に処理が進み、当該S1709において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、第3の第2信号の一つとしての通知信号を、車上装置1500に向けて送信する。
そして、S1710において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、第3の第2信号の他の一つとしての識別信号を、車上装置1500に向けて送信する。
そして、S1711において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、識別信号に応じて車上装置1500が送信するはずの第4の第2信号としての時間情報信号を受信する。前述したように、時間情報信号からは、車上装置1500の第2信号送受信部1530および1540が識別信号を受信してから時間情報信号を送信するまでに要する準備時間を抽出することができる。
そして、S1712において、地上装置1400は、距離検出部1443により、識別信号の送信タイミングと、時間情報信号の受信タイミングと、の差から、時間情報信号から抽出される準備時間を差し引いた時間に基づいて、音速を考慮して、地上装置1401と車上装置1500との間の距離を検出する。
そして、S1713において、地上装置1400は、第2信号送受信部1430により、S1712の検出結果を、音波(超音波)に基づく信号に載せて、車上装置1500に向けて送信する。そして、処理が終了する。
一方、図18は、第4実施形態にかかる位置検出システムの車上装置1500が実行する処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。この図17に示される一連の処理は、第2信号送受信部1530および1540による検知信号(図16のS1601参照)の送信後に開始する。
図18に示されるように、第4実施形態では、まず、S1801において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540により、地上装置1400から送信されうる第8の第2信号としてのシステム異常信号が受信されたか否かを判定する。
S1801において、システム異常信号が受信されたと判定された場合、光に基づく信号によっても、音波(超音波)に基づく信号によっても、地上装置1400との間の通信を正常に実行することができないと判定できる。したがって、この場合、S1802に処理が進み、当該S1802において、車上装置1500は、第1信号送信部1510、第1信号受信部1520、第2信号送受信部1530および1540による地上装置1400との間の通信の試行を終了する。そして、処理が終了する。
一方、S1801において、システム異常信号が受信されなかったと判定された場合、S1803に処理が進む。そして、S1803において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540により、地上装置1400から送信されうる第3の第2信号の一つとしての通知信号が受信されたか否かを判定する。
S1803において、通知信号が受信されなかったと判定された場合、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を正常に実行することができる。したがって、この場合、S1804に処理が進み、当該S1804において、車上装置1500は、上述した第1~第3実施形態と同様の方法で位置検出を実行するための通常動作に移行する。そして、処理が終了する。
一方、S1803において、通知信号が受信されたと判定された場合、第3の第2信号の他の一つとしての識別信号が続いて受信されると予測できる。したがって、この場合、S1805に処理が進み、当該S1805において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540を、受信専用の受信モードに設定する。
そして、S1806において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540により、識別信号に続いて地上装置1400から送信されるはずの識別信号を受信する。
そして、S1807において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540により、第4の第2信号としての時間情報信号を地上装置1400に向けて送信する。前述したように、時間情報信号とは、車上装置1500の第2信号送受信部1530および1540が識別信号を受信してから時間情報信号を送信するまでに要する準備時間を含むように符号化された信号である。
そして、S1808において、車上装置1500は、第2信号送受信部1530および1540により、地上装置1400から受信されるはずである、距離検出部1443の検出結果を受信する。
そして、S1809において、車上装置1500は、S1809で受信された検出結果に基づいて、車両Vの位置を検出する。そして、処理が終了する。
以上説明したように、第4実施形態において、2つの地上装置1400は、第1判定部1441と、第2判定部1442と、を備えている。第1判定部1441は、第1信号送信部1410および第1信号受信部1420に、他の地上装置1400との間で第2の第1信号の送受信を試行させることで、2つの地上装置1400の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420の異常の有無を判定する。第2判定部1442は、第2信号送受信部1430に、他の地上装置1400との間で第2の第2信号の送受信を試行させることで、2つの地上装置1400の第2信号送受信部1430の異常の有無を判定する。
ここで、第4実施形態において、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420の両方が正常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430の両方が正常であることを示す場合を想定する。この場合、上述した第1~第3実施形態と同様に、地上装置1400および車上装置1500のうち一方は、地上装置1400および車上装置1500のうち他方との間で、第1の第1信号の送受信を実行するとともに、第1の第2信号の送受信を実行する。このような構成によれば、第1信号送信部1410、第1信号受信部1420、および第2信号送受信部1430の異常の有無を、2つの地上装置1400の間で確認した上で、確実に、位置検出のための第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を実行することができる。
また、第4実施形態において、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が正常であることを示す場合を想定する。この場合、地上装置1400の第2信号送受信部1430は、第3の第2信号を車上装置1500に向けて送信し、車上装置1500の第2信号送受信部1530および1540は、第3の第2信号の受信に応じた第4の第2信号を、地上装置1400に向けて送信する。そして、地上装置1400は、第3の第2信号の送信タイミングと、第4の第2信号の受信タイミングとの差に基づいて、地上装置1400と車上装置1500との位置関係として、地上装置1400と車上装置1500との間の距離を検出する距離検出部1443を備えている。そして、位置検出部1552は、2つの地上装置1400のそれぞれの距離検出部1443の検出結果に基づいて、車両Vの位置を検出する。この構成によれば、第1の第1信号の送受信を実行できない場合であっても、第3および第4の第2信号の送受信の結果に基づいて、位置検出を実行することができる。
また、第4実施形態において、車上装置1500の第2信号送受信部1530および1540は、第4の第2信号として、第3の第2信号を受信してから第4の第2信号を送信するまでに要する準備時間を含むように符号化された時間情報信号を、地上装置1400に向けて送信する。そして、距離検出部1443は、第3の第2信号の送信タイミングと時間情報信号の受信タイミングとの差から、時間情報信号から抽出される準備時間を差し引いた時間に基づいて、地上装置1400と車上装置1500との間の距離を検出する。この構成によれば、準備時間を考慮して、地上装置1400と車上装置1500との間における信号の往復時間を正確に算出することができるので、地上装置1400と車上装置1500との間の距離を正確に検出することができる。
また、第4実施形態において、地上装置1400の第2信号送受信部1430は、第3の第2信号として、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることの通知を含むように符号化された通知信号と、所定の識別情報を含むように符号化された識別信号とを、車上装置1500に向けて段階的に送信する。そして、車上装置1500は、通知信号の受信に応じて、第2信号送受信部1530および1540を、識別信号の受信に備えた受信モードに設定する制御部1551を備えている。車上装置1500の第2信号送受信部1530および1540は、識別信号の受信に応じて、時間情報信号を地上装置1400に向けて送信する。この構成によれば、第2装置の第2信号受信部に識別信号を確実に受信させることができる。
さらに、第4実施形態において、第1判定部1441の判定結果が、2つの地上装置1400のうち少なくとも一方の第1信号送信部1410および第1信号受信部1420のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、2つの地上装置1400の両方の第2信号送受信部1430が異常であることを示す場合を想定する。この場合、地上装置1400の第2信号送受信部1430は、車上装置1500に向けた第8の第2信号の送信を試行し、車上装置1500は、第8の第2信号の受信に応じて、第1信号送信部1510、第1信号受信部1520、第2信号送受信部1530および1540を利用した、地上装置1400との間の通信の試行を終了する制御部1551を備えている。この構成によれば、車上装置1500が、地上装置1400との間の正常な通信が望めない場合に、当該通信の試行を終了することができる。
なお、第4実施形態のその他の効果は、上述した第1および第2実施形態と同様である。
<第4実施形態の変形例>
なお、上述した第4実施形態では、第1の第1信号および第1の第2信号の送受信は正常に実行することができない場合に、第3の第2信号としての通知信号および識別信号と、第4の第2信号としての時間情報信号と、の送受信の結果に基づいて、地上装置側で、地上装置と車上装置との間の距離を検出する例が記載されている。しかしながら、第3の第2信号を、当該第3の第2信号の送信タイミングを含むように符号化した上で、地上装置から車上装置に向けて送信すれば、当該第3の第2信号の受信タイミングと、第3の第2信号から抽出される当該第3の第2信号の送信タイミングと、の差に基づいて、地上装置と車上装置との間の距離を車上装置側で容易に特定することができる。
すなわち、第4実施形態の変形例として、「位置検出部が車上装置に設けられており、第1判定部の判定結果が、2つの地上装置のうち少なくとも一方の第1信号送信部および第1信号受信部のうち少なくとも一方が異常であることを示し、かつ、第2判定部の判定結果が、2つの地上装置の両方の第2信号送受信部の両方が正常であることを示す場合、地上装置の第2信号送信部は、第3の第2信号を、当該第3の第2信号の送信タイミングに関する情報を含むように符号化した上で、車上装置に向けて送信し、車上装置の位置検出部は、第3の第2信号の受信タイミングと、第3の第2信号から抽出される当該第3の第2信号の送信タイミングと、の差に基づいて、地上装置と車上装置との位置関係を特定する」という構成も考えられる。この構成によれば、第3の第2信号の送受信のみに基づいて、車上装置の位置検出部が、地上装置と車上装置との位置関係を容易に特定することができる。
また、地上装置と車上装置との位置関係を車上装置側で特定する変形例として、さらに、次の図19に示されるような変形例も考えられる。
図19は、第4実施形態の変形例にかかる位置検出システムの地上装置1400a(1401a、1402a)および車上装置1500aの動作の一例を示した例示的かつ模式的なシーケンス図である。
図19に示される変形例にかかる地上装置1400a(1401a、1402a)および車上装置1500aの構成は、それぞれ、上述した第4実施形態(図15参照)にかかる地上装置1400(1401、1402)および車上装置1500の構成と基本的に同様である。ただし、詳細は後述するが、図19に示される変形例では、上述した第4実施形態と異なり、地上装置1400aと車上装置1500aとの間の距離の検出が、地上装置1400a側ではなく、車上装置1500a側で実行される。
図19に示される変形例において、上述した第4実施形態(図15参照)にかかる第1信号送信部1410および第1信号受信部1420に対応した、光に基づく信号を送受信するための構成と、上述した第4実施形態(図15参照)にかかる第2信号送受信部1430に対応した、音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成と、の異常の有無の判定は、上述した第4実施形態(図16参照)と同様の手順で実行される。
したがって、図19に示される処理シーケンスにおいて、異常の有無の判定に対応したS1901~S1905の処理は、それぞれ、図16に示されるS1601~S1605の処理と同様である。なお、図19に示される処理シーケンスは、図16に示される処理シーケンスと同様、2つの地上装置1400aのうち少なくとも一方が光に基づく信号を送受信することができず、かつ、2つの地上装置1400aの両方が音波(超音波)に基づく信号を正常に送受信することができる場合における地上装置1400aおよび車上装置1500aの連携した動作の流れを示している。
S1901~S1905の処理が実行された後、S1906において、地上装置1401aは、車上装置1500aに向けて、音波(超音波)に基づく信号としての通知信号を送信する。なお、S1906において送信される通知信号は、上述した第4実施形態(図16参照)のS1606において送信される通知信号と実質的に同様の役割を果たすものであるが、以下では、S1906において送信される通知信号を、上述した第4実施形態にかかる各種の第2信号と明確に区別する意味で、第5の第2信号と記載することがある。
そして、S1907において、地上装置1401aは、後述するS1909で車上装置1500aから送信される識別信号の受信に備えて、上述した第4実施形態(図15参照)にかかる第2信号送受信部1430に対応した、音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成を、受信専用の受信モードに設定する。
一方、S1908において、車上装置1500aは、通知信号の受信に応じて、上述した第4実施形態(図15参照)にかかる第2信号送受信部1530および1540に対応した、音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成を、送信も受信も可能な送受信モードに設定する。
そして、S1909において、車上装置1500aは、所定の識別信号を、2つの地上装置1401aおよび1402aの両方に向けて、音波(超音波)に基づく信号として送信する。このとき、車上装置1500aは、後述するS1912の処理のために、識別信号の送信タイミングを記憶しておく。なお、S1909において送信される識別信号は、上述した第4実施形態(図16参照)のS1608において送信される識別信号と実質的に同様の役割を果たすものであるが、以下では、S1909において送信される識別信号を、上述した第1~第5および第8の第2信号と明確に区別する意味で、第6の第2信号と記載することがある。
S1910において、地上装置1401aは、識別信号の受信に応じて、音波(超音波)に基づく信号としての時間情報信号を、車上装置1500aに向けて送信する。同様に、S1911において、地上装置1402aは、識別信号の受信に応じて、音波(超音波)に基づく信号としての時間情報信号を、車上装置1500aに向けて送信する。
ここで、S1910およびS1911においてそれぞれ送信される時間情報信号は、上述した第4実施形態(図16参照)のS1609において送信される時間情報信号と基本的に同様である。すなわち、S1910およびS1911においてそれぞれ送信される時間情報信号は、地上装置1401aが識別信号を受信してから時間情報信号を送信するまでに要する準備時間を含むように符号化された信号である。
ただし、S1910およびS1911においてそれぞれ送信される時間情報信号は、上述した第4実施形態(図16参照)のS1609において送信される時間情報信号と異なり、準備時間に加えて、時間情報信号の送信元である地上装置1400aを車上装置1500aに識別させるための識別情報も含むように符号化されている。時間情報信号に含まれる識別情報は、次のS1912およびS1913の処理の際に車上装置1500aによって考慮される。なお、以下では、S1910およびS1911においてそれぞれ送信される時間情報信号を、上述した各種の第2信号と明確に区別する意味で、第7の第2信号と記載することがある。
S1912において、車上装置1500aは、時間情報信号の受信に応じて、各地上装置1400aと車上装置1500aとの間の距離を検出する。より具体的に、車上装置1500aは、識別信号の送信タイミングと、時間情報信号の受信タイミングと、の差から、時間情報信号から抽出される準備時間を差し引いた時間に基づいて、音速を考慮して、時間情報信号から抽出される識別情報に対応した地上装置1400aと車上装置1500aとの間の距離を検出する。すなわち、車上装置1500aは、異なる識別情報を含んだ2つの時間情報信号に基づいて、地上装置1401aと車上装置1500aとの間の距離と、地上装置1402aと車上装置1500aとの間の距離を、を検出する。
そして、S1913において、車上装置1500aは、S1912の検出結果に基づいて、地上装置1400aと車上装置1500aとの位置関係を特定し、特定した位置関係に基づいて、車両Vの位置を検出する。
このように、図19に示される変形例は、上述した第1~第3実施形態と同様の形で第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を実行することができない場合であっても、第5~第7の第2信号の送受信の結果に基づいて、地上装置1401aと車上装置1500aとの間の距離と、地上装置1402aと車上装置1500aとの間の距離とを、地上装置1401aおよび1402a側ではなく車上装置1500a側で検出することを実現する。
なお、図19に示される変形例のその他の動作は、上述した第4実施形態と同様である。すなわち、図19に示される変形例において、光に基づく信号も音波(超音波)に基づく信号も両方とも正常に送受信できる場合は、通常動作として、位置検出のための第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を上述した第1~第3実施形態と同様の形で実行しうる。また、図19に示される変形例において、光に基づく信号も音波(超音波)に基づく信号も両方とも正常に送受信できない場合は、地上装置1400aから車上装置1500aに向けて音波(超音波)に基づくシステム異常信号の送信が試行されうる。
以上説明したように、図19に示される変形例によれば、時間情報信号などの送受信の方向を上述した第4実施形態とは逆にすることで、地上装置1400aと車上装置1500aとの間の距離を、地上装置1400a側ではなく、車上装置1500a側で容易に検出することができる。
ところで、上述した第4実施形態(図16参照)およびその変形例(図19参照)では、第1信号送信部、第1信号受信部、および第2信号送受信部の異常の有無の判定が、2つの地上装置間での信号の送受信に基づいて実行される例が記載されている。しかしながら、第1信号送信部、第1信号受信部、および第2信号送受信部の異常の有無の判定は、地上装置と車上装置との間での信号の送受信に基づいて実行されてもよい。この場合、次の図20に示されるように、地上装置は、2つの第2信号送受信部と、1組の第1信号送信部および第1信号受信部と、1つの処理部とが一体化された構成となりうる。
図20は、第4実施形態の変形例にかかる位置検出システムの地上装置1900および車上装置2000の機能的構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。なお、図20に示される変形例は、異常の有無の判定が地上装置1900と車上装置2000との間の信号の送受信に基づいて実行される点以外は、基本的に上述した第4実施形態と同様であるため、上述した第4実施形態と同様の発想で理解できる内容は適宜説明を省略する。
図20に示される変形例において、地上装置1900は、第1信号送信部1910と、第1信号受信部1920と、2つの第2信号送受信部1930および1940と、処理部1950と、を備えている。第2信号送受信部1930および1940は、「第2信号送信部」の一例であるとともに「第2信号受信部」の一例である。
第1信号送信部1910は、発光部1911を介して、光に基づく信号を送信し、第1信号受信部1920は、受光部1921を介して、車上装置1500から送信される光に基づく信号を受信する。
また、第2信号送受信部1430は、送受波器1931を介して、車上装置1500との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信し、第2信号送受信部1940は、送受波器1941を介して、車上装置1500との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信する。
処理部1950は、地上装置1900において実行されるべき各種の処理を実行する。処理部1950は、第3判定部1951と、第4判定部1952と、距離検出部1953と、を備えている。
第3判定部1951は、第1信号送信部1910および第1信号受信部1920に、車上装置2000との間における、上述した第4実施形態と同様の第1判定信号および当該第1判定信号に対する応答の送受信を試行させることで、地上装置1900および車上装置200における、光に基づく信号を送受信するための構成の異常の有無を判定する。
また、第4判定部1952は、第2信号送受信部1930および1940に、車上装置2000との間における、上述した第4実施形態と同様の第2判定信号および当該第2判定信号に対する応答の送受信を試行させることで、地上装置1900および車上装置2000における、音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成の異常の有無を判定する。
距離検出部1953は、第3判定部1951の判定結果が、地上装置1900および車上装置2000のうち少なくとも一方における、光に基づく信号を送受信するための構成が異常であることを示し、かつ、第2判定部1442の判定結果が、地上装置1900および車上装置2000の両方における、音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成が正常であることを示す場合に、上述した第4実施形態と同様の方法で、地上装置1900と車上装置2000との間の距離を検出する。
一方、図20に示される変形例において、車上装置2000は、第1信号送信部2010と、第1信号受信部2020と、2つの第2信号送受信部2030および2040と、処理部2050と、を備えている。
第1信号送信部2010は、発光部2011を介して、光に基づく信号を送信し、第1信号受信部2020は、受光部2021を介して、地上装置1900から送信される光に基づく信号を受信する。
また、第2信号送受信部2030は、送受波器2031を介して、地上装置1900との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信し、第2信号送受信部2040は、送受波器2041を介して、地上装置1900との間で音波(超音波)に基づく信号を送受信する。
処理部2050は、車上装置2000において実行されるべき各種の処理を実行する。処理部2050は、制御部2051と、位置検出部2052と、第3判定部2053と、第4判定部2054と、を備えている。
制御部2051は、上述した第4実施形態にかかる制御部1551と実質的に同様であり、位置検出部2052は、上述した第4実施形態にかかる位置検出部1552と実質的に同様である。
第3判定部2053は、第1信号送信部2010および第1信号受信部2020に、地上装置1900との間における、上述した第4実施形態と同様の第1判定信号および当該第1判定信号に対する応答の送受信を試行させることで、地上装置1900および車上装置200における、光に基づく信号を送受信するための構成の異常の有無を判定する。
また、第4判定部2054は、第2信号送受信部2030および2040に、地上装置1900との間における、上述した第4実施形態と同様の第2判定信号および当該第2判定信号に対する応答の送受信を試行させることで、地上装置1900および車上装置2000における、音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成の異常の有無を判定する。
図20に示される変形例によっても、上述した第4実施形態と同様に、位置検出のための第1の第1信号および第2の第2信号の送受信に先だって、地上装置1900の第1信号送信部1910、第1信号受信部1920、第2信号送受信部1930および1940と、車上装置2000の第1信号送信部2010、第1信号受信部2020、第2信号送受信部2030および2040と、の異常の有無を判定することができる。そして、これらの構成の全てが正常である場合、上述した第1~第3実施形態と同様の方法で、車両Vの位置を検出することができ、少なくとも一部の構成が異常である場合、上述した第4実施形態と同様の方法で、車両Vの位置を検出することができる。
したがって、図20に示される変形例によれば、光に基づく信号を送受信するための構成と音波(超音波)に基づく信号を送受信するための構成との以上の有無を、地上装置1900と車上装置200との間で確認した上で、確実に、位置検出のための第1の第1信号および第1の第2信号の送受信を実行することができる。
なお、第4実施形態においても、第1~第3実施形態の変形例と同様の変形例を適宜想定することが可能である。第1~第3実施形態の変形例の具体的な内容については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
さらに、第1~第4実施形態(およびそれらの変形例)にかかる技術は、それぞれが有する特徴を適宜組み合わせて実施することも可能である。
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。