JP7257014B2 - 3次元造形物の積層造形法 - Google Patents

3次元造形物の積層造形法 Download PDF

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Description

本発明は、3次元造形物の積層造形法に関し、特に、結晶方位、組織を制御可能な3次元造形物の積層造形法に関する。
近年、複雑形状の製品に対する需要が増大している。金属合金の中には、種々の優良な特性を有していても、当該優良な特性を発揮できない場合がある。例えば、Ni-Mo合金等は高強度、優良な耐腐食性と耐磨耗性及び熱安定性を持っているため、コーティングや電解陰極としてよく使用される。しかし、Ni4MoあるいはNi3Mo化合物がしばしば粒界に析出するため、耐腐食性と延性は悪くなることはよく報告される。これらの問題を解決するため、単結晶の使用が提案されている。単結晶はクリープ性能を向上することができる。従って、単結晶の作製方法が求められている。
例えば、一方向凝固による単結晶のタービンブレードの製造方法が知られている(特許文献1)。
特開2001-288554号公報
しかしながら、上述の特許文献においては、複雑な工程を要求するという問題点を有する。また、従来の単結晶作製技術として、浮遊帯溶融法やチョクラルスキー法も存在するが、これらは、厳格な温度制御を要求し、形状や寸法も制限されたため、実際の形状複雑なパーツへの応用は困難である。
また、これらの従来技術においては、単純形状の単結晶を得られることができるものの、その形状を制御することは極めて困難であるという問題点を有していた。従って、複雑な形状の製品であっても、制限されることなしに、単結晶様組織の結晶配向等が制御可能な単結晶の製造方法が望まれる。
そこで、本発明は、簡便に、単結晶様組織の結晶配向等が制御可能な3次元造形物の積層造形法を提供することにある。
上記目的を達成するために、発明者らは、熱エネルギーによる溶融技術について鋭意研究した結果、本発明の3次元造形物の積層造形法を見出すに至った。
すなわち、本発明の単結晶様組織の3次元造形物の積層造形法は、Ni、Mo、Fe、Cu、Si、B、Oからなる群から選択される金属粉末材料の層を形成する工程と、前記金属粉末材料の層に、電子ビーム又はレーザー光を一定方向へ平行に照射する工程と、前記照射によって、前記金属粉末材料を溶融し、溶融地の形状、凝固形態を制御することにより、前記金属粉末材料から種結晶を作成する工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の単結晶様組織の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、さらに、前記種結晶上に、前記金属粉末材料の第二の層を形成する工程と、前記第二の層に、電子ビーム又はレーザー光を照射し、前記種結晶上に、結晶を育成する溶融工程と、を含むことを特徴とする。
また、本発明の単結晶様組織の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記育成された結晶上に、前記金属粉末材料の第三の層を形成する工程と、前記第三の層に、電子ビーム又はレーザー光を照射し、前記育成された結晶上に、結晶を育成する溶解工程と、を含み、前記金属粉末材料の溶融、固化を繰り返し積層して3次元造形物を製造することを特徴とする。
また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記一定方向へ平行に照射する工程は、一定軸に平行であって、往復走査して照射することを特徴とする。
また、本発明の単結晶様組織の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記電子ビーム又はレーザー光の照射の走査方式を変化させることを特徴とする。
また、本発明の単結晶様組織の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記電子ビーム又はレーザー光の照射の強度を変化させることを特徴とする。
また、本発明の単結晶様組織の3次元造形物の製造方法は、請求項1~のいずれか1項に記載の積層造形法によって、前記金属粉末材料の成分からなる単結晶様組織の3次元造形物を製造することを特徴とする。
また、本発明の3次元造形物の製造方法の好ましい実施態様において、前記3次元造形物は、Ni-Mo合金からなることを特徴とする。
本発明の3次元造形物の積層造形法によれば、複雑形状等の製品の形状に制限されることなく、単結晶様の組織を制御することができるという有利な効果を奏する。また、本発明の3次元造形物の積層造形法によれば、複雑な構造を有する製品を作製すると同時に、異なる部分において、結晶方位、析出強化相と粒界界面との関係、分布を同時に制御することが可能であり、ひいては、これまでにない超高性能を有する製品を提供することが可能であるという有利な効果を奏する。
また、本発明によれば、製品の複雑形状や形状に制限されず、単結晶様の組織が制御できる。従来の単結晶作製技術より加工時間が少なくて、コストが低く、坩堝も要らない。その上、造形方向の結晶配向は少なくとも二つがあるため、以前の積層造形方法と違って、走査方式と出力の選択により、所望の合金、例えば、Ni4MoあるいはNi3Moといった析出強化相や粒界界面と結晶配向方向との角度が制御できる。これは強度や弾性率の力学設計などを柔軟にさせる。結晶配向を制御しながら造形方向を変化させることができて、造形向きと関する加工精度や、サポート量なども改善できる。そのように、造形方向に結晶配向の制御策略を変化することにより、パーツ局部の組織も制御でき、パーツの性能の向上が見込まれる。本発明により、Ni-Mo合金はコーティングや電解陰極のような実用化応用のほかに、ガスタービンブレードのような複雑な高温の構造部材への応用も考えられ、著しい波及効果、極めて大きな経済的効果が期待できる。
図1は、X方向走査(図中、Xscan。(a)及び(b)。)、低出力のXY方向走査(図中、XY Scan(Low Power)。(c)及び(d)。)、高出力のXY走査(図中、XY Scan(High Power)。(e)及び(f)。)のそれぞれにおける、縦断面から見た積層方向のIPFマップ(結晶方位マップ)、ならびに積層方向から見た極点図を示す図である。(b)、(d)及び(f)において、それぞれ、左から、ミラー指数の{001}面、{011}面、及び{111}面に対する極点図である。 図2は、優先結晶成長方向について調べた結晶のTEM写真および電子線回折図形を示す。これにより、優先結晶成長方向(セルの伸長方向)は、<100>の方向であることが分かる。 図3は、溶融池内の微細組織を調べたSEMによる画像、及びIPFマップ(結晶方位マップ)を示す。上がSEM画像であり、下が結晶方位マップである。左から、X方向走査(図中、Xscan。(a)及び(b)。)、低出力のXY方向走査(図中、XY Scan(Low Power)。(c)及び(d)。)、高出力のXY走査(図中、XY Scan(High Power)。(e)及び(f)。)をそれぞれ示す。矢印で示す100等は、各結晶粒内における<100>方向を示す。 図4は、X方向走査(図中、Xscan。)、低出力のXY方向走査(図中、XY Scan(Low Power)。)、高出力のXY走査(図中、XY Scan(High Power))における結晶配向方向のイメージ画像を示す。図において、[011]、[100]等は、結晶の配向方向を示し、例えば、[011]は、結晶の配向方向が[011]方向であることを示す。 図5は、種結晶育成時、及び第二層以降の結晶育成時(種結晶育成も含む)におけるイメージ画像を示す。すなわち、図5の上の4つの画像は、積層造形初期のイメージ図である。温度勾配(Temperature gradient)の様子、優先結晶成長(Preferntial growth)の様子、競合成長(Competition growth)の様子、エピタキシャル成長(Epitaxial growth)の様子を、それぞれ示す。また、下の6つの画像は、左から、X方向走査(図中、X only (0°)。)、回転走査(図中、Rotation(66.7°)。軸を66.7°回転させたもの。)、XY方向走査(低出力。図中、X-Y(90°)) をそれぞれ示す。(n+1)層((n+1)th layer)は、方位制御された種結晶の形成過程を示すイメージ図である。(n+2)層((n+2)th layer)は、その方位制御された種結晶層の次の層の形成過程を示すイメージ図である。[001]等は、結晶配向の方位を示す。なお、X方向走査に場合には、n層の造形初期においても、種結晶を作製可能である。 図6は、種々の強度を有する照射におけるX方向走査(図中、Xscan。)の、縦断面から見た積層方向の結晶方位を示す結晶方位マップである。レーザー光の走査速度vは、700mm/sであり、走査間隔d=0.1mmの場合の結晶方位マップである。図6において、左から、P=150W(出力150W)、P=200W、P=250Wの場合を示す。また下図はそれぞれ、積層方向より観察した{001}面の分布を示す極点図である。 図7は、種々の強度を有する照射におけるXY方向走査(図中、XYscan(rotated by 90°in each layer)。)の、縦断面から見た積層方向の結晶方位を示す結晶方位マップである。レーザー光の走査速度vは、800mm/sであり、走査間隔d=0.1mmの場合の結晶方位マップである。図7において、左から、P=150W(出力150W)、P=200W、P=250W、及びP=300の場合を示す。また下図はそれぞれ、積層方向より観察した{001}面の分布を示す極点図である。 図8は、種々の強度を有する照射における回転走査(図中、Rotation(66.7°)。)の、縦断面から見た積層方向の結晶方位を示す結晶方位マップである。レーザー光の出力P=200W、走査間隔d=0.1mmの場合の結晶方位マップである。図8において、左から、走査速度vは、v=500mm/s、v=600mm/s、v=700mm/s、v=800mm/sの場合を示す。また下図はそれぞれ、積層方向より観察した{001}面の分布を示す極点図である。
本発明の3次元造形物の積層造形法は、無機粉末材料の層を形成する工程と、前記無機粉末材料の層に、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電を一定方向へ平行に照射する工程と、前記照射によって、種結晶を作成する工程と、を含むことを特徴とする。無機粉末材料としては、特に限定されず、所望の製品に合わせて、適宜選択することができる。また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、例えば、前記無機粉末材料は、例えば、Ni、Mo、Fe、Cu、Si、B、Oからなる群から選択されることができる。また、無機粉末材料の大きさについても特に限定されない。例えば、無機粉末材料の大きさとしては、粉末の敷きつめ易さ(good flowability)と粉末の溶かし易さ (fusible ability)という観点から、例えばレーザー光の利用を想定する場合には、好ましくは、10~150μm、より好ましくは、10~45μmとすることができる。
本発明においては、前記無機粉末材料の層に、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電を一定方向へ平行に照射する工程を含む。電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電を一定方向へ平行に照射することによって、種結晶を得ることができる。一般に、積層造形体の結晶方位を種結晶なしに制御するのは容易ではなく,様々なプロセス条件の制御が必要となるが、本発明においては、種結晶を準備する必要がない。なぜなら、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電等の熱エネルギーを一定方向へ平行に照射することによって、種結晶を得ることができるからである。
従来、積層造形法により単結晶様の結晶配向性を有した積層造形体を得るには、種結晶を有する基板を準備した上で、積層造形していたわけであるが、本発明においては、所望の種結晶をレーザー光等の照射により得るものである。電子ビーム及び/又はレーザー光等のスキャン方向を制御すればどのような条件でも結晶配向が達成されるわけではなく、そのプロセス条件値(プロセスパラメータ)は材料によって異なる。
すなわち、これまでは、単結晶様の結晶配向性を有した積層造形体を作製する上で、最初に粉末を敷く際の下地となる基盤を「あらかじめ別手法で準備した単結晶を用いる」という手法に関するものが通常である。
一方、本発明においては、そのような特定の基盤をあらかじめ準備することなく,ビーム操作方向の制御により,結晶配向性の制御を行うことができ、種結晶自身を作製可能である。
さらに、本発明は、少なくとも「適正」なパラメータ選択を行った場合に、scan方向制御等により,結晶配向方向の制御が可能であることを見出したものである。さらに、後述するように、本発明ではビームパワーの制御によっても配向方向が制御できることを見出したものである。
種結晶を利用した場合、造形者が所望する方向に結晶を配向させることができる可能性がある。このことは大きなメリットであるが、しかし、その種結晶を準備することは当然ながら非常に困難を要求される。従って、種結晶を別途用意することなしに、結晶を配向化させる技術の確立は重要であり、かつ同時に、特定の方向だけでなく「できるだけ種々の方向」に配向化させる技術を獲得することが、その用途に応じた結晶方位を製品に付与するために重要であるが、本発明においては、これが可能である。
本発明において、なぜ種結晶を別途準備することなしに、配向化した結晶が作製できるようになったかについては、以下の通りである。すなわち、本発明においては、上述のように適切にプロセスパラメータを設定することで、レーザー光等によって溶融した材料の溶融池の形状、凝固形態等を適切に制御することにより、凝固する結晶中の結晶粒が「特定方向に自発的に」配向するようになり、種結晶に近いものを造形中に作製することができるものである。また、後述するように、育成される結晶配向の方向は「レーザー光等のスキャン方向、ならびに入力パワー」に支配されることが判明した。
後述するように、さらにその後、その配向した粒群に対し、セル組織の成長時が下部組織の結晶方位を受け継ぐ「エピタキシャル成長」が生じるような条件を保つと、種結晶なしに方位制御結晶の育成が可能となる。
本発明において、無機粉末材料の層の厚さは特に限定されないが、粉末の溶かし易さという観点から、好ましくは0.02~0.08mm、より好ましくは、0.02~0.06mm、さらに好ましくは、0.035mm~0.045mmである。
本発明において、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電を一定方向へ平行に照射する工程では、例えばレーザー光の場合の出力としては、粉末の溶かし易さと溶けた融液の表面の平滑性の確保という観点から、好ましくは、10~350W、より好ましくは、200~300Wとすることができる。一方電子ビームの場合は、好ましくは、300~1800W、より好ましくは、600~900Wとすることができる。レーザー光等の走査方式としては、特に限定されず、X走査、回転させた場合の走査(例えば、X軸からY軸等の範囲で回転させた場合に任意の位置で走査可能である。)、XY走査等を挙げることができる。本発明において、種結晶を作成するには、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電を一定軸に平行に照射する。例えば、所望出力のレーザー光等のX走査方式(例えば、X軸方向に往復走査等。)により、種結晶を作製することができる。これにより、所望の単結晶様組織、ひいては、最終製品に合わせて、所望の種結晶を育成することができる。すなわち本発明においては、レーザー光等を照射した溶融池の微細組織観察を行い、所望の種結晶が得られるパラメータ条件を特定することで、部位に応じて結晶配向方向、内部微細組織を制御した最終製品を得ることができる。
X走査方式、又はXY走査方式等について補足説明すれば以下の通りである。まず、本発明においては、一例として、粉末の敷き詰め、レーザー光等の照射による部分的な粉末の溶融、凝固を選択的に繰り返すことにより造形体を作製する、という手法とすることができる。「X走査方式、又はXY走査方式」とは、電子ビーム、レーザー光等の照射の際のビームの移動方向を示しており、図4に示す通り,X走査方式(Xscan)では,各積層において,ビームを一方向(X方向)への往復移動により粉末を溶融,一方XY走査方式ではn層目はX方向スキャンをし,その次のn+1層目はY方向スキャン,そしてその次のn+2層目の溶融はXスキャン,というように,溶融方向を交互に代える方式を意味することができる。
本発明において、どのような条件,パラメータにて単結晶状の集合組織が得られるかに関して、判明している範囲での一例は、以下のようである。積層造形装置として、型番EOS M290(EOS社製)を用いた場合の条件の一例を示す。なお、積層造形装置の仕様等によっての違いはあり得る。
例えば、上述の装置において、種結晶を得られる条件の一例の実験条件として、無機粉末材料の粉末粒径としては、好ましくは10~150 μm、より好ましくは10~45μm、レーザー光のスポット径としては、好ましくは89~200 μm、より好ましくは89~90μm、粉末厚みとしては、好ましくは20~80 μm、より好ましくは35~45μm、とすることができる。
また、X-scanにおいて、積層方向に<011>配向が得られる条件の一例としては、以下の通りである。レーザー光の出力としては、好ましくは150~360 W、より好ましくは190~210W、速度としては、好ましくは500-2000 mm/s、より好ましくは650~750 mm/s、ピッチ(レーザー光走査間隔)としては、好ましくは0.01~0.15 mm、より好ましくは0.09~0.10 mmである。また、XY-scan(低パワー)において、積層方向に<001>配向が得られる条件の一例としては、以下の通りである。出力としては、好ましくは150~250 W、より好ましくは190~210 W、速度としては、好ましくは500~2000 mm/s、より好ましくは750~850 mm/s、ピッチ(レーザー光走査間隔)としては、好ましくは0.01~0.15 mm、より好ましくは0.08~0.10 mmである。また、XY-scan(高パワー)において、積層方向に<011>配向が得られる条件の一例としては、以下の通りである。出力としては、好ましくは250~360 W、より好ましくは290~310W、速度としては、好ましくは500~2000 mm/s、より好ましくは750~850mm/s、ピッチ(レーザー光走査間隔)としては、好ましくは0.01~0.15 mm、より好ましくは0.08~0.10 mmである。
また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、さらに、前記種結晶上に、前記無機粉末材料の第二の層を形成する工程と、前記第二の層に、電子ビーム及び/又はレーザー光を照射し、前記種結晶上に、結晶を育成する溶融工程と、を含むことを特徴とする。本発明においては、前記得られた所望の種結晶上に、前記無機粉末材料の第二の層を形成することができる。当該第二の層にレーザー光等を照射して、種結晶上に、結晶を育成することができる。本発明においては、当該結晶の育成については、前述又は後述のように、走査方式、照射の強度等によって、単結晶様組織や、一方向にのみ結晶配向性の制御された繊維状集合組織を有する結晶等を育成することができる。
また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記育成された結晶上に、前記無機粉末材料の第三の層を形成する工程と、前記第三の層に、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電を照射し、前記育成された結晶上に、前記第三の層の無機粉末材料を利用して結晶を育成する溶解工程と、を含み、前記無機粉末材料の溶融、固化を繰り返し積層して3次元造形物を作成することを特徴とする。すなわち、本発明においては、種結晶を形成できれば、無機粉末材料の投入と、当該無機粉末材料の溶融、固化を繰り返すことにより積層して3次元造形物を作成することができる。
また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記一定方向へ平行に照射する工程は、一定軸に平行であって、往復走査して照射することを特徴とする。例えば、X軸に平行に走査し、往復走査することができる。X軸に平行に走査する場合、X走査方式とも呼ぶことができる。
また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電の照射の走査方式を変化させることを特徴とする。走査方式については、特に限定されないが、例えば、X走査方式、XY走査方式、回転走査方式、ならびにそれらの組み合わせ(積層ごとに上記走査方式を混合する)等を挙げることができる。これらの走査方式を変化させることで、積層方向をはじめとする、積層造形体の結晶方位を制御することができる。すなわち、本発明においては、所望の部位において、異なる結晶方位、強化相、粒界界面分布等を制御することができる。
また、本発明の3次元造形物の積層造形法の好ましい実施態様において、前記電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電の照射の強度を変化させることを特徴とする。照射の強度を変化させることによっても、強化相や、結晶配向に対する角度等も制御することができる。すなわち、本発明においては、所望の部位において、異なる結晶方位、強化相、粒界界面分布等を制御することができる。
また、本発明の3次元造形物の製造方法は、本発明の積層造形法によって、前記無機粉末材料の成分からなる3次元造形物を製造することを特徴とする。本発明においては、無機粉末材料の投入と、当該無機粉末材料の溶融、固化を繰り返すことにより積層して3次元造形物を作成することができるが、ひいては、最終製品の所望の部位において、異なる結晶方位、強化相、粒界界面分布等が要求通りに制御された最終製品を得ることができる。
また、本発明の3次元造形物の製造方法の好ましい実施態様において、前記3次元造形物は、Ni-Mo合金からなることを特徴とする。
なお、電子ビーム、レーザー光及び/又はアーク放電の照射による、3次元造形物の積層造形法の他の点に関しては、常法により特に限定されない。これらは、粉末焼結積層造形法ともよばれ、常法の積層造形装置を用いることができる。通常積層造形装置は、レーザー光などの光出射部と、造形部、制御部等から構成され、所望の最終製品のデータをコンピューターにインプットし、PC制御で層厚、照射強度、走査方式等の指令を行って3次元造形物を得ることができる。
ここで、本発明の一実施例を説明するが、本発明は、下記の実施例に限定して解釈されるものではない。また、本発明の要旨を逸脱することなく、適宜変更することが可能であることは言うまでもない。
実施例1
まず、本発明の積層造形法を用いて、種結晶の作製を試みた。実験方法は以下の通りである。すなわち、原料粉末として、以下の化学成分を有する粉末を用いた。化学成分(()内はmass%を示し、残りはNiである。):Mo(35.3),Fe(0.13),Cu(0.1),Si(0.26),B(0.05),O(0.05),Ni(Bal.)。原料のガス噴霧粉末の粒径は、10~45μm(平均34μm)のものを用いた。
造形条件としては以下の通りである。
設備 :EOS M290(EOS GmbH Electro optical systems社製)
走査方式 : X, Rotation, XY
積層厚み : 0.04mm
出力 : 100-300 W
走査速度 : 500-1100 mm/s
走査間隔 : 0.08-0.14mm
また、評価方法としては、走査型電子顕微鏡(SEM)、後方散乱電子回折法(SEM-EBSD)、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた。
実際に、下記の条件によって、種結晶を作製した。実験条件としては、以下の通りである。
粉末粒径:10-45μm
レーザー光のスポット径: 89μm
粉末厚み: 40μm
また、一例において、X-scanにおいて、積層方向に<011> 配向が得られる条件としては、以下の通りである。
レーザー光の出力:200 W (200-350)
レーザー光の照射速度:700 mm/s (600-1000)
ピッチ(レーザー光走査間隔): 0.1 mm (0.08-0.1)
また、一例において、XY-scan(低パワー)において、積層方向に<001> 配向が得られる条件としては、以下の通りである。
レーザー光の出力:200 W (180-220)
レーザー光の照射速度:800 mm/s (600-1000)
ピッチ(レーザー光走査間隔): 0.1 mm (0.08-0.12)
また、一例において、XY-scan(高パワー)において、積層方向に<011> 配向が得られる条件としては、以下の通りである。
レーザー光の出力:300 W (300-350)
レーザー光の速度:800 mm/s (600-1000)
ピッチ(レーザー光走査間隔): 0.1 mm (0.08-0.12)
図5は、種結晶育成時、及び第二層以降の結晶育成時(種結晶育成も含む)におけるイメージ画像を示す。すなわち、図5の上の4つの画像は、積層造形初期のイメージ図である。温度勾配(Temperature gradient)の様子、優先結晶成長(Preferntial growth)の様子、競合成長(Competition growth)の様子、エピタキシャル成長(Epitaxial growth)の様子を、それぞれ示す。また、下の6つの画像は、左から、X方向走査(図中、X only (0°)。)、回転走査(図中、Rotation(66.7°)。軸を66.7°回転させたもの。)、XY方向走査(低出力。図中、X-Y(90°)) をそれぞれ示す。(n+1)層((n+1)th layer)は、方位制御された種結晶の形成過程を示すイメージ図である。(n+2)層((n+2)th layer)は、その方位制御された種結晶層の次の層の形成過程を示すイメージ図である。[001]等は、結晶配向の方位を示す。なお、X方向走査に場合には、n層の造形初期においても、種結晶を作製可能である。
なお、図5中のGは図中の矢印のことを示しており、この矢印はthermal gradientすなわち、溶解に伴う「温度勾配」を示している。一般に凝固組織(セル組織)はこの温度勾配に沿った方向に成長すると考えられており、またこのセル組織に伸長方向は結晶学的には一般に<100>方向に平行である(fcc,bcc金属の場合)。したがって、1回目(n回目)のスキャンでは「理想的には」、模式図のような方向へ伸びたセル状組織が発達する。しかしながら実際には、下地の基盤の影響等を受けることなどから各結晶粒の方位は必ずしも一様とならず、従って単結晶様の組織は得られない虞がある。しかし適切なパラメータ制御の元にて積層造形(粉末の敷き詰め,溶解)を複数回進行することにより、X-scanではこの理想的な結晶成長の持続、すなわち模式図のように積層方向に対しおおよそ45度傾いた方向にセル組織が発達し、結果として積層方向に<011>が配向した種結晶の育成が可能となる。しかし一方でXY-scanの場合には、最適にパラメータ条件を制御した場合には、x-scan及びy-scan双方において形成される結晶粒の結晶方位の共通性を保つため、この温度勾配に抗した方向にセル組織が成長し、その結果、積層方向に<001>が配向した、すなわちX-scanの際とは異なる結晶方位を有する種結晶の育成が可能となる。
(001)等はミラー指数であり、(001)(軸を固定して考える場合)や{001}(x、y、z等の軸を固定しないで考える場合。この場合見る方向によって区別できない。)は面を、[001] (軸を固定して考える場合)や<001>(x、y、z等の軸を固定しないで考える場合。この場合見る方向によって区別できない。)は方向を示している。(001)と[001]の関係でいえば、(001)面の法線方向、すなわち(001)面の垂直方向が[001]方向に対応する。したがって、Z方向に[001]配向している粒とは、確かに(001)面の法線がZ方向と平行になる様に配列している、という状況を示す。
実際に図3(a)においてXスキャンした造形体中では、45度程傾いた方向にセル状組織(柱状晶)が延びている様子が分かる。また、XスキャンにYスキャンを行い、これを交互にすると、積層方向に沿った、もしくはそれに垂直なセル状組織の成長がみられ、Xスキャンのような45度程度の傾きは見られないことが判明した。図5のXYスキャンは、Xスキャンの態様ができないので、低出力のものである。
一方、高出力でのXYスキャンにすると、図5の左側のXスキャンのものと同様の結晶育成となる。
以上の結果、種結晶を含め、結晶育成において、溶融池の温度勾配、冷却速度、溶融池の形状が重要な要素と考えられるが、積層造形による結晶方位制御には様々な因子が複雑に絡み合っているため、一概には言及できないが、可能な範囲で、以下のメカニズムが想定される。
すなわち、結晶の成長方向(長く伸びたセルの伸長方向)はNi-Moを含むFCC合金では<100>と平行であり,それは熱流の方向にほぼ平行となることから、凝固時の熱流方向は溶融池の界面の方向と垂直となる。このことから,基本的にはXスキャンにおいてはZ方向に45度傾いた方向に結晶が伸び,その方向に<100>が配向し,その結果としてZ方向が<011>に平行になる。(図5参照。)
しかし、もう一つ結晶配向性を決める要因として凝固時における「エピタキシャル成長」(下地の結晶方位を引き継ぐような成長)が存在する。このエピタキシャル成長を考えた場合、Xスキャンをしてできた結晶の成長方向と、その次のYスキャンにおける結晶成長の方向は当然90度回るので、上述のXスキャン時と同じ結晶成長が起こるとすると、Xスキャン層と、Yスキャン層で結晶の向きが異なることとなり、そのような各層での結晶方位の変化は、大きなエネルギーの増大をもたらす(界面エネルギー等)。このエネルギー上昇を避けるため、XYスキャンにおいては、熱流成長への成長に抗し、結晶が積層方向平行に成長することで、Xスキャン、Yスキャン中で共通の結晶軸を持つように、自発的な成長方向の選択が起こる。(より正確に言えば、ランダムに発生した成長粒のうち、上述の関係を満たした結晶粒が、熱流方向に結晶が伸びやすいという特性に打ち勝ち選択的に残ることになる。)
この結果として、XYスキャンではZ方向に対し、<001>が優先配列するようになる。(図5参照。)上述のような機構により、Xスキャン、XYスキャンで積層方向への結晶成長方向が変わると考えられる。
またここで、XYスキャンにおいて、電子ビームのパワーを上げると、一回で溶ける粉末層の深さが大きくなるため、たとえばXスキャンでは、その前のYスキャン層の影響を受けにくくなり、その結果XYスキャンでもXスキャンと類似の集合組織が発達するものと推測される。上述の観点から、溶融池の形状は熱流方向の変化を介し、結晶の成長方向、ひいては結晶の配向方向を支配することとなり、この溶融値の形状が入力されるビームのエネルギーに支配されることになる。また冷却速度Rと直接的に相関する結晶の凝固速度(結晶成長速度)V、温度勾配Gの大きさはエピタキシャル成長のしやすさを支配する因子となり、一般にG/Vの大きさが大きいほどエピタキシャル成長がしやすくなる傾向がある。したがって、エピタキシャル成長しやすい方が、下の結晶方位を引き継ぐので、単結晶化しやすいと考えられる。
実施例2
次に、実際に、Ni-Mo合金からなる3次元造形物の製造を試みた。
図1は、X方向走査(図中、Xscan。(a)及び(b)。)、低出力のXY方向走査(図中、XY Scan(Low Power)。(c)及び(d)。)、高出力のXY走査(図中、XY Scan(High Power)。(e)及び(f)。)のそれぞれにおける、縦断面から見た積層方向のIPFマップ(結晶方位マップ)、ならびに積層方向から見た極点図を示す図である。(b)、(d)及び(f)において、それぞれ、左から、ミラー指数の{001}面、{011}面、及び{111}面に対する極点図である。すなわち、図1は、出力、走査速度、ピッチが最適下における、走査方式の変化に伴う試料中の積層方向への結晶配向性変化を示す。X/XY走査方式により単結晶様の組織を形成できることが見て取れる。さらに、造形方向の結晶配向は走査方式により変化できる。X走査方式は<011>であるが、XY走査方式の場合は、低出力であれば、造形方向の結晶配向は<001>、高出力であれば、造形方向の結晶配向は<011>になった。また、造形中あるいはその後の熱処理に伴うNi4MoあるいはNi3Moの強化相析出や高傾角粒界界面は常に造形方向に沿って存在するため、走査方式あるいは出力の変化に伴い、それらは結晶配向方向に対する角度が変化することも見て取れる。このことから、造形パーツ向き、走査方式、出力の変化を組み合わせることにより、複雑な構造を作製する同時に、違う部分の結晶方位、強化相と粒界界面分布の同時の制御が可能になり、この結果、これまでにない超高性能を有する高温構造製品等の創製が期待できることが分かる。
図1の補足説明をすれば以下の通りである。図1の(b,d,f)がZ方向(粉を積層した方向)から観察した「極点図」と呼ばれる、結晶方位の分布を示した図になる。そして、図1の左は、そのZ方向(積層方向)に対する結晶方位を色分けで示している。(一番右上の三角形の色分け(コントラスト)にて結晶方位を示している。)これを見て理解できるように、Xスキャンでは{011}の極点図にて中心に強度分布の極がある、すなわちZ方向に<011>がそろっていることを意味する。一方、XYスキャンではlow powerでは{001}極点図にて中心に強度集中がある、すなわちZ方向に<001>がそろった造形体ができていることを意味する。すなわち、本発明においては、スキャン方向の違いにより集合組織の制御ができることが分かる。さらに本発明においては、後述するように、XYスキャンにおいてレーザー光等のパワーを変化させることにより,結晶の配向性が変化し,この場合,Xスキャンと類似の<011>配向となることを本発明者らは見出した。この発現メカニズムについては、パワーに依存した粉末の溶融状態の変化,などと推測できる。
図2は、優先結晶成長方向について調べた結晶のTEM写真および電子線回折図形を示す。これにより、優先結晶成長方向(セルの伸長方向)は、<100>の方向であることが分かる。図3は、溶融池内の微細組織を調べたSEMによる画像、及びIPFマップ(結晶方位マップ)を示す。上がSEM画像であり、下が結晶方位マップである。左から、X方向走査(図中、Xscan。(a)及び(b)。)、低出力のXY方向走査(図中、XY Scan(Low Power)。(c)及び(d)。)、高出力のXY走査(図中、XY Scan(High Power)。(e)及び(f)。)をそれぞれ示す。矢印で示す100等は、各結晶粒内における<100>方向を示す。
図4は、X方向走査(図中、Xscan。)、低出力のXY方向走査(図中、XY Scan(Low Power)。)、高出力のXY走査(図中、XY Scan(High Power))における結晶配向方向のイメージ画像を示す。図において、[011]、[100]等は、結晶の配向方向を示し、例えば、[011]は、結晶の配向方向が[011]方向であることを示す。なお、本実施例においては、原理を確かめるために、厳密にX軸、Y軸と規定して、走査をほぼ平行、ほぼ直角におこなっているが、微細組織観察を行いながら、所望の製品に応じた結晶組織制御が可能である。
図6は、種々の強度を有する照射におけるX方向走査(図中、Xscan。)の、縦断面から見た積層方向の結晶方位を示す結晶方位マップである。レーザー光の走査速度vは、700mm/sであり、走査間隔d=0.1mmの場合の結晶方位マップである。図6において、左から、P=150W(出力150W)、P=200W、P=250Wの場合を示す。それぞれ、ミラー指数の{001}面における像を示す。この結果、入力出力による配向方向の変化がないことが判明した。また、図7は、種々の強度を有する照射におけるXY方向走査(図中、XYscan(rotated by 90°in each layer)。)の、縦断面から見た積層方向の結晶方位を示す結晶方位マップである。レーザー光の走査速度vは、800mm/sであり、走査間隔d=0.1mmの場合の結晶方位マップである。図7において、左から、P=150W(出力150W)、P=200W、P=250W、及びP=300の場合を示す。それぞれ、ミラー指数の{001}面における像を示す。
この結果、積層方向(Z軸)への配向方位が、入力パワーの増大に伴って、<001>から<011>と変化することが判明した。
図8は、種々の強度を有する照射における回転走査(図中、Rotation(66.7°)。)の、縦断面から見た積層方向の結晶方位を示す結晶方位マップである。レーザー光の出力P=200W、走査間隔d=0.1mmの場合の結晶方位マップである。図8において、左から、走査速度vは、v=500mm/s、v=600mm/s、v=700mm/s、v=800mm/sの場合を示す。それぞれ、ミラー指数の{001}面における像を示す。
その結果、積層方向(Z軸)への<001>配向のみが見られ、その他の方向への配向は見られなかった。
以上の結果、レーザー光の走査方式、又はレーザー光の強度を変化させながら、所望の3次元造形物を製造することができた。
本発明において、積層造形法における単結晶様の組織の形成、結晶配向は、溶融池の温度勾配、冷却速度と溶融池の形状と密接に関係することがわかる。温度勾配と冷却速度はセル状結晶の形成挙動を制御し、溶融池の形状はセル状結晶整列を制御する。本発明においては、エピタキシャル成長が存在するため、走査方式はセル状結晶整列に大きく影響することを見出した。本発明においては、溶融池中のセル状結晶整列を走査方式とパワーで制御し、単結晶様の組織を形成することができる。X走査方式は溶融池のセル状結晶成長を造形方向に対して45°傾かせることができる。一方、XY走査方式は、溶融池の伸び方向はビームの走査方向にともない90°回転するため、溶融池のセル状結晶成長方向を共通軸に沿って、縦あるいは横に成長させることができる。ただし、パワーの増加により、Y走査方式に形成した溶融池だけを再溶融して、X走査方式のようなセル状結晶整列とすることもできることが判明した。これら整列したセル状結晶成長は単結晶様の組織を形成した。Ni-Mo合金の柱状結晶の伸び方向、すなわち優先成長方向は<100>であるため、X走査方式では造形方向の結晶配向は<011>になったが、XY走査方式では造形方向の結晶配向は<001>あるいは<011>になった。
以上まとめると、本発明によれば、積層造形法において、走査方式とパワーの制御により、造形方向に少なくとも<001>あるいは<011>になる単結晶様の組織を形成することが可能であることが判明した。また、本発明によれば、従来の単結晶作製技術と比べて、任意な形状パーツが造形できるものである。XY走査方式を固定しても、パワーの制御により造形方向に結晶配向の変化は可能であり、これは、従来の一定の結晶配向しか得られない概念とは大きく異なるものである。したがって、本発明は造形方向に対するパーツの向きを変化しても、パラメータ制御により類似の結晶配向性を有するパーツが得られる利点を有する。さらに、本発明によれば、造形パーツ向きの変化により、強化相や粒界界面が結晶配向に対する角度が制御でき、強度や弾性率など性能は幅広く制御できる。造形向きと関する加工精度や、サポート量なども改善できる。また、本発明によれば、そのほかに、造形方向に、結晶配向の制御策略の変化により、パーツ局部の組織も制御でき、これは高性能のパーツ設計の実現につながる。
本発明によって得られる3次元造形物はこれまで見出されていない所望の特性を、結晶配向制御等により実現でき、新たな市場創製し、これにともない幅広い産業、製品群に対して、大きな波及効果がある。

Claims (8)

  1. Ni、Mo、Fe、Cu、Si、B、Oからなる群から選択される金属粉末材料の層を形成する工程と、前記金属粉末材料の層に、電子ビーム又はレーザー光を一定方向へ平行に照射する工程と、前記照射によって、前記金属粉末材料を溶融し、溶融地の形状、凝固形態を制御することにより、前記金属粉末材料から種結晶を作成する工程と、を含むことを特徴とする単結晶様組織の3次元造形物の積層造形法。
  2. さらに、前記種結晶上に、前記金属粉末材料の第二の層を形成する工程と、前記第二の層に、電子ビーム又はレーザー光を照射し、前記種結晶上に、結晶を育成する溶融工程と、を含む請求項1記載の積層造形法。
  3. 前記育成された結晶上に、前記金属粉末材料の第三の層を形成する工程と、前記第三の層に、電子ビーム又はレーザー光を照射し、前記育成された結晶上に、結晶を育成する溶解工程と、を含み、前記金属粉末材料の溶融、固化を繰り返し積層して3次元造形物を製造する請求項2記載の積層造形法。
  4. 前記一定方向へ平行に照射する工程は、一定軸に平行であって、往復走査して照射することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の積層造形法。
  5. 前記電子ビーム又はレーザー光の照射の走査方式を変化させることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の積層造形法。
  6. 前記電子ビーム又はレーザー光の照射の強度を変化させることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の積層造形法。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の積層造形法によって、前記金属粉末材料の成分からなる単結晶様組織の3次元造形物を製造することを特徴とする単結晶様組織の3次元造形物の製造方法。
  8. 前記3次元造形物は、Ni-Mo合金からなる請求項7記載の方法。
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