JP7256940B2 - パレット台車及び焼結機 - Google Patents

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Description

本発明は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機、及びパレット台車に関する。
焼結機は、無端軌道上に配置した複数のパレット台車を有する。複数のパレットは互いに隣接し、連続した搬送コンベヤーを形成する。連続する複数のパレットの上に焼結用の原料が積載され、搬送される。搬送中に、積載した原料中の粉コークス等の燃料に点火される。原料が積載された複数のパレットの下には、複数の連続した負圧を生じさせる風箱群が配置される。風箱群は、誘引排風機に接続される。点火後、原料中の粉コークスが燃焼することで、鉄鉱石が加熱され、部分溶融して焼結鉱を形成する。
焼結機において、原料を積載した複数のパレット台車には、例えば、焼結機駆動スプロケットにより、排鉱部に向けて押す力が作用する。この力により、複数のパレット台車に加速度的な動きが生じて、パレット間の隙間が生じることがある。隙間ができた瞬間にダスト粒子が挟み込まれる。これ以後、パレット端面同士が密着することなく隙間が空いたまま焼成が進んでしまう。隙間は、漏風の原因となる。漏風とは、焼成反応の燃焼に寄与しないで、風箱内に引き込まれる空気のことである。漏風は、積載した原料層内を通過せず、例えば、パレット台車間、パレット台車と風箱間、又は、側板と原料層との隙間を通過して風箱に至る。漏風が多いと、誘引排風機の電力を増大させるとともに、生産性を著しく低下させることになる。そのため、従来から漏風削減技術に関し多くの提案がなされてきた。
その1つに、側板の範囲において側板間の隙間についてシール板を取り付けるシール構造を設けた技術がある。例えば、実開昭61-034099号公報(特許文献1)(実公昭63―40782号公報)には、サイドウォールの前端面の凹溝に、シートプレートが挿入される構成が開示されている。このシートプレートは、前方向に向かって下向きに傾斜する長穴を有する。この長穴を貫通する支持ピンによってシートプレートが、凹溝から突出する可能に支持される。隣り合うサイドウォール間に隙間が生じると、シートプレートは自重によって、凹溝から突出して隙間を塞ぐ。
実開昭59-186797号公報(特許文献2)には、パレットフレームとパレットサイドフレームの端面と、これらに隣接する他のパレットフレームとパレットサイドフレームの端面との間の間隙を気密に閉塞するシール板と、押圧金具とを備えるシール機構が開示されている。
実開昭61-038497号公報(特許文献3)には、サイドウォールのシールプレート座に、シールプレートを隣接するサイドウォールの方向に押圧するバネ機構が開示されている。
特開平9-14856号公報(特許文献4)には、シールプレートのピン又はボルトと、サイドウォールのピン又はボルトを連結材で連結して、シールプレートの端面が、サイドウォールの端面に対して平行移動可能に圧着されるよう構成することが開示されている。
実開昭62-130398号公報(特許文献5)には、パレットの側板の端面の切り欠き段部に、押え金物をボルトで側板に取り付けて形成される垂直な溝に管状シール体を嵌挿することが開示されている。管状シール体の一部は、溝から突出して、隣接する他のパレットの側板に密接する。管状シール体は、内部にコイルスプリングが挿入された薄肉の管状体で構成される。
実開昭61-034099号公報 実開昭59-186797号公報 実開昭61-038497号公報 特開平9-14856号公報 実開昭62-130398号公報
例えば、実開昭61-034099号公報(特許文献1)のような側板間をシールするシールプレートを用いる場合、シールプレートは、鋳物等の剛体となる。シールプレートは、隣接するパレットとは自重により接触する。そのため、わずかなダストの噛み込みや、シールプレートを支持するピンの動きの悪さによって、接触状態が悪くなったり、最下端までシールプレートが届いていなかったりする場合がある。この場合、隙間が残る。特開平9-14856号公報(特許文献4)の構成でも同様の現象が起こり得る。
また、実開昭59-186797号公報(特許文献2)の構成の場合、シール板がボルトによって押圧金具に固定されている。押圧金物も、側板にボルトで固定されている。この構成では、位置の誤差が大きい。そのため、シール板が出過ぎたり引っ込みすぎたりして確実なシールが難しい。また、シール板がダスト等の噛み込みで塑性変形してしまうとそれ以降は、変形したシールド板によって、逆にパレット間の隙間を広げてしまう。さらに、シール板は、側板範囲とフレーム範囲で分割されているため、分割位置の漏風が防げなかった。また、パレットフレームの下面において、シール部材とシールバーの間に隙間があり、漏風が生じる。
実開昭61-038497号公報(特許文献3)は、パレット台車が、隣接するパレット台車に対して、搬送方向と直角な方向に位置ずれする場合、いわゆる蛇行した場合には、シールプレートが、隣接するパレット台車の端面にうまく当接せず、むしろ、突っ掛ける恐れがある。
実開昭62-130398号公報(特許文献5)の構成では、シール部材を押さえる押さえ金具が、ボルトにより側板に取り付けられる。そのため、焼結機駆動力によってボルトが緩む場合がある。また、ボルトで締結した金物が、ダストを挟み込んでしまうとボルトが折損する場合もある。また、この構成は、パレット端面全体をシールするものではない。
このように、焼結機における漏風削減は、従来からの課題であるが、シール構造の改良は望まれている。そこで、本発明は、上記従来とは異なる構成により、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができるパレット台車及び焼結機を提供することを目的とする。
本発明の一実施形態におけるパレット台車は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のパレット台車である。前記パレット台車は、パレットフレームと、前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーとを備える。前記パレット台車の搬送方向の少なくともいずれか一方の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームの前記シールバー近傍に至り溝が形成される。前記パレット台車は、前記溝に挿入され、前記パレット台車の端面から一部が突出するシール部材を備える。
本願開示によれば、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができる。
図1は、本実施形態におけるパレット台車を、搬送方向から見た図である。 図2は、隣接する2つのパレット台車の側面図である。 図3は、図1の溝を含む部分の拡大図である。 図4は、溝5の形状の変形例を示す図である。 図5は、側板の上端を上からみた図である。 図6は、溝とシール部材の変形例を示す図である。 図7は、溝とシール部材の変形例を示す図である。 図8は、パレット台車の変形例を示す断面図である。 図9は、パレット台車の変形例を示す図である。 図10は、図9に示すパレット台車を幅方向から見た側面図である。 図11は、溝及びシール部材の配置の例を示す図である。 図12は、溝及びシール部材の配置の変形例を示す図である。 図13は、溝及びシール部材の配置の変形例を示す図である。
焼結機においては、焼結用の原料を積載したパレット台車の下に、複数の連続した負圧(例えば、概ね-1600mmAq)の風箱群を配置される。風箱の上端に位置するウェアーバー(スライドベッド)に、パレット台車の下端に設けられたシールバーが接触しながら移動する。これにより、パレット台車の下の風箱の空間が、大気と遮断されている。シールバーから上方の隣接するパレット台車間の隙間の漏風の量は、例えば、パレット端面の凹凸状態、密着性、又は、パレット台車の押し力の一定性によって、影響される。なお、パレット台車の加速度的動きが少ないほど、パレット台車の押し力の一定性は高いと言える。
隣接するパレット台車の端面は、パレット台車の数だけ存在する。そのため、端面間の隙間が、たとえわずかでも、パレット台車の数が多い(例えば、100台から200台)と、相当な開口となる。発明者らは、パレット台車の端面の隣接するパレット台車端面との密着性を向上させ、漏風を低減する構造を検討した。
従来、主に提案されてきた側板のシール対策から、視点を変えて、側板の上端から、パレットフレーム下端のシールバーに至るまでの間を一体的にシールする構成を検討した。検討の結果、下記実施形態の構成に想到した。
(構成1)
本発明の実施形態におけるパレット台車は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のパレット台車である。前記パレット台車は、パレットフレームと、前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーとを備える。前記パレット台車の搬送方向の少なくともいずれか一方の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームの前記シールバー近傍に至るまで溝が形成される。前記パレット台車は、前記溝に挿入され、前記パレット台車の端面から突出するシール部材を備える。
上記構成1によれば、パレット台車の端面と隣接するパレット台車の端面との間において、側板の上端から、前記パレットフレームのシールバー近傍に至るまで、シール部材が位置することになる。これにより、側板の端面及びパレットフレームの端面を一体的にシールすることができる。そのため、パレット台車の端面と隣接するパレット台車の端面の間の密閉性を向上させることができる。その結果、従来とは異なる構成により、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができる。
前記溝は、前記側板の上端から、前記パレットフレームの前記シールバー近傍に至り形成される。すなわち、溝は、前記側板の上端から、前記パレットフレームの内部に至りさらにシールバーに近づくように形成される。これにより、シール部材の端がシールバーの近くに配置される。そのため、パレット台車の端面と隣接するパレット台車の端面の間の密閉性をより向上させることができる。シールバー近傍に至る溝の例として、例えば、前記溝と前記シールバーとの最短距離を、20mm以下とすることができる。前記溝と前記シールバーとの最短距離を、5mm以下とすることが好ましい。前記溝は、パレットフレームの下端又はシールバーに達していてもよい。なお、溝とシールバーとの最短距離は、溝とシールバーが最も近づく部分の両者間の距離である。
(構成2)
上記構成1のパレット台車において、前記シール部材は、前記溝に着脱可能に構成されてもよい。これにより、パレット台車間の密閉性や、溝へのダストのたまりやすさ等を考慮して、各溝に対するシール部材の配置を柔軟に変えることができる。
(構成3)
上記構成1又は2のパレット台車において、前記溝の断面形状は、溝の開口の幅よりも溝の内部の幅が広くなる形状であってもよい。すなわち、前記溝の断面形状は、溝の端面における縁を溝内部より絞った形状としてもよい。これにより、溝の開口からシール部材の一部を突出させた状態で溝内にシール部材を保持しやすくなる。また、シール部材を溝に脱着可能にしやすくなる。例えば、溝の開口からシール部材の一部を突出させ、且つ、溝の開口の縁がシール部材に接することでシール部材の全体が溝から飛び出るのを止めるよう、シール部材を溝に配置することができる。なお、溝の断面形状は、側板の上端から、パレットフレームのシールバー近傍に至るまで、同じ形状であってもよい。
なお、側板における溝は、一体物である側板をくり抜いて形成されるものであってもよい。すなわち、側板における溝の内面はすべて、一体的に形成された側板の面であってもよい。これにより、シール部材を保持するための押え部材や締結部材等が不要になる。同様の観点から、パレットフレームにおける溝も、一体物であるパレットフレームをくり抜いて形成されるものであってもよい。すなわち、パレットフレームにおける溝の内面はすべて、一体的に形成されたパレットフレームの面であってもよい。
(構成4)
上記構成3のパレット台車において、前記シール部材の断面形状は、凹部を含む形状であってもよい。この場合、前記シール部材は、前記弾性部材を含み、前記弾性部材に前記溝から押し出されるよう付勢され、且つ、前記凹部が前記溝の内面の突起に係って押し出されるのを止められた状態で挿入される構成とすることができる。この構成により、弾性部材は、シール部材を溝から突出する方向に押すため、シール部材が隣のパレット台車の端面を押す力が増える。そのため、シール部材による密封性が向上する。また、異物が、シール部材と隣接するパレット台車の端面との間に噛み込まれた場合、シール部材の噛み込みの部分が、溝に引っ込む。これにより、異物の噛み込みによる漏風を少なくすることができる。また、シール部材が引っ込んだ部分では、溝に入り込んだダスト粒子を溝から排出しやすくなる。
上記構成4において、溝は、深くなるに従って漏風の方向に傾斜した形状としてもよい。すなわち、溝は、深くなるに従ってパレット台車の内側へ寄るよう傾斜する形状であってもよい。これにより、溝に入ったダストが排出されやすくなる。
また、上記構成4において、溝の内面の突起は、溝の上下方向における一部に設けられてもよい。これにより、溝の上下方向の一部に設けられた突起がシール部材に接触して、シール部材を保持する構成となる。溝の突起が設けられていない部分では、溝とシール部材の間に空間ができる。この空間からダストが排出され得る。そのため、溝に入ったダストがより排出されやすくなる。
また、上記構成4において、シール部材の断面の輪郭において、凹部となる部分の反対側の輪郭線を直線状にすることができる。すなわち、シール部材の表面は、平面と、この平面の反対側の凹面とを含んでもよい。さらに、溝の内面は、平面の部分と、この平面に対向し、平面に向かって突出する突起の部分を含むことができる。この場合、シール部材は、男性部材によって押され、且つ、溝の平面の部分にシール部材の平面が接し、溝の突起の部分にシール部材の凹面が接した状態で、シール部材が溝に配置される。これにより、シール部材による密封性をより向上させ、溝に入ったダストの排出がしやすくなる。
(構成5)
上記構成1~4のいずれかにおいて、前記シール部材は、前記側板の上端から、前記パレットフレームのシールバー近傍に至るまで一体的に形成されてもよい。すなわち、前記シール部材は、前記側板の端面の上端から、前記パレットフレームの端面のシールバー近傍に至るまで連続した形状であってもよい。これにより、シール部材による密封性を高めることができる。なお、シール部材は、パレットの側板とパレットフレームの境で分割されたシール部材であってもよい。この場合、分割されたシール部材同士が接した状態で、溝に配置されてもよい。これにより、側板上端からシールバー近傍まで概連続としたシール部材とすることができる。
(構成6)
上記構成1~5のいずれかのパレット台車において、前記溝の下端は、前記溝の上端よりも前記幅方向において内側に位置してもよい。これにより、溝の下端をシールバーに近づけることができる。溝の下端をシールバーに近づけることで、シール部材とシールバーの間の隙間が小さくなり、漏風が減少する。例えば、溝の少なくとも一部は、下方に行くにしたがって、パレットの幅方向におけるシールバーとの距離が小さくなるように斜行していてもよい。
(構成7)
上記構成1~6のいずれかのパレット台車において、前記溝は、前記側板又は前記パレットフレームの外側に貫通する開口部と繋がっていてもよい。これにより、開口部を通じて、溝に入ったダストが排出される。
(構成8)
上記構成1~7のいずれかのパレット台車において、前記側板は、前記パレットフレームとは別の部材として、前記パレットフレームに取り付けられてもよい。この場合、前記側板と前記パレットフレームの間に、前記搬送方向に延びるパッキンが設けられてもよい。これにより、焼結の熱で側板が変形して側板とパレットフレームの間に隙間が生じた場合に、パッキンによって隙間からの漏風を防ぐことができる。
(構成9)
上記構成1~8のいずれかのパレット台車は、搬送方向の両端面のうち少なくとも1つにおいて、前記一対の側板の両方に形成された一対の前記溝を含んでもよい。当該一対の溝の両方に、前記シール部材が挿入されてもよい。パレット台車の一対の側板の両方に溝とシール部材を設けることで、パレット台車端面の幅方向の両端から漏風を効果的に防ぐことができる。
(構成10)
上記構成9のパレット台車において、前記一対の溝が、搬送方向の両端面の一方の端面及び他方の端面の両方において形成されてもよい。これにより、パレット台車の搬送方向の前後の両方にシール機構を設けることができる。
(構成11)
上記構成9又は10のパレット台車において、前記一対の溝は、パレット台車の幅方向中央の仮想面に対して対称な位置に形成されてもよい。すなわち、一対の溝は、幅方向に対称な位置に形成されてもよい。これにより、パレット台車の製造工程において、溝の形成がしやすくなる。
(構成12)
上記構成1~10のいずれかのパレット台車において、前記一方の端面の溝及び前記他方の端面の溝は、幅方向中央の仮想面に対して非対称な位置に形成されかつ上下方向から見て点対称な位置に形成されてもよい。これにより、焼結において互いに隣接するパレット台車の互いに対向する端面において、溝の位置を幅方向にずらすことができる。また、溝の位置を点対称にすることで、パレット台車を、搬送方向を反転させて用いる場合も、隣接するパレット台車に対する端面の溝の配置を同じにすることができる。
このように、前記パレット台車は、搬送方向の一方の端面及び他方の端面の双方に前記溝を有してもよい。この場合において、前記パレット台車の前記一方の端面の溝と、他方の端面の溝は、点対称か否かに関わらず、前記パレット台車の幅方向においてずれていてもよい。これにより、例えば、焼結機において、パレット台車の端面の溝と、これに対向する隣接するパレット台車の端面の溝の位置をずらすことができる。
(構成13)
本発明の実施形態における焼結機は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機である。前記複数のパレット台車の各々は、パレットフレームと、前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーを備える。隣接する前記パレット台車の対の各々において、少なくとも一方のパレット台車は、もう一方のパレット台車と隣接する側の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームのシールバー近傍に至り溝が形成される。前記複数のパレット台車の少なくとも1台は、前記溝に挿入され、前記パレット台車の端面から突出するシール部材を備える。前記パレット台車の対が原料を積載して搬送される状態において、前記一方のパレット台車の端面から突出する前記シール部材が前記もう一方のパレット台車の端面と接する。
上記構成13の焼結機によれば、隣接する一対のパレット台車の一方のパレット台車の端面ともう一方のパレット台車の端面との間において、一方のパレット台車の端面の側板の上端から、前記パレットフレームのシールバー近傍に至り、シール部材が位置することになる。そのため、従来とは異なる構成により、パレット台車の端面と、隣接するパレット台車の端面との間の漏風を低減することができる。
(構成14)
上記構成13の焼結機において、前記パレット台車の対の各々において、前記一方のパレット台車は、搬送方向前側の端面において、前記一対の側板の両方に形成された一対の前記溝及び、前記一対の溝の両方に挿入された前記シール部材を備える。これにより、一方のパレット台車が、パレット台車の対のうち搬送方向の後ろに配置されるパレット台車である場合に、この一方のパレット台車の前の端面に、幅方向両端をシールするシール構造を設けることができる。
(構成15)
上記構成13又は14の焼結機において、前記パレット台車の対の各々において、前記もう一方のパレット台車は、前記一方のパレット台車と隣接する側の端面において、前記一対の側板のうち、前記一方のパレット台車の前記溝を有する側板に隣接する側板に前記溝を有してもよい。この場合、前記一方のパレット台車のパレットの前記溝と、前記もう一方のパレット台車の前記溝とは、幅方向にずれており、かつ、前記一方のパレット台車のパレットの前記溝と、前記もう一方のパレット台車の前記溝の少なくとも一方には前記シール材が挿入されていてもよい。すなわち、隣接する一対のパレット台車の一方のパレット台車の端面の溝と、この端面に対向するもう一方のパレット台車の端面の溝の位置を、幅方向にずらすことができる。これにより、一方のパレット台車の溝のシール部材と、もう一方のパレット台車の溝又はシール部材との干渉を避けることができる。
上記構成13又は14の焼結機において、前記複数のパレット台車の各々は、搬送方向の両端面のうち一方の端面に前記溝を有し、他方の端面に前記溝を有さない構成としてもよい。これにより、複数のパレット台車の各々の搬送方向の一方の端面にのみ溝とシール部材を設けることで、複数のパレット台車の間をシールすることができる。なお、複数のパレット台車の各々は、搬送方向の両端面のいずれにも溝を有し、両端面のうち一方の端面の溝にシール部材を挿入し、他方の端面の溝にシール部材を挿入しない構成としてもよい。
本明細書において、パレット台車において、焼結用の原料が積まれる方向が上であり、その反対方向が下である。搬送方向は、パレット台車が軌道上で搬送される方向である。幅方向は、搬送方向及び上下方向と直交する方向とする。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
(実施形態1)
本実施形態における焼結機は、無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を備える。図1は、本実施形態におけるパレット台車を、搬送方向から見た図である。図1に示す直交座標系のx軸は、幅方向であり、y軸は、搬送方向であり、z軸は、上下方向である。パレット台車10は、パレットフレーム2と、パレットフレーム2の幅方向の両端部に配置された一対の側板1と、一対の側板1の間のパレットフレーム2に配置される複数のグレートバー8を備える。複数のグレートバー8は、火格子を構成する。一対の側板1は、パレットフレーム2の上面かに取り付けられる。一対の側板1は、パレットフレーム2から上方に延びる。パレットフレーム2には、一対の車輪7が回転可能に取り付けられる。一対の車輪7の車軸7aは、パレットフレーム2の幅方向に延びる。焼結用の原料は、火格子上に積載される。すなわち、複数のグレートバー8の火格子と一対の側板1で囲まれる空間に焼結用の原料が収納される。
車輪7は、搬送方向に延びるレール11の上を転がる。レール11の内側には、搬送方向に延びる一対のウェアーバー13と、一対のウェアーバー13をそれぞれ支持する一対のウェアーバーサポート12(ウェアーバー支持部)が配置される。パレットフレーム2の下面には、搬送方向に延びる2つの凹部2bが形成される。2つの凹部2bは、幅方向に離間している。2つの凹部2bのそれぞれに、搬送方向に延びる一対のシールバー4が挿入される。一対のシールバー4の各々は、パレットフレーム2に対して上下方向の可動な状態で取り付けられる。パレット台車10が原料を積載して搬送される時には、シールバー4の下面が、ウェアーバー13の上面に接した状態で、シールバー4がウェアーバー13に対して搬送方向に相対移動する。
パレット台車10の下方には、複数の風箱(図示略)が配置される。複数の風箱は、搬送方向すなわちy方向に並んで配置される。パレット台車のグレートバー8の下方であって、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、及び一対のウェアーバーサポート12の間の空間は、風箱内の空間と繋がっている。風箱内のガスは、誘引排風機(図示略)によって吸引される。風箱内には負圧が生じる。すなわち、グレートバー8と、一対のシールバー4、一対のウェアーバー13、一対のウェアーバーサポート12、及び風箱で囲まれる空間は負圧となる。
パレット台車10の搬送方向の端面は、側板1の端面1aとパレットフレーム2の端面2aを含む。パレット台車10の前の端面は、隣接するパレット台車(図示略)の搬送方向の後の端面と対向する。パレット台車10の端面において、側板1の端面1aの上端1uから、パレットフレーム2の端面2aの内部に至るまで、溝5が連続して形成される。一例として、溝5は、側板1の端面1aの上端1uから、パレットフレーム2の端面2aのシールバー4近傍に至る。溝5にはシール部材3が挿入される。シール部材3は、パレット台車の端面から突出して隣接するパレット台車(図示略)の端面に接する。シール部材3は、溝5の上端から下端まですなわち溝5の全体にわたって配置される。パレット台車10の端面のシールバー4近傍から側板1の上端1uまで連続したシール部材3が、隣接するパレット台車の端面と接触する。これにより、パレット台車10と隣接するパレット台車の間からパレット台車の下方に位置する風箱へ吸い込まれる空気を遮断することができる。
図2は、隣接する2つのパレット台車10A、10Bを側方(幅方向の外側)から見た側面図である。図2に示すように、パレット台車10Aの前方の端面1a、2aと、隣接するパレット台車10Bの後方の端面1a、2aの間の隙間Sが、パレット台車10Aの溝5に挿入されたシール部材3によって塞がれる。これにより、隙間Sからの漏風を防ぐことができる。
<溝の構成の詳細>
図3は、図1の溝5を含む部分の拡大図である。図3に示すように、溝5は、側板1の上端1uから下方に行くにしたがってパレット台車10の内側に寄るように斜めに延びて形成される。溝5とシールバー4との幅方向の距離は、下方に行くにしたがって小さくなる。溝5の下端5dは、溝5の上端5uより幅方向内方に位置する。溝5とシールバー4との幅方向の距離は、溝5の下端5dで最も小さくなる。溝5の下端5dは、パレットフレーム2の端面2aの内部に位置する。具体例として、溝5の下端5dは、シールバー4の近傍に位置する。すなわち、凹部2bの開口の縁(角)の近傍に溝5の下端5dが位置している。溝5の下端5dは、シールバー4が挿入されるパレットフレーム2の凹部2bの上端2buより下に位置する。パレットフレーム2における溝5は、パレットフレーム2の上端から凹部2bの縁(角)に向かって斜めに延びる。溝5とシールバー4との最短距離は、例えば、20mm、好ましくは50mm以下とすることができる。一例として、溝5の下端と、シールバー4が挿入される凹部2bとの幅方向の距離T1は、20mm以内、好ましくは50mm以内とすることができる。溝の下端5dがパレットフレーム2の下端又はシールバーに達していてもよい。
また、図示しないが、ウェアーバーサポート12に取り付けられ、シールバー4近傍のパレットフレーム2に接するシールシートが設けられてもよい。シールシートは、例えば、ウェアーバーサポート12に取り付けられ、シールバー4よりも幅方向の外方におけるパレット台車10の下面の水平な面と接するよう設けられる。シールシートが設けられる場合は、溝5の下端をシールシートがパレットフレーム2に接する位置の近傍に配置することができる。例えば、シールシートと溝5の下端との距離が、20mm以下、好ましくは5mm以下となるようにしてもよい。溝の下端がパレットフレーム2の下端又はシールバーに達していてもよい。このような形態も、溝5の下端をシールバー4の近傍に配置する形態の一例である。
図3に示す例では、溝5は、パレットフレーム2の下面に達していない。すなわち、溝5は、パレットフレーム2を貫通していない。変形例として、溝5は、パレットフレーム2の下面に達して、パレットフレーム2を貫通してもよい。
図3に示すように、溝5を、側板1の上端1uからパレットフレーム2の下部のシールバー4の近傍に至るまで連続し、溝5にシール部材3を挿入することにより、側板1及びパレットフレーム2の端面を一体的にシールすることができる。そのため、側板1及びパレットフレーム2の端面の密閉性を向上させることができる。また、溝5にシール部材3を挿入する構成であるため、シール部材を支持するための締結部材や押え金具等が不要である。そのため、ダストの噛み込みや、シール部材のずれによる漏風が生じにくい。
図3に示す例では、1本のシール部材3が、溝5の全体、すなわち、側板1の上端1uから、パレットフレーム2のシールバー4近傍に至るまでを充填するように配置される。これに対して、側板1の上端1uから、パレットフレーム2のシールバー4近傍に至るまでの溝5に、複数のシール部材3が連なって配置されてもよい。また、図3に示す溝5は、パレット台車10の搬送方向の端面において、側板1の上端1uからシールバー4近傍に至るまで、直線状ではなく、若干湾曲して延びている。
図4は、溝5の形状の変形例を示す図である。図4に示す例では、溝5は、パレット台車10の搬送方向の端面において、直線状に延びて形成される。具体的には、溝5は、側板1の上端1uから側板1の下端(側板1とパレットフレーム2との境)まで直線状に延び、さらに、パレットフレーム2上端(側板1とパレットフレーム2との境)から、シールバー4近傍まで、直線状に延びている。側板1の端面1aにおける溝5Uの延在方向と、パレットフレーム2の端面における溝5Dの延在方向は、平行でなくてもよい。図4に示す例では、側板1の端面1aにおける溝5Uの幅方向の傾きよりも、パレットフレーム2の端面における溝5Dの幅方向の傾きの方が大きい。側板1の端面1aにおける溝5Uと、パレットフレーム2の端面における溝5Dとは、側板1とパレットフレーム2との境において、互いに接続される。側板1とパレットフレーム2との境が、これらの溝5Uと溝5Dとの接続点となっている。
図4に示す構成において、溝5Uと溝5Dには、それぞれ、別個のシール部材が挿入することができる。すなわち、側板1の溝5Uに配置されるシール部材3と、パレットフレーム2の溝5Dに配置されるシール部材3は、互いに分離していてもよい。
<溝及びシール部材の構成例>
図5は、側板1の上端1uを上からみた図である。溝5に、シール部材3が挿入されている。溝5の断面形状は、溝5の開口の幅よりも溝5の内部の最大幅が広くなる形状である。図5に示す例では、溝5の断面形状は、円弧状である。溝5の断面形状は、側板1の上端1uからシールバー4の近傍に至るまで、同じ形状である。溝5は、側板1の上端1uにおいて、側板1の幅方向中央を含む領域に設けられる。
シール部材3は、溝5に収納される。シール部材3は、側板1の上端1uからシールバー4近傍まで連続している。シール部材3の断面形状は、側板1の上端1uからシールバー4近傍に至るまで同じである。シール部材3の一部が溝5からはみ出して、側板1の端面1aから突出している。溝の開口は内部より狭くなっているので、シール部材3は、溝の開口の縁に掛かって溝の外部に出ないよう止められる。これにより、シール部材3が溝5から必要以上にはみ出したり、抜け落ちたりするのが防がれる。シール部材3の断面は円形である。そのため、シール部材3が隣接するパレット台車の端面と当接した際に、挟み込みが起きにくい。
シール部材3は、円柱形の弾性部材31と、弾性部材31の側面を巻く金属板32を有する。金属板32は、円筒形であり、周方向の一部が欠けている。これにより、シール部材3の断面形状が弾性変形しやすくなる。そのため、シール部材3が当接する隣接するパレット台車の端面に対する追従性がよくなる。金属板32は、溝5の開口からはみ出して隣接するパレット台車の端面に当接する。金属板32は、当接部材の一例である。弾性部材31は、例えば、耐熱材料とすることができる。弾性部材31は、例えば、パッキンであってもよい。金属板32は、例えば、耐熱鉄板とすることができる。なお、変形例として、シール部材3は、耐熱ゴム等柔軟に変形できる材料で構成された一体物でもよい。シール部材3は、例えば、円筒形で柔軟性を有する構成とすることができる。すなわち、シール部材3は、溝5に押し込まれることができる構造とすることができる。これにより、互いに隣接するパレット台車の2つの端面の間の距離の変化、又はこれらの2つの端面の幅方向にずれが生じても、シール機能を失わないようにできる。また、シール部材がパレット台車に挟まって隙間を作ってしまうことが避けられる。また、シール部材3を溝5に着脱可能とすることができる。
図6は、溝5とシール部材3の変形例を示す図である。図6は、側板1の上端1uを上からみた図である。溝5の断面形状は、溝5の開口の幅よりも溝5の内部の最大幅が広くなる形状である。シール部材3は、溝5の開口からはみ出して隣接するパレット台車の端面に当接する当接部材33と、当接部材33と溝5の間に配置される弾性部材34を含む。当接部材33の断面の輪郭は、曲線部と直線部を含む。曲線部の一部が溝5からはみ出し、直線部が弾性部材34に接するように当接部材33が配置される。当接部材33は、弾性部材34に溝5から押し出されるよう付勢され、且つ、溝5の開口の内面に係って押し出されるのを止められた状態で、溝5に挿入される。当接部材33は、弾性部材34に押された状態で、隣接するパレット台車の端面1aに接する。これにより、パレット台車10Aの端面1aと隣接するパレット台車10Bの端面1aの間がシールされる。シール部材3が、異物を噛み込んだ時は、シール部材3の噛み込み部分が溝に引っ込む。そのため、シール部材3の隣接するパレット台車の端面に対する追従性がよくなる。また、溝5に入り込んだダスト粒子が排出されやすくなる。図6に示す例においても、シール部材3は、溝5に対して着脱可能である。
図7は、溝5とシール部材3の変形例を示す図である。図7は、側板1の上端1uを上からみた図である。溝5の断面形状は、溝5の開口の幅よりも溝5の内部の最大幅が広くなる形状である。シール部材3は、溝5の開口からはみ出して隣接するパレット台車の端面に当接する当接部材33と、当接部材33と溝5の間に配置される弾性部材34を含む。図7に示す溝5は、漏風が吸い込まれる方向(矢印Fの方向)に傾斜している。すなわち、溝5は深くなるに従って、パレット台車の内側へ寄るよう傾斜している。また、溝5は、側板1の上下方向(すなわち高さ方向又はz方向)の複数個所でシール部材3を保持する突起5aを具備してもよい。これにより、シール部材3を保持する突起5aの部分以外の範囲では、溝5とシール部材3との間の空間を大きくできる。この空間から、溝5に入り込んだダストを排出できる。
溝5の内面は、深くなるに従って、パレット台車の内側へ寄るよう傾斜した平面5bの部分と、この平面5bの部分の向かいの面であって、この平面5bの部分に向かって突出する突起5aの部分を含む。溝5の平面5bの部分は、シール部材3と接触するため、表面に平滑化処理が施されることが好ましい。
当接部材33の表面は、平面の部分と、この平面の反対側すなわち裏側の凹面とを含む。図7に示す例では、当接部材33の凹面は、ひょうたん型に凹凸した形状である。当接部材33の平面の部分に弾性部材34が取り付けられる。弾性部材34は、平板部と湾曲板部を含むバネ板である。弾性部材34の平板部が当接部材33の平面に固定される。シール部材3の表面は、平面とこの平面の反対側の凹面とを含むことになる。シール部材3の平面が、溝5の平面5bと接触し、シール部材3の凹面に、溝5の突起5aが接触する。溝5の内部において、当接部材33と溝5の内面の間に、弾性部材34が配置される。弾性部材34は、当接部材33を溝5から押し出す方向に押す。この構成により、シール部材3に溝5から押し出す力を与えて、シール部材3を隣接するパレット台車の端面に当接させる。これにより、パレット台車10Aの端面1aと隣接するパレット台車10Bの端面1aの間がシールされる。シール部材3が、異物を噛み込んだ時は、シール部材3の噛み込み部分が溝に引っ込む。これにより、シール部材3の隣接するパレット台車の端面に対する追従性がよくなる。また、溝5に入り込んだダスト粒子が排出されやすくなる。図7に示す例においても、シール部材3は、溝5に対して着脱可能である。
<側板とパレットフレームの間のパッキンの例>
図8は、パレット台車の変形例を示す断面図である。図8は、搬送方向と直角な面におけるパレット台車の断面の一部を示す。図8に示す例では、側板1は、パレットフレーム2とは別の部材として、パレットフレーム2に取り付けられる。側板1とパレットフレーム2の間に、パッキン6が設けられる。パッキン6は、搬送方向に延びる。パッキン6は、例えば、パレット台車の前の端面から後ろの端面まで連続して設けることができる。側板1及びパレットフレーム2の少なくともいずれか一方に、パッキン6を収めるための搬送方向に延びる溝が形成されてもよい。また、図8に示す例では、側板1のパレットフレーム2との接触面には、段差1cが設けられる。パレットフレーム2の側板1との接触面にも段差2cが設けられる。これらの段差1c、2cは、互いに勘合する。これにより側板1が原料の熱により変形して、側板1とパレットフレーム2との間に隙間が空いたとしても、パッキン6と、段差1c、2cの勘合面でその隙間を遮蔽し、漏風を防ぐことができる。なお、パッキン6の搬送方向の端面における位置は、溝5と重ならない位置とすることが好ましい。
<溝の開口の例>
図9は、パレット台車の変形例を示す図である。図9は、パレット台車を搬送方向から見た図である。図10は、図9に示すパレット台車を幅方向から見た側面図である。図9及び図10に示す例では、溝5は、側板1の外側に貫通する開口部1bと繋がっている。開口部1bは、側板1の端面に形成された凹部である。開口部1bは、溝5から側板1の外面に達する。溝5に入り込んだダストは、この開口部1bを通じて、溝5の外へ排出される。なお、溝と外面とをつなぐ開口部1bは、パレットフレーム2に設けられてもよい。また、1つの溝5に対して複数の開口部1bが設けられてもよい。
本発明は、上記実施形態に限られない。例えば、図14に示す例では、複数のパレット台車の各々において、前の端面及び後の端面の両方に溝が設けられる。これに対して、複数のパレット台車の各々において、前の端面又は後の端面のいずれか一方に溝が設けられ、他方には溝が設けられない構成であってもよい。
図11は、原料を積載して搬送される複数のパレット台車における溝とシール部材の配置例を示す図である。図11に示す例では、複数のパレット台車10A~10Cの各々は、前の端面に一対の溝5、5を有し、後ろの端面に溝は設けられない。各パレット台車の前の端面の一対の溝5、5は、一対の側壁1の両方に設けられる。すなわち、パレット台車の前の端面において、一方の側壁1に1つの溝5、他方の側壁1の1つの溝5が形成される。前の端面の一対の溝5、5に、それぞれシール部材3、3が挿入される。各パレット台車のシール部材3、3は、溝5、5から突出し、隣接する前方のパレット台車の後ろの端面に接する。図11に示す例では、複数のパレット台車10A~10Cのいずれも、前の端面の溝5の幅方向における位置は同じである。また、各パレット台車において、前の端面の一対の溝5、5は、幅方向中央の仮想面CFに対して対称な位置に形成されている。
なお、図11に示す構成の変形例として、複数のパレット台車10A~10Cの各々は、前の端面には溝を有さず、後ろの端面に一対の溝5、5を有してもよい。また、各パレット台車の前の端面又は後ろの端面において、幅方向中央の面に対して非対称に一対の溝5、5が配置されてもよい。また、各パレット台車の前の端面及び後ろの端面の両方に、それぞれ一対の溝5、5を設けてもよい。この場合、前の端面の一対の溝5、5の両方にシール部材3、3を挿入し、後ろの端面の溝5、5のいずれにもシール部材を挿入しない状態で、パレット台車に原料を積載し搬送することができる。
図12は、複数のパレット台車における溝とシール部材の配置の変形例を示す図である。図12に示す例では、複数のパレット台車10A~10Cの各々は、前の端面に1つの溝5を有し、後ろの端面に1つの溝を有する。各パレット台車の前の端面において、左右のの一方に溝5が設けられ、左右の他方に溝が設けられない。各パレット台車の後ろの端面において、左右の他方に溝5が設けられ、左右の一方に溝が設けられない。前の端面及び後ろの端面の溝5には、それぞれシール部材3が挿入される。前の端面の溝5は、一対の側板のうち一方の側板(図12の例では、右の側板)に、後ろの端面の溝5は、他方の側板(図12の例では、左の側板)に設けられる。なお、各端面における溝の数は、上述の例に限られない。例えば、前の端面及び後ろの端面の少なくとも一方に、3つ以上の溝が設けられてもよい。図12に示す例では、各パレット台車において、搬送方向の一方の端面の溝及び他方の端面の溝は、幅方向中央の仮想面に対して非対称な位置に形成されかつ上下方向から見て点対称な位置に形成されている。
図13は、原料を積載して搬送される連続する複数のパレット台車における溝5及びシール部材3の配置の変形例を示す図である。図13に示す例では、パレット台車10A、10B、10Cのそれぞれにおいて、後ろの端面における一対の溝5、5及び一対のシール部材3、3は、前の端面における一対の溝5、5及び一対のシール部材3に対して右にずれている。このように、複数のパレット台車それぞれにおいて、前の端面の一対の溝と後ろの端面の一対の溝を、同じ方向にずらすことで、隣接するパレット台車の互いに対向する端面において、溝の幅方向の位置が重ならないようにできる。
図13に示す例では、複数のパレット台車10A~10Cの各々において、搬送方向の前の端面の一対の溝5、5及び後ろの端面の一対の溝5、5は、幅方向中央の仮想面CFに対して非対称な位置に形成され、且つ上下方向から見て点対称な位置に形成されている。この場合、パレット台車10A~10Cの幅方向中央且つ搬送方向中央の点を通り、上下方向に伸びる仮想軸KJが点対称の回転軸となる。これにより、パレット台車の入れ替え、又は、前後を反転して使用しても、隣接するパレット台車と溝の幅方向の位置が重ならないようにすることができる。また、図13に示す例では、複数のパレット台車10A~10Cのいずれも、前の端面の溝5、5の位置は同じであり、後ろの端面の溝5、5の位置も同じである。
図13に示す例では、各パレット台車において、前の端面の一対の溝5、5と後ろの端面の一対の溝5、5の両方に、シール部材3、3が挿入された状態で、パレット台車に原料を積載し搬送する。変形例として、各パレット台車において、前の端面の一対の溝5の両方にシール部材3、3を挿入し、後ろの端面の一対の溝5のいずれにもシール部材3を挿入しない状態で、パレット台車に原料を積載し搬送してもよい。
以上、本発明の一実施形態を説明したが、上述した実施形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施形態を適宜変形して実施することが可能である。
1:側板
2:パレットフレーム
3:シール部材
4:シールバー
5:溝

Claims (13)

  1. 無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のパレット台車であって、
    パレットフレームと、
    前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、
    前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、
    前記パレット台車の搬送方向の両端面の少なくとも一方の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームの前記シールバーの近傍に至り形成された溝と、
    前記溝に挿入され、前記パレット台車の端面から一部が突出するシール部材と、を備え、
    前記溝の断面形状は、溝の開口の幅よりも溝の内部の幅が広くなる形状であり、
    前記シール部材は、当接部材と、弾性部材とを含み、
    前記弾性部材は、前記当接部材と前記溝の間に配置され、
    前記当接部材の断面形状は、凹部を含む形状であり、
    前記当接部材は、前記弾性部材に前記溝から押し出されるよう付勢され、且つ、前記凹部が前記溝の内面の突起に係って押し出されるのを止められた状態で挿入され
    前記溝の内面の前記突起は、前記溝の上下方向における一部に設けられる、パレット台車。
  2. 請求項1に記載のパレット台車であって、
    前記弾性部材は、前記当接部材と前記溝の間に配置されるバネ板である、パレット台車。
  3. 請求項1又は2に記載のパレット台車であって、
    前記シール部材は、前記溝に着脱可能である、パレット台車。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載のパレット台車であって、
    前記シール部材は、前記側板の上端から前記シールバーの近傍に至るまで一体的に形成される、パレット台車。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載のパレット台車であって、
    前記溝の下端は、前記溝の上端よりも前記幅方向において内側に位置する、パレット台車。
  6. 無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のパレット台車であって、
    パレットフレームと、
    前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、
    前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、
    前記パレット台車の搬送方向の両端面の少なくとも一方の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームの前記シールバーの近傍に至り形成された溝と、
    前記溝に挿入され、前記パレット台車の端面から一部が突出するシール部材と、を備え、
    前記溝は、前記側板又は前記パレットフレームの外側に貫通する開口部と繋がっている、パレット台車。
  7. 請求項1~のいずれか1項に記載のパレット台車であって、
    前記側板は、前記パレットフレームとは別の部材として、前記パレットフレームに取り付けられ、
    前記側板と前記パレットフレームの間に、前記搬送方向に延びるパッキンが設けられる、パレット台車。
  8. 請求項1~のいずれか1項に記載のパレット台車であって、
    搬送方向の両端面のうち少なくとも1つにおいて、前記一対の側板の両方に形成された一対の前記溝を含み、当該一対の溝の両方に、前記シール部材が挿入されている、パレット台車。
  9. 請求項に記載のパレット台車であって、
    前記一対の溝が、搬送方向の前記両端面の一方の端面及び他方の端面の両方において形成されている、パレット台車。
  10. 請求項又はに記載のパレット台車であって、
    前記一対の溝は、パレット台車の幅方向中央の仮想面に対して対称な位置に形成されている、パレット台車。
  11. 無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機のパレット台車であって、
    パレットフレームと、
    前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、
    前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、
    前記パレット台車の搬送方向の両端面の少なくとも一方の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームの前記シールバーの近傍に至り形成された溝と、
    前記溝に挿入され、前記パレット台車の端面から一部が突出するシール部材と、を備え、
    前記溝が、搬送方向の前記両端面の一方の端面及び他方の端面の両方において形成されており、
    前記一方の端面の溝及び前記他方の端面の溝は、幅方向中央の仮想面に対して非対称な位置に形成されかつ上下方向から見て点対称な位置に形成されている、パレット台車。
  12. 無端軌道に互いに隣接して配置される複数のパレット台車を有する焼結機であって、
    前記パレット台車の各々は、
    パレットフレームと、
    前記パレットフレームの幅方向の両端に配置された一対の側板と、
    前記パレットフレームの下面に形成された凹部に挿入され、パレット台車の搬送方向に延びるシールバーと、を備え、
    隣接する前記パレット台車の対の各々において、
    少なくとも一方の前記パレット台車は、
    もう一方の前記パレット台車と隣接する側の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームのシールバーの近傍に至り形成された溝と、
    前記溝に挿入され、前記一方のパレット台車の端面から突出するシール部材と、を備え、
    前記もう一方の前記パレット台車は、
    前記一方の前記パレット台車と隣接する側の端面において、前記側板の上端から、前記パレットフレームのシールバーの近傍に至り形成された溝と、
    前記溝に挿入され、前記もう一方のパレット台車の端面から突出するシール部材と、を備え、
    前記パレット台車の対が原料を積載して搬送される状態において、前記一方のパレット台車の端面から突出する前記シール部材が前記もう一方のパレット台車の端面と接し、
    前記隣接するパレット台車の互いに対向する端面において、前記一方のパレット台車の溝の位置と、前記もう一方のパレット台車の溝の位置が幅方向にずれている、焼結機。
  13. 請求項12の焼結機であって、
    前記一方のパレット台車は、搬送方向前側の端面において、前記一対の側板の両方に形成された一対の前記溝及び、前記一対の溝の両方に挿入された前記シール部材を備える、焼結機。
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