JP7256915B1 - 紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法 - Google Patents

紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】紫外線レーザー照射された際に、一点ごとの印字鮮明性に優れる印字スポットが得られる紫外線レーザー印刷用紙を提供すること。また、前記紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させた印刷物およびその製造方法を提供すること。さらに、前記紫外線レーザー印刷用紙または印刷物を用いてなる加工品を提供すること。【解決手段】酸化チタンが内添されてなる紙基材を有する紫外線レーザー印刷用紙であって、前記紙基材層中の酸化チタンの含有量が0.5質量%以上であり、前記酸化チタンの結晶子サイズが、30nm以上である、紫外線レーザー印刷用紙。【選択図】なし

Description

本発明は、紫外線レーザー印刷用紙、印刷物、加工品、および印刷物の製造方法に関する。
従来、製造日や出荷日などの日付や、バーコードなどの可変情報を、収容物が収容される容器等の包装体に表示するために、ラベル表示またはインクジェット印刷が行われている。
また、レーザー光照射により印字する方法も提案されており、たとえば、特許文献1には、レーザー光照射により、鮮明な印字が高速で行え、かつ、印字された部分が各種の耐性に優れたレーザー印字用積層体およびその印字体を提供することを目的として、アルミ蒸着紙のアルミ蒸着面上に、白インキ、黒インキおよびオーバープリントニス(OPニス)を塗布して製造したレーザー印刷用積層体が開示されている。
さらに、特許文献2には、発熱が比較的少なく、包装材のレーザーマーキングに好ましく適用可能な技術を提供することを目的として、平均粒子径が150nm以下の第一の酸化チタン粒子を含み、紫外線レーザーの照射により色変化するレーザーマーキング層を形成するために用いられるインク組成物が記載されている。
特開平9-123607号公報 特開2020-75943号公報
包装体、ラベル、粘着テープなどの表面への印刷手段として、サーマルプリンタやインクジェットプリンタを用いて包装体表面に直接インキを載せる方法があり、現在多用されている。しかし、サーマルプリンタのインクリボンやインクジェットプリンタのインキ等の消耗品は高価であり、多くの変動情報を印刷するにはランニングコストが高額になるという問題がある。また、これら消耗品の交換を怠ると印刷漏れが発生する場合もある。さらに、UV硬化型インキを用いたオフセット印刷による包装体への変動情報の直接印刷も行われているが、包装体表面の汚れや包装体の厚さむら等によって、印刷カスレや文字欠け等が発生する場合がある。
また、特許文献1に記載の方法では、高速化が可能であるものの、COレーザー光の照射によりレーザー光を吸収しやすい上層を除去して、下層を露出し、上層と下層の色の違いから視認可能な文字等を形成する技術であるため、上層はレーザー光を吸収しやすい材料に限定され、逆に下層はレーザー光を吸収しにくく、かつ、上層と色のコントラストの取れる材料に限定される。すなわち、レーザー光を吸収しやすいカーボンブラック系の材料(黒色)が上層となり、酸化チタン系の材料(白色)が下層となり、レーザー光の照射により形成される文字等は、黒地に白い文字となり、視認性に劣る。また、上層を除去する際に、上層のインクが粉塵化して、作業環境の汚染を招くという問題があった。
さらに、特許文献2に記載のインク組成物を用いて作製した塗工層に対して、紫外線レーザーによる印刷を行うと、印字スポットの一点ごとの印字鮮明性に劣る場合があった。
本発明は、紫外線レーザー照射された際に、一点ごとの印字鮮明性に優れる印字スポットが得られる紫外線レーザー印刷用紙を提供することを目的とする。また、本発明は、前記紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させた印刷物およびその製造方法を提供することを目的とする。さらに、本発明は、前記紫外線レーザー印刷用紙または印刷物を用いてなる加工品を提供することを目的とする。
本発明者等は、紙基材上に酸化チタンが内添されてなる紫外線レーザー印刷用紙において、酸化チタンの含有量を特定量以上とし、酸化チタンの結晶子サイズを特定の値以上とすることにより、上記の課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は以下の<1>~<10>に関する。
<1> 酸化チタンが内添されてなる紙基材を有する紫外線レーザー印刷用紙であって、前記紙基材層中の酸化チタンの含有量が0.5質量%以上であり、前記酸化チタンの結晶子サイズが、30nm以上である、紫外線レーザー印刷用紙。
<2> 前記酸化チタンの結晶子サイズが53nm以下である、<1>に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<3> 前記酸化チタンがルチル型酸化チタンであり、前記酸化チタンの回折角度が27.60°以下である、<1>または<2>に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<4> 前記紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.5mm以上3.0mm以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<5> 前記紙基材を構成するパルプ繊維中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が4%以上40%以下である、<1>~<4>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<6> 前記紙基材中の酸化チタンの含有量が50質量%以下である、<1>~<5>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙。
<7> <1>~<6>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙から得られた印刷物であって、前記印刷物が、少なくとも一部に、変色された酸化チタンを含有する印刷領域を有し、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比が0.70以下である、印刷物。
<8> <1>~<6>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙、または<7>に記載の印刷物を用いてなる、加工品。
<9> <1>~<6>のいずれか1つに記載の紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させることにより印刷する工程を有する、印刷物の製造方法。
<10> 前記印刷する工程が、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比が0.70以下となるように紫外線レーザーを照射する工程である、<9>に記載の印刷物の製造方法。
本発明によれば、紫外線レーザー照射された際に、一点ごとの印字鮮明性に優れる印字スポットが得られる紫外線レーザー印刷用紙が提供される。また、本発明によれば、前記紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させた印刷物およびその製造方法が提供される。さらに、本発明によれば、前記紫外線レーザー印刷用紙または印刷物を用いてなる加工品が提供される。
[紫外線レーザー印刷用紙]
本発明の紫外線レーザー印刷用紙(以下、単に「印刷用紙」ともいう)は、酸化チタンが内添されてなる紙基材を有し、前記紙基材中の酸化チタンの含有量が0.5質量%以上であり、前記酸化チタンの結晶子サイズが、30nm以上である。
本発明によれば、紫外線レーザー照射された際に、一点ごとの印字鮮明性に優れる印字スポットが得られる紫外線レーザー印刷用紙が提供される。
上述した効果が得られる詳細な理由は不明であるが、一部は以下のように考えられる。
印刷用紙の紙基材に酸化チタンが内添されてなることにより、紫外線レーザーによるレーザー照射により、紙基材中の酸化チタンが変色し、印刷することが可能である。前記酸化チタンの変色は、紙基材が含有する酸化チタンのイオン価数が4価から3価に変化し、酸素欠陥が生じることで、白色から黒色へと変化し、これにより、視認可能となっていると考えられる。酸化チタンのイオン価数は、酸化チタンのバンドギャップに相当する光エネルギーを照射する際に変化するものと考えられる。酸化チタンのバンドギャップは結晶系によって異なるが、一般に3.0~3.2eV程度であり、これに相当する光の波長は420nm以下である。そのため、420nmを超える波長のレーザー光(たとえば532nm、1064nm、10600nm)を用いても本発明のような酸化チタンのイオン価数変化に起因する印刷を施すことは困難である。この際、紙基材中の酸化チタンの含有量を0.5質量%以上にすることで、視認性に優れ、一点ごとの印字鮮明性に優れた印刷物が得られる。
また、酸化チタンの結晶子サイズが30nm以上であると、結晶欠陥が少なく、励起電子と正孔の再結合の発生が抑制され、酸化チタンが還元されやすく、変色しやすいため、一点ごとの印字鮮明性に優れた印字スポットが得られたと考えられる。
なお、本実施形態において、印刷可能領域とは、印刷用紙が含有する酸化チタンの変色、好ましくは紫外線レーザーの照射により、紫外線レーザーにより照射された部分の酸化チタンが白色から黒色に変色することで印刷が可能である領域(部分)を意味し、印刷領域とは、印刷可能領域の中で、実際に酸化チタンが変色している箇所、好ましくは紫外線レーザーの照射により酸化チタンが変色し、視認可能となっている箇所、すなわち、紫外線レーザーの被照射部分を意味する。また、非印刷領域とは、印刷可能領域の中で、酸化チタンが変色していない領域(部分)、たとえば、紫外線レーザーが照射されていない領域(部分)を意味する。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
紫外線レーザー印刷用紙は、酸化チタンが内添されてなる紙基材を有する。本発明において、印刷用紙は、酸化チタンを含有する紙基材自体であってもよく、該紙基材上に透明樹脂層が設けられていてもよい。すなわち、「印刷用紙」とは、紙基材そのもの、または紙基材上に透明樹脂層が設けられた態様の双方を意味する。また、印刷用紙は、印刷を行う面とは反対面に、さらに層を有していてもよく、たとえば、粘着層、蒸着層、樹脂層等を有していてもよい。これらの層は、1層でもよく、複数の層が設けられていてもよい。
〔紙基材〕
本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙は、酸化チタンが内添されてなる紙基材を有する。
紙基材は、酸化チタンが内添されてなり、前記紙基材中の酸化チタンの含有量が0.5質量%以上である。
紙基材中の酸化チタンの含有量は、十分な印刷濃度を得る観点から0.5質量%以上であり、好ましくは0.8質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、さらに好ましくは8.0質量%以上であり、そして、一点ごとの印字鮮明性に優れる印字スポットを得る観点、印刷濃度が頭打ちとなり、必要量以上の酸化チタンを含有させることによるコストアップを抑制する観点、および紫外線レーザー照射時(印刷時)の発煙量を抑制する観点から、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、さらに好ましくは35質量%以下、よりさらに好ましくは25質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。
紙基材中の酸化チタンの含有量が多過ぎると、紫外線レーザー照射時に酸化チタンの飛散によると考えられる発煙が発生する傾向がある。また、発煙が生じる結果、変色した酸化チタンが印刷用紙から脱離するという現象が生じるため、一点ごとの印字鮮明性も劣化する傾向がある。
なお、印刷用紙の少なくとも印刷可能領域に該当する紙基材が酸化チタンを含有していればよく、印刷を行わない領域において、紙基材中の酸化チタンの含有量が上記下限未満である領域が存在していてもよい。製造の簡易性の観点から、紙基材の全領域が酸化チタンを上記の下限値以上含有することが好ましい。
紙基材が含有する各成分について詳述する。
(酸化チタン)
紙基材が含有する酸化チタンは、組成式TiOで表され、二酸化チタン、またはチタニアとも呼ばれる。
本実施形態において、紙基材中の酸化チタンの結晶子サイズは、30nm以上である。紙基材中の酸化チタンの結晶子サイズが30nm未満であると、結晶欠陥が多く、紫外線レーザー照射によって励起した励起電子と正孔の再結合が発生しやすく、結果として、酸化チタンが還元されにくく、一点ごとの印字鮮明性に劣る。酸化チタンの結晶子サイズは、好ましくは35nm以上、より好ましくは40nm以上である。
また、酸化チタンの結晶子サイズの上限は特に限定されないが、抄紙の際の紙料中での分散安定性の観点から、好ましくは60nm以下、より好ましくは56nm以下、さらに好ましくは53nm以下である。酸化チタンの結晶子サイズの上限が上記範囲内であると、得られた紙基材中でも酸化チタンの分散性が良好であり、印字均一性に優れるので好ましい。
酸化チタンの結晶子サイズは、実施例に記載の方法により測定される。
なお、結晶子サイズは、シェラー式により求められ、ブラッグ角としては、アナターゼ型の酸化チタンの場合には101面、ルチル型の酸化チタンの場合には110面に由来する最大強度の実測値を使用する。
酸化チタンは、いずれも結晶構造でもよく、ルチル型酸化チタン、アナターゼ型酸化チタン、およびブルッカイト型酸化チタンから選択される少なくとも1つであることが好ましく、入手容易性および安定性の観点から、ルチル型酸化チタンおよびアナターゼ型酸化チタンから選択される少なくとも1つであることがより好ましく、ルチル型酸化チタンであることがさらに好ましい。
酸化チタンの結晶形は、公知の方法で決定することができ、具体的には、ラマンスペクトル、XRDパターンの解析などにより決定することができる。たとえば、ラマンスペクトルから同定する場合には、一般的には、ルチル型では、447±10cm-1、609±10cm-1にピークが確認され、アナターゼ型では、395±10cm-1、516±10cm-1、637±10cm-1にピークが確認される。
酸化チタンは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化チタンがルチル型酸化チタンであるとき、酸化チタンの回折角度は、一点ごとの印字鮮明性の観点から、27.60°以下であることが好ましい。ルチル型の酸化チタンのブラッグ角は、本来は27.40°であるが、結晶性が低いと、回折角度が高くなる傾向にある。酸化チタンの回折角度が27.60°を超えると、結晶性が低く、変色が抑制されるため、一点ごとの印字鮮明性に劣る傾向にある。
酸化チタンがルチル型酸化チタンであるとき、酸化チタンの回折角度は、好ましくは27.60°以下、より好ましくは27.55°以下、さらに好ましくは27.50°以下である。
酸化チタンの回折角度は、ルチル型の場合には、上述したように、110面に由来する最大強度の実測値である。
酸化チタンの形状は特に限定されず、不定形、球状、棒状、針状等の、いずれの形状であってもよい。
酸化チタンが不定形または球状である場合、酸化チタンの平均粒子径は特に限定されないが、表面平滑性に優れる印刷用紙を得る観点から、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.10μm以上、よりさらに好ましくは0.15μm超、特に好ましくは0.16μm以上であり、そして、好ましくは20.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下、よりさらに好ましくは0.50μm以下、特に好ましくは0.30μm以下である。
また、酸化チタンが針状である場合、酸化チタンの長径は、特に限定されないが、表面平滑性に優れる印刷用紙を得る観点から、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、そして、好ましくは50.0μm以下、より好ましくは30.0μm以下、さらに好ましくは15.0μm以下である。また、短径は、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.03μm以上、さらに好ましくは0.05μm以上であり、そして、好ましくは3.0μm以下、より好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.0μm以下である。また、酸化チタンが針状である場合、アスペクト比(長径/短径)は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは100以下、さらに好ましくは30以下である。
酸化チタンの粒子径、長径および短径は、実施例に記載の方法により測定される。なお、原料として使用した酸化チタンの粒子径、長径、および短径の値を採用してもよく、原料として使用した酸化チタンの粒子径、長径、および短径のカタログ値を採用してもよい。
(パルプ)
本実施形態において、印刷用紙は、酸化チタンが内添されてなる紙基材を有する。
紙基材を構成する原料パルプとしては、たとえば、木材パルプ、非木材パルプ、および脱墨パルプが挙げられる。木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)、広葉樹未晒クラフトパルプ(LUKP)、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、針葉樹未晒クラフトパルプ(NUKP)、サルファイトパルプ(SP)、溶解パルプ(DP)、ソーダパルプ(AP)、酸素漂白クラフトパルプ(OKP)等の化学パルプ、セミケミカルパルプ(SCP)、ケミグラウンドウッドパルプ(CGP)等の半化学パルプ、砕木パルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)等の機械パルプ等が挙げられる。非木材パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、コットンリンター、コットンリント等の綿系パルプ、麻、麦わら、竹、バガス等の非木材系パルプが挙げられる。脱墨パルプとしては、特に限定されないが、たとえば、古紙を原料とする脱墨パルプが挙げられる。原料パルプは、上記の1種を単独でも2種以上混合して用いてもよい。なお、原料パルプに、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維等の有機合成繊維、ポリノジック繊維等の再生繊維、ガラス繊維、セラミック繊維、カーボン繊維等の無機繊維を混用してもよい。
原料パルプは、入手のしやすさという観点から、木材パルプおよび脱墨パルプが好ましい。また、原料パルプは、木材パルプの中でも、地合いの均一性の観点から、好ましくは化学パルプであり、より好ましくはクラフトパルプであり、さらに好ましくはユーカリ、アカシア等の広葉樹クラフトパルプ、およびマツ、スギ等の針葉樹クラフトパルプから選択される1種以上であり、よりさらに好ましくは広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)および針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)から選択される1種以上であり、特に好ましくはLBKPである。
紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、塗工ムラを抑制し、印字鮮明さを向上させる観点から、好ましくは0.5mm以上、より好ましくは0.65mm以上、さらに好ましくは0.7mm以上であり、そして、好ましくは3.0mm以下であり、より好ましくは2.5mm以下、さらに好ましくは2.0mm以下、よりさらに好ましくは1.5mm以下、特に好ましくは1.0mm以下である。
紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が3.0mm以下であると、パルプ同士が密に絡まり合うことで、紙基材の空隙が減少し、紫外線レーザー照射の際に、酸化チタンの飛散を抑制することができ、発煙が抑制され、一点ごとの鮮明性に優れた印刷物が得られるので好ましい。また、長さ加重平均繊維長が0.5mm以上であると、紙基材としての強度が向上すると共に、紫外線レーザー照射時に、繊維が紙基材から脱落しにくく、紙粉の発生が抑制され、発煙量が抑制され、一点ごとの印字鮮明性に優れるので好ましい。
紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長は、実施例に記載の方法により測定される。
紙基材を構成するパルプの平均繊維幅は、好ましくは14.0μm以上、より好ましくは15.0μm以上、さらに好ましくは15.5μm以上、よりさらに好ましくは16.0μm以上であり、そして、好ましくは35.0μm以下、より好ましくは33.0μm以下、さらに好ましくは31.0μm以下、よりさらに好ましくは28.0μm以下、よりさらに好ましくは24.0μm以下、よりさらに好ましくは21.0μm以下である。
紙基材を構成するパルプの平均繊維幅が35.0μm以下であると、パルプ同士が密に絡まり合うことで、紙基材の空隙が減少し、紫外線レーザー照射の際に、酸化チタンの飛散を抑制することができ、発煙が抑制され、一点ごとの印字鮮明性に優れた印刷物が得られるので好ましい。また、平均繊維幅が14.0μm以上であると、紙基材としての強度が向上すると共に、紫外線レーザー照射時に、繊維が紙シート媒体から脱落しにくく、紙粉の発生が抑制され、発煙量が抑制され、一点ごとの印字鮮明性に優れるので好ましい。
紙基材を構成するパルプの平均繊維幅は、実施例に記載の方法により測定することができる。
紙基材を構成するパルプ中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、好ましくは4%以上、より好ましくは5%以上、さらに好ましくは6%以上、よりさらに好ましくは10%以上、特に好ましくは15%以上であり、そして、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、さらに好ましくは20%以下である。
微細繊維の本数割合が4%以上であると、微細繊維が繊維間の空隙を埋める形でシートに配置されるため、紫外線レーザー照射時の酸化チタンの飛散が抑制され、その結果、紫外線レーザー照射時の発煙が抑制され、一点ごとの印字鮮明性が向上するので好ましい。また、微細繊維の本数割合が40%以下であると、微細繊維の増加により、紫外線レーザー照射時に微細繊維が飛散することによる発煙が抑制され、一点ごとの印字鮮明性が向上するので好ましい。
紙基材を構成する繊維のパルプ中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合は、紙基材を実施例に記載の方法にて離解し、得られたパルプスラリーの繊維長を繊維長測定器(たとえば、バルメット社製、型式FS-5、UHDベースユニット付き)にて測定して、算出する。繊維長が0.2mm以下であり、かつ、繊維幅が75μm以下の繊維を微細繊維とし、測定したパルプの本数に対する、微細繊維の本数割合を算出する。
紙基材に用いられる木材パルプのカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness;CSF)は、所望の繊維幅および繊維長を得る観点から、好ましくは150mL以上、より好ましくは300mL以上、さらに好ましくは400mL以上であり、そして、好ましくは800mL以下、より好ましくは750mL以下、さらに好ましくは700mL以下、よりさらに好ましくは600mL以下である。
ここで、CSFは、JIS P 8121-2:2012によるカナダ標準ろ水度のことである。
紙基材は、上述した酸化チタンに加え、必要に応じて内添剤を添加したパルプスラリーを抄紙することにより得られる。
紙基材には、上述したパルプおよび酸化チタンに加え、填料、サイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤(たとえば、ポリアミドポリアミンエピクロロヒドリン)、歩留向上剤(たとえば、硫酸バンド)、濾水性向上剤、pH調整剤、柔軟剤、帯電防止剤、消泡剤、染料・顔料等の公知の抄紙用内添剤を必要に応じて添加することができる。
填料としては、たとえば、カオリン、タルク、酸化チタン、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、亜硫酸カルシウム、石膏、焼成カオリン、ホワイトカーボン、非晶質シリカ、デラミネーテッドカオリン、珪藻土、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等を例示することができる。
サイズ剤としては、たとえば、ロジン系、アルキルケテンダイマー系、アルケニル無水コハク酸系、スチレン-アクリル系、高級脂肪酸系、石油樹脂系サイズ剤などが挙げられる。
紙基材の抄紙においては、公知の湿式抄紙機、たとえば長網抄紙機、ギャップフォーマー型抄紙機、円網式抄紙機、短網式抄紙機等の抄紙機を適宜選択して使用することができる。次に、抄紙機によって形成された紙層をフェルトにて搬送し、ドライヤーで乾燥させる。ドライヤー乾燥前にプレドライヤーとして、多段式シリンダードライヤーを使用してもよい。
また、上記のようにして得られた紙基材に、カレンダーによる表面処理を施して厚さやプロファイルの均一化を図り、印刷適性の向上を図ってもよい。カレンダー処理としては公知のカレンダー処理機を適宜選択して使用することができる。
紙基材は、単層であっても多層であってもよく、異なるパルプ組成の多層構成としてもよい。
紙基材の坪量は、印刷用紙としての強度、および印刷適性向上の観点から、好ましくは30g/m以上、より好ましくは40g/m以上、さらに好ましくは50g/m以上であり、そして、好ましくは1000g/m以下、より好ましくは700g/m以下である。
坪量はJIS P 8124:2011に規定される方法で測定する。
紙基材の厚さは特に限定されないが、印刷用紙としての強度、および印刷適性向上の観点から、好ましくは30μm以上、より好ましくは50μm以上、さらに好ましくは70μm以上、よりさらに好ましくは80μm以上であり、そして、好ましくは900μm以下、より好ましくは850μm以下であり、さらに好ましくは800μm以下である。
紙基材の厚さはJIS P 8118:2014記載の方法で測定することができる。
〔樹脂層〕
本実施形態の印刷用紙は、印刷用紙の耐水性を向上させる観点、また、保護層としての機能を目的として、紙基材上に、さらに樹脂層を有していてもよい。すなわち、紙基材の上に、さらに予め樹脂層が設けられた印刷用紙を使用してもよい。
樹脂層の全光線透過率は、好ましくは40%以上、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましく70%以上、よりさらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上であり、そして、100%以下である。上限は特に限定されない。
全光線透過率は、JIS K 7361-1:1997に準拠して測定される。
樹脂層を構成する樹脂は、全光線透過率が好ましくは40%以上であり、紙基材上に設けることができれば特に限定されないが、透明性および樹脂層を設けることが容易である観点から、樹脂層と紙基材とを接着剤層とを介して貼付するか、またはラミネート加工により積層する場合には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール、およびデンプンから選択される少なくとも1つであることが好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリビニルアルコールから選択される少なくとも1つであることがより好ましく、ポリエチレン、ポリプロピレンであることがさらに好ましく、ポリエチレンであることが特に好ましい。
また、樹脂層を塗工により設ける場合には、アクリル系樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂などが例示される。
アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル酸と、そのアルキルエステル、スチレン、(メタ)アクリル酸以外の不飽和カルボン酸、エチレン、プロピレン等のその他のモノマーとを共重合した樹脂が例示され、具体的には、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン-アクリル酸-マレイン酸樹脂などが例示され、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
樹脂層と紙基材とは、いずれの方法により積層されていてもよく、特に限定されないが、製造容易性の観点から、樹脂層と紙基材とを接着剤層とを介して貼付するか、またはラミネート加工するか、透明塗料を液状塗料の形で塗工することが好ましい。
局所的に樹脂層を設ける場合には、製造容易性の観点から、接着剤を介して貼付することが好ましい。また、広範囲に樹脂層を設ける場合には、ラミネート加工することが好ましい。
なお、接着剤層としては特に限定されず、公知の接着剤層から適宜選択して用いればよい。具体的には、特開2012-57112号公報の粘着剤層が例示される。
樹脂層の厚さは特に限定されないが、鮮明な印字を得る観点、および印刷物および印刷用紙のハンドリング性の観点から、好ましくは5μm以上、より好ましくは10μm以上、さらに好ましくは15μm以上であり、そして、好ましくは100μm以下、より好ましくは75μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
[印刷物および印刷物の製造方法]
本実施形態の印刷物は、上述した紫外線レーザー印刷用紙から得られた印刷物であって、少なくとも一部に、変色された酸化チタンを有する印刷領域を有する。非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、前記印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比は、0.70以下であることが好ましい。また、前記変色された酸化チタンを有する印刷領域は、紫外線レーザーの照射により変色した酸化チタンを含有する領域であり、紫外線レーザー照射領域、すなわち、印刷領域である。
また、本実施形態の印刷物の製造方法は、上述した印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させることにより印刷する工程を有する。
本実施形態の印刷物の製造方法に使用される印刷用紙としては、上述した印刷用紙が例示され、好ましい範囲も同様である。また、本実施形態の印刷物の製造方法において、少なくとも紫外線レーザー照射領域の紙基材中の酸化チタンの含有量が0.5質量%以上であり、酸化チタンの結晶子サイズが30nm以上であればよく、非照射領域の紙基材が上記の要件を満たしていなくてもよい。
紫外線レーザーの照射は、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度と非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比が0.70以下となるように、紫外線レーザーを照射することが好ましい。すなわち、本実施形態の印刷物において、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比は、0.70以下であることが好ましい。
なお、印刷物において、印刷領域とは、印刷可能領域において、変色された酸化チタンを含有する領域(部分)を意味し、紫外線レーザーにより印刷された領域(部分)である。非印刷領域とは、印刷可能領域において印刷されていない領域(部分)を意味する。また、印刷可能領域とは、紫外線レーザー印刷用紙または印刷物において、紫外線レーザーによる印刷が可能な領域と、存在する場合は紫外線レーザーにより印刷された領域(部分)とを合わせた酸化チタンを含有する領域全体を意味し、非印刷可能領域とは、紫外線レーザー印刷用紙または印刷物における印刷可能領域以外の領域を意味する。
印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度と、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比(印刷領域のラマン強度/非印刷領域のラマン強度)が、0.70以下であるように印刷することが好ましい。ラマン強度の比を上記範囲内とすることにより、視認性に優れる印刷物が得られる。
上記のラマン強度の比(印刷領域のラマン強度/非印刷領域のラマン強度)は、酸化チタンとしてルチル型の酸化チタンを使用した場合には、酸化チタンに由来するラマン強度として、447±10cm-1の波数範囲の最大値のラマン強度を対比する。また、酸化チタンとしてアナターゼ型の酸化チタンを使用する場合には、酸化チタンに由来するラマン強度として、516±10cm-1の波数範囲の最大値のラマン強度を対比する。
なお、ルチル型の酸化チタンとアナターゼ型の酸化チタンが共存する場合には、ルチル型の酸化チタンに由来するラマン強度で対比することとする。
本実施形態で得られる印刷物は、非印刷領域が白色であり、印刷領域が黒色であることが好ましい。
非印刷領域は、マンセル表色系における明度が10番、すなわち、白色であることが好ましい。一方、印刷領域は、マンセル表色系における0番~8番のいずれかであることが好ましく、0~6番であることがより好ましく、0~4番であることがさらに好ましい。
上記のマンセル表色系における色を得るために、印刷用紙における紙基材中の酸化チタンの種類や含有量、紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長、その他の特性(紙基材を構成するパルプの保水度、微細繊維量、繊維幅等)、紫外線レーザーの照射条件(たとえば、平均出力、繰返し周波数、波長など)を適宜調整することが好ましい。
〔紫外線レーザーの照射条件〕
紫外線レーザーの波長としては、印刷領域の視認性を向上させる観点から、好ましくは370nm以下、より好ましくは365nm以下、さらに好ましくは360nm以下であり、そして、好ましくは260nm以上、より好ましくは340nm以上、さらに好ましくは350nm以上である。
紫外線レーザーの平均出力は、印刷領域の視認性を向上させる観点から、好ましくは0.3W以上、より好ましくは0.8W以上、さらに好ましくは1.2W以上、よりさらに好ましくは1.8W以上であり、そして、経済性の観点から、好ましくは30W以下、より好ましくは25W以下、さらに好ましくは20W以下、よりさらに好ましくは15W以下、よりさらに好ましくは10W以下、よりさらに好ましくは6W以下である。
紫外線レーザーの繰返周波数(周波数)は、印刷領域の視認性を向上させる観点から、好ましくは10kHz以上、より好ましくは20kHz以上、さらに好ましくは30kHz以上であり、そして、好ましくは100kHz以下、より好ましくは80kHz以下、さらに好ましくは60kHz以下である。
紫外線レーザーのスポット径は、鮮明な画像を得る観点および印刷容易性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは240μm以下、さらに好ましくは180μm以下、さらに好ましくは120μm以下である。
紫外線レーザーのスキャンスピードは、高速印刷および印刷領域の視認性の観点から、好ましくは500mm/sec以上、より好ましくは1000mm/sec以上、さらに好ましくは2000mm/sec以上であり、そして、好ましくは7000mm/sec以下、より好ましくは6000mm/sec以下、さらに好ましくは5000mm/sec以下である。
紫外線レーザーの塗りつぶし間隔(ラインピッチ)は、鮮明な画像を得る観点、および装置の入手容易性の観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、さらに好ましくは30μm以上であり、そして、好ましくは300μm以下、より好ましくは250μm以下、さらに好ましくは200μm以下である。
〔印刷物の製造方法の態様〕
本発明の印刷物の製造方法は、種々の態様で行うことができる。
以下に、本実施形態の印刷物の製造方法が適用可能な種々な態様について例示するが、本実施形態の印刷物の製造方法は、下記の態様に限定されるものではない。印刷する情報は特に限定されないが、可変情報であることが好ましい。
本実施形態の印刷物の製造方法は、インラインで行われることが好ましい。
(1)包装体への直接印刷
本実施形態の印刷物の製造方法の第一の実施態様は、本実施形態の印刷用紙を有する包装体に情報を印刷する方法であって、梱包ライン上を移動中、または間欠停止中の包装体に直接紫外線レーザーにて印刷する工程を有する。
第一の印刷物の製造方法は、本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙にて包装体を作製し、紫外線レーザーにて直接印刷する。なお、少なくとも包装体の印刷される領域の最外層が、前記の印刷用紙にて作製されていればよい。
また、包装体としては、段ボール、箱等が例示され、該包装体の側面または上面に紫外線レーザーにて直接印刷することが好ましい。
(2)ラベルへの印刷
本実施形態の印刷物の製造方法の第二の実施態様は、本実施形態の印刷用紙を有するラベルに情報を印刷する方法である。該ラベルの印刷面を構成する印刷用紙が、本実施形態の印刷用紙である。
印刷されたラベルは、ラベル貼り付け装置を用いて包装体に貼付することが好ましい。ラベル貼り付け装置としては、各種のラベル貼り付け装置が提案されている。
第1のラベル貼り付け装置としては、ロール状に巻いたラベル原紙に接着剤を付与した後に物品に貼付する。より具体的には、ロール状に巻いたラベル原紙を1枚ずつ所定の長さに切断する切断手段と、この切断手段によって切断されたラベル原紙を、接着剤が塗布されたラベル原紙保持体によって受取り、このラベル原紙の裏面に接着剤を付着させる糊付け搬送手段と、この糊付け搬送手段から接着剤が付与されたラベル原紙(ラベル)を受け取って容器等の物品に貼付ける貼着手段とを備えたロールラベラにおいて、上記切断手段と糊付け搬送手段との間に、外面にラベル保持面を有する回転搬送手段を設けたロールラベラが例示され、特開平6-64637号公報が例示される。
また、ロール状に巻いたラベル原紙を一枚ずつ所定の長さに切断する切断手段と、貼付ロールに受け渡す受渡ロールと、貼付ロールに保持されたラベル原紙に糊を付与する糊付けロールとを有するロールラベラや、前記受渡ロールを不要とした態様が例示される。
紫外線レーザーの照射は、ロール状に巻いたラベル原紙を所定の長さに切断する前、または切断後であって次のロール等への受け渡し前であることが好ましい。ロールラベラの態様に合わせて、ロール状に巻いたラベル原紙の表面または裏面が、包装体に貼付した際の表面または裏面となるため、これに合わせて紫外線レーザーの照射を行う。
第2のラベル貼り付け装置は、ラベルとして、粘着ラベルロールを使用する。
剥離紙付きの粘着ラベルロールを使用する場合には、たとえば、粘着ラベルと剥離紙を分離する剥離紙分離手段と、剥離紙が分離された粘着ラベルを受け取る受渡ロールと、受渡ロールから粘着ラベルを吸引して、物品(包装体)に貼付する貼付ロールとを有する貼り付け装置が例示される。紫外線レーザーによる照射は、剥離紙を分離する前、または剥離紙分離後であって貼付ロールに担持される前に行うことが好ましい。
また、剥離紙付きの粘着ラベルロールをセットし、粘着ラベルと剥離紙とを分離する機構を有し、分離直後にラベルを貼付する機構を有し、セットされた粘着ラベルロールから剥離紙を分離するまでの間に紫外線レーザーにより印刷する装置が例示される。上記の粘着ラベルの貼付方法は、流し貼りとも呼ばれる。
さらに、剥離紙付きの粘着ラベルロールをセットし、粘着ラベルから剥離紙を分離する機構を有し、粘着ラベルを物品(包装体)に貼付する機構を有し、前記貼付する機構が、シリンジ方式、エアジェット方式、またはロボットアーム方式であるラベル貼り付け装置が例示される。紫外線レーザーによる照射は、セットされた剥離紙付きの粘着ラベルロールから、剥離紙を分離するまでの間で行われることが好ましい。
ラベルとして、ライナレス粘着ラベルを使用してもよい。ライナレス粘着ラベルは、剥離紙のないラベルであり、剥離紙付きの粘着ラベルロールを使用する場合に比して、1ロールのラベル枚数が多く、剥離紙が存在しないため、安価であるという特徴を有する。
ライナレス粘着ラベルを使用したラベル貼り付け装置としては、ライナレスラベルロールをセットする機構と、ライナレスラベルを1枚ずつに切断する切断機構と、切断されたライナレスラベルを物品(包装体)に貼付する貼付機構を有し、前記貼付機構が、シリンダー方式またはロボットアーム方式である装置が例示される。紫外線レーザーの照射による印刷は、ライナレスラベルロールをセットする機構から切断機構までの間、または、切断されたライナレスラベルが貼付機構に送られる間であることが好ましい。
第3のラベル貼り付け装置は、本実施形態の印刷用紙を物品(包装体)に貼付した後に、紫外線レーザーにて印刷する。
ラベルの貼付の方法としては、上述した第1の装置および第2の装置が参照される。
(3)粘着テープへの印刷
本実施形態の印刷物の製造方法の第三の実施態様は、印刷用紙を粘着テープとする態様である。
すなわち、第三の実施態様の印刷物の製造方法は、前記印刷用紙から作製された粘着テープを物品(包装体)に貼付する工程を有し、前記貼付する工程の前、または貼付する工程の後に、紫外線レーザーにより印刷する工程を有する。
また、段ボール封緘機に紫外線レーザーによる印字装置を組み込んだ印刷装置を使用してもよい。具体的には、粘着テープ巻取りをセットする機構と、段ボールを搬送用のコンベアを有し、段ボールのフラップを折り込む機構と、粘着テープを貼付して段ボールを封緘する機構を有し、粘着テープを貼付する間、または貼付した後に、粘着テープに紫外線レーザーにて印刷する機構を有する。
本実施形態の印刷物の製造方法は、上記の態様に限定されるものではなく、印刷が求められる各種用途に応用可能である。
本実施形態において、前記印刷物の製造方法により得られる印刷物は、包装体、ラベル、または粘着テープなどに好適に使用される。
包装体としては、外装箱、牛乳パック、紙カップ等の飲料用の液体容器(好ましくは飲料用の液体紙容器)、スキンパックが例示され、ラベルとしては、ラベル原紙、粘着ラベル、粘着シートが例示され、粘着テープとしては、粘着テープ、クラフトテープが例示される。
[加工品]
本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙および印刷物は種々の加工品に応用される。すなわち、本実施形態の加工品は、本実施形態の紫外線レーザー印刷用紙または本実施形態の印刷物を用いてなる。
本実施形態の加工品としては、包装体、ラベル、または粘着テープなどが好適である。
包装体としては、段ボールのライナー原紙(特に、最表面のライナー原紙)、外装箱、牛乳パック、紙カップ等の飲料用の液体容器(好ましくは飲料用の液体紙容器)、食品トレー、スキンパックが例示され、ラベルとしては、ラベル原紙、粘着ラベル、粘着シートが例示され、粘着テープとしては、粘着テープ、クラフトテープが例示される。
包装体の一例としての液体容器は、たとえば、表面に印刷領域を有する。印刷領域には紫外線レーザーを照射され、日付などの文字が印字されている。
以下に実施例と比較例とを挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[酸化チタン]
実施例および比較例で使用した酸化チタンは、以下の表1の通りである。
Figure 0007256915000001
<酸化チタンC、F~Hの合成方法>
チタニウムテトライソプロポキシド(TTIP)を加水分解縮重合することで、酸化チタン(アモルファス)を合成し、焼成することで結晶化した。
具体的には、以下の(1)~(6)の工程により合成した。
(1)TTIP(東京化成工業株式会社製、製品コード:T0133)、イソプロパノール(東京化成工業株式会社製、純度99.5%以上、製品コード:I0163)およびイオン交換水を用いて、以下の溶液A~Cを作製した。
溶液A:TTIP 35.6質量部、イソプロパノール 200質量部
溶液B:イソプロパノール 200質量部、イオン交換水 6.3質量部
溶液C:イソプロパノール 200質量部、イオン交換水 24.4質量部
(2)テフロン(登録商標)製撹拌羽根で溶液Aを撹拌しながら、溶液Bをゆっくり滴下した後、10分間撹拌を継続した。
(3)上記(2)で得られた溶液Aおよび溶液Bの混合液へ、溶液Cをゆっくり滴下し、1分間撹拌を継続した後、24時間室温下で静置した。
(4)メンブレンフィルター(アドバンテック社製、材質:セルロースアセテート)で沈殿物を固液分離した。
(5)イソプロパノールで洗浄後、100℃下で5時間乾燥し、酸化チタン(アモルファス)を得た。
(6)マッフル炉にて焼成し、酸化チタンを結晶化した。
焼成温度は表中の温度で実施し、昇温速度10℃/min、昇温後2時間かけて焼成した。
[実施例1~12、比較例1~3]
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)を、CSFが450mLとなるようにダブルディスクリファイナーで叩解し、3質量%のパルプスラリーを準備した。
パルプ(固形分)100質量部に対し、硫酸バンド0.5質量部を添加し希釈した後、表2に示す酸化チタンを印刷用紙における含有量が表2に記載の含有量(質量%)となるように添加した。さらに、パルプ100質量部に対して、ポリエピクロロヒドリン系湿潤紙力増強剤WS4024(星光PMC株式会社製)を0.8質量部添加し、湿式抄紙機にてシート状に成形し、表2に示す坪量および厚さの紫外線レーザー印刷用紙を作製した。
[実施例13]
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)30部、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)70部を、CSFが550mLになるように混合叩解して使用した以外は、実施例4と同様に抄紙した。
[実施例14]
針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)100部を、CSFが580mLとなるように叩解して使用した以外は、実施例4と同様に抄紙した。
[実施例15]
実施例4と同じ広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)70部と、そのLBKPから作製した粉末パルプ(下記手順)30部を使用し、CSFが400mLとなるように混合叩解して使用した以外は、実施例4と同様に抄紙した。
<粉末パルプ>
粉末パルプは、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)のドライシートを、カッターミル(株式会社ホーライ製、HA8 2542 30E、スクリーン0.24mm)で機械粉砕して作製した。
[実施例16]
実施例1の広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)をパルプマシンで抄上げ、乾燥してドライパルプとした。ドライパルプを再離解し、離解フリーネス550mLまで叩解して使用した以外は、実施例4と同様に抄紙した。
[測定・評価]
実施例および比較例で得られた紫外線レーザー印刷用紙、並びに各種原料について、以下の測定および評価を行った。
〔平均粒子径〕
酸化チタンの平均粒子径は、以下の方法により測定した。
実施例および比較例で得られた紫外線レーザー印刷用紙をマッフル炉(ヤマト科学株式会社製、型番FO300)にて450℃で燃焼して灰化した。次いで、超音波洗浄機(アズワン株式会社製、LSC-63など)で5分間かけてエタノールに分散させ0.1質量%スラリーを得た後、アルミ皿上へ0.1mLをキャストし、100℃で乾燥させて測定用サンプルを作製した。アルミ皿ごと、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社日立ハイテク製、SU7000など)の観察に供試し、隣り合う粒子と明瞭に見分けられるものを目視で選択し、1つの粒子の長径と短径の相乗平均から粒子径を算出した。この際、1次粒子と凝集状態の2次粒子が混在していても明瞭に見分けられる場合はそれぞれを1つの粒子としてカウントし、無作為に選択した100個の粒子の平均径を粒子径とした。SEM画像観察時の倍率は酸化チタンの粒子径によって適宜選択し、20000倍程度とした。また、酸化チタン以外の粒子を含む場合、SEMに付属するエネルギー分散型X線分析装置(株式会社堀場製作所製、EMAXなど)を用いてチタン元素の含まれる粒子を測定した。
なお、針状の場合には、100個の粒子について長径を測定し、平均を粒子径とした。
〔結晶子サイズ算出方法〕
<測定サンプル調整方法>
実施例および比較例で得られた紫外線レーザー印刷用紙は、マッフル炉(ヤマト科学株式会社製、型番FO300)を使用して450℃で焼成し、灰化した。
<X線回折法による測定>
灰化して得た試験サンプルをサンプルホルダーに充填し、高速検出器を使用して測定した。充填の際、サンプル量に応じて適宜高さ調節治具を用いることで、試料測定面がサンプルホルダー縁部と同じ高さとなるように調節した。
(測定条件)
X線回折装置:株式会社リガク製、RINT-Ultima III
電圧:40kV
電流:40mA
光学系:平行ビーム(CBO)
検出器:株式会社リガク製、高速検出器 D/teX Ultra 2
ゴニオメーター:Ultima III 水平ゴニオメーター
管球:Cu
波長:1.541Å(Kα1)
スキャンモード:CONTINUOUS
スキャンスピード:1.0000deg/min
ステップ幅:0.0500deg
スキャン軸:2Theta/Theta
スキャン範囲:5.0000~60.0000deg
入射スリット:1.0mm
長手制限スリット:10mm
受光スリット1:開放
受光スリット2:開放
サンプルホルダー:ASC-6試料ホルダー(品番2455E442)
材質:アルミニウム
寸法:φ23mm×2.0mm
ホルダー高さ調節治具:透明な円盤状の板(自製)
材質:ポリアクリル酸メチル
寸法:φ23mm×0.8mm
<X線回折で得たデータの処理>
得られた回折プロファイルに対し、統合粉末X線解析ソフトウェア(株式会社リガク製、PDXL2)を用いてバックグラウンド処理とプロファイルフィッティング処理を行った。
データ処理の設定については、特に記載のないものは全てソフトウェアのデフォルト設定にて行った。
回折プロファイルのピーク位置とピーク強度の情報から、データベース(ICDD)をもとに結晶相の同定を行った。
<X線回折で得たデータをもとにした結晶子サイズの算出>
データ処理後の回折プロファイルより得た最強回折線の半値幅(FWHM)およびブラッグ角(θ)をシェラー式に代入し、結晶子サイズを算出した。
算出に使用した酸化チタンのX線回折ピークは、以下の通りである。
アナターゼ:101面
ルチル:110面
シェラー式は、以下の通りである。
Figure 0007256915000002
D:結晶子サイズ(nm)
K:シェラー定数
λ:X線の波長(nm)
B:FWHM(rad)
θ:ブラッグ角(rad)
Kの値は0.89、Bは測定で得たFWHMの値、λの値は0.154、θの値はアナターゼの場合は101面、ルチルの場合は110面に由来する最大強度の実測値とした。
〔CSF〕
原料パルプのカナダ標準ろ水度(Canadian standard freeness;CSF)は、JIS P 8121-2:2012に準拠して測定した。
〔紙基材の坪量〕
紙基材紙の坪量は、JIS P 8124:2011に準拠して測定した。なお、樹脂層を有する場合には、研削装置(有限会社佐川製作所製、砥石寸法φ50.8×12.7mm)を用いて除去し、測定に供試した。
〔紙基材の厚さ〕
紙基材の厚さは、JIS P 8118:2014に準拠して測定した。なお、樹脂層を有する場合には、樹脂層は研削装置(有限会社佐川製作所製、砥石寸法φ50.8×12.7mm)を用いて除去し、測定に供試した。
〔紙基材を構成するパルプ繊維の長さ加重平均繊維長、繊維幅、微細繊維の含有量〕
紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長、繊維幅および微細繊維の含有量は、以下の方法で測定した。
実施例および比較例の印刷用媒体を40cm角に切り出し、それに約50質量倍のイオン交換水を添加した上で、イオン交換水に24時間浸した。
24時間浸した後、標準型離解機(熊谷理機工業株式会社製)を用いて、未離解繊維がなくなるまで処理して、パルプを繊維状に離解した。樹脂層を有する場合には、樹脂層を除いた離解後のスラリー(パルプ繊維の分散液)を分取し、繊維長測定機(型式FS-5 UHDベースユニット付、バルメット社製)を使用して、「長さ加重平均繊維長(ISO)」、「微細繊維量」、および「繊維幅」を測定した。
なお、「長さ加重平均繊維長(ISO)」は0.2mm以上7.6mm以下の繊維を選択して計算した長さ加重平均繊維長である。また、「微細繊維量」は、離解されたパルプ繊維中の、繊維幅75μm以下、かつ、長さ0.08mm以上0.20mm以下の微細繊維の本数割合である。「繊維幅」は幅10μm以上75μm以下の繊維を選択して計算した、長さ加重平均繊維幅である。
〔酸化チタンの含有量〕
<基材中水分の測定>
JIS P 8203:2010(ISO 638:2008)に従い、基材の水分率を測定した。
<試験片の作製>
JIS P 8111:1998の方法で基材を調湿後、適当サイズに切り出し、サンプル(試験片)とし、切り出した面積と質量を記録した。
<試験片の溶解>
オートクレーブ装置(CEMジャパン製、MARS5)のテフロン(登録商標)製容器へ、硝酸:フッ酸=50:5(体積%)の混合溶媒と試験片とを投入し、210℃、120分間でオートクレーブ処理し、試験片を溶解させた。試験片の質量は適宜変更してもよく、また試験片が溶け残る場合は硝酸、フッ酸の比率や処理温度、処理時間等を適宜変更してもよい。
試験片を溶解後、超純水を用いて正確に定容した。
<溶解液中の酸化チタン量測定>
(1)ICP装置および測定条件は以下の通りである。
ICP装置:ICP-OEC装置(株式会社リガク製、CIROS1-20)
測定条件:
・キャリアガス:アルゴンガス
・アルゴンガス流量0.9L/min
・プラズマガス流量14L/min
・プラズマ出力1400W
・ポンプ回転数:2
・測定波長Ti:334.941nm
(2)検量線の作成
汎用混合標準液(SPEX社製、XSTC-622B)を、以下の濃度になるように正確に測り取り、上記測定条件で測定に供試し、チタン原子の発光波長に相当する334.941nmの強度を測定した。
・検量線作成用濃度:0ppm、0.01ppm、0.05ppm、0.1ppm、0.5ppm、1.0ppm、3.0ppm、5.0ppm
(3)溶解液中の酸化チタン含有量測定
試験片が溶解した溶液を上記検量線内に収まるよう、超純水で希釈し、ICP測定に供試した。
(4)酸化チタン含有量算出方法
以下の式で酸化チタン含有量を算出した。なお、酸化チタンの分子量÷チタンの原子量≒1.669である。
酸化チタン含有量(g/m)=ICP測定濃度(ppm)×希釈倍率×定容量(L)×1.669×1000÷面積(m
酸化チタン含有量(質量%)=ICP測定濃度(ppm)×希釈倍率×定容量(L)×1.669÷試験片質量(mg)×(1-水分率)×100
〔ラマンスペクトルの測定〕
ラマンスペクトルは以下の方法により測定した。本実施例において、ラマンスペクトルの測定は、後述する印字1点の鮮明性で得られた印刷物を対象として行った。
<測定条件>
ラマンスペクトルの測定条件は、以下の通りであるが、測定に使用するレーザーで印刷物にダメージが見られる場合や、蛍光が強い場合、ピークが弱い場合等は、適宜レーザー出力や照射時間等の以下の測定条件を変更することができる。ただし、印刷領域と非印刷領域のラマン強度は同じ条件下で測定した数値を採用する。
・装置:レニショー社製 inVia Raman microscope QUONTOR
・励起レーザー:532nm
・レーザーパワー:50mW(出力100%時)
・レーザー出力:50%
・測定モード:共焦点モード
・照射時間:0.5sec
・積算回数:10回
・レーザースポット径:2.5μm
・対物レンズ:20倍
<測定方法>
以下の方法により測定を行った。
(1)標準試料(単結晶シリコン、レニショー社製)を用いて、ラマンシフト位置のキャリブレーションを実施した(単結晶シリコンの520.5cm-1)。
(2)シート状のサンプルを試料台に設置した。シートが平面を保てるよう、必要に応じて押さえを設置した。
(3)装置にてフォーカスを合わせて観察(模擬レーザーにてフォーカスが最も小さくなるよう設定)した。印刷領域を測定する際は、目視で確認できる最も黒い箇所が測定時に表示されるガイドの中心にくるよう測定した。非印刷領域を測定する際は、印刷領域から300μm以上距離を空けて測定した。
(4)得られたラマンスペクトルは、装置付属の処理ソフト(レニショー社製、Wire5.2)にてベースライン補正(インテリジェント補正)を実施した。前記処理ソフトの多項式11にてベーラインを補正した。
(5)ルチル型酸化チタンの場合447±10cm-1、アナターゼ型酸化チタンの場合516±10cm-1の波数範囲の最大値(最大強度)を読み取り、下記式によりラマン強度比を算出した。
ラマン強度比=印刷領域の最大強度÷非印刷領域の最大強度
(6)印刷領域(印字部)、非印刷領域(非印字部)について、それぞれ10箇所を測定し、平均値を測定結果とした。
測定値のバラつきを抑制する観点から、印刷領域のラマン強度のカウントが10,000以下の範囲で測定することが好ましい。従って、印刷領域のラマン強度のカウントが10,000以下の範囲となるように、適宜測定条件を変更して測定を行った。また、以下の測定条件にて10回測定し、平均値±2SD(標準偏差)を超えて外れた数値を除外し、再度平均してラマン強度の平均値とした。
ラマン強度比は、以下の基準にて評価した。
A:ラマン強度比が0.3以下である
B:ラマン強度比が0.3を超え0.7以下である
C:ラマン強度比が0.7を超える
〔印字1点の鮮明性〕
<レーザー印字方法>
実施例、比較例で得られた印刷用紙に対して紫外線レーザー照射機(製造社名:株式会社キーエンス、型番:MD-U1020C)を用いて、サンプル表面に10mm角の正方形を印字した。
(印字の条件)
波長:355nm
出力:80%(出力100%時2.5W)
周波数:40kHz
焦点距離:300mm(装置付属の高さ補正を使用し、焦点合わせを実施)
スポット径:40μm(焦点合わせ時)
塗りつぶし間隔:0.3mm
スキャンスピード:5000mm/sec
スポット可変:100
<鮮明性評価>
デジタルマイクロスコープ(製造社名:株式会社キーエンス、型番:VHX-8000)を用いて評価対象の印字部付近の深度合成画像を取得した。
深度合成画像とは、焦点距離を動かして複数の画像を取得し、それぞれからピントが合った部分を抽出して1枚の画像に構築した画像である。深度合成画像はデジタルマイクロスコープに搭載されるライブ深度合成機能を用いて取得した。
その後、自動面積計測機能のうち明るさ抽出モードを使用し、印字部で閾値より暗い領域の面積を計測した。明るさ抽出モードとは、画像の輝度レベルを-255から255に階層化して、任意の閾値以上または閾値以下の領域を抽出するモードである。
印字部について、閾値より輝度レベルが低い領域が多いものほど「濃い印字」とみなすこととした。
(画像撮影時の設定)
シャッタースピード:オートモード(設定値70)
ゲイン:0dB
倍率:400倍
照明:リング照明
(明るさ抽出モードの設定)
深度合成画像取得時の倍率:400倍
照明:同軸落射100%
シャッタースピード:オートモード70
ゲイン:0dB
閾値:-7
抽出領域:印字部中心より半径60μmの円の内側
(印字部の濃さの評価基準)
A:-7より輝度レベルが低い領域の面積が抽出領域の70%以上
B:-7より輝度レベルが低い領域の面積が抽出領域の65%以上70%未満
C:-7より輝度レベルが低い領域の面積が抽出領域の45%以上65%未満
D:-7より輝度レベルが低い領域の面積が抽出領域の45%未満
〔印字均一性〕
実施例、比較例で得られた紫外線レーザー印刷用紙に対して紫外線レーザー照射機(製造社名:株式会社キーエンス、型番:MD-U1020C)を用いて、サンプル表面に10mm角の正方形を印字した。
(印字の条件)
波長:355nm
出力:80%(出力100%時2.5W)
周波数:40kHz
焦点距離:300mm(装置付属の高さ補正を使用し、焦点合わせを実施)
スポット径:40μm(焦点合わせ時)
塗りつぶし間隔(ラインピッチ):0.05mm
スキャンスピード3000mm/sec
スポット可変:-100
(印字均一性評価)
正方形を100個印字し、1個の正方形中に目視で確認できる濃淡差(印字不均一さ)が存在する正方形の個数により、印字均一性を以下の基準で評価した。
A:正方形100個に対し、濃淡差がある正方形の個数が3個未満
B:正方形100個に対し、濃淡差がある正方形の個数が3個以上5個未満
C:正方形100個に対し、濃淡差がある正方形の個数が5個以上10個未満
D:正方形100個に対し、濃淡差がある正方形の個数が10個以上
〔発煙性〕
印字均一性を評価する際に紫外線レーザー照射によりサンプル表面に10mm×10mmの正方形を印刷した際の発煙性を、以下の判定基準で評価した。
(判定基準)
A:目視で発煙を確認できないか、またはうっすらと発煙を確認できるが非常に少ない
B:目視で発煙を確認できるが、発煙量は少ない
C:目視で発煙を確認できるが、印字に影響を与えるほどではない
D:目視で発煙を楽に確認でき、発煙で紫外線レーザーの光を散乱し、印字に影響を与えるほど発煙量が多い
Figure 0007256915000003
表2に示すように、酸化チタンを特定量以上含有し、酸化チタンの結晶子サイズが特定の値以上である紫外線レーザー印刷用紙を、紫外線レーザーにて直接印刷することで、一点ごとの印字鮮明性に優れた印刷物が得られた。
なお、結晶子サイズが55.3nmと、結晶子サイズが比較的大きい酸化チタンを使用した実施例6では、分散性の低下に伴うと考えられる印字均一性の低下が認められた。また、回折角度が27.74°であり、比較的に結晶性が低い酸化チタンを使用した実施例8では、若干の一点ごとの印字鮮明性の低下が認められた。さらに、構成するパルプの長さ加重平均繊維長が2.18mmである実施例14の印刷用紙では、繊維間の空隙の増加に伴うと考えられる、一点ごとの印字鮮明性の低下が認められた。
一方、結晶性サイズが30nm未満である酸化チタンを使用した比較例1および2の印刷用紙では、一点ごとの印字鮮明性に劣る印刷物が得られた。また、酸化チタンの含有量が0.1質量%であり、0.5質量%未満である比較例3の印刷用紙では、紫外線レーザー照射した際に、一点ごとの印字鮮明性に劣る印字スポットとなった。
本発明の紫外線レーザー印刷用紙は、紫外線レーザーの照射によって酸化チタンが変色することで、視認性に優れ、一点ごとの印字鮮明性に優れる印刷物が提供できる。本発明の紫外線レーザー印刷用紙および印刷物は、日付、バーコード等の可変情報が印刷される包装体(好ましくは食品用容器)、ラベル、および粘着テープなどの加工品に好適に適用される。さらに、本発明の印刷物の製造方法は、包装体、ラベル、粘着テープなどへの可変情報の印刷に好適に適用される。

Claims (11)

  1. 酸化チタンが内添されてなる紙基材を有する紫外線レーザー印刷用紙であって、
    前記紙基材中の酸化チタンの含有量が0.5質量%以上であり、
    前記酸化チタンの結晶子サイズが、30nm以上である、
    紫外線レーザー印刷用紙。
  2. 前記酸化チタンの結晶子サイズが53nm以下である、請求項1に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
  3. 前記酸化チタンがルチル型酸化チタンであり、前記酸化チタンの回折角度が27.60°以下である、請求項1に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
  4. 前記紙基材を構成するパルプの長さ加重平均繊維長が0.5mm以上3.0mm以下である、請求項1に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
  5. 前記紙基材を構成するパルプ繊維中、繊維長が0.2mm以下の微細繊維の本数割合が4%以上40%以下である、請求項1に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
  6. 前記紙基材中の酸化チタンの含有量が50質量%以下である、請求項1に記載の紫外線レーザー印刷用紙。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙から得られた印刷物であって、
    前記印刷物が、少なくとも一部に、変色された酸化チタンを含有する印刷領域を有し、
    非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度の比が0.70以下である、印刷物。
  8. 請求項1~6のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙を用いてなる、加工品。
  9. 請求項7に記載の印刷物を用いてなる、加工品。
  10. 請求項1~6のいずれか1項に記載の紫外線レーザー印刷用紙に紫外線レーザーを照射して、照射領域を変色させることにより印刷する工程を有する、
    印刷物の製造方法。
  11. 前記印刷する工程が、非印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度に対する、印刷領域における酸化チタンに由来するラマン強度との比が0.70以下となるように紫外線レーザーを照射する工程である、請求項10に記載の印刷物の製造方法。
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