JP7256078B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」とも称する)に関し、詳しくは、釘などの異物がタイヤ外表面から内表面まで貫通した際においても内圧の低下を抑制することができる空気入りタイヤの改良に関する。
一般に、空気入りタイヤは、内腔部に空気などの気体を充填して内圧を付与した状態で車両に装着して使用される。しかし、使用時において、釘などの異物により、タイヤ外表面から内表面まで貫通するような損傷が生ずると、内部に充填された気体が漏出して、タイヤ内圧が低下し、車両が走行不能となる場合がある。
このような問題に対し、タイヤの内表面に、シーラント材と呼ばれる流動性を有する部材を配設する手法が提案されている。シーラント材とは、タイヤの内表面に配設して、内表面まで貫通した異物の先端を被覆させることにより、損傷がタイヤ内腔部まで到達することを防止して、気体の漏出を抑制する機能を有するものである。
図5A,5Bに、従来のシーラント材の配設状態を示す概略説明図を示す。図5Aに示すように、従来のシーラント材200は、タイヤ100の内表面100Sに対し密着して配置される。図5Bに示すように、釘などの異物101がタイヤ100の内表面100Sまで貫通した際には、シーラント材200が引き伸ばされて異物101の先端を被覆し、気体の漏出を抑制する。このときシーラント材200はタイヤ内表面100Sから剥離しないので、シーラント材200は異物101が貫通した部分の一点のみで伸長された状態となるが、異物101を覆う部分でシーラント材200が破断してしまうと、この破断した部分を通して異物101とタイヤ100との隙間から空気が漏出してしまう。そのため、シーラント材200には、異物101が当接した状態で異物101に押し込まれても、その動きに追従してタイヤ内腔側に伸長して、その先端を被覆できる程度の追従性や、追従して600%程度まで伸長しても破断しない程度の破断歪を有することが必要とされる。
シーラント材を備えたタイヤに関する先行技術として、例えば、特許文献1には、粘着性シーラントによる重量増加を極力小さくすることを目的として、少なくともトレッド部に対応する領域のタイヤ内面側に、粘着性シーラントとこの粘着性シーラントを含浸させた編物とを配置した空気入りタイヤが開示されている。
特開2004-345469号公報
上述のように、シーラント材には破断歪が大きいことが要求されるが、破断歪の大きい部材はカッターで切断しにくいので、タイヤを廃棄処理する際にリサイクルが困難となるという問題があった。そのため、シーラント材の破断歪を低下させてリサイクル性を向上しつつ、釘などの異物の貫入に耐えられる構造としたタイヤの実現が求められていた。この点、特許文献1に開示された空気入りタイヤにおいては、リサイクル性については考慮されていない。
そこで本発明の目的は、異物がタイヤ内表面まで貫通した場合でも走行可能なシーラント材を備える空気入りタイヤであって、リサイクル性にも優れた空気入りタイヤを提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記構成とすることにより、上記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内表面に、織物または編物と、シーラント材と、が順次配置された空気入りタイヤであって、
前記織物または編物とタイヤ内表面との間に、フィルム、または、前記シーラント材よりも粘着性が低い低粘着性シーラント材が、タイヤ内表面と接して配置されるとともに、
前記フィルムまたは前記低粘着性シーラント材が、異物がタイヤ内表面を貫通した際に該異物によりタイヤ内表面から剥離可能に形成されていることを特徴とするものである。
本発明のタイヤにおいては、前記織物または編物の引張破断伸度が、50%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましい。
本発明によれば、上記構成としたことにより、異物がタイヤ内表面まで貫通した場合でも走行可能なシーラント材を備えながら、リサイクル性にも優れた空気入りタイヤを提供することが可能となった。
本発明の空気入りタイヤの一例を示す幅方向断面図である。 図1に示すタイヤにおけるシーラント材および織物または編物の配設状態を示す概略説明図である。 図2Aに示すタイヤの外表面から内表面まで異物が貫通した状態を示す概略説明図である。 本発明の他の実施形態に係るシーラント材および織物または編物の配設状態を示す概略説明図である。 図3Aに示すタイヤの外表面から内表面まで異物が貫通した状態を示す概略説明図である。 本発明のさらに他の実施形態に係るシーラント材および織物または編物の配設状態を示す概略説明図である。 図4Aに示すタイヤの外表面から内表面まで異物が貫通した状態を示す概略説明図である。 従来のシーラント材の配設状態を示す概略説明図である。 図5Aに示すタイヤの外表面から内表面まで異物が貫通した状態を示す概略説明図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1に、本発明の空気入りタイヤの一例を示す幅方向断面図を示す。
図示するように、本発明の空気入りタイヤ10は、環状に形成されたトレッド部11と、そのタイヤ幅方向両側に順次配置された一対のサイドウォール部12およびビード部13とを有しており、一対のビード部13にそれぞれ埋設されたビードコア1間に跨ってトロイド状に延在するカーカスプライ2を骨格とする。また、カーカスプライ2のクラウン部タイヤ半径方向外側には、トレッド部を補強する2枚のベルト3a,3bからなるベルト層3が配置されている。さらに、ベルト層3のタイヤ半径方向外側には、ベルト層3の端部のみを覆うレイヤー層4が1枚で配置されている。なお、図中の符号20はリムを示し、CLはタイヤ赤道を示す。
図示する本発明のタイヤ10においては、タイヤ内表面10Sのうちトレッド部11に対応する部位に、シーラント材21と、織物または編物22と、が順不同で配置されている。本発明においては、シーラント材21、および、織物または編物22のうちタイヤ内表面10S側に配置された部材と、タイヤ内表面10Sとが、剥離可能に形成されている点が重要である。
本発明によれば、タイヤ内表面10Sに、シーラント材21とともに織物または編物22を配置して、これらのうちタイヤ内表面10S側に配置された部材とタイヤ内表面10Sとを剥離可能に形成することで、釘などの異物がタイヤ内表面10Sを貫通した際には、シーラント材21および織物または編物22の双方がタイヤ内表面から剥離することになる。これにより、従来よりも破断歪の低いシーラント材21を使用した場合でも、異物の先端がシーラント材21および織物または編物22により被覆された状態を維持することができ、異物が貫通した状態でも気体の漏出の発生を抑制して、一定距離の走行を可能とすることができる。また、破断歪の低いシーラント材を用いることができるので、タイヤ廃棄時において容易に切断することが可能となり、リサイクル性を向上することができる。この場合、タイヤ廃棄時にシーラント材を織物または編物とともにタイヤ内表面から剥離すれば、タイヤとシーラント材とを分離することができ、この点でもリサイクル性を向上できる。
本発明においては、タイヤ内表面10Sに、シーラント材21および織物または編物22が配置され、これらのうちタイヤ内表面10S側に配置された部材とタイヤ内表面10Sとが剥離可能に形成されているものであれば、その具体的構成については、特に制限されるものではない。
図2Aは、図1に示すタイヤにおけるシーラント材および織物または編物の配設状態を示す概略説明図である。図1,図2Aに示す例では、織物または編物22がタイヤ内表面10S側に配置されており、シーラント材21がタイヤ内腔側に配置されており、織物または編物22とタイヤ内表面10Sとが剥離可能に形成されている。
図2Bは、図2Aに示すタイヤ10の外表面から内表面10Sまで異物101が貫通した状態を示す概略説明図である。図2Bに示すように、この場合、タイヤ10を貫通した異物101により、織物または編物22はタイヤ内表面10Sから剥離され、その上に積層されたシーラント材21も、織物または編物22とともにタイヤ内表面10Sから剥離される。結果として、織物または編物22およびその上に積層されたシーラント材21は、異物101の先端を覆った状態で、異物101のタイヤ内部への進入に伴いタイヤ内腔側に引き伸ばされることになる。
この場合、図示するシーラント材21は、図5Bに示すように異物貫通部の一点でタイヤ内表面100Sを起点に引き延ばされる従来のシーラント材200とは異なり、織物または編物22とともに、異物貫通部およびその周辺までの広範囲にわたりタイヤ内表面10Sから引き剥がされた状態で伸長される。よって、タイヤ内表面から突出した異物の突出長さが同じである場合、本発明に係るシーラント材21の伸長率は、従来のシーラント材200の伸長率よりも実質的に小さくなるので、本発明に係るシーラント材21は、従来のシーラント材200より破断歪が低くても破断することがない。結果として、タイヤ内表面10Sまで異物101が貫通したままの状態でも、タイヤ内腔に充填された気体を外部に漏出させる経路ができることを、回避することができる。
また、本発明においては、たとえ異物101が織物または編物22を貫通したとしても、異物101の先端をシーラント材21が被覆できるので、気体の漏出は抑制できる。さらに、異物101を除去した後においても、織物または編物22およびシーラント材21により気体の漏出は抑制でき、織物または編物22に貫通孔が形成された場合には、シーラント材21がその貫通孔に流入して貫通孔を塞ぐ効果も得られる。さらにまた、図示する例とは逆に、シーラント材21および織物または編物22を、シーラント材21がタイヤ内表面10S側となるよう配置した場合においても、同様の効果を得ることができる。
本発明に使用する織物または編物22としては、特に制限されるものではなく、シーラント材21と同等程度の伸長率を有するものであればよい。ここで、織物とは、一般に、平行に並べた経糸に対して、緯糸を一定の法則に従って交錯させたものをいう。また、編物とは、一般に、1本以上の糸をループ状にして、そのループを連続させることで形成されたものをいう。
織物または編物22を構成する糸の材質としては、特に制限されず、例えば、ナイロン等の有機繊維からなるものを用いることができ、市販品としては、例えば、東レ(株)製のプロミラン(ナイロン66繊維)などが挙げられる。また、糸の太さや、織物の織り方および編物の編み方、織物または編物22の密度についても、特に制限されるものではなく、所望に応じ適宜選定することが可能である。例えば、繊度10~30dtexのナイロン糸を編物にしたものを用いることができる。
また、本発明において、織物または編物22は、引張破断伸度が50%以上であることが好ましく、250%以上であることがより好ましく、400%以上であることがさらに好ましく、500%以上であることが特に好ましく、600%以上であることが中でも特に好ましく、高いほど良い。織物または編物22の引張破断伸度を50%以上とすることで、異物101の突出量が大きい場合でも、織物または編物22が追従して引き伸ばされて破断しないので、タイヤのパンクをより効果的に防止できる。前述したように、本発明においては、異物貫通時にシーラント材21がタイヤ内表面10Sから剥離するため、シーラント材21が異物貫通部の一点のみでなく周辺を含めて伸長できるので、異物貫通部における実質的な伸び量を小さくすることができ、シーラント材21に要求される破断歪を小さくすることができる。この際、織物または編物22についても、異物101の押し込みによりシーラント材21とともに伸長されるが、織物または編物22が早期に破断してしまうと、積層されたシーラント材21をタイヤ内表面10Sから剥離するための力を発生させることができない。このような点から、織物または編物22は、引張破断伸度が50%以上であると、シーラント材21を剥離するための力を十分に発生でき、好ましい。
ここで、上記織物または編物22の引張破断伸度は、JIS L1096に準拠して測定することができる。
本発明において、シーラント材21としては、特に制限はなく、従来汎用されているものを適宜選択して用いることができ、例えば、各種エラストマーを主成分とするエラストマー組成物を用いることができる。
エラストマーとしては、具体的には例えば、ブチルゴム(IIR)やエチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)を好適に用いることができる。このうちブチルゴムとしては、塩素化ブチルゴム(CIIR)や臭素化ブチルゴム(BIIR)などのハロゲン化ブチルゴムを用いてもよい。エラストマーとしてブチルゴムとEPDMとを併用する場合のその比率としては、20:80~80:20の範囲が好ましく、30:70~70:30の範囲がより好ましい。また、エラストマー100質量部のうちブチルゴムおよびEPDMを、総量で70質量部以上100質量部以下とすることが好ましく、80質量部以上100質量部以下とすることがより好ましい。
ブチルゴムおよびEPDM以外の他のエラストマーとしては、天然ゴムや合成ジエン系ゴムなどを用いることができる。合成ジエン系ゴムとしては、例えば、ポリイソプレンゴム(IR)、シス-1,4-ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)等が挙げられる。これら他のエラストマーは、エラストマー100質量部に対し、30質量部以下の範囲で配合することができる。
上記エラストマー組成物には、補強性充填材として、カーボンブラックを配合することができる。カーボンブラックとしては、特に制限されず、エラストマー組成物の補強に通常使用されるものを用いることができ、具体的には例えば、FEFやHAFなどを挙げることができる。カーボンブラックは、エラストマー100質量部に対し、例えば、1質量部以上30質量部以下で配合することができ、好ましくは5質量部以上10質量部以下とする。
上記エラストマー組成物には、可塑剤として、液状ポリブテンやプロセスオイル等を配合することができる。可塑剤は、エラストマー100質量部に対し、例えば、150質量部以上500質量部以下で配合することができる。
上記エラストマー組成物には、加硫促進剤を配合することができる。加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、テトラ(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)-ヘキサン、1,6-ビス{N,N’-ジ(2-エチルヘキシル)チオカルバモイルジチオ}-ヘキサン等のチウラム系加硫促進剤の他、2-ベンゾチアジルスルフェンアミド類、チアゾール類、グアニジン類、ジチオカルバミン酸塩類、キサントゲン酸エステル、キサントゲン酸塩からなる群から選ばれる化合物を用いることができる。加硫促進剤は、エラストマー100質量部に対し、例えば、1質量部以上5質量部以下で配合することができる。
上記エラストマー組成物には、その他、従来公知の配合成分として、酸化亜鉛やステアリン酸、硫黄、オイル、タッキファイヤー(粘着付与剤)、加硫剤、老化防止剤、スコーチ防止剤などを適宜配合することができる。上記エラストマー組成物は、上記各成分を、バンバリーミキサーやニーダーなどのミキサーを用いて混練することにより、常法に従い調製することができる。
本発明において、シーラント材21の厚みとしては、例えば、1~4mmとすることができる。
本発明において、織物または編物22とタイヤ内表面10Sとの間を剥離可能に形成する方法としては、例えば、織物または編物22の内部にシーラント材を含浸させて、その表面に適度な粘着性を付与する方法が挙げられる。この場合、タイヤ内表面10Sに対し織物または編物22が低い粘着力で貼り付くので、異物の押し込みにより織物または編物22が容易に剥離可能な状態とすることができる。また、仮止め用などの粘着力の低い接着剤や粘着剤を用いて、織物または編物22をタイヤ内表面10Sに貼り付けてもよい。具体的には例えば、スリーエム社製の3M(登録商標)スプレーのりなどを用いることができる。よって、本発明において、織物または編物22は、シーラント材21が含浸されていても、含浸されていなくてもよい。
なお、車両に装着して使用する際には、タイヤ内腔には気体が充填されて内圧が付与されるので、シーラント材21および織物または編物22は、内圧によりタイヤ内表面10Sに張り付いた状態となる。よって、シーラント材21および織物または編物22と、タイヤ内表面10Sとの間には、強い粘着力は不要となる。
また、本発明において、シーラント材21と織物または編物22との層間については、シーラント材21が織物または編物22の内部に一部含浸されるような状態で積層状態が形成されるので、異物の進入時には、織物または編物22とシーラント材21とは、実質的に一体となって伸長される。
図3Aは、本発明の他の実施形態に係るシーラント材および織物または編物の配設状態を示す概略説明図である。図3Aに示す例では、織物または編物22がタイヤ内表面10S側に配置されており、シーラント材21がタイヤ内腔側に配置されている点は図2Aと同様であるが、さらに、織物または編物22とタイヤ内表面21Sとの間にフィルム23が配置されている。すなわち、この実施形態では、フィルム23が、タイヤ内表面10Sに接して配置され、タイヤ内表面10Sから剥離可能に形成されている。シーラント材21および織物または編物22とタイヤ内表面10Sとの間にフィルム23を配置することで、タイヤ内表面10Sとの間の剥離性を向上することができる。
図3Bは、図3Aに示すタイヤ10の外表面から内表面10Sまで異物101が貫通した状態を示す概略説明図である。図3Bに示すように、この場合、タイヤ10を貫通した異物101により、フィルム23はタイヤ内表面10Sから剥離され、その上に積層された織物または編物22およびシーラント材21も、フィルム23とともにタイヤ内表面10Sから剥離される。結果として、フィルム23、並びに、その上に積層された織物または編物22およびシーラント材21は、異物101の先端を覆った状態で、異物101の進入に伴いタイヤ内腔側に引き伸ばされることになる。
この場合も、図示するシーラント材21は、図5Bに示すように異物貫通部の一点でタイヤ内表面100Sを起点に引き延ばされる従来のシーラント材200とは異なり、フィルム23および織物または編物22とともに、異物貫通部およびその周辺までの広範囲にわたりタイヤ内表面10Sから引き剥がされた状態で伸長される。よって、タイヤ内表面から突出した異物の突出長さが同じである場合、本発明に係るシーラント材21の伸長率は、従来のシーラント材200の伸長率よりも実質的に小さくなるので、本発明に係るシーラント材21は、従来のシーラント材200より破断歪が低くても破断することがない。結果として、タイヤ内表面10Sまで異物101が貫通したままの状態でも、タイヤ内腔に充填された気体を外部に漏出させる経路が形成されることを、回避することができる。
本発明に使用するフィルム23としては、伸長可能な材質からなるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、ポリウレタンなどの合成樹脂からなるものを用いることができ、市販品としては、(株)武田産業製のタフグレイスなどが挙げられる。フィルム23の厚みは、例えば、0.05~1mmとすることができる。
本発明において、フィルム23をタイヤ内表面10Sに配置する方法としては、例えば、仮止め用などの粘着力の低い接着剤や粘着剤を用いて貼り付ける方法が挙げられる。具体的には例えば、スリーエム社製の3M(登録商標)スプレーのりなどを用いることができる。また、フィルム23と織物または編物22との層間についても、同様の接着剤や粘着剤を用いて積層状態を形成することができる。
図4Aは、本発明のさらに他の実施形態に係るシーラント材および織物または編物の配設状態を示す概略説明図である。図4Aに示す例では、織物または編物22がタイヤ内表面10S側に配置されており、シーラント材21がタイヤ内腔側に配置されている点は図2Aと同様であるが、さらに、織物または編物22とタイヤ内表面21Sとの間に低粘着性シーラント材24が配置されている。すなわち、この実施形態では、低粘着性シーラント材24が、タイヤ内表面10Sに接して配置され、タイヤ内表面10Sから剥離可能に形成されている。シーラント材21および織物または編物22とタイヤ内表面10Sとの間に低粘着性シーラント材24を配置することで、タイヤ内表面10Sとの間の剥離性を向上することができる。
図4Bは、図4Aに示すタイヤ10の外表面から内表面10Sまで異物101が貫通した状態を示す概略説明図である。図4Bに示すように、この場合、タイヤ10を貫通した異物101により、低粘着性シーラント材24はタイヤ内表面10Sから剥離され、その上に積層された織物または編物22およびシーラント材21も、低粘着性シーラント材24とともにタイヤ内表面10Sから剥離される。結果として、低粘着性シーラント材24、並びに、その上に積層された織物または編物22およびシーラント材21は、異物101の先端を覆った状態で、異物101の進入に伴いタイヤ内腔側に引き伸ばされることになる。
この場合も、図示するシーラント材21は、図5Bに示すように異物貫通部の一点でタイヤ内表面100Sを起点に引き延ばされる従来のシーラント材200とは異なり、低粘着性シーラント材24および織物または編物22とともに、異物貫通部およびその周辺までの広範囲にわたりタイヤ内表面10Sから引き剥がされた状態で伸長される。よって、タイヤ内表面から突出した異物の突出長さが同じである場合、本発明に係るシーラント材21の伸長率は、従来のシーラント材200の伸長率よりも実質的に小さくなるので、本発明に係るシーラント材21は、従来のシーラント材200より破断歪が低くても破断することがない。結果として、タイヤ内表面10Sまで異物101が貫通したままの状態でも、タイヤ内腔に充填された気体を外部に漏出させる経路が形成されることを、回避することができる。
本発明に使用する低粘着性シーラント材24は、上記シーラント材21よりも粘着性が低いものであり、特に制限されるものではなく、シーラント材21や織物または編物22と同等程度の伸長率を有するものであればよい。低粘着性シーラント材24としては、例えば、上記シーラント材21の配合比率を調整して粘着性を低下させたものを用いることができ、また、シーラント材21のうちタイヤ内表面10Sに接する側の表面を加熱により硬化させるか、または、シーラント材21のうちタイヤ内表面10Sに接する側の表面に、離型剤となるシリコンやタルクを塗布するなどの処理をして、粘着性を低下させたものを用いてもよい。低粘着性シーラント材24の厚みは、例えば、0.1~1mmとすることができる。なお、低粘着性シーラント材24と織物または編物22との層間については、低粘着性シーラント材24が織物または編物22の内部に一部含浸されるような状態で積層状態が形成される。
本発明において、シーラント材21および織物または編物22は、タイヤ内表面10Sに配置することで、異物101の貫入によるタイヤのパンクを防止できるものであり、特には、図示するように、タイヤ内表面10Sのうち、トレッド部11に対応する部位に配置することが好ましい。釘などの異物の貫入が最も多いトレッド部11に対応するタイヤ内表面10Sに、シーラント材21および織物または編物22を配置することで、最も効果的にタイヤのパンクの発生を抑制する効果を得ることができる。
本発明において、上記シーラント材21、織物または編物22および任意に用いるフィルム23または低粘着性シーラント材24は、積層した状態で、加硫後のタイヤ内表面に、必要に応じ粘着剤または接着剤を用いて、貼り付けることにより容易に配置することができる。または、上記各部材は、順次積層しつつ、配置してもよい。
本発明のタイヤにおいては、タイヤ内表面10Sにシーラント材21および織物または編物22を上記のとおり配置するものであればよく、それ以外のタイヤ構造や使用材料の詳細などについては特に制限されるものではないが、例えば、以下のように構成することができる。
例えば、本発明において、カーカスプライ2は通常1枚以上、例えば1~3枚で配置され、図示する例では1枚で配置されている。また、ベルト層3は、タイヤ周方向に対し所定の角度で傾斜して延びるベルトコードをゴム被覆してなり、通常1枚以上、例えば1~3枚で、2枚以上の場合はコード方向が互いに交錯するよう配置され、図示する例では2枚で交錯して配置されている。さらに、図示する例では、ベルト層3のタイヤ半径方向外側にレイヤー層4が1枚で配置されているが、レイヤー層4は2枚以上で配置してもよく、ベルト層3の全体を覆うキャップ層を、1枚以上で配置することもできる。キャップ層およびレイヤー層は、通常、ゴム被覆された1本以上の補強コードを、実質的にタイヤ周方向に巻回することにより形成される。
さらにまた、図示するタイヤ10において、ビードコア1のタイヤ半径方向外側には、断面先細り状のビードフィラー5が配置されている。さらにまた、図示はしないが、タイヤの最内面には、通常、インナーライナーが配設されている。本発明において、タイヤに充填する気体としては、通常の空気、または、酸素分圧を調整した空気の他、窒素やアルゴン、ヘリウム等の不活性ガスも用いることができる。
本発明のタイヤは、乗用車用タイヤやトラック・バス用タイヤに適用することができ、特には、乗用車用タイヤにおいて有用である。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(参考例1)
図1に示すような構造を有するタイヤサイズ205/55R16 91Vの乗用車用タイヤをリムに組み、内圧230kPaを充填した条件において、以下の評価を行った。タイヤ内表面には、シーラント材を含浸させたナイロン(東レ(株)製,プロミラン(ナイロン66繊維))製の編物(引張破断伸度500%)と、厚み4mmのシーラント材とを、順次積層して配置するものとし、シーラント材としては、下記の表1中に示すカット性の良好なシーラント材配合Bからなるものを、常法に従い調製して用いるものとした。また、ナイロン製の織物とタイヤ内表面とは、剥離可能であるものとした。
(実施例1)
タイヤ内表面と、ナイロン製の編物との間に、厚み0.2mmのポリウレタンフィルム((株)武田産業製,タフグレイス)を配置する以外は参考例1と同様の条件とした。ポ
リウレタンフィルムとタイヤ内表面とは、剥離可能であるものとした。
(実施例2)
タイヤ内表面と、ナイロン製の編物との間に、厚み2mmの低粘着性シーラント材を配置し、シーラント材の厚みを2mmとする以外は参考例1と同様の条件とした。低粘着性シーラント材としては、下記の表1中に示す低粘着性のシーラント材配合Cからなるものを、常法に従い調製し、さらに熱硬化させたものを用いるものとした。低粘着性シーラント材とタイヤ内表面とは、剥離可能であるものとした。
(従来例)
タイヤ内表面に、ナイロン製の編物およびシーラント材のいずれも配置しない以外は参考例1と同様の条件とした。
(比較例)
タイヤ内表面に、ナイロン製の編物を配置せず、シーラント材として、下記の表1中に示す汎用のシーラント材配合Aからなるものを、常法に従い調製して用いるものとした以外は参考例1と同様の条件とした。
Figure 0007256078000001
(放置後内圧の評価)
各供試タイヤについて、トレッド部表面のトレッドパターン部の一番深い溝部に、直径5mm、長さ35mmの釘をハンマーで打ち込んだ後、その状態で60分保持した後におけるタイヤ内圧を、予測値として求めた。
(リサイクル時のカット性の評価)
各供試タイヤについて、リサイクル時のカット性を、シーラント材の切断の容易性の点から予測評価した。
従来例のタイヤについては、シーラント材を有しないために、リサイクル時のカット性は良好であるが、放置後内圧は50kPaまで低下すると予測された。比較例のタイヤについては、汎用のシーラント材を備えるために、放置後内圧は230kPaで保持されるが、シーラント材の切断が困難であり、リサイクル性には劣るものとなると予測された。
これに対し、タイヤ内表面に、シーラント材および織物または編物を、タイヤ内表面から剥離可能に配置した参考例1および実施例1,2のタイヤによれば、従来のシーラント材を用いた比較例のタイヤと同様に放置後内圧は230kPaで保持され、内圧の低下を防止することができるとともに、シーラント材が容易に切断できるために、リサイクル性も向上するものと予測された。
1 ビードコア
2 カーカスプライ
3 ベルト層
3a,3b ベルト
4 レイヤー層
5 ビードフィラー
10,100 空気入りタイヤ(タイヤ)
10S,100S タイヤ内表面
11 トレッド部
12 サイドウォール部
13 ビード部
20 リム
21 シーラント材
22 織物または編物
23 フィルム
24 低粘着性シーラント材
101 異物
200 従来のシーラント材

Claims (3)

  1. タイヤ内表面に、織物または編物と、シーラント材と、が順次配置された空気入りタイヤであって、
    前記織物または編物とタイヤ内表面との間に、フィルム、または、前記シーラント材よりも粘着性が低い低粘着性シーラント材が、タイヤ内表面と接して配置されるとともに、
    前記フィルムまたは前記低粘着性シーラント材が、異物がタイヤ内表面を貫通した際に該異物によりタイヤ内表面から剥離可能に形成されていることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記織物または編物の引張破断伸度が50%以上である請求項記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記織物または編物の引張破断伸度が250%以上である請求項記載の空気入りタイヤ。
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