JP7255319B2 - 動態解析装置、動態解析システム及びプログラム - Google Patents

動態解析装置、動態解析システム及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、動態解析装置、動態解析システム及びプログラムに関する。
従来、胸部の骨陰影に関するX線動画像に基づいて骨の移動ベクトル又は移動量マップを作成し、算出した移動ベクトル又は移動量マップを1枚のX線静止画像に重ね合わせた画像を生成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2015-43894号公報
ところで、呼吸機能には、複数の肋骨の動きが寄与しており、複数の肋骨の動き(量や方向)の関係を時系列で捉えることは、呼吸機能の状態(正常/異常、疾患の程度等)の診断に有効である。しかしながら、特許文献1においては、時系列での複数の骨の動きの関係の情報が欠落してしまっている。そのため、呼吸機能の状態を把握するには不十分であった。
本発明の課題は、胸部動態画像から複数の肋骨の動きの関係を時系列に捉えられるようにすることで、呼吸機能の状態を把握できるようにすることである。
上記課題を解決するため、発明の動態解析装置は、
胸部の動態を放射線撮影することにより取得された胸部動態画像の任意のフレーム画像の2以上の肋骨領域上に計測点を1点ずつ設定する設定手段と、
前記設定された複数の計測点を前記胸部動態画像の同一区間のフレーム画像においてトラッキングして前記複数の計測点のそれぞれに対応する追跡点を時間方向に複数取得し、取得した追跡点ごとに、時間方向に隣接する追跡点からの移動量及び/又は移動方向を算出して、前記複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の時系列データを取得する算出手段と、
を備え
前記算出手段は、
前記複数の計測点のうちの2つの計測点の組ごとに前記時系列データの類似度を算出する。
本発明のプログラムは、
コンピューターを、
胸部の動態を放射線撮影することにより取得された胸部動態画像の任意のフレーム画像の2以上の肋骨領域上に計測点を1点ずつ設定する設定手段、
前記設定された複数の計測点を前記胸部動態画像の同一区間のフレーム画像においてトラッキングして前記複数の計測点のそれぞれに対応する追跡点を時間方向に複数取得し、取得した追跡点ごとに、時間方向に隣接する追跡点からの移動量及び/又は移動方向を算出して、前記複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の時系列データを取得する算出手段、
として機能させ
前記算出手段は、
前記複数の計測点のうちの2つの計測点の組ごとに前記時系列データの類似度を算出する
本発明によれば、胸部動態画像から複数の肋骨の動きの関係を時系列に捉えることができるため、呼吸機能の状態の把握が可能となる。
本発明の実施形態における動態解析システムの全体構成を示す図である。 図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。 図1の診断用コンソールの制御部により実行される画像解析処理を示すフローチャートである。 計測点の設定の一例を示す図である。 移動量と移動方向の算出方法を説明するための図である。 (a)は、胸部動態画像の各フレーム画像から算出された横隔膜位置を時系列で表したグラフ、(b)は、(a)の横隔膜位置の微分値を時系列で表したグラフである。 呼吸正常者、COPD軽症患者、COPD重症患者の上、中、下の後方肋骨の動き方向の同期性を示す図である。 呼吸正常者、COPD軽症患者、COPD重症患者の上、中、下の後方肋骨の動き方向を矢印で示したイメージ図である。 上、中、下の後方肋骨上に設定した計測点を示す図である。 (a)は、呼吸正常者の胸部動態画像における上、中、下の後方肋骨に計測点を設定した場合に、図3の画像解析処理により算出された各計測点の移動方向を時系列に並べて示したグラフ、(b)は、(a)に示す吸気相の上と中の後方肋骨、中と下の後方肋骨、上と下の後方肋骨、のそれぞれの移動方向のコサイン類似度を示す図である。 (a)は、COPD軽症患者の胸部動態画像における上、中、下の後方肋骨に計測点を設定した場合に、図3の画像解析処理により算出された各計測点の移動方向を時系列に並べて示したグラフ、(b)は、(a)に示す吸気相の上と中の後方肋骨、中と下の後方肋骨、上と下の後方肋骨、のそれぞれの移動方向のコサイン類似度を示す図である。 (a)は、COPD重症患者の胸部動態画像における上、中、下の後方肋骨に計測点を設定した場合に、図3の画像解析処理により算出された各計測点の移動方向を時系列に並べて示したグラフ、(b)は、(a)に示す吸気相の上と中の後方肋骨、中と下の後方肋骨、上と下の後方肋骨、のそれぞれの移動方向のコサイン類似度を示す図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
〔動態解析システム100の構成〕
まず、構成を説明する。
図1に、本実施形態における動態解析システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、動態解析システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。動態解析システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、例えば、呼吸運動に伴う肺の膨張及び収縮の形態変化、心臓の拍動等の、周期性(サイクル)を持つ胸部の動態を撮影する撮影手段である。動態撮影とは、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、以下の実施形態では、パルス照射により胸部の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
放射線源11は、被写体Mを挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体Mに対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
放射線検出部13は、FPD等の半導体イメージセンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。そして、読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された動態画像を撮影技師等の撮影実施者によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する撮影制御処理を始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図2に示す撮影制御処理を実行するためのプログラムを記憶している。また、記憶部22は、撮影部位(ここでは胸部)に対応する放射線照射条件及び画像読取条件を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。
通信部25は、LAN(Local Area Network)アダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から動態画像を取得し、取得した動態画像や動態画像の解析結果を表示して医師の診断を支援するための動態解析装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、後述する画像解析処理を始めとする各種処理を実行し、診断用コンソール3各部の動作を集中制御する。制御部31は、設定手段、算出手段として機能する。
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で画像解析処理を実行するためのプログラムを始めとする各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
表示部34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔動態解析システム100の動作〕
次に、上記動態解析システム100における動作について説明する。
(撮影装置1、撮影用コンソール2の動作)
まず、撮影装置1、撮影用コンソール2による撮影動作について説明する。
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理を示す。撮影制御処理は、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、撮影対象(被写体M)の患者情報(患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)や撮影部位(ここでは、胸部)の入力が行われる(ステップS1)。
次いで、放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS2)。
次いで、操作部23の操作による放射線照射の指示が待機される(ステップS3)。ここで、撮影実施者は、被写体Mを放射線源11と放射線検出部13の間に配置してポジショニングを行う。また、本実施形態においては呼吸状態下で撮影を行うため、被検者(被写体M)に楽にするように指示し、安静呼吸を促す。あるいは、深呼吸を指示してもよい。撮影準備が整った時点で、操作部23を操作して放射線照射指示を入力する。
操作部23により放射線照射指示が入力されると(ステップS3;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影開始指示が出力され、動態撮影が開始される(ステップS4)。即ち、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得される。
予め定められたフレーム数の撮影が終了すると、制御部21により放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影終了の指示が出力され、撮影動作が停止される。撮影されるフレーム数は、少なくとも1呼吸サイクルが撮影できる枚数である。
撮影により取得されたフレーム画像は順次撮影用コンソール2に入力され、撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶されるとともに(ステップS5)、表示部24に表示される(ステップS6)。撮影実施者は、表示された動態画像によりポジショニング等を確認し、撮影により診断に適した画像が取得された(撮影OK)か、再撮影が必要(撮影NG)か、を判断する。そして、操作部23を操作して、判断結果を入力する。
操作部23の所定の操作により撮影OKを示す判断結果が入力されると(ステップS7;YES)、動態撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、撮影部位、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される(ステップS8)。そして、本処理は終了する。一方、操作部23の所定の操作により撮影NGを示す判断結果が入力されると(ステップS7;NO)、記憶部22に記憶された一連のフレーム画像が削除され(ステップS9)、本処理は終了する。この場合、再撮影が必要となる。
(診断用コンソール3の動作)
次に、診断用コンソール3における動作について説明する。
診断用コンソール3においては、通信部35を介して撮影用コンソール2から動態画像の一連のフレーム画像が受信されると、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により図3に示す画像解析処理が実行される。
以下、図3を参照して画像解析処理の流れについて説明する。
まず、変数nに1が設定される(ステップS11)。
次いで、n番目のフレーム画像の肋骨領域上に複数の計測点が設定される(ステップS12)。
ここでは、n番目のフレーム画像の2以上の肋骨領域上に計測点が1点ずつ設定される。
例えば、図4に示すように、表示部34に1枚目のフレーム画像を表示し、ユーザーによる操作部33の操作により複数の肋骨領域上に1点ずつ指定された複数の点が計測点として設定される。
あるいは、制御部31が自動的に肋骨領域上の複数点を計測点に設定することとしてもよい。例えば、1枚目のフレーム画像から肋骨領域を抽出し、抽出した肋骨領域上の代表点(例えば、第〇肋骨、第△肋骨、第□肋骨の最もカーブしている点等)に自動的に計測点を設定することとしてもよい。肋骨領域の抽出は、例えば、特開平5-176919豪公報に記載されているモデル関数とSobelオペレーターを用いた肋骨抽出方法のように、公知の画像処理技術によって抽出することができる。
なお、本実施形態では、1枚目のフレーム画像に計測点を設定する場合を例にとり説明するが、1枚目に限らず、任意のフレーム画像に計測点を設定することができる。
次いで、nにn+1が設定され(ステップS13)、n番目のフレーム画像において各計測点がトラッキングされ、各計測点に対応する追跡点が抽出される(ステップS14)。
例えば、n番目のフレーム画像において、n-1番目のフレーム画像で追跡点として抽出された画素(n=2の場合は、n-1番目のフレーム画像で計測点として設定された画素)を中心とするM×N画素(M、Nは正の整数、例えば、3×3)からなるエリアに探索エリアが設定され、探索エリア内で画素値がn-1番目のフレーム画像で追跡点として抽出された画素の画素値に最も近い画素が追跡点として抽出される。
次いで、n番目のフレーム画像において抽出された各計測点に対応する追跡点ごとに、n-1番目のフレーム画像において抽出された追跡点からの移動量及び/又は移動方向が算出される(ステップS15)。
例えば、図5に示すように、追跡点がAtからAt+1に移動した場合、AtからAt+1までの距離が移動量、AtとAt+1を結ぶ線とx軸方向とのなす角度θが移動方向として算出される。これにより、各計測点のフレーム画像間の移動量及び/又は移動方向が算出される。
次いで、算出された各計測点の移動量及/又はび移動方向がフレーム番号に対応付けて時系列データとしてRAMに記録される(ステップS16)。
nが動態画像のフレーム画像数に達するまでステップS13~S16が繰り返し実行され、nがフレーム画像数に到達すると(ステップS17;YES)、複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の算出結果(時系列データ)が同一の座標平面にグラフ化され、表示部34に表示される(ステップS18)。
また、複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の時系列データに基づいて、2つの計測点の組ごとに、計測点の動きの同期性を示す指標値が算出され(ステップS19)、算出された計測点の動きの同期性を示す指標値が表示部34に表示され(ステップS20)、画像解析処理は終了する。
2つの計測点の動きの同期性を示す指標値とは、2つの計測点の動き(移動量や移動方向)がどれだけ類似しているかを示す指標値であり、例えば、2つの計測点の時系列データの相互相関係数、コサイン類似度が挙げられる。
ここで、グラフ表示及び指標値の算出については、呼気相、吸気相に分けて表示、算出することとしてもよい。
呼吸位相の特定は、例えば、以下の(1)~(5)の手順により行うことができる。なお、以下の説明では、画像の左上の座標を(0、0)とし、画像の右側、下側へいくほど座標値が増えることとして説明する。
(1)まず、動態画像の各フレーム画像から横隔膜の位置を算出する(図6(a)参照)。
例えば、各フレーム画像の肺野領域の下側のエッジ部分を横隔膜境界部として抽出し、横隔膜境界部の或るx座標の位置に基準点を設定し、設定した基準点のy座標を横隔膜の位置として求めることができる。肺野領域は、公知のいずれの方法を用いて抽出してもよい。例えば、各画素の画素値のヒストグラムから判別分析によって閾値を求め、この閾値より高信号の領域を肺野領域候補として1次抽出する。次いで、1次抽出された肺野領域候補の境界付近でエッジ検出を行い、境界付近の小領域でエッジが最大となる点を境界に沿って抽出すれば肺野領域の境界を抽出することができる。
(2)横隔膜の位置の最高位、最低位を算出する。
(3)(1)の微分値を算出する(図6(b)参照)。
(4)呼気相については、最高位のフレーム画像以降に微分値が“+”→”-”となる最初の変曲点(微分値0の点)を”呼気相開始”とし、呼気相開始後に最初に“-”→”+”となる変曲点を”呼気相終了”とする。ノイズの影響を考慮し、開始/終了条件に「連続してiフレーム(iは正の整数)微分値0が続く」ことを加えてもよい。
(5)吸気相については、最低位のフレーム画像以降に微分値が“-”→”+”となる最初の変曲点を”吸気相開始”とし、吸気相開始後に最初に“+”→”-”となる変曲点を”吸気相終了”とする。ノイズの影響を考慮し、開始/終了条件に「連続してiフレーム微分値0が続く」ことを加えてもよい。
以上説明したように、上記画像解析処理では、胸部動態画像上の任意のフレーム画像の2以上の肋骨領域上に1点ずつ設定された複数の計測点を同一区間のフレーム画像においてトラッキングし、複数の計測点のそれぞれに対応する追跡点を時間方向に複数取得し、取得した追跡点ごとに、時間方向に隣接する追跡点からの移動量及び/又は移動方向を算出して、複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の時系列データを取得する。
したがって、医師等のユーザーは、胸部動態画像における複数の肋骨の動きの関係を時系列に捉えることができるので、呼吸機能の状態(正常、異常や疾患の程度等)を把握することが可能となる。そのため、呼吸検査による患者の負担を軽減することが可能となる。また、時系列データは、治療効果の効果確認にも使用することができ、治療計画の立案を支援することができる。
また、複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の算出結果(時系列データ)を同一の座標平面上にグラフ化して表示部34に表示したり、時系列データに基づいて複数の計測点の動きの同期性を示す指標値を算出し、算出結果を表示部34に表示したりすることで、ユーザーがより容易に呼吸機能の状態を把握することが可能となる。
ここで、上記画像解析処理により表示される算出結果(グラフ、同期性を示す指標値)の例について、具体例を挙げて説明する。
図7は、吸気相における呼吸正常者、COPD軽症患者、COPD重症患者の上、中、下の後方肋骨(図9参照)の動き方向の同期関係を示す図であり、図8は、その動き方向を矢印で模式的に示す図である。図7、図8に示すように、呼吸正常者、COPD軽症患者、COPD重症患者では、吸気相の上、中、下の後方肋骨の動き方向の同期性が異なる。呼吸正常者については、上、中の後方肋骨と下の後方肋骨が吸気/呼気相で異なる方向に動く傾向がある。COPDの軽症患者については、吸気相において中の後方肋骨と下の後方肋骨が同方向に同期して動く傾向がある。COPDの重症患者については、上、中、下の後方肋骨が吸気相で同方向に同期して動く傾向がある。
図10(a)は、或る呼吸正常者の胸部動態画像に対して、図9に示すように後方肋骨の上、中、下の3点に計測点を設定した場合に、図3の画像解析処理により算出される各計測点の移動方向を時系列に並べて示したグラフである。図10(b)は、図10(a)に示す吸気相の上と中の後方肋骨、中と下の後方肋骨、上と下の後方肋骨のそれぞれの移動方向のコサイン類似度を示す図である。図10(a)、(b)に示すように、上記画像解析処理により呼吸正常者の胸部動態画像を解析すると、吸気相において、上と中の後方肋骨の移動方向の同期(類似)性が高く、上と下、中と下の後方肋骨の移動方向の同期(類似)性はそれよりも低いという結果が得られる。
図11(a)は、或るCOPD軽症患者の胸部動態画像に対して、図9に示すように後方肋骨の上、中、下の3点に計測点を設定した場合に、図3の画像解析処理により算出される各計測点の移動方向を時系列に並べて示したグラフである。図11(b)は、図11(a)に示す吸気相の上と中の後方肋骨、中と下の後方肋骨、上と下の後方肋骨のそれぞれの移動方向のコサイン類似度を示す図である。図11(a)、(b)に示すように、上記画像解析処理によりCOPD軽症患者の胸部動態画像を解析すると、吸気相において、中と下の後方肋骨の移動方向の同期(類似)性が高く、上と下、上と中の後方肋骨の移動方向の同期(類似)性はそれよりも低いという結果が得られる。
図12(a)は、或るCOPD重症患者の胸部動態画像に対して、図9に示すように後方肋骨の上、中、下の3点に計測点を設定した場合に、図3の画像解析処理により算出される各計測点の移動方向を時系列に並べて示したグラフである。図12(b)は、図12(a)に示す吸気相の上と中の後方肋骨、中と下の後方肋骨、上と下の後方肋骨のそれぞれの移動方向のコサイン類似度を示す図である。図12(a)、(b)に示すように、上記画像解析処理によりCOPD重症患者の胸部動態画像を解析すると、吸気相において、上、中、下の後方肋骨の移動方向の全ての同期(類似)性が高いという結果が得られる。
すなわち、被検者の胸部動態画像を上記画像解析処理により解析することによって取得される、後方肋骨の計測点(上、中、下)の移動方向を時系列に示したグラフや、複数の計測点の移動方向の同期性を示す指標値を観察することにより、ユーザーは、被検者の呼吸が正常か、COPDの軽症か、COPDの重症か等を把握することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本実施形態における記述は、本発明に係る好適な動態解析システムの一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、上記実施形態においては、胸部動態画像の全区間のフレーム画像から複数の計測点をトラッキングして時系列データを取得することとしたが、これに限定されず、胸部動態画像の一部の区間のフレーム画像から複数の計測点をトラッキングして時系列データを取得することしてもよい。この場合、複数の計測点のトラッキングは胸部動態画像の同一区間にて行い、同一区間の時系列データを取得する。なお、本発明では、設定された複数の計測点で同一区間にてトラッキングや時系列データの取得を行えばよく、これに加えて、一部の計測点において他の区間でトラッキングや時系列データを取得することを妨げるものではない。
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、CD-ROM
等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、動態解析システム100を構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
100 動態解析システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス

Claims (5)

  1. 胸部の動態を放射線撮影することにより取得された胸部動態画像の任意のフレーム画像の2以上の肋骨領域上に計測点を1点ずつ設定する設定手段と、
    前記設定された複数の計測点を前記胸部動態画像の同一区間のフレーム画像においてトラッキングして前記複数の計測点のそれぞれに対応する追跡点を時間方向に複数取得し、取得した追跡点ごとに、時間方向に隣接する追跡点からの移動量及び/又は移動方向を算出して、前記複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の時系列データを取得する算出手段と、
    を備え
    前記算出手段は、
    前記複数の計測点のうちの2つの計測点の組ごとに前記時系列データの類似度を算出する、動態解析装置。
  2. 前記類似度は、相互相関係数又はコサイン類似度である、請求項1に記載の動態解析装置。
  3. 前記算出手段による算出結果を表示する表示手段を備える請求項1又は2に記載の動態解析装置。
  4. 胸部の動態を放射線撮影することにより胸部動態画像を取得する撮影装置と、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の動態解析装置と、
    を備える動態解析システム。
  5. コンピューターを、
    胸部の動態を放射線撮影することにより取得された胸部動態画像の任意のフレーム画像の2以上の肋骨領域上に計測点を1点ずつ設定する設定手段、
    前記設定された複数の計測点を前記胸部動態画像の同一区間のフレーム画像においてトラッキングして前記複数の計測点のそれぞれに対応する追跡点を時間方向に複数取得し、取得した追跡点ごとに、時間方向に隣接する追跡点からの移動量及び/又は移動方向を算出して、前記複数の計測点の移動量及び/又は移動方向の時系列データを取得する算出手段、
    として機能させ
    前記算出手段は、
    前記複数の計測点のうちの2つの計測点の組ごとに前記時系列データの類似度を算出する、プログラム。
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