JP2018196693A - 動態解析システム - Google Patents

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Abstract

【課題】胸部の動態画像から精度良く肺機能の情報を取得できるようにする。
【解決手段】診断用コンソール3の制御部31は、胸部の動態画像から、両肺及び両肺の間の領域を含む一つの領域で構成される拡張肺野領域を抽出し、抽出した拡張肺野領域における画素毎又は複数画素のブロック毎の肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像に基づいて、肺機能の定量情報を算出する。
【選択図】図3

Description

本発明は、動態解析システムに関する。
従来、胸部X線画像から肺野領域を抽出する技術が知られている。例えば、特許文献1には、胸部X線画像から画素値が閾値以上の領域を抽出し、抽出した領域から、領域幅が最大である領域を肺野領域として抽出する技術が記載されている(例えば、特許文献1参照)。
特許2014−236842号公報
特許文献1に記載の技術では、特許文献1の図6に示されているように、左右の二つの肺が肺野領域として抽出され、二つの肺の間に位置する胸椎の存在する部分や心臓部は除外される。しかしながら、人体の胸部では二つの肺を包含する全域を満たすように二つの肺が膨張収縮を繰り返すため、三次元的な構造を考えると、二次元のX線画像では視認できないものの、実際には胸椎の手前側や心臓の奥側、横隔膜の奥側にも肺は存在する。そのため、例えば、胸部の動態を放射線撮影した動態画像を解析して肺機能を示す解析結果画像を表示したり、肺活量、一秒率などの換気機能の定量情報や輸液量等の血流機能の定量情報を算出したりする場合、特許文献1に記載の技術により抽出される肺野領域を処理対象とすると、胸椎の手前側や心臓の奥側、横隔膜の奥側などが除外されてしまい、正しい肺機能情報が得られないという問題がある。一方、画像全体に解析を行うと、肺以外のノイズが含まれてしまうため、好ましくない。
本発明の課題は、胸部の動態画像から精度良く肺機能の情報を取得できるようにすることである。
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明の動態解析システムは、
被写体の胸部の動態を放射線撮影することにより得られた動態画像から、両肺及び両肺の間の領域を含む一つの領域で構成される拡張肺野領域を抽出する拡張肺野領域抽出手段と、
前記動態画像を解析して前記拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する生成手段と、
を備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像の一のフレーム画像から拡張肺野領域を抽出し、
前記生成手段は、前記動態画像を解析して前記動態画像の各フレーム画像に対応する複数のフレーム画像からなる解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像の各フレーム画像から前記拡張肺野領域抽出手段により抽出された一のフレーム画像の拡張肺野領域と同じ位置の領域を抽出することにより前記拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像の複数のフレーム画像のそれぞれから拡張肺野領域を抽出し、
前記生成手段は、前記動態画像を解析して前記動態画像の各フレーム画像に対応する複数のフレーム画像からなる解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像の各フレーム画像から前記拡張肺野領域抽出手段により抽出された対応するフレーム画像の拡張肺野領域と同じ位置の領域を抽出することにより前記拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像における前記拡張肺野領域の抽出対象のフレーム画像から左右の肺領域の輪郭をそれぞれ抽出し、抽出した輪郭のうち外側の輪郭同士を繋ぐことで前記拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域の肺尖部の輪郭同士を直線又は曲線により繋ぎ、前記左右の肺領域のそれぞれにおける横隔膜との境界の輪郭同士を直線又は曲線により繋ぐことで、前記拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する。
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域の肺尖部の輪郭同士を直線又は曲線により繋ぎ、前記左右の肺領域のそれぞれにおける外胸郭との境界の輪郭の下端同士を直線又は曲線により繋ぐことで、拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する。
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、
胸郭の幅及び/又は被写体属性情報に対応付けて、その胸郭の幅及び/又は被写体属性情報に該当する被写体について実験的又は経験的に求められた前記外胸郭との境界の輪郭の下端同士を繋ぐための直線又は曲線の式を記憶する記憶手段を備え、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記記憶手段に記憶されている直線又は曲線の式を用いて、前記左右の肺領域のそれぞれにおける外胸郭との境界の輪郭の下端同士を直線又は曲線により繋ぐ。
請求項8に記載の発明は、請求項4〜7のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域の肺尖の上下方向の位置を検出し、一方の肺尖の位置が予め定められた閾値より低い場合、その肺尖の位置を他方の肺尖の位置に合わせて調整してから前記左右の肺領域の輪郭を抽出する。
請求項9に記載の発明は、請求項4〜8のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域のそれぞれにおける横隔膜との境界の上下方向の位置を検出し、一方の肺における横隔膜との境界の位置が予め定められた閾値より高い場合、その位置を他方の位置に合わせて調整してから前記左右の肺の領域の輪郭を抽出する。
請求項10に記載の発明は、請求項4〜9のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域のそれぞれにおける外胸郭との境界の位置を検出し、一方の肺における外胸郭との境界の位置と胸椎との距離が予め定められた閾値より短い場合、その位置を他方の位置に合わせて調整してから前記左右の肺の領域の輪郭を抽出する。
請求項11に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像における前記拡張肺野領域の抽出対象のフレーム画像の各画素の画素信号値を予め定められた閾値により二値化して左右の肺領域を抽出し、抽出した前記左右の肺領域に対して膨張処理と収縮処理を繰り返して前記左右の肺領域を連結させることにより拡張肺野領域を抽出する。
請求項12に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像の換気機能に係る解析結果を示す解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像に基づいて、前記拡張肺野領域を抽出する。
請求項13に記載の発明は、請求項1〜12のいずれか一項に記載の発明において、
前記拡張肺野領域抽出手段は、抽出された拡張肺野領域の輪郭をスムージング処理する。
請求項14に記載の発明は、請求項1〜13のいずれか一項に記載の発明において、
前記生成手段により生成された拡張肺野領域の解析結果画像を前記動態画像に重ねて表示する表示手段を備える。
請求項15に記載の発明は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の発明において、
前記生成手段により生成された解析結果画像に基づいて、前記被写体の肺機能の定量情報を算出する算出手段を備える。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、
前記算出手段は、前記生成手段により生成された解析結果画像における拡張肺野領域の画素信号値の統計値を算出し、算出した統計値に基づいて、前記被写体の肺機能の定量情報を算出する。
本発明によれば、胸部の動態画像から精度良く肺機能の情報を取得することが可能となる。
本発明の実施形態における動態解析システムの全体構成を示す図である。 図1の撮影用コンソールの制御部により実行される撮影制御処理を示すフローチャートである。 図1の診断用コンソールの制御部により実行される動態解析処理を示すフローチャートである。 両肺の領域の外側の輪郭を示す図である。 拡張肺野領域の一例を示す図である。 画像全体の解析結果画像、従来技術により抽出された肺野領域の解析結果画像、本実施形態における拡張肺野領域の解析結果画像を並べて示した図である。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
〔動態解析システム100の構成〕
まず、本実施形態の構成を説明する。
図1に、本実施形態における動態解析システム100の全体構成を示す。
図1に示すように、動態解析システム100は、撮影装置1と、撮影用コンソール2とが通信ケーブル等により接続され、撮影用コンソール2と、診断用コンソール3とがLAN(Local Area Network)等の通信ネットワークNTを介して接続されて構成されている。動態解析システム100を構成する各装置は、DICOM(Digital Image and Communications in Medicine)規格に準じており、各装置間の通信は、DICOMに則って行われる。
〔撮影装置1の構成〕
撮影装置1は、例えば、呼吸運動に伴う肺の膨張及び収縮の形態変化、心臓の拍動等の、生体の動態を撮影する撮影手段である。動態撮影とは、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の動態を示す複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレーム画像と呼ぶ。なお、以下の実施形態では、パルス照射により胸部の動態撮影を行う場合を例にとり説明する。
放射線源11は、被写体M(被検者)を挟んで放射線検出部13と対向する位置に配置され、放射線照射制御装置12の制御に従って、被写体Mに対し放射線(X線)を照射する。
放射線照射制御装置12は、撮影用コンソール2に接続されており、撮影用コンソール2から入力された放射線照射条件に基づいて放射線源11を制御して放射線撮影を行う。撮影用コンソール2から入力される放射線照射条件は、例えば、パルスレート、パルス幅、パルス間隔、1撮影あたりの撮影フレーム数、X線管電流の値、X線管電圧の値、付加フィルター種等である。パルスレートは、1秒あたりの放射線照射回数であり、後述するフレームレートと一致している。パルス幅は、放射線照射1回当たりの放射線照射時間である。パルス間隔は、1回の放射線照射開始から次の放射線照射開始までの時間であり、後述するフレーム間隔と一致している。
放射線検出部13は、FPD(Flat Panel Detector)等の半導体イメージセンサーにより構成される。FPDは、例えば、ガラス基板等を有しており、基板上の所定位置に、放射線源11から照射されて少なくとも被写体Mを透過した放射線をその強度に応じて検出し、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する複数の検出素子(画素)がマトリックス状に配列されている。各画素は、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部を備えて構成されている。FPDにはX線をシンチレーターを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型、X線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
放射線検出部13は、被写体Mを挟んで放射線源11と対向するように設けられている。
読取制御装置14は、撮影用コンソール2に接続されている。読取制御装置14は、撮影用コンソール2から入力された画像読取条件に基づいて放射線検出部13の各画素のスイッチング部を制御して、当該各画素に蓄積された電気信号の読み取りをスイッチングしていき、放射線検出部13に蓄積された電気信号を読み取ることにより、画像データを取得する。この画像データがフレーム画像である。そして、読取制御装置14は、取得したフレーム画像を撮影用コンソール2に出力する。画像読取条件は、例えば、フレームレート、フレーム間隔、画素サイズ、画像サイズ(マトリックスサイズ)等である。フレームレートは、1秒あたりに取得するフレーム画像数であり、パルスレートと一致している。フレーム間隔は、1回のフレーム画像の取得動作開始から次のフレーム画像の取得動作開始までの時間であり、パルス間隔と一致している。
ここで、放射線照射制御装置12と読取制御装置14は互いに接続され、互いに同期信号をやりとりして放射線照射動作と画像の読み取りの動作を同調させるようになっている。
〔撮影用コンソール2の構成〕
撮影用コンソール2は、放射線照射条件や画像読取条件を撮影装置1に出力して撮影装置1による放射線撮影及び放射線画像の読み取り動作を制御するとともに、撮影装置1により取得された動態画像を撮影技師等の撮影実施者によるポジショニングの確認や診断に適した画像であるか否かの確認用に表示する。
撮影用コンソール2は、図1に示すように、制御部21、記憶部22、操作部23、表示部24、通信部25を備えて構成され、各部はバス26により接続されている。
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory
)等により構成される。制御部21のCPUは、操作部23の操作に応じて、記憶部22に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って後述する撮影制御処理を始めとする各種処理を実行し、撮影用コンソール2各部の動作や、撮影装置1の放射線照射動作及び読み取り動作を集中制御する。
記憶部22は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部22は、制御部21で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。例えば、記憶部22は、図2に示す撮影制御処理を実行するためのプログラムを記憶している。また、記憶部22は、検査対象部位(ここでは、胸部とする)に対応付けて放射線照射条件及び画像読取条件を記憶している。各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部21は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
操作部23は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、キーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部21に出力する。また、操作部23は、表示部24の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部21に出力する。
表示部24は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成され、制御部21から入力される表示信号の指示に従って、操作部23からの入力指示やデータ等を表示する。
通信部25は、LANアダプターやモデムやTA(Terminal Adapter)等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔診断用コンソール3の構成〕
診断用コンソール3は、撮影用コンソール2から動態画像を取得し、取得した動態画像に解析を施して解析結果を表示する動態解析装置である。
診断用コンソール3は、図1に示すように、制御部31、記憶部32、操作部33、表示部34、通信部35を備えて構成され、各部はバス36により接続されている。
制御部31は、CPU、RAM等により構成される。制御部31のCPUは、操作部33の操作に応じて、記憶部32に記憶されているシステムプログラムや、各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開し、展開されたプログラムに従って、動態解析処理を始めとする各種処理を実行し、診断用コンソール3の各部の動作を集中制御する。制御部31は、拡張肺野領域抽出手段、生成手段、算出手段として機能する。
記憶部32は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部32は、制御部31で動態解析処理を実行するためのプログラムを始めとする各種プログラムやプログラムによる処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。これらの各種プログラムは、読取可能なプログラムコードの形態で格納され、制御部31は、当該プログラムコードに従った動作を逐次実行する。
また、記憶部32には、過去に撮影された動態画像が患者情報(例えば、患者ID、患者の氏名、身長、体重、年齢、性別等)、検査情報(例えば、検査ID、検査日、検査対象部位(ここでは、胸部)等)に対応付けて記憶されている。
操作部33は、カーソルキー、数字入力キー、及び各種機能キー等を備えたキーボードと、マウス等のポインティングデバイスを備えて構成され、ユーザーによるキーボードに対するキー操作やマウス操作により入力された指示信号を制御部31に出力する。また、操作部33は、表示部34の表示画面にタッチパネルを備えても良く、この場合、タッチパネルを介して入力された指示信号を制御部31に出力する。
表示部34は、LCDやCRT等のモニターにより構成され、制御部31から入力される表示信号の指示に従って、各種表示を行う。
通信部35は、LANアダプターやモデムやTA等を備え、通信ネットワークNTに接続された各装置との間のデータ送受信を制御する。
〔動態解析システム100の動作〕
次に、本実施形態における上記動態解析システム100の動作について説明する。
(撮影装置1、撮影用コンソール2の動作)
まず、撮影装置1、撮影用コンソール2による撮影動作について説明する。
図2に、撮影用コンソール2の制御部21において実行される撮影制御処理を示す。撮影制御処理は、制御部21と記憶部22に記憶されているプログラムとの協働により実行される。
まず、撮影実施者により撮影用コンソール2の操作部23が操作され、被検者(被写体M)の患者情報、検査情報の入力が行われる(ステップS1)。
次いで、放射線照射条件が記憶部22から読み出されて放射線照射制御装置12に設定されるとともに、画像読取条件が記憶部22から読み出されて読取制御装置14に設定される(ステップS2)。
次いで、操作部23の操作による放射線照射の指示が待機される(ステップS3)。ここで、撮影実施者は、被写体Mを放射線源11と放射線検出部13の間に配置してポジショニングを行う。また、被検者(被写体M)に対し、呼吸状態(深呼吸、安静呼吸、息止め等)を指示する。撮影準備が整った時点で、操作部23を操作して放射線照射指示を入力する。
操作部23により放射線照射指示が入力されると(ステップS3;YES)、放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影開始指示が出力され、動態撮影が開始される(ステップS4)。即ち、放射線照射制御装置12に設定されたパルス間隔で放射線源11により放射線が照射され、放射線検出部13によりフレーム画像が取得される。
予め定められたフレーム数の撮影が終了すると、制御部21により放射線照射制御装置12及び読取制御装置14に撮影終了の指示が出力され、撮影動作が停止される。撮影されるフレーム数は、少なくとも1呼吸サイクルが撮影できる枚数である。
撮影により取得されたフレーム画像は順次撮影用コンソール2に入力され、撮影順を示す番号(フレーム番号)と対応付けて記憶部22に記憶されるとともに(ステップS5)、表示部24に表示される(ステップS6)。撮影実施者は、表示された動態画像によりポジショニング等を確認し、撮影により診断に適した画像が取得された(撮影OK)か、再撮影が必要(撮影NG)か、を判断する。そして、操作部23を操作して、判断結果を入力する。
操作部23の所定の操作により撮影OKを示す判断結果が入力されると(ステップS7;YES)、動態撮影で取得された一連のフレーム画像のそれぞれに、動態画像を識別するための識別IDや、患者情報、検査情報、放射線照射条件、画像読取条件、撮影順を示す番号(フレーム番号)等の情報が付帯され(例えば、DICOM形式で画像データのヘッダ領域に書き込まれ)、通信部25を介して診断用コンソール3に送信される(ステップS8)。そして、本処理は終了する。一方、操作部23の所定の操作により撮影NGを示す判断結果が入力されると(ステップS7;NO)、記憶部22に記憶された一連のフレーム画像が削除され(ステップS9)、本処理は終了する。この場合、再撮影が必要となる。
(診断用コンソール3の動作)
次に、診断用コンソール3における動作について説明する。
診断用コンソール3においては、通信部35を介して撮影用コンソール2から動態画像の一連のフレーム画像が受信されると、受信された動態画像の一連のフレーム画像が記憶部32に記憶される。また、記憶部32に記憶されている動態画像の中から操作部33により一の動態画像が選択され、動態解析処理の実行が指示されると、制御部31と記憶部32に記憶されているプログラムとの協働により図3に示す動態解析処理が実行される。以下、図3を参照して動態解析処理について説明する。
まず、解析対象の肺機能の選択画面が表示部34に表示される(ステップS11)。
選択画面においては、解析対象の肺機能として、例えば、換気、血流のいずれかを操作部33により選択可能である。
次いで、動態画像から拡張肺野領域が抽出される(ステップS12)。
ここで、従来の肺野領域抽出技術(例えば、特許文献1参照)では、胸部のX線画像において視認可能な左右の2つの肺からなる領域が肺野領域として抽出されていた。しかし、実際には、胸椎の手前側や心臓の奥側などの両肺の間の領域や横隔膜の奥側にも肺は存在する。そこで、本実施形態では、両肺及び他の構造物に隠れて視認不可能な肺の領域(少なくとも両肺の間の領域)を含む一つの領域で構成された領域を拡張肺野領域として抽出する。
拡張肺野領域の抽出は、動態画像の一つのフレーム画像において行うこととしてもよいし、動態画像のフレーム画像毎に行うこととしてもよい。拡張肺野領域の抽出を動態画像の一つのフレーム画像においてのみ行うようにすることで、拡張肺野領域の抽出が1回で済むので、処理負荷を抑えることができる。また、例えば、最大吸気位のフレーム画像を拡張肺野領域を抽出するフレーム画像として選択すれば、最も大きい拡張肺野領域を得ることができるので、他のフレーム画像において肺野が存在する領域が拡張肺野領域からはみ出てしまうことを抑えることができる。また、拡張肺野領域の抽出を動態画像のフレーム画像毎に行うことで、フレーム画像毎に拡張肺野領域が最適化されるため、正確な肺機能情報(例えば、後述する解析結果画像や定量情報)を得ることが可能となる。
拡張肺野領域の抽出手法としては、例えば、以下の(1)又は(2)を挙げることができる。
(1)まず、動態画像における処理対象のフレーム画像から両肺(左右の肺)の領域の輪郭を抽出する。
両肺の領域は、放射線(X線)の透過量が多いため、動態画像の各フレーム画像においては、その周辺の領域に比べて画素信号値が高くなる。よって、以下の処理により両肺の領域の輪郭が抽出できる。まず、各画素の画素信号値から濃度ヒストグラムを作成し、判別分析法等によって閾値を求める。次いで、求められた閾値より高信号の領域を両肺の領域の候補として抽出する。次いで、候補領域の境界付近でエッジ検出を行い、境界付近の小領域でエッジが最大となる点を境界に沿って抽出していく。そして、抽出されたエッジ点を多項式関数で近似して両肺の領域の境界線(輪郭)を取得する。
次いで、抽出した輪郭の外側の輪郭(図4参照)同士を繋ぐことで拡張肺野領域を抽出する。
図4は、両肺の領域の外側の輪郭を示す図である。図4に示すように、両肺の領域の外側の輪郭は、肺尖部の輪郭La1、La2、外胸郭との境界の輪郭Lb1、Lb2、横隔膜との境界の輪郭Lc1、Lc2により構成される。外側とは例えば、左右の肺の間の領域に面した肺の輪郭を内側としたときに、それ以外の肺の輪郭と考えることもできる。
例えば、左右の肺の肺尖部の輪郭La1、La2を直線又は曲線により繋ぎ、横隔膜との境界の輪郭Lc1、Lc2を直線又は曲線により繋ぐことで、拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する。なお、肺尖部の輪郭La1、La2を繋ぐ場合、La1、La2の先端を直線又は曲線により繋いでもよいし、La1、La2の最も高い点を直線又は曲線により繋いでもよい。横隔膜との境界の輪郭Lc1、Lc2を繋ぐ場合は、Lc1とLc2の先端(内側の先端)を直線又は曲線により繋ぐ。
または、抽出された左右の肺の肺尖部の輪郭La1、La2を直線又は曲線により繋ぎ、外胸郭との境界の輪郭Lb1、Lb2を直線又は曲線により繋ぐことで、拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出することとしてもよい。肺尖部の輪郭La1、La2を繋ぐ場合、La1、La2の先端を直線又は曲線により繋いでもよいし、La1、La2の最も高い点を直線又は曲線により繋いでもよい。外胸郭との境界の輪郭Lb1、Lb2を繋ぐ場合は、Lb1とLb2の下端を直線又は曲線により繋ぐ。
図5は、抽出された左右の肺尖部の輪郭La1、La2を直線又は曲線により繋ぎ、外胸郭との境界の輪郭Lb1、Lb2を直線又は曲線により繋ぐことで抽出した拡張肺野領域Aの一例を示す図である。このように、外胸郭との境界の輪郭Lb1、Lb2を直線又は曲線により繋ぐことで、横隔膜の裏側の肺野(肺野の背中側)を拡張肺野領域に含めることが可能となる。
外胸郭との境界の輪郭Lb1、Lb2をどのような直線又は曲線により繋ぐかは、実験的経験的に求められた過去のデータに基づいて決定してもよい。例えば、過去の複数のX線画像(動態画像でも静止画でもよい。)において、例えば、胸部側面を撮影した画像等に基づいて肺の存在する領域を特定し、特定した領域を含むように外胸郭との境界の輪郭の下端を結ぶ直線又は曲線の式を求めて胸郭の幅及び/又は性別、身長、体重、年齢等の被写体属性情報に対応付けて記憶部32に記憶しておく。そして、処理対象の動態画像における胸郭の幅及び/又は被写体Mの被写体属性情報に応じた式を記憶部32から読み出して、読み出した式を適用してLb1とLb2を繋ぐ。これにより、より精度良く横隔膜の裏側の肺野(肺野の背中側)を拡張肺野領域に含めることが可能となる。
なお、左右の肺領域の肺尖の位置(例えば、La1とLa2のそれぞれの最も高い点)を検出し、一方の肺尖の位置が予め定められた閾値より低い場合、その肺尖の位置(上下方向の位置)を他方の肺尖の位置に合わせて調整してから(La1とLa2を調整してから)La1とLa2を繋いで拡張肺野領域を抽出することとしてもよい。
また、左右の肺領域の横隔膜との境界の位置(例えば、Lc1とLc2の内側の端部の位置)を検出し、一方の肺の横隔膜との境界の位置が予め定められた閾値より高い場合、その位置(上下方向の位置)を他方の位置に合わせて調整してから(Lc1とLc2を調整してから)Lc1とLc2を繋いで拡張肺野領域を抽出することとしてもよい。
また、左右の肺領域の外胸郭との境界の位置(例えば、Lb1とLb2の下端の位置)を検出し、一方の肺の外胸郭との境界の位置と胸椎との距離が予め定められた閾値より短い場合、その位置を他方の位置に合わせて調整してから(Lb1とLb2を調整してから)Lb1とLb2を繋いで拡張肺野領域を抽出することとしてもよい。
これらの補正により、左右のうち一方の肺の領域の輪郭の抽出に失敗しても、他方の肺の輪郭の情報から失敗を修正することが可能となる。
(2)まず、動態画像における処理対象のフレーム画像の各画素の画素信号値を予め定められた閾値により二値化して左右の肺の領域を抽出する。次いで、抽出された左右の肺領域について膨張処理と収縮処理を繰り返すことで左右の肺領域を連結させて拡張肺野領域を生成する。
なお、ステップS12で抽出された拡張肺野領域の輪郭はスムージングすることが好ましい。例えば、拡張肺野領域の輪郭を構成する各画素を順次最小二乗法等により補正していくことでスムージングを行う。これにより、拡張肺野領域を滑らかに見やすくすることができる。
次いで、動態画像において肺機能の解析が行われ、拡張肺野領域における画素毎又は複数画素のブロック毎の肺機能の解析結果を示す解析結果画像が生成される(ステップS13)。
ここで、肺の換気機能により肺が膨張して肺の密度が低くなると放射線透過量が大きくなるため動態画像の拡張肺野領域における画素信号値は大きくなる。一方、肺が収縮して肺の密度が高くなると放射線透過量が小さくなるため動態画像の拡張肺野領域における画素信号値が小さくなる。そこで、動態画像の拡張肺野領域の画素信号値の変化に基づいて、肺の換気機能の解析を行うことができる。また、肺に多くの血流が流れると放射線透過量が小さくなるため動態画像の拡張肺野領域における画素信号値が小さくなる。一方、肺の血流が少なくなると放射線透過量が多くなるため動態画像の拡張肺野領域における画素信号値が大きくなる。そこで、例えば、動態画像の拡張肺野領域の画素信号値の変化に基づいて、肺の血流機能の解析を行うことができる。
ステップS11で選択された肺機能が換気である場合、ステップS13においては、以下の換気解析が行われる。
まず、動態画像に時間方向のローパスフィルター処理が施される。具体的には、動態画像の画素毎に画素信号値の時間変化を求めて時間方向のローパスフィルター(例えば、カットオフ周波数0.85Hz)によりフィルタリングされる。次いで、動態画像の各フレーム画像における画素毎又は複数画素のブロック毎に画素信号値(ブロックの場合はブロック内の画素信号値の代表値(平均値、中央値、最大値等))の基準フレーム画像(ここでは、最大呼気位のフレーム画像)との差分値(絶対値)が算出され、各画素(又はブロック)の画素信号値が基準フレーム画像のその画素(又はブロック)の画素信号値との差分値からなる解析結果画像が生成される。そして、ステップS12において一のフレーム画像から拡張肺野領域が抽出された場合は、ステップS12において抽出された拡張肺野領域と同じ位置(座標)の領域が解析結果画像の各フレーム画像の拡張肺野領域として抽出され、抽出された拡張肺野領域以外の領域の画素信号値が除去又は減弱されることにより、拡張肺野領域における換気の解析結果画像が生成される。ステップS12において各フレーム画像から拡張肺野領域が抽出された場合は、解析結果画像の各フレーム画像において、ステップS12において対応するフレーム画像から抽出された拡張肺野領域と同じ位置(座標)の領域が拡張肺野領域として抽出され、抽出された拡張肺野領域以外の領域の画素信号値が除去又は減弱されることにより、拡張肺野領域における換気の解析結果画像が生成される。
なお、最大呼気位のフレーム画像は、拡張肺野領域の面積が最小のフレーム画像とすることができる。拡張肺野領域の面積は、拡張肺野領域の画素数×画素サイズにより求めることができる。また、横隔膜との境界の位置が最も高いフレーム画像を最大呼気位のフレーム画像としてもよい。
また、ステップS11で選択された肺機能が血流である場合、ステップS13においては、以下の血流解析が行われる。
まず、動態画像に時間方向のハイパスフィルター処理が施される。具体的には、動態画像の画素毎に画素信号値の時間変化を求めて時間方向のハイパスフィルター(例えば、カットオフ周波数0.80Hz)によりフィルタリングされる。次いで、動態画像の各フレーム画像における画素毎又は複数画素のブロック毎に画素信号値(ブロックの場合はブロック内の画素信号値の代表値(平均値、中央値、最大値等))の基準フレーム画像(ここでは、心臓領域の面積が最大のフレーム画像)との差分値(絶対値)が算出され、各画素(又はブロック)の画素信号値が基準フレーム画像のその画素(又はブロック)の画素信号値との差分値からなる解析結果画像が生成される。そして、ステップS12において一のフレーム画像から拡張肺野領域が抽出された場合は、ステップS12において抽出された拡張肺野領域と同じ位置(座標)の領域が解析結果画像の各フレーム画像の拡張肺野領域として抽出され、抽出された拡張肺野領域以外の領域の画素信号値が除去又は減弱されることにより、拡張肺野領域における血流の解析結果画像が生成される。ステップS12において各フレーム画像から拡張肺野領域が抽出された場合は、解析結果画像の各フレーム画像において、ステップS12において対応するフレーム画像から抽出された拡張肺野領域と同じ位置(座標)の領域が拡張肺野領域として抽出され、抽出された拡張肺野領域以外の領域の画素信号値が除去又は減弱されることにより、拡張肺野領域における血流の解析結果画像が生成される。
なお、心臓領域の面積は、例えば、特許第2796381号公報等の公知の画像処理技術を用いてフレーム画像から心臓領域を抽出し、抽出した心臓領域の画素数×画素サイズにより求めることができる。
また、ステップS11で選択された肺機能が血流である場合、ステップS13においては、特開2012−239796号公報に記載の手法を用いて解析結果画像を生成することとしてもよい。
まず、撮影開始からの拍動信号波形を取得し、拍動信号波形に対して、画素毎又は複数画素のブロック毎に、血流信号波形を1フレーム間隔ずつずらしながら(時間方向にシフトさせながら)、拍動信号波形と各画素又は各ブロックの血流信号波形との相互相関係数を算出し、1フレームずらす毎に算出された相互相関係数を各画素毎又は各ブロックに示した画像を1フレームとして並べた動画像を血流の解析結果画像として生成してもよい。そして、解析結果画像における拡張肺野領域以外の領域の画素信号値が除去又は減弱されることにより、拡張肺野領域における血流の解析結果画像を生成することとしてもよい。
血流信号波形は、一連のフレーム画像の各画素の時間変化に時間方向のハイパスフィルター処理(例えば、低域カットオフ周波数0.8Hz)を施してから各画素の画素信号値(ブロックの場合はブロック内の画素信号値の代表値(平均値、最大値等))の時間変化を示す波形を取得することにより求めることができる。
拍動信号波形としては、以下のいずれかを用いることができる。
(a)心臓領域(又は大動脈領域)にROI(関心領域)を定め、そのROIにおける信号値の時間変化を示す波形
(b)(a)の波形を反転させた信号波形
(c)心電検知センサーより得られた心電信号波形
(d)心壁の動き(位置の変化)を示す信号波形
また、相互相関係数は、以下の[数1]により求めることができる。ここで、小領域の出力信号波形とは、画素又はブロックの血流信号波形を指す。
なお、上記説明では、動態画像の全体領域において画素信号値変化に基づく解析を行って動態画像全体に対する解析結果画像の生成を行ってから、拡張肺野領域の解析結果を抽出することにより拡張肺野領域の解析結果画像を生成することとして説明したが、動態画像から予め抽出した拡張肺野領域に上述の処理を施して拡張肺野領域の解析結果画像を生成することとしてもよい。
次いで、拡張肺野領域の解析結果画像が表示部34に表示される(ステップS14)。
例えば、ステップS13で生成された拡張肺野領域の解析結果画像に画素信号値に応じた色を付して動態画像に重ねて表示部34に表示される。
図6は、動態画像全体の換気解析結果を示す解析結果画像と、従来の手法で抽出された肺野領域の換気解析結果を示す解析結果画像と、本実施形態の手法で抽出された拡張肺野領域の換気解析結果を示す解析結果画像を並べて示した図である。図6に示すように、動態画像全体の解析結果画像では、矢印で示すように、本来肺が存在しない領域についてもノイズの影響により換気機能を示す信号が取得されている。また、従来の手法で抽出された肺野領域の解析結果画像では、胸椎の手前側や心臓の奥側などの両肺の間の領域や横隔膜の奥側に存在する肺については換気機能を示す信号が取得できていない。これらに対し、本実施形態の手法で抽出された拡張肺野領域の解析結果画像では、胸椎の手前側や心臓の奥側などの両肺の間の領域や横隔膜の奥側に存在する肺についての換気機能を示す信号が漏れなく取得されている一方、ノイズの影響は除去されている。このように、本実施形態の手法により、胸部の動態画像から精度良く肺機能を示す情報を取得することが可能となる。
次いで、生成された解析結果画像に基づいて、肺機能の定量情報が算出される(ステップS15)。
例えば、ステップS11で選択された肺機能が換気である場合、ステップS15においては、肺の換気機能の定量情報として、肺活量及び/又は一秒率が算出される。ステップS11で選択された肺機能が血流である場合、ステップS15においては、肺の血流機能の定量情報として、輸液量(血液量)が算出される。
肺活量は、以下の(式1)により求めることができる。なお、(式1)〜(式3)におけるフレーム画像とは、解析結果画像のフレーム画像を指す。
肺活量=最大吸気位のフレーム画像の拡張肺野領域内の画素信号値の合計値×肺活量係数・・・(式1)
一秒率は、以下の(式2)により求めることができる。
一秒率=1−動態画像の呼気開始から1秒後のフレーム画像の拡張肺野領域内の画素信号値の合計値÷最大吸気位のフレーム画像の拡張肺野領域内の画素信号値の合計値・・・(式2)
輸液量は、以下の(式3)により求めることができる。
輸液量=心臓領域の面積が最小のフレーム画像における拡張肺野領域内の画素信号値の合計値×血液量係数・・・(式3)
ここで、心臓面積が最小のフレーム画像は、血流が肺野全体に拡がっている画像である。
なお、肺活量係数、血液量係数は、過去のデータに基づいて実験的又は経験的に予め求められたものである。
なお、(式1)〜(式3)においては、解析結果画像の所定のフレーム画像の拡張肺野領域における画素信号値の合計値を算出し、算出した合計値に基づいて定量情報を求めることとしているが、これに限らず、平均値、最大値、最小値、標準偏差等の他の統計値を算出し、算出した統計値に基づいて定量情報を求めることとしてもよい。定量情報に用いる統計値によって使用される係数は異なる。
本実施形態で生成された解析結果画像では、図6に示すように、胸椎の手前側や心臓の奥側などの両肺の間の領域や横隔膜の奥側に存在する肺についての機能情報についても漏れなく含まれている一方、ノイズの影響は除去されているため、肺機能の定量情報を精度良く算出することが可能となる。
次いで、算出された定量情報が表示部34に表示され(ステップS16)、動態解析処理は終了する。
以上説明したように、動態解析システム100によれば、診断用コンソール3の制御部31は、胸部の動態画像から、両肺及び両肺の間の領域を含む一つの領域で構成される拡張肺野領域を抽出し、抽出した拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する。したがって、胸椎の手前側や心臓の奥側などの両肺の間の領域や横隔膜の奥側に存在する肺についての機能情報を含み、ノイズの影響は除去された解析結果画像を生成するので、胸部の動態画像から精度良く肺機能の情報を取得することが可能となる。
なお、上記実施形態における記述内容は、本発明の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、図6に示すように、胸部の画像全体における換気機能の解析結果画像では、矢印で示したように左肺下にノイズの影響があるが、このノイズの影響は肺野から離れた位置に限定的に現れており、胸部画像全体における換気機能の解析結果画像から拡張肺野領域の範囲を推測することが可能である。そこで、拡張肺野領域を抽出する際には、まず、制御部31は、画像全体において換気の解析結果画像の生成を行い、生成された換気の解析結果画像に基づいて動態画像から拡張肺野領域を抽出することとしてもよい。
また、例えば、上記の説明では、本発明に係るプログラムのコンピュータ読み取り可能な媒体としてハードディスクや半導体の不揮発性メモリー等を使用した例を開示したが、この例に限定されない。その他のコンピュータ読み取り可能な媒体として、CD−ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。また、本発明に係るプログラムのデータを通信回線を介して提供する媒体として、キャリアウエーブ(搬送波)も適用される。
その他、動態解析システムを構成する各装置の細部構成及び細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
100 動態解析システム
1 撮影装置
11 放射線源
12 放射線照射制御装置
13 放射線検出部
14 読取制御装置
2 撮影用コンソール
21 制御部
22 記憶部
23 操作部
24 表示部
25 通信部
26 バス
3 診断用コンソール
31 制御部
32 記憶部
33 操作部
34 表示部
35 通信部
36 バス

Claims (16)

  1. 被写体の胸部の動態を放射線撮影することにより得られた動態画像から、両肺及び両肺の間の領域を含む一つの領域で構成される拡張肺野領域を抽出する拡張肺野領域抽出手段と、
    前記動態画像を解析して前記拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する生成手段と、
    を備える動態解析システム。
  2. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像の一のフレーム画像から拡張肺野領域を抽出し、
    前記生成手段は、前記動態画像を解析して前記動態画像の各フレーム画像に対応する複数のフレーム画像からなる解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像の各フレーム画像から前記拡張肺野領域抽出手段により抽出された一のフレーム画像の拡張肺野領域と同じ位置の領域を抽出することにより前記拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する請求項1に記載の動態解析システム。
  3. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像の複数のフレーム画像のそれぞれから拡張肺野領域を抽出し、
    前記生成手段は、前記動態画像を解析して前記動態画像の各フレーム画像に対応する複数のフレーム画像からなる解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像の各フレーム画像から前記拡張肺野領域抽出手段により抽出された対応するフレーム画像の拡張肺野領域と同じ位置の領域を抽出することにより前記拡張肺野領域における肺機能の解析結果を示す解析結果画像を生成する請求項1に記載の動態解析システム。
  4. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像における前記拡張肺野領域の抽出対象のフレーム画像から左右の肺領域の輪郭をそれぞれ抽出し、抽出した輪郭のうち外側の輪郭同士を繋ぐことで前記拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する請求項1〜3のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  5. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域の肺尖部の輪郭同士を直線又は曲線により繋ぎ、前記左右の肺領域のそれぞれにおける横隔膜との境界の輪郭同士を直線又は曲線により繋ぐことで、前記拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する請求項4に記載の動態解析システム。
  6. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域の肺尖部の輪郭同士を直線又は曲線により繋ぎ、前記左右の肺領域のそれぞれにおける外胸郭との境界の輪郭の下端同士を直線又は曲線により繋ぐことで、拡張肺野領域の輪郭を生成し、生成した輪郭内を拡張肺野領域として抽出する請求項4に記載の動態解析システム。
  7. 胸郭の幅及び/又は被写体属性情報に対応付けて、その胸郭の幅及び/又は被写体属性情報に該当する被写体について実験的又は経験的に求められた前記外胸郭との境界の輪郭の下端同士を繋ぐための直線又は曲線の式を記憶する記憶手段を備え、
    前記拡張肺野領域抽出手段は、前記記憶手段に記憶されている直線又は曲線の式を用いて、前記左右の肺領域のそれぞれにおける外胸郭との境界の輪郭の下端同士を直線又は曲線により繋ぐ請求項6に記載の動態解析システム。
  8. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域の肺尖の上下方向の位置を検出し、一方の肺尖の位置が予め定められた閾値より低い場合、その肺尖の位置を他方の肺尖の位置に合わせて調整してから前記左右の肺領域の輪郭を抽出する請求項4〜7のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  9. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域のそれぞれにおける横隔膜との境界の上下方向の位置を検出し、一方の肺における横隔膜との境界の位置が予め定められた閾値より高い場合、その位置を他方の位置に合わせて調整してから前記左右の肺の領域の輪郭を抽出する請求項4〜8のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  10. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記左右の肺領域のそれぞれにおける外胸郭との境界の位置を検出し、一方の肺における外胸郭との境界の位置と胸椎との距離が予め定められた閾値より短い場合、その位置を他方の位置に合わせて調整してから前記左右の肺の領域の輪郭を抽出する請求項4〜9のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  11. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像における前記拡張肺野領域の抽出対象のフレーム画像の各画素の画素信号値を予め定められた閾値により二値化して左右の肺領域を抽出し、抽出した前記左右の肺領域に対して膨張処理と収縮処理を繰り返して前記左右の肺領域を連結させることにより拡張肺野領域を抽出する請求項1〜3のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  12. 前記拡張肺野領域抽出手段は、前記動態画像の換気機能に係る解析結果を示す解析結果画像を生成し、生成した解析結果画像に基づいて、前記拡張肺野領域を抽出する請求項1〜3のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  13. 前記拡張肺野領域抽出手段は、抽出された拡張肺野領域の輪郭をスムージング処理する請求項1〜12のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  14. 前記生成手段により生成された拡張肺野領域の解析結果画像を前記動態画像に重ねて表示する表示手段を備える請求項1〜13のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  15. 前記生成手段により生成された解析結果画像に基づいて、前記被写体の肺機能の定量情報を算出する算出手段を備える請求項1〜14のいずれか一項に記載の動態解析システム。
  16. 前記算出手段は、前記生成手段により生成された解析結果画像における拡張肺野領域の画素信号値の統計値を算出し、算出した統計値に基づいて、前記被写体の肺機能の定量情報を算出する請求項15に記載の動態解析システム。
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