JP7254004B2 - コンピュータプログラムおよびダム流入量予測プログラム並びにダム流入量予測システム - Google Patents
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Description
例えば、洪水時には、下流河川に急激な水位上昇を起こさせないよう、かつ、下流河川の計画洪水流量を超えないよう、さらには、ダム貯水池の洪水時最高水位を超えないよう、ダムからの放流時系列を決定する。
これら洪水時および平水時の操作には、数時間先までのダム流入量を予測することが重要である。
先ず、特許文献1に開示された「水力発電所の水位管理システム」は、非定常時に必要な天気情報と河川の上流情報をデータ採取手段で入手してシミュレーションを行い、結果を運転員に分かり易くガイダンスして、運転員の負担の軽減を図り、非定常時に熟練運転員に頼らなくても運用することを可能にするシステムである。このシステムでは、河川の上流水位データに所定の着水遅れの時間処理をすることで、ダム流入量を算出する。
ここにおいて、帰納モデルの長所は、予測対象の現象の原因が分からない場合であっても、予測対象の現象と相関の高いデータがあれば、このモデルを適用できることである。ただし、相関を知るためには、十分な量の過去のデータが必要である。また、短所は、予測対象の現象が、ごく稀に発生する状態、あるいは過去に観測されたことのない状態となった場合、予測が困難となることである。例えば、既往最大を超える洪水に対して、信頼できる予測を出すことが難しい。
本発明は、上述した課題に鑑みてなされたものであり、上述した課題を解決するために、平水時であっても洪水時であっても、誤差の小さい予測を出力することを可能にするダム流入量予測プログラムを提供する。
本実施例のコンピュータシステムは、インターネット160に接続される、予測サーバ110、データサーバ180およびクライアント端末170によって構成される。
HDD140は、ダム流入量予測プログラム121の処理結果を格納する。
気象データ181は、過去の気象観測時系列、あるいは未来の気象予測時系列のデータであり、時系列のメッシュデータとして格納される。すなわち、時空間を時間、高度、緯度および経度の4軸で定義し、それぞれの軸ごとに、開始点、終了点および解像度が定義され、それに基づいて時空間がセルに分割され、各セルに値が格納される。
ステップ201(S201)で、予測サーバ110は、データサーバ180にリクエストを送り、気象データ181および河川観測データ182を取得する。
ダム流入量予測プログラム121は、制御モジュール310、帰納モデルモジュール320、演繹モデルモジュール330、前判定モジュール340、後判定モジュール350およびデータアクセスモジュール360から構成される。各モジュール間のやり取りは、関数呼び出しにより実現される。
ステップ401(S401)で、制御モジュール310は、データアクセスモジュール360に対してデータのリクエストを出して、データアクセスモジュール360から気象データ181および河川観測データ182を取得する。
a)最新の河川観測データ182において、特定の地点の河川流量があらかじめ決めた閾値(洪水流量)以下となる場合
b)前回のダム流入量予測結果データにおいて、特定の地点の河川流量があらかじめ決めた閾値(洪水流量)以下となる場合
c)GUIに備えられたラジオボタン(図5に示す、540)により、ユーザが演繹モデルか帰納モデルかの選択から帰納モデルの選択操作を行った場合
d)最新の河川観測データ182において、特定の地点の河川流量があらかじめ決めた閾値(洪水流量)を超える場合
e)前回のダム流入量予測結果データにおいて、特定の地点の河川流量があらかじめ決めた閾値(洪水流量)を超える場合
f)GUIに備えられたラジオボタン(図5に示す、540)により、ユーザが演繹モデルか帰納モデルかの選択から演繹モデルの選択操作を行った場合
前判定モジュール340が、ステップ402でいずれか一方のモデルモジュールのみ使用すると判定していた場合には、使用すると判定されたモデルモジュールの予測結果が選択される。
制御モジュール310は、採用した予測結果データをHDD140に格納する。
第1のGUIは、ウェブページ500から構成される。このウェブページ500は、クライアント端末170のウェブブラウザに表示される。また、このウェブページ500は、後述する第2のGUIによるウェブページ600と同時に表示され、ユーザはどちらの画面を操作することもできる。
また、横軸上には、最新の予報の初期時刻を示すアイコン530(逆三角印)が示される。このアイコン530が示す時刻より、前の時刻のグラフが観測結果を示し、後の時刻のグラフが予測結果を示す。
第2のGUIは、ウェブページ600から構成される。先のウェブページ500と同様に、このウェブページ600は、クライアント端末170のウェブブラウザに表示される。
まず、時刻ペイン640には、現在時刻641が表示されると共に、コントロールバー642が表示される。ユーザがコントロールバー642を操作すると、データがある期間の任意の時刻に移動させることができる。
120 メモリ
121 ダム流入量予測プログラム
130 CPU
140 HDD
160 インターネット
170 クライアント端末
180 データサーバ
181 気象データ
182 河川観測データ
183 地図データ
310 制御モジュール
320 帰納モデルモジュール
330 演繹モデルモジュール
340 前判定モジュール
350 後判定モジュール
360 データアクセスモジュール
500,600 ウェブページ
510 実績および予測の降水量時系列グラフ
511 降雨強度の棒グラフ
512 積算降水量の線グラフ
520 実績および予測のダム流入量、ダム放流量およびダム貯水池水位の時系列グラフ
521 ダム流入量の線グラフ
522 ダム放流量の線グラフ
523 ダム貯水池水位の線グラフ
530 アイコン
540 ラジオボタン
610 地図
620 河川横断図
630 河川縦断図
640 時刻ペイン
Claims (5)
- 河川および気象に関する観測データを入力値とする入力部と、
前記入力値に対してダム流入量を予測して第1の予測結果を出力する帰納モデル部と、
前記入力値に対してダム流入量を予測して第2の予測結果を出力する演繹モデル部と、
前記入力値から得た特定の地点の河川流量と所定の閾値との比較判定から前記帰納モデル部および前記演繹モデル部の使用の可否を決定する第1の判定部と、
前記第1の予測結果または前記第2の予測結果を表示する表示部と
を備え、
前記第1の判定部は、前記特定の地点の河川流量が前記閾値以下の場合に平水と判定して前記帰納モデル部を使用し、前記特定の地点の河川流量が前記閾値を超える場合に洪水と判定して前記演繹モデル部を使用することを決定する
ことを特徴とするダム流入量予測システム。 - 請求項1に記載のダム流入量予測システムであって、
前記第1の予測結果と前記観測データとの偏差の絶対値および前記第2の予測結果と前記観測データとの偏差の絶対値を比較判定する第2の判定部を備え、
前記第2の判定部は、前記双方の絶対値の内の小さい方の前記予測結果を採用する
ことを特徴とするダム流入量予測システム。 - 請求項1または2に記載のダム流入量予測システムであって、
前記演繹モデル部は、貯留関数といった集中型流出モデル、あるいは分布型流出モデルおよび1次元河道モデルの結合モデルを用い、
前記帰納モデル部は、ニューラルネットワーク、ランダムフォレスト、または重回帰モデルといった機械学習モデル、あるいは当該機械学習モデルそれぞれを組み合わせたアンサンブルモデルを用いる
ことを特徴とするダム流入量予測システム。 - コンピュータに実行させるためのダム流入量予測プログラムであって、
河川および気象に関する観測データを取得する入力ステップと、
前記観測データから得た特定の地点の河川流量と所定の閾値とを比較して、帰納モデルを使用するか否かおよび演繹モデルを使用するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップで、前記特定の地点の河川流量が前記閾値以下の場合に平水と判定され前記帰納モデルを使用すると決定された際に、当該帰納モデルを使用してダム流入量の第1の予測データを出力する第1の予測ステップと、
前記判定ステップで、前記特定の地点の河川流量が前記閾値を超える場合に洪水と判定され前記演繹モデルを使用すると決定された際に、当該演繹モデルを使用してダム流入量の第2の予測データを出力する第2の予測ステップと、
前記第1の予測データまたは前記第2の予測データを表示する表示ステップと
を有するコンピュータに実行させるためのダム流入量予測プログラム。 - 請求項4に記載のコンピュータに実行させるためのダム流入量予測プログラムであって、
前記第1および前記第2の予測ステップと前記表示ステップとの間に、
前記第1の予測データと前記観測データとの偏差の絶対値および前記第2の予測データと前記観測データとの偏差の絶対値を比較判定し、前記双方の絶対値の内の小さい方の前記予測データを採用する第2の判定ステップ
を有するコンピュータに実行させるためのダム流入量予測プログラム。
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