JP7253960B2 - C5+化合物の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、植物由来バイオマスから金属系触媒を用いた触媒反応により炭素数5以上の化合物(C5+化合物)を製造する技術に関する。
植物由来バイオマスは、主として、多糖であるセルロース及びヘミセルロースと高分子化合物のリグニンとの混合物(リグノセルロース)からなる。液体燃料は、この多糖成分を糖化(加水分解)し単糖へと分解し、分解された単糖を原料とすることで得られる。かかる糖化及び単糖への分解には、硫酸を用いる酸糖化法、及び、酵素を用いる酵素糖化法などが知られている。リグノセルロースの構造は非常に強固であるため、このような分解を促進させるために、バイオマスに対する処理として、例えば、高温高圧の水を用いて処理する水熱法、又は、機械的に粉砕するメカノケミカル法などが採用されている。
特許文献1には、リグノセルロース系バイオマスからの液体燃料及び化学物質の製造のための触媒として水相改質(APR)触媒及び水素化脱酸素(HDO)触媒などが利用されていることが開示されている。特許文献1では、ミネラル塩、ミネラル酸、タンパク質性物質、灰分及びその他有機物などの汚染物質を、水、汚染物質及びバイオマス由来の含酸素炭化水素を含む原料から除去することが述べられている。
このような汚染物質は、触媒の寿命及び機能を低下させる触媒毒となってしまう可能性があり、そのため、上記のように汚染物質の除去を行う場合がある。
ところで、植物由来バイオマスから炭素鎖を維持したままヘキサノール及びペンタノール、そしてこれらを脱水したヘキセン及びペンテンといった炭化水素を得ることで、ガソリンなどの燃料基材に利用しようとする試みも行われている。
例えば、特許文献2には、セルロース及びヘミセルロースからヘキサノール及びペンタノールを得る方法において、Ir-Re(イリジウム-レニウム)系触媒を用いて選択的に反応を進行させる方法が開示されている。具体的には、水相中にIr-Re系触媒とともにセルロース系バイオマスを入れて糖化することによってグルコース及びキシロースを得、更にこれらを水素化してそれぞれソルビトール及びキシリトールを得、これらの水素化分解によりヘキサノール及びペンタノールを得ることが述べられている。
また、特許文献3には、触媒を用いて、炭素数5又は6の糖アルコールであるソルビトール又はキシリトールの一部を水相改質するとともに残部を水素化分解し、炭素数を維持してヘキサノール又はペンタノールを得る方法が開示されている。
米国特許第9862893号明細書 特開2016-33129号公報 特開2017-7950号公報
本発明者らは、特許文献1に記載のようなリグノセルロース系バイオマス由来の含酸素炭化水素を含む原料からC5+化合物を製造する方法において、特許文献2及び3に記載のIr-Re系触媒のような金属系触媒を用いることを検討した。この場合においても水素化分解を行う際における触媒毒の影響を考慮し得る。
本発明の目的とするところは、植物由来バイオマスから金属系触媒を用いた触媒反応における触媒毒を抑制し、高い収率でC5+化合物を得られる技術を提供することにある。
本開示の一態様に係るC5+化合物の製造方法は、植物由来バイオマスを糖化した糖化バイオマスから、糖化に用いられる酵素に由来する成分を除去する成分除去工程と、酵素に由来する成分が除去された糖化バイオマスのpHを調整するpH調整工程と、pHが調整された糖化バイオマスから金属系触媒を用いる触媒反応によりC5+化合物を製造する触媒反応工程と、を含む。
反応工程の一例を示す図である。 反応工程のうちの水素化分解の工程の一例を示す図である。 C5+化合物の製造方法を示すフロー図である。
以下に、本発明によるC5+化合物の製造方法の1つの実施形態について図1乃至図3を用いてその詳細を説明する。
本実施形態におけるC5+化合物の製造方法は、リグノセルロース系バイオマスなどの植物由来バイオマスを加水分解によって糖化した単糖類などからなる糖化バイオマスを出発物質として、炭素数6のC6化合物又は炭素数5のC5化合物を触媒反応の利用によって製造するものである。ここで「C5+」はC6及びC5の両者を含み、「C5+化合物」は、かかる炭素数のモノアルコール及びアルカンを主として含むものである。また、例えば、炭素数6のC6モノアルコールであるヘキサノールは、ヒドロキシ基の位置により1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、3-ヘキサノールの3種類となるが、本実施形態においてはそのいずれをも含み得る。炭素数5のC5モノアルコールであるペンタノールについても同様に、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノールのいずれをも含み得る。また、炭素数6のC6アルカンはヘキサン、炭素数5のC5アルカンはペンタンである。
図1は、本実施形態におけるC5+化合物を得る反応工程の一例を示す図である。図1に示すように、本実施形態におけるC5+化合物の製造では、その反応工程において、まず、植物由来バイオマスを加水分解によって糖化し、単糖類を含む糖液である糖化バイオマスを得る。すなわち、リグノセルロースなどのバイオマスを糖化することによって、グルコース及びキシロースなどの単糖類を得る。ここで、グルコース及び/又はキシロースを糖化バイオマスの主成分とすることが炭素数6又は炭素数5のC5+化合物を得る上で好ましい。得られた糖化バイオマスの単糖類は触媒を用いて水素化されることにより、糖アルコールとなり、さらに触媒を用いて水素化分解されることにより、炭素数6又は炭素数5のモノアルコール及びアルカンなどからなるC5+化合物が得られる。
ここで、水素化の工程における触媒反応及び水素化分解の工程における触媒反応に用いられる触媒としては、金属系触媒を採用する。金属系触媒は、金属及び/又は金属酸化物を触媒担体に担持させたものであり、例えば、Ir及びReOを二酸化ケイ素(SiO)又は酸化チタン(TiO)に担持させたIr-Re系触媒が挙げられる。なお、金属系触媒はこれに限定されず、例えば、Rh及びMoOをSiO又はTiOに担持させたものであってもよい。また、金属系触媒は、更に貴金属が用いられたものであってもよい。金属系触媒は、例えば、Pt又はPdなどの貴金属を上記Ir-Re系触媒に担持させたものであってもよい。なお、水素化の工程に用いる触媒と、水素化分解の工程に用いる触媒とは、同じものであってもよいし、異なるものであってもよいが、少なくとも水素化分解の工程に用いる触媒は、Ir-Re系触媒であることが好ましい。Ir-Re系触媒を用いることで、触媒反応の反応効率を向上させ得る。
図2は、本実施形態における反応工程のうち、水素化分解の工程の一例を示す図である。図2に示すように、水素化分解の工程における触媒反応においては、水相改質によって得られる水素(内部水素)と、外部から供給される水素(外部水素)とを利用して、触媒を用いて水素化分解を行う。具体的には、水素化分解の工程では、糖化バイオマスに含まれる単糖を水素化して得られる糖アルコールの一部を水相改質することにより水素を得て、水相改質により得られた水素を用いて糖アルコールの残部を水素化分解する。例えば、図示するようなソルビトールからC6化合物を生成する場合、ソルビトールの一部から水相改質により水素を得て、かかる水素を利用して、ソルビトール(又は、ソルビトールに分解される前のグルコースを含む)の残部を水素化分解して、C6化合物が生成される。単糖をキシリトールとした場合においては、図示を省略するが、同様に一部を水相改質して得た水素を水素化分解に用い得る。ここで、水相改質を含む水素化分解の工程では、Ir-Re系触媒にPt又はPd等の貴金属を担持させた触媒を用いることが好ましい。
なお、図2に示す水素化分解の工程は一例であり、水素化分解の工程において、水相改質を行わなくてもよい。この場合、水素化分解に用いる水素を外部から供給してもよい。また、水相改質によって得られる水素及び外部から供給される水素の両方を用いて水素化分解を行ってもよい。
図3は、C5+化合物の製造方法の一例を示すフロー図である。図3を参照すると、本実施形態に係るC5+化合物の製造方法は、植物由来バイオマスから糖化バイオマスを製造し(S1)、その後、糖化バイオマスに対し、成分除去(S2)及びpH調整(S3)をこの順に行い、触媒反応(S4)を行う。
糖化バイオマスの製造(S1)は、どのような方法で行われるものであってもよい。本実施形態では、公知の製造方法で行われるとする。植物由来バイオマスには、様々な不純物が含まれているため、該植物由来バイオマスから得られる糖化バイオマスにも不純物が含まれる。
なお、本願発明者らは、金属系触媒の一つであるIr-Re系触媒が酸性条件下で良好に触媒反応を進行させることを観察している。したがって、本願発明者らは、触媒反応の進行に糖類過分解物に含まれる有機酸の影響は少ないという知見を得た。また、糖類過分解物であるフルフラールを含まないユーカリ由来のパルプ糖液を用いた触媒反応の試験において、触媒反応を進行させない場合のあることが観察されている。よって、本願発明者らは、糖類過分解物以外の物質によって触媒反応の進行が妨げられていると考えた。糖化バイオマスに含まれる糖類過分解物以外の物質には、例えば、NaCl、硫黄分(S分)及び窒素分(N分)等が含まれる。このうち、例えばNaClは数百ppm程度含まれることはあるが、この程度の濃度のNaClが触媒活性の低下に影響を及ぼさないことが観察されている。また、S分及びN分に対し、イオン交換によって、イオン性を除去しても、その後の処理によっては、触媒の活性の低下が観察された。よって、本願発明者らは、イオン性を有するS分及びN分が触媒活性の低下の原因ではないと考えた。すなわち、本願発明者らは、イオン性を有しないS分及びN分の少なくとも何れかを含む成分、具体的には、タンパク質及びタンパク質の構成要素のアミノ酸、例えばメチオニン及びシステインが触媒活性の低下の主な原因であることを見出した。
得られた糖化バイオマス中に糖化に用いられる酵素、又は、タンパク質若しくはアミノ酸が残存すると、糖化バイオマス中の単糖のその後の触媒反応の進行を妨げるように触媒を被毒させてしまうことがある。タンパク質及びアミノ酸は主として糖化バイオマスの製造(S1)に用いられる酵素に由来する成分(酵素由来成分)である。本発明者らは触媒活性の低下の主な原因と考えられるタンパク質及びアミノ酸などの酵素由来成分又は酵素成分を除去することで触媒の被毒を抑制できることを見出した。
そこで、成分除去(S2)の工程において糖化に用いられる酵素由来成分を除去する。具体的には、例えば吸着剤を糖化バイオマス中に投入し、その後、当該吸着剤を糖化バイオマス中から除去することで、酵素成分、並びに、タンパク質及びアミノ酸を含む酵素由来成分を除去する。吸着剤としては、例えば、二酸化ケイ素及び酸化マグネシウムを主成分とする「ミズカライフ」(登録商標、水澤化学工業株式会社製)が好適である。なお、酵素由来成分は、例えば、タンパク質及びアミノ酸であるが、これに限定されるものではなく、他の酵素由来の成分を含む。
また、pH調整(S3)の工程では、成分除去(S2)の工程において吸着剤を用いることで塩基性になった糖化バイオマスを中性又は酸性にする。触媒反応に用いるIr-Re系触媒は酸性環境において高い活性を得られる。よって、高い活性を維持させるようpHを調整する。具体的には、イオン除去又は酸処理を行う。イオン除去とは、例えばイオン交換樹脂を糖化バイオマス中に投入し、その後、当該イオン交換樹脂を糖化バイオマス中から除去することで、金属イオン、無機酸イオン及び無機塩基イオン等を含む無機イオンを除去することである。また、酸処理とは、例えば、糖化バイオマス中に酸(例えば、硫酸)を投入することで、糖液を酸性にすることである。
以上のような、成分除去(S2)及びpH調整(S3)をこの順で行うことで、続く触媒反応(S4)において金属系触媒の触媒毒を抑制し高い活性を維持させて、水素化及び水素化分解の工程における触媒反応を進行させて高い収率でC5+化合物を得ることができる。
[C5+化合物の製造試験]
次に糖化バイオマスを用いたC5+化合物の製造試験について説明する。
[試験1]
糖化バイオマスとしてユーカリ由来のパルプ糖液を準備し、当該パルプ糖液に対し、成分除去(S2)及びpH調整(S3)を行った。その後、金属系触媒を用いた触媒反応により、生成されたC5+生成物を分析した。pH調整(S3)の工程では、イオン除去を行った。
表1に示すように、まず、成分除去(S2)を行った2種類のパルプ糖液を準備した。すなわち、成分除去(S2)において、ミズカライフ(登録商標、水澤化学工業株式会社製)を吸着剤として用いたもの(A:No.1、3)及び炭素吸着剤を用いたもの(B:No.2、4)を準備した。このうちNo.1、2についてはイオン除去をせず、No.3、4については、イオン除去を行った。イオン除去では糖液20gに対してイオン交換樹脂としてダイアイオン(登録商標、SMNUPB;三菱ケミカル株式会社製)7.5gを添加し、その後糖液からイオン交換樹脂を除去した。なお、No.5は比較のため、精製されたグルコース試薬を糖液として用いた。
Figure 0007253960000001
ここで、各糖液の性状を調査した。Naイオン濃度は、ICP発光分光分析装置によって定量分析した。S分は、燃焼管式酸素法-イオンクロマトグラフ法によって定量分析した。また、グルコース(Glu)及びキシロース(Xyl)は、高速液体クロマトグラフによって定量分析した。
次いで、No.1~5の糖液のそれぞれに対し、触媒反応させた。触媒反応には、加熱容器として、ガラス製内管を有するSUS316製オートクレーブ(容量:100mL)を用いた。加熱容器内に水5.0gを収容しIr-ReO/SiO触媒0.3gを還元処理した後、該加熱容器内に糖液5.0gを収容した。なお、No.5については糖液5.0gの代わりにグルコース試薬0.75gを収容した。次いで、加熱容器内にn-トリデカン20mLを加え、加熱容器内の圧力が室温で6.0MPaとなるよう水素ガスを導入し、加熱容器を180℃に加熱して3時間保持した。
反応後のグルコース(Glu)及びキシロース(Xyl)の残存量を上記と同様に定量分析して転化率を求めた。また、「C5+生成物」としてC5+アルカン(ヘキサン及びペンタン)、C5+モノオール(ヘキサノール及びペンタノール)、C5+ジオール(ヘキサンジオール及びペンタンジオール)をガスクロマトグラフ及び高速液体クロマトグラフを用いて定量分析し収率を求めた。なお、表中「ND」は対象とする物質が検出されなかったことを示す。
なお、単糖(ここではグルコース及びキシロース)の転化率は、単糖を他の物質に転化させた割合であり次式で与えられる。
転化率(%)=(反応前の単糖の量-反応後の単糖の量(残存量))/(反応前の単糖の量)×100
また、収率は単糖(グルコース及びキシロース)から転化された着目する生成物、すなわちC5+化合物の炭素収率であり、次式で与えられる。
収率(%)=(着目する生成物の総炭素モル数)/(単糖の総炭素モル数)×100
例えば、「着目する生成物の総炭素モル数」は、定量分析された着目する生成物のモル数に、その生成物の炭素数をかけて算出できる。また、「単糖の総炭素モル数」も同様に、加熱容器に仕込んだ単糖のモル数に、炭素数をかけて算出できる。
グルコース及びキシロースの転化率から、No.1~5の試料の全てにおいて、グルコース及びキシロースのほぼ全量が触媒反応によって水素化されたものと考えられる。しかし、イオン除去を行わなかったNo.1、2においてC5+アルカン、C5+モノオールが生成されず、触媒の被毒によって水素化分解の工程における触媒反応が充分に進行しなかったものと考えられる。また、イオン除去を行ったNo.3、4においてグルコース試薬を用いたNo.5と比較しても十分な量のC5+アルカン、C5+モノオールが生成された。これにより、成分除去(S2)及びpH調整(S3;イオン除去)をこの順で行うことで、水素化分解の工程におけるIr-Re系触媒の被毒を低減でき、高い収率でC5+化合物を製造できた。
[試験2]
さらに、同様にC5+化合物の製造試験を行い、生成物を分析した。
表2に示すように、No.3、4及び5については試験1と同一の試料であり、比較のために同一の試験結果を示した。No.6では成分除去(S2)及びpH調整(S3、イオン除去)のいずれも行わなかった糖液を準備した。また、No.7ではNo.3と同様に成分除去(S2)においてミズカライフ(登録商標)を吸着剤として用い、イオン除去をした糖液を用いたが、触媒反応において触媒の投入量を0.1gに減じた。No.8では成分除去(S2)及びイオン除去を逆の順番で行って得た糖液を用いて、触媒の投入量を0.1gとした。また、触媒反応についても試験1と同様に行った。
Figure 0007253960000002
各糖液の性状は、試験1と同じ項目については同じ方法を用いて定量分析した。N分は、酸素燃焼-化学発光法によって定量分析した。また、pHは、ガラス薄膜電位差法で測定した。なお、No.7、8については電気伝導率を交流2極法によって測定し、Naイオンの欄に符号を付して欄外に示した。No.8ではNaイオン濃度を測定していない。
成分除去(S2)及びpH調整(S3、イオン除去)のいずれも省略したNo.6では、他に比べて触媒反応に用いた糖液のS分及びN分が多く、触媒反応後にC5+アルカン及びC5+モノオールが検出されなかったことから、触媒の被毒によって触媒反応が充分に進行しなかったことが判る。特に、グルコース及びキシロースの転化率が試験1も含めた他の試料に比べて低く、水素化の工程における触媒反応に関しても触媒に被毒の影響があったものと考えられる。このような被毒は、触媒反応に用いた糖液にS分及びN分を含む酵素由来成分が多かったことが主な原因であると考えられる。
No.7では触媒の量を少なくしたためNo.3に比べて生成されたC5+アルカン及びC5+モノオールの量が少なくなったが、触媒反応は比較的良好に進行したものと考えられる。これに対してpH調整(S3、イオン除去)の後に成分除去(S2)を行うように順番を入れ替えて処理したNo.8では、pHの数値が大きくなり、生成物としてC5+アルカン及びC5+モノオールが検出されなかった。つまり、成分除去(S2)及びpH調整(S3)は、この順で行われる必要がある。なお、触媒反応に用いた糖液の電気伝導率において、No.7よりもNo.8の方が大幅に大きく、このことからも、イオン除去を先に行ってもその後の成分除去によって塩基性環境になったと考えられる。
[試験3]
さらに、同様にC5+化合物の製造試験を行い、生成物を分析した。表3に示すように、No.3については試験1及び2と同一の試料であり、比較のために同一の試験結果を示した。No.9では成分除去(S2)を行った後、pH調整(S3)として、酸処理を行った。No.9ではNo.3と同様に成分除去(S2)においてミズカライフ(登録商標)を吸着剤として用いた。酸処理では、成分除去を行った糖液に硫酸123mgを添加した。触媒反応についても試験1と同様に行った。
Figure 0007253960000003
No.9の糖液の性状は、成分除去(S2)の工程を行った後に、試験2と同じ方法を用いて定量分析した。また、転化率及び収率は試験2と同じ方法を用いて定量分析した。pH調整(S3)の工程において、酸処理を行ったNo.9では、溶液中にS分及びN分が含まれるが、水素化分解において触媒反応が充分に進行した。糖液に酸を加えたことから、溶液が酸性となり、Ir-Re系触媒の反応が進んだことがわかる。このように、pH調整の工程において酸処理を行うことにより、Ir-Re系触媒の被毒を低減でき、高い収率でC5+化合物を製造できた。
以上、本開示による実施例を説明したが、本開示は必ずしもこれに限定されるものではなく、当業者であれば、本開示の主旨又は添付した特許請求の範囲を逸脱することなく、様々な代替実施例及び改変例を見出すことができるであろう。
S1 糖化バイオマスの製造
S2 成分除去
S3 pH調整
S4 触媒反応

Claims (8)

  1. 植物由来バイオマスを糖化した糖化バイオマスから、糖化に用いられる酵素に由来する成分であるタンパク質及びタンパク質の構成要素のアミノ酸吸着剤にて除去する成分除去工程と、
    前記酵素に由来する成分が除去された一方で前記吸着剤により塩基性になった前記糖化バイオマスのpHを調整するpH調整工程と、
    pHが調整された前記糖化バイオマスから、触媒担体にIr及びReOxを担持させたIr-Re系触媒である金属系触媒を用いる触媒反応によりC5+化合物を製造する触媒反応工程と、
    を含むことを特徴とするC5+化合物の製造方法。
  2. 前記酵素に由来する成分はメチオニン又はシステインを含むことを特徴とする請求項1記載のC5+化合物の製造方法。
  3. 前記酵素に由来する成分はイオン性を有しない硫黄分及び窒素分の少なくとも何れかを含む成分であることを特徴とする請求項1又は2に記載のC5+化合物の製造方法。
  4. 前記pH調整工程は、前記糖化バイオマスに酸を添加する酸処理によることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のC5+化合物の製造方法。
  5. 前記pH調整工程は、前記糖化バイオマスからイオンを除去するイオン除去によることを特徴とする請求項1乃至3のうちの1つに記載のC5+化合物の製造方法。
  6. 前記イオン除去はイオン交換樹脂により無機イオンを除去する処理であることを特徴とする請求項記載のC5+化合物の製造方法。
  7. 前記触媒反応工程はpHが調整された前記糖化バイオマスを水素化し、得られる糖アルコールを水素化分解することを特徴とする請求項1乃至6のうちの1つに記載のC5+化合物の製造方法。
  8. 前記糖化バイオマスの主成分はグルコース及びキシロースの少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1乃至7のうちの1つに記載のC5+化合物の製造方法
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Title
Green Chemistry,2015年10月29日,Vol.18,p.165-175
中川善直ほか,[A15]Re修飾Ir触媒を用いた糖および糖アルコールの水素化分解によるアルカン合成,石油学会 年会・秋季大会講演要旨集 第62回研究発表会,2013年,p.51-52

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