以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る空調システムを包含したエネルギー管理システム1の全体構成を示す図である。このエネルギー管理システム1は、一般家庭で使用される電力の管理を行う、いわゆる、HEMS(Home Energy Management System)と呼ばれるシステムである。エネルギー管理システム1は、制御装置2と、操作端末3と、電力計測装置4と、発電設備5と、空調機6と、日射遮蔽装置7a~7dと、照明器8a~8eとを備える。
制御装置2は、本発明に係る制御装置の一例である。制御装置2は、家屋H内の適切な場所に設置され、エネルギー管理システム1を統括的に制御する。制御装置2の詳細については後述する。
操作端末3は、押しボタン、タッチパネル、タッチパッド等の入力デバイスと、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示デバイスと、通信インタフェースとを備えた、例えば、スマートフォン、タブレット端末等のスマートデバイスである。操作端末3は、制御装置2と、Wi-Fi(登録商標)、Wi-SUN(登録商標)、有線LAN等の周知の通信規格に則った通信を行う。操作端末3は、ユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作内容を示す情報を制御装置2に送信する。また、操作端末3は、制御装置2から送信された、ユーザに提示するための情報を受信し、受信した情報を表示する。このように、操作端末3は、ユーザとのインタフェース(いわゆる、ユーザインタフェース)としての役割を担う。
電力計測装置4は、家屋Hに配設された電力線PL1~PL3のそれぞれを介して送電される電力を計測する。電力線PL1は、商用電力系統9と分電盤10との間に配設され、電力線PL2は、発電設備5と分電盤10との間に配設され、電力線PL3は、分電盤10と空調機6との間に配設される。電力計測装置4は、電力線PL1~PL3のそれぞれに接続される、何れも図示しないVT(Voltage Transformer)とCT(Current Transformer)とにより、線間電圧の計測と相電流とを計測する。そして、電力計測装置4は、各計測結果をマイコン(図示せず)で演算することで、電力線PL1~PL3のそれぞれにおける瞬時電力と、予め設定された時間に亘って積算した積算電力とを計測する。
電力線PL1における電力は、この家庭における買電電力又は売電電力を示す。また、電力線PL2における電力は、発電設備5から出力される電力(以下、発電電力と称する。)を示す。また、電力線PL3における電力は、空調機6の消費電力を示す。
上記の買電電力とは、商用電力系統9から供給された電力、即ち、電気事業者から買った電力をいう。また、売電電力とは、逆潮電力として商用電力系統9へ供給した電力、即ち、電気事業者に売った電力をいう。家屋Hの需要家は、発電電力が、家屋Hで消費される電力、即ち、家屋Hの総消費電力を超えた場合に、規定の条件を満たすことで、発電電力の内の余剰分の電力を電気事業者に売ることが可能となる。なお、家屋Hの総消費電力は、買電時では、買電電力と発電電力を加算することで算出でき、売電時では、発電電力から売電電力を差し引くことで算出できる。
また、電力計測装置4は、無線通信インタフェースを備え、家屋Hに構築された無線ネットワーク(以下、宅内ネットワークという。)を介して、制御装置2と通信可能に接続される。宅内ネットワークは、例えば、エコーネットライト(ECHONET Lite)に準じたネットワークである。なお、電力計測装置4は、外付けの通信アダプタ(図示せず)を介して、宅内ネットワークに接続されてもよい。
電力計測装置4は、制御装置2からの要求に応答して、自装置の機器ID(identification)と、現在時刻(計測時刻を意味する。)と、買電電力又は売電電力の計測値と、発電電力の計測値と、空調機の消費電力の計測値とが格納された電力データを制御装置2に送信する。各計測値には、瞬時電力と積算電力の値が含まれている。機器IDは、電力計測装置4、空調機6、日射遮蔽装置7(7a~7d)、照明器8(8a~8e)を識別するためのIDである。また、電力計測装置4は、電力データを自発的に一定の時間間隔(例えば、1分間隔)で制御装置2に送信してもよい。
発電設備5は、PV(photovoltaic)パネル50と、パワーコンディショニングシステムであるPV-PCS51とを備えた太陽光発電設備である。PVパネル50は、家屋Hの屋根の上に設置され、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換することで発電する。PV-PCS51は、PVパネル50の発電により生じた直流電力を交流電力に変換することで、上記の発電電力を生成し、電力線PL2を介して分電盤10に供給する。
空調機6は、本発明に係る空調機の一例であり、家屋Hの屋内の空調、即ち、空気温度及び/又は湿度の調整を行う。空調機6は、分電盤10により分岐された電力線PL3を介して、商用電力系統9及び発電設備5と電気的に接続されており、商用電力系統9又は発電設備5の何れか一方、あるいは、これらの双方から電力を得て動作する。
空調機6は、図2に示すように、室内ユニット60と、室外ユニット61と、ダクト62と、VAV63a~63eと、空調リモコン64a~64eとを備える。空調機6は、空気を部屋A~Eに分配供給することで、部屋A~Eの空調を行う。
室内ユニット60と室外ユニット61は、通信線65を介して相互に通信可能となるように接続されると共に、冷媒を循環させるための冷媒配管66を介して接続されている。室内ユニット60は、図3に示すように、ファン600と、熱交換器601と、温度センサ602と、制御基板603とを備える。ファン600は、例えば、シロッコファンであり、当該室内ユニット60が設置された場所の空気を図示しない吸込口から取り込むと共に、図示しない供給口に接続されたダクト62に、熱交換器601によって熱交換された空気を供給する。ファン600は、制御基板603と通信線604を介して通信可能に接続される。ファン600の回転数、即ち、ファン600による送風量は、制御基板603からの指令に従って調整される。
熱交換器601は、ファン600により取り込まれた空気と室外ユニット61からの冷媒との熱交換を行う。熱交換器601は、冷房運転時においては、蒸発器として機能し、暖房運転時においては、凝縮器として機能する。
温度センサ602は、ファン600により取り込まれた空気の温度を計測する。温度センサ602は、通信線605を介して制御基板603と通信可能に接続される。温度センサ602は、制御基板603からの要求に応答して、計測した温度を示すデータを制御基板603に送信する。
制御基板603は、プロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信インタフェース、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリなど(何れも図示せず)を含んで構成される。制御基板603は、上記したように通信線604を介してファン600と通信可能に接続され、また、通信線605を介して温度センサ602と通信可能に接続される。また、制御基板603は、空調リモコン64a~64eと有線又は無線にて通信可能に接続される。さらに、制御基板603は、上述した宅内ネットワークを介して制御装置2と通信可能に接続される。
制御基板603は、一定時間間隔(例えば、1分間隔)で、空調リモコン64a~64eのそれぞれから、部屋A~Eの各室温と、各送風量とが格納された室内状態データを通信により取得する。制御基板603は、取得した部屋A~Eの各送風量に基づいてファン600の送風量を決定する。制御基板603は、決定したファン600の送風量を通信線65を介して室外ユニット61に通知する。
また、制御基板603は、空調リモコン64a~64eの何れかを介してユーザにより暖房、冷房又は送風のON/OFF操作が行われた場合に、当該空調リモコン64から送られてくる空調操作データを受信する。空調操作データには、変更後の運転種別(冷房運転、暖房運転、送風運転又は運転停止)を示す情報が格納されている。
また、制御基板603は、制御装置2からの要求に応答して、現在の運転種別と、部屋A~Eの各室温とを含むデータ(以下、空調状態データという。)を制御装置2に送信する。
さらに、制御基板603は、制御装置2から後述する運転種別変更データを受信すると、当該運転種別変更データで示される運転種別に従って、ファン600を稼働あるいは停止させると共に、当該運転種別を室外ユニット61に通知する。また、制御装置2から後述する送風量データを受信すると、制御基板603は、各部屋の空調リモコン64に対して、送風量の調整を指示する調整指示データを送信する。各調整指示データには、対応する部屋の新たな送風量を示す情報が含まれている。
室外ユニット61は、図4に示すように、冷媒回路610と、制御基板611とを備える。冷媒回路610と制御基板611は、通信線612を介して通信可能に接続される。冷媒回路610は、何れも図示しないが、圧縮機、凝縮器、膨張弁、蒸発器、四方弁などを備える。制御基板611は、室内ユニット60と通信線65を介して通信可能に接続される。制御基板611は、プロセッサ、ROM、RAM、通信インタフェース、読み書き可能な不揮発性の半導体メモリなど(何れも図示せず)を含んで構成される。制御基板611は、室内ユニット60の制御基板603から通知された運転種別又はファン600の送風量に基づいて、冷媒回路610の運転を制御する。
なお、本実施の形態の空調機6は、冷房運転時及び暖房運転時において、それぞれ予め定めた温度の空気を供給する。つまり、部屋A~Eの室温は、部屋A~Eへの送風量、即ち、VAV63a~63eによって調整される。本実施の形態では、部屋A~Eの送風量は、“大”、“中”及び“小”の3段階で調整される。送風量が多い順に、“大”、“中”、“小”となる。部屋A~Eの送風量の合計が、室内ユニット60から供給される空気の送風量となる。通常、冷房運転時では、部屋A~Eの何れの室温より冷たい空気が室内ユニット60から供給され、暖房運転時では、部屋A~Eの何れの室温より暖かい空気が室内ユニット60から供給される。また、送風運転時では、室内ユニット60は、取り込んだ空気をそのまま各部屋に供給する。
図2に戻り、ダクト62は、室内ユニット60から供給される空気を部屋A~Eへ導くために複数の分岐路に枝分かれしている。各分岐路の末端は、部屋A~Eの天井に設けられた空気吹出口に連結されている。また、ダクト62には、各分岐路に対応してVAV(Variable Air Volume)63a~63eが設けられている。VAV63a~63eは、それぞれ対応する部屋A~Eの空調リモコン64a~64eと有線又は無線にて通信可能に接続される。VAV63a~63eは、対応する空調リモコン64a~64eにより制御される。以下、VAV63a~63eにて共通する説明については、特に個々を指定せずにVAV63と表記する。
空調リモコン64a~64eは、それぞれ部屋A~Eの壁に埋設して設置されたり、あるいは壁に掛けられた態様で設置され、部屋A~Eを利用するユーザから、空調に係る操作を個別に受け付けるためのリモートコントローラである。以下、空調リモコン64a~64eにて共通する説明については、特に個々を指定せずに空調リモコン64と表記する。
空調リモコン64は、図5に示すように、温度センサ640と、ディスプレイ641と、操作受付部642と、通信インタフェース643と、プロセッサ644と、ROM645と、RAM646と、二次記憶装置647とを備える。これらの構成部は、バス648を介して相互に接続される。温度センサ640は、本発明に係る室温計測手段の一例であり、室温、即ち、当該空調リモコン64が設置された部屋の空気温度を計測する。
ディスプレイ641は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の表示デバイスを含んで構成される。ディスプレイ641は、プロセッサ644の制御の下、ユーザから空調に関する操作を受け付けるための操作画面と、現在の室温、湿度等のモニタ画面とを表示する。
操作受付部642は、押しボタン、タッチパネル、タッチパッド等の入力デバイスを備え、ユーザからの入力操作を受け付け、受け付けた入力操作に係る信号をプロセッサ644に送出する。
通信インタフェース643は、室内ユニット60と有線又は無線にて通信可能に接続され、室内ユニット60(詳細には、制御基板603)とデータ通信を行うインタフェースを備える。さらに、通信インタフェース643は、対応するVAV63と有線又は無線にて通信可能に接続され、当該VAV63に制御信号を送信するためのインタフェースを備える。
プロセッサ644は、当該空調リモコン64を統括的に制御する。ROM645は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。RAM646は、プロセッサ644の作業領域として使用される。
二次記憶装置647は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリを含んで構成される。二次記憶装置647には、対応する部屋の空調に係るプログラムを含む各種のプログラムと、これらのプログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。
以上のように構成される空調リモコン64は、ユーザにより暖房、冷房又は送風のON/OFF操作等、全体の空調を変更する操作が行われると、当該操作内容が格納された空調操作データを室内ユニット60に送信する。また、空調リモコン64は、室内ユニット60からの要求に応答して、対応する部屋の現在の室温と、送風量とが格納された室内状態データを室内ユニット60に送信する。
また、空調リモコン64は、ユーザから目標温度の設定を受け付けると、当該部屋の室温が、設定後の目標温度(以下、設定温度という。)となるように当該部屋に対する送風量を決定する。そして、空調リモコン64は、決定した送風量に応じた制御信号を生成し、対応するVAV63に送信する。
さらに、空調リモコン64は、室内ユニット60から、送風量の調整を指示する調整指示データを受信すると、当該調整指示データに含まれる送風量となるように、対応するVAV63を調整する。
日射遮蔽装置7a~7dは、本発明に係る日射遮蔽装置の一例である。日射遮蔽装置7a~7dは、それぞれ、部屋A~Dに設けられた図示しない窓を屋外側から覆うように設置され、当該窓を介して入射する日射を遮るための装置であり、例えば、外付けの電動ブラインドである。日射遮蔽装置7a~7dは、それぞれ、分電盤10に接続される電力線PL4a~PL4dを介して電力の供給を受ける。以下、日射遮蔽装置7a~7dにて共通する説明については、特に個々を指定せずに日射遮蔽装置7と表記する。
ユーザは、部屋A~Dに設置された図示しない専用のリモコン(以下、ブラインドリモコンという。)を操作して、日射遮蔽装置7を制御することができる。詳細には、ユーザは、ブラインドリモコンを操作して、ルーバ(スラットともいう。)の角度(以下、ルーバ角度という。)の変更を指示したり、又は、ブラインドの収納(即ち、ブラインド全開)を指示することができる。具体的には、ユーザは、ルーバ角度について、0°~90°の範囲を10°単位で指定することができる。ブラインド全開でない、即ち、ブラインドが下りた状態において、ルーバ角度が0°(即ち、ブラインド全閉)の場合、日射の遮蔽率が最も高くなり、90°の場合、日射の遮蔽率が最も低くなる。これにより、ユーザは、部屋A~Dに入る日射を好みの程度に調整することができる。
また、日射遮蔽装置7は、無線通信インタフェースを備え、上述した宅内ネットワークを介して、制御装置2と通信可能に接続される。なお、日射遮蔽装置7は、外付けの通信アダプタ(図示せず)を介して宅内ネットワークに接続されてもよい。制御装置2は、通信により、日射遮蔽装置7に対して、上記と同様の指示を与えて、日射遮蔽装置7を制御することができる。本実施の形態では、通常時において、日射遮蔽装置7は、予め定めた制御スケジュールに従って制御装置2により制御される。
照明器8a~8eは、それぞれ、部屋A~Eの天井に設置され、室内の照明を行う。照明器8a~8eは、それぞれ、分電盤10に接続される電力線PL5a~PL5eを介して電力の供給を受ける。以下、照明器8a~8eにて共通する説明については、特に個々を指定せずに照明器8と表記する。
ユーザは、各部屋に設置された図示しない専用のリモコン(以下、照明リモコンという。)を操作して、所望の照明を照明器8に実行させることができる。また、照明器8は、無線通信インタフェースを備え、上述した宅内ネットワークを介して、制御装置2と通信可能に接続される。制御装置2は、通信により、照明器8を制御することができる。
制御装置2は、図6に示すように、通信インタフェース20と、プロセッサ21と、ROM22と、RAM23と、二次記憶装置24とを備える。これらの構成部は、バス25を介して相互に接続される。通信インタフェース20は、上述した宅内ネットワークを介して電力計測装置4、空調機6、日射遮蔽装置7a~7d、照明器8a~8eと無線通信するためのネットワークカードと、操作端末3と無線通信又は有線通信するためのネットワークカードとを備える。
プロセッサ21は、この制御装置2を統括的に制御する。プロセッサ21によって実現される制御装置2の機能の詳細については後述する。
ROM22は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。RAM23は、プロセッサ21の作業領域として使用される。
二次記憶装置24は、EEPROM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ又はHDD(Hard Disk Drive)を含んで構成される。二次記憶装置24は、家屋Hの屋内の空調を行うためのプログラム(以下、空調プログラム)と、この空調プログラムの実行時に使用されるデータとを記憶する。この他にも、二次記憶装置24には、この家庭で消費される電力を管理するための1又は複数のプログラムと、各プログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。
以上のように構成されたエネルギー管理システム1は、本発明の実施の形態1に係る空調システムを包含している。実施の形態1に係る空調システムは、制御装置2と、操作端末3と、電力計測装置4と、空調機6とにより構成される。
図7は、制御装置2の機能構成を示す図である。制御装置2は、機能的には、データ取得部200と、モード切替部201と、運転制御部202と、送風量調整部203とを備える。これらの機能部は、プロセッサ21が二次記憶装置24に記憶されている上記の空調プログラムを実行することで実現される。
データ取得部200は、本発明に係る室温取得手段の一例である。データ取得部200は、予め定めた時間毎(例えば、1分毎)に、電力計測装置4から電力データを取得し、空調機6から空調状態データを取得する。詳細には、データ取得部200は、電力データを要求する通知(以下、電力要求通知という。)を電力計測装置4に送信し、この電力要求通知に応答して、電力計測装置4から送られてきた電力データを受信して取得する。データ取得部200は、取得した電力データを二次記憶装置24に保存する。
また、データ取得部200は、空調状態データを要求する通知(以下、空調状態要求通知という。)を空調機6に送信し、この空調状態要求通知に応答して、空調機6から送られてきた空調状態データを受信して取得する。データ取得部200は、取得した空調状態データを受信した時刻と対応付けて二次記憶装置24に保存する。
モード切替部201は、各部屋の室温をパラメータとして含むモード切替条件に基づいて、空調機6に対する制御モードを切り替える。以下、図8,9を参照して、モード切替部201によるモード切り替えに係る処理(以下、モード切替処理という。)について詳細に説明する。
図8は、モード切替条件の一例を示したものであり、図9は、制御モードの遷移を模式的に示したものである。図8,9に示すように、本実施の形態において、制御モードは、停止モードと、暖房モードと、送風モードと、冷房モードと、平準化モードと、平準化中断モードとを有する。
<<現在の制御モードが停止モードの場合>>
図8のモード切替条件における条件1が成立すると、即ち、暖房ONを指示するトリガの発動を検出すると、モード切替部201は、制御モードを暖房モードに切り替える。暖房ONを指示するトリガは、例えば、ユーザによって何れかの部屋の空調リモコン64を介して暖房をONにする操作が行われた場合に発動する。なお、予めユーザによって操作端末3を介して登録されたスケジュールに従った制御(以下、スケジュール制御という。)、又は、予めユーザによって操作端末3若しくは何れかの部屋の空調リモコン64を介して設定されたタイマによる制御(以下、タイマ制御という。)によっても、暖房ONを指示するトリガは発動され得る。
また、モード切替条件における条件3が成立すると、即ち、送風ONを指示するトリガの発動を検出すると、モード切替部201は、制御モードを送風モードに切り替える。送風ONを指示するトリガは、例えば、ユーザによって何れかの部屋の空調リモコン64を介して送風をONにする操作が行われた場合に発動する。なお、スケジュール制御又はタイマ制御によっても、送風ONを指示するトリガは発動され得る。
また、モード切替条件における条件5が成立すると、即ち、冷房ONを指示するトリガの発動を検出すると、モード切替部201は、制御モードを冷房モードに切り替える。冷房ONを指示するトリガは、例えば、ユーザによって何れかの部屋の空調リモコン64を介して冷房をONにする操作が行われた場合に発動する。なお、スケジュール制御又はタイマ制御によっても、冷房ONを指示するトリガは発動され得る。
<<現在の制御モードが送風モードの場合>>
モード切替条件における条件4が成立すると、即ち、送風OFFを指示するトリガの発動を検出すると、モード切替部201は、制御モードを停止モードに切り替える。送風OFFを指示するトリガは、例えば、ユーザによって何れかの部屋の空調リモコン64を介して送風をOFFにする操作が行われた場合に発動する。なお、スケジュール制御又はタイマ制御によっても、送風OFFを指示するトリガは発動され得る。
<<現在の制御モードが冷房モードの場合>>
モード切替条件における条件6が成立すると、即ち、冷房OFFを指示するトリガの発動を検出すると、モード切替部201は、制御モードを停止モードに切り替える。冷房OFFを指示するトリガは、例えば、ユーザによって何れかの部屋の空調リモコン64を介して冷房をOFFにする操作が行われた場合に発動する。なお、スケジュール制御又はタイマ制御によっても、冷房OFFを指示するトリガは発動され得る。
<<現在の制御モードが暖房モードの場合>>
モード切替条件における条件2が成立すると、即ち、暖房OFFを指示するトリガの発動を検出すると、モード切替部201は、制御モードを停止モードに切り替える。暖房OFFを指示するトリガは、例えば、ユーザによって何れかの部屋の空調リモコン64を介して暖房をOFFにする操作が行われた場合に発動する。なお、スケジュール制御又はタイマ制御によっても、暖房OFFを指示するトリガは発動され得る。
モード切替条件における条件7が成立すると、即ち、日射による室温の上昇があると予測され、さらに、部屋A~Eの各室温の内の最も高い室温(TRmax)が、予め定めた第1上限温度(Tmax1)より高く、且つ、TRmaxと部屋A~Eの各室温の内の最も低い室温(TRmin)との現在の温度差(ΔTxp)が、予め定めた第1温度差(ΔT1)より大きい場合、モード切替部201は、制御モードを平準化モードに切り替える。ΔT1は、例えば5℃である。モード切替条件における条件7は、本発明に係る平準化開始条件の一例である。
日射による室温の上昇の有無は、発電設備5による発電量に基づいて予測される。詳細には、モード切替部201は、当日の発電設備5による現時刻までの発電量の積算値が、予め時刻毎(例えば、10分刻みの時刻毎)に定めた規定値以上であるか否かを判定する。発電量の積算値が上記の規定値未満の場合、モード切替部201は、日射が部屋A~Dに与える影響が小さいとみなし、日射による室温の上昇はないと予測する。一方、発電量の積算値が、上記の規定値以上である場合、モード切替部201は、日射による室温の上昇はあると予測する。なお、モード切替部201は、気象事業者によって管理される気象事業者サーバ(図示せず)から通信により取得した、当該ユーザが居住する地域の天気予報に基づいて、日射による室温の上昇の有無を予測してもよい。
<<現在の制御モードが平準化モードの場合>>
モード切替条件における条件8が成立すると、即ち、部屋A~Eの各室温の平均(TRavg)が、部屋A~Eの各設定温度の平均(TSavg)から調整値(α:例えば、2℃)を差し引いた温度より低い、又は、TRminが予め定めた第1下限温度(Tmin1)より低い場合、モード切替部201は、制御モードを暖房モードに切り替える。モード切替条件における条件8は、本発明に係る暖房復帰条件の一例である。
モード切替条件における条件9が成立すると、即ち、ΔTxpが、前回の制御モードの切替時、換言すると、平準化モードへの遷移時におけるTRmaxとTRminとの温度差(ΔTxf)に係数(a:例えば0.3)を乗じて得られた値より小さい場合、又は、ΔTxpが、予め定めた第2温度差(ΔT2)より小さい場合、モード切替部201は、制御モードを平準化中断モードに切り替える。ΔT2は、例えば3℃である。モード切替条件における条件9は、本発明に係る平準化中断条件の一例である。
<<現在の制御モードが平準化中断モードの場合>>
モード切替条件における条件10が成立すると、即ち、TRmaxが、Tmax1より高く、且つ、ΔTxpが第3温度差(ΔT3)より大きい場合、モード切替部201は、制御モードを平準化モードに切り替える。ΔT3は、例えばΔT1と同一であってもよいし、室温維持の観点から3℃であってもよい。モード切替条件における条件10は、本発明に係る平準化再開条件の一例である。
図7に戻り、運転制御部202は、制御モードに基づいて、空調機6の運転を制御する。詳細には、モード切替部201により制御モードが切り替えられると、運転制御部202は、空調機6に、切り替え後の制御モードに応じた運転をさせるために、運転の変更を指示する情報と、新たな運転種別を示す情報とが格納された運転種別変更データを生成する。例えば、運転制御部202は、切り替え後の制御モードが暖房モードの場合、運転種別として暖房運転を示す情報が格納された運転種別変更データを生成し、切り替え後の制御モードが冷房モードの場合、運転種別として冷房運転を示す情報が格納された運転種別変更データを生成する。
また、切り替え後の制御モードが送風モード又は平準化モードの場合、運転制御部202は、運転種別として送風運転を示す情報が格納された運転種別変更データを生成する。さらに、切り替え後の制御モードが停止モード又は平準化中断モードの場合、運転制御部202は、運転種別として運転停止を示す情報が格納された運転種別変更データを生成する。
運転制御部202は、生成した運転種別変更データを空調機6の室内ユニット60に送信する。室内ユニット60の制御基板603は、かかる運転種別変更データを受信すると、当該運転種別変更データで示される運転種別に従って、ファン600を稼働あるいは停止させると共に、当該運転種別を室外ユニット61に通知する。室外ユニット61は、室内ユニット60から通知された運転種別に応じて、冷媒回路610の運転を制御する。
例えば、通知された運転種別が冷房運転の場合、室外ユニット61は、室内ユニット60が予め定めた温度に冷やされた空気を供給できるように、冷媒回路610を運転させる。また、通知された運転種別が暖房運転の場合、室外ユニット61は、室内ユニット60が予め定めた温度に温められた空気を供給できるように、冷媒回路610を運転させる。
また、通知された運転種別が送風運転又は運転停止の場合、室外ユニット61は、冷媒回路610の運転、即ち、圧縮機を停止させる。
モード切替部201及び運転制御部202は、本発明に係る運転切替手段の一例である。
送風量調整部203は、本発明に係る風量調整手段の一例である。送風量調整部203は、モード切替部201により、制御モードが、暖房モードから平準化モード、平準化モードから暖房モード、又は、平準化中断モードから平準化モードに切り替えられると、各部屋の送風量を切替後の制御モードに応じた適切な量となるように調整する。以下、この送風量の調整について詳細に説明する。
<<暖房モードから平準化モードに切り替わる場合>>
送風量調整部203は、先ず、各部屋の室温を、「温度が高い」、「温度が低い」及び「その他」の3つのグループに分類する。以下、「温度が高い」グループを第1グループ、「温度が低い」グループを第2グループ、「その他」グループを第3グループと称する。本実施の形態では、送風量調整部203は、TRmaxである室温を第1グループに分類し、TRminである室温を第2グループに分類し、その他の室温を第3グループに分類する。なお、分類の手法に限定はなく、例えば、予め定めた比率に応じて分類してもよいし、標準偏差により分類してもよい。
次に、送風量調整部203は、各部屋の送風量を決定する。送風量調整部203は、第1グループと第2グループに属する室温に対応する部屋の送風量を“大”に決定し、第3グループに属する室温に対応する部屋の送風量を“小”に決定する。送風量調整部203は、決定した各部屋の送風量が格納された送風量データを室内ユニット60に送信する。かかる送風量データを受信した室内ユニット60は、上述したように、各部屋の空調リモコン64に対して、送風量の調整を指示する調整指示データを送信する。調整指示データには、送風量調整部203により決定された当該部屋の送風量が含まれている。各空調リモコン64は、受信した調整指示データに含まれる送風量となるように、対応するVAV63を調整する。なお、送風量調整部203は、各部屋の調整直前の送風量、即ち、暖房モードでの送風量をRAM23又は二次記憶装置24に保存しておく。
<<平準化モードから暖房モードに切り替わる場合>>
送風量調整部203は、各部屋の送風量を、RAM23又は二次記憶装置24に保存されている当該部屋の従前の暖房時の送風量と同一になるように決定する。送風量調整部203は、決定した各部屋の送風量が格納された送風量データを室内ユニット60に送信する。かかる送風量データを受信した室内ユニット60は、各部屋の空調リモコン64に対して調整指示データを送信する。各空調リモコン64は、受信した調整指示データに含まれる送風量となるように、対応するVAV63を調整する。これにより、各部屋の送風量は、従前の暖房時における当該部屋の送風量と同一になる。
<<平準化中断モードから平準化モードに切り替わる場合>>
暖房モードから平準化モードに切り替わる場合と同様の手法により、送風量調整部203は、各部屋の送風量を決定し、決定した各部屋の送風量が格納された送風量データを室内ユニット60に送信する。
図10は、制御装置2により実行される空調機制御処理の手順を示すフローチャートである。制御装置2は、周期的に(例えば、1分毎に)空調機制御処理を実行する。
モード切替部201は、上述したように、現在の制御モードに対応するモード切替条件の成立有無を判定する(ステップS101)。現在の制御モードに対応するモード切替条件が成立していない場合(ステップS101;NO)、モード切替部201は、この周期での空調機制御処理を終了する。
一方、現在の制御モードに対応するモード切替条件が成立した場合(ステップS101;YES)、モード切替部201は、成立したモード切替条件(条件1~10の何れか)に対応する制御モードに切り替える(ステップS102)。例えば、モード切替条件の条件7が成立した場合、制御モードを暖房モードから平準化モードに切り替える。
運転制御部202は、切り替え後の制御モードに基づいて、空調機6の運転を制御する(ステップS103)。運転制御部202は、運転の変更を指示する情報と、新たな運転種別を示す情報とが格納された運転種別変更データを生成し、空調機6の室内ユニット60に送信する。例えば、切り替え後の制御モードが平準化モードの場合、運転制御部202は、運転種別として送風運転を示す情報が格納された運転種別変更データを生成する。
送風量調整部203は、制御モードの切り替えが、暖房モードから平準化モード、平準化モードから暖房モード、平準化中断モードから平準化モードの何れかであるか否かを判定する(ステップS104)。制御モードの切り替えが、暖房モードから平準化モード、平準化モードから暖房モード、平準化中断モードから平準化モードの何れもでもない場合(ステップS104;NO)、送風量調整部203は、この周期での空調機制御処理を終了する。
一方、制御モードの切り替えが、暖房モードから平準化モード、平準化モードから暖房モード、平準化中断モードから平準化モードの何れかである場合(ステップS104;YES)、送風量調整部203は、各部屋の送風量を切替後の制御モードに応じた適切な量となるように調整する(ステップS105)。送風量調整部203は、上述したように各部屋の送風量を決定し、決定した各部屋の送風量が格納された送風量データを室内ユニット60に送信する。ステップS105の後、送風量調整部203は、この周期での空調機制御処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態1の空調システムによれば、制御装置2は、暖房モードでの運転時において、日射の影響による室温の上昇が想定され、さらに、最も高い室温が第1上限温度より高く、且つ、最も高い室温と最も低い室温との現在の温度差が、予め定めた第1温度差より大きい場合、空調機6に対する制御モードを平準化モードに切り替え、空調機6の運転を暖房運転から送風運転に変更させる。そして、その際、制御装置2は、室温が最も高い部屋及び最も低い部屋の送風量を“大”にし、他の部屋の送風量を“小”にするように空調機6を制御する。
これにより、日射の影響による室温の上昇を効果的に抑制し、各部屋の室温を効率的に平準化することが可能となる。
さらに、制御装置2は、平準化モードでの空調機6の送風運転によって、各部屋の室温が平準化されると(即ち、モード切替条件の条件9が成立すると)、制御モードを平準化中断モードに切り替えて、空調機6の送風運転を一時的に停止する。これにより、部屋A~Eの室温が平準化されたタイミングで、室内ユニット60のファン600の稼働が停止されるため、無用に電力を消費することがなく、各部屋の室温をより一層効率的に平準化する制御を実現できる。
なお、制御装置2は、制御モードの切替要否の判定対象となる部屋を予めユーザが選択した一部の部屋に限定してもよい。即ち、制御装置2は、TRmax、TRminを全ての部屋の室温の内から取得するのではなく、予めユーザが選択した一部の部屋の室温の内から取得してもよい。同様に、制御装置2は、TRavgを当該一部の部屋の室温に基づいて算出してもよいし、TSavgを当該一部の部屋の設定温度に基づいて算出してもよい。ユーザは、操作端末3を介して、モード切替要否の判定対象となる部屋(例えば、玄関を除く部屋A~D等)を選択することができる。
ユーザによる上記の選択に代えて、又は、併用して、制御装置2は、TRmax、TRminをユーザが在室する部屋の室温の内から取得してもよいし、TRavgをユーザが在室する部屋の室温に基づいて算出してもよいし、TSavgをユーザが在室する部屋の設定温度に基づいて算出してもよい。制御装置2は、ユーザの在室有無を、例えば、各部屋に設置した人感センサの検出結果により判定してもよいし、ユーザが操作端末3を介して入力した在宅、不在に関する情報、又は、ユーザが操作端末3を介して予め登録した在宅、不在に関するスケジュールに基づいて判定してもよい。あるいは、制御装置2は、空調リモコン64に対するユーザ操作の有無、日射遮蔽装置7、照明器8、その他の電気機器の動作状態の変化等により、ユーザの在室有無を判定してもよい。
また、暖房モードから平準化モードへのモード切替条件、即ち、条件7が、予めユーザが選択した一部の部屋の室温の内から取得したTRmaxがTmax1より高い場合に成立するとしてもよいし、ユーザが在室する部屋の室温の内から取得したTRmaxがTmax1より高い場合に成立するとしてもよい。
また、平準化モードから暖房モードへのモード切替条件、即ち、条件8において、暖房モードから平準化モードへの切替時にユーザが在室していた部屋のみを判定対象としてもよい。即ち、暖房モードから平準化モードへの切替時にユーザが在室していた部屋の室温の内からTRminを取得してもよいし、TRavgを当該部屋の室温に基づいて算出してもよいし、TSavgを当該部屋の設定温度に基づいて算出してもよい。
また、各部屋の室温が平準化されたとみなすための条件、即ち、平準化中断モードへのモード切替条件として、条件9に代えて、式1又は式2を採用してもよい。
現時点から予め定めた時間前のTRmax-現時点のTRmax < 第4温度差(ΔT4) (式1)
現時点のTRmin-現時点から予め定めた時間前のTRmin < ΔT4 (式2)
上記の式1、式2において、例えば、予め定めた時間は1分であり、第4温度差は3℃である。
また、平準化中断モードから平準化モードへのモード切替条件、即ち、条件10において、Tmax1と比較するTRmaxを、暖房モードから平準化モードへの切替時にユーザが在室していた部屋のみを判定対象とすることで取得してもよい。即ち、暖房モードから平準化モードへの切替時にユーザが在室していた部屋の室温の内からTRmaxを取得してもよい。
実施の形態2.
続いて、本発明の実施の形態2に係る空調システムについて説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1と共通する構成要素等については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
実施の形態2の空調システムでは、制御装置2は、実施の形態1における空調機6の制御に加え、さらに、日射遮蔽装置7a~7dを制御して、各部屋の空調を行う。このため、実施の形態2の空調システムは、実施の形態1の空調システムの構成に加え、さらに、日射遮蔽装置7a~7dを備える。
図11は、実施の形態2の制御装置2の機能構成を示す図である。本実施の形態の制御装置2は、データ取得部200と、モード切替部201と、運転制御部202と、送風量調整部203と、日射遮蔽要否判定部204と、日射遮蔽指示部205とを備える。
日射遮蔽要否判定部204は、日射遮蔽装置7a~7dの何れかに対し、日射遮蔽の制御が必要であるか否かを判定する。本実施の形態の制御装置2は、実施の形態1の制御装置2と同様、周期的に(例えば、1分毎に)空調機制御処理(図10参照)を実行する。さらに、本実施の形態の制御装置2は、この空調機制御処理の直後に、日射遮蔽装置7a~7dを制御する処理(以下、日射遮蔽制御処理という。)を実行する。
この日射遮蔽制御処理は、予め定めた制御スケジュールに従って日射遮蔽装置7a~7dを制御する処理(以下、スケジュール制御処理という。)とは異なる処理である。制御装置2は、日射遮蔽装置7a~7dの制御について、スケジュール制御処理よりも日射遮蔽制御処理を優先する。即ち、日射遮蔽制御処理で決定した制御内容と、スケジュール制御処理における制御内容とが異なる場合、制御装置2は、日射遮蔽制御処理で決定した制御内容に従って当該日射遮蔽装置7を制御する。なお、日射遮蔽制御処理とスケジュール制御処理の何れを優先するかを、ユーザが操作端末3を介して予め指定できるようにしてもよい。
日射遮蔽要否判定部204によって実行される処理は、上記の日射遮蔽制御処理に包含される。詳細には、先ず、日射遮蔽要否判定部204は、二次記憶装置24に保存されている最新の空調状態データを読み出し、部屋A~Dの各室温の内の最も高い室温(TRmax)を取得する。日射遮蔽要否判定部204は、取得したTRmaxと予め定めた第2上限温度とを比較し、TRmaxが第2上限温度を超えているか否かを判定する。第2上限温度は、第1上限温度より高い温度である。
TRmaxが第2上限温度を超えている場合、日射遮蔽要否判定部204は、室温がTRmaxである部屋の日射遮蔽装置7に対し、日射遮蔽の制御が必要であると判定する。ただし、日射遮蔽要否判定部204は、当日の発電設備5による現時刻までの発電量の積算値が、予め時刻毎(例えば、10分刻みの時刻毎)に定めた規定値未満の場合には、日射が部屋A~Dに与える影響が小さいとみなし(即ち、日射による室温の上昇がないと予測されるため)、日射遮蔽の制御が必要でないと判定する。なお、日射遮蔽要否判定部204は、気象事業者によって管理される気象事業者サーバ(図示せず)から通信により取得した、当該ユーザが居住する地域の天気予報に基づいて、日射による室温の上昇の有無を予測してもよい。
一方、TRmaxが第2上限温度以下の場合、日射遮蔽要否判定部204は、日射遮蔽フラグがONであるか否かを判定する。日射遮蔽フラグとは、RAM23に記憶され、日射遮蔽制御処理において、日射遮蔽装置7に対し、日射遮蔽の制御が行われた場合にONとなり、日射遮蔽の制御が解除された場合にOFFとなるフラグである。日射遮蔽フラグの初期値はOFFである。日射遮蔽フラグがONの場合、日射遮蔽要否判定部204は、TRmaxが第2下限温度より低いか否かを判定する。第2下限温度は、第1上限温度より高く、第2上限温度より低い温度である。TRmaxが第2下限温度より低い場合、日射遮蔽要否判定部204は、室温がTRmaxである部屋の日射遮蔽装置7について、日射遮蔽の制御の解除が必要であると判定する。
日射遮蔽指示部205は、本発明に係る日射遮蔽指示手段の一例である。日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽要否判定部204によって、日射遮蔽装置7に対する日射遮蔽の制御が必要であると判定されると、当該日射遮蔽装置7、即ち、室温がTRmaxである部屋の日射遮蔽装置7に対して日射遮蔽を指示する。詳細には、日射遮蔽指示部205は、当該日射遮蔽装置7に対して、ルーバ角度を現状から“-10°”変更することを指示する。なお、当該日射遮蔽装置7のブラインドが収納された状態(即ち、ブラインド全開)となっている場合は、日射遮蔽指示部205は、当該日射遮蔽装置7に対して、ブラインドを下ろし、且つ、ルーバ角度を90°に設定するように指示する。また、日射遮蔽装置7のルーバ角度が0°(即ち、ブラインド全閉)の場合は、日射遮蔽指示部205は、当該日射遮蔽装置7に対して日射遮蔽の指示を出さず、現状のままにする。
日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽要否判定部204によって、日射遮蔽装置7に対する日射遮蔽の制御の解除が必要であると判定されると、当該日射遮蔽装置7に対する日射遮蔽の制御を解除する。詳細には、日射遮蔽指示部205は、当該日射遮蔽装置7のルーバ角度を、日射遮蔽の制御を行う前の元の状態、即ち、日射遮蔽フラグがOFFであったときのルーバ角度に戻す。元の状態がブラインド全開の場合には、日射遮蔽指示部205は、当該日射遮蔽装置7に対して、ブラインドの収納を指示する。
図12は、本実施の形態の制御装置2により実行される日射遮蔽制御処理の手順を示すフローチャートである。上述したように、制御装置2は、空調機制御処理の直後に日射遮蔽制御処理を実行する。
日射遮蔽要否判定部204は、部屋A~Dの各室温の内の最も高い室温(TRmax)を取得する(ステップS201)。次いで日射遮蔽要否判定部204は、当日の発電設備5による現時刻までの発電量の積算値が、現時刻に対応する予め定めた規定値以上であるか否かを判定する(ステップS202)。
現時刻までの発電量の積算値が当該規定値未満の場合(ステップS202;NO)、ステップS207に移行する。一方、現時刻までの発電量の積算値が当該規定値以上の場合(ステップS202;YES)、日射遮蔽要否判定部204は、取得したTRmaxが第2上限温度より高いか否かを判定する(ステップS203)。TRmaxが第2上限温度以下の場合(ステップS203;NO)、ステップS207に移行する。
一方、TRmaxが第2上限温度より高い場合(ステップS203;YES)、日射遮蔽要否判定部204は、室温がTRmaxの部屋の日射遮蔽装置7に対して、日射遮蔽の制御が必要であると判定する。この場合、日射遮蔽指示部205は、上述したようにして、当該日射遮蔽装置7に対して日射遮蔽を指示する(ステップS204)。ステップS204の後、日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽フラグがOFFであるか否かを判定する(ステップS205)。
日射遮蔽フラグがOFFでない、即ち、ONである場合(ステップS205;NO)、日射遮蔽指示部205は、この周期での日射遮蔽制御処理を終了する。一方、日射遮蔽フラグがOFFである場合(ステップS205;YES)、日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽フラグをONにして(ステップS206)、この周期での日射遮蔽制御処理を終了する。
ステップS207で、日射遮蔽要否判定部204は、日射遮蔽フラグがONであるか否かを判定する。日射遮蔽フラグがONでない、即ち、OFFである場合(ステップS207;NO)、日射遮蔽要否判定部204は、この周期での日射遮蔽制御処理を終了する。
一方、日射遮蔽フラグがONである場合(ステップS207;YES)、日射遮蔽要否判定部204は、TRmaxが第2下限温度より低いか否かを判定する(ステップS208)。TRmaxが第2下限温度以上の場合(ステップS208;NO)、日射遮蔽要否判定部204は、この周期での日射遮蔽制御処理を終了する。
一方、TRmaxが第2下限温度より低い場合(ステップS208;YES)、日射遮蔽要否判定部204は、室温がTRmaxの部屋の日射遮蔽装置7について、日射遮蔽の制御の解除が必要であると判定する。この場合、日射遮蔽指示部205は、上述したようにして、当該日射遮蔽装置7に対する日射遮蔽の制御を解除する(ステップS209)。そして、日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽フラグをOFFにして(ステップS210)、この周期での日射遮蔽制御処理を終了する。
以上説明したように、実施の形態2の空調システムによれば、制御装置2は、実施の形態1と同様の空調機制御処理(図10参照)を実行する。さらに、本実施の形態の制御装置2は、日射の影響によりTRmaxが上昇して、第2上限温度を超えると、当該部屋の日射遮蔽装置7に対して日射遮蔽を指示する。
これにより、TRmaxの上昇をより効果的に抑制でき、結果として、各部屋の室温をより効率的に平準化することが可能となる。
なお、制御装置2は、図12の日射遮蔽制御処理において、部屋A~Dの内の予めユーザが選択した一部の部屋の室温の内からTRmaxを取得してもよい。ユーザは、操作端末3を介して、日射遮蔽装置7の制御対象となる部屋を選択することができる。
ユーザによる上記の選択に代えて、又は、併用して、制御装置2は、ユーザが在室する部屋のみを日射遮蔽装置7の制御対象としてもよい。制御装置2は、ユーザの在室有無を、例えば、各部屋に設置した人感センサの検出結果により判定してもよいし、ユーザが操作端末3を介して入力した在宅、不在に関する情報、又は、ユーザが操作端末3を介して予め登録した在宅、不在に関するスケジュールに基づいて判定してもよい。あるいは、制御装置2は、空調リモコン64に対するユーザ操作の有無、日射遮蔽装置7、照明器8、その他の電気機器の動作状態の変化等により、ユーザの在室有無を判定してもよい。
また、日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽装置7に対して日射遮蔽を指示する際、ルーバ角度を複数段階(例えば、“-20°”、“-30°”等)ずつ変更するように指示してもよい。1回の指示で日射遮蔽装置7のルーバ角度をどの程度変更させるかは任意の設計事項である。
また、日射遮蔽指示部205は、部屋A~Dの内、室温が第2上限温度を超える全ての部屋の日射遮蔽装置7に対して、日射遮蔽を指示してもよい。
また、日射遮蔽指示部205は、日射遮蔽の制御を解除する際、当該日射遮蔽装置7に対応する制御スケジュールで示される現時刻の制御内容に基づいて、当該日射遮蔽装置7のルーバ角度を決定してもよい。
実施の形態3.
続いて、本発明の実施の形態3に係る空調システムについて説明する。なお、以下の説明において、実施の形態1,2と共通する構成要素等については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
図13は、実施の形態3に係る空調システムを包含したエネルギー管理システム1Aの全体構成を示す図である。エネルギー管理システム1Aは、制御装置2と、操作端末3と、電力計測装置4と、発電設備5と、空調機6と、日射遮蔽装置7a~7dと、照明器8a~8eと、ルータ11と、クラウドサーバ12と、携帯端末13とを備える。実施の形態3に係る空調システムは、制御装置2と、操作端末3と、電力計測装置4と、空調機6と、日射遮蔽装置7a~7dと、ルータ11と、クラウドサーバ12と、携帯端末13とにより構成される。
ルータ11は、ブロードバンドルータであり、制御装置2と有線又は無線にて接続される。実施の形態3の制御装置2は、ルータ11を介して、インターネットに接続される他の装置(例えば、クラウドサーバ12)と通信することができる。
クラウドサーバ12は、制御装置2のメーカ又は販売会社によって設置され、運用されるサーバコンピュータであり、一般的なWebサーバとしての機能を有し、インターネットに接続される。クラウドサーバ12は、図14に示すように、通信インタフェース120と、プロセッサ121と、ROM122と、RAM123と、二次記憶装置124とを備える。これらの構成部は、バス125を介して相互に接続される。
通信インタフェース120は、インターネットに接続して、制御装置2、携帯端末13等の他の装置と通信するためのインタフェースである。プロセッサ121は、クラウドサーバ12を統括的に制御する。プロセッサ121の性能は、制御装置2のプロセッサ21より高い。
ROM122は、複数のファームウェア及びこれらのファームウェアの実行時に使用されるデータを記憶する。RAM123は、プロセッサ121の作業領域として使用される。
二次記憶装置124は、EEPROM、フラッシュメモリ等の読み書き可能な不揮発性の半導体メモリ、HDD等で構成される大容量の記憶装置である。二次記憶装置124には、顧客、即ち、制御装置2を購入した各ユーザに対して、電力管理サービスを提供するためのプログラムと、その他の各種のプログラムと、これらのプログラムの実行時に使用されるデータとが記憶される。電力管理サービスには、顧客宅の空調を支援するサービス(以下、空調支援サービス)も含まれる。
上記の空調支援サービスを提供するため、クラウドサーバ12は、予め登録された各顧客が所有する携帯端末13とインタ-ネットを介して通信し、携帯端末13から位置情報を取得する。携帯端末13は、スマートフォン、タブレット端末等のスマートデバイスである。携帯端末13は、GPS(Global Positioning System)衛星からのGPS信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて、緯度、経度情報を含む位置情報を生成するGPS信号受信部(図示せず)を備える。
空調支援サービスを受けるため、各顧客は、日常生活において多用する場所に関する情報(以下、場所情報という。)をクラウドサーバ12に予め登録しておく。場所情報には、場所の名称(例えば、“会社”、“学校”等)、当該場所の位置情報、当該場所から家屋Hまでの移動所要時間等が含まれる。なお、場所情報には、当該顧客宅(即ち、家屋H)における各部屋(例えば、リビングルーム、寝室等)に関する情報が含まれていてもよい。その場合、当該場所から家屋Hまでの移動所要時間は“0時間”となる。
クラウドサーバ12は、携帯端末13からの位置情報に基づいて、ユーザが在宅中であるか否かを判定し、在宅中の場合は、どの部屋に居るかを判定する。また、在宅中でない、即ち、外出中の場合は、位置情報と場所情報とから家屋Hまでの移動所要時間を取得する。クラウドサーバ12は、ユーザが在宅中の場合は、ユーザが居る部屋を示す情報を、当該ユーザ宅の制御装置2に送信する。これにより、例えば、制御装置2は、人が居ない部屋の日射遮蔽装置7に対しては、日射遮蔽の制御を行わないようにすることができる。
また、クラウドサーバ12は、ユーザが外出中の場合は、家屋Hまでの移動所要時間を示す情報を、当該ユーザ宅の制御装置2に送信する。これにより、ユーザが外出中であっても、移動所要時間が短い場合では、制御装置2は、暖房モードから平準化モードへの切り替え制御及び/又は日射遮蔽の制御を行うことができ、帰宅したユーザの快適性を損なわずに済む。
また、制御装置2は、暖房モードから平準化モードの切り替え条件(即ち、モード切替条件の条件7)が成立した場合、クラウドサーバ12を介して、携帯端末13に、早めに帰宅するか否かを問い合わせる通知を送信してもよい。この場合、かかる通知に対して、携帯端末13から、早めに帰宅しないことを示す応答がクラウドサーバ12を介して返ってきた場合、制御装置2は、平準化モードへの切り替えを実行しなくてもよい。
なお、本発明は、上記の各実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲での種々の変更は勿論可能である。
例えば、制御装置2が、ユーザからの操作を受け付けるための入力デバイスと、ユーザに情報を提示するための表示デバイスの少なくとも何れかをさらに含んで構成されるようにしてもよい。
また、エネルギー管理システム1,1Aにおいて、制御装置2の制御対象機器として、床暖房システム、床冷暖房システム、冷蔵庫、IH(Induction Heating)調理器、テレビ、給湯機等の様々な電気機器が含まれていてもよい。
また、制御装置2は、空調機6に対する制御モードを平準化モードに切り替える際に、室内ユニット60による送風量を以下の(1)又は(2)のようにして決定してもよい。
(1)定数×室温差
(2)変数×予め定めた風量
上記において、室温差は、以下の(a)~(c)のようにして決定してもよい。
(a)TRmax-TRmin
(b)第1グループに属する室温の平均値-第2グループに属する室温の平均値
(c)予め指定した2部屋の室温差
上記(2)の変数の値は、図15に示すように、室温差に応じて決定してもよい。
また、制御装置2は、室内ユニット60を介さずに各空調リモコン64と通信して、各部屋の室温及び送風量を取得してもよい。また、制御装置2は、室内ユニット60を介さずに各VAV63と通信して、各部屋の送風量を調整してもよい。
また、空調リモコン64、照明リモコン、ブラインドリモコンに代えて、これらを統合したルームリモコンが各部屋に設定されてもよい。
また、空調機6が、制御装置2と同等の機能部(図7,図11参照)を有するようにしてもよい。
また、制御装置2の機能部(図7,図11参照)の全部又は一部が、クラウドサーバ12により実現されてもよい。
上記の各実施の形態では、プロセッサ21によって二次記憶装置24に記憶されている空調プログラムが実行されることで、制御装置2の機能部(図7,図11参照)が実現された。しかし、制御装置2の機能部の全部又は一部が、専用のハードウェアで実現されるようにしてもよい。専用のハードウェアとは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又は、これらの組み合わせである。
上記の各実施の形態において、空調プログラムは、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disc)、光磁気ディスク(Magneto-Optical Disc)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、HDD等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納して配布することも可能である。そして、このように配布した空調プログラムを特定の又は汎用のコンピュータにインストールすることによって、当該コンピュータを上記の各実施の形態における制御装置2として機能させることも可能である。
また、空調プログラムをインターネット上の図示しないサーバが有する記憶装置に格納しておき、当該サーバから制御装置2に空調プログラムがダウンロードされるようにしてもよい。
本発明は、広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施の形態及び変形が可能である。また、上述した実施の形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。つまり、本発明の範囲は、実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。そして、特許請求の範囲内及びそれと同等の発明の意義の範囲内で施される様々な変形が、本発明の範囲内とみなされる。