JP7252329B2 - 高い耐油性を有する繊維強化ポリプロピレン組成物 - Google Patents

高い耐油性を有する繊維強化ポリプロピレン組成物 Download PDF

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Description

本発明は、5.0wt%又はそれ未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)、繊維(F)及び接着促進剤(AP)を有する、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を対象とする。さらに、本発明は、上記繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する物品を対象とする。
繊維強化ポリプロピレン組成物の優れた力学的性能、特に剛性及び強度は、自動車産業において高く評価されている。特に、繊維含量を高くすると、剛性及び強度は高まる。
そのような組成物の衝撃挙動を改善するための広く使用されているアプローチは、異相プロピレンコポリマーをベースレジン(base resins)として適用することである。しかしながら、異相系を有する繊維強化組成物は、非晶質相の存在のために耐油性が不十分であることが多い。
したがって、力学的性能を高いレベルで維持した上で、エンジンオイルに対する良好な耐性を示す繊維強化ポリプロピレン組成物が当技術分野において必要とされている。
従って、良好な耐油性並びに高い剛性及び強度を特徴とする繊維強化ポリプロピレン組成物を提供することが、本発明の目的である。
よって、本発明は、
i) 5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)、
ii) 繊維(F)、及び
iii) 接着促進剤(AP)、
を有する、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)であって、
不等式(I):
Figure 0007252329000001
(式中、w(PP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対するプロピレンポリマー(PP)の重量分率[wt%]であり、w(AP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する接着促進剤(AP)の重量分率[wt%]である。)を満たす、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を対象とする。
本発明の実施形態の1つによれば、プロピレンポリマー(PP)は単相性(monophasic)である。
本発明の別の実施形態によれば、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、5.0wt%を超えるキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマーを含まない。
本発明の別の実施形態によれば、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、不等式(II):
Figure 0007252329000002
(式中、w(F)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する繊維(F)の重量分率[wt%]であり、w(AP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する接着促進剤(AP)の重量分率[wt%]である。)を満たす。
本発明のさらなる実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は少なくともバイモーダルである。
プロピレンポリマー(PP)はプロピレンホモポリマー(H-PP)であることが特に好ましい。
本発明の実施形態の1つによれば、プロピレンポリマー(PP)は、
i) ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が20g/10minであるか又は20g/10min未満である第1のプロピレンポリマー(PP1);及び
ii) 任意で、ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が20g/10minを超える第2のプロピレンポリマー(PP2);
を有する。
本発明のさらなる実施形態によれば、繊維(F)は短繊維(SF)である。
繊維(F)は、ガラス繊維(GF)、より好ましくは短ガラス繊維(SGF)であることが特に好ましい。
短繊維(SF)、より好ましくは短ガラス繊維(SGF)は、
i) 1.0mm~10.0mmの平均長;及び/又は、
ii) 8μm~20μmの平均直径;
を有することが好ましい。
本発明の実施形態の1つによれば、接着促進剤(AP)は、極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)であり、上記極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)は、無水マレイン酸をグラフトした、ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(190℃、2.16kg)が少なくとも80.0g/10minであるプロピレンホモ又はコポリマーである。
本発明の別の実施形態によれば、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対して、
i) 前記5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)を50.0wt%~80.0wt%、
ii) 繊維(F)を15.0wt%~40.0wt%、
iii) 接着促進剤(AP)を3.0wt%~10.0wt%、及び
iv) 任意で、添加剤(AD)を0.1wt%~4.0wt%、
有する。
本発明はさらに、上記の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する物品を対象とする。
好ましくは、前記物品は、少なくとも90wt%の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する。
本発明の実施形態の1つによれば、前記物品は、自動車用物品、好ましくは自動車エンジン用物品である。
前記物品が、エンジンのエアインテークマニホールド(air-intake manifold)であることが特に好ましい。
以下に、本発明をより詳細に記述する。
繊維強化ポリプロピレン組成物(C)
上記に略述したように、本発明は、5.0wt%又はそれ未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)、繊維(F)及び接着促進剤(AP)を有する、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を対象とする。
繊維強化ポリプロピレン組成物は、不等式(I)、好ましくは不等式(Ia)、より好ましくは不等式(Ib)を満たす:
Figure 0007252329000003
(式中、w(PP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対するプロピレンポリマー(PP)の重量分率[wt%]であり、w(AP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する接着促進剤(AP)の重量分率[wt%]である。)。
加えて、又は、前段落に代えて、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、不等式(II)、より好ましくは不等式(IIa)、なおより好ましくは不等式(IIb)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000004
(式中、w(F)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する繊維(F)の重量分率[wt%]であり、w(AP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する接着促進剤(AP)の重量分率[wt%]である。)。
好ましくは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対して、
i) 前記5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)を、50.0wt%~80.0wt%、より好ましくは53.0wt%~75.0wt%、なおより好ましくは55.0wt%~70.0wt%、例えば56.0wt%~61.0wt%、
ii) 繊維(F)を、15.0wt%~40.0wt%、より好ましくは20.0wt%~38.0wt%、なおより好ましくは25.0wt%~36.0wt%、例えば30.0wt%~35.0wt%、及び
iii) 接着促進剤(AP)を、3.0wt%~10.0wt%、より好ましくは3.2wt%~8.0wt%、なおより好ましくは3.5wt%~6.0wt%、例えば4.0wt%~5.0wt%、
有する。
さらに、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は添加剤(AD)を含んでもよい。
従って、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対して、
i) 前記5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)を、50.0wt%~80.0wt%、より好ましくは53.0wt%~75.0wt%、なおより好ましくは55.0wt%~70.0wt%、例えば56.0wt%~61.0wt%、
ii) 繊維(F)を、15.0wt%~40.0wt%、より好ましくは20.0wt%~38.0wt%、なおより好ましくは25.0wt%~36.0wt%、例えば30.0wt%~35.0wt%、
iii) 接着促進剤(AP)を、3.0wt%~10.0wt%、より好ましくは3.2wt%~8.0wt%、なおより好ましくは3.5wt%~6.0wt%、例えば4.0wt%~5.0wt%、
iv) 任意で、添加剤(AD)を、0.1wt%~4.0wt%、より好ましくは1.0wt%~3.0wt%、なおより好ましくは1.5wt%~2.8wt%、例えば2.0wt%~2.6wt%、
有する。
以下により詳細に説明するように、前記5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)は、バイモーダルであってもよく、そうでなくてもよい。従って、プロピレンポリマー(PP)は、好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)及び任意で第2のプロピレンポリマー(PP2)を有し、第2のプロピレンポリマー(PP2)のISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は第1のプロピレンポリマー(PP1)よりも高い。
従って、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対して、
i) 第1のプロピレンポリマー(PP1)を、50.0wt%~80.0wt%、より好ましくは51.0wt%~70.0wt%、なおより好ましくは53.0wt%~65.0wt%、例えば55.0wt%~60.0wt%、
ii) 任意で、第2のプロピレンポリマー(PP2)を、0.1wt%~15.0wt%、より好ましくは1.0wt%~10.0wt%、なおより好ましくは1.5wt%~5.0wt%、例えば2.0wt%~4.0wt%、
iii) 繊維(F)を、15.0wt%~40.0wt%、より好ましくは20.0wt%~38.0wt%、なおより好ましくは25.0wt%~36.0wt%、例えば30.0wt%~35.0wt%、
iv) 接着促進剤(AP)を、3.0wt%~10.0wt%、より好ましくは3.2wt%~8.0wt%、なおより好ましくは3.5wt%~6.0wt%、例えば4.0wt%~5.0wt%、
v) 任意で、添加剤(AD)を、0.1wt%~4.0wt%、より好ましくは1.0wt%~3.0wt%、なおより好ましくは1.5wt%~2.8wt%、例えば2.0wt%~2.6wt%、
有することが好ましく、上記i)~v)からなることがより好ましい。
上記のように、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、いかなる非晶質プロピレンポリマーも含まないことが好ましい。換言すれば、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、5.0wt%の又は5.0wt%を超える、より好ましくは3.0wt%の又は3.0wt%を超える、なおより好ましくは2.3wt%の又は2.3wt%を超えるキシレン可溶性成分含量XCSを有するいかなるプロピレンポリマーも含まないことが好ましい。
より好ましくは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、5.0wt%又は5.0wt%未満の、より好ましくは3.0wt%又は3.0wt%未満の、なおより好ましくは2.3wt%又は2.3wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有する。
加えて、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)のISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は、0.1g/10min~15.0g/10minの範囲内、より好ましくは1.0g/10min~10.0g/10minの範囲内、なおより好ましくは2.0g/10min~8.0g/10minの範囲内、例えば3.0g/10min~5.0g/10minの範囲内であることが好ましい。
さらに、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は優れた力学的性能を特徴とすることが好ましい。従って、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、ISO 527に従って決定される引張弾性率が、少なくとも3000MPa、より好ましくは4000MPa~11000MPaの範囲内、なおより好ましくは6000MPa~10000MPaの範囲内、例えば7000MPa~9000MPaの範囲内であることが好ましい。
加えて、又は、前段落に代えて、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、ISO 178に従って決定される曲げ弾性率が、少なくとも3000MPa、より好ましくは4000MPa~11000MPaの範囲内、なおより好ましくは6000MPa~10000MPaの範囲内、例えば7000MPa~9000MPaの範囲内であることが好ましい。
さらに、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、ISO 527に従って決定される引っ張り強さが、少なくとも70MPa、より好ましくは75MPa~150MPaの範囲内、なおより好ましくは90MPa~140MPaの範囲内、例えば100MPa~130MPaの範囲内であることが好ましい。
上記のように、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、高いエンジンオイル耐性により特徴づけられる。従って、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の力学的性能はオイルに暴露された後において高いレベルで維持されることが好ましい。
特に、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は不等式(III)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000005
(式中、TSR250は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に250h浸した後の引っ張り強さ保持率であり、TS250は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に250h浸した後の引っ張り強さ[MPa]であり、TSは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に浸す前の引っ張り強さ[MPa]である。)。
さらに、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は不等式(IV)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000006
(式中、TSR500は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に500h浸した後の引っ張り強さ保持率であり、TS500は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に500h浸した後の引っ張り強さ[MPa]であり、TSは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に浸す前の引っ張り強さ[MPa]である。)。
加えて、又は、前段落に代えて、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は不等式(V)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000007
(式中、TSR1000は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に1000h浸した後の引っ張り強さ保持率であり、TS1000は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に1000h浸した後の引っ張り強さ[MPa]であり、TSは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に浸す前の引っ張り強さ[MPa]である。)。
引っ張り強さの次に、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の引張弾性率もまた、オイルに暴露された後において高いレベルで維持される。
従って、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は不等式(VI)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000008
(式中、TMR250は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に250h浸した後の引張弾性率保持率であり、TM250は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に250h浸した後の引張弾性率[MPa]であり、TMは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に浸す前の引張弾性率[MPa]である。)。
さらに、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は不等式(VII)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000009
(式中、TMR500は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に500h浸した後の引張弾性率保持率であり、TM500は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に500h浸した後の引張弾性率[MPa]であり、TMは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に浸す前の引張弾性率[MPa]である。)。
加えて、又は、前段落に代えて、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は不等式(VIII)を満たすことが好ましい:
Figure 0007252329000010
(式中、TMR1000は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に1000h浸した後の引張弾性率保持率であり、TM1000は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に1000h浸した後の引張弾性率[MPa]であり、TMは、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)をオイル中に浸す前の引張弾性率[MPa]である。)。
以下に、プロピレンポリマー(PP)、繊維(F)及び接着促進剤(AP)をより詳細に記述する。
プロピレンポリマー(PP)
先に概説したように、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)はプロピレンポリマー(PP)を有する。
プロピレンポリマー(PP)はプロピレンコポリマー又はプロピレンホモポリマーであってもよく、後者が好ましい。
プロピレンポリマー(PP)がプロピレンコポリマーである場合、プロピレンポリマー(PP)は、プロピレンと共重合可能なモノマー、例えばエチレン及び/又はC~Cα-オレフィンなどのコモノマー、特にエチレン及び/又はC~Cα-オレフィン、例えばエチレン、1-ブテン及び/又は1-ヘキセンを有する。好ましくは、本発明のプロピレンポリマー(PP)は、エチレン、1-ブテン及び1-ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを有し、とりわけ上記モノマーからなる。より詳細には、本発明のプロピレンポリマー(PP)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1-ブテンに由来し得る単位を含む。好ましい実施形態において、プロピレンポリマー(PP)は、エチレン及びプロピレンに由来し得る単位のみを有する。
プロピレンポリマー(PP)のコモノマー含量は、0.0wt%~5.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは0.0wt%~3.0wt%の範囲内、なおより好ましくは0.0wt%~1.0wt%の範囲内である。
プロピレンポリマー(PP)はプロピレンホモポリマー(H-PP)であることが特に好ましい。
本発明によれば、「プロピレンホモポリマー」という表現は、実質的にプロピレン単位からなる、すなわち、少なくとも99.0wt%、より好ましくは少なくとも99.5wt%、なおより好ましくは少なくとも99.8wt%、例えば少なくとも99.9wt%のプロピレン単位からなるポリプロピレンに関する。別の実施形態において、プロピレン単位のみが検出可能であり、すなわち、プロピレンのみが重合している。
好ましくは、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)はアイソタクチックである。従って、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)は、高めの、すなわち94.1%より高い、より好ましくは94.4%より高い、例えば94.4%より高く98.5%以下、なおより好ましくは少なくとも94.7%、例えば94.7%~98.5%の範囲内の、ペンタッド濃度(mmmm%)を有することが好ましい。
プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)は、少なめの低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、すなわち3.1wt%未満の低温キシレン可溶性成分(XCS)を特徴とすることが好ましい。従って、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)は、好ましくは、1.0wt%~3.0wt%の範囲内、より好ましくは1.5wt%~2.8wt%の範囲内、なおより好ましくは2.0wt%~2.6wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分含量(XCS)を有する。
低温キシレン可溶性成分(XCS)の量はさらに、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)が、好ましくは、エチレンプロピレンゴムなどのいかなる弾性ポリマー成分も含まないことを示す。言い換えると、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)は、異相ポリプロピレンではない、すなわち、弾性相が分散しているポリプロピレンマトリックスからなる系ではないものとする。そのような系は、高めの低温キシレン可溶性成分含量を特徴とする。
低温キシレン可溶性成分(XCS)の量はさらに、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)が、好ましくは、力学的特性を向上させるための第2の相としての介在物を形成する弾性(コ)ポリマーを含有しないことを示す。第2の相の挿入として弾性(コ)ポリマーを含有するポリマーは、対照的に、異相と呼ばれ、好ましくは本発明の一部ではない。第2の相又はいわゆる介在物の存在は、例えば、高解像度顕微鏡法、例えば電子顕微鏡法若しくは原子間力顕微鏡法により、又は動的機械熱分析(dynamic mechanical thermal analysis)(DMTA)により視認できる。特にDMTAにおいては、多相構造の存在は、少なくとも2つの別個のガラス転移温度の存在により特定することができる。
さらに、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)、は、好ましくは結晶性プロピレンホモポリマーである。「結晶性」という用語は、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)、が高めの溶融温度を有することを示す。従って、本発明を通じて、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)、は、別段の記載がない限り、結晶性とみなされる。そのため、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)、は好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される溶融温度Tmが、少なくとも160℃、より好ましくは少なくとも161℃、なおより好ましくは少なくとも163℃、例えば163℃~167℃の範囲内である。
さらに、プロピレンポリマー(PP)、例えばプロピレンホモポリマー(H-PP)、は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される結晶化温度Tcが、108℃又はそれより高い、より好ましくは110℃~130℃の範囲内、より好ましくは120℃~130℃の範囲内であることが好ましい。
プロピレンポリマー(PP)は、低めのメルトフローレートを特徴とすることが好ましい。従って、プロピレンポリマー(PP)の、ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は、50.0g/10min未満であることが好ましく、より好ましくは0.1g/10min~40.0g/10minの範囲内、なおより好ましくは1.0g/10min~30.0g/10minの範囲内、いっそうより好ましくは3.0g/10min~20.0g/10minの範囲内、なおいっそうより好ましくは5.0g/10min~15.0g/10minの範囲内、例えば6.0g/10min~10.0g/10minの範囲内である。
本発明の好ましい実施形態によれば、プロピレンポリマー(PP)は好ましくはバイモーダルである。
従って、プロピレンポリマー(PP)は、少なくとも2種のプロピレンポリマーを有することが好ましい。プロピレンポリマー(PP)が2種のプロピレンポリマー、すなわち、第1のプロピレンポリマー(PP1)及び第2のプロピレンポリマー(PP2)を有することが特に好ましい。
好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)及び第2のプロピレンポリマー(PP2)は、ISO1133に従って決定される異なるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)を有する。
第1のプロピレンポリマー(PP1)及び第2のプロピレンポリマー(PP2)は、それぞれ、プロピレンコポリマー又はプロピレンホモポリマーであってよい。
第1のプロピレンポリマー(PP1)及び/又は第2のプロピレンポリマー(PP2)がプロピレンコポリマーである場合、当該プロピレンポリマーは、プロピレンと共重合可能なモノマー、例えばエチレン及び/又はC~Cα-オレフィンなどのコモノマー、特にエチレン及び/又はC~Cα-オレフィン、例えば1-ブテン及び/又は1-ヘキセンを有する。好ましくは、本発明の第1のプロピレンポリマー(PP1)及び/又は第2のプロピレンポリマー(PP2)は、エチレン、1-ブテン及び1-ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを有し、とりわけ上記モノマーからなる。より詳細には、本発明の第1のプロピレンポリマー(PP1)及び/又は第2のプロピレンポリマー(PP2)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1-ブテンに由来し得る単位を有する。好ましい実施形態において、プロピレンポリマー(PP)は、エチレン及びプロピレンに由来し得る単位のみを有する。
以下により詳細に記述するように、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び第2プロピレンポリマー画分(PP1b)を有してよい。従って、プロピレンポリマー(PP)が第1のプロピレンポリマー(PP1)のみを有し、第1のプロピレンポリマー(PP1)が第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び第2プロピレンポリマー画分(PP1b)を有する実施形態において、プロピレンポリマー(PP)はまたバイモーダルである。
第1のプロピレンポリマー(PP1)及び/又は第2のプロピレンポリマー(PP2)のコモノマー含量は、それぞれ、0.0wt%~5.0wt%の範囲内、いっそうより好ましくは0.0wt%~3.0wt%の範囲内、なおより好ましくは0.0wt%~1.0wt%の範囲内である。
しかしながら、先に概説したように、プロピレンポリマー(PP)はプロピレンホモポリマー(H-PP)であることが好ましい。従って、プロピレンポリマー(PP)のすべてのプロピレンポリマー、すなわち、第1のプロピレンポリマー(PP1)及び第2のプロピレンポリマー(PP2)は、プロピレンホモポリマーであることが好ましい。「プロピレンホモポリマー」という表現に関しては、先の定義が参照される。
以下に、第1のプロピレンポリマー(PP1)及び第2のプロピレンポリマー(PP2)をより詳細に記述する。
第1のプロピレンポリマー(PP1)
第1のプロピレンポリマー(PP1)のISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は低いことが好ましい。従って、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が50.0g/10min未満であることが好ましく、より好ましくは0.1g/10min~40.0g/10minの範囲内、なおより好ましくは1.0g/10min~30.0g/10minの範囲内、いっそうより好ましくは3.0g/10min~20.0g/10minの範囲内、なおより好ましくは5.0g/10min~15.0g/10minの範囲内、例えば6.0g/10min~10.0g/10minの範囲内である。
第1のプロピレンポリマー(PP1)のさらなる特徴は、ポリマー鎖中のプロピレン誤挿入が少量であることであり、このことは、第1のプロピレンポリマー(PP1)がチーグラー・ナッタ触媒の存在下で、好ましくは下記でより詳細に規定されるチーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)の存在下で製造されることを示す。従って、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、好ましくは、13C-NMR分光法により決定される2,1エリスロレギオ欠陥が少量、すなわち0.4mol%又はそれ未満、より好ましくは0.2mol%又はそれ未満、例えば0.1mol%以下であることを特徴とする。とりわけ好ましい実施形態において、2,1エリスロレギオ欠陥は検出不能である。
第1のプロピレンポリマー(PP1)は、少なめの低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、すなわち4.1wt%未満の低温キシレン可溶性成分(XCS)を特徴とすることが好ましい。従って、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、好ましくは、1.0wt%~4.0wt%の範囲内、より好ましくは1.0wt%~2.0wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分含量(XCS)を有する。
低温キシレン可溶性成分(XCS)の量はさらに、第1のプロピレンポリマー(PP1)が、好ましくは、エチレンプロピレンゴムなどのいかなる弾性ポリマー成分も含まないことを示す。言い換えると、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、異相ポリプロピレンではない、すなわち、弾性相が分散しているポリプロピレンマトリックスからなる系ではないものとする。そのような系は、高めの低温キシレン可溶性成分含量を特徴とする。
低温キシレン可溶性成分(XCS)の量はさらに、第1のプロピレンポリマー(PP1)が、好ましくは、力学的特性を向上させるための第2の相としての介在物を形成する弾性(コ)ポリマーを含有しないことを示す。第2の相の挿入として弾性(コ)ポリマーを含有するポリマーは、対照的に、異相と呼ばれ、好ましくは本発明の一部ではない。第2の相又はいわゆる介在物の存在は、例えば、高解像度顕微鏡法、例えば電子顕微鏡法若しくは原子間力顕微鏡法により、又は動的機械熱分析(DMTA)により視認できる。特にDMTAにおいては、多相構造の存在は、少なくとも2つの別個のガラス転移温度の存在により特定することができる。
さらに、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、好ましくは結晶性プロピレンホモポリマーである。「結晶性」という用語は、第1のプロピレンポリマー(PP1)が高めの溶融温度を有することを示す。従って、本発明を通じて、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、別段の記載がない限り、結晶性とみなされる。そのため、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される溶融温度Tmが、少なくとも158℃、より好ましくは少なくとも160℃、なおより好ましくは少なくとも161℃、例えば161℃~168℃の範囲内である。
さらに、第1のプロピレンポリマー(PP1)の示差走査熱量測定(DSC)により測定される結晶化温度Tcは、110℃又はそれより高いことが好ましく、より好ましくは110℃~140℃の範囲内、より好ましくは120℃~130℃の範囲内である。
本発明の好ましい実施形態によれば、第1のプロピレンポリマー(PP1)はバイモーダルである。
従って、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、少なくとも2つのプロピレンポリマー画分を有することが好ましい。第1のプロピレンポリマー(PP1)が、2つのプロピレンポリマー画分、すなわち第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び第2プロピレンポリマー画分(PP1b)を有することが特に好ましい。
好ましくは、第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び第2プロピレンポリマー画分(PP1b)は、ISO1133に従って決定される異なるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)及び/又は異なるコモノマー含量を有する。
第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び第2プロピレンポリマー画分(PP1b)は、それぞれ、プロピレンコポリマー又はプロピレンホモポリマーであってよい。
第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び/又は第2プロピレンポリマー画分(PP1b)がプロピレンコポリマーである場合、当該プロピレンポリマーは、プロピレンと共重合可能なモノマー、例えばエチレン及び/又はC~Cα-オレフィンなどのコモノマー、特にエチレン及び/又はC~Cα-オレフィン、例えば1-ブテン及び/又は1-ヘキセンを有する。好ましくは、本発明の第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び/又は第2プロピレンポリマー画分(PP1b)は、エチレン、1-ブテン及び1-ヘキセンからなる群からのプロピレンと共重合可能なモノマーを有し、とりわけ上記モノマーからなる。より詳細には、本発明の第1プロピレンポリマー画分(PP1a)及び/又は第2プロピレンポリマー画分(PP1b)は、プロピレンの他に、エチレン及び/又は1-ブテンに由来し得る単位を有する。好ましい実施形態において、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、エチレン及びプロピレンに由来し得る単位のみを有する。
好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)は核形成されており、より好ましくはα-核形成されている。従って、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、核形成剤、好ましくはα-核形成剤の存在下で製造されることが好ましい。
第1のプロピレンポリマー(PP1)がα-核形成剤を有する場合、β-核形成剤は含まないことが好ましい。α-核形成剤は、好ましくは、以下からなる群より選択される:
(i) モノカルボン酸及びポリカルボン酸の塩、例えば安息香酸ナトリウム又はtert-ブチル安息香酸アルミニウム、並びに
(ii) ジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4 ジベンジリデンソルビトール)及びC~C-アルキル置換ジベンジリデンソルビトール誘導体、例えばメチルジベンジリデンソルビトール、エチルジベンジリデンソルビトール又はジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4 ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)など、又は、置換ノニトール誘導体、例えば1,2,3,-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトールなど、並びに
(iii) リン酸のジエステルの塩、例えば、ナトリウム 2,2’-メチレンビス(4,6,-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート又はアルミニウム-ヒドロキシ-ビス[2,2’-メチレン-ビス(4,6-ジ-t-ブチルフェニル)ホスフェート]、並びに
(iv) ビニルシクロアルカンポリマー及びビニルアルカンポリマー(下記でより詳細に論じる)、並びに
(v) それらの混合物。
そのような添加剤は一般に市販されており、例えば、Hans Zweifelの「Plastic Additives Handbook」(871~873頁、第5版、2001)に記載されている。
好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、5.0wt%以下のα-核形成剤を含有する。好ましい実施形態において、プロピレンホモポリマーは、500ppm以下、より好ましくは0.025ppm~200ppm、より好ましくは0.1ppm~200ppm、なおより好ましくは0.3ppm~200ppm、最も好ましくは0.3ppm~100ppmのα-核形成剤、特に、ジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4 ジベンジリデンソルビトール)、ジベンジリデンソルビトール誘導体、好ましくはジメチルジベンジリデンソルビトール(例えば、1,3:2,4 ジ(メチルベンジリデン)ソルビトール)、又は、置換ノニトール誘導体、例えば、1,2,3,-トリデオキシ-4,6:5,7-ビス-O-[(4-プロピルフェニル)メチレン]-ノニトール、ナトリウム 2,2’-メチレンビス(4,6,-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスフェート、ビニルシクロアルカンポリマー、ビニルアルカンポリマー、並びにそれらの混合物からなる群より選択されるα-核形成剤を含有する。
好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、先に規定したように、チーグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合することにより得られる。より好ましくは、本発明の第1のプロピレンポリマー(PP1)は、チーグラー・ナッタ触媒を用いることにより、以下に詳細に規定する方法により得られる。
本発明による第1のプロピレンポリマー(PP1)は、好ましくは、
(a) IUPACの第4族~第6族遷移金属の化合物(TC)、第2族金属化合物(MC)及び内部供与体(ID)を有するチーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)、
(b) 任意に、共触媒(Co)、並びに
(c) 任意に、外部供与体(ED)
の存在下で製造される。
好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)は、少なくとも1つの反応器、例えば2つの反応器(R1)及び(R2)、を有する以下にさらに説明される重合プロセスにおいて製造される。好ましくは、第1のプロピレンポリマー(PP1)は1つの重合反応器(R1)内で製造される。
プロピレンホモポリマー並びにチーグラー・ナッタ触媒の製造方法を、以下に詳細にさらに説明する。
重合反応器(R1)は、気相反応器(GPR)又はスラリー反応器(SR)であってよい。本発明の気相反応器(GPR)は、好ましくは流動床反応器、高速流動床反応器又は固定床反応器又はそれらの任意の組み合わせである。
好ましくは、重合反応器(R1)は、バルク又はスラリー状態で稼働する、連続若しくは単純撹拌型のバッチタンク反応器又はループ反応器であってもよいスラリー反応器(SR)である。バルクとは、少なくとも60%(w/w)のモノマーを含む反応媒体中での重合を意味する。本発明によれば、スラリー反応器(SR)は、好ましくは(バルク)ループ反応器(LR)である。
第2の重合反応器(R2)及び、存在する場合は任意の後続の反応器は、好ましくは気相反応器(GPR)である。そのような気相反応器(GPR)は、任意の機械混合式又は流動床反応器であってよい。好ましくは、気相反応器(GPR)は、ガス速度が少なくとも0.2m/secである機械撹拌式流動床反応器を含む。従って、気相反応器は、好ましくはメカニカルスターラーを備えた、流動床型の反応器であることが好ましい。
任意の後続の反応器が存在する場合、第1の重合反応器(R1)のプロピレンホモポリマーは、第2の重合反応器(R2)に好ましくは直接供給され、すなわち、各段階の間に流出工程を行わずに(第1の)気相反応器(GPR1)に供給される。この種の直接供給は、EP887379A、EP887380A、EP887381A及びEP991684Aに記載されている。「直接供給」は、第1の重合反応器(R1)の、すなわちループ反応器(LR)の内容物が次の段階の気相反応器に直接送られるプロセスを意味する。
あるいは、第1の重合反応器(R1)のプロピレンホモポリマー、より好ましくはループ反応器(LR)のポリマースラリーはまた、流出工程に送られるか又はさらなる濃縮工程を経た後に第2の重合反応器(R2)に、すなわち気相反応器(GPR)に供給されてもよい。従って、この「間接供給」は、第1の重合反応器(R1)の、ループ反応器(LR)の内容物、すなわちポリマースラリーが、反応媒体分離部及び分離部からのガスとしての反応媒体を介して、第2の重合反応器(R2)に、(第1の)気相反応器(GPR1)に供給されるプロセスを指す。
しかしながら、プロピレンポリマー(PP1)は、1つの反応器、すなわちループ反応器(LR)である重合反応器(R1)において製造されることが好ましい。
スラリー反応器(SR)、すなわちループ反応器(LR)の前に必要であれば、プレ重合反応器を配置する。
チーグラー・ナッタ触媒は、重合反応器(R1)に供給される。プロセスがプレ重合工程も含む場合、チーグラー・ナッタ触媒はすべてプレ重合反応器に供給されることが好ましい。続いて、チーグラー・ナッタ触媒を含有するプレ重合生成物が重合反応器(R1)に移される。
好ましい多段階プロセスは「ループ-気相」プロセスであり、デンマークのBorealis A/Sにより開発されたもの(BORSTAR(登録商標)技術として知られている)などであり、例えばEP0887379、WO92/12182、WO2004/000899、WO2004/111095、WO99/24478、WO99/24479又はWO00/68315などの特許文献に記載されている。
反応器内の温度が注意深く選択される場合に、特に良好な結果が達成される。
従って、重合反応器(R1)内の動作温度は、62℃~90℃の範囲内、より好ましくは65℃~85℃の範囲内、なおより好ましくは67℃~83℃の範囲内であることが好ましい。
典型的には、重合反応器(R1)内の、好ましくはループ反応器(LR)内の圧力は、20bar~80bar、好ましくは30bar~70bar、例えば35bar~65barの範囲内である。
好ましくは、分子量、すなわちメルトフローレートMFRを制御するために、各重合反応器に水素が添加される。
好ましくは、平均滞留時間は重合反応器(R1)において長めである。一般に、平均滞留時間(τ)は、反応器からの体積流出速度(Q)に対する反応体積(V)の比(すなわちV/Q)と定義され、すなわちτ=V/Q[タウ=V/Q]である。ループ反応器の場合、反応体積(V)は反応器体積と等しい。
従って、重合反応器(R1)における平均滞留時間(τ)は、好ましくは少なくとも15min、より好ましくは15min~90minの範囲内、なおより好ましくは20min~80minの範囲内、例えば24min~60minの範囲内である。
上記の通り、プロピレンホモポリマーの製造は、重合反応器(R1)におけるプロピレンホモポリマーの(本)重合に加えて、その前に、重合反応器(R1)の上流のプレ重合反応器(PR)におけるプレ重合を含んでもよい。
プレ重合反応器(PR)ではポリプロピレン(プレPP)が製造される。プレ重合は、チーグラー・ナッタ触媒の存在下で行われる。本実施形態によれば、チーグラー・ナッタ触媒、共触媒(Co)、及び外部供与体(ED)はすべてプレ重合工程に導入される。しかしながら、このことは、より後の段階で、例えばさらなる共触媒(Co)及び/又は外部供与体(ED)が重合プロセスにおいて、例えば第1の反応器(R1)において添加されるという選択肢を除外するものではない。実施形態の1つにおいて、プレ重合が行われる場合、チーグラー・ナッタ触媒、共触媒(Co)、及び外部供与体(ED)はプレ重合反応器(PR)においてのみ添加される。
プレ重合反応は典型的には、0℃~60℃、好ましくは15℃以上50℃以下、より好ましくは20℃以上45℃以下の温度で行われる。
プレ重合反応器内の圧力は重要ではないが、反応混合物を液相に保つために十分に高くなければならない。従って、圧力は20bar以上100bar以下、例えば30bar以上70bar以下であってよい。
好ましい実施形態において、プレ重合は、液体プロピレン中のバルクスラリー重合として行われ、すなわち、液相は、任意に不活性成分が溶解しているプロピレンを主として含む。さらに、本発明によれば、上記で述べたプレ重合の間にエチレン供給を行う。
他の成分もまたプレ重合段階に添加することが可能である。従って、当技術分野において公知であるように、ポリプロピレン(Pre-PP)の分子量を制御するために、水素をプレ重合段階に添加してもよい。さらに、粒子が互いに又は反応器の壁に付着しないように、帯電防止添加剤を使用してもよい。
プレ重合条件及び反応パラメータの正確な制御は、当業者の技能の範囲内である。
上記で規定されたプレ重合におけるプロセス条件のために、好ましくはチーグラー・ナッタ触媒と、プレ重合反応器(PR)において製造されたポリプロピレン(プレPP)との混合物(MI)が得られる。好ましくは、チーグラー・ナッタ触媒は、ポリプロピレン(プレPP)中に(微細に)分散している。言い換えると、プレ重合反応器(PR)中に導入されたチーグラー・ナッタ触媒粒子はより小さい断片に分かれ、成長しているポリプロピレン(プレPP)中で均一に分配される。導入されるチーグラー・ナッタ触媒粒子の、並びに得られる断片のサイズは、本発明と本質的に関連するものではなく、当業者の知識の範囲内である。
上記の通り、プレ重合が使用される場合、前記プレ重合に続いて、チーグラー・ナッタ触媒とプレ重合反応器(PR)において製造されたポリプロピレン(プレPP)との混合物(MI)が、第1の反応器(R1)に移される。典型的には、最終プロピレンポリマー(PP1)中のポリプロピレン(プレPP)の全量は少なめであり、典型的には5.0wt%以下、より好ましくは4.0wt%以下、なおより好ましくは0.5wt%~4.0wt%の範囲内であり、例えば1.0wt%~3.0wt%の範囲内である。
プレ重合が使用されない場合、プロピレン及びチーグラー・ナッタ触媒などのその他の成分は、第1の重合反応器(R1)に直接導入される。
従って、プロピレンホモポリマーは、好ましくは、上記の条件下で以下の工程:
(a) 第1の重合反応器(R1)、すなわちループ反応器(LR)において、プロピレンを重合することにより、第1のプロピレンポリマー(PP1)を得る工程
を有する方法において製造される。
上記のプレ重合は、工程(a)の前に行うことができる。
上記のプロセスにおいて、第1のプロピレンポリマー(PP1)を製造するためのチーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)が用いられる。このチーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)は、プロピレン重合用の任意の立体特異的チーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)であってよく、好ましくは、500kPa~10000kPa、特に2500kPa~8000kPaの圧力、40℃~110℃、特に60℃~110℃の温度で、プロピレン及び場合により存在するコモノマーの重合及び共重合を触媒することが可能なものである。
好ましくは、チーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)は、内部供与体成分を含む高収率チーグラー・ナッタ型触媒を含み、これは80℃又はそれより高い、高温の重合温度で使用することができる。そのような高収率チーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)は、スクシネート、ジエーテル、フタレートなど、又はそれらの混合物を内部供与体(ID)として含むことができ、例えばLyondellBasellからAvant ZNという商品名で市販されている。Avant ZNシリーズの例は、Avant ZN 126及びAvant ZN 168である。Avant ZN 126は、3.5wt%のチタン及び内部電子供与体としてのジエーテル化合物を含むチーグラー・ナッタ触媒であり、LyondellBasellから市販されている。Avant ZN 168は、2.6wt%のチタン及び内部電子供与体としてのスクシネート化合物を含むチーグラー・ナッタ触媒であり、LyondellBaselllから市販されている。Avant ZNシリーズのさらなる例は、LyondellBasellの触媒ZN180Mである。
さらなる好適な触媒は、例えばWO2012/007430、EP2610271、EP261027及びEP2610272に記載されている。
チーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)は、好ましくは、アルキルアルミニウム共触媒及び任意に外部供与体と関連して使用される。
本発明の重合プロセスにおけるさらなる成分として、好ましくは外部供与体(ED)が存在する。好適な外部供与体(ED)としては、特定のシラン、エーテル、エステル、アミン、ケトン、複素環化合物及びこれらのブレンドが挙げられる。シランを使用することが特に好ましい。下記の一般式:
Si(OR(4-p-q)
(式中、R、R及びRは、炭化水素基、特にアルキル又はシクロアルキル基を示し、
p及びqは、0から3の範囲の数であり、それらの和p+qは3又はそれ未満である。R、R及びRは互いに独立に選択することができ、同じであるか又は異なることができる。そのようなシランの具体的な例は、(tert-ブチル)Si(OCH、(シクロヘキシル)(メチル)Si(OCH、(フェニル)Si(OCH及び(シクロペンチル)Si(OCHである。)、又は下記の一般式:
Si(OCHCH(NR
(式中、R3及びR4は同じであるか又は異なることができ、1個~12個の炭素原子を有する炭化水素基を表す。)のシランを使用することが最も好ましい。
R3及びR4は、1個~12個の炭素原子を有する直鎖脂肪族炭化水素基、1個~12個の炭素原子を有する分岐鎖脂肪族炭化水素基、及び1個~12個の炭素原子を有する環状脂肪族炭化水素基からなる群から独立に選択される。R3及びR4は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、オクチル、デカニル、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、tert-ブチル、tert-アミル、ネオペンチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロペンチル及びシクロヘプチルからなる群から独立に選択されることが特に好ましい。
より好ましくは、R及びRは同じであり、いっそうより好ましくはR及びRは両方ともエチル基である。
特に好ましい外部供与体(ED)は、ジシクロペンチルジメトキシシラン供与体(D供与体)又はシクロヘキシルメチルジメトキシシラン供与体(C供与体)である。
チーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)及び場合により存在する外部供与体(ED)に加えて、共触媒を使用することができる。共触媒は、好ましくは周期表(IUPAC)の第13族化合物、例えば、アルミニウム化合物などの有機アルミニウム、例えばアルキルアルミニウム、アルミニウムハライド又はアルミニウムアルキルハライド化合物である。従って、特定の実施形態の1つにおいて、共触媒(Co)は、トリアルキルアルミニウム、例えばトリエチルアルミニウム(TEAL)、ジアルキルアルミニウムクロリド又はアルキルアルミニウムジクロリド又はそれらの混合物である。特定の実施形態の1つにおいて、共触媒(Co)はトリエチルアルミニウム(TEAL)である。
好ましくは、共触媒(Co)と外部供与体(ED)との比[Co/ED]及び/又は共触媒(Co)と遷移金属(TM)との比[Co/TM]は、注意深く選択されるべきである。
従って、
(a) 共触媒(Co)と外部供与体(ED)のmol比[Co/ED]は、5~45の範囲内でなければならず、好ましくは5~35の範囲内であり、より好ましくは5~25の範囲内であり、
任意に、
(b) 共触媒(Co)のチタン化合物(TC)に対するmol比[Co/TC]は、80より大きく500以下の範囲内でなければならず、好ましくは90~350の範囲内であり、なおより好ましくは100~300の範囲内である。
さらなる実施形態において、チーグラー・ナッタ触媒(ZN-C1)は、特別なチーグラー・ナッタ前駆触媒(procatalyst)(成分(i))、外部供与体(成分(iii))及び任意で共触媒(成分(iii))を有する触媒系の存在下で、ビニル化合物を重合させることにより修飾されてもよく、このビニル化合物は式
CH=CH-CHR
(式中、R及びRは、一緒に5若しくは6員の飽和、不飽和若しくは芳香族環を形成し、又は、独立に1~4個の炭素原子を有するアルキル基を表す。)を有し、この修飾触媒は本発明の第1のプロピレンポリマー(PP1)の製造に使用される。重合したビニル化合物はα-核形成剤として作用することができる。
触媒の修飾に関し、触媒の修飾の反応条件について並びに重合反応について参照により本明細書に取り込まれる国際出願WO99/24478、WO99/24479及び特にWO00/68315が参照される。
第2のプロピレンポリマー(PP2)
第2のプロピレンポリマー(PP2)は、好ましくは中程度のメルトフローレートを有する。従って、第2のプロピレンポリマー(PP2)の、ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)は、20.0g/10min~150.0g/10minの範囲内、より好ましくは30.0g/10min~120.0g/10minの範囲内、なおより好ましくは40.0g/10min~90.0g/10minの範囲内、例えば50.0g/10min~65.0g/10minの範囲内であることが好ましい。
第2のプロピレンポリマー(PP2)は、少なめの低温キシレン可溶性成分(XCS)含量、すなわち4.1wt%未満の低温キシレン可溶性成分(XCS)を特徴とすることが好ましい。従って、第2のプロピレンポリマー(PP2)は、好ましくは、1.0wt%~4.0wt%の範囲内、より好ましくは1.0wt%~3.0wt%の範囲内、なおより好ましくは1.5wt%~2.5wt%の範囲内の低温キシレン可溶性成分含量(XCS)を有する。
従って、第1のプロピレンポリマー(PP1)と同様に、第2のプロピレンポリマー(PP2)は、いかなる弾性成分も含まないことが好ましい。この点に関して、先に示された定義が参照される。
さらに、第2のプロピレンポリマー(PP2)は、好ましくは結晶性プロピレンホモポリマーである。「結晶性」という用語に関して、先に示された定義が参照される。そのため、第2のプロピレンポリマー(PP2)は、好ましくは、示差走査熱量測定(DSC)により測定される溶融温度Tmが少なくとも145℃、より好ましくは少なくとも150℃、なおより好ましくは少なくとも155℃、例えば150℃~160℃の範囲内である。
さらに、第2のプロピレンポリマー(PP2)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される結晶化温度Tcが108℃又はそれより高く、より好ましくは110℃~130℃の範囲内、より好ましくは115℃~125℃の範囲内であることが好ましい。
好ましくは、第2のプロピレンポリマー(PP2)は、チーグラー・ナッタ触媒の存在下でプロピレンを重合させることにより得られる。より好ましくは、本発明による第2のプロピレンポリマー(PP2)は、チーグラー・ナッタ触媒を使用した方法により得られる。
第2のプロピレンポリマー(PP2)の製造には、第1のプロピレンポリマー(PP1)に関して先に説明した重合法及びチーグラー・ナッタ触媒を使用することができる。そのため、第1のプロピレンポリマー(PP1)に関して先に説明したプロセス及びチーグラー・ナッタ触媒が参照される。
繊維(F)
本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の必須の成分は繊維(F)である。
好ましくは、当該繊維(F)は短繊維(SF)である。
好ましくは、短繊維(SF)は、ガラス繊維、金属繊維、鉱物繊維、セラミック繊維、炭素繊維及びグラファイト繊維からなる群より選択される。ガラス繊維が特に好ましい。従って、短繊維(SF)は短ガラス繊維(SGF)であることが好ましい。特に、短ガラス繊維(SGF)は、短繊維又はチョップドストランドとしても知られる切断ガラス繊維(cut glass fibers)である。
繊維強化ポリプロピレン組成物(C)に使用される、短ガラス繊維(SGF)等の切断又は短繊維(SF)は、好ましくは、1.0mm以上10.0mm以下の範囲内、より好ましくは2.0mm~8.0mmの範囲内、なおより好ましくは3.0mm~5.0mmの範囲内、例えば3.0mm~4.5mmの範囲内の平均長を有する。
繊維強化ポリプロピレン組成物(C)において使用される、短ガラス繊維(SGF)等の切断又は短繊維(SF)は、好ましくは8μm以上20μm以下、より好ましくは9μm以上16μm以下、なおより好ましくは9μm~14μm、例えば9μm~13μmの平均直径を有する。
好ましくは、短ガラス繊維(SGF)等の短繊維(SF)は、125~650、好ましくは200~600、より好ましくは300~600、なおより好ましくは400~550のアスペクト比を有する。アスペクト比は、繊維の平均長と平均直径の間の関係である。
接着促進剤(AP)
本発明によれば、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、接着促進剤(AP)をさらに有する。接着促進剤(AP)は、極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーであると規定される。
極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーは、反応性極性基を有する低分子量化合物を含む。修飾ポリプロピレンホモポリマー及びコポリマー、例えばプロピレン及びエチレンのコポリマー又は他のα-オレフィン、例えばC~C10α-オレフィンを有するコポリマーは、本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)のプロピレンポリマー(PP)と高度に相溶性であることから、最も好ましい。
構造に関して、極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーは、好ましくはグラフトホモポリマー又はコポリマーから選択される。
これに関連して、酸無水物、カルボン酸、カルボン酸誘導体、一級及び二級アミン、ヒドロキシル化合物、オキサゾリン並びにエポキシド、さらにイオン性化合物からなる群より特に選択される、極性化合物に由来する基を含有する極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーが好ましい。
前記極性化合物の特定の例は、不飽和の環状酸無水物及びそれらの脂肪族ジエステル、並びに二酸誘導体である。特に、無水マレイン酸並びにC~C10直鎖及び分枝状ジアルキルマレエート、C~C10直鎖及び分枝状ジアルキルフマレート、無水イタコン酸、C~C10直鎖及び分枝状イタコン酸ジアルキルエステル、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸及びそれらの混合物から選択される化合物を使用することができる。
極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーとして、すなわち接着促進剤(AP)として、無水マレイン酸又はアクリル酸をグラフトしたポリプロピレンホモ又はコポリマーを使用することが特に好ましい。
修飾ポリマー、すなわち接着促進剤は、市販されているか、又は、例えば、US4,506,056、US4,753,997又はEP1805238に開示されているように、例えば無水マレイン酸又はアクリル酸を用いて、フリーラジカル発生剤(例えば有機過酸化物)の存在下で、ポリマーの反応押出により、単純な方法で製造することができる。
本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)中の極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマー、すなわち接着促進剤(AP)の好ましい量は、1wt%以上10wt%以下である。例えば、2.0wt%~8wt%の範囲内、好ましくは3.0wt%~6wt%の範囲内、及び最も好ましくは3.0wt%~6.0wt%の範囲内である。
極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマー中の、すなわち接着促進剤(AP)中の極性化合物に由来する基の好ましい量は、0.5wt%以上10wt%以下である。例えば、0.5wt%~8wt%の範囲内、好ましくは0.5wt%~6wt%の範囲内、より好ましくは0.5wt%~4wt%の範囲内、及び最も好ましくは0.5wt%~3.5wt%の範囲内である。
極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーの、すなわち接着促進剤(AP)の、メルトフローレートMFR(190℃)の好ましい値は、30g/10min以上200g/10min以下である。極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーは、少なくとも80g/10minのメルトフローレートMFR(190℃)を有することが特に好ましい。
本発明の好ましい実施形態の1つにおいて、接着促進剤(AP)は、無水マレイン酸修飾ポリプロピレンホモ若しくはコポリマー及び/又はアクリル酸修飾ポリプロピレンホモ若しくはコポリマーである。好ましくは、接着促進剤(AP)は、無水マレイン酸修飾ポリプロピレンホモポリマー及び/又はアクリル酸修飾ポリプロピレンホモポリマー、好ましくは無水マレイン酸修飾ポリプロピレンホモポリマーである。例えば、好適な極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)ホモ又はコポリマーとしては、例えば、無水マレイン酸をグラフトしたポリプロピレンホモポリマー(PP-g-MAH)及びアクリル酸をグラフトしたポリプロピレンホモポリマー(PP-g-AA)が挙げられる。
添加剤(AD)
プロピレンポリマー(PP)、接着促進剤(AP)及び繊維(F)に加えて、本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、添加剤(AD)を有してもよい。典型的な添加剤は、酸捕捉剤、酸化防止剤、着色剤、光安定剤、可塑剤、スリップ剤、擦り傷防止剤、分散剤、加工助剤、滑剤、顔料などである。
そのような添加剤は市販されており、例えば、Hans Zweifelの「Plastic Additives Handbook」、第6版、2009(1141頁~1190頁)に記載されている。
さらに、本発明による「添加剤(AD)」という用語は、担体材料、特にポリマー担体材料も含む。
ポリマー担体材料
好ましくは本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)は、(a)プロピレンポリマー(PP)及び接着促進剤(AP)とは異なるさらなるポリマーを、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の重量に対して15wt%を超える量、好ましくは10wt%を超える量、より好ましくは5wt%を超える量では有さない。添加剤(AD)のための担体材料である任意のポリマーは、本発明において示されるポリマー化合物の量には算入されないが、それぞれの添加剤の量に算入される。
添加剤(AD)のポリマー担体材料は、本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)における均一な分布を確実にするための担体ポリマーである。ポリマー担体材料は、特定のポリマーに限定されない。ポリマー担体材料は、エチレンホモポリマー、エチレンと、例えばC~Cα-オレフィンコモノマーなどのα-オレフィンコモノマーとから得られるエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー並びに/又はプロピレンと、例えばエチレン及び/若しくはC~Cα-オレフィンコモノマーなどのα-オレフィンコモノマーとから得られるプロピレンコポリマーであってもよく、プロピレンホモポリマーが最も好ましい。ポリマー担体材料は、スチレン又はその誘導体に由来し得るモノマー単位を含有しないことが好ましい。
物品
本発明はまた、先に定義した繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する射出成形物品、例えば射出成形された自動車用物品にも関する。本発明は特に、少なくとも60wt%、より好ましくは少なくとも80wt%、なおより好ましくは少なくとも90wt%、例えば少なくとも95wt%又は少なくとも99wt%の、先に定義した繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する射出成形物品、例えば射出成形された自動車用物品に関する。とりわけ好ましい実施形態において、本発明は、先に定義した繊維強化ポリプロピレン組成物(C)からなる射出成形物品、例えば射出成形された自動車用物品に関する。
当該射出成形された自動車用物品は、エンジンのエアインテークマニホールド等の自動車エンジン用物品であることが特に好ましい。
ここで、下記に示す実施例により本発明をさらに詳細に記述する。
1.測定方法
MFR(230℃)は、ISO1133(230℃、2.16kg荷重)に従って測定する。
プロピレンポリマー(PP)のメルトフローレートMFR(230℃)は、等式(IX)に従って算出する。
Figure 0007252329000011
式中、
w(PP1)は、第1のプロピレンポリマー(PP1)の重量分率であり、
w(PP2)は、第2のプロピレンポリマー(PP2)の重量分率であり、
MFR(PP1)は、第1のプロピレンポリマー(PP1)のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)(g/10min)であり、
MFR(PP2)は、第2のプロピレンポリマー(PP2)のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)(g/10min)であり、
MFR(PP)は、プロピレンポリマー(PP)のメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)(g/10min)である。
同じことがバイモーダルポリマーPP1並びにバイモーダルPP1の2つの画分PP1a及びPP1bにもあてはまる。
NMR分光法による微細構造の定量
定量的核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、ポリマーのコモノマー含量及びコモノマーシーケンス分布を定量した。H及び13Cについてそれぞれ400.15MHz及び100.62MHzで動作するBruker Advance III 400NMR分光器を使用して、定量的13C{H}NMRスペクトルを溶液状態で記録した。13Cに最適化された動作温度範囲の広い10mmのプローブヘッドを使用して、125℃で、すべてのガス流に窒素ガスを使用して、すべてのスペクトルを記録した。約200mgの材料を、3mlの1,2-テトラクロロエタン-d(TCE-d)中にアセチルアセトンクロム(III)(Cr(acac))とともに溶解させ、緩和剤の65mM溶媒溶液とした(Singh,G.、Kothari,A.、Gupta,V.、Polymer Testing 28 5(2009)、475)。確実に均質な溶液とするために、ヒートブロックにおいて初期試料を調製した後、NMRチューブを回転炉内で少なくとも1時間、さらに加熱した。マグネット内に挿入後速やかにチューブを10Hzで回転させた。主に、正確にエチレン含量を定量するための高分解能及び量的な必要性から、この構成を選択した。最適化されたフリップ角、1秒の繰り返し時間(recycle delay)及びバイレベルWALTZ16デカップリング法を使用して、NOEを用いずに標準的なシングルパルス励起を用いた(Zhou,Z.、Kuemmerle,R.、Qiu,X.、Redwine,D.、Cong,R.、Taha,A.、Baugh,D.Winniford,B.、J.Mag.Reson.187(2007)225;Busico,V.、Carbonniere,P.、Cipullo,R.、Pellecchia,R.、Severn,J.、Talarico,G.、Macromol.Rapid Commun.2007、28、1128)。1スペクトル当たり合計6144(6k)の過渡応答が得られた。
定量的13C{H}NMRスペクトルを処理し、積分し、独自開発したコンピュータプログラムを使用して積分値から関連する定量的特性を決定した。すべての化学シフトは、溶媒の化学シフトを使用して30.00ppmのエチレンブロック(EEE)の中央のメチレン基を間接的に基準とした。この方法により、この構造単位が存在しないときであっても同等に基準を取ることができた。エチレンの組み込みに対応する特徴的シグナルを観測した(Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)。
ポリプロピレンホモポリマーに関して、すべての化学シフトは、内部標準として21.85ppmのメチルアイソタクチックペンタッド(mmmm)を基準とする。
レギオ欠陥に対応する特徴的シグナル(Resconi,L.、Cavallo,L.、Fait,A.、Piemontesi,F.、Chem.Rev.2000、100、1253;Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157;Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)又はコモノマーを観測した。
23.6ppm~19.7ppmの間のメチル領域の積分によりタクティシティ分布を定量し、目的の立体シーケンスに関連しない部位を補正した(Busico,V.、Cipullo,R.、Prog.Polym.Sci.26(2001)443;Busico,V.、Cipullo,R.、Monaco,G.、Vacatello,M.、Segre,A.L.、Macromoleucles 30(1997)6251)。
詳細には、タクティシティ分布の定量に対するレギオ欠陥及びコモノマーの影響は、立体シーケンスの特定の積分領域から代表的なレギオ欠陥及びコモノマー積分値を減算することにより補正した。
アイソタクティシティをペンタッドレベルで決定し、すべてのペンタッドシーケンスに対するアイソタクチックペンタッド(mmmm)シーケンスの百分率としてレポートした:
[mmmm]%=100*(mmmm/すべてのペンタッドの合計)
2,1エリスロレギオ欠陥(erythro regio defect)の存在は、17.7ppm及び17.2ppmの2つのメチル部位の存在により示され、他の特徴的部位により確認された。
他のタイプのレギオ欠陥に対応する特徴的シグナルは観測されなかった(Resconi,L.、Cavallo,L.、Fait,A.、Piemontesi,F.、Chem.Rev.2000、100、1253)。
2,1エリスロレギオ欠陥の量は、17.7ppm及び17.2ppmの2つの特徴的メチル部位の平均積分値を使用して定量した:
21e=(Ie6+Ie8)/2
1,2一次挿入された(primary inserted)プロペンの量をメチル領域に基づいて定量し、一次挿入(primary insertion)に関連しないこの領域中に含まれる部位について、及びこの領域から除外される一次挿入部位について補正を行った:
12=ICH3+P12e
一次挿入プロペン及びすべての他の存在するレギオ欠陥の合計として、プロペンの全量を定量した:
total=P12+P21e
すべてのプロペンに関して2,1エリスロレギオ欠陥のモルパーセントを定量した:
[21e]mol%=100*(P21e/Ptotal
コポリマーに関して、エチレンの組み込みに対応する特徴的シグナルを観測した(Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)。
観測されたレギオ欠陥についても(Resconi,L.、Cavallo,L.、Fait,A.、Piemontesi,F.、Chem.Rev.2000、100、1253;Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157;Cheng,H.N.、Macromolecules 17(1984)、1950)、コモノマー含量に対するそのような欠陥の影響について補正が必要であった。
コモノマー分率は、Wangらの方法(Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157)を使用して、13C{H}スペクトルの全スペクトル領域にわたって複数のシグナルを積分することによって定量した。そのロバスト性及び必要に応じてレギオ欠陥の存在を説明する能力のために、この方法を選択した。観測されたコモノマー含量の範囲全体にわたってより広範囲に適用できるように、積分領域を若干調整した。
PPEPPシーケンス中の孤立エチレンだけが観察された系では、Wangらの方法を修正して、存在しないことが分かっている部位のゼロでない積分値の影響を少なくした。この手法により、そのような系に対するエチレン含量の過大評価を抑制し、この手法は、絶対エチレン含量を決定するために使用される部位の数を以下まで減らすことにより行われた:
E=0.5(Sββ+Sβγ+Sβδ+0.5(Sαβ+Sαγ))
この部位セットを使用することにより、対応する積分方程式は、Wangらの論文において使用されているものと同じ記号を使用して(Wang,W-J.、Zhu,S.、Macromolecules 33(2000)、1157)、以下となる:
E=0.5(I+I+0.5(I+I))
絶対プロピレン含量に使用する式は修正しなかった。
コモノマー組み込みのモルパーセントはモル分率から算出した:
E[mol%]=100*fE
コモノマー組み込みの重量パーセントは重量分率から算出した:
E[wt%]=100*(fE*28.06)/((fE*28.06)+((1-fE)*42.08))
トライアドレベルでのコモノマーシーケンス分布は、Kakugoらの分析方法を使用して決定した(Kakugo,M.、Naito,Y.、Mizunuma,K.、Miyatake,T.Macromolecules 15(1982)1150)。そのロバスト性のためにこの方法を選択し、より広範囲のコモノマー含量に適用できるように積分領域を若干調整した。
DSC分析、溶融温度(T)及び融解熱(H)、結晶化温度(T)及び溶融エンタルピー(Hm):5mg~7mgの試料に対して、TA Instrument Q200示差走査熱量測定(DSC)により測定。DSCは、-30℃~+225℃の温度範囲において10℃/minの走査速度にて、加熱/冷却/加熱サイクルでISO 11357/パート3/方法C2に従って実行する。結晶化温度(T)は冷却工程から決定し、一方、溶融温度(T)及び融解エンタルピー(H)は第2の加熱工程から決定する。結晶化度は、完全結晶性ポリプロピレンのHm値を209J/gとして、融解エンタルピーから算出する(Brandrup,J.、Immergut,E.H.編、Polymer Handbook、第3版、Wiley、New York、1989;Chapter3参照)。
キシレン可溶性成分(XCS、wt%):低温キシレン可溶性成分(XCS)の含量は、ISO 16152;初版;2005-07-01に従って、25℃で決定する。溶けずに残る部分は低温キシレン不溶性成分(XCI)画分である。
灰分含量は、ISO 3451-1(1997)標準に従って測定する。
ノッチ付き及びノッチなしシャルピー衝撃強さは、ISO 19069-2に記載の通りの射出成形試験片(80×10×4mm)を使用して、23℃で、ISO 179-1/1eA及びISO 179-1/1eUに従って決定する。
引張特性は、ISO 527-1Aに従って製造した射出成形ドッグボーン型試験片(170x10x4mm)に対して決定した。引張弾性率は、1mm/min及び23℃で、ISO527-1Aに従って決定した。降伏応力及び降伏ひずみを測定するために、50mm/minの速度を使用した。
耐油性は、先に記載した引張試験片をMobil Corp.から入手できるエンジンオイル「ow-20」中に室温でそれぞれ250h、500h及び1000h浸し、次いで、引っ張り強さ(TS)及び引張弾性率(TM)を先に記載したように決定することにより決定した。保持率は下記のように決定した:
Figure 0007252329000012
破断伸び(Elongation at break)は、EN ISO 1873-2に従って製造した4mm厚の圧縮成形サンプルについて、50mm/min及び23℃でISO 527/2/5Aに従って決定する。
曲げ弾性率:曲げ弾性率は、ISO 294-1:1996に従って製造した80x10x4mmの射出成形試験片について、ISO178に従って3点曲げ試験において決定した。
平均繊維直径は、ISO 1888:2006(E)、方法B(顕微鏡倍率1000)に従って決定する。
2. 実施例
下記の発明実施例IEを同方向回転二軸押出機上で混錬することにより製造した。特に、プロピレンポリマー(PP)、すなわち第1のプロピレンポリマー(PP1)及び任意で第2のプロピレンポリマー(PP2)を添加剤(AD)及び接着促進剤(AP)と予め混合した。このように得られたベースレジンを押出機のメインフィーダー内に供給し、短繊維(SF)をサイドフィーダーを介して添加した。材料を210~230℃の温度で押し出した。組成及び特性を表1にまとめる。
Figure 0007252329000013
CEは、53wt%のプロピレンホモポリマー、8.0wt%のプロピレン/エチレンコポリマーゴム、36wt%のガラス繊維及び1.5wt%の接着促進剤(無水マレイン酸で官能化したポリプロピレン)を有する市販の繊維強化プロピレンコポリマー化合物である。
PP1は、プロピレンホモポリマーであり、メルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が8.0g/10min、キシレン可溶性成分含量XCSが1.0wt%である。
PP2は、プロピレンホモポリマーであり、メルトフローレートMFR(230℃)が60g/10min、キシレン可溶性成分含量XCSが2.0wt%であり、0.8wt%のエチレンコモノマー単位を有する。
SFは、Owens Corning(US)の市販製品249Aであり、10.0μmの直径及び4.5mmのストランド長を有する。
APは、Scona(登録商標) BYK-Chemie GmbH(ドイツ)の接着促進剤SCONA TPPP 8112 GAであり、1.4wt%の無水マレイン酸含量及び80g/10minを超えるMFR(190℃)を有する、無水マレイン酸で官能化したポリプロピレンである。
ADは、24重量部のポリマー担体材料(プロピレンホモポリマー)、24重量部の抗酸化剤(BASFのDSTDP)、8重量部の抗酸化剤(BASFのIrgafos 168)、16重量部の抗酸化剤(BASFのIrganox 1010)、8重量部の抗酸化剤(Rich Yu Chemical Co. Ltd(台湾)のRichnox XL-1)及び20重量部のカーボンブラックを有する組成物である。
表1から分かるように、本発明の繊維強化ポリプロピレン組成物の引張弾性率及び引っ張り強さの保持率は、ポリプロピレン化合物をゴムとともに有する比較用組成物の対応する値よりも高い。

Claims (13)

  1. i) 5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP);
    ii) 繊維(F);
    iii) 接着促進剤(AP);及び
    iv) 添加剤(AD);
    からなる、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)であって、
    不等式(I):
    Figure 0007252329000014
    (式中、w(PP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する上記プロピレンポリマー(PP)の重量分率[wt%]であり、w(AP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する接着促進剤(AP)の重量分率[wt%]である。)を満たし;
    5.0wt%を超えるキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマーを含まず;
    前記プロピレンポリマー(PP)が、
    i) ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が20g/10minであるか又は20g/10min未満である第1のプロピレンポリマー(PP1);及び
    ii) ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(230℃、2.16kg)が40.0g/10min~90.0g/10minの範囲内である第2のプロピレンポリマー(PP2);
    有し;
    第1のプロピレンポリマー(PP1)及び第2のプロピレンポリマー(PP2)が、プロピレンホモポリマーであり;
    繊維(F)がガラス繊維(GF)である;
    繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  2. 前記プロピレンポリマー(PP)が単相性である、請求項1に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  3. 維強化ポリプロピレン組成物(C)が、不等式(II):
    Figure 0007252329000015
    (式中、w(F)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する繊維(F)の重量分率[wt%]であり、w(AP)は、繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対する接着促進剤(AP)の重量分率[wt%]である。)を満たす、請求項1又は2に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  4. 前記プロピレンポリマー(PP)がバイモーダルである、請求項1から3のいずれか1項に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  5. 前記プロピレンポリマー(PP)がプロピレンホモポリマー(H-PP)である、請求項1から4のいずれか1項に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  6. ガラス繊維(GF)が短ガラス繊維(SGF)である、請求項1から5のいずれか1項に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  7. 短ガラス繊維(SGF)が、
    i) 1.0mm~10.0mmの平均長;及び/又は、
    ii) 8μm~20μmの平均直径;
    を有する、請求項6に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  8. 接着促進剤(AP)が、極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)であり、上記極性修飾ポリプロピレン(PM-PP)が、無水マレイン酸をグラフトした、ISO1133に従って決定されるメルトフローレートMFR(190℃、2.16kg)が少なくとも80.0g/10minであるプロピレンホモ又はコポリマーである、請求項1から7のいずれか1項に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  9. 繊維強化ポリプロピレン組成物(C)の全体重量に対して、
    i) 50.0wt%~80.0wt%の前記プロピレンポリマー(PP)であって、5.0wt%又は5.0wt%未満のキシレン可溶性成分含量XCSを有するプロピレンポリマー(PP)
    ii) 15.0wt%~40.0wt%の繊維(F)
    iii) 3.0wt%~10.0wt%の接着促進剤(AP);及び
    iv) 0.1wt%~4.0wt%の添加剤(AD)
    からなる、請求項1から8のいずれか1項に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する物品。
  11. 少なくとも90wt%の繊維強化ポリプロピレン組成物(C)を有する、請求項10に記載の物品。
  12. 前記物品が、自動車用物品、好ましくは自動車エンジン用物品である、請求項10又は11に記載の物品。
  13. 前記物品が自動車のエンジンのエアインテークマニホールドである、請求項10から12のいずれか1項に記載の物品。
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