JP7250490B2 - トランスデューサ - Google Patents

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Description

本発明は、トランスデューサに関するものである。
特許文献1には、多層型ピエゾアクチュエータにおけるワイヤメッシュ形状の外部電極の自由端に、半田付けや溶接によって、リード線を接続する構成が開示されている。特許文献2には、積層型圧電素子における外部電極の端部に、半田や導電性樹脂等の導電性接合材によりリード線を接続し、外部電極の端部とリード線との接続部を樹脂で覆う構成が開示されている。
特許文献3には、ポリマー圧電体に多孔シート状の電極が埋入された圧電素子が開示されている。この圧電素子は、ポリマー圧電体フィルム又はシートの表面をアセトン等の有機溶媒で処理し、その後に処理表面に多孔シート状の電極を積層して圧着することにより製造される。
特表2012-500486号公報 特許第5465337号公報 特許第3105645号公報
特許文献1,2においては、リード線は、トランスデューサを機能させるための電極シートに接続されるのではなく、外部へ引き延ばされた外部電極に接続されている。外部電極ではなく、電極シートにリード線を直接接触することができれば、トランスデューサの低コスト化を図ることができる。
トランスデューサ全体の変形に伴って電極シートが変形するが、このような場合であっても、リード線と電極シートとが、電気的に接続された状態を維持する必要がある。特に、電極シートが貫通孔を有するような形状である場合には、リード線と電極シートとを半田付けや溶接によって接合しただけでは、十分ではないため、より確実な接合方法を適用することが、課題の一つである。
さらに、半田付けや溶接による加熱温度を、電極シートの耐熱温度以下にする必要がある。電極シートが、例えば、ポリエチレン等の樹脂繊維の表面に、銅やニッケル等の導電性材料をメッキすることにより形成されたものが知られている。このような電極シートにおいては、特に樹脂の溶融温度が低いため、半田付けや溶接による加熱温度を、当該溶融温度以下にする必要がある。
一方、近年の環境問題より、鉛フリー半田が使用されるが、鉛フリー半田の溶融温度は高温である。両者の条件を満たすような加熱温度の範囲が狭いため、電極シートとリード線との電気的接続を良好にすることが容易ではない。そこで、半田や溶接とは異なる手法によって、電極シートとリード線との電気的接続を確保することが、課題の一つである。
また、近年、環境対策として、揮発性有機化合物(VOC)の排出の抑制が求められている。そのため、揮散型接着剤を用いないことが求められ、且つ、有機溶媒も用いないことが求められる。
さらに、圧電効果を用いる構造とは異なり、電極間の静電容量を用いたトランスデューサが着目されている。静電型のトランスデューサは、誘電体の材料によって、静電容量が異なる。仮に、ポリマーの誘電体の表面を有機溶媒で処理して電極を圧着した場合には、圧着部位に有機溶媒の成分が残る。残存した有機溶媒の成分が、静電容量に影響を及ぼすおそれがある。その結果、残存した有機溶媒の成分の影響によって、設計どおりの静電容量を得ることができないおそれがある。
また、静電型のトランスデューサは、様々な部位に取り付けることを可能とするために、柔軟性のみならず、伸縮性を有することが求められている。例えば、取付対象が自由曲面等のように様々な形状を有しており、平面状に製造されたトランスデューサを取付対象の面に沿って取り付ける場合に、トランスデューサにとって、柔軟性及び伸縮性は非常に重要な要素となる。柔軟性及び伸縮性を有しなければ、自由曲面の取付対象にトランスデューサを綺麗に取り付けることはできない。
そして、上記のように、揮散型接着剤や有機溶媒を用いる場合には、揮散型接着剤や有機溶媒の成分が、トランスデューサの柔軟性及び伸縮性に影響を及ぼすおそれがある。そのため、柔軟性及び伸縮性の観点からも、揮散型接着剤及び有機溶媒を用いないようにすることが求められる。そこで、上記の種々の理由により、静電型のトランスデューサにおいて、揮散型接着剤及び有機溶媒を用いることなく製造できることが課題の一つである。
また、電極にリード線を接続する部位において、リード線、及び、リード線を接続する導電性接合材が、静電シートの面法線方向に突出する。そのため、リード線が配置される部位において、リード線が配置されていない部位に比べて、リード線及び導電性接合材の厚みの分だけ厚くなる。特に、静電シートの両面のそれぞれにリード線が配置される場合には、リード線及び導電性接合材の厚みの2倍の厚みの分だけ、厚くなる。そこで、リード線が配置される部位において、厚みを薄くすることが、課題の一つである。
また、静電型のトランスデューサにおいて、電極シートを、誘電体層に一体的に埋設することは有用である。しかし、特許文献3のように、電極シートが埋設された状態においては、電極シートにリード線を電気的に接続することは容易ではない。そこで、電極シートとリード線との電気的接続を容易にすることが、課題の一つである。
本発明は、揮散型接着剤及び有機溶媒を用いることなく製造できると共に、半田や溶接とは異なる手法によって電極シートとリード線との電気的接続を確保することができるトランスデューサを提供することを目的とする。
本発明に係るトランスデューサは、静電型のトランスデューサを構成するシート本体部と、前記シート本体部の第一面側に配置される第一リード線と、前記第一リード線を前記シート本体部に固定する第一クランプとを備える。
前記シート本体部は、誘電体層と、複数の第一貫通孔を備え、前記誘電体層の第一面側に配置され、少なくとも一部が前記誘電体層の前記第一面から露出した状態で配置される第一電極シートと、融着材料により形成されており、前記誘電体層のうち前記誘電体層の前記第一面側の少なくとも一部分として配置され又は前記誘電体層の前記第一面に別部材として接合され、前記誘電体層と前記第一電極シートとを前記融着材料の融着により接合する第一主融着層とを備える。
前記第一リード線は、前記第一電極シートの露出面に接触した状態で配置された第一導通部を備える。前記第一クランプは、前記シート本体部を厚み方向に貫通し、前記シート本体部の第一面側を基端とし、前記シート本体部の第二面側を先端とする複数の第一脚部と、前記複数の第一脚部の前記基端同士を連結し、前記第一リード線の前記第一導通部を跨いで配置される第一連結部であって、前記第一連結部と前記第一電極シートの前記露出面との間に前記第一リード線の前記第一導通部を介在させる前記第一連結部と、前記複数の第一脚部のそれぞれの前記先端から折り曲げ形成され、前記シート本体部の前記第二面に係止される複数の第一返し部とを備える。
上記のトランスデューサによれば、融着材料の融着により、誘電体層と第一電極シートとが接合されている。融着材料は、揮散型接着剤及び有機溶媒ではないため、トランスデューサは、揮散型接着剤及び有機溶媒を用いることなく製造することができる。従って、トランスデューサの製造において、VOCの排出の抑制を図ることができる。ここで、第一主融着層は、誘電体層の素材の一部分を融着材料として構成される場合、誘電体層とは別の融着材料を用いる場合を含む。
さらに、第一クランプが、第一リード線をシート本体部に固定している。つまり、半田や溶接を適用することなく、第一リード線がシート本体部に固定されている。半田付けや溶接に比べて、第一クランプの第一連結部は、厚みを薄くすることができる。従って、第一リード線が第一電極シートに接続される部位において、厚みを薄くすることができる。
トランスデューサ1を構成する静電シートを示す斜視図である。 トランスデューサ1を構成する静電シートの平面図である。 図2のトランスデューサ1のトランスデューサ部10aの断面図である。 図2のIV-IV断面図である。 図4のV-V断面図である。 第一例の端子部の模式的な平面図である。 図6のVII-VII断面図である。 第二例の端子部の模式的な平面図である。 図8のIX-IX断面図である。 第三例の端子部の模式的な平面図である。 図10のXI-XI断面図である。
(1.トランスデューサ1の全体構成)
トランスデューサ1について、図1を参照して説明する。トランスデューサ1は、静電型である。つまり、トランスデューサ1は、電極間の静電容量の変化を利用して、振動や音等を発生させるアクチュエータとして機能させることができる。また、トランスデューサ1は、電極間の静電容量の変化を利用して、外部からの押込力等を検出するセンサ(外力検出センサ)、電位を有する導電体の接触又は接近を検出するセンサ(接触接近センサ)として機能させることができる。
トランスデューサ1がアクチュエータとして機能する場合には、電極に電圧が印加されることにより、電極間の電位に応じて誘電体が変形し、誘電体の変形に伴って振動が発生する。トランスデューサ1が外力検出センサとして機能する場合には、外部からの押込力や振動や音などの入力に起因して誘電体が変形することにより電極間の静電容量が変化し、電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、外部からの押込力等を検出する。また、トランスデューサ1が接触接近センサとして機能する場合には、電位を有する導電体の接触又は接近により、電極間の静電容量が変化し、変化した電極間の静電容量に応じた電圧を検出することで、当該導電体の接触又は接近を検出する。
図1に示すように、トランスデューサ1は、シート状に形成された静電シートを備える。ただし、トランスデューサ1は、図1に示す基本構成である静電シートを複数積層するようにしてもよい。トランスデューサ1は、シート本体部10と、第一接続部20と、第二接続部30とにより構成された静電シートを備える。
シート本体部10は、静電型のトランスデューサ1として機能するための主要な部分を構成する。シート本体部10は、アクチュエータ又はセンサとして機能する範囲を構成するトランスデューサ部10aと、トランスデューサ部10aの縁に接続される端子部10bとを備える。本例においては、端子部10bは、第一端子部10b1と、第二端子部10b2とを備える。シート本体部10は、誘電体層11、第一電極シート12、第一主融着層13、第一主保護層14、第二電極シート15、第二主融着層16、第二主保護層17を備える。
第一接続部20は、第一リード線21を含み、第一リード線21をシート本体部10に接続する部分を構成する。第一接続部20は、少なくとも、第一リード線21、第一クランプ23、第一接続保護層24、第一裏面保護層26を備える。本例においては、第一接続部20は、第一リード線21、第一融着規制層22、第一クランプ23、第一接続保護層24、第一接続融着層25、第一裏面保護層26、第一裏面融着層27を備える。すなわち、第一接続部20は、第一融着規制層22、第一接続融着層25、第一裏面融着層27のうち少なくとも一つを備えない構成とすることもできる。
第二接続部30は、第二リード線31を含み、第二リード線31をシート本体部10に接続する部分を構成する。第二接続部30は、少なくとも、第二リード線31、第二クランプ33、第二接続保護層34、第二裏面保護層36を備える。本例においては、第二接続部30は、第二リード線31、第二融着規制層32、第二クランプ33、第二接続保護層34、第二接続融着層35、第二裏面保護層36、第二裏面融着層37を備える。すなわち、第二接続部30は、第二融着規制層32、第二接続融着層35、第二裏面融着層37のうち少なくとも一つを備えない構成とすることもできる。
なお、トランスデューサ1は、第二電極シート15に関する要素を備えない構成としてもよい。すなわち、トランスデューサ1は、第二電極シート15、第二主融着層16、第二主保護層17、第二リード線31、第二融着規制層32、第二クランプ33、第二接続保護層34、第二裏面保護層36、第二裏面融着層37を備えない構成としてもよい。この場合、トランスデューサ1を構成する静電シートは、誘電体層11と、第一電極シート12に関する要素とを備える構成となる。すなわち、トランスデューサ1は、シート本体部10として、誘電体層11、第一電極シート12、第一主融着層13、第一主保護層14を備えると共に、第一接続部20を備える。そして、トランスデューサ1は、第二電極シート15に相当する変形不能な導電部材(図示せず)を備える構成とすることもできる。
(2.シート本体部10の詳細構成)
次に、シート本体部10の構成について、図2及び図3を参照して説明する。誘電体層11は、弾性変形可能な誘電材料により形成される。詳細には、誘電体層11は、熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより形成されている。誘電体層11は、シート状で、所望の外形に形成されている。誘電体層11は、厚み方向に伸縮すると共に、厚み方向の伸縮に伴って面方向に伸縮する構造を有する。
第一電極シート12及び第二電極シート15は、導電性を有しつつ、柔軟性及び面方向への伸縮性を有する。第一電極シート12及び第二電極シート15は、例えば、導電性布である。導電性布とは、導電性繊維により形成された織物又は不織布である。ここで、導電性繊維は、柔軟性を有する繊維の表面を導電性材料により被覆することにより形成される。導電性繊維は、例えば、ポリエチレン等の樹脂繊維の表面に、銅やニッケルなどをメッキすることにより形成される。
第一電極シート12は、繊維により布を形成されることで、複数の第一貫通孔12aを備えると共に、柔軟性を有し、面方向に伸縮可能である。第二電極シート15は、第一電極シート12と同様に、複数の第二貫通孔15aを備える。
図2及び図3においては、第一電極シート12及び第二電極シート15は、導電性織物である場合を例にあげるが、導電性不織布を適用することもできる。第一電極シート12は、例えば、図2及び図3に示すように、導電性織物の場合には、導電性繊維を縦糸と横糸として織ることにより形成されている。縦糸と横糸により囲まれる領域が、第一貫通孔12aとなる。第二電極シート15における第二貫通孔15aも同様である。
なお、第一電極シート12が導電性不織布である場合には、第一貫通孔12aが不規則に形成される。また、第一電極シート12及び第二電極シート15は、導電性布の他に、柔軟性及び伸縮性を有する薄膜のパンチングメタルや、金属糸で織った金属布等を適用することもできる。パンチングメタルの場合、第一貫通孔12a及び第二貫通孔15aは、パンチにより打ち抜かれた部位となる。また、第一電極シート12は、導電性材料を含有し、複数の貫通孔を備えるエラストマーシート(ゴムシートを含む)を適用することもできる。なお、本例において、エラストマーとは、弾性を有する高分子材料であり、ゴム弾性体、及び、ゴム弾性体以外のゴム状を有する弾性体を含む意味で用いている。
第一電極シート12及び第二電極シート15は、同程度の大きさに形成され、且つ、誘電体層11の外形と同様の外形に形成されている。ただし、端子部10bにおいては、第一電極シート12及び第二電極シート15は、異なる形状に形成されている。第一電極シート12は、誘電体層11の第一面(図1の上面)側に配置される。第二電極シート15は、誘電体層11の第二面(図1の下面)側に配置される。従って、少なくともトランスデューサ部10aにおいては、図3に示すように、第一電極シート12及び第二電極シート15は、誘電体層11を挟んだ状態で、対向して配置されている。
ここで、図3に示すように、第一電極シート12において、第二電極シート15に対向する側の面を第一内面12bとし、第二電極シート15と反対側の面を第一外面12cとする。また、第二電極シート15において、第一電極シート12に対向する側の面を第二内面15bとし、第一電極シート12と反対側の面を第二外面15cとする。
図3に示すように、トランスデューサ部10aにおいて、第一電極シート12は、誘電体層11の第一面側(図3の上側)に配置されている。第一端子部10b1においても、第一電極シート12は、誘電体層11の第一面側に配置されている。ただし、第一端子部10b1において、第一電極シート12の少なくとも一部が、誘電体層11の第一面から露出した状態で配置されている。また、第二端子部10b2においては、第一電極シート12は、配置されていない。
図3に示すように、第一電極シート12と誘電体層11とは、融着材料により形成された第一主融着層13により接合されている。図3においては、第一電極シート12は、誘電体層11の素材(図示せず)の第一面側に埋設されている。ここで、本例においては、誘電体層11の素材は、第二面側から順に、第二主保護層17の素材、第二主融着層16の素材、誘電体層11、第一主融着層13の素材、及び、第一主保護層14の素材を構成する。
つまり、誘電体層11のうち第一面側の一部分が、誘電体層11の本体部分と第一電極シート12とを接合する第一主融着層13として機能する。換言すると、第一主融着層13は、誘電体層11のうち第一面側の少なくとも一部分として配置され、第一電極シート12と誘電体層11の本体部分とを接合する。なお、第一主融着層13は、誘電体層11の第一面に別部材として接合され、第一電極シート12と誘電体層11とを接合することもできる。
また、上述したように、第一電極シート12は、誘電体層11の素材の第一面側に埋設されている。つまり、第一主融着層13は、誘電体層11の本体部分と第一電極シート12の第一内面12bとの境界部位、及び、誘電体層11の本体部分と第一電極シート12の複数の第一貫通孔12aの内周面との境界部位を接合する。
さらに、図3に示すように、第一主保護層14が、第一電極シート12の第一外面12cに接合した状態で、第一外面12cを被覆している。誘電体層11の素材のうち第一面側の一部分が、第一主保護層14として機能する。つまり、第一主保護層14は、第一主融着層13と同様に、誘電体層11の素材の第一面側の一部分として配置され、融着材料の融着により第一外面12cを被覆する。なお、第一主保護層14は、誘電体層11の第一面側に別部材として配置され、第一外面12cを被覆することもできる。なお、第一電極シート12の第一外面12cは、外側に露出するようにしてもよい。
また、図3に示すように、トランスデューサ部10aにおいて、第二電極シート15は、誘電体層11の第二面側(図3の下側)に配置されている。第二端子部10b2においても、第二電極シート15は、誘電体層11の第二面側に配置されている。ただし、第二端子部10b2において、第二電極シート15の少なくとも一部が、誘電体層11の第二面から露出した状態で配置されている。また、第一端子部10b1においては、第二電極シート15は、配置されていない。
図3に示すように、トランスデューサ部10aにおいて、第二電極シート15は、第一電極シート12と同様に、誘電体層11の素材の第二面側(図3の下側)に埋設されている。つまり、誘電体層11のうち第二面側の一部分が、誘電体層11の本体部分と第二電極シート15とを接合する第二主融着層16として機能する。換言すると、第二主融着層16は、誘電体層11のうち第二面側の少なくとも一部分として配置され、融着材料の融着により第二電極シート15と誘電体層11の本体部分とを接合する。なお、第二主融着層16は、誘電体層11の第二面に別部材として接合され、融着材料の融着により第二電極シート15と誘電体層11とを接合することもできる。
また、上述したように、第二電極シート15は、誘電体層11の素材の第二面側に埋設されている。つまり、第二主融着層16は、誘電体層11の本体部分と第二電極シート15の第二内面15bとの境界部位、及び、誘電体層11の本体部分と第二電極シート15の複数の第二貫通孔15aの内周面との境界部位を接合する。
さらに、第二主保護層17が、第二電極シート15の第二外面15cに接合した状態で、第二外面15cを被覆している。誘電体層11の素材のうち第二面側の一部分が、第二主保護層17として機能する。つまり、第二主保護層17は、第二主融着層16と同様に、誘電体層11の素材の第二面側の一部分として配置され、融着材料の融着により第二外面15cを被覆する。なお、第二主保護層17は、誘電体層11の第二面側に別部材として配置され、第二外面15cを被覆することもできる。なお、第二電極シート15の第二外面15cは、外側に露出するようにしてもよい。
ここで、図3においては、第一主融着層13及び第二主融着層16は、熱可塑性エラストマーにより形成されている誘電体層11の素材に熱を加えることにより形成されている。そのため、第一主融着層13及び第二主融着層16は、誘電体層11と同一材料成分により構成されている。つまり、誘電体層11の材料成分が実質的に変化することなく、第一主融着層13及び第二主融着層16が形成されている。このことは、第一主融着層13及び第二主融着層16に、揮散型接着剤や有機溶媒等の成分が含まれていないことを意味する。
つまり、シート本体部10において、融着材料の融着により、誘電体層11と第一電極シート12とが接合されている。融着材料は、揮散型接着剤及び有機溶媒ではないため、シート本体部10は、揮散型接着剤及び有機溶媒を用いることなく製造することができる。従って、シート本体部10の製造において、VOCの排出の抑制を図ることができる。また、誘電体層11と第二電極シート15との接合においても同様である。
(3.第一接続部20の詳細構成)
次に、第一接続部20の構成について、図2、図4及び図5を参照して説明する。第一リード線21は、導線を絶縁材により被覆する第一リード線本体21aと、先端側に配置されており導線を露出する第一導通部21bとを備える。
第一リード線21の第一リード線本体21aは、第一電極シート12における誘電体層11と反対側の面(第一外面12c)側に配置されている。第一リード線21の第一導通部21bは、撚り線により形成されている。つまり、第一導通部21bは、単線ではなく、複数の細線の束である。
第一リード線21の第一導通部21bは、シート本体部10の第一端子部10b1の第一面側、詳細には誘電体層11の第一面側に配置されている。より詳細には、第一導通部21bは、第一電極シート12の露出面に接触した状態で配置されている。第一導通部21bは、図3に示すように、第一電極シート12の第一外面12c側に配置してもよい。また、第一導通部21bは、図示しないが、第一電極シート12に絡ませて配置してもよい。いずれの場合にも、第一導通部21bは、第一電極シート12に電気的に接続されている。
第一融着規制層22は、シート状に形成されており、第一主融着層13を構成する融着材料の通過を規制可能な材料により形成されている。第一融着規制層22は、第一主融着層13を構成する融着材料の軟化点よりも高い軟化点を有する材料により形成されている。軟化点を有しない材料は、無限大の軟化点を有する材料であることに相当する。例えば、第一融着規制層22は、樹脂シート、耐熱紙等により形成されている。
第一融着規制層22は、第一電極シート12と第一主融着層13との間に部分的に配置されている。詳細には、第一融着規制層22は、第一リード線21が配置される領域に配置されている。従って、第一融着規制層22は、第一リード線21が配置される領域において、第一主融着層13が第一電極シート12に融着することを規制する。つまり、第一融着規制層22の中央部は、第一主融着層13が存在しない状態とされている。従って、第一融着規制層22は、中央部において、第一電極シート12の少なくとも一部を第一主融着層13の外側に露出させる。
ここで、第一融着規制層22の外面における中央部は、第一主融着層13に接合されておらず、且つ、第一電極シート12に非接合状態で配置されている。一方、第一融着規制層22の内面は、第一主融着層13に接合されている。ただし、第一融着規制層22の外面における外縁部は、第一主融着層13に接合されている。つまり、第一融着規制層22の外縁部は、第一主融着層13に埋設されている。従って、第一融着規制層22は、第一主融着層13によって位置決めがされている。
従って、第一主融着層13は、第一融着規制層22が存在する領域において、第一電極シート12に接合されていない。そして、第一主融着層13は、第一融着規制層22が存在する領域において、第一電極シート12を外側に露出させている。一方、第一主融着層13は、第一融着規制層22が存在しない領域において、第一電極シート12の一部を埋設し、第一電極シート12の当該一部を外側に露出させないように配置されている。そして、第一電極シート12のうち第一融着規制層22により外側に露出している部分に、第一リード線21の第一導通部21bが電気的に接続される。
ここで、第一接続部20は、第一融着規制層22を有することにより、第一電極シート12を十分に広範囲に亘って外側に露出させることができる。ただし、第一接続部20は、上述したように、第一融着規制層22を有しない構成とすることもできる。この場合であっても、第一電極シート12を外側に露出させることは可能である。そして、第一電極シート12のうち外側に露出している部分に、第一導通部21bが電気的に接続される。
第一クランプ23は、第一電極シート12が露出している領域において、第一リード線21の第一導通部21bをシート本体部10の第一端子部10b1に固定する。本例においては、3本の第一クランプ23により、第一導通部21bが第一端子部10b1に固定されている。
さらに、第一クランプ23は、第一リード線21の第一導通部21bを第一電極シート12に直接接触させることにより、第一導通部21bと第一電極シート12とを電気的に接続させる目的を有する。
さらに、第一クランプ23は、金属等の導電性材料により形成されている。そして、第一クランプ23は、第一導通部21bに直接接触すると共に、第一電極シート12に直接接触する。従って、第一クランプ23を介することによっても、第一導通部21bと第一電極シート12とが、電気的に接続される。
第一接続保護層24は、例えば、融着材料として機能可能な熱可塑性材料、特に熱可塑性エラストマーにより、シート状に形成されている。第一接続保護層24は、熱可塑性材料の他に、粘着層又は接着層を有する樹脂製の絶縁シートを適用することもできる。第一接続保護層24は、図2に示すように、第一リード線21のうち第一電極シート12上に位置する領域、及び、第一クランプ23が存在する領域に対応する形状に形成されている。第一接続保護層24は、図4及び図5に示すように、第一電極シート12における誘電体層11と反対側の面(第一電極シート12の第一外面12c)に配置され、第一リード線21の第一導通部21b及び第一クランプ23を保護する。特に、第一接続保護層24は、第一電極シート12のうち第一主保護層14により保護されていない部分を被覆する。
そして、第一接続保護層24は、例えば、融着材料により形成された第一接続融着層25により接合されている。なお、第一接続保護層24が、粘着層又は接着層を有する樹脂製の絶縁シートである場合には、第一接続融着層25が存在しない構成となる。詳細には、図4及び図5に示すように、第一接続保護層24は、第一接続融着層25により、第一リード線21、第一電極シート12の第一外面12cのうち露出している部分、及び、第一クランプ23に接合されている。
つまり、第一接続融着層25は、第一接続保護層24と第一リード線21との境界部位を接合する。さらに、第一接続融着層25は、第一接続保護層24と第一電極シート12との境界部位を接合する。詳細には、第一接続融着層25は、第一電極シート12の第一外面12c及び第一貫通孔12aの内周面を含む境界部位を接合する。
ここで、本例においては、第一接続保護層24の一部分が、第一リード線21等と接合する第一接続融着層25として機能する。換言すると、第一接続融着層25は、第一接続保護層24の一部分として配置され、第一リード線21等と第一接続保護層24とを接合する。なお、第一接続融着層25は、第一接続保護層24に別部材として接合され、第一リード線21等と第一接続保護層24とを接合することもできる。
さらに、第一接続保護層24の一部は、第一接続融着層25により、第一主保護層14にも接合されている。従って、第一接続保護層24は、シート本体部10と一体的となる。さらに、第一接続保護層24の一部は、第一電極シート12の第一貫通孔12aを介して、第一接続融着層25により、第一融着規制層22にも接合されている。
第一接続融着層25は、上述したように、熱可塑性エラストマーにより形成されている第一接続保護層24の素材に熱を加えることにより形成されている。そのため、第一接続融着層25は、第一接続保護層24と同一材料成分により構成されている。つまり、第一接続保護層24の材料成分が実質的に変化することなく、第一接続融着層25が形成されている。このことは、第一接続融着層25に、揮散型接着剤や有機溶媒等の成分が含まれていないことを意味する。
第一裏面保護層26は、第一接続保護層24と同様の材料及び形状に形成されている。第一裏面保護層26は、熱可塑性材料の他に、粘着層又は接着層を有する樹脂製の絶縁シートを適用することもできる。第一裏面保護層26は、シート本体部10の第一端子部10b1において、第一接続保護層24とは反対側の面に配置されている。ここで、第一裏面保護層26は、第一クランプ23の先端側(後述するが、第一返し部23cの部分)がシート本体部10の第一端子部10b1の第二面から露出しているため、当該部分を被覆する。
そして、第一裏面保護層26は、例えば、融着材料により形成された第一裏面融着層27により、第一端子部10b1の第二面に接合されている。なお、第一裏面保護層26が、粘着層又は接着層を有する樹脂製の絶縁シートである場合には、第一裏面融着層27が存在しない構成となる。
本例においては、第一裏面保護層26の一部分が、第一裏面融着層27として機能する。換言すると、第一裏面融着層27は、第一裏面保護層26の一部分として配置され、第一端子部10b1の第二面と第一裏面保護層26とを接合する。なお、第一裏面融着層27は、第一裏面保護層26に別部材として接合され、第一端子部10b1の第二面と第一裏面保護層26とを接合することもできる。
第一裏面融着層27は、上述したように、熱可塑性エラストマーにより形成されている第一裏面保護層26の素材に熱を加えることにより形成されている。そのため、第一裏面融着層27は、第一裏面保護層26と同一材料成分により構成されている。つまり、第一裏面保護層26の材料成分が実質的に変化することなく、第一裏面融着層27が形成されている。このことは、第一裏面融着層27に、揮散型接着剤や有機溶媒等の成分が含まれていないことを意味する。
(4.第二接続部30の詳細構成)
第二接続部30の構成について説明する。第二接続部30は、実質的に、第一接続部20と同様の構成からなる。すなわち、第二接続部30は、図3及び図4に示す第一接続部20を、上下反転させた構成に相当する。
図1及び図2に示すように、第二リード線31は、導線を絶縁材により被覆する第二リード線本体31aと、先端側に配置されており導線を露出する第二導通部31bとを備える。第二リード線31の第二リード線本体31aは、第二電極シート15における誘電体層11と反対側の面(第二外面15c)側に配置されている。第二リード線31の第二導通部31bは、誘電体層11の第二面側に配置されている。第二導通部31bは、第二電極シート15の第二外面15c側に配置してもよいし、第二電極シート15に絡ませて配置してもよい。そして、第二導通部31bが、第二電極シート15に電気的に接続されている。
第二融着規制層32、第二クランプ33、第二接続保護層34、第二接続融着層35、第二裏面保護層36、第二裏面融着層37は、それぞれ、第一融着規制層22、第一クランプ23、第一接続保護層24、第一接続融着層25、第一裏面保護層26、第一裏面融着層27と実質的に同様に構成される。そのため、これらの詳細な説明は省略する。
(5.第一クランプ23の詳細構成)
第一クランプ23の構成について図4及び図5を参照して説明する。第一クランプ23は、鉄、アルミニウム等の導電性金属材料により形成されており、シート本体部10が変形したとしても、第一クランプ23の形状を維持することができる程度の剛性を有する。
第一クランプ23は、複数の第一脚部23a、第一連結部23b、複数の第一返し部23cを備える。ここで、本例においては、第一クランプ23は、2本の第一脚部23aを備える場合を例にあげるが、3本以上の第一脚部23aを備えるようにすることもできる。
2本の第一脚部23aは、直線状に形成されており、シート本体部10の第一端子部10b1を、第一端子部10b1の厚み方向に貫通する。2本の第一脚部23aは、第一リード線21の第一導通部21bを挟んで、両側に位置する。ここで、第一脚部23aの基端が、シート本体部10の第一面側とし、第一脚部23aの先端が、シート本体部10の第二面側とする。
第一脚部23aの中間は、第一電極シート12の第一貫通孔12aの内周面に接触するようにされている。そのためには、第一脚部23aの横断面形状が、第一貫通孔12aよりも大きく形成されている。つまり、第一脚部23aが、第一端子部10b1のどの部位に貫通されたとしても、第一電極シート12に接触する状態となる。そして、第一クランプ23は、導電性金属材料により形成されている。従って、第一脚部23aは、第一電極シート12に接触することにより、第一電極シート12に電気的に接続することになる。
第一連結部23bは、複数の第一脚部23aの基端同士を連結する。本例においては、第一連結部23bは、直線状に形成されている。ただし、第一連結部23bは、任意の形状とすることができ、例えば、波状とすることもできる。第一連結部23bは、第一リード線21の第一導通部21bを跨いで配置される。従って、第一連結部23bは、第一導通部21bに対して交差する。第一連結部23bは、第一電極シート12の露出面との間に、第一導通部21bを両者に接触した状態で介在させている。つまり、第一導通部21bは、第一電極シート12の露出面に接触すると共に、第一連結部23bに接触する。
複数の第一返し部23cは、複数の第一脚部23aのそれぞれの先端から折り曲げ形成されている。第一返し部23cは、シート本体部10の第一端子部10b1の第二面に係止される。つまり、第一返し部23cが第一端子部10b1に係止されることで、第一クランプ23が第一端子部10b1に固定された状態となる。
ここで、第一クランプ23は、第一端子部10b1に固定する際には以下のように行われる。第一クランプ23のU字状素材の先端を第一端子部10b1の第一面側から挿入し、第一連結部23bを第一導通部21bに押し付けた状態とする。その後に、第一クランプ23のU字状素材の先端を折り曲げ形成することにより、第一返し部23cを形成する。つまり、第一導通部21bは、第一連結部23bによって、第一電極シート12の露出面に押し付けられた状態で接触する。
特に、シート本体部10の誘電体層11は、弾性体により形成されている。従って、第一クランプ23は、第一端子部10b1の誘電体層11を圧縮した状態として、第一端子部10b1に固定される。そのため、第一導通部21bは、誘電体層11の反力によって、第一電極シート12の露出面及び第一連結部23bに対して、常に押し付けられた状態で接触する。
さらに、第一導通部21bは、撚り線により形成されている。そして、第一導通部21bが第一連結部23bと第一電極シート12の露出面とに押し付けられることで、元々円柱状に配列されていた撚り線が、面状に広がった状態となる。従って、面状に広がった第一導通部21bは、広範囲において、第一電極シート12に接触すると共に、第一連結部23bに接触する。これにより、第一導通部21bと第一電極シート12との接触を確実にすることができると共に、第一導通部21bと第一連結部23bとの接触を確実にすることができる。
第一電極シート12と第一導通部21bとは、上記のように直接接触することにより、電気的に接続される。さらに、第一脚部23aが第一電極シート12の第一貫通孔12aに直接接触しているため、第一電極シート12と第一導通部21bとは、第一脚部23a及び第一連結部23bを介して、電気的に接続された状態となる。
(6.第二クランプ33の詳細構成)
第二クランプ33の構成について説明する。第二クランプ33は、実質的に、第一クランプ23と同様の構成からなる。すなわち、第二クランプ33は、図3及び図4に示す第一クランプ23を、上下反転させた構成に相当する。
第二クランプ33は、複数の第二脚部33a、第二連結部33b、複数の第二返し部33cを備える。第二脚部33a、第二連結部33b、第二返し部33cは、それぞれ、第一脚部23a、第一連結部23b、第一返し部23cと実質的に同様に構成される。そのため、これらの詳細な説明は省略する。
(7.第一例の端子部10bの詳細構成)
次に、第一例の端子部10bの詳細構成について、図6及び図7を参照して説明する。ここで、図6及び図7においては、模式的に図示するため、シート本体部10が、誘電体層11、第一電極シート12及び第二電極シート15により構成されるものとする。また、第一接続部20及び第二接続部30においても、第一融着規制層22、第一接続融着層25、第一裏面融着層27、第二融着規制層32、第二接続融着層35及び第二裏面融着層37を図示しない。
上述したように、端子部10bは、第一端子部10b1と、第二端子部10b2とを備える。ここで、第一電極シート12は、第一端子部10b1に配置され、第二端子部10b2には配置されていない。一方、第二電極シート15は、第二端子部10b2に配置され、第一端子部10b1に配置されていない。
第一端子部10b1においては、第一リード線21の第一導通部21bが、第一電極シート12に接触している。第一導通部21bが、第一クランプ23によって第一端子部10b1に固定されている。第一接続保護層24が、第一導通部21b及び第一クランプ23の第一連結部23bを被覆している。さらに、第一裏面保護層26が、第一クランプ23の第一返し部23cを被覆している。
また、第二端子部10b2においては、第二リード線31の第二導通部31bが、第二電極シート15に接触している。第二導通部31bが、第二クランプ33によって第二端子部10b2に固定されている。第二接続保護層34が、第二導通部31b及び第二クランプ33の第二連結部33bを被覆している。さらに、第二裏面保護層36が、第二クランプ33の第二返し部33cを被覆している。
そして、第一接続部20と第二接続部30とは、シート本体部10の面方向にオフセットして配置されている。ここで、第一端子部10b1には、第二電極シート15が配置されていない。つまり、第一クランプ23が存在する領域には、第二電極シート15は配置されていない。従って、第一クランプ23の第一脚部23aが第一端子部10b1を貫通するとしても、第二電極シート15と接触することはない。換言すると、第一クランプ23は、第二電極シート15と電気的に接続される状態にはならない。
同様に、第二端子部10b2には、第一電極シート12が配置されていない。つまり、第二クランプ33が存在する領域には、第一電極シート12は配置されていない。従って、第二クランプ33の第二脚部33aが第二端子部10b2を貫通するとしても、第一電極シート12と接触することはない。換言すると、第二クランプ33は、第一電極シート12と電気的に接続される状態にはならない。
さらに、第一クランプ23が、第一リード線21の第一導通部21bをシート本体部10の第一端子部10b1に固定している。つまり、半田や溶接を適用することなく、第一導通部21bがシート本体部10の第一端子部10b1に固定されている。半田付けや溶接に比べて、第一クランプ23の第一連結部23bは、厚みを薄くすることができる。従って、第一リード線21の第一導通部21bが第一電極シート12に接続される部位において、厚みを薄くすることができる。同様に、第二クランプ33を用いることによって、第二リード線31の第二導通部31bが第二電極シート15に接続される部位において、厚みを薄くすることができる。
(8.第二例の端子部10bの詳細構成)
第二例の端子部10bの詳細構成について、図8及び図9を参照して説明する。第二例の端子部10bは、第一端子部10b1及び第二端子部10b2に加えて、変形許容部10b3を備える。
変形許容部10b3は、第一端子部10b1と第二端子部10b2との境界部に位置する。変形許容部10b3は、第一接続部20と第二接続部30のオフセット方向の境界部に形成されている。変形許容部10b3は、第一端子部10b1と第二端子部10b2とを面法線方向への相対移動を許容する。
詳細には、シート本体部10の面法線方向(厚み方向)において、第一端子部10b1における第一電極シート12と第二端子部10b2における第二電極シート15との距離が、変形許容部10b3による変形前の状態に相当するトランスデューサ部10aにおける第一電極シート12と第二電極シート15との対向距離D(図9に示す)よりも短くなるように、第一端子部10b1と第二端子部10b2とが配置される。
ここで、本例においては、変形許容部10b3は、シート本体部10の端子部10bの第一面から第二面に亘って切断されたスリットである。そして、図9に示すように、スリットを形成する突き合わせ面がシート本体部10の厚み方向にずらした状態とされる。つまり、変形許容部10b3による変形前の状態に相当するトランスデューサ部10aにおける第一電極シート12と第二電極シート15との対向距離Dに比べて、第一端子部10b1における第一電極シート12と第二端子部10b2における第二電極シート15とのシート本体部10の厚み方向の距離が短くなる。結果として、第一導通部21bと第二導通部31bとのシート本体部10の厚み方向の距離が短くなる。
以上のとおり、第一導通部21bと第二導通部31bとは面方向にオフセットされている上に、端子部10bは、変形許容部10b3を備えている。変形許容部10b3は、第一導通部21bと第二導通部31bとをシート本体部10の厚み方向に近接させるように作用する。換言すると、第一導通部21bに対向する誘電体層11の部位と、第二導通部31bに対向する誘電体層11の部位とは、同一平面上に位置せず、誘電体層11の厚み方向にずれている。
従って、第一導通部21b、第一電極シート12、及び、誘電体層11を含む部位の厚み方向の範囲と、第二導通部31b、第二電極シート15、及び、誘電体層11を含む部位の厚み方向の範囲とは、大部分においてオーバーラップしている。つまり、第一リード線21と第二リード線31とがシート本体部10の表裏反対側に配置される場合であっても、端子部10b全体の厚みHが小さくなる。その結果、トランスデューサ1を構成する静電シート全体の最大厚みを、小さくすることができる。
さらに、第一電極シート12が、第一端子部10b1に配置されており、第二端子部10b2には配置されていない。一方、第二電極シート15は、第一端子部10b1に配置されておらず、第二端子部10b2に配置されている。このように、第一電極シート12及び第二電極シート15が、第一端子部10b1及び第二端子部10b2のそれぞれのみに配置されることで、端子部10b全体の厚みHがより小さくなる。
(9.第三例の端子部10bの詳細構成)
次に、第三例の端子部10bの詳細構成について、図10及び図11を参照して説明する。第三例の端子部10bは、第二例の端子部10bに対して、変形許容部10b3が相違する。
本例においては、変形許容部10b3は、エラストマーにより形成されている誘電体層11の曲げ変形により構成されている。第一端子部10b1の誘電体層11と第二端子部10b2の誘電体層11は、変形許容部10b3の誘電体層11により連続的に接続されている。変形許容部10b3は、誘電体層11の曲げ変形により段差状に変形されて形成されている。
このようにして、シート本体部10の面法線方向(厚み方向)において、第一端子部10b1における第一電極シート12と第二端子部10b2における第二電極シート15との距離が、変形許容部10b3による変形前の状態に相当するトランスデューサ部10aにおける第一電極シート12と第二電極シート15との対向距離D(図11に示す)よりも短くなるように、第一端子部10b1と第二端子部10b2とが配置される。結果として、第一導通部21bと第二導通部31bとのシート本体部10の厚み方向の距離が短くなる。
従って、第一リード線21と第二リード線31とが誘電体層11の表裏反対側に配置される場合であっても、端子部10b全体の厚みHが小さくなる。その結果、トランスデューサ1を構成する静電シート全体の最大厚みを、小さくすることができる。
また、シート本体部10の面方向において、第一端子部10b1と第二端子部10b2との距離を長く確保できる場合には、本例の変形許容部10b3が好適である。この場合、第一端子部10b1の誘電体層11と第二端子部10b2の誘電体層11とを大きくずらすことが確実にできると共に、誘電体層11の形状が簡易な形状となる。
1:トランスデューサ、10:シート本体部、10a:トランスデューサ部、10b:端子部、10b1:第一端子部、10b2:第二端子部、10b3:変形許容部、11:誘電体層、12:第一電極シート、12a:第一貫通孔、12b:第一内面、12c:第一外面、13:第一主融着層、14:第一主保護層、15:第二電極シート、15a:第二貫通孔、15b:第二内面、15c:第二外面、16:第二主融着層、17:第二主保護層、20:第一接続部、21:第一リード線、21a:第一リード線本体、21b:第一導通部、22:第一融着規制層、23:第一クランプ、23a:第一脚部、23b:第一連結部、23c:第一返し部、24:第一接続保護層、25:第一接続融着層、26:第一裏面保護層、27:第一裏面融着層、30:第二接続部、31:第二リード線、31a:第二リード線本体、31b:第二導通部、32:第二融着規制層、33:第二クランプ、33a:第二脚部、33b:第二連結部、33c:第二返し部、34:第二接続保護層、35:第二接続融着層、36:第二裏面保護層、37:第二裏面融着層

Claims (9)

  1. 静電型のトランスデューサを構成するシート本体部と、
    前記シート本体部の第一面側に配置される第一リード線と、
    前記第一リード線を前記シート本体部に固定する第一クランプと、
    を備えるトランスデューサであって、
    前記シート本体部は、
    誘電体層と、
    複数の第一貫通孔を備え、前記誘電体層の第一面側に配置され、少なくとも一部が前記誘電体層の前記第一面から露出した状態で配置される第一電極シートと、
    融着材料により形成されており、前記誘電体層のうち前記誘電体層の前記第一面側の少なくとも一部分として配置され又は前記誘電体層の前記第一面に別部材として接合され、前記誘電体層と前記第一電極シートとを前記融着材料の融着により接合する第一主融着層と、
    を備え、
    前記第一リード線は、前記第一電極シートの露出面に接触した状態で配置された第一導通部を備え、
    前記第一クランプは、
    前記シート本体部を厚み方向に貫通し、前記シート本体部の第一面側を基端とし、前記シート本体部の第二面側を先端とする複数の第一脚部と、
    前記複数の第一脚部の前記基端同士を連結し、前記第一リード線の前記第一導通部を跨いで配置される第一連結部であって、前記第一連結部と前記第一電極シートの前記露出面との間に前記第一リード線の前記第一導通部を介在させる前記第一連結部と、
    前記複数の第一脚部のそれぞれの前記先端から折り曲げ形成され、前記シート本体部の前記第二面に係止される複数の第一返し部と、
    を備える、トランスデューサ。
  2. 前記第一リード線の前記第一導通部は、前記第一連結部によって前記第一電極シートの前記露出面に押し付けられた状態で接触する、請求項1に記載のトランスデューサ。
  3. 前記誘電体層は、弾性体により形成されており、
    前記第一クランプは、前記誘電体層を圧縮した状態とし、
    前記第一リード線の前記第一導通部は、前記誘電体層の反力によって、前記第一電極シートの前記露出面に押し付けられた状態で接触する、請求項2に記載のトランスデューサ。
  4. 前記第一クランプは、導電性材料により形成され、
    前記第一クランプの前記第一連結部は、前記第一リード線の前記第一導通部に接触することによって前記第一導通部に電気的に接続し、
    前記第一クランプの前記複数の第一脚部は、前記第一電極シートに接触することにより前記第一電極シートに電気的に接続し、
    前記第一リード線の前記第一導通部と前記第一電極シートとは、直接接触することによって電気的に接続されると共に、前記第一クランプを介して電気的に接続される、請求項1-3の何れか一項に記載のトランスデューサ。
  5. 前記第一導通部は、撚り線により形成されており、前記撚り線が面状に広がった状態で前記第一連結部と前記第一電極シートの前記露出面との間に介在されている、請求項1-4の何れか一項に記載のトランスデューサ。
  6. 前記シート本体部は、さらに、
    複数の第二貫通孔を備え、前記誘電体層の第二面側に配置される第二電極シートを備え、
    前記第二電極シートは、前記第一クランプが存在する領域に配置されていない、請求項1-5の何れか一項に記載のトランスデューサ。
  7. 前記トランスデューサは、さらに、
    前記シート本体部の第二面側に配置される第二リード線と、
    前記第二リード線を前記シート本体部に固定する第二クランプと、
    を備え、
    前記第二電極シートは、少なくとも一部が前記誘電体層の前記第二面から露出した状態で配置され、
    前記シート本体部は、さらに、
    融着材料により形成されており、前記誘電体層のうち前記誘電体層の前記第二面側の少なくとも一部分として配置され又は前記誘電体層の前記第二面に別部材として接合され、前記誘電体層と前記第二電極シートとを前記融着材料の融着により接合する第二主融着層を備え、
    前記第二リード線は、前記第二電極シートの露出面に接触した状態で配置された第二導通部を備え、
    前記第二クランプは、
    前記シート本体部を厚み方向に貫通し、前記シート本体部の第二面側を基端とし、前記シート本体部の第一面側を先端とする複数の第二脚部と、
    前記複数の第二脚部の前記基端同士を連結し、前記第二リード線の前記第二導通部を跨いで配置される第二連結部であって、前記第二連結部と前記第二電極シートの前記露出面との間に前記第二リード線の前記第二導通部を介在させる第二連結部と、
    前記複数の第二脚部のそれぞれの前記先端から折り曲げ形成され、前記シート本体部の前記第一面に係止される複数の第二返し部と、
    を備える、請求項6に記載のトランスデューサ。
  8. 前記トランスデューサは、さらに、
    前記第一電極シートの前記露出面、前記第一リード線の前記第一導通部、及び、前記第一クランプの前記第一連結部を被覆する第一接続保護層を備える、請求項1-7の何れか一項に記載のトランスデューサ。
  9. 前記トランスデューサは、さらに、
    融着材料により形成されており、前記第一接続保護層の一部分として配置され又は前記第一接続保護層別部材として接合され、前記誘電体層と前記第一接続保護層とを前記融着材料の融着により接合する又は前記第一電極シートと前記第一接続保護層とを前記融着材料の融着により接合する第一接続融着層を備える、請求項8に記載のトランスデューサ。
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