図1~31を参照しながら、溶接トーチのためのシステムおよび方法を単なる一例として説明する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、一般に溶接トーチの整備に関し、また、溶接トーチの自動化されたメンテナンスおよび/または整備のためのシステムにおける部品/物体の力制御および/または位置制御に関する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、システムにおける部品間にかかる力の量および/または部品間の相対位置を制御するように構成された制御システムを提供する。システムは、部品を特定の位置に移動させるために力制御を利用することも、力の量が特定の値に達するように位置制御を利用することもできる。システムの部品間にかかる力または部品間の相対位置は、さまざまな方法で測定することができ、また、たとえば開ループまたは閉ループ制御方式で制御することができる。制御システムは、溶接トーチの2つの嵌合部品の相互作用における部品の動きに自由度を与えている。
例示的な実装形態において、溶接ノズルおよび/または接触チップに対する力制御および/または位置制御を実施するための浮動システムが提供される。たとえば、浮動システムは、溶接トーチからのガスノズルの取り外し、ガスノズルの洗浄、および/またはガスノズルの交換を行うように構成されたデバイスを制御することができる。浮動システムは、使用済みの接触チップを取り外して処理し、新たな接触チップを供給し、その新たな接触チップを溶接トーチに載せるように構成されたデバイスを制御することができる。たとえば、浮動システムは、溶接トーチの2つの嵌合部品の相互作用において、モジュールによってかかる力を制御することによって、溶接トーチの2つの嵌合部品間の力を制御または低減するように構成されている。
単なる一例として、複数の行為を順に用いてさまざまな動作が本明細書に記載されることがある。本明細書に記載の動作/行為は異なる順序で実施されてもよく、本開示はそれらの特定の例には限定されない。
本明細書における用語「システム」、「デバイス」、「モジュール」、「部品」、「ツール」、または「装置」は互換可能に使用されることがある。本明細書に記載のシステム、デバイス、モジュール、部品、ツール、または装置は、ハードウェアベースのシステムであっても、ハードウェアベースのシステムとソフトウェアベースのコンピュータシステムの組み合わせであってもよく、これは互いに作用可能に接続された複数の(コンピュータ)部品または設備を備えていてもよく、そのそれぞれが、1つ以上のプログラム可能なプロセッサ、1つ以上のメモリ、ならびに1つ以上のハードウェアおよび/またはソフトウェアベースのユーザインターフェースを有することができる。
相対的な用語、たとえば「垂直な(垂直に)」、「上部の」、「下部の」、「斜めの」、「上向きに」、および「下向きに」などは、本明細書において説明のために使用されているにすぎない。本明細書において示されるシステム、デバイスおよび/または装置の配置および向きは、説明または図示されたものに限定されない。
図1は、102として示した溶接トーチの一例を示す。溶接トーチ102は、溶接ワイヤ(図示せず)を伸ばすための開放された円筒形のノズル108および中央にある帯電した溶接チップ106を含む。溶接チップ106は保持ヘッド110に取り付けられており、保持ヘッド110(別名ディフューザまたは接触チップホルダ)は、ガス供給源(図示せず)に接続され、溶接の際に溶接環境を制御するためにノズル108にガスを分配するための穴112を有する。ノズル108の近位端118において、ノズル108は、溶接トーチ102の溶接アームまたはカラー116に取り付けられていてもよい。ノズル108と、溶接トーチ102の溶接アームまたはカラー116との連結は、ねじ込み式でも、バヨネット式でも、スリップオン式でも、その他の種類でもよい。溶接チップ106は、ねじまたは他の手段によって保持ヘッド110に連結されてもよく、ノズル108と同軸の関係にある。溶接チップ106は、ノズル108の遠位端120から突出していてもよい。溶接トーチ102は、カラー116に隣接する位置で湾曲することで「雁首形状部」114を形成していてもよい。
溶接トーチ102は、たとえばそのプログラム可能な制御装置の制御下で、さまざまな画定された3次元座標間を移動するために、ロボットの腕(図示せず)についていてもよい。
溶接チップ106は、ワイヤ電極を溶接箇所に案内する。保持ヘッド110によって分配された不活性ガスの流れは、溶接チップ106を同心円状に囲み、ガスシールドをワイヤ電極の周囲に維持して、溶接部に汚染物質が入ることを防ぐ。
例示的な一実装形態において、溶接トーチ102などの溶接トーチの整備のために溶接トーチメンテナンスセンタが設けられる。溶接トーチメンテナンスセンタは複数の装置/システム/モジュールを備える。たとえば、溶接トーチメンテナンスセンタは、ノズル108を取り外し、洗浄するためのツールならびに溶接チップ106および/または保持ヘッド110を洗浄するためのツールを備えていてもよく、これは、たとえば図2に溶接トーチメンテナンス装置200として描かれている。溶接トーチメンテナンスセンタは、溶接チップ106を交換するためのツールを含んでいてもよく、これは、たとえば図15に溶接チップ交換装置1500として描かれている。溶接チップ交換装置1500は溶接トーチメンテナンス装置200の近くに配置されてもよい。一部またはすべてのツール/装置が、トーチメンテナンスセンタにおける単一の筐体の中に配置されてもよい。溶接トーチ102はロボットまたはロボットの腕の一部であってもよく、溶接トーチメンテナンスセンタの各種ツール間を協調して動かされる。溶接トーチ102の整備は、各種ツール間の1回の操業で完了してもよい。あるいは、各種ツールがその個別の機能のために別々に使用されてもよい。
例示的な一実装形態において、浮動システムは、溶接トーチメンテナンス装置(たとえば、200)、溶接チップ交換装置(たとえば、1500)、またはその組み合わせにおいて使用される。浮動システムは、ロボット制御システムと連携するプログラム可能な制御ユニットによって制御される空気圧手段、電気手段、磁気手段、機械手段、または液圧手段によって駆動されてもよい。
図2は、溶接トーチメンテナンス装置200の一例を示す。図示した例では、溶接トーチメンテナンス装置200は、溶接トーチ102のノズル108を取り外し、洗浄するノズル取り外し装置と、溶接トーチ102の溶接チップ106および/または保持ヘッド110を洗浄するチップ/保持ヘッド洗浄モジュール400とを備える。ノズル取り外し装置は、図3に示すようにノズル取り外しシステム300を備える。
図1~3を参照すると、ノズル取り外しシステム300およびチップ/保持ヘッド洗浄モジュール400は筐体202に収められている。溶接トーチメンテナンス装置200は、さまざまな空気圧駆動手段の動作を制御するための弁の列を備えていてもよく、かつ/または溶接トーチメンテナンス装置200の動作状態を示すために筐体202に状態ランプ248を備えていてもよい。
溶接トーチメンテナンス装置200は、溶接ワイヤの端部を溶接チップ106から切り取る溶接ワイヤカッタ260を備えていてもよい。ワイヤの切断は、溶融金属の玉が溶接ワイヤ(図示せず)に形成される場合に特に重要である。ワイヤの切断は、溶接トーチ102の整備開始前に実施してもよく、場合によっては、動作中に露出した溶接ワイヤを取り除くために2回目および/または3回目を実施してもよい。あるいは、露出したワイヤは、動作時間を節約するために、切る代わりに後退させてもよい。
チップ/保持ヘッド洗浄モジュール400は、チップ/保持ヘッド洗浄アセンブリ240、および空気圧モータ242を備える。
ノズル取り外しシステム300は、第1のクランプ210および第2のクランプ212を使用する。第1のクランプ210は、溶接トーチ102の部分に対して、雁首形状部114またはロボットの腕の動作空間における別の明確な箇所で固定係合するように構成されている。第1のクランプ210は、たとえばコレットの爪など、複数の移動可能な協調する把持挿入部を備えていてもよく、これは、溶接トーチ102を自身の間に受け入れ、取り外し可能に締めつける形で固定するように構成されている。この例では、把持挿入部は、回転軸201の周りに等距離を隔てた位置関係にある。第1のクランプ210が溶接トーチ102を適所に固定すると、溶接トーチ102のノズル108の中心軸が回転軸201と一直線になる。
第2のクランプ212はノズル108を保持するために設けられ、第1のクランプ210と類似または同一の構造を有していてもよい。第2のクランプ212は、ノズル108を締めつけ、保持するために把持挿入部が延出した閉位置と、把持挿入部が閉じる位置から離れる退避した開位置との間で移動可能である。第2のクランプ212はさらに、回転軸201と一直線になった中心軸を中心に回転するように構成されている。
図面において、第1および第2のクランプ210、212のそれぞれの構成の一例が示されているが、あくまで説明のためにすぎない。第1および第2のクランプ210、212の他の実装形態が容易に利用でき、これはたとえば、溶接トーチ102およびノズル108をそれぞれ固定する、空気圧、液圧、磁気、機械、または電気で制御される他のクランプ、すなわち係止スライド部などである。
動作において、第2のクランプ212は溶接トーチ102のノズル108を保持し、回転軸201を中心に回転してノズル108を外す。第2のクランプ212の回転は、第2のクランプ212が閉位置に移動する前に開始してもよい。第2のクランプ212がノズル108を保持し、回転させる際、第2のクランプ212は垂直に作動させられて、ノズル108を上または下に移動させて溶接トーチ102から外すことができる。以下に説明するように、洗浄手段、たとえば、限定はしないが、ブラシ、リーマ、高圧空気/流体/噴霧液、研削もしくは研磨手段、または他の洗浄ツールが、次いで遠位端120からノズル108に入り、ノズル108の内部を洗浄する。
ノズル取り外しシステム300は、第2のクランプ212を回転させる駆動手段を備える。図示した例では、駆動手段は、水平の回転空気圧モータ214およびはすば歯車216、218を備え、ここで第2のクランプ212は、はすば歯車218の回転と一緒に回転させられる。はすば歯車218は、第2のクランプ212を開閉するように動作する空気分配アセンブリ222と第2のクランプ212が空気圧連通するために、回転式空気供給プレート220を介して第2のクランプ212に結合されている。溶接トーチメンテナンス装置200は、第2のクランプ212の回転運動を測定する手段を備えていてもよい。たとえば、他の空気圧、液圧、磁気、機械または電気モータ装置など、他の実装形態が容易に利用できることは当業者には明らかであろう。
ノズル取り外しシステム300は、第2のクランプ212を回転軸201に沿って垂直に移動させる持ち上げシステムを備える。図示した例では、持ち上げシステムは、シリンダ232を備える空気圧浮動システムである。システムは、システムの部品の各種動作を制御および調整する制御デバイスを備えていてもよく、制御デバイスは、シリンダ1534内の空気圧もしくは空気量の制御、および/または放出/充填マニホールド(たとえば、図27参照)によって操作され得るシリンダ232の位置の制御を行うように構成されていてもよい。持ち上げシステムは、シリンダの動きを制御する動き検出手段を備えていてもよい。たとえば、動き検出手段はポテンショメータを含んでいてもよい。たとえば、ロータリエンコーダ、ロータリポテンショメータ、ラックとピニオン、近接センサなど、他の実装形態が容易に利用できることは当業者には明らかであろう。
ノズル取り外しシステム300は、垂直のレール228に沿ってスライド可能なキャリッジ(たとえば、図30の226)を備える。図示した例では、キャリッジは、空気分配アセンブリ222のガイドプレート224に固定されている。ガイドプレート224は、第2のクランプ212、回転式空気供給プレート220、水平の回転空気圧モータ214およびはすば歯車216、218を固定し、支える。キャリッジは、位置合わせ継手またはシリンダ232の浮動コネクタ230に取り付けられている。キャリッジは、シリンダ232が空気入口234を介して空気圧で駆動されたとき、垂直のレール228に沿ってスライドする。作動させられると、キャリッジを支えるシリンダ232は、空気分配アセンブリ222、第2のクランプ212、回転式空気供給プレート220、水平の回転空気圧モータ214およびはすば歯車216、218とともに、垂直方向に移動する。
好ましくは、レール228は、堅い構造体、たとえば、溶接トーチメンテナンス装置200の枠状部材に搭載されている。レール228は、第2のクランプ212、回転空気圧モータ214、はすば歯車216、218および空気分配アセンブリ222が、シリンダ232を介して駆動されたときに垂直方向に移動するように、方向案内を提供する。
ねじ山を切ったノズルの場合、ノズル取り外しシステム300は、垂直方向の動きに自由度を与え、これは、ノズル108のねじ山ピッチのずれの可能性を相殺し、第2のクランプ212の回転速度および持ち上げ速度に対応するための緩衝をもたらす。当業者には明らかなように、ねじ山は、処理の開始時には位置合わせされていない可能性があり得る。
図4aおよび図4bは、ノズル取り外しシステム300の断面図である。ノズル108は全体が溶接トーチ102に取り付けられており、図4aでは第2のクランプ212によって固定されている。第2のクランプ212によるそのクランプの開閉は、空気分配アセンブリ222が空気入口406、408を介して行わせてもよい。
上で説明したように、ねじ山を切ったノズルの場合、第2のクランプ212は、回転軸201を中心に歯車218とともに回転することができ、それによって、ノズル108のねじ山を切った部分を溶接トーチ102から解放する。第2のクランプ212が回転する際、第2のクランプ212は、同時に垂直に作動させられて、ノズル108を溶接トーチ102から外すことができる。ノズル108を溶接トーチ102に再度取り付けるために、第2のクランプ212は、同じ軸201を中心に反対方向に回転して、ノズル108のねじ山を切った部分を溶接トーチ102に係合することができる。
図4bを参照すると、第2のクランプ212がノズル108を保持し、ノズル108を下に移動させて溶接トーチ102から外すので、洗浄手段412が遠位端120からノズル108に入ってノズル108を洗浄することができる。洗浄手段412は、たとえば、シャフト410に搭載されたブラシ、リーマ、高圧空気/流体/噴霧液、研削、または研磨手段であってもよい。ノズル108は、第2のクランプ212によって引き続き回転させられてもよい。洗浄手段412を支えるシャフト410は静止していてもよいし、軸201について、たとえば、第2のクランプ212とは反対方向に回転してもよい。シャフト410は、垂直方向に進行してノズル108に進入、および/または垂直方向に退避してノズル108から退出することができる。ノズル108と洗浄手段412の間の相対的な動きによって、ノズル108の内部表面に蓄積したスパッタが取り除かれる。
図5は第2のクランプ212の分解図である。この例では、第2のクランプ212は把持部コレットである。第2のクランプ212は、把持部ハウジング502、頂部カバー504、底部カバー506、コレット508、および整合テーパ510を備えていてもよい。把持部ハウジング502内に配置されたコレット508は、貫通開口512を画定する円筒状の内周面と、円錐形の外表面とを含む。コレット508は、たとえば、ばね鋼でできていてもよい。コレット508は一体型でもよいし、複数の協調する把持爪を含んでいてもよい。整合テーパ510はコレット508に係合し、コレット508の内周面を狭めてわずかに小さな開口直径となるようにコレット508を半径方向内側へ押しつけさせることができるテーパ付き内周面を有していてもよい。整合テーパ510は、コレット508を開位置と閉位置の間で移動させるために、空気圧作動によって垂直方向に移動することができる。頂部カバー504はコレット508を、底部カバー506はテーパ510を、締結具、たとえば、ボルト、ピンまたは肩付きねじによって、それぞれ把持部ハウジング502とで囲んでいる。
図6aは、開位置における第2のクランプ212の断面図であり、図6bは、閉位置における第2のクランプ212の断面図である。図6aに示したように、テーパ510は下に移動して頂部カバー504とテーパ510の間にヘッドスペース514を空ける。コレット508は、続いてヘッドスペース514内に膨らみ、それによって開口512の直径を広げて開位置に遷移する。対照的に、図6bでは、テーパ510を上に移動させてヘッドスペース514の中に入れ、それによってコレット508を半径方向内側へ押しつけて閉位置に移動させる。
図7は、第2のクランプ212、回転空気圧モータ214、はすば歯車216、218および空気分配アセンブリ222の分解図である。空気分配アセンブリ222は、上部軸受カバー702および下部軸受カバー704によって囲まれている。空気分配アセンブリ222は、ガイドプレート224を間に有する一対の空気分配部材708、710を備え、空気分配部材708、710およびガイドプレート224はそれぞれ、対応する空気入口404、408、および406を有する。空気圧を空気入口404、406および408にそれぞれ加えることにより、第2のクランプ212の動作を制御することができ、一方で歯車218、空気供給プレート220および第2のクランプ212は回転し、上記のように垂直に移動する。
中空シャフト718、720が空気供給プレート220に取り付けられている。中空シャフト718、720は、空気分配部材708、710およびガイドプレート224を貫通し、軸受722、724を介してそれらとの同軸の関係を維持する。中空シャフト718、720は、空気分配部材708、710およびガイドプレート224に対して回転することができる。封止部材726、728、730、732が、分配部材708、710およびガイドプレート224のそれぞれに設けられている。たとえば空気入口408に空気圧が加えられたとき、分配部材710と、シャフト720と、封止部730、732との間にリング形状の空気ポケットが形成される。
また、図8を参照すると、複数の管路が中空シャフト718、720の壁に埋め込まれている。管路802は、空気入口408に空気圧が加えられたときに生じる環状空気ポケットを空気供給プレート220と連絡させ、コレット508を閉じさせる。管路806は、空気入口406に空気圧が加えられたときに生じる環状空気ポケットを空気供給プレート220と連絡させ、コレット508を開かせる。
図9a~9cは、空気分配アセンブリ222から空気入口404、406、408を介して動作させられる第2のクランプ212の断面図である。
図9aでは、空気入口408に空気圧が加えられる。シャフトの周囲の環状空気ポケット902内の圧力が、管路802および空気供給プレート220を介して送られて、図9aの矢印Aによって示したように、テーパ510を上に移動させ、次いでコレット508を半径方向内側へ押しつけて閉位置にする。
図9bでは、空気入口406に空気圧が加えられる。シャフトの周囲の環状空気ポケット904内の圧力が、管路806および空気供給プレート220を介して送られて、図9bの矢印Bによって示したように、テーパ510を下に移動させ、次いでコレット508を半径方向外側へ解放して開位置にする。
図9cでは、空気入口404に空気圧が加えられる。シャフトの周囲の環状空気ポケット906内の圧力によって空気が管路810に入り、ベンチュリ効果をもたらし、中空シャフト内に低圧領域を生じさせる。低圧は、中空シャフトの内腔を介して、ノズル108から取り除かれたスパッタを吸い込む。
図10は、溶接トーチメンテナンスセンタの400として示したチップ/保持ヘッド洗浄モジュールの一例を示す。この例では、チップ/保持ヘッド洗浄モジュール400は、チップ/保持ヘッド洗浄アセンブリ240および空気圧モータ242を備える。
図11は、たとえば、ブラシ、研削機、研磨ツール、またはリーマなどのチップ/保持ヘッド洗浄手段1006を備えるチップ/保持ヘッド洗浄モジュール400の例を示す上面図である。保持ヘッド洗浄手段1006は複数のブラシ1008を備えていてもよい。図示した例では、ブラシ1008は、一対のブラシ支持フレーム1010、1012の内部表面に配置されている。ブラシ1008は、保持ヘッド110およびチップ106に係合するために半径方向内側へ一定距離延びている。
図12はチップ/保持ヘッド洗浄モジュール400の断面図である。動作において、保持ヘッド110および溶接チップ106は、3次元の基準点に固定されてもよい。チップ/保持ヘッド洗浄アセンブリ240は、たとえば空気入口1002、1004を介して回転させられる。ブラシ1008は、チップ/保持ヘッド洗浄アセンブリ240の外部ハウジングとともに、保持ヘッド110および溶接チップ106によって定まる軸を中心に回転する。ブラシ1008と溶接チップまたは保持ヘッドの間の相対的な動きによって、溶接チップまたは保持ヘッドの周囲、特に保持ヘッド110の穴112の周囲に蓄積したスパッタが取り除かれる。
図13~14は、400’として示したチップ/保持ヘッド洗浄モジュールの別の例を示す。チップ/保持ヘッド洗浄モジュール400’は、チップ/保持ヘッド洗浄アセンブリ1302、真空アセンブリ1304、および中空シャフト1306を備える。滑車1308が中空シャフト1306に設けられており、回転空気圧モータ1310およびベルト(図示せず)に取り付けられた第2の滑車1312を介して、回転空気圧モータ1310によって駆動されてもよい。回転空気圧モータ1310および真空アセンブリ1304は背面プレート1314に搭載されている。
図13bは、チップ/保持ヘッド洗浄モジュール400’の上面斜視図である。頂部キャップ1316は、チップ/保持ヘッド洗浄手段、たとえばブラシ、リーマ、研削機、または研磨手段を囲む。チップ/保持ヘッド洗浄手段は複数のブラシ1318を備えていてもよい。図示した例では、ブラシ1318は、一対のブラシ支持フレーム1320、1322の内部表面に配置されている。ブラシ1318を支えるブラシ支持フレーム1320、1322は、直径が異なる保持ヘッド110および溶接チップ106に係合するために伸張できてもよい。2つの空気入口1324、1326に空気圧が与えられることにより、一方の空気入口は中空シャフト1306内に低圧領域を発生させ、他方の空気入口はブラシ支持フレーム1320、1322を移動させる。
図13cおよび図13dは、図13aの線X-Xに沿ったチップ/保持ヘッド洗浄モジュール400’の断面図である。保持ヘッド110および溶接チップ106は、単一の3次元の基準点に固定されてもよい。図13cおよび図13dに描かれているように、ブラシは、保持ヘッド110および溶接チップ106によって定まる軸に沿って3つの組1204、1206、1208として設けられてもよく、組1204の羽根同士の間の距離が組1206、1208のものよりわずかに大きくなるようにしている。チップ/保持ヘッド洗浄モジュール400’は外部ハウジング1202を備える。ハウジング1202の内部に、Oリング1210、1212によって封止される形でピストン1214が配置されている。ピストン1214は、弾性のある手段、たとえば、ばね1216によって、外部ハウジング1202の底部に向けて付勢される。中空シャフト1306は、たとえば図13aに示したように、回転空気圧モータ1310、滑車1308および1312ならびにタイミングベルト(図示せず)によって回転させられてもよい。中空シャフト1306は、外部ハウジング1202およびブラシ1204、1206、1208を、保持ヘッド110および溶接チップ106によって定まる軸を中心に回転させる。
中空シャフト1306は、真空アセンブリ1304の2つの軸受1220、1222によって支持される。3つの封止部1224、1226、1228が、中空シャフト1306と真空アセンブリ1304の間に設けられる。入口1324、1326に空気圧が加えられたとき、2つの環状空気ポケット1230、1232が中空シャフト1306の周囲に形成され得る。図示した実施形態では、入口1324は空気ポケット1230と空気圧連通している。中空シャフト1306内の空気路(図示せず)を介して、空気ポケット1230は外部ハウジング1202とも空気圧連通している。図13dを参照すると、入口1324に空気圧が加えられたとき、シャフト1306の周囲の環状空気ポケット1230内の圧力がピストン1214に送られる。ピストン1214が上に押し上げられると、以下に説明するように、ブラシ支持フレーム1106、1108は、ブラシ1204、1206、1208が保持ヘッド110および溶接チップ106に係合するように半径方向内側へ移動させられる。
空気出口1234は第2の入口1326空気圧連通している。空気入口1326に空気圧が加えられたとき、シャフト1306の周囲の環状空気ポケット1232内の圧力によって空気が空気出口1234に入り、ベンチュリ効果をもたらし、それによって、中空シャフト1306内に低圧領域を生じさせる。低圧は、中空シャフト1306の内腔を介して、保持ヘッド110および/または溶接チップ106から取り除かれたスパッタを吸い込む。
図13eおよび図13fは、図13cの線Y-Yに沿ったチップ/保持ヘッド洗浄モジュール400’の断面図である。図13eおよび図13fは、それぞれ図13cおよび図13dに対応する。
図13eおよび図13fでは、2対のピン1330、1332、1334、1336がピストン1214の両側に位置している。図13fにおいて、ピストン1214が空気圧によって上に押し上げられた際に、ピン1330、1332、1334、1336もまた持ち上げられる。
図14aは、ピン1330、1332、1334、1336が低い位置にあるとき、すなわちピストン1214がばね1216によって押し下げられているときのブラシ支持フレーム1320、1322の相対位置を示し、図14bは、ピン1330、1332、1334、1336が高い位置にあるとき、すなわちピストン1214が入口1324を介して供給された空気圧によって押し上げられたときのブラシ支持フレーム1320、1322の相対位置を示す。
支持フレーム1320は4つの斜めスロットを有し、そのうちの2つが、スロット1402、1404として図14aに描かれており、支持フレーム1322もまた4つの斜めスロットを有し、そのうちの2つが、スロット1406、1408として図14aに描かれている。図14aに示したように、ピストンが低い位置にあるとき、ピン1330は、斜めスロット1402と1404が合わさって形成されたV字形スロットの底部にあり、同様に、ピン1332は、斜めスロット1404と1408が合わさって形成されたV字形スロットの底部にある。
ピン1330、1332は、斜めスロット1402、1406、1404、1408の領域に沿って案内される形でスライド可能である。ピン1330、1332が空気圧によって押し上げられると、V字形の上端同士が近づけられ、その結果、図14bに示したように、支持フレーム1320、1322が一緒に移動する。
図15は溶接チップ交換装置1500の一例を示す。この図示した例では、溶接チップ交換装置1500は、溶接トーチメンテナンス装置200とは別個の装置として形成されている。図2~3の溶接チップ交換装置1500および溶接トーチメンテナンス装置200が単一の筐体の中に形成されていてもよいことは当業者には明らかであろう。
溶接チップ106は一定期間使用すると摩耗し、その構造上、継続した使用は許容できない可能性がある。溶接チップ106を交換する時間は、溶接トーチ102が使用された時間、または溶接チップ106を介して繰り出された溶接ワイヤの量に基づくことができる。溶接トーチメンテナンス装置200におけるノズル108の取り外しならびに保持ヘッド110および/または溶接チップ106の洗浄の後、溶接トーチ102を支えるロボットの腕を溶接チップ交換装置1500に配置してもよく、そこで溶接チップ106を取り外し、交換することができる。
図示した例では、溶接チップ交換装置1500は、使用済みの溶接チップを取り外し、新規または交換溶接チップを取り付ける溶接チップ交換システム1508を備える。溶接チップ交換装置はまた、新規または交換溶接チップを格納する溶接チップ収納部1506を備えていてもよい。
図示した例では、溶接チップ交換システム1508は筐体1503の中にあり、溶接チップ収納部1506は筐体1503に取り付けられている。溶接チップ交換装置1500は、さまざまな空気圧駆動手段の動作を制御するための弁の列を備えていてもよく、かつ/またはその動作状態を示すために筐体1503に状態ランプ1502を備えていてもよい。
溶接チップ交換システム1508は、(図17に示す)第1のクランプ1510および第2のクランプ1512を備える。第1のクランプ1510は、溶接トーチ102を受け入れ、固定するように構成されている。この例では、第1のクランプ1510は、溶接トーチ102について、溶接トーチの保持ヘッド110の箇所を受け入れ、固定する。第1のクランプ1510は、たとえばコレットの爪など、複数の移動可能な協調する把持挿入部を備えていてもよく、これは、保持ヘッド110を自身の間に受け入れ、取り外し可能に締めつける形で固定する。この例では、把持挿入部は、回転軸1518の周りに等距離を隔てた位置関係にあり、溶接トーチ102の溶接チップ106および/またはチップ保持ヘッド110を回転軸1518に対して中心に据える。
第2のクランプ1512は溶接チップ106を保持するために設けられ、第1のクランプ1510と類似または同一の構造を有していてもよい。例示的な一実装形態において、第2のクランプ1512は、溶接チップ106を固定するための、回転軸1518と一直線になった中心軸の周りに等距離を隔てて配置された複数の爪を含むコレットである。第2のクランプ1512は、溶接チップ106を締めつけ、保持するために把持挿入部が延出した閉位置と、把持挿入部が閉じる位置から離れる退避した開位置との間で移動可能である。以下に説明するように、第2のクランプ1512はさらに、回転軸1518を中心に回転し、それに沿って移動するように構成されている。
図面において、第1および第2のクランプ1510、1512のそれぞれの構成の一例が示されているが、あくまで説明のためにすぎない。第1のクランプ1510または第2のクランプ1512の他の実装形態が容易に利用でき、これはたとえば、保持ヘッド110および溶接チップ106を保持するための、空気圧、液圧、機械、磁気、または電気で制御される他のクランプである。
動作において、第2のクランプ1512は溶接チップ106を保持し、回転軸1518を中心に回転して溶接チップ106を外す。第2のクランプ1512の回転は、第2のクランプ1512が閉位置に移動する前に開始してもよい。第2のクランプ1512が溶接チップ106を保持し、外す際、第2のクランプ1512は垂直に作動させられて、溶接チップ106を溶接トーチ102から外すことができる。
図16aおよび図16bは、コレット1520の形態をとる第2のクランプ1512の例示的な一実装形態を示す。図16aは、整合テーパ1542が下に移動し、複数の爪1540が半径方向外側へ移動して開口1544の直径を大きくした開位置にあるコレット1520を示す。一方、図16bは、整合テーパ1542が上に移動し、複数の爪1540が整合テーパに対して半径方向内側へ移動して開口1544の直径を小さくした、締めつける閉位置にあるコレット1520を示す。コレット1520の爪1540の全体が開位置から閉位置に遷移するとき、ロボットまたは他の手段によって使用済みチップが溶接チップ交換装置に送達されて、そのチップを取り外すために固定する。コレット1520の爪1540の全体が閉位置から開位置に遷移するとき、使用済み溶接チップ106は溶接トーチ102から取り外され、このとき、溶接チップ106は、コレット1520の下にある中空スペースを介して落とすか、または他の手段によって取り除くかのいずれかで、コレット1520から放出される。コレット1520の爪1540の全体が開位置から閉位置に遷移するとき、新たなチップが溶接チップ収納部1506から送達されて、溶接トーチ102に取り付けられる。コレット1520の爪1540の全体が閉位置から開位置に遷移するとき、新たな溶接チップ106は溶接トーチ102に固定される。
図17は、溶接チップ交換システム1508の一例を示す。溶接チップ交換システム1508は、第2のクランプ1512を回転させる駆動手段を備える。図示した例では、駆動手段は、水平の回転空気圧モータ1526ならびに水平のはすば歯車1530および連結する小さなはすば歯車1528を備える。水平のはすば歯車1530は第2のクランプ1512に連結されており、そのため、水平の回転空気圧モータ1526に連結された小さいほうのはすば歯車1528によって駆動されたときに、水平のはすば歯車1530および第2のクランプ1512は回転軸1518を中心に回転する。溶接チップ交換装置1500は、第2のクランプ1512の回転運動を測定する手段を備えていてもよい。たとえば、空気圧、液圧、機械、磁気、または電気モータ装置など、他の実装形態が容易に利用できることは当業者には明らかであろう。ノズル取り外しシステム300と同様に、第2のクランプ1512は、第2のクランプ1512を開閉するように動作する空気分配アセンブリと空気圧連通していてもよい。
溶接チップ交換システム1508は、第2のクランプ1512を回転軸1518に沿って移動させる持ち上げシステムを備える。図示した例では、持ち上げシステムは、シリンダ1534を備える空気圧浮動システムである。システムは、システムの部品の各種動作を制御および調整する制御デバイスを備えていてもよく、制御デバイスは、シリンダ1534内の空気圧もしくは空気量の制御、および/またはシリンダ1534の位置の制御を行うように構成されていてもよい。シリンダ1534は、放出/充填マニホールド(たとえば、図27参照)によって操作されてもよい。持ち上げシステムは、シリンダの動きを制御する動き検出手段を備えていてもよい。たとえば、動き検出手段はポテンショメータを含んでいてもよい。たとえば、ロータリエンコーダ、ロータリポテンショメータ、ラックとピニオン、近接センサなど、他の実装形態が容易に利用できることは当業者には明らかであろう。
溶接チップ交換システム1508は、垂直のレール1524に沿って移動するキャリッジ(たとえば、図31の1522参照)を備える。図示した例では、キャリッジは、第2のクランプ1512、水平の回転空気圧モータ1526およびはすば歯車1528、1530を固定し、移動させる。キャリッジは、位置合わせ継手またはシリンダ1534の浮動コネクタ1532に取り付けられており、シリンダ1534が空気入口1538を介して空気圧で駆動されたとき、垂直に移動する。作動させられると、キャリッジを支えるシリンダ1534は、第2のクランプ1512、水平の回転空気圧モータ1526およびはすば歯車1528、1530とともに、垂直方向に移動する。
好ましくは、レール1524は、堅い構造体、たとえば、溶接チップ交換装置1500の枠状部材に搭載されている。レール1524は、第2のクランプ1512、回転空気圧モータ1526およびはすば歯車1528、1530が、シリンダ1534を介して駆動されたときに垂直方向に移動するように、方向案内を提供する。
ねじ山を切ったチップの場合、溶接チップ交換システム1508は、垂直方向の動きに自由度を与え、これは、溶接チップ106のねじ山ピッチと保持ヘッド110の間のわずかなずれの可能性を相殺する。そのような自由度はまた、第2のクランプ1512の回転速度および持ち上げ速度に対応するための緩衝をもたらす。当業者には明らかなように、ねじ山は、処理の開始時には位置合わせされていない可能性があり得る。
図18は例示的なチップ供給アセンブリ1800を示す。チップ供給アセンブリ1800は、新規または交換溶接チップを格納する溶接チップ収納部1506を備え、チップ供給部1802は、新たな溶接チップ106’を溶接チップ収納部1506からチップホルダ(図示せず)に送達し、チップ把持部1804は、新たな溶接チップ106’を保持し、把持手段、たとえば、第2のクランプ1512に移送する。チップ把持部1804は、溶接チップ収納部1506と第2のクランプ1512の間の空気圧ロッドレスシリンダ1509によって移動させることができる。溶接チップ収納部1506は、複数の新たなチップを立てて保持する。新たな溶接チップ106’は1回につき1つチップ把持部1804に供給され、チップ把持部1804は、その新たな溶接チップ106’を溶接チップ交換システム1508に送る。
図19aは、ノズル取り外しシステム300の持ち上げシステムおよび溶接チップ交換システム1508の持ち上げシステムで使用されるシリンダ232、1534の一例を示す透視図である。図19bは、放出/充填マニホールド236、1536の一例を示す透視図である。シリンダ232、1534は、放出/充填マニホールド236、1536とともに使用することができる。放出/充填マニホールド236、1536は、シリンダ232、1534の上部チャンバと空気圧連通した2つの弁1902D、1902Fと、シリンダ232、1534の下部チャンバと空気圧連通した2つの弁1904D、1904Fを備え、2つの上部/下部弁1902D、1904Dのうちの一方が放出弁であり、2つの上部/下部弁1902F、1904Fのうちの他方が充填弁である。主送気管1906は、上部充填弁1902Fおよび下部充填弁1904Fの両方に送気する。上部放出弁1902Dは上部排気口(図示せず)に連結され、下部放出弁1904Dは下部排気口(図示せず)に連結されている。空気圧制御管1908は上部放出弁1902Dおよび上部充填弁1902Fの両方に連結され、空気圧制御管1910は下部放出弁1904Dおよび下部充填弁1904Fの両方に連結されている。シリンダ232、1534の空気入口234、1538のそれぞれについて、空気は両方の通り道を流れることができる。シリンダ232、1534のピストンが作動させられるとき、両充填弁1902F、1904Fが調節されて、それらの空気圧接続されたチャンバに空気を送り込み、両放出弁1902D、1904Dが調節されて、それらの空気圧接続されたチャンバから空気を放出する。
図示した例では、2つの別個の弁(すなわち、放出弁および充填弁)がシリンダ232、1534の上部チャンバおよび下部チャンバのそれぞれに割り当てられている。別の例では、シリンダの各チャンバを制御するために放出弁および充填弁として働く単一弁が設けられてもよい。さらに別の例では、シリンダ232、1534の入口および出口の流れを電子的または機械的に調整する圧力調整デバイスを使用してシリンダ232、1534の動作を調整してもよい。
この例では、シリンダは複動片ロッドシリンダである。ただし、シリンダ232、1534の構成は、図面に示したものには限定されない。シリンダ232、1534は単一チャンバシリンダであってもよい。シリンダ232、1534はロッドレスシリンダであってもよい。シリンダ232、1534は、デジタル弁および/またはアナログ弁で動作させてもよい。弁は比例弁および/またはサーボ弁であってもよい。弁はソレノイドを使用して制御されてもよい。弁は電子的または磁気的に動作させてもよい。弁は、閉ループ回路および/または開ループ回路によって制御されてもよい。
図20は、溶接トーチ102のノズル108を取り外し、洗浄する方法の一例を大まかに示すフローチャートである。動作の前に、ロボットの腕または他の手段はまず、溶接ワイヤの端部を溶接チップ106から切り取る溶接ワイヤカッタ260まで溶接トーチ102を移動させることができる。ステップ1902において、溶接トーチ102は、溶接トーチ102を適所に固定および位置合わせさせる第1のクランプ210の穴206の中まで下げられてもよい。それによって、溶接トーチ102は固定され、溶接トーチ102のノズル108は回転軸201と一直線になる。ステップ1904において、第2のクランプ212は、ノズル108を保持するために閉位置に遷移し、軸201を中心に回転してノズル108を溶接トーチ102から外すことができる。回転は、回転空気圧モータ214によってはすば歯車218を介して生じさせることができ、好ましくは、第2のクランプ212が閉位置に移動する前に開始する。それと同時またはそれに続いて、ステップ1906において、持ち上げシステムが作動させられ、ノズル108は回転軸201に沿って垂直に下げられて、溶接トーチ102から外れる。次に、ステップ1908において、たとえば、遠位端120からノズル108に入るブラシ、リーマ、高圧空気/流体/噴霧液、研削、研磨または他の洗浄手段412によって、ノズル108の内部が洗浄される。ノズル108は引き続き、軸201に沿って垂直方向に回転および/または移動させられてもよい。洗浄手段412は静止していても回転してもよい。洗浄手段412とノズル108の間の相対的な動きによって、ノズル108の内部表面に蓄積したスパッタが取り除かれる。このとき、空気入口404を介して空気圧が吸引モードに加えられてもよく、そこで、ノズル108から取り除かれたスパッタは、シャフトの内腔を介して下方に除去および吸引される。
ノズル108が溶接トーチ102から外された後、ロボットの腕、または他の手段は、溶接トーチ102を持ち上げて穴206の外に出し、溶接チップ106および/または保持ヘッド110の洗浄のために穴204の中に入れることができる。その前に、処理中に露出したワイヤを取り除くために、ワイヤは、2回目の切断を行ってもよい。あるいは、動作時間の節約のために、露出したワイヤは後退させてもよい。ロボットの腕は、チップ/保持ヘッド洗浄手段が回転する間、溶接トーチ102を上下に動かしてもよい。あるいは、チップ/保持ヘッド洗浄モジュールが、回転中に上下に動かされてもよい。溶接チップ106および/または保持ヘッド110が洗浄されると、取り外しおよび/または交換のために溶接チップ106を固定するのが容易になる。
ステップ1910に示されるように、ノズル108の取り外しまたは再度の取り付けのために垂直方向の動きに自由度が与えられている。
図21は、本発明の一実施形態による、溶接チップ106を取り外し、交換する方法の一例を大まかに示すフローチャートである。ノズル108が溶接トーチ102から取り外された後、ロボットの腕または他の手段は、溶接トーチ102を溶接チップ交換装置1500に移動させることができる。ステップ2002において、第1のクランプ1510は、溶接トーチの溶接チップ106が回転軸1518と一直線になるように溶接トーチ102を把持する。このとき、第2のクランプ1512は開位置にあってもよい。ステップ2004において、第2のクランプ1512は閉じて溶接チップ106に係合し、回転軸1518を中心に溶接チップ106を回転させる。第2のクランプ1512は、好ましくは第2のクランプが閉位置に移動する前に回転させることができる。それと同時またはそれに続いて、ステップ2006において、第2のクランプ1512は垂直に動かされて、溶接チップ106を溶接トーチ102から外すことができる。次に、第1のクランプ1510は開位置に移動して溶接トーチ102を放し、ロボットの腕または他の手段は、溶接チップ106が取り付けられていない溶接トーチを持ち上げることができる。このとき、ほぼ溶接チップ106の長さの量のワイヤが露出することがある。ワイヤのそのような部分は、ワイヤカッタ260によって3回目の切断が行われるか、または動作時間の節約のために後退させられてもよい。取り外された溶接チップ106は、任意の手段によって、溶接チップ交換装置1500から放出または除去される。
ステップ2008において、新規または交換溶接チップ106’が、溶接チップ収納部1506によってチップホルダ(図示せず)に分配される。チップ把持部1804は、ロッドレス空気圧シリンダを使用して実装することができる可動チップシャトル1509に搭載される。チップシャトル1509に取り付けられたチップ把持部1804は、溶接チップ収納部1506とチップホルダの間にあり得る。新たに分配される交換溶接チップ106’は、チップ把持部1804によって保持されて、回転軸1518の直線上の位置に運ぶことができる。チップシャトル1509は、チップホルダから、チップ把持部1804および交換溶接チップ106’を回転軸1518と位置合わせするために使用される。新たなチップをシャトルで送る手段は閉ループ方式で動作させることができる。たとえば、他の空気圧、液圧、磁気、機械または電気を用いたチップシャトル装置など、他の実装形態が容易に利用できることが当業者には明らかであろう。次に、溶接チップ交換システム1508は、上に移動させられて、新たな溶接チップ106’をつかむことができる。第2のクランプ1512が新たな溶接チップ106’をしっかりと保持すると、チップ把持部1804は開いてそれを放す。溶接チップ交換システム1508は、新たな溶接チップ106’とともに下に移動させられて、チップ把持部1804からそれを外すことができ、チップ把持部1804はチップ供給部1802に送り返される。溶接チップ106’を再度取り付ける際には、溶接トーチ102が再び溶接チップ交換装置1500の中まで下げられて、回転軸1518と一直線になった状態で第1のクランプ1510によって固定される。第2のクランプ1512は回転しながら上に移動して、新たな溶接チップ106’を溶接トーチ102に再設置する。交換動作は1回の操業で完了しなくてもよく、むしろ、第2のクランプ1512は、最適な取り付けのため、またねじ山の緩みを補償するために、時々停止させてもよい。上で説明したように、持ち上げシステムは垂直の動きを調整するように働き、それによって、垂直方向の動きに自由度を与えている。交換動作が完了すると、第2のクランプ1512および第1のクランプ1510は開き、新たな溶接チップが取り付けられた溶接トーチ102を支えるロボットの腕または他の手段は、持ち上げられて溶接チップ交換装置1500の外に出る。このとき、次の交換動作に備えて、新たな溶接チップがチップホルダ(図示せず)に提供されてもよい。
洗浄済みノズル108を元の配置に戻すために、ロボットの腕または他の手段は、溶接トーチ102を移動させてノズル取り外しシステム300に戻す。再び、溶接トーチ102は、第1のクランプ210によって、たとえば雁首形状部114が固定される。洗浄済みノズル108は、第2のクランプ212によって適所に固定される。ねじ山を切ったノズル108の場合、第2のクランプ212は、回転し、垂直に移動して洗浄済みノズル108を溶接トーチ102のカラー116に再設置するように作動させられ、これは上記の新たな溶接チップ106’のねじ込み動作と同様である。浮動システムによって垂直方向の動きに自由度が与えられている。場合により、処理中に多くの溶接スパッタが取れたときに備えて、吸引モードがオンにされてもよい。ノズル108が溶接トーチ102に再設置されると、第1および第2のクランプ210、212が開かれ、ロボットの腕または他の手段は、新たな溶接チップ106’および洗浄済みノズル108が配置された溶接トーチ102を持ち上げ、これは溶接動作の役割を再び担うことができる。
上で説明したように、溶接トーチ102の整備は、ノズル取り外しシステム300と、チップ/保持ヘッド洗浄モジュール400と、溶接チップ交換システム1508との間で溶接トーチを移動させることによって、1回の操業で完了させることができる。あるいは、各種モジュールがその個別の機能のために別々に使用されてもよい。
溶接トーチメンテナンス装置200はまた、診断および/またはプログラミングのためのユーザインターフェースを備えていてもよい。溶接トーチメンテナンス装置200用のユーザインターフェースは、単純なメンブレンスイッチ、タッチ画面HMI、より複雑なウェブサーバ、またはその他のインターフェースを含んでいてもよい。
図22は、溶接トーチメンテナンス装置200に対する単純なメンブレンスイッチインターフェース2200の一例を示す。単純なメンブレンスイッチインターフェース2200は、診断およびプログラミング用のインターフェースの単純なユーザポイントとして使用されるように設計されている。単純なメンブレンスイッチインターフェース2200は、いくつかの制御部を含み、溶接トーチメンテナンス装置200がロボットまたは他の手段とともに機能するように使用者がプログラムするためのフィードバックを提供することができる。図22に示されるように、単純なメンブレンスイッチインターフェース2200は、溶接トーチメンテナンス装置200を、たとえば、ノズル洗浄サイクルなどのサイクルをすぐに開始できる既知の状態にする「ホーム」ボタン2202を含んでいてもよい。「ホーム」ボタン2202に関連するLED指示灯は、溶接トーチメンテナンス装置200がホームポジションにあるときにそのことを使用者に示す。単純なメンブレンスイッチインターフェース2200はまた、溶接トーチメンテナンス装置200についての作動中の任意の警報を解除する「リセット」ボタン2204を含んでいてもよく、プログラムを、警報前の使用者が制御する状態にする。「ライト」ボタン2206がさらに設けられて、溶接トーチメンテナンス装置200の内部のLEDライトをオンにして使用者が装置の中をより明確に視認できるようにすることができる。「ライト」ボタン2206に関連するLED指示灯は、ライトがオンにされていることを示すフィードバックを使用者に提供する。
単純なメンブレンスイッチインターフェース2200はまた、「機能」領域2208を含んでいてもよく、これは図22に示されるように複数の制御を含む。「上部クランプ」ボタン2210は、使用者が第1のクランプ210を起動し、そのLED指示灯2211を介してセンサ状態/フィードバックを見られるようにすることができる。「回転クランプ」ボタン2212は、使用者が装置200内部の第2のクランプ212を起動し、そのLED指示灯2213を介してセンサ状態/フィードバックを見られるようにすることができる。これらの2つのボタンは、ノズル取り外しシステム300の中心軸201を溶接トーチ102のノズル108の中心軸に位置合わせする時点を決定するのに役立つことがある。「ワイヤ切断」ボタン2214および「回転ブラシ」ボタン2216は、使用者が溶接ワイヤカッタ260およびチップ/保持ヘッド洗浄手段400をそれぞれ制御すること、正しい動作を保証すること、ならびに/またはそれらのロボットのプログラミングポイントを確認することを可能にする。「モジュール上昇」ボタン2218および「モジュール下降」ボタン2220は、使用者がノズル取り外しシステム300をその対応する方向に送ることを可能にする。それらの対応するLED指示灯は、システム300がこれらの各位置に近づいているときにそのことを示す。
単純なメンブレンスイッチインターフェース2200は、ロボットまたは他の手段と通信している装置200の入力および出力の状態を使用者に指示するためのいくつかのLED指示灯を有する「通信」領域2222をさらに含んでいてもよい。「サイクル中」のLED指示灯2224は、サイクルが進行しているときに点灯している。他のLED指示灯は、ロボットまたは他の手段から溶接トーチメンテナンス装置200に入ってくる入力2226の状態、および溶接トーチメンテナンス装置200からロボットまたは他の手段に向かって出ていく出力2228の状態を示すことができる。これらのLED指示灯2226、2228は、個々のおよび/またはネットワーク化された任意の入力および出力の状態を示すことができる。単純なメンブレンスイッチインターフェース2200は、溶接トーチメンテナンス装置200の現在のインターネットプロトコル(IP)アドレスと、作動中の警報があればそれを示すLCD表示部を備えていてもよい。図22において、LCD表示部は、緑色のバックライト付きLCD表示部を覆う透明な枠であってもよい「通信」領域2222の下に空欄2230として示されている。作動中の警報がない場合、LCD表示部2230は、IPアドレスを常に表示していてもよい。作動中の警報がある場合、表示部2230は、異なる警報とIPアドレスとを切り替えてもよい。表示されるIPアドレスは、PLC/PACなどの自動制御装置との統合および/またはウェブサーバのユーザインターフェースを介したトラブルシューティングを容易にするために使用され得る。
単純なメンブレンスイッチインターフェース2200は、筐体202の内部に実装されたプリント回路基板(PCB)によって制御されてもよい。LCD表示部2230は、このPCBに搭載され、これによって制御されてもよく、また、筐体202の切り抜き部を通して視認できる。PCBはまた、溶接トーチメンテナンス装置200の主制御装置とも通信することができる。
単純なメンブレンスイッチインターフェース2200に加えて、ウェブサーバが各溶接トーチメンテナンス装置200に設けられて、単純なメンブレンスイッチ2200で利用できるものより多くのデータに使用者がアクセスできるようにしてもよい。ウェブサーバはまた、溶接トーチメンテナンス装置200の遠隔アクセスを可能にしてもよい。ウェブサーバは、産業用ネットワークの形成をさらに担当してもよい集積回路(IC)でホストとして機能してもよい。
ウェブサーバ上で利用可能にされ得るいくつかの情報および/またはページがある。主制御装置、および単純なメンブレンスイッチインターフェース2200の制御装置が動作させている現在のソフトウェアバージョンを明らかにする「情報」ボタンが設けられてもよい。一般的な問題に対する、簡潔でナビゲート可能なトラブルシューティングガイドを表示する「ヘルプ」ボタンが設けられていてもよい。
他の情報にはウェブサーバによって提供され得るものもあり、タブ管理によってナビゲート可能にしてもよい。そのような情報には以下が含まれ得る。
・現在進行中の任意のサイクルの現在の状態を表示する「概要」ページ。すべてのアナログセンサデータおよび警報カウントが記載された表が含まれていてもよい。
・溶接トーチメンテナンス装置200における出力のすべてを起動し、装置の入力のうちのすべてを表すLEDを起動するように使用者が制御できるようにする「診断」ページ。さらに、正しい動作であることを確認するために、装置におけるセンサのうち任意のものを無効にする選択肢が設けられていてもよい。処理の各ステップが適切に完了していることを確認するために、別の制御セットを設けて使用者がノズル洗浄サイクルを段階的に進められるようにしてもよい。使用者がサイクルを段階的に進める際に、完了したステップを使用者に示すための表が設けられてもよい。
・溶接トーチメンテナンス装置200の動作および構成パラメータの一部に使用者がアクセスできるようにする「オプション」ページ。
・使用者が、個々のおよび/もしくはネットワーク化された入力および出力の状態を閲覧し、溶接トーチメンテナンス装置200の初期のI/Oセットアップを無効にし、ロボットもしくは他の自動制御装置への出力送信をシミュレーションし、溶接トーチメンテナンス装置200がロボットもしくは他の自動制御装置からの入力にどのように応答するかをシミュレーションし、装置とロボットもしくは他の自動制御装置との間の通信制御を安全に検査し、ならびに/または使用者が警報をリセットし、主制御装置を再起動し、装置の制御装置をその初期設定に戻せるようにする「インターフェース」ページ。
溶接チップ交換装置1500は、診断および/またはプログラミングのためのユーザインターフェースを備えていてもよい。溶接チップ交換装置1500用のユーザインターフェースは、単純なメンブレンスイッチおよびより複雑なウェブサーバを含んでいてもよい。溶接チップ交換装置1500用のユーザインターフェースは、上記の溶接トーチメンテナンス装置200用のユーザインターフェースに類似していてもよいし、使用者の好みに基づいて異なった設計になっていてもよい。
図23は、溶接チップ交換装置1500用の単純なメンブレンスイッチインターフェース2300の一例を示す。スイッチインターフェース2300は、スイッチインターフェース2200のボタンと同様の複数のボタンを含み、それらは同様の動作に対応している。「チップを進める」ボタン2304が「機能」領域2302に設けられていてもよく、新たなチップ106’を溶接チップ収納部1506からチップホルダ(図示せず)に供給するために使用され、チップは次のサイクルで設置可能となる。ボタン2304の上の「チップ準備完了」のLED指示灯2306は、チップが現在チップホルダ(図示せず)に収まっているかどうかを示す。チップ把持部1804(ロッドレスシリンダ1509に取り付けられている)をチップホルダの位置に移動させる「チップシャトル」ボタン2308が設けられていてもよい。ボタン2308の上の「ホーム」LED指示灯2310は、チップ把持部1804がチップホルダの位置にあるときにそのことを示す。
単純なメンブレンスイッチインターフェース2300に加えて、ウェブサーバが各溶接チップ交換装置1500に設けられて、単純なメンブレンスイッチ2300で利用できるものより多くのデータに使用者がアクセスできるようにしてもよい。あらゆる意図および目的で、溶接トーチメンテナンス装置200のウェブサーバ機能について概略を述べた説明は、溶接チップ交換装置1500のウェブサーバに使用することができる。溶接チップ交換装置1500の中には異なるデバイスが存在し、いくつかの異なる構成パラメータが存在するが、溶接トーチメンテナンス装置200のウェブサーバ機能が溶接チップ交換装置1500に適用されるように構成され得ることは当業者には明らかであろう。
溶接トーチメンテナンス装置用のユーザインターフェースおよび溶接チップ交換装置用のユーザインターフェースは、ボタンおよび表示部の特定の配置を基準として説明されたが、使用者に所望される特徴に応じて、異なる配置が使用でき、複数の他のボタン、パネルおよび/または情報が、類似または他の診断およびプログラミングのためのユーザインターフェースに含まれ得ることは当業者には明らかであろう。
溶接ノズルおよび/または接触チップに対する力制御および/または位置制御のための浮動システムを詳細に説明する。ガスノズル108を溶接トーチ102に固定するためのいくつかの異なる方法が存在することがあり、ねじ留め(ねじ山)、押し込み式の摩擦による保持、バヨネットロック、またはその他の方法がノズル取り外しシステム300で使用され得る。それぞれの方法では、これらの部品間に加わる力の量および/または部品間の相対位置が、安全な連結および正しい機械動作を維持しながら部品の損傷を防止するように制御される。同様に、部品間の力の量および/または部品間の相対位置は、溶接チップ交換システム1508が、嵌合物体同士を接触させたときにねじ山の損傷を防止するように制御される。ねじ山の開始位置が損傷したねじ山は、斜め締めのリスクを大きく増加させる。さらに、ガスノズル108または接触チップ106のいずれかのねじ結合において、これらの部品のねじを締めるまたは緩めるとき、回転運動の速度に対する直線運動の速度が、ねじ山のリード長に合うように制御される。そうでない場合には、ねじ山は戻り止め機能を持ち得るが、ねじ山を切った物体間に過剰な力がかかるときはこれは望ましくない。ねじ山を切った物体間にかかる力の量の制御および/または物体間の位置の制御によって、この問題は解消される。本明細書に記載の浮動システムは、嵌合物体の直線運動と回転運動の間のなんらかの不一致を補償するか、または物体間に加わる力を開ループ方式もしくは閉ループ方式で低減/制御するように構成される。
ある例においては、浮動システムは、ノズル取り外しシステム300の持ち上げシステムに実装されて、ガスノズル108と溶接トーチ102の間にかかる力の量またはノズルが固定されている場合にそれらの間の相対位置を制御する。別の例では、浮動システムは、溶接チップ交換システム1508の持ち上げシステムに実装されて、接触チップと保持ヘッド110の間にかかる力の量または接触チップが固定されている場合にそれらの間の相対位置を制御する。
ある例においては、浮動システムは、複動片ロッドシリンダ3000をシリンダ232、1534として使用することによって実装され、図24に示されるように、シリンダは、上部チャンバ(または頂部チャンバ)3002、下部チャンバ(または底部チャンバ)3004、およびロッド3006を備える。ノズル取り外しシステム300、およびチップ取り外しシステム1508は、対応するキャリッジ226、1522を介して複動片ロッドシリンダ232、1534に結合されている。
たとえば、限定はしないが、空気圧手段および/または電子的手段などのさまざまな方法によって浮動システムが実現できることが当業者には理解されよう。浮動システムは、システムの部品/物体にかかる力を測定する1つ以上の手段からの入力に基づいて力制御を行うことができ、この手段は、たとえば、限定はしないが、圧力測定、ひずみ計、荷重計(たとえば、ひずみ計式の荷重計、圧電荷重計、液圧荷重計、空気圧荷重計)、ばね圧縮の測定、トルク測定、電動モータの出力トルクを表すそのようなモータの電流測定を含み得る。そうするために、浮動システムは電子的圧力調整器を使用してもよい。
複動片ロッドシリンダが受ける正味の力Fnetは、下記のように表すことができる。
Fnet=Fupwards-Fdownwards
式中、Fupwardsはシリンダに作用する上方向の力を表し、Fdownwardsはシリンダに作用する下方向の力を表す。
シリンダは固定寸法を有しているので、頂部チャンバおよび底部チャンバの両方の圧力を変化させることによって、正味の力もまた変化する。また、圧力センサを使用して両チャンバの圧力を測定することによって、シリンダにかかる正味の力を制御し、それによって正味の力を調整する閉ループ制御方式が実現できる。力の均衡が崩れると、直線軸に沿って移動するシリンダのピストン位置の運動が生じる。
シリンダの制御を実現する数多くの方法が存在する。ある例においては、後述するように、2つの圧力センサ、および4つのデジタル弁を備える空気圧シリンダシステムがシリンダを動作させるために使用される。デジタル電磁弁は2対で構成され、各対は、シリンダの頂部チャンバおよび底部チャンバのそれぞれに対する放出/充填システムとして働く。
図25は、3020として示した空気圧シリンダシステムの実装形態の一例を概略的に示す。充填弁3022および放出弁3026が上部チャンバ3002に割り当てられている。充填弁3024および放出弁3028が下部チャンバ3004に割り当てられている。上部チャンバ3002では、空気圧Y接続によって、外部の圧力センサ3030をチャンバに送気する空気圧系につなぎ、内部の圧力を測定できるようにしている。下部チャンバ3004では、空気圧Y接続によって、外部の圧力センサ3032をチャンバに送気する空気圧系につなぎ、内部の圧力を測定できるようにしている。
充填弁3022、3024が作動させられると、ある量の空気が対応するチャンバに流入できるようになり、そのチャンバ内にかかる圧力が上昇する。放出弁3026、3028が作動させられると、ある量の空気が対応するチャンバから流出できるようになり、そのチャンバ内に加わる圧力が低下する。最後に、すべての弁が作動状態でなく、普段は閉じて運用するために空気圧式の構成になっているとき、一定の圧力が維持できるように各チャンバ内のそのときの空気量が閉じ込められる。たとえばマイクロコントローラによって実現され得る制御装置は、これらの弁を作動させて、所望される正味の力を実現するために圧力を許容可能な圧力範囲内に調整する。いずれかのチャンバの圧力がある最小の閾値を下回った場合、充填弁を作動させて、そのチャンバ内の圧力を上昇させる。同様に、圧力がある最大の閾値を上回った場合、放出弁を作動させて、圧力が許容可能になるまで対応するチャンバ内の圧力を低下させる。
図26は、空気圧シリンダシステム3020の動作の一例を示す流れ図である。シリンダの各チャンバ3002、3024におけるチャンバ圧力が測定され(3040)、各測定圧力は、上限と下限の閾値をもつ許容圧力範囲と比較される(3042)。現在の圧力が上限閾値より高いと判定された場合(3044)、システムは放出弁を開き、充填弁を閉じる(3046)。現在の圧力が下限閾値よりも低いと判定された場合(3048)、システムは放出弁を閉じ、充填弁を開く(3050)。現在の圧力が下限閾値を上回り、上限閾値を下回る場合、システムは放出弁を閉じ、充填弁を閉じる(3052)。
図27は、マニホールドブロックに実装された放出/充填システムの一例を示し、これは空気圧シリンダシステム3020に使用されてもよい。放出/充填マニホールド3060は、シリンダ3002の上部チャンバと空気圧連通した2つの弁3062D、3062Fおよびシリンダ3004の下部チャンバと空気圧連通した2つの弁3064D、3064Fを備え、2つの上部/下部弁3062D、3064Dのうちの一方が放出弁であり、2つの上部/下部弁3062F、3064Fのうちの他方が充填弁である。主送気管(図27に示す)は、上部充填弁3062Fおよび下部充填弁3064Fの両方に送気する。上部放出弁3062Dは上部排気口(図示せず)に連結され、下部放出弁3064Dは下部排気口(図示せず)に連結されている。空気圧制御管3070は上部放出弁3062Dおよび上部充填弁3062Fの両方に連結され、空気圧制御管3072は下部放出弁3064Dおよび下部充填弁3064Fの両方に連結されている。空気圧制御管3074は上部チャンバの圧力センサに連結されている。空気圧制御管3076は下部チャンバの圧力センサに連結されている。
シリンダ3000(232、1534)の空気入口(234、1538)のそれぞれについて、空気は両方の通り道を流れることができる。シリンダ232、1534のピストンが作動させられるとき、両充填弁3062F、3064Fが調節されて、それらの空気圧接続されたチャンバに空気を送り込み、両放出弁3062D、3064Dが調節されて、それらの空気圧接続されたチャンバから空気を放出する。
図28は、放出/充填システムおよび空気圧シリンダシステム3020を備えたノズル取り外しシステム300の実装形態の一例を示す。シリンダ232は、上部チャンバ3002Aのための空気入口(234)および下部チャンバ3004Aのための空気入口(234)を有し、これらのチャンバは、チャンバ3000の上部チャンバ3002および下部チャンバ3004に対応する。この実装形態の浮動システムは、上部チャンバ圧力センサ3030Aおよび下部チャンバ圧力センサ3032Aを備え、これらは空気圧シリンダシステム3020の上部チャンバ圧力センサ3030および下部チャンバ圧力センサ3032に対応する。シリンダ232は、弁3072D、3072F、3074D、および3074Fを備える放出/充填システムを使用して動作させられ、これは弁3062D、3062F、3064D、および3064Fを備える放出/充填システム3060に対応する。
図29は、放出/充填システムおよび空気圧シリンダシステム3020を備える溶接チップ交換システム1508の実装形態の一例を示す。シリンダ1534は、上部チャンバ3002Bのための空気入口(1538)および下部チャンバ3004Bのための空気入口(1538)を有し、これらのチャンバは、チャンバ3000の上部チャンバ3002および下部チャンバ3004に対応する。この実装形態の浮動システムは、上部チャンバ圧力センサ3030Bおよび下部チャンバ圧力センサ3032Bを備え、これらは空気圧シリンダシステム3020の上部チャンバ圧力センサ3030および下部チャンバ圧力センサ3032に対応する。シリンダ1534は、弁3082D、3082F、3084D、および3084Fを備える放出/充填システムを使用して動作させられ、これは弁3062D、3062F、3064D、および3064Fを備える放出/充填システム3060に対応する。
回転モジュールが受ける力がシリンダによって加えられる力に等しいと仮定して、これらの2つのアセンブリは物理的に直接連結されている。図30は、ノズル取り外しシステム300において、取り付けプレートおよびねじを使用してどのようにしてモジュールをシリンダロッドに直接搭載するのかを示す。ノズル取り外しシステム300の中心モジュール3100は、穴3104を有する中心モジュール搭載プレート3102を使用してシリンダ232のシリンダ荷重を表す。シリンダロッドと中心モジュール搭載プレート3102はねじ3106によって物理的に連結されている。
図31は、溶接チップ交換システム1508において、取り付けプレートおよびねじを使用してどのようにしてモジュールをシリンダロッドに直接搭載するのかを示す。溶接チップ交換システム1508の中心モジュール3120は、貫通穴3124を有する中心モジュール搭載プレート3122を使用してシリンダ1534のシリンダロッドに結合されている。シリンダロッドと中心モジュール搭載プレート3122はねじ3126によって物理的に連結されている。
シリンダをある方法で制御することによって、弁に対するパルス幅変調(PWM)制御信号のデューティサイクルと、弁の脈動によるチャンバ内の圧力との間に関係を見いだすことができる。ある例においては、シリンダはPWM制御方式によって制御されてもよい。
上記の説明では、溶接トーチメンテナンスセンタを説明するためにノズル108を使用している。ただし、空気圧浮動システムはさまざまなタイプのノズルで使用することができる。たとえば、スリップオン式、押しばめ式、または摩擦保持式のノズルが使用可能であってもよい。こういったタイプのノズルの場合、ノズルを取り外すために回転運動は必要ないが、印加される摩擦力に打ち勝つために要する力の量を減少させることがある。ノズルの取り外しおよび/または交換に要する力は簡単に測定できる。この測定値が得られると、それがこの力制御システム、すなわちノズルの取り外し/交換の動作において所望される力の量に変換され得る。
バヨネットロック式のノズル固定の場合、回して引く一連の手順がノズルを取り外すときに実施されなければならない。この回す動きの中で係止ピン/トラックに損傷が生じないように直線方向または回転方向の力を制御するが、ピンがトラックを移動する間、それぞれの力は摩擦荷重に打ち勝つのに十分な量があることが重要である。
両機械に共通しているのは、ノズル取り外しシステム300におけるノズルとトーチの間、また溶接チップ交換システム1508における接触チップと、接触チップが固定される嵌合ねじ山(通常は保持ヘッド)との間のねじ込み連結部を締める/緩めるために実施される一連の手順である。これらの機械の取り外し/交換の一連の手順において、ねじ山を切った物体の緩み止めが望ましくない状態で機能しないように、ねじ山を切った物体間にかかる力を最小限にすることが重要である。これらの一連の手順において、最小限の量の力で回転モジュールを「浮動」させることによって、モジュールは、モジュールの回転運動により生じるねじ締め動作により、直線的に自由に移動する。斜め締めのリスクを最小限にするために、2つの物体が接触するときにかかる力を最小限にすることも重要である。
例示的な実装形態では、浮動システムは、シリンダを移動させることができる位置精度を保証するように構成されている。モジュールの直線位置の読み取り値がアナログ直線ポテンショメータで取得されてもよく、これはまた、シリンダのピストンがそのストロークに沿ったどの場所にあるのかも表す。モジュールが移動する力を変えることでモジュールが移動する加速度が変化するので、モジュールの位置が重要な地点の特に近くでモジュールの直線運動の速度を増加または減少させることが可能な、一部の簡単な速度制御を実施することができる。たとえば、ノズル取り外しシステム300では、ノズルをつかむときに位置制御が行われる。具体的には、ノズルがボトルネックスタイルの場合、ノズルは、しっかりと同心円状に固定され得るように、ノズルのテーパ端部より十分に高いところでつかまれる。溶接チップ交換システム1508では、位置制御は、使用済みの接触チップが廃棄され、新たなチップが回転モジュールによってつかまれることになった後で実施される。チップが分配される場所から、回転モジュールによってチップが拾われる場所まで新たなチップをシャトルで送る手段として機能する別のシリンダに空気圧的把持部が搭載される。チップは、チップの長さ、チップの物理的形状、および回転モジュールを駆動するシリンダの移動距離に適した正確な位置でつかまれる。新たなチップを拾うときにモジュールが高く上がりすぎた場合、チップシャトル把持部と衝突するか、または保持ヘッドの嵌合ねじ山に接触するだけの高さまで上がれないおそれがある。チップを拾うときにモジュールの移動が不十分だった場合、チップを正確につかめないか、または他の問題をまったく生じないかのいずれかであり得る。本明細書に記載のシステムは、上記の望ましくない状況を回避するように構成されている。上記の望ましくない状況を回避するために機械の急停止が実施されることもある。
本開示の任意の処理は、プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、または図1~31のシステムを動作させるためのプロセッサの部品に、コンピュータプログラムを実行させるか、または機能を提供させることによって実施され得る。この場合、コンピュータプログラム製品は、任意のタイプの一時的でない(non-transitory)コンピュータ可読媒体を使用してコンピュータまたは移動デバイスに提供することができる。コンピュータプログラム製品は、コンピュータまたはネットワークデバイスの一時的でないコンピュータ可読媒体に格納されてもよい。一時的でないコンピュータ可読媒体には、任意のタイプの有形の記憶媒体が含まれる。一時的でないコンピュータ可読媒体の例には、磁気記憶媒体(磁気テープ、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリなど)、光磁気記憶媒体(たとえば光磁気ディスク)、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、記録可能なコンパクトディスク(CD-R)、書き換え可能なコンパクトディスク(CD-R/W)、デジタル多用途ディスク(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク(BD)、および半導体メモリ(マスクROM、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能PROM、フラッシュROM、およびRAMなど)が含まれる。コンピュータプログラム製品は、任意のタイプの過渡的なコンピュータ可読媒体を使用してコンピュータまたはネットワークデバイスに提供されてもよい。本明細書で使用される用語「(タスクを実施する)ように構成された」は、本明細書に記載するように配置または設置されたときにタスクを実施できるようにプログラム可能であること、プログラムされていること、接続できること、有線またはその他の方法で構築されていることを含む。
1つ以上の実施形態を本開示において提示したが、開示されたシステムおよび方法は、本開示の範囲から逸脱することなく多くの他の特定の形で実現され得ることが理解されると思われる。本例は、限定ではなく例示として解釈されるべきであり、本明細書において述べた詳細に限定されることは意図されていない。たとえば、種々の要素または部品は、別のシステムにおいて組み合わせても一体化してもよいし、ある特徴は省略されても実装されなくてもよい。特許請求の範囲において規定される本発明の範囲から逸脱することなく、いくつもの変形および改変を行うことができる。