JP7249282B2 - 防水型電子ペン - Google Patents

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Description

この発明は、位置検出装置に対する位置指示器(スタイラス)として使用される防水型電子ペンに関する。
近年、スマートフォンなどと呼ばれる高機能携帯電話端末やタブレットPC(Personal Computer)などの電子機器においては、情報入力に電子ペンの利用が可能なものが増えてきている。図4は、電子ペン1の利用が可能な電子機器の一例を示している。この例の電子機器200は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの表示装置を備えると共に、当該表示装置の表示画面200Dに対応する位置検出センサを有する位置検出装置202を備えたものである。位置検出装置202には、電磁誘導方式や静電結合方式のものなど、種々のものが存在するが、ここで位置検出装置202は、例えば、電磁誘導方式のものであるものとして説明する。
電子ペン1は、非使用時には、電子機器200の筐体に設けられている収納凹穴201に収納されて電子機器200と共に持ち運ぶことができる。そして、必要に応じて電子ペン1を収納凹穴201から取り出して使用する。電子ペン1は、例えば樹脂からなる筒状の筐体(ケース)2の中空部内に複数個の部品が軸心方向に並べられて収納されている。電子ペン1のペン先側の先端からは芯体3の先端部32がペン先として突出し、ペン先側とは反対側の端部にはキャップ21が嵌合されて、搭載された部品を封入する。また、電子ペン1には、その筐体2の側面にサイドスイッチ用の押下操作子22が設けられている。
そして、電子機器200及び電子ペン1は、雨天時の屋外や海、川、湖沼、プールなどの水辺といった、水による影響を受けやすい環境下で使用されることも多くなってきている。このため、電子機器200と共に、電子ペン1についても防水対策の必要性が重要視されるようになってきている。電子ペン1についての防水対策については、例えば後に記す特許文献1~3に開示されているものがある。特許文献1には、コイルや回路基板などの重要部品の全体をシールドするという全体シーリングを行う技術が開示されている。特許文献2には、回路基板部分だけをシールドするという部分シーリングを行う技術が開示されている。特許文献3には、筐体内部のペン先側や回路基板接続部分に、防水用の弾性部材(キャップ部材やシーリング部材)を設けて、外部からの水等の侵入を防止する技術が開示されている。
国際公開2015/122280号 国際公開2017/149879号 特開2018-18149号公報
図4に示した電子ペン1の筐体2の中空部内には、図5に示すような種々の部品が搭載される。すなわち、芯体3、キャップ部材4、コイル部材5、コイル部材ホルダー6、押圧部材7、筆圧検出モジュール8、基板ホルダー9が、軸心方向に連結され、回路基板(プリント基板)10は、基板ホルダー9内に収納される。この例において、芯体3は、芯体本体部31とペン先となる先端部32とからなり、コイル部材5は、コイル51とフェライトコア52とからなり、また、筆圧検出モジュール8は、筆圧検出部81と筆圧伝達部材82からなる。
また、基板ホルダー9は、蓋を有しない箱型形状の基板収納部91と嵌合部92とを有する。基板収納部91の凹部91aの縦横の長さは、回路基板10の縦横の長さよりやや長くされており、凹部91aの深さは、回路基板10の厚さとほぼ等しくされている。これにより、凹部91a内に回路基板10の全体が収納される構成となっている。そして、基板収納部91のペン先側の端部(嵌合部92と基板収納部91との境界部分)には、リング状のシーリング部材93が設けられている。回路基板10は、例えば、接続端子を構成する導体パターン101、102、キャパシタ等の回路素子やサイドスイッチなどが設けられたものである。
図5に示した電子ペン1の内部構成は、上述した先行技術文献3に記載された発明が適用されたものであり、キャップ部材4とシーリング部材93とが防水用のシーリング部材として機能する。すなわち、キャップ部材4が、ペン先側からの水等の侵入を防止する。また、電子ペン1の後端部には、図4に示したようにキャップ21が筐体2に嵌合するように設けられるので、基本的に後端側からの水等の侵入は発生しない。しかし、仮にわずかでも後端側から水等が浸入することがあっても、シーリング部材93によって筆圧検出モジュール8側への水等の侵入を防止できる。
このため、図5を用いて説明したように、コイル部材5や筆圧検出モジュール8を隔離することができれば、回路基板10の電子回路部分を、ホットメルト接着剤等でシーリングすることにより強固な防水対策を施した電子ペンが実現できる。しかし、近年、電子ペンに要求される機能が増えてきており、複雑な電子回路を搭載するようになってきている。これに伴い、従来よりも多くの回路部品を搭載した回路基板を電子ペンにおいても用いるようになってきている。
従来よりも多くの回路部品が搭載された回路基板についても、ホットメルト接着剤でシーリングすることが考えられる。しかし、ホットメルト接着剤は、80度~100度の熱により溶けた状態の接着剤であるので、これを用いてシーリングすることは、一時的にではあっても回路部品に熱が伝わる。回路基板に搭載されている回路部品の中には、周囲からある程度の熱が加えられた場合には、再度の調整が必要になるものも存在する。このため、第1の課題として、多くの回路部品が搭載された回路基板についても、回路部品に対して熱による影響を受けることが無いようにして例えばホットメルト接着剤でシーリングすることにより適切に防水措置を施した電子ペンを実現したいとする要求がある。
また、例えばホットメルト接着剤などでシーリングするなどの防水措置を施した回路基板を基板ホルダー9の基板収納部91の凹部91aに搭載した場合に、回路基板と基板収納部91との間に空隙が生じる可能性がある。このように、搭載された回路基板と基板収納部91との間に空隙が生じている構成の電子ペンを、例えば誤って水中に落とした場合、水圧により当該隙間部分が圧縮され、電子ペン1が反るように変形する可能性がある。
この場合、回路基板に搭載された回路部品にストレスが加わり、回路部品の特性を変化させ、正常に動作しなくなる可能性がある。また、回路基板10及び基板ホルダー9が反るように変形することにより、回路基板10に搭載されているサイドスイッチ部分が筐体2側に移動し、このサイドスイッチが筐体2に設けられた押下操作子22によって押されたままの状態になるといったことも考えられる。このため、第2の課題として、水圧に対する耐性を十分に備えた電子ペンを実現したいとする要求がある。
以上のことに鑑み、この発明は、第1に高い防水機能を備え、第2に水圧に対する耐性をも備えることにより、回路部品の特性変化やサイドスイッチの誤動作を生じさせない信頼性の高い防水型電子ペンを提供することを目的とする。
上記第1の課題を解決するため、
上面が開口部となった凹部を有する箱型形状の基板収納部を有し、前記基板収納部の凹部に回路基板を収納する基板ホルダーを筐体内に搭載して構成され、位置指示信号を送信する防水型電子ペンであって、
前記回路基板の一方の面と他方の面に回路部品が配置され、前記他方の面には押スイッチとコンデンサが配置され、前記一方の面にはその他の回路部品が配置され、前記一方の面が前記凹部の底面に対向するように載置され、前記他方の面に熱硬化樹脂によるシーリングを施すことにより密閉する
ことを特徴とする防水型電子ペンを提供する。
この防水型電子ペンによれば、回路基板は、一方の面と他方の面とからなる2層基板(2面構造)を用い当該基板の一方の面は基板ホルダーの内側に向くように配置され、当該一方の面には熱により特性が変化してしまうような回路部品が搭載される。外側に向いた回路基板の他方の面には、比較的熱により特性が変化しにくい例えばサイドスイッチやチップコンデンサ等が配置され、例えば、ホットメルト接着剤でシーリングする。
これにより、ホットメルト接着剤が基板ホルダー内、すなわち、基板ホルダーの底面側と回路基板との間に水等が入り込むことを防止できる。従って、熱硬化樹脂でシーリングした回路部分に加えて、熱硬化樹脂でシーリングしていない回路部分についても防水とすることができる。しかも、熱硬化樹脂でシーリングした回路部分には、比較的熱により特性が変化しにくい回路部品が搭載されているので、熱により特性が変化してしまうような回路部品が熱硬化樹脂により影響を受けることもない。
上記第2の課題を解決するため、
上面が開口部となった凹部を有する箱型形状の基板収納部を有し、前記基板収納部の凹部に回路基板を収納する基板ホルダーを筐体内に搭載して構成され、位置指示信号を送信する防水型電子ペンであって、
前記基板収納部の前記凹部に収納された前記回路基板の一方の面と対向する前記基板収納部の凹部の底面には、前記回路基板の前記一方の面に設けられている回路部品に応じて、前記回路基板と前記基板収納部の前記凹部の前記底面との間の空間を埋める凸部が設けられることにより、凹凸が形成されており、
前記基板収納部の前記凹部に収納された前記回路基板の外側に露呈する他方の面側から前記基板収納部の前記凹部の前記開口部をシーリング部材により密閉する
ことを特徴とする防水型電子ペンを提供する。
この防水型電子ペンによれば、筐体内に搭載される基板ホルダーは、上面が開口部となった凹部を有する箱型形状の基板収納部を有している。基板収納部の凹部には、回路基板が収納される。基板収納部の凹部に収納された回路基板の一方の面と対向する凹部の底面には、回路基板の当該一方の面に設けられている回路部品に応じて凸部が設けられて、当該底面には凹凸が形成される。従って、回路基板と凹部の底面との間の空間が凸部により埋められる。また、基板収納部に収納された回路基板の外側に露呈する他方の面側から基板収納部の凹部の開口部をシーリング部材により密閉される。
これにより、回路基板に対する防水を確実に行うことができると共に、回路基板と基板収納部の凹部の底面との間の空間が凸部により埋められる。これにより、当該防水型電子ペンを水中に落とした場合にも、水が筐体内に侵入することを防止でき、また、水圧により回路基板と基板収納部の凹部の底面との間の空間が水圧により圧縮されて当該防水型電子ペンが反るように変形することも防止できる。
実施の形態の防水型電子ペンの基板ホルダー及び回路基板部分の分解斜視図である。 実施の形態の防水型電子ペンの基板ホルダー及び回路基板部分の断面図である。 実施の形態の防水型電子ペンの基板ホルダーの外側側面の構成について説明するための図である。 電子ペンにより情報の入力が行われる電子機器の例の外観を示す図である。 電子ペンの筐体内に搭載される部品について説明するための斜視図である。
以下、図を参照しながら、この発明による防水型電子ペンの実施の形態について説明する。以下に説明する実施の形態の防水型電子ペン1Aについて、図4、図5に示した部分と同様に構成される部分については、同じ参照符号を用い、図4、図5を参照しながら説明する。そして、この実施の形態の防水型電子ペン1Aについて、図5に示した構成とは異なる部分については、図1~図3を用いて詳細に説明する。
[外観及び基本的な内部構造]
この実施の形態の防水型電子ペン1Aは、例えば図4に示した場合と同様に、LDCなどの表示装置と、この表示装置の表示画面200Dに対応する位置検出センサを有する位置検出装置202とが搭載された携帯型の電子機器200の位置指示器として機能する。この実施の形態の防水型電子ペン1Aの外観は、図4に示した電子ペン1と同様に、ペン型のものであり、一方の端部が先細となった筒状の筐体2に種々の部品が搭載されて構成される。筐体2の先細となった先端からは芯体3の先端部32が突出してペン先を構成する。また、筐体2の側面にはサイドスイッチ用の押下操作子22が設けられている。更に、ペン先とは反対側の端部は、キャップ21が筐体2に取り付けられて、内部に搭載された部品が筐体2内に封入される。
この実施の形態の防水型電子ペン1Aにおいても、その筐体2の中空部内には、例えば図5に示した電子ペン1と同様に、種々の部品が搭載される。すなわち、防水型電子ペン1Aの筐体2の中空部内にも、芯体3、キャップ部材4、コイル部材5、コイル部材ホルダー6、押圧部材7、筆圧検出モジュール8、基板ホルダー9が、軸心方向に直列に連結するようにされて搭載される。また、回路基板10は、基板ホルダー9内に収納されて筐体2に搭載される。
なお、この実施の形態の防水型電子ペン1Aの場合には、図5に示した基板ホルダー9に替えて基板ホルダー9Aを備え、回路基板10に替えて回路基板10Aを備えるものとなる。更に、この実施の形態の防水型電子ペン1Aにおいては、強固な防水機能を実現するためにシーリング部材11も設けている。以下に、この実施の形態の防水型電子ペン1Aにおいて、特徴のある基板ホルダー9A、回路基板10A、シーリング部材11に関する構成について詳細に説明する。
[基板ホルダー9A、回路基板10A、シーリング部材11の構成]
図1は、この実施の形態の防水型電子ペン1Aの基板ホルダー9A及び回路基板10A部分の分解斜視図である。この実施の形態の防水型電子ペン1Aの場合には、図5に示した筆圧検出モジュール8の後段には、図1(A)に示す基板ホルダー9A内に、図1(B)に示す回路基板10Aが収納され、その上に図1(C)に示すシーリング部材11が配置されて一体となる電子回路部が構成される。基板ホルダー9Aは、蓋を有しない凹部91aAを有する箱型形状の基板収納部91Aと、筆圧検出モジュール8が嵌合されるペン先側に設けられた嵌合部92Aとを有する。基板収納部91Aのペン先側の端部(嵌合部92Aと基板収納部91Aとの境界部分)には、リング状のシーリング部材93Aが設けられている。
基板収納部91Aの凹部91aAの縦横の長さは、回路基板10Aの縦横の長さよりやや長くされており、凹部91aAの深さは、回路基板10の厚さ(各回路部品が搭載された状態の厚さ)とほぼ等しくされている。これにより、凹部91aA内に回路基板10Aの全体が収納される構成となっている。そして、図5に示したように、電子ペン1の基板ホルダー9において、基板収納部91Aの凹部91aの底面は、凹凸のない平面であった。これに対して、この実施の形態の基板ホルダー9Aにおいて、基板収納部91Aの凹部91aAの底面は、図1(A)に示すように、凹凸を有する形状になっている。これは、この実施の形態の防水型電子ペン1Aの回路基板10Aの構成に起因している。
回路基板10Aは、図1(B)に示したように、下側の面(一方の面)10aと上側の面(他方の面)10bとの両方の面に、回路部品が搭載されて構成された2面構造のもの(2層基板)である。上側の面(他方の面)10bには、接続端子を構成する導体パターン101、102、キャパシタ103、105等の回路素子、サイドスイッチ104などが設けられている。そして、基板収納部91Aの凹部91aAに収納された場合に、凹部91aAの底面と対向する回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aには、制御IC(Integrated Circuit)106、バッテリ107、無線通信モジュール108などの主に新たな機能を実現するための種々の回路部品が設けられている。
このような2面構造の回路基板10Aを収納して安定に保持するため、基板収納部91Aの凹部91aAの奥側の内側側壁には、図1(B)に示すように、1mm程度内側に張り出し、長手方向に延伸された基板載置部91b、91cが設けられている。同様に、基板ホルダー9Aの凹部91aAの図1(B)の手前側の内側側壁にも、基板載置部91b、91cに対応して基板載置部91d、91eが設けられている。なお、基板載置部91d、91eは、手前側の内側側壁に設けられているため、図1(B)においては見えない状態になっている。更に、基板収納部91Aの凹部91aAのペン先側の内側端部には基板載置部91fが設けられ、後端側の内側端部には基板載置部91gが設けられている。
このように、図1(B)において、凹部91aAの内側側壁に設けられる基板載置部91b、91c、91d、91e、91f、91gには、回路基板10Aが、下側の面(一方の面)を凹部91aAの底面に向けて載置される。この場合、基板載置部91b、91c、91d、91e、91f、91gと、回路基板10Aの下側の面(一方の面)の側辺部分(外縁部分)とが係合する。そして、基板載置部91b、91c、91d、91e、91f、91gの高さは、これらに載置される回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aに設けられている一番高さのある回路部品が、凹部91aAの底面に接触することがない高さに統一されている。
従って、基板載置部91b、91c、91d、91e、91f、91gは、凹部91aA内に収納された回路基板10Aの深さ方向の位置を規制する。これにより、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aに設けられている一番高さのある回路部品についても、凹部91aAの底面に接触することがないようにされる。すなわち、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aに設けられている種々の回路部品が、凹部91aAの底面と接触することがないようにされるので、種々の回路部品にストレスが加わることがない。また、凹部91aA内に収納された回路基板10Aが、凹部91aAの深さ方向にがたつくこともない。
また、基板ホルダー9Aの凹部91aAの奥側の内側側壁には、図1(B)に示すように、半円柱状の突起91hが設けられている。同様に、基板ホルダー9Aの凹部91aAの図1(B)の手前側の内側側壁にも、突起91hに対応して、半円形状の突起91iが設けられている。なお、突起91iは、基板ホルダー9Aの凹部91aAの手前側の内側側壁に設けられているため、図1(B)においては見えない状態になっている。突起91h、91iは、回路基板10Aの切り欠き部109a、109bに嵌合し、回路基板10Aを凹部91aAの内部で長手方向に移動することがないようにその位置を規制する。このように、基板載置部91b、91c、91d、91e、91f、91g及び突起91h、91iによって、凹部91aA内において回路基板10Aを安定に保持できる。
そして、この実施の形態の防水型電子ペン1Aの場合には、基板ホルダー9Aが備える基板収納部91Aの凹部91aAに回路基板10Aが収納された状態で、凹部91aAの開口部がシーリング部材11により密閉される。シーリング部材11は、例えば、ホットメルト接着剤により形成される。すなわち、凹部91aAに収納された回路基板10Aの上側の面(他方の面)側からホットメルトモールディングを施す。ホットメルトモールディングは、熱可塑性ホットメルト接着剤(熱硬化樹脂)を金型内に低圧で注入する成形技術であり、低圧で注入することから、電子部品等にダメージを与えずにオーバーモールドすることができる技術である。
これにより、回路基板10Aの上側の面(他方の面)10bに設けられている回路部品に影響を与えることなく、上側の面10bに設けられている回路部品に対する防水を実現できる。更に、シーリング部材11により基板収納部91Aの凹部91aAの上側の大きき開いた開口部は埋められ、基板ホルダー9Aの基板収納部91Aを密閉することができるので、基板収納部91A内に水等が浸入することもない。従って、回路基板11Aの下側の面(一方の面)10aに設けられている種々の回路部品に対する防水も実現できる。
なお、回路基板10Aのサイドスイッチ104が搭載されている部分に対応するシーリング部材11のサイドスイッチ押圧部11aは、図1(C)に示したように、他の部分よりも厚みが薄くなるようにしている。これにより、サイドスイッチ104が押圧操作し難くなることがないようにしている。
そして、上述したように、基板収納部91の凹部91aAに回路基板10Aが収納された場合、基板載置部91b、91c、91d、91e、91f、91gにより、回路基板10Aは、凹部91aAの深さ方向の位置が規制される。これにより、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aに設けられている一番高さのある回路部品についても、凹部91aAの底面に接触することがない。しかし、この構成は、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aの回路部品が搭載されていない部分や高さがどれほど高くない回路部品が搭載されている部分と、凹部91aAの底面との間には、比較的に大きな空隙を生じさせてしまう。
また、上述したように、基板収納部91Aの凹部91aAの開口部はシーリング部材11により密閉されている。このため、防水型電子ペン1Aを例えばプールなどの水中に落とした場合、防水型電子ペン1Aには水圧がかかり、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aと凹部91aAの底面との間に生じる空隙(空気層)は、水圧により圧縮される。この場合、防水型電子ペン1Aは、空隙の内側(シーリング部材11側)に、若干、弓なりに反るように変形してしまう可能性がある。回路基板10Aが反るように変形すると、回路基板10Aに搭載された回路部分にストレスがかかり、特性が変化して正常に動作しなくなる可能性がある。また、回路基板10Aに設けられたサイドスイッチ104が、筐体2に設けられた押下操作子22に押し付けられて、押したままの状態になったりすることが考えられる。
そこで、防水型電子ペン1Aの回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aの回路部品が搭載されていない部分や高さがどれほど高くない回路部品が搭載されている部分に対向する凹部91aAの底面の部分には、凸部91x、91y、91zを設けている。これにより、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aと凹部91aAの底面との間に生じる空隙(空気層)をできるだけ減らし、防水機能だけでなく、水圧に対する耐性機能をも備えるようにしている。
図2は、この実施の形態の防水型電子ペン1Aが備える基板ホルダー9A及び回路基板10A部分の構成を説明するための断面図である。図2に示しように、下側から基板ホルダー9A、回路基板10A、シーリング部材11の3つの部分が積層されて、全体として1つの電子回路部が形成されている。上述もしたように、基板ホルダー9Aの基板収納部91Aの凹部91aAに収納される回路基板10Aは、基板載置部91b,91c、91d、91e、91f、91gに載置されて、凹部91aAの深さ方向の位置が規制される。
そして、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aの回路部品が搭載されていない部分や高さがどれほど高くない回路部品が搭載されている部分に対向する凹部91aAの底面の部分には、凸部91x、91y、91zを設けている。これにより、回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aと凹部91aAとの間に生じる空隙(空気層)を大幅に減らすことができる。そして、この実施の形態の防水型電子ペン1Aが、プールなどに落とされて、水圧のかかる状況下に置かれたとしても、水圧により変形する部分をなくすことができるので、防水機能に加えて、水圧に対する耐性をも十分に備えることができる。
なお、この実施の形態の防水型電子ペン1Aにおいては、基板収納部91Aのペン先側に設けられている基板載置部91fと、後端側の基板載置部91gは、凹部91aAの内側に張り出すことにより、凹部91aA内の空隙を減らすように作用している。また、図2からも分かるように、シーリング部材11は、サイドスイッチ104部分において、その厚みが薄くなるように構成されているので、サイドスイッチ104が押圧操作し難くなることもない。
[基板ホルダー9Aの側面の構成]
図3は、この実施の形態の防水型電子ペン1Aの基板ホルダーの側面の構成について説明するための図である。図2に示したように、基板収納部91の凹部91aAの底面に、凸部91x、91y、91zを設けることにより、防水型電子ペン1Aが大きく反るような変形を生じさせることがないようにできる。しかし、凹部91aAの底面に、凸部91x、91y、91zを設けた場合であっても、回路基板10Aの下側の面(一方の面)と凹部91aAの底面との間の空隙を完全に無くすことはできない。この場合、防水型電子ペン1Aを水中に落とすなどした場合に、水圧の影響を受けて、回路基板10Aに搭載された回路部品に影響を及ぼすほどではないが、僅かに弓なりに反るような変形が生じることが懸念される。
そこで、このような僅かな変形により、サイドスイッチ104が誤操作されることを防止するため、基板ホルダー9Aの基板収納部91Aの外側側面に、サイドスイッチ104の誤操作防止用に突起94a、94b、94c、94dを設ける。図3において、図3(A)は、基板ホルダー9Aの外観図であり、図3(B)は、図3(A)に示した位置AA´で示した位置で切断した場合の断面図を示している。
図1(A)にも示し、また、図3(A)にも示すように、基板ホルダー9Aの基板収納部91Aの凹部91aAに回路基板10Aが収納された場合を想定する。この場合に、回路基板10Aに搭載されたサイドスイッチ104を、長手方向において挟み込むように、基板ホルダー9Aの外側側面に突起94aと突起94bを設け、同様に、反対側の外側側面にも突起94cと突起94dを設ける。これにより、長手方向と交差する方向には、回路基板10Aに搭載されたサイドスイッチ104を、突起94aと突起94cで挟むと共に、突起94bと突起94dとではさむことができる。
すなわち、図3(A)を見ると分かるように、基板収納部91Aの凹部91aAに収納された回路基板10Aのサイドスイッチ104は、突起94a、94b、94c、94dを頂点とする四角形の内側に位置するようにされる。突起94a、94b、94c、94dのそれぞれは、図3(C)に示したように、基板ホルダー9Aの外側側面の上端側に設けられる。そして、図2を用いて説明したように、基板ホルダー9Aと回路基板10Aとシーリング部材11とからなる電子回路部が、サイドスイッチ104を押し上げるように弓なりに若干反るような変形を生じさせたとする。
この場合、基板収納部91Aの外側側面に設けられた突起94a、94b、94c、94dと筐体2の内側の面とが接触し、サイドスイッチ104が所定以上に筐体2側に押し出されるのを強制的に防止する。これにより、防水型電子ペン1Aが水圧の影響により僅かに反るように変形した場合であっても、サイドスイッチ104の誤操作を確実に防止できる。
[コイル部材及び筆圧検出モジュール部分の防水]
この実施の形態の防水型電子ペン1Aでは、ペン先側のコイル部材5及び筆圧検出モジュール8が搭載される部分についても防水機能を持たせている。具体的には、図5を用いて説明した場合と同様に、ペン先側にはキャップ部材4を設ける。このキャップ部材4は、コイル部材5のペン先側に密着するように装着される。そして、このキャップ部材4が装着されたコイル部材5が、筐体2内に搭載され、ペン先側の所定の位置に位置するようにされると、キャップ部材4の外縁部は筐体2の内壁面と密着する。これにより、筐体2のペン先側の先細となった先端部に設けられている開口部(芯体3の先端部32が突出する開口部)から侵入しようとする水分は、筐体2内のペン先部分に設けられるキャップ部材4によって侵入することがないようにできる。
また、図5を用いて説明した場合と同様に、この実施の形態の防水型電子ペン1Aの場合には、図1(A)及び図2に示したように、基板ホルダー9Aのペン先側にリング状のシーリング部材93Aを設けている。このシーリング部材93Aは、基板ホルダー9Aの先端側の周囲に密着していると共に、基板ホルダー9Aが筐体2内に位置するようにされると、筐体2の内壁とも隙間なく密着する。これにより、筐体2の後端側において、キャップ21により閉じられている開口部部分から水分が入り込んでも、シーリング部材93Aによって、筆圧検出モジュール8やコイル部材5が存在するペン先側には至らないようにされる。
このように、コイル部材5や筆圧検出モジュール8が存在するペン先側の空間に対する防水機能も確保される。そして、基板ホルダー9A、回路基板10A、シーリング部材11からなる電子回路部分も、上述したように強固な防水機能が確保されている。これにより、防水型電子ペン1Aは、全体として強固な防水機能を持つようにされている。
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態の防水型電子ペンにおいては、基板ホルダー9Aの凹部91aAの底面に、これと対向する回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aに設けられる回路部品等に応じて、凸部91x、91y、91zを設けている。これにより、基板ホルダー9Aの凹部91aAの底面と回路基板10Aの下側の面(一方の面)10aとの間に生じる空隙を少なくし、水圧に対する高い耐性を備えることができる。
また、基板ホルダー9Aの基板収納部91Aに回路基板10Aが収納された状態で、シーリング部材11が用いられて密閉されるので、回路基板10Aの下側の面(一方の面)及び上側の面(他方の面)の両方を外部からの水等から保護できる。すなわち、高防水機能を実現できる。
また、基板ホルダー9Aの外側側面であって、回路基板10Aのサイドスイッチ104の近傍に突起94a、94b、94c、94dを備えることにより、水圧の影響により僅かな弓なりの反りが生じても、サイドスイッチ104をご操作しないようにできる。
また、キャップ部材4及びシーリング部材93を備えることにより、コイル部材5及び筆圧検出モジュール8が搭載されているペン先側の部分についても、高い防水機能が実現される。
これらの機能を備えることにより、防水機能と水圧に対する耐性との両方を備えた信頼性の高い防水型電子ペンが実現できる。この防水型電子ペンは、水中での使用にも耐えることができるものであり、水中での使用が可能な位置検出装置が搭載された電子機器に対する位置指示器(スタイラス)として利用できる。
[変形例]
上述した実施の形態の防水型電子ペン1Aは、電磁誘導方式の電子ペンに適用した場合を例にして説明したが、これに限るものではない。この発明は、静電容量方式などの他の方式の電子ペンにも適用できる。例えば、静電容量方式の電子ペンの場合には、回路基板に形成される電子回路の構成やコイル部材を備えず回路基板からの位置指示信号を、導電性を有する芯体から送出する構成を有するが、その他の構成は、上述した電磁誘導方式の電子ペンと同様の構成になる。
また、上述した実施の形態では、シーリング部材11は、ホットメルト接着材を用いたいわゆるホットメルトモールでイングにより形成するものとして説明したが、これに限るものではない。例えば、樹脂により形成したシーリング部材11を、常温で機能する接着剤により接着するなど、十分な強度の防水機能を実現することが可能な種々の方法で、シーリング部材11を基板ホルダー9Aに収納された回路基板10Aの他の面10b上に設けることができる。
また、上述した実施の形態では、基板収納部91Aの凹部91aAの底面には、凸部91x、91y、91zを設けるようにしたが、これに限るものではない。凹部91aAの底面に対向する回路基板10Aの下側の面(一方の面)に搭載される回路部品や回路部品が搭載されない部分に応じて、種々の位置に高さや回路基板10Aに対向する面性の異なる1以上の突起を設けることができる。従って、基板ホルダー9Aに収納する回路基板が変われば、凹部91aAの底面に設ける突起の形状や数も異なることになる。
また、上述した実施の形態では、基板収納部91Aの凹部91aAの底面には、凸部91x、91y、91zを設けるようにしたが、凸部を全く設けなくてもよい。例えば、屋外で使用する場合の雨や厨房などの水気の多い場所で使用する場合の水気や湿気に対応できる防水能力があればよいのであれば、水圧に対する耐性は必要ない。この場合には、基板収納部91Aの凹部91aAに搭載した場合に凹部91aAと対向する回路基板10Aの面(一方の面)には熱により影響を受けやすい回路部品を搭載する。そして、凹部91aAに搭載した場合に外側に露呈する回路基板10Aの面(他方の面)にはサイドスイッチやコンデンサを搭載する。
そして、回路基板10Aの他方の面上を、例えば熱硬化樹脂を用いてシーリングすれば、基板収納部91Aの凹部91aAに凹凸がなく、平面であるために、回路基板10Aと凹部91aAの底面との間に空隙が存在していても、防水機能は十分に確保できる。従って、水圧に対する耐性を備えていなくても、高い防水性を備えた電子ペンを実現できる。
1A…防水型電子ペン、2…筐体(ケース)、21…キャップ、22…押下操作子、3…芯体、31…芯体本体部、32…先端部、4…キャップ部材、5…コイル部材、51…コイル、52…フェライトコア、6…コイル部材ホルダー、7…押圧部材、8…筆圧検出モジュール、81…筆圧検出部、82…筆圧伝達部材、9A…基板ホルダー、91A…基板収納部、91aA…凹部、91b、91c、91d、91e、91f、91g…基板載置部、91x、91y、91z…凸部、92A…嵌合部、93A…シーリング部材、10A…回路基板、10a…下側の面(一方の面)、10b…上側の面(他方の面)、101、102…接続端子、103、105…キャパシタ、104…サイドスイッチ、106…制御IC、107…バッテリ、108…無線通信モジュール、109a、109b…切り欠き部、11…シーリング部材、11a…サイドスイッチ押圧部、94a、94b、94c、94d…突起

Claims (8)

  1. 上面が開口部となった凹部を有する箱型形状の基板収納部を有し、前記基板収納部の凹部に回路基板を収納する基板ホルダーを筐体内に搭載して構成され、位置指示信号を送信する防水型電子ペンであって、
    前記回路基板の一方の面と他方の面に回路部品が配置され、前記他方の面には押スイッチとコンデンサが配置され、前記一方の面にはその他の回路部品が配置され、前記一方の面が前記凹部の底面に対向するように載置され、前記他方の面に熱硬化樹脂によるシーリングを施すことにより密閉する
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
  2. 上面が開口部となった凹部を有する箱型形状の基板収納部を有し、前記基板収納部の凹部に回路基板を収納する基板ホルダーを筐体の内部に搭載して構成される防水型電子ペンであって、
    前記基板収納部の前記凹部に収納された前記回路基板の一方の面と対向する前記基板収納部の凹部の底面には、前記回路基板の前記一方の面に設けられている回路部品に応じて、前記回路基板と前記基板収納部の前記凹部の前記底面との間の空間を埋める凸部が設けられることにより、凹凸が形成されており、
    前記基板収納部の前記凹部に収納された前記回路基板の外側に露呈する他方の面側から前記基板収納部の前記凹部の前記開口部をシーリング部材により密閉する
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
  3. 請求項2に記載の防水型電子ペンであって、
    前記回路基板の前記一方の面には、熱による影響を受ける可能性のある回路部品が設けられており、
    前記回路基板の前記他方の面は、ホットメルトモールディングされる
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
  4. 請求項3に記載の防水型電子ペンであって、
    前記回路基板の前記一方の面には、電源回路、無線通信ユニット、種々の集積回路の内の1以上が設けられる
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
  5. 請求項2に記載の防水型電子ペンであって、
    前記回路基板の前記他方の面には、少なくともサイドスイッチが設けられ、前記サイドスイッチが押圧可能なようにシーリングされる
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
  6. 請求項5に記載の防水型電子ペンであって、
    前記基板ホルダーの外側側面であって、前記基板収納部に収納された前記回路基板に設けられている前記サイドスイッチの近傍に、1つ以上の突起部を設けたことを特徴とする防水型電子ペン。
  7. 請求項2に記載の防水型電子ペンであって、
    芯体と、筆圧検出部と、前記基板ホルダーとが、直列に接続されて前記筐体内に収納するようにされており、
    前記筐体と前記芯体との間に設けられるキャップ部材と、
    前記基板ホルダーのペン先側の端部部分において、前記筐体と前記基板ホルダーとの間に設けられるリング状のシーリング部材と
    を備え、前記キャップ部材と前記シーリング部材とが前記筐体の内壁と密着することによって、少なくとも前記筆圧検出部を含むペン先側部分が密閉される
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
  8. 請求項7に記載の防止型電子ペンであって、
    前記芯体の周囲に設けられるフェライトコアと、
    前記フェライトコアの周囲に巻回されるコイルと
    を備え、
    前記コイルの両端は、前記回路基板に設けられているキャパシタに接続されて共振回路を構成している
    ことを特徴とする防水型電子ペン。
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