JP7249075B1 - コンクリート用材料の生成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アルミドロスを安全に無害化できず、かつアルミドロスを転用したコンクリート材料が硬化コンクリートの膨張割れや圧縮強度の低下を招く点を改善する。【解決手段】本発明は、アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを粉末状に粉砕する工程、二次アルミドロスの粒子を球形に研磨する工程、球形で粉末状の二次アルミドロスを収容する容器内の空気を窒素ガスに置換して脱酸する工程、脱酸する工程を所定時間継続して脱酸状態を維持しつつ水と球形で粉末状の二次アルミドロスとを反応させる工程、反応後の化合物を分別収集する工程、分別後の固液混合物について、水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返す工程を有する。【効果】セメントとの混錬性及び反応性に優れ、コンクリートの強度を向上させることができると共にコンクリートの硬化収縮分を相殺する程度の僅かな膨張性を発揮するのでひび割れを抑制する。【選択図】なし

Description

本発明は、アルミドロスから無害化されたコンクリート材料を生成するための方法に関する。
例えば特許文献1(特開平11-314950号公報)には、コンクリート材料のうちのいわゆる骨材を、それまではほとんど無価値で廃棄するにも環境問題上の問題があるとされていた無機質残滓物から得ることを目的として、次の提案がなされている。
すなわち特許文献1には、骨材を、金属アルミニウム分が30%以下の微粉状のアルミドロス、石炭火力発電所等から排出されるフライアッシュやクリンカーアッシュ等の石炭灰、ごみ焼却場等から排出される集塵灰や焼却灰等といった微粉状のごみ焼却灰、その他下水処理スラッジを焼却した際に排出される微粉状のごみ焼却灰、あるいは微粉状の鉱滓等、微粉状の無機質残滓物の何れか単独、あるいはそれらの混合物が、砂またはガラスカレット粉末をバインダーとして適宜粒度の造粒体に焼成、固化して得ることが示されている。
また、例えば特許文献2(特開2017-15430号公報)には、放射性セシウムの吸着性・保持力に優れ、かつ産業廃棄物の有効利用を図ることのできるコンクリート製品の材料を、石炭灰とアルミドロスをアルカリ溶液中で合成して得られた合成ゼオライトを、Ni,Co,Cu,Mn,Znの内いずれか1の金属イオンを含浸させ、若しくは、金属イオンのいずれか1でアルカリ溶液中のアルカリ金属イオンとイオン交換した後、フェロシアン化物イオンを含浸させ、内部に不溶性フェロシアン化物を沈殿させて得られた人工ゼオライトと、セメント材料と水を混合し、成型して得ることが示されている。
特許文献1,2に記載されるアルミドロスとは、アルミニウム生産工程で発生するアルミドロス(アルミ灰)と呼ばれる残滓のことであり、このアルミドロスは日本国内では年間数万トンほど発生し、現時点でリサイクルや処理ルートが確立されていない。アルミドロスは、未処理で放置すると環境上の問題が生じ、処理するとしても、例えば含有する窒化アルミと金属アルミニウムと水との反応が発熱反応であり、アンモニアや水素を発生するため悪臭や火災・爆発の原因になるといった問題がある。したがって、アルミドロスの無害化処理時や無害化処理後の気相又は固相の化合物の利用法や処置が確立されてないのである。
従来、未確立であったアルミドロスの処理方法が多数提案されており、大別すると乾式処理と湿式処理とがある。乾式処理はロータリーキルン等で残灰を1000℃以上の高温加熱する手法で、構成相を燃焼酸化により酸化物とすることが出来き、酸化物原料として十分利用可能であったが、エネルギー消費量が大きくコストがかさむといった課題がある。一方、本願において採用している湿式処理はアルミドロスを水に浸漬する手法で、乾式処理法に比べコスト的に優れるがアンモニアの発生が伴うため、排出されるアンモニアの除去が課題となっていた。
アルミドロスの主な組成とその含有割合(質量分率)は、金属アルミニウム10~30%、アルミナ20~40%、ケイ素、マグネシウム、鉄の酸化物含有量は7~15%、カリウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウムの塩化物及び他の微量のフッ化物の合計が15~30%である。
アルミドロスは、リサイクルプロセスにおける金属アルミニウム又はアルミ合金を回収する回数とそれらの含有量に応じて、一次アルミドロスと、二次アルミドロスとに分けられている。
一次アルミドロスは、電解アルミナによる金属アルミニウムを生産するプロセスに生成する溶けないスラグである。一次アルミドロス中の金属アルミニウムの含有量は30~85%であり、さらに、フッ化塩、アルミナ、窒化アルミニウム等の物質が含まれる。
二次アルミドロスは、一次アルミドロスから金属アルミニウムまたはアルミ合金を回収するプロセスで生成する廃棄スラグである。二次アルミドロス中の金属アルミニウム含有量は5~20%であり、窒化アルミニウム、アルミナ、フッ塩及びシリカなど成分を含有する。
ちなみに、特許文献1,2のアルミドロスは金属アルミニウムの含有量が30%未満であることから、上記二次アルミドロスを意味し、特許文献1は乾式処理、特許文献2は湿式処理によって二次アルミドロスをコンクリート材料に転用することが示されている。
アルミドロスの処理の危険性とは、上記した二次アルミドロスが、湿式処理における水または湿気との反応によって、アンモニア(NH3)、メタン(CH4)、ホスフィン(PH3)、水素(H2)、硫化水素(H2S)などの有毒、有害、可燃性、悪臭ガスを生成すること、また、同時に、二次アルミドロスに様々な重金属が存在すること、である。
以下の特許文献3~5には、いずれも湿式処理によりアルミドロスを無害化する処理が提案されている。例えば、特許文献3(特開平4-173930号公報)には、アルミドロス中に含まれる金属アルミニウムを回収したもの10重量部に対し、80℃以上の温水100重量部を加え、この混合液の温度を80℃以上に保って3時間以上撹拌・混合させた後、静置して沈降させたスラリーを抜き出し、これを乾燥させることが示されている。
また、例えば特許文献4(特開平10-1726号公報)には、アルミドロスに対して、水をドロス/水の重量比率で3/1~1/3の割合で混合し、60~100℃で加熱撹拌した後、300~500℃で加熱することが示されている。
さらに、例えば特許文献5(特開平10-8154号公報)には、アルミドロスと水とを摩砕撹拌下に共存させてアルミドロス中の窒化アルミニウムを水と反応させることが示されている。
上記のとおり、二次アルミドロスを水と反応させると、水素を生成するが、ここで、水素の沸点は非常に低く、また、酸素濃度が5%以上、水素濃度が4%以上混ざった気体に点火すると爆発し、さらに、水素自体では温度が500℃よりも高くなると自然に発火し、爆発すると言われ、取り扱いが危険であるという問題がある。
また、二次アルミドロスをコンクリート材料に転用しようとしても、二次アルミドロスの窒化アルミニウム、金属アルミニウムなどは全量を反応させることができず、残りの未反応分の物質成分は、コンクリートのアルカリ性環境下でゆっくり反応し続け、アンモニア(NH3)、水素(H2)等のガスを生成し、打設した後の硬化コンクリートの膨張割れや圧縮強度の低下を引き起こす。この点はセメントとの混錬工程ではただちに生じず、例えば日本工業規格JIS A 5308:2019 の試験における出荷コンクリート試料の28日後の強度に生じたり、打設後で構造物が完成した後に生じたりすることがある。つまり、現行の湿式処理により処理した二次アルミドロスはコンクリートの材料にするには不向きであった。
特開平11-314950号公報 特開2017-15430号公報 特開平4-173930号公報 特開平10-1726号公報 特開平10-8154号公報
解決しようとする問題は、従来、アルミドロスを湿式処理により安全に無害化することができなかった点、かつ無害化処理後のアルミドロスを転用したコンクリート材料が打設した後の硬化コンクリートの膨張割れや圧縮強度の低下を引き起こす点、である。
上記課題を解決するため、本発明は、アルミドロスから無害化されたコンクリート材料を得るための方法であって、アルミドロスにおける金属アルミ又はアルミ合金を回収するための一次アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを粉末状に粉砕する工程、二次アルミドロスの粒子を球形に研磨する工程、球形で粉末状の二次アルミドロスを収容して水と反応させるための容器内の空気を窒素ガスに置換することで脱酸する工程、前記脱酸する工程を所定時間継続して脱酸状態を維持しつつ水と球形で粉末状の二次アルミドロスとを混合して反応させる工程、反応により生成された化合物を分別収集する工程、分別収集する工程により得た固液混合物について、水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返す工程、を有することとした。
本発明は、二次アルミドロスを粉砕し、研磨して、粒子を均一化することで、水を添加する際に生じる化学変化を均質なものとすることができ、また、処理効率が向上する。また、本発明は、研磨した粒子状の二次アルミドロスを収容した容器内を脱酸することで、水を添加して反応した場合の引火や爆発を防ぐことができる。さらに、本発明は、粉砕して研磨した二次アルミドロスと水との化学反応がその全量について確実となり、そして水との反応により生成された化合物を分別収集して、その固相物質について水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返すことで、無害化がされると共にコンクリートのアルカリ性環境下でガスを放出しないと共に膨張割れや強度を引き起こすことのない、コンクリート性状の向上に寄与する材料を得ることができる。
本発明は、アルミドロスから無害化されたコンクリート材料を生成するために、アルミドロスにおける金属アルミ又はアルミ合金を回収するための一次アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを粉末状に粉砕する工程、二次アルミドロスの粒子を球形に研磨する工程、球形で粉末状の二次アルミドロスを収容して水と反応させるための容器内の空気を窒素ガスに置換することで脱酸する工程、前記脱酸する工程を所定時間継続して脱酸状態を維持しつつ水と球形で粉末状の二次アルミドロスとを混合して反応させる工程、反応により生成された化合物を分別収集する工程、分別収集する工程により得た固液混合物について、水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返す工程を有するものである。
本発明は、例えば次のようにして二次アルミドロスを無害化処理する。
一次アルミドロスと分別された二次アルミドロスは、密閉された湿気防止容器に保管しておく。無害化処理に供される二次アルミドロスは、湿式処理前に粉砕工程を経る。粉砕工程では、塊状の二次アルミドロスを粉末状する。この粉砕工程を経ることで、後述の水との化学反応において、全量を漏れなく反応させることができる。
続いて、粉末状に粉砕された二次アルミドロスを研磨して形状を球形にする。この研磨工程を経ることで、粒子における反応のための表面積を均質かつ最大とすることができ、また、粒子径がほぼ均等で粉末状とされていることから二次アルミドロスの各成分が均質に拡散され、化学反応の精度の向上と、反応時間の短縮が図れ、よって処理効率の向上と化学反応に要するエネルギー消費を抑制できる。また、無害化後の固相取り出しにおいても性状の均質なものとでき、取り扱いが容易となる。
えば粉砕工程と研磨工程では、二次アルミドロス、粒径45μm以上(最大粒径でもおよそ50~60μm)の部分の含有量が5~30%、換言すると粒径45μm未満の部分は70~95%となるように粉砕、研磨が行われる。なお、粉砕工程と研磨工程は、例えばボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を採用して、粉砕工程と研磨工程を連続かつ並行して行うようにしてもよい。
粒径が45μm以上であると、上記した化学反応の時間短縮や処理効率の向上に支障をきたし、10μmより小さいと例えば移載時や作業時に意図せず、粉塵として空気中に混じってしまう(舞い上がってしまう)可能性がある。
さらに、粉砕工程において、補助研磨剤を添加してもよい。補助研磨剤の使用量は二次アルミドロスの質量に対して0.01~0.1%、好ましくは0.02~0.06%とすればよい。補助研磨剤は0.01%より少ないと粉砕工程後の研磨工程の処理効率が低下し、0.1%より多いと後の水との化学反応時に補助研磨剤が不要な反応を生じる可能性がある。
補助研磨剤は、例えば、トリエタノールアミン(10~50%)、トリイソプロパノールアミン(20~30%)、ジエタノールモノイソプロパノールアミン(20~30%)、ジエチレングリコール(10~50%)のいずれか又は複数と、水(10~50%)とからなるものを用いればよい。
研磨工程を経た二次アルミドロスは、反応釜に、先に水を投入した後、この水1とした場合の質量比で後述の所定割合で投入するが、本発明では、化学反応により反応釜において引火や爆発が生じることのないように脱酸工程を設けている。
脱酸工程は、反応釜の空気(酸素)を、窒素ガスを注入して置換することで行う。水素爆発は、酸素濃度が5%以上、水素濃度が4%以上混ざった状態で、温度が500℃よりも高くなるか、粉体粒子の互いの摩擦による静電気や粉塵爆発に誘引されて生じる可能性があるため、後の水を添加して反応が開始するまでに酸素濃度を5%未満としておく。このようにすることで、湿式処理の課題であった水素生成による爆発を防ぐことができる。
続いて、脱酸状態を維持しつつ反応釜に水を投入する。二次アルミドロスと水との質量比は、二次アルミドロス:水=1:2~1:10、好ましくは1:3~1:6とする。二次アルミドロス1に対して水が2より少ないと、固相と液体の練り混ぜは困難、すなわち二次アルミドロスに対して該二次アルミドロスを反応させるべき水が不足し、十分的混和できず、未反応の二次アルミドロスが生じる可能性がある。また、化学反応速度が低減し、処理終了までの時間が大幅に長期化する可能性もある。一方、二次アルミドロス1に対して水が10より多いと、水だけが多くなる結果、単位時間に処理する二次アルミドロスの量が少なくなり、処理効率が悪化すると共に水の消費が増えるだけで経済性が低下することとなる。
水は、清水であってもよいし、1サイクル前の反応後で固液分離された液相であってもよい。そして、攪拌しながら反応釜内に二次アルミドロスを上記割合で投入する。すべての二次アルミドロス投入後、脱酸処理を1~30分、好ましくは2~20分、最も好ましくは3~8分継続する。脱酸処理を1分より短い時間で継続した場合は、反応後に発生する様々な気相中の酸素濃度が高くなっている可能性があり、30分より長い時間で継続した場合は、収集すべき反応による生成化合物(気体)まで置換してしまう可能性がある。
そして、水と二次アルミドロスを混合して化学反応を生じさせ、その際に生成された化合物を分別収集する。この化学反応により生成された化合物は以下のように段階を経て、全て無害化できる。
本発明では、粉末状とされた二次アルミドロスにおいて異なる化学成分が均等に分散されているので反応の偏りや未反応成分の発生が抑制され、結果的に処理全体の時間を大幅に短縮できる。そして、本発明では、個々の成分の反応性及び反応速度、生成物も異なる化学成分が混合した二次アルミドロスについて、効率よくかつ確実に各成分を分別収集するために、以下の三段階の分別処理工程を設けている。
第1分別処理工程では、主に窒化アルミニウムを反応させる工程である。第1分別処理工程における条件は、第1分別処理用の反応釜に、二次アルミドロス:水の質量比を1:3~1:10で投入し、反応釜内圧を常圧とすると共に、反応釜内の温度を5~99℃とし、反応時間を2~5時間とする。
第1分別処理工程は水と二次アルミドロスとの混合直後から、加熱や触媒などを要せずに、激しくかつ短時間で反応し、大量な熱と共に、ガスが発生する。このときの熱は回収して、後の第2、第3分別処理工程で使用する。一方、第1分別処理工程で発生するガスは、回収し、その後の第2分別処理工程及び第3分別処理工程で発生するガスと混合すべく回収し、一旦貯留する。
第2分別処理工程は、主に金属アルミニウムを反応させる工程である。第2分別処理工程における条件は、第2分別処理用の反応釜に、二次アルミドロス:水の質量比を1:2~1:10、好ましくは1:3~1:6で投入し、反応釜内圧を常圧とすると共に、反応釜内の温度を、第1分別処理工程で回収した熱を用いて50~99℃とし、反応時間を5~20時間とする。
第2分別処理工程では、吸熱反応で、反応時間は比較的長く、熱供給が必要となることから、適量な触媒を使用して、反応を促進させる。触媒としては、水酸化カルシウムを添加すればよく、その添加量は二次アルミドロスの質量に対して1~10%とし、好ましくは飽和水酸カルシウム溶液によってpHを12~13に調整する。
第2分別処理工程で発生するガスは、第1分別処理工程及び第3分別処理工程で発生するガスと混合すべく回収し、一旦貯留する。
第3分別処理工程は、二次アルミドロスに残存するガス発生成分(未反応成分)を反応によってできる限りすべて反応させ、気相と固液相とを分別する工程である。第3分別処理工程における条件は、第3分別処理用の反応釜に、二次アルミドロス:水の質量比を1:2~1:10、好ましくは1:3~1:6で投入し、反応釜内圧を常圧とすると共に、反応釜内の温度を、第3分別処理工程でも第1分別処理工程で回収した熱を用いて70~99℃とし、反応時間を10~30時間とする。
第3分別処理工程は第1、2分別処理工程よりも大きな反応釜を用い、第1、2分別処理工程より反応時間を大幅に延長し、第1、2分別処理工程より高温で処理すると共に、反応釜内に第2分別処理工程で用いた触媒とは別の触媒を添加する。触媒の添加量は、二次アルミドロスの質量に対して1~10%、好ましくは3~8%とする。
第3分別処理工程で発生するガスは、一旦貯留された後に、第1分別処理工程及び第2分別処理工程で発生するガスと混合し、ガス(気相)を取り出して固液混合物と分別する。この後、気相分は、必要な成分毎に分離して、安定化処理を行って再利用に供される。一方、固液混合物は、本発明においては、コンクリート用材料とすべくさらに洗浄工程を実施する。
以上のように、反応により生成された化合物を分別収集する工程を三段階に分けて行うことで、反応熱の放出と吸入を繰り返す熱については、具体的には第1段階の放熱を回収して、第2、3分別処理工程における反応に供給することで熱をコントロールしてエネルギーが節約できる。また,各段階の反応時間を反応速度に応じて調整し、全処理工程の効率を向上させることができると共に、反応の激しさ、条件、操作に応じて処理設備や機械などを最適化することもでき、よって全体としての処理時間の短縮と、反応処理の効率向上が可能となる。
本発明における洗浄工程は、上記の三段階の分別処理工程の後、気相を分離後の固液混合物について行われる。すなわち、洗浄工程は、第3分別処理工程の後の二次アルミドロスは、加圧濾過により、固液分離する。
続いて、固液分離後の固相を洗浄する。この洗浄目的は、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度を低減させることにある。洗浄方法は、固相中塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、固相に対する流水液相の質量比が1:2~1:10、好ましくは1:3~1:5となるように水を添加し、攪拌洗浄と固液分離を繰り返す。
本発明の洗浄処理工程を経た得た二次アルミロドスの固相分は、最終的に含水率が15~25%となるように固液分離を行って、この固相分が質量の40~60%となるように水で希釈して、コンクリート製造工場へ出荷する。
コンクリート製造工場では、上記本発明によって得られたコンクリート用材料を、他のコンクリート製造材料、セメント、骨材、スランプ調整用の混和剤、などに、全体量(質量割合)において1~20%、好ましくは5~15%、最も好ましくは8~12%で添加する。
本発明方法によって得られたコンクリート用材料は、主な化学成分がアルミナ(Al2O3)となり、セメントとの反応性が優れる。また、粉砕工程と研磨工程において粒径を小さくかつ形状が一定となるようにしているので、混錬性に優れ、コンクリートの強度を向上させることができる。さらに、少量(1%以下)の金属アルミニウムが残存してコンクリート中のアルカリと継続的に反応することによって、コンクリートの硬化収縮分を相殺する程度の僅かな膨張性を発揮するのでひび割れを抑制することができる。
また、本発明は、上記手順において、水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返す工程(洗浄工程という)には、該洗浄工程で用いた水を電気透析によって特定物質を分離させて、繰り返し洗浄工程に利用、又は該洗浄工程後に放出する処理を含むようにしてもよい。
洗浄工程において用いた水は、特定反応を生じさせたり、希釈などを行ったりした後であれば、他の工業用水と混合して使用しても問題はないが、電気透析によって特定物質を分離させることで、洗浄工程における又は処理全体における水の消費量を低減できると共に、そのまま放出しても安全である。
以下に、本発明の具体的な実施例を示す。
(実施例1)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕と研磨を連続的に行った。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.03%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(30%)、トリイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(20%)、水(30%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
(2)粉砕工程と研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が20.5%(このうち最大の粒径は60μm)の球状の粉末状とした。
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を6、つまり1:6の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、1回前の処理時の反応後に固液分離された液相を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから3分後に、脱酸工程を終了した。
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:6」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「30℃」、反応終了時温度「93℃」となるようにコントロールして「3時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:6」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.5」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±5℃」となるようにコントロールして「5時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:6」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が炭酸ナトリウム(10%)、水酸化ナトリウム(50%)、錫酸ナトリウム(0.03%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して5%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±5℃」となるようにコントロールして「12時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分を吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:4となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。
なお、前記洗浄工程に用いる水は、固液分離の後に、電気透析によって塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属などの成分を濃縮、分離した後、繰り返し利用し、洗浄工程の後、排水を行う。
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
さらに、上記の成分の濃度が規定の基準を下回るまで洗浄が完了した後に、最終的に含水率が18%となるように固液分離を行って、この固相分が質量の45%となるように水で希釈して、コンクリート製造工場へ出荷する。
コンクリート製造工場では、上記本発明によって得られたコンクリート用材料を、他のコンクリート製造材料、セメント、骨材、スランプ調整用の混和剤、などに、全体量(質量割合)において20%添加した。
本発明方法によって得られたコンクリート用材料を用いることで、コンクリートのアルカリ性環境下でガスを放出しないと共に膨張割れや強度を引き起こすことのない、コンクリート性状の向上に寄与する材料を得ることができた。また、洗浄工程で使用する水についても繰り返しの利用できるので、製造コストの低廉化を図ることができた。
(実施例2)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕と研磨を連続的に行った。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.04%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(20%)、トリイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(30%)、水(30%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
(2)粉砕工程と研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が18.3%(このうち最大の粒径は60μm)の球状の粉末状とした。
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を5、つまり1:5の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、水道水を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから4分後に、脱酸工程を終了した。
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:5」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「25℃」、反応終了時温度を「90℃」となるようにコントロールして「4時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:5」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.5」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時91±5℃」となるようにコントロールして「6時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:5」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が炭酸ナトリウム(8%)、水酸化ナトリウム(40%)、錫酸ナトリウム(0.02%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して6%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時91±5℃」となるようにコントロールして「14時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分を吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:5となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
さらに、上記の成分の濃度が規定の基準を下回るまで洗浄が完了した後に、最終的に含水率が21%となるように固液分離を行って、この固相分が質量の47%となるように水で希釈して、コンクリート製造工場へ出荷する。
コンクリート製造工場では、上記本発明によって得られたコンクリート用材料を、他のコンクリート製造材料、セメント、骨材、スランプ調整用の混和剤、などに、全体量(質量割合)において23%添加した。
本発明方法によって得られたコンクリート用材料を用いることで、コンクリートのアルカリ性環境下でガスを放出しないと共に膨張割れや強度を引き起こすことのない、コンクリート性状の向上に寄与する材料を得ることができた。また、洗浄工程で使用する水についても繰り返しの利用できるので、製造コストの低廉化を図ることができた。
(実施例3)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕と研磨を連続的に行った。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.05%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(10%)、エチレングリコールモノイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(30%)、水(40%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
(2)粉砕工程と研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が22.4%(このうち最大の粒径は55μm)の球状の粉末状とした。
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を6、つまり1:6の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、1回前の処理時の反応後に固液分離された液相を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから5分後に、脱酸工程を終了した。
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:7」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「28℃」、反応終了時温度を「92℃」となるようにコントロールして「3時間」反応させこの時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:7」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.7」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時92±4℃」となるようにコントロールして「6時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:7」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が炭酸ナトリウム(8%)、水酸化ナトリウム(40%)、錫酸ナトリウム(0.01%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して7%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時92±4℃」となるようにコントロールして「17時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分を吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:6となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
さらに、上記の成分の濃度が規定の基準を下回るまで洗浄が完了した後に、最終的に含水率が20%となるように固液分離を行って、この固相分が質量の50%となるように水で希釈して、コンクリート製造工場へ出荷する。
コンクリート製造工場では、上記本発明によって得られたコンクリート用材料を、他のコンクリート製造材料、セメント、骨材、スランプ調整用の混和剤、などに、全体量(質量割合)において18%添加した。
本発明方法によって得られたコンクリート用材料を用いることで、コンクリートのアルカリ性環境下でガスを放出しないと共に膨張割れや強度を引き起こすことのない、コンクリート性状の向上に寄与する材料を得ることができた。また、洗浄工程で使用する水についても繰り返しの利用できるので、製造コストの低廉化を図ることができた。
(実施例4)
(1)二次アルミドロスを、ボールミル及び粉末装置で構成される閉回路粉末粉砕設備を使用して粉砕と研磨を連続的に行った。このとき、二次アルミドロスの質量に対して0.04%の割合で補助研磨剤を添加した。補助研磨剤は、トリエタノールアミン(10%)、トリイソプロパノールアミン(20%)、ジエチレングリコール(40%)、水(30%)、の組成(質量分率)のものを用いた。
(2)粉砕工程と研磨工程を上記閉回路粉末粉砕設備において連続的に行って、不定形な塊状の二次アルミドロスを45μm以上の粒子が18.3%(このうち最大の粒径は65μm)の球状の粉末状とした。
(3)粉砕・研磨後の二次アルミドロスと水とを反応釜に、二次アルミドロスの質量1に対して水を8、つまり1:8の割合で投入した。このとき、反応釜に、まず、上記割合の反応釜内に水を投入する。水は、水道水を用いた。水を投入後に、窒素ガスにより脱酸を開始し、反応釜内を撹拌しながら二次アルミドロスを投入し、二次アルミドロスを投入完了してから3分後に、脱酸工程を終了した。
(4)脱酸時に反応釜から排出されるガス、反応後の二次アルミドロス(固相)について、回収および無害化処理を行った。
(4-1)第1分別処理工程では、脱酸後の二次アルミドロス(固相)を第一種反応釜に装入した。第一種反応釜における第1分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:8」、第一種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、釜内初期温度を「25℃」、反応終了時温度を「90℃」となるようにコントロールして「4時間」反応させ、この時に発生する熱は、第2、第3分別処理工程で使用すべく、回収しておく。一方、第一種反応釜から排出されたガスを回収し、第2第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-2)第2分別処理工程では、第1分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第二種反応釜に装入した。第二種反応釜における第2分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:8」、第二種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第2分別処理工程開始時に「水酸化カルシウム溶液」を反応釜内に添加し、液相のpH値を「12.6」に調整しつつ、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±3℃」となるようにコントロールして「7時間」反応させ、第二種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第3分別処理後に発生するガスと混合させるために、一旦貯留した。
(4-3)第3分別処理工程では、第2分別処理工程において反応後の二次アルミドロスを第三種反応釜に装入した。第三種反応釜における第3分別処理の条件は、二次アルミドロス:水の質量比を「1:8」、第三種反応釜内圧を「常圧」(無圧力)とし、第3分別処理工程開始時に、組成(質量分率)が過酸化水素(2%)、水酸化ナトリウム(20%)、錫酸ナトリウム(0.01%)の触媒を二次アルミドロスの質量に対して6%で反応釜内に添加し、釜内温度を第1分別処理工程で回収した熱を用いて「常時93±3℃」となるようにコントロールして「16時間」反応させ、第三種反応釜から排出されたガスを回収し、第1第2分別処理後に発生するガスと混合させた(以下、混合ガスという)。
(5)混合ガスを、多段吸収塔を使用して、複数の気相成分を吸収し、各々の成分別に分離して安定化した。一方、第3分別処理工程を経た後の二次アルミドロス(固液混合)は、圧力過濾装置によって固液分離した。
(6)固液分離後の固相を洗浄した。洗浄方法は、固液分離したうちの固相に対する液相の質量比が1:7となるように水を加え、固相中の塩化物イオン(Cl-)、カリウムイオン(K+)、ナトリウムイオン(Na+)、および重金属の濃度が規定の基準を下回るまで、攪拌し、固液分離を行うことを繰り返した。なお、この洗浄水は、十分に希釈した状態、あるいは処理した状態で所定の排水を行う。
以上の処理を行った結果、そのまま放置、廃棄するには有害な二次アルミドロスの全量から、安全に、無害な商用の気相成分に分離して取り出すことができると共に、また、同じく無害な他の材料に転用可能な固液混合物を分離して取り出すことができた。
さらに、上記の成分の濃度が規定の基準を下回るまで洗浄が完了した後に、最終的に含水率が20%となるように固液分離を行って、この固相分が質量の50%となるように水で希釈して、コンクリート製造工場へ出荷する。
コンクリート製造工場では、上記本発明によって得られたコンクリート用材料を、他のコンクリート製造材料、セメント、骨材、スランプ調整用の混和剤、などに、全体量(質量割合)において18%添加した。
本発明方法によって得られたコンクリート用材料を用いることで、コンクリートのアルカリ性環境下でガスを放出しないと共に膨張割れや強度を引き起こすことのない、コンクリート性状の向上に寄与する材料を得ることができた。また、洗浄工程で使用する水についても繰り返しの利用できるので、製造コストの低廉化を図ることができた。
さらに、上記の成分の濃度が規定の基準を下回るまで洗浄が完了した後に、最終的に含水率が19%となるように固液分離を行って、この固相分が質量の52%となるように水で希釈して、コンクリート製造工場へ出荷する。
コンクリート製造工場では、上記本発明によって得られたコンクリート用材料を、他のコンクリート製造材料、セメント、骨材、スランプ調整用の混和剤、などに、全体量(質量割合)において19%添加した。
本発明方法によって得られたコンクリート用材料を用いることで、コンクリートのアルカリ性環境下でガスを放出しないと共に膨張割れや強度を引き起こすことのない、コンクリート性状の向上に寄与する材料を得ることができた。また、洗浄工程で使用する水についても繰り返しの利用できるので、製造コストの低廉化を図ることができた。

Claims (2)

  1. アルミドロスから無害化されたコンクリート材料を生成するための方法であって、アルミドロスにおける金属アルミ又はアルミ合金を回収するための一次アルミドロスの残滓となる二次アルミドロスを粉末状に粉砕する工程、二次アルミドロスの粒子を球形に研磨する工程、球形で粉末状の二次アルミドロスを収容して水と反応させるための容器内の空気を窒素ガスに置換することで脱酸する工程、前記脱酸する工程を所定時間継続して脱酸状態を維持しつつ水と球形で粉末状の二次アルミドロスとを混合して反応させる工程、反応により生成された化合物を分別収集する工程、分別収集する工程により得た固液混合物について、水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返す工程、を有するコンクリート用材料の生成方法。
  2. 前記水による撹拌洗浄と固液分離を繰り返す工程には、該工程で用いた水を電気透析によって特定物質を分離させて、繰り返し該工程に利用、又は該工程後に放出する処理を含む請求項1記載のコンクリート用材料の生成方法。
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