<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態を、図1~図18(c)を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1及び図2を用いて説明する。
[画像形成装置]
図1において、画像形成装置100は、装置本体100aの上部に原稿読取装置103を有する。原稿101は、原稿台ガラス102の上に置かれる。そして、原稿101の画像情報に応じた光像を原稿読取装置103の複数のミラーMとレンズLnとにより、像担持体としての円筒状の感光体である感光ドラム104上に結像させることにより静電潜像を形成する。この静電潜像は乾式の現像器(一成分現像器)201により現像剤(乾式粉体)としてのトナー(一成分磁性トナー)を用いて可視化される。尚、本実施形態では、現像剤補給容器1(トナーカートリッジとも呼ぶ)から補給すべき現像剤として一成分磁性トナーを用いた例について説明するが、このような例だけではなく、後述するような構成としても構わない。
具体的には、一成分非磁性トナーを用いて現像を行う一成分現像器を用いる場合、現像剤として一成分非磁性トナーを補給することになる。また、磁性キャリアと非磁性トナーを混合した二成分現像剤を用いて現像を行う二成分現像器を用いる場合、現像剤として非磁性トナーを補給することになる。尚、この場合、現像剤として非磁性トナーと共に磁性キャリアも併せて補給する構成としても構わない。
図1に示す現像器201は、上述したように、原稿101の画像情報に基づいて感光ドラム104上に形成された静電潜像を、現像剤としてトナーを用いて現像するものである。また、現像器201には、現像剤補給システム200が接続されており、現像剤補給システム200は、現像剤補給容器1と、現像剤補給容器1が着脱可能な現像剤受入れ装置8とを有する。現像剤補給システム200については後述する。
現像器201は、現像剤ホッパ部201aの他に、現像ローラ201fが設けられている。この現像剤ホッパ部201aには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を撹拌するための撹拌部材201cが設けられている。そして、この撹拌部材201cにより撹拌された現像剤は、搬送部材201dにより搬送部材201e側へと送られる。そして、搬送部材201e、201bにより順に搬送されてきた現像剤は、現像ローラ201fに担持され、最終的に感光ドラム104との現像部へと供給される。本実施形態では、一成分現像剤を用いているため、現像剤補給容器1から現像剤としてのトナーを、現像器201へ補給する構成としているが、二成分現像剤を用いる場合、現像剤補給容器から現像剤としてのトナー及びキャリアを補給する構成としても構わない。
カセット105~108は、それぞれシートなどの記録材Sを収容する。画像形成時には、これらカセット105~108のうち、画像形成装置100の操作部100d(図2参照)から操作者(ユーザ)が入力した情報もしくは原稿101のサイズを基に最適な記録材Sを収容したカセットが選択される。ここで記録材Sとしては用紙に限定されずに、例えばOHPシート等適宜使用及び選択できる。そして、給送分離装置105A~108Aにより搬送された1枚の記録材Sを、搬送部109を経由してレジストレーションローラ110まで搬送し、感光ドラム104の回転と、原稿読取装置103のスキャンのタイミングを同期させて搬送する。
レジストレーションローラ110の記録材搬送方向下流側で、感光ドラム104と対向する位置には、転写帯電器111及び分離帯電器112が設けられている。レジストレーションローラ110により搬送された記録材Sは、転写帯電器111によって、感光ドラム104上に形成された現像剤による画像(トナー画像)が転写される。そして、トナー画像が転写された記録材Sは、分離帯電器112によって感光ドラム104から分離される。この後、搬送部113により搬送された記録材Sは、定着部114において熱と圧力が加えられ、記録材上にトナー像が定着される。その後、トナー像を定着した記録材Sは、片面コピーの場合には、排出反転部115を通過し、排出ローラ116により排出トレイ117へ排出される。
他方、両面コピーの場合には、記録材Sは、排出反転部115を通り、一度、排出ローラ116により一部が装置外へ排出される。そして、この後、記録材Sの終端が切換部材118を通過し、排出ローラ116にまだ挟持されているタイミングで切換部材118の位置を切り換えると共に排出ローラ116を逆回転させることにより、記録材Sは、再度、装置内へ搬送される。さらに、この後、記録材Sは、再給送搬送部119,120を経由してレジストレーションローラ110まで搬送された後、片面コピーの場合と同様の経路をたどって排出トレイ117へ排出される。
上記構成の画像形成装置100において、感光ドラム104の周りには現像器201、クリーナ部202、一次帯電器203等の画像形成プロセス機器が設置されている。尚、現像器201は、原稿読取装置103により読み取った原稿101の画像情報などに基づき感光ドラム104に形成された静電潜像に現像剤を付着させることにより、静電潜像を現像するものである。また、一次帯電器203は、感光ドラム104上に所望の静電潜像を形成するために感光ドラム表面を一様に帯電するためのものである。また、クリーナ部202は感光ドラム104に残留している現像剤を除去するためのものである。
図2に示すように、画像形成装置100の装置本体100aの外装カバーの一部である交換用カバー40を操作者が開けると、後述する現像剤受入れ装置8の一部が現れる。そして、この現像剤受入れ装置8に現像剤補給容器1を挿入することで、現像剤補給容器1は、現像剤受入れ装置8へ現像剤を補給可能な状態に装着される。他方、操作者が現像剤補給容器1を交換する際は、装着動作とは逆の動作を行って現像剤受入れ装置8から現像剤補給容器1を離脱した後に、新たな現像剤補給容器1を装着する。尚、交換用カバー40は、現像剤補給容器1を着脱(交換)するための専用カバーであって、現像剤補給容器1を着脱するためだけに開閉される。他方、画像形成装置100のメンテナンスは、前面カバー100cを開閉することにより行われる。ここで、交換用カバー40と前面カバー100cとは一体であってもよく、その場合、現像剤補給容器1の交換や、画像形成装置100のメンテナンスは一体化されたカバー(不図示)を開閉することにより行われる。
[現像剤受入れ装置]
次に、現像剤補給システム200を構成する現像剤受入れ装置8について、図3(a)~図4(c)を用いて説明する。現像剤受入れ装置8には、図3(a)に示すように、現像剤補給容器1が着脱自在に装着される装着部(装着スペース)8fが設けられている。装着部8fには、現像剤補給容器1を着脱方向に案内するための挿入ガイド8eが設けられている。本実施形態の場合、挿入ガイド8eによる現像剤補給容器1の装着方向Aに対し、現像剤補給容器1の離脱方向Bが逆方向となるように構成されている。
図3(a)~図4(a)に示すように、現像剤受入れ装置8は、現像剤補給容器1を駆動する駆動機構として機能する駆動ギヤ9を有している。この駆動ギヤ9は、駆動モータ500から駆動ギヤ列(不図示)を介して回転駆動力が伝達され、装着部8fに装着された状態にある現像剤補給容器1に対し回転駆動力を付与する機能を有している。駆動モータ500は、制御装置600によりその動作を制御される構成となっている。
制御装置600は、駆動モータ500の制御の他、画像形成装置100の全体の制御を行う。このような制御装置600は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
現像剤受入れ装置8の装着部8fには、現像剤補給容器1から排出された現像剤を受入れるための現像剤受入れ部11が設けられている。現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1の装着時に現像剤補給容器1の容器排出口3a4(図16(b)参照)と接続され、容器排出口3a4から排出される現像剤を受け入れる受入れ口11aを有する。現像剤受入れ部11は、受入れ口11aが容器排出口3a4に対して遠近動する方向に、本実施形態では現像剤補給容器1の装着方向Aに交差する方向(具体的には、現像剤受入れ装置8に対して鉛直方向)に移動可能(変位可能)に取り付けられている。本実施形態の場合、図3(b)に示すように、現像剤受入れ部11は、例えば、圧縮コイルばねからなる付勢部材(付勢部)12により受入れ口11aが容器排出口3a4から遠ざかる方向(鉛直方向下方、変位方向と逆方向)に付勢されている。それ故、現像剤受入れ部11は、受入れ口11aが容器排出口3a4に近づく方向(鉛直方向上方)へ移動する際に、付勢部材12による付勢力に抗して移動することとなる。尚、本明細書中では、現像剤補給容器1の装着動作に伴って現像剤受入れ部11が変位する方向は鉛直方向上方であり、この方向を上方向(変位方向)Uとし、その逆方向の鉛直方向下方を下方向Dとして表記する。
また、図4(a)に示すように、現像剤受入れ装置8の装着部8fには、現像剤受入れ部11よりも装着方向Aの上流側に第1シャッタストッパ部8a及び第2シャッタストッパ部8bが設けられている。第1、第2シャッタストッパ部8a、8bは、現像剤受入れ装置8に対し相対移動する着脱中の現像剤補給容器1において、後述するシャッタ4(図5(b)参照)のみに関し現像剤受入れ装置8に対する相対移動を規制する。この場合、シャッタ4は、後述する容器本体2などのシャッタ4以外の現像剤補給容器1の一部に対し相対移動することになる。
図3(b)及び図4(b)に示すように、現像剤受入れ装置8の下方向Dには、現像剤補給容器1から補給された現像剤を一時的に溜めておくサブホッパ8cが設けられている。このサブホッパ8c内には、現像器201の一部である現像剤ホッパ部201a(図1参照)へ現像剤を搬送するための搬送スクリュー14と、現像剤ホッパ部201aと連通した開口8dとが設けられている。
図4(c)に示すように、現像剤受入れ部11には、受入れ口11aを取り囲むように形成された本体シール(シール部材)13が配置されている。本体シール13は、弾性体、発泡体等で構成されている。本実施形態では、本体シール13に負荷が作用していないときの厚さは、3.0mmとしている(図15(a)参照)。図16(b)に示すように、本体シール13は、現像剤補給容器1が装着された状態で、現像剤補給容器1の容器排出口3a4を取り囲む開口シール3a5との間で後述するシャッタ4を挟んで密着する。これにより、現像剤補給容器1の容器排出口3a4からシャッタ4のシャッタ開口(排出口)4jを介して受入れ口11aへと排出される現像剤が、現像剤搬送経路である受入れ口11a外へ漏れないようにしている。即ち、本体シール13は、受入れ口11aの周囲に設けられると共に、受入れ口11a及びシャッタ開口4jの連通時に受入れ口11a及びシャッタ開口4jの間で弾性変形してシールする。
尚、受入れ口11aの直径は、装着部8f内が現像剤により汚れてしまうのを防止するために、シャッタ4のシャッタ開口4jの直径よりも略同径からやや大きくするのが望ましい。これは、シャッタ開口4jの直径よりも受入れ口11aの直径が小さい場合、シャッタ開口4jから排出された現像剤が本体シール13の上面に付着し易くなるためである。付着した現像剤は、現像剤補給容器1の着脱動作時に現像剤補給容器1の下面に付着することによって、現像剤による汚れの一因となる。この点に鑑み、受入れ口11aの直径は、シャッタ開口4jの直径に対して略同径~約2mm大きくすることが望ましい。例えば、シャッタ4のシャッタ開口4jの直径が約2mmの微細口(ピンホール)である場合、受入れ口11aの直径は約3mmに設定することが好ましい。
また、図4(c)に示すように、現像剤受入れ部11には、側面に中央側に向け突出した被係合部11bが設けられている。本実施形態の場合、この被係合部11bは、後述する現像剤補給容器1に設けられた係合部30(図7(a)参照)と直接係合し、ガイドされることで、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1へ向けて上方向Uへ持ち上げられる。
[現像剤補給容器]
次に、現像剤補給システム200を構成する現像剤補給容器1について、図5(a)~図12(b)を用いて説明する。まず、図5(a)及び図5(b)を用いて現像剤補給容器1の全体構成について説明する。現像剤補給容器1は、主に容器本体2、フランジ部3、シャッタ4、ポンプ部5、往復部材6、カバー7を有する。容器本体2は、現像剤受入れ装置8内で図5(a)に示す回転軸線Pを中心に矢印R方向へ回転することにより、現像剤を現像剤受入れ装置8へ補給する。以下に、現像剤補給容器1を構成する各要素について、詳細に説明する。尚、本実施の形態では、回転軸線Pの方向を回転軸線方向とし、装着方向A及び離脱方向Bと平行な着脱方向と同方向としている。
[容器本体]
容器本体2は、主に、図6に示すように内部に現像剤を収容する現像剤収容部2cを有する。また、容器本体2には、容器本体2が回転軸線Pに対して矢印R方向へ回転することによって現像剤収容部2c内の現像剤を搬送する螺旋状に形成された搬送溝2a(搬送部)が形成されている。即ち、現像剤収容部2cは、排出部300に対して相対回転可能である。また、容器本体2の一端面側の外周面の全周に渡って、カム溝2bと、本体側から駆動を受ける駆動受け部2dとが、一体的に形成されている。尚、本実施形態では、カム溝2bと駆動受け部(ギヤ)2dが容器本体2に対して一体的に形成されているが、カム溝2bあるいは駆動受け部2dを別体として形成し、容器本体2に一体的に取り付けた構成であってもよい。また、本実施形態では現像剤として、例えば体積平均粒径が5μm~6μmのトナーが現像剤収容部2c内に収容されている。また、本実施形態では、現像剤収容部2cは容器本体2だけでなく、容器本体2と後述するフランジ部3及びポンプ部5の内部スペースを合わせたものである。
[フランジ部]
続いて、フランジ部3について図5(a)、図5(b)、図7(a)、図7(b)を用いて説明する。フランジ部3は、容器本体2と回転軸線Pに関して相対回転可能に取り付けられる。そして、現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置8に装着されると、フランジ部3は装着部8f(図3(a)参照)に対し矢印R方向の回転が不可となるように保持される。また、フランジ部3の一部には、図7(b)に示すように、容器排出口3a4が設けられており、その周囲には開口シール3a5が貼着されている。フランジ部3には、図5(b)に示すように、ポンプ部5、往復部材6、シャッタ4、カバー7が組み付けられている。
まず、フランジ部3の一端側(装着方向A)にはポンプ部5がネジ接合され、他端側(離脱方向B側)には容器本体2が不図示のシール部材を介して接合される。また、ポンプ部5を挟み込むようにして、往復部材6が配置され、往復部材6に設けられた係合突起6b(図11(a)、(b)参照)が容器本体2のカム溝2b(図6参照)に嵌め込まれる。さらに、フランジ部3にはシャッタ4が組み込まれる。本実施形態では、フランジ部3とシャッタ4とで、現像剤収容部2cに収容された現像剤を排出する排出部300を構成している。また、シャッタ4が設けられている面は、フランジ部3の底面、即ち底部3dの上面である。また、外観上の見た目を向上させるためと、往復部材6及びポンプ部5の保護のために、上記したフランジ部3、シャッタ4、ポンプ部5、往復部材6の全体を覆うようにカバー7が一体的に組み付けられ、図5(a)、(b)のように構成される。
また、図7(a)、(b)に示すように、フランジ部3は、下部に水平に設けられた平板状の底部3dと、底部3dの略中央部に形成され、上下方向に貫通した開口部3eとを有している。図5(b)に示すように、底部3dは、シャッタ4を下方から摺動可能に支持している。図15(b)~図16(b)に示すように、開口部3eには、現像剤受入れ部11の本体シール13や受入れ口11aが、上方向Uに変位した際に貫通する。
[係合部]
フランジ部3は、図7(a)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11b(図3(a)参照)と係合可能な係合部30を有している。係合部30は、現像剤補給容器1の装着動作に伴って被係合部11bと係合して、受入れ口11aがシャッタ開口4jと連通するように現像剤受入れ部11を上方向Uに変位させる(図16(b)参照)。この時、現像剤補給容器1及び現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1から現像剤受入れ部11への現像剤補給が可能な互いが接続した状態となる。また、係合部30は、現像剤補給容器1の取り出し動作に伴い、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続状態が断たれるように、現像剤受入れ部11が現像剤補給容器1から離間する下方向Dへ変位するようにガイドする。尚、本実施形態では、図7(a)、(b)に示すように、係合部30は、フランジ部3の挿抜方向及び上下方向に直交する幅方向の両側に設けられている。
図7(a)及び図8に示すように、係合部30は、傾斜部31と平行部32とを有している。本実施形態では、傾斜部31と平行部32とは、フランジ部3とは別個に形成され、フランジ部3に対して接着等により一体化されている。図5(c)は、現像剤補給容器1を正面から見た図である。図5(c)に示すように、係合部30は、回転軸線Pを含む平面Hよりも下方に配置される。更には、回転軸線Pを含む平面Hは水平面であり、係合部30は、この水平面よりも下方に配置される。尚、傾斜部31及び平行部32と、フランジ部3とが射出成形等により一体形成されていてもよい。傾斜部31には、第1の係合面31aと第3の係合面33aとが形成されている。平行部32には、第2の係合面32aが形成されている。
第1の係合面31aは、傾斜部31の上面のうち、最下部から上流側端部31bまでの範囲であり、装着方向Aの上流側に向かう程、上方向Uに向かうように設けられている。即ち、第1の係合面31aは、現像剤補給容器1の現像剤収容部2cに向かう程、鉛直方向上方に向かうように設けられている。本実施形態では、第1の係合面31aは傾斜した平面状である。第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部(現像剤収容部2cの側の端部)31bは、本体シール13がシャッタ開口4jの周囲に押圧されるように(図15(b)参照)、現像剤受入れ部11が変位する位置に設けられる。第1の係合面31aは、現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8に対する挿抜動作に伴い、被係合部11bを案内することで、現像剤受入れ部11を現像剤補給容器1に対して接離する方向へ変位する機能を有する。また、回転軸線Pの方向において、傾斜部31は駆動受け部2dに近づくにつれて上方に延伸している形状である。尚、本実施の形態では、傾斜部31は直線形状である。傾斜部31の現像剤補給容器1の着脱方向に対する傾斜角度は、10~50度に設定する事が望ましい。本実施の形態においては、該角度を約40度とした。但し、傾斜部31の形状は、駆動受け部2dに近づくにつれて上方に延伸している形状であれば、本実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、傾斜部31の形状は、図21(a)に示すような湾曲した曲面形状の傾斜面の形状でもよい。あるいは、図21(b)に示すような平行面と傾斜面とから成る階段状の形状でもよい。
第2の係合面32aは、第1の係合面31aの装着方向Aの上流側に配置され、平行部32の上面であり、装着方向Aと略平行に設けられた平行面である。第2の係合面32aは、第1の係合面31aより現像剤収容部2cの側に設けられ、受入れ口11aがシャッタ開口4jと連通しているときに被係合部11bと係合する。第2の係合面32aは、第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bの高さ(位置)と同じ高さ(位置)に設けられている。第2の係合面32aは、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置8に対して挿抜動作した場合において、容器排出口3a4と現像剤受入れ部11の受入れ口11aとが一定の位置関係で連通した状態に維持する機能を有する(図16(b)参照)。第1の係合面31a及び第2の係合面32aでは、鉛直方向における現像剤収容部2cの側の第1の係合面31aの端部の高さは、第2の係合面32aの高さよりも高い。
第3の係合面33aは、傾斜部31の上面のうち、傾斜部31において第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bに連続して設けられ、第2の係合面32aよりも上方向Uに突出した突出部33を1つのみ有している。即ち、第1の係合面31aと第3の係合面33aとは、連続していると共に、一体的に成型されている。本実施形態では、第3の係合面33aは、突出部33の上部に形成されて挿抜方向に平行な面を有している。即ち、第2の係合面32aと第3の係合面33aとは、略平行である。第3の係合面33aは、第1の係合面31a及び第2の係合面32aの間で被係合部11bを連続して案内するように設けられている。第3の係合面33aの突出部33の上端部は、第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bや第2の係合面32aを上方向Uに超えて、上方向Uに距離L1だけ伸びている。即ち、第3の係合面33aは、現像剤収容部2cの回転軸線Pの方向において、第1の係合面31aと第2の係合面32aとの間に、第2の係合面32aよりも鉛直方向における高さが高い。従って、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置8に挿入する過程において、第3の係合面33aが被係合部11bを案内することにより、以下のようになる。即ち、この過程において、現像剤受入れ部11は、第3の係合面33aにより、係合部30が現像剤受入れ部11を維持する状態(第2の係合面32aの高さ)よりも、現像剤補給容器1に近接する上方向Uに距離L1だけ変位される。
[シャッタ]
次に、シャッタ4について、図9(a)、(b)を用いて説明する。シャッタ4はフランジ部3の底部3d(図7(a)参照)の上面を摺動するようにして、現像剤補給容器1の一部(フランジ部3)に対して移動可能に設けられている。シャッタ4は、排出口としてのシャッタ開口4jを有し、現像剤補給容器1の着脱動作に伴い、現像剤補給容器1の容器排出口3a4(図7(b)参照)を開閉する。即ち、現像剤補給容器1の装着動作に伴ってシャッタ4が現像剤補給容器1に対して移動することで、現像剤受入れ部11の受入れ口11aとシャッタ開口4jとが連通し、さらに容器排出口3a4が連通する。これにより、現像剤補給容器1内部の現像剤を受入れ口11aへ排出可能となる。即ち、フランジ部3とシャッタ4とで、現像剤を排出する排出部300(図5(b)参照)を構成し、排出部300のシャッタ4には、現像剤を排出する排出口としてのシャッタ開口4jが底面に形成されている。
また、シャッタ4は、底部3dに対向する摺動面4iにおいて、シャッタ開口4jを囲むように、現像剤受入れ部11と連結する連結面4kを有している(図15(a)参照)。連結面4kは、シャッタ開口4jよりも大径で、摺動面4iと平行に形成されている。連結面4kには、現像剤補給容器1を装着した後に、本体シール13の上端面が密着するようになっている(図16(b)参照)。
一方、図9(a)、(b)に示すように、シャッタ4のシャッタ開口4jから外れた位置には現像剤封止部4aが設けられている。現像剤封止部4aは、現像剤補給容器1を抜き出す動作に伴ってシャッタ4が現像剤補給容器1に対して移動することで、容器排出口3a4を塞ぐ。また、現像剤封止部4aは、現像剤補給容器1が現像剤受入れ装置8の装着部8f(図3(a)参照)に装着されていない時に、容器排出口3a4からの現像剤の漏れを防ぐ。現像剤封止部4aの背面側(現像剤受入れ部11側)には、フランジ部3の底部3dの上面を摺動する摺動面4iが設けられている。尚、シャッタ4は、現像剤封止部4aを上向きにした姿勢で、フランジ部3に係合している。
シャッタ4は、現像剤補給容器1がシャッタ4に対して相対移動することが可能となるように、現像剤受入れ装置8の第1、第2シャッタストッパ部8a、8b(図4(a)参照)に保持される第1ストッパ部4b及び第2ストッパ部4cを有している。また、シャッタ4は、第1、第2ストッパ部4b、4cを変位可能に支持する支持部4dを有している。支持部4dは、弾性変形可能で、現像剤封止部4aの両側面の一端側から他端側に向けてそれぞれ延設されている。そして、支持部4dの先端部に、それぞれ第1ストッパ部4bと第2ストッパ部4cを設けている。これにより、第1、第2ストッパ部4b、4cは、支持部4dの弾性により変位可能となる。
尚、第1ストッパ部4bと支持部4dが形成する角度αは鋭角となるよう、第1ストッパ部4bは傾斜している。これに対して、第2ストッパ部4cと支持部4dが形成する角度βは鈍角となるように、第2ストッパ部4cは傾斜している。
第1ストッパ部4bは、現像剤補給容器1の装着動作時に、現像剤受入れ装置8の案内部8gと係合して変位し、第2シャッタストッパ部8bを通過して、第1シャッタストッパ部8aと係合する。第1ストッパ部4bと第1シャッタストッパ部8aとが係合することで、シャッタ4の現像剤受入れ装置8に対する位置が固定される。第2ストッパ部4cは、現像剤補給容器1の離脱動作時に、現像剤受入れ装置8の第2シャッタストッパ部8bに係合して、第1ストッパ部4bが第1シャッタストッパ部8aから外れるように変位させる。これにより、シャッタ4が現像剤受入れ装置8から外れる。
[ポンプ部]
ポンプ部5について、図10(a)、(b)を用いて説明する。ポンプ部5は、容器本体2(図6参照)の駆動受け部2dが受けた駆動力により、現像剤収容部2cの内圧が大気圧よりも低い状態と高い状態とに交互に繰り返し切り替わるように動作する。本実施形態では、前述したように小さな容器排出口3a4から現像剤を安定的に排出させるために、現像剤補給容器1の一部にポンプ部5を設けている。ポンプ部5はその容積を変更可能な容積可変型ポンプである。具体的には、ポンプ部5として、伸縮可能な蛇腹状の伸縮部材で構成されているものを採用している。
このポンプ部5の伸縮動作により現像剤補給容器1内の圧力を変化させ、その圧力を利用して現像剤の排出を行っている。具体的には、ポンプ部5を縮める際には現像剤補給容器1内が加圧状態となり、その圧力に押し出される形で現像剤が現像剤補給容器1の容器排出口3a4から排出される。またポンプ部5を伸ばす際には現像剤補給容器1内が減圧状態になり、外部から容器排出口3a4を介してエアが取り込まれる。この取り込まれたエアにより容器排出口3a4や、フランジ部3の容器本体2から搬送された現像剤を貯留する貯留部3a3付近(図7(a)参照)の現像剤がほぐれ、次の排出がスムーズに行われるようになっている。
即ち、このように現像剤補給容器1の容器排出口3a4や貯留部3a3付近は、現像剤補給容器1の運搬時などの振動で現像剤補給容器1内の現像剤が集まり、この部分で現像剤が固まってしまう場合がある。従って、上述のように容器排出口3a4を介してエアが取り込まれることで、このように固まってしまった現像剤をほぐすことができる。また、通常の現像剤の排出動作においては、このようにエアが取り込まれることで、エアと粉体である現像剤とが混成されて、現像剤の流動性が良くなり、現像剤の詰まりが生じにくくなるという効果もある。以上のような伸縮動作を繰り返し行うことで、現像剤の排出が行われる。
図10(a)に示すように、ポンプ部5は、開口端側(離脱方向B側)に、フランジ部3と接合可能なように接合部5bを有している。ここでは、接合部5bとしてネジが形成された構成を例示している。また、図10(b)に示すように、ポンプ部5は開口端とは反対側の他端側(装着方向A側)に、後述する往復部材6(図11(a)、(b)参照)と同期して変位させるために、往復部材6と係合する往復部材係合部5cを有する。
また、ポンプ部5は、山折り部と谷折り部とが交互に周期的に形成された蛇腹状の伸縮部(蛇腹部、伸縮部材)5aを有する。伸縮部5aは、その折り目に沿って(その折り目を基点として)、接合部5bに対して往復部材係合部5cを離脱方向Bに移動させることで折り畳まれたり、装着方向Aに移動させることで伸びたりし得る。従って、本実施形態のような蛇腹状のポンプ部5を採用した場合には、伸縮量に対する容積変化量のばらつきを少なくすることができるので、安定した容積変更を行うことが可能となる。
尚、本実施形態では、ポンプ部5の材料としてポリプロピレン樹脂を用いたが、これに限らない。ポンプ部5の材料(材質)に関しては、伸縮機能を発揮し容積変化によって現像剤収容部の内圧を変化させることができる材料であれば何でもよい。例えば、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体)、ポリスチレン、ポリエステル、ポリエチレン等を用いてもよい。あるいは、ゴム、その他の伸縮性材料などを用いることも可能である。
[往復部材]
往復部材6について、図11(a)、(b)を用いて説明する。往復部材6は上述したポンプ部5の容積を変更するために、ポンプ部5に設けられた往復部材係合部5c(図10(b)参照)に係合するポンプ係合部6aを有する。また、往復部材6は、組み立ての際に上述したカム溝2b(図6参照)に嵌め込まれる係合突起6bを有する。係合突起6bは、ポンプ係合部6aの近傍より着脱方向に延在するアーム6cの先端部に設けられている。また、往復部材6は、後述するカバー7の往復部材保持部7b(図12(b)参照)によってアーム6cの回転軸線P(図5(a)参照)中心の回転変位が規制されている。したがって、容器本体2が駆動ギヤ9によって駆動受け部2dより駆動を受け、カム溝2bが一体となって回転する際に、カム溝2bに嵌め込まれた係合突起6bとカバー7の往復部材保持部7bとの作用により、往復部材6は方向A,Bへ往復運動する。それに伴い、往復部材6のポンプ係合部6aと往復部材係合部5cを介して係合したポンプ部5が装着方向A及び離脱方向Bへ伸縮運動する。
[カバー]
カバー7について、図12(a)、(b)を用いて説明する。上述したように、カバー7は、現像剤補給容器1の外観の見た目の向上と、往復部材6やポンプ部5の保護とを目的として、図5(b)に示すように設けられている。詳しくは、カバー7は、フランジ部3、ポンプ部5、往復部材6の全体を覆うように設けられている。図12(a)に示すように、カバー7には、現像剤受入れ装置8の挿入ガイド8e(図3(a)参照)にガイドされるガイド溝7aが設けられている。また、図12(b)に示すように、カバー7には、上述した往復部材6の回転軸線P(図5(a)参照)を中心とする回転変位を規制する往復部材保持部7bが設けられている。
[現像剤補給容器の装着動作]
現像剤補給容器1の現像剤受入れ装置8への装着動作について、図13(a)~図16(b)を用いて説明する。ここで、図13(a)~図14(b)は、係合部30と被係合部11b及び現像剤受入れ部11との挿抜方向及び上下方向の位置関係を示す。また、図15(a)~図16(b)は、シャッタ開口4jと受入れ口11aとの接続箇所を示す。更に、図13(a)及び図15(a)は、現像剤補給容器1の挿入に伴い、被係合部11bが第1の係合面31aに係合した時、図13(b)及び図15(b)は、被係合部11bが第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bに位置した時を示す。また、図14(a)及び図16(a)は、被係合部11bが第3の係合面33aの突出部33に位置した時、図14(b)及び図16(b)は、現像剤補給容器1の装着完了に伴い、被係合部11bが第2の係合面32aに位置した時を示す。
図13(a)に示すように、現像剤補給容器1を装着方向Aに移動させると、現像剤受入れ部11の被係合部11bが、現像剤補給容器1の係合部30の第1の係合面31aの下側部に当接する。このとき、図15(a)に示すように、現像剤受入れ部11は現像剤補給容器1に近づく上方向Uにはまだ動かず、現像剤補給容器1と本体シール13とは接触していない。このため、本体シール13の厚さは、3.0mmのままである。また、図9(a)に示すように、シャッタ4は、ストッパ部4b,4cが、現像剤受入れ装置8のシャッタストッパ部8a,8bと係合しているため、シャッタ4は現像剤受入れ装置8に対して装着方向Aの位置が固定されている。従って、現像剤補給容器1を更に装着方向Aに移動させても、シャッタ4は、装着方向Aにおいて、シャッタ4を除く現像剤補給容器1とは相対移動するが、現像剤受入れ部11とは挿抜方向には相対移動しない。
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、現像剤受入れ部11の被係合部11bは、第1の係合面31aに案内されて、現像剤受入れ部11は現像剤補給容器1に近づく上方向Uに持ち上がる。そして、図13(b)に示すように、被係合部11bが第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bに位置するよりも少し前に、図15(b)に示すように、本体シール13の上端面がフランジ部3の底部3dの開口部3eを上方向Uに通過する。更に、本体シール13の上端面は、シャッタ4の連結面4kに当接し、被係合部11bが第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bに位置するまでに僅かに本体シール13を上下方向に押し潰す。本実施形態では、被係合部11bが第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bに位置した時には、本体シール13は、潰し量1.0mmで厚さ2.0mmに押し潰される。これにより、受入れ口11aとシャッタ開口4jとが連通する。尚、第1の係合面31aの装着方向Aの上流側端部31bは、第2の係合面32aと同じ高さに設けられている。このため、この時点での本体シール13の押し潰される量は、現像剤補給容器1を装着した後、実際に現像剤を補給する際に押し潰される量と同じである。
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させると、図14(a)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11bは、第3の係合面33aの突出部33に案内され、現像剤受入れ部11は現像剤補給容器1に更に近づく上方向Uに距離L1だけ持ち上がる。そして、図16(a)に示すように、本体シール13が連結面4kに更に強く押圧されて、潰し量1.5mmで厚み1.5mmにまで押し潰される。このとき、シャッタ開口4jは容器排出口3a4とは連通していないため、現像剤補給容器1から装置本体100aに現像剤が供給されてしまうことはない。このように、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置8に挿入する過程で、現像剤受入れ部11を現像剤補給容器1の装着完了時の保持位置より一時的に大きく近接させる。これにより、本体シール13とシャッタ4との片当たりや、現像剤受入れ部11の持ち上げ不足によるシール不良を防ぐことができる。
現像剤補給容器1を装着方向Aに更に移動させ、現像剤補給容器1を装着完了位置まで押し込むと、図14(b)に示すように、現像剤受入れ部11の被係合部11bは、第3の係合面33aの突出部33を乗り越えて、第2の係合面32aに位置する。これにより、現像剤受入れ部11は距離L1だけ下方向Dに下がる。そして、図16(b)に示すように、本体シール13が連結面4kへの押圧力が弱められ、潰し量1.0mmで厚み2.0mmに戻される。また、シャッタ開口4jと容器排出口3a4とが連通し、現像剤補給容器1から装置本体100aに対して、現像剤の補給が可能な状態となる。ここで、図14(b)に示すように、容器排出口3a4と第2の係合面32aとの位置関係は、容器排出口3a4を通ると共に回転軸線Pに直交する平面Lが第2の係合面32aを通るような関係にある。また、第2の係合面32aを含む平面は、回転軸線Pと容器排出口3a4との間に配置される位置関係にある。
上述したように、本実施形態の現像剤補給容器1によれば、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置8に挿入する過程で、現像剤受入れ部11を現像剤補給容器1の装着完了時の保持位置より一時的に大きく近接させる。これにより、本体シール13とシャッタ4との片当たりや、現像剤受入れ部11の持ち上げ不足によるシール不良を防ぐことができ、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続箇所のシール性を向上することができる。また、現像剤補給容器1の装置本体100aへの装着時あるいは離脱時に、被係合部11bが突出部33を乗り越える際に適度なクリック感を得ることができるので、現像剤補給容器1の装着状態を容易に把握することができ、操作性を向上することができる。
ここで、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続箇所のシール性を向上させるために、現像剤補給容器1の装着完了時において本体シール13を潰し量1.5mmで厚み1.5mmにまで押し潰すことが考えられる。しかしながら、このように設定した場合、現像剤補給容器1の装着完了状態において本体シール13の圧縮率が高くなって反力が大きくなり、被係合部11bに常に大きな力が加わり続けてしまう。これにより、本体シール13のへたりや被係合部11bの変形などを生ずる虞があり、シール性が低下してしまう可能性がある。
これに対し、本実施形態の現像剤補給容器1によれば、本体シール13の圧縮量を一時的に大きくするものの、現像剤補給容器1の装着完了時には通常の圧縮量に戻すので、本体シール13や被係合部11bなどの部品に大きな負荷を作用し続けることはない。このため、過度な負荷による本体シール13のへたりや被係合部11bの変形などによるシール性の低下を、防止することができる。
尚、上述の実施形態では、図8に示すように、係合部30の第3の係合面33aは、突出部33の上面は挿抜方向に平行な面を有しているが、これには限られない。例えば、図17(a)に示す第1の変形例のように、第3の係合面33aの突出部33が挿抜方向に平行な面を有さずに、側方から視て上方向Uに突出した頂点を有する形状であってもよい。この頂点の装着方向A及び離脱方向Bのいずれに連続する面も下方向Dに傾斜した面とすることにより、現像剤受入れ部11を現像剤補給容器1の装着完了時の保持位置より一時的に大きく近接させることができる。
また、上述の実施形態では、図8に示すように、係合部30の平行部32は、傾斜部31よりも離脱方向B側に位置しているが、これには限られない。例えば、図17(b)に示す第2の変形例のように、突出部33が平行部32の装着方向Aの先端部の上方向U側に設けられることで、傾斜部31と平行部32との一部が重なっていてもよい。
また、上述の実施形態では、図8に示すように、第3の係合面33aは傾斜部31に設けられているが、これには限られない。例えば、図17(c)に示す第3の変形例のように、突出部33を含む第3の係合面33aが平行部32の装着方向Aの先端部の上面に設けられていてもよい。あるいは、図18(a)に示す第4の変形例のように、突出部33を含む第3の係合面33aが、傾斜部31の離脱方向Bの先端部と、平行部32の装着方向Aの先端部とに跨るように設けられていてもよい。
また、上述の実施形態では、図8に示すように、係合部30において、傾斜部31と平行部32とは互いに別部材であるが、これには限られない。例えば、図18(b)に示す第5の変形例のように、傾斜部31と平行部32とが一部材により形成されていてもよい。この場合、第1の係合面31aと第2の係合面32aと第3の係合面33aとは、一体的に成型されている。この場合も、係合部30はフランジ部3とは別個に形成されてフランジ部3に対して接着等により一体化されていてもよく、あるいは係合部30とフランジ部3とが射出成形等により一体形成されていてもよい。
また、上述の実施形態では、図8に示すように、第3の係合面33aは突出部33を1つのみ有しているが、これには限られず、第3の係合面33aは突出部を複数有するようにしてもよい。例えば、図18(c)に示す第6の変形例のように、第3の係合面33aは、第1の突出部33と第2の突出部34との2つの突出部を有するようにしてもよい。この場合、第1の突出部33は、第1の係合面31aの離脱方向Bの先端から連続して設けられ、第2の突出部34は、第2の係合面32aの装着方向Aの先端から連続して設けられ、第1の突出部33とは少し間隔を設けて配置される。これにより、現像剤補給容器1を装着する際に、現像剤受入れ部11の被係合部11bは、第3の係合面33aの突出部33,34に案内されて、現像剤受入れ部11は現像剤補給容器1に2回断続して押圧される。これにより、本体シール13とシャッタ4との片当たりや、現像剤受入れ部11の持ち上げ不足によるシール不良をより効果的に防ぐことができる。
また、上述の実施形態では、第2の係合面32aは、装着方向Aと略平行に設けられた平行面であるようにしているが、これには限られない。この場合、現像剤受入れ装置8引き込み装置を設ける。これにより、現像剤補給容器1は、引き込み装置により装着方向に引き込まれた状態で所定の装着位置に固定されるので、現像剤補給容器1は、操作者などが力を加えて取り出そうとしなければ、取り出し方向に移動することはない。したがって、第2の係合面32aが平行面でなくても、被係合部11bが不用意に離脱方向Bに移動してしまうことはない。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態を、図19~図20(b)を参照しながら詳細に説明する。上述の第1の実施形態では、被係合部11bとの係合に拘らず、係合部30は変形しない形状である。これに対して、本実施形態の場合、係合部130を現像剤補給容器1の装着動作に伴う被係合部11bとの係合により変形するように構成している。その他の構成及び作用は、上述の第1の実施形態と同様であるため、同一の構成については、符号を同じくして図示及び説明を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
本実施形態では、図19及び図20(a)に示すように、フランジ部3は、現像剤受入れ部11の被係合部11bと係合可能な係合部130を有している。係合部130は、装着方向A側の基端部(固定部)130aをフランジ部3に固定し、その他の部分は、フランジ部3に対して変位可能に設けられている。そして、係合部130は、図19(a)に示すように、被係合部11bと係合する前は、離脱方向B側を上方向U側に傾斜させた状態で設けられている。係合部130は、第1の係合面131aと、第2の係合面132aと、当接部134aとを有している。第1の係合面131aは、鉛直方向の上端が変位可能な弾性部130cを有し、現像剤収容部2cに近づくほど鉛直方向上方に向かう形状である。第2の係合面132aは、受入れ口11aがシャッタ開口4jと連通しているときに、被係合部11bと係合する。当接部134aは、被係合部11bが弾性部130cに係合したときに、変形した弾性部130cと当接して被係合部11bを第2の係合面132aに案内する経路を形成する。
図20(b)に示すように、係合部130は、現像剤補給容器1の装着動作に伴う被係合部11bとの係合により弾性変形する。そして、係合部130は、装着動作により被係合部11bが係合部130に対して相対的に移動する軌跡140が、第1の領域141と、第2の領域142と、第3の領域143とを有するように構成されている。軌跡140の第1の領域141は、現像剤補給容器1の装着方向Aの上流側に向かう程、上方向Uに向かう領域である。軌跡140の第2の領域142は、第1の領域141の装着方向Aの上流側に位置し、第1の領域141の装着方向Aの上流側端部141aの上方向Uの高さ(位置)と同じ高さ(位置)に設けられた領域である。軌跡140の第3の領域143は、第1の領域141及び第2の領域142の間で被係合部11bを連続して案内し、第2の領域142よりも上方向Uに突出した突出領域143aを有する領域である。
また、本実施形態では、フランジ部3の係合部130よりも装着方向Aの上流側に、弾性変形した係合部130の先端部130bと当接して、先端部130bを位置決めする位置決め部134を備えている。係合部130は、基端部130aを基端として先端部130bが位置決め部134の装着方向A側に形成された当接部134aに当接するまで弾性変形する。図20(b)に示すように、位置決め部134の上面は、挿抜方向に平行な水平面であり、先端部130bが係合して位置決めされた状態の係合部130の上面と連続している。
図20(a)に示すように、被係合部11bと弾性部130cとが係合していない場合には、弾性部130cは当接部134aから離間している。係合部130は、現像剤補給容器1の装着動作に伴う被係合部11bとの係合により弾性変形する。そして、最終的に、図20(b)に示すように、被係合部11bの軌跡140が、第1の領域141と、第2の領域142と、第3の領域143とを有するようになる。即ち、弾性部130cが当接部134aと当接する際には、弾性部130cの一部の鉛直方向における高さは第2の係合面132aの高さよりも高い。係合部130は、被係合部11bの軌跡140が最終的にこのような軌跡となるように、各部の剛性が設定されている。例えば、係合部130の基端部130a側よりも先端部130b側を低剛性にすることにより、被係合部11bが先端側に達するまでは殆ど変形せず、被係合部11bが先端側に達してから急に変形するようにできる。これにより、図20(b)に示すような被係合部11bの軌跡140を実現することができる。
尚、図20(b)に示すように、現像剤補給容器1の装着完了後の状態では、係合部130は、第1の係合面131aと、第2の係合面132aと、第3の係合面133aとを有している。第1の係合面131aにより案内される被係合部11bが通過する軌跡は、軌跡140の第1の領域141を形成する。第3の係合面133aにより案内される被係合部11bが通過する軌跡は、軌跡140の第3の領域143を形成する。第2の係合面132aにより案内される被係合部11bが通過する軌跡は、軌跡140の第2の領域142を形成する。各係合面131a,132a,133aの形状や作用などは、第1の実施形態と同様である。
このような係合部130の変形について、現像剤補給容器1の現像剤受け入れ装置8への装着動作と共に、図20(a)、(b)を用いて説明する。現像剤補給容器1の装着を開始すると、図20(a)に示すように、被係合部11bが係合部130の基端部130aの近傍に近づく。このとき、被係合部11bが係合部130と係合していないため、係合部130は変形していない。
次いで、現像剤補給容器1が更に装着方向Aに挿入されると、被係合部11bと係合部130とが係合し、被係合部11bが係合部130との係合により上方向Uに変位し、軌跡140の第1の領域141に沿って移動する。そして、図20(b)に示すように、被係合部11bが第1の領域141の装着方向Aの上流側端部141aに達すると、被係合部11bは更に上方向Uに変位し、軌跡140の第3の領域143に沿って移動する。この時、現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1の装着完了時の保持位置より一時的に大きく近接される。これにより、本体シール13とシャッタ4との片当たりや、現像剤受入れ部11の持ち上げ不足によるシール不良を防ぐことができる。更に、被係合部11bが第3の領域143から第2の領域142に達すると、現像剤受入れ部11は、現像剤補給容器1の装着完了時の保持位置に位置する。
上述したように、本実施形態の現像剤補給容器1によっても、現像剤補給容器1を現像剤受入れ装置8に挿入する過程で、現像剤受入れ部11を現像剤補給容器1の装着完了時の保持位置より一時的に大きく近接させる。これにより、本体シール13とシャッタ4との片当たりや、現像剤受入れ部11の持ち上げ不足によるシール不良を防ぐことができ、現像剤補給容器1と現像剤受入れ部11との接続箇所のシール性を向上することができる。
尚、上述の実施形態では、図20(b)に示すように、係合部130は、第1の係合面131aと、第2の係合面132aと、第3の係合面133aとを有しているが、これには限られない。例えば、係合部130が第1の係合面131a及び第3の係合面133aを有し、位置決め部134が第2の係合面132aを有するようにしてもよい。この場合、位置決め部134の水平な上面が第2の係合面132aになり、例えば、当接部134aは、第2の係合面132aと一体的に成型される。また、被係合部11bが位置決め部134の上面に案内されることにより、係合部130が原位置に戻る場合もある。この場合、現像剤補給容器1を離脱方向Bに移動させることにより、被係合部11bは位置決め部134の装着方向A側の端部から係合部130に係合することなく下方向Dに変位して、付勢部材12の付勢力によって現像剤受入れ部11は原位置に戻る。
<他の実施形態>
上述の説明では、現像剤受入れ部11の受入れ口11aが連通する排出口をシャッタ4のシャッタ開口4jとしたが、シャッタを設けずに、現像剤補給容器1の容器排出口に現像剤受入れ部の受入れ口を直接、当接させて連通させるようにしても良い。この場合、容器排出口が受入れ口と連通する排出口に相当する。