JP7245548B2 - 造血幹細胞移植患者の処置 - Google Patents
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Description
)または血液骨髄移植を受け、より速い生着が有益である患者を処置する方法に関する。
化能造血幹細胞の移植である。HSCTは、自家移植(患者自身の幹細胞が使用される)
であってもまたは同種移植(幹細胞がドナー由来である)であってもよい。HSCTは、
血液学の分野における医学的手法であり、多様な悪性および非悪性の造血器疾患、例えば
、血液または骨髄のがん、例えば、リンパ腫または白血病などのための潜在的な治癒的ア
プローチである。移植される細胞は、未改変であってもまたは遺伝子改変(例えば、レン
チウイルス、CRISPR)されていてもよい。悪性疾患を有する患者においてHSCT
が行われる場合、レシピエントの免疫系を破壊または制限(例えば、骨髄非破壊的、部分
的なまたは完全な骨髄破壊)して移植片拒絶を防止し、腫瘍負荷量を減少させるために、
移植前に前治療(preparative)または前処置(conditioning)レジメンが施される。こ
うした前処置治療は、放射線および/または化学療法を行うことからなりうる。
家または同種の)幹細胞を最小限の毒性で送達することが、未だ対処されていない医学上
の必要性である。しかし、骨髄非破壊的前処置後に幹細胞を送達することは、移植手順が
成功を収めることを全体的に妨げる移植失敗のリスクを有する。
的でないもしくはより免疫抑制的でない前処置治療を使用し、かつ/またはこうした前処
置レジメンに関連している可能性がある起こりうる結果、例えば、副作用を制限する必要
性がある。理想的には、放射線および化学療法は、新規な無毒性のアプローチに完全に置
きかえることができる。
を移植に使用することは有利なはずである。しかし、より少ないHSCの使用はより強い
前処置を必要とするはずであり、これは、毒性が高くなり、再構築が遅くなる。
)および血小板減少(より低いレベルの血小板)の日数の増加はすべて、通常、罹患率お
よび死亡率の上昇に関連するので、造血幹細胞が移植されると、生着の速度は、血液骨髄
移植の骨髄破壊的前処置を受けた患者に対して重要かつ直接的な役割を果たす。この罹患
率および死亡率は、感染、出血、ならびに赤血球および血小板の両方の輸血補助の必要性
によって生じる。
よび/または手術からより速く回復することも可能にしうる。
になり、HSCTが有益でありうる患者数を増やすことを可能にしうる薬学的に有効な薬
物を備えるという未だ対処されていない医学上の高い必要性がある。例えば、前処置治療
が、患者、例えば、代謝疾患を有する患者、高齢、若齢の患者または併存疾患を有する患
者に対して重症のまたはさらに致命的な結果を有するはずであるという理由で、古典的な
前処置に耐容性がないそうした患者においてHSCTを行う必要性もある。それは、古典
的な前処置レジメンの化学療法または放射線療法に関連している可能性があるリスクを冒
すことがその患者が罹患している疾患の性質を考慮して正当化されないはずである患者、
例えば、非悪性の徴候を有する患者であってもよい。
P203が、HSC生着の速度を有意に上昇させることが見出された。したがって、前記
化合物の使用は、血球減少の日数を最短可能な期間まで最少にすることおよび/またはよ
り低い細胞用量もしくは低減された前処置を使用することを可能にする。それは、HSC
Tをドナーに対してより容易かつより安全にすること、したがって、より容易にドナーを
同定すること、より多く移植を行うことおよびそれを必要とする患者の範囲を広げること
も可能にする。
て、造血幹細胞生着、例えば、好中球細胞を向上させる、例えば、促進する、例えば、速
める方法であって、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩
おいて造血幹細胞の生着を速めるのに使用される式(I)の化合物または薬学的に許容さ
れるその塩に関する。
に塩酸塩は、
を保持しており、典型的には、生物学的にもそれ以外の点でも望ましくなくない塩を指す
。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ基および/もしくはカルボキシル基またはそれ
に類似した基の存在によって酸および/または塩基塩を形成する能力がある。
合物または薬学的に許容されるその塩、例えば、2-アミノ-2-[4-(3-ベンジル
オキシフェニルチオ)-2-クロロ-フェニル]エチル-プロパン-1,3-ジオール塩
酸塩の1日量を指す。
前処置」または「前処置した」という用語は、典型的には、例えば、化学療法および/ま
たは放射線療法などの好適な手順によって骨髄および免疫系を実質的に破壊することを意
味する。
ion Tandem Meeting中にCenter for Internati
onal Blood and Marrow Transplant Researc
h(CIBMTR)によって開催された、Reduced-Intensity Con
ditioning Regimen Workshopに伴い、高用量(骨髄破壊的)
、強度減弱、および骨髄非破壊的として分類されてきた。
ないもしくはより免疫抑制的でない前処置治療を使用し、かつ/またはこうした前処置レ
ジメンに関連している可能性がある起こりうる結果、例えば、副作用を制限することも可
能にする。一部の状況では、本発明の方法は、いかなる前処置もなくHSCTを行うこと
さえも可能にしうる。
も低減された用量の造血細胞を移植に使用することも可能にしうる。
ことなく、そうでなければ必要とされるHSCよりも少ないHSCを使用することを可能
にしうる。
にすることになり、HSCTが有益でありうる患者数を増やすことを可能にしうる。本発
明は、例えば、前処置治療が、患者、例えば、代謝疾患を有する患者、高齢、若齢の患者
または併存疾患を有する患者に対して重症のまたはさらに致命的な結果を有するはずであ
るという理由で、古典的な前処置に耐容性がない患者においてHSCTを行うことを可能
にする。本発明は、古典的な前処置レジメンの化学療法または放射線療法に関連しうるリ
スクを冒すことが患者の疾患の性質を考慮して正当化されないはずである場合に、患者、
例えば、非悪性の徴候を有する患者においてHSCTを行うことも可能にする。本発明の
おかげで、より多数の患者において、特に、患者の総合的な健康状態、年齢および/また
は患者が罹患している特定の疾患によってこうした技術に接することができなかった患者
において、HSCT処置を利用することができる。
骨髄非破壊的前処置(NMA、例えば、Mini-Seattle Conditioning)、例えば、フル
ダラビンまたは別の化学療法剤、典型的には、30mg/m2/日で3日間の後に全身照
射(TBI)、典型的には、1×200cGy/日で1日間;
強度減弱前処置(RIC;典型的には、FluBu);
骨髄破壊的前処置、g(MAC;典型的には、BuCyのCyTBI);
または
例えば、高用量化学療法および全身照射(TBI)は、典型的には、組織の慣行に適合し
た国のガイドラインによって行われ、フルダラビン、ブスルファンの投与を含む。
例として以下の投与レジメンが示される:
1)75mg/m2の総用量のために25mg/m2/日の静注×3日(約2~3日間)
のフルダラビン、
2)0.8mg/kg/6時間(約2から4日間)のブスルファン、
3)120mg/kgの総用量のために60mg/kg/日の静注×2日(約2日間)の
シクロホスファミド。CYCによって誘発される出血性膀胱炎のリスクを低下させるため
に、患者は、大量の流水洗浄およびメスナも受けることになる。
4)TBIは、約8から10日目(HSCTから-8および-1日目)から行われること
になる。推奨されるTBI用量は、1200cGyの総用量のために1日2回、3日間投
与される200cGyである。
細胞の生着を速める方法であって、有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容される
その塩、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203
塩酸塩を患者に投与することを含む方法が記載される。
と、例えば、検出すること、例えば、本明細書中に定義されているような式(I)の化合
物の有効量を投与しない場合よりも短期間で生着の初日を検出することを指す。
生着の初日は、通常、例えば、慣例の血液グラフによって、決定されるような、血中に存
在する好中球の量が≧500/μlである連続した3日間の期間の後に1日目として定義
される。
P203療法なしでは、その期間は、完全な前処置(骨髄破壊的)の場合には、通常、細
胞注入の約15から16日後である。
て造血幹細胞の生着を速めるのに使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容され
るその塩、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩が記載される。
髄非破壊的、例えば、骨髄破壊的前処置を受け、例えば、患者の実質的にすべての骨髄が
破壊される、上記の実施形態のいずれかに記載の方法または化合物、例えば、KRP20
3または薬学的に許容されるその塩が記載される。
クロスポリンAおよびシクロホスファミドから選択される1種または複数の剤を含む高用
量化学療法である、実施形態3に記載の方法または化合物が記載される。
実施形態3または4に記載の方法または化合物が記載される。
、または前処置の0~1日後、または前処置の1~8日もしくは1~10日後に行われる
、実施形態3から5のいずれかに記載の方法または化合物が記載される。
の3日前、例えば、前処置の1日前に開始される、実施形態3から6のいずれかに記載の
方法または化合物が記載される。
置レジメンを受けず、例えば、前記患者は、非悪性状態、非血液学的状態に罹患している
、若齢者である、例えば、55歳を超える、高齢の患者である、または併存状態を患って
いる、上記の実施形態のいずれかに記載の方法または化合物、例えば、KRP203また
は薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩が記載される。
めの方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP
203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩が、患者に投与さ
れ、前記患者は、移植前に前処置レジメンを受けないかまたは骨髄非破壊的前処置を受け
、任意選択で、患者は、非血液学的状態に罹患している、方法が記載される。
あって、患者は、ドナーから細胞を受け入れ、方法は、その他の場合に式(I)の化合物
を投与せずに必要とされるよりも最高50%低い、例えば、その他の場合に式(I)の化
合物を投与せずに必要とされるよりも最高40%低い、例えば、その他の場合に式(I)
の化合物を投与せずに必要とされるよりも最高30%低い、例えば、その他の場合に式(
I)の化合物を投与せずに必要とされるよりも最高20%低い、例えば、その他の場合に
式(I)の化合物を投与せずに必要とされるよりも最高10%低い、いくつかのドナー細
胞を前記患者に投与することを含む、方法が記載される。任意選択で、患者は、移植前に
前処置レジメン、例えば、骨髄非破壊的レジメンを受ける。
あって、患者は、ドナーからの細胞を受け入れ、方法は、約1×10E6細胞/kgレシ
ピエントから約9×10E6細胞/kgレシピエントまでの間、例えば、約1×10E6
細胞/kgレシピエントから約8×10E6細胞/kgレシピエントまで、例えば、約1
×10E6細胞/kgレシピエントから約7×10E6細胞/kgレシピエントまで、例
えば、約1×10E6細胞/kgレシピエントから約6×10E6細胞/kgレシピエン
トまで、例えば、約1×10E6細胞/kgレシピエントから約5×10E6細胞/kg
レシピエントまで、例えば、約1×10E6細胞/kgレシピエントから約4×10E6
細胞/kgレシピエントまでの間に含まれる、いくつかのCD34細胞を前記患者に投与
することを含む、方法が記載される。任意選択で、患者は、移植前に前処置レジメン、例
えば、骨髄非破壊的レジメンを受ける。
あって、患者は、ドナーから、約1×10E6細胞/kgレシピエント、または約2×1
0E6細胞/kgレシピエント、または約2×10E6細胞/kgレシピエント、または
約2×10E6細胞/kgレシピエントまたは約5×10E6細胞/kgレシピエントの
用量の細胞を受け入れる、方法が記載される。任意選択で、患者は、移植前に前処置レジ
メン、例えば、骨髄非破壊的レジメンを受ける。任意選択で、患者は、移植前に前処置レ
ジメン、例えば、骨髄非破壊的レジメンを受ける。
えば、少なくとも1日、少なくとも2日、少なくとも3日、少なくとも4日、少なくとも
6日以内で達成される、上記の実施形態のいずれかに記載の方法が記載される。
、約12から14日、例えば、約12から13日で達成され、特に、前処置治療、例えば
、骨髄破壊的前処置または骨髄非破壊的前処置は、細胞注入前に行われている、実施形態
1から13のいずれかに記載の方法が記載される。
および自己免疫疾患、例えば、本明細書中に定義されているようなもの、例えば、再生不
良性貧血、異常ヘモグロビン症、地中海貧血症、鎌状赤血球症、ハーラー病を患っている
患者から選択される、上記の実施形態のいずれかに記載の方法、例えば、KRP203ま
たは薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩が記載される。
貧血症、鎌状赤血球症、ハーラー病を患っている患者、および/または、例えば、55歳
を超える、高齢の患者、もしくは若齢の患者において造血幹細胞移植(HPSC)を行う
ための方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えば、KR
P203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩を前記患者に投
与することを含む方法が記載される。該方法は、細胞移植前の前処置治療を含んでいても
または含んでいなくてもよく、例えば、骨髄非破壊的前処置レジメンを含む。
、例えば、異常ヘモグロビン症、再生不良性貧血、地中海貧血症、鎌状赤血球症、ハーラ
ー病を治療するための方法であって、
(i)有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP20
3または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩を患者に投与すること
;
(ii)移植前に前記患者を前処置すること、例えば、骨髄非破壊的前処置を行うこと;
および
(iii)ドナーから前記患者に造血幹細胞を移植すること
を含む方法が記載される。
齢者、(例えば、55歳を超える)高齢者において行うための方法であって、
(i)有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP20
3または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩を患者に投与すること
;
(ii)移植前に前記患者を前処置すること、例えば、骨髄非破壊的前処置を行うこと;
および
(iii)ドナーから前記患者に造血幹細胞を移植すること
を含む方法が記載される。
される、上記の実施形態のいずれかに記載の化合物、例えば、KRP203または薬学的
に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩が記載される。
塩、例えば、KRP203塩酸塩が、(患者あたり)1、2、3、4または5mgの日用
量、例えば、1mgまたは2mgまたは3mgの日用量で投与される、上記の実施形態の
いずれかに記載の方法または化合物が記載される。日用量の式(I)の化合物、例えば、
KRP203または薬学的に許容されるその塩、例えば、塩酸塩は、1日1回、または1
日数回、例えば、1日1回投与されてもよい。式(I)の化合物、例えば、KRP203
または薬学的に許容されるその塩、例えば、塩酸塩は、より長い間隔で、例えば、週1回
、または4~5日毎に投与されてもよい。本発明によれば、ドナーは、それ自身の幹細胞
を受け入れる患者(自家移植)、または別のヒト(同種移植)であってもよい。幹細胞の
源は、ハプロタイプ一致の臍帯であってもよい。
される、上記の実施形態のいずれかに記載の方法または化合物が記載される。日用量の式
(I)の化合物、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩は、1日1回、
または1日数回、例えば、1日1回投与されてもよい。
ば、約3mgの日用量を投与することを含む、HSCTをそれを必要とする患者において
行うのに使用される、式(I)の化合物、例えば、KRP203または薬学的に許容され
るその塩について言及される。
、式(I)の化合物、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩をそれを必
要とする患者に約1mgから3mg、例えば、約1mg、例えば、約2mg、例えば、約
3mgの日用量で投与することを含む方法について言及される。
ば、約3mgの日用量を投与することを含み、患者においてHSCTを行うことを含む、
非悪性状態または非血液学的状態の治療において使用される、式(I)の化合物、例えば
、KRP203または薬学的に許容されるその塩について言及される。任意選択で、患者
は、若齢者、高齢の患者、および併存疾患を患う患者、例えば、55歳を超える患者から
選択される者である。
それを治療するための方法であって、i)患者においてHSCTを行うステップおよびi
i)式(I)の化合物、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩をそれを
必要とする患者に約1mgから3mg、例えば、約1mg、例えば、約2mg、例えば、
約3mgの日用量で投与するステップを含む方法について言及される。任意選択で、患者
は、若齢者、高齢の患者、および併存疾患を患う患者、例えば、55歳を超える患者から
選択される者である。
腫、リンパ腫から選択される1種の疾患、例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄芽
球性白血病、慢性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫に罹患してい
てもよい。別の実施形態では、患者は、非悪性疾患、例えば、再生不良性貧血;代謝疾患
または代謝障害、例えば、異常ヘモグロビン症、地中海貧血症、鎌状赤血球症またはハー
ラー病に罹患している。患者は、併存疾患、例えば、心疾患、AIDSまたはがんを有し
ていてもよい。患者は、寛容誘導のために固形臓器移植と組み合わされた骨髄移植による
影響を受けていてもよい。患者は、例えば、I型糖尿病、多発性硬化症、強皮症などの自
己免疫疾患を患っていてもよい。
存疾患または自己免疫疾患を治療または予防するための方法であって、
(i)有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を患者に投与すること
;
(ii)ドナーから前記患者に造血幹細胞を移植すること;および任意選択で
(iii)移植前に前記患者に前処置を行うこと、例えば、骨髄非破壊的前処置を行うこ
と
を含む方法が記載される。式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えば、
KRP203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩は、約0.
5mgから5mgまで、例えば、約1mgから約3mgまで、例えば、約0.5mg、例
えば、約1mg、例えば、約3mgの日用量で投与することができる。
幹細胞の生着を速める方法において使用される式(I)の化合物または薬学的に許容され
るその塩、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP20
3塩酸塩について言及される。
を超える)高齢、若齢、例えば、重症複合免疫不全症を有する小児であってもよい。
KRP203塩酸塩は、移植後、例えば、移植後150日までの間、例えば、移植後12
0日まで、例えば、移植後100日まで、例えば、3カ月の間、例えば、1カ月の間、例
えば、移植後1週間の間に投与されてもよい。例えば、式(I)の化合物、例えば、KR
P203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP203塩酸塩は、移植後約1
20日、例えば、移植後約110日、例えば、移植後約100日、例えば、移植後約90
日の間に投与されてもよい。
その塩、例えば、KRP203塩酸塩の投与は、移植前、例えば、移植の1から3日前(
例えば、移植の1日、または2日前)に、または移植の日に開始することができる。式(
I)の化合物、例えば、KRP203または薬学的に許容されるその塩、例えば、KRP
203塩酸塩の投与の期間は、約120日、例えば、約110日、例えば、移植後約10
0日、例えば、約90日であってもよい。
別のヒト(同種移植)であってもよい。患者(受容者)は、白血病、多発性骨髄腫、リン
パ腫から選択される1種の疾患、例えば、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄芽球性白血
病、慢性リンパ性白血病、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫に罹患していてもよい
。
造血幹細胞の生着を速めるための化合物:
式(I)の化合物、特に、KRP203、特に、0.5;1;2;3;4または5mg
の2-アミノ-2-[4-(3-ベンジルオキシフェニルチオ)-2-クロロフェニル]
エチル-プロパン-1,3-ジオールまたは薬学的に許容されるその塩を含む組成物が提
供される。特に好ましいのは、1または2mgの2-アミノ-2-[4-(3-ベンジル
オキシフェニルチオ)-2-クロロ-フェニル]エチル-プロパン-1,3-ジオールを
、例えば、塩酸塩として、含むカプセル剤または錠剤である。
A:スクリーニング期間(-50から-2日目)、ベースライン(-1日目)、
B:1日目から111日目までの薬物処置期間および(移植から)最長365日までの経
過観察期間、ここで、薬物は、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例え
ば、2-アミノ-2-[4-(3-ベンジルオキシフェニルチオ)-2-クロロ-フェニ
ル]エチル-プロパン-1,3-ジオール、例えば、塩酸塩として、である、
C:骨髄破壊的前処置またはMini Seattle前処置は、2日目および10日目の間に本明細
書中に記載のように行われることになる、
D:移植(幹細胞の注入)、すなわち、HSCTは、11日目に行われることになる。標
準的な作業には、調査的な処置に加えて、標準的なGVHD予防法、移植の前および後の
支えとなるケアおよび組織の慣行による経過観察評価が含まれていてもよい。
末梢動員された幹細胞は、組織の慣行に従って使用されることになる。好適な幹細胞源
は、T細胞が豊富な末梢血幹細胞を移植片源として使用する、組織の標準に適合した、J
ACIE*によって定義されているような移植片選択アルゴリズムによって利用可能でな
ければならない。(*JACIE:International Society for Cellular Therapy&Europ
ean Group for Blood and Marrow Transplantationを含むJoint Accreditation Committe
e Europe)。さらに、ドナーは、分子的なHLAマッチング技術を使用してレシピエント
と9/10または10/10合致していなければならない。
遺伝性代謝疾患(IMD)のマウスモデル
レシピエントC57BL/6またはIDUAKI(B6.129S-Iduatm1.
1Kmke/J)マウスを穏やかな骨髄非破壊的レジメンで前処置した。コンジェニック
マウスから1×10E3個の限定数のHSCを移植した。群は、未処置であるか、または
KRPで15日間処置した。KRP203処置群からのより多くのマウスで56日目に生
着があり、生着があったマウスは、未処置群よりもより多くのドナー細胞を有していた。
限定されたHSC状態下の骨髄非破壊的な条件で、移植付近の期間におけるKRP処置が
生着を増強させるというのが結論である。
実験の説明:
1日目=薬物処置開始(例えば、2mg KRP203/1日あたり)
2日目および10日目:前処置を上記のように行った(例えば、Mini SeattleまたはRI
C)
11日目:同種ドナーからの幹細胞の移植を行う
11日目:前述の移植手順に従い、好中球計数を決定し、KRP203群ではベースライ
ンを33%上回り、対照群ではベースラインを11%上回った
15日目:好中球計数は、KRP203群ではベースラインを100%上回り、対照群で
はベースラインを48%上回った。
数を、通常、毎日測定する。一般的に受け入れられている「生着の日」(take)の定
義は、1マイクロリットルにつき500細胞よりも大きい好中球計数のある連続した3日
の最初である。1マイクロリットルにつき500細胞よりも大きい好中球計数は、生着の
確率がベースラインに対して1.0(100%)であるかまたはそれより高いときに、下
記の実験において到達される。これら細胞がドナーに由来するかは、通常、30日目のゲ
ノム解析によって確認される。
確率を示している。見られる通り、KRP203で処置された群では、対照群よりもきわ
めて速く生着した。
また、本発明は以下を提供する。
[1]
移植を介してドナーから造血幹細胞を受け入れた患者において造血幹細胞の生着を向上
させる、例えば、促進する、例えば、速める方法であって、有効量の式(I)の化合物ま
たは薬学的に許容されるその塩
[式中、Rは、HまたはP(O)3H2である]
を前記患者に投与することを含む方法。
[2]
移植手順を介してドナーから前記造血幹細胞を受け入れた患者において造血幹細胞の生
着を速めるために使用される式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩。
[3]
前記患者が最初に前処置を受け、それによって前記患者の実質的にすべての骨髄が破壊
される、[1]または[2]に記載の方法または化合物。
[4]
前記前処置が、フルダラビン、ブスルファン、メトトレキセート、シクロスポリンAお
よびシクロホスファミドから選択される1種または複数の剤を含む高用量化学療法である
、[3]に記載の方法または化合物。
[5]
前記前処置が、国のガイドラインによる全身照射(TBI)である、[3]または[4
]に記載の方法または化合物。
[6]
造血幹細胞移植(HSCT)が、前処置後、例えば、前処置後すぐに、または前処置の
0~1日後、または前処置の1~8日もしくは1~10日後に行われる、[3]~[5]
のいずれか一項に記載の方法または化合物。
[7]
式(I)の化合物での前記患者の処置が、前処置の5日前、特に前処置の3日前、とり
わけ前処置の1日前に開始される、[3]~[6]のいずれか一項に記載の方法または化
合物。
[8]
前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、
から選択される、[1]~[7]のいずれか一項に記載の方法または化合物。
[9]
前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、KRP203またはその塩酸塩である
、[1]~[8]のいずれか一項に記載の方法または化合物。
[10]
前記化合物が、(患者あたり)1、2、3、4または5mgの日用量で投与される、[
1]~[9]のいずれか一項に記載の方法または化合物。
Claims (16)
- 前記患者が55歳を超える患者である、請求項1に記載の組成物。
- 前記患者が、細胞移植前に最初に前処置を受ける、請求項1または2に記載の組成物。
- 前記前処置が骨髄非破壊的前処置レジメンである、請求項3に記載の組成物。
- 前記前処置が、フルダラビン、ブスルファン、メトトレキセート、シクロスポリンAおよびシクロホスファミドから選択される1種または複数の剤を含む化学療法と、その後の全身照射である、請求項3または4に記載の組成物。
- 前記化学療法が、30mg/m2/日で3日間行われ、前記全身照射が、1×200cGy/日で1日間行われる、請求項5に記載の組成物。
- 前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、KRP203またはその塩酸塩である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、(患者あたり)1、2、3、4または5mgの1日用量で投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、1日1回、週1回、または4~5日毎に投与される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、移植後、例えば移植後150日までの間、例えば移植後120日まで、例えば移植後100日まで、例えば移植後3カ月の間投与される、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
- 移植を介してドナーから造血幹細胞を受け入れた、異常ヘモグロビン症、再生不良性貧血、地中海貧血症、鎌状赤血球症およびハーラー病からなる群から選択される代謝疾患を患っている患者から選択される患者において造血幹細胞の生着を速めるための方法に用いるための、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物であって、前記方法は
(i)有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えばKRP203または薬学的に許容されるその塩、例えばKRP203塩酸塩を患者に投与すること、
(ii)移植前に前記患者を前処置すること、例えば骨髄非破壊的前処置を行うこと、および
(iii)ドナーから前記患者に造血幹細胞を移植すること
を含む、組成物。 - 式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩
[式中、Rは、HまたはP(O)3H2である]
を含む、造血幹細胞移植(HSCT)を受けている患者において、異常ヘモグロビン症、再生不良性貧血、地中海貧血症、鎌状赤血球症およびハーラー病からなる群から選択される代謝疾患を治療するための方法に用いるための組成物であって、前記方法は
(i)有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩、例えばKRP203または薬学的に許容されるその塩、例えばKRP203塩酸塩を患者に投与すること、
(ii)移植前に前記患者を前処置すること、および
(iii)ドナーから前記患者に造血幹細胞を移植すること
を含む、組成物。 - 前記前処置が骨髄非破壊的前処置である、請求項13に記載の組成物。
- 前記ドナーが、前記患者または別のヒトである、請求項1~14のいずれか一項に記載の組成物。
- 前記化合物または薬学的に許容されるその塩が、移植前、例えば移植の1~3日前、または移植の日、および、移植後例えば120日間、例えば110日間、例えば100日間、例えば90日間投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の組成物。
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