以下、本発明の実施の形態の無線通信システム、不正検出装置、情報収集装置、および無線通信装置の構成を説明する。なお、以下の実施の形態において、同じ符号を付した構成要素および処理工程は、同一または相当するものであり、必要でない場合は、その説明は繰り返さない。
なお、以下では、本発明の無線通信装置を説明する一例として、上述したような互いに大きく分離した複数の既存の免許不要帯域(例えば、IoTなどに使用される920MHz帯、無線LANに使用される2.4GHz帯と5GHz帯)において、既存システムと周波数を共用して、コグニティブな無線通信を行うことが可能な無線通信システムにおける送信装置を例とする実施の形態を説明する。
また、以下では、「キャリアセンス」とは、電力検出または受信信号の復号を伴う仮想キャリアセンスにより、対象とする無線チャネルの信号の存在の有無を検出し送信タイミングの判断を行うためのセンシングを意味し、「チャネルセンシング」とは、キャリアセンスとしてのセンシングに加えて、対象チャネルの使用状況を把握するために、通信のモニタなどを実行するセンシングを意味するものとする。
[実施の形態]
以下では、本実施の形態の説明のために、複数の互いに分離した周波数帯域においてそれぞれランダムアクセス制御による通信を行うという構成の場合において、次の送信タイミングをいつにするかを決定するために、対象帯域の多チャネルの同時チャネルセンシングを行う構成について説明する。
ただし、複数の周波数帯を同時に使用して通信を行うことは、本発明にとっては、必ずしも必須ではなく、例えば、複数の周波数帯域のいずれか少なくとも1つで選択的に通信を行うという構成の場合において、次の送信タイミングで、いずれの周波数帯を使用するかを決定するために、対象帯域の多チャネルの同時チャネルセンシングを行う構成にも適用することが可能である。
また、複数の無線チャネルのチャネルセンシングを行うことも、本発明にとっては、必ずしも必須ではなく、例えば、通信を行う周波数帯域を決定するために、1つの無線チャネルのチャネルセンシングを行う構成にも適用することが可能である。また、無線チャネルのチャネルセンシングを行うことも、本発明にとっては、必ずしも必須ではなく、例えば、後述するように、無線チャネルにおけるその他のセンシング(例えば、フレーム誤り率を取得するためのセンシング等)を行ってもよい。
さらに、ランダムアクセス制御を行っている無線チャネルを利用して実体的な通信を行うことも、本発明にとっては、必ずしも必須ではなく、例えば、協調センシングのためにセンシング結果の送信は行うが、実体的な通信は行わない構成にも適用することが可能である。
図1は、自局と相手局との通信におけるチャネルセンシングの概念を示す図である。
自局10は、これから相手局20に対して、送信を行おうとする場合は、まず、使用帯域のうちの複数のチャネルについて、使用状況を確認するためにチャネルセンシングを行う。
ここで、自局10または相手局20の近辺で、使用可能帯域のチャネルのいずれかを使用する他の通信装置30.1~30.4がある場合は、これらは、干渉源となり、干渉波の影響を避けて通信を行うことになるために、自局10は、空いている周波数帯のチャネルを検出し使用して、相手局20と通信を行う。
図2は、協調センシングについて説明するための概念図である。図2では、一例としてBSS内で協調センシングを行う場合について示している。
ここで、「BSS(Basic Service Set)」とは、無線LANのインフラストラクチャモードで、1つの無線基地局(アクセスポイントAP)とそのAPの電波の到達範囲内にいる配下の無線LANクライアント端末(STA)で構成されるネットワークをいうものとする。
効率的な無線通信を行うには、各無線通信装置が自装置の属する無線ネットワークにおける伝搬状況や無線リソースの利用状況を逐次把握して、その結果に基づきアクセス制御することが必要である。しかし、単一の無線通信装置によって無線ネットワークの各位置におけるセンシングを行おうとすることは、コスト等の観点から非現実的である。
協調センシングによれば、複数の無線通信装置間でセンシング結果を交換・共有することによって、一台の無線通信装置がリアルタイムセンシングを行って得られる無線チャネルのセンシング情報よりも多くの無線チャネルのセンシング情報を得ることができる。
なお、特には限定されないが、以下では、次のような状況である場合について説明する。交換する情報は、必ずしもリアルタイムな情報である必要はなく、一定時間内におけるセンシング結果であるものとする。ただし、各無線通信装置は、センシング自体は基本的に常時実施していてもよい。
また、無線基地局APは、後述する無線通信装置STAと同等の無線通信方式での無線通信機能と、協調センシングの結果の統合を実行するためのプロセッサやメモリを備える。プロセッサやメモリの構成は周知であるので、説明は省略する。
図2を参照して、BSS内で情報交換をするプロトコルとしては、以下のような構成とすることができる。
効率的な情報収集とBSS内情報の展開の観点から無線基地局AP(情報収集装置)と無線通信装置STA1~STA5との間でセンシング結果を交換する。
この場合、無線通信装置STA1~STA5が、図2の実線の矢印で示されるように、センシング結果を無線基地局APに報告し、無線基地局APが、センシング情報を集約して、その集約した統合センシング情報を、図2の破線の矢印で示されるように、配下の無線通信装置STA1~STA5に展開する。
図3は、無線通信装置200における、センシング結果の送受信と、不正なセンシング結果の検出とに関する構成を示すブロック図である。本実施の形態による無線通信装置200は、不正検出装置100aと、チャネル利用状況観測部201と、送信部202とを備える。不正検出装置100aは、受信部101aと、記憶部102aと、閾値取得部103aと、不正検出部104aとを備える。
図4は、情報収集装置(無線基地局)300における、センシング結果の受信と、不正なセンシング結果の検出とに関する構成を示すブロック図である。本実施の形態による情報収集装置300は、不正検出装置100bと、生成部301と、送信部302とを備える。不正検出装置100bは、受信部101bと、記憶部102bと、閾値取得部103bと、不正検出部104bとを備える。
本実施の形態では、センシング結果の送信先である情報収集装置300が無線基地局(アクセスポイントAP)である一例について説明するが、情報収集装置300は、それに限定されるものではなく、例えば、センシング結果を収集するための装置であってもよい。情報収集装置300は、チャネルセンシングの結果を収集し、統合して各無線通信装置200に送信する。
なお、図3,図4の不正検出装置100a,100bは、実質的に同様のものであり、両者を区別しない場合には「不正検出装置100」とする。不正検出装置100aが有する受信部101a、記憶部102a、閾値取得部103a、不正検出部104aと、不正検出装置100bが有する受信部101b、記憶部102b、閾値取得部103b、不正検出部104bとについても、それぞれを区別しない場合には、「受信部101」「記憶部102」「閾値取得部103」「不正検出部104」とする。
受信部101は、ランダムアクセス制御を行っている無線チャネルの利用状況を観測する複数の無線通信装置200から、観測された利用状況に応じた複数のセンシング結果をそれぞれ受信する。無線通信装置200の受信部101aは、他の無線通信装置200からセンシング結果を受信することになり、情報収集装置300の受信部101bは、BSS内の無線通信装置200からセンシング結果を受信することになる。受信されたセンシング結果は、記憶部102に蓄積されてもよい。また、後述するように、受信部101は、センシング結果のパケットのヘッダから、送信元のアドレスを取得してもよい。
ここで、無線通信装置200から情報収集装置300へのセンシング結果の報告は、通常、周期的に行われる。図9は、周期的なセンシングと、周期的な報告(センシング結果の情報収集装置300への送信)との関係の一例を示す概念図である。図9を参照して、各無線通信装置200におけるセンシング期間の時間的長さは決まっており、一例として、情報収集装置300からの指示に応じて、各無線通信装置200におけるセンシングが開始される。したがって、各無線通信装置200における各センシング期間(例えば、センシング期間1やセンシング期間2など)の始点と終点は同じとなる。センシング期間1における無線チャネルの観測に応じたセンシング結果は、報告期間1において情報収集装置300に送信される。なお、センシング期間が終了してから、そのセンシング期間に対応する報告期間が開始されるため、センシング期間が各無線通信装置200において同期している場合には、報告期間も各無線通信装置200において同期することになる。その送信は、各無線通信装置200においてランダムに選択された報告タイミングに応じて行われる。図9の各報告期間における上向きの矢印が、センシング結果の送信タイミングを示している。報告期間が終了すると、その報告結果に応じて、情報収集装置300において生成された統合センシング情報が各無線通信装置200に送信される。そして、各無線通信装置200と情報収集装置(無線基地局)300との間で、その統合センシング情報に応じた無線チャネルを用いた無線通信が行われることになる。その後も、センシング期間、報告期間等が繰り返されることになる。なお、図9では、センシング期間および報告期間がそれぞれインターバルを介することなく連続して繰り返される場合について示しているが、そうでなくてもよい。センシング期間および報告期間の少なくとも一方は、インターバルを介して連続して繰り返されてもよい。例えば、センシング期間がP秒であり、報告期間がN秒であり、N秒がP秒よりも小さい場合には(一般的に、報告期間Nはセンシング期間Pより小さいと想定する)、各報告期間の間に(P-N)秒のインターバルが存在してもよい。以下、1回の報告期間を、ラウンドと呼ぶこともある。すなわち、情報収集装置300は、ラウンドごとに、BSS内の各無線通信装置200から複数のセンシング結果を受信することになる。
センシング結果としては、例えば、以下のようなものがある。なお、センシング結果が以下の例示に限定されないことはいうまでもない。
a1)チャネル利用率(チャネル占有率)
a2)フレーム誤り率
a3)干渉源の端末の個数
a4)隠れ端末の個数
センシング結果は、例えば、上記a1)~a4)のいずれかであってもよく、任意の二以上の組み合わせであってもよく、それらを1つ以上用いて生成された値(例えば、上記a1)~a4)のいずれか1つ以上を引数とする関数の値など)であってもよい。
チャネル利用率(COR:Channel Occupancy Ratio)は、観測期間においてビジー状態である期間を、観測期間で除算することによって算出することができる。なお、チャネル利用率に代えて、例えば、観測期間においてアイドル状態である期間を観測期間で除算したアイドル率や、観測期間におけるアイドル状態の期間を、観測期間におけるビジー状態の期間で除算したアイドル/ビジー比率などをセンシング結果としてもよい。また、センシング結果の送信が高い頻度で行われる場合には、センシング結果は、例えば、ビジー状態であるのか、アイドル状態であるのかを示す情報であってもよい。センシング結果がチャネル利用率である場合には、無線チャネルの利用状況の観測は、無線チャネルがビジー状態であるのか、アイドル状態であるのかの観測であってもよい。
フレーム誤り率は、観測によって受信したフレームのうち、正確に復調できなかったものの比率であってもよい。この場合には、無線チャネルの利用状況の観測は、無線信号の受信や復調であってもよい。
干渉源の端末の個数は、他セル(自装置の属するセルとは異なるセル)の無線信号を復調し、MACアドレスなどの端末識別子のユニーク数をカウントすることによって取得することができる。この場合には、無線チャネルの利用状況の観測は、無線信号の受信や復調であってもよい。
隠れ端末の個数は、自装置が受信していないRTS(送信要求)に対して送信されたCTS(送信許可)の受信に応じて取得されてもよく、また、自装置が受信していないデータに対してアクセスポイントAPから送信されたACKの受信に応じて取得されてもよい。例えば、そのようなCTSやACKに含まれる送信先のMACアドレスなどの端末識別子のユニーク数をカウントすることによって、自装置に対する隠れ端末数を取得してもよい。なお、RTS,CTSについては後述する。この場合には、無線チャネルの利用状況の観測は、RTS,CTS、ACKなどの受信や復調であってもよい。
センシング結果がチャネル利用率やフレーム誤り率、干渉源の端末の個数、隠れ端末の個数である場合には、チャネル利用率等が高いほど、無線チャネルが利用に適していることを示す適切度は低いことになる。チャネル利用率に応じた適切度は、例えば、「1-チャネル利用率」のように算出されてもよい。一方、センシング結果がアイドル率である場合には、アイドル率が高いほど、適切度は高いことになる。
記憶部102では、受信されたセンシング結果や、不正検出の結果等が記憶されてもよい。例えば、記憶部102には、ラウンドごとに受信されたセンシング結果が記憶されてもよい。また、複数のセンシング結果のうち、不正であると検出されたセンシング結果については、フラグ等の不正が検出されたことを示す情報が設定されてもよく、または、そうでなくてもよい。後者の場合には、各ラウンドにおいて、不正なセンシング結果が検出されたかどうかを示す情報が記憶部102で記憶されてもよい。記憶部102は、例えば、半導体メモリや磁気ディスクなどの記録媒体によって実現されてもよい。
閾値取得部103は、不正なセンシング結果を含まない複数のセンシング結果において、隣接している適切度の最大間隔を取得し、その最大間隔よりも大きい値である閾値を取得する。通常、無線通信装置200が一様ランダムに配置されているとすると、同様の位置で取得されたセンシング結果は同様の値となるため、複数の無線通信装置200で取得された複数のセンシング結果は、全体として、隣接した適切度の間隔が小さい集合になると考えられる。一方、悪意の無線通信装置200から送信される不正なセンシング結果の個数は、不正でないセンシング結果の個数と比較して少ないと考えられる。さらに、不正なセンシング結果は、観測結果に応じたものではなく、また、チャネル占有等の目的のために送信されることから、そのような不正のない集合から外れた適切度になると考えられる。そのため、不正のないセンシング結果の集合において、適切度の最大間隔を取得し、それよりも大きい値を閾値として、他のセンシング結果と閾値を超えて外れているセンシング結果を検出することによって、不正なセンシング結果を検出できると考えられる。そのような観点から、閾値取得部103は、不正の検出で用いられる閾値を、上記のようにして取得するものである。なお、不正なセンシング結果を含まない複数のセンシング結果とは、1個のラウンドにおいて報告された複数のセンシング結果であって、不正検出部104によって不正なセンシング結果が検出されなかった複数のセンシング結果であってもよい。閾値取得部103は、1個のラウンドに含まれる複数のセンシング結果を用いて閾値を取得してもよく、2個以上のラウンドにそれぞれ含まれる複数のセンシング結果を用いて閾値を取得してもよい。後者の場合には、例えば、閾値の取得時点から、あらかじめ決められた個数以内のラウンドであって、不正なセンシング結果を含まないラウンドに含まれる複数のセンシング結果を用いて、閾値の取得が行われてもよい。また、2個以上のラウンドのセンシング結果を用いて閾値を取得する場合には、閾値取得部103は、各ラウンドについて、隣接している適切度の最大間隔を取得し、その取得した複数の最大間隔のうち、最も大きい最大間隔を用いて閾値を取得してもよい。
また、閾値取得部103は、不正なセンシング結果を含まない複数のセンシング結果が存在しない場合に、複数のセンシング結果において、直近のより高い適切度までの間隔が最大となる適切度を特定し、その特定した適切度以下のセンシング結果を除いた複数のセンシング結果において、隣接している適切度の最大間隔を取得し、その取得した最大間隔よりも大きい値である閾値を取得してもよい。この場合には、複数のセンシング結果において、上記のように特定した適切度以下のセンシング結果を除くことによって、不正なセンシング結果を除外できると考えられる。したがって、その除外後の複数のセンシング結果において閾値の取得を行うことによって、適切な閾値を取得することができるようになる。なお、この閾値の取得も、1個のラウンドにおいて報告された複数のセンシング結果を用いて行われてもよい。例えば、1回目のラウンドのセンシング結果を用いて閾値を取得する場合には、不正なセンシング結果を含むかどうかが不明であるため、このようにして閾値が取得されてもよい。また、あらかじめ決められた個数以内のラウンドのすべてにおいて、不正が検出された場合には、不正の検出された各ラウンドについて、それぞれ上記のようにして適切度の最大間隔の取得を行い、その取得した複数の最大間隔のうち、最も大きい最大間隔を用いて閾値を取得してもよい。また、適切度を特定することは、その適切度のセンシング結果を特定することであると考えてもよい。
取得された最大間隔よりも大きい閾値とは、例えば、最大間隔に1より大きい実定数(例えば、2や3など)を掛けた値であってもよく、最大閾値に0より大きい実定数(例えば、適切度が0~1の値である場合には、0.1や0.2など)を足した値であってもよい。本実施の形態では、閾値=2×最大間隔である場合について主に説明する。また、具体的な閾値の取得については、後述する。なお、閾値の取得は、例えば、ラウンドごとに行われてもよく、または、複数のラウンドごとに行われてもよい。また、本実施の形態では、センシング結果を用いて閾値が取得される場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。不正の検出にあらかじめ決められた閾値が用いられてもよい。
不正検出部104は、受信部101によって受信された複数のセンシング結果において、無線チャネルが利用に適していることを示す適切度が、他の複数のセンシング結果から外れている不正なセンシング結果を検出する。上記のように、不正なセンシング結果の適切度は、そうでないセンシング結果の集合から外れた値になると考えられるため、このようにして、不正なセンシング結果を検出できることになる。この不正の検出は、ラウンドごとに行われることが好適である。
他のセンシング結果から外れている不正なセンシング結果を検出する方法は問わないが、例えば、次のようにして不正なセンシング結果を検出してもよい。不正検出部104は、複数のセンシング結果において、直近のより高い適切度までの間隔が閾値を超えている適切度を特定し、その特定した適切度以下のセンシング結果を、不正なセンシング結果として検出してもよい。そのようなセンシング結果の適切度は、他のセンシング結果から閾値を超えた間隔だけ離れているため、適切度が他のセンシング結果から外れているセンシング結果となるからである。その閾値として、例えば、閾値取得部103によって取得された閾値が用いられてもよく、または、あらかじめ設定されたものが用いられてもよい。本実施の形態では、前者の場合について主に説明する。不正検出部104は、不正なセンシング結果を検出した場合に、その不正なセンシング結果について、フラグ等の不正が検出されたことを示す情報を設定してもよく、または、その不正が検出されたラウンドについて、不正が検出されたことを示す情報を設定してもよい。その情報の設定は、例えば、記憶部102において記憶されているセンシング結果等について行われてもよい。
不正検出部104は、不正なセンシング結果を検出した場合に、その不正なセンシング結果を送信した無線通信装置200を識別する不正装置識別子を取得してもよい。その不正装置識別子は、例えば、不正なセンシング結果の送信元を識別する情報、例えば、送信元の物理アドレスや論理アドレス等であってもよい。物理アドレスは、例えば、MACアドレスであってもよい。また、論理アドレスは、例えば、IPアドレスであってもよい。不正検出部104は、不正なセンシング結果の送信元を識別する不正装置識別子を、受信部101から取得してもよい。その場合には、受信部101において、受信されたセンシング結果と、そのセンシング結果のパケットのヘッダ情報や送信元のアドレスとが対応付けられて一時的に保持されてもよい。
ここで、不正の検出と、閾値の取得とについて、より具体的に説明する。まず、不正の検出について説明する。
図5は、不正の検出の処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、1個のラウンドで受信された複数のセンシング結果について不正の検出の処理が行われるものとする。図5のフローチャートでは、複数のセンシング結果において、適切度の低い方から順番にセンシング結果が不正かどうかの判断を行い、隣接した2個の適切度の間隔が閾値を超えている箇所を特定して不正を検出すると共に、不正でないセンシング結果がM個連続している場合に、不正の検出を終了する。
(ステップS101)不正検出部104は、複数のセンシング結果において、適切度が最小であるセンシング結果を特定する。
(ステップS102)不正検出部104は、カウンタiを1に設定する。
(ステップS103)不正検出部104は、最後に特定したセンシング結果の適切度より高い適切度のセンシング結果が存在するかどうか判断する。そして、そのようなセンシング結果が存在する場合には、ステップS104に進み、存在しない場合には、不正なセンシング結果を検出する処理は終了となり、上位の処理(例えば、後述する図7や図8のフローチャート)に戻る。なお、最後に特定したセンシング結果とは、ステップS101,S102からステップS103に進んだ場合には、ステップS101で特定したセンシング結果であり、ステップS107からステップS103に戻った場合には、ステップS105で最後に(最新に)特定したセンシング結果であり、ステップS109からステップS102に戻った場合には、ステップS109で最後に特定したセンシング結果である。
(ステップS104)不正検出部104は、最後に特定したセンシング結果の適切度より高い直近の適切度までの間隔が、閾値を超えているかどうか判断する。そして、超えている場合には、ステップS108に進み、そうでない場合には、ステップS105に進む。
(ステップS105)不正検出部104は、最後に特定したセンシング結果の適切度より高い直近の適切度のセンシング結果を特定する。
(ステップS106)不正検出部104は、カウンタiを1だけインクリメントする。
(ステップS107)不正検出部104は、カウンタiがMより大きいかどうか判断する。そして、Mより大きい場合には、不正なセンシング結果を検出する処理は終了となり、上位の処理に戻り、そうでない場合には、ステップS103に戻る。なお、Mは、あらかじめ決められた正の整数である。このようにして、M個のセンシング結果について連続して不正が検出されなかった場合に、不正検出の処理が終了することになる。したがって、その観点からMが設定されることが好適である。例えば、Mは、2や3などであってもよい。
(ステップS108)不正検出部104は、最後に特定したセンシング結果の適切度以下のセンシング結果を、不正なセンシング結果として検出する。不正なセンシング結果の適切度と他のセンシング結果の適切度との間には、閾値を超える間隔があるため、不正なセンシング結果は、他のセンシング結果から外れたセンシング結果であると言えるからである。不正なセンシング結果として検出するとは、例えば、不正なセンシング結果に対して、不正であることを示すフラグなどの情報を設定することであってもよく、不正なセンシング結果の適切度を図示しない記録媒体に蓄積することであってもよく、不正なセンシング結果と、そうでないセンシング結果とを区別するためのその他の処理であってもよい。また、不正検出部104は、不正なセンシング結果を検出した場合に、その不正なセンシング結果を送信した無線通信装置200の不正装置識別子を取得してもよい。
(ステップS109)不正検出部104は、最後に特定したセンシング結果の適切度より高い直近の適切度のセンシング結果を特定する。そして、ステップS102に戻る。
なお、無線通信装置200が有する不正検出部104aが不正の検出を行う場合には、受信部101aで受信されたセンシング結果のうち、受信信号強度があらかじめ決められた閾値を超えるセンシング結果を用いて、不正なセンシング結果を検出してもよい。受信信号強度が閾値を超えるセンシング結果とは、自装置の近くの無線通信装置200から送信されたセンシング結果となる。通常、近い位置で取得されたセンシング結果は、近い適切度になると考えられる。したがって、このようにすることによって、不正検出部104aは、不正なセンシング結果をより精度高く検出することができるようになる。なお、BSSにおいて、無線通信装置200の配置は一様ランダムであることが好適であり、また、各無線通信装置200の送信電力は同一であることが好適である。また、センシング結果に寄与する干渉源は、同一のリソース量を消費すると考えてもよい。
次に、図10を用いて、具体的な不正の検出について説明する。図10(a)~図10(c)において、それぞれ1ラウンドに受信された複数のセンシング結果を上下方向の線によって示している。各センシング結果の左右方向の位置によって、センシング結果に対応する適切度(図10ではチャネル利用率)が示されている。
図10(a)で示されるセンシング結果において不正の検出を行う場合には、まず、センシング結果SR1が特定され、次に、センシング結果SR1と、センシング結果SR2との間隔が特定され、その特定された間隔が閾値より大きいかどうか判断される(ステップS101~S104)。その間隔が閾値より大きいとすると、センシング結果SR1は、不正なセンシング結果として検出されることになる(ステップS108)。なお、図10において、不正の検出されたセンシング結果には、マーク「×」を付けている。
その後、次のセンシング結果SR2が特定され(ステップS109)、センシング結果SR2と、センシング結果SR3との間隔が、閾値より大きいかどうか判断される(ステップS102~S104)。その間隔が閾値より小さいとすると、次のセンシング結果SR3が特定され、同様の処理が繰り返される。なお、M=2に設定されているとすると、センシング結果SR4が特定された後に、不正の検出の処理は終了されることになる。
図10(b)においては、図10(a)と同様に、センシング結果SR1が不正なセンシング結果として検出される。その後、センシング結果SR2が特定されているときには、不正の検出は行われないが、センシング結果SR3が特定されているときに、センシング結果SR2,SR3が不正なセンシング結果として検出されることになる。その後、センシング結果SR4が特定された以降には、不正の検出は行われないことになる。このように、隣接する適切度の間隔において、2以上の間隔が閾値を超えていたとしても、適切に不正の検出を行うことができる。
図10(c)においては、図10(b)と同様に、隣接する適切度の2個の間隔(センシング結果SR1,SR2の間隔と、センシング結果SR3,SR4の間隔)において、間隔が閾値を超えている。しかしながら、Mが2や3などの小さい値に設定されている場合には、センシング結果SR3が特定される前に、不正の検出の処理が終了されるため、センシング結果SR3の適切度以下のセンシング結果が不正なセンシング結果として検出されることはないことになる。したがって、図5のフローチャートで示されるように不正の検出を行うことによって、他のセンシング結果よりも適切度の低い方に外れている不正なセンシング結果のみを適切に検出することができるようになる。
なお、図5のフローチャートで示される以外の方法によって、不正の検出の処理を行ってもよいことは言うまでもない。例えば、複数のセンシング結果において、直近のより高い適切度までの間隔が閾値を超える適切度のセンシング結果をすべて特定し、その特定した各センシング結果の適切度のうち、最も高い適切度を特定し、その特定した適切度以下のセンシング結果を不正なセンシング結果として検出してもよい。ただし、その場合には、例えば、図10(c)の複数のセンシング結果において、センシング結果SR4以外がすべて不正なセンシング結果として検出されることになる。そのようなことを回避するため、例えば、複数のセンシング結果の適切度の中央値や平均値を特定し、特定した中央値や平均値よりも低い適切度の範囲において不正の検出を行うようにしてもよい。そのようにすることで、図10(c)においても、適切にセンシング結果SR1のみを不正なセンシング結果として検出することができるようになる。
また、複数のセンシング結果における、直近のより高い適切度までの間隔が閾値を超える適切度のセンシング結果の特定は、例えば、閾値を超えている、隣接している適切度の間隔を特定し、その間隔の両側の適切度のうち、適切度の低い方のセンシング結果を特定することによって行われてもよい。このように、結果として、複数のセンシング結果における、直近のより高い適切度までの間隔が閾値を超える適切度のセンシング結果が特定されるのであれば、その方法は問わない。
次に、閾値の取得について説明する。図6は、閾値の取得の処理を示すフローチャートである。このフローチャートでは、記憶部102において、1つのラウンドで受信されたセンシング結果、および、そのラウンドで不正が検出されたかどうかがラウンドごとに記憶されており、その情報を用いて処理が行われるものとする。
(ステップS201)閾値取得部103は、それまでのラウンドにおいて、不正の検出されなかったラウンドがあるかどうか判断する。そして、不正の検出されなかったラウンドがある場合には、ステップS202に進み、そうでない場合には、ステップS204に進む。なお、この判断は、判断時点からN個までのラウンドについて行われてもよい。Nは、正の整数である。現在の通信状況に近い閾値が取得されることが好適だからである。N個までのラウンドについて判断が行われた場合には、そのN個までのラウンドのセンシング結果を用いて、以下の閾値の取得が行われるものとする。また、閾値の取得は、通常、不正の検出の前に行うため、初回のラウンドについて閾値を取得する際には、そのラウンドについて不正が検出されるかどうかが不明となる。したがって、初回のラウンドについては、不正が検出されたラウンドとして閾値の取得を行ってもよい。報告期間は終了しているが、不正の検出はまだ行われていない初回以外のラウンドについても同様である。また、1個のセンシング結果のみを含むラウンドについては、図5のフローチャートのように不正の検出が行われる場合には、不正がないと判断されることになるが、そのラウンドを用いて閾値を取得することはできない。したがって、便宜上、そのようなラウンドについても不正が検出されたとして処理を行ってもよい。
(ステップS202)閾値取得部103は、不正の検出されなかったラウンドにおけるセンシング結果において、隣接している適切度の最大間隔を取得する。不正の検出されなかったラウンドが複数存在する場合には、各ラウンドにおいて適切度の最大間隔を取得し、その取得した複数の最大間隔のうち、最大のものを閾値の取得に用いる最大間隔としてもよい。
(ステップS203)閾値取得部103は、ステップS202で取得した最大間隔を用いて、閾値を取得する。その閾値は、上記のように、例えば、最大間隔+αであってもよく、最大間隔×βであってもよい。αは正の実数であり、βは1より大きい実数である。そして、閾値を取得する処理は終了となり、上位の処理(例えば、後述する図7や図8のフローチャート)に戻る。
(ステップS204)閾値取得部103は、不正の検出されたラウンドのセンシング結果の適切度において、直近のより高い適切度までの間隔が最大となる適切度のセンシング結果を特定する。
(ステップS205)閾値取得部103は、ステップS204で特定したセンシング結果の適切度以下のセンシング結果を、閾値の取得を行っているラウンドから除去する。この処理によって、不正の可能性のあるセンシング結果が除去されることになる。
(ステップS206)閾値取得部103は、ステップS205でセンシング結果を除去した後のセンシング結果において、隣接している適切度の最大間隔を取得する。
なお、不正の検出されたラウンドが複数存在する場合には、ステップS204~S206の処理をラウンドごとに実行し、ラウンドごとに取得した最大間隔のうち、最大のものを閾値の取得に用いる最大間隔としてもよい。
(ステップS207)閾値取得部103は、ステップS206で取得した最大間隔を用いて、ステップS203と同様にして閾値を取得する。そして、閾値を取得する処理は終了となり、上位の処理に戻る。
なお、閾値を取得することができない場合、例えば、過去に1個のラウンドのセンシング結果のみが存在し、また、そのラウンドに1個のセンシング結果のみが含まれている場合などには、閾値取得部103は、あらかじめ保持されているデフォルトの閾値を読み出して取得してもよい。
また、図6のフローチャートでは、不正が検出されたラウンドにおいても、不正なセンシング結果は少ないことを前提として、2番目の最大間隔を用いて閾値を取得する場合について示しているが、そうでなくてもよい。例えば、不正なセンシング結果を送信する悪意のある無線通信装置200が多く存在し、不正なセンシング結果が少なくない場合には、3番目や4番目などの最大間隔を用いて閾値を取得するようにしてもよい。より厳密に言えば、ステップS204とS205の処理を複数回繰り返した後に、ステップS206の最大間隔の取得を行うようにしてもよい。
次に、図11を用いて、具体的な閾値の取得について説明する。図11(a)は、不正の検出されなかったラウンドにおけるセンシング結果を示す図であり、図11(b)は、不正の検出されたラウンドにおけるセンシング結果を示す図である。
例えば、過去のラウンドに不正の検出されなかった図11(a)で示される1個のラウンドがあった場合には(ステップS201)、閾値取得部103は、そのラウンドにおいて、適切度の最大間隔G1を取得する(ステップS202)。そして、閾値取得部103は、例えば、閾値=2×最大間隔G1のように閾値を取得する(ステップS203)。
また、例えば、初回のラウンドに含まれるセンシング結果が図11(b)で示されるものであり、そのラウンドについて不正検出を行うために閾値を取得する場合には、閾値取得部103は、最大間隔G1の適切度の低い側のセンシング結果SR1を特定する(ステップS201,S204)。次に、閾値取得部103は、特定したセンシング結果SR1の適切度以下のセンシング結果を除外する(ステップS205)。すなわち、センシング結果SR1が除外されることになる。その後、閾値取得部103は、その除外後のセンシング結果において、隣接している適切度の最大間隔G2を取得し、その最大間隔G2を用いて、例えば、閾値=2×最大間隔G2のように閾値を取得する(ステップS206,S207)。このように、初回のラウンドに不正なセンシング結果SR1が含まれていたとしても、そのセンシング結果SR1を除外して、閾値を取得することができる。一方、仮に初回のラウンドに不正なセンシング結果が含まれていなかったとしても、その場合には、図11(a)で示されるように、1番目の最大間隔と2番目の最大間隔との差は小さいと考えられる。したがって、不正なセンシング結果の含まれていないラウンドにおいて、2番目の最大間隔を用いて閾値を取得したとしても、大きなデメリットはないと考えられる。
図3に戻り、チャネル利用状況観測部201は、ランダムアクセス制御を行っている無線チャネルの利用状況を観測する。なお、無線通信装置200が互いに分離した複数の周波数帯のそれぞれでランダムアクセス制御を行っている複数の無線チャネルを利用して、信号を送信するものである場合には、チャネル利用状況観測部201は、各周波数帯(各周波数帯の中では1つ以上の無線チャネル)の利用状況(各無線チャネルの空き状況など)を観測してもよい。
送信部202は、チャネル利用状況観測部201によって観測された利用状況に応じたセンシング結果を情報収集装置300に送信する。また、送信部202は、不正検出装置100aによって検出された不正なセンシング結果を送信した無線通信装置200を識別する不正装置識別子を情報収集装置300に送信する。なお、センシング結果と、不正装置識別子とは、通常、別々のタイミングで送信される。一方、トラヒック低減の観点からは、送信部202は、例えば、不正装置識別子を、次回のセンシング結果と一緒に情報収集装置300に送信してもよい。
なお、送信部202が、互いに分離した複数の周波数帯の複数の無線チャネルを利用して送信を行う場合に、センシング結果や不正装置識別子を、複数の無線チャネルを利用して送信してもよく、または、1個の制御チャネルを利用して送信してもよい。後者の場合には、例えば、センシング結果等の制御のための情報は、1個の制御チャネルで通信され、映像や音声等の実体的な情報は、互いに分離した複数の周波数帯を用いて通信されてもよい。互いに分離した複数の周波数帯を用いた通信の処理については後述する。
また、無線通信装置200が有する受信部101aは、センシング結果を受信すると共に、情報収集装置300から送信された統合センシング情報をも受信してもよい。また、その他の情報をも受信してもよい。例えば、受信部101aは、後述するブラックリストを受信してもよい。
図4に戻り、生成部301は、不正検出装置100bによって検出された不正なセンシング結果を除いた複数のセンシング結果を統合した統合センシング情報を生成する。なお、その統合センシング情報の生成に、各無線通信装置200から送信された不正装置識別子も用いられてもよい。その場合には、不正検出装置100bによって検出された不正なセンシング結果と、不正装置識別子によって識別される無線通信装置200から送信された不正なセンシング結果とを除いた複数のセンシング結果を統合した統合センシング情報が生成されてもよい。
ここで、情報収集装置300から各無線通信装置200に送信される統合センシング情報について説明する。ある無線チャネルの適切度の最も低いセンシング結果が、その無線チャネルにおける無線通信の利用状況を示していると考えられるため、情報収集装置300では、ある無線チャネルについて複数のセンシング結果の報告を受信した場合に、その複数のセンシング結果を、適切度の最も低いセンシング結果に統合してもよい。例えば、チャネル利用率「60%」「50%」「40%」「30%」が無線通信装置200から送信された場合には、生成部301は、それらを統合したチャネル利用率「60%」である統合センシング情報を生成してもよい。
また、複数の無線チャネルについてセンシング結果の送信が行われる場合には、統合センシング情報は、複数の無線通信装置200から送信されたセンシング結果に応じて情報収集装置300において選択された、BSSの無線通信で用いる1つまたは複数の無線チャネルを示す情報であってもよい。具体的には、無線チャネルch1、ch2、ch3、ch4、ch5について、各無線通信装置200から送信されたセンシング結果によって示されるチャネル利用率の最高値がそれぞれ60%、30%、40%、50%、20%である場合には、情報収集装置300の生成部301は、チャネル利用率の低い順(適切度の高い順)に3個のチャネルを選択し、その選択した無線チャネルch2、ch3、ch5を示す統合センシング情報を生成してもよい。なお、選択する無線チャネルの個数は、あらかじめ決められていてもよく、または、センシング結果に応じて決められてもよい。後者の場合には、例えば、あらかじめ決められた閾値以上の適切度である無線チャネルから、あらかじめ決められた個数以内の無線チャネルが選択されてもよい。具体的には、その閾値がチャネル利用率30%に設定されており、あらかじめ決められた個数が「3個」である場合には、上記の例において、ch2、ch5を示す統合センシング情報が生成されてもよい。
送信部302は、生成部301によって生成された統合センシング情報を、複数の無線通信装置200に送信する。その送信は、あらかじめ決められた無線チャネルである制御チャネルを用いて行われてもよい。なお、送信部302が、互いに分離した複数の周波数帯の複数の無線チャネルを利用して送信を行う場合に、統合センシング情報は、複数の無線チャネルを利用して送信されてもよく、または、1個の制御チャネルを利用して送信されてもよい。
また、情報収集装置300が有する受信部101bは、センシング結果を受信すると共に、無線通信装置200から送信された不正装置識別子をも受信してもよい。また、その他の情報をも受信してもよい。
次に、無線通信装置200の動作について、図7のフローチャートを参照して説明する。
(ステップS301)チャネル利用状況観測部201は、センシングの対象となる無線チャネルについて利用状況の観測することによってセンシングを行う。このセンシングは、無線通信を行う可能性のある複数の対象無線チャネルについて行われてもよい。
(ステップS302)チャネル利用状況観測部201は、センシング期間が終了したかどうか判断する。そして、センシング期間が終了した場合には、ステップS303に進み、そうでない場合には、ステップS301に戻る。このようにして、所定のセンシング期間が終了するまでセンシングが継続されることになる。なお、あるセルにおける最初のセンシング期間の開始タイミングは、アクセスポイント(情報収集装置300)によって指定されてもよい。
(ステップS303)送信部202は、センシング期間が終了すると、観測結果に応じたセンシング結果を取得し、そのセンシング結果の送信タイミング(送信時点)を報告期間内においてランダムに決定する。
(ステップS304)送信部202は、ステップS303で決定された送信タイミングが到来したかどうか判断する。そして、到来した場合には、ステップS305に進み、そうでない場合には、ステップS306に進む。
(ステップS305)送信部202は、センシング結果を情報収集装置300に送信する。そして、ステップS304に戻る。
(ステップS306)受信部101aは、他の無線通信装置200が送信したセンシング結果を受信したかどうか判断する。そして、受信した場合には、ステップS307に進み、そうでない場合には、ステップS308に進む。
(ステップS307)受信部101aは、受信したセンシング結果を、記憶部102aに蓄積する。そして、ステップS304に戻る。
(ステップS308)受信部101aは、報告期間が終了したかどうか判断する。そして、報告期間が終了した場合には、ステップS309に進み、そうでない場合には、ステップS304に戻る。
(ステップS309)閾値取得部103aは、それまでに受信された各ラウンドのセンシング結果を用いて、閾値を取得する。この処理の詳細は、図6のフローチャートを用いて説明したとおりである。
(ステップS310)不正検出部104aは、ステップS309で取得された閾値を用いて、最新の報告期間で受信されたセンシング結果について不正の検出を行う。この処理の詳細は、図5のフローチャートを用いて説明したとおりである。
(ステップS311)送信部202は、ステップS310で取得された不正装置識別子を、情報収集装置300に送信する。
(ステップS312)受信部101aは、情報収集装置300から送信された統合センシング情報を受信する。無線通信装置200において、例えば、その統合センシング情報に応じた無線チャネルを用いた無線通信が行われてもよい。そして、センシング結果の送信や不正の検出等の一連の処理は終了となる。
なお、図7のフローチャートの処理は、各無線通信装置200において繰り返して実行されることになる。また、ステップS301~S303のセンシング結果の取得の処理と、ステップS304~S311のセンシング結果の送信と不正検出の処理とは、並列して行われてもよい。
次に、情報収集装置300の動作について、図8のフローチャートを参照して説明する。
(ステップS401)受信部101bは、報告期間が始まったかどうか判断する。そして、報告期間が始まった場合には、ステップS402に進み、そうでない場合には、報告期間が始まるまで、ステップS401の処理を繰り返す。例えば、情報収集装置300が、各無線通信装置200にセンシング期間の開始タイミングを通知している場合には、受信部101bは、その開始タイミングからセンシング期間の長さだけ経過した際に、報告期間が開始したと判断してもよい。
(ステップS402)受信部101bは、無線通信装置200から送信されたセンシング結果を受信したかどうか判断する。そして、センシング結果を受信した場合には、ステップS403に進み、そうでない場合には、ステップS404に進む。
(ステップS403)受信部101bは、受信したセンシング結果を記憶部102bに蓄積する。そして、ステップS402に戻る。
(ステップS404)受信部101bは、報告期間が終了したかどうか判断する。そして、報告期間が終了した場合には、ステップS405に進み、そうでない場合には、ステップS402に戻る。
(ステップS405)閾値取得部103bは、それまでに受信された各ラウンドのセンシング結果を用いて、閾値を取得する。この処理の詳細は、図6のフローチャートを用いて説明したとおりである。
(ステップS406)不正検出部104bは、ステップS405で取得された閾値を用いて、最新の報告期間で受信されたセンシング結果について不正の検出を行う。この処理の詳細は、図5のフローチャートを用いて説明したとおりである。
(ステップS407)受信部101bは、無線通信装置200から送信された不正装置識別子を受信する。
(ステップS408)生成部301は、最新の報告期間で受信されたセンシング結果から、ステップS406で不正が検出されたセンシング結果と、ステップS407で受信した不正装置識別子から送信されたセンシング結果とを除外して、統合センシング情報を生成する。
(ステップS409)送信部302は、ステップS408で生成された統合センシング情報を無線通信装置200に送信する。そして、ステップS401に戻る。
このようにして、協調センシングにおいて、悪意のある無線通信装置200から送信された不正なセンシング結果を検出して除外することができるようになり、不正なセンシング結果の送信が行われたとしても、より正確な通信状況を把握することができ、通信状況に応じた無線リソースの活用を実現することができるようになる。
なお、ここでは、無線通信装置200と情報収集装置300との両方において不正の検出が行われる場合について説明したが、そうでなくてもよい。無線通信装置200においては、不正なセンシング結果の検出は行われなくてもよい。その場合には、情報収集装置300は、不正なセンシング結果の検出を行うことが好適である。また、情報収集装置300においては、不正なセンシング結果の検出は行われなくてもよい。その場合には、無線通信装置200は、不正なセンシング結果の検出を行うことが好適である。そして、情報収集装置300は、受信した複数のセンシング結果から、受信した不正装置識別子から送信されたセンシング結果を除外して、統合センシング情報を生成して、各無線通信装置200に送信してもよい。
ここで、無線通信装置200においても不正の検出を行うメリットについて簡単に説明する。通常、無線通信装置200において検出された不正は、情報収集装置300においても検出することができる。しかしながら、そうではない場合もありうる。例えば、図12で示されるように、情報収集装置300で受信した複数のセンシング結果(実線および破線のセンシング結果)には、隣接した適切度の間隔に閾値を超える箇所はなかったとする。すると、情報収集装置300では、不正なセンシング結果は検出されないことになる。一方、ある無線通信装置200において受信した破線で示されるセンシング結果には、隣接した適切度の間隔に閾値を超える箇所があり、適切度の低い方の2個のセンシング結果SR1,SR2が不正と判断されたとする。すると、そのセンシング結果の送信元の不正装置識別子が情報収集装置300に送信されることによって、情報収集装置300は、その2個のセンシング結果SR1,SR2が不正なセンシング結果であることを知ることができ、それらを除外して統合センシング情報を生成することができ、統合センシング情報の精度を高めることができることになる。
次に、不正なセンシング結果の検出を行う無線通信装置200および情報収集装置300の変形例について説明する。
各ラウンドにおいて、すべての無線通信装置200がセンシング結果を情報収集装置300に送信する場合について説明したが、そうでなくてもよい。例えば、あるラウンドにおいては、すべての無線通信装置200がセンシング結果を情報収集装置300に送信し、別のラウンドにおいては、一部の無線通信装置200がセンシング結果を情報収集装置300に送信するようにしてもよい。後者の場合を「選択的な報告」と呼ぶことにする。選択的な報告においては、例えば、各無線通信装置200は、自装置での観測に応じたセンシング結果の方が、他の無線通信装置から送信されたセンシング結果よりも、無線チャネルが利用に適していることを示す適切度が高い場合には、自装置のセンシング結果を送信しないように送信部202を制御する送信制御部をさらに備えてもよい。すなわち、報告期間において、無線通信装置200が、自装置での観測に応じたセンシング結果を送信するまでに、その自装置のセンシング結果よりも適切度の低いセンシング結果を他の無線通信装置200から受信した場合には、自装置のセンシング結果を送信しなくてもよい。そのようにすることで、不要なセンシング結果の送信を低減することができるからである。送信制御部による送信の制御は、例えば、複数の無線チャネルに関する協調センシングにおいて行われてもよく、1つの無線チャネルに関する協調センシングにおいて行われてもよい。1つの無線チャネルに関する協調センシングが行われる場合には、無線通信で用いる無線チャネルの選択のために、センシング結果が用いられてもよい。その無線チャネルの決定をアクセスポイントAP(情報収集装置)において行う場合には、アクセスポイントAPにおけるセンシング結果の統合や、その統合された統合センシング情報の各無線通信装置STAへの送信は行われなくてもよい。また、選択的な報告については、例えば、次の文献を参照されたい。
文献:Rui Teng, Kazuto Yano, Tomoaki Kumagai,「An Efficient Distributed-Reporting Approach for Cooperative Sensing in Wireless-LAN System」、電子情報通信学会ソサイエティ大会、2017年
なお、選択的な報告を行う報告期間と、不正の検出を行う報告期間(すなわち、すべてのセンシング結果が送信される報告期間)とが、情報収集装置300によって指定されてもよい。そして、選択的な報告を行う報告期間においては、上記のように、選択的な報告が行われ、不正の検出を行う報告期間においては、すべての無線通信装置200からセンシング結果が送信されてもよい。そのような場合に、悪意のある無線通信装置200は、不正の検出を行う報告期間においては、不正なセンシング結果を送信しないことも考えられる。したがって、そのことを考慮して、情報収集装置300は、事後的に不正の検出を行う報告期間であることを通知してもよい。例えば、無線通信装置200は、各ラウンドが選択的な報告を行う報告期間であるとしてセンシング結果の送信を行い、その報告期間が終了した後に、情報収集装置300から全センシング結果の送信が要求された場合に、センシング結果を送信していなかった無線通信装置200も、センシング結果を送信するようにしてもよい。通常、不正なセンシング結果は適切度が低いため、選択的な報告において送信されている可能性が高いと考えられる。そのため、上記のようにして、全センシング結果が送信されることによって、事後的に、選択的な報告において送信されたセンシング結果が不正なものであったことを検出できるようになる。
また、そのような選択的な報告を行う場合に、情報収集装置300の送信部302は、不正なセンシング結果を送信した無線通信装置200を識別する不正装置識別子を含むブラックリストをも複数の無線通信装置200に送信してもよい。そのブラックリストに含まれる不正装置識別子は、例えば、不正検出部104bによって不正が検出されたセンシング結果を送信した無線通信装置200の不正装置識別子であってもよく、受信部101bによって受信された不正装置識別子であってもよく、その両方であってもよい。ブラックリストに、不正なセンシング結果を送信する装置の不正装置識別子をすべて含めることが好適であるため、不正検出部104bによって不正の検出されたセンシング結果の送信元の不正装置識別子と、受信部101bによって受信された不正装置識別子との両方がブラックリストに含まれることが好適である。
情報収集装置300から送信されたブラックリストは、無線通信装置200の受信部101aによって受信されてもよい。そして、上記送信制御部は、ブラックリストに含まれる不正装置識別子で識別される無線通信装置200から送信されたセンシング結果は、選択的な報告における制御に用いないようにしてもよい。このようにすることで、選択的な報告のラウンドにおいても、不正なセンシング結果によって、適切なセンシング結果の送信が妨げられる可能性が低減されることになる。なお、この場合には、情報収集装置300においては、ブラックリストに含まれる無線通信装置200から送信されたセンシング結果を用いないで統合センシング情報が生成されることが好適である。
また、本実施の形態では、不正検出装置100が、無線通信装置200や情報収集装置300に含まれる場合について主に説明するが、そうでなくてもよい。不正検出装置100は、無線通信装置200や情報収集装置300とは別の装置であってもよい。その場合には、不正検出装置100によって検出された不正なセンシング結果や、その不正なセンシング結果の送信元を識別する不正装置識別子が出力され、その出力された不正の検出結果や不正装置識別子が、無線通信装置200や情報収集装置300において用いられてもよい。
また、本実施の形態では、不正検出装置100が閾値取得部103を備える場合について説明したが、そうでなくてもよい。不正検出装置100は、閾値取得部103を備えていなくてもよい。その場合であって、不正検出部104が閾値を用いて不正の検出を行う場合には、あらかじめ決められた閾値を用いて不正の検出を行うようにしてもよい。また、不正検出部104は、閾値を用いないで不正の検出を行ってもよい。そのような手法について、簡単に説明する。
不正検出部104は、例えば、1個のラウンドの複数のセンシング結果において、適切度の最小側からK個のセンシング結果を除外し、適切度の最大側からK個のセンシング結果を除外する。ここで、Kは、1以上の整数であり、通常、1や2のように小さな値であることが好適である。このようにして、不正なセンシング結果を除外できると共に、除外後においても、複数のセンシング結果における平均値等が大きく変化しないようにすることができる。その後、不正検出部104は、除外後のセンシング結果において、平均値と、標準偏差(σ)とを算出し、平均値-3σよりも低い適切度のセンシング結果を、不正なセンシング結果として検出してもよい。センシング結果が正規分布に似た分布となる場合には、このような方法によっても不正を検出することができる。
次に、互いに分離した複数の無線チャネルを用いた通信について説明する。
図13は、複数の互いに分離した周波数帯域における無線チャネルを説明するための概念図である。
図13では、例として、横軸を周波数とし、免許不要帯域として、上述した920MHz帯、2.4GHz帯と5GHz帯を示す。各周波数帯域には、それぞれ、通信において選択的に使用される複数の無線チャネルが含まれる。
ここで、後述する本実施の形態の無線通信装置については、一般的に、互いに分離した複数の周波数帯域を用いて、同一の無線方式または異なる無線方式で同期したタイミングで同時並行的に通信を行う送信装置に適用することが可能である。
図14は、本実施の形態の無線通信システムの構成を説明するための概念図である。
図14を参照して、送信側では、920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯の3つの周波数帯を使用することを前提に、各帯域で無線チャネルを1つずつ使用するものとして、送信フレームを構成する。
なお、各周波数帯で、複数チャネルを使用することとしてもよいが、以下では、周波数帯ごとに1チャネルを使用するものとして説明する。
本実施の形態では以下の特徴を有する無線アクセス制御を行う。
すなわち、まず、送信側では、後述するような方法で複数周波数帯の利用状況(各無線チャネルの空き状況など)をセンシングして観測する。
続いて、送信側では、あるタイミングで、1つ以上の未使用な周波数帯・無線チャネルで同時に無線パケット(フレーム)を送信する。このとき、送信データを複数帯域にマッピングして送信する。
一方で、受信側では複数帯域を一括受信してデータを統合する。
送受信において、このような構成にすると、帯域間で混雑状況に偏りがあっても送信機会を確保できるため周波数利用効率の向上と伝送遅延の低減が期待でき、またデータの到着順番が入れ替わるような問題も発生しない。
図15は、送信データを複数帯域にマッピングして送信し、受信側で一括受信して統合するための具体例を説明するための図である。
図15に示すように、送信データの系列を使用する各帯域の伝送レートRiに比例するシンボル数ずつ区切って各帯域に、シリアル/パラレル変換により割り当てる。
例えば、(5GHz帯伝送レート:2.4GHz帯伝送レート:920MHz帯伝送レート)=(R1:R2:R3)=(3:2:1)ならば、送信データの系列を6シンボル毎に区切り、5GHz帯(ch1)、2.4GHz帯(ch2)、920MHz帯(ch3)にはその中の3シンボル、2シンボル、1シンボルを割り当てる。なお、送信系列を分割して割り当てる際には、このような場合に限定されず、より一般には、m個の周波数帯を使用する場合は、周波数帯の伝送レートの比を、(R1:R2:…:Rm)(比率は、既約に表現されるとする)とするとき、送信系列を(R1+R2+…+Rm)×n(m,n:自然数)シンボル毎に区切り、各チャネルには、(R1×n)シンボル、(R2×n)シンボル、…、(Rm×n)シンボルを割り当てるものとしてもよい。
そのような割り当ての後に、各帯域ごとに、送信シンボルに対して物理ヘッダをつけて、パケットとし、これらのパケットを同一タイミングで同時並列的に送信する。
送信側で各帯域に割り当てられたシンボル数については、この物理ヘッダ内に情報として格納するか、送信前に制御情報として予め設定される。
受信側では、各帯域上の物理ヘッダを利用して同期と復調処理を行う。復調された各系列を送信側と逆の処理で、パラレル/シリアル変換により結合し、フレームの復号を行う。
[送信装置の構成]
図16は、本実施の形態の送信装置1000の構成を説明するための機能ブロック図である。
図16を参照して、送信装置1000は、送信データの系列に対して、誤り訂正符号化処理を行うための誤り訂正符号化部1110と、誤り訂正符号化後のデータに対してインターリーブ処理を行うインターリーブ部1112と、図15で説明したように各周波数帯域に割り当てる処理をするためのシリアル/パラレル変換(以下、S/P変換)部1010と、S/P変換後のデータに対して、周波数帯域ごとに、マッピング処理や物理ヘッダの付加など、所定の無線通信方式で通信するための無線フレーム(パケット)を形成するデジタル処理を実行するための無線フレーム生成部1020.1~1020.3と、無線フレーム生成部1020.1~1020.3からのデジタル信号に対して、それぞれ、デジタルアナログ変換処理、所定の変調方式への変調処理(例えば、所定の多値変調方式のための直交変調処理)、アップコンバート処理、電力増幅処理などを実行する高周波処理部(RF部)1040.1~1040.3と、RF部1040.1~1040.3の高周波信号をそれぞれ送出するためのアンテナ1050.1~1050.3とを含む。RF部1040.1~1040.3の動作は、これらに共通に設けられた局部発振器1030からのクロックに基づいて制御される。
さらに、送信装置1000は、各周波数帯(各周波数帯の中では1つ以上の無線チャネル)の利用状況(各無線チャネルの空き状況など)を観測するチャネル利用状況観測部201と、チャネル利用状況観測部201の観測に基づいて、所定のタイミングでのチャネル利用状況を予測するチャネル利用状況予測部1070と、無線フレーム生成部1020.1~1020.3の処理タイミングおよびRF部1040.1~1040.3での送信タイミングを制御して、制御された同一の送信タイミングにおいて所定の期間につき未使用な周波数帯・無線チャネルで同時に無線パケットを送信するように制御するアクセス制御部1080と、観測された利用状況に応じたセンシング結果を情報収集装置に送信するための送信部202と、不正検出装置100aとを含む。なお、不正検出装置100aの構成は、上記説明のとおりであり、その説明を省略する。
ここで、チャネル利用状況観測部201が上述したキャリアセンスおよびチャネルセンシングを実行する構成とする。
ここで、アクセス制御部1080は、送信時に候補となる対象帯域をキャリアセンスした結果に応じて使用可能であると判明したチャネルを選択し使用して、制御された同一の送信タイミングにおいて未使用な周波数帯・無線チャネルで同時に無線パケットを送信することになる。また、アクセス制御部1080は、不正検出装置100aの受信部101aで受信された統合センシング情報に基づいて、送信タイミングの制御を行う。統合センシング情報に基づいてとは、統合センシング情報を用いて決定された1つまたは複数の無線チャネル、または、統合センシング情報によって示される1つまたは複数の無線チャネルにおいて、無線パケットの送信を行うことである。前者の場合には、例えば、無線通信装置において、統合センシング情報に基づいて、無線通信で用いる1つまたは複数の無線チャネルを決定してもよい。
チャネル利用状況予測部1070の詳しい動作の例については後述する。ただし、チャネル利用状況観測部201の観測結果を直接用いて、現時点で利用可能と判断された周波数帯を用いるように、アクセス制御部1080が送信タイミングを制御する構成としてもよい。
このような構成の送信装置1000により、図15で説明したように、データを複数帯域にマッピングして送信し、受信側では複数帯域を一括受信してデータを統合する。
送信部202は、送信対象のセンシング結果や不正装置識別子を、送信対象のデータとして誤り訂正符号化部1110に入力する。そして、上記のように変調等が行われ、センシング結果が情報収集装置であるアクセスポイントAPに送信される。なお、その送信は、あらかじめ決められた1つの周波数帯によって送信されてもよい。例えば、アクセスポイントAPと端末との間で2.4GHz帯の制御チャネルを用いて制御信号等の送受信を行うことになっていた場合には、センシング結果は、その2.4GHz帯のみで送信されてもよい。なお、図16では、送信部202が、送信に関する後段の構成、例えば、誤り訂正符号化部1110や無線フレーム生成部、RF部等を含まない場合について示しているが、送信部202は、そのような送信に関する後段の構成の一部または全部を有していてもよい。
不正検出装置100aの受信部101aは、他の無線通信装置から送信されたセンシング結果や、情報収集装置から送信された統合センシング情報を、後述する誤り訂正部4040から受け取ってもよい。したがって、本発明の無線通信装置は、後述する受信装置の構成をも有していてもよい。他の無線通信装置から送信されたセンシング結果は、その送信元の無線通信装置における観測に応じたセンシング結果である。なお、受信部101aについても、受信に関する前段の構成、例えば、後述するRF部やデジタル信号処理部2800、誤り訂正部4040等を含まない場合について示しているが、受信部101aは、そのような受信に関する前段の構成の一部または全部を有していてもよい。また、センシング結果が、あらかじめ決められた1つの周波数帯によって送信される場合には、そのセンシング結果も、その1つの周波数帯によって受信されることになる。
このように、無線通信装置200が、互いに分離した複数の周波数帯のそれぞれでランダムアクセス制御を行っている複数の無線チャネルを利用して通信を行う場合には、上記の送信装置1000や、後述する受信装置2000と同様の構成を有していてもよい。また、情報収集装置300が、互いに分離した複数の周波数帯のそれぞれでランダムアクセス制御を行っている複数の無線チャネルを利用して通信を行う場合にも、上記の送信装置1000や、後述する受信装置2000と同様の構成を有していてもよい。なお、その場合には、送信装置1000は、不正検出装置100aや送信部202に代えて、不正検出装置100bや送信部302を有していてもよく、また、生成部301をさらに有していてもよい。
[無線通信装置の詳細な構成]
図17は、送信装置1000のより詳細な構成の例を説明するための機能ブロック図である。
図17に示した機能ブロック図は、一例として、無線通信規格802.11aと同様の無線通信方式に従う送信装置の構成を示す。
すなわち、無線通信規格802.11aは、5GHz帯の無線LAN通信方式であるものの、図17では、2.4GHz、920MHz帯でも、周波数帯が異なるだけで、それ以外は同様の構成の無線通信方式に従う送信部を使用するものとする。
したがって、各周波数帯域において、パケットのプリアンブル部分の構成などは、複数の周波数帯について共通であるものとする。
ただし、必ずしも、各周波数帯の無線通信方式が同様の構成を有していることは必須ではなく、周波数帯ごとに無線通信方式(信号形式、シンボル長やサブキャリア間隔など)が異なっていてもよい。この場合は、少なくとも単一の送信系列を各帯域に分割して同時に送信し、また、周波数帯が異なる以外は、RF部の構成が基本的に同一であればよく、パケットのプリアンブル部分の構成(プリアンブルの長さなど)が、複数の周波数帯ごとに異なっていてもよい。
図17では、5GHz帯の送信に係る構成を代表して例示的に示す。無線通信規格802.11aと同様の無線通信方式を想定しているので、伝送する信号は、OFDM(直交周波数分割多重)変調するものとする。
図17を参照して、無線フレーム生成部1020.3は、S/P変換部1010から分配された送信データを受けて、マッピング処理を実行するためのマッピング部1122と、逆フーリエ変換処理を実行するためのIFFT部1130と、ガードインターバル部分を付加するためのGI付加部1140と、デジタル信号をI成分およびQ成分のアナログ信号に変換するためのデジタルアナログコンバータ(DAC)1150とを含む。図17に示すように、無線フレーム生成部1020.1~1020.3は、ベースバンド処理部ということもできる。また、S/P変換部1010および無線フレーム生成部1020.1~1020.3ではデジタル信号処理が行われるため、それらを総称してデジタル信号処理部と呼ぶ。
高周波処理部1040.3は、DAC1150からの信号を所定の多値変調信号に変調するための直交変調器1210と、直交変調器1210の出力をアップコンバートするアップコンバータ1220と、アップコンバータ1220の出力を電力増幅しアンテナ1050.3から送出するための電力増幅器1230とを含む。
その結果、RF部1040.3により、基底帯域OFDM信号は搬送帯域OFDM信号に変換される。
さらに、高周波処理部1040.3は、局部発振器1030からの参照周波数信号を対応する周波数帯域の基準クロック信号に変換するためのクロック周波数変換部1310と、クロック周波数変換部1310からの基準クロックに基づいて、直交復調器1210での変調処理に使用するクロックを生成するクロック生成部1320と、クロック周波数変換部1310からの基準クロックに基づいて、アップコンバータ1220でのアップコンバート処理に使用するクロックを生成するクロック生成部1340とを含む。
すなわち、局部発振器1030からの参照周波数信号は、このような基底帯域OFDM信号から搬送帯域OFDM信号への変換におけるクロック信号として使用される。なお、より一般に、無線通信方式が異なる場合でも、基本的に、局部発振器1030からの参照周波数信号は、基底帯域信号から搬送帯域信号への変換におけるクロック信号として使用される。
なお、チャネル利用状況観測部201の構成および動作については、上述した協調センシングの方式で説明したものと同様のものを使用することができる。
チャネル利用状況観測部201は、自局のセンシング結果および/または分担局のセンシング結果により、各周波数帯の利用状況(例えば各無線チャネルの空き状況やビジー確率等)を観測し、チャネル利用状況予測部1070は、各周波数帯の直近の利用状況を予測し、それに応じて、アクセス制御部1080が送信タイミングの制御を実行する。
[受信装置の構成]
以下では、図15で説明したような無線通信システムで使用される受信装置の構成について説明する。
図18は、本実施の形態の受信装置2000の構成を説明するための機能ブロック図である。
図18を参照して、受信装置2000は、複数の周波数帯域(920MHz帯、2.4GHz帯、5GHz帯)の信号をそれぞれ受信するためのアンテナ2010.1~2010.3と、アンテナ2010.1~2010.3の信号のダウンコンバート処理、復調・復号処理などの受信処理を実行するための受信部2100.1~2100.3と、受信部2100.1~2100.3に対して共通に設けられ、受信部2100.1~2100.3の動作の基準となるクロックである参照周波数信号を生成する局部発振器2020と、受信部2100.1~2100.3からの信号の各系列を送信側と逆の処理で、パラレル/シリアル変換により結合するためのパラレル/シリアル変換部2700とを含む。
パラレル/シリアル(P/S)変換部2700からの統合されたフレームの出力は、上位レイヤーに受け渡される。
受信装置2000は、受信した信号のプリアンブル信号から局部発振器2020の周波数オフセットの検出を行って、局部発振器2020の発振周波数を制御するための信号(発振周波数制御信号)を生成し、搬送波周波数同期処理を行い、また、受信した信号からデジタル信号処理におけるタイミング同期をとるための信号(同期タイミング信号)を生成する同期処理部2600を含む。
受信部2100.1は、アンテナ2010.1からの信号を受けて、低雑音増幅処理、ダウンコンバート処理、所定の変調方式に対する復調処理(例えば、所定の多値変調方式に対する直交復調処理)、アナログデジタル変換処理等を実行するための高周波処理部(RF部)2400.1と、RF部2400.1からのデジタル信号に対して、復調・復号処理等のベースバンド処理を実行するためのベースバンド処理部2500.1を含む。
受信部2100.2も、対応する周波数帯域についての同様の処理を行うための高周波処理部(RF部)2400.2ならびにベースバンド処理部2500.2を含む。また、受信部2100.3も、対応する周波数帯域についての同様の処理を行うための高周波処理部(RF部)2400.3ならびにベースバンド処理部2500.3を含む。
ベースバンド処理部2500.1~2500.3およびパラレル/シリアル(P/S)変換部2700を総称して、デジタル信号処理部2800と呼ぶ。
図19は、図18に示した受信装置2000のより詳細な構成の例を説明するための機能ブロック図である。
図19に示した機能ブロック図でも、一例として、無線通信規格802.11aと同様の無線通信方式に従う受信装置の構成を示す。
したがって、受信装置の構成は、図17に示した送信装置の構成に対応するものである。
図19でも、5GHz帯の受信部2100.3の構成を代表して例示的に示す。
図19を参照して、受信部2100.3のRF部2400.3は、アンテナ2010.3からの受信信号を増幅するための低雑音増幅器3010と、低雑音増幅器3010の出力を周波数変換するためのダウンコンバータ3020と、ダウンコンバータ3020の出力を所定の振幅となるように制御するための自動利得制御器3030と、所定の多値変調信号を復調するための直交復調器3040と、直交復調器3040のI成分出力およびQ成分出力をそれぞれデジタル信号に変換するためのアナログデジタルコンバータ(ADC)3050とを含む。
RF部2400.3は、さらに、局部発振器2020からの参照周波数信号を対応する周波数帯域の基準クロック信号に変換するためのクロック周波数変換部3060と、クロック周波数変換部3060からの基準クロックに基づいて、ダウンコンバータ3020でのダウンコンバート処理に使用するクロックを生成するクロック生成部3070と、クロック周波数変換部3060からの基準クロックに基づいて、直交復調器3040での復調処理に使用するクロックを生成するクロック生成部3080とを含む。
無線通信規格802.11aと同様の無線通信方式を想定しているので、伝送されてきた信号は、OFDM(直交周波数分割多重)変調されている。その結果、RF部2400.3により、搬送帯域OFDM信号は、基底帯域OFDM信号に変換される。
そして、局部発振器2020からの参照周波数信号は、このような搬送帯域OFDM信号から基底帯域OFDM信号への変換における搬送周波数同期に使用される。なお、より一般に、無線通信方式が異なる場合でも、基本的に、局部発振器2020からの参照周波数信号は、搬送帯域信号から基底帯域信号への変換における搬送周波数同期に使用される。
ベースバンド処理部2500.3は、ADC3050からの信号を受けて、ガードインターバル部分を除去するためのGI除去部4010と、ガードインターバルが除去された信号に対して、高速フーリエ変換を実行するためのFFT部4020と、FFT部4020の出力に対して、デマッピング処理を実行するためのデマッピング部4032とを含む。
ベースバンド処理部2500.1~2500.3において、ガードインターバルの除去、FFT処理およびデマッピング処理を実施した後に、受信データについて、P/S変換部2700により各周波数帯の信号を結合した後に、デインターリーブ部4042によるデインターリーブ処理および誤り訂正部4040による誤り訂正処理を実行する。
ここで、同期処理部2600から出力される同期タイミング信号は、OFDMシンボルの始まりを検出するためのシンボルタイミング同期などに使用される。
より一般に、無線通信方式が異なる場合でも、基本的に、同期処理部2600から出力される同期タイミング信号は、ベースバンド処理における同期信号として使用される。
以上のような構成により、複数の互いに分離した周波数帯域で同時並行に通信をする場合に、多チャネルの同時センシングを効率的に実行できる。また、各送信データを複数周波数帯域にマッピングし、送信タイミングを調整してデータ伝送を行うことが可能である。
(予測センシング)
以下では、協調センシングにより得られたチャネルの利用状況の情報に基づき、チャネル利用状況予測部1070により、チャネルのビジー状態またはアイドル状態となる確率を予測する構成について説明する。まず、チャネル利用状況観測部201およびチャネル利用状況予測部1070の動作を説明する前提として、用語の説明のために、無線LANにおいて、各端末からの送信の衝突を回避する一般的な方法について簡単に説明する。
無線LANでは、お互いに送信を待ち合わせないとパケットが衝突して効率的な通信が成り立たないため、ほかに送信信号がないことを確認してから送信することで複数の端末が同じ回線を共用する「CSMA(Carrier Sense Multiple Access)」と呼ばれる方式が採用されている。送信時には、「待ち時間(DIFS:Distributed access Inter Frame Space)」および「コンテンション・ウィンドウ(CW:Contention Window)」と呼ぶランダム性を有する待ち時間を設け、その後に、ほかに送信信号がないことを確認してから送信する。このような方式を「CA(Collision Avoidance、衝突回避)」と呼ぶ。
また、送信後には、必ず「ACK(ACKnowledgement、到着確認応答)」を待ち、ACKが戻らない場合は衝突などが起きたと判断して再送信を行う。これは無線の場合、送信中に衝突を確実に検出するのが困難なためである。
これ以外にも、無線LAN固有のアクセス制御の仕組みとして、例えば、隠れ端末対策のために考案された「RTS/CTS(Request to Send/Clear to Send)」がある。ここで、隠れ端末とは、自分からは電波圏外だが、通信相手の電波圏内にいる端末のことである。その存在を直接知ることはできないが、干渉を引き起こす。
電波の到達距離をLmと仮定すると、無線端末Aの通信相手B(アクセスポイント)がLm先におり、さらにそのLm先に別の無線端末Cがいるという状況を考える。
このとき、端末Cの電波は端末Aまで届かないため、端末Aがほかの端末が信号を送出しているか調べても(キャリアセンスしても)端末Cの存在がわからないことから、端末Cは端末Aの隠れ端末になる。何も対策をとらないと、端末CがアクセスポイントBに送信中であっても、端末AもアクセスポイントBにデータを送信してしまうことが起きてしまうことになる。これは、アクセスポイントBで衝突を引き起こし、スループットを下げる要因になる。
RTS/CTSとは、無線機器が送信前に「RTS(送信要求)」のパケットを送信し、受信側がRTSを受信した場合には「CTS(受信可能)」で応答する仕組みである。前述の例では、端末CはアクセスポイントBにまずRTSを送信する。ただし、このRTSは、端末Aには届かないとする。
その後、アクセスポイントBは、端末Cに対してCTSを送信することで受信可能なことを通知する。このCTSは、端末Aにも届くため、端末Aは近隣で通信が行なわれることを察知し、送信を延期する。RTS/CTSのパケットには、チャネルの占有予定期間が書かれており、その間これを受信した端末は通信を保留する。この期間を「NAV(Network Allocation Vector、送信禁止期間)」と呼ぶ。
チャネル利用状況観測部201からチャネル利用状況予測部1070に与えられる所定期間についての観測・計測の結果から、チャネル利用状況予測部1070が算出および予測する各無線チャネルの利用状況統計量としては、以下のようなものがある。
a)ビジー(busy)状態となる確率(時間的利用率)
b)ビジー(busy)状態とアイドル(idle)状態の継続時間の確率分布
c)直前のビジー(busy)/アイドル(idle)状態継続時間に対するアイドル(idle)/ビジー(busy)状態の継続時間の発生確率分布(例えば、確率密度関数(PDF:probability density function)や累積確率(CDF:cumulative distribution function))
d)ビジー(busy)状態とアイドル(idle)状態の発生パターン(周期とduty比 : 背景トラヒックが周期的な場合)
以下では、上記のうち、チャネル利用状況予測部1070が算出する予測情報の具体例を説明する。
1)「アイドル(idle)状態の継続時間の発生確率分布」の算出方法
無線LANのフレーム到来間隔τの確率密度関数(PDF)p(τ)は、以下の式(1)で表されるパレート(Pareto)分布に概ね従うことが知られている(以下の文献1を参照)。
文献1:Dashdorj Yamkhin and Youjip Won, "Modeling and analysis of wireless LAN traffic," Journal of Information Science and Engineering, vol. 25, no. 6, pp. 1783-1801, Nov. 2009.
ここで、aは分布形状を決定する係数、τmは最小フレーム到来間隔である。
また、aとτ
mが与えられた場合、τの平均μと分散σ
2は、a>2では以下の式(2)および(3)で与えられる。
例えばIEEE 802.11 DCF規格の場合、データフレームの最小到来間隔は、上述したDIFS+CW以上であるため、CWの最小値をCWminとしたときτm=DIFS+CWminと設定する。アイドル(idle)状態の継続時間をフレーム到来間隔とし、チャネルセンシング結果からμやσ2を計測すれば、上の式を用いて、チャネル利用状況予測部1070は、aの値を推定できる。
そして、aの値が求まれば、アイドル(idle)状態が、τ時間以上継続する確率C(τ)として、チャネル利用状況予測部1070は、次式で表される発生確率分布を得る。
使用予定の無線チャネルがアイドル(idle)状態となった場合、その時点からt後までアイドル(idle)状態が継続する確率は、C(τ)から求めることができる。
2)センシングの結果、アイドル(idle)継続時間とビジー(busy)継続時間が、それぞれ毎回ほぼ同じ時間であり、チャネル利用状況予測部1070がトラヒックが周期的であると判断した場合は、アイドル(idle)状態の継続時間の発生確率分布として、例えば、アイドル(idle)状態開始時時点からアイドル(idle)状態の継続時間の平均値(中央値や最小値でも良い)までの間のアイドル(idle)継続確率を100%、とし、それ以降は0%とするステップ関数としても良い。
3)一方、使用予定の無線チャネルがビジー(busy)状態の場合、飛来しているパケット(フレーム)の物理ヘッダに記載されているフレーム長や、MACフレームに記載されているNAVの値を復号することで、チャネル利用状況予測部1070は、ビジー(busy)状態の継続時間を取得しビジー状態の継続時間を予測することができる。
なお、チャネル利用状況観測部201による無線チャネルの利用状況の観測や、チャネル利用状況予測部1070による予測は、統合センシング情報を用いて各無線通信装置において決定された、無線通信に用いる1つまたは複数の無線チャネルについて、または、統合センシング情報によって示される、無線通信に用いる1つまたは複数の無線チャネルについて、それぞれ行われてもよい。
以上説明した無線通信装置STAやアクセスポイントAP(情報収集装置)ならびにそれらにより実行される協調センシングの構成により、協調センシングにおける不正なセンシング結果の検出を行うことができ、例えば、不正なセンシング結果を除外して通信制御を行うことができる。
また、協調センシングの結果を利用し、複数周波数帯のチャネルを柔軟に選択または同時利用することで無線リソースを無駄なく活用して周波数利用効率向上を実現することが可能となる。
また、本実施の形態では、無線通信装置が無線LAN端末である場合を想定して説明したが、無線通信装置は、無線LAN端末ではなく、センシング結果を送信するが、それに応じた実体的な通信(すなわち、制御用の無線通信ではなく、文字列や画像等を送受信するための無線通信であり、例えば、アクセスポイントAPを介したインターネット通信など)を行わないものであってもよい。したがって、本実施の形態による無線通信装置は、例えば、センシング結果の収集にのみ用いられる装置であってもよい。
また、本実施の形態では、センシング結果に応じて、無線通信で用いられる無線チャネルが決定される場合について説明したが、そのセンシング結果が、各無線通信装置において、BSSにおける観測結果として用いられてもよい。したがって、予測を行わない場合には、情報収集装置から送信された統合センシング情報に応じて、送信タイミングの制御が行われてもよく、予測を行う場合には、その統合センシング情報に応じて、所定のタイミングでのチャネル利用状況が予測されてもよい。そのように、統合センシング情報が送信タイミングの制御や予測に用いられる場合には、センシング結果は、例えば、各無線チャネルがビジー状態であるのか、アイドル状態であるのかの情報であり、統合センシング情報がアクセスポイントAPから各無線通信装置STAに高い頻度で送信されてもよい。また、そのような場合には、アクセス制御部1080が、統合センシング情報に基づいて送信タイミングを制御するとは、統合センシング情報を間接的に用いることであってもよい。
今回開示された実施の形態は、本発明を具体的に実施するための構成の例示であって、本発明の技術的範囲を制限するものではない。本発明の技術的範囲は、実施の形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲の文言上の範囲および均等の意味の範囲内での変更が含まれることが意図される。