JP7244409B2 - シミュレーション装置及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明はシミュレーション装置及びプログラムに関する。
接触する2つの部材の構造解析において、クーロン摩擦力の大きさは、接触面に対して垂直方向に作用する垂直力と摩擦係数との積で表し、クーロン摩擦力の向きは、接触面の相対速度の方向に応じて決定される。
2つの部材の接触面の各部にすべりが生じているか否かのすべり状態を解析する状態解析方法が下記の特許文献1に開示されている。
特開2016-90324号公報
動的陽解法を用いた粒子法、繰込み群分子動力学法では力の釣り合いを解かないため、接触面に位置する粒子(節点)は振動を繰り返しながら摺動する。接触する2つの面は、平均的には摺動方向に移動しているが、個々の粒子には速度の揺らぎが発生している。接触面に位置する個々の粒子について、揺らぎを持つ相対速度に基づいて摩擦力を決定すると、タイムステップごとの摩擦力の向きが様々な方向を向き、クーロン摩擦力を適切に表現できない。例えば、本来、クーロン摩擦力はマクロ的な摺動方向に作用するが、速度の揺らぎを考慮して求めた摩擦力は、摺動方向に対して直交する方向の成分も持つことになる。その結果、摺動方向に作用する摩擦力は、本来発生する摩擦力より小さくなってしまう。
本発明の目的は、適切なクーロン摩擦力を導入して、動的陽解法により2つの部材の構造解析を行うことが可能なシミュレーション装置及びプログラムを提供することである。
本発明の一観点によると、
シミュレーション条件が入力される入力装置と、
前記入力装置に入力されたシミュレーション条件に基づいて、部材を複数の粒子の集まりで表して粒子法を用いて構造解析を行う処理装置と、
出力装置と
を有し、
前記処理装置は、
解析対象の2つの部材が接触している面に位置する複数の粒子にそれぞれ作用する摩擦力の向きを、一方の部材の複数の粒子で定義される基準点と、他方の部材の複数の粒子で定義される基準点との、1タイムステップごとの相対変位ベクトルを積算して得られる積算変位ベクトルに基づいて決定し、
決定された摩擦力に基づいて、前記複数の粒子について運動方程式を解き、
解析結果を前記出力装置に出力するシミュレーション装置が提供される。
本発明の他の観点によると、
解析対象の2つの部材を複数の粒子の集まりで表した解析モデルにおいて、解析対象の2つの部材が接触している面に位置する複数の粒子にそれぞれ作用する摩擦力の向きを、一方の部材の複数の粒子で定義される基準点と、他方の部材の複数の粒子で定義される基準点との、1タイムステップごとの相対変位ベクトルを積算して得られる積算変位ベクトルに基づいて決定する機能と、
決定された摩擦力に基づいて、前記複数の粒子について運動方程式を解く機能と
をコンピュータに実現させるプログラムが提供される。
積算変位ベクトルに基づいて摩擦力の向きを決定することにより、実際の摩擦力を適切に再現したクーロン摩擦力を用いてシミュレーションを行うことができる。
図1Aは、解析対象の2つの部材の一例を示す模式図であり、図1Bは、第1部材及び第2部材を、それぞれ複数の粒子の集まりで表した解析モデルの一部を示す図である。 図2は、実施例によるシミュレーション装置のブロック図である。 図3は、実施例によるシミュレーション方法のフローチャートである。 図4Aは、接触面に位置する複数の粒子によって定義される三角形要素を示す模式図であり、図4Bは、第1部材の複数の三角形要素を示す模式図である。 図5Aは、第1部材の粒子(図1B)に対する第2部材の粒子の相対的な位置の変化を模式的に示す図であり、図5Bは、静止摩擦状態のときに接触面に位置する粒子に作用する摩擦力の物理的意味を説明するための模式図である。 図6は、シミュレーションモデルを示す模式図である。 図7Aは、第1部材と第2部材との接触面に発生する摩擦力の向きを、積算変位ベクトルと平行にしたときの摩擦力の大きさの時間変化を示すグラフであり、図7Bは、摩擦力の向きを、相対速度ベクトルの向きと平行にしたときの摩擦力の大きさの時間変化を示すグラフである。 図8Aは、積算変位ベクトルの大きさを判定上限値に制限することの効果を確認するために行ったシミュレーションにおける滑り部材の移動の軌跡を示すグラフであり、図8Bは、回転角度θ、θの時間変化を示すグラフである。
図面を参照しながら、本発明の実施例によるシミュレーション方法、シミュレーション装置、及びプログラムについて説明する。
図1Aは、解析対象の2つの部材の一例を示す模式図である。第1部材11と第2部材12とが、接触面15で相互に接触している。接触面15に対して垂直な方向に垂直力Fが印加されている。第1部材11に対して第2部材12を接触面15に対して平行な方向に速度vで移動させる。このとき、接触面15に摩擦力Fが発生する。第1部材11に作用する摩擦力Fは速度vと同一の向きであり、第2部材12に作用する摩擦力Fは速度vとは反対向きである。
図1Bは、第1部材11及び第2部材12を、それぞれ複数の粒子21、22の集まりで表した解析モデルの一部を示す図である。第1部材11の複数の粒子21がバネ24で相互に接続されており、第2部材12の複数の粒子22がバネ25で相互に接続されている。接触面15に位置する粒子21、22に摩擦力Fが作用する。接触面15に位置する粒子21、22の各々に作用する摩擦力Fを合計した値は、それぞれ第1部材11、第2部材12に作用する摩擦力Fに等しい。
第1部材11の底面に位置する複数の粒子21の位置を固定し、第2部材12の最上面に位置する複数の粒子22に、垂直力Fを分散して印加することにより、第2部材12に印加する垂直力Fが再現される。第2部材12の1つの側面に位置する複数の粒子22を、強制的に速度vで移動させることにより、第1部材11に対する第2部材12の相対的な速度vが再現される。摩擦力Fについては、後に図4A~図5Bを参照して説明する。
図2は、実施例によるシミュレーション装置のブロック図である。実施例によるシミュレーション装置は、入力装置50、処理装置51、出力装置52、及び外部記憶装置53を含む。入力装置50から処理装置51にシミュレーション条件等が入力される。さらに、オペレータから入力装置50に各種指令(コマンド)等が入力される。入力装置50は、例えば通信装置、リムーバブルメディア読取装置、キーボード等で構成される。
処理装置51は、入力されたシミュレーション条件及び指令に基づいて分子動力学法またはくりこみ群分子動力学法を用いたシミュレーションを行う。処理装置51は、中央処理ユニット(CPU)、主記憶装置(メインメモリ)等を含むコンピュータで実現される。コンピュータが実行するシミュレーションプログラムが、外部記憶装置53に記憶されている。外部記憶装置53には、例えばハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)等が用いられる。処理装置51は、外部記憶装置53に記憶されているプログラムを主記憶装置に読み出して実行する。
処理装置51は、シミュレーション結果を出力装置52に出力する。シミュレーション結果には、解析対象の部材を表す複数の粒子の状態、複数の粒子からなる粒子系の物理量の時間的変化等を表す情報が含まれる。出力装置52は、例えば通信装置、リムーバブルメディア書込み装置、ディスプレイ等を含む。
図3は、実施例によるシミュレーション方法のフローチャートである。
まず、処理装置51が、入力装置50に入力されたシミュレーション条件を取得する(ステップS1)。シミュレーション条件には、第1部材11及び第2部材12の幾何学的形状や相対位置関係を定義する情報、第1部材11及び第2部材12の物性情報、摩擦係数、第1部材11及び第2部材12に加わる外力、速度等が含まれる。
処理装置51は、シミュレーション条件を取得すると、シミュレーション対象の第1部材11及び第2部材12を複数の粒子の集まりで表した解析モデルを定義する(ステップS2)。その後、解析モデルの接触面15(図1A、図1B)に位置する複数の粒子21、22にそれぞれ作用する摩擦力Fを算出する(ステップS3)。摩擦力Fの求め方については、後に図4A~図5Bを参照して説明する。
次に、各粒子21、22について運動方程式を解く(ステップS4)。このとき、接触面15に位置する粒子については、摩擦力Fを作用させる。これにより、1タイムステップが経過した時点の各粒子21、22の状態が得られる。解析を継続する場合には、摩擦力Fを再度算出(ステップS3)し、運動方程式を解いて(ステップS4)タイムステップを進める。解析を終了する場合は、解析結果を出力装置52に出力する(ステップS5)。
次に、図4A~図5Bを参照して、接触面15(図1B)に位置する粒子21、22に作用する摩擦力Fの算出方法について説明する。
まず、図4Aを参照して、摩擦力を及ぼし合う第1部材11の複数の粒子21と、第2部材12の複数の粒子22との組み合わせについて説明する。
図4Aは、接触面15に位置する複数の粒子21、22によって定義される三角形要素を示す模式図である。三角形要素の生成は、周知の種々のアルゴリズムを用いて行うことができる。第1部材11の3個の粒子21によって1つの三角形要素31が定義される。第2部材12の複数の粒子によって定義される複数の三角形要素32(図4Aでは5個の三角形要素32)が、平面視において、1つの三角形要素31と部分的に重なっている。部分的に重なり合っている三角形要素31と三角形要素32との重心の相対変位によって三角形要素の間に摩擦力が発生すると考える。
第1部材11の三角形要素31は、この三角形要素31に部分的に重なる第2部材12の複数の三角形要素32の各々から摩擦力を受ける。この摩擦力を合成することにより、三角形要素31に作用する摩擦力Fjを求めることができる。
図4Bは、第1部材11の複数の三角形要素31を示す模式図である。第1部材11の1つの粒子21を1つの頂点とする複数の三角形要素31(図4Bでは6個の三角形要素31)が定義される。着目する粒子21Aを含む6個の三角形要素31の各々について、三角形要素31に作用する摩擦力Fj(j=1、2、3、4、5、6)を、その頂点に位置する3個の粒子21に、粒子21の質量で重みづけして分配する。3個の粒子21の質量が等しい場合には、粒子21の各々に分配される摩擦力は三角形要素31に作用する摩擦力Fjの1/3になる。着目する粒子21Aに作用する摩擦力Fは、その粒子21Aに分配された摩擦力を合成することにより得られる。
次に、図5A及び図5Bを参照して、三角形要素に作用する摩擦力の求め方について説明する。
図5Aは、第2部材12の1つの三角形要素32(図4A)の重心に対する第1部材11の1つの三角形要素31の重心33の相対的な位置の変化を模式的に示す図である。三角形要素31の3つの頂点に位置する粒子21のそれぞれの速度ベクトルを、それぞれv1、v2、v3と表記し、それぞれの質量をm1、m2、m3と表記すると、重心33の速度ベクトルvcは以下の式で表される。
Figure 0007244409000001
第1部材11の三角形要素31の重心33の速度ベクトルvcと、第2部材12の三角形要素32の重心の速度ベクトルとから、第2部材12の1つの三角形要素32(図4A)の重心に対する第1部材11の1つの三角形要素31の重心33の相対速度ベクトルを求めることができる。
重心33の初期状態からの、接触面15に平行な方向の1タイムステップごとの相対変位ベクトルを積算した積算変位ベクトルをuと表記し、接触面15に平行な方向の相対速度ベクトルをvと表記する。初期状態における積算変位ベクトル及び相対速度ベクトルを、それぞれu(0)、v(0)と表記し、i番目のタイムステップを実行した後の積算変位ベクトル及び相対速度ベクトルを、それぞれu(i)、v(i)と表記する。タイムステップの時間幅をdtと表記する。i番目のタイムステップにおける相対変位ベクトルは、v(i-1)dtと表すことができる。
i番目のタイムステップ実行後の積算変位ベクトルu(i)は、以下の式で表される。
Figure 0007244409000002
積算変位ベクトルu(i)の大きさが、あらかじめ決められている判定上限値umaxを超えたら、積算変位ベクトルu(i)の大きさが判定上限値umaxに等しくなるように、積算変位ベクトルu(i)を補正する。すなわち、下記の補正を行う。
Figure 0007244409000003
積算変位ベクトルu(i+1)は、補正後の積算変位ベクトルu(i)に基づいて算出される。図5Aに示した例では、積算変位ベクトルu(2)の大きさが判定上限値umaxを超えているため、積算変位ベクトルu(2)の大きさをumaxに補正している。積算変位ベクトルu(3)は、補正後の積算変位ベクトルu(2)に基づいて算出される。
次に、第1部材11に対して第2部材12が移動している動摩擦状態(滑り状態)のときに重心33に作用する摩擦力Fjについて説明する。i番目のタイムステップ実行後の状態で、重心33に作用する動摩擦状態の摩擦力Fj(i)を、以下の式を用いて算出する。
Figure 0007244409000004

ここで、μは動摩擦係数であり、F(i)は三角形要素31に作用する垂直力である。三角形要素31に作用する垂直力F(i)は、三角形要素31と32との重なり部分の面積に応じて算出される。なお、第2部材12の三角形要素32(図4A)の重心に作用する摩擦力Fjの向きは、第1部材11の三角形要素31の重心33に作用する摩擦力Fjの向きと反対向きである。式(4)は、摩擦力Fj(i)の大きさが、動摩擦係数μと垂直力Fの大きさとの積に等しいことを意味する。さらに、摩擦力Fj(i)の向きは、積算変位ベクトルu(i)の向きと逆向きであることを意味する。
次に、第2部材12に対して第1部材11が固着している静止摩擦状態(固着状態)のときの摩擦力Fjについて説明する。i番目のタイムステップ実行後の状態で、第1部材11の三角形要素31の重心33に作用する静止摩擦状態の摩擦力Fj(i)として、以下の式を用いて算出する。
Figure 0007244409000005

ここでKは比例定数である。
次に、式(5)の物理的な意味について説明する。
図5Bは、静止摩擦状態のときに三角形要素31、32の重心33、34に作用する摩擦力Fjの物理的意味を説明するための模式図である。静止摩擦状態のときには、重心33と重心34とが、バネ26で接続されていると考える。式(5)の比例定数Kは、このバネ26のバネ定数に相当する。すなわち、重心34に対して重心33が接触面15に平行な方向に変位すると、バネ26によって重心33を元の位置に戻そうとする復元力が作用する。
次に、式(3)に含まれる判定上限値umaxの大きさの一例について説明する。
第1部材11と第2部材12とが相互に固着された静止摩擦状態のときに、第1部材11に対して第2部材12に滑り方向の力を加えると、両者の接触面15に剪断力が発生する。剪断力が最大静止摩擦力以下のときには、固着状態が維持される。剪断力が最大静止摩擦力を越えると、第2部材12が第1部材11に対して滑り始める。
判定上限値umaxを、剪断力と最大静止摩擦力とが釣り合った状態の相対変位ベクトルの大きさと定義すると、判定上限値umaxは以下の式で表される。
Figure 0007244409000006

ここで、Kは、式(5)の比例定数Kを表しており、F(i)は、i番目のタイムステップ後における接触面15に対して垂直な方向に作用する垂直力である。一例として、式(6)を満たすように、判定上限値umaxを設定すればよい。
次に、上記実施例の優れた効果について説明する。
2つの部材の接触面に発生する摩擦力の方向は、2つの部材の相対速度の方向と平行及び反平行である。粒子法を用いて構造解析を行う際に、接触面に位置する粒子の相対速度に基づいて、各粒子に摩擦力を作用させると、摩擦力の向きが相対速度の揺らぎの影響を受けてしまう。この揺らぎの影響を受けると、各粒子に作用する摩擦力の向きが、2つの部材の接触面に発生する実際の摩擦力の向きからずれてしまう。
上記実施例では、図5A、及び式(4)、式(5)に示したように、摩擦力Fj(i)の向きを、相対速度ベクトルv(i)ではなく、積算変位ベクトルu(i)に基づいて決定している。積算変位ベクトルu(i)には、過去の複数の相対速度ベクトルv(i)が累積されている。すなわち、相対速度ベクトルv(i)の揺らぎも累積されている。相対速度ベクトルv(i)の揺らぎはランダムであるため、揺らぎを累積すると複数の揺らぎが打ち消し合って、揺らぎの影響が軽減される。このため、積算変位ベクトルu(i)は、一時的な相対速度ベクトルv(i)の揺らぎの影響を受けにくい。図4Bに示したように、第1部材11の三角形要素31の重心33に作用する摩擦力Fj(i)を合成することによって、粒子21に作用する摩擦力Fを求めるため、粒子21に作用する摩擦力Fは、粒子21の速度ベクトルの揺らぎの影響を受けにくくなる。第2部材12の粒子22に作用する摩擦力Fについても同様である。したがって、各粒子21、22に作用する摩擦力F(i)の向きと、第1部材11と第2部材12との接触面15に発生する摩擦力の向きとの相違を小さくすることができる。これにより、構造解析の精度を高めることができる。
計算のタイムステップが進み、1タイムステップ分の相対変位ベクトルv(i-1)dtの大きさに比べて、積算変位ベクトルu(i)が大きくなり過ぎると、現時点の相対速度の向きが摩擦力Fjの向きに反映されにくくなる。上記実施例では、式(3)に示したように、積算変位ベクトルu(i)の大きさが判定上限値umaxを超えたら、積算変位ベクトルu(i)を、その大きさが判定上限値umaxに等しくなるように補正している。このため、現時点の相対速度の向きが摩擦力Fの向きに反映されにくくなるという不都合を回避することができる。
判定上限値umaxを大きくし過ぎると、積算変位ベクトルu(i)の大きさを判定上限値umaxに制限することの効果が薄れてしまう。判定上限値umaxは、2つの部材の接触面15に位置する粒子21、22に作用する剪断力と、最大静止摩擦力とが釣り合った時の相対変位ベクトルの大きさ以下とすることが好ましい。
逆に、判定上限値umaxを小さくし過ぎると、摩擦力Fjの向きは相対速度ベクトルvの揺らぎの影響を受けやすくなる。判定上限値umaxは、1タイムステップの相対変位ベクトルv(i)dtの揺らぎの大きさに比べて十分大きくすることが好ましい。
次に、図6~図7Bを参照して、上記実施例の効果を確認するために行った実際のシミュレーション及びその結果について説明する。
図6は、シミュレーションモデルを示す模式図である。板状の第1部材11の上に板状の第2部材12が載せられており、第1部材11の上面と第2部材12の下面とが接触している。第2部材12の上面に垂直力Fを与える。第1部材11の下面の高さ方向の位置は固定されている。第1部材11と第2部材12との接触面に摩擦力Fが発生する。
第1部材11の1つの側面を、速度vで強制的に移動させる。第2部材12の、速度vとは反対方向を向く側面に、バネ17が取り付けられており、バネ17が伸びると、速度vとは反対向きの復元力が第2部材12の側面に作用する。
図7Aは、第1部材11と第2部材12との接触面に発生する摩擦力の向きを、積算変位ベクトルu(図5A)と平行にしたときの摩擦力の大きさの時間変化を示すグラフである。横軸は経過時間を単位「s」で表し、縦軸は摩擦力の大きさを単位「N」で表す。なお、垂直力Fの大きさを1000N、静止摩擦係数及び動摩擦係数を共に0.3とした。第1部材11及び第2部材12の物性値として、鉄の物性値を用いた。
第1部材11の移動開始直後は、第2部材12が第1部材11に追随して移動する。第2部材12の移動量が大きくなるにしたがって、バネ17が伸ばされてバネ17の復元力が大きくなる。バネ17の復元力が最大静止摩擦力を越えると、第1部材11に対して第2部材12が滑り始める。このときの摩擦力は、垂直力Fの大きさ1000Nに、静止摩擦係数0.3を乗じた300Nである。
図7Aに示したグラフにおいて、摩擦力の大きさが時間の経過とともに負の向きに大きくなっている期間は、第1部材11に対して第2部材12が固着している状態に対応する。第1部材11の強制移動開始時点から約0.13秒経過した時点で、摩擦力の大きさが最大静止摩擦力である300Nに達する。この時点が、第2部材12が第1部材11に対して滑り始めた時点に対応する。本シミュレーションでは、動摩擦係数と静止摩擦係数とを同一に設定しているため、第2部材12が滑り始めた後は、摩擦力の大きさが約300Nで一定になっている。この結果から、実施例によるシミュレーション方法では、各粒子に作用させる摩擦力が、実際の摩擦力をほぼ正確に再現できていることがわかる。
図7Bは、摩擦力の向きを、相対速度ベクトルv(図5A)の向きと平行にしたときの摩擦力の大きさの時間変化を示すグラフである。図7Bに示した例では、時間の経過とともに摩擦力の大きさが大きくなっているが、摩擦力の大きさは、最大静止摩擦力に達することなく低下し始める。これは、シミュレーションの各タイムステップにおいて算出された摩擦力が、本来の摩擦力を再現していないためである。
図6~図7Bに示したシミュレーション結果から、上記実施例によるシミュレーション方法において、クーロン摩擦力を十分正確に再現できていることが確認された。
次に、式(2)で示したように、積算変位ベクトルu(i)の大きさを判定上限値umaxに制限することの効果を確認するために行ったシミュレーション及びその結果について、図8A及び図Bを参照して説明する。本シミュレーションでは、支持面の上に滑り部材を載せて、支持面に対して滑り部材を強制的に移動させた。
図8Aは、本シミュレーションにおいて行った滑り部材40の移動の軌跡を示すグラフである。滑り部材40は、x軸方向に等速度で移動させ、y軸方向に単振動させた。これにより、滑り部材40の軌跡は正弦波の形状になる。x軸から、滑り部材40の相対速度ベクトルvまでの回転角度をθと表記する。x軸から、支持面に作用する摩擦力Fまでの回転角度をθと表記する。
図8Bは、回転角度θ、θの時間変化を示すグラフである。図8Bに示した実線が回転角度θ、θを示す。両者はほぼ一致している。比較のために、積算変位ベクトルu(i)の大きさに制限を設けないでシミュレーションを行った。比較例によるシミュレーションにおいて算出されたx軸から摩擦力Fまでの回転角度をθNFと表記する。図8Bにおいて、回転角度θNFを破線で示している。比較例においては、摩擦力Fの向きが相対速度ベクトルvの向きから大きくずれていることがわかる。
図8A及び図8Bに示したシミュレーションにより、積算変位ベクトルu(i)の大きさが判定上限値umaxを超えないように、積算変位ベクトルu(i)を式(2)に基づいて補正することの効果が確認された。
上記実施例では、積算変位ベクトルu(i)が判定上限値umaxを超えたら、積算変位ベクトルu(i)の大きさを判定上限値umaxに等しくしているが、求められた積算変位ベクトルu(i)の大きさより小さくなるように補正してもよい。
上記実施例では、2つの部材の接触面に位置する粒子を頂点とする三角形要素を定義し、三角形要素の対ごとに摩擦力を求めたが、三角形要素以外の多角形要素を定義し、多角形要素の対ごとに摩擦力を求めてもよい。また、上記実施例では、三角形要素の対ごとに相対変位ベクトルを求める基準点として三角形要素の重心を採用したが、その他の点を基準点として採用してもよい。例えば、三角形要素の幾何学的中心位置等を基準点として採用してもよい。このように、複数の粒子の位置に基づいて基準点を定義すればよい。
上記実施例では、2つの部材の接触面が平面である解析モデルについてシミュレーションを行ったが、接触面は、必ずしも平面である必要はない。例えば、上記実施例によるシミュレーション方法は、滑り軸受の接触面や、ピストンとシリンダとの接触面のような柱面である部材の構造解析にも適用することが可能である。さらに、接触面が球面である部材の構造解析にも適用することが可能である。
上述の実施例は例示であり、本発明は上述の実施例に制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
11 第1部材
12 第2部材
15 接触面
17 バネ
21 第1部材を表す粒子
21A 着目する粒子
22 第2部材を表す粒子
24 第1部材を表す2つの粒子を接続するバネ
25 第2部材を表す2つの粒子を接続するバネ
26 第1部材の接触面上の粒子と第2部材の接触面上の粒子とを接続するバネ
31、32 三角形要素
33、34 三角形要素の重心
40 滑り部材
50 入力装置
51 処理装置
52 出力装置
53 外部記憶装置

Claims (7)

  1. シミュレーション条件が入力される入力装置と、
    前記入力装置に入力されたシミュレーション条件に基づいて、部材を複数の粒子の集まりで表して粒子法を用いて構造解析を行う処理装置と、
    出力装置と
    を有し、
    前記処理装置は、
    解析対象の2つの部材が接触している面に位置する複数の粒子にそれぞれ作用する摩擦力の向きを、一方の部材の複数の粒子で定義される基準点と、他方の部材の複数の粒子で定義される基準点との、1タイムステップごとの相対変位ベクトルを積算して得られる積算変位ベクトルに基づいて決定し、
    決定された摩擦力に基づいて、前記複数の粒子について運動方程式を解き、
    解析結果を前記出力装置に出力するシミュレーション装置。
  2. 前記基準点は、解析対象の2つの部材が接触している面に位置する複数の粒子の位置で定義される複数の三角形要素の各々の重心である請求項1に記載のシミュレーション装置。
  3. 前記処理装置は、
    解析対象の一方の部材の複数の粒子で定義される前記三角形要素と、他方の部材の複数の粒子で定義される前記三角形要素との対ごとに、摩擦力を決定し、
    前記三角形要素の対ごとに決定された摩擦力を、前記三角形要素の頂点に位置する粒子に分配して、粒子に作用する摩擦力を決定する請求項2に記載のシミュレーション装置。
  4. 前記処理装置は、
    あるタイムステップで前記積算変位ベクトルの大きさが判定上限値を超えたら、前記積算変位ベクトルの大きさを、求められた前記積算変位ベクトルの大きさより小さく補正し、次のタイムステップにおいて、補正後の前記積算変位ベクトルに、当該タイムステップにおける相対変位ベクトルを加える請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシミュレーション装置。
  5. 前記処理装置は、
    あるタイムステップで前記積算変位ベクトルの大きさが前記判定上限値を超えたら、前記積算変位ベクトルの大きさを、前記判定上限値に一致するように補正する請求項4に記載のシミュレーション装置。
  6. 前記処理装置は、
    解析対象の2つの部材が静止摩擦状態のときに、2つの部材の接触面に位置する粒子に作用する剪断力と、最大静止摩擦力とが釣り合った時の相対変位ベクトルの大きさを、前記判定上限値とする請求項5に記載のシミュレーション装置。
  7. 解析対象の2つの部材を複数の粒子の集まりで表した解析モデルにおいて、解析対象の2つの部材が接触している面に位置する複数の粒子にそれぞれ作用する摩擦力の向きを、一方の部材の複数の粒子で定義される基準点と、他方の部材の複数の粒子で定義される基
    準点との、1タイムステップごとの相対変位ベクトルを積算して得られる積算変位ベクトルに基づいて決定する機能と、
    決定された摩擦力に基づいて、前記複数の粒子について運動方程式を解く機能と
    をコンピュータに実現させるプログラム。
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