以下に添付図面を参照して、この発明にかかる縁切り方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(システム系統)
まず、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法を適用するシステム系統について説明する。図1は、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法を適用するシステム系統を示す説明図である。
この発明にかかる実施の形態の縁切り方法を適用するシステム系統100は、蒸気を生成するボイラ、ボイラが生成した蒸気によって動作する蒸気タービン、および、蒸気タービンに連結された発電機101によって構成されるボイラ発電設備を含む発電ユニットの一部を構成する。図1においては、ボイラ発電設備の動作に供した蒸気を復水する復水系統110と、復水系統110において復水した復水を給水ポンプ(図示を省略する)に給水する給水系統120と、を示している。
図1に示すように、復水系統110は、復水器111、復水ポンプ112、復水冷却器113、水素クーラー114、アフタークーラー115、インタークーラー116、グランドコンデンサー117を含む。復水器111は、発電機101に連結された蒸気タービンを回転動作させた後の蒸気を冷却(凝縮)して水に戻す、復水をおこなう。
復水器111は、蒸気タービンを回転させた後の蒸気を回収するタンク111aと、タンク111a内に設けられて冷却用の水を流す複数の復水冷却管(図2を参照)と、を備えている。復水器111によって冷却された復水(ホットウェル)は、タンク111a内に溜められる。タンク111a内は真空が維持されている。
復水器111のタンク111aに溜められた復水は、復水ポンプ112により復水冷却器113に送られる。復水器111と復水ポンプ112との間には、バルブ111bが設けられており、当該バルブ111bを開閉することにより、復水器111から復水冷却器113への復水の供給を制御することができる。
復水冷却器113は、復水を冷却する。復水冷却器113によって冷却された復水は、水素クーラー114に送られる。水素クーラー114は、発電機101における発熱部を冷却する。具体的に、水素クーラー114は、たとえば、発電機101における固定子コイルや固定子コアなどを冷却する。
水素クーラー114において発電機101の冷却に供された復水は、アフタークーラー115またはインタークーラー116によって冷却された後に、復水器111のタンク111aまたはグランドコンデンサー117に送られる。グランドコンデンサー117は、グランドシール蒸気マスタによる蒸気タービンのグランドシールに用いるグランド蒸気のうちの漏れ蒸気を、復水と熱交換させることによって凝縮させる。
このように、復水系統110において、復水は、復水器111のタンク111aから復水冷却器113、水素クーラー114、アフタークーラー115またはインタークーラー116、グランドコンデンサー117を順次経由して、再度、復水器111のタンク111aに戻る。復水系統110には、復水電導度を計測する復水電導度計(図示を省略する)が設けられている。復水電導度計は、たとえば、復水器111のタンク111aに設けることができる。
復水電導度計は、常時、復水系統110における復水の復水電導度を測定し、測定した復水電導度に関する情報を発電ユニットの制御部(図示を省略する)に対して出力する。発電ユニットの制御部は、復水電導度計から出力される情報に基づいて、復水電導度が所定の閾値を超える場合に、発電ユニットが備える各部を制御して警報を出力する。具体的に、ユニットの制御部は、たとえば、復水系統110における復水の復水電導度が0.5μs/cmを超える場合に、警報を出力する。
復水器111には、補給水タンク118が接続されている。補給水タンク118は、復水器111に供給する補給水を保持する。補給水タンク118と復水器111との間には、バルブ102が設けられている。システム系統100においては、復水器111で循環させても完全にはなくすことのできない漏れ蒸気が発生する。システム系統100は、適宜バルブを開放し、補給水タンク118が保持する補給水を復水器111に補給することによって、漏れ蒸気としてシステム系統100から漏れ出した水を補填する。
給水系統120は、復水系統110に接続されている。給水系統120は、復水系統110において復水された復水を給水ポンプに給水する。給水系統120と復水系統110との間には、バルブ103が設けられており、このバルブ103を適宜開放することにより、復水系統110において復水された復水を、給水系統120に送ることができる。
給水系統120は、復水系統110において復水された復水を適宜加熱して給水ポンプに給水する。また、給水系統120は、復水系統110において復水された復水を、適宜加熱した後に脱気する。具体的に、給水系統120は、複数段の給水加熱器121~123、脱気器124、複数のバルブ125などを含んで構成されている。
給水加熱器121~123は、復水系統110において復水された復水を、蒸気タービンから抽気された蒸気により加熱する熱交換器であって、出力に応じた段数が配置されている。この実施の形態においては、第1給水加熱器121、第2給水加熱器122および第3給水加熱器123の3段が配置されている。
復水系統110から給水系統120に送られた復水は、直接、あるいは、第1給水加熱器121、第2給水加熱器122または第3給水加熱器123を介して脱気器124に送られる。第1給水加熱器121によって加熱された復水は、第2給水加熱器122または第3給水加熱器123または脱気器124に送られる。第2給水加熱器122によって加熱された復水は、第3給水加熱器123または脱気器124に送られる。第3給水加熱器123によって加熱された復水は、脱気器124に送られる。
脱気器124は、復水系統110において復水された復水に含まれる溶存酸素や炭酸ガスなどの溶存ガスを除去する。脱気器124は、復水系統110において復水された復水に含まれる、復水器111において除去しきれない溶存ガスを除去する。脱気器124は、たとえば、ヒドラジン(N2H4)および亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)などの脱酸素剤を用いて、溶存ガスを化学的に還元することによって、復水系統110において復水された復水に含まれる溶存ガスを除去する。脱気器124により、復水系統110において復水された復水に含まれる溶存ガスを除去することによって、ボイラや配管の腐食を抑制することができる。
給水ポンプに対しては、脱気器124を経由した復水(以下、適宜「給水」という)に加えて、純水タンク119が保持する純水が供給される。純水タンク119は、工業用水に溶存しているカルシウムやマグネシウムなどのイオンを、たとえば、イオン交換樹脂を用いて除去することによって純水を生成する。これにより、カルシウムやマグネシウムなどのイオンがボイラ内で析出することを抑制し、ボイラ内におけるスケールの成長を抑制することができる。純水タンク119には、水張ポンプ119aが接続されており、この水張ポンプ119aを駆動することによって、純水タンク119が保持する純水を給水ポンプへ供給することができる。
(復水器111の構成)
つぎに、復水器111の構成について説明する。図2は、復水器111の構成を概略的に示す説明図である。図2において、復水器111は、上記したように、複数の復水冷却管201を備えている。
複数の復水冷却管201は、タンク111a内に設けられている。複数の復水冷却管201は、それぞれ、管板202によって支持されている。一端が循環水ポンプに接続され、他端が放水口に接続されている(いずれも図示を省略する)。循環水ポンプは、復水冷却管201の内側に冷却用の水を送り込む。復水冷却管201の内側に送り込まれた冷却用の水は、続いて送り込まれる冷却用の水によって押されて、放水口側に向かって流れる。
復水器111は、冷却用の水として海水を使用する。このため、複数の復水冷却管201は、海水系統に接続されており、循環水ポンプは海水を汲み上げて復水冷却管201に送り込む。冷却水として海水を利用することにより、多量に必要とされる冷却用の水を容易に確保することができる。
復水冷却管201は、内側と外側(タンク111aの内側)とが隔絶されている。これにより、冷却用の水として海水を用いた場合にも、復水に海水が混入することを防止することができる。この実施の形態において、上述した復水電導度計は、タンク111a内に設けられている。これにより、復水冷却管201が損傷して、復水冷却管201からタンク111a内に海水が漏れ出す復水器チューブリークが発生したことを迅速に検知することができる。
復水器チューブリークが発生した場合、海水系統から復水冷却管201内にオガクズを投入し、復水器チューブリークが発生した復水冷却管201を塞ぐことによって応急処置を施す。このオガクズが復水冷却管201からとれた場合は、再度、復水電導度が上昇する。このため、復水器チューブリークが発生した場合は、適宜応急処置を施した後、発電ユニットを停止して、復水冷却管201の修理をおこなう。
図3は、復水冷却管201の修理の一例を示す説明図である。図3に示すように、復水冷却管201の修理に際しては、復水器チューブリークが生じている復水冷却管201の両端を栓部材301によって施栓する。具体的に、栓部材301は、ゴム栓302と、ボルト303およびナット304と、締付板305と、によって構成される。
ゴム栓302は、外径寸法が、復水冷却管201の内径寸法よりも小さいあるいは復水冷却管201の内径寸法と同等程度の略円柱形状をなす。ゴム栓302は、軸心方向に沿って貫通する貫通孔を備えている。栓部材301は、ゴム栓302における貫通孔を貫通するようにボルト303を挿入した状態で、復水冷却管201に挿入する。ゴム栓302は、ボルト303の先端が復水冷却管201から飛び出すようにして、復水冷却管201に取り付ける。
そして、ボルト303の先端に締付板305を介してナット304を螺合させ、当該ナット304を締め付ける。これにより、締付板305がボルト303の頭部とナット304とによって圧縮され、この締付板305によって普請されてゴム栓302が径方向に広がり、復水冷却管201を施栓することができる。ボルト303には、締付ナット304aに加えて、廻止めナット304bを併用する。このように、復水器チューブリークが生じている復水冷却管201の両端を施栓することにより、当該復水冷却管201を海水が流れることを防止し、当該復水冷却管201から海水が漏れ出すことを防止できる。
復水器チューブリークは、復水器111の運転中に限らず、復水冷却管201の修理など、復水器111のメンテナンスをおこなうための発電ユニットの停止中にも、発生する可能性がある。ユニット停止による復水冷却管201内の大きな圧力変動は、復水器チューブリークの一因となり得る。
このため、上記のように、復水器チューブリークに起因する海水の混入にともなって復水電導度が上昇することで発生する警報は、復水器111の修理のために発電ユニットを停止している場合にも発生する可能性がある。警報が発生した時点では、復水器111には既に海水が混入している。
従来の方法のように、海水の混入にともなって復水電導度が上昇することによる警報が発生してから、オガクズを投入するなどの対応操作をおこなう場合、警報が発生してから対応操作が完了するまでの間も漏洩した海水がシステム系統100内を流れている。このため、従来の技術では、漏洩した海水が、復水系統110に加えて、給水系統120さらにはボイラまで到達する可能性があった。
図4は、従来の方法によるブロー・水張り洗浄の対象範囲を示す説明図である。上記のように、従来の方法によると、復水器チューブリークに起因する海水による汚損範囲(汚損の可能性がある範囲)は、システム系統100の全体にわたる。このため、従来の方法によると、ブロー・水張り洗浄の対象範囲は、図4に示すように、システム系統100の全体にわたる。
復水への海水の混入は、ボイラをはじめとする発電ユニットの腐食の原因となる。特に、高温となるボイラにおいては、海水の混入によって腐食が進行しやすくなる。このため、従来は、復水器チューブリークに起因する海水の混入にともなって復水電導度が上昇することによる警報が発生した場合、海水を除去する目的でおこなう、ボイラ、給水系統120、復水系統110のブロー・水張り洗浄が必須であった。ブロー・水張り洗浄においては、対象箇所(ボイラ、給水系統120、復水系統110)に純水を満たした後に排出することで、海水(海水に含まれるイオンなど)を洗い流すことによっておこなう。
ボイラ、給水系統120、復水系統110のブロー・水張り洗浄は、発電ユニットを停止しておこなう。従来の技術のように、海水を除去する目的でおこなうブロー・水張り洗浄の対象範囲が、ボイラ、給水系統120、復水系統110と広範囲におよぶ場合、発電ユニットを起動するまでに時間を要していた。また、対象範囲が広範囲におよぶ場合、ブロー・水張り洗浄に用いる純水にかかる費用や、排水処理にかかる費用が多くなる。この実施の形態においては、以下に示す縁切り方法によって復水器111を縁切りした後に、当該復水器111のメンテナンスをおこなう。
(縁切り方法の手順)
つぎに、この発明にかかる縁切り方法の手順について説明する。図5は、この発明にかかる縁切り方法の手順を示すフローチャートである。図5のフローチャートにおいて、まず、復水電導度の上昇がないかを判断する(ステップS501)。
ステップS501においては、復水系統110における常設の復水電導度計によって測定される復水電導度に基づいて、当該復水電導度があらかじめ設定された所定の閾値を下回っているかどうかを判断する。具体的に、ステップS501においては、たとえば、復水電導度が0.5μs/cm以下であるか否かを判断し、復水電導度が0.5μs/cm以下である場合は復水電導度の上昇がないと判断する。この実施の形態においては、ステップS501における復水電導度の測定によって、この発明にかかる復水電導度測定工程を実現することができる。
ステップS501において、復水電導度の上昇がない場合(ステップS501:Yes)、脱気器補給水の切替準備をおこなう(ステップS502)。ステップS502においては、システム系統100において、純水タンク119から脱気器124に給水がおこなわれるように、脱気器124への給水ラインを切り替えるための準備をおこなう。
つぎに、発電機101を解列する(ステップS503)。ステップS503においては、発電機101を送電系統から切り離し、送電系統への送電を停止する。そして、再度、復水電導度の上昇がないかを判断する(ステップS504)。ステップS504においては、ステップS501と同様にして、復水系統110における常設の復水電導度計によって測定される復水電導度に基づいて、当該復水電導度があらかじめ設定された所定の閾値を下回っているかどうかを判断する。
つぎに、復水系統110の縁切り操作、および、脱気器補給水切替操作をおこなう(ステップS505)。ステップS505においては、復水系統110と給水系統120とを接続するバルブ103を閉めることによって、復水系統110の縁切り操作をおこなう。この復水系統110の縁切り操作により、復水系統110が給水系統120から切り離され、復水系統110における復水が給水系統120に送られることを回避できる。この実施の形態においては、ステップS505における縁切り操作によって、この発明にかかる復水系統縁切り工程を実現することができる。
また、ステップS505においては、純水タンク119から脱気器124に給水がおこなわれるように、脱気器124への給水ラインを切り替え、水張ポンプ119aを動作させる。これにより、通常運転時に脱気器124に供給する復水に変えて、純水タンク119から脱気器124に給水がおこなわれる。この実施の携帯においては、ステップS505において、復水の脱気をおこなう脱気器に補給水を給水する補給水ポンプラインからの給水に切り替える切替工程が実現される。
ステップS505における復水系統110の縁切り操作は、蒸気タービンから給水加熱器への抽気を停止した後におこなう。これにより、蒸気タービンから給水加熱器への熱の移動がなくなるため、脱気器補給水切替操作により加熱されていない補給水をボイラに供給することによるボイラの急冷を防止することができる。
つぎに、グランドシール蒸気マスタの停止作業を完了させる(ステップS506)。グランドシール蒸気マスタの起動中は、グランドコンデンサー117を冷却するために、復水系統110の運転が必要となる。このため、以降のステップにおいて復水系統110を停止して、ホットウェル縁切り操作をおこなう前段階のステップS506において、グランドシール蒸気マスタの停止作業を完了させ、完了を確認する必要がある。
つぎに、復水のCL値(塩素濃度)の上昇がないかを判断する(ステップS507)。ステップS507においては、復水系統110における復水の塩素濃度を測定し、測定される塩素濃度があらかじめ設定された所定の閾値を下回っているかどうかを判断する。具体的に、ステップS507においては、たとえば、塩素濃度が0.1mg/L未満であるか否かを判断し、塩素濃度が0.1mg/L未満である場合は復水のCL値の上昇がないと判断する。この実施の形態においては、ステップS507における塩素濃度の測定によって、この発明にかかる塩素濃度測定工程を実現することができる。
復水器チューブリークの発生により復水器111の真空が破壊されると、復水器111の中に空気が漏れ込む。復水器111の中に漏れ込んだ空気中に含まれる炭酸ガスが復水に溶解して炭酸として存在する場合、復水電導度が上昇する。復水器111の真空が破壊されることによる復水電導度の上昇は、復水に海水が混入することによる復水電導度の上昇と区別することができないため、ステップS507においては、復水器111の真空が破壊されることによる復水電導度の上昇を考慮して、塩素濃度を測定し、この塩素濃度の上昇の有無を判断する。塩素濃度の測定は、たとえば、作業者による手分析によっておこなう。
そして、ステップS507において、復水のCL値の上昇がない場合(ステップS507:Yes)、復水系統110を停止するとともに、復水器ホットウェル縁切り操作をおこなって(ステップS508)、縁切り方法における一連の処理を終了する。ステップS508においては、復水系統110における復水器111と復水ポンプ112との間のバルブ111bを閉め、復水系統110から復水器111を縁切りすることによって、復水器ホットウェル縁切り操作をおこなう(図6を参照)。この実施の形態においては、ステップS508における復水器ホットウェル縁切り操作によって、この発明にかかるホットウェル縁切り工程を実現することができる。
その後、復水冷却管201の修理など、復水器111のメンテナンスをおこなう。この場合、復水器ホットウェル縁切り操作により、海水が混入している範囲を復水器111のタンク111a内に制限することができる。これにより、ブロー・水張り洗浄の範囲を復水器111のタンク111a内に抑えることができるので、復水器チューブリークに起因する警報が発生した後にボイラのブロー・水張り洗浄をおこなう従来の技術と比較して、ブロー・水張り洗浄に要する時間を大幅に短縮することができ、早期に発電ユニットの運転を再開することができる。
一方、ステップS507において、復水のCL値の上昇がある場合(ステップS507:No)、復水系統110を停止して(ステップS509)、一連の処理を終了する。復水のCL値の上昇がある場合は、海水が混入している復水が、復水系統110における復水器111のタンク111a以外の範囲にもおよんでいる可能性があるため、復水器ホットウェル縁切り操作はおこなわず、復水系統110全体のブロー・水張り洗浄をおこなう(図7を参照)。
この場合、ボイラや給水系統120と縁切りされているため、ブロー・水張り洗浄の範囲を復水系統110に抑えることができるので、復水器チューブリークに起因する警報が発生した後にボイラのブロー・水張り洗浄をおこなう従来の技術と比較して、ボイラや給水系統120のブロー・水張り洗浄を不要とすることができ、早期に発電ユニットの運転を再開することができる。
なお、ステップS501において、復水電導度の上昇がある場合(ステップS501:No)、従来の方法と同様にして、ボイラ、給水系統120、復水系統110のシステム系統100の全体にわたってブロー・水張り洗浄をおこなう。
図6および図7は、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によるブロー・水張り洗浄の対象範囲を示す説明図である。図6においては、上述したステップS508におけるブロー・水張り洗浄の対象範囲を示している。図6に示すように、復水器ホットウェル縁切り操作をおこなうことにより、海水が混入している範囲が、復水器111のタンク111a内に制限される。このため、ブロー・水張り洗浄の範囲を復水器111のタンク111a内に抑えることができる。
図7においては、上述したステップS509における、ブロー・水張り洗浄の対象範囲を示している。図7に示すように、復水系統110縁切り操作をおこなうことにより、海水が混入している(あるいは、海水の混入の可能性がある)範囲が、ボイラや給水系統120と縁切りされている。このため、ブロー・水張り洗浄の範囲を復水系統110に抑えることができる。
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法は、ボイラが生成した蒸気によって動作するボイラ発電設備の動作に供した蒸気を復水する復水器111のメンテナンスに先立っておこなう縁切り方法であって、ボイラ発電設備の運転停止中に、復水器111を含む復水系統110における復水の復水電導度を測定する復水電導度測定工程と、復水電導度測定工程により測定された復水電導度が所定の閾値以下である場合に、ボイラ発電設備から復水系統110を縁切りする縁切り操作をおこなう復水系統縁切り工程と、を含むことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、警報が出力される前に復水系統110を縁切りすることができる。また、復水冷却管201の修理に際して海水が混入した場合にも、海水の混入にともなう汚損範囲を小さく抑えることができる。
これにより、発電ユニットの運転を再開した後に、復水冷却管201の修理に際して海水が混入することによって上昇した復水電導度に基づいて出力される警報に応じて対応をおこなう従来の方法と比較して、海水の混入にともなう汚損範囲を小さく抑えることができる。
そして、これにより、海水を除去する目的でおこなうブロー・水張り洗浄の対象範囲を最小限に抑えることができる。これによって、復水器111のメンテナンスのために停止した発電ユニットを起動するまでの時間短縮を図るとともに、復水器111のメンテナンスにかかる作業者の負担軽減を図ることができる。
この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、ボイラ発電設備の運転停止中の復水系統110における復水電導度が、所定の閾値以下であることを確認した後に、ボイラ発電設備から復水系統110を縁切りすることにより、復水器111のメンテナンスに際して復水器チューブリークが発生した場合にも、ボイラ発電設備に海水が浸入することを防止できる。これにより、海水が浸入することに起因するボイラチューブリークなどのボイラ発電設備の劣化を防止することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、ボイラ発電設備への海水の浸入を防止することにより、海水を除去する目的でおこなうボイラのブロー・水張り洗浄をなくすことができる。これにより、復水器111のメンテナンスにかかる作業者の負担軽減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、復水器チューブリークに起因する警報が発生した後にボイラのブロー・水張り洗浄を要していた従来の技術と比較して、ボイラのブロー・水張り洗浄に要していた時間の分、発電ユニットを起動するまでの時間短縮を図り、早期に発電ユニットの運転を再開することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、ボイラのブロー・水張り洗浄を要していた従来の技術と比較して、ボイラのブロー・水張り洗浄に用いる純水にかかる費用、および、ボイラのブロー・水張り洗浄によって発生する排水の処理費用などの発生をなくし、復水器111のメンテナンスにかかる費用低減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法は、復水系統縁切り工程によりボイラ発電設備と縁切りされた復水系統110における塩素濃度を測定する塩素濃度測定工程と、塩素濃度測定工程により測定された塩素濃度が所定の閾値を下回っている場合に、復水系統110における復水器111を縁切りする復水器ホットウェル縁切り操作をおこなうホットウェル縁切り工程と、を含むことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、ボイラ発電設備の運転停止中に、ボイラ発電設備から縁切りした復水系統110における塩素濃度が所定の閾値を下回っていることを確認した後に、復水系統110から復水器111を縁切りすることにより、復水器111のメンテナンスに際して復水器チューブリークが発生した場合にも、海水に汚損される範囲を復水器111のタンク111a内に制限することができる。
これにより、復水器111のメンテナンスに際して復水器チューブリークが発生した場合にも、海水を除去するためのブロー・水張り洗浄をおこなう範囲を復水器111のタンク111a内に限定することができる。これによって、復水器チューブリークに起因する警報が発生した後にボイラのブロー・水張り洗浄をおこなう従来の技術と比較して、早期に発電ユニットの運転を再開することができる。また、海水を除去するためのブロー・水張り洗浄に用いる純水にかかる費用、および、ボイラのブロー・水張り洗浄によって発生する排水の処理費用を抑え、復水器111のメンテナンスにかかる費用低減を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、塩素濃度に基づいて復水器ホットウェル縁切り操作をおこなうことにより、真空が破壊されることによって空気中の炭酸ガスが溶解することに起因する復水電導度の上昇に左右されることなく、海水を除去するためのブロー・水張り洗浄の範囲を確定することができる。これにより、真空が破壊されることによって復水電導度が上昇した場合にも、復水に海水が混入していなければ、海水を除去するためのブロー・水張り洗浄をおこなう範囲を復水器111のタンク111a内に限定することができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法は、ボイラ発電設備における発電機101を解列し、復水の脱気をおこなう脱気器124に補給水を給水する補給水ポンプラインからの給水に切り替える切替工程を含み、復水系統縁切り工程は、切替工程の後に、縁切り操作をおこなうことを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、脱気器124に補給水ポンプラインから給水することにより、復水系統110を縁切りしても、解列によって送電系統から切り離した発電機101を含む、復水系統110以外のシステム系統100の運転を継続することができる。これにより、早期に復水系統110を縁切りすることができる。そして、これによって、復水冷却管201の修復に早期に着手することができ、作業にかかる時間短縮を図ることができる。
また、この発明にかかる実施の形態の縁切り方法は、復水系統110は、当該復水系統110による復水を給水設備へ給水する給水系統120に接続され、復水系統縁切り工程は、給水系統120から復水系統110を縁切りすることを特徴としている。
この発明にかかる実施の形態の縁切り方法によれば、復水系統110における復水電導度が所定の閾値を下回っていることを確認した後にボイラ発電設備および給水系統120から復水系統110を縁切りすることにより、復水器111のメンテナンスをおこなうことに起因して、ボイラ発電設備および給水系統120に海水が浸入することを防止できる。
これにより、ボイラおよび給水系統120のブロー・水張り洗浄をなくすことができ、復水器チューブリークに起因する警報が発生した後にボイラや給水系統120のブロー・水張り洗浄をおこなう従来の技術と比較して、ボイラや給水系統120のブロー・水張り洗浄に要していた時間の分、早期に運転を再開することができる。
また、これにより、ボイや給水系統120のブロー・水張り洗浄をおこなう従来の技術と比較して、ボイラや給水系統120のブロー・水張り洗浄に用いる純水にかかる費用、および、ボイラのブロー・水張り洗浄によって発生する排水の処理費用などの発生をなくし、復水器111のメンテナンスにかかる一層の費用低減を図ることができる。