JP7242382B2 - 水中油型化粧料 - Google Patents

水中油型化粧料 Download PDF

Info

Publication number
JP7242382B2
JP7242382B2 JP2019066807A JP2019066807A JP7242382B2 JP 7242382 B2 JP7242382 B2 JP 7242382B2 JP 2019066807 A JP2019066807 A JP 2019066807A JP 2019066807 A JP2019066807 A JP 2019066807A JP 7242382 B2 JP7242382 B2 JP 7242382B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ethylhexyl methoxycinnamate
oil
skin
water
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2019066807A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2020164466A (ja
Inventor
正剛 伊達
健史 浅井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Naris Cosmetics Co Ltd
Original Assignee
Naris Cosmetics Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Naris Cosmetics Co Ltd filed Critical Naris Cosmetics Co Ltd
Priority to JP2019066807A priority Critical patent/JP7242382B2/ja
Publication of JP2020164466A publication Critical patent/JP2020164466A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7242382B2 publication Critical patent/JP7242382B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)

Description

本発明は、水中油型化粧料に関する。
紫外線を浴びると、浴びた部分において紅班や色素沈着といった症状を生じる。そのため、紫外線から皮膚を防御する方法として、日焼け止め化粧料が用いられている。日焼け止め化粧料の紫外線防御効果は、ISOで定められた測定法に従って算出されたSPF(Sun Protection Facter)やPA(Protection Grade of UVA)で表記されており、特に高SPF値、高PA値の日焼け止め化粧料が、近年では好まれる傾向にある。このような高い紫外線防御効果を得るために、日焼け止め化粧料には紫外線を防御する成分として、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤が配合されてきた。
紫外線散乱剤は、物理的に紫外線を散乱することで、紫外線の皮膚への侵入を防ぐ。主に、酸化亜鉛や酸化チタンといった微粒子無機粉体が用いられている。紫外線散乱剤は、肌への付着性が高いため耐水性や耐皮脂性があり、紫外線防御効果の持続が期待できるが、塗布部が白く見える白浮きや、粉体特有のきしみ感があるため使用感が悪いという欠点がある。そのため、より高い紫外線防御効果を得るために配合量を増やすことは難しい。
一方、紫外線吸収剤は、化学的に紫外線を熱エネルギーに変えることで、紫外線の皮膚への侵入を防ぐ。主に、サリチル酸オクチルなどのサリチル酸系、オクチルジメチルアミノ安息香酸などのパラアミノ安息香酸系、ベンゾフェノン-3などのベンゾフェノン系、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルなどのケイヒ酸系など、多様な種類の化合物が用いられ、最も汎用されているのはメトキシケイヒ酸エチルヘキシルである。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、紫外線散乱剤のような白浮きやきしみ感はないが、汗や水に弱く効果が減弱しやすいことから、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの配合量を増やして紫外線防御効果の持続性を高める方策がしばしばとられてきた。しかし、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが皮膚中に浸透すると、痛みやかゆみ等の刺激感や接触皮膚炎を起こす例が報告されており、配合量をむやみに増やしてよいと言うわけではない。
紫外線吸収剤の経皮的な浸透を防ぐ方法として、紫外線吸収性を有する官能基をフッ素樹脂のフッ素に置換して高分子化する方法(特許文献1)が開示されているが、この方法では、不要時に洗浄により紫外線吸収剤を除去することが難しく、使用性という点で十分であるとは言えなかった。
別の方法として、紫外線吸収剤を含有する皮膚外用剤に水素添加リン脂質を添加する方法(特許文献2)や、コロイド性含水ケイ酸塩とポリエチレングリコールと微粒子粉体とを含みマイクロフルイダイザーにより乳化してなる紫外線吸収剤を含む水中油型クリーム基剤(特許文献3)、ポリプロピレングリコールジメチルエーテルを添加する方法(特許文献4)、シリコーン油に溶解させた紫外線吸収剤を、シリコーン粉体に吸着させて紫外線吸収剤の経皮吸収を抑制する方法(特許文献5)が開示されているが、紫外線吸収剤の皮膚浸透抑制作用、使用感の点で完全に十分であるとは言えなかった。
このように紫外線吸収剤は皮膚中に浸透してしまう成分であることは知られていたものの、その浸透メカニズムについては知られておらず、浸透メカニズムに基づいた改善はされていなかった。
一方で、皮膚中に浸透しやすい成分は、細胞間脂質の構造を流動化することが知られており、添加薬剤の細胞間脂質に与える影響から皮膚浸透性を予測する方法として、示差走査熱量測定により細胞間脂質の微細構造を評価する方法(特許文献6)が開示されているが、あくまでも評価方法にすぎない。また、角層と同じ水分量に調製した組成物が細胞間脂質に与える影響を示差走査熱量測定で評価することで、角層中の水分量を模した環境下での皮膚浸透性を評価した方法(特許文献7)が開示されているが、皮膚浸透性の向上を課題としており、皮膚浸透性の抑制については言及していない。このように、紫外線吸収剤自体が細胞間脂質の流動化に影響を与えるかどうかは検討されてこず、また安全性の向上と紫外線防止効果の持続という、相反する効果を同時に満たすことは困難であった。
一方、本願で用いられるポリヒドロキシステアリン酸は、油性分散剤として知られており、化粧膜の耐水性を向上させる(特許文献8)だけでなく、乳化物の安定性を向上させる(特許文献9)といった報告があり、日焼け止め化粧料でも広く利用されている。しかし、紫外線吸収剤の皮膚浸透性を抑制する作用については検討されていない。
特開平5-339139号公報 特開平7-126190号公報 特開平8-291022号公報 特開2003-206214号公報 特開2014-108934号公報 特開2010-237098号公報 特開2015-134741号公報 特開2017-137300号公報 特開2018-076313号公報
本発明の課題は、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透を阻害し、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる痛みやかゆみ等の刺激感や接触皮膚炎等の安全性上の問題が低減された水中油型化粧料を提供することにある。
本発明者らは上述の課題解決のために鋭意研究した結果、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルそのものが細胞間脂質を流動化させる結果、細胞間脂質の堅牢性が低下し、皮膚浸透性が促進されてしまうことを明らかにした。また、製剤を皮膚に塗布し、なじんでいく際に、製剤中の水分が蒸発する事で含有成分比が変わることが知られているが、その際に生じる乳化粒子からのメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出を防ぐ方法を見出した。この方法を用いることで、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを起因とする細胞間脂質の堅牢性低下を抑制することを可能にした。
詳細には、水中油型化粧料中において、セチルリン酸塩と高級アルコールを用いてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを乳化する際に、ポリヒドロキシステアリン酸を配合することで乳化粒子の界面が強固になり、皮膚に塗布されて製剤中の水分が蒸発した際にも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを含む乳化状態が維持されるため、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる直接的な細胞間脂質の流動化を抑制することができることを見出した。これにより、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透が抑制され、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる痛みやかゆみ等の刺激感や接触皮膚炎等の安全性上の問題が低減され、かつ紫外線防止効果が持続する水中油型化粧料を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下のとおりである。
(1)第1発明としては、
下記成分(a)~(d)を含有することを特徴とする水中油型化粧料。
(a)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
(b)セチルリン酸塩 0.05~5質量%
(c)高級アルコール 0.05~5質量%
(d)ポリヒドロキシステアリン酸
より具体的には、(a)メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを含有する水中油型化粧料に(b)セチルリン酸塩、および(c)高級アルコール、および(d)ポリヒドロキシステアリン酸を含有することで、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透を抑制するものである。
(2)第2発明としては、
(c)成分が、炭素数16以上の高級アルコールから選択される1種以上であることを特徴とする第1発明に記載の水中油型化粧料。
(3)第3発明としては
(d)成分を0.1~3質量%含有することを特徴とする第1又は第2発明に記載の水中油型化粧料。
(4)第4発明としては
(b)成分と(c)成分の総量が化粧料全量に対して0.5~5質量%となることを特徴とする第1乃至第3発明のいずれかに記載の水中油型化粧料。
本発明によれば、水中油型化粧料中において、セチルリン酸塩と高級アルコールを用いてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを乳化する際に、ポリヒドロキシステアリン酸を配合することで、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる細胞間脂質の流動化を抑制することで、堅牢性を維持することができ、かつ、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透を抑制し、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる痛みやかゆみ等の刺激感や接触皮膚炎等の安全性上の問題が低減された水中油型化粧料を提供できる。また、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚への浸透を抑制することができるので、紫外線防止効果の持続性向上が期待できる。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの擬似細胞間脂質に対する堅牢性への影響について
本発明において、水中油型化粧料とは、皮膚や化粧料の紫外線暴露による影響からの防御を目的としてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルが配合された化粧料を意味し、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる細胞間脂質の流動化を抑制する効果が妨げられない限り、他の成分を含有しても構わない。
本発明に用いられる(a)メトキシケイヒ酸エチルヘキシルは、日焼け止め化粧料に汎用されるUVBの吸収作用に優れたメトキシケイヒ酸エチルヘキシルである。本発明においては、例えば、市販品であるノムコートTAB(日清オイリオグループ社製)、ユビナールMC80(BASFジャパン社製)等を使用することができる。
本発明に用いられる(a)メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの配合量は、特に限定はされないが、細胞間脂質の堅牢性を明らかに低下させる2~20質量%配合した場合に本願の効果がより発揮される。
本発明に用いられる(b)セチルリン酸塩は、通常の化粧料に用いられるものであれば制限されず、例えば、セチルリン酸K、セチルリン酸DEAなどが挙げられる。
本発明に用いられる(b)セチルリン酸塩は、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを乳化するという観点から、含有量は対イオンを含む化合物の総量として、特に限定はされないが0.05~5質量%が好適である。
本発明に用いられる(c)高級アルコールの炭素数は特に限定されないが、炭素数16以上の直鎖状飽和アルコールが好ましく、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等が挙げられる。これらのうち、炭素数16~22の直鎖状飽和アルコールが好ましく、乳化粒子の安定性向上の観点から、セチルアルコールを含むことがより好ましい。
本発明に用いられる(c)高級アルコールは、1種又は2種以上組み合わせて用いることができ、含有量は特に限定はされないが、乳化粒子の安定性を向上するという観点から、0.05~5質量%が好適であり、配合量が5質量%を超えて配合すると高粘度となるため使用性が悪くなる可能性がある。
本発明に用いられる(b)及び(c)の総含有量は、特に限定されないが、乳化安定性および使用性の観点から、(b)+(c)=0.5~5質量%であり、1.0~3質量%が好ましい。
本発明に用いられる(d)ポリヒドロキシステアリン酸は、一つの水酸基を有するヒドロキシステアリン酸の重合物である。本発明において、(b)及び(c)が形成する乳化粒子の界面を強固にする点で、(d)のヒドロキシステアリン酸の水酸基は12位が好ましく、また、ヒドロキシステアリン酸の重合度は3~12が好ましく、重合度4~8が更に好ましい。成分(d)の市販品としては、例えば、サラコスHS-6C(日清オイリオグループ社製)が挙げられる。
本発明に用いられる(d)の含有量は、特に限定されないが、0.1~3質量%が好ましく、0.3~1質量%がより好ましい。この範囲であると、より乳化粒子の界面が強固になり、塗布後の水分蒸発に伴う不安定な状態においても、乳化粒子からのメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出が抑制されるようになる。
本発明の水中油型化粧料には、本発明の効果を妨げない質的、量的範囲内で、通常化粧品に使用される成分を必要に応じて配合する事ができる。例えば、水性成分、(c)、(d)以外の液状油、半固形油や固形油、成分(b)以外の界面活性剤、粉体、色素、(a)以外の紫外線吸収剤、水溶性高分子、保湿剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤などを適宜配合することも可能である。
本発明の水中油型化粧料の製造方法は、特に限定されず通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のホモミキサーのような乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分(a)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、(c)高級アルコール、(d)ポリヒドロキシステアリン酸を加熱溶解させて均一にした油系成分を、成分(b)セチルリン酸塩や水溶性成分を加熱溶解させて均一にした水系成分に添加して乳化し、冷却することにより、水中油型化粧料が得られる。
本発明の水中油型化粧料の形態としては、特に限定されるものではなく、例えば、液状、乳液状、クリーム状、固形状等が挙げられる。
本発明の水中油型化粧料は、乳液、美容液、パック、クリーム、クレンジング料、ファンデーション、メークアップ下地、アイシャドウなどにも用いることができ、紫外線吸収剤の皮膚浸透抑制による紫外線防御効果の持続の観点から、日焼け止め、日中用乳液、メークアップ下地、ファンデーションなどが好ましく、特に好ましくは日焼け止め化粧料である。
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。尚、配合量は特記しない限り質量%で示す。
1.擬似細胞間脂質の堅牢性評価
メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる皮膚浸透促進作用を確認するため、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの量依存的な堅牢性への影響を評価した。
[評価方法]
セラミド、コレステロール、及びパルミチン酸を2:1:1の質量比で配合した脂質混合物に、クロロホルム:メタノール=5:1混液を加え、超音波処理により溶解した。これを、90℃で加熱後冷却し、擬似細胞間脂質を得た。得られた擬似細胞間脂質とメトキシケイヒ酸エチルヘキシルを様々な質量比で混合し、示差走査熱量計((株)日立ハイテクサイエンス社製、DSC7000)に供して測定した。なお、測定条件は、温度範囲:0~100℃、昇温速度:5℃/分で行い、得られたDSCプロファイルの60℃付近に見られるピークから算出した吸熱エンタルピーを図1に示す。擬似細胞間脂質の吸熱エンタルピーが大きいほど脂質の堅牢性が維持されているため浸透しにくく、吸熱エンタルピーが低いほど脂質の堅牢性が弱まり浸透しやすい状態にあることが言える。
2.乳化状態
製剤塗布後の水分蒸発による含有成分の濃縮が生じた後でも、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが乳化された状態であるかどうかを確かめるため、実使用を想定し、濃縮後の組成で製剤を調製し乳化状態を評価した。
[評価方法]
表1、2に示した各サンプルが皮膚に塗布されて水分が蒸発し、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルがある一定濃度(56%)まで濃縮されたと仮定した時の組成を、常法により調製し、調製後のバルクを20℃で一晩保管して外観評価を行った。
[乳化状態の評価基準]
〇:均一な乳化状態である(分離していない)。
×:不均一な乳化状態で分離している。
3.製剤組成の違いによる擬似細胞間脂質の堅牢性低下抑制度評価
製剤組成によってメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの乳化粒子からの漏出性が異なると予想されるため、本発明の水中油型化粧料が擬似細胞間脂質の堅牢性に与える影響を評価した。
[評価方法]
実験2と同様に、濃縮されたと仮定した時の表1、2に示した組成と、実験1で調製した擬似細胞間脂質を1:1の質量比で混合し、示差走査熱量計に供して測定した。なお、測定および解析方法は実験1と同様に行い、堅牢性低下抑制度(実施例の吸熱エンタルピー/比較例1の吸熱エンタルピー)を評価した結果を表1、2に示す。
[堅牢性低下抑制度の評価基準]
◎:4以上(堅牢性の低下を、非常に大きく抑制する)
〇:3以上~4未満(堅牢性の低下を、大きく抑制する)
△:1以上~3未満(堅牢性の低下を、わずかに抑制する)
×:1未満(堅牢性の低下を、抑制しない)
4.メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透抑制効果の評価
本発明の水中油型化粧料における、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透抑制効果を評価するため、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透性を測定した。
[評価方法]
表3に示す処方にて常法により製剤を調製し、ヒト前腕内側部を洗浄後10分間安静にした後、各製剤を前腕内側2.25cmに被験試料を7.5mg適用した。室温で1時間放置した後、被験部位を軽くティッシュで押さえ、皮膚表面に被験試料の残りがないようにし、塗布1時間後および塗布6時間後に、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透性を測定した。
測定は、被験試料の塗布前後で、室温20℃、相対湿度50%の条件で、in vivo共焦点ラマン分光装置(RiverD International B.V.社製、gen2-SCA)を用い、785nmの波長で測定した。具体的には、測定ステージに被験部位を乗せ、被験部位に対して共焦点ラマン分光装置からレーザー光を照射し、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルのラマン散乱(1590~1620cm-1)の強度相対値(対ケラチンのラマン散乱;1400~1500cm-1)を皮膚深さ2μmごとに算出した。塗布1時間後および6時間後における皮膚表面から深さ10μmまでの合算値を、塗布6時間後/塗布1時間後の比として表3に示す。
[皮膚浸透抑制効果の評価基準]
◎:0.8以上(皮膚浸透性を、大きく抑制する)
〇:0.5以上~0.8未満(皮膚浸透性を、わずかに抑制する)
×:0.5未満(皮膚浸透性を、抑制しない)
5.実使用試験
本発明の水中油型化粧料の安全性上の問題の低減作用を評価するため、実使用試験を行った。
[評価方法]
表3に示す処方にて常法により製剤を調製し、過去にメトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる皮膚トラブルを経験したことのあるモニター10名に1週間使用してもらい、皮膚トラブルの有無についてアンケートを行い、安全性の評価を行った。
[安全性の評価基準]
◎:皮膚トラブルが有ったと回答したモニターが、10名中0名だった。
○:皮膚トラブルが有ったと回答したモニターが、10名中1~2名だった。
△:皮膚トラブルが有ったと回答したモニターが、10名中3~4名だった。
×:皮膚トラブルが有ったと回答したモニターが、10名中5名以上だった。
(製造方法)
成分(b)及び(e)を含む水相成分を80~90℃で撹拌混合し、溶解させて均一にしたものを水相部とする。次に、成分(a)、(c)及び(d)を含む油相成分を80~90℃で撹拌混合し、溶解させて油相部とする。水相部に油相部を80~90℃で撹拌しながら添加し、ホモミキサーを使用して6,000rpmで30秒間、乳化した。更に撹拌しながら35℃まで冷却して、水中油型化粧料を製造した。
図1より、擬似細胞間脂質の吸熱エンタルピーが、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの質量比の増加に伴って減少していることから、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルが直接的に擬似細胞間脂質の堅牢性を低下させ、皮膚浸透性を促進することが明らかとなった。
Figure 0007242382000001
表1より、(d)成分であるポリヒドロキシステアリン酸が配合されていない処方(比較例2)では、細胞間脂質の堅牢性低下抑制効果がほとんどないが、配合量を増加させると乳化粒子の界面が強固となるためメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出を防ぐ事ができ、細胞間脂質の堅牢性低下を抑制した(実施例1~4)。しかし、配合量が5%を超えると、乳化粒子に組み込まれなかった過剰の(d)成分が乳化粒子の界面を不安定な状態にし、細胞間脂質の堅牢性低下抑制効果はなくなってしまった(比較例3)。
また、(b)成分であるセチルリン酸塩と(c)成分である高級アルコールが配合されていない処方(比較例4)では、調製後の組成物は乳化されず、分離して安定な乳化物ができない。(b)成分及び(c)成分を少量配合した処方(比較例5)では、乳化はするものの、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出を抑えるには不十分であり、細胞間脂質の堅牢性低下抑制効果は見られなかった。(b)、(c)の配合量を増加させた処方(実施例1、5)では、乳化粒子からのメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出を抑え、細胞間脂質の堅牢性低下を抑制した。しかし、これらの総量が10%を超えると、乳化粒子の界面が強固になりすぎて、安定な乳化物を調製することができなかった(比較例6)。
さらに、(a)成分であるメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの量を変えても、細胞間脂質の堅牢性低下抑制効果を得る事ができた(実施例6~8)。
Figure 0007242382000002
表2より、(c)成分をセタノール以外の高級アルコールに変えた処方(実施例9、10)でも、乳化粒子の界面を強固にし、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出を抑えることで、細胞間脂質の堅牢性低下を抑制した。
(b)成分をセチルリン酸Kからセチルリン酸DEAに変えた処方(実施例11)では、実施例1と同様の乳化物が調製できた。しかし、(b)成分をセチルリン酸塩から、別のアニオン活性剤に変えた処方(比較例7~9)では、安定な乳化物ができない、或いは乳化物ができたとしても細胞間脂質の堅牢性低下抑制効果は不十分であった。
(d)成分をポリヒドロキシステアリン酸から、別のステアリン酸誘導体に変えた処方(比較例10、11)では、乳化粒子の界面が強固にならずメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの漏出を防ぐ事ができないため、細胞間脂質の堅牢性を低下させてしまった。
Figure 0007242382000003
表3に示す組成の水中油型化粧料を製造し、in vivo共焦点ラマン分光装置を用いたメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透性および実使用試験に安全性を評価した。結果を表3に併せて示す。
皮膚浸透抑制効果および安全性のいずれの結果においても、擬似細胞間脂質を用いた堅牢性の影響度評価の結果とおおよそ相関しており、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルを含む乳化粒子の界面が強固になったことで、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる直接的な細胞間脂質の堅牢性低下が抑制され、皮膚浸透性の低下とそれに伴う安全性の向上が確認された。
以下に本発明の水中油型化粧料の処方例を挙げる。常法により水中油型化粧料を得る事が出来る。
Figure 0007242382000004
Figure 0007242382000005
Figure 0007242382000006
Figure 0007242382000007
上記の結果から、本発明の水中油型化粧料は、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる細胞間脂質の流動化を抑制することができ、かつ、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透を抑制し、メトキシケイヒ酸エチルヘキシルによる痛みやかゆみ等の刺激感や接触皮膚炎等の安全性上の問題が低減された水中油型化粧料の提供が可能となる。加えてメトキシケイヒ酸エチルヘキシルの皮膚浸透が抑制され、紫外線防御効果の持続が期待できる。

Claims (3)

  1. 下記成分(a)~(d)を含有することを特徴とする水中油型化粧料。
    (a)メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 2~20質量%
    (b)セチルリン酸塩 0.05~5質量%
    (c)高級アルコール 0.05~5質量%
    (d)ポリヒドロキシステアリン酸 0.1~3質量%
  2. (c)成分が、炭素数16以上の高級アルコールから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1記載の水中油型化粧料。
  3. (b)成分と(c)成分の総量が化粧料全量に対して0.5~5質量%となることを特徴とする請求項1または2に記載の水中油型化粧料。
JP2019066807A 2019-03-29 2019-03-29 水中油型化粧料 Active JP7242382B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019066807A JP7242382B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 水中油型化粧料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019066807A JP7242382B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 水中油型化粧料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2020164466A JP2020164466A (ja) 2020-10-08
JP7242382B2 true JP7242382B2 (ja) 2023-03-20

Family

ID=72715777

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019066807A Active JP7242382B2 (ja) 2019-03-29 2019-03-29 水中油型化粧料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7242382B2 (ja)

Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010189281A (ja) 2009-02-16 2010-09-02 Shiseido Co Ltd 水中油型乳化組成物
JP2017137300A (ja) 2016-01-29 2017-08-10 株式会社コーセー 水中油型乳化化粧料

Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010189281A (ja) 2009-02-16 2010-09-02 Shiseido Co Ltd 水中油型乳化組成物
JP2017137300A (ja) 2016-01-29 2017-08-10 株式会社コーセー 水中油型乳化化粧料

Also Published As

Publication number Publication date
JP2020164466A (ja) 2020-10-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5352116B2 (ja) 水中油型乳化組成物及びその製造方法
JP5101808B2 (ja) 水中油型液状組成物
JP2009518329A (ja) 改質された二酸化チタン粒子を含む新規な化粧料または皮膚科用組成物
US6858200B2 (en) Sunscreen formulations
JP4866066B2 (ja) 化粧料
US7144570B2 (en) Sunscreen compositions and methods of use thereof
BR112021010145A2 (pt) Composições para higiene pessoal
JP2010059076A (ja) 水中油型乳化組成物
JP3506349B2 (ja) サンケア用化粧組成物
JP2020105109A (ja) 油中水型日焼け止め化粧料
JP5203537B1 (ja) 水中油型乳化日焼け止め化粧料
JP5469319B2 (ja) 日焼け止め化粧料
JP6802718B2 (ja) 水中油型乳化化粧料
JP3614511B2 (ja) 日焼け止め用水中油型乳化化粧料
JP6815093B2 (ja) 水中油型日焼け止め化粧料
JP7242382B2 (ja) 水中油型化粧料
JP2006199598A (ja) 皮膚化粧料、その製造方法及びその使用方法
JP7479898B2 (ja) 経皮吸収抑制剤
JP2013189429A (ja) 水中油中水型乳化化粧料
WO2021037511A1 (en) Sunscreen composition without cyclomethicones
JP5765969B2 (ja) 日焼け止め用皮膚外用剤
JP7233684B2 (ja) 日焼け止め化粧料
JP5607916B2 (ja) 日焼け止め化粧料
JP3939610B2 (ja) 皮膚化粧料
WO2017056506A1 (ja) 水中油型乳化化粧料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20221118

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20221122

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230119

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230307

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230308

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7242382

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150