以下、図面を参照しながら、実施形態に係る医用画像処理装置及び医用画像処理プログラムを説明する。なお、一つの実施形態又は変形例に記載した内容は、他の実施形態又は変形例にも同様に適用されてもよい。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態に係る画像処理システムの構成例について説明する。図1は、第1実施形態に係る画像処理システムの構成例を示す図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る画像処理システム1は、医用画像診断装置2と、画像保管装置3と、医用画像処理装置4とを有する。図1に例示する各装置は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)5により、直接的、又は、間接的に相互に通信可能な状態となっている。例えば、画像処理システム1にPACS(Picture Archiving and Communication System)が導入されている場合、各装置は、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格に則って、医用画像データ等を相互に送受信する。
図1に例示する各装置は、DICOM規格のデータを送受信することで、他装置から受信したデータを、自装置で読み出したり、表示したりすることが可能となる。なお、本実施形態は、他装置から受信したデータを自装置で処理可能であるならば、任意の規格に則ったデータが送受信される場合であっても良い。
医用画像診断装置2は、例えば、X線CT装置又はMRI装置である。医用画像診断装置2は、3次元の医用画像データを収集する。例えば、医用画像診断装置2は、被検体の心臓の血管等の構造物が描出された3次元の医用画像データを収集する。3次元の医用画像データを構成する複数のボクセルのそれぞれは、信号値を有する。3次元の医用画像データは、ボリュームデータとも称される。
医用画像診断装置2がX線CT装置である場合には、医用画像診断装置2は、3次元の医用画像データとして3次元のX線CT画像データを収集する。そして、医用画像診断装置2は、3次元の医用画像データを画像保管装置3に送信する。また、医用画像診断装置2は、医用画像処理装置4から送信された、3次元の医用画像データを送信させるための送信要求を受信すると、送信要求に基づいて3次元の医用画像データを医用画像処理装置4に送信する。
画像保管装置3は、医用画像データを保管するデータベースである。例えば、画像保管装置3は、サーバ装置等のコンピュータ機器によって実現される。例えば、画像保管装置3は、医用画像診断装置2から送信された3次元の医用画像データを記憶回路に格納することで、医用画像データを保管する。ここでいう記憶回路は、例えば、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。画像保管装置3に保管された医用画像データは、例えば、被検体のID(Identifier)である被検体ID、被検体に対して実施された検査のIDである検査ID、及び、検査の際に用いられた装置のIDである装置ID等の付帯情報と対応付けて保管される。
院内LAN5は、医用画像診断装置2と、画像保管装置3と、医用画像処理装置4とが通信可能なように、医用画像診断装置2、画像保管装置3及び医用画像処理装置4を接続する。
医用画像処理装置4は、院内LAN5を介して医用画像診断装置2及び画像保管装置3から3次元の医用画像データを取得する。そして、医用画像処理装置4は、3次元の医用画像データに対して各種の処理を行う。例えば、医用画像処理装置4は、3次元医用画像データからボリュームレンダリング画像データを生成する。そして、医用画像処理装置4は、ボリュームレンダリング画像データに対して各種の処理を施す。そして、医用画像処理装置4は、各種の処理が施されたボリュームレンダリング画像データが示す医用画像(ボリュームレンダリング画像)を後述するディスプレイ44に表示させる。
図1に示すように、医用画像処理装置4は、通信インタフェース41と、メモリ42と、入力インタフェース43と、ディスプレイ44と、処理回路45とを有する。
通信インタフェース41は、処理回路45に接続され、医用画像診断装置2と医用画像処理装置4との間で行われる各種データの伝送を制御する。また、通信インタフェース41は、画像保管装置3と医用画像処理装置4との間で行われる各種データの伝送を制御する。例えば、通信インタフェース41は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。例えば、通信インタフェース41は、医用画像診断装置2及び画像保管装置3から3次元の医用画像データを受信する。そして、通信インタフェース41は、受信した3次元の医用画像データを処理回路45に出力する。
メモリ42は、処理回路45に接続され、各種データを記憶する。例えば、メモリ42は、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。本実施形態では、メモリ42は、医用画像診断装置2及び画像保管装置3から受信した3次元の医用画像データを記憶する。
また、メモリ42は、処理回路45の処理に用いられる種々の情報や、処理回路45による処理結果等を記憶する。例えば、メモリ42は、処理回路45によって生成された表示用の医用画像データ等を記憶する。メモリ42は、記憶部の一例である。
入力インタフェース43は、処理回路45に接続され、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。例えば、入力インタフェース43は、種々の設定などを行うためのトラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力装置、又は、音声入力装置によって実現される。
ディスプレイ44は、処理回路45に接続され、処理回路45から出力される各種情報及び各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ44は、液晶モニタやCRTモニタ等によって実現される。例えば、ディスプレイ44は、操作者の指示を受け付けるためのGUIや、種々の表示用の画像、処理回路45による種々の処理結果を表示する。ディスプレイ44は、表示部の一例である。
処理回路45は、入力インタフェース43を介して操作者から受け付けた入力操作に応じて、医用画像処理装置4が有する各構成要素を制御する。例えば、処理回路45は、プロセッサによって実現される。
図1に示すように、処理回路45は、取得機能45aと、画像生成機能45bと、画像処理機能45cと、表示制御機能45dと、制御機能45eとを有する。ここで、例えば、図1に示す処理回路45の構成要素である取得機能45a、画像生成機能45b、画像処理機能45c、表示制御機能45d及び制御機能45eの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ42に記憶されている。処理回路45は、各プログラムをメモリ42から読み出し、読み出した各プログラムを実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、図1の処理回路45内に示された各機能を有することとなる。
なお、取得機能45a、画像生成機能45b、画像処理機能45c、表示制御機能45d及び制御機能45eの全ての処理機能がコンピュータによって実行可能な1つのプログラムの形態で、メモリ42に記憶されていてもよい。例えば、このようなプログラムは、医用画像処理プログラムとも称される。この場合、処理回路45は、医用画像処理プログラムをメモリ42から読み出し、読み出した医用画像処理プログラムを実行することで医用画像処理プログラムに対応する取得機能45a、画像生成機能45b、画像処理機能45c、表示制御機能45d及び制御機能45eを実現する。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、メモリ42に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ42にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。更に、図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
取得機能45aは、3次元の医用画像データを取得する。例えば、取得機能45aは、3次元の医用画像データを送信させるための送信要求を、通信インタフェース41及び院内LAN5を介して、医用画像診断装置2に送信する。医用画像診断装置2は、かかる送信要求を受信すると、送信要求にしたがって医用画像処理装置4の通信インタフェース41に3次元の医用画像データを送信する。通信インタフェース41は、3次元の医用画像データを受信すると、3次元の医用画像データを処理回路45の取得機能45aに送信する。取得機能45aは、通信インタフェース41から送信される3次元の医用画像データを受信する。そして、取得機能45aは、3次元の医用画像データをメモリ42に格納する。そして、取得機能45aは、メモリ42に格納された3次元の医用画像データを取得する。取得機能45aにより取得された3次元の医用画像データは、画像生成機能45b、画像処理機能45c、表示制御機能45d及び制御機能45eによる各種の処理に用いられる。取得機能45aは、取得部の一例である。なお、取得機能45aは、画像保管装置3から3次元の医用画像データを取得してもよい。
画像生成機能45bは、取得機能45aにより取得された3次元の医用画像データから、表示用の医用画像データを生成する。例えば、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データに対して、視点及び視線方向を設定してボリュームレンダリングを施すことにより、ボリュームレンダリング画像データを生成する。例えば、画像生成機能45bは、平行投影法により、ボリュームレンダリング画像データを生成する。このように、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データにおいて視点及び視線方向を設定し、3次元の医用画像データから、2次元のボリュームレンダリング画像データを生成する。画像生成機能45bは、生成部の一例である。ボリュームレンダリング画像データは、第1医用画像データの一例である。また、以下の説明では、ボリュームレンダリング画像データにより示されるボリュームレンダリング画像を、「第1画像」と表記する場合がある。第1画像は、第1医用画像の一例である。
図2は、第1実施形態に係る第1画像の一例を示す図である。例えば、画像生成機能45bは、図2に示す第1画像11を示すボリュームレンダリング画像データを生成する。第1画像11には、被検体の構造物として、肺動脈12及び肺静脈13が描出されている。なお、図2には、肺動脈12と肺静脈13とが模式的に示されている。また、第1画像11の背景14の色は黒色である。
ボリュームレンダリングにおいて、画像生成機能45bは、各ボクセルの信号値に基づいて、第1画像11を構成する複数のピクセルのそれぞれに色を割り当てる。例えば、肺動脈12の領域を構成する全てのピクセルに割り当てられた色が赤色であり、肺静脈13の領域を構成する全てのピクセルに割り当てられた色が青色である。なお、画像生成機能45bは、他の方法でも、色を割り当ててもよい。例えば、画像生成機能45bは、まず、3次元の医用画像データに対して、肺動脈12の領域及び肺静脈13の領域を抽出するためのセグメンテーション処理を行って、肺動脈12の領域及び肺静脈13の領域を抽出してもよい。そして、画像生成機能45bは、肺動脈12の領域を構成する複数のボクセルに所定の色(例えば、赤色)を割り当ててもよい。また、画像生成機能45bは、肺静脈13の領域を構成する複数のボクセルに所定の色(例えば、青色)を割り当ててもよい。
肺動脈12は、複雑な形状を有する。また、肺動脈12は、同色(赤色)で描出されている。このため、ユーザは、ディスプレイ44に表示された肺動脈12を確認しても、肺動脈12のどの部分が手前側に位置し、どの部分が奥側に位置するのか識別することが困難である。
同様に、肺静脈13は、複雑な形状を有し、同色(青色)で描出されている。このため、ユーザは、ディスプレイ44に表示された肺静脈13を確認しても、肺静脈13のどの部分が手前側に位置し、どの部分が奥側に位置するのか識別することが困難である。
すなわち、ユーザは、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を把握することが困難である。
そこで、第1実施形態に係る医用画像処理装置4は、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を容易に把握させることが可能なように、以下に説明する各種の処理を実行する。
例えば、画像生成機能45bは、第1画像11を示すボリュームレンダリング画像データを生成する際に、第1画像11を構成する全てのピクセルそれぞれについて、深度情報を算出する。深度情報とは、例えば、視点から、ピクセルに描出された構造物(オブジェクト)のうち最も視点側の構造物までの距離を示す情報である。本実施形態では、深度情報は、-1.00以上1.00以下の範囲内の値となる。例えば、第1画像11に描出されている構造物のうち最も視点に近い構造物が、あるピクセルに描出されている場合には、このピクセルに対しては深度情報として-1.00が設定される。また、第1画像11に描出されている構造物のうち最も視点から遠い構造物が、あるピクセルに描出された構造物のうち最も視点側の構造物である場合には、このピクセルに対しては深度情報として1.00が設定される。
そして、画像生成機能45bは、全ピクセルの深度情報をメモリ42に格納する。なお、メモリ42の記憶領域のうち、深度情報が記憶される記憶領域は、Zバッファ及びデプスバッファ等と称される。
例えば、第1画像11を構成する複数のピクセルは、2次元状に配置されたピクセルである。このため、全ピクセルに対応する複数の深度情報は、2次元状に配置されている。すなわち、画像生成機能45bは、2次元のボリュームレンダリング画像データを構成する複数のピクセルに対応する2次元の深度情報を生成する。
画像処理機能45cは、深度情報に基づいて、ボリュームレンダリング画像データに対して画像処理を行うことにより、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係をユーザに容易に把握させることが可能な2次元の医用画像データを生成する。以下の説明では、このような医用画像データにより示される医用画像を、「第2画像」と表記する場合がある。第2画像は、第2医用画像の一例である。図3は、第1実施形態に係る画像処理機能により生成される医用画像データの一例を示す図である。例えば、画像処理機能45cは、図3に例示する第2画像11aを示す2次元の医用画像データを生成する。例えば、第2画像11aには、肺動脈12及び肺静脈13が描出されている。
肺動脈12は、深度情報が第1閾値以上となる奥側の部分12aと、深度情報が第1閾値未満となる手前側の部分12bとを有する。また、肺静脈13は、深度情報が第1閾値以上となる奥側の部分13aと、深度情報が第1閾値未満となる手前側の部分13bとを有する。そして、部分12aと部分12bとでは表示態様が異なる。同様に、部分13aと部分13bとでは表示態様が異なる。部分12a及び部分13aは、第1部分の一例である。部分12b及び部分13bは、第2部分の一例である。
このような第2画像11aを示す医用画像データの生成方法の一例について説明する。例えば、画像処理機能45cは、第1画像11を構成する各ピクセルについて、深度情報と第1閾値とを比較する。具体的には、画像処理機能45cは、深度情報が第1閾値以上であるか否かをピクセル毎に判定する。なお、第1閾値は、後述する設定画面20においてユーザにより設定可能である。
そして、画像処理機能45cは、ボリュームレンダリング画像データにおいて、深度情報が第1閾値以上であるピクセルに対して、ピクセル毎に、ピクセルのデータと、1ピクセル分の合成用の画像データとを合成することにより、図3の第2画像11aを示す医用画像データを生成する。合成用の画像データは、例えば、所定のオパシティ(不透明度)を有し、かつ、背景14と同一の色が割り当てられた画像データである。合成用の画像データが有するオパシティは、0.00(完全透明)よりも大きく、1.00(完全不透明)よりも小さい。このオパシティは、後述する設定画面20においてユーザにより設定可能である。
このような方法により、画像処理機能45cは、あたかも、視点から第1閾値に対応する距離だけ離れた位置に、視線方向を法線ベクトルとする平面状の透過性を有する黒色のプレート(フィルム)が合成用の画像データとして配置されているかのような3次元の医用画像データに基づく第2画像11aを示す医用画像データを生成することができる。すなわち、画像処理機能45cは、あたかも、第1閾値に対応する位置に上述したオパシティを有するプレートが合成用の画像データとして配置されているかのような3次元の医用画像データに基づく2次元の医用画像データを生成することができる。このようなプレートは、背景プレートとも称される。
上述したように、画像処理機能45cは、2次元のボリュームレンダリング画像データに描出された肺動脈12の視線方向における視点側とは反対側の部分12aと、視点側の部分12bとの表示態様が異なる2次元の医用画像データを生成する。また、画像処理機能45cは、2次元のボリュームレンダリング画像データに描出された肺静脈13の視線方向における視点側とは反対側の部分13aと、視点側の部分13bとの表示態様が異なる2次元の医用画像データを生成する。このような、部分12a,13aと部分12b,13bとの表示態様が異なる医用画像データは、第2医用画像データの一例である。画像処理機能45cは、生成部の一例である。
また、画像処理機能45cは、深度情報に基づいて、ボリュームレンダリング画像データを構成する複数のピクセルのデータのうち深度情報が第1閾値以上となるピクセルにより構成される部分12a,13aと、深度情報が第1閾値未満となるピクセルにより構成される部分12b,13bとの表示態様が異なる医用画像データを生成する。
表示制御機能45dは、上述した第1画像11をディスプレイ44に表示させる。図4は、第1実施形態に係る設定画面の一例を示す図である。また、表示制御機能45dは、第2画像11aを示す医用画像データを生成する際の各種の設定をユーザに行わせるために、設定画面20をディスプレイ44に表示させる。例えば、表示制御機能45dは、画像生成機能45bによりボリュームレンダリング画像データが生成される度に、第1画像11とともに、図4に例示する設定画面20をディスプレイ44に表示させる。
設定画面20は、ボタン21、スライダーバー22a、ボタン22b~22e、表示領域22f、スライダーバー23a、ボタン23b~23e、表示領域23f、ボタン24a及び表示領域24bを有する。
ボタン21は、「表示」と表記されたボタンである。ボタン21は、第1画像11の表示と第2画像11aの表示とを切り替えるためのボタンである。例えば、入力インタフェース43を介してユーザによりボタン21が押下されると、ボタン21が押下された状態(オンの状態)となり、ディスプレイ44に表示される画像が、第1画像11から第2画像11aに切り替わる。また、ボタン21が押下された状態で、再び、ボタン21がユーザにより押下されると、ボタン21の押下が解除された状態(オフの状態)となり、ディスプレイ44に表示される画像が、第2画像11aから第1画像11に切り替わる。
スライダーバー22a、ボタン22b~22e及び表示領域22fは、上述した第1閾値を設定する際に用いられる。第1閾値は、例えば、上述したプレートの位置に対応する。このプレートは、視線方向を法線ベクトルとする平面状の透過性を有する。すなわち、第1閾値を設定することは、プレートの位置を設定することと同義である。このようなプレートは、視線方向に沿って移動可能である。
本実施形態では、第1閾値が0.00である場合、この第1閾値は、3次元の医用画像データの中心位置に対応する。そして、ユーザは、入力インタフェース43を介して、スライダーバー22a及びボタン22b~22eを操作することにより、-1.00以上1.00以下の範囲内で第1閾値を設定することができる。表示領域22fには、ユーザにより設定された第1閾値が表示される。
例えば、ユーザは、スライダーバー22aを、図4において左方向に移動させることで、第1閾値を小さくさせることができる。また、ユーザは、スライダーバー22aを、図4において右方向に移動させることで、第1閾値を大きくさせることができる。
また、ユーザは、ボタン22bを押下することで、第1閾値を最小値-1.00にすることができる。また、ユーザは、ボタン22eを押下することで、第1閾値を最大値1.00にすることができる。
また、ユーザは、ボタン22cを1回押下する度に、第1閾値を所定値(例えば、0.05)だけ小さくすることができる。また、ユーザは、ボタン22dを1回押下する度に、第1閾値を所定値(例えば、0.05)だけ大きくすることができる。
また、ユーザは、入力インタフェース43を介して、スライダーバー23a及びボタン23b~23eを操作することにより、0.00よりも大きく1.00未満の範囲内でオパシティを設定することができる。表示領域23fには、ユーザにより設定されたオパシティが表示される。
例えば、ユーザは、スライダーバー23aを、図4において左方向に移動させることで、オパシティを小さくさせることができる。また、ユーザは、スライダーバー23aを、図4において右方向に移動させることで、オパシティを大きくさせることができる。
また、ユーザは、ボタン23bを押下することで、オパシティを最小値0.01にすることができる。また、ユーザは、ボタン23eを押下することで、オパシティを最大値0.99にすることができる。
また、ユーザは、ボタン23cを1回押下する度に、オパシティを所定値(例えば、0.01)だけ小さくすることができる。また、ユーザは、ボタン23dを1回押下する度に、オパシティを所定値(例えば、0.01)だけ大きくすることができる。
また、ユーザは、設定した第1閾値及び設定したオパシティの組に、名称を付けて保存させることもできる。例えば、制御機能45eは、設定した第1閾値及び設定したオパシティの組に、入力インタフェース43を介してユーザにより指定された名称を対応付けて、メモリ42に格納する。例えば、制御機能45eは、設定した第1閾値及び設定したオパシティの組と、3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)とを対応付けてメモリ42に格納する。すなわち、メモリ42は、ユーザにより指定された第1閾値及びオパシティの組と、この組に対応する3次元の医用画像データとを対応付けて記憶する。このようにして、第1閾値及びオパシティの組並びに3次元の医用画像データがメモリ42に保存される。ここでいう3次元の医用画像データは、例えば、第1閾値及びオパシティの組を保存する際に用いられたボリュームレンダリング画像データの元となる医用画像データである。より具体的には、この3次元の医用画像データは、第1閾値及びオパシティが設定される際に用いられる設定画面20とともにディスプレイ44に表示された第1画像11を示すボリュームレンダリング画像の元となる3次元の医用画像データである。
ボタン24a及び表示領域24bは、ユーザにより設定されて保存された第1閾値及びオパシティの組を呼び出す際に用いられる。例えば、ユーザは、ボタン24aを押下すると、ユーザにより保存された第1閾値及びオパシティの全ての組の全ての名称の一覧がディスプレイ44に表示される。そして、ユーザが、全ての名称の中から、いずれか1つの名称を選択すると、選択された名称が表示領域24bに表示される。また、選択された名称に対応する第1閾値及びオパシティのそれぞれが、表示領域22f及び表示領域23fのそれぞれに表示される。また、選択された名称に対応する第1閾値に応じた位置にスライダーバー22aが移動される。また、選択された名称に対応するオパシティに応じた位置にスライダーバー23aが移動される。このようにして、ユーザが呼び出した第1閾値及びオパシティが再設定される。例えば、ユーザが呼び出した第1閾値及びオパシティの組が、この組に対応する3次元の医用画像データに対して再設定される。
また、表示制御機能45dは、ボタン21が押下されている状態である場合には、図3に示す第2画像11aをディスプレイ44に表示させる。表示制御機能45dは、表示制御部の一例である。例えば、図3に示す第2画像11aでは、部分12bよりも部分12aのほうが背景14に溶け込んでいる。また、部分13bよりも部分13aのほうが背景14に溶け込んでいる。このため、ユーザは、部分12bよりも部分12aのほうが奥側にあることを把握することができる。また、ユーザは、部分13bよりも部分13aのほうが奥側にあることを把握することができる。したがって、第1実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を把握させることができる。
また、ユーザは、入力インタフェース43を介して、第1画像11に描出された肺動脈12及び肺静脈13を回転させたり移動させたりすることができる。例えば、画像生成機能45bは、入力インタフェース43を介してユーザにより指定された回転量にしたがって、肺動脈12及び肺静脈13を回転させる。また、画像生成機能45bは、入力インタフェース43を介してユーザにより指定された移動量にしたがって、肺動脈12及び肺静脈13を移動させる。具体的には、画像生成機能45bは、ユーザにより指定された回転量及び移動量に基づいて、3次元の医用画像データにおける視点及び視線方向を再設定する。そして、画像生成機能45bは、再設定された視点及び視線方向に基づいて、3次元の医用画像データに対して再びボリュームレンダリングを施すことにより、再び、ボリュームレンダリング画像データを生成する。
図5は、第1実施形態に係る第1画像の一例を示す図である。例えば、画像生成機能45bは、図2に示す肺動脈12及び肺静脈13をユーザにより指定された回転量にしたがって回転させる。また、画像生成機能45bは、図2に示す肺動脈12及び肺静脈13をユーザにより指定された移動量にしたがって移動させる。そして、画像生成機能45bは、回転されるとともに移動された肺動脈12及び肺静脈13が描出された第1画像11(図5参照)を示すボリュームレンダリング画像データを生成する。このとき、画像生成機能45bは、図5に示す第1画像11を構成する全てのピクセルそれぞれについて、深度情報を再び算出する。
図6は、第1実施形態に係る画像処理機能により生成される医用画像データの一例を示す図である。例えば、画像処理機能45cは、再び算出された深度情報に基づいて、図5の第1画像11を示すボリュームレンダリング画像データから、図6に例示する第2画像11aを示す医用画像データを生成する。そして、表示制御機能45dは、ボタン21が押下されている状態である場合には、図6に示す第2画像11aをディスプレイ44に表示させる。
また、ユーザは、第2画像11aがディスプレイ44に表示されている状態で、スライダーバー23a等を操作することでオパシティを変更することもできる。例えば、ユーザが、オパシティを0.30から0.70に変更した場合について説明する。図7は、第1実施形態に係る画像処理機能により、オパシティの変更前に生成される医用画像データの一例を示す図である。図8は、第1実施形態に係る画像処理機能により、オパシティの変更後に生成される医用画像データの一例を示す図である。例えば、画像処理機能45cは、ユーザにより設定されたオパシティが0.30である場合には、オパシティが0.30である合成用の画像データを用いて、図7に例示する第2画像11aを示す医用画像データを生成する。
そして、ユーザがオパシティを0.30から0.70に変更した場合には、画像処理機能45cは、オパシティが0.70である合成用の画像データを用いて、図8に例示する第2画像11aを示す医用画像データを生成する。
また、ユーザは、入力インタフェース43を介して、第2画像11aの背景14の色を変更することもできる。例えば、ユーザが、図7に示す第2画像11aの背景14の黒色を、白色に変更した場合について説明する。この場合、画像処理機能45cは、背景14の色の変更に伴い、合成用の画像データに割り当てる色を黒色から白色に変更する。そして、画像処理機能45cは、白色に変更された合成用の画像データを用いて、図9に例示する第2画像11aを示す医用画像データを生成する。すなわち、画像処理機能45cは、背景の色が変更された場合に、深度情報が第1閾値以上となるピクセルのデータと、変更後の背景の色と同一の色が割り当てられた合成用の画像データとを合成することで、第2画像11a(図9参照)を示す医用画像データを生成する。図9は、第1実施形態に係る画像処理機能により、背景が白色に変更された場合に生成される医用画像データの一例を示す図である。
例えば、図9に示す第2画像11aでは、部分12bよりも部分12aのほうが、白色の背景15に溶け込んでいる。また、部分13bよりも部分13aのほうが、白色の背景15に溶け込んでいる。
また、ユーザが、図7に示す第2画像11aの背景14の黒色を、黄色に変更した場合について説明する。この場合、画像処理機能45cは、背景14の色の変更に伴い、合成用の画像データに割り当てる色を黒色から黄色に変更する。そして、画像処理機能45cは、黄色に変更された合成用の画像データを用いて、図10に例示する第2画像11aを示す医用画像データを生成する。図10は、第1実施形態に係る画像処理機能により、背景が黄色に変更された場合に生成される医用画像データの一例を示す図である。
例えば、図10に示す第2画像11aでは、部分12bよりも部分12aのほうが、黄色の背景16に溶け込んでいる。また、部分13bよりも部分13aのほうが、黄色の背景16に溶け込んでいる。
したがって、第1実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、背景の色が変更された場合であっても、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を把握させることができる。
図11は、第1実施形態に係る医用画像処理装置が実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。図11に示す処理は、例えば、医用画像処理装置4が、入力インタフェース43を介して、ユーザから図11に示す処理を実行するための指示を受け付けた場合に実行される。
図11に示すように、取得機能45aは、メモリ42に記憶された3次元の医用画像データ(ボリュームデータ)を取得する(ステップS101)。そして、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データに対して、視点及び視線方向を設定してボリュームレンダリングを施すことにより、ボリュームレンダリング画像データを生成する(ステップS102)。
そして、表示制御機能45dは、ボリュームレンダリング画像データが示す第1画像11をディスプレイ44に表示させる(ステップS103)。また、表示制御機能45dは、設定画面20をディスプレイ44に表示させる(ステップS104)。
そして、制御機能45eは、ボタン21が押下された状態であるか否かを判定する(ステップS105)。ボタン21が押下された状態でない場合、すなわち、ボタン21の押下が解除された状態である場合(ステップS105:No)には、表示制御機能45dは、第1画像11をディスプレイ44に表示させる(ステップS106)。そして、表示制御機能45dは、ステップS109に進む。
一方、ボタン21が押下された状態である場合(ステップS105:Yes)、画像処理機能45cは、構造物の複数の部分の奥行き方向の位置関係をユーザに容易に把握させることが可能な第2画像11aを示す医用画像データを生成する(ステップS107)。そして、表示制御機能45dは、第2画像11aをディスプレイ44に表示させる(ステップS108)。
そして、制御機能45eは、図11に示す処理を終了するタイミングであるか否かを判定する(ステップS109)。例えば、ステップS109では、制御機能45eは、入力インタフェース43を介してユーザから図11に示す処理を終了させる指示を受信したか否かを判定する。そして、制御機能45eは、図11に示す処理を終了させる指示を受信した場合には、図11に示す処理を終了するタイミングであると判定する。一方、制御機能45eは、図11に示す処理を終了させる指示を受信していない場合には、図11に示す処理を終了するタイミングではないと判定する。
図11に示す処理を終了するタイミングではない場合(ステップS109:No)には、制御機能45eは、ステップS105に戻る。一方、図11に示す処理を終了するタイミングである場合(ステップS109:Yes)には、制御機能45eは、処理を終了する。
以上、第1実施形態に係る医用画像処理装置4について説明した。第1実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を容易に把握させることができる。
(第1実施形態の変形例1)
なお、画像処理機能45cが、深度情報に基づいて、合成用の画像データが有するオパシティを変化させてもよい。そこで、このような実施形態を、第1実施形態の変形例1として説明する。
なお、第1実施形態の変形例1において、主に、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。
例えば、第1実施形態の変形例1では、画像処理機能45cは、第1実施形態と同様に、図3の第2画像11aを示す医用画像データを生成する。具体的には、画像処理機能45cは、ボリュームレンダリング画像データにおいて、深度情報が第1閾値以上であるピクセルに対して、ピクセル毎に、ピクセルのデータと合成用の画像データとを合成することにより、第2画像11aを示す医用画像データを生成する。
ただし、第1実施形態の変形例1では、画像処理機能45cは、深度情報が第1閾値以上であるピクセルに対して、ピクセル毎に、ピクセルに対応する深度情報が大きくなるほど、合成用の画像データが有するオパシティが大きくなるように、オパシティを変化させる。そして、画像処理機能45cは、ピクセル毎に、オパシティが変化された合成用の画像データを用いて、第2画像11aを示す医用画像データを生成する。これにより、深度情報が第1閾値以上であるピクセルに割り当てられる色は、深度情報が大きくなるほど、背景14(図3参照)の色に近づくように変化する。すなわち、深度情報が第1閾値以上である複数のピクセルにおいて、深度情報が最も小さいピクセルから、深度情報が最も大きいピクセルまで、割り当てられる色が徐々に変化する。このように、画像処理機能45cは、深度情報に基づいて、合成用の画像データが有するオパシティを変化させる。そして、画像処理機能45cは、深度情報に応じたオパシティを有する合成用の画像データを用いて、第2画像11aを示す医用画像データを生成する。すなわち、画像処理機能45cは、深度情報が第1閾値以上となるピクセルのデータと、深度情報に応じたオパシティを有する合成用の画像データとを合成することにより、第2画像11aを示す医用画像データを生成する。したがって、第1実施形態の変形例1に係る医用画像処理装置4によれば、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を更に詳細に把握させることができる。
(第1実施形態の変形例2)
なお、画像処理機能45cは、第1実施形態と異なる方法で、図3の第2画像11aを示す医用画像データを生成してもよい。そこで、このような実施形態を第1実施形態の変形例2として説明する。
なお、第1実施形態の変形例2において、主に、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。
第1実施形態の変形例2に係る第2画像11aを示す医用画像データの生成方法の一例について説明する。例えば、第1実施形態の変形例2では、画像処理機能45cは、深度情報が第1閾値以上であるピクセルに対しては、ピクセル毎に、ピクセルのデータと合成用の画像データとを合成することにより、1ピクセル分の合成画像データを生成する。
そして、画像処理機能45cは、ボリュームレンダリング画像データにおいて、深度情報が第1閾値以上であるピクセルについて、ピクセルのデータを合成画像データで置き換えることにより、図3の第2画像11aを示す医用画像データを生成する。
以上、第1実施形態の変形例2に係る医用画像処理装置4について説明した。第1実施形態の変形例2に係る医用画像処理装置4によれば、第1実施形態と同様に、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を容易に把握させることができる。
(第1実施形態の変形例3)
なお、画像処理機能45cは、メモリ42に保存された第1閾値及びオパシティの組をテンプレートとして用いて、第2画像を示す医用画像データを生成してもよい。そこで、このような実施形態を第1実施形態の変形例3として説明する。
なお、第1実施形態の変形例3において、主に、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。
例えば、第1実施形態の変形例3において、ユーザは、ディスプレイ44に表示された設定画面20のボタン24aを押下すると、表示制御機能45dは、メモリ42に保存された第1閾値及びオパシティの全ての組の全ての名称の一覧をディスプレイ44に表示させる。そして、取得機能45aは、ディスプレイ44に表示された名称の一覧の中からユーザにより1つの名称が選択されると、選択された名称に対応する第1閾値及びオパシティの組をメモリ42から取得する。また、取得機能45aは、取得した第1閾値及びオパシティの組に対応付けられた3次元の医用画像データをメモリ42から取得する。取得機能45aにより取得された3次元の医用画像データは、上述したように、設定画面20とともにディスプレイ44に表示された第1画像11を示すボリュームレンダリング画像の元となる3次元の医用画像データである。以下の説明では、この3次元の医用画像データを、「3次元の元医用画像データ」と表記する場合がある。
そして、ユーザが設定画面20に対して操作を行うことにより、取得機能45aにより取得された第1閾値及びオパシティを変更した場合には、画像処理機能45cは、変更された後の第1閾値及び、変更された後のオパシティを有する合成用の画像データを用いて、第2画像を示す医用画像データを再び生成する。具体的には、ユーザにより第1閾値及びオパシティが変更された場合には、画像生成機能45bは、取得機能45aにより取得された3次元の医用画像データに対して視点及び視線方向を設定し、第1画像を示すボリュームレンダリング画像データを生成する。すなわち、画像生成機能45bは、取得された3次元の医用画像データからボリュームレンダリング画像データを生成する。そして、画像処理機能45cは、変更された後の第1閾値、及び、変更された後のオパシティを有する合成用の画像データを用いて、画像生成機能45bにより生成されたボリュームレンダリング画像データから、第2画像を示す医用画像データを生成する。このようにして、画像処理機能45cは、保存された第1閾値及びオパシティの組をテンプレートとして用いて、第2画像を示す医用画像データを生成する。なお、第1閾値及びオパシティの両方が変更される場合に限られず、第1閾値及びオパシティのいずれかが変更される場合にも、同様の方法で、第2画像を示す医用画像データが生成されてもよい。
また、ユーザが、取得機能45aにより取得された第1閾値及びオパシティを変更しない場合には、まず、画像生成機能45bは、第1閾値及びオパシティが変更された場合と同様に、取得機能45aにより取得された3次元の医用画像データから、第1画像を示すボリュームレンダリング画像データを生成する。そして、画像処理機能45cは、取得機能45aにより取得された第1閾値、及び、取得機能45aにより取得されたオパシティを有する合成用の画像データを用いて、画像生成機能45bにより生成されたボリュームレンダリング画像データから、第2画像を示す医用画像データを生成する。
(第1実施形態の変形例4)
なお、第1実施形態の変形例3では、医用画像処理装置4が、3次元の元医用画像データから、保存された第1閾値及びオパシティの組を用いて、第2画像を示す医用画像データを生成する場合について説明した。しかしながら、医用画像処理装置4は、他の3次元の医用画像データから、保存された第1閾値及びオパシティの組を用いて、第2画像を示す医用画像データを生成してもよい。そこで、このような実施形態を第1実施形態の変形例4として説明する。
なお、第1実施形態の変形例4において、主に、第1実施形態の変形例3と異なる点について説明し、第1実施形態の変形例3と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。
例えば、第1実施形態の変形例4において、医用画像処理装置4は、他の3次元の医用画像データから、第1実施形態の変形例3と同様に、保存された第1閾値及びオパシティの組をテンプレートとして用いて、第2画像を示す医用画像データを生成する。ここでいう他の3次元の医用画像データは、例えば、上述した3次元の元医用画像データとは異なる医用画像データである。他の3次元の医用画像データは、メモリ42に記憶されており、取得機能45aによりメモリ42から取得される。
ここで、保存された第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できない場合がある。例えば、3次元の元医用画像データに描出された部位(撮影対象又は撮像対象の部位)が、複雑な形状である場合には、部位の形状の個人差が大きい。この場合には、保存された第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できないことがある。
また、描出された部位のサイズが、被検体の体格や年齢等によって大きく異なる場合にも、保存された第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できないことがある。
そこで、ユーザは、保存された第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できるか否かを判断する。そして、第1実施形態の第4変形例では、ユーザは、保存された第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できると判断した場合には、入力インタフェース43を介して、汎用的に使用できることを示す情報(例えば、「1」)を、処理回路45に入力する。そして、制御機能45eは、汎用的に使用できることを示す情報を、メモリ42に保存された第1閾値及びオパシティの組に対応付けてメモリ42に記憶させる。
また、ユーザは、保存された第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できないと判断した場合には、入力インタフェース43を介して、汎用的に使用できないことを示す情報(例えば、「0」)を、処理回路45に入力する。そして、制御機能45eは、汎用的に使用できないことを示す情報を、メモリ42に保存された第1閾値及びオパシティの組に対応付けてメモリ42に記憶させる。
このように、第1実施形態の変形例4では、メモリ42が、第1閾値及びオパシティの組と、第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できるか否かを示す情報とを対応付けて予め記憶している。
そして、第1実施形態の変形例4では、取得機能45aは、メモリ42から、第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できるか否かを示す情報を取得する。そして、取得機能45aにより取得された情報が、第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できることを示す場合には、医用画像処理装置4は、次の処理を行う。例えば、医用画像処理装置4は、他の3次元の医用画像データから、第1実施形態の変形例3と同様に、保存された第1閾値及びオパシティの組をテンプレートとして用いて、第2画像を示す医用画像データを生成する。
一方、取得機能45aにより取得された情報が、第1閾値及びオパシティの組が汎用的に使用できないことを示す場合には、医用画像処理装置4は、他の3次元の医用画像データから、第2画像を示す医用画像データを生成する処理を行わない。
以上、第1実施形態の変形例4に係る医用画像処理装置4について説明した。第1実施形態の変形例4によれば、他の3次元の医用画像データから第2画像を示す医用画像データを生成する際に、保存された第1閾値及びオパシティの組をテンプレートとして使用することができるか否かの判断が適切に行われる。このため、第1実施形態の変形例4によれば、保存された第1閾値及びオパシティの適切な組をテンプレートとして使用することができる。
(第1実施形態の変形例5)
なお、第1実施形態の変形例4では、医用画像処理装置4が、他の3次元の医用画像データから、保存された第1閾値及びオパシティの組を用いて、第2画像を示す医用画像データを生成する場合について説明した。ここで、3次元の元医用画像データのボクセルの実空間におけるサイズS1と、他の3次元の医用画像データのボクセルの実空間におけるサイズS2とが異なる場合がある。ここでいうサイズS1,S2は、例えば、ボクセルの一辺の長さに対応する実空間における長さである。サイズS1は、第1サイズの一例である。サイズS2は、第2サイズの一例である。
例えば、3次元の元医用画像データに描出された部位が大人の心臓であり、他の3次元の医用画像データに描出された部位が、子供の心臓である場合について説明する。この場合、例えば、子供の心臓よりも大人の心臓の方が大きい傾向がある。また、例えば、心臓以外の部位がなるべく含まれないように撮影範囲が設定された上で、3次元の医用画像データが収集される。このため、上述したサイズS2よりもサイズS1のほうが大きくなる傾向がある。
また、例えば、3次元の元医用画像データに描出された部位が、腎嚢胞等の疾患を有する腎臓であり、他の3次元の医用画像データに描出された部位が、疾患を有さない腎臓である場合について説明する。この場合、例えば、疾患を有さない腎臓よりも疾患を有する腎臓の方が大きい傾向がある。このため、上述したサイズS2よりもサイズS1のほうが大きくなる傾向がある。
このように、サイズS1とサイズS2とで異なる場合に、医用画像処理装置4が、第1実施形態の変形例4と同様に、他の3次元の医用画像データから、保存された第1閾値及びオパシティの組を用いて、第2画像を示す医用画像データを生成したときについて説明する。このとき、第1閾値が、他の3次元の医用画像データ上において適切でないことがあり得る。例えば、第1閾値に対応する視点からの距離が、実空間において、3次元の元医用画像データと、他の3次元の医用画像データとで異なる。このため、第1閾値が、他の3次元の医用画像データ上において適切でないことがあり得る。
そこで、医用画像処理装置4が、第1実施形態の変形例4と同様に、第2画像を示す医用画像データを生成する場合には、画像処理機能45cは、第1閾値を補正する。例えば、画像処理機能45cは、以下の式(1)に示すように、保存された第1閾値Th1に、(S2/S1)を乗じることにより新たな第1閾値Th1´を生成する。
Th1´=Th1×(S2/S1) (1)
そして、画像処理機能45cは、新たな第1閾値Th1´を用いて、1実施形態の変形例4と同様に、他の3次元の医用画像データから生成されたボリュームレンダリング画像データから、第2画像を示す医用画像データを生成する。すなわち、画像処理機能45cは、サイズS1及びサイズS2に基づいて、第1閾値Th1を補正し、補正された第1閾値Th1´を用いて、第2画像を示す医用画像データを生成する。
ここで、3次元の元医用画像データにおける第1閾値Th1に対応する視点からの距離を、実空間で換算した距離d1と、他の3次元の医用画像データにおける第1閾値Th1´に対応する視点からの距離を、実空間で換算した距離d2とは、略一致するようになる。このため、第1実施形態の変形例5によれば、第1閾値Th1´が、他の3次元の医用画像データ上において適切な値となる。
以上、第1実施形態の変形例5に係る医用画像処理装置4について説明した。第1実施形態の変形例5によれば、上述したように、第1閾値を適切な値に補正することができる。この結果、適切な第2画像を得ることができる。
(第2実施形態)
なお、上述した実施形態では、ディスプレイ44に表示された設定画面20によりプレートの位置(第1閾値)を設定する場合について説明した。しかしながら、表示制御機能45dは、設定画面20とともに、設定画面20により設定されたプレートの位置に応じた位置に、プレートを示すマークが重畳された参照画像をディスプレイ44に表示させてもよい。そこで、このような実施形態を第2実施形態として説明する。
なお、第2実施形態において、主に、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。また、第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図12~図14は、第2実施形態に係る参照画像の一例を示す図である。図12は、参照画像の一例である体軸断面像(アキシャル断面像)31を示す。第2実施形態では、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データに対してMPR(Multi-Planar Reconstruction)処理を施すことにより、肺動脈の一部及び肺静脈の一部が描出された体軸断面像31を示す参照画像データを生成する。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定されたプレートの位置(第1閾値)に応じた体軸断面像31の位置に、プレートを示すマーク31aを重畳させた重畳画像データを生成する。
図13は、参照画像の一例である矢状断面像(サジタル断面像)32を示す。第2実施形態では、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データに対してMPR処理を施すことにより、肺動脈の一部及び肺静脈の一部が描出された矢状断面像32を示す参照画像データを生成する。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定されたプレートの位置に応じた矢状断面像32の位置に、プレートを示すマーク32aを重畳させた重畳画像データを生成する。
図14は、参照画像の一例である冠状断面像(コロナル断面像)33を示す。第2実施形態では、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データに対してMPR処理を施すことにより、肺動脈の一部及び肺静脈の一部が描出された冠状断面像33を示す参照画像データを生成する。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定されたプレートの位置に応じた冠状断面像33の位置に、プレートを示すマーク33aを重畳させた重畳画像データを生成する。なお、図14の例では、マーク33aにより示されるプレートは、冠状断面と平行である。マーク31aにより示されるプレート、マーク32aにより示されるプレート、及び、マーク33aにより示されるプレートは、同一のプレートを指す。
ここで、3つのマーク31a,32a,33aは、第1閾値を示す。また、3つのマーク31a,32a,33aは、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界を示す境界情報である。また、3つのマーク31a,32a,33aは、肺静脈13の奥側の部分13aと手前側の部分13bとの境界を示す境界情報でもある。
そして、表示制御機能45dは、設定画面20とともに、各種の重畳画像データが示す重畳画像をディスプレイ44に表示させる。具体的には、表示制御機能45dは、重畳画像として、マーク31aが重畳された体軸断面像31、マーク32aが重畳された矢状断面像32及びマーク33aが重畳された冠状断面像33をディスプレイ44に表示させる。これにより、ユーザは、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界、及び、肺静脈13の奥側の部分13aと手前側の部分13bとの境界を容易に把握することができる。
ここで、マーク31aの体軸断面像31上の位置は、設定画面20により設定されたプレートの位置の変化に連動して変化する。同様に、マーク32aの矢状断面像32上の位置は、設定画面20により設定されたプレートの位置の変化に連動して変化する。同様に、マーク33aの冠状断面像33上の位置は、設定画面20により設定されたプレートの位置の変化に連動して変化する。
すなわち、設定画面20は、ユーザにより設定される第1閾値及びオパシティを受け付けるための画面である。そして、画像生成機能45bは、設定画面20により受け付けられた第1閾値に応じた体軸断面像31上の位置に、マーク31aを重畳させた重畳画像データを生成する。
また、画像生成機能45bは、設定画面20により受け付けられた第1閾値に応じた矢状断面像32上の位置に、マーク32aを重畳させた重畳画像データを生成する。また、画像生成機能45bは、設定画面20により受け付けられた第1閾値に応じた冠状断面像33上の位置に、マーク33aを重畳させた重畳画像データを生成する。
このように、画像生成機能45bは、設定画面20により設定されたプレートの位置の変化に応じて、体軸断面像31上のマーク31aの位置を変化させる。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定されたプレートの位置の変化に応じて、矢状断面像32上のマーク32aの位置を変化させる。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定されたプレートの位置の変化に応じて、冠状断面像33上のマーク33aの位置を変化させる。
なお、ユーザは、入力インタフェース43を介して、体軸断面像31、矢状断面像32及び冠状断面像33上に表示されたカーソルを用いて、3つのマーク31a,32a,33aのそれぞれの位置(断面像上の位置)を移動させることができる。そして、ユーザが、入力インタフェース43を介して、3つのマーク31a,32a,33aのうち、いずれかのマークの位置を変更させることで、プレートの位置(第1閾値)を変更してもよい。この場合、プレートの位置の変更に連動して、設定画面20のスライダーバー22aの位置、及び、表示領域22fに表示される第1閾値が変更される。また、この場合、画像処理機能45cは、プレートの位置の変更に連動して変更された第1閾値を用いて、構造物の複数の部分の奥行き方向の位置関係をユーザに容易に把握させることが可能な第2画像を示す医用画像データを生成する。また、3つのマーク31a,32a,33aのうちいずれかのマークの位置が変更されることで、他のマークの位置も変更される。
以上、第2実施形態に係る医用画像処理装置4について説明した。第2実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界、及び、肺静脈13の奥側の部分13aと手前側の部分13bとの境界をユーザに容易に把握させることができる。また、第2実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、第1実施形態と同様に、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を把握させることができる。
(第3実施形態)
図15は、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界の一例を示す図である。画像処理機能45cが、画像生成機能45bにより生成された深度情報を加工せずにそのまま用いた場合には、図15の円形の領域12c内に示すように、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界が、滑らかではなく、がたついてしまうことがあり得る。同様に、肺静脈13の奥側の部分13aと手前側の部分13bとの境界が滑らかではなくがたついてしまうこともあり得る。
そこで、このようながたつきの発生を抑制するために、画像処理機能45cは、画像生成機能45bにより生成された深度情報を加工してもよい。例えば、画像処理機能45cは、画像生成機能45bにより生成された深度情報に対して平滑化を行ってもよい。そこで、このような実施形態を第3実施形態として説明する。
なお、第3実施形態において、主に、上述した実施形態と異なる点について説明し、上述した実施形態と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。また、第3実施形態において、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図16は、第3実施形態に係る設定画面20の一例を示す図である。図16に示す第3実施形態に係る設定画面20は、平滑化を行うか否かを判定するためのチェックボックス25を有する点が、図4に示す第1実施形態に係る設定画面20と異なる。
第3実施形態において、ユーザは、医用画像処理装置4に、深度情報に対する平滑化を行わせる場合には、入力インタフェース43を介してチェックボックス25を選択する。チェックボックス25が選択されると、チェックボックス25には所定のチェックマークが付与される。また、ユーザは、医用画像処理装置4に、深度情報に対する平滑化を行わせない場合には、チェックボックス25を選択しない。
そして、画像処理機能45cは、チェックボックス25が選択されている場合、2次元状に配置された複数の深度情報に対して、2次元のガウシアンフィルタをかけて、複数の深度情報を平滑化する。2次元のガウシアンフィルタは、平滑化フィルタの一例である。なお、画像処理機能45cは、複数の深度情報に対して、ガウシアンフィルタ以外の移動平均フィルタ等の平滑化フィルタをかけて、複数の深度情報を平滑化してもよい。そして、画像処理機能45cは、平滑化された複数の深度情報に基づいて、第1実施形態と同様の方法で、図17に例示する第2画像11aを示す医用画像データを生成する。なお、図17は、第3実施形態において画像処理機能45cにより生成される医用画像データにより示される第2画像の一例を示す図である。
第3実施形態では、画像処理機能45cが、平滑化された深度情報を用いているため、図17の円形の領域12c内に示すように、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界が滑らかになる。同様に、肺静脈13の奥側の部分13aと手前側の部分13bとの境界が滑らかになる。したがって、第3実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、画質が良好な画像データを生成することができる。
以上、第3実施形態に係る医用画像処理装置4について説明した。第3実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、肺動脈12の奥側の部分12aと手前側の部分12bとの境界、及び、肺静脈13の奥側の部分13aと手前側の部分13bとの境界を滑らかにすることができる。また、第3実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、第1実施形態等と同様に、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係を把握させることができる。
(第4実施形態)
上述した実施形態では、画像処理機能45cが、背景と同色が割り当てられた合成用の画像データを用いて、構造物の複数の部分の奥行き方向の位置関係をユーザに容易に把握させることが可能な第2画像11aを示す医用画像データを生成する場合について説明した。しかしながら、画像処理機能45cは、背景とは異なる色が割り当てられた合成用の画像データを用いて、特定の構造物が強調されて表示されるような第2画像を示す医用画像データを生成してもよい。そこで、このような実施形態を第4実施形態として説明する。
なお、第4実施形態において、主に、上述した実施形態と異なる点について説明し、上述した実施形態と同様の構成及び処理についての説明を省略する場合がある。また、第4実施形態において、上述した実施形態と同様の構成については同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
図18は、第4実施形態に係る第1画像の一例を示す図である。図18に例示する第1画像50には、肺51、肺51の血管52、気管支53及び腫瘍54が描出されている。第4実施形態において、画像生成機能45bは、例えば、第1画像50を示すボリュームレンダリング画像データを生成する。
画像生成機能45bは、例えば、肺51の領域を構成する全てのピクセルに緑色を割り当てる。また、画像生成機能45bは、例えば、血管52の領域を構成する全てのピクセルに青色を割り当てる。また、画像生成機能45bは、例えば、気管支53の領域を構成する全てのピクセルに紫色を割り当てる。また、画像生成機能45bは、例えば、腫瘍54の領域を構成する全てのピクセルに黄色を割り当てる。
第4実施形態では、画像処理機能45cは、肺51、血管52、気管支53及び腫瘍54の4つの構造物のうち、特定の腫瘍54が強調して表示されるような第2画像を示す医用画像データを生成する。以下、このような医用画像データの生成方法の一例について説明する。
図19は、第4実施形態に係る設定画面20の一例を示す図である。図19に示す第4実施形態に係る設定画面20は、ボタン26a及び表示領域26bを有する点が、図16に示す第3実施形態に係る設定画面20と異なる。
第4実施形態では、第1実施形態におけるプレート(背景プレート)に加えて、複数のプレートが用いられることが可能である。図20は、第4実施形態に係る参照画像の一例を示す図である。図20は、参照画像の一例である冠状断面像60を示す。第4実施形態では、画像生成機能45bは、3次元の医用画像データに対してMPR処理を施すことにより、肺動脈の一部及び肺静脈の一部が描出された冠状断面像60を示す参照画像データを生成する。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定された第1プレートの位置に応じた冠状断面像60の位置に、第1プレートを示すマーク61を重畳させる。同様に、画像生成機能45bは、設定画面20により設定された第2プレートの位置に応じた冠状断面像60の位置に、第2プレートを示すマーク62を重畳させる。また、画像生成機能45bは、設定画面20により設定された第3プレートの位置に応じた冠状断面像60の位置に、第3プレートを示すマーク63を重畳させる。このようにして、画像生成機能45bは、3つの第1プレート,第2プレート及び第3プレートに対応する3つのマーク61,62,63が冠状断面像60に重畳された重畳画像データを生成する。
なお、図20において、視点は、第1プレートよりも上側に設定され、視線方向は、上から下に向かう方向となる。したがって、第1プレートは、腫瘍54よりも視点側に設定され、2つの第2プレート及び第3プレートは、腫瘍54と気管支53との間に設定される。
本実施形態では、背景プレート、第1プレート、第2プレート及び第3プレートの4つのプレートを用いることが可能である。しかしながら、用いることが可能なプレートの数は、4つに限定されない。用いることが可能なプレートの数は、4つ以外の複数であってもよい。このように、本実施形態では、4つのプレートを用いることが可能であるものの、以下の説明では、特定の腫瘍54が強調して表示されるような第2画像を示す医用画像データを生成する際に、背景プレートを除く、3つの第1プレート、第2プレート及び第3プレートを用いる場合について説明する。第1プレート、第2プレート及び第3プレートは、視線方向を法線ベクトルとする平面状の透過性を有する。第1プレート、第2プレート及び第3プレートは、視線方向に沿って移動可能である。
例えば、ユーザは、ボタン26aを押下すると、4つのプレートの名称の一覧がディスプレイ44に表示される。そして、ユーザが、名称の一覧の中から、プレートの位置及びプレートのオパシティの設定対象となる1つのプレートの名称を選択すると、選択された名称が表示領域26bに表示される。また、選択された名称に対応するプレートの位置に応じた位置にスライダーバー22aが移動される。また、選択された名称に対応するプレートが有するオパシティに応じた位置にスライダーバー23aが移動される。
例えば、4つのプレートの名称の一覧の中から「第1プレート」が選択された場合には、第1プレートの位置に対応する第2閾値に応じた位置にスライダーバー22aが移動される。また、4つのプレートの名称の一覧の中から「第1プレート」が選択された場合には、第1プレートが有するオパシティに応じた位置にスライダーバー23aが移動される。そして、「第1プレート」が選択された場合には、スライダーバー22a、ボタン22b~22e及び表示領域22fは、第2閾値を設定するために用いられる。また、「第1プレート」が選択された場合には、スライダーバー23a、ボタン23b~23e及び表示領域23fは、第1プレートに対応する合成用の画像データのオパシティを設定するために用いられる。したがって、ユーザは、「第1プレート」を選択することで、第2閾値及び第1プレートに対応する合成用の画像データのオパシティを設定することができる。第2閾値を設定することは、第1プレートの位置を設定することと同義である。
また、4つのプレートの名称の一覧の中から「第2プレート」が選択された場合には、第2プレートの位置に対応する第3閾値に応じた位置にスライダーバー22aが移動される。また、4つのプレートの名称の一覧の中から「第2プレート」が選択された場合には、第2プレートが有するオパシティに応じた位置にスライダーバー23aが移動される。そして、「第2プレート」が選択された場合には、スライダーバー22a、ボタン22b~22e及び表示領域22fは、第3閾値を設定するために用いられる。また、「第2プレート」が選択された場合には、スライダーバー23a、ボタン23b~23e及び表示領域23fは、第2プレートに対応する合成用の画像データのオパシティを設定するために用いられる。したがって、ユーザは、「第2プレート」を選択することで、第3閾値及び第2プレートに対応する合成用の画像データのオパシティを設定することができる。第3閾値を設定することは、第2プレートの位置を設定することと同義である。
また、4つのプレートの名称の一覧の中から「第3プレート」が選択された場合には、第3プレートの位置に対応する第4閾値に応じた位置にスライダーバー22aが移動される。また、4つのプレートの名称の一覧の中から「第3プレート」が選択された場合には、第3プレートが有するオパシティに応じた位置にスライダーバー23aが移動される。そして、「第3プレート」が選択された場合には、スライダーバー22a、ボタン22b~22e及び表示領域22fは、第4閾値を設定するために用いられる。また、「第3プレート」が選択された場合には、スライダーバー23a、ボタン23b~23e及び表示領域23fは、第3プレートに対応する合成用の画像データのオパシティを設定するために用いられる。したがって、ユーザは、「第3プレート」を選択することで、第4閾値及び第3プレートに対応する合成用の画像データのオパシティを設定することができる。第4閾値を設定することは、第3プレートの位置を設定することと同義である。
画像処理機能45cは、第1画像50を構成する各ピクセルについて、深度情報と第2閾値とを比較する。具体的には、画像処理機能45cは、深度情報が第2閾値以上であるか否かをピクセル毎に判定する。
そして、画像処理機能45cは、第1画像50を示すボリュームレンダリング画像データにおいて、深度情報が第2閾値以上であるピクセルに対して、ピクセル毎に、ピクセルのデータと、第1プレートに対応する1ピクセル分の合成用の画像データとを合成することにより、新たに画像データを生成する。このようにして新たに生成された画像データを以下の説明では、「画像データD1」と表記する。ここでいう第1プレートに対応する合成用の画像データは、例えば、所定のオパシティ(不透明度)を有し、かつ、赤色が割り当てられた画像データである。第1プレートに対応する合成用の画像データが有するオパシティは、0.00(完全透明)よりも大きく、1.00(完全不透明)よりも小さい。
なお、画像データD1は、2次元の画像データである。また、画像データD1が示す画像を「画像I1」と表記する。
そして、画像処理機能45cは、画像I1を構成する各ピクセルについて、深度情報と第3閾値とを比較する。具体的には、画像処理機能45cは、深度情報が第3閾値以上であるか否かをピクセル毎に判定する。
そして、画像処理機能45cは、画像I1を示す画像データD1において、深度情報が第3閾値以上であるピクセルに対して、ピクセル毎に、ピクセルのデータと、第2プレートに対応する1ピクセル分の合成用の画像データとを合成することにより、新たに画像データを生成する。このようにして新たに生成された画像データを以下の説明では、「画像データD2」と表記する。ここでいう第2プレートに対応する合成用の画像データは、例えば、所定のオパシティを有し、かつ、青色が割り当てられた画像データである。第2プレートに対応する合成用の画像データが有するオパシティは、0.00よりも大きく、1.00よりも小さい。
なお、画像データD2は、2次元の画像データである。また、画像データD2が示す画像を「画像I2」と表記する。
そして、画像処理機能45cは、画像I2を構成する各ピクセルについて、深度情報と第4閾値とを比較する。具体的には、画像処理機能45cは、深度情報が第4閾値以上であるか否かをピクセル毎に判定する。
そして、画像処理機能45cは、画像I2を示す画像データD2において、深度情報が第4閾値以上であるピクセルに対して、ピクセル毎に、ピクセルのデータと、第3プレートに対応する1ピクセル分の合成用の画像データとを合成することにより、図21に例示する第2画像50aを示す医用画像データを生成する。ここでいう第3プレートに対応する合成用の画像データは、例えば、所定のオパシティを有し、かつ、緑色が割り当てられた画像データである。第3プレートに対応する合成用の画像データが有するオパシティは、0.00よりも大きく、1.00よりも小さい。また、第2画像50aは、2次元の医用画像である。なお、図21は、第4実施形態に係る第2画像の一例を示す図である。
このような方法により、画像処理機能45cは、あたかも、視点から第2閾値に対応する距離だけ離れた位置に赤色の第1プレートが合成用の画像データとして配置され、視点から第3閾値に対応する距離だけ離れた位置に青色の第2プレートが合成用の画像データとして配置され、視点から第4閾値に対応する距離だけ離れた位置に緑色の第3プレートが合成用の画像データとして配置されているかのような3次元の医用画像データに基づく第2画像50aを示す医用画像データを生成することができる。第2画像50aは、医用画像の一例である。また、第2画像50aを示す医用画像データは、第2医用画像データの一例である。
ここで、第1プレートに対応する合成用の画像データには、赤色が割り当てられている。また、第2閾値より奥側に存在する腫瘍54には、黄色が割り当てられている。黄色が割り当てられた画像データと赤色が割り当てられた画像データとを合成すると、強調された色が割り当てられた合成データが生成される。このため、図18に示す腫瘍54を構成する各ピクセルのデータと第1プレートに対応する合成用の画像データとが合成された合成画像データにより構成される図21に示す腫瘍54には、強調された色が割り当てられる。
また、肺51の血管52には、第2プレートに対応する合成用の画像データに割り当てられた青色と同一の色が割り当てられている。このため、図21に示す第2画像50aにおいて、血管52が目立たなくなっている。
また、肺51には、第3プレートに対応する合成用の画像データに割り当てられた緑色と同一の色が割り当てられている。このため、第2画像50aにおいて、肺51が目立たなくなっている。
また、気管支53には、紫色が割り当てられている。第1プレートに対応する合成用の画像データに割り当てられた赤色と第2プレートに対応する合成用の画像データに割り当てられた青色とが混ざることで、紫色となる。このため、第2画像50aにおいて、気管支53が目立たなくなっている。
このように、第4実施形態では、合成用の画像データには、第1画像50に描出された被検体の構造物に割り当てられた色に対応する色が割り当てられている。
したがって、第4実施形態では、画像処理機能45cは、肺51、血管52、気管支53及び腫瘍54の4つの構造物のうち、特定の腫瘍54が強調して表示されるような第2画像50aを示す医用画像データを生成する。そして、表示制御機能45dは、第2画像50aをディスプレイ44に表示させる。
なお、第4実施形態において、被検体の複数の構造物に割り当てられた色を示す情報がメモリ42に記憶されている場合には、画像処理機能45cは、色を示す情報を参照し、複数の構造物の中から特定の構造物が強調して表示されるような色を、合成用の画像データに自動的に割り当ててもよい。具体例を挙げて説明する。例えば、腫瘍54に割り当てられた色が黄色であることを示す情報がメモリ42に記憶されており、ユーザが、入力インタフェース43を操作して、強調して表示させる構造物として腫瘍54を指定した場合について説明する。この場合、画像処理機能45cは、自動で、黄色の腫瘍54を強調させるための赤色をプレートに割り当て、赤色が割り当てられたプレートを、腫瘍54よりも視点側に設定する。
以上、第4実施形態に係る医用画像処理装置4について説明した。第4実施形態に係る医用画像処理装置4によれば、腫瘍54を強調して表示する。これにより、ユーザに、特定の構造物を容易に把握させることができる。
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、ユーザに、肺動脈12の複数の部分及び肺静脈13の複数の部分の奥行き方向の位置関係、又は、特定の構造物等の被検体の診断に有用な情報を把握させることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。