JP7240658B2 - 吸音体 - Google Patents

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Description

本発明は、室内に設置されて室内の音を吸収する吸音体に関し、特に、シート状の立体編物を複数組み合わせて、所定の立体形状に形成された吸音体に関する。
従来から、コンサートホール、音楽室等の壁面や天井に吸音材を設置して、騒音対策を行うことが行われている。例えば、特許文献1には、低周波数領域を含む広い周波数帯の音に対して吸音効果を発揮する吸音材と、この吸音材を用いた吸音装置が開示されている。
特許文献1の吸音材は、多孔質のウレタンフォームに活性炭を含浸させてなる第1層と、この第1層に積層されるハニカム状の立体編物からなる第2層を備えており、吸音装置は、この吸音材を中空の収容体に詰め込むことによって構成されている。
特開2009-299332号公報
特許文献1の吸音材は、低周波数領域を含む、比較的広い周波数帯の音に対して一定の吸音効果を有するものであるが、生活騒音の音域(600~2000Hz)においては、吸音効果は十分であるとは言えず、更に吸音効果に優れる吸音体(つまり、吸音材や吸音装置)の開発が望まれている。
また、近年、一般家庭や会議室等で、音響効果を改善するために(つまり、反響を抑えるために)、吸音装置や吸音パネルを部屋の壁や隅に配置することも行われているが、このような用途においては、低音域(100~1000Hz)の残響を抑える必要があり、低音域での残響抑制効果に優れる吸音体の開発も望まれている。
また、近年、保育園や幼稚園での騒音対策にも吸音装置や吸音パネルが用いられているが、このような用途においては、吸音効果に加えて、幼児が怪我をしない程度にクッション性に優れ、また意匠性にも優れたものが要求されている。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、クッション性、意匠性に優れ、かつ、生活騒音の音域において優れた吸音効果を発揮し、低音域において優れた残響抑制効果を有する吸音体を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明者らは、鋭意検討した結果、所定の通気度を有するシート状の立体編物が、生活騒音の音域(600~2000Hz)の音を吸収するのに有効であることを見出した。
更に、本発明者らは、シート状の立体編物を複数組み合わせて立体形状を構成し、その内部に、立体編物で覆われた中空部を形成することによって、特に低音域(100~1000Hz)において、より優れた吸音効果(残響抑制効果)を発揮する吸音体とし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の吸音体は、互いに離間して配置された一対の基布と、該基布間を往復して両者を結合する連結糸とから編成されたシート状の立体編物を複数組み合わせて、所定の立体形状に形成された吸音体であって、立体編物は、所定の通気度を有し、600~2000Hzの音域の音を吸収し、所定の立体形状は、内部に、立体編物で覆われた中空部を有し、吸音体、100~1000Hzの音域の残響を抑制し、立体編物は、20~30cm /cm /secの通気度を有する第1立体編物と、10~20cm /cm /secの通気度を有し第1立体編物に積層される第2立体編物と、からなり、吸音体において、第1立体編物は外側に位置し、第2立体編物は内側に位置することを特徴とする。
このような構成によれば、吸音体をシート状の立体編物を複数組み合わせて構成し、また吸音体の内部には中空部を有するので、クッション性、意匠性に優れ、かつ、生活騒音の音域において優れた吸音効果を発揮し、低音域において優れた残響抑制効果を有する吸音体が実現される。
また、所定の通気度が10~70cm/cm/secであることが望ましい。
また、所定の立体形状を、立方体とすることができる。
また、所定の立体形状を、円柱とすることができる。
また、立体編物の厚さが、10~20mmであることが望ましい。
以上のように、本発明によれば、クッション性、意匠性に優れ、かつ、生活騒音の音域において優れた吸音効果を発揮し、低音域において優れた残響抑制効果を有する吸音体が実現される。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の全体構成を示す図である。 図2は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の立体編物の構成を説明する斜視図である。 図3は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の立体編物の吸音特性を示すグラフである。 図4は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の立体編物を編成するために使用する編機の構成を示す図である。 図5は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の立体編物を編成するために使用する各構成糸の編組織の一例を示す図である。 図6は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の吸音率を測定した結果を示すグラフである。 図7は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体の残響時間を測定した結果を示すグラフである。 図8は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の全体構成を示す図である。 図9は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の立体編物の構成を説明する図である。 図10は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の立体編物の吸音特性を示すグラフである。 図11は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の立体編物Xを編成するために使用する編機の構成を示す図である。 図12は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の立体編物Xを編成するために使用する各構成糸の編組織の一例を示す図である。 図13は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の立体編物Yを編成するために使用する各構成糸の編組織の一例を示す図である。 図14は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の吸音率を測定した結果を示すグラフである。 図15は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体の残響時間を測定した結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。但し、この実施形態に記載される構成要素、種類、組み合わせ、材質、形状、その相対配置などは特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する主旨ではなく単なる説明例に過ぎない。なお、図中同一又は相当部分には同一の符号を付してその説明は繰り返さない。
[第1の実施形態]
(吸音体1Aの構成)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る吸音体1Aの全体構成を示す図であり、図1(a)は、吸音体1Aの斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA-A線断面図である。本実施形態の吸音体1Aは、室内の天井から吊したり、床面に載置して用いられるものであり、図1に示すように、6枚のシート状の立体編物11~16を、15cm×15cmの立方体状に縫製又は接着して形成したものである。吸音体1Aの内部には、立体編物11~16によって覆われた中空部19が形成されている。
このような吸音体1Aによれば、各立体編物11~16を音が通過する際に、立体編物11~16の内部の空気と繊維との摩擦や繊維間の摩擦によって熱が発生し、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるため、音のエネルギーが減少する(つまり、吸音効果が発揮される)。
また、各立体編物11~16によって吸収しきれなかった音は、中空部19内の空気に伝搬するため、その一部は、共鳴効果によって中空部19内で打ち消される(つまり、吸音効果が発揮される)。
本実施形態では、各立体編物11~16は、約60cm/cm/secの通気度を有している。このような構成により、各立体編物11~16は、少なくとも600~6300Hzの音域に吸収帯域を有し、いわゆる生活騒音に対して十分な吸音効果を発揮することができるようになっている(詳細は後述)。
また、本実施形態の吸音体1Aは、中空部19が形成されていることによって、低音域(100~1000Hz)において、優れた吸音効果(残響抑制効果)を有している(詳細は後述)。
また、本実施形態の吸音体1Aは、例えば、コンサートホール、音楽室等の天井から吊したり、床面に載置して使用することができる他、保育所、幼稚園等の幼児が集まる室内に設置して使用することができる。吸音体1Aは、立体編物11~16のみからなり、その内部も空間(つまり、中空部19)であるため、クッション性が非常に高く、これによって幼児が怪我をするリスクが低いため、特に、幼児が集まる室内に吸音体1Aを設置するのは好適である。
(立体編物11~16の構成)
本実施形態の立体編物11~16は、それぞれ同一の構成であるため、以下、代表して立体編物11の構成について説明する。図2は、本実施形態の立体編物11の構成を説明する斜視図である。
立体編物11は、互いに離間して配置された一対の前側基布11a及び後側基布11bと、前側基布11aと後側基布11bの間を往復して両者を結合する連結糸11cとから編成されるダブルラッシェル立体基布である。
前側基布11a及び後側基布11bの地糸の編組織は、特に限定されるものではないが、意匠性の観点から、前側基布11aの編組織は、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地構造となっている。
また、前側基布11aと後側基布11bは、ほぼ等しい厚さであってもよいが、後側基布11bが、前側基布11aより薄くすることが好ましい。このように、音源に近い前側基布11aを厚くすると、通気度が低くなるため、立体編物11の吸音効果をより高めることができる。
連結糸11cは、前側基布11aと後側基布11bの間隔を保持するように、前側基布11aと後側基布11bとの間に編み込んだものであり、立体編物11の通気度の調整に大きく寄与する部分であるとともに、クッション性を付与する部分でもある。従って、連結糸11cにより形成される組織は、アンダーラップの大きい組織で、かつ厚さが大きくなるような組織が好ましい。
立体編物11の前側基布11a及び後側基布11bを編成する糸の素材としては、柔軟性、耐久性、耐候性、耐摩耗性の観点から、天然繊維(コットン)、合成繊維(ポリエステル、アクリル、ナイロン、レーヨン等)のスパン糸(短繊維)が好適である。
また、立体編物11の連結糸11cの素材としては、立体編物11の適度な通気度と厚さを確保する観点から、ポリエステルやナイロン等の合成繊維加工糸と合成繊維モノフィラメント糸によって構成することが好ましい。
なお、合成繊維加工糸を用いることにより、立体編物11の通気度を低くすることができる。一方、合成繊維モノフィラメント糸を用いることにより、立体編物11の厚さを確保することができる。
連結糸11cの太さは、立体編物11の適度な通気度と厚さを確保し、それらの高い形状安定性を得るためには、太い方が好ましく、実際には使用する編機の仕様によって決定される。例えば、編機として、カールマイヤー社製のダブルラッシェル機 RD6DPLM/8・RD6DPLM/12-3(22ゲージ/2.54cm)を使用する場合、1本の針に掛かる太さの限界値は長繊維において529デニール/588デシテックスであり、短繊維においては310デニール/345デシテックスである。このため、各地糸は、150~220デシテックス程度が望ましい。
また、立体編物11の厚さは、それぞれ、適度な通気度を維持しつつ、クッション性、反発性を十分に確保する観点からは、厚い方が好ましい。しかしながら、立体編物11の厚さを厚くすると、立体編物11の後加工が難しくなり、また糸消費量が増加することから、その厚さは、6~12mm程度とするのが好ましく、8~11mm程度とすることがより好ましい。
図3は、立体編物11の吸音特性を示すグラフであり、縦軸は吸音率(%)、横軸は周波数(Hz)である。なお、図3のグラフは、垂直入射吸音率試験(JIS A 1405-2、ISO 10534-2:1998準拠)によって得られた結果である。
図3に示すように、本実施形態の立体編物11の吸音率は、600Hzあたりから徐々に上昇し、1000Hzを超えたあたりから急激に上昇し、6300Hzで約85%の吸音率となっている。従って、本実施形態の立体編物11によれば、生活騒音の音域(600~2000Hz)の音を吸収することができる。
本実施形態の吸音体1Aは、6枚のシート状の立体編物11~16が、立方体の各面となるように、縫製又は接着されたものである。なお、接着する場合には、通気を塞がないように、互いに、散点する接着剤の複数のスポットで接着するのが好ましい。
また、接着剤としては、例えば、アクリル樹脂系接着剤、α-オレフィン系接着剤、ウレタン樹脂系接着剤およびホットメルト接着剤等を用いることができる。これらの中でも、短時間で接着できる、加工性に優れる、溶剤を使用しない、という観点から、ホットメルト接着剤が好適である。
また、ホットメルト接着剤の形態としては、例えは、粉末(パウダー)、液体、ゲル等が挙げられるが、取扱性に優れる観点から、特に、粉末(パウダー)が好適である。
また、立体編物11~16は、通気性を維持しながら固定されていればよく、例えば、タッカーやバノックで固定してもよい。
(吸音体1Aの製造方法)
次に、本実施形態の吸音体1Aの製造方法について説明する。
製造方法の概略を説明すると、先ず、立体編物11~16の基材を製造し、次に、得られた基材を裁断して、立体編物11~16を得る。そして、立体編物11~16が立方体の各面となるように縫製する。
(立体編物11~16の基材の製造)
立体編物11~16の基材は、編機(ダブルラッシェル機)を用いて製造される。図4は、立体編物のダブルラッシェル地を編成するために使用する、複列の編み針列を有する編機100の構成を示す図である。ここで、符号L1~L6は、編み糸を導糸するガイド(筬)を示し、符号103は、フロント側針床のトリックプレートを示し、符号104は、バック側針床のトリックプレートを示している。また、符号101は、フロント針であり、符号102は、バック針であり、符号105は、釜間を示している。
ガイドL1、L2には、地糸S1、S2が通糸され、地糸S1、S2によって前側基布11aが形成される。ガイドL4、L5には、地糸S4、S5が通糸され、地糸S4、S5によって後側基布11bが形成される。また、ガイドL3には、前側基布11aと後側基布11bとを連結する連結糸11cの地糸S3が通糸され、地糸S3によって前側基布11aと後側基布11bとの間に間隙が形成される。
図5は、本実施形態の立体編物11~16の基材を編成するために使用する各構成糸の編組織の一例を示す図である。図5中、「・」(黒点)は、フロント針101とバック針103の位置を示しており、フロント側の編み針列を「F」で示し、バック側の編み針列を「B」で示している。また、各編組織の編成の下側の数字は、編針位置番号を示している。
図5に示すように、本実施形態においては、前側基布11aの一番外側の編組織の地糸S1の位置は、ガイドL1によりフロント針101に対して編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号4までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号3までアンダーラップをすることでワンサイクルとする閉じ目である。
前側基布11aの外側から二番目の編組織の地糸S2の位置は、ガイドL2によりフロント針101に対して編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号2へオーバーラップを行ない、スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップをすることでワンサイクルとする閉じ目である。
連結糸11cの編組織の地糸S3の位置は、ガイドL3により、フロント針101に対して編針位置番号4からスイングインし、編針位置番号5へオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号2までアンダーラップを行ない、バック針102に対して編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3へオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、フロント針101に対して編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0へオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号3までアンダーラップを行ない、バック針102に対して編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号2へオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号4までアンダーラップすることでワンサイクルとする閉じ目である。
後側基布11bの外側から二番目の編組織の地糸S4の位置は、ガイドL4によりバック針102に対して編針位置番号1までアンダ―ラップし、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0へオーバーラップを行ない、スイングアウトした後、編針位置番号1へアンダーラップし、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号2へオーバーラップを行ないスイングアウトすることをワンサイクルとする閉じ目である。
後側基布11bの一番外側の編組織の地糸S5の位置は、ガイドL5によりバック針102に対して編針位置番号2までアンダーラップし、編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3へオーバーラップを行なった後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップし、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0へオーバーラップを行ないスイングアウトすることをワンサイクルとする閉じ目である。
このように、本実施形態においては、前側基布11a及び後側基布11bの地糸S1、S2、S4、S5が閉じ目で構成され、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地構造となっている。
なお、本実施形態の編組織によれば、連結糸11cに対して地糸S2のアンダーラップ、オーバーラップの方向が同じ方向となるため、地糸S2が連結糸11cを隠すことになる。また、連結糸11cに対して地糸S1のアンダーラップ、オーバーラップの方向が逆方向となるため、前側基布11aの表面にニードルループを浮かすことになるため、裏漏れ(連結糸11cが前側基布11aの表面に漏れる現象)がない、優れた外観を備えることができる。
(裁断)
裁断工程では、立体編物11~16の基材を裁断して、所定サイズ(例えば、15cm×15cm)の正方形状の立体編物11~16を得る。
(縫製)
縫製工程では、立体編物11~16が立方体の各面となるように縫製され、立方体状の吸音体1Aが得られる。
このように、本実施形態の吸音体1Aは、立体編物11~16を立方体状に組み合わせることによって構成される。従って、このような吸音体1Aによれば、各立体編物11~16を音が通過する際に、立体編物11~16の内部の空気と繊維との摩擦や繊維間の摩擦によって熱が発生し、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるため、音のエネルギーが減少する(つまり、吸音効果が発揮される)。そして、この結果、少なくとも600~6300Hzの音が吸収される。
また、各立体編物11~16によって吸収しきれなかった音は、立体編物11~16によって囲まれた中空部19内の空気に伝搬するため、その一部は、共鳴効果によって中空部19内で打ち消される(つまり、吸音効果が発揮される)。そして、この結果、低音域(100~1000Hz)の音が吸収される。
(実施例1)
次に、吸音体1Aの具体的な実施例を示す。なお、本発明の吸音体は、本実施例に限定されるものではない。
1.立体編物の製造
編機として、カールマイヤー社製のダブルラッシェル機 RD6DPLM/8・RD6DPLM/12-3(22ゲージ/2.54cm、釜間距離10mm)を使用して、立体編物11~16の基材を製造した。
なお、立体編物11~16の基材は、仕上がり厚みを10mm±1.0mmとした。
(立体編物11~16の基材の製造)
以下の地糸S1~S5を使用し、上述の編成方法に従って、立体編物11~16の基材を製造した。
S1:ポリエステルマルチフィラメント糸(220デシテックス)
S2:ポリエステルマルチフィラメント糸(220デシテックス)
S3:ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント糸(200デシテックス)
S4:ポリエステルマルチフィラメント糸(220デシテックス)
S5:ポリエステルマルチフィラメント糸(220デシテックス)
得られた立体編物11~16の基材の通気度を、JIS L 1096のA法に従って、空気圧力125Paで測定した。その結果、当該基材の通気度は、61.8cm/cm/secであった。
2.吸音体の製造
得られた基材を15cm×15cmに裁断して立体編物11~16を製造し、立体編物11~16が立方体の各面となるように縫製し、本実施例の吸音体1Aを得た。
3.残響室法吸音率の測定
本実施例の吸音体1Aに対して、温度16.5℃、湿度42%RHの残響室内で、JIS A 1409:1998に規定される「残響室法吸音率の試験方法」に従って吸音率及び残響時間を測定した。
図6は、1~3個の吸音体1Aを残響室の天井から水糸で吊り下げ、吸音率を測定した結果を示すグラフである。また、図7は、0~3個の吸音体1Aを残響室の天井から水糸で吊り下げ、残響時間を測定した結果を示すグラフである。なお、図6及び7の測定における、吸音体1Aの吊り下げ位置は、JIS 1409Aに規定される「残響室吸音試験方法(個別吸音体)」に従って、各吸音体1Aを測定マイクより1m以上離し、使用状態で均等配置している。
図6に示すように、本実施例の吸音体1Aは、軽量でありながら、広い周波数帯の音(少なくとも100~10000Hzの周波数帯の音)を吸収することが分かった。また、吸音体1Aの数を増やすと(つまり、吸音力(等価吸音面積)が増えると)、吸音率の高低差(つまり、周波数依存性)が抑えられることが分かった。
また、図7に示すように、吸音体1Aの数を増やすと(つまり、吸音力(等価吸音面積)が増えると)、残響時間が低減する(つまり、音の響きが整えられる)ことが分かった。また、この効果は、特に250~1000Hzの低周波数の生活騒音帯域で顕著であることから、吸音体1Aは、住宅等の屋内において、音の響きを調えたい場合に有効であることが分かった。
なお、本実施例の吸音体1Aは、ポリエステルから形成されているため、燃焼したとしても有毒ガスが発生することはなく、環境に優しいものとなっている。
[第2の実施形態]
(吸音体1Bの構成)
図8は、本発明の第2の実施形態に係る吸音体1Bの全体構成を示す図であり、図8(a)は、吸音体1Bの斜視図であり、図8(b)は、図8(a)のB-B線断面図である。本実施形態の吸音体1Bも、第1の実施形態の吸音体1Aと同様、室内の天井から吊したり、床面に載置して用いられるものである。図8に示すように、本実施形態の吸音体1Bは、全体として円柱状(例えば、直径:約20cm、高さ:約130cm)の形状を呈しており、中空円筒状の立体編物40と、立体編物40の2つの開口部に取り付けられる円形状の立体編物20、30から形成されている点で、第1の実施形態の吸音体1Aと異なる。
本実施形態の吸音体1Bも、第1の実施形態の吸音体1Aと同様、各立体編物20、30、40を音が通過する際に、立体編物20、30、40の内部の空気と繊維との摩擦や繊維間の摩擦によって熱が発生し、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるため、音のエネルギーが減少する(つまり、吸音効果が発揮される)。
また、各立体編物20、30、40によって吸収しきれなかった音は、中空部50内の空気に伝搬するため、その一部は、共鳴効果によって中空部50内で打ち消される(つまり、吸音効果が発揮される)。
(立体編物20、30、40の構成)
図9は、本実施形態の立体編物20、30、40の構成を説明する図であり、図9(a)は、立体編物20、30の斜視図であり、図9(b)は、立体編物40の展開図(平面に延ばした状態)を示している。なお、本実施形態の立体編物20、30は、それぞれ同一の形状及び構成であるため、図9(a)においては、両者を共通の図面で示している。
本実施形態の各立体編物20、30、40は、2層構造になっており、吸音体1Bとして組み立てられたときに、外側に位置する第1立体編物21、31、41と、内側に位置する第2立体編物22、32、42とから形成されている(図8(b))。
図9(a)に示すように、立体編物20は、第1立体編物21と、第1立体編物21に積層される第2立体編物22とからなる、円形(直径:約18cm、厚さ:約20mm)の部材である。第1立体編物21は、互いに離間して配置された一対の前側基布21a及び後側基布21bと、前側基布21aと後側基布21bの間を往復して両者を結合する連結糸21cとから編成される厚さ約10mmのダブルラッシェル立体基布である。また、第2立体編物22は、互いに離間して配置された一対の前側基布22a及び後側基布22bと、前側基布22aと後側基布22bの間を往復して両者を結合する連結糸22cとから編成される厚さ約10mmダブルラッシェル立体基布である。
図9(a)に示すように、立体編物30は、第1立体編物31と、第1立体編物31に積層される第2立体編物32とからなる、円形(直径:約18cm、厚さ:約20mm)の部材である。第1立体編物31は、互いに離間して配置された一対の前側基布31a及び後側基布31bと、前側基布31aと後側基布31bの間を往復して両者を結合する連結糸31cとから編成される厚さ約10mmのダブルラッシェル立体基布である。また、第2立体編物32は、互いに離間して配置された一対の前側基布32a及び後側基布32bと、前側基布32aと後側基布32bの間を往復して両者を結合する連結糸32cとから編成される厚さ約10mmのダブルラッシェル立体基布である。
図9(b)に示すように、立体編物40は、第1立体編物41と、第1立体編物41に積層される第2立体編物42とからなる部材である。第1立体編物41は、互いに離間して配置された一対の前側基布41a及び後側基布41bと、前側基布41aと後側基布41bの間を往復して両者を結合する連結糸41cとから編成される厚さ約10mmのダブルラッシェル立体基布である。また、第2立体編物42は、互いに離間して配置された一対の前側基布42a及び後側基布42bと、前側基布42aと後側基布42bの間を往復して両者を結合する連結糸42cとから編成される厚さ約10mmのダブルラッシェル立体基布である。
図8(b)に示すように、本実施形態の立体編物40は、図9(b)に示す平板状の第1立体編物41及び第2立体編物42を湾曲させ、外径:約20cm、内径:約18cm、高さ:約130cmの円筒状となるように縫製されている。そして、立体編物40の軸方向(図8(b)において上下方向)の端部において、第2立体編物42は、第1立体編物41よりも短くなっており、第2立体編物42と第1立体編物41との段差部に立体編物20、30が収容されて固定される。
なお、本実施形態の第1立体編物21、31、41は、約20~30cm/cm/secの通気度を有する同一のダブルラッシェル立体基布(以下、「立体編物X」という。)からなり、第2立体編物22、32、42は、約10~20cm/cm/secの通気度を有する同一のダブルラッシェル立体基布(以下、「立体編物Y」という。)からなる。
なお、第1立体編物21、31、41の前側基布21a、31a、41a、後側基布21b、31b、41b及び連結糸21c、31c、41cの構成、並びに、第2立体編物22、32、42の前側基布22a、32a、42a、後側基布22b、32b、42b及び連結糸22c、32c、42cの構成は、第1の実施形態の立体編物11の前側基布11a、後側基布11b及び連結糸11cと同様であるため、説明を省略する。
図10は、第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42の吸音特性を示すグラフであり、縦軸は吸音率(%)、横軸は周波数(Hz)である。なお、図10のグラフは、垂直入射吸音率試験(JIS A 1405-2、ISO 10534-2:1998準拠)によって得られた結果である。
図10に示すように、本実施形態の第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42の吸音率は、300Hzあたりから徐々に上昇し、800Hzを超えたあたりから急激に上昇し、4000~6300Hzで約100%の吸音率となっている。このように、本実施形態の第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42によれば、生活騒音の音域(600~2000Hz)の音を吸収することができる。
(吸音体1Bの製造方法)
次に、本実施形態の吸音体1Bの製造方法について説明する。
製造方法の概略を説明すると、先ず、第1立体編物21、31、41の基材(つまり、立体編物X)及び第2立体編物22、32、42の基材(つまり、立体編物Y)を製造し、次に、得られた立体編物X及び立体編物Yを所定の形状に裁断し、第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42を得る。次いで、第1立体編物21と第2立体編物22、第1立体編物31と第2立体編物32、第1立体編物41と第2立体編物42をそれぞれ重ねて接着し、立体編物20、30、40を得る。そして、立体編物40を湾曲させて円筒状となるように縫製し、その両端に立体編物20、30を取り付けて縫製する。
(立体編物Xの製造)
立体編物Xの製造工程では、編機(ダブルラッシェル機)を用いて、立体編物Xを製造する。図11は、本実施形態の立体編物Xを編成するために使用する編機100Mの構成を示す図であり、ガイドL6に地糸SX6が通糸される点で、第1の実施形態の編機100(図4)と異なる。
本実施形態においては、ガイドL1、L2には、地糸SX1、SX2が通糸され、地糸SX1、SX2によって前側基布X2(21a、31a、41a)が形成される。ガイドL5、L6には、地糸SX5、SX6が通糸され、地糸SX5、SX6によって後側基布X4(21b、31b、41b)が形成される。また、ガイドL3、L4には、前側基布X2と後側基布X4とを連結する連結糸X6(21c、31c、41c)の地糸SX3、SX4が通糸され、地糸SX3、SX4によって前側基布X2と後側基布X4との間に間隙が形成される。
図12は、立体編物Xを編成するために使用する各構成糸の編組織の一例を示す図である。図12中、「・」(黒点)は、フロント針101とバック針103の位置を示しており、フロント側の編み針列を「F」で示し、バック側の編み針列を「B」で示している。また、各編組織の編成の下側の数字は、編針位置番号を示している。
図12に示すように、前側基布X2の一番外側の編組織の地糸SX1の位置は、ガイドL1によりフロント針101に対して編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号4までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号3までアンダーラップをすることをワンサイクルとする閉じ目である。
前側基布X2の外側から二番目の編組織の地糸SX2の位置は、ガイドL2によりフロント針101に対して編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップを行ない、スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップをすることをワンサイクルとする閉じ目である。
連結糸X6の前側基布X2側の編組織の地糸SX3の位置は、ガイドL3によりフロント針101に対して編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号3までアンダーラップを行ない、編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトし、フロント針101に対して編針位置番号4までアンダーラップを行ない、編針位置番号4からスイングインし、編針位置番号5までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号2までアンダーラップを行ない、編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行なうサイクルを3度行った後、バック針102に対して編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行なうサイクルを3度行なうことをワンサイクルとする閉じ目である。
連結糸X6の後側基布X4側の編組織の地糸SX4の位置は、ガイドL4によりフロント針101に対して編針位置番号5からスイングインし、編針位置番号4までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号3までアンダーラップを行ない、編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトし、フロント針101に対して編針位置番号0までアンダーラップを行ない、編針位置番号0からスイングインし、編針位置番号1までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号2までアンダーラップを行ない、編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号5までアンダーラップを行なうサイクルを3度行った後、フロント針101に対して編針位置番号1までアンダーラップを行い、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行なうサイクルを3度行なうことをワンサイクルとする。
後側基布X4の外側から二番目の編組織の地糸SX5の位置は、ガイドL5によりバック針102に対して編針位置番号1までアンダ―ラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトすることをワンサイクルとする閉じ目である。
後側基布X4の一番外側の編組織の地糸SX6の位置は、ガイドL6によりバック針102に対して編針位置番号2までアンダーラップを行ない、編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップを行ない、編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトすることをワンサイクルとする閉じ目である。
(立体編物Yの製造)
立体編物Yの製造工程では、図11に示す編機(ダブルラッシェル機)100Mと同様の編機を用いて、立体編物Yを製造する。
立体編物Yを製造する場合、ガイドL1、L2には、地糸SY1、SY2が通糸され、地糸SY1、SY2によって前側基布Y2(22a、32a、42a)が形成される。ガイドL5、L6には、地糸SY5、SY6が通糸され、地糸SY5、SY6によって後側基布Y4(22b、32b、42b)が形成される。また、ガイドL3、L4には、前側基布Y2と後側基布Y4とを連結する連結糸Y6(22c、32c、42c)の地糸SY3、SY4が通糸され、地糸SY3、SY4によって前側基布Y2と後側基布Y4との間に間隙が形成される。
図13は、立体編物Yを編成するために使用する各構成糸の編組織の一例を示す図である。図13中、「・」(黒点)は、フロント針101とバック針103の位置を示しており、フロント側の編み針列を「F」で示し、バック側の編み針列を「B」で示している。また、各編組織の編成の下側の数字は、編針位置番号を示している。
図13に示すように、前側基布Y2の一番外側の編組織の地糸SY1の位置、前側基布Y2の外側から二番目の編組織の地糸SY2の位置、後側基布Y4の外側から二番目の編組織の地糸SY5の位置及び後側基布Y4の一番外側の編組織の地糸SY6の位置は、それぞれ、立体編物Xの地糸SX1、SX2、SX5及びSX6と同じ動きをワンサイクルとする閉じ目である。
連結糸Y6の前側基布Y2側の編組織の地糸SY3の位置は、ガイドL3によりフロント針101に対して編針位置番号1からスイングインし、編針位置番号0までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号3までアンダーラップを行ない、編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトし、フロント針101に対して編針位置番号4までアンダーラップを行ない、編針位置番号4からスイングインし、編針位置番号5までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号2までアンダーラップを行ない、編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号1までアンダーラップをすることをワンサイクルとする閉じ目である。
連結糸Y6の後側基布Y4側の編組織の地糸SY4の位置は、ガイドL4によりフロント針101に対して編針位置番号5からスイングインし、編針位置番号4までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号3までアンダーラップを行ない、編針位置番号3からスイングインし、編針位置番号2までオーバーラップした後スイングアウトし、フロント針101に対して編針位置番号0までアンダーラップを行ない、編針位置番号0からスイングインし、編針位置番号1までオーバーラップした後スイングアウトし、バック針102に対して編針位置番号2までアンダーラップを行ない、編針位置番号2からスイングインし、編針位置番号3までオーバーラップした後スイングアウトし、編針位置番号5までアンダーラップすることをワンサイクルとする開き目である。
(裁断)
裁断工程では、立体編物X及び立体編物Yを所定の形状に裁断して、所定サイズの第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42を得る。
(接着)
接着工程では、第1立体編物21、31、41の上面(第2立体編物22、32、42に対向する面)に接着剤を付与し、第2立体編物22、32、42を接着剤が塗布された第1立体編物21、31、41上に重ね、第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42が変形してつぶれる程度のニップ圧力を加える。そして、約48時間室温にて放置して接着剤を硬化させ、直径:約18cmの円形の立体編物20、30と、幅:約63cm、長さ:130cmの矩形の立体編物40を得る。
(縫製)
縫製工程では、立体編物40を湾曲させて、外径:約20cm、高さ:約130cmの円筒状となるように縫製し、その両端に立体編物20、30をそれぞれ嵌め込んで縫製する。
このように、本実施形態の吸音体1Bは、第1立体編物21、31、41と第2立体編物22、32、42とを積層した立体編物20、30、40を円柱状に組み合わせることによって構成される。従って、このような吸音体1Bによれば、各立体編物20、30、40を音が通過する際に、立体編物20、30、40の内部の空気と繊維との摩擦や繊維間の摩擦によって熱が発生し、音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるため、音のエネルギーが減少する(つまり、吸音効果が発揮される)。そして、この結果、少なくとも300~6300Hzの音が吸収される。
また、各立体編物20、30、40によって吸収しきれなかった音は、立体編物20、30、40によって囲まれた中空部50内の空気に伝搬するため、その一部は、共鳴効果によって中空部50内で打ち消される(つまり、吸音効果が発揮される)。そして、この結果、低音域(100~1000Hz)の音が吸収される。
(実施例2)
次に、吸音体1Bの具体的な実施例を示す。なお、本発明の吸音体は、本実施例に限定されるものではない。
1.立体編物の製造
編機として、カールマイヤー社製のダブルラッシェル機 RD6DPLM/8・RD6DPLM/12-3(22ゲージ/2.54cm、釜間距離10mm)を使用して、以下の立体編物X、Yを製造した。
なお、立体編物X、Yは、仕上がり厚みを10mm±1.0mmとした。
(立体編物Xの製造)
以下の地糸SX1~SX6を使用して、上記の編成方法に従って、立体編物Xを製造した。
SX1:綿(スパン糸:30番手)
SX2:綿(スパン糸:30番手)
SX3:ポリエステルモノフィラメント糸(220デシテックス)
SX4:ポリエステル加工糸(167デシテックス、フィラメントカウント48本)
SX5:綿(スパン糸:30番手)
SX6:綿(スパン糸:30番手)
得られた立体編物Xの通気度を、JIS L 1096のA法に従って、空気圧力125Paで測定した。その結果、立体編物Xの通気度は、24.8cm/cm/secであった。
(立体編物Yの製造)
以下の地糸SY1~SY6を使用して、上記の編成方法に従って、立体編物Yを製造した。
SY1:ポリエステル加工糸(220デシテックス、フィラメントカウント72本)
SY2:ポリエステル加工糸(220デシテックス、フィラメントカウント72本)
SY3:ポリエステルモノフィラメント糸(220デシテックス)
SY4:ポリエステル加工糸(167デシテックス、フィラメントカウント48本)
SY5:ポリエステルレギュラー糸(167デシテックス、フィラメントカウント48本)
SY6:ポリエステルレギュラー糸(167デシテックス、フィラメントカウント48本)
得られた立体編物Yの通気度を、前記と同様にして測定した。その結果、立体編物Yの通気度は、15cm/cm/secであった。
2.吸音体の製造
得られた立体編物X及び立体編物Yを所定の形状に裁断して、所定サイズの第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42を製作し、第1立体編物21、31、41及び第2立体編物22、32、42をそれぞれ接着して、直径:約18cmの円形の立体編物20、30と、幅:約63cm、長さ:130cmの矩形の立体編物40を得た。
得られた立体編物20、30、40の通気度を、前記と同様にして測定した結果、立体編物20、30、40(つまり、第1立体編物と第2立体編物が積層された状態)の通気度は、12.7cm/cm/secであった。
次いで、得られた立体編物40を湾曲させて、外径:約20cm、高さ:約130cmの円筒状となるように縫製し、その両端に立体編物20、30をそれぞれ嵌め込んで縫製し、本実施例の吸音体1Bを得た。
3.残響室法吸音率の測定
本実施例の吸音体1Bに対して、温度10.2℃、湿度49%RHの残響室内で、JIS A 1409:1998に規定される「残響室法吸音率の試験方法」に従って吸音率及び残響時間を測定した。
図14は、1~3個の吸音体1Bを残響室の床上に自立させて、吸音率を測定した結果を示すグラフである。また、図19は、0~3個の吸音体1Bを残響室の床上に自立させて、残響時間を測定した結果を示すグラフである。なお、図14及び17の測定における、吸音体1Bの自立位置は、JIS 1409Aに規定される「残響室吸音試験方法(個別吸音体)」に従って、各吸音体1Bを測定マイクより1m以上離し、使用状態で均等配置している。
図14に示すように、本実施例の吸音体1Bは、軽量でありながら、広い周波数帯の音(少なくとも100~10000Hzの周波数帯の音)を吸収することが分かった。また、吸音体1Bの数を増やすと(つまり、吸音力(等価吸音面積)が増えると)、2kHz以下の吸音性には影響しないが、高周波域の吸音率が高くなることが分かった。
また、図15に示すように、吸音体1Bの数を増やすと(つまり、吸音力(等価吸音面積)が増えると)、全周波数帯域で残響時間が低減する(つまり、音の高低に拘わらず音の響きが抑えられる)ことが分かった。また、この効果は、特に250~1000Hzの低周波数の生活騒音帯域で顕著であることから、吸音体1Bは、住宅等の屋内において、音の響きを調えたい場合に有効であることが分かった。
なお、本実施例の吸音体1Bは、綿及びポリエステルから形成されているため、燃焼したとしても有毒ガスが発生することはなく、環境に優しいものとなっている。
以上が本発明の実施の形態、及び実施例の説明であるが、本発明は、上記の構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内において様々な変形が可能である。
例えば、本発明の第1の実施形態の吸音体1Aは立方体状の形状を呈し、第2の実施形態の吸音体1Bは円柱状の形状を呈するものとしたが、このような形状に限定されるものではない。内部に空間(中空部)が形成されるように、シート状の立体編物を複数組み合わせたものであればよく、例えば、幼児向けに、キャラクターや恐竜等を模した形状とすることもできる。
また、今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
1A、1B 吸音体
11、12、13、14、15、16、20、30、40 立体編物
11a、21a、31a、41a、22a、32a、42a 前側基布
11b、21b、31b、41b、22b、32b、42b 後側基布
11c、21c、31c、41c、22c、32c、42c 連結糸
19、50 中空部
21、31、41 第1立体編物
22、32、42 第2立体編物
X、Y 立体編物
X2、Y2 前側基布
X4、Y4 後側基布
X6、Y6 連結糸
100 編機
101 フロント針
102 バック針
103、104 トリックプレート
105 釜間
L1、L2、L3、L4、L5、L6 ガイド
S1、S2、S3、S4、S5 地糸
SX1、SX2、SX3、SX4、SX5、SX6 地糸
SY1、SY2、SY3、SY4、SY5、SY6 地糸

Claims (5)

  1. 互いに離間して配置された一対の基布と、該基布間を往復して両者を結合する連結糸とから編成されたシート状の立体編物を複数組み合わせて、所定の立体形状に形成された吸音体であって、
    前記立体編物は、所定の通気度を有し、600~2000Hzの音域の音を吸収し、
    前記所定の立体形状は、内部に、前記立体編物で覆われた中空部を有し、
    前記吸音体、100~1000Hzの音域の残響を抑制し、
    前記立体編物は、20~30cm /cm /secの通気度を有する第1立体編物と、10~20cm /cm /secの通気度を有し前記第1立体編物に積層される第2立体編物と、からなり、
    前記吸音体において、前記第1立体編物は外側に位置し、前記第2立体編物は内側に位置する
    ことを特徴とする吸音体。
  2. 前記所定の通気度が10~70cm/cm/secであることを特徴とする請求項1に記載の吸音体。
  3. 前記所定の立体形状が、立方体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸音体。
  4. 前記所定の立体形状が、円柱であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の吸音体。
  5. 前記立体編物の厚さが、10~20mmであることを特徴とする請求項1から請求項のいずれか一項に記載の吸音体。
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