JP7239425B2 - 組電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本開示は、組電池の製造方法に関し、より特定的には、複数のセルが積層された積層体を含む組電池の製造方法に関する。
近年、走行用の組電池が搭載された車両であるハイブリッド車両および電気自動車等の普及が進んでいる。一般に、車載用の組電池は、所定数のセルが積層された積層体を含む。この積層体において、積層体の積層方向の長さにばらつきが生じる可能性がある。そのため、当該ばらつきの影響を低減するための手法が提案されている。
たとえば特開2009-200051号公報(特許文献1)は、組電池の製造方法を開示する。この組電池は、積層体の積層方向の長さのばらつきを収束させるための長さ調整手段(具体的にはスペーサ部材)を備える。特許文献1によれば、長さ調整手段は、積層体の一方端に配置される(特許文献1の段落[0037]参照)。
特開2009-200051号公報
特許文献1に開示された構成によれば、積層体の積層方向の長さ(すなわち積層体の全長)については、ばらつきの影響を低減可能である。しかし、積層体の一方端に長さ調整手段を配置した場合、長さ調整手段の有無(または長さ調整手段自身の長さ)に応じて、積層体に含まれる各セルの位置が変わり得る。その結果、各セルに設けられた端子の位置がばらつく可能性がある点において、特許文献1に開示された組電池の製造方法には改善の余地がある。
本開示は、かかる課題を解決するためになされたものであり、本開示の目的は、各セルの端子の位置ばらつきを抑制可能な組電池の製造方法を提供することである。
本開示のある局面に従う組電池の製造方法は、セルと樹脂枠とが交互に積層された積層体を含む組電池の製造方法である。組電池の製造方法は、複数のセルの各々の厚みを取得するステップと、積層体の中で複数のセルが均等に配置されるように、複数のセルの各々の目標位置を算出するステップと、複数のセルの各々について、目標位置を中心とする所定幅の目標範囲を設定するステップと、複数のセルの各々の間に配置される樹脂枠を、厚みが互いに異なる第1の樹脂枠と第2の樹脂枠との中から決定するステップとを含む。決定するステップは、複数のセルの積層順に各セルに関して第1~第3の処理を実行するステップを含む。第1の処理は、(i-1)番目のセルの実際位置と、(i-1)番目のセルとi番目のセルとの間に配置される樹脂枠の厚みとに基づいて、i番目のセルの実際位置を算出する処理である。第2の処理は、i番目のセルの実際位置がi番目のセルの目標範囲内であるか否かを判定する処理である。第3の処理は、i番目のセルの実際位置がi番目のセルの目標範囲内にない場合、(i+1)番目のセルの実際位置が(i+1)番目のセルの目標範囲内になるように、i番目のセルと(i+1)番目のセルとの間に配置される樹脂枠を決定する処理である。
上記製造方法においては、厚みが互いに異なる2種類の樹脂枠(第1および第2の樹脂枠)が使用される。そして、詳細は後述するが、i番目のセルの実際位置が目標範囲内にない場合、(i+1)番目のセルの実際位置が目標範囲内になるような樹脂枠が2種類の樹脂枠の中から決定される。目標範囲(および、その基となる目標位置)は、積層体の中で各セルが均等に配置されるように定められている。したがって、適切な樹脂枠の決定により各セルの配置が目標範囲内になる(目標位置に近付く)ことで、すべてのセル2の配置が均等に近付く。よって、上記製造方法によれば、各セルの端子の位置ばらつきが抑制された組電池を製造できる。
本開示によれば、各セルの端子の位置ばらつきを抑制できる。
本開示の実施の形態に係る電池製造支援システムの全体構成を示す図である。 本実施の形態において製造される組電池の構造を概略的に示す斜視図である。 セルの構成の一例を示す透視斜視図である。 樹脂枠の一例を示す斜視図である。 セルおよび樹脂枠の積層手法を説明するための概念図である。 本実施の形態における樹脂枠決定処理を説明するための第1の図である。 本実施の形態における樹脂枠決定処理を説明するための第2の図である。 本実施の形態における組電池の製造方法を示すフローチャートである。 樹脂枠決定処理の詳細を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰り返さない。
[実施の形態]
<システム全体構成>
図1は、本開示の実施の形態に係る電池製造支援システムの全体構成を示す図である。図1を参照して、電池製造支援システム90は、たとえば車載用の組電池の製造に関する演算処理に使用される。ただし、組電池の用途は車載用に限定されるものではなく、たとえば定置用であってもよい。
電池製造支援システム90は、電池情報データベース91と、サーバ92と、モニタ93と、キーボード94とを備える。電池製造支援システム90は、電池情報データベース91、サーバ92、モニタ93およびキーボード94は、データ線95により互いに接続されている。
電池情報データベース91はデータベースサーバである。電池情報データベース91は、組電池を製造および管理するための各種情報を格納する。サーバ92はアプリケーションサーバである。サーバ92は、CPU(Central Processing Unit)921と、メモリ922と、入出力ポート933とを含む。サーバ92は、電池情報データベース91を検索して後述する各種演算処理を行い、その演算結果をモニタ93に出力する。モニタ93は、たとえば液晶ディスプレイであって、サーバ92による演算結果を表示する。キーボード94は、ユーザによる入力操作(たとえば後述するセルの厚みの測定結果の入力操作)を受け付ける。
なお、図1に示した電池製造支援システム90のハードウェア構成は一例に過ぎず、以下で説明する演算処理を実現可能な範囲で様々な構成を電池製造支援システム90の構成として採用可能である。
<組電池の構造>
図2は、本実施の形態において製造される組電池の構造を概略的に示す斜視図である。組電池を構成するセルの数は特に限定されるものではないが、以下では、セル数が27個である例について説明する。図2を参照して、組電池1は、複数のセル201~227と、複数の樹脂枠3と、一対のエンドプレート41,42と、一対の拘束バンド51,52とを含む。
組電池1では、複数のセル201~227と複数の樹脂枠3とが積層されることにより積層体10が形成されている。以下では、積層体10の高さ方向をHと記載し、積層体10の長さ方向(積層方向)をLと記載し、積層体10の幅方向をWと記載する。
複数のセル201~227の各々は、リチウムイオン電池またはニッケル水素電池などの二次電池である。各セル201~227の構成は共通であり、セルを互いに区別しない場合にはセル2と記載する。セル2の構成については図3にて説明する。
複数の樹脂枠3の各々は、積層方向Lに隣り合う2つのセル2の間に配置されている。積層体10の両端にはセル2が配置されるため(図5参照)、複数の樹脂枠3の個数は、複数のセル2の個数よりも1個だけ少ない。積層体10に含まれるセル2の個数が27個である場合、樹脂枠3の個数は26個である。樹脂枠3の詳細な構造については図4にて説明する。
エンドプレート41は積層体10の積層方向Lの一方端に配置され、エンドプレート42は積層体10の積層方向Lの他方端に配置されている。つまり、エンドプレート41,42は、積層体10を積層方向Lに両側から挟み込むように配置されている。
拘束バンド51,52は、樹脂枠3の上下にそれぞれ配置されている。拘束バンド51,52は、積層体10を挟み込んだ状態のエンドプレート41とエンドプレート42とを互いに拘束(結合)する。
図3は、セル2の構成の一例を示す透視斜視図である。図3を参照して、セル2は、略直方体形状を有する角型セルである。セル2のケース上面は蓋体61によって封止されている。蓋体61には、正極端子62および負極端子63が設けられている。正極端子62および負極端子63の各々の一方端は、蓋体61から外部に突出している。正極端子62および負極端子63の各々の他方端は、ケース内部において、内部正極端子および内部負極端子(いずれも図示せず)にそれぞれ電気的に接続されている。図示しないが、隣り合う2つのセル2は、バスバーにより互いに電気的に接続されている。より具体的には、2つのセル2が直列接続される場合、一方のセル2の正極端子62と他方のセル2の負極端子63とが接続されている。
ケース内部には電極体64が収容されている。電極体64は、たとえば、正極65と負極66とがセパレータ67を介して積層され、さらに筒状に捲回されることにより形成されている。電極体64は、図示しない電解液に含浸されている。
図4は、樹脂枠3の一例を示す斜視図である。図4を参照して、樹脂枠3は、ポリプロピレン(polypropylene)等の樹脂材料から形成されている。各樹脂枠3は、自身に接触している2つのセル2の間を電気的に絶縁したり、上記2つのセル2の位置を保持したりする機能を有する。また、各樹脂枠3は、上記2つのセル2を冷却する機能をさらに有する。
より詳細には、樹脂枠3は、平板形状の樹脂枠本体71と、フランジ72とを含む。樹脂枠本体71は、積層方向Lに隣り合う2つのセル2を拘束するための拘束面711と、拘束面711に形成された冷却風通路712とから構成されている。冷却風通路712は、上記2つのセル2の間を通って積層体10の幅方向Wの一方の側面から他方の側面まで延びるように形成されている。フランジ72は、当該樹脂枠3と、隣接する他の樹脂枠3(図示せず)との間の位置関係を固定するために用いられる。
多くの場合、セル2の厚み(積層方向Lの長さ)には、ばらつきがある。このばらつきを吸収するため、本実施の形態では、拘束面711の厚みが互いに異なる2種類の樹脂枠3が使用される。以下では、拘束面711の厚みが厚い樹脂枠を「厚枠3A」と記載し、拘束面711の厚みが薄い樹脂枠を「薄枠3B」と記載する。両者を区別しない場合には樹脂枠3と記載する。なお、厚枠3Aおよび薄枠3Bのうちの一方が本開示に係る「第1の樹脂枠」に相当し、他方が本開示に係る「第2の樹脂枠」に相当する。
<セルおよび樹脂枠の積層>
図5は、セル2および樹脂枠3の積層手法を説明するための概念図である。図5を参照して、積層体10においては、セル2と樹脂枠3とが交互に積層される。各セル2の厚みが平均値である場合(上段参照)、厚枠3Aと薄枠3Bとが同数(ただし、樹脂枠3の全数が奇数の場合には同数に近い数ずつ)使用される。このとき、積層体10の長さは目標長さLtagになる。
ばらつきにより各セル2の厚みが薄い場合には(中段参照)、積層体10に含まれる厚枠3Aの比率が薄枠3Bの比率よりも高く設定される。これにより、セル2の過剰な厚みを吸収して、積層体10の長さを目標長さLtagに近付けることができる。なお、図5には、すべての樹脂枠が厚枠3Aである例が示されている。
これに対し、各セル2の厚みが薄い場合には(下段参照)、薄枠3Bの比率が厚枠3Aの比率よりも高く設定される。これにより、セル2の厚みの不足を補って、積層体10の長さを目標長さLtagに近付けることができる。なお、図5には、すべての樹脂枠が薄枠3Bである例が示されている。
本実施の形態においては、図5に示したようにセル2の厚みがばらつくことを前提に、厚枠3Aと薄枠3Bとをどのように組み合わせればよいかが決定される。この処理を「樹脂枠決定処理」と称し、以下、詳細に説明する。以下に説明する例においても、セル2の個数は27個であり、樹脂枠3の個数は26個であるとする。また、27個のセル201~227を自然数i(i=1~27)により互いに区別する。
図6は、本実施の形態における樹脂枠決定処理を説明するための第1の図である。図6を参照して、樹脂枠決定処理においては、積層体10の目標長さLtagが予め設定される。積層体10の目標長さLtagは、下記式(1)に従って、セル厚みセンタ値Tctrと、厚枠3Aと薄枠3Bとが同数の場合の厚枠3Aの個数(この例では13個)と、厚枠3Aの厚みTと、薄枠3Bの個数(13個)と、薄枠3Bの厚みTとから算出される。
tag=27Tctr+13T+13T ・・・(1)
式(1)において、セル厚みセンタ値Tctrは、セル2の厚みにばらつきが生じる中、セル2の厚みの中央値または平均値とすることができる、ただし、セル厚みセンタ値Tctrは、セル2の設計値(仕様値)であってもよい。厚枠3Aの厚みTと、薄枠3Bの厚みTとの各々には仕様値を用いることができる。このように、積層体10の目標長さLtagの算出に用いられるパラメータは、いずれも既知の値であるため、目標長さLtagは事前に設定可能である。
続いて、27個のセル201~227毎に目標位置が算出される。具体的には、図中左端に配置されたエンドプレート41の位置を基準(0で示す)として、i番目(i=1~27)のセル2の目標位置(ここでは各セルの左側面の目標位置)をX(i)tagと記載する。この場合。最も左側のセル(1番目のセル)201の目標位置X(1)tag=0である。本実施の形態では、まず、最も右側に配置される27番目のセル227の目標位置X(27)tagが下記式(2)に従って決定される。
X(27)tag=Ltag-T(27) ・・・(2)
式(2)において、積層体10の目標長さLtagは式(1)により事前に設定されている。T(27)とは、27番目のセル227の厚みであり、測定値である。
残り25個のセル202~226(i=2~26の各セル)の目標位置X(i)tagは、下記式(3)により算出される。式(3)は、1番目のセル201の目標位置X(1)tag(=0)と27番目のセル227の目標位置X(27)tagとの間を26個に均等に分割した位置を各セルの目標位置とすることを表している。
X(i)tag=X(27)tag/26×(i-1) ・・・(3)
図7は、本実施の形態における樹脂枠決定処理を説明するための第2の図である。図7では、横軸は、積層体10の積層方向Lに沿うセル番号(自然数i)を表す。縦軸は、エンドプレート41の位置を基準とした積層方向Lの位置を表す。
図7を参照して、セル2毎に、セル2の目標位置X(i)tagを中心に所定の幅を持たせた目標範囲が決定される。目標範囲の幅(所定幅)は、厚枠3Aの厚みTと薄枠3Bの厚みTとの差分(T-T)である。そうすると、i番目のセル2の目標範囲の上限UL(i)および下限LL(i)は、それぞれ下記式(4)および式(5)のように表される。
UL(i)=X(i)tag+(T-T)/2 ・・・(4)
LL(i)=X(i)tag-(T-T)/2 ・・・(5)
上記のように各セル2の位置の目標範囲を算出し、さらに、各セル201~227の厚みT(i)を測定した上で、どの樹脂枠3(厚枠3Aまたは薄枠3B)を使用すべきかが図中左端から右端に向けて順に決定される。
図7に示す例では、まず、1番目のセル201の次に薄枠3Bが配置される。セル201の厚みT(1)は測定済みであり、薄枠3Bの厚みTは既知(仕様値)である。そのため、2番目のセル202の実際位置X(2)は、下記式(6)により算出される。
X(2)=T(1)+T ・・・(6)
そして、セル202の実際位置X(2)がセル202の目標範囲内であるか否かが判定される。1番目のセル201と2番目のセル202との間に薄枠3Bを配置した場合、実際位置X(2)がセル202の目標範囲の下限LL(2)を下回る可能性があるが、この例では、実際位置X(2)は目標範囲内であるとする。そうすると、セル202の次(セル202とセル203との間)にも薄枠3Bが配置される。
次に、3番目のセル203の実際位置X(3)が同様に算出され(下記式(7)参照)、算出された実際位置X(3)がセル203の目標範囲内であるか否かが判定される。この例では、実際位置X(3)は目標範囲の下限LL(3)を下回る。その場合、セル203の次には厚枠3Aが配置される。
X(3)=X(2)+T(2)+T ・・・(7)
次に、4番目のセル204の実際位置X(4)が算出され(下記式(8)参照)、算出された実際位置X(4)がセル204の目標範囲内であるか否かが判定される。この例では、実際位置X(4)は目標範囲内である。その場合、セル203の次には再び薄枠3Bが配置される。
X(4)=X(3)+T(3)+T ・・・(8)
以降の説明は繰り返さないが、このように本実施の形態によれば、積層方向Lに積層された順にセル毎に、i番目のセル2の実際位置X(i)が目標範囲内にあるか否かが判定される。当該セル2の実際位置X(i)が目標範囲内にない場合には、当該セルの次のセル((i+1)番目のセル2)の位置が目標範囲内になるように、厚枠3Aおよび薄枠3Bのうちの適切な方が選択される。そうすると、各セルの実際位置X(i)がセル201~227間を均等に分割することで定められた目標位置X(i)tagに近くなる。これにより、積層体10の長さLを目標長さLtagに近付けることが可能になるのに加えて、各セル2の端子(正極端子62および負極端子63)の位置ばらつきについても抑制することが可能になる。
なお、樹脂枠3に形成される冷却風通路712の深さは、厚枠3Aであっても薄枠3Bであっても共通である(図4参照)。これは、厚枠3Aと薄枠3Bとの間で冷却風の流量に差が生じないようにするための対策である。
また、厚枠3Aと薄枠3Bとの間で、セル接触面を基準とした場合のフランジ72の高さ(積層方向Lの長さ)は等しい。これにより、厚枠3Aおよび薄枠3Bの配列の順序に拘わらず、隣接する2つの樹脂枠3の間に位置するフランジ72に生じる隙間を一定値(共通の値)とすることができる。
<組電池の製造フロー>
図8は、本実施の形態における組電池の製造方法を示すフローチャートである。以下では、各ステップを「S」と略す場合がある。
図8を参照して、S1において、組電池1の製造に使用するすべてのセル2(図6の例では全27個のセル)の厚みT(i)(i=1~27)が測定される。厚みT(i)の測定結果は、キーボード94(図1参照)等の入力装置を用いて入力され、電池情報データベース91に格納される。
なお、セル2の厚みと電極体64の厚みとの間には、電極体64の厚みが厚いほどセル2の厚みも厚くなるとの相関関係が存在する。そのため、セル2の厚みT(i)を実測するのに代えて、セル2の製造時に取得され電池情報データベース91に格納された電極体64の厚みのデータを使用して各セル2の厚みT(i)を推定してもよい。
S2において、S1におけるセル2の厚みT(i)の測定結果に基づいて、樹脂枠決定処理が実行される。この処理はサーバ92(図1参照)により実行される。樹脂枠決定処理については図9にて詳細に説明する。
S3において、組電池1の積層工程が実施される。詳細には、複数のセル2と、樹脂枠決定処理により決定された複数の樹脂枠3(厚枠3Aおよび薄枠3B)とを積層することで積層体10が形成される。形成された積層体10は、その積層方向Lの両面をエンドプレート41,42により挟み込まれる。
S4において、S3にて形成された積層体10の長さLが測定される。そして、積層体10の長さLが規定範囲内にあるか否かが判定される(S5)。積層体10の長さLが規定範囲外である場合(S5においてNO)には、不良品であるとして積層体10の出荷が差し止められる(S7)。図示しないが、この場合には、積層体10を解体し、セル2および樹脂枠3を取り出して一連の処理を再度実行してもよい。
一方、積層体10の長さLが規定範囲内である場合(S5においてYES)、積層体10は良品であると判断され(S6)、処理が拘束工程に進められる(S8)。拘束工程では、拘束バンド51,52を取り付けることで積層体10が拘束される。その後、組電池1は車載用に出荷される。
図9は、樹脂枠決定処理(S2の処理)の詳細を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、たとえば作業者によるキーボード94操作をトリガに開始される。各ステップは、サーバ92のソフトウェア処理により実現されるが、サーバ92内に作製されたハードウェアにより実現されてもよい。なお、図7にて説明したように、1番目のセル201と2番目のセル202との間には薄枠3Bが配置されるとする。
図9を参照して、S201において、サーバ92は、積層体10の目標長さLtagを上記式(1)に従って設定する。この設定は事前に行われ、目標長さLtagがサーバ92のメモリ922に予め格納されていてもよい。
S202において、サーバ92は、27番目のセル227の目標位置X(27)tagを上記式(2)に従って算出する。また、サーバ92は、残りのセル202~226(iについても目標位置X(i)tag上記式(3)に従って算出する(S203)。さらに、サーバ92は、各セル202~227の位置の目標範囲を上記式(4)および式(5)に従って算出する。これらの算出手法については図6および図7にて既に詳細に説明したため、ここでの説明は繰り返さない。
S205において、サーバ92は、複数のセル2を互いに区別するための自然数iをi=2に設定する。そして、サーバ92は、S206において、2番目のセル202の実際位置X(2)を、1番目のセル201の厚みT(1)および1番目の薄枠3Bの厚みTに基づいて算出する(上記式(6)参照)。なお、S206の処理は、本開示に係る「第1の処理」に相当する。
S207において、サーバ92は、S206にて算出されたセル202の実際位置X(2)と、S204にて算出されたセル202の位置の目標範囲とを比較する。S207の処理は、本開示に係る「第2の処理」に相当する。
セル202の実際位置X(2)が目標範囲内にある場合(S207においてYES)、サーバ92は、2番目の樹脂枠3を薄枠3Bにすることを決定する(S208)。これに対し、セル202の実際位置X(2)が目標範囲外である場合(S207においてNO)、サーバ92は、2番目の樹脂枠3を厚枠3Aにすることを決定する(S209)。S208,S209の処理は、本開示に係る「第3の処理」に相当する。
その後、サーバ92は、自然数iが27に達したか否かを判定する(S210)。iが27未満である場合(S210においてNO)には、サーバ92は、iを1だけインクリメントし(S211)、処理をS206に戻す。これにより、iが27に達するまでの間、S206~S209の処理が繰り返し実行されることとなる。iが27に達すると(S210においてYES)、一連の処理が終了する。
なお、本実施の形態では、1番目のセル201と2番目のセル202との間に薄枠3Bが配置されると説明した。しかし、当該位置に薄枠3Bに代えて厚枠3Aを配置してもよい。この場合にはS207~S209の処理が変更(逆転)される。すなわち、i番目のセル2の実際位置X(i)が目標範囲内にある場合(S207においてYES)、i番目の樹脂枠3が厚枠3Aに決定され、実際位置X(i)が目標範囲外である場合(S207においてNO)、i番目の樹脂枠3が薄枠3Bに決定される。
以上のように、本実施の形態においては、厚みが互いに異なる2種類の樹脂枠3である厚枠3Aおよび薄枠3Bが使用される。i番目までのセル2の実際位置が目標範囲外である場合、(i+1)番目のセル2の実際位置が目標範囲内になるような(少なくとも目標範囲に近づくような)樹脂枠3が厚枠3Aおよび薄枠3Bの中から選択される。目標範囲(および、その基となる目標位置)は、一対のエンドプレート41,42の間で各セル2が均等に配置されるように定められている。したがって、各セル2の配置を目標位置に近付けることで、すべてのセル2の配置が均等に近くなる。よって、本実施の形態によれば、各セル2の正極端子62および負極端子63の位置ばらつきを抑制できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 組電池、2,201~227 セル、3 樹脂枠、3A 厚枠、3B 薄枠、10 積層体、67 セパレータ、41,42 エンドプレート、51,52 拘束バンド、61 蓋体、62 正極端子、63 負極端子、64 電極体、65 正極、66 負極、71 樹脂枠本体、711 拘束面、712 冷却風通路、72 フランジ、90 電池製造支援システム、91 電池情報データベース、92 サーバ、93 モニタ、94 キーボード、95 データ線、921 CPU、922 メモリ、933 入出力ポート。

Claims (1)

  1. セルと樹脂枠とが交互に積層された積層体を含む組電池の製造方法であって、
    複数のセルの各々の厚みを取得するステップと、
    前記積層体の中で前記複数のセルが均等に配置されるように、前記複数のセルの各々の目標位置を算出するステップと、
    前記複数のセルの各々について、前記目標位置を中心とする所定幅の目標範囲を設定するステップと、
    前記複数のセルの各々の間に配置される前記樹脂枠を、厚みが互いに異なる第1の樹脂枠と第2の樹脂枠との中から決定するステップとを含み、
    前記決定するステップは、前記複数のセルの積層順に各セルに関して第1~第3の処理を実行するステップを含み、
    前記第1の処理は、(i-1)番目のセルの実際位置と、前記(i-1)番目のセルとi番目のセルとの間に配置される前記樹脂枠の厚みとに基づいて、前記i番目のセルの実際位置を算出する処理であり、
    前記第2の処理は、前記i番目のセルの実際位置が前記i番目のセルの前記目標範囲内であるか否かを判定する処理であり、
    前記第3の処理は、前記i番目のセルの実際位置が前記i番目のセルの前記目標範囲内にない場合、(i+1)番目のセルの実際位置が前記(i+1)番目のセルの前記目標範囲内になるように、前記i番目のセルと前記(i+1)番目のセルとの間に配置される前記樹脂枠を決定する処理である、組電池の製造方法。
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