JP7239352B2 - 熱交換型反応器、および、吸着式ヒートポンプ - Google Patents

熱交換型反応器、および、吸着式ヒートポンプ Download PDF

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Description

本発明は、熱交換型反応器、および、吸着式ヒートポンプに関する。
従来、吸着材での作動流体の吸着または脱離によって、熱交換流体と熱のやり取りを行う熱交換型反応器が知られている。例えば、特許文献1には、作動流体を吸着するときに放熱し作動流体を脱離するときに吸熱する吸着材と熱伝導性材料とを含有し、作動流体が流れ込む複数の空間を有する吸着材成形体を用いて、熱交換流体と熱交換する技術が開示されている。
特許5900391号明細書
特許文献1に記載の熱交換型反応器では、吸着材の粒子径を比較的小さくすることで吸着材での作動流体の吸脱着反応の反応速度を速くするとともに、作動流体が流れ込む空間を吸着材成形体に形成することによって吸着材成形体での作動流体の拡散速度を向上させている。しかしながら、吸着材成形体に空間を形成すると吸着材成形体における吸着材の充填密度が低下するため、吸着材成形体の単位体積当たりの出力が低下する。
また、特許文献1に記載の熱交換型反応器では、吸着材成形体には、例えば、平均一次粒子径が10μm以下の吸着材粒子が含有されている。しかしながら、吸着材粒子の粒子径を10μm以下まで小さくすることで吸着材成形体の製造コストが増大するため、熱交換型反応器の製造コストも増大させるおそれがある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、熱交換型反応器において、製造コストを低減しつつ、熱変換効率の向上と単位体積当たりの出力の向上とを両立する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本発明の一形態によれば、吸着材が作動流体を吸着することで熱交換流体に熱を放出、または、前記吸着材が作動流体を脱離することで熱交換流体の熱を吸収する熱交換型反応器が提供される。熱交換型反応器は、前記熱交換流体が流通する第1流路と、前記作動流体が流通する第2流路と、前記第2流路内に配置され、前記作動流体が流れ込む複数の凹形状を有し、前記吸着材を含有する吸着材成形体と、を備え、前記吸着材成形体に含有されている前記吸着材は、平均一次粒子径が30μmから200μmまでの吸着材粒子であって、前記凹形状間の間隔は、500μm以上1000μm以下である。
吸着材での作動流体の吸脱着によって熱交換流体と熱のやり取りを行う熱交換型反応器において、吸着材粒子の粒子径を大きくすると、吸着材での作動流体の吸脱着反応の反応速度は遅くなる。しかしながら、吸着材粒子単体の理論的な反応速度は、平均一次粒子径が、例えば、100μm程度であっても10秒以下となり、熱交換型反応器の実使用時において問題となる反応速度とはならない。また、熱交換型反応器において吸着材粒子の粒子径を大きくすると、当該吸着材粒子を用いた吸着材成形体での作動流体の拡散速度は速くなる。そこで、上記形態の熱交換型反応器の構成によれば、吸着材成形体に、平均一次粒子径が30μmから200μmまでの吸着材粒子を用いるとともに、作動流体が流れ込む凹形状間の間隔を、500μm以上1000μm以下と、比較的大きくする。これにより、吸着材成形体の単位体積当たりの吸着材の充填密度を増大することができるため、熱交換型反応器における顕熱と冷熱出力との比を向上することができる。したがって、熱変換効率の向上と単位体積当たりの出力の向上とを両立することができる。
また、吸着材成形体に、平均一次粒子径が比較的大きな吸着材粒子を用いるため、吸着材粒子の粒子径を小さくする工程が不要となる。これにより、熱交換型反応器の製造コストを低減することができる。
(2)上記形態の熱交換型反応器において、前記凹形状は、軸心方向が前記第2流路を流通する前記作動流体の流通方向と交差する向きに配置されている穴であって、前記凹形状間の間隔は、複数の前記穴のうちの一の穴と前記一の穴に隣り合う他の穴との最短の間隔であってもよい。
この構成によれば、第2流路を流れる作動流体は、軸心方向が前記第2流路を流通する前記作動流体の流通方向と交差する向きに配置されている穴に流れ込むことで、第2流路での作動流体の流通方向とは異なる方向に作動流体が拡散しやすくなる。これにより、作動流体は、吸着材成形体内に十分に拡散するため、熱変換効率をさらに向上しつつ単位体積当たりの出力をさらに向上することができる。
(3)上記形態の熱交換型反応器において、前記吸着材成形体は、前記吸着材を含有する複数の柱状部を有しており、複数の前記柱状部は、軸心方向が前記第2流路を流通する前記作動流体の流通方向と交差する向きに配置され、前記凹形状は、複数の前記柱状部の間に配置されており、前記凹形状間の間隔は、前記柱状部の軸心方向に垂直な断面の外径であってもよい。
熱交換型反応器において、作動流体が流れ込む吸着材成形体の凹形状は、内径が小さくなるほど吸着材の充填密度が増大するため、顕熱と冷熱出力との比を向上することができる。しかしながら、例えば、金型を用いて一つの板材に対して凹形状を形成する場合、当該凹形状に対応する金型が小さくなるため、金型の強度の関係上、所望の凹形状が形成できないおそれがある。上記形態の熱交換型反応器の構成によれば、複数の柱状部を配置することによって作動流体が流れ込む凹形状が形成されるため、金型の強度に影響されることなく凹形状の内径を小さくすることができる。これにより、吸着材成形体を、作動流体の拡散の度合いと吸着材成形体の単位体積当たりの吸着材の充填密度とのバランスが取れた構成とすることができるため、熱変換効率をさらに向上しつつ単位体積当たりの出力をさらに向上することができる。また、凹形状の内径が比較的小さい吸着材成形体を簡便に作ることができるため、熱変換効率の向上と単位体積当たりの出力の向上とを両立しつつ、熱交換型反応器の製造コストをさらに低減することができる。
(4)上記形態の熱交換型反応器において、前記吸着材成形体は、前記第1流路を流通する前記熱交換流体との間で熱交換する伝熱面を有し、前記吸着材成形体は、軸心方向が前記伝熱面と交差する向きに配置されている繊維状の熱伝導性材料を含有してもよい。
この構成によれば、熱交換流体との間で熱交換する伝熱面と交差する向きの熱伝導性が向上するため、熱的な熱変換効率をさらに向上することができる。
第1実施形態の吸着式ヒートポンプの概略構成を示した模式図である。 第1実施形態の熱交換型反応器の模式図である。 第1実施形態の吸着材成形体の模式図である。 第1実施形態の吸着材成形体の表面の模式図である。 図2のA-A線断面図である。 吸着材粒子の粒子径と吸着反応速度定数との関係の説明図である。 吸着材粒子での吸着開始経過時間と吸着反応率との関係の説明図である。 吸着材成形体での圧力と粘度との比と拡散係数との関係の説明図である。 吸着材成形体での圧力と拡散係数との関係の説明図である。 吸着材成形体での粘度と圧力との比と拡散係数との関係の説明図である。 吸着材成形体での粒子径と反応速度との関係の説明図である。 吸着材成形体での粒子径と反応速度との関係の説明図である。 吸着材成形体の壁厚と出力との関係の説明図である。 第2実施形態の熱交換型反応器の断面図である。
<第1実施形態>
図1は、本実施形態の吸着式ヒートポンプ1の概略構成を示した模式図である。図2は、本実施形態の熱交換型反応器30の模式図である。図3は、本実施形態の吸着材成形体36の模式図である。図4は、本実施形態の吸着材成形体36の表面の模式図である。図5は、図2のA-A線断面図である。
吸着式ヒートポンプ1は、外部から供給される熱媒体M1に熱を放出したり、熱媒体M1の熱を吸収したりするものである。すなわち、熱媒体M1は、吸着式ヒートポンプ1との間で熱のやり取りを行う「熱交換流体」として機能する。熱媒体M1は、例えば、エタノールなどのアルコール、水、油類、これらの混合物などの流体である。吸着式ヒートポンプ1は、図1に示すように、蒸発凝縮器10と、流通配管20と、熱交換型反応器30と、を備える。
蒸発凝縮器10は、水を貯留するものであって、後述する熱交換型反応器30が有する吸着材成形体36が放熱するときに吸着材成形体36に吸着される水蒸気を生成するとともに、吸着材成形体36が吸熱するときに吸着材成形体36が放出する水蒸気を凝縮する。すなわち、本実施形態では、水蒸気は、吸着材成形体36に吸脱着することで、吸着式ヒートポンプ1が熱媒体M1と熱のやり取りをするように吸着式ヒートポンプ1を作動させる「作動流体(吸着質)」として機能する。なお、本実施形態では、水蒸気を作動流体として説明するが、作動流体は、必ずしも水蒸気に限られるものではない。例えば、作動流体は、水蒸気の代わりに、アンモニアや、例えば、炭素数1~6のアルコールなどの低級アルコールであってもよい。
流通配管20は、図1に示すように、蒸発凝縮器10と熱交換型反応器30とを接続する配管である。流通配管20には、熱交換型反応器30と吸脱着する水蒸気が流れる。流通配管20には、蒸発凝縮器10と熱交換型反応器30との間を連通または遮断し、水蒸気の流れを制御可能なバルブ21が配置されている。
熱交換型反応器30は、筐体31と、吸着材成形体36と、を備える。
筐体31は、図2に示すように、直方体状の部材であって、吸着材成形体36と熱媒体M1との間の熱交換が可能なように、熱伝導性が高い材料から形成されている。具体的には、筐体31は、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金などの金属から形成されている。また、筐体31は、熱媒体M1や熱交換型反応器30と吸脱着する作動流体の特性に合わせて、耐腐食性などを有する材料から形成されていてもよい。
筐体31には、複数の熱媒体流路32と、複数の反応室33とが形成されている。本実施形態では、熱媒体流路32と、反応室33とは、図2に示すように、交互に配置されており、熱媒体流路32と反応室33とは、それぞれ扁平矩形状の開口端を有する角柱状の空間となっている。本実施形態では、熱媒体流路32と反応室33とは、熱媒体流路32の開口方向、すなわち、熱媒体M1の流れ方向(図2の白抜き矢印F21)と、反応室33の開口方向、すなわち、水蒸気の流れ方向(図2の白抜き矢印F22)とが直交するように形成されている。
熱媒体流路32は、図示しない外部の熱媒供給装置と接続されており、必要に応じて熱媒体流路32に熱媒体M1の供給が行なわれるように構成されている。複数の熱媒体流路32は、図1に示すように、一方の開口が筐体31に設けられているマニホールド32aを介して熱媒体配管34aと接続され、他方の開口がマニホールド32aとは別に筐体31に設けられているマニホールド32bを介して熱媒体配管34bと接続されている。これにより、複数の熱媒体流路32には、熱媒体配管34aと熱媒体配管34bとの間を流通する熱媒体M1が通ることとなる(図1の白抜き矢印F11)。
反応室33は、一方の開口が筐体31に設けられているマニホールド33aを介して流通配管20に接続されている。これにより、蒸発凝縮器10において生成される水蒸気が複数の反応室33に流入したり、反応室33において発生する水蒸気が蒸発凝縮器10に流出したりする(図1の白抜き矢印F12)。
熱媒体流路32と反応室33とは、筐体31の壁によって隔てられており、熱媒体流路32と反応室33との間での物質の移動はないが、筐体31の壁を介して互いに熱的に接続されている。これにより、熱媒体流路32を流通する熱媒体M1の温度変化、または、反応室33での吸着材成形体36の放熱または吸熱による温度変化に合わせて、熱媒体M1と反応室33内に配置されている吸着材成形体36との間で熱交換が行われる。
吸着材成形体36は、水蒸気が吸着すると放熱し吸熱によって水蒸気が脱離すると蓄熱する吸着材であるシリカゲルを用いて成形されたものであり、本実施形態では、図3に示すように、板状に形成されているシリカゲル板36a、36bから構成されている。シリカゲル板36a、36bは、シリカゲル粒子と、バインダーと、熱伝導性材料と、を含有している。吸着材成形体36が含有する各成分の詳細については後述する。
本実施形態では、吸着材成形体36は、図4に示すように、シリカゲル板36a、36bのそれぞれに、断面が円形である穴37が二次元方向に所定の間隔で配列されている。すなわち、吸着材成形体36は、表面が凹んだ状態となっている「凹形状」を有している。
吸着材成形体36では、複数の穴37のうちの一つの穴37と当該一つの穴37に隣り合う穴37とを隔てる吸着材成形体36の厚み(以下、「壁厚」という)x1が、最短で500μm以上1000μm以下となるように形成されている。
また、穴37は、断面径yが、300μmとなるように形成されている。穴37の断面径は、50μm以上300μm以下がより好ましく、50μm以上100μm以下がさらに好ましい。これにより、吸着材成形体36の単位体積当たりの吸着材の充填密度を大きくしつつ、水蒸気の拡散性、ひいては、吸脱着反応の速度を優れたものとすることが可能である。
本実施形態では、吸着材成形体36が有する凹形状として、断面円形の穴37が設けられている例を示したが、凹形状は、断面円形の穴や孔などに限られるものではない。凹形状としては、吸着材成形体36に形成された凹形状の深さ方向と直交する断面形状が、円形のほか、楕円形、多角形などいずれの形状のものでもよい。中でも、二次元に所定の間隔で配列される凹形状の間隔がより均等なものとなる点で、前記断面形状が円形又は多角形の凹形状が好ましく、前記断面形状が真円又は正多角形が好ましく、より好ましい断面形状は正四角形又は正六角形である。ここで、凹形状の前記断面形状が真円以外の楕円形や多角形等の形状である場合、断面径は、断面形状に内接する円(内接円)の直径、又は断面形状に内接する楕円(内接楕円)の長径で表される径をさす。
吸着材成形体36は、図5に示すように、反応室33内に配置される。具体的には、吸着材成形体36のシリカゲル板36a、36bは、筐体31において反応室33の天面33bと底面33cとにそれぞれが取り付けられており、2つのシリカゲル板36a、36bの間を、水蒸気(図5の白抜き矢印M2)が流通できるようになっている。すなわち、本実施形態では、天面33bと底面33cとに設けられ新たに水蒸気が流通する流路の天面と底面とをなすシリカゲル板36a、36bの流路形成面36c、36dと、筐体31の天面33bと底面33c以外の2つの側壁の表面と、で水蒸気が流通する流路が形成されている。
シリカゲル板36a、36bの複数の穴37は、シリカゲル板36a、36bの流路形成面36c、36dに開口が形成され、軸心方向が反応室33を流通する水蒸気の流通方向と交差する向きに配置されている。本実施形態では、穴37は、図5に示すように、シリカゲル板36a、36bの流路形成面36c、36dとは反対側の取り付け面36e、36fとには貫通しておらず、厚みz分を残して取り付け面36e、36fが閉塞された形状となっている。
流通配管20と接続する反応室33の一端から導入された水蒸気は、図5に示す実線矢印F3のように、反応室33内を他端に向けて移動しながら、流路途中の流路形成面36c、36dに開口を有する吸着材成形体36の穴37内に流れ込む。これにより、水蒸気の吸着材成形体36中への拡散性が向上し、比較的広い範囲において吸脱着反応の速度を向上させることができる。
シリカゲル板36a、36bの熱媒体流路32と向き合う取り付け面36e、36fは、伝熱面であり、この面を通じて互いに隣り合う室と熱交換することができる。例えば、熱媒体流路32に加熱された熱媒が供給されるとき、シリカゲル板36a、36bの取り付け面36e、36fで熱交換され、シリカゲル板36a、36bが加熱されると、シリカゲル粒子に吸着されている水蒸気が脱離し、加熱時に供された熱量分の水蒸気を蒸発凝縮器10に送ることができる。このように吸着材が用いられることにより、水蒸気の吸着と脱離とに要する熱量を小さく抑えることができるため、低エネルギーでも水蒸気の着脱が容易に行なえる。
次に、吸着材成形体36の各成分の詳細について説明する。
吸着材としては、多孔体であるシリカゲルの粒子が用いられており、平均一次粒子径が30μmから200μmまでの粒状物が、吸着材成形体36に含まれている。本実施形態では、シリカゲル粒子は、物理吸着による水蒸気の固定化と脱離の反応性とをより向上させる観点から、細孔径が10nm以下の孔を有することが望ましく、細孔径の下限は、製造適性などの観点から、0.5nmが望ましい。また、BET法による比表面積は、100m2/g以上1500m2/g以下(より好ましくは、300m2/g以上1000m2/g以下)であることが望ましい。
吸着材成形体36における吸着材の含有比率は、水蒸気の固定化と脱離の反応性とをより高く維持する観点から、70体積%以上の範囲が好ましく、80体積%以上の範囲がより好ましく、90体積%以上の範囲が更に望ましい。
吸着材成形体36における吸着材の充填密度は、0.10g/mL~0.80g/mLが望ましい。充填密度が0.10g/mL以上であると、吸脱着反応に関与する水蒸気の量をより多くすることが可能である。充填密度が0.80g/mL以下であると、吸着材成形体36中における水蒸気の移動抵抗をより低減することが可能である。
バインダーは、吸着材と混合し成形することによって、吸着材同士を結合し、吸着材成形体36の形状を維持しやすくするものである。これにより、吸着材成形体36の吸着における水蒸気の固定化と水蒸気の脱離の反応性とがより向上する。バインダーとしては、水溶性バインダーが好ましい。水溶性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、トリメチルセルロースなどが挙げられる。また、吸着材とバインダーとに加えて、必要に応じて、他の成分を含有していてもよい。
吸着材成形体36におけるバインダーの含有比率は、吸着材成形体36の形状をより効果的に維持する観点から、吸着材成形体36の全量に対して、5体積%以上が望ましく、10体積%以上がより望ましい。更には、バインダーの含有比率は、吸着材成形体36の全量に対し、20体積%以下が望ましく、10体積%以下がより望ましい。
熱伝導性材料は、吸着材成形体36の熱伝導性を高めるために吸着材成形体36に含有されている繊維状の材料である。熱伝導性材料の熱伝導率は、吸着材の熱伝導率よりも高ければ、特に制限はないが、例えば、1.0W/(m・K)以上であって、2.0W/(m・K)以上が望ましい。熱伝導性材料は、無機材料が望ましく、金属繊維及び炭素繊維からなる群から選択される少なくとも1種がより望ましく、特に、炭素繊維が望ましい。また、炭素繊維の中でも、特に望ましいのは、アスペクト比が10~500で、長手方向の長さが10μm~500μm、より望ましくは100μm~300μmのものである。金属繊維は、アルミニウム繊維、銅繊維などが挙げられる。
本実施形態では、熱伝導性材料は、軸心方向が、吸着材成形体36の取り付け面36e、36fと交差する向きに配置されている。
吸着材成形体36に含有される吸着材は、一般的に熱伝導率が低いため、吸着材を含む吸着材成形体36では、吸脱着反応に伴って吸着材の温度が変化し、平衡関係が変化するため、その後の吸脱着反応が阻害される場合がある。この点に関して、繊維状の熱伝導性材料を、その軸心方向が吸着材成形体36の取り付け面36e、36fと交差するように吸着材成形体36中に含有させることで、吸着材成形体36の内部と熱媒体M1との間の熱交換が効率良く行なわれる。これにより、水蒸気の吸着時には、吸着材成形体36から熱媒体M1への放熱が効率良く行われ、水蒸気の脱離時には、吸着材成形体36の熱媒体M1からの吸熱が効率よく供給され、吸着材成形体36における水蒸気の吸脱着反応の反応速度が向上する。
本実施形態では、熱伝導性材料の短手方向の長さに対する長手方向の長さの割合であるアスペクト比は、上記効果をより効果的に奏する観点より、10以上が望ましく、15以上がより望ましい。また、アスペクト比は、吸着材の充填密度をより高く維持する観点からは、500以下が望ましく、300以下がより望ましく、100以下が特に望ましい。
また、熱伝導性材料の長手方向の長さは、特に制限はないが、10μm~1000μmが望ましく、10μm~500μmがより望ましく、100μm~300μmが特に望ましく。また、熱伝導性材料の短手方向の長さは、特に制限はないが、0.01μm~100μmが好ましく、0.1μm~100μmがより好ましく、1μm~50μmが特に好ましい。
本実施形態では、熱交換効率をより向上させ、吸脱着反応の反応速度をより向上させる観点から、特に望ましくは、吸着材成形体36に含有される大部分の熱伝導性材料の軸心方向が、水蒸気の流れる方向に対して略垂直をなしてある程度揃って配されている状態である。具体的には、吸着材成形体36に含まれる熱伝導性材料のうちの80個数%以上、望ましくは90個数%以上、より望ましくは95個数%以上が、その軸心方向が水蒸気の流れる方向に対して70°以上、より望ましくは80°以上の角度を有して配されている状態である。
更に、この状態では、熱伝導性材料の軸心方向がランダムである場合と比較して、吸着材成形体36を成形する際のスプリングバックを抑制できるため、吸着材成形体36中における吸着材の密度をより向上させることができ、反応速度を更に向上させることができる。なお、軸心方向と水蒸気の流れる方向とがなす角度は、理想的には90°であるが、熱交換効率への影響を加味すれば、90°である場合とは、必ずしも正確に垂直をなす場合のみである必要はなく、一見して90°と捉えられる略垂直である場合も含まれる。
吸着材成形体36における熱伝導性材料の量は、吸着材成形体36の全量に対して、1体積%~30体積%が望ましく、1体積%~20体積%がより望ましく、5体積%~20体積%が特に望ましい。熱伝導性材料の含有量が1体積%以上であると、熱伝導性材料による効果が得られやすく、熱伝導性材料の含有量が30体積%以下であると、吸脱着反応に関与する水蒸気の量をより多くすることができる。
吸着材成形体36は、従来公知の方法で成形することが可能であり、特に方法が制限されるものではない。吸着材成形体36の成形方法の例として、吸着材と熱伝導性材料を含む混合物、例えば、スラリー、を調製し、この混合物を加圧成形、押出成形等の公知の成形手段により成形する方法等が挙げられる。加圧成形を行なう場合、成形時の圧力は、例えば、20MPa~100MPaとすることができ、好ましくは20MPa~40MPaの範囲である。
本実施形態では、吸着材成形体36の穴37は、上述した混合物を板状に成形したのち、当該成形体の所望の位置の吸着材を、フライスなどを用いて機械的に取り除くことで凹形状に形成する。また、成形と同時に凹形状を形成するようにしてもよい。
次に、吸着式ヒートポンプ1の作用について説明する。
熱媒体M1を加熱する場合、流通配管20を介して蒸発凝縮器10において生成した水蒸気を熱交換型反応器30の反応室33に送る。反応室33では、供給された水蒸気が吸着材成形体36内に拡散し、吸着材に吸着される。この吸着材での水蒸気の吸着によって発生する熱が、吸着材成形体36と熱媒体流路32を流れる熱媒体M1との温度差によって熱媒体M1に伝わり、熱媒体M1が加熱される。
一方、熱媒体M1の熱を蓄える場合、熱媒体流路32を流れる熱媒体M1の熱が、熱媒体流路32を流れる熱媒体M1と吸着材成形体36との温度差によって吸着材成形体36に伝わる。このとき、吸着材成形体36の吸着材では、熱媒体M1から伝わった熱によって、吸着されていた水蒸気が脱離する。脱離した水蒸気は、水蒸気となって反応室33から流通配管20を通って蒸発凝縮器10に送られる。蒸発凝縮器10では、水蒸気を凝縮し、水として貯留する。
このように、吸着式ヒートポンプ1では、蒸発凝縮器10から熱交換型反応器30に水蒸気が送られるときには、水蒸気が吸着材成形体36の吸着材に吸着し、逆に吸着材成形体36から脱離した水蒸気が熱交換型反応器30から蒸発凝縮器10に送られるときには、蒸発凝縮器10において水蒸気を回収できるようになっている。吸着式ヒートポンプ1は、熱交換型反応器30と蒸発凝縮器10との間での圧力差に応じ、熱交換型反応器30での水蒸気の吸着と脱離とを繰り返すことで作動する。
次に、熱交換型反応器30の性能の評価方法について説明する。
最初に、吸着材成形体36の性能は、以下の3つの項目によって評価される。
(A)吸着材粒子の吸着反応速度
吸着材粒子の吸着反応速度は、吸着材粒子の粒子径や吸着剤内部の細孔構造によって決定され、例えば、式(1)に示す1次元非定常拡散式(拡散モデル)によって演算することが可能である。
Figure 0007239352000001
式(1)において、qは、吸着材の吸着量(g/g)であって、tは、時間(sec)である。Dcは、吸着材粒子内での水蒸気の拡散係数(m2/sec)であって、例えば、1.9×10-11(m2/sec)である。また、rは、吸着材粒子の中心からの径方向の距離(m)である。
また、式(1)の拡散モデルをさらにモデル化した、LDFモデルを用いて演算することも可能である。LDFモデルでは、吸着材粒子の水蒸気の吸着量をθ、時間をtとしたときの吸着材粒子の吸着反応速度は、反応速度定数kabsと、吸着材粒子の平衡吸着量θ*とを用いて、式(2)のように表される。
Figure 0007239352000002
図6は、吸着材粒子の粒子径(d)と反応速度定数(kabs)との関係の説明図である。式(2)の反応速度定数(kabs)は、吸着材粒子の粒子径ごとに異なり、図6に示す値となる。
図7は、吸着材粒子での吸着開始経過時間(t)と吸着反応率(Rabs)との関係の説明図である。図7には、吸着材粒子の反応速度について式(1)を用いて吸着材粒子が等温であると仮定し、異なる粒子径ごとに吸着速度を規格化して計算した結果を示す。図7に示すように、例えば、経過時間10秒程度で吸着反応率が0.6以上となる吸着材粒子の粒子径は、100μm以下となる。また、実使用を想定した場合の経過時間60秒程度で吸着反応率が0.6以上となる吸着材粒子の粒子径は、200μm以下となる。このように、吸着材粒子の反応速度に関する演算結果から、一次粒子径を200μm程度としても、実際の熱交換に用いることができる吸着材粒子であることがわかる。
(B)吸着材成形体36内での水蒸気の拡散速度
複数の穴37を有する吸着材成形体36内での水蒸気の拡散速度は、式(3)に示すハニカム層内のマクロな隙間の水蒸気の輸送現象に関する式を用いて演算することが可能である。
Figure 0007239352000003
式(3)において、Dは、水蒸気の拡散係数であって、Cは、水蒸気濃度であって、εは、空隙率(-)であって、ρは、水蒸気の密度(g/cm3)である。
ハニカム層内での水蒸気の移動のしやすさを表す水蒸気の拡散係数は、式(4)に示すように、分子拡散係数(DM)と粘性拡散係数(DV)との和から求められる。
Figure 0007239352000004
このうち、分子拡散係数は、式(5)で表される。
Figure 0007239352000005
式(5)において、Rhは動水半径であって、吸着材粒子の粒子径dを用いた式(6)で求められる。
Figure 0007239352000006
また、Tは、水蒸気の温度(K)であって、Mは、水蒸気の分子量(-)である。
式(5)と式(6)とから明らかなように、分子拡散係数は、吸着材粒子の粒子径が大きくなるほど大きくなる動水半径に比例する。すなわち、吸着材粒子の粒子径が大きくなると、分子拡散係数は、大きくなる。
また、粘性拡散係数は、式(7)で表される。
Figure 0007239352000007
式(7)において、kは、コゼニー定数である。Svは、比表面積(m-1)であって、式(8)で表される。
Figure 0007239352000008
また、Pは、水蒸気の圧力(Pa)であって、μは、水蒸気の粘度(Pa・sec)である。比表面積は、式(8)から明らかなように、吸着材粒子の粒子径が大きくなるほどが小さくなるため、比表面積の2乗に反比例する粘性拡散係数は、吸着材粒子の粒径dが大きくなるほど大きくなる。
このように、分子拡散係数と粘性拡散係数とのいずれも、同じ充填密度であれば、吸着材粒子の粒子径が大きくなるほど大きくなることがわかる。すなわち、吸着材粒子の粒子径が大きくなるほど拡散係数が大きくなる。
図8は、吸着材成形体での圧力と粘度との比(P/μ)と拡散係数(D)との関係の説明図である。図8では、横軸に圧力と粘度との比を示し、縦軸に拡散係数を示す。分子拡散係数は、図8の点線L1で示すように、圧力と粘度との比の値に関わらず一定となる(図8の両端矢印DMで示す範囲)が、粘性拡散係数は、圧力と粘度との比の値が大きくなるにつれて大きくなることがわかる(図8の両端矢印DVで示す範囲)。
図9は、吸着材成形体36での圧力(P)と拡散係数(D)との関係の説明図である。図9には、吸着材粒子の粒子径が比較的小さい例として粒子径が3μmの場合の圧力と拡散係数との関係と、吸着材粒子の粒子径が比較的大きい例として粒子径が30μmの場合の圧力と拡散係数との関係と、を示す。図9に示すように、吸着材粒子の粒子径が30μmの場合の拡散係数は、吸着材粒子の粒子径が3μmの場合の拡散係数より大幅に大きくなることがわかる。
図10は、吸着材成形体36での粘度と圧力との比(μ/P)と拡散係数(D)との関係の説明図である。図10には、異なる空隙率における粘度と圧力との比と拡散係数との関係を、異なる粒子径(d=3、10、20、50、100μm)ごとに示している。図10(a)には、空隙率が0.2のときの異なる吸着材粒子の粒子径のそれぞれについて、拡散係数の変化を示している。また、図10(b)には、空隙率が0.3のときの異なる吸着材粒子の粒子径のそれぞれについて、拡散係数の変化を示している。図10に示すように、吸着材成形体36の拡散係数は、粘度と圧力との比に対して直線の関係が得られる。また、図10からは、いずれの空隙率においても、吸着材粒子の粒子径を大きくすると、拡散係数が大きくなることがわかる。特に、空隙率を大きくすると、拡散係数が大きくなる度合いが顕著である。
(C)吸着材成形体36の熱伝導性
吸着材成形体36の熱伝導性は、式(9)によって演算することが可能である。
Figure 0007239352000009
式(9)において、Cpは、吸着材成形体36の比熱(kJ/(kg・K))であって、ρaは、吸着材成形体36における吸着材の充填密度(kg/m3)である。
吸着材成形体36における吸着速度を高めるには、吸着材成形体36の熱伝導率を高める必要がある。式(9)から明らかなように、空隙率を小さくしたり、吸着材成形体36における吸着材の充填密度を高めたり、吸着材成形体36の比熱Cpを高めたりすることによって、吸着材成形体36の熱伝導率は高くなる。本実施形態では、熱伝導性材料によって熱伝導率を高めている。
本実施形態の吸着材成形体36について上述した(A)~(C)を当てはめて考察すると、吸着材粒子の平均一次粒子径を30μmから200μmまでとすることによって、吸着材粒子の反応速度は低下するものの、実使用での反応速度の低下による大きな影響はないことが明らかとなった。一方、吸着材粒子の平均一次粒子径を30μmから200μmまでとすることによって、平均一次粒子径が比較的小さい吸着材粒子を用いた場合に比べ拡散係数が大幅に増大することが明らかとなった。
本実施形態では、これらのことを踏まえ、吸着材粒子の平均一次粒子径を大きくすることによって反応速度が低下する代わりに拡散係数を大幅に増大させ、水蒸気の拡散現象も含めた吸着材成形体36全体での反応速度を増大させている。
次に、熱交換型反応器30の性能は、以下のように評価される。
最初に、熱交換型反応器30の冷熱生成量Q1(kJ)を式(10)によって求める。
Figure 0007239352000010
式(10)において、hは、吸着材成形体36の高さ(m)であって、aは、吸着材成形体36が有する穴37の内径(m)であって、bは、吸着材成形体36の壁厚(m)である。また、ΔHH2Oは、水の蒸発潜熱(kJ/kg)である。
次に、熱交換型反応器30の発熱量Q2(kJ)を式(11)によって求める。
Figure 0007239352000011
式(11)において、ΔHADは、吸着材の吸着熱(kJ/kg)である。
また、吸着材成形体36の1ピッチあたりの顕熱Q3(kJ)は、式(12)によって求められる。
Figure 0007239352000012
ここで、「吸着材成形体36の1ピッチ」とは、一つの穴37と当該一つの穴37を形成している吸着材成形体36の構造体部分との組み合わせのことを指す。式(12)において、CpADは、吸着材成形体36の構造体部の熱容量(kJ/kg)であって、CpH2Oは、水の熱容量(kJ/kg)であって、CpHEXは、熱交換型反応器30の熱容量(kJ/K)である。また、TMは、吸着温度(K)であって、TLは、脱離温度(K)である。
熱交換型反応器30の性能を表す熱成績係数(以下、「COP」という)は、式(10)から式(12)までを用いて、式(13)で表される。
Figure 0007239352000013
式(13)から明らかなように、吸着材成形体36が有する穴37の内径aが大きくなるほど、また、吸着材成形体36の壁厚bが厚くなるほど、COPが大きくなる。しかしながら、吸着材成形体36の穴37の内径aは、製造上の限界である300μm付近から金型の強度の問題から現状の技術では安定した製造が困難である。このため、COPを向上させるには、吸着材成形体36の壁厚bを厚くする必要がある。また、上述したように、吸着材粒子の平均一次粒子径を大きくすることによって拡散係数が大きくなるため、吸着材成形体36の壁厚を厚くすることは、水蒸気が十分に拡散させることの観点からも可能である。
図11、12は、吸着材成形体36に含有されている吸着材の粒子径dと反応速度Rtとの関係の説明図である。図11は、空隙率が0.2において吸着材成形体36の壁厚bが異なる場合の反応速度Rtを、吸着材の粒子径dの変化に対して示したものである。図12は、空隙率が0.3において吸着材成形体36の壁厚bが異なる場合の反応速度Rtを、吸着材の粒子径dの変化に対して示したものである。図11、12に示す反応速度Rtは、吸着材成形体36全体での反応速度を示している。図11(a)と図12(a)とには、吸着材成形体36の穴37の内径aが300μmの場合の演算結果を示し、図11(b)と図12(b)とには、吸着材成形体36の穴37の内径aが600μmの場合の演算結果を示す。
図11、12に示すように、吸着材成形体36の壁厚bが300μmの場合、吸着材粒子の粒子径dが、例えば、30μmより大きくなると、吸着材成形体36の反応速度Rtが大幅に小さくなる傾向がある。特に、吸着材成形体36の穴37の内径aが600μmの場合、吸着材成形体36の反応速度Rtが小さくなる傾向が顕著である。
また、吸着材成形体36の壁厚bが1200μmの場合、吸着材粒子の粒子径dが、例えば、50μmより小さくなると、吸着材成形体36の反応速度Rtが小さくなる傾向がある。一方、吸着材粒子の粒子径dが30μmから100μmまでの間では、吸着材成形体36の壁厚bが600μmや900μmの場合、反応速度Rtは比較的大きい。
図13は、吸着材成形体36の壁厚bと熱交換型反応器30の単位体積当たりの出力Opとの関係の説明図である。図13では、吸着材粒子として平均一次粒子径が60μmのシリカゲル粒子と、熱伝導性材料としてのカーボンファイバーとを含有する吸着材成形体36を用いた場合の演算結果を示す。図13には、異なる高さ(h=2、3、4、5mm)の吸着材成形体36のそれぞれについて出力を示している。図13に示すように、熱交換型反応器30の単位体積当たりの出力Opは、吸着材成形体36の壁厚bが600μmから800μmまでの間のときにピークとなることがわかる。
吸着材での作動流体の吸脱着によって熱交換流体と熱のやり取りを行う熱交換型反応器において、吸着材粒子の粒子径を大きくすると、吸着材での作動流体の吸脱着反応の反応速度は遅くなる。しかしながら、吸着材粒子単体の理論的な反応速度は、平均一次粒子径が100μm程度までは10秒以下となり、熱交換型反応器の実使用時には問題となるものではない。一方で、吸着材成形体に含有される吸着材粒子の粒子径を大きくすると、吸着材成形体での作動流体の拡散速度は速くなる。
本実施形態の熱交換型反応器30によれば、吸着材成形体36に、平均一次粒子径が30μmから200μmまでの吸着材粒子を用いるとともに、隣り合う穴37の最短の間隔を、500μm以上1000μm以下と、比較的大きくする。これにより、吸着材成形体36における単位体積当たりの吸着材の充填密度を増大することができるため、熱交換型反応器における顕熱と冷熱出力との比を向上することができる。したがって、熱変換効率の向上と単位体積当たりの出力の向上とを両立することができる。
また、本実施形態の熱交換型反応器30によれば、吸着材成形体に、平均一次粒子径が比較的大きな吸着材粒子を用いることができるため、吸着材粒子の粒子径を小さくする工程が不要となる。これにより、熱交換型反応器30の製造コストを低減することができる。
また、本実施形態の熱交換型反応器30によれば、穴37は、軸心方向が反応室33を流通する水蒸気の流通方向と交差する向きに配置されている。これにより、反応室33を流れる水蒸気は、穴37に流れ込むことで、反応室33での水蒸気の流通方向とは異なる方向に拡散しやすくなる。したがって、穴37に流れ込む水蒸気は、吸着材成形体36内に十分に拡散するため、熱変換効率をさらに向上と単位体積当たりの出力をさらに向上することができる。
また、本実施形態の熱交換型反応器30によれば、吸着材成形体36は、熱媒体流路32を流通する熱媒体との間で熱交換する取り付け面36e、36fを有している。吸着材成形体36は、軸心方向が取り付け面36e、36fと交差する向きに配置されている繊維状の熱伝導性材料を含有する。これにより、熱媒体との間で熱交換する取り付け面36e、36fと交差する向きの熱伝導性が向上するため、熱的な熱変換効率をさらに向上することができる。
<第2実施形態>
図14は、第2実施形態の熱交換型反応器40の概略構成を示した説明図である。第2実施形態の熱交換型反応器40は、第1実施形態の熱交換型反応器30(図5)と比較すると、吸着材成形体の構成が異なる。
第2実施形態の熱交換型反応器40は、筐体31と、吸着材成形体46と、を備える。
吸着材成形体46は、シリカゲル粒子を用いて成形されたものであり、図14のように、柱状に形成されている複数のシリカゲル柱46aから構成されている。シリカゲル柱46aは、シリカゲル粒子と、バインダーと、繊維状の熱伝導性材料と、を含有している。
シリカゲル柱46aは、図14(a)に示すように、軸心方向が反応室33を流通する水蒸気の流通方向と交差する向きに配置されている。シリカゲル柱46aは、軸心方向に垂直な断面が円形状に形成されており、外径x2が、500μm以上1000μm以下である。
本実施形態では、複数のシリカゲル柱46aの間は、水蒸気(図14(a)の白抜き矢印M2)が流通する流路を形成するシリカゲル柱46aの流路形成面46bから凹んだ状態となっている。すなわち、隣り合うシリカゲル柱46aの間は、凹形状となるように複数のシリカゲル柱46aが配置されている。隣り合うシリカゲル柱46aの間の凹み47は、水蒸気が流れ込むように形成されている。
図14(b)に示す図14(a)のB-B線断面図において、一つのシリカゲル柱46aの両側には、二つの凹み47が形成されていると見ることができる。本実施形態では、一つのシリカゲル柱46aの両側に位置する二つの凹み47の間の最大距離は、一つのシリカゲル柱46aの外径に相当し、上述したように、500μm以上1000μm以下であるということができる。
熱交換型反応器において、作動流体が流れ込む吸着材成形体の凹形状は、内径が小さくなるほど吸着材の充填密度が増大するため、顕熱と冷熱出力との比を向上することができる。しかしながら、例えば、金型を用いて一つの板材に対して凹形状を形成する場合、当該凹形状に対応する金型が小さくなるため、金型の強度の関係上、所望の凹形状が形成できないおそれがある。
本実施形態の熱交換型反応器40によれば、複数のシリカゲル柱46aを配置することによって水蒸気が流れ込む凹み47が形成されるため、金型の強度に影響されることなく凹み47の大きさを小さくすることができる。これにより、吸着材成形体36を、水蒸気の拡散の度合いと吸着材成形体36の単位体積当たりの吸着材の充填密度とのバランスが取れた構成とすることができるため、熱変換効率をさらに向上しつつ単位体積当たりの出力をさらに向上することができる。
また、本実施形態の熱交換型反応器40によれば、凹み47の大きさが比較的小さい吸着材成形体を簡便に作ることができるため、熱変換効率の向上と単位体積当たりの出力の向上とを両立しつつ、熱交換型反応器40の製造コストをさらに低減することができる。
<本実施形態の変形例>
本発明は上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
[変形例1]
上述の実施形態では、吸着材成形体は、軸心方向が、吸着材成形体の取り付け面と交差する向きに配置されている熱伝導性材料を含有するとした。しかしながら、熱伝導性材料が、吸着材成形体において配置される向きはこれに限定されない。
ただし、熱交換の効率をより向上させ、吸脱着反応の反応速度をより向上させる観点から、熱伝導性材料は、軸心方向が反応室33において水蒸気が流通する方向に対して45°以上となるように配置されていることが望ましい。この場合、例えば、繊維状の熱伝導性材料の軸心方向が水蒸気の流通方向に対してランダムな方向となっている場合など、軸心方向が水蒸気の流れる方向に対して45°未満となるように配置されている熱伝導性材料が含まれていてもよい。ここで、熱伝導性材料の軸心方向が水蒸気の流れる方向に対して45°以上であるとは、軸心方向と水蒸気の流れる方向とのなす角度のうち、最小の角度が45°以上であることを意味する。
また、吸着材成形体は、熱伝導性材料を含有していなくてもよい。
[変形例2]
第2実施形態では、シリカゲル柱46aは、軸心方向に垂直な断面が円形状に形成されているとした。しかしながら、シリカゲル柱46aの断面形状は、これに限定されない。正方形であってもよいし、多角形であってもよい。
[変形例3]
熱交換型反応器において、反応室33と熱媒体流路32との配設数に特に限定はなく、熱交換型反応器の熱量に対する容量や、吸着材成形体の伝熱面の面積などを考慮して適宜設定することができる。
[変形例4]
上述の実施形態では、吸着材として、シリカゲルを用いるとした。しかしながら、吸着材の種類は、これに限定されない。シリカゲルのほか、例えば、活性炭、メソポーラスシリカ、ゼオライト、粘土鉱物等が挙げられる。粘土鉱物としては、非架橋の粘土鉱物であっても、架橋された粘土鉱物(架橋粘土鉱物)であってもよい。粘土鉱物の例として、セピオライト、スメクタイト系粘土(サポナイト、モンホリロナイト、ヘクトライト、等)、4-珪素雲母、雲母、バーミキュライトなどが挙げられ、中でもセピオライトが望ましい。
吸着材粒子としてゼオライト粒子を用いる場合、ゼオライト粒子のBET法による比表面積は、50m2/g以上1000m2/g以下(より好ましくは、100m2/g以上1000m2/g以下)であることが望ましい。また、吸着材粒子として活性炭粒子を用いる場合、活性炭粒子のBET法による比表面積は、800m2/g以上4000m2/g以下(より好ましくは、1000m2/g以上2000m2/g以下)であることが望ましい。また、吸着材粒子としてメソポーラスシリカ粒子を用いる場合、メソポーラスシリカ粒子のBET法による比表面積は、500m2/g以上1500m2/g以下(より好ましくは、700m2/g以上1300m2/g以下)であることが望ましい。
以上、実施形態、変形例に基づき本態様について説明してきたが、上記した態様の実施の形態は、本態様の理解を容易にするためのものであり、本態様を限定するものではない。本態様は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本態様にはその等価物が含まれる。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することができる。
1…吸着式ヒートポンプ
10…蒸発凝縮器
20…流通配管
21…バルブ
30、40…熱交換型反応器
31…筐体
32…熱媒体流路
32a、32b、33a…マニホールド
33…反応室
33b…天面
33c…底面
34a、34b…熱媒体配管
36、46…吸着材成形体
36a、36b…シリカゲル板
36c、36d、46b…流路形成面
36e、36f…取り付け面
37…穴
46a…シリカゲル柱
47…凹み

Claims (3)

  1. 吸着材が作動流体を吸着することで熱交換流体に熱を放出し、前記吸着材が作動流体を脱離することで熱交換流体の熱を吸収する熱交換型反応器であって、
    前記熱交換流体が流通する第1流路と、
    前記作動流体が流通する第2流路と、
    前記第2流路内に配置される吸着材成形体であって、複数の吸着材と、複数の前記吸着材を互いに結合して前記吸着材成形体の形状とするためのバインダーと、を含んでおり、前記作動流体が流れ込む複数の凹形状を有する吸着材成形体と、を備え、
    前記吸着材成形体は、前記吸着材を含有する複数の柱状部を有しており、
    複数の前記柱状部は、軸心方向が前記第2流路を流通する前記作動流体の流通方向と交差する向きに配置され、
    前記吸着材成形体に含有されている前記吸着材は、平均一次粒子径が30μmから200μmまでの吸着材粒子であって、
    前記凹形状は、複数の前記柱状部の間に配置されており、
    前記凹形状間の間隔は、前記柱状部の軸心方向に垂直な断面の外径であって、500μm以上1000μm以下である、
    熱交換型反応器。
  2. 請求項1に記載の熱交換型反応器であって、
    前記吸着材成形体は、前記第1流路を流通する前記熱交換流体との間で熱交換する伝熱面を有し、
    前記吸着材成形体は、軸心方向が前記伝熱面と交差する向きに配置されている繊維状の熱伝導性材料を含有する、
    熱交換型反応器。
  3. 請求項1または請求項に記載の熱交換型反応器を備える吸着式ヒートポンプ。
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