この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、この発明の実施の形態における医療用容器を示す斜視図である。図2は、図1中の医療用容器を示す分解組み立て図である。図3は、図1中の医療用容器を示す断面図である。
図1から図3を参照して、医療用容器10は、第1収容物を収容する第1容器21と、移注具71とを有する。移注具71は、第1容器21に接続されている。移注具71は、第1容器21と、第2収容物を収容する第2容器210(後出の図4を参照のこと)との間において、第1収容物および第2収容物の少なくともいずれか一方を移す。
第1収容物および第2収容物の少なくともいずれか一方は、液体である。本実施の形態では、第1容器21が、輸液容器である。第1容器21には、第1収容物として溶解液が収容されている。第2容器210は、バイアルである。第2容器210には、第2収容物として乾燥薬剤が収容されている。
第1容器21は、容器本体22と、中間弾性体96と、弾性体35と、キャップ体41とを有する。
容器本体22は、溶解液を収容する輸液容器の主要部をなす。容器本体22は、第1開口部26と、第1接続口部23と、雄ねじ部24とを有する。第1開口部26および第1接続口部23は、容器本体22において、溶解液の収容空間を外部と連通させる開口を形成している。第1開口部26の開口面と、第1接続口部23の開口面とは、図3中に示される仮想上の中心軸101の軸方向において、互いに対向している。雄ねじ部24は、中心軸101の軸方向に沿って設けられている。雄ねじ部24は、中心軸101の軸方向において、第1接続口部23と隣り合って設けられている。
容器本体22は、可撓性を有し、外部から押圧された場合に変形する。容器本体22は、樹脂から構成されている。容器本体22は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリエステルから構成されている。
中間弾性体96は、第1接続口部23を閉塞するように設けられている。中間弾性体96は、容器本体22の外部から第1接続口部23の開口面に重ね合わされている。中間弾性体96は、弾性材料から構成されている。中間弾性体96は、たとえば、ゴム部材または熱可塑性エラストマー樹脂から構成されている。
中間弾性体96は、薄肉部97を有する。薄肉部97は、中心軸101の軸上に設けられている。中心軸101の軸方向における薄肉部97の厚みは、薄肉部97の周囲における中間弾性体96の厚みよりも小さい。
弾性体35は、第1開口部26を閉塞するように設けられている。弾性体35は、容器本体22の外部から第1開口部26の開口面に重ね合わされている。弾性体35は、弾性材料から構成されている。弾性体35は、たとえば、ゴム部材または熱可塑性エラストマー樹脂から構成されている。
キャップ体41は、容器本体22の外部に設けられている。キャップ体41は、弾性体35を覆うように設けられている。キャップ体41は、容器本体22に対して弾性体35を保持している。キャップ体41は、樹脂から構成されている。なお、キャップ体41の構造については、後で詳細に説明する。
図4は、図1中の医療用容器に第2容器を装着する工程(第2容器の未装着時)を示す断面図である。図5は、図1中の医療用容器に第2容器を装着する工程(第2容器の装着時)を示す断面図である。
図1から図5を参照して、移注具71は、筒体72と、封止体90と、フック91と、両頭針80と、支持体76とを有する。
筒体72は、全体として、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。筒体72は、第2接続口部73と、第2開口部74とを有する。第2接続口部73および第2開口部74は、筒体72のその軸方向における一方端および他方端で開口をなしている。
筒体72は、筒部75と、隔壁部86と、複数の第1係止板部87と、内側筒部88とを有する。
筒部75は、円筒形状を有する筒体72の主要部をなす。筒部75は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。筒部75は、突起部75gを有する。突起部75gは、筒部75の内周面から、中心軸101の半径方向内側に向けて突出する凸形状を有する。突起部75gは、中心軸101を中心に環状に設けられている。突起部75gは、中心軸101の軸方向において、第2開口部74と、隔壁部86との間に設けられている。
隔壁部86は、筒部75の内部に設けられている。隔壁部86は、中心軸101に直交する平面に沿った壁形状を有する。隔壁部86は、筒部75の内部空間を、中心軸101の軸方向において第2開口部74の側の空間と、第2接続口部73の側の空間とに区画している。
隔壁部86には、孔85が設けられている。孔85は、中心軸101の軸方向において隔壁部86を貫通する貫通孔からなる。孔85は、中心軸101の軸上に設けられている。孔85は、両頭針80の直径よりも大きい開口面積を有する。
複数の第1係止板部87は、筒部75の内部に設けられている。複数の第1係止板部87は、中心軸101の軸方向において第2開口部74の側の空間に設けられている。第1係止板部87は、隔壁部86から中心軸101の軸方向に沿って延出する板形状を有する。複数の第1係止板部87は、中心軸101の周方向において互いに間隔を設けて配置されている。複数の第1係止板部87は、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。
第1係止板部87は、第1弾性変形部87pを有する。第1弾性変形部87pは、隔壁部86から延出する第1係止板部87の先端部が中心軸101の半径方向内側に折れ曲がることにより構成されている。第1弾性変形部87pは、中心軸101の半径方向外側に向けて弾性的に変形が可能なように構成されている。
内側筒部88は、筒部75の内部に設けられている。内側筒部88は、中心軸101の軸方向において第2接続口部73の側の空間に設けられている。内側筒部88は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。内側筒部88は、中心軸101に沿って、隔壁部86から第2開口部74に向けて設けられている。
内側筒部88は、雌ねじ部89を有する。雌ねじ部89は、中心軸101の軸方向に沿って設けられている。雄ねじ部24は、内側筒部88の内周面に設けられている。
容器本体22の第1接続口部23は、筒体72の第2接続口部73(内側筒部88)の内側に挿入されている。雄ねじ部24および雌ねじ部89が互いに螺合されることによって、移注具71が第1容器21に接続されている。中間弾性体96は、中心軸101の軸方向において、隔壁部86および容器本体22(第1接続口部23)の間に挟持されている。
封止体90は、第2開口部74を閉塞するように設けられている。封止体90は、筒体72の外部から第2開口部74の開口面に重ね合わされ、筒体72に接合されている。封止体90は、筒体72から分離可能なフィルム(滅菌紙)から構成されている。フック91は、筒体72に取り付けられている。フック91は、筒体72の外部に設けられている。フック91は、医療用容器10を吊るす際に用いられる。
両頭針80は、筒体72の内部に設けられている。両頭針80は、中心軸101の軸上で延びている。両頭針80は、孔85に挿通されることにより、中心軸101の軸方向において、第2開口部74の側の空間と、第2接続口部73の側の空間との間に渡って設けられている。
両頭針80は、第1穿刺針81と、第2穿刺針82と、管路部83とを有する。第1穿刺針81および第2穿刺針82は、それぞれ、中心軸101の軸上で延びる両頭針80の一方端および他方端に設けられている。第1穿刺針81は、中心軸101の軸方向において第2開口部74の側の空間に位置している。第2穿刺針82は、中心軸101の軸方向において第2接続口部73の側の空間に位置している。管路部83は、第1穿刺針81および第2穿刺針82の間で直線状に延びている。管路部83は、液体が流通可能な通路を形成している。
支持体76は、筒体72の内部に設けられている。支持体76は、中心軸101の軸方向において第2開口部74の側の空間に設けられている。支持体76は、両頭針80と一体に設けられている。支持体76は、両頭針80を中心軸101(筒体72)の軸方向に沿ってスライド可能に支持している。
支持体76は、筒部77と、底部78と、複数の第2係止板部84とを有する。筒部77は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。筒部77は、筒部75の内側において、中心軸101の軸方向にスライド可能なように設けられている。
筒部77は、突起部77gを有する。突起部77gは、筒部77の外周面から、中心軸101の半径方向外側に向けて突出する凸形状を有する。突起部77gは、中心軸101の軸方向に見た場合に、筒部75の突起部75gと重畳する位置に設けられている。突起部77gは、中心軸101の軸方向において、筒部75の突起部75gと、隔壁部86との間に位置している。図4に示されるように、突起部77gおよび突起部75gが中心軸101の軸方向に互いに当接することによって、両頭針80および支持体76の初期位置(後述)が規定されている。
底部78は、筒部77の一方の開口部を閉塞するように設けられている。底部78は、中心軸101の軸方向において、隔壁部86と対向している。両頭針80(管路部83)は、底部78と一体に設けられている。両頭針80(管路部83)は、底部78を貫通している。第1穿刺針81は、筒部77の内部に位置している。
複数の第2係止板部84は、筒部77の内部に設けられている。第2係止板部84は、底部78から中心軸101の軸方向に離れた位置に設けられている。第2係止板部84は、中心軸101の軸方向に沿って延在する板形状を有する。複数の第2係止板部84は、中心軸101の周方向において互いに間隔を設けて配置されている。複数の第2係止板部84は、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。複数の第2係止板部84は、中心軸101の周方向において、複数の第1係止板部87に対応する位置(位相位置)にそれぞれ設けられている。
第2係止板部84は、第2弾性変形部84pを有する。第2弾性変形部84pは、中心軸101の軸方向において底部78と対向する第2係止板部84の先端部が、中心軸101の半径方向内側に折れ曲がることにより構成されている。第2弾性変形部84pは、中心軸101の半径方向外側に向けて弾性変形が可能なように構成されている。
支持体76には、複数の孔79が設けられている。孔79は、中心軸101の軸方向において底部78を貫通する貫通孔からなる。複数の孔79は、中心軸101の軸方向に見た場合に、複数の第1係止板部87と重畳する位置にそれぞれ設けられている。複数の第2係止板部84は、それぞれ、複数の孔79に挿通されている。第2係止板部84は、孔79を通じて筒部77の内部に進入している。
両頭針80および支持体76は、樹脂から構成されている。両頭針80および支持体76は、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニルまたはポリカーボネートABS樹脂から構成されている。
第2容器210は、容器本体211と、弾性体213とを有する。容器本体211は、乾燥薬剤を収容するバイアルの主要部をなす。容器本体211は、第3開口部212を有する。第3開口部212は、容器本体211において、乾燥薬剤の収容空間を外部と連通させる開口を形成している。容器本体211は、ガラスから構成されている。
弾性体213は、第3開口部212を閉塞するように設けられている。弾性体213は、容器本体211の外部から第3開口部212の開口面に重ね合わされている。弾性体213は、弾性材料から構成されている。弾性体213は、たとえば、ゴム部材または熱可塑性エラストマー樹脂から構成されている。
弾性体213は、薄肉部214を有する。薄肉部214の厚みは、薄肉部214の周囲における弾性体213の厚みよりも小さい。
医療用容器10に対する第2容器210の未装着時において、両頭針80および支持体76は、図4に示される位置(以下、「初期位置」という)に位置している。医療用容器10に対する第2容器210の装着時において、両頭針80および支持体76は、図5に示される位置(以下、「連通位置」という)に位置している。両頭針80および支持体76は、中心軸101の軸方向に沿って、初期位置および連通位置の間においてスライド可能に設けられている。
図4を参照して、両頭針80および支持体76が初期位置にある時、支持体76の底部78は、隔壁部86から中心軸101の軸方向に離れた位置に位置している。両頭針80の第2穿刺針82は、中心軸101の軸方向において薄肉部97と対向している。第1係止板部87の第1弾性変形部87pは、中心軸101の半径方向外側から、第2係止板部84の第2弾性変形部84pに当接している。
図4および図5を参照して、第2容器210を第2開口部74を通じて移注具71の筒体72内に挿入することによって、第2容器210を医療用容器10に対して装着する。
この際、第2容器210は、弾性体213が中心軸101の軸方向において両頭針80の第1穿刺針81と対向する姿勢とされる。第2容器210を中心軸101の軸方向に沿って押し進めると、両頭針80の第1穿刺針81が、弾性体213の薄肉部214を貫通し、容器本体211の内部に達する。このとき、第2容器210の第3開口部212が、第2係止板部84の第2弾性変形部84pを中心軸101の半径方向外側に押し広げながら、複数の第2係止板部84の内側に進入する。
また、両頭針80および支持体76は、第2容器210に押されることによって、中心軸101の軸方向において隔壁部86に近づく方向にスライドする。両頭針80の第2穿刺針82は、中間弾性体96の薄肉部97を貫通し、容器本体22の内部に達する。このとき、複数の第2係止板部84は、それぞれ、複数の第1係止板部87の第1弾性変形部87pを中心軸101の半径方向外側に押し広げながら、複数の第1係止板部87の内側に進入する。
図5を参照して、両頭針80および支持体76が連通位置にある時、第1容器21および第2容器210は、両頭針80の管路部83を通じて互いに連通している。
第2容器210の弾性体213は、中心軸101の軸方向において底部78と当接している。第2容器210は、第2弾性変形部84pの弾性力を受けることによって、弾性体213が底部78と当接する位置に保持されている。支持体76の底部78は、中心軸101の軸方向において隔壁部86と当接している。支持体76は、第1弾性変形部87pの弾性力を受けることによって、底部78が隔壁部86と当接する位置に保持されている。
図4および図5を参照して、第2容器210を移注具71の筒体72内から引き抜くことによって、第2容器210を医療用容器10から取り外す。このとき、両頭針80および支持体76は、第2容器210からの引っ張り力を受けることによって、中心軸101の軸方向において第2開口部74に近づく方向にスライドする。これにより、両頭針80および支持体76は、図5に示される連通位置から図4に示される初期位置に戻る。
図6は、図3中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を拡大して示す断面図である。図7および図8は、図6中のキャップ体を示す斜視図である。図9は、図6中のキャップ体において、保持部および蓋部が分離された状態を示す斜視図である。
図6から図9を参照して、容器本体22は、鍔部28をさらに有する。鍔部28は、第1開口部26の外周面から、中心軸101の径方向外側に向けて鍔状に広がる形状を有する。第1開口部26は、突出部27を有する。突出部27は、鍔部28から、中心軸101の軸方向において第1接続口部23から遠ざかる方向に突出している。突出部27は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。突出部27は、第1開口部26の開口面を形成している。
弾性体35には、たとえば、輸液セットのスパイク針が穿刺される。弾性体35は、全体として、円柱形状を有する。中心軸101の軸方向における弾性体35の厚みは、中心軸101を中心とする弾性体35の直径よりも小さい。
弾性体35は、第1表面35aと、第2表面35bとを有する。第1表面35aおよび第2表面35bは、中心軸101に直交する平面である。第1表面35aは、容器本体22の内部を向いている。第2表面35bは、第1表面35aの裏側であって、容器本体22の外部を向いている。輸液セットのスパイク針は、第2表面35bの側から弾性体35に穿刺され、弾性体35を貫通して容器本体22の内部に達する。
弾性体35には、溝部36および溝部37が設けられている。溝部36は、第1表面35aから凹んでいる。溝部36は、中心軸101の周方向に延びる環状溝である。溝部36には、突出部27が嵌合されている。溝部37は、第2表面35bから凹んでいる。溝部37は、中心軸101の周方向に延びる環状溝である。
キャップ体41は、弾性体35から分離可能である。キャップ体41が弾性体35から分離されることによって、弾性体35(第2表面35b)に輸液セットのスパイク針を穿刺することが可能となる。
キャップ体41は、保持部42と、蓋部46と、破断部55とを有する。保持部42は、弾性体35を容器本体22に対して保持している。破断部55は、保持部42および蓋部46を接続している。破断部55は、外力が加えられることによって破断される。これにより、蓋部46は、弾性体35から分離可能である。
より具体的に説明すると、保持部42は、円筒部45と、鍔部44と、折り返し部56と、突出部43とを有する。
円筒部45は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。円筒部45は、弾性体35の外周面を覆うように設けられている。鍔部44は、円筒部45のその軸方向における一方端から、中心軸101の半径方向外側に向けて鍔状に広がっている。鍔部44は、中心軸101の軸方向において、容器本体22の鍔部28と当接している。鍔部44は、たとえば熱溶着によって、鍔部28に接合されている。
折り返し部56は、円筒部45のその軸方向における他方端から、中心軸101の径方向内側に向けて90°折り返されることによって構成されている。折り返し部56は、弾性体35の第2表面35bの周縁部を覆うように設けられている。
突出部43は、中心軸101の半径方向内側における折り返し部56の端部から、中心軸101の軸方向において容器本体22に近づく方向に突出している。突出部43は、中心軸101を中心とする円筒形状を有する。突出部43は、溝部37に嵌合されている。弾性体35の第2表面35bの中央部は、折り返し部56および突出部43の内側において、保持部42から露出している。
蓋部46は、保持部42から露出する弾性体35の第2表面35bを覆うように設けられている。蓋部46は、ベース部47と、段差部52(第1段差部48,第2段差部50)とを有する。
ベース部47は、中心軸101を中心とするリング形状を有する。ベース部47は、第1ベース表面47aと、第2ベース表面47bとを有する。第1ベース表面47aおよび第2ベース表面47bは、中心軸101に直交する平面である。第1ベース表面47aは、中心軸101の軸方向において、保持部42の側を向いている。第2ベース表面47bは、中心軸101の軸方向において、保持部42の側とは反対側を向いている。第2ベース表面47bは、第1ベース表面47aの裏側に配置されている。
段差部52は、ベース部47と中心軸101の軸方向における段差を生じさせるように設けられている。段差部52は、破断部55を介して保持部42に接続されている。段差部52は、第1ベース表面47aの側から見た場合に、ベース部47(の中央部)から突出する段差をなし、第2ベース表面47bの側から見た場合に、ベース部47(の中央部)から凹む段差をなしている。
第1段差部48は、中心軸101を中心とするリング形状を有する。第1段差部48は、ベース部47と中心軸101の軸方向における段差を生じさせるように設けられている。
第1段差部48は、複数の膨出部49を有する。複数の膨出部49は、第1ベース表面47a上において、中心軸101の半径方向外側に向けて張り出す形状を有する。複数の膨出部49は、中心軸101の周方向に間隔を設けて配置されている。複数の膨出部49は、中心軸101の周方向において等間隔に設けられている。本実施の形態では、第1段差部48が、4つの膨出部49を有する。膨出部49は、外周面49cを有する。外周面49cは、中心軸101の周方向に延在する湾曲面である。
第2段差部50は、中心軸101を中心とする円盤形状を有する。第2段差部50は、第1段差部48と中心軸101の軸方向における段差を生じさせるように設けられている。第1段差部48は、中心軸101の軸方向において、ベース部47および第2段差部50の間に設けられている。第1段差部48は、中心軸101の半径方向において、ベース部47および第2段差部50の間に設けられている。
第2段差部50は、頂面50aを有する。頂面50aは、中心軸101に直交する平面である。頂面50aは、円形の平面視を有する。頂面50aは、中心軸101の軸方向において、弾性体35の第2表面35bと対向している。
破断部55は、中心軸101を中心に環状に設けられている。破断部55は、保持部42における折り返し部56および突出部43の角部と、第2段差部50の頂面50aの周縁部とを接続している。破断部55は、外力が加えられた場合に破断可能な薄肉形状を有する。破断部55が破断されると、保持部42は、容器本体22に残って、弾性体35を容器本体22に対して保持し続ける。破断部55が破断されると、蓋部46は、弾性体35から分離される。
図10は、図1中の医療用容器の使用後の状態を示す斜視図である。図11は、図1中の医療用容器の使用後の状態を部分的に示す断面図である。
図10および図11を参照して、キャップ体41は、筒体72の第2開口部74を閉塞可能である。より具体的には、医療用容器10の使用時に弾性体35から分離された蓋部46が、筒体72の第2開口部74を閉塞可能なように構成されている。
蓋部46は、第2開口部74を閉塞している。ベース部47は、第2開口部74の開口面に重ね合わされている。ベース部47は、第1ベース表面47aが筒体72の内部を向き、第2ベース表面47bが筒体72の外部を向く姿勢で設けられている。第2ベース表面47bは、中心軸101の軸方向において、第2開口部74の開口面を規定する筒体72の端部と当接している。
段差部52(第1段差部48,第2段差部50)は、中心軸101の軸方向において、第2開口部74の開口面から筒体72の内側に向けて突出している。段差部52は、中心軸101の軸方向において、支持体76(隔壁部86)に近づく方向に突出している。第1段差部48の膨出部49は、第2開口部74に嵌合されている。膨出部49の外周面49cは、筒体72の内周面と面接触している。第2段差部50の頂面50aは、中心軸101の軸方向において、両頭針80(第1穿刺針81)と対向している。頂面50aは、筒部77の内側に位置している。両頭針80(第1穿刺針81)は、第2段差部50と接触してもよいし、接触しなくてもよい。
本実施の形態では、段差部52が、第2開口部74の開口面から筒体72の内側に向けて突出するように設けられている。これにより、段差部52の引っ掛かり等に起因して、蓋部46が第2開口部74から外れることを防止できる。
なお、本発明におけるキャップ体の構造は、弾性体から分離可能で、かつ、分離後に筒体の第2開口部を閉塞可能なものであれば、特に限定されない。たとえば、キャップ体は、本実施の形態におけるように保持部42と蓋部46とが一体になったものでなく、弾性体35の第2表面35bに貼り合わされた円盤状の平板であってもよい。この場合に、キャップ体は、筒体の第2開口部に嵌合可能な直径を有すればよい。
続いて、医療用容器10の使用方法について説明する。図12から図16は、医療用容器の使用時の形態を示す斜視図である。図17は、医療用容器の使用後の形態を示す斜視図である。
図1および図12を参照して、まず、封止体90を筒体72から引き剥がす。これにより、筒体72の第2開口部74を開口させる。
図13および図14を参照して、次に、第2開口部74に第2容器210を挿入する。これにより、第2容器210を移注具71に装着し、第1容器21および第2容器210を両頭針80を通じて互いに連通させる。次に、第1容器21に収容された溶解液を両頭針80を通じて第2容器210に移す。第2容器210に収容された乾燥薬剤を溶解液に溶解する。得られた液体薬剤を両頭針80を通じて第2容器210から第1容器21に移す。
図6および図15を参照して、次に、キャップ体41を弾性体35から分離する。より具体的には、蓋部46を摘まんで、破断部55を破断させつつ蓋部46を保持部42から引き離す。これにより、蓋部46が弾性体35から分離し、蓋部46に覆われていた弾性体35の第2表面35bが外部に露出する。本実施の形態では、段差部52が、保持部42とは反対側から見た場合にベース部47から凹む段差をなしているため、蓋部46を指で摘まみ易くなる。このため、蓋部46を保持部42から引き離す際の作業性が良好となる。
図16を参照して、次に、医療用容器10に対して輸液セット310をセッティングする。より具体的には、輸液セット310のスパイク針を第2表面35bを通じて弾性体35に穿刺する。
図17を参照して、第1容器21に収容された液体薬剤が使用された後、輸液セット310および第2容器210を医療用容器10から取り外す。本実施の形態では、第1容器21が樹脂製であり、第2容器210がガラス製であるため、第1容器21および第2容器210を分別して廃棄する必要がある。
図10および図11を参照して、先の工程で弾性体35から分離されたキャップ体41(蓋部46)により、筒体72の第2開口部74を閉塞する。
図17に示されるように、第2容器210が取り外されることによって、筒体72の第2開口部74が開口するため、筒体72内の両頭針80が外部に露出する。特に本実施の形態では、第2容器210が医療用容器10から取り外された後に、両頭針80が第2開口部74により近い初期位置に存在する。これに対して、弾性体35から分離されたキャップ体41(蓋部46)で第2開口部74を閉塞することによって、医療用容器10の使用後の安全性を確保することができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。