JP7238344B2 - 電動機駆動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、対地への漏洩電流を低減できる電動機駆動装置に関する。
電動駆動の射出成形機において、同期制御される複数の射出装置のスクリュ前後進用サーボモータ(例えば、特許文献1のサーボモータ(10))や複数の型締装置の型開閉用サーボモータ(例えば、特許文献2のサーボモータ(27))がある。
これらのサーボモータは、整流回路において交流電源の電圧が直流電圧に整流され、さらにこの直流電圧は半導体スイッチング素子でON/OFFさせるタイミングが調整される。こうして、これらのサーボモータは、直流電圧の増減および周波数を変換した出力であるインバータ回路出力が駆動電力として供給される。
それぞれのサーボモータは、例えば自己のステータと電気的に導通した導体が、それぞれのサーボモータが独立した接地端を介して大地アースに接続される。なお、以下では大地アースを単にアースと称する。ところが、サーボモータのステータと各相巻線との間には浮遊容量成分が不可避的に生じてしまう。インバータ回路の半導体スイッチング素子がON/OFFするスイッチングにより発生する電源ノイズが電源電流とともにサーボモータの各相巻線に供給される。この電源ノイズが、浮遊容量成分および接地端を介して、対地へ漏洩電流として流出および流入する。
この流出入する漏洩電流は、その周波成分がラインノイズとして他のサーボモータの制御電流に重畳され得る。これにより、モータ制御の信頼性を損なうのに加えて、騒音問題、サーボモータの誤作動が発生するおそれがある。
漏洩電流によるラインノイズを低減させる方法として、例えば、特許文献3が提案されている。
特許文献3は、交流電源からの電力にて電動機を駆動する電動機駆動装置またはこの電動機のいずれかから対地に流れる零相電流を検出する漏洩電流検出部と、漏洩電流検出部で検出された零相電流を入力して、交流電源に同期した周期性の制御信号を生成する漏洩電流制御部と、を備える電力変換装置を提案する。この電力変換装置は、制御信号を入力して、零相電流と逆位相となる逆相電流を生成して出力し、零相電流を対地に流入させて、漏洩電流と相殺させている。
特許文献3の提案によれば、漏洩電流検出部で漏洩電流が検出されてから、漏洩電流を相殺するための制御信号を逆相電流生成部へ出力するまでの漏洩電流制御部における演算時間分だけの逆相電流生成遅れが生じる。特許文献3は、逆相電流生成遅れの対策として、漏洩電流検出部で検出され入力された漏洩電流データを蓄積部に蓄積し、1周期になる数サンプル直前の、蓄積部に蓄積されている漏洩電流データに基づいて、漏洩電流の逆相電流が出力されて相殺されるように、交流電源に同期した周期性のある制御信号を演算し進み補償する。
特開2001-341176号公報 特開2004-314491号公報 特許第6195676号公報
特許文献3は、複数のトランジスタ(半導体スイッチング素子)のスイッチングにより逆相電流を生成する例を開示する。ところが、通常の複数のトランジスタを備えるモータドライブを複数組み合せると、高精度な10μs以下の協調動作は困難であり、概ね、位置制御、速度制御で1ms前後、トルク制御で100μs程度の協調動作が限界である。
これに対し、ノイズのような高調波に対して相殺可能な逆相電流を生成するためには、複数のモータドライブ間で10μs以下、例えば0.1μs精度の協調動作が必要である。ところが、通常のモータドライブの協調動作の応答は以上のように100μs程度が限界であるから、相殺可能な逆相電流を生成するための協調動作に対応できず逆補償を発生させるおそれがある。なお、特許文献3において、複数のモータドライブ間とは、電動機駆動装置100と図5の逆相電流生成部23aの間をいう。
以上より、本発明は、複数のスイッチング素子により逆相電流を生成しながら、逆補償の発生を抑えることのできる電動機駆動装置を提供することを目的とする。
本発明の電動機駆動装置は、電動機機能と、逆相電流生成機能と、制御機能と、延機能と、を備える。
電動機機能は、交流電源からの電力を受けて駆動する第一電動機と、第一電動機の動作を制御する複数の第一スイッチング素子を備える第一素子群と、を有する。
逆相電流生成機能は、第一電動機から対地に流れる零相電流と逆位相となる逆相電流を生成して出力する、複数の第二スイッチング素子を備える。
制御機能は、複数の第一スイッチング素子のそれぞれへの動作指令を出力し、および、逆相電流生成部に逆相電流の出力指令を出力する。
遅延機能は、予め設定された設定遅延時間だけ遅延させて、動作指令を複数の第一スイッチング素子のそれぞれに伝え、かつ、出力指令を複数の第二スイッチング素子のそれぞれに伝える。
本発明の電動機駆動装置は、設定遅延時間をTnとし、複数の第一スイッチング素子について遅延時間、および、複数の第二スイッチング素子についての遅延時間の中の最大値をTdmaxとすると、Tn≦Tdmaxを満たす。
本発明における遅延機能は、好ましくは、複数の第一スイッチング素子のそれぞれに対応して設けられる第一遅延器と、複数の第二スイッチング素子のそれぞれに対応して設けられる第二遅延器と、を備え、複数の第一遅延器および複数の第二遅延器のそれぞれに設定遅延時間Tnが設定される。
本発明における遅延機能において、好ましくは、複数の第一遅延器および複数の第二遅延器のそれぞれに設定される設定遅延時間Tnは、下記の式(1)に基づいて定められる。
Tn=Tdmax-Tdn … 式(1)
Tn:複数の第一遅延器および複数の第二遅延器のそれぞれの設定遅延時間Tn,T2,T3…T4
Tdn:複数の第一スイッチング素子および複数の第二スイッチング素子のそれぞれについて設定された遅延時間Td1、Td2、Td3、…Tdn
本発明における逆相電流生成機能は、逆相電流を生成して出力する複数の第二スイッチング素子に加えて、交流電源からの電力を受けて第一電動機と互いに同期して動作する第二電動機を備えることもできる。
この場合、複数の第二スイッチング素子は、第二電動機の動作を制御し、制御機能は、複数の第一スイッチング素子と複数の第二スイッチング素子とを、互いに逆位相の交流電流を供給するように制御する。
本発明において、複数の第一スイッチング素子および複数の第二スイッチング素子のそれぞれについて計測された時間に基づいて、遅延時間Td1、Td2、Td3、…Tdnを設定できる。
また、本発明において、複数の第一スイッチング素子および複数の第二スイッチング素子の仕様に基づいて、遅延時間Td1、Td2、Td3、…Tdnを設定できる。
本発明の電動機駆動装置によれば、設定遅延時間をTnとし、複数の第一スイッチング素子について遅延時間、および、複数の第二スイッチング素子についての遅延時間の中の最大値をTdmaxとすると、TnTdmaxを満たす。したがって、全ての半導体スイッチング素子は、最も計測遅延時間の長い半導体スイッチング素子と同じタイミングで駆動するため、漏洩電流と相殺する逆相電流を応答遅れゼロでかつ高精度に出力することができる。こうして、本発明の電動機駆動装置によれば、複数のスイッチング素子により逆相電流を生成しながら、逆補償の発生を抑えることができる。
本発明の本実施形態に係る電動機駆動装置の概略構成を示すブロック図である。 図1の電動機駆動装置における応答遅延を低減する構成を抜き出して示すブロック図である。 単一の3相交流電動機のノイズ波形を示す図である。 (a)はインバータ主回路と3相交流電動機の組み合わせにおいて、3相交流電動機のコイルとステータの間の浮遊容量を対地に対するコンデンサとして示すブロック図であり、(b)はインバータ主回路を動作させたときにコンデンサに生じる電荷の一例を示すブロック図である。 (a)はインバータ回路の一方の側のスイッチング素子が全てON、他方の側のスイッチング素子が全てOFFのときのコンデンサへの電流流入の状態を示している。(b)はインバータ回路の一方の側のスイッチング素子が全てOFF、他方の側のスイッチング素子が全てONのときのコンデンサへの電流流入の状態を示している。 本実施形態によりノイズが相殺される作用を説明する図である。 インバータ主回路15Aの高電位側の回路を開く半導体スイッチング素子の個数から低電位側の回路を開く半導体スイッチング要素の個数を差し引いた数と、インバータ主回路15Bの高電位側の回路を開く半導体スイッチング素子の個数から低電位側の回路を開く半導体スイッチング要素の個数を差し引いた数とが絶対値が同じでかつ正(+)と負(-)の符号が逆になる組み合わせを示す表である。 本実施形態によりノイズが相殺される作用を説明するその他の図である。 本実施形態によりノイズが相殺される作用を説明するその他の図である。 互いに逆位相をなしている電位Epと電位Enが等価ではなく電位の偏っている場合のノイズが相殺される作用を説明する図である。 本発明の第1供給方法に係る電動機駆動装置の要部を示すブロック図である。 本発明の第2供給方法に係る電動機駆動装置の要部を示すブロック図である。 本発明の第2供給方法に係る電動機駆動装置の要部を示すブロック図である。 本発明の設定遅延時間Tnを設定する変形例を説明する図であり、(a)はモータ電位が最も高くなる16u1、16v1、16w1がONする場合を示し、(b)はモータ電位が最も低くなる16u2、16v2、16w2がONする場合を示している。 本発明の変形例に係る電動機駆動装置の要部を示すブロック図である。
以下、添付図面を参照しながら、実施形態に基づいて本発明を説明する。
[第1実施形態]
本実施形態に係る電動機駆動装置10は、図1に示すように、三相交流電源1から出力される交流電流を直流電流に変換し、さらに変換された直流電流を交流に変換して3相交流電動機に供給して、3相交流電動機を駆動する。本実施形態において、3相交流電動機の一例としてサーボモータ3を示すが、本発明における3相交流電動機はサーボモータに限らず、誘導電動モータ、同期電動モータ、PM(Permanent Magnet)モータなどインバータ回路により駆動される3相交流による電動モータ(アクチュエータ)あるいは発電機を含み、これらであれば同様の作用、効果を得ることができる。
電動機駆動装置10は、図2に示すように、可変遅延器12が半導体スイッチング素子16に付随して設けられており、この可変遅延器12には半導体スイッチング素子16に固有な遅延時間を考慮した遅延時間が設定される。これにより、複数の半導体スイッチング素子16がインバータ制御部17から動作指令が発せられてから同じ時間が経過した後に動作が完了するようにされている。こうして、電動機駆動装置10は、逆補償の発生を抑えることができる。
[全体構成]
本実施形態は、図1に示すように、第一サーボモータ(第一電動機)3Aと第二サーボモータ(第二電動機)3Bを備え、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bのそれぞれに対応するように第一インバータ回路20Aと第二インバータ回路20Bが設けられている。以下では、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの両者を区別する必要がない場合には単にサーボモータ3と表記し、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの両者を区別する必要がある場合には第一サーボモータ3A、第二サーボモータ3Bと表記する。インバータ回路20およびその構成要素についても同様に扱われる。
第一サーボモータ3Aと第一インバータ回路20Aの組み合わせ、および、第二サーボモータ3Bと第二インバータ回路20Bの組み合わせ、の一方は他方に対する逆相電流生成機能を果たす。
インバータ回路20は、図1に示すように、三相交流電源1から出力される交流電流を直流電流に変換する整流器11と、整流器11とインバータ主回路15の間に設けられ平滑コンデンサ13と、整流器11からの直流電流を受けてサーボモータ3を駆動するインバータ主回路15と、を主たる構成要素として備える。インバータ回路20は、図2に示すように、可変遅延器12、コンパレータ14をさらに備えるが、図1には記載が省略されている。
また、インバータ回路20は、インバータ主回路15を制御するインバータ制御部17を備える。インバータ制御部17は、インバータ主回路15を構成する半導体スイッチング素子16のONおよびOFFを制御する。図1では単一のインバータ制御部17によりインバータ主回路15A,15Bの双方を制御するように示されているが、インバータ主回路15Aに対応するインバータ制御部とインバータ主回路15Bに対応するインバータ制御部とに区分されていてもよい。
インバータ制御部17は、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bに互いに逆位相の交流電流を供給するように、インバータ主回路15Aとインバータ主回路15Bのそれぞれを構成する半導体スイッチング素子16のONおよびOFFを制御する。
インバータ制御部17は、サーボモータ3の電流を検出し、かつ、平滑コンデンサ13の電圧を検出して、半導体スイッチング素子16のONおよびOFFを制御する。
また、インバータ制御部17は、サーボモータ3A,3Bのぞれぞれのエンコーダからの情報をもとに、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの動作を互いに同期制御する。
[サーボモータ3]
サーボモータ3は、図1に示すように、三相交流のサーボモータからなり、それぞれが巻線からなる三つのコイル31u,31v,31wと、コイル31u,31v,31wが巻き回される導電体からなるステータ32(32A,32B)と、を備えている。サーボモータ3は、コイル31u,31v,31wおよびステータ(固定子)32に加えて、ステータ32の内側に回転可能に設けられるロータ(回転子)などを備えているが、図1においては図示が省略されている。第2実施形態も同様である。ロータは永久磁石からなる場合もあればコイル、カゴからなる場合もある。
第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bは、同じ仕様を有しており、その動作が互いに同期制御される。第一サーボモータ3Aは第一モータ群および第二モータ群の一方に対応し、第二サーボモータ3Bは第一モータ群および第二モータ群の他方に対応する。本実施形態は、第一モータ群および第二モータ群のそれぞれにおけるサーボモータ3の個体数Nは1で同じ値である。
第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bは、双方のステータ32Aとステータ32Bが導体33により電気的に導通されている。この導体33は対地Eに接続されている。
[整流器11]
整流器11は、電流を一方向にだけ流す整流作用を有する素子からなり、三相交流電源1から出力される交流電流を直流電流に変換する。整流器11は、例えば一対の整流ダイオードを備え、それらを交互に流れる交流を整流する。一対の整流ダイオードに交流を交互に流すために、例えば、整流器11は一対の整流ダイオードのそれぞれに対応する半導体スイッチング素子を備える。なお、整流器11を回生または発電により電流を電動機側から整流器11の側に供給可能なコンバータと置き換えることも可能である。
[平滑コンデンサ13]
平滑コンデンサ13は、整流器11による整流後も発生するリップルを抑え、より直流に近い電流が得られるように信号を平滑化する。整流後に平滑コンデンサ13を挿入することにより、電圧が高い時には蓄電し、電圧が低い時には放電するので、電圧の変動を抑える効果を奏する。
[インバータ主回路15(15A,15B)]
インバータ主回路15は、図1に示すように、サーボモータ3に備えられたu相、v相、w相のコイル31u,31v,31wのそれぞれに対応する半導体スイッチング素子16を含んで構成されている。半導体スイッチング素子16はそれぞれ一対ずつ設けられている。つまり、インバータ主回路15Aにおいて、図中の上側に配置される半導体スイッチング素子16u1,16v1,16w1と、図中の下側に配置される半導体スイッチング素子16u2,16v2,16w2と、に区分されている。また、インバータ主回路15Bにおいて、図中の上側に配置される半導体スイッチング素子16u3,16v3,16w3と、図中の下側に配置される半導体スイッチング素子16u4,16v4,16w4と、に区分されている。なお、半導体スイッチング素子を区別して表記する必要がないときには、半導体スイッチング素子16と総称される。
インバータ主回路15は、半導体スイッチング素子16のスイッチング、つまりONおよびOFFにより生成された駆動電流をインバータ回路出力としてサーボモータ3のコイル31u,31v,31wに供給する。
半導体スイッチング素子16は、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ:Insulated Gate Bipolar Transistor)、MOSFET(金属酸化物半導体電界効果トランジスタ:Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)、その他の半導体素子から構成できる。
[インバータ制御部17]
インバータ制御部17は、インバータ主回路15A,15Bを構成する半導体スイッチング素子16uのそれぞれのONおよびOFFを制御する。この制御を通じて、インバータ主回路15A,15Bは、サーボモータ3A,3Bを同期制御させる。
インバータ制御部17は、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bには、互いに逆位相の電流が供給されるように、半導体スイッチング素子16のそれぞれのONおよびOFFを制御する。これは、インバータ制御部17によるインバータ主回路15A,15Bの一方のスイッチング周期を、インバータ主回路15A,15Bの他方のスイッチング動作の周期より半周期の位相分だけ遅らせることにより実現される。
[可変遅延器12]
図2に示すように、電動機駆動装置10は、半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれに対応して可変遅延器12u1,12v1,12w1,12u2,12v2,12w2,12u3,12v3,12w3,12u4,12v4,12w4が設けられている。可変遅延器12u1~12w4は、インバータ制御部17からのONおよびOFFの指示があった時刻に設定された遅延時間を加算して半導体スイッチング素子16u1~16w4のONおよびOFFを制御する。こうして、可変遅延器12u1~12w4は、半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれが同時に動作できるように機能する。可変遅延器12u1~12w4に設定される遅延時間について詳しくは後述される。
なお、可変遅延器12u1~12w4を総称する場合には、可変遅延器12と表記される。コンパレータについても同様である。
[コンパレータ14]
図2に示すように、電動機駆動装置10は、半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれに対応して、コンパレータ14u1,14v1,14w1,14u2,14v2,14w2,14u3,14v3,14w3,14u4,14v4,14w414u,14v,14wが設けられている。
コンパレータ14u1~14w4は、それぞれの半導体スイッチング素子16u1~16w4で生ずる遅れ時間を計測するために設けられる。半導体スイッチング素子16u1~16w4は同じ仕様で製造されていても、ONの指示を受けてから実際にONするまでの時間、または、OFFの指示を受けてから実際にOFFするまでの時間、つまり遅延時間には個体差がある。そこで、この個体差のある遅延時間を実際に計測し、この計測結果を半導体スイッチング素子16u1~16w4のON/OFFの制御に利用する。
それぞれの半導体スイッチング素子16u1~16w4の遅延時間の計測は、以下のようにして行われる。
コンパレータ14u1~14w4は半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれに並列で接続される。また、半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれがONしてトランジスタの主回路が通電したらコンパレータ14u1~14w4が出力するようにしておく。インバータ制御部17から半導体スイッチング素子16u1~16w4に制御指令が出てから、コンパレータ14u1~14w4が出力するまでの時間を、カウンタにより計測することにより、遅延時間が計測される。
コンパレータ14u1~14w4は比較器とも呼ばれ、二つの電圧を比較して1か0を出力する機器であり、入力電圧が一定の値に達したかどうかを検出する場合などに用いられる。
[可変遅延器12の設定]
次に、可変遅延器12へ遅延時間を設定する手順を説明する。電動機駆動装置10は、この設定手順が行われた後に、実際の使用に供される。また、電動機駆動装置10の仕様が継続すると、半導体スイッチング素子16の遅延時間が変動することもあるので、電動機駆動装置10の使用を開始した後に、定期または不定期に遅延時間を設定する手順を行ってもよい。この設定手順は、第一ステップ~第三ステップからなる。
<第一ステップ:遅延時間の計測>
計測は第一サーボモータ3Aに対応するインバータ主回路15Aと第二サーボモータ3Bに対応するインバータ主回路15Bのそれぞれについて行われる。インバータ制御部17からそれぞれの半導体スイッチング素子16にONの駆動指令が発信されてから、実際にそれぞれの半導体スイッチング素子16がONするまでの遅延時間(計測遅延時間(ON))が計測される。
また、第一サーボモータ3Aに対応するインバータ主回路15Aと第二サーボモータ3Bに対応するインバータ主回路15Bのそれぞれについて、インバータ制御部17からそれぞれの半導体スイッチング素子16にOFFの駆動指令が発信されてから、実際にそれぞれの半導体スイッチング素子16がOFFするまでの遅延時間(計測遅延時間(OFF))を計測する。
<第二ステップ:最大遅延時間の抽出>
第一ステップで計測されたインバータ主回路15Aおよびインバータ主回路15Aのそれぞれの半導体スイッチング素子の計測遅延時間(ON)、計測遅延時間(OFF)の中で最も長いものを最大計測遅延時間(ON)、最大計測遅延時間(OFF)として抽出する。
半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれの計測遅延時間(ON)を、Tdu1(ON),Tdv1(ON),Tdw1(ON),Tdu2(ON),Tdv2(ON),Tdw2(ON)、Tdu3(ON),Tdv3(ON),Tdw3(ON),Tdu4(ON),Tdv4(ON),Tdw4(ON)とする。この中で、例えば、Tdw4(ON)が最大計測遅延時間(ON)(=Td(ON)max)として抽出される。
また、半導体スイッチング素子16u1~16w4のそれぞれの計測遅延時間(OFF)を、Tdu1(OFF),Tdv1(OFF),Tdw1(OFF),Tdu2(OFF),Tdv2(OFF),Tdw2(OFF),Tdu3(OFF),Tdv3(OFF),Tdw3(OFF),Tdu4(OFF),Tdv4(OFF),Tdw4(OFF)とする。この中で、例えば、Tdw4(OFF)が最大計測遅延時間(OFF)(=Tdmax(OFF))として抽出される。
それぞれの半導体スイッチング素子16において、最大計測遅延時間(ON)と最大計測遅延時間(OFF)が一致すれば、次の第三ステップにおいていずれか一方、例えば最大計測遅延時間(ON)だけを可変遅延器12への設定の対象にすればよい。最大計測遅延時間(ON)と最大計測遅延時間(OFF)が異なれば、最大計測遅延時間(ON)と最大計測遅延時間(OFF)の双方を可変遅延器12への設定の対象にすることができる。
なお、次に説明する第三ステップにおいては、最大計測遅延時間(ON)と最大計測遅延時間(OFF)が一致し、最大計測遅延時間(ON)だけを可変遅延器12への設定の対象とするものとして説明する。
<第三ステップ:可変遅延器12への遅延時間設定>
可変遅延器12u1~12v4には、対応する半導体スイッチング素子16u1~16v4のそれぞれの計測遅延時間Tdu1(ON)~Tdv4(ON)とTdmax(ON)(=Tdw4(ON))との差が設定遅延時間(ON)とされる。可変遅延器12w4には設定遅延時間(ON)が設定されない。
具体的には、以下の式(1)により算出される設定遅延時間(ON)が可変遅延器12u1~12v4に設定される。そうすれば、それぞれの可変遅延器12u1~12v4は、インバータ制御部17からの駆動指令信号を受信してからTn時間経過後に、対応する16u1~16v4に駆動指令信号を出すことになる。可変遅延器12w4については、対応する半導体スイッチング素子16w4が計測遅延時間Tdw4(ON)を有している。全ての可変遅延器12u1~12w4は同時にインバータ制御部17からの駆動指令信号を受信する。これにより、全ての半導体スイッチング素子16u1~16w4は、インバータ制御部17が駆動指令信号を発信してからTdmaxに達した時点で同時にON動作することになる。
Tn=Tdmax(ON)-Tdn(On) … 式(1)
∵ Tn : 可変遅延器12u1~12v4の設定遅延時間(ON)
(半導体スイッチング素子16u1~16v2の設定遅延時間(ON))
Tdmax(ON) : Tdw4(ON)
Tdn(ON): Tdu1(ON)~Tdv4(ON)
なお、コンパレータ14は、第二ステップにおいて遅延時間の計測を終えるまでは必要であるが、第三ステップおよび実際に電動機駆動装置10を駆動する際には必要でなくなる。したがって、第二ステップを終えたならば、コンパレータ14は取り外してもよい。ただし、後に遅延時間を計測しなおすことを前提とする場合には、コンパレータ14はそのまま残される。
[ノイズ波形]
次に、本実施形態が解消の対象とするノイズについて説明する。
ここで、図3には、本実施形態が対象とするノイズ波形が示されている。このノイズ波形は、単一のサーボモータのものである。インバータ主回路15のスイッチングに同期して、図3に示すように、負側のインパルスノイズNnと正側のインパルスノイズNpが繰り返して現れる。ノイズNnとノイズNpの間隔がスイッチング動作の半周期P/2に相当し、隣接するノイズNnとノイズNnの間隔がスイッチング動作の1周期Pに相当する。
[浮遊容量]
単一のインバータ主回路15とサーボモータ3について、三相交流電源1(例えば、400V)を整流した直流電源(例えば±282V)を想定する。サーボモータ3のコイル31とステータ32の間には、取り付け上の隙間が不可避的に生じ、この隙間が浮遊容量とみなされる。図4(a)は、この浮遊容量を対地E(0V)に対してコンデンサCとして示している。
インバータ主回路15の半導体スイッチング素子16u,16v,16wのON、OFFを例えば図4(b)に示すように制御したとする。そうすると、コイル31u,31v,31wへの電圧負荷、つまり電位上昇により、コイル31u,31v,31wとステータ32にはそれぞれ正負が逆の電荷が生じる。ステータ32、つまり対地Eの側の電荷は、静電誘導により誘起されたものである。なお、図4(b)のコンデンサCに示される正負の電荷は一例であり、逆の場合もある。
[対地Eに対する正のインパルスノイズ]
図4(a)の構成において、インバータ主回路15の上段の三つの半導体スイッチング素子16u,16v,16wの全てをONとする一方、下段の三つの半導体スイッチング素子16u,16v,16wの全てをOFFにしたとする。そうすると、サーボモータ3の電位は+V(例えば+282V)になる。これにより、図5(a)に示すように、コンデンサCにはこの電圧波形の微分波形電流Ipが流れる。
第一サーボモータ3Aが、例えば、大型の射出成形機の射出装置を駆動するサーボモータであれば、対地Eに+20A程度の電流Iが流れるため、大きな正のインパルスノイズが生じる。
[対地Eに対する負のインパルスノイズ]
図4(a)の構成において、インバータ主回路15の上段の三つの半導体スイッチング素子16u,16v,16wの全てをOFFとする一方、下段の三つの半導体スイッチング素子16u,16v,16wの全てをONにしたとする。そうすると、サーボモータ3の電位は-V(例えば-282V)になる。これにより、図5(b)に示すように、コンデンサCにはこの電圧波形の微分波形電流Inが流れる。
第一サーボモータ3Aが、例えば、大型の射出成形機の射出装置を駆動するサーボモータであれば、対地Eに-20A程度の電流Iが流れるため、大きな負のインパルスノイズが生じる。
[インバータ主回路15のスイッチング制御(モータ停止)]
いま、図1に示すように、コイル31u,31v,31wの三相の全てに電圧を負荷したままサーボモータ3A,3Bを停止させているものとする。図1では一例として、インバータ主回路15Aの上段の半導体スイッチング素子16u1,16v1,16w1の三つが全てONで、かつ、インバータ主回路15Aの下段の半導体スイッチング素子16u2,16v2,16w2の三つが全てOFFである。また、インバータ主回路15Bの上段の半導体スイッチング素子16u3,16v3,16w3の三つが全てOFFで、かつ、インバータ主回路15Bの下段の半導体スイッチング素子16u4,16v4,16w4の三つが全てONである。
このとき、第一サーボモータ3Aのコイル31u,31v,31wの電位は+Vcであり、コンデンサC1にはこの電圧波形の微分波形電流Ipが流れる。また、第二サーボモータ3Bのコイル31u,31v,31wの電位は-Vcであり、コンデンサC2にはこの電圧波形の微分波形電流Inが流れる。したがって、IpとInは等価で符号が逆の漏洩電流であるため、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの間で漏洩電流が相殺され、対地Eには漏洩電流が流れない。仮に、第一サーボモータ3Aの側の電位が-Vcであり、第二サーボモータ3Bの側の電位が+Vcと正負が逆になっても、電流の向きが逆になるだけであるから、対地Eに漏洩電流が流れないことには変わりがない。
第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの間で漏洩電流が相殺されためには、半導体スイッチング素子16u1~16w4が動作するタイミングにずれがなく一致することが必要である。
[インバータ主回路15のスイッチング制御(モータ駆動)]
次に、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bを同期して駆動する制御を説明する。
本実施形態においては、インバータ主回路15Aにおけるスイッチング動作とインバータ主回路15Bにおけるスイッチング動作の間に半周期の分だけ、つまり180°だけ位相差を設ける。これにより、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bは、互いに逆位相の交流電流が供給され、第一サーボモータ3Aの側で生じるノイズと第二サーボモータ3Bの側で生じるノイズが相殺される。
ここで、ノイズを相殺するには、インバータ主回路15Aにおけるスイッチング動作とインバータ主回路15Bにおけるスイッチング動作の間に高い精度で180°だけ位相差を設けることが要請される。本実施形態は、この要請に応えることができる。
つまり、本実施形態は、全ての同期すべき半導体スイッチング素子16u1~16w4は、インバータ制御部17が駆動指令信号を発信してからTdmaxに達した時点で同時にON動作することができる。つまり、インバータ制御部17からそれぞれの半導体スイッチング素子16u1~16w4に対して駆動指令を出してインバータ主回路15Aを駆動し第一サーボモータ3Aを回転させるとともに、インバータ主回路15Bで逆相電流を生成する。インバータ主回路15Aおよびインバータ主回路15Bの全ての半導体スイッチング素子16u1~16v4は、計測遅延時間の最も長い半導体スイッチング素子16w4と同じタイミングで駆動するため、漏洩電流と相殺する逆相電流を応答遅れゼロでかつ高精度に出力することができる。これにより漏洩電流の発生を防止できるか、または、漏洩電流を大幅に低減できる。
図1,図6及び図7に基づいてこのノイズ相殺の作用について説明する。
図1では、高電位側の電圧を+V、低電位側の電圧を-Vとして示してある。またインバータ主回路15Aの回路が開いている半導体スイッチング素子を高電位側の半導体スイッチング素子16u1,16v1,16w1の三つの素子とし、インバータ主回路15Bで回路が開いている半導体スイッチング素子を低電位側の半導体スイッチング素子16u4,16v4,16w4の三つの素子としている。これにより第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bに負荷される電位を等価で符号が正負逆の電位とすることができる。
ただし、本発明のノイズ相殺を可能とするインバータ主回路15Aの高電位側および低電圧側の回路を開く半導体スイッチング素子のそれぞれの個数と、インバータ主回路15Bの高電圧側および低電位側の回路を開く半導体スイッチング素子のそれぞれの個数の好ましい組合せはこの限りではなく、図7に示すような組合せがある。
図7において、第一サーボモータ3Aに対応するインバータ主回路15Aの高電位側の回路を開く半導体スイッチング素子16u1,16v1,16w1の個数(接続数)から低電位側の回路を開く半導体スイッチング素子16u2,16v2,16w2の個数(接続数)を差し引いた数をM1とする。また、第二サーボモータ3Bに対応するインバータ主回路15Bの高電位側の回路を開く半導体スイッチング素子16u3,16v3,16w3の個数(接続数)から低電位側の回路を開く半導体スイッチング素子16u4,16v4,16w4の個数(接続数)を差し引いた数をM2とする。
例えば特に、インバータ主回路15Aの高電位側の回路を開く半導体スイッチング素子の個数と、インバータ主回路15Bの低電位側の回路を開く半導体スイッチング素子の個数、およびインバータ主回路15Aの低電位側の回路を開く半導体スイッチング素子の個数と、インバータ主回路15Bの高電位側の回路を開く半導体スイッチング素子の個数がそれぞれ同一であれば、M1とM2は絶対値が同一でかつ正(+)と負(-)の符号が逆になる。このような組合せは図7に示すように141通りある。
図6では、いま、インバータ主回路15Aの上段の半導体スイッチング素子16uについてはONにし、半導体スイッチング素子16v,16wについてはOFFにする。また、インバータ主回路15Aの下段の半導体スイッチング素子16vについてはONにし、半導体スイッチング素子16u,16wについてはOFFにする。これにより、インバータ主回路15Aおよび第一サーボモータ3Aには、白抜き矢印で示される電源電流が流れる。
一方、インバータ主回路15Bの上段の半導体スイッチング素子16vについてはONにし、半導体スイッチング素子16u,16wについてはOFFにする。また、インバータ主回路15Bの下段の半導体スイッチング素子16uについてはONにし、半導体スイッチング素子16v,16wについてはOFFにする。これにより、インバータ主回路15Aおよび第一サーボモータ3Aには、白抜き矢印で示される電源電流が流れる。
電源電流とともにコイル31u,31v,31wに供給される電源ノイズNn,Npを図6に示す。この電源ノイズは、半導体スイッチング素子16u,16v,16wのスイッチング動作に伴う電荷の異常変動に基づいている。図6において、生じるタイミングを整合させて第一サーボモータ3Aによる電源ノイズNpと第二サーボモータ3Bによる電源ノイズNnを記載している。
電源ノイズNpと電源ノイズNnは、上述したスイッチング動作に半周期の分だけ位相差を設けることにより、図6に示すように、生じるタイミンクが一致し同期しており、かつ正負の値が逆である。
この過程において、電源ノイズNpおよび電源ノイズNnが生じる前のタイミングT1においては、コンデンサC1の側からコンデンサC2に向かう電流I(T1)が流れる。これに対して、電源ノイズNpおよび電源ノイズNnが生じた後のタイミングT2においては、コンデンサC2の側からコンデンサC1に向かう電流I(T2)が流れる。
[コンデンサに対する電荷の挙動]
サーボモータ3に負荷される電位と対地Eの側の電位差からの静電誘導によりコンデンサCの対地Eの側にそれぞれ誘起されて伝達する漏電電流および電源ノイズNpと電源ノイズNnの相殺には、コンデンサCにおける電荷の挙動が関与する。そこで、図8を参照してこの電荷の挙動について説明する。
図8に示すように、交流電圧の電源側電位Epが上昇、ピーク、下降する過程を想定する。
電位Epの上昇の過程では、コンデンサCの電源側の電極EL1には正(+)の電荷が集まる。電源側の正の電荷に負(-)の電荷が引き寄せられることで、コンデンサCの対地Eの側の電極EL2には負(-)の電荷が集まる。
電流は電荷の移動(流れ)であり、負の電荷の移動と逆方向に電流が流れるので、電位Epが上昇する過程では、電流IはコンデンサCから対地Eに向けて流れる。
次に、電位の上昇が完了して電位がピークに達する。電位と電荷は比例関係にあるので、電源側に当たる電極EL1の側における正(+)の電荷の増加が止まる。このときの電源側の正の電荷の増加が止まると対地Eの側の負の電荷の増加も止まる。このように、電位の上昇が完了してピークに達すると、電荷の移動が止まるので電流が止まる。
最後に、電位Epの下降の過程では、電源側に当たる電極EL1の側における正の電荷が減少する。電源側の正の電荷が減少すると、対地Eの側の負の電荷も減少する。
[コンデンサへの電荷の挙動に基づくノイズの相殺]
次に、以上で説明したコンデンサへの電荷の挙動に基づくノイズ相殺の作用について、図9を参照して説明する。
図9には、二つの電源側の電位Ep,Enが示されており、一方が基準となり、他方が基準に対して180°だけ位相が遅れており、互いに逆位相をなしている。ここでは、両者の区別を明確にするために、基準となる一方を第一サーボモータ3Aの側とし、他方を第二サーボモータ3Bの側として説明する。また、コンデンサCの数はコイル31u,31v,31wとステータ32との隙間の数と同数存在するが、静電誘導により電荷が誘起されるのはインバータ主回路15で半導体スイッチング素子がONして通電されたコイル31u,31v,31wに対向するコンデンサCのみである。ここで図4では通電されたコイル31u,31v,31wの数を、簡単のため、二つの電源側の電位Ep,Enでそれぞれ一つ、つまり静電誘導により電荷が誘起されるコンデンサCの数をそれぞれ一つとして示す。
はじめに、第一サーボモータ3Aについて電位Epの上昇の過程にあり、第二サーボモータ3Bについては電位Enの下降の過程にある。このとき、第一サーボモータ3Aと対地Eとの間にあるコンデンサC1の電源側の電極EL11には正(+)の電荷が集まり、対地Eの側の電極EL12には負(-)の電荷が集まる。一方、第二サーボモータ3Bについては電位Enの下降の過程にあり、第二サーボモータ3Bと対地Eとの間にあるコンデンサC2の対地E側の電極EL21には正の電荷が集まり、電極側の電極EL22には負の電荷が集まる。電極EL21における負の電荷のなかで、電極EL12に引き寄せられる分については、破線で示されている。
ここで、対地Eの側の電極EL12と電極EL21の間隔Dは、電極EL12と電極EL21の双方が電気的に接地しているので、電位差および電位はいずれもゼロである。よって、通常は電極EL12と電極EL21の間には電流が流れない。
しかし、電極EL12と電極EL21にはそれぞれ逆位相の電極EL11と電極EL22の電位による、等価で符号が正負逆のクーロン力によりそれぞれ電荷が引きよせられて蓄えられている。したがって、電源側の電極EL11と電極EL22の電位が逆位相で変化すると、対地Eの側の電極EL12と電極EL21の間に対称な電荷の移動が発生する。
つまり、例えば、電極EL11の電位が上昇し、電極EL22の電位が等価に下降する場合、電源側の電極EL11で上昇した電圧と同じ分だけ、電源側の電極EL22で電圧が下降する。このとき、電極EL11の正(+)の電荷が増加するとともに、電極EL11に増加した正(+)の電荷の分だけ、電極EL12と電極EL21の間で正負が一対(ペア)となって釣り合っていた電荷が引き離され、電極EL12に負(-)の電荷が引き寄せられる。これと同時に、電源側の電極EL22には負(-)の電荷が増加するので、電極EL11の正(+)の電荷に引っ張られてペアとなっていた負(-)の電荷を奪われた正(+)の電荷が、電極EL22の負(-)の電荷の増加に引っ張られて電極EL21側に移動し電極EL21には正(+)の電荷が増加する。
このとき電位Epと電位Enが等価な逆位相で変化しているので、電極EL12と電極EL21の間にはペアを失った不安定な電荷はなく、電極EL12と電極EL21の間で移動する電荷は正負のいずれにも偏ることがない。このため、電荷が対地Eに流出しないので漏洩電流が生じない。
次に、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの双方が電位の変化が完了して電位がピークに達する。そうすると、コンデンサC1の電極EL11における正(+)の電荷の増加が止まり、電極EL12における負(-)の電荷の増加も止まる。また、コンデンサC2の電極EL22における正(+)の電荷の減少が止まり、電極EL21における負(-)の電荷の減少も止まる。こうして、コンデンサC1とコンデンサC2の間の電荷の移動が止まる。
最後に、第一サーボモータ3Aについて電位Epの下降の過程にあり、第二サーボモータ3Bについては電位Enの上昇の過程にあるときについて説明する。このとき、第一サーボモータ3Aと対地Eとの間にあるコンデンサC1の電源側の電極EL11からは正(+)の電荷が減少し、対地Eの側の電極EL12から負(-)の電荷が減少する。一方、第二サーボモータ3Bについては、第二サーボモータ3Bと対地Eとの間にあるコンデンサC2の電源側の電極EL22は正(+)の電荷が減少し、対地Eの側の電極EL21は負(-)の電荷が増加する。
対地Eの側の電極EL12と電極EL22の間隔Dは、電極EL12と電極EL21の双方が電気的に接地しているので、電位差および電位はいずれもゼロである。よって、通常は電極EL12と電極EL21の間には電流が流れない。しかし、第一サーボモータ3Aについて電位Epの上昇の過程にあり、第二サーボモータ3Bについては電位Enの下降の過程にある場合と同様に、電極EL12と電極EL21の間にはペアを失った不安定な電荷はなく、電極EL12と電極EL21の間で移動する電荷は正負のいずれにも偏ることがないため、電荷が対地Eに流出しないので漏洩電流が生じない。
これに対し、互いに逆位相をなしている電位Epと電位Enが等価ではなく電位の偏っている場合を、例えば図10に示す。このとき、電位Epの大きさ(絶対値)が、電位Enよりも大きければ、電位Epが上昇している間には、電極EL11に正(+)の電荷が増加する。これに引っ張られる形で、電極EL12と電極EL21の間で正負がペアとなって釣り合っていた電荷が引き離され、電極EL12側に移動する。こうして、電極EL12には負(-)の電荷が増加する。
電位Epが上昇している間には、同時に電位Enが下降するが、電位Epの大きさが、電位Enよりも大きいので、電極EL11の正(+)の電荷に引っ張られて負(-)の電荷を奪われた正(+)の電荷の一部が、ペアを失った不安定状態となる。このため、このペアを失った正(+)の電荷はペアとなる負(-)の電荷を求めて対地Eに流出する。
次に、電位Epが下降中は、電極EL11から正(+)の電荷が減少し、それにより電極EL12の負(-)の電荷が解放される。同時に電位Enが下降するので電極EL21に引き寄せられていた正(+)の電荷が解放される。ところが、電位Epの大きさが、電位Enよりも大きいので、電極EL12から解放された負(-)の電荷の方が電極EL21から解放された正(+)の電荷よりも多くなる。このため電極EL12から解放された負(-)の電荷の一部がペアを失った不安定状態となるので、このペアを失った負(-)の電荷に引っ張られて対地Eから正(+)の電荷が流入する。このように電位Ep、Enが等価ではなく、一方の電位の方が他方の電位よりも大きく電位が偏った状態においては、電荷が対地Eに流出あるいは対地Eから流入することで電流が発生して漏洩電流、ノイズ電流が発生する。
本実施形態では、二つの電源側の電位Ep,Enでそれぞれ一つ、つまり静電誘導により電荷が誘起されるコンデンサCの数をそれぞれ一つとして示した。しかし、本発明は、二つの電源側の電位Ep,Enで静電誘導により電荷が誘起されるそれぞれのコンデンサCの数が同一であれば、同様の効果が得られる。これには、以下の二つの形態があり、いずれか一方が選択される。
形態1:第一サーボモータ3Aのインバータ主回路15Aおける半導体スイッチング素子の高電位側でONする半導体スイッチング素子と第二サーボモータ3Bのインバータ主回路15Bに低電位側でONする半導体スイッチング素子の数がそれぞれ同一
形態2:第一サーボモータ3Aのインバータ主回路15Aおける半導体スイッチング素子の低電位側でONする半導体スイッチング素子と第二サーボモータ3Bのインバータ主回路15Bに高電位側でONする半導体スイッチング素子の数がそれぞれ同一
また、二つの電源側の電位Ep,Enで静電誘導により電荷が誘起されるそれぞれのコンデンサCの数が異なる場合であっても、第一サーボモータ3Aの各相コイル(31u、31v、31w)とステータの間の各浮遊容量である三つのコンデンサCに誘起される電荷の総和と第二サーボモータ3Bの各相コイル(31u、31v、31w)とステータの間の各浮遊容量である三つのコンデンサCに誘起される電荷の総和が同一であればよい。
つまり、第一サーボモータ3Aの三つのコンデンサCに誘起される正(+)の電荷と負(-)の電荷の正負で相殺した電荷の総和が、第二サーボモータ3Bの三つのコンデンサCに誘起される正(+)の電荷と負(-)の電荷の正負で相殺した電荷の総和と同一であればよい。
具体的には、例えば、以下のケース1に対して、ケース2またはケース3は、ここでいう同一に該当する。以下のケースであっても、二つの電源側の電位Ep,Enで静電誘導により電荷が誘起されるそれぞれのコンデンサCの数が同一である場合と、同様の効果が得られる。
ケース1:第一サーボモータ3AのコンデンサCにおいて、対地Eの側に負(-)の電荷が誘起されたコンデンサCが二つであり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つ。
ケース2:第二サーボモータ3Bにおいて、対地Eの側に負(―)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つであり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが二つ。
ケース3:第二サーボモータ3Bにおいて、対地Eの側に負(―)の電荷が誘起されたコンデンサCが零(0)個であり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つ。
ここで、対地Eの側に負(-)の電荷を誘起させるコンデンサCは対向するコイル3に高電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wのいずれかをONすることで得ることができる。また、対地Eの側に正(+)の電荷を誘起させるコンデンサCは対向するコイル31u,31v,31wに低電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wのいずれかをONすることで得ることができる。なお、電気回路の短絡を避けるため、高電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wをONさせたコイル31u,31v,31wに接続された低電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wはOFFとする。例えば、図5において、コイル31uに+Vを供給する、図中上段の半導体スイッチング素子16uをONさせたときは、コイル31uに-Vに接続する、図中下段の半導体スイッチング素子16uはOFFとする。また同様に、図中下段の低電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wをONさせたコイル3に接続された、図中上端の高電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wはOFFとすることは言うまでもない。
また、二つの電源側の電位Ep,Enにおいて、静電誘導により電荷が誘起されるそれぞれのコンデンサCの数が互いに異なる場合においては以下の通りである。
第一サーボモータ3Aの各相コイル(31u、31v、31w)とステータの間の各浮遊容量である三つのコンデンサCに誘起される電荷の総和と第二サーボモータ3Bの各相コイル(31u、31v、31w)とステータの間の各浮遊容量である三つのコンデンサCに誘起される電荷の総和が同一であることが最も好ましい。
しかし、第一サーボモータ3Aの三つのコンデンサCに誘起される電荷の総和と第二サーボモータ3Bの三つのコンデンサCに誘起される電荷の総和が同一ではなく、互いの電荷の総和の符号が正負逆となるように第一サーボモータ3Aおよび第二サーボモータ3Bの半導体スイッチング素子16u,16v,16wを制御することでノイズを低減することができる。
例えば、以下のケース4に対して、ケース5、ケース6またはケース7である。つまり、一方のサーボモータのコンデンサCに誘起されて対地Eに流出しようとする電荷(ノイズ電流)の一部を、他方のサーボモータのコンデンサCに誘起された符号が正負逆の電荷によって、正負ペアとして相殺して減少させることができる。これにより、対地Eに流出するノイズを低減することができる。
ケース4:第一サーボモータ3AのコンデンサCにおいて、対地Eの側に負(-)の電荷が誘起されたコンデンサCが二つであり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つ。
ケース5:第二サーボモータ3Bにおいて、対地Eの側に負(―)の電荷が誘起されたコンデンサCが零(0)個であり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが二つ。
ケース6:第二サーボモータ3Bにおいて、対地Eの側に負(―)の電荷が誘起されたコンデンサCが零(0)個であり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つ。
ケース7:第二サーボモータ3Bにおいて、対地Eの側に負(―)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つであり、正(+)の電荷が誘起されたコンデンサCが一つ。
[効 果]
以上説明した第1実施形態が奏する効果を説明する。
本実施形態において、全ての同期すべき半導体スイッチング素子16u1~16w4が、インバータ制御部17が駆動指令信号を発信してからTdmaxに達した時点で同時にON動作することができる。つまり、インバータ制御部17からそれぞれの半導体スイッチング素子16u1~16w4に対して駆動指令を出してインバータ主回路15Aを駆動し第一サーボモータ3Aを回転させるとともに、インバータ主回路15Bで逆相電流を生成する。インバータ主回路15Aおよびインバータ主回路15Bの全ての半導体スイッチング素子16u1~16v4は、最も計測遅延時間の長い半導体スイッチング素子16w4と同じタイミングで駆動するため、漏洩電流と相殺する逆相電流を応答遅れゼロでかつ高精度に出力することができる。これにより、漏洩電流の発生が防止できるか、または、漏洩電流を大幅に低減できるので、逆補償の発生を抑えることができる。
次に、本実施形態によれば、第一モータ群による漏洩電流を相殺するために第二モータ群による漏洩電流を用いる。この漏洩電流は、第二モータ群に第一モータ群に供給する電流とは逆位相の電流を供給することにより発生される。これは、本実施形態によれば、例えば特許文献3で必要とされる漏洩電流検出部を設けることなく、第一モータ群による漏洩電流と第二モータ群による漏洩電流を相殺できることを示唆する。
本実施形態において互いに相殺される漏洩電流は、第一モータ群と第二モータ群に同時に供給される駆動電流により誘起される電流である。したがって、互いに相殺される漏洩電流は互いにずれることなく同時に発生するので、互いの漏洩電流を確実に相殺させることができる。
ここで、本実施形態の電動機駆動装置10は、大電圧を供給するサーボモータにおいて特に有効である。例えば、駆動電圧が200Vを超える複数のサーボモータを搭載し、この複数のサーボモータを同期制御して用いる射出成形機が該当する。特に、移動体の中心軸に対称の位置に設けられ、かつ、同期制御される一対のサーボモータを搭載する射出成形機に有効である。
具体的には、例えば特許文献1の射出用のスクリュを全更新させるサーボモータ(10)や、特許文献2の型締め装置の型開閉用サーボモータ(27)が該当する。特許文献1における一対のサーボモータ(10)はハウジング(7)に、特許文献2における一対の型開閉用サーボモータ(27)は固定盤(1)に、軸対称に組み付けられている。
また、射出成形機について偶数のサーボモータが同相運転する他の用途として、型締装置に用いられる割ナットの開閉用モータ、油圧ポンプの駆動用モータが掲げられる。また、モータの形態として、例えば一つのコイル31uを二本の巻線、四本の巻線から構成される2巻線モータ、4巻線モータにも適用できる。
電動駆動の射出成形機は駆動電圧が200Vを超える複数のサーボモータを搭載しているため、高電位回路によるインバータ回路のスイッチングも大きなノイズを発生させる要因となる。また、射出成形機は型締め装置や射出装置など大重量物を傾くことなく動作させる必要があるため、可動物の両端(上下端あるいは左右端)に中心軸に対称の一対で且つ同期制御される大型のサーボモータによって駆動されるアクチュエータを複数搭載している。さらに、大重量物を傾くことなく動作させ且つ制御の容易化のため、これらの同期制御される一対のサーボモータは、同一の仕様(同サイズ、同容量、同規格など)を備えている。これらを制御するサーボアンプ(インバータ回路)も同一仕様である。よって、モータの電気回路は同一の回路が並列に組み合わされた様態となっている。同時に同一電圧を供給された同一仕様の対を成すインバータ回路を同期制御するためそれぞれのスイッチングノイズも極めて近似したノイズの様態(ノイズ波形)となる。本実施形態はこのような高電位により駆動される対をなすサーボモータによって駆動される射出成形機を、複雑な補償制御を必要とすることなく、かつ新たな補償装置を追加することなく、漏洩電流、ノイズを低減することができる。
また、射出成形機は同一工場建屋内に多数台設置されるが多いため、1台の射出成形機のサーボモータから発生したスイッチングノイズが対地アースを経由して、隣接した他の射出成形機に流入すると誤動作を発生させて生産性を害するだけでなく、射出成形機本体や金型を破損させる虞がある。
なおこのとき、既知の時間同期通信やPLL等を用いて、インバータ主回路15Aおよびインバータ主回路15Bを駆動するそれぞれ制御装置の時刻を同期させて、それぞれの制御装置の基準時間を揃えることで、上記トランジスタ駆動の遅延時間の基準を同一とし、全てのトランジスタを高精度に同時に駆動することが好ましい。また一つのモータドライブによる基準時間によって、同期対象である複数のインバータ回路を制御してもよい。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は以下の変形、応用を許容する。
[適用の対象]
本実施形態は、互いに同期制御される第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bの一方の側に逆相電流生成機能を持たせているが、本発明はこれに限定されない。例えば、特許文献3(図5)に開示される逆相電流生成部(23a)のように、電動機を伴わない、3相構成のスイッチング素子(トランジスタ41a,41b,41c,42a,42b,42c)から構成することもできる。
[電力回生時への適用]
また、本実施形態において、3相交流電動機に電力を供給する場合について説明したが、3相交流電動機の減速時に発生する電力回生時に適用してもよいし、3相交流電動機を発電機として使用する場合に適用してもよい。3相交流電動機に電力供給する場合と電力回生時や発電時に3相交流電動機から電流を供給する場合においては、3相交流電動機をモータ(アクチュエータ)として使用する場合とは電流の向きが逆向きであることを除き、インバータ回路の半導体スイッチング素子16u,16v,16wのONおよびOFFを制御は同様であり、かつ半導体スイッチング素子16u,16v,16wのONおよびOFFによるノイズの発生の様態も同様であるためである。
[3レベルインバータへの適用]
また、以上では、簡単のため直流電源電圧をON-OFFする単純な方式である2レベルインバータの場合を説明した。しかし、これは一例であり、本発明は、大電力のVVVF制御(可変電圧可変周波数制御)に多用される方式であって、耐電圧の低い素子を使用するために電源の中間電圧レベルを供給する回路方式である3レベルインバータに適用してもよい。3レベルインバータのスイッチング要素群は、高電位側の回路を開くスイッチング要素と低電位側を開くスイッチング要素にそれぞれ更に中間電位を開くスイッチング要素を加えたものである。
2レベルインバータでは高電位側あるいは低電位側のそれぞれの半導体スイッチング素子16u,16v,16wは一組ずつしかない。そのため、一方の電位側のインバータ回路の半導体スイッチング素子16u,16v,16wのいずれか例えば半導体スイッチング素子16uがONして中間電位である場合がある。この場合には、回路の短絡を回避するため他方の電位側の半導体スイッチング素子16uを必ずOFFとして電流を流さない。
これに対し、3レベルインバータでは高電位側あるいは低電位側のUVW相の各半導体スイッチング素子について、それぞれ二つの半導体スイッチング素子は半導体スイッチング素子16uと図示しない半導体スイッチング素子16u’,16vと図示しない半導体スイッチング素子16v’,16wと図示しない半導体スイッチング素子16w‘が直列に接続される。このため、UVW相の各半導体スイッチング素子はそれぞれ二組ずつ設けられている。したがって、一方の電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wのいずれか例えば半導体スイッチング素子16uがONして中間電位である場合であっても半導体スイッチング素子16u’をONしなければ回路が短絡することはない。このため半導体スイッチング素子16u’をONするかOFFするかによってコイル31uに電流を流す場合と流さない場合を使い分けることができる。しかし、3レベルインバータでも電位の選択肢は、2レベルインバータでの電位と同じ高電位、中間電位、低電位の3通りでありことには変わりがないため、同様にノイズの低減が可能である。またこれにより3レベルインバータにおいて中間電位の電流を流す場合と流さない場合を分けてスイッチング要素群を組み合わせて制御することも容易とすることができる。
[設定遅延時間]
本実施形態は、半導体スイッチング素子16u1~16w4の全てについて計測された遅延時間Tdnと最大計測遅延時間Tdmaxから設定遅延時間Tnを求めている。しかし本発明はこれに限定されず、以下にいくつか例示するように、計測を伴わないで、設定遅延時間Tnを設定できる。
計測遅延時間Tdnについては、使用される半導体スイッチング素子16u1~16w4の仕様から推測されるかまたは経験的に特定される平均などの算術的に求められる遅延時間を用いることができる。
また、最大計測遅延時間Tdmaxについても同様であり、使用される半導体スイッチング素子16u1~16w4の仕様から推測されるかまたは経験的に特定される最大遅延時間を用いることができる。最大予測遅延時間は最大計測遅延時間Tdmaxよりも長い値とされるべきである。
また、これまでの説明では全ての可変遅延器12u1~12w4は同時にインバータ制御部17からの駆動指令信号を受信する例を示した。しかし、インバータ制御部17から可変遅延器12u1~12w4への駆動指令信号が順番に発信されると、それぞれの駆動指令信号の発信タイミングのズレが遅延時間Tdnを生じさせる場合がある。この駆動指令信号の発信タイミングのズレは、インバータ制御部17の制御周波数と同一かまたは制御周波数の整数倍となっている。よって、この場合には、遅延時間Tdnを測定しなくても、インバータ制御部17から可変遅延器12u1~12w4に駆動指令信号が発信される順序に基づいて、制御周波数を順番に足し合わせることで、全ての可変遅延器12u1~12w4を同時に駆動できる設定遅延時間Tnを算術的に求めることができる。
また、半導体スイッチング素子16のONまたはOFFの遅延時間Tdnまたは最大計測遅延時間Tdmaxは、例えば、品質管理上の値に基づいて特定することができる。品質管理上の値としては、部品仕様の上下限規定値に基づく±α(μs)(∵μs:マイクロ秒)以下の値(例:0.5μs)を用いることができる。または、品質確認実測値の統計的な分散値(1σ、∵σ:標準偏差)に基づく±β(μs)を用いることができる。より具体的な変形例を図15を参照して説明する。
図15は、3つの半導体スイッチング素子が同時にONすることを回避するタイミングを表している。また、図15はコイル31u,31v,31wの電位が最も高くなる半導体スイッチング素子16u1、16v1、16w1がONする場合(図15(a))と、コイル31u,31v,31wの電位が最も低くなる半導体スイッチング素子16u2、16v2、16w2がONする場合(図15(b))が示してある。本実施形態ではαのみを用いて説明するがβでも同様である。
なお、本変形例において、電位を上げる側は、第一インバータ回路20A(図1)の電源の正(+)の電位に接続された半導体スイッチング素子16u1、16v1、16w1と、第二インバータ回路20Bの電源の正(+)の電位に接続された半導体スイッチング素子16u3、16v3、16w3である。また電位を下げる側は、第一インバータ回路20A(図1)の電源の負(-)の電位に接続された半導体スイッチング素子16u2、16v2、16w2と、第二インバータ回路20Bの電源の負(-)の電位に接続された半導体スイッチング素子16u4、16v4、16w4である。
また、図15におけるD、αは以下のように定義される。ここでは、トランジスタのON/OFF誤差時間から最小デッドタイムD=2αとしているが、実際のデッドタイムは2αより大きいこともある。
D:デッドタイム=各相の上下のトランジスタが同時にONしてショートすることを避ける為の余裕時間
α:半導体スイッチング素子のON/OFFの誤差時間
以上のような電気回路において、第一インバータ回路20Aと第二インバータ回路20Bを逆位相で同時に駆動させるために、例えばu相における第一インバータ回路20Aの半導体スイッチング素子16u1と第二インバータ回路20Bの半導体スイッチング素子16u4の両方の設定遅延時間Tnを2α(μs)とし、2つの半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u4の両方をONに切り替えるか(図15(a-1))、またはOFFに切り替えることができる(図15(b-1))。
なお、前述の通り電気回路の短絡を避けるため、高電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wをONさせたコイル31u,31v,31wに接続された低電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wはOFFとする。そのためには、半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u4がONする場合は半導体スイッチング素子16u2と半導体スイッチング素子16u3がOFFとなる(図15(a-1))。半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u2は従属関係にあり、半導体スイッチング素子16u3と半導体スイッチング素子16u4は従属関係にあると言える。
また、半導体スイッチング素子16u2と半導体スイッチング素子16u3がONからOFFに切りかわるとともに半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u4がONする場合は、半導体スイッチング素子16u2と半導体スイッチング素子16u3がOFFした後、デッドタイムDを設ける。デッドタイムDは、半導体スイッチング素子16u1~16u4の全てがOFFとなる時間帯である(図15(a-1)。設けられたデッドタイムDが経過後に半導体スイッチング素子16u1と16u4をONさせる。
以上説明したu相と同様に、v相の半導体スイッチング素子16v1と半導体スイッチング素子16v4、およびw相の半導体スイッチング素子16w1と半導体スイッチング素子16w4についても、設定遅延時間Tnを2α(μs)とし、半導体スイッチング素子16v1と半導体スイッチング素子16v4または半導体スイッチング素子16w1と半導体スイッチング素子16w4の両方をONに切り替えるか、または、OFFに切り替えることができる(図15(a-2),(a-3),(b-2),(b-3))。
次に、本変形例において、同相のトランジスタを以下のようにグループとして取り扱うことができる。
グループA(図15(b-1)):u相の半導体スイッチング素子16u1、16u2、16u3、16u4からなるグループをグループAとする。このうち半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u4を対の関係を有するグループA1、半導体スイッチング素子16u2と半導体スイッチング素子16u3を対の関係を有するグループA2とする。
グループB(図15(b-2)):v相の半導体スイッチング素子16v1、16v2、16v3、16v4からなるグループをグループBとする。このうち半導体スイッチング素子16v1と半導体スイッチング素子16v4をグループB1、半導体スイッチング素子16v2と半導体スイッチング素子16v3をグループB2とする。半導体スイッチング素子16v1と半導体スイッチング素子16v4は対の関係を有し、半導体スイッチング素子16v2と半導体スイッチング素子16v3も対の関係を有する。
グループC(図15(b-3):w相の半導体スイッチング素子16w1、16w2、16w3、16w4からなるグループをグループCとする。このうち半導体スイッチング素子16w1と半導体スイッチング素子16w4をグループC1、半導体スイッチング素子16w2と半導体スイッチング素子16w3をグループC2とする。半導体スイッチング素子16w1と半導体スイッチング素子16w4は対の関係を有し、半導体スイッチング素子16w2と半導体スイッチング素子16w3も対の関係を有する。
第二形態は、図15(b-1)~図15(b-3)に示すように、グループA1、B1、C1のいずれか一つあるいは複数のグループのトランジスタの設定遅延時間Tnを2α(μs)ずつ加算した値とする。これにより、電位を上げるトランジスタが同時にONしないため、電位の上昇率を緩和させることができる。
また、第二形態は、グループA2、B2、C2のいずれか一つあるいは複数のグループのトランジスタの設定遅延時間Tnを2α(μs)ずつ加算した値としてもよい。これにより、電位を下げるトランジスタが同時にONしないため、電位の降下率を緩和させることができる。
ここでコンデンサを通過する交流ノイズの大きさはコンデンサに負荷される電位の変化率に大きく影響を受ける。したがって、以上のように電位の上昇率または降下率が緩和されるとコンデンサを通過する交流ノイズを低減できる。
またこのとき、グループA1の設定遅延時間TnとグループA2の設定遅延時間Tnを2α(μs)だけ異なる値とすることが好ましい。これにより高電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wをONさせたコイル31u,31v,31wに接続された際の、低電位側の半導体スイッチング素子16u,16v,16wを高精度にOFFさせて、電気回路の短絡を防止できる。
コイル31u,31v,31wに負荷される電位の上昇率を緩和するために、グループA、グループB、グループCのうち電位を上げるトランジスタのグループを同時にONまたは同時にOFFさせないことが好ましい。同時にON/OFFさせないために、各グループのON/OFFのタイミングを2αμs以上離すものとする。本変形例ではON/OFFのタイミングを2α(μs)以上離した場合を「同時ではない」とし、ON/OFFのタイミングを±α(μs)以内とした場合を「同時である」と定義する。
また、コイル31u,31v,31wに負荷される電位の降下率を緩和するために、グループA、グループB、グループCのうち電位を下げるトランジスタのグループを同時にONまたは同時にOFFさせないことが好ましい。
また、一対をなすトランジスタ、例えばグループAにおける半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u4は同時に、つまり2α(μs)以内の間に2つの半導体スイッチング素子16u1と半導体スイッチング素子16u4の両方をONに切り替えるか、またはOFFに切り替えることが好ましい。これによりノイズの原因であるスイッチング時の電位を速やかに(2α(μs)以内)に0(零)にすることができる。
但しこの場合、モータのトルク制御=電流制御という目的において決定されるグループA、グループB、グループCのトランジスタのON/OFFタイミングを故意にずらすことになるので、ON/OFFタイミングの遅延は電流制御に対して外乱となる。
ここで、通常、トランジスタのスイッチング周期は125μs前後である。例えばα=0.5(μs)とすると、グループAの動作に対するグループBの動作の遅延時間が2α(μs)(1μs)であり、グループBの動作に対するグループCの動作の遅延時間が2α(μs)(1μs)である。そうだとすると、グループAが動作してからグループCが動作するまで2μs(=1μs+1μs)の遅延が発生する。これは、スイッチング周期(125μs)に対して1.6%(=2μs/125μs)の時間誤差が発生することを意味する。これは単純には1.6%の電流誤差となるおそれがある。なお、ここではスイッチング間の時間を2αとしたが、αでもよい場合がある。
しかし、これらの外乱および電流誤差は電流制御FBにより抑制することができる。この場合U相、V相、W相に対して独立した電流制御FBを行うことがさらに好ましい。
また、U相、V相、W相の電流誤差が例えば1.6%と微小の場合には、グループA1,A2,B1,B2,C1,C2のスイッチングタイミングが同時であるとみなすことができる。つまり、スイッチングタイミングが±α以下または±2α以下に近づく。
また、U相、V相、W相の電流誤差が例えば5%以上と大きい場合には、スイッチングタイミングを遅延させずに同一にすることが好ましい。
また、スイッチングのグループ毎の遅延順の以下の6つの組合せからスイッチング周期毎に遅延順序を選択し直すことで各組への遅延の影響を均すことが可能である。
遅延順組み合わせ:
A→B→C、B→C→A、C→A→B、A→C→B、B→A→C、C→B→A
具体的には、以下の(1)単純均し、(2)総当たり均し、(3)ランダム均し等の方法がある。なお、スイッチングの遅延順序は以上に限るものではなく、画一的な順序でなければよい。
(1)単純均し:A→B→C、B→C→A、C→A→B
(2)総当たり均し:A→B→C、C→B→A、B→A→C、C→A→B、B→C→A、A→C→B
(3)ランダム均し:例えば、6つの組合せから疑似乱数アルゴリズムにより選択する
また、同じ時間間隔(例えば設定遅延時間Tn=2α(μs))でスイッチングを繰り返すと特定の周波数にノイズが集中し大ノイズ化する傾向がある。ところが、これはスイッチング毎にαの値を微小に変動、散逸させることで回避することができる。
αの値の散逸方法としては、例えばα´=α+Asin(2πft) としてα´をαの代替として利用する方法がある。ただし、この方法に限定されない。
また、A、ω、nの代表的な値として、0<A<α、10kHz<f<100MHz、tは実時間でもt=n/N (n:スイッチングの積算回数、N:1秒当たりのスイッチング数)としてもよい。
以上の通りであり、本発明において、設定遅延時間Tnを設定するのに、半導体スイッチング素子16u1~16w4について遅延時間を実際に計測することは必ずしも必要ではない。つまり、本発明は、半導体スイッチング素子16u1~16w4の仕様に基づいて設定遅延時間Tnを設定することができる。ただし、より高い精度で逆補償の発生を防ぐためには、実測された遅延時間に基づいて設定遅延時間Tnを特定することが好ましい。また、実測された遅延時間と算術的に求めた遅延時間の両方を考慮して設定遅延時間Tnを特定することがさらに好ましい。逆補償の発生を防止するよりも、コストを優先するのであれば、遅延時間を実際に計測することなく、算術的に求められる遅延時間により設定遅延時間Tnを特定することが好ましい。
[サーボモータのコイルの巻き回しの向き]
コイルの巻き回し方向が左巻きのサーボモータと右巻きサーボモータの組み合せであれば、界磁を発生させるコイルの位相を180°だけシフトしたことと等価である。つまり、本発明は、一つの左巻きサーボモータからなるモータ群と一つの右巻きサーボモータからなるモータ群が一組の場合だけでなく、以下の組み合わせを包含する。
左巻きサーボモータからなる第一モータ群と左巻きサーボモータからなる第二モータ群の組み合わせであっても、第一モータ群の第一ステータと第二モータ群の第二ステータの相互の位置が界磁角で180°だけずれていればよい。このように第一ステータと第二ステータの組み付け位置がシフトしていれば、一つの左巻きサーボモータからなるモータ群と一つの右巻きサーボモータからなるモータ群の組み合わせと等価の効果が得られる。右巻きサーボモータからなる第一モータ群と右巻きサーボモータからなる第二モータ群の組み合わせであっても同様である。
例えば、サーボモータの極数がN極だとすると、界磁角の180°は実物のモータロータの回転角180×2/N(°)に相当する。
また、スイッチングノイズの多くは半導体スイッチング素子のOFFからONまたはONからOFFへの切り替えに係る過渡期において発生する。これは、界磁角で180°の位相差がある状態でスイッチングのタイミングが二つのサーボモータ3の間において正負対称で同時であることがノイズを低減する直接的な理由である。
[コイルの巻き回しの向きに応じた電流供給]
コイルが巻き回される向きが互いに逆となる第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bについて、具体的な電流の供給方法は以下の第1供給方法または第2供給方法とすればよい。
<第1供給方法>
第1供給方法は、図1に示すように、第一サーボモータ3Aが左巻きのコイル31u,31v,31wを用い、第二サーボモータ3Bが右巻きのコイル31u,31v,31wを用いている。つまり、第一サーボモータ3Aのコイル31u,31v,31wと第二サーボモータ3Bのコイル31u,31v,31wは、コイルの巻き回しの向きが逆である。したがって、以下では第一サーボモータ3Aを左巻きの第一サーボモータ3Aといい、第二サーボモータ3Bを右巻きの第二サーボモータ3Bという。このコイルの巻き回しの向きを除くと、第1供給方法は本実施形態と同様の構成を備え、特に第一サーボモータ3Aのステータ32Aと第二サーボモータ3Bのステータ32Bが導体33で電気的に導通されている。
第1供給方法においては、左巻の第一サーボモータ3Aと右巻の第二サーボモータ3Bに逆向きに電流を供給する。図5は、逆向きの電流を供給する例として、第一サーボモータ3Aにはu相→v相の向きに電流が流れ、第二サーボモータ3Bにはv相→u相の向きに電流が流れる。図5において電流は白抜きの矢印で示されている。
以上のように左巻の第一サーボモータ3Aと右巻の第二サーボモータ3Bに逆向きに電流を供給すると第一サーボモータ3Aのコイル31u,31v,31wと第二サーボモータ3Bのコイル31u,31v,31wには同じ向きに磁界が発生する。したがって、第一サーボモータ3Aに対する半導体スイッチング素子16u,16v,16wと第二サーボモータ3Bに対する半導体スイッチング素子16u,16v,16wのスイッチング動作は逆位相であるものの、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bには同じ向きにモータトルクが生じる。
以上の説明では、逆向きの電流を供給する例として、u相→v相とv相→u相を示したが、これはあくまで一例であり、電流を供給する巻線、つまり相の組み合せの数だけ逆向きの電流を供給するパターンがある。具体的には以下に示す通りである。
u相→w相とw相→u相 v相→w相とw相→v相
<第2供給方法>
次に、図12を参照して第2供給方法を説明する。
第2供給方法は、左巻きのコイル31u,31v,31wおよび右巻きのコイル31u,31v,31wの全てに電流を供給するところを除けば、第1供給方法と同じである。
第2供給方法においては、左巻の第一サーボモータ3Aと右巻の第二サーボモータ3Bに逆向きに電流を供給する。図12は、逆向きの電流を供給する例として、第一サーボモータ3Aには(u相、w相)→v相の向きに電流が流れ、第二サーボモータ3Bにv相→(u相、w相)の向きに電流が流れる。
以上のように左巻の第一サーボモータ3Aと右巻の第二サーボモータ3Bに逆向きに電流を供給するので、第2供給方法においても、第一サーボモータ3Aと第二サーボモータ3Bには同じ向きにモータトルクが生じ同一方向に回転する。
図12では、(u相、w相)→v相とv相→(u相、w相)の組み合わせを示したが、図13に示されるu相→(v相、w相)と(v相、w相)→u相の組み合せ、および、図示を省略するが、w相→(u相、v相)と(u相、v相)→w相の組み合わせについても適用できる。
[サーボモータのコイルの組数]
次に、本実施形態ではコイル31u,31v,31wを一組だけ備えるサーボモータ3を例にして説明した。しかし、本発明はコイル31u,31v,31wを二組、四組など偶数組だけ備えるサーボモータ3に適用しても、コイル31u,31v,31wが一組だけのサーボモータ3と同等の効果が得られる。
例えば一つのサーボモータ3が二組のコイル31u,31v,31wを備える場合には、一組のコイル(α)は左巻きとし、もう一組のコイル(β)は右巻きとする。そして、コイル(α)とコイル(β)には、それぞれに180°の位相差で電流を供給すればよい。
また同様に、例えば一組のコイル(α)は左巻きとし、もう一組のコイル(β)は右巻きとする場合に、コイル(α)とコイル(β)がステータ32に組み付けられる位置を界磁角で180°シフトすればよい。この組み付け位置とは、コイル31u,31v,31w各相の巻線の周方向の配列及び順序をいう。
[動力ケーブルの束ね方]
上述した二組のコイル3に、インバータ主回路15により生成された電流を供給するためのuvw動力ケーブルを束ねることにより、さらにノイズを低減できる。uvw動力ケーブルは、インバータ回路とステータコイルを電気的に連結する導体である。
より緊密な束ね方としては、右巻きのコイル3のu線(R)と左巻きのコイルのu線(L)、同じく右巻きのコイル3のv線(R)と左巻きのコイル3のv線(L)、右巻きのコイル3のw線(R)と左巻のコイル3のw線(L)を束ねる。これにより、u線(R)とu線(L)が、v線(R)とv線(L)が、さらにw線(R)とw線(L)が、互いに磁束が打ち消し合うことよりノイズをより低減できる。
これは、例えばu線(R)とu線(L)には同じ波形の電流が反対向きに流れるからである。v線(R)とv線(L)、w線(R)とw線(L)についても同じである。
[コイルの巻線の数]
さらに、一つのコイル31を二本の巻線により構成する2巻線モータにおいては、例えば一方のコイル31u(R)を右巻きとし他方のコイル31u(L)を左巻きとし、両方のコイル31u(R),31u(L)を同軸上に巻き回すことが好ましい。そうすれば、対地E(ステータ)に対するコイル31u(R)の電位と31u(L)の電位が正負対称とされるので、そのコイルの周囲における合成電位を0V付近にできる。これにより、巻線の側と対地Eの側の電位差からの静電誘導により対地Eの側に誘起されて伝達する漏電電流・ノイズ電流を低減できる。
2巻線モータにおけるコイル31v,31wについても同様である。
また、一つのコイルを4本の巻線により構成する4巻線モータにおいても同様である。例えば、二本の右巻きコイル31u(R1)およびコイル31u(R2)と二本の左巻きのコイル31u(L1)およびコイル31u(L2)を、コイル31u(R1)、コイル31u(L1)、コイル31u(R2)およびコイル31u(L2)の配列とし、かつ同軸上に巻き回すことが好ましい。
4巻線モータにおけるコイル31v,31wについても同様である。
[スイッチングタイミングの同期生向上]
また、同期する複数のサーボモータ3に正確に逆位相の電流を供給して、インバータ主回路15のスイッチングタイミングを同期させるために、既知の方法によってそれぞれのモータドライブ間で基準時間を揃えることが好ましい。例えば、インバータ主回路15を制御可能な一つのホストコンピュータに対し、各モータドライブがシリアルインタフェースを介して直列に接続した構成としておき、接続された各モータドライブの時間同期が可能な機能を持つ、例えばIEEE-802.1AS等のネットワーク時間同期プロトコル等のシリアルインタフェースを使用できる。
また、同期する複数のモータドライブ間で互いの基準クロックの位相情報をフィードバックして交換し合うとともに、PLL(フェーズロックループ)アルゴリズムを用いてモータドライブ間の基準時刻を同期してもよい。
さらに、一つのモータドライブによる基準時間によって、同期対象である複数のインバータ回路を制御してもよい。
[第2実施形態]
次に、図15に示すように、本発明は、第一サーボモータ群LMGと第二サーボモータ群RMGのそれぞれのサーボモータ3の個体数Nが2以上であることを許容する。
図15に示すように、第一サーボモータ群LMGは、それぞれが左巻きの第一サーボモータ3A1と第一サーボモータ3A2を備えている。第一サーボモータ3A1および第一サーボモータ3A2は第1実施形態の第一サーボモータ3Aと同じ構成を備えており、また、第一サーボモータ3A1および第一サーボモータ3A2のそれぞれに対応するインバータ主回路15A1,15A2は第1実施形態のインバータ主回路15Aと同じ構成を備えている。
第一サーボモータ群LMGにおける第一サーボモータ3A1と第一サーボモータ3A2は、双方のステータ32A1とステータ32A2が導体33Aにより電気的に導通されている。この導体33Aには、浮遊容量成分がコンデンサC11とコンデンサC12として示されている。
また、図15に示すように、第二サーボモータ群RMGは、それぞれが右巻きの第二サーボモータ3B1と第二サーボモータ3B2を備えている。第二サーボモータ3B1および第二サーボモータ3B2の構成は第1実施形態の第二サーボモータ3Bと同じ構成を備えており、また、第二サーボモータ3B1および第二サーボモータ3B2のそれぞれに対応するインバータ主回路15B1,15B2は第1実施形態のインバータ主回路15と同じ構成を備えている。
第二サーボモータ群RMGにおける第二サーボモータ3B1と第二サーボモータ3B2は、双方のステータ32B1とステータ32B2が導体33Bにより電気的に導通されている。この導体33Bには、浮遊容量成分がコンデンサC21とコンデンサC22として示されている。
第一サーボモータ群LMGと第二サーボモータ群RMGは、導体33Aと導体33Bが導体33Cにより電気的に導通されている。これにより、第一サーボモータ3A1のステータ32A1、第一サーボモータ3A2のステータ32A2、第二サーボモータ3B1のステータ32B1および第二サーボモータ3B2のステータ32B2のそれぞれが他のステータと電気的に導通される。導体33Cは対地Eに接続されている。
図15に示す変形例においては、左巻の第一サーボモータ群LMGと右巻の第二サーボモータ群RMGに逆向きに電流を供給する。図15は、逆向きの電流を供給する例として、第一サーボモータ3A1と第一サーボモータ3A2にはu相→v相の向きに電流が流れ、第二サーボモータ3B1と第二サーボモータ3B2にはv相→u相の向きに電流が流れる。
以上のように左巻の第一サーボモータ群LMGと右巻の第二サーボモータ群RMGに逆向きに電流を供給すると第一サーボモータ3A1,3A2のコイル31u,31v,31wと第二サーボモータ3B1,3B2のコイル31u,31v,31wには同じ向きに磁界が発生する。したがって、第一サーボモータ3A1,3A2に対する半導体スイッチング素子16u,16v,16wと第二サーボモータ3B1,3B2に対する半導体スイッチング素子16u,16v,16wのスイッチング動作は逆位相であるが、第一サーボモータ3A1,3A2と第二サーボモータ3B1,3B2には同じ向きにモータトルクが生じる。
図15に示す変形例において、第一サーボモータ3A1,3A2に対するスイッチング動作と第二サーボモータ3B1,3B2に対するスイッチング動作が逆位相であるから、第一サーボモータ3A1,3A2と第二サーボモータ3B1,3B2は、互いに逆位相の交流電流が供給される。
1 三相交流電源
3 サーボモータ
3A,3A1,3A2 第一サーボモータ
3B,3B1,3B2 第二サーボモータ
10 電動機駆動装置
11 整流器
12u1~12w4 可変遅延器
13 平滑コンデンサ
14u1~14w4 コンパレータ
15,15A,15B,15A1,15A2,15B1,15B2 インバータ主回路
16u1~16w4 半導体スイッチング素子
17 インバータ制御部
20 インバータ回路
20A 第一インバータ回路
20B 第二インバータ回路
31,31u,31v,31w コイル
32,32A,32A1,32A2,32B,32B1,32B2 ステータ
33,33A,33B,33C 導体
C,C1,C11,C12,C2,C21,C22 コンデンサ
D 間隔
E 対地
EL1,EL11,EL12,EL2,EL21,EL22 電極
LMG 第一サーボモータ群
RMG 第二サーボモータ群

Claims (6)

  1. 交流電源からの電力を受けて駆動する第一電動機と、前記第一電動機の動作を制御する複数の第一スイッチング素子を備える第一素子群と、を有する電動機機能と、
    前記第一電動機から対地に流れる零相電流と逆位相となる逆相電流を生成して出力する、複数の第二スイッチング素子を備える逆相電流生成機能と、
    複数の前記第一スイッチング素子のそれぞれへの動作指令を出力し、および、前記逆相電流生成機能に前記逆相電流の出力指令を出力する制御機能と、
    前記制御機能から前記第一スイッチング素子へと発せられる前記動作指令の受信時から、予め設定された設定遅延時間だけ遅延させて、前記動作指令を複数の前記第一スイッチング素子のそれぞれに伝え、かつ、前記制御機能から前記第二スイッチング素子へと発せられる前記出力指令の受信時から、予め設定された設定遅延時間だけ遅延させて、前記出力指令を複数の前記第二スイッチング素子のそれぞれに伝える遅延機能と、を備え、
    複数の前記第一スイッチング素子および複数の前記第二スイッチング素子のそれぞれに固有な前記設定遅延時間をTnとし、
    複数の前記第一スイッチング素子についての遅延時間、および、複数の前記第二スイッチング素子についての遅延時間の中の最大値をTdmaxとすると、
    Tn≦Tdmaxを満たし、
    前記設定遅延時間Tnは、下記の式(1)に基づいて定められる、
    電動機駆動装置。
    式(1) Tn=Tdmax-Tdn
    Tn:複数の前記第一スイッチング素子および複数の前記第二スイッチング素子についてそれぞれ設定される前記設定遅延時間T1,T2,T3…Tn
    Tdn:複数の前記第一スイッチング素子および複数の前記第二スイッチング素子のそれぞれの遅延時間Td1,Td2,Td3,…Tdn
  2. 前記遅延機能は、
    複数の前記第一スイッチング素子のそれぞれに対応して設けられる第一遅延器と、
    複数の前記第二スイッチング素子のそれぞれに対応して設けられる第二遅延器と、を備え、
    複数の前記第一遅延器および複数の前記第二遅延器のそれぞれに前記設定遅延時間Tnが設定される、
    請求項1に記載の電動機駆動装置。
  3. 前記逆相電流生成機能は、
    前記交流電源からの電力を受けて前記第一電動機と互いに同期して動作する第二電動機を備え、
    複数の前記第二スイッチング素子は、前記第二電動機の動作を制御し、
    前記制御機能は、
    複数の前記第一スイッチング素子と複数の前記第二スイッチング素子とを、互いに逆位相の交流電流が供給されるように制御する、
    請求項1または請求項2に記載の電動機駆動装置。
  4. 前記第一電動機のステータと前記第二電動機のステータとを電気的に導通させ、かつ、接地される導体を備え、
    前記制御機能は、
    複数の前記第一スイッチング素子からなる第一スイッチング素子群において、高電位側の回路に対応する前記第一スイッチング素子の個数から低電位側の回路に対応する前記第一スイッチング素子の個数を差し引いた第一スイッチング総和数M1と、
    複数の前記第二スイッチング素子からなる第二スイッチング素子群において、高電位側の回路に対応する前記第二スイッチング素子の個数から低電位側の回路に対応する前記第二スイッチング素子の個数を差し引いた第二スイッチング総和数M2と、の値を、正(+)と負(-)の符号を逆とするように制御する、
    請求項3に記載の電動機駆動装置。
  5. 記遅延時間Td1、Td2、Td3、…Tdnは、
    複数の前記第一スイッチング素子および複数の前記第二スイッチング素子のそれぞれについて計測された時間に基づいて設定される、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電動機駆動装置。
  6. 記遅延時間Td1、Td2、Td3、…Tdnは、
    複数の前記第一スイッチング素子および複数の前記第二スイッチング素子の仕様に基づいて設定される、
    請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の電動機駆動装置。
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