JP7234800B2 - 金属調質感の評価方法 - Google Patents
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Description
FF’=(Yα-Ys)/Ym ・・・(1)
前記FF’値と前記反射率Yαとに基づいて、前記物体表面の金属調質感を評価する工程と、を備えたことを特徴とする。
本構成によれば、上記Q値が小さいほど評価対象の物体表面のFF’値及び反射率Yαは、金属製の物体表面のFF’値及び反射率Yαに近いことになる。このように、評価対象の物体表面の金属調質感を、実際の金属表面の金属調質感に近いかどうかで評価することにより、評価精度をさらに向上させることができる。
<金属調質感の評価方法>
本実施形態に係る金属調質感の評価方法は、物体表面に対し所定の入射角αで入射した入射光の反射光を観測し、該反射光の光学特性に基づいて該物体表面の金属調質感を評価する方法である。図1に示すように、評価方法は、反射率Yθ計測工程S1と、反射角θs及び反射率Ys算出工程S2と、反射角θm及び反射率Ym算出工程S3と、FF’値算出工程S4と、評価工程S5とを備える。
評価対象である物体は、特に限定されるものではなく、種々の物体であってよい。例えば形状についても特に制限はなく、例えば凹凸を有するような物体であってもよい。本実施形態に係る評価方法は、そのような凹凸を有するような物体表面の局所的な金属調質感を評価することにも適している。また、物体の材質も特に限定されず、例えば金属、樹脂、ゴム、木、コンクリート、これらの表面に塗装を施したもの等であってもよい。物体としては、特に、金属調の質感を有するとともに意匠性が求められるものが望ましい。物体の具体例としては、例えばパソコン、携帯電話、タブレット、オーディオ、エアコン、照明機器の筐体等の電気、電子機器部品等が挙げられる。また、他の具体例としては、フェンダ、エンジンカバー、ボンネット、ルーフ、ドア、フロントパネル、サイドパネル、リアパネル、フロントボディ、リフトゲート、各種メンバ、各種フレーム、バンパー、アンダーカバー、インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム等の自動車、二輪車等の車両用部品が挙げられる。また、他の具体例としては、ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ等の航空機用部品が挙げられる。
反射率Yθ計測工程S1では、まず、物体表面に対して所定の入射角αで光を入射させる。そして、正反射角αを含む所定範囲の反射角θの反射光について、上述の光学特性としての反射率Yθを計測する。
反射角θs及び反射率Ys算出工程S2は、上述の反射率Yθのデータから、反射角θsと、反射率Ysとを算出する工程である。
反射角θm及び反射率Ym算出工程S3は、中間の角度θmと、反射率Ymとを算出する工程である。図6に示すように、中間の角度θmは、正反射角αと上述の第1反射角θsとの中間の角度であり、θm=(α+θs)/2で表される。そして、この中間の角度θmにおける反射率Ymを算出する。以下の説明では、反射角θm及び反射率Ymを便宜的にそれぞれ「第2反射角θm」及び「第2反射率Ym」と称する。
FF’値算出工程S4は、正反射率Yαと、第1反射率Ysと、第2反射率Ymとに基づいて、下記式(1)で表されるFF’値を算出する工程である。
FF’値は、正反射近傍における反射率Yθの変化度合を表している。なお、(Yα-Ys)の値は、Yαの値が大きいほど大きくなるため、反射率Yθの変化度合を正しく反映することができない。従って、FF’値は、Yα-Ysの値を上述のYmの値で割ることにより、いわば(Yα-Ys)の値を規格化して、反射率Yθの変化度合を正しく反映できるようにしている。
評価工程S5では、FF’値と正反射率Yαとに基づいて、物体表面の金属調質感を評価する。
以上述べたように、本実施形態に係る金属調質感の評価方法によれば、反射光のうち、正反射近傍の比較的狭い範囲の反射角θにおける反射光の情報を用いるだけで、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。従って、本構成によれば、より簡便な方法で、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。また、限られた反射角θの反射光しか計測できないような、例えば凹凸を有する物体表面の金属調質感についても、より精度よく評価することができる。
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
Q値は、基準となる物体表面のFF’値及びYα値(FF’0及びYα0)と、評価対象の物体表面のFF’値及びYα値(FF’x及びYαx)との距離を示している。すなわち、Q値が小さいほど、評価対象の物体表面のFF’値及びYα値(FF’x及びYαx)は、基準となる物体表面のFF’値及びYα値(FF’0及びYα0)に近いといえる。
以下、実験例について説明する。
≪実験例1≫
市販のアルミニウム板(縦約100mm×横約100mm×厚さ約5mm)をサンプルとした。
市販の鉄板(縦約100mm×横約100mm×厚さ約5mm)をサンプルとした。
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ約100μm、東レ株式会社製PICASUS(登録商標))の裏面に、グレーの塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、グレー)を水で約1.5倍(体積比)に薄めてローラー塗布(塗膜厚さ約30~50μm)した。そして、約2時間大気下で乾燥させた後、縦約100mm×横約100mmに切り出した。グレー塗膜が形成された裏面側を市販のポリプロピレン(PP)板(縦約100mm×横約100mm×厚さ約5mm)上に両面テープで貼り付けてサンプルとした。
塗料を黒の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、ブラック)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
塗料を緑の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、グリーン)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
塗料を白の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、ホワイト)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
塗料を赤の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、レッド)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
塗料を青の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、ブルー)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
塗料を塗布しなかった以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
市販の黒画用紙(縦約100mm×横約100mm×厚さ約1mm)を実験例3で使用したPP板と同様のものに貼り付けてサンプルとした。
実験例3で使用したPP板と同様のものをそのままサンプルとした。
変角分光光度計(株式会社村上色彩技術研究所製GSP-2B)を用いて計測を行った。入射角は45°に固定し、受光角は20°から60°に変化させた。計測は1°毎に行った。反射率Yθは、上述のごとく、CIE1931のXYZ表色系のY値である。FF’値及び正反射率Y45°は上述の方法で算出した。
実験例1~9の光学特性計測試験結果を表1、図3、図4及び図7に示す。なお、実験例10,11のサンプルについては、上述のごとく、Y45°値が小さすぎたため、角度θs及び反射率Ysを算出することができず、FF’値を算出することができなかった。
2 光源
3 受光器
12 入射光
13 反射光
N 法線
α 入射角、正反射角
θ 反射角、受光角
θs 第1反射角(反射角)
θm 第2反射角(中間の角度)
Yθ 反射率
Yα 正反射率(反射率)
Ys 第1反射率(反射率)
Ym 第2反射率(反射率)
Claims (6)
- 物体表面に対し所定の入射角αで入射した入射光の反射光を観測し、該反射光の光学特性に基づいて該物体表面の金属調質感を評価する方法であって、
正反射角αを含む所定範囲の反射角θの前記反射光について、前記光学特性としての反射率Yθを計測する工程と、
前記反射角θに対する前記反射率Yθの変化率ΔYθ/Δθが閾値s以上となる反射角θsと、該反射角θsにおける反射率Ysとを算出する工程と、
前記正反射角αと前記反射角θsとの中間の角度θmと、該中間の角度θmにおける反射率Ymとを算出する工程と、
前記正反射角αにおける反射率Yαと、前記反射率Ysと、前記反射率Ymとに基づいて、下記式(1)で表されるFF’値を算出する工程と、
FF’=(Yα-Ys)/Ym ・・・(1)
前記FF’値と前記反射率Yαとに基づいて、前記物体表面の金属調質感を評価する工程と、を備えた
ことを特徴とする金属調質感の評価方法。 - 請求項1において、
前記FF’値及び前記反射率Yαの両者がともに大きいほど前記物体表面の金属調質感は高いと評価する
ことを特徴とする金属調質感の評価方法。 - 請求項1又は請求項2において、
前記所定の入射角αは、45°である
ことを特徴とする金属調質感の評価方法。 - 請求項3において、
前記反射角θsは、35°以上45°以下の角度である
ことを特徴とする金属調質感の評価方法。 - 請求項3又は請求項4において、
前記変化率ΔYθ/Δθの閾値sは1超3未満である
ことを特徴とする金属調質感の評価方法。 - 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
基準となる金属製の物体表面の前記FF’値及び前記反射率YαをそれぞれFF’0及びYα0とし、
評価対象の物体表面の前記FF’値及び前記反射率YαをそれぞれFF’x及びYαxとし、FF’x≦FF’0又はYαx≦Yα0のときに、下記式(2)で表されるQ値が小さいほど、該評価対象の物体表面の金属調質感は高いと評価する
ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
Q={(FF’x-FF’0)2+(Yαx-Yα0)2}1/2 ・・・(2)
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