JP7234800B2 - 金属調質感の評価方法 - Google Patents

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Description

本開示は、金属調質感の評価方法に関するものである。
従来より、反射光を利用して意匠面等の金属調質感を評価することが行われている(例えば、特許文献1,2参照)。
特開2018-54522号公報 特開2015-68813号公報
特許文献1,2の評価方法は、複数種類の情報を組み合わせて意匠面等の金属調質感を評価するものである。従って、これらの評価方法は、評価工程に時間及び手間がかかるという問題があった。
また、これらの評価方法は、例えば明度の計測において比較的広範囲の受光角に亘る反射光の計測が必要である。従って、ある程度平らな領域を有する意匠面等の金属調質感を評価することは可能である。しかし、例えば意匠面等が凹凸を有する場合には、受光角が限られるか、又は、受光角によっては誤差が大きくなりすぎる虞がある。このような凹凸を有する意匠面等については、これらの評価方法では、金属調質感を精度よく評価することが困難である。
本開示は、より簡便な方法で、例えば凹凸を有するような物体表面についても、金属調質感をより精度よく評価することが可能な評価方法を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために、ここに開示する第1の技術に係る金属調質感の評価方法は、物体表面に対し所定の入射角αで入射した入射光の反射光を観測し、該反射光の光学特性に基づいて該物体表面の金属調質感を評価する方法であって、正反射角αを含む所定範囲の反射角θの前記反射光について、前記光学特性としての反射率Yθを計測する工程と、前記反射角θに対する前記反射率Yθの変化率ΔYθ/Δθが閾値s以上となる反射角θと、該反射角θにおける反射率Yとを算出する工程と、前記正反射角αと前記反射角θとの中間の角度θと、該中間の角度θにおける反射率Yとを算出する工程と、前記正反射角αにおける反射率Yαと、前記反射率Yと、前記反射率Yとに基づいて、下記式(1)で表されるFF’値を算出する工程と、
FF’=(Yα-Y)/Y ・・・(1)
前記FF’値と前記反射率Yαとに基づいて、前記物体表面の金属調質感を評価する工程と、を備えたことを特徴とする。
本願発明者らは、金属表面の反射率Yθを計測することにより、正反射の反射率Yαの値が大きいこと、及び、その反射率Yθは正反射の近傍で急激に増加することを見出した。反射率Yαが大きいことは、金属表面の輝きの大きさをもたらすと考えられる。一方、反射率Yθが正反射の近傍で急激に増加することは、金属表面が有する輝きを際立たせる要因としての陰影感の大きさをもたらすと考えられる。本構成では、反射率Yαの大きさ及び正反射近傍における反射率Yθの変化度合という正反射近傍の反射光の情報を用いて物体表面の金属調質感を評価する。具体的には、上記式(1)で定義されるFF’値を正反射近傍での反射率Yθの変化度合を表す指標として設定する。そして、当該FF’値と反射率Yαとに基づいて、物体表面の金属調質感を評価する。本構成によれば、正反射近傍の比較的狭い範囲の反射角θにおける反射光の情報を用いるだけで、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。従って、本構成によれば、より簡便な方法で、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。また、限られた反射角の反射光しか計測できないような、例えば凹凸を有する物体表面の金属調質感についても、より精度よく評価することができる。
第2の技術は、第1の技術において、前記FF’値及び前記反射率Yαの両者がともに大きいほど前記物体表面の金属調質感は高いと評価することを特徴とする。
FF’値が大きいほど、上述の物体表面の陰影感は大きいと考えられる。反射率Yαが大きいほど、物体表面の輝きは強いと考えられる。従って、本構成では、FF’値と反射率Yαの両者がともに大きいほど金属調質感が高いと評価する。これにより、物体表面の金属調質感をより精度よく評価することができる。
第3の技術は、第1の技術又は第2の技術において、前記所定の入射角αは、45°であることを特徴とする。
入射角αが45°のときに、正反射の反射角、すなわち正反射角が45°となり、計測が最も容易となる。従って、本構成によれば、物体表面の金属調質感をより精度よく評価することができる。
第4の技術は、第3の技術において、前記反射角θは、35°以上45°以下の角度であることを特徴とする。
本構成では、反射角θを35°以上45°以下の角度とするから、当該反射角θの範囲を含む比較的狭い範囲の反射角θについて反射光の反射率Yθの計測を行えばよい。本構成によれば、例えば凹凸を有するような反射角が限られる物体表面の金属調質感についても、より精度よく評価することができる。
第5の技術は、第3の技術又は第4の技術において、前記変化率ΔYθ/Δθの閾値sは1超3未満であることを特徴とする。
本構成では、変化率ΔYθ/Δθの閾値sを1超3未満とすることにより、物体表面の陰影感をより精度よく表すことができる。これにより、物体表面の金属調質感をより精度よく評価することができる。
第6の技術は、第1の技術~第5の技術のいずれか一において、基準となる金属製の物体表面の前記FF’値及び前記反射率YαをそれぞれFF’及びYα0とし、評価対象の物体表面の前記FF’値及び前記反射率YαをそれぞれFF’及びYαxとし、FF’≦FF’又はYαx≦Yα0のときに、下記式(2)で表されるQ値が小さいほど、該評価対象の物体表面の金属調質感は高いと評価することを特徴とする。
Q={(FF’-FF’+(Yαx-Yα01/2 ・・・(2)
本構成によれば、上記Q値が小さいほど評価対象の物体表面のFF’値及び反射率Yαは、金属製の物体表面のFF’値及び反射率Yαに近いことになる。このように、評価対象の物体表面の金属調質感を、実際の金属表面の金属調質感に近いかどうかで評価することにより、評価精度をさらに向上させることができる。
以上述べたように、本開示によると、正反射近傍の比較的狭い範囲の反射角θにおける反射光の情報を用いるだけで、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。従って、より簡便な方法で、例えば凹凸を有する物体表面の金属調質感についても、より精度よく評価することができる。
一実施形態に係る金属調質感の評価方法のフローである。 一実施形態に係る金属調質感の評価方法を説明するための図である。 実施例及び比較例の受光角θに対する反射率Yθの変化を示すグラフである。 図3における受光角θが40°以上45°以下の部分の拡大図である。 受光角θ及び反射率Yの決定方法を説明するための図である。 受光角θ及び反射率Yの決定方法を説明するための図である。 実施例及び比較例のFF’値とY45°との関係を示す図である。
以下、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
(実施形態1)
<金属調質感の評価方法>
本実施形態に係る金属調質感の評価方法は、物体表面に対し所定の入射角αで入射した入射光の反射光を観測し、該反射光の光学特性に基づいて該物体表面の金属調質感を評価する方法である。図1に示すように、評価方法は、反射率Yθ計測工程S1と、反射角θ及び反射率Y算出工程S2と、反射角θ及び反射率Y算出工程S3と、FF’値算出工程S4と、評価工程S5とを備える。
-物体-
評価対象である物体は、特に限定されるものではなく、種々の物体であってよい。例えば形状についても特に制限はなく、例えば凹凸を有するような物体であってもよい。本実施形態に係る評価方法は、そのような凹凸を有するような物体表面の局所的な金属調質感を評価することにも適している。また、物体の材質も特に限定されず、例えば金属、樹脂、ゴム、木、コンクリート、これらの表面に塗装を施したもの等であってもよい。物体としては、特に、金属調の質感を有するとともに意匠性が求められるものが望ましい。物体の具体例としては、例えばパソコン、携帯電話、タブレット、オーディオ、エアコン、照明機器の筐体等の電気、電子機器部品等が挙げられる。また、他の具体例としては、フェンダ、エンジンカバー、ボンネット、ルーフ、ドア、フロントパネル、サイドパネル、リアパネル、フロントボディ、リフトゲート、各種メンバ、各種フレーム、バンパー、アンダーカバー、インストルメントパネル、シートフレーム、ドアトリム、ピラートリム等の自動車、二輪車等の車両用部品が挙げられる。また、他の具体例としては、ランディングギアポッド、ウィングレット、スポイラー、エッジ、ラダー、エレベーター、フェイリング、リブ等の航空機用部品が挙げられる。
-反射率Yθ計測工程-
反射率Yθ計測工程S1では、まず、物体表面に対して所定の入射角αで光を入射させる。そして、正反射角αを含む所定範囲の反射角θの反射光について、上述の光学特性としての反射率Yθを計測する。
計測は、例えば、入射光を生成する光源と、反射光を検出する受光器とを用いて行うことができる。光源としては、キセノンランプ、ハロゲンランプ等の光学特性計測に用いられる一般的な公知の光源を用いることができる。受光器としては、反射光の反射率Yθを計測できるものであれば、一般的な公知の受光器を使用することができる。また、そのような光源と受光器とを備えた装置として、市販の変角分光光度計が挙げられる。変角分光光度計では、光源から物体表面に対して所定の入射角で光が入射され、その反射光を所定の受光角の位置に配置した受光器で検出する。
具体的には、図2中破線矢印で示すように、物体表面1の計測対象個所における法線をNとすると、当該法線Nに対し入射角αで光源2から入射光12が入射される。そして、法線Nに対し反射角θで反射した反射光13を、受光角θの位置に配置された受光器3で検出する。なお、受光器3の受光角θは、法線Nに対する受光器3の角度であり、反射光13の反射角θと同一である。以下の説明では、「受光角」を「反射角」、「反射角」を「受光角」と称することがある。
変角分光光度計は、光源2及び受光器3の各々の角度を自動変角することにより、入射光12の入射角α、及び、反射光13の受光角θ、すなわち反射角θを任意に設定することができる。
なお、入射光12の入射角がαのとき、図2中一点鎖線で示すように、正反射の反射角θは、αとなる(本明細書において、「正反射角α」と称することがある)。受光角θは、正反射角αを含む所定範囲であり、例えば(α-25)°以上(α+25)°以下である。入射角αが45°のときに、正反射角αは45°となるから、受光角θは例えば20°以上60°以下とすることができる。
また、入射角αが45°、正反射角αが45°のときに、計測は最も容易となり且つ計測の精度も高くなる。従って、計測の容易性及び精度向上の観点から、所定の入射角αは、30°以上60°以下であることが好ましく、特に45°であることが好ましい。
反射光の反射率Yθは、視感反射率ともいい、CIE1931のXYZ表色系のY値である。上述のごとく、受光角θは、正反射角αを含むから、反射率Yは、正反射の反射率である正反射率Yαを含む。反射率Yθは、物体表面の反射光の明るさ、すなわち輝きの強度を示している。反射率Yθ、特に正反射率Yαが大きいほど、物体表面の輝きは強く、物体表面の輝きがより鮮やかであると判断できる。
図3は、後述する実験例のサンプルの反射率Yθの計測結果であり、符号E1~E9は、それぞれ実験例1~9を示している。なお、後述するように入射光の入射角は45°である。実験例1はアルミニウム板、実験例2は鉄板であるが、反射率Yθは、いずれも受光角45°において最大となっている。そして、受光角45°の反射光の反射率、すなわち正反射率Y45°の値は、他の実験例3~9の正反射率Y45°の値に比べても大きいことが判る。これは、実験例1,2の金属表面の輝きの強度が、他の実験例のサンプル、すなわち金属製ではない物体表面の輝きの強度に比べて強いことを示している。
-反射角θ及び反射率Y算出工程-
反射角θ及び反射率Y算出工程S2は、上述の反射率Yθのデータから、反射角θと、反射率Yとを算出する工程である。
反射角θは、反射角θに対する反射率Yθの変化率ΔYθ/Δθが閾値s以上となる反射角である。以下の説明では、反射角θを便宜的に「第1反射角θ」と称する。
また、反射率Yは、この第1反射角θにおける反射率である。以下の説明では、反射率Yを便宜的に「第1反射率Y」と称する。
図4は、図3のグラフの受光角40°~45°の部分を拡大したものである。図4に示すように、実験例1,2の金属表面では、受光角43°近傍において反射率Yθは急激に増加している。
この急激な増加は、金属表面が有する輝きを際立たせる要因としての陰影感の大きさに関係している。詳細には、金属表面において、輝きを与える反射角45°の反射光の強度は強い一方、輝きに寄与しない反射角θの反射光の反射率Yθは小さい。このことは、金属表面の輝きを与える明るい部分と暗い部分との差が大きいことを示している。そして、反射率Yθの急激な増加は、暗い部分から明るい部分への変化が急激に起こっていることを示している。このことは、明るい部分の周辺が急激に暗くなっていること、すなわち金属表面の輝きを与える明るい部分を際立たせる陰影感が大きいことを示している。
反射率Yθの急激な増加は、反射角θに対する反射率Yθの変化率ΔYθ/Δθにより表現できる。言い換えると、変化率ΔYθ/Δθが急激に増加し始める反射角θを反射率Yθの急激な増加の開始位置と定義することができる。
例えば、受光器3の受光角θを連続的に変化させることができる装置を用いる場合には、反射角θに対する反射率Yθの値は連続的に変化する曲線として得られると考えられる。そのような場合は、変化率ΔYθ/Δθは微分値dYθ/dθとなる。そして、変化率dYθ/dθの値が閾値s以上となるθを第1反射角θ、第1反射角θにおける反射率Yθを第1反射率Yとすることができる。
一方、図3及び図4の計測結果は、受光角θを1°毎に変化させて反射率Yθを計測したものである。この場合、図5に示すように、反射率Yθの計測結果は不連続な値となる。このような場合は、反射角θにおける変化率ΔYθ/Δθ(=Kθ)は、ΔYθ=Yθ-Yθ-1、Δθ=1であるから、Kθ=Yθ-Yθ-1で表される。そして、Kθ/Kθ-1≧sとなるθを第1反射角θ、第1反射角θにおける反射率Yθを第1反射率Yとすることができる。
変化率ΔYθ/Δθの閾値sは、好ましくは1超3未満であり、より好ましくは1.5以上2.5以下であり、特に好ましくは1.8以上2.2以下である。閾値sが1以下では、反射率Yθの変化がなだらかであり、金属表面が有する輝きを際立たせる要因としての陰影感が不足する虞がある。閾値sが3を超えると、反射率Yθの急激な増加の開始位置を精度よく捉えることができず、金属調質感の評価の精度が低下する虞がある。
また、第1反射角θは、評価対象の物体表面の光学特性により決定されるが、(α-10)°以上α以下であることが望ましい。これにより、限られた受光角θの幅においても容易に物体表面の金属調質感をより精度よく評価することができる。特に、入射角αが45°のときは、第1反射角θは35°以上45°以下の角度であることが望ましい。
-反射角θ及び反射率Y算出工程-
反射角θ及び反射率Y算出工程S3は、中間の角度θと、反射率Yとを算出する工程である。図6に示すように、中間の角度θは、正反射角αと上述の第1反射角θとの中間の角度であり、θ=(α+θ)/2で表される。そして、この中間の角度θにおける反射率Yを算出する。以下の説明では、反射角θ及び反射率Yを便宜的にそれぞれ「第2反射角θ」及び「第2反射率Y」と称する。
-FF’値算出工程-
FF’値算出工程S4は、正反射率Yαと、第1反射率Yと、第2反射率Yとに基づいて、下記式(1)で表されるFF’値を算出する工程である。
FF’=(Yα-Y)/Y ・・・(1)
FF’値は、正反射近傍における反射率Yθの変化度合を表している。なお、(Yα-Y)の値は、Yαの値が大きいほど大きくなるため、反射率Yθの変化度合を正しく反映することができない。従って、FF’値は、Yα-Yの値を上述のYの値で割ることにより、いわば(Yα-Y)の値を規格化して、反射率Yθの変化度合を正しく反映できるようにしている。
図7は、各実験例のFF’値と正反射率Yαとの関係を示したグラフである。
図7に示すように、実験例1,2の金属表面では、他の実験例に比べて、FF’値が大きくなっている。すなわち、FF’値が大きくなるほど、物体表面が有する輝きを際立たせる要因としての陰影感が大きくなると考えられる。
-評価工程-
評価工程S5では、FF’値と正反射率Yαとに基づいて、物体表面の金属調質感を評価する。
図3、図4及び図7に示すように、実験例1,2の金属表面では、他の実験例の物体表面に比べて、FF’値及び正反射率Yαのいずれも大きい結果になっている。すなわち、正反射率Yαが大きいほど、物体表面の輝きは強く鮮やかであることが判る。また、FF’値が大きいほど、物体表面の陰影感は大きいことが判る。ゆえに、物体表面の金属調質感は、FF’値及び正反射率Yαの両者がともに大きいほど、高くなると考えられる。
従って、本実施形態に係る評価工程S5では、図7中白抜き矢印で示すように、FF’値及び正反射率Yαの両者がともに大きいほど、物体表面の金属調質感は高いと評価する。
図7に示すように、実験例3~9を比較すると、実験例3,4のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの裏面にそれぞれグレー及び黒の塗膜を形成したサンプルは、他のサンプルに比べて、FF’値及び正反射率Yαのいずれも大きく、金属調質感が高いと評価できる。また、実験例7のPETフィルムの裏面に赤の塗膜を形成したサンプルでは、実験例3~9のサンプルの中で最もFF’値が大きく陰影感が高いことが判る。なお実験例7のサンプルはFF’値は大きいものの正反射率Yαが小さいため、輝きの強度という点で、金属調質感は、例えば実験例3,4のサンプルよりも低い可能性がある。
図7には示していないが、実験例10,11では、正反射率Yαが小さすぎるために、θ、Y及びFF’値を算出することができなかった。これにより、実験例10,11のサンプルには、金属調質感はほとんどないと結論付けることができる。
図7には示していないが、例えば、実験例1,2のサンプルのFF’値及び正反射率Yαを超えるようなFF’値及び正反射率Yαを有する材料が存在すれば、当該材料の表面の金属調質感は非常に高いと評価することができると考えられる。
<作用効果>
以上述べたように、本実施形態に係る金属調質感の評価方法によれば、反射光のうち、正反射近傍の比較的狭い範囲の反射角θにおける反射光の情報を用いるだけで、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。従って、本構成によれば、より簡便な方法で、物体表面の金属調質感を精度よく評価することができる。また、限られた反射角θの反射光しか計測できないような、例えば凹凸を有する物体表面の金属調質感についても、より精度よく評価することができる。
(実施形態2)
以下、本開示に係る他の実施形態について詳述する。なお、これらの実施形態の説明において、実施形態1と同じ部分については同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
実施形態1では、評価工程S5において、FF’値及びYαの両者がともに大きいほど金属調質感が高いと評価する構成であったが、他の評価手法を採用することもできる。具体的には例えば、基準となる金属製の物体表面のFF’値及びYα値をそれぞれFF’及びYα0とする。そして、評価対象の物体表面のFF’値及びYα値をそれぞれFF’及びYαxとする。FF’≦FF’又はYαx≦Yα0のときに、下記式(2)で表されるQ値が小さいほど、金属調質感が高いと評価する。
Q={(FF’-FF’+(Yαx-Yα01/2 ・・・(2)
Q値は、基準となる物体表面のFF’値及びYα値(FF’及びYα0)と、評価対象の物体表面のFF’値及びYα値(FF’及びYαx)との距離を示している。すなわち、Q値が小さいほど、評価対象の物体表面のFF’値及びYα値(FF’及びYαx)は、基準となる物体表面のFF’値及びYα値(FF’及びYα0)に近いといえる。
より具体的には、例えば実験例1のサンプル(アルミニウム板)の表面を基準となる金属製の物体表面とする。このとき、実験例1のサンプルのFF’値及びYα値は、FF’及びYα0である。そして、実験例2~9のサンプルの表面を評価対象の物体表面とする。このとき、実験例2~9のサンプルのFF’値及びYα値は、FF’及びYαxである。上記式(2)によりQ値を算出すると(実験例の項目における表1参照)、実験例2~9のサンプルの中で、実験例2の鉄板のサンプルのQ値が最も小さいことが判る。実験例2の鉄板は金属であるから、実験例1のアルミニウム板とFF’値及びYα値が近くなることは妥当と考えられる。また、金属以外のサンプル、すなわち実験例3~9のサンプルでは、実験例3のサンプルが最もQ値が小さく金属調質感が最も高いことが判る。
本構成によれば、評価対象の物体表面の金属調質感を、Q値という定量的な指標を用い、実際の金属表面の金属調質感に近いかどうかという基準で評価するから、評価精度をさらに向上させることができる。
なお、FF’>FF’及びYαx>Yα0の場合は、実施形態1と同様に、FF’及びYαxの値が大きいほど金属調質感は高いと評価することができる。
また、FF’>FF’及びYαx>Yα0の場合も、Q値が小さいほど、金属調質感は高いと評価してもよい。この場合、FF’>FF’及びYαx>Yα0の領域では、実施形態1の評価と逆の評価となる。なお、FF’>FF’及びYαx>Yα0の領域における評価手法は、試験者の目視評価等と併せて適宜選択することができる。
<実験例>
以下、実験例について説明する。
(サンプル作製)
≪実験例1≫
市販のアルミニウム板(縦約100mm×横約100mm×厚さ約5mm)をサンプルとした。
≪実験例2≫
市販の鉄板(縦約100mm×横約100mm×厚さ約5mm)をサンプルとした。
≪実験例3≫
ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(厚さ約100μm、東レ株式会社製PICASUS(登録商標))の裏面に、グレーの塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、グレー)を水で約1.5倍(体積比)に薄めてローラー塗布(塗膜厚さ約30~50μm)した。そして、約2時間大気下で乾燥させた後、縦約100mm×横約100mmに切り出した。グレー塗膜が形成された裏面側を市販のポリプロピレン(PP)板(縦約100mm×横約100mm×厚さ約5mm)上に両面テープで貼り付けてサンプルとした。
≪実験例4≫
塗料を黒の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、ブラック)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
≪実験例5≫
塗料を緑の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、グリーン)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
≪実験例6≫
塗料を白の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、ホワイト)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
≪実験例7≫
塗料を赤の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、レッド)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
≪実験例8≫
塗料を青の塗料(日本ペイント株式会社製、水性フレッシュワイド、ブルー)とした以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
≪実験例9≫
塗料を塗布しなかった以外は実験例3と同様の方法でサンプルを作製した。
≪実験例10≫
市販の黒画用紙(縦約100mm×横約100mm×厚さ約1mm)を実験例3で使用したPP板と同様のものに貼り付けてサンプルとした。
≪実験例11≫
実験例3で使用したPP板と同様のものをそのままサンプルとした。
(光学特性計測試験)
変角分光光度計(株式会社村上色彩技術研究所製GSP-2B)を用いて計測を行った。入射角は45°に固定し、受光角は20°から60°に変化させた。計測は1°毎に行った。反射率Yθは、上述のごとく、CIE1931のXYZ表色系のY値である。FF’値及び正反射率Y45°は上述の方法で算出した。
(光学特性計測試験結果)
実験例1~9の光学特性計測試験結果を表1、図3、図4及び図7に示す。なお、実験例10,11のサンプルについては、上述のごとく、Y45°値が小さすぎたため、角度θ及び反射率Yを算出することができず、FF’値を算出することができなかった。
Figure 0007234800000001
本開示は、金属調質感の評価方法の分野において、極めて有用である。
1 物体表面
2 光源
3 受光器
12 入射光
13 反射光
N 法線
α 入射角、正反射角
θ 反射角、受光角
θ 第1反射角(反射角)
θ 第2反射角(中間の角度)
θ 反射率
α 正反射率(反射率)
第1反射率(反射率)
第2反射率(反射率)

Claims (6)

  1. 物体表面に対し所定の入射角αで入射した入射光の反射光を観測し、該反射光の光学特性に基づいて該物体表面の金属調質感を評価する方法であって、
    正反射角αを含む所定範囲の反射角θの前記反射光について、前記光学特性としての反射率Yθを計測する工程と、
    前記反射角θに対する前記反射率Yθの変化率ΔYθ/Δθが閾値s以上となる反射角θと、該反射角θにおける反射率Yとを算出する工程と、
    前記正反射角αと前記反射角θとの中間の角度θと、該中間の角度θにおける反射率Yとを算出する工程と、
    前記正反射角αにおける反射率Yαと、前記反射率Yと、前記反射率Yとに基づいて、下記式(1)で表されるFF’値を算出する工程と、
    FF’=(Yα-Y)/Y ・・・(1)
    前記FF’値と前記反射率Yαとに基づいて、前記物体表面の金属調質感を評価する工程と、を備えた
    ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
  2. 請求項1において、
    前記FF’値及び前記反射率Yαの両者がともに大きいほど前記物体表面の金属調質感は高いと評価する
    ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
  3. 請求項1又は請求項2において、
    前記所定の入射角αは、45°である
    ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
  4. 請求項3において、
    前記反射角θは、35°以上45°以下の角度である
    ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
  5. 請求項3又は請求項4において、
    前記変化率ΔYθ/Δθの閾値sは1超3未満である
    ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
    基準となる金属製の物体表面の前記FF’値及び前記反射率YαをそれぞれFF’及びYα0とし、
    評価対象の物体表面の前記FF’値及び前記反射率YαをそれぞれFF’及びYαxとし、FF’≦FF’又はYαx≦Yα0のときに、下記式(2)で表されるQ値が小さいほど、該評価対象の物体表面の金属調質感は高いと評価する
    ことを特徴とする金属調質感の評価方法。
    Q={(FF’-FF’+(Yαx-Yα01/2 ・・・(2)
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