JP7234532B2 - ジベンゾ[g,p]クリセン化合物 - Google Patents

ジベンゾ[g,p]クリセン化合物 Download PDF

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本開示は、特定の構造を有するジベンゾ[g,p]クリセン化合物に関する。
有機エレクトロルミネッセンス素子用の材料として、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物が使用されることがあるが、該ジベンゾ[g,p]クリセン化合物の報告例は少なく、その研究は十分になされていない。
特許文献1は、種々のモノアミン誘導体を開示しており、その中の1つとしてジフェニルアミノ基で置換されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物を開示している。さらに、特許文献2及び特許文献3は、それぞれ、4つのアリールアミノ基及び2つのアリールアミノ基で置換されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物を開示している。
国際公開第2012/018120号 国際公開第00/27946号 特許第4968333号公報
上記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物について、本発明者等はさらなる検討を重ねた。その結果、特許文献1~3にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、電荷輸送能においてさらなる改善の余地があることがわかった。特に、特許文献1にかかるジフェニルアミノ基で置換されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、素子寿命の面では充分であるものの、電荷輸送能が市場からの要求のレベルに対して不足しているため、更なる改善が強く求められていることを本発明者等が新たに見出した。
そこで、本開示の一態様は、優れた電荷輸送能を発揮するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を提供することに向けられている。
本開示の一態様にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物である:
Figure 0007234532000001
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
重水素原子、
フッ素原子、
トリフルオロメチル基、
ヘキサフルオロエチル基、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は、0以上3以下の整数であり;
式(3)中のk1~k4の少なくともいずれか1つは、1以上の整数であり;
k1~k4が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
本開示の一態様によれば優れた電荷輸送能を発揮するジベンゾ[g,p]クリセン化合物を提供することができる。
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。 本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の他の積層構成の例(素子実施例1-1の構成)を示す概略断面図である。
以下、本開示の一態様にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物をさらに詳細に説明する。
<ジベンゾ[g,p]クリセン化合物>
本開示の一態様にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物である:
Figure 0007234532000002
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
重水素原子、
フッ素原子、
トリフルオロメチル基、
ヘキサフルオロエチル基、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は、0以上4以下の整数であり;
式(3)中のk1~k4の少なくともいずれか1つは、1以上の整数であり;
k1~k4が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物におけるA~A、およびk1~k4の定義は次のとおりである。
<<A~Aについて>>
~Aは、それぞれ独立して、(a-1)重水素原子、(a-2)フッ素原子、(a-3)置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、(a-4)置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、(a-5)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、(a-6)炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基、(a-7)トリフルオロメチル基、(a-8)ヘキサフルオロエチル基、であることが好ましい。
~Aが置換基を有する場合、A~Aは、1つの置換基で置換されていてもよく、2つ以上の置換基で置換されていてもよい。
(a-3):炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基
式(1)~(4)において、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ビフェニリル基、ターフェニリル基、ナフチル基、フルオレニル基、アントリル基、フェナントリル基、ベンゾフルオレニル基、トリフェニレニル基、スピロビフルオレニル基、およびジフェニルフルオレニル基、等が挙げられる。また、炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基が、炭素数6~25の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基であることが好ましく、炭素数6~18の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基であることがより好ましい。
なお、(a-3)の芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、n-ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、およびオクタデシル基等が挙げられる。
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、i-プロポキシ基、n-ブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ドデシルオキシ基、およびオクタデシルオキシ基等が挙げられる。
(a-4):炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基
式(1)~(4)において、炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基としては、特に限定されるものではないが、酸素原子、窒素原子、及び硫黄原子からなる群より選ばれる少なくとも1つの原子を芳香環上に含有する炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基である。該ヘテロ芳香族基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ピロリル基、チエニル基、フリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、オキサゾリル基、イソオキサゾリル基、ピリジル基、フェニルピリジル基、ピリジルフェニル基、ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、1,3,5-トリアジルフェニル基、1,3,5-トリアジルビフェニリル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジル基、インドリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、インダゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、キノキサリル基、キナゾリル基、カルバゾリル基、9-フェニルカルバゾリル基、9-(4-ビフェニリル)カルバゾリル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、フェノキサジニル基、フェノチアジニル基、フェナジン基、およびチアントレニル基等が挙げられる。
なお、(a-4)のヘテロ芳香族基が置換基を有する場合、該置換基は、それぞれ独立して、フッ素原子、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基であることが好ましい。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
(a-5):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基
式(1)において、炭素数1~18の直鎖のアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基と同じものが挙げられる。
(a-6):炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基
式(1)~(4)において、炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、前述した(a-3)で例示した炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基と同じものが挙げられる。
<<<k1~k4について>>>
k1~k3は、それぞれ独立して、0~4の整数である。
k4は、0以上3以下の整数である。
式(3)中のk1~k4の少なくともいずれか1つは、1以上の整数である。
なお、k1~k4が2以上の整数である場合、A~Aは複数存在するが、複数のA~Aは互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
k1、k2、およびk4は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、0、1、又は2であることが好ましく、0であることがより好ましい。
k3は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、0、1又は2であることが好ましく、0又は1であることがより好ましい。
上記式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子における優れた電荷輸送能を実現する観点から、k1およびk2が0であることが好ましく、k1、k2およびk4が0、且つk3が1であることがより好ましい。
式(1)、(2)、および(4)において、
k3が0である、または、
k3が1以上4以下の整数であり、かつ、Aが、それぞれ独立して、重水素原子、フッ素原子、メチル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチエニル基であることがより好ましい。
式(3)において、
k3が1以上4以下の整数であり、かつ、Aが、それぞれ独立して、重水素原子、フッ素原子、メチル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチエニル基であることがより好ましい。
1~Aの具体例としては、特に限定されるものではないが、例えば、以下に示す(1)~(22)の基等が好ましい例として挙げられる。
(1):メチル基、エチル基、フッ素原子、重水素原子、トリフルオロメチル基、ヘキサフルオロエチル基
(2):フェニル基、4-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、2-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基、2,5-ジメチルフェニル基、3,4-ジメチルフェニル基、3,5-ジメチルフェニル基、2,6-ジメチルフェニル基、2,3,5-トリメチルフェニル基、2,3,6-トリメチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、3,4,5-トリメチルフェニル基
(3):4-ビフェニル基、3-ビフェニル基、2-ビフェニル基、2-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4’-メチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,6-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、3,2’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,3’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,4’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,5’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、2’,6’-ジメチル-1,1’-ビフェニル-4-イル基、4-フェニルビフェニル基、2-フェニルビフェニル基
(4):1-ナフチル基、2-ナフチル基、2-メチルナフタレン-1-イル基、4-メチルナフタレン-1-イル基、6-メチルナフタレン-2-イル基、4-(1-ナフチル)フェニル基、4-(2-ナフチル)フェニル基、3-(1-ナフチル)フェニル基、3-(2-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(1-ナフチル)フェニル基、3-メチル-4-(2-ナフチル)フェニル基、4-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルナフタレン-1-イル)フェニル基、4-フェニルナフタレン-1-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-1-イル基、6-フェニルナフタレン-2-イル基、4-(2-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(3-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基、4-(4-メチルフェニル)ナフタレン-2-イル基
(5):2-フルオレニル基、9,9-ジメチル-2-フルオレニル基、9,9’-スピロビフルオレニル基、9-フェナントリル基、2-フェナントリル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[a]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[b]フルオレン-3-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-9-イル基、11,11’-ジメチルベンゾ[c]フルオレン-2-イル基、3-フルオランテニル基、8-フルオランテニル基
(6):1-イミダゾリル基、2-フェニル-1-イミダゾリル基、2-フェニル-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2,3,4-トリフェニル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジメチル-1-イミダゾリル基、2-(2-ナフチル)-3,4-ジフェニル-1-イミダゾリル基、1-メチル-2-イミダゾリル基、1-エチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4-フェニル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-メチル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジメチル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジフェニル-2-イミダゾリル基、1-フェニル-4,5-ジビフェニリル-2-イミダゾリル基
(7):1-メチル-3-ピラゾリル基、1-フェニル-3-ピラゾリル基、1-メチル-4-ピラゾリル基、1-フェニル-4-ピラゾリル基、1-メチル-5-ピラゾリル基、1-フェニル-5-ピラゾリル基
(8):2-チアゾリル基、4-チアゾリル基、5-チアゾリル基、3-イソチアゾリル基、4-イソチアゾリル基、5-イソチアゾリル基
(9):2-オキサゾリル基、4-オキサゾリル基、5-オキサゾリル基、3-イソオキサゾリル基、4-イソオキサゾリル基、5-イソオキサゾリル基
(10):2-ピリジル基、3-メチル-2-ピリジル基、4-メチル-2-ピリジル基、5-メチル-2-ピリジル基、6-メチル-2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-メチル-3-ピリジル基、4-ピリジル基、2-ピリミジル基、2,2’-ビピリジン-3-イル基、2,2’-ビピリジン-4-イル基、2,2’-ビピリジン-5-イル基、2,3’-ビピリジン-3-イル基、2,3’-ビピリジン-4-イル基、2,3’-ビピリジン-5-イル基、5-ピリミジル基、ピラジル基、1,3,5-トリアジル基、4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル基
(11):1-ベンゾイミダゾリル基、2-メチル-1-ベンゾイミダゾリル基、2-フェニル-1-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-2-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-5-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジメチル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-2-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-フェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1,2-ジフェニル-6-ベンゾイミダゾリル基、1-メチル-3-インダゾリル基、1-フェニル-3-インダゾリル基
(12):2-ベンゾチアゾリル基、4-ベンゾチアゾリル基、5-ベンゾチアゾリル基、6-ベンゾチアゾリル基、7-ベンゾチアゾリル基、3-ベンゾイソチアゾリル基、4-ベンゾイソチアゾリル基、5-ベンゾイソチアゾリル基、6-ベンゾイソチアゾリル基、7-ベンゾイソチアゾリル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル基、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル基
(13):2-ベンゾオキサゾリル基、4-ベンゾオキサゾリル基、5-ベンゾオキサゾリル基、6-ベンゾオキサゾリル基、7-ベンゾオキサゾリル基、3-ベンゾイソオキサゾリル基、4-ベンゾイソオキサゾリル基、5-ベンゾイソオキサゾリル基、6-ベンゾイソオキサゾリル基、7-ベンゾイソオキサゾリル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-4-イル基、2,1,3-ベンゾオキサジアゾリル-5-イル基
(14):2-キノリル基、3-キノリル基、5-キノリル基、6-キノリル基、1-イソキノリル基、4-イソキノリル基、5-イソキノリル基、2-キノキサリル基、3-フェニル-2-キノキサリル基、6-キノキサリル基、2,3-ジメチル-6-キノキサリル基、2,3-ジフェニル-6-キノキサリル基、2-キナゾリル基、4-キナゾリル基、2-アクリジニル基、9-アクリジニル基、1,10-フェナントロリン-3-イル基、1,10-フェナントロリン-5-イル基
(15):2-チエニル基、3-チエニル基、2-ベンゾチエニル基、3-ベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基
(16):2-フラニル基、3-フラニル基、2-ベンゾフラニル基、3-ベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基
(17):9-メチルカルバゾール-2-イル基、9-メチルカルバゾール-3-イル基、9-メチルカルバゾール-4-イル基、9-フェニルカルバゾール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-3-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-2-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-3-イル基、9-ビフェニルカルバゾール-4-イル基
(18):2-チアントリル基、10-フェニルフェノチアジン-3-イル基、10-フェニルフェノチアジン-2-イル基、10-フェニルフェノキサジン-3-イル基、10-フェニルフェノキサジン-2-イル基
(19):1-メチルインドール-2-イル基、1-フェニルインドール-2-イル基、9-フェニルカルバゾール-4-イル基
(20):4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、3-(2-ピリジル)フェニル基、3-(3-ピリジル)フェニル基、3-(4-ピリジル)フェニル基
(21):4-(2-フェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-フェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2,3,4-トリフェニルイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチル-4,5-ジフェニルイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、4-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、4-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-メチルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(2-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基、3-(1-メチルベンゾイミダゾール-2-イル)フェニル基、3-(1-フェニルベンゾイミダゾール-1-イル)フェニル基
(22):4-(2-チエニル)フェニル基、4-(2-フラニル)フェニル基、5-フェニルチオフェン-2-イル基、5-フェニルフラン-2-イル基、4-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、4-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルチオフェン-2-イル)フェニル基、3-(5-フェニルフラン-2-イル)フェニル基、4-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ベンゾチエニル)フェニル基、3-(3-ベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾチエニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾチエニル)フェニル基、4-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、4-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(2-ジベンゾフラニル)フェニル基、3-(4-ジベンゾフラニル)フェニル基、5-フェニルピリジン-2-イル基、4-フェニルピリジン-2-イル基、5-フェニルピリジン-3-イル基、4-(9-カルバゾリル)フェニル基、3-(9-カルバゾリル)フェニル基
式(1)~(4)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物において、A~Aは、原料入手の容易性の点で、それぞれ独立して、
フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、カルバゾリル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;
フッ素原子、メチル基、であることが好ましい。
また、A~Aは、それぞれ独立して、
フェニル基、2-ビフェニリル基、3-ビフェニル基、4-ビフェニル基、4-(2-ピリジル)フェニル基、4-(3-ピリジル)フェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、4-テルフェニリル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基、9-フェナントリル基、1-ピレニル基、2-(9,9-スピロビ[9H-フルオレニル])基、4-(9,9-スピロビ[9H-フルオレニル])基、2-トリフェニレニル基、1-ジベンゾチエニル基、2-ジベンゾチエニル基、3-ジベンゾチエニル基、4-ジベンゾチエニル基、1-ジベンゾフラニル基、2-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、4-ジベンゾフラニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、4-ピリミジル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、2-ベンゾフルオレニル基、9-アントリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、9-カルバゾリル基、または、これらの基が、フッ素原子メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換されていた基;
フッ素原子、又はメチル基であることがより好ましい。
さらに、A~Aは、それぞれ独立して、
フェニル基、4-ビフェニル基、4-(4-ピリジル)フェニル基、9-フェナントリル基、2-(9,9-スピロビ[9H-フルオレニル])基、4-(9,9-スピロビ[9H-フルオレニル])基、1-ジベンゾチエニル基、3-ジベンゾチエニル基、1-ジベンゾフラニル基、3-ジベンゾフラニル基、2-ピリジル基、3-ピリジル基、4-ピリジル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;
2-フルオレニル基、3-フルオレニル基、9-アントリル基、2-カルバゾリル基、3-カルバゾリル基、4-カルバゾリル基、9-カルバゾリル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;
フッ素原子、又はメチル基であることが特に好ましい。
以下に、式(1)~(4)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物について、好ましい化合物を例示するが、該ジベンゾ[g,p]クリセン化合物はこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0007234532000003
Figure 0007234532000004
Figure 0007234532000005
Figure 0007234532000006
Figure 0007234532000007
Figure 0007234532000008
Figure 0007234532000009
Figure 0007234532000010
Figure 0007234532000011
Figure 0007234532000012
Figure 0007234532000013
Figure 0007234532000014
Figure 0007234532000015
Figure 0007234532000016
Figure 0007234532000017
Figure 0007234532000018
Figure 0007234532000019
Figure 0007234532000020
Figure 0007234532000021
Figure 0007234532000022
Figure 0007234532000023
Figure 0007234532000024
式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、製造時における収量及び純度の観点から、下記式(1’)~(4’)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物を原料として用い、公知の方法(例えば、Tetrahedron Letters,1998年,第39巻,2367頁に記載の方法)によって合成することが好ましい。
Figure 0007234532000025
式中、
~Aは、それぞれ独立して、
置換基を有していてもよい炭素数6~30の単環、連結、若しくは縮環の芳香族炭化水素基、
置換基を有していてもよい炭素数3~36の単環、連結、若しくは縮環のヘテロ芳香族基、
重水素原子、
フッ素原子、
トリフルオロメチル基、
ヘキサフルオロエチル基、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルキル基、または、
炭素数1~18の直鎖もしくは分岐のアルコキシ基を表し;
は、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子を表し;
k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
k4は、0以上3以下の整数であり;
式(3’)中のk1~k4の少なくともいずれか1つは、1以上の整数であり;
k1~k4が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
式(1’)~(4’)のいずれか1つにおいて、A~A、およびk1~k4の定義は、前述した式(1)~(4)における定義と同じである。
X1は、原料入手性の観点から、塩素原子又は臭素原子であることが好ましく、塩素原子であることがより好ましい。
式(1)~(4)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、それぞれ、対応する式(1’)~(4’)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物と、式(5)で表されるジフェニルアミンとを、塩基の存在下、銅触媒又はパラジウム触媒を用いてカップリング反応させることによって合成することができる。
Figure 0007234532000026
式(1’)~(4’)で表されるハロゲン化されたジベンゾ[g,p]クリセン化合物と、式(5)で表されるジフェニルアミンとをカップリング反応させる方法としては、一般公知の方法を用いることができ、前記の塩基、銅触媒、及びパラジウム触媒についても、一般公知のものを用いることができる。
式(1’)~(4’)及び(5)で表される化合物は、一般公知の方法に基づいて合成することができるし、市販されている化合物を用いることもできる。
<有機エレクトロルミネッセンス素子用材料>
式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料として使用することができる。したがって、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物を含む。なお、以下において「式(1)~(4)のいずれか1つで表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物」を、単に「ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)」とも称する。ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)は、電荷輸送特性や素子寿命の点で、高純度であることが好ましい。具体的には、ハロゲン原子や遷移金属元素による不純物や、製造原料や副生成物等の不純物が極力少ないものが好ましい。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、正孔輸送性の層(陽極と発光層との間の正孔輸送性を有する各層であり、具体的には、正孔注入層、正孔輸送層等が挙げられる)、発光層、又は電子輸送性の層(陰極と発光層との間の電子輸送性を有する各層であり、具体的には、電子注入層、電子輸送層等が挙げられる)を形成する材料として用いることができる。これらの中でも、正孔輸送層の材料として用いられることが特に好ましい。なお、正孔輸送層が第一正孔輸送層と第二正孔輸送層とからなる2層に機能分離された構成である場合、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)は第一正孔輸送層(陽極側)および第二正孔輸送層(陰極側)のいずれか一方、あるいは両方の材料として用いられてもよい。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を、有機エレクトロルミネッセンス素子の正孔輸送性の層の材料、発光層の材料、又は電子輸送性の層の材料として使用する際には、従来から使用されている公知の蛍光発光材料、燐光発光材料、又は熱活性化遅延蛍光発光材料を発光層に使用することができる。発光層は1種類の発光材料のみで形成されていてもよく、ホスト材料中に1種類以上の発光材料がドープされていてもよい。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む正孔輸送性の層は、単層であってもよく、複数の層からなる積層構成であってもよい。単層の場合、正孔輸送性の層はジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)からなっていてもよいし、該ジベンゾ[g,p]クリセン化合物に加えてさらに1種類以上の公知の材料を含有していてもよい。積層構成である場合は、単層の場合に加えてさらに1種類以上の公知の材料を含む層が積層されてなる。当該公知の材料としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノフェニル、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-〔1,1’-ビフェニル〕-4,4’-ジアミン(TPD)、2,2-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラ-p-トリル-4,4’-ジアミノビフェニル、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、ビス(4-ジメチルアミノ-2-メチルフェニル)フェニルメタン、ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)フェニルメタン、N,N’-ジフェニル-N,N’-ジ(4-メトキシフェニル)-4,4’-ジアミノビフェニル、N,N,N’,N’-テトラフェニル-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)クオードリフェニル、N,N,N-トリ(p-トリル)アミン、4-(ジ-p-トリルアミノ)-4’-〔4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル〕スチルベン、4-N,N-ジフェニルアミノ-(2-ジフェニルビニル)ベンゼン、3-メトキシ-4’-N,N-ジフェニルアミノスチルベンゼン、N-フェニルカルバゾール、4,4’-ビス〔N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ〕ビフェニル(NPD)、4,4’,4’’-トリス〔N-(3-メチルフェニル)-N-フェニルアミノ〕トリフェニルアミン(MTDATA)、3-[4-[1,1’-ビフェニル-4-イル](9,9-ジメチルフルオレン-2-イル)アミノ]フェニル]-9-フェニル-9H-カルバゾール、及び4,4’-ビス[N-フェニル-N-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)アミノ]-1,1’-ビフェニル]、N,N-ビス[4-(ジベンゾフラン-4-イル)フェニル]-N-(p-テルフェニル-4-イル)アミン等の公知の正孔輸送性の材料が挙げられる。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を有機エレクトロルミネッセンス素子の発光層の材料として使用する場合には、該ジベンゾ[g,p]クリセン化合物を単独で使用してもよいし、公知の発光ホスト材料にドープして使用してもよいし、公知の発光ドーパントをドープして使用してもよい。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含有する電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層を形成する方法としては、例えば、真空蒸着法、スピンコート法、キャスト法等の公知の方法を適用することができる。
スピンコート法、キャスト法等の塗布法に用いられる有機エレクトロルミネッセンス素子用材料は、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)に加えて、有機溶媒を含む。有機溶媒としては特に制限はないが、例えば、モノクロロベンゼン及びオルトジクロロベンゼンなどが挙げられる。有機溶媒はこれらを2種以上組み合わせたものであってもよい。所望の塗工性能を発揮するべく有機溶媒が選択されて、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料の粘度や濃度が調整されていることが好ましい。
<有機エレクトロルミネッセンス素子>
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記したジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む層を備える。
図1は、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子の積層構成の一例を示す概略断面図である。以下、図1を参照しながら本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子について説明する。なお、図1に示す有機エレクトロルミネッセンス素子は、いわゆるボトムエミッション型の素子構成を有したものであるが、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子はボトムエミッション型の素子構成に限定されるものではない。すなわち、本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子は、トップエミッション型の素子構成であってもよく、その他の公知の素子構成であってもよい。
有機エレクトロルミネッセンス素子100の基本的な構造としては、基板1、陽極2、正孔注入層3、電荷発生層4、正孔輸送層5、発光層6、電子輸送層7、電子注入層8、及び陰極9をこの順で含む。ただし、これらの層のうちの一部の層が省略されていてもよく、また逆に他の層が追加されていてもよい。例えば、電荷発生層4が省略され、正孔注入層3上に正孔輸送層5が直接設けられていてもよく、発光層6と電子輸送層7との間に正孔阻止層が設けられていてもよい。また、例えば電子注入層の機能と電子輸送層の機能とを単一の層で併せ持つ電子注入・輸送層のような、複数の層が有する機能を併せ持った単一の層を、当該複数の層の代わりに備えた構成であってもよい。
そして、本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層からなる群より選ばれる1つ以上の層は、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む。
正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層のうち、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む層は、該化合物と共に、公知の材料の中から選択される任意の1種以上を含有していてもよい。また、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層のうち、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含まない層は、公知の材料の中から選択される任意の1種以上を含有することが好ましい。
有機エレクトロルミネッセンス素子を構成する各層の詳細については後述する。
有機エレクトロルミネッセンス素子100の陽極2及び陰極9は、電気的な導体を介して電源に接続可能である。陽極2と陰極9との間に電圧を印加することにより、有機エレクトロルミネッセンス素子100は作動、発光する。
正孔は陽極2で有機エレクトロルミネッセンス素子100内に注入され、電子は陰極9で有機エレクトロルミネッセンス素子100内に注入される。
なお、本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子100は、陽極2が基板1に接して設けられている。基板と接触する電極は便宜上、下側電極と呼ばれる。ただし、本態様はかかる構成に限定されるものではなく、陽極に代えて陰極が基板に接して設けられて下側電極となっていてもよく、基板と陽極または陰極とが接しておらず、陽極または陰極が他の層を介して基板上に積層されていてもよい。
<<基板1>>
基板は、意図される有機エレクトロルミネッセンス素子の発光方向(光が取り出される方向)に応じて光透過性を適宜選択すればよい。すなわち、基板は光透過性を有していてもよく、有していなくても(所定の波長を有する光に対して不透明であっても)よい。基板が光透過性を有するか否かは、例えば、当該基板から有機エレクトロルミネッセンス素子の発光に由来する光が所望の量以上観察されるか否かにより確認できる。
光透過性を有する基板として、透明ガラス板又はプラスチック板が一般的に採用される。ただし、基板はこれらに何ら限定されるものではない。基板は、例えば、多重の材料層を含む複合構造であってもよい。
<<陽極2>>
基板1上には陽極2が設けられている。
発光が陽極を通過して取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極は当該発光を通すか又は実質的に通す材料で形成される。
陽極に用いられる透明材料としては、特に限定されるものではないが、例えば、インジウム-錫酸化物(ITO;Indium Tin Oxide)、インジウム-亜鉛酸化物(IZO;Indium Zinc Oxide)、酸化錫、アルミニウム・ドープ型酸化錫、マグネシウム-インジウム酸化物、ニッケル-タングステン酸化物、その他の金属酸化物;窒化ガリウム等の金属窒化物;セレン化亜鉛等の金属セレン化物;および硫化亜鉛等の金属硫化物;などが挙げられる。
陽極は、プラズマ蒸着されたフルオロカーボンで改質することができる。
なお、陰極側のみから光を取り出す構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、陽極の透過特性は重要ではなく、陽極の材料として透明、不透明又は反射性の任意の導電性材料を使用することができる。したがって、この場合の陽極に用いられる材料の一例としては、金、イリジウム、モリブデン、パラジウム、白金等が挙げられる。
<<正孔輸送性の層(正孔注入層3、正孔輸送層5)>>
陽極2と発光層6との間には、正孔輸送性の層が設けられている。
正孔輸送性の層とは、陽極と発光層との間に設けられた正孔輸送性を有する層であり、正孔注入層、正孔輸送層等である。正孔輸送性の層が陽極と発光層との間に複数設けられていてもよい。正孔注入層や正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光層に伝達する機能を有する。これらの層を陽極と発光層との間に介在させることにより、正孔がより低い電界で発光層に注入される。
なお、正孔輸送層は、図1に示す実施形態においては単層からなっているが、複数層、例えば、陽極側の第一正孔輸送層と、陰極側の第二正孔輸送層とからなっていてもよい。この2層構成の正孔輸送層の場合、第一正孔輸送層が第二正孔輸送層と比較して正孔輸送能に優れた層であり、第二正孔輸送層が第一正孔輸送層と比較して電子阻止能に優れた層であることが好ましい。第二正孔輸送層は、一般に電子阻止層と称されることもある。
本開示の一態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔輸送層(前述した、機能分離された第一正孔輸送層および第二正孔輸送層であってもよい)、正孔注入層および発光層からなる群より選ばれる1つ以上は、前記ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含むものである。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む正孔輸送層、正孔注入層は、該ジベンゾ[g,p]クリセン化合物と共に、公知の正孔輸送性を有する材料の中から選択される任意の1種以上を含有していてもよい。また、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含まない正孔輸送層、正孔注入層は、公知の正孔輸送性を有する材料の中から選択される任意の1種以上を含有することが好ましい。
公知の正孔輸送性を有する材料(正孔注入材料、正孔輸送材料、電子阻止材料等を含む)としては、特に限定されるものではないが、例えば、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、アニリン系共重合体、および、導電性高分子オリゴマー、特にチオフェンオリゴマーなどが挙げられる。これらのうち、ポルフィリン化合物、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物が好ましく、特に芳香族第三級アミン化合物が好ましい。
上記芳香族第三級アミン化合物及びスチリルアミン化合物の代表例としては、前記の公知の正孔輸送性の材料が挙げられる。
又、p型-Si、p型-SiCなどの無機化合物も正孔注入材料、正孔輸送材料として使用することができる。
正孔注入層および正孔輸送層は、上記材料およびジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)から選ばれる1種以上からなる単層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
<<電荷発生層4>>
正孔注入層3と正孔輸送層5との間には、電荷発生層が設けられていてもよい。
電荷発生層の材料としては、特に制限されるものではないが、例えば、ジピラジノ[2,3-f:2’,3’-h]キノキサリン-2,3,6,7,10,11-ヘキサカルボニトリル(HAT-CN)が挙げられる。
<<発光層6>>
正孔輸送層5と電子輸送層7または後述する正孔阻止層との間には、発光層6が設けられている。
発光層は、蛍光発光材料、又は熱活性化遅延蛍光発光材料を含み、この領域で電子・正孔対が再結合された結果として発光を生ずる。
発光層は、低分子及びポリマー双方を含む単一材料からなっていてもよいが、より一般的には、ゲスト化合物でドーピングされたホスト材料からなっている。発光は主としてドーパントから生じ、任意の色を有することができる。
ホスト材料としては、例えば、ビフェニル基、フルオレニル基、トリフェニルシリル基、カルバゾール基、ピレニル基、又はアントラニル基を有する化合物が挙げられる。より具体的には、DPVBi(4,4’-ビス(2,2-ジフェニルビニル)-1,1’-ビフェニル)、BCzVBi(4,4’-ビス(9-エチル-3-カルバゾビニレン)1,1’-ビフェニル)、TBADN(2-ターシャルブチル-9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、ADN(9,10-ジ(2-ナフチル)アントラセン)、CBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル)、CDBP(4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)-2,2’-ジメチルビフェニル)、2-(9-フェニルカルバゾール-3-イル)-9-[4-(4-フェニルフェニルキナゾリン-2-イル)カルバゾール、および9,10-ビス(ビフェニル)アントラセン、2-(10-フェニル-9-アントラセニル)ベンゾ[b]ナフト[2,3-d]フラン等が挙げられる。
ホスト材料としては、後述する電子輸送材料、前述した正孔輸送性を有する材料、正孔・電子再結合を助ける(サポート)別の材料、又はこれらの材料の組み合わせであってもよい。
蛍光ドーパントとしては、例えば、アントラセン、ピレン、テトラセン、キサンテン、ペリレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン化合物、チオピラン化合物、ポリメチン化合物、ピリリウム、チアピリリウム化合物、フルオレン誘導体、ペリフランテン誘導体、インデノペリレン誘導体、ビス(アジニル)アミンホウ素化合物、ビス(アジニル)メタン化合物、カルボスチリル化合物、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)等が挙げられる。蛍光ドーパントはこれらから選ばれる2種以上を組み合わせたものであってもよい。
燐光ドーパントとしては、例えば、イリジウム、白金、パラジウム、オスミウム等の遷移金属の有機金属錯体が挙げられる。
蛍光ドーパント及び燐光ドーパントの具体例としては、Alq3(トリス(8-ヒドロキシキノリン)アルミニウム)、DPAVBi(4,4’-ビス[4-(ジ-p-トリルアミノ)スチリル]ビフェニル)、ペリレン、ビス[2-(4-n-ヘキシルフェニル)キノリン](アセチルアセトナート)イリジウム(III)、Ir(PPy)3(トリス(2-フェニルピリジン)イリジウム(III))、及びFIrPic(ビス(3,5-ジフルオロ-2-(2-ピリジル)フェニル-(2-カルボキシピリジル)イリジウム(III)))、1,6-ピレンジアミン,N,N-ビス([1,1’-ビフェニル]-3-イル)-N,N-ビス(4-ジベンゾフラニル)-等が挙げられる。
発光層は単層構造であってもよく、同一組成又は異種組成の複数層からなる積層構造であってもよい。
<<電子輸送性の層(電子輸送層7、電子注入層8)>>
電子輸送層7は、電子注入層8と、発光層6との間に設けられている。
電子輸送層は、電子注入層より注入された電子を発光層に伝達する機能を有する。電子輸送層を電子注入層と発光層との間に介在させることにより、電子がより低い電界で発光層に注入される。
なお、電子輸送層は、図1に示す態様においては単層からなっているが、複数層、例えば、陽極側の第一電子輸送層と、陰極側の第二電子輸送層とからなっていてもよい。この2層構成の電子輸送層の場合、第二電子輸送層が第一正孔輸送層と比較して電子輸送能に優れた層であり、第一電子輸送層が第二電子輸送層と比較して正孔阻止能に優れた層であることが好ましい。第一電子輸送層は、一般に正孔阻止層と称されることもある。正孔阻止層は、キャリアバランスを改善させることができる。
電子輸送層は電子輸送性材料を含む。電子輸送性材料としては、8-ヒドロキシキノリナートリチウム(Liq)、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)亜鉛、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)銅、ビス(8-ヒドロキシキノリナート)マンガン、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(2-メチル-8-ヒドロキシキノリナート)アルミニウム、トリス(8-ヒドロキシキノリナート)ガリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム、ビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)亜鉛、ビス(2-メチル-8-キノリナート)クロロガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)(o-クレゾラート)ガリウム、ビス(2-メチル-8-キノリナート)-1-ナフトラートアルミニウム、又はビス(2-メチル-8-キノリナート)-2-ナフトラートガリウム、2-[3-(9-フェナントレニル)-5-(3-ピリジニル)フェニル]-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、及び2-(4,’’-ジ-2-ピリジニル[1,1’:3’,1’’-テルフェニル]-5-イル)-4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン、BCP(2,9-ジメチル-4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、Bphen(4,7-ジフェニル-1,10-フェナントロリン)、BAlq(ビス(2-メチル-8-キノリノラート)-4-(フェニルフェノラート)アルミニウム)、およびビス(10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリナート)ベリリウム)等が挙げられる。
電子注入層は、電子注入性を向上させ、素子特性(例えば、発光効率、低電圧駆動、又は高耐久性)を向上させることができる。
電子注入層の材料として望ましい化合物としては、フルオレノン、アントラキノジメタン、ジフェノキノン、チオピランジオキシド、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、イミダゾール、ペリレンテトラカルボン酸、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン等が挙げられる。また、上記した金属錯体やアルカリ金属酸化物、アルカリ土類酸化物、希土類酸化物、アルカリ金属ハロゲン化物、アルカリ土類ハロゲン化物、希土類ハロゲン化物、SiO、AlO、SiN、SiON、AlON、GeO、LiO、LiON、TiO、TiON、TaO、TaON、TaN、Cなどの各種酸化物、窒化物、または酸化窒化物のような無機化合物等も使用できる。
<<陰極9>>
電子注入層8上には陰極9が設けられている。
陽極を通過した発光のみが取り出される構成の有機エレクトロルミネッセンス素子の場合、前述したように陰極は任意の導電性材料から形成することができる。望ましい陰極材料としては、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
以上説明した本態様にかかる有機エレクトロルミネッセンス素子100は、前述したように、正孔注入層8、正孔輸送層7、発光層6、電子輸送層5、及び電子注入層3からなる群より選ばれる1つ以上は、ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)を含む。
ジベンゾ[g,p]クリセン化合物(1)~(4)は、特許文献1に記載の化合物と比較して、有機エレクトロルミネッセンス素子、特に燐光発光性の有機エレクトロルミネッセンス素子における正孔輸送層に用いた場合、発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られる。
したがって、本開示の他の態様によれば、発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
また、本開示のさらに他の態様によれば、正孔輸送材料として用いたときに、発光効率に優れた有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に資する有機エレクトロルミネッセンス素子用材料を提供することができる。
本開示の一態様にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子用材料、例えば、正孔注入材料、正孔輸送材料、発光層材料、電子輸送材料、電子注入材料として利用可能である。該化合物を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子は、発光効率に優れる。さらに該化合物は、有機エレクトロルミネッセンス素子への利用に限られるものではなく、電子写真感光体、光電変換素子、太陽電池、およびイメージセンサー等の有機光導電材料への分野にも応用可能である。
以下、本開示の一態様にかかるジベンゾ[g,p]クリセン化合物を、実施例に基づきさらに詳細に説明するが、該化合物はこれらの実施例に何ら限定されて解釈されるものではない。
なお、本実施例で用いた分析機器及び測定方法を以下に列記する。
[材料純度測定(HPLC分析)]
測定装置:東ソー製 マルチステーションLC-8020
測定条件:カラム Inertsil ODS-3V
(4.6mmΦ×250mm)
検出器 UV検出(波長 254nm)
溶離液 メタノール/テトラヒドロフラン=9/1(v/v比)
[NMR測定]
測定装置:バリアン社製 Gemini200
[質量分析]
質量分析装置:日立製作所 M-80B
測定方法:FD-MS分析
[有機エレクトロルミネッセンス素子の発光特性]
測定装置:トプコンテクノハウス社製LUMINANCEMETER(BM-9)
[実施例1-1 (化合物(F1)の合成)]
Figure 0007234532000027
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、3-クロロ-7-フェニルジベンゾ[g,p]クリセン 1.76g(4.00mmol)、N,N-ジフェニルアミン 0.81g(4.80mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.59g(6.00mmol)、及びo-キシレン 40mLを加え、スラリー状の反応液を得た。ついで、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 32mg(0.16mmol)を添加して140℃で4.5時間攪拌して混合液を得た。得られた混合液を室温まで冷却後、純水を25mL添加してさらに攪拌した。攪拌後の混合液の水層と有機層とを分液し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。そして、残渣を再結晶(o-キシレン/ヘキサン/メタノール)することにより、化合物(F1)の薄黄色粉末を1.00g(1.75mmol)単離した(収率44%、HPLC純度98.9%)。得られた化合物(F1)の昇華温度は、315℃であった。また、昇華品の化合物(F1)はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);8.89-8.67(m,2H),8.81(d,1H),8.70-8.68(m,1H),8.63(dd,1H),8.57(d,1H),8.44(d,1H),8.28(d,1H),7.95(dd,1H),7.79-7.71(m,6H),7.51(t,2H),7.43-7.35(m,6H),7.23-7.14(m,6H)
[実施例1-2 (化合物(E1)の合成)]
Figure 0007234532000028
窒素気流下、100mLのシュレンク管に、2-クロロ-7-フェニルジベンゾ[g,p]クリセン 1.76g(4.00mmol)、N,N-ジフェニルアミン 0.81g(4.80mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 0.59g(6.00mmol)、及びo-キシレン 40mLを加え、スラリー状の反応液を得た。ついで、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 18mg(0.08mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 32mg(0.16mmol)を添加して140℃で5時間攪拌して混合液を得た。得られた混合液を室温まで冷却後、純水を25mL添加してさらに攪拌した。攪拌後の混合液の水層と有機層とを分液し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。そして、残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(E1)の薄黄色粉末を0.96g(1.69mmol)単離した(収率42%、HPLC純度98.3%)。得られた化合物(E1)の昇華温度は、330℃であった。また、昇華品の化合物(E1)はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);8.84-8.72(m,6H),8.20(d,1H),8.02(dd,1H),7.97(d,1H),7.81(d,2H),7.76(t,2H),7.67(t,1H),7.52(t,2H),7.43-7.37(m,7H),7.21-7.13(m,6H)
[実施例2-1 (化合物(J1)の合成)]
Figure 0007234532000029
窒素気流下、200mLの二口ナスフラスコに、2-クロロジベンゾ[g,p]クリセン 5.00g(13.78mmol)、N,N-ジフェニルアミン 2.80g(16.54mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド 2.03g(20.67mmol)、及びo-キシレン 100mLを加え、スラリー状の反応液を得た。ついで、得られたスラリー状の反応液に酢酸パラジウム 62mg(0.28mmol)、及びトリ-tert-ブチルホスフィン 112mg(0.56mmol)を添加して140℃で2.5時間攪拌して混合液を得た。得られた混合液を室温まで冷却後、純水を25mL添加してさらに攪拌した。攪拌後の混合液の水層と有機層とを分液し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下に濃縮した。そして、残渣を再結晶(o-キシレン/メタノール)することにより、化合物(D2)の薄黄色粉末を6.80g(13.72mmol)単離した(収率99%、HPLC純度95.3%)。得られた化合物(J1)の昇華温度は、315℃であった。また、昇華品の化合物(J1)はガラス状であることを確認した。
化合物の同定はH-NMR測定により行った。
H-NMR(DMSO-d);8.84-8.76(m,4H),8.67-8.64(m,1H),8.61(d,1H),8.19(d,1H),7.97(d,1H),7.77-7.64(m,5H),7.44-7.46(m,6H),720-7.12(m,6H)
[比較例-1]
本実施例と同様の手法を用いて、下記式(X1)で表される3-(ジフェニルアミノ)ジベンゾ[g,p]クリセン(特許文献1に開示された化合物)を合成した。昇華品の化合物(X1)はガラス状であることを確認した。
Figure 0007234532000030
[素子実施例1-1 (化合物(F1)の素子評価)]
次に、得られた化合物(F1)を用いて、図2に示す積層構成を有する有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。図2は本開示の一態様にかかるエレクトロルミネッセンス素子の他の積層構成の例を示す概略断面図である。有機エレクトロルミネッセンス素子の作製に用いた化合物の構造式及びその略称は以下のとおりである。
Figure 0007234532000031
(基板1、陽極2の作製)
陽極をその表面に備えた基板として、2mm幅の酸化インジウム-スズ(ITO)膜(膜厚110nm)がストライプ状にパターンされたITO透明電極付きガラス基板を用意した。ついで、この基板をイソプロピルアルコールで洗浄した後、オゾン紫外線洗浄により表面処理を行った。
(真空蒸着の準備)
洗浄後の表面処理が施された基板上に、真空蒸着法で各層の真空蒸着を行い、各層を積層形成した。各有機材料および金属材料は抵抗加熱方式により成膜した。
まず、真空蒸着槽内に前記ガラス基板を導入し、1.0×10-4Paまで減圧した。そして、以下の順で、各層の成膜条件に従ってそれぞれ作製した。
(正孔注入層3の作製)
昇華精製したHILを0.15nm/秒の速度で50nm成膜し、正孔注入層を作製した。
(電荷発生層4の作製)
昇華精製したHATを0.05nm/秒の速度で5nm成膜し、電荷発生層を作製した。
(第一正孔輸送層51の作製)
HTL-1を0.15nm/秒の速度で15nm成膜し、第一正孔輸送層を作製した。
(第二正孔輸送層52の作製)
化合物(F1)を0.15nm/秒の速度で40nm成膜し、第二正孔輸送層(電子阻止層)を作製した。この第二正孔輸送層は、電子の流入を阻止する電子阻止層としても機能する層である。
(発光層6の作製)
EML-1及びHex-Ir(piq)(acac)を92:8(質量比)の割合で35nm成膜し、発光層を作製した。成膜速度は0.18nm/秒であった。
(電子輸送層7の作製)
ETL-1及びLiqを50:50(質量比)の割合で30nm成膜し、電子輸送層7を作製した。成膜速度は0.15nm/秒であった。
(電子注入層8の作製)
Liqを0.01nm/秒の速度で1nm成膜し、電子注入層を作製した。
(陰極9の作製)
最後に、基板上のITOストライプと直行するようにメタルマスクを配し、陰極(陰極層)を成膜した。陰極は、銀/マグネシウム(質量比1/10)と銀とを、この順番で、それぞれ80nmと20nmとで成膜し、2層構造とした。銀/マグネシウムの成膜速度は0.5nm/秒、銀の成膜速度は0.2nm/秒であった。
以上により、図2に示すような積層構成を有する発光面積4mm有機エレクトロルミネッセンス素子を作製した。なお、それぞれの膜厚は、触針式膜厚測定計(Bruker社製DEKTAK)で測定した。
さらに、この素子を酸素及び水分濃度1ppm以下の窒素雰囲気のグローブボックス内で封止した。封止は、ガラス製の封止キャップと成膜基板(素子)とを、ビスフェノールF型液状エポキシ樹脂(ナガセケムテックス社製)を用いて行った。
上記のようにして作製した有機エレクトロルミネッセンス素子に直流電流を印加し、輝度計(TOPCON社製LUMINANCE METER BM-9)を用いて発光特性を評価した。発光特性として、電流密度10mA/cmを流した時の電流効率(cd/A)、素子寿命を測定した。なお、素子寿命は、作製した素子を初期輝度2000cd/mで駆動したときの連続点灯時の輝度減衰時間を測定し、輝度(cd/m)が3%減じるまでに要した時間を測定した。
得られた測定結果を表1に示す。ここで、電流効率、素子寿命は、後述の素子比較例-1における結果を基準値(100)とした相対値である。
[素子実施例1-2 (化合物(E1)の素子評価)]
素子実施例1-1において、化合物(F1)の代わりに、化合物(E1)を用いた以外は、素子実施例1-1と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
[素子実施例2-1 (化合物(J1)の素子評価)]
素子実施例1-1において、化合物(F1)の代わりに、化合物(J1)を用いた以外は、素子実施例1-1と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
[素子比較例-1]
素子実施例1-1において、化合物(F1)の代わりに、化合物(X1)を用いた以外は、素子実施例1-1と同じ方法で有機エレクトロルミネッセンス素子を作製し、評価した。得られた測定結果を表1に示す。
Figure 0007234532000032
1.基板
2.陽極
3.正孔注入層
4.電荷発生層
5.正孔輸送層
6.発光層
7.電子輸送層
8.電子注入層
9.陰極
51.第一正孔輸送層
52.第二正孔輸送層
100.有機エレクトロルミネッセンス素子

Claims (3)

  1. 式(2)で表されるジベンゾ[g,p]クリセン化合物:
    Figure 0007234532000033
    式中、
    ~Aは、それぞれ独立して、
    フェニル基、ビフェニリル基、ピリジルフェニル基、テルフェニリル基、ナフチル基、フェナントリル基、ピレニル基、9,9-スピロビ[9H-フルオレニル]基、トリフェニレニル基、ジベンゾチエニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、ピリミジル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、もしくはメトキシ基で置換された基;フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、アントリル基、カルバゾリル基、または、これらの基が、フッ素原子、メチル基、メトキシ基、もしくはフェニル基で置換された基;フッ素原子、メチル基、より選択される置換基を表し;
    k1~k3は、それぞれ独立して、0以上4以下の整数であり;
    k4は、0以上3以下の整数であり;
    k1~k4が2以上の整数である場合、複数のA~Aは、同一であっても異なっていてもよい。
  2. 式(2)において、k1及びk2が、0であることを特徴とする、請求項1に記載のジベンゾ[g,p]クリセン化合物。
  3. 式(2)において、
    k3が0である、または、
    k3が1以上4以下の整数であり、かつ、Aが、それぞれ独立して、フッ素原子、メチル基、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、ジベンゾフラニル基、又はジベンゾチエニル基であることを特徴とする、請求項1または2に記載のジベンゾ[g,p]クリセン化合物。
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