JP7233602B2 - 衛星コンステレーション形成システム、衛星コンステレーション形成方法、衛星コンステレーション形成プログラム、地上設備、および事業装置 - Google Patents
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Description
このような宇宙空間における衛星およびスペースデブリといった宇宙物体の急激な増加に伴い、STM(宇宙交通管制)では、宇宙物体の衝突を回避するための国際的なルール作りの必要性が高まっている。
しかしながら、特許文献1には、衛星コンステレーションに宇宙物体が侵入する際の衝突回避方式については記載されていない。
衛星群により構成され、前記衛星群が連携して通信サービスを提供する衛星コンステレーションであって、各軌道面に複数の衛星が同じ軌道高度で飛行する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成システムにおいて、
前記衛星群の各衛星は、衛星間通信手段と、衛星と地上間の通信手段とを備え、
前記衛星コンステレーション形成システムは、
法線方向の異なる軌道面を10軌道面以上有し、かつ、前記複数の軌道面の隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が一部不均等となる配置であり、不均等配置の軌道面を飛行する衛星と地上間の通信手段が、赤道上空で地上を網羅する通信範囲を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成部を備えた。
***構成の説明***
以下の実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システムの構成例について説明する。
図1は、全球に亘り通信サービスを実現する衛星コンステレーション20を示している。
同一軌道面を同一高度で飛行している複数の衛星の各衛星では、地上に対する通信サービス範囲が後続衛星の通信サービス範囲とオーバーラップしている。よって、このような複数の衛星によれば、地上の特定地点に対して、同一軌道面上の複数の衛星が時分割的に交互に交代しながら通信サービスを提供することができる。また、隣接軌道面を設けることにより、隣接軌道間の地上に対する通信サービスを面的に網羅することが可能となる。同様に、地球の周りに多数の軌道面を概ね均等配置すれば、全球に亘り地上に対する通信サービスが可能となる。
図2は、地球観測サービスを実現する衛星コンステレーション20を示している。図2の衛星コンステレーション20は、光学センサあるいは合成開口レーダといった電波センサである地球観測装置を具備した衛星が同一軌道面を同一高度で飛行する。このように、地上の撮像範囲が時間遅れで後続衛星がオーバーラップする衛星群300では、地上の特定地点に対して軌道上複数の衛星が時分割的に交互に交代しながら地上画像を撮像することにより地球観測サービスを提供する。
図3の衛星コンステレーション20では、複数の軌道面の各軌道面21の軌道傾斜角が約90度であり、かつ、複数の軌道面の各軌道面21が互いに異なる面に存在する。
図4の衛星コンステレーション20では、複数の軌道面の各軌道面21の軌道傾斜角が約90度ではなく、かつ、複数の軌道面の各軌道面21が互いに異なる面に存在する。
このように、宇宙空間におけるデブリ増加、および、メガコンステレーションを始めとする衛星数の急激な増加に伴い、STM(宇宙交通管制)の必要性が高まっている。
衛星コンステレーション形成システム600は、コンピュータを備える。図5では、1つのコンピュータの構成を示しているが、実際には、衛星コンステレーション20を構成する複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備700の各々にコンピュータが備えられる。そして、複数の衛星の各衛星30、および、衛星30と通信する地上設備700の各々に備えられたコンピュータが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。以下において、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現するコンピュータの構成の一例について説明する。
衛星コンステレーション形成部11の機能は、ソフトウェアにより実現される。
プロセッサ910は、演算処理を行うIC(Integrated Circuit)である。プロセッサ910の具体例は、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)である。
補助記憶装置922は、データを保管する記憶装置である。補助記憶装置922の具体例は、HDDである。また、補助記憶装置922は、SD(登録商標)メモリカード、CF、NANDフラッシュ、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ブルーレイ(登録商標)ディスク、DVDといった可搬の記録媒体であってもよい。なお、HDDは、Hard Disk Driveの略語である。SD(登録商標)は、Secure Digitalの略語である。CFは、CompactFlash(登録商標)の略語である。DVDは、Digital Versatile Diskの略語である。
出力インタフェース940は、ディスプレイといった表示機器のケーブルが接続されるポートである。出力インタフェース940は、具体的には、USB端子またはHDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)端子である。ディスプレイは、具体的には、LCD(Liquid Crystal Display)である。
衛星コンステレーション形成プログラムは、衛星コンステレーション形成システムの各部の「部」を「処理」、「手順」、「手段」、「段階」あるいは「工程」に読み替えた各処理、各手順、各手段、各段階あるいは各工程を、コンピュータに実行させる。また、衛星コンステレーション形成方法は、衛星コンステレーション形成システム600が衛星コンステレーション形成プログラムを実行することにより行われる方法である。
衛星コンステレーション形成プログラムは、コンピュータ読取可能な記憶媒体に格納されて提供されてもよい。また、各プログラムは、プログラムプロダクトとして提供されてもよい。
衛星30は、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35とを備える。その他、各種の機能を実現する構成要素を備えるが、図6では、衛星制御装置31と衛星通信装置32と推進装置33と姿勢制御装置34と電源装置35について説明する。衛星30は、宇宙物体60の一例である。
衛星間通信手段は、衛星コンステレーション20を構成する複数の衛星の衛星間で通信する装置である。
衛星と地上間の通信手段は、地上設備700と通信する装置である。具体的には、衛星通信装置32は、自衛星に関する各種データを地上設備700へ送信する。また、衛星通信装置32は、地上設備700から送信される各種コマンドを受信する。
化学推進装置は、一液性ないし二液性燃料を用いたスラスタである。電気推進装置としては、イオンエンジンまたはホールスラスタである。アポジキックモーターは軌道遷移に用いる装置の名称であり、化学推進装置の一種である場合もある。
姿勢制御装置34は、衛星30の姿勢と衛星30の角速度と視線方向(Line Of Sight)といった姿勢要素を制御するための装置である。姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に変化させる。もしくは、姿勢制御装置34は、各姿勢要素を所望の方向に維持する。姿勢制御装置34は、姿勢センサとアクチュエータとコントローラとを備える。姿勢センサは、ジャイロスコープ、地球センサ、太陽センサ、スター・トラッカ、スラスタおよび磁気センサといった装置である。アクチュエータは、姿勢制御スラスタ、モーメンタムホイール、リアクションホイールおよびコントロール・モーメント・ジャイロといった装置である。コントローラは、姿勢センサの計測データまたは地上設備700からの各種コマンドにしたがって、アクチュエータを制御する。
電源装置35は、太陽電池、バッテリおよび電力制御装置といった機器を備え、衛星30に搭載される各機器に電力を供給する。
処理回路は、専用のハードウェアであってもよいし、メモリに格納されるプログラムを実行するプロセッサであってもよい。
処理回路において、一部の機能が専用のハードウェアで実現されて、残りの機能がソフトウェアまたはファームウェアで実現されてもよい。つまり、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせで実現することができる。
専用のハードウェアは、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGAまたはこれらの組み合わせである。
ASICは、Application Specific Integrated Circuitの略称である。FPGAは、Field Programmable Gate Arrayの略称である。
地上設備700は、全ての軌道面の多数衛星をプログラム制御する。地上設備700は、地上装置の例である。地上装置は、地上アンテナ装置、地上アンテナ装置に接続された通信装置、あるいは電子計算機といった地上局と、地上局にネットワークで接続されたサーバあるいは端末としての地上設備から構成される。また、地上装置には航空機、自走車両、あるいは移動端末といった移動体に搭載された通信装置を含んでも良い。
解析予測部520は、衛星30の軌道を解析予測する。
軌道制御コマンド生成部510は、衛星30に送信する軌道制御コマンド55を生成する。
軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520は、衛星コンステレーション形成部11の機能を実現する。すなわち、軌道制御コマンド生成部510および解析予測部520は、衛星コンステレーション形成部11の例である。
衛星30は、更に、衛星コンステレーション20を形成する衛星コンステレーション形成部11bを備える。そして、複数の衛星の各衛星30の衛星コンステレーション形成部11bと、地上設備700の各々に備えられた衛星コンステレーション形成部11とが連携して、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する。なお、衛星30の衛星コンステレーション形成部11bは、衛星制御装置31に備えられていてもよい。
図9は、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム600による衛星コンステレーション形成処理S100のフロー図である。
本実施の形態において、衛星コンステレーション形成システム600は、衛星コンステレーション形成システム600は、衛星群により構成され、衛星群が連携して通信サービスを提供する衛星コンステレーション20を形成する。衛星コンステレーション形成システム600は、各軌道面に複数の衛星が同じ軌道高度で飛行する複数の軌道面を有する衛星コンステレーション20を形成する。衛星コンステレーション20は、法線方向の異なる軌道面を10軌道面以上有する。
衛星群の各衛星は、衛星間通信手段と、衛星と地上間の通信手段とを備える。
なお、衛星コンステレーション20は、法線方向の異なる軌道面を3面以上有していればよい。衛星コンステレーション20が、隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が均等な箇所と不均等な箇所を形成することができれば、軌道面の数はどのような数でもよい。
不均等配置の軌道面を形成すると判定された場合、ステップS102に進む。
不均等配置の軌道面を形成すると判定されない場合、ステップS101を繰り返す。
本実施の形態では、衛星コンステレーション形成部11は、複数の軌道面の各軌道面が極域を通り、極域が軌道面の密集領域となる衛星コンステレーションを形成するものとする。すなわち、図1および図3で説明した衛星コンステレーション20である。ここでは、衛星コンステレーション形成部11が、複数の軌道面のうち宇宙物体が通過する軌道面間を、隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が一部不均等となるように拡大した領域を通過領域Rとして形成する例について説明する。
図10から図12では、軌道傾斜角が90度近傍の極軌道衛星により構成される衛星コンステレーション20の例を示している。図10から図12の衛星コンステレーション20では、密集領域が極域近傍となる。
各軌道面の法線のアジマス成分はそれぞれ15度ずつ離れている。しかし、北極から見ると、法線のアジマス成分が対向する方向を向く軌道面同士は重なって見える。よって、図12では、あたかも12面の軌道面で構成されるように錯覚しやすいことに留意する必要がある。
図13は、図10の衛星コンステレーション20において通過領域Rが形成された図である。図14は、図11の衛星コンステレーション20において通過領域Rが形成された図である。図15は、図12の衛星コンステレーション20において通過領域Rが形成された図である。
衛星コンステレーション形成部11は、隣接する軌道面上の全ての衛星の軌道高度を同時に変更し、アジマス方向に並ぶ複数の軌道面の平均軌道高度が順番に高くなる状態を維持することにより、通過領域Rを形成する。
不均等配置の軌道面を移動すると判定された場合、ステップS104に進む。
不均等配置の軌道面を移動すると判定されない場合、ステップS103を繰り返す。
例えば、衛星コンステレーション形成部11は、ステップS102において形成された通過領域を宇宙物体が通過した後に、通過領域以外の位置を宇宙物体が通過することが予見された場合、不均等配置の軌道面を移動すると判定する。
その後、衛星コンステレーション形成部11は、ステップS102と同様の処理により、衛星コンステレーション20における所望の位置において、隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が不均等配置となるように、衛星コンステレーション20を形成する。
あるいは、衛星コンステレーション形成部11は、複数の軌道面の配置を元に戻すことなく、ステップS102で形成された複数の軌道面の配置から、衛星群を同時に軌道上昇ないし軌道降下し、不均等配置された軌道面を移動させてもよい。
本実施の形態では、衛星コンステレーション形成システム600の機能がソフトウェアで実現される。変形例として、衛星コンステレーション形成システム600の機能がハードウェアで実現されてもよい。
衛星コンステレーション形成システム600は、プロセッサ910に替えて電子回路909を備える。
電子回路909は、衛星コンステレーション形成システム600の機能を実現する専用の電子回路である。
電子回路909は、具体的には、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ロジックIC、GA、ASIC、または、FPGAである。GAは、Gate Arrayの略語である。
衛星コンステレーション形成システム600の機能は、1つの電子回路で実現されてもよいし、複数の電子回路に分散して実現されてもよい。
別の変形例として、衛星コンステレーション形成システム600の一部の機能が電子回路で実現され、残りの機能がソフトウェアで実現されてもよい。
本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システムでは、軌道面の配置を不均等とすることで、デオービットする宇宙物体が衛星コンステレーションの軌道高度を降下する際の空間的な空き領域を確保することができる。よって、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システムよれば、衝突リスクをなくすことができる。
本実施の形態では、主に、実施の形態1と異なる点、あるいは、実施の形態1に追加する点について説明する。本実施の形態において、実施の形態1と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図17から図19では、軌道傾斜角が90度から離れた軌道衛星により構成される衛星コンステレーション20の例を示している。図17から図19の衛星コンステレーション20では、密集領域が中緯度近傍となる。
メガコンステレーションではそれぞれの軌道面に数十機の衛星が飛翔している。よって、軌道面の重なりあるいは交点は、衝突する可能性があることを示す。したがって、密集度合いが高いエリアは衝突する確率が高いことを示している。
衛星コンステレーション形成部11は、隣接する軌道面上の全ての衛星の軌道高度を同時に変更し、アジマス方向に並ぶ複数の軌道面の平均軌道高度が順番に高くなる状態を維持することにより、不均等配置の軌道面を形成する。隣接する軌道面が不均等配置された領域R’が形成されている。ここでの通過領域Rは、軌道面の重なりあるいは交点の密集度合いが緩和された領域である。隣接する軌道面が不均等配置された領域R’は、隣接する軌道面が不均等配置された空き領域である。
ISSは、軌道傾斜角約50度、かつ、軌道高度約400kmで飛翔している。ISSは、デオービットして軌道降下する過程で、軌道傾斜角約50度を概ね維持しながら軌道高度を降下する。デオービットして軌道降下する際、ISSは、以下のように構築予定のメガコンステレーションと衝突することなく、軌道高度を変更する必要がある。
軌道傾斜角約53度で軌道高度約346km、約2500機
軌道傾斜角約48度で軌道高度約341km、約2500機
軌道傾斜角約42度で軌道高度約336km、約2500機
図23に示すように、北緯約50度近傍と南緯約50度近傍では、全ての軌道面の最北端と最南端とが位置している。よって、北緯約50度近傍と南緯約50度近傍では、衛星が東西方向に飛翔するための滞留時間が長く、かつ、軌道面同士の交点も高密度に存在している。北緯約50度近傍と南緯約50度近傍は、衝突リスクが極めて高い危険ゾーンである。
図24に示すように、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システム600により、北緯約50度上空で軌道面同士の交点が高密度な領域と、軌道面同士の交点の密度が緩和される領域、すなわち、通過領域Rとが生じる。軌道面の最北端と最南端の高密度危険ゾーンの密度が緩和される効果が生まれるため、この疎領域を大型宇宙物体の通過領域Rとして利用することにより衝突を回避する。ISSといった大型宇宙物体の軌道は事前に把握できるので、軌道高度が340km近傍となる時間帯における軌道面のアジマス方向角度に応じて、メガコンステレーション側が軌道面をずらせばよい。
なお、高密度が緩和されるとはいえ、軌道面の最北端と最南端近傍は、他の軌道面との交点が密に存在する危険ゾーンであることに変わりはない。よって、危険高度帯の通過は、赤道上空の、軌道面に交点のない隣接する軌道面が不均等配置された領域R’で実施するのが望ましい。デオービットに利用する推進装置が極めて大きな推力を持つ場合は、大型宇宙物体は、赤道上空で急激に減速して、危険高度帯を短時間で通過するのが効果的である。
そこまで高推力の推進装置を具備できない場合には、大型宇宙物体が衛星通過の時間帯をずらすことによって、軌道面の交点がある領域において、衝突を回避するのが現実的な衝突回避策となる。
軌道面の最北端と最南端近傍が危険ゾーンなので、極域通過後から、次の極域通過までの間に、危険高度帯、例えば軌道高度約346km、軌道高度約341km、軌道高度約336kmのそれぞれの高度帯を抜けるのが効果的である。
なお高度帯という呼び方をしているのは、約2500機で構成されるそれぞれの高度の衛星群の軌道高度にばらつきや変動があるためである。
同様に、デオービット運用過程におけるアクティブデオービット運用能力を具備する衛星、あるいは、デブリ除去衛星の降下においては、軌道降下する側の宇宙物体が空き領域を選んで軌道降下する。
図27は、隣接軌道間隔を不均等とした状態において、衛星から地上通信サービスを実現する例を示す図である。
図26は、軌道面均等配置における衛星と地上間通信サービスのイメージを示す。赤道上空において隣接軌道間の間隔が最も離れる。よって、赤道における地上サービスが網羅されていれば、通信サービスの網羅性が確保できる。
図27では、隣接する軌道面の間隔を不均等配置にして、隣接軌道間隔を拡大した場合の衛星と地上間通信サービスのイメージを示す。図27では、地上通信サービスの網羅性を確保するために、予め通信ミッションの指向方向をクロストラック方向に回転させた例を示している。別の方法として、予め通信サービス範囲に余裕をもった広い設定としておくことも有効である。
図29は、メガコンステレーション事業者による軌道面均等配置における衛星間通信網イメージを示す図である。
図28によるメガコンステレーション事業者の衛星間通信構想によれば、同一軌道面を飛翔する前後の衛星に加えて、隣接軌道面の斜め前後の衛星とも衛星間通信をする。よって、複数衛星により図29の衛星間通信網が実現できる。隣接軌道間の通信をしているため、地球に対して東西方向の通信ルートが確保でき、最短経路で通信できることがわかる。図29において、L21,L22,L23,L24といった太線は、隣接する軌道面の例を表すイメージである。また、太点線は、隣接軌道間の通信の例を表すイメージ図である。
図30は、本実施の形態に係る軌道面を不均等配置した例を表している。軌道面の不均等配置により、図29においてL22で示した軌道面に領域が空隙になったと仮定する。図30では、空隙になった領域の軌道面を太一点鎖線で表している。また、図30では、太一点鎖線で隠ぺいした図29のL22で表す軌道面による隣接軌道間の斜方向前後の通信を遮断した例を表している。
依然として、他の軌道面による通信網により東西方向の通信ルートが確保されていることがわかる。
本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システムでは、実施の形態1と同様の効果を期待できる。すなわち、高高度から軌道降下してくる宇宙物体が、自ら制御能力を持たず、軌道解析予測において、不均等配置した軌道面の空き領域以外を通過すると予測された場合に、予めメガコンステレーション事業者側が不均等配置の位置を変更することができる。よって、本実施の形態に係る衛星コンステレーション形成システムよれば、空き領域を宇宙物体に通過させて、衝突回避ができるという効果がある。また全衛星を同期させて、すなわち衛星群を同時に軌道上昇ないし軌道降下させることにより、通信サービスに支障をきたさずサービス継続できるという効果がある。
事業装置は、衛星コンステレーションを管理する衛星コンステレーション事業者の事業装置である。
衛星コンステレーション事業者の事業装置は、実施の形態1,2で説明した衛星コンステレーション形成システム、または、地上設備を具備する。そして、衛星コンステレーション事業者の事業装置は、衛星コンステレーション形成方法、または、衛星コンステレーション形成プログラムを実行する。
すなわち、実施の形態1,2では、実施の形態1,2の部分の自由な組み合わせ、あるいは任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態1,2において任意の構成要素の省略が可能である。
Claims (6)
- 衛星群により構成され、前記衛星群が連携して通信サービスを提供する衛星コンステレーションであって、各軌道面に複数の衛星が同じ軌道高度で飛行する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成システムにおいて、
前記衛星群の各衛星は、衛星間通信装置と、衛星と地上間の通信装置とを備え、
前記衛星コンステレーション形成システムは、
法線方向の異なる軌道面を10軌道面以上有し、かつ、前記複数の軌道面の隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が一部不均等となる配置であり、不均等配置の軌道面を飛行する衛星と地上間の通信装置が、赤道上空で地上を網羅する通信範囲を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成部を備え、
前記衛星コンステレーション形成部は、
前記衛星コンステレーションの軌道高度において宇宙物体を通過させる通過領域であって、前記宇宙物体が通過する前に、隣接する軌道面を構成する全ての衛星の軌道高度を同時に変更し、アジマス方向に並ぶ複数の軌道面の平均軌道高度が順番に高くなる状態を維持して前記隣接する軌道面を不均等配置することにより、拡大された通過領域を形成する衛星コンステレーション形成システム。 - 前記衛星コンステレーション形成部は、
前記衛星群を同時に軌道上昇ないし軌道降下し、不均等配置された軌道面を移動させる請求項1に記載の衛星コンステレーション形成システム。 - 衛星群により構成され、前記衛星群が連携して通信サービスを提供する衛星コンステレーションであって、各軌道面に複数の衛星が同じ軌道高度で飛行する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成システムの衛星コンステレーション形成方法において、
前記衛星群の各衛星は、衛星間通信装置と、衛星と地上間の通信装置とを備え、
コンピュータが、法線方向の異なる軌道面を10軌道面以上有し、かつ、前記複数の軌道面の隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が一部不均等となる配置であり、不均等配置の軌道面を飛行する衛星と地上間の通信装置が、赤道上空で地上を網羅する通信範囲を有する衛星コンステレーションを形成し、
コンピュータが、前記衛星コンステレーションの軌道高度において宇宙物体を通過させる通過領域であって、前記宇宙物体が通過する前に、隣接する軌道面を構成する全ての衛星の軌道高度を同時に変更し、アジマス方向に並ぶ複数の軌道面の平均軌道高度が順番に高くなる状態を維持して前記隣接する軌道面を不均等配置することにより、拡大された通過領域を形成する衛星コンステレーション形成方法。 - 衛星群により構成され、前記衛星群が連携して通信サービスを提供する衛星コンステレーションであって、各軌道面に複数の衛星が同じ軌道高度で飛行する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成システムの衛星コンステレーション形成プログラムにおいて、
前記衛星群の各衛星は、衛星間通信装置と、衛星と地上間の通信装置とを備え、
法線方向の異なる軌道面を10軌道面以上有し、かつ、前記複数の軌道面の隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が一部不均等となる配置であり、不均等配置の軌道面を飛行する衛星と地上間の通信装置が、赤道上空で地上を網羅する通信範囲を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成処理であって、前記衛星コンステレーションの軌道高度において宇宙物体を通過させる通過領域であって、前記宇宙物体が通過する前に、隣接する軌道面を構成する全ての衛星の軌道高度を同時に変更し、アジマス方向に並ぶ複数の軌道面の平均軌道高度が順番に高くなる状態を維持して前記隣接する軌道面を不均等配置することにより、拡大された通過領域を形成する衛星コンステレーション形成処理をコンピュータに実行させる衛星コンステレーション形成プログラム。 - 衛星群により構成され、前記衛星群が連携して通信サービスを提供する衛星コンステレーションであって、各軌道面に複数の衛星が同じ軌道高度で飛行する複数の軌道面を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成システムが備える地上設備において、
前記衛星群の各衛星は、衛星間通信装置と、衛星と地上間の通信装置とを備え、
前記地上設備は、
法線方向の異なる軌道面を10軌道面以上有し、かつ、前記複数の軌道面の隣接する軌道面のアジマス方向相対角度が一部不均等となる配置であり、不均等配置の軌道面を飛行する衛星と地上間の通信装置が、赤道上空で地上を網羅する通信範囲を有する衛星コンステレーションを形成する衛星コンステレーション形成部を備え、
前記衛星コンステレーション形成部は、
前記衛星コンステレーションの軌道高度において宇宙物体を通過させる通過領域であって、前記宇宙物体が通過する前に、隣接する軌道面を構成する全ての衛星の軌道高度を同時に変更し、アジマス方向に並ぶ複数の軌道面の平均軌道高度が順番に高くなる状態を維持して前記隣接する軌道面を不均等配置することにより、拡大された通過領域を形成する地上設備。 - 衛星コンステレーションを管理する衛星コンステレーション事業者の事業装置であって、
請求項3に記載の衛星コンステレーション形成方法、または、請求項4に記載の衛星コンステレーション形成プログラムを実行する衛星コンステレーション事業者の事業装置。
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