JP7233193B2 - 水路付きトンネル - Google Patents
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Description
他の例として、例えば特許文献1では、地下に施工した一次覆工からなるシールドトンネルの内側に二次覆工からなるトンネルを施工し、二次覆工の底部にインバートセグメントを設置している。インバートセグメントの内周面には搬送用台車の走行ガイド溝と風管等に利用する空間が一体形成されている。この走行ガイド溝によって搬送用台車のレールの敷設及び撤去、風管の取付け及び撤去を省略できる。
また、特許文献2に記載されたシールドトンネルのインバートブロックでは、比較的溝を深く形成できるが、一次覆工のシールドトンネルの底部の空間の溶接用金物を溶接固定して溝を形成するため、インバートブロックが一次覆工と別部材であり、シールドトンネルの施工とは別施工である。そのため、煩雑で工期が長くなりコスト高になるという問題があった。
本発明によれば、セグメントリングの底部に第一インバートセグメントの第一凹部と第二インバートセグメントの第二凹部とを接続して設置することで、水路としての溝部を形成したため、強度を落とすことなく溝部の深さを1ピースのインバートセグメントで形成するよりも深くまたは大容積に形成でき、しかも、第一及び第二インバートセグメントを予め工場で製作するため、現場での施工が短期間で済み、低コストで製造できる。
溝部は覆工用セグメントの内周面の延長線上に底部を形成したため、溝部の深さを深く形成できる。
水は溝部の防水シートまたは防水層の上を流れるため、インバートセグメントの接続部分から漏れ出ることを防止できる。
溝部を形成する第一凹部と第二凹部を溝部を中心にしてトンネルの軸方向に交互に逆向きに配列することで、トンネル強度が向上する。
しかも、溝部は工事期間中に資材や機材等の搬送台車等の走行路として用いることができる。各セグメントは予め工場で製作できるので現場での施工期間を短くできて低コストである。
図1~図3は本発明の第一実施形態による水路付きトンネルを示すものである。
図1は本実施形態による水路付きトンネル1のセグメントリング2を示すものであり、その内径が例えば4m~5mとなる中口径のシールドトンネルを構成している。なお、セグメントリング2の内径は適宜に設定でき、例えば10mの大口径に設定されていてもよい。
このセグメントリング2は例えば6つのセグメントピースで構成されている。底部には、第一インバートセグメント3と第二インバートセグメント4とが設置され、第一及び第二インバートセグメント3,4で水路となる溝部5を形成している。その両側部には一般的な円弧版状のセグメント7が配設され、頂部にはキーセグメント8が嵌合されている。これらの各セグメントはセグメント間継手(ピース間継手)によって互いに連結されている。
第一隆起部10と第二隆起部12は第一点検廊10bと第二点検廊12bが略同一高さの水平面に設定されていることが好ましく、作業員等がトンネル1の保守点検や修理等のために第一点検廊10bと第二点検廊12bを通行できる。第一溝片11と第二溝片13は略同一厚みに設定されていることが好ましい。また、第一及び第二インバートセグメント3,4は図1及び図4に示すように千鳥配置可能とすることが基本であり、同一セグメントを逆向きに使用することができる。これにより、型枠が1つで済み低コストになる。
溝部5は本体3a、4aの内周面の略延長線状に底面が形成されていることが好ましい。溝部5は、本体3a,4aの厚みより薄く形成すると溝部5の深さは増大するがセグメントの強度が低下し、本体3a,4aの厚みより厚く形成するとセグメントの強度は増大するが溝部5の深さが小さくなる。
これに対し、本実施形態のように、第一インバートセグメント3と第二インバートセグメント4を突き合わせて溝部5を形成すると、3m前後の弧長で千鳥配置可能な形状を得られ、溝部5の幅や高さについて選択の余地、自由度が出てくるという利点がある。
第一実施形態では、第一インバートセグメント3の第一溝片11と第二インバートセグメント4の第二溝片13とが周方向に略同一長さに設定されている。しかも、溝部5は断面略コの字状やU字状に形成され、溝部5の水路がトンネル1の底部中央に位置するように第一及び第二インバートセグメント3、4を設置する。第一インバートセグメント3、第二インバートセグメント4、セグメント7、キーセグメント8は一次覆工用セグメントであり、予め工場で製作するものとする。
水路付きトンネル1では、セグメントリング2をリング間継手で順次接続することで構成されており、その底部に溝部5が連続して流れている。各セグメントリング2の各溝部5では、図3に示すように、水漏れを防ぐためにトンネル1の軸方向に連続する溝部5の内面に水漏れ防止用の防水シート15が設置されている。
防水シート15は例えば合成樹脂製シートやビニールシート等からなっており、樹脂成形品でもよい。或いは、防水シート15は熱を当てることで硬化するタイプの樹脂でもよい。或いは、防水シート15に代えて、溝部5にポリマーセメントモルタルや樹脂モルタル等を鏝で塗布したり吹き付けたりして断面略コの字状または略U字状の防水性薄層を防水層として形成してもよい。
複数の防水シート15同士を接続する場合には、接続部が溝部5の底面上にくるように形成することが好ましく、その継ぎ目をモルタルや接着剤等で水密にシールしている。
水路付きトンネル1の組み立てに際し、まず底部に第一インバートセグメント3及び第二インバートセグメント4を設置する。その際、第一インバートセグメント3の第一溝片11と第二インバートセグメント4の第二溝片13を突き合わせて溝部5が最も高さの低い底部に位置するように設置する。
このようにして、セグメントリング2を順次連結してトンネル1を施工し、トンネル1や溝部5は上流側から下流側に向けて勾配をつけるものとする。図3に示すように、施工後に防水シート15をトンネル1内の底部で連続する溝部5上に設置する。防水シート15は溝部5の底面と立壁10a、12aに接着し、複数の防水シート15の継ぎ目をモルタルや接着剤等で水密にシールする。
作業員等がトンネル1内の保守点検作業等を行う場合には、少ない下水流量を溝部5に集めているため、下水の流れない第一点検廊10bや第二点検廊12bを歩行することができる。また、雨水等が流れ込んでトンネル1内の水量が増大した場合には、溝部5を溢れてその上部の第一点検廊10bや第二点検廊12bにも下水が流れることになる。
また、溝部5はその底面が一次覆工用の各セグメント7,8の内周面の延長線上に形成されるため、第一及び第二インバートセグメント3、4の強度と溝部5の深さを確保できる。
第一及び第二インバートセグメント3、4、セグメント7、キーセグメント8は工場で予め製作されるため、現場での工事期間を短くできる。また、トンネル工事中において、溝部5の両側の第一点検廊10b、第二点検廊12bを工事用車両の通行路として利用することができる。即ち、円形トンネル1の施工時には、資材等を搬送するために下部にH型鋼材を渡し、その上にレールを敷くが、このH鋼を敷設しなくても、第一及び第二インバートセグメント3,4の第一点検廊10b、第二点検廊12bを軌条設備のために利用することができる。
図4及び図5において、水路付きトンネル1Aは第一実施形態による水路付きトンネル1の各セグメントと概略同一構成を有しており、溝部19を形成するインバートセグメント20,21において相違する。
本第二実施形態における第一インバートセグメント20は略円弧版状の本体20aの周方向中央部に断面略三角形状の第一隆起部23が形成され、第一隆起部23に続く一端部には本体20aと略同一厚みの第一溝片24が形成されている。第一隆起部23は第一溝片24から略垂直に立ち上がる立壁23aと立壁23aに直角な水平面をなす第一点検廊23bとを有している。なお、立壁23aと第一溝片24とで断面略L字上の第一凹部を形成する。
第一隆起部23と第二隆起部25は第一点検廊23bと第二点検廊25bが略同一高さに設定され、作業員等が保守点検や修理等のために通行できる。
そして、水路付きトンネル1Aの組み立て施工に際し、図5に示すように、一のセグメントリング2では、左側に第一インバートセグメント20が設置され、右側には第二インバートセグメント21が設置されて、第一溝片24と第二溝片26の端部同士を当接させることで溝部19が形成されている。そして、次のセグメントリング2では、左側に第二インバートセグメント21が設置され、右側には第一インバートセグメント20が設置されて、溝部19が形成されている。
溝部19には、例えばロール状に巻かれた柔軟性の高い帯状で合成樹脂製の防水シート28が引き伸ばされて設置される。防水シート28は溝部19上に押し込んで設置されることで、溝部19の底面と立壁23a、25aに沿って断面略コの字状またはU字状に折り曲げられて載置される。溝部19の防水シート28上を下水が流れる。本実施形態においても、防水シート28の継ぎ目は接着剤やモルタル等で接続される。なお、防水シート28は溝部19に接着剤等で固定してもよい。
また、上述した第一及び第二実施形態では、水路付きトンネル1,1Aとして下水道トンネルに適用したものとして説明したが、本発明は下水道トンネルに限定されるものではなく、例えば共同溝、鉄道トンネル、道路トンネル等、適宜の水路を設けた各種のトンネルに適用することができる。
2 セグメントリング
3、20 第一インバートセグメント
4、21 第二インバートセグメント
5、19 溝部
10、23 第一隆起部
10a、12a、23a、25a 立壁
12、25 第二隆起部
10b、23b 第一点検廊
12b、25b 第二点検廊
11、24 第一溝片
13、26 第二溝片
15、28 防水シート
Claims (3)
- 複数の覆工用セグメントを連結してなるセグメントリングを軸方向に沿って接続してなる水路付きトンネルにおいて、
前記セグメントリングの底部に設置されていて一端部に第一凹部が形成された第一インバートセグメントと、
前記セグメントリングの底部に設置されていて一端部に前記第一凹部に当接する第二凹部が形成された第二インバートセグメントと、
を備え、
前記第一凹部と第二凹部が連結されてなる溝部が水路として形成されており、
前記第一インバートセグメント及び前記第二インバートセグメントの他端部における本体は円弧版状に形成されていて、前記第一インバートセグメントの本体と前記第二インバートセグメントの本体とは長さが異なり、
前記第一凹部と第二凹部は周方向長さが異なっており、トンネルの軸方向において、前記第一インバートセグメント及び前記第二インバートセグメントは、前記溝部を中心に交互に逆向きに配列されている、
ことを特徴とする水路付きトンネル。 - 前記溝部は覆工用セグメントの内周面の延長線上に底面が形成されている請求項1に記載された水路付きトンネル。
- 前記溝部の内面には水漏れ防止用の防水シートまたは防水層が設置されている請求項1または2に記載された水路付きトンネル。
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JP2018196030A JP7233193B2 (ja) | 2018-10-17 | 2018-10-17 | 水路付きトンネル |
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2018
- 2018-10-17 JP JP2018196030A patent/JP7233193B2/ja active Active
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