JP7232459B2 - 有機化合物のベンジル位の空気酸化方法及び空気酸化触媒 - Google Patents

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本発明は、有機化合物のベンジル位の空気酸化方法及び空気酸化触媒に関する。
ベンジル位を有する有機化合物の前記ベンジル位を酸化して水酸基(-OH)又はオキソ基(=O)を導入し、アルコール化合物やカルボニル化合物を合成する反応は、電子材料、医薬品、農薬等の各種化学品の製造における基盤的な反応として知られている。
ベンジル位に直接的に水酸基又はオキソ基を導入する方法として空気酸化が知られている。空気酸化により水酸基又はオキソ基を導入する反応は一般的に、触媒のみでは高温高圧を必要とすることから、各種の添加剤が併用される。
例えば、ベンジルアルコールやベンズアルデヒド類の製造方法として、酸化チタンを触媒に用い、各種添加剤と組み合わせてトルエンのベンジル位を空気酸化する方法が知られている(非特許文献1)。
しかし、本方法は、光照射を効率的に行うためにごく低濃度で反応を行う必要があり、生産性に問題がある。また、ヒドロキシルラジカルを経由する方法であるので、目的化合物だけでなく二量化体、二酸化炭素等の多数の副生成物を発生させる。さらに、添加剤を併用することで生成物の純度が損なわれる。したがって、生成物の精製処理に多くのエネルギーが必要で、精製処理の副産物の廃棄処理の手間と費用もかかる。
近年、各種の有機化合物を温和な条件で空気酸化する手法として、N-ヒドロキシフタルイミド等のイミド化合物を用いる方法が報告されている(非特許文献2、特許文献1~2)。
しかし、本方法は、イミド化合物が犠牲剤として消費され再利用できないこと、反応後にイミド化合物の分解物を除去する煩雑さ、イミド化合物自体の価格が高価なこと等から、産業上有用な方法とは言えない。
ヘテロポリ酸、鉄錯体等の金属錯体を触媒に用いる反応が知られている(非特許文献3、4、5)。非特許文献3では、バナジウム置換ポリ酸を用いた硝酸によるニトロ化反応が報告され、またニトロ化反応にてアルコール化合物やカルボニル化合物が副生することが報告されている。非特許文献4~5では、鉄錯体を用いた炭素-水素結合のハロゲン化反応が報告され、またハロゲン化反応にてアルコール化合物やカルボニル化合物が副生することが報告されている。
特開平8-38909号公報 特開平9-327626号公報
Bull.Chem.Soc.Jpn.1982,Vol.55,No.3,666-671 Chem.Commun.2001,1352-1353 Chem.Eur.J.2004,10,6489-6496 J.Am.Chem.Soc.2016,138,2484-2487 Angew.Chem.Int.Ed.2016,55,7717-7722
しかし、非特許文献3は、硝酸によるニトロ化の副産物としてごく一部、アルコール化合物やカルボニル化合物が生成することを示しているのみであり、直接的な酸化反応とは言えない。非特許文献4においても、ハロゲン化の副産物として一部アルコール化合物やカルボニル化合物が形成されるもので、5割程度の収率を得るために触媒を丁寧に扱う必要があり反応温度は-40℃という低温下での処理を必要とする。非特許文献5においても、鉄触媒の炭素-水素結合のラジカル化反応を促進するために、ルイス酸のスカンジウム化合物を鉄触媒のほかに添加して反応系を調節するうえ、プロトンソースとしての酸を当量以上外部から投入する必要がある。
このように、従来の金属錯体を触媒に用いた反応は、触媒となる金属錯体自体の作製が煩雑で触媒サイクルとして回すためには添加剤や反応温度の精密な調整が必要である。
さらに、触媒のみにて空気酸化反応をさせる例はなく、添加剤の存在が必要となるため、触媒及び添加剤を生成物から十分に除去しきれず後工程や製品純度に影響を与えるといった、省エネルギーと品質の両面から課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、金属錯体を触媒に用い、添加剤を併存させなくても、比較的温和な反応条件で効率的にベンジル位を空気酸化して水酸基又はオキソ基を導入できる空気酸化方法、及び添加剤を併存させなくても、比較的温和な反応条件で効率的にベンジル位を空気酸化して水酸基又はオキソ基を導入できる、金属錯体である空気酸化触媒を提供することを目的とする。
本発明は、以下の態様を有する。
〔1〕ベンジル位を有する有機化合物の前記ベンジル位を空気酸化する方法であって、
前記有機化合物を、二種以上の金属を含む多核金属錯体である触媒の存在下で分子状酸素と接触させることを特徴とする、空気酸化方法。
〔2〕前記多核金属錯体が、マクロサイクル配位子を含む、請求項1に記載の空気酸化方法。
〔3〕前記二種以上の金属が、セリウムと周期表第四周期に属する遷移金属とを含む、請求項1又は2に記載の空気酸化方法。
〔4〕前記多核金属錯体が、下記式(i)で表される、請求項1~3のいずれか一項に記載の空気酸化方法。
Figure 0007232459000001
式中、Xは、周期表第四周期に属する遷移金属であり、
は、連結基であり、
は、対アニオンであり、
及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基もしくはアミノ基であるか、又は互いに結合して環を形成している。
〔5〕前記周期表第四周期に属する遷移金属が、マンガン、銅及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項3又は4に記載の空気酸化方法。
〔6〕前記触媒の使用量が、前記有機化合物に対して1~20質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の空気酸化方法。
〔7〕ベンジル位を有する有機化合物の前記ベンジル位を空気酸化するための触媒であって、
二種以上の金属を含む多核金属錯体であることを特徴とする、空気酸化触媒。
〔8〕前記多核金属錯体が、マクロサイクル配位子を含む、請求項7に記載の空気酸化触媒。
〔9〕前記二種以上の金属が、セリウムと周期表第四周期に属する遷移金属とを含む、請求項7又は8に記載の空気酸化触媒。
〔10〕前記多核金属錯体が、下記式(i)で表される、請求項7~9のいずれか一項に記載の空気酸化触媒。
Figure 0007232459000002
式中、Xは、周期表第四周期に属する遷移金属であり、
は、連結基であり、
は、対アニオンであり、
及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基もしくはアミノ基であるか、又は互いに結合して環を形成している。
〔11〕前記周期表第四周期に属する遷移金属が、マンガン、銅及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項9又は10に記載の空気酸化触媒。
本発明によれば、金属錯体を触媒に用い、添加剤を併存させなくても、比較的温和な反応条件で効率的にベンジル位を空気酸化して水酸基又はオキソ基を導入できる空気酸化方法、及び添加剤を併存させなくても、比較的温和な反応条件で効率的にベンジル位を空気酸化して水酸基又はオキソ基を導入できる、金属錯体である空気酸化触媒を提供できる。
製造例1で得た触媒の構造を示す図である。 製造例2で得た触媒の構造を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。以下の説明において例示される材料等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
本明細書において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
「ベンジル位」は、6員芳香環を構成する炭素原子に直接結合している炭素原子の位置である。
「空気酸化」は、分子状酸素が酸化剤となる酸化反応である。
「遷移金属」は、周期表第3族~第12族の元素の総称である。
本発明の空気酸化方法は、ベンジル位を有する有機化合物の前記ベンジル位を空気酸化する方法である。以下、空気酸化する有機化合物を「基質」とも記す。
本発明の空気酸化方法では、基質を、二種以上の金属を含む多核金属錯体である触媒(以下、「空気酸化触媒」とも記す。)の存在下で分子状酸素と接触させる。これにより、基質のベンジル位が空気酸化され、基質のベンジル位に水酸基又はオキソ基が導入された構造の有機化合物が生成する。例えば、基質がベンジル位にC-H結合を有する場合、基質のベンジル位が空気酸化されると、ベンジル位にC-OH結合を有するアルコール化合物、又はベンジル位にC=O結合を有するカルボニル化合物が生成する。
<空気酸化触媒>
本発明における空気酸化触媒は、二種以上の金属を含む多核金属錯体である。かかる空気酸化触媒によれば、添加剤を併存させなくても、比較的温和な反応条件で効率的に、基質のベンジル位を空気酸化して水酸基又はオキソ基を導入できる。また、金属錯体は、空気酸化の際に消費されない(分解しない)ので、反応後に回収して再利用できる。
二種以上の金属は少なくとも、セリウムと周期表第四周期に属する遷移金属(以下、「第四周期遷移金属」とも記す。)とを含むことが好ましい。これらの金属を含むことで、錯体の安定性が優れ回収と再使用が容易になる。
セリウムは、100℃未満の温度で、三価と四価の酸化数を流動的かつ安定的に駆動する。この性質が上記効果に寄与すると考えられる。第四周期遷移金属は、セリウムの酸化数における三価と四価の駆動をより安定的なものとし、セリウムの酸化還元電位を変化させることで触媒活性の向上に寄与すると考えられる。
第四周期遷移金属としては、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛等が挙げられる。
第四周期遷移金属としては、セリウムの酸化数における三価と四価の安定的駆動と形成する錯体の安定性の二つの点で、マンガン、銅及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましく、銅及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましい。
多核金属錯体の配位子としては、二種以上の金属を安定的かつ効果的に適切な距離に配置できる点で、マクロサイクル配位子が好ましい。
多核金属錯体の好ましい一態様は、マクロサイクル配位子と、前記マクロサイクル配位子の内側に配置された複数(例えば3個)の第四周期遷移金属と、前記複数の第四周期遷移金属の内側に配置されたセリウムとを含む多核金属錯体である。この多核金属錯体は、ベンジル位のC-H結合を活性化させる作用に優れており、ベンジル位の空気酸化を高効率に進行させることができる。また、この多核金属錯体は、簡便かつ確実に製造でき、錯体形成後に安定に存在する。安定性に優れることから、反応後に生成物から容易に回収でき製品に混入しにくい。また、回収後に再利用しやすい。
かかる多核金属錯体の一例として、下記式(i)で表される多核金属錯体(以下、「錯体(i)」とも記す。)が挙げられる。
Figure 0007232459000003
式中、Xは、第四周期遷移金属であり、
は、連結基であり、
は、対アニオンであり、
及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基もしくはアミノ基であるか、又は互いに結合して環を形成している。
としては、前記した第四周期遷移金属と同様のものが挙げられ、好ましい態様も同様である。
としては、例えば、アルキレン基、脂環式基、芳香族基等が挙げられる。アルキレン基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、例えばエチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基、2,2-ジメチルトリメチレン基等が挙げられる。アルキレン基としては、エチレン基、ジメチルメチレン基、トリメチレン基等の炭素数2~3のアルキレン基が好ましい。脂環式基としては、例えばシクロヘキシレン基等の炭素数3~10の脂環式基が挙げられる。芳香族基としては、例えばオルトフェニレン基等のフェニレン基、2,3-ナフタレン基等が挙げられる。
は、典型的には、脂肪族ジアミン、芳香族ジアミン等のジアミンから2つのアミノ基を除いた残基である。ジアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン等の脂肪族ジアミン、1,2-シクロヘキサンジアミン等の脂環式ジアミン、1,2-フェニレンジアミン等の芳香族ジアミンが挙げられる。
としては、種々の対アニオンを用いることができ、例えば、酢酸アニオン、塩化物イオン、硝酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオンが挙げられる。対アニオンは、セリウムやXに結合していてもよく、結合していなくてもよい。
及びRにおいて、アルキル基としては、例えば炭素数1~15の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-オクチル基等が挙げられる。アルキル基は、アリール基又はハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
アリール基としては、例えば炭素数6~20、好ましくは6~14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられる。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。アリール基は、アルキル基又はハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
及びRが互いに結合して、R及びRそれぞれが結合した炭素原子とともに形成する環としては、芳香環でもよく脂環でもよい。芳香環としては、例えば炭素数6~20、好ましくは6~14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素環が挙げられる。脂環としては、例えば、炭素数3~10の単環、多環又は縮合環式の飽和炭化水素環が挙げられる。
錯体(i)としては、Xがアルキレン基、Xが酢酸アニオンであるものが好ましい。
錯体(i)は、例えば、以下の手順で製造できる。
まず、溶媒中で、Xの酢酸塩と、2,3-ジヒドロキシベンゼン-1,4-ジカルボアルデヒドと、セリウムアセテートとを混合する。混合条件は、例えば25~80℃で1~4時間である。次いで、得られた混合液にジアミン(HN-X-NH)を加えて撹拌する。攪拌条件は、例えば25~80℃で6~18時間である。
その後、溶媒を除去することにより、形成された錯体を回収できる。必要に応じて、再結晶等の精製処理を行うことができる。得られた錯体の構造は、例えば、単結晶X線結晶構造解析により確認できる。
<基質>
基質としては、ベンジル位を有する有機化合物であれば特に制限はない。
基質は、典型的には、ベンジル位にC-OH結合を有さない。すなわちベンジル位に置換基として水酸基を持たない。
基質としては、例えば、下記式(1)で表される化合物(以下、「化合物(1)」とも記す。)、下記式(2)で表される化合物(以下、「化合物(2)」とも記す。)等の、ベンジル位にC-H結合を有する化合物が挙げられる。
Figure 0007232459000004
Figure 0007232459000005
式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、又はスルフィニル基を示す。これらの基はさらに、アルキル基、アリール基又はハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
、R、R、R、R、R、R、R10、及びR11から選ばれる二か所が結合して環を形成してもよい。
、R、及びRから選ばれる二か所が結合してオキソ基を形成してもよい。
、R、及びRが結合して芳香環を形成してもよく、さらにその芳香環がR又はR11と結合して縮合環を形成してもよい。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいアルキル基としては、例えば、炭素数1~15の直鎖状又は分岐状のアルキル基が挙げられる。具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、n-オクチル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいシクロアルキル基としては、例えば、炭素数3~10の単環、多環又は縮合環式のシクロアルキル基が挙げられる。具体例としては、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいアルケニル基としては、例えば、炭素数3~10のアルケニル基が挙げられる。具体例としては、ビニル基、アリル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいアルキニル基としては、例えば、炭素数3~10のアルキニル基及びアリールアルキニル基が挙げられる。具体例としては、エチニル基、プロピニル基、ヘキシニル基、フェニルエチニル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいアリール基としては、例えば炭素数6~20、好ましくは6~14の単環、多環又は縮合環式の芳香族炭化水素基が挙げられる。具体例としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、アニシル基、ニトロフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ビフェニル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいアラルキル基としては、例えば炭素数は7~20、好ましくは7~14の単環、多環又は縮合環式のアラルキル基が挙げられ。具体例としては、ベンジル基、1-フェニルエチル基、1-フェニルプロピル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基等が挙げられる。
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12における置換基を有していてもよいスルフィニル基としては、メチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基等が挙げられる。
基質の具体例としては、ベンジルフェニルケトン、1,4-ジフェニル-3-ブチン-2-オン、トルエン、о-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、メシチレン、プソイドクメン、クメン、エチルベンゼン、ジフェニルメタン、フルオレン、インダン等が挙げられる。
<空気酸化>
基質を空気酸化触媒の存在下で分子状酸素と接触させることにより、基質のベンジル位の空気酸化反応が進行する。
基質を空気酸化触媒の存在下で分子状酸素と接触させる方法としては、例えば、基質と、空気酸化触媒と、必要に応じて液状媒体を容器に収容し、空気下で撹拌する方法が挙げられる。
空気は、例えば、1~10気圧の圧力範囲で用いられる。
空気は、容器形状に依存した拡散を利用して容器内に導入してもよく、エアポンプを用いて導入してもよく、上方を開放させたフラスコや試験管等のガラス器具で1気圧の大気下における拡散条件下で導入してもよい。
空気酸化触媒の使用量は、例えば、基質(100質量%)に対して0.01~20質量%であり、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~5質量%である。
又は、空気酸化触媒の使用量は、例えば、基質1ミリモルに対して1~200mg、好ましくは1~100mg、より好ましくは1~10mgである。
空気酸化触媒の使用量が前記範囲の下限値以上であれば、基質のベンジル位の空気酸化反応がより進みやすい。空気酸化触媒の使用量が前記範囲の上限値を超えると、加えた触媒が完全に溶解せず見かけの触媒活性が低下するおそれがある。
液状媒体としては、一般的な有機溶媒は全て用いることが出来、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジクロロエタン、ジメチルホルミアミド(DMF)、アセトニトリル、エタノール、ベンゼン、ベンゾニトリル等が挙げられる。これらの液状媒体は単独で使用しても、2種以上を混合使用してもよい。
液状媒体の使用量は、基質に対し、質量比で、0.1~1000倍が好ましく、1~100倍がより好ましい。
空気酸化反応の反応条件に特に制約はないが、反応温度は、好ましくは0~150℃、より好ましくは20~60℃である。
反応時間は、用いる触媒の量や反応温度等により左右され、一概に定めることはできないが、通常は1~20時間の範囲で、好ましくは2~6時間の範囲で行われる。
空気酸化反応は、添加剤の不在下で行うことが好ましい。添加剤の不在下で空気酸化反応を行うことにより、生成物の純度が高まる。また、反応終了後の精製時のエネルギー投入量を少なくできる。
添加剤としては、例えば、特開平8-38909号公報の[0014]~[0029]や特開平9-327626号公報の[0030]~[0037]に開示されるイミド化合物(N-ヒドロキシフタルイミド等)、AgBF、AgPF、NaBF、NaPF等が挙げられる。
反応終了後、蒸留、クロマト分離、再結晶、昇華等の通常の方法によって、得られた生成物(アルコール化合物、カルボニル化合物等)を取り出すことができる。
<生成物>
上記のように基質のベンジル位を空気酸化することで、基質のベンジル位に水酸基又はオキソ基が導入された構造の有機化合物が得られる。
例えば基質が前記化合物(1)である場合、下記式(3)で表されるアルコール化合物及び/又は下記式(4)で表されるカルボニル化合物が得られる。
例えば基質が前記化合物(2)である場合、下記式(5)で表されるアルコール化合物及び/又は下記式(6)で表されるカルボニル化合物が得られる。
Figure 0007232459000006
Figure 0007232459000007
Figure 0007232459000008
Figure 0007232459000009
式中、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、及びR12は、それぞれ、前記と同義である。
得られるアルコール化合物又はカルボニル化合物の具体例としては、ベンジルアルコール、2-メチルベンジルアルコール、3-メチルベンジルアルコール、4-メチルベンジルアルコールベンジル、3,5-ジメチルベンジルアルコール、1-フェニルエタノール、ジフェニルメタノール、フルオレノール、1-インダノール、ベンジル、安息香酸、2-メチル安息香酸、3-メチル安息香酸、4-メチル安息香酸、3,5-ジメチル安息香酸、アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン、又は1-インダノン等が挙げられる。
以上説明した本発明にあっては、前記した空気酸化触媒を用いることで、添加剤を併存させなくても、比較的温和な条件下で効率的にベンジル位を空気酸化でき、基質のベンジル位に水酸基又はオキソ基が導入された構造の有機化合物を高収率で得ることができる。また、分子状酸素を酸化剤として用いるので、水のみを副生物として排出しながら、アルコール化合物やカルボニル化合物を製造できる。
また、前記した空気酸化触媒は、金属錯体であるので、ベンジル位を空気酸化する際に分解せず、再利用できる。
特に、前記した触媒(i)は、簡便かつ確実に製造でき、錯体形成後に安定に存在する。そのため、従来の金属錯体に用いられているような、製造法が煩雑で高コストであり、しかも製造中や製造後に分解するおそれのある配位子の利用を避けることができる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものではない。室温は、特に記載のない場合、25℃である。
空気酸化における転化率、収率は、ガスクロマトグラフィーにより分析した結果を元に、以下の計算式により計算した。
転化率(%)=(1-残存した原料のモル数/使用した原料のモル数)×100
収率(%)=(目的化合物のモル数/使用した原料のモル数)×100
(製造例1)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬株式会社製)(274mg、1.25mmol)のメタノール溶液(50mL)と、2,3-ジヒドロキシベンゼン-1,4-ジカルボアルデヒド(208mg、1.25mmol)のクロロホルム溶液(75mL)とを、セリウムアセテート一水和物(キシダ化学株式会社製)(139.8mg、0.416mmol)のメタノール/水混合溶媒(メタノール:水=2:1(質量比))溶液(75mL)に加え、30分間室温で撹拌した。その後、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(東京化成工業株式会社製)(148mg、1.45mmol)のクロロホルム溶液(75mL)を加え、18時間室温で撹拌した。ロータリーエバポレーターで溶媒を留去した後、0.05mmHg下で真空乾燥させ、メタノール/ジエチルエーテル/ヘキサンの3層系で再結晶を行い、前記式(i)で表され、式中のXが亜鉛、Xがジメチルメチレン基、Xが酢酸アニオンである錯体(379mg、0.315mmol、収率76%)を得た。
得られた錯体について単結晶X線結晶構造解析を行い、その結果から、得られた錯体が図1に示す構造を有することを確認した。
(製造例2)
酢酸銅(アルドリッチ社製)(55.3mg、0.304mmol)と硝酸セリウム六水和物(アルドリッチ社製)(43.7mg、0.101mmol)のメタノール溶液(25mL)に、2,3-ジヒドロキシベンゼン-1,4-ジカルボアルデヒド(50.7mg、0.305mmol)のメタノール溶液(5mL)を加え、4時間室温で撹拌した。その後、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(東京化成工業株式会社製)(35.6mg、0.350mmol)のメタノール溶液(5mL)を加えて、17時間室温で撹拌した。0.05mmHg下で、溶媒を留去し乾燥させ、ピリジン/トルエンの2層系で再結晶を行い、前記式(i)で表され、式中のXが銅、Xがジメチルメチレン基、Xが酢酸アニオンである錯体(379mg、0.315mmol、収率76%)を得た。
得られた錯体について単結晶X線結晶構造解析を行い、その結果から、得られた錯体が図2に示す構造を有することを確認した。
(製造例3)
酢酸亜鉛二水和物(和光純薬株式会社製)(109.8mg、0.500mmol)にメタノール(20mL)と水(10mL)を加え溶解させ、2,3-ジヒドロキシベンゼン-1,4-ジカルボアルデヒド(83.1mg、0.500mmol)のクロロホルム溶液(10mL)を加え、室温で17時間攪拌した。溶媒を留去し減圧乾燥後、メタノール(30mL)を加え、塩化セリウム(III)(無水)(東京化成工業株式会社製)(41.1mg、0.166mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(東京化成工業株式会社製)(52.8mg、0.516mmol)のメタノール溶液(3mL)を加えて、17時間室温で撹拌した。0.05mmHg下で、溶媒を留去し乾燥させ、メタノール(6mL)に溶かし、その溶液をジエチルエーテル(200mL)に滴下し錯体を再沈殿させた。得られた粉末をろ過し、乾燥させることで、前記式(i)で表され、式中のXが亜鉛、Xがジメチルメチレン基、Xが塩素イオンである錯体(132mg、0.117mmol、収率70%)を得た。得られた錯体の構造は、質量分析により確認した。
(製造例4)
硝酸亜鉛六水和物(ナカライテスク製)(148.6mg、0.500mmol)と、セリウムアセテート一水和物(キシダ化学株式会社製)(55.9mg、0.166mmol)にメタノール(20mL)と水(10mL)を加え溶解させ、2,3-ジヒドロキシベンゼン-1,4-ジカルボアルデヒド(83.1mg、0.500mmol)のクロロホルム溶液(10mL)を加え、室温で17時間攪拌した。溶媒を留去し減圧乾燥後、メタノール(20mL)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジアミン(東京化成工業株式会社製)(52.8mg、0.516mmol)のメタノール溶液(3mL)を加えて、17時間室温で撹拌した。0.05mmHg下で、溶媒を留去し乾燥させ、メタノール(6mL)に溶かし、その溶液をジエチルエーテル(200mL)に滴下し錯体を再沈殿させた。得られた粉末をろ過し、乾燥させることで、前記式(i)で表され、式中のXが亜鉛、Xがジメチルメチレン基、Xが硝酸イオンである錯体(197mg、0.162mmol、収率98%)を得た。得られた錯体の構造は、質量分析により確認した。
(製造例5)
硝酸亜鉛六水和物とセリウムアセテート一水和物の代わりにトリフルオロメタンスルホン酸亜鉛(II)とトリフルオロメタンスルホン酸セリウム(III)を用いた以外は製造例4と同様にして、前記式(i)で表され、式中のXが亜鉛、Xがジメチルメチレン基、Xがトリフルオロメタンスルホン酸アニオン(以下、「OTf」とも記す。)である錯体(221mg、0.15mmol、収率90%)を得た。得られた錯体の構造は、質量分析により確認した。
(実施例1)
25mL丸底フラスコにスターラーチップを入れ、製造例1で得た錯体6.0mgを入れ、さらに基質としてベンジルフェニルケトン(東京化成工業株式会社製)を19.6mg入れ、液状媒体としてDMSO(ナカライテスク株式会社製)を2mL加え、還流管に接続し、1気圧の空気下90℃で18時間撹拌した。その後、内部標準としてトリフェニルメタン(ナカライテスク株式会社製)を22.5mg(0.0921mmol)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、転化率は97%、ジケトン(下記反応式中のA)の収率は59%であり、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノン(下記反応式中のB)は検出されなかった。
Figure 0007232459000010
(実施例2)
DMSOの代わりにジクロロエタンを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は81%、ジケトンの収率は28%であり、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンの収率は16%であった。
(実施例3)
DMSOの代わりにジメチルホルムアミドを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は94%、ジケトンの収率は40%であり、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンの収率は8%であった。
(実施例4)
DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は89%、ジケトンの収率は48%であり、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンの収率は16%であった。
(実施例5)
製造例1で得た錯体の代わりに製造例3で得た錯体(Xが塩化物イオン)を触媒とし、DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は64%、ジケトンの収率は19%であり、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンの収率は30%であった。
(実施例6)
製造例1で得た錯体の代わりに製造例4で得た錯体(XがOTf)を触媒とし、DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は59%、ジケトンの収率は20%であり、2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンの収率は22%であった。
(比較例1)
触媒を用いず、DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は0%、ジケトン及び2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンは未検出であった。
(比較例2)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸セリウム一水和物を用い、DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は0%、ジケトン及び2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンは未検出であった。
(比較例3)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸亜鉛二水和物を用い、DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は0%、ジケトン及び2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンは未検出であった。
(比較例4)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸セリウム一水和物と酢酸亜鉛二水和物を用い、DMSOの代わりにアセトニトリルを用いた以外は実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、転化率は0%、ジケトン及び2-ヒドロキシ-1,2-ジフェニルエタノンは未検出であった。
(実施例7)
25mL丸底フラスコにスターラーチップを入れ、製造例1で得た錯体1.29mgを入れ、さらにエチルベンゼン(Sigma-Aldrich製)を3mL入れ、還流管に接続し、1気圧の空気下140℃で18時間撹拌した。その後、内部標準としてトリフェニルメタン(ナカライテスク株式会社製)を22.3mg(0.0913mmol)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、1-フェニルエタノール(下記反応式中のB)の収率は3.4%、アセトフェノン(下記反応式中のA)の収率は0.8%であった。
Figure 0007232459000011
(実施例8)
25mL丸底フラスコにスターラーチップを入れ、製造例2で得た錯体1.2mgを入れ、さらにエチルベンゼン(Sigma-Aldrich製)を3mL入れ、還流管に接続し、1気圧の空気下140℃で18時間撹拌した。その後、内部標準としてトリフェニルメタン(ナカライテスク株式会社製)を22.9mg(0.0928mmol)を加え、ガスクロマトグラフィー測定を行った。その結果、1-フェニルエタノールの収率は1.5%、アセトフェノンの収率は0.8%であった。
(比較例5)
触媒を用いなかった以外は実施例7と同様の条件で反応を行った。その結果、アセトフェノン及び1-フェニルエタノールは痕跡量観測されたのみであった。
(比較例6)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸セリウム一水和物を用いた以外は実施例7と同様の条件で反応を行った。その結果、アセトフェノンの収率は0.3%、1-フェニルエタノールの収率は1.3%であった。
(比較例7)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸亜鉛二水和物を用いた以外は実施例7と同様の条件で反応を行った。その結果、アセトフェノンの収率は0.5%、1-フェニルエタノールの収率は1.7%であった。
(比較例8)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸セリウム一水和物と酢酸亜鉛二水和物を用いた以外は実施例7と同様の条件で反応を行った。その結果、アセトフェノンの収率は0.2%、1-フェニルエタノールの収率は0.9%であった。
(比較例9)
製造例1で得た錯体の代わりにヘキサニトラトセリウム(IV)酸アンモニウム(CAN)を用いた以外は実施例7と同様の条件で反応を行った。その結果、アセトフェノンの収率は0.5%、1-フェニルエタノールの収率は2.2%であった。
(比較例10)
製造例1で得た錯体の代わりに酢酸を30μmol用いた以外は実施例7と同様の条件で反応を行った。その結果、アセトフェノンの収率は0.1%、1-フェニルエタノールの収率は0.5%であった。
基質としてベンジルフェニルケトンを用いた実施例1~6及び比較例1~4の結果を表1に示す。
基質としてエチルベンゼンを用いた実施例7~8及び比較例5~10の結果を表2に示す。表2中、添加量は、エチルベンゼン3mL当たりの触媒の使用量を示す。
Figure 0007232459000012
Figure 0007232459000013
実施例1~6及び比較例1~4の対比から、二種以上の金属を含む多核金属錯体を触媒に用いた実施例1~6では、触媒を用いなかった比較例1や他の触媒を用いた比較例2~4に比べて効率良く基質のベンジル位を空気酸化でき、基質のベンジル位に水酸基又はオキソ基が導入された構造の有機化合物を高収率で得ることができることが確認できた。
実施例7~8及び比較例5~10の対比においても同様の結果が確認できた。
空気酸化によりベンジル位を直接的に酸化して水酸基又はオキソ基を導入することにより、医薬品、農薬等の中間体や樹脂の原料等として工業的に重要なアルコール化合物やカルボニル化合物が得られる。そして、本発明によれば、空気を酸化剤として、副生成物が水のみで、単純な触媒混合により、アルコール化合物又はカルボニル化合物を効率的に製造できるので、本発明は、医薬品、農薬等の中間体や樹脂の原料等の分野を中心に幅広く活用することができる。

Claims (9)

  1. ベンジル位を有する有機化合物の前記ベンジル位を空気酸化する方法であって、
    前記有機化合物を、二種以上の金属を含む多核金属錯体である触媒の存在下で分子状酸素と接触させ
    前記多核金属錯体が、下記式(i)で表されることを特徴とする、空気酸化方法。
    Figure 0007232459000014
    式中、X は、周期表第四周期に属する遷移金属であり、
    は、連結基であり、
    は、対アニオンであり、
    及びR は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基もしくはアミノ基であるか、又は互いに結合して環を形成している。
  2. 前記多核金属錯体が、マクロサイクル配位子を含む、請求項1に記載の空気酸化方法。
  3. 前記二種以上の金属が、セリウムと周期表第四周期に属する遷移金属とを含む、請求項1又は2に記載の空気酸化方法。
  4. 前記周期表第四周期に属する遷移金属が、マンガン、銅及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項3に記載の空気酸化方法。
  5. 前記触媒の使用量が、前記有機化合物に対して1~20質量%である、請求項1~のいずれか一項に記載の空気酸化方法。
  6. ベンジル位を有する有機化合物の前記ベンジル位を空気酸化するための触媒であって、
    二種以上の金属を含む多核金属錯体であり、
    前記多核金属錯体が、下記式(i)で表されることを特徴とする、空気酸化触媒。
    Figure 0007232459000015
    式中、X は、周期表第四周期に属する遷移金属であり、
    は、連結基であり、
    は、対アニオンであり、
    及びR は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、水酸基もしくはアミノ基であるか、又は互いに結合して環を形成している。
  7. 前記多核金属錯体が、マクロサイクル配位子を含む、請求項に記載の空気酸化触媒。
  8. 前記二種以上の金属が、セリウムと周期表第四周期に属する遷移金属とを含む、請求項又はに記載の空気酸化触媒。
  9. 前記周期表第四周期に属する遷移金属が、マンガン、銅及び亜鉛からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項8に記載の空気酸化触媒。
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