JP7232213B2 - 機械工作システム - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械を含む複数の作業機が配置された機械工作システムに関する。
旋盤等の工作機械を含む作業機が1つのラインとなるように配置され、1つのワークに対して複数の作業機が順次作業を行うように構成された機械工作システムとして、下記特許文献に記載されたようなシステムが検討されている。そのシステムでは、1つのベースに1つの機械本体を載置させた工作機械を複数並べ、各機械本体が、各ベースから引き出し可能とされている。そのため、そのシステムは、機械本体のメンテナンス,交換等に対する利便性が高いものとなっている。
特許第4789103号公報
発明の解決しようとする課題
上述のような工作機械を含む複数の作業機が配置された機械工作システムに対して改良を施すことにより、そのシステムの実用性を高めることが可能である。本発明は、そのような観点からなされたものであり、実用性の高い機械工作システムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の機械工作システムは、
ベースと、そのベース上に載置された複数の作業機モジュールと、ワークをそれら複数の作業機モジュールに渡って搬送するとともにワーク反転装置が設けられたワーク搬送装置とを備えた機械工作システムであって、
第1の機械工作システムは、
前記複数の作業機モジュールが、
ワークを回転させるためのスピンドルと、バイトとドリルとを選択的に利用可能に保持するツール保持ヘッドとを備え、バイトとドリルとのうちの選択されたものによってワークに対する加工を行うように構成された工作機械モジュールを含むことを特徴とし、
第2の機械工作システムは、
前記複数の作業機モジュールが、
ワークを回転させるためのスピンドルと、バイトを保持するツール保持ヘッドとを備え、前記スピンドルによって回転させられたワークに対して、前記ツール保持ヘッドに保持されたバイトによって切削加工を行う旋盤モジュールと、
ワークを回転させるためのスピンドルと、ドリルを保持するツール保持ヘッドと、そのツール保持ヘッドに保持されたドリルをそれの軸線まわりに回転させるツール回転装置とを備え、前記スピンドルによって任意の回転位置に位置させられたワークに対して、前記ツール保持ヘッドに保持されたドリルによって穴あけ加工を行うボール盤モジュールと
を含むことを特徴とし、
さらに、第1の機械工作システム,第2の機械工作システムともに、
前記ワーク反転装置が、
ワークを把持するための1対の把持爪とそれら1対の把持爪を互いに接近離間させる爪動作アクチュエータとを含んで構成されるクランプと、ワークを把持した前記クランプを180°回転させるクランプ回転アクチュエータとを備え
前記ベースに、前記複数の作業機モジュールの各々においてワークに対して射出されるクーラントを収容する1つのクーラントタンクが内蔵され、
そのクーラントタンクが、複数の作業機モジュールの各々において生成される切削屑をクーラントと共に自身の内部に受け入れるように構成され、そのクーラントタンクに、それら受け入れた切削屑を排出する1つの切削屑排出装置が設けられたことを特徴とする。
本発明の機械工作システムは、バイトによる切削加工とドリルによる穴あけ加工とを行うことができ、実用性の高いものとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」と言う場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求の範囲と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、以下の各項に付随する記載,実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、それら請求可能発明のいくつかの態様が、特許請求の範囲に係る発明となる。
≪基本態様≫
(1)ベースと、そのベース上に載置されて配列方向に配列された複数の作業機モジュールとを備え、それら複数の作業機モジュールが、工作機械がモジュール化された1以上の工作機械モジュールを含むとともに、それら複数の作業機モジュールの各々が、前記配列方向と交差する交差方向に延びる軌道に沿って前記ベースから引き出し可能とされた機械工作システム。
本態様のシステムによれば、複数のモジュールが引き出し可能に並べられていることから、それらモジュールのメンテナンスを容易に行うことができる。具体的に言えば、メンテナンスを行うモジュールを引き出すことにより、そのモジュールと隣り合うモジュールが邪魔にならずに、メンテナンスが行えるのである。また、本態様のシステムによれば、1つのベースに複数のモジュールが配列されているため、当該システムが備えるベースの数を少なくすることが可能である。
本態様のシステムにおける「作業機モジュール」は種々の作業機がモジュール化されたものであり、上記工作機械モジュールは、その一種である。「作業機」は、例えば、工作機械を始め、その工作機械による機械加工に付随する種々の作業を行う機械が含まれる。作業機には、例えば、機械加工の結果を測定等する検査機,機械加工に先立った前処理を行う前処理機等が含まれ、さらには、モジュールへのワーク(被加工物)の供給を行う供給機、作業が完了したワークをモジュールから受けとって搬出する若しくはストックしておく搬出機若しくは貯蔵機等も広く含まれる。ちなみに、「工作機械」には、旋盤,ボール盤,フライス盤,マシニングセンタ,研削盤,研磨盤等が含まれる。
本態様のシステムによれば、1つのベースに複数のモジュールが配列されているため、当該システムが備えるベースの数を少なくすることが可能である。ベースは、後に説明するように、分割,分離不能な単一体であってもよく、また、いくつかのベースユニットが連結,締結等されたものであってもよい。
なお、複数のモジュールの上記「配列方向」および上記「交差方向」は、ともに、ベースの上面と平行な方向、詳しく言えば、水平方向であることが望ましい。また、配列方向におけるシステム全体の長さ(以下、「システム長」と言う場合がある)を短くできること、つまり、複数のモジュールがライン状に配置されている場合におけるライン長を短くできることに鑑みれば、上記配列方向と上記交差方向とは、互いに直交することが望ましい。なお、以下の説明においてモジュールの引き出しの方向を「引出方向」と呼ぶ場合があることとする。ちなみに、引出方向は、交差方向と平行な方向である。
(2)前記複数の作業機モジュールが、前記ベース上に、前記配列方向において互いに近接して配列された(1)項に記載の機械工作システム。
本態様によれば、それら複数のモジュールの配列の長さ、つまり、それら複数のモジュールがライン状に配列されている場合におけるそのラインの長さを、短くすることが可能である。言い換えれば、当該システムの配列方向の長さを短くできる。したがって、本態様によれば、比較的短い長さの機械工作システムを構築することが可能となる。なお、本項にいう「近接」とは、例えば、隣合うモジュールの間隔が10cmを超えない程度であることを意味する。システムの配列方向の長さを可及的に短くするという観点からすれば、2つのモジュールの間隔が5cm以下であることが望ましく、さらには、2つのモジュールの間隔が実質的に存在しないことがより望ましい。本態様によれば、「モジュールのメンテナンスの容易化」という上述のメリットを、充分に享受できることになる。
なお、当該システムの配列方向の長さを短くするという観点からすれば、モジュールの幅(配列方向の寸法)を可及的に小さくすることが望ましい。具体的には、モジュールの幅が、モジュールの長さ(交差方向の寸法)の1/3以下、さらには、1/5以下となるようなモジュールを配置することがの望ましい。
(3)前記交差方向において互いに反対となる両方向のうちの一方を、前方と、他方を、後方と定義した場合において、
前記複数の作業機モジュールの各々が、ワークに対する作業が行われる作業空間を、前方の側に有する(1)項または(2)項に記載の機械工作システム。
本態様のシステムでは、前方側に、各モジュールの作業空間が並ぶことになる。つまり、複数のモジュールの各々の作業空間が前方側に揃うことになる。したがって、本態様のシステムは、モジュール間のワーク(被加工物,作業対象を意味する)の受け渡しを容易に行わせることができるといった利点を有し、また、オペレータが各モジュールによる作業の確認等を前方側にて行うといった作業管理上の利点等、種々の利点を有する。なお、以下の説明において、その説明を解り易くするために、特段の事情がない限り、「交差方向」を「前後方向」と呼ぶ場合があり、それに関連して、「配列方向」を「左右方向」と呼ぶ場合あることとする。
(4)前記複数の作業機モジュールの各々が、前記交差方向において互いに反対となる両方向のいずれにも引き出し可能とされた(1)項ないし(3)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様のシステムでは、前方,後方のいずれにも引き出し可能である。したがって、例えば、メンテナンスを行う箇所に応じて、引き出す方向を選択できることから、より容易にメンテナンスを行うことが可能である。
≪ベースのバリエーション≫
(11)前記ベースが、単一物とされた(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
システムを構成する構成要素の数が少ない、システムの設置が容易であるといった観点からすれば、本態様のように、ベースが単一物であることが望ましい。なお、「単一物」とは、実質的に分離,分割ができない一体物のことを意味する。
(12)前記ベースが、それぞれに前記複数の作業機モジュールのうちの1以上のものが載置される複数のベースユニットを含んで構成された(1)項ないし(4)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、ベースが相当に大きくなる場合に有利である。本態様は、ベースが、いくつかのモジュールによって構成された態様と考えることができる。詳しく言えば、本態様は、1つのベースユニットと1以上の作業機モジュールとからなるセットが含まれる態様と考えることができる。つまり、本態様は、1つのベースユニットと1以上の作業機モジュールとが1つのシステムモジュールを構成し、そのシステムモジュールが複数配置されて当該システムが構成された態様と考えることもできるのである。なお、ベースユニットの数を比較的少なくするという観点からすれば、1つのベースユニットに2以上のモジュールが載置されることが望ましい。ちなみに、ベースユニットは単一物であることが望ましく、また、複数のベースユニットは、互いに、連結,締結等されてベースを構成するものであってもよい。
(13)前記複数のベースユニットのうちの少なくとも1つが、前記複数の作業機モジュールのうちの2つ以上のものが載置されるように構成された(12)項に記載の機械工作システム。
(14)前記複数のベースユニットの各々が、前記複数の作業機モジュールのうちの2つ以上のものが載置されるように構成された(13)項に記載の機械工作システム。
上記2つの項の態様は、ベースユニットの数を減少させるという観点において有利な態様である。特に、後者の態様では、ベースユニットの数を相当に減少させることできる。
なお、1つのベースユニットに2以上の作業機モジュールが載置されたシステムモジュールは、それ自体、先に掲げた基本的態様の機械工作システムと考えることができ、後者の態様は、複数の機械工作システムによって構成された1つの機械工作システムと考えることができる。
(15)前記複数のベースユニットが、概して同一の構造のものとされた(12)項ないし(14)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、ベースユニットが規格化された態様と考えることができる。例えば、複数のベースユニットの形状,寸法等を同一にすることも、本態様に含まれる。本態様によれば、例えば、配列される作業機モジュールの数の変更等に対して、ベースユニットの数を変更することによって容易に対応でき、フレキシビリティに富んだシステムが実現される。
≪工作機械モジュールのバリエーション≫
(21)前記1以上の工作機械モジュールが、
(a) 自身の軸線が前記交差方向に延びる姿勢で配設され、自身の回転によってワークを回転させるためのスピンドルと、(b) ツールを保持するツール保持ヘッドと、(c) 前記スピンドルの上方に設けられ、前記ツール保持ヘッドを前記交差方向および上下方向に移動させるヘッド移動装置とを備えて、ワークに対してツールによる加工を行う1以上の水平スピンドル型モジュールを含む(1)項ないし(15)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本項に言う「ワーク」は、いわゆる被加工物,作業対象物と呼ぶことのできるものであり、工作機械モジュールに関して言えば、そのモジュールによる加工の対象物を意味する。また、「ツール(工具)」は、工作機械モジュールの種別によって異なるが、たとえば、バイト,ドリル,ミル,研削砥石,研磨材等が含まれる。「スピンドル」は、ワークを回転させるものであり、いわゆる主軸と呼ぶことのできるものである。上記のようなスピンドルを有する工作機械では、一般的に、スピンドルの一端にチャック等のワーク保持具が設けられて、そのワーク保持具に保持された状態において、ツールによる加工が行われる。
上述の機械加工モジュールは、スピンドルが前後方向に延びる姿勢で配設されていることから、そのモジュールを、便宜的に、「水平スピンドル型モジュール」と呼ぶ。上記水平スピンドル型モジュールは、上述の配列方向、つまり、左右方向における寸法(以下、「幅」若しくは「モジュール幅」と言う場合がある)を小さくすることが可能である。ツール保持ヘッドを移動させるヘッド移動装置が、スピンドルの上方に位置させられていることも、モジュールの幅を小さくすることに貢献している。なお、モジュール幅をできるだけ小さくする、モジュールの配列方向におけるバランスを良好なものとする等の理由から、ヘッド移動装置は、スピンドルの軸線(以下、「スピンドル軸線」と言う場合がある)の真上に配設されていることが望ましい。
(22)前記1以上の水平スピンドル型加工機モジュールが、
前記スピンドルによってワークを回転させつつ、前記ツールとしてのバイトによってそのワークに対して切削加工を行う旋盤モジュールを含む(21)項に記載の機械工作システム。
本態様は、当該システム内に、工作機械として、旋盤を含んで構成されたシステムに関する態様である。本態様における旋盤モジュールは、上記水平スピンドル型モジュールであるため、モジュール幅が狭く、その旋盤モジュールを含んで構成された本態様のシステムは、システム長が比較的短いものとなる。
(23)前記1以上の水平スピンドル型加工機モジュールが、
前記ツール保持ヘッドが、ツールをそれの軸線回りに回転させるツール回転装置を有するとともに、前記スピンドルの回転によってワークを任意の回転位置に位置させた状態でそのワークを固定し、それぞれが前記ツールとしてのドリルとミルとの少なくとも一方によってそのワークに対して穴あけ加工とフライス加工との少なくとも一方を行うボール盤/フライス盤モジュールを含む(21)項または(22)項に記載の機械工作システム。
本態様は、旋盤とボール盤との少なくとも一方として機能する工作機械を含んで構成されたシステムに関する態様である。本態様におけるボール盤/フライス盤モジュールは、例えば、スピンドル軸線回りにワークを回転させるインデックステーブルを有するボール盤若しくはフライス盤がモジュール化されたものと考えることができる。本態様におけるボール盤/フライス盤モジュールは、上記水平スピンドル型モジュールであるため、モジュール幅が狭く、そのボール盤/フライス盤モジュールを含んで構成された本態様のシステムは、システム長が比較的短いものとなる。
(24)前記1以上の水平スピンドル型モジュールのうちの少なくとも1つが、
前記ツール保持ヘッドが、それぞれが前記ツールである複数のツールを、それらのうちの1つを選択的に利用可能に保持し、ワークに対して、複数のツールのうちの選択された1つのものによる加工を行うように構成された(21)項ないし(23)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様のシステムに含まれる水平スピンドル型モジュールは、複数のツールによる加工が可能とされており、本態様のシステムによれば、1つのワークに対して、比較的少ないモジュールによって、比較的複雑な機械加工を行うことが可能となる。その水平型スピンドル型モジュールが旋盤モジュールである場合には、そのモジュールは、いわゆるタレット旋盤若しくは櫛歯旋盤がモジュール化されたものと考えることができる。また、その水平型スピンドル型モジュールがボール盤/フライス盤モジュールである場合には、そのモジュールは、いわゆるマシニングセンタ的な機能、つまり、ツールチェンジャを備えたに等しい機能を有するものと考えることができる。
≪モジュールの引出に関する構造≫
(31)前記複数の作業機モジュールの各々が、前記配列方向に間隔をおいて配設された1対の車輪を有するとともに、
前記ベースが、
それぞれが、配列方向に間隔をおいてかつ前記交差方向に延びるようにして敷設された1対のレールによって構成された複数のレール対を有し、
前記複数の作業機モジュールの各々が有する前記1対の車輪の各々が、前記複数のレール対のいずれかの1対のレールの一方を転動することにより、前記複数の作業機モジュールの各々が、前記軌道に沿って前記ベースから引き出し可能とされた(1)項ないし(24)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様における「レール」は、上記軌道を画定するための部材(以下、「軌道画定部材」と言う場合がある)の一種である。本態様によれば、このレールを、モジュールに設けた車輪が転動することで、そのモジュールを比較的小さな力によって容易に引き出すことが可能となる。なお、安定したモジュールの引出しを考慮すれば、モジュールには、交差方向、つまり、引出方向に間隔をおいて複数箇所のそれぞれに、1対の車輪が設けられていることが望ましい。
本態様では、ベースに複数のモジュールが載置可能であるため、そのベースには、複数のレール対が設けられている。本態様のシステムは、例えば、比較的幅の狭いモジュールの場合には、そのモジュールが有する1対の車輪が、複数のレール対の1つを転動するようされ、その一方で、比較的幅の広いモジュールの場合には、そのモジュールが有する1対の車輪の一方が、複数のレール対のうちの1つを構成する1つのレールを転動し、その1対の車輪の他方が、複数のレール対のうちの別の1つを構成する1つのレールを転動するように構成されてもよい。
(32)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向に駆動するモジュール駆動機構が設けられた(1)項ないし(31)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様によれば、人力に拠らずに、電動モータ等の何らかの駆動源の力を利用して、容易にモジュールを引出方向に引き出すことができる。本態様のシステムは、比較的重量のあるモジュールをベース上に配列したシステムに好適である。なお、モジュール駆動機構が有する駆動源は、ベースに設けられてもよく、モジュールに設けられてもよい。ちなみに、本態様には含まれないが、複数の作業機モジュールの一部となる少なくとも1つのものに対してだけモジュール駆動機構が設けられた態様も、請求可能発明の態様となり得る。
(33)前記モジュール駆動機構が、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの一方に、前記交差方向に延びるようにして配設されたラックと、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの他方に配設された、前記ラックと噛合するピニオン、および、そのピニオンを回転させる駆動源と
を含んで構成された(32)項に記載の機械工作システム。
本態様では、モジュール駆動機構において、ラックアンドピニオン機構が採用されている。ラックアンドピニオン機構は、しっかりと力を伝達できることに加え、ピニオンの回転位置とラックの移動位置との関係が、直線的関係(リニアな関係)にあるため、本態様によれば、ピニオンの回転位置を制御することにより、モジュールを、それが引き出される位置(以下、「引出位置」と言う場合がある)に、正確に引き出すことが可能となる。
≪モジュールの固定に関する構造≫
(41)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向において設定された固定位置に固定するモジュール固定機構が設けられた(1)項ないし(33)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
上記「固定位置」は、当該システムが稼働するにあたってモジュールが位置すべき位置である「通常時位置(標準位置と呼ぶこともできる)」,モジュールを引き出した場合においてそのモジュールを固定すべく任意に設定された「引出位置」等が該当する。本態様のシステムは、各モジュールが、設定された固定位置においてモジュール固定機構によって固定されるため、便利である。なお、モジュール固定機構は、複数のモジュールの各々に対して設けられているため、本態様では、当該システムに、複数のモジュール固定機構が設けられていると考えてもよい。
(42)前記モジュール固定機構が、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの一方に配設された被係止部と、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの他方に配設された、前記被係止部を係止可能な係止部、および、その係止部によって前記被係止部が係止される状態とその係止部によっては前記被係止部が係止されない状態とを切り換えるべくその係止部を動作させる係止部作動装置と
を含んで構成された(41)項に記載の機械工作システム。
本態様は、モジュール固定機構の具体的構造に関する限定を加えた態様である。本態様のシステムによれば、簡単に、モジュールの固定およびその固定の解除を行うことができる。なお、モジュールに被係止部を設け、ベースに係止部と係止部作動装置とを設ける場合には、ベース側においてモジュールの固定およびその固定の解除が行われる態様と考えることができ、逆に、ベースに被係止部を設け、モジュールに係止部と係止部作動装置とを設ける場合には、モジュール側において自身の固定およびその固定の解除が行われる態様と考えることができる。
(43)前記モジュール固定機構が、
前記複数の作業機モジュールの1つを、前記交差方向においてそれぞれが前記固定位置として設定された複数の固定位置に固定するように構成された(41)項または(42)項に記載の機械工作システム。
本態様によれば、例えば、上述の通常時位置と引出位置との両方において、モジュール固定機構によるモジュールの固定が可能となる。ちなみに、本態様には、複数のモジュールのすべてに対して複数の固定位置に固定可能なモジュール固定機構が設けられた態様のみならず、複数のモジュールのうちの一部に対してだけ複数の固定位置に固定可能なモジュール固定機構が設けられ、その一部以外のモジュールに対しては1つの固定位置にのみ(例えば、通常時位置にのみ)固定可能なモジュール固定機構が設けられた態様も含まれる。
(44)前記モジュール固定機構が、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの一方に配設された被係止部と、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの他方に配設された、前記被係止部を係止可能な係止部、および、その係止部によって前記被係止部が係止される状態とその係止部によっては前記被係止部が係止されない状態とを切り換えるべくその係止部を動作させる係止部作動装置と
を含んで構成され
それぞれが前記被係止部若しくは前記係止部として機能する複数の被係止部若しくは複数の係止部が、前記交差方向において間隔をおいて設けられたことで、前記複数の作業機モジュールの1つを、前記複数の固定位置に固定するように構成された(43)項に記載の機械工作システム。
本態様は、複数の固定位置にモジュールを固定可能なモジュール固定機構の具体的構造に関する限定を加えた態様である。本態様には、複数の被係止部が設けられ、それら複数の被係止部のいずれかが1つの係止部によって係止されることで、係止される被係止部に対応した固定位置にモジュールが固定される態様が含まれ、また、複数の係止部を設け、それら複数の係止部のいずれかが1つの被係止部を係止することで、係止する係止部に対応した固定位置にモジュールが固定される態様が含まれる。それら2つの態様のいずれにも属する一態様を実現させるべく、モジュール固定機構を、例えば、2つの係止部および2つの被係止部が同じ間隔で設けられ、2つの係止部の一方が2つの被係止部の一方を係止し、かつ、他方が他方を係止した状態において、モジュールを通常時位置に固定し、2つの係止部の一方が2つの被係止部の他方を係止した状態において、モジュールを第1の引出位置に固定し、2つの係止部の他方が2つの被係止部の一方を係止した状態において、モジュールを第2の引出位置に固定するように構成することも可能である。そのように構成されたモジュール固定機構は、モジュールが前方と後方との両方に引出し可能なシステムにおいて、好適に採用することができる。
(45)前記モジュール固定機構が、前記複数の作業機モジュールの1つを、前記ベースに押し付けた状態で固定する押付型固定機構である(41)項ないし(44)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本項の態様によれば、モジュールがベースにしっかりと固定されることになり、作業を行うことによって生じるモジュールの振動等の悪影響を防止若しくは抑制することができる。具体的には、例えば、モジュールが旋盤モジュールである場合において、良好な切削精度(加工精度)が担保される。なお、本態様は、当該システムが備えるすべてのモジュール固定機構が押付型固定機構であることを要しない。つまり、モジュール固定機構の一部のもののみが押付型固定機構である態様も、本態様に含まれるのである。
(46)前記モジュール固定機構が、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの一方に配設された被係止部と、
前記複数の作業機モジュールの1つと前記ベースとの他方に配設された、前記被係止部を係止可能な係止部、および、その係止部によって前記被係止部が係止される状態とその係止部によっては前記被係止部が係止されない状態とを切り換えるべくその係止部を動作させる係止部作動装置と
を含んで構成され、
前記係止部によって前記被係止部が係止される状態において、前記係止部作動装置が、前記係止部を前記被係止部に向かって付勢することで、前記複数の作業機モジュールの1つを、前記ベースに押し付けた状態で固定するように構成された(45)項に記載の機械工作システム。
本態様は、押付型固定機構の具体的構造に関する限定を付加した態様である。本態様によれば、例えば、係止部を被係止部に引き付ける若しくは押し付けるといった簡便な構成によって、押付型固定機構を実現させることができる。
≪ベースからの離脱≫
(51)前記複数の作業機モジュールの各々が、前記ベースから離脱可能なまでに引き出し可能とされた(1)項ないし(46)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様のシステムによれば、モジュールの交換を容易に行うことが可能である。システムによる作業の変更等に柔軟に対処可能であることから、本態様のシステムは、フレキシビリティに富むことになる。なお、本態様のシステムでは、モジュールのメンテナンスの際に、モジュールをベースから離脱させることができるため、本態様のシステムは、複雑なメンテナンス,大規模なメンテナンス等に対する利便性に優れている。
(52)前記複数の作業機モジュールの各々が、前記交差方向において互いに反対となる両方向に引き出し可能とされ、かつ、その両方向のうちの少なくとも一方に、前記ベースから離脱可能なまでに引き出し可能とされた(51)項に記載の機械工作システム。
本態様は、すべてのモジュールが、両方向のうちの一方にのみ離脱可能なまでに引き出し可能とされていてもよく、すべてのモジュールが、両方向に離脱可能なまでに引き出し可能とされていてもよい。また、複数のモジュールのうちの一部が両方向のうちの一方にのみ離脱可能なまでに引き出し可能とされ、複数のモジュールのうちの残りのものが両方向に離脱可能なまでに引き出し可能とされていてもよい。
(53)前記複数の作業機モジュールの各々が、少なくとも、同じ方向に離脱可能なまでに引き出し可能とされた(52)項に記載の機械工作システム。
本態様によれば、前方側,後方側の少なくともいずれかに、すべてのモジュールが離脱可能なまでに引き出し可能である。したがって、本態様のシステムでは、モジュールの交換のためのスペースをシステムの前方側と後方側との一方にのみ設けるだけで、モジュールを容易に交換することができることになる。つまり、本態様のシステムは、当該システムの周りに必要なスペースを、比較的小さくすることができるのである。言い換えれば、本態様によれば、配置性に優れたシステムが実現される。
(54)前記交差方向において互いに反対となる両方向のうちの一方を、前方と、他方を、後方と定義した場合において、
前記複数の作業機モジュールの各々が、
ワークに対する作業が行われる作業空間を前方の側に有し、かつ、少なくとも後方に前記ベースから離脱可能なまでに引き出し可能とされた(53)項に記載の機械工作システム。
本態様のシステムによれば、すべてのモジュールが後方側に離脱可能なまでに引き出しが可能とされている。後に説明するように、後方側に切削屑が排出されるように構成されている場合、一般的に、システムの後方における傍らに切削屑の収容器が配置されるため、その後方側の傍らは、いわゆるデッドスペースとなる。本態様によれば、切削屑の収容器を撤去するだけで、デッドスペースを利用して、モジュールの交換が可能となる。
(55)当該機械工作システムが、
前記複数の作業機モジュールのうちのいずれかのものの前記ベースからの離脱の際、前記ベースの傍らにおいて前記軌道を延長するようにして定置され、そのいずれかのものが移載される移載台車を備えた(51)項ないし(54)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様によれば、離脱させたモジュールを移載台車に載せた状態で運搬可能であるため、モジュールの交換を容易に行うことが可能である。なお、移載台車は、モジュールを離脱させるために用いられるだけでなく、モジュールを引き出す際に、そのモジュールを、それの一部が移載台車に載せられた状態で固定するために用いることもできる。そのような状態にモジュールを引き出せることで、本態様によれば、比較的大きな引出し、つまり、モジュールの一部がベースに対して比較的大きくオーバーハングするようなモジュールの引出しを、安定した状態で行えることになる。
(56)前記移載台車が、
前記複数の作業機モジュールのうちのいずれかのものの移載のために、前記軌道に沿って前記ベースから当該移載台車に移動させるモジュール移動装置を備えた(55)項に記載の機械工作システム。
本態様におけるモジュール移動装置は、電動モータ等を駆動源として含んで構成されたものであってもよく、また、人力が駆動力となるように構成されたものであってもよい。本態様によれば、モジュールの移載台車への移載を、人力によらず、若しくは、人力による場合であっても比較的小さな力で、モジュールを移載させることが可能である。
(57)前記モジュール移動装置が、
前記複数の作業機モジュールのうちのいずれかのものの当該モジュール移動装置による移動の方向に延びる姿勢で配設され、外周に雄ねじが形成され、自身に加えられる駆動力によって回転するねじロッドと、
前記複数の作業機モジュールのうちのいずれかのものと係合させられるとともに、そのねじロッドの前記雄ねじと螺合して、そのねじロッドの回転に伴って前記交差方向移動する可動係合体と
を有する(56)項に記載の機械工作システム。
本態様は、モジュール移動装置の具体的構造に関する限定を加えた態様である。当該モジュール移動装置が、駆動源を備える場合においては、その駆動源の駆動力によって、上記ねじロッドを回転させればよく、一方、駆動源を備えない場合にあっては、例えば、上記ねじロッドの一端部にハンドルを付設し、そのハンドルをオペレータが回転させることで、モジュールを、それが可動係合体と係合した状態で移動させられた状態で、移動させるように構成すればよい。なお、本態様では、上記ねじロッドと上記可動係合体とによって、ねじ機構が構成されていると考えることができ、そのねじ機構は、例えば、台形ねじ,ボールねじ等を採用するものであってよい。本態様においては、可動係合体とモジュールとの係合の手法として、例えば、可動係合体がモジュールに引っ掛かるような手法(いわゆる「掛合」である)、可動係合体とモジュールとがボルト等の締結材で締結されるような手法等、種々の手法を採用することができる。
≪ベース上のモジュールの配置領域≫
(61)前記ベース上に、前記配列方向において互いに等しい幅の複数の配置領域が設定されており、
前記複数の作業機モジュールの各々が、前記複数の配置領域のうちの1つ以上のものを占有し、かつ、その複数の配置領域のうちの1つ以上のものに隣接するものにはみ出さないように配列されている(1)項ないし(57)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様における「配置領域」とは、ベース上に区画設定された仮想空間であり、モジュールが配置される空間を規定するための単位空間と考えることができる。複数の配置領域は、間隔を置かずに、つまり、互いが接するようにして配列方向に並んでいる。モジュールは、それの幅によって占有する配置領域の数が異なり、1つの配置領域しか占有しないモジュールや、複数の配置領域を占有するモジュールが存在する。モジュールの幅(配列方向の寸法)を「モジュール幅」と、1つの配置領域の幅(配列方向における寸法)を「領域幅」と、それぞれ定義すれば、モジュール幅が領域幅以下となるモジュールだけを並べて当該システムを構成してもよく、また、モジュール幅が領域幅を超えるるモジュールだけを並べて、あるいは、モジュール幅が領域幅以下となるモジュールとモジュール幅が領域幅を超えるモジュールとを混在させて並べるようにして当該システムを構成してもよい。
本態様においては、領域幅を超えるモジュールは、2以上の配置領域を占有するが、隣接する配置領域にははみ出さないように配列される。言い換えれば、1つのモジュールが占有している配置領域には他のモジュールの一部がはみ出すことは禁止される。つまり、1つの配置領域に2つのモジュールが存在することが禁止されるのである。ただし、配列方向における端に位置するモジュールについては、複数の配置領域の端のものの外側には配置領域が設定されていないため、端に位置する配置領域からの外側へのはみ出しは許容される。なお、本態様において、例えば、複数のモジュールが互いに近接して配置されている場合、複数のモジュールのうちの両端の2つのものを除く他のモジュールの各々は、概して領域幅の整数倍となるモジュール幅を有することになる。
上述のことに鑑みれば、本態様は、上記配置領域に関連して、モジュール幅,モジュールの配列についてのルールが規定された態様と考えることができる。そのルールに従うことで、ベースに載置されているモジュールを他のモジュール若しくは他の種類のモジュールに変更する際の煩雑さを回避することができ、本態様は、フレキシビリティに富んだシステムとなる。
(62)前記複数の作業機モジュールのうちの1つのものが、前記複数の配置領域の1つを占有し、前記複数の作業機モジュールのうちの別の1つのものが、前記複数の配置領域のうちの2以上を占有している(61)項に記載の機械工作システム。
本態様は、簡単に言えば、モジュール幅の異なるモジュールを含んで構成された態様である。1つの配置領域のみを占有するモジュールを「単一領域占有モジュール」と、連続する複数の配置領域を占有するモジュールを「複数領域占有モジュール」と、それぞれ定義した場合に、本態様は、1以上の単一領域占有モジュールと1以上の複数領域占有モジュールとが配列された態様と言い換えることができる。
(63)前記複数の作業機モジュールのうちの両端に配列された2つのものの少なくとも一方が、前記複数の配置領域の両端のいずれかに位置するものの一方からはみ出すようにして配列されている(61)項または(62)項に記載の機械工作システム。
本態様は、先に説明したように、配列の端にあるモジュールを、端に存在する配置領域から外側へはみ出すようにした態様である。本態様によれば、領域幅の整数倍を超えるモジュール幅を有するモジュールであっても、隣接するモジュールの制約を受けずに、配列方向における端部に配置することができる。したがって、本態様によれば、モジュール幅の比較的大きなモジュールを含むシステムであっても、モジュールの配列に関する自由度が高いシステムとなる。
(64)前記複数の作業機モジュールのうちの両端に配列された2つのものの少なくとも一方が、前記ベースからはみ出すようにして配列されている(63)項に記載の機械工作システム。
本態様によれば、モジュール幅の比較的大きなモジュールを含むシステムであっても、ベースの幅(配列方向の長さ)を比較的小さくすることが可能である。
(65)前記複数の作業機モジュールの各々が1対の車輪を有するとともに、
前記ベースが、
前記複数の配置領域に対応して前記配列方向において等ピッチで配置され、それぞれが、前記交差方向に延びるようにして敷設された1対のレールによって構成された複数のレール対を有し、
前記複数の作業機モジュールの各々が有する1対の車輪の各々が、その複数の作業機モジュールの各々が占有する前記複数の配置領域のいずれかに対応して配置された1つのレール対を構成する1対のレールの一方を転動することにより、前記複数の作業機モジュールの各々が、前記軌道に沿って前記ベースから引き出し可能とされた(61)項ないし(64)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、上述のレール対を配置領域に対応してベース上に配設した態様である。本態様では、1つのモジュールが有する1対の車輪の各々は、そのモジュールが占有する1以上の配置領域に対応して敷設されているいずれか1つのレールを転動することになる。より詳しく言えば、例えば、モジュールが上述の単一領域占有モジュールである場合には、そのモジュールが有する1対の車輪の一方が、そのモジュールが占有する配置領域に対応して敷設された1対のレールの一方を、他方が、他方を、それぞれ転動することになる。
(66)前記複数の作業機モジュールが、前記複数の配置領域のうちの2以上のものを占有する複数領域占有モジュールを含み、
その複数領域占有モジュールが有する1対の車輪の一方が、前記複数の配置領域の2以上のものの1つに対応して配置されたレール対を構成する1対のレールの一方を転動し、前記1対の車輪の他方が、前記複数の配置領域の2以上のものの別の1つに対応して配置されたレール対を構成する1対のレールの一方を転動することにより、前記複数領域占有モジュールが、前記軌道に沿って前記ベースから引き出し可能とされた(65)項に記載の機械工作システム。
本態様は、簡単に言えば、モジュールが上述の複数領域占有モジュールである場合において1対の車輪がどのレールを転動するかについての限定を加えた態様である。具体的には、例えば、モジュールが、2つの配置領域を占有する2領域占有モジュールである場合には、そのモジュールが有する1対の車輪の一方が、そのモジュールが占有する2つの配置領域の一方に対応して敷設された1対のレールの一方(例えば、配列方向における外側に位置するもの)を、他方が、そのモジュールが占有する2の配置領域の他方に対応して敷設された1対のレールの一方(例えば、配列方向における外側に位置するもの)を、それぞれ転動するようにすればよい。
(67)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向に駆動するモジュール駆動機構が設けられており、
それぞれが前記モジュール駆動機構を構成可能な複数のベース側構成要素が、前記複数の配置領域に対応するようにして前記ベースに配置された(61)項ないし(66)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、簡単に言えば、前述のモジュール駆動機構のベースに配置されるべき部分が、配置領域ごとに、ベースに配置された態様である。本態様によれば、その部分が配置領域ごとに設けられているため、いずれの配置領域を占有するモジュールであっても、モジュール駆動機構によって、そのモジュールを容易に引き出すことが可能となる。
(68)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向において設定された固定位置に固定するモジュール固定機構が設けられおり、
それぞれが前記モジュール固定機構を構成可能な複数のベース側構成要素が、前記複数の配置領域に対応するようにして前記ベースに配置された(61)項ないし(67)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、簡単に言えば、前述のモジュール固定機構のベースに配置されるべき部分が、配置領域ごとに、ベースに配置された態様である。本態様によれば、その部分が配置領域ごとに設けられているため、いずれの配置領域を占有するモジュールであっても、モジュール固定機構によって、そのモジュールを設定された固定位置において固定することが可能となる。
(69)前記ベースが、
それぞれが、自身の上に前記複数の配置領域の2以上のものが設定された複数のベースユニットから構成された(61)項ないし(68)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、ベースがいくつかのベースユニットによって構成されているシステムにおいて、複数の配置領域と各ベースユニットとの関係についての限定を加えた態様である。本態様では、1つの配置領域が2つのベースユニットに分割されることなく、1つの配置領域は、複数のベースユニットのいずれかに対応することとなる。言い換えれば、いくつかの配置領域ごとに1つのベースユニットが存在すると考えることができる。したがって、本態様によれば、ベースユニットを簡便にモジュール化することが可能である。
≪モジュール化のバリエーション≫
(71)前記複数の作業機モジュールのうちの1以上のものが、前記軌道に沿って移動可能な可動台と、その可動台上に固定された作業機本体とを有する(1)項ないし(69)項の
いずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様によれば、可動台をユニット化することが可能である。例えば、ユニット化された可動台に種々の作業機本体を固定することで、種々の作業機モジュールを構築することができるのである。つまり、本態様によれば、可動台の共通化(共用化)が可能となり、汎用性に富むシステムを簡便に構築することができることになる。なお、本態様は、可動台のないモジュール、つまり、可動台と作業機本体とに分割不能なモジュールを含んでいてもよい。ちなみに、モジュール幅が互いに相違するいくつかの種類のモジュールが存在することに配慮して、モジュール幅に応じたいくつかの可動台を準備してもよい。
(72)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向に駆動するモジュール駆動機構が設けられており、
そのモジュール駆動機構を構成可能なモジュール側構成要素が、前記可動台に配置された(71)項に記載の機械工作システム。
(73)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向において設定された固定位置に固定するモジュール固定機構が設けられおり、
そのモジュール固定機構を構成可能なモジュール側構成要素が、前記可動台に配置された(71)項または(72)項に記載の機械工作システム。
ベース側に設けられた構成要素とモジュール側に設けられた構成要素とによってある機構が構築される場合において、上記2つの項の態様の各々は、そのモジュール側の構成要素を可動台に組み込んだ態様と考えることができる。上記2つの態様によれば、可動台を、より高度にユニット化することが可能である。
(74)前記複数の作業機モジュールのうちの2以上のものの各々が、前記可動台を有し、それら2以上のものの各々の前記可動台が共通化されている(71)項ないし(73)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、簡単に言えば、例えば同じ構成とされることによって共通化された1種の可動台によっていくつかのモジュールが構成されている態様と考えることができる。なお、本態様のシステムは、共通化されていない可動台を有するモジュールを含んで構成されていてもよい。
(75)前記複数の作業機モジュールの1以上のものが、自身の制御を司る制御盤を含んでモジュール化された(1)項ないし(74)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
(76)前記複数の作業機モジュールの1以上のものが、ワークに対する作業が行われる作業空間を囲う作業空間ハウジングを含んでモジュール化された(1)項ないし(75)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
上記2つの項の態様は、あるモジュールがより高度にモジュール化された態様と考えることができる。上記2つの項の態様によれば、そのモジュールを交換する場合、作業機本体のみを交換するのではないことから、そのモジュールの交換をより簡便に行うことが可能となる。
(77)前記複数の作業機モジュールが、複数の工作機械モジュールを含み、
それら複数の工作機械モジュールのうちの2以上のものの各々が、ワークを回転させるためのスピンドルと、そのスピンドルを保持するスピンドルケーシングとを有し、
前記複数の工作機械モジュールのうちの2以上のものが、互いにスピンドルの径において異なる2種の工作機械モジュールを含み、
それら2種の工作機械モジュールの各々が有する前記スピンドルケーシングの外形の寸法および形状が統一化されている(1)項ないし(76)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様は、作業機モジュールが工作機械モジュールである場合において、スピンドルのケーシングが規格化された態様と考えることができる。本態様によれば、スピンドル径において相違する工作機械モジュールであっても、スピンドルケーシングの取付方法を共通化する等によって、モジュールの仕様、詳しくは、工作機械自体の諸元の統一化を図ることが可能となる。
≪ワーク搬送装置≫
(81)当該機械工作システムが、前記ベースの一側面に、ワークを前記配列方向に搬送するワーク搬送装置を備えた(1)項ないし(77)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
複数のモジュールに渡ってワークに対する作業が行われる場合、複数のモジュール間のワークの搬送が必要となるため、システムには、その搬送を行うための搬送装置が設置される。本態様では、ワーク搬送装置が、ベースの一側面、詳しく言えば、上記交差方向におけるベースの一側面に設置されているため、モジュールの引出しの際、そのモジュールのワーク搬送装置への干渉を回避することが可能となる。なお、複数のモジュールの各々の作業空間が前方側に位置している場合においては、ワーク搬送装置は、ベースの前方側の側面に設置されることが望ましい。ちなみに、本態様によれば、ベースを、ワーク搬送装置をも含んでモジュール化することが可能である。
(82)前記ベース上に、前記配列方向において互いに等しい幅の複数の配置領域が設定されており、
前記ベースが、
それぞれが、前記複数の配置領域の2以上のものが設定された複数のベースユニットから構成され、
前記ワーク搬送装置が、それら複数のベースユニットに対応した複数の搬送装置ユニットによって構成された(81)項に記載の機械工作システム。
本態様によれば、ベースが複数のベースユニットから構成されている場合において、各ベースユニットを、ワーク搬送装置の一部分を組み込んでモジュール化(ユニット化)することが可能である。
(83)前記ワーク搬送装置が、
前記複数の作業機モジュールに対応して設けられ、それぞれにワークが載置される複数のワーク台と、
それら複数のワーク台を、前記配列方向に移動させるワーク台移動装置と
を有する(81)項または(82)項に記載の機械工作システム。
本態様は、ワーク搬送装置の具体的構成に関して限定を加えた態様である。本態様におけるワーク搬送装置は、例えば、以下のように構成すればよい。原則として、1つのモジュールに対応して1つのワーク台を設け、それぞれを「対応ワーク台」、「対応モジュール」と呼べば、対応ワーク台が、対応モジュールに対して設定された設定位置に位置されられた状態で、対応ワーク台と対応モジュールとの間でワークの受け渡しが行われるように構成する。そして、ワーク台移動装置を、先に作業が行われる側のモジュール(以下、「上流側モジュール」と言う場合がある)に対して設定された設定位置と、後に作業が行われる側のモジュール(以下、「下流側モジュール」と言う場合がある)に対して設定された設定位置との少なくとも一方に、対応ワーク台を移動させるように構成し、対応ワーク台と、上流側モジュールと下流側モジュールとの少なくとも一方との間でも、ワークの受け渡しが行われるように構成する。そのような構成の下、そのワーク搬送装置は、対応ワーク台が上流側ジュールから受け取ったワークを対応モジュールに搬送する動作と、対応ワーク台が対応モジュールから受け取ったワークを下流側モジュールに搬送する動作との少なくとも一方を行わせることが可能となる。なお、上述のワークの受け渡しのために設定された設定位置を、以下、「受渡位置」と呼ぶ場合あることとし、対応モジュールとの間でワークの受け渡しが行われる受渡位置を、「ホームポジション」と呼ぶ場合があることとする。ちなみに、上述の複数領域占有モジュールについては、2つ以上のワーク台がそのモジュールについての対応ワーク台となる場合がある。
なお、先に説明したように、ベースが複数のベースユニットから構成されている場合には、1つのベースユニットを、例えば、そのベースユニットに載置されるモジュールの数に対応した数の2以上のワーク台と、ワーク台移動装置のその2以上のワーク台を移動させる部分とを組み込んでモジュール化することも可能である。
(84)前記ワーク台移動装置が、前記複数のワーク台を一斉に移動させるように構成された(83)項に記載の機械工作システム。
あるモジュールに対応するワーク台を上流側モジュール若しくは下流側モジュールに対する受渡位置に移動させる場合、上流側モジュール若しくは下流側モジュールに対応するワーク台を退避させなければならない事態が想定される。本態様によれば、ワーク台移動装置によって複数のワーク台が一斉に、つまり、同期して移動させられるため、上記事態は発生することがなく、円滑なワークの搬送が実現される。
(85)前記ベースに、前記配列方向において互いに等しい幅の複数の配置領域が設定されており、
前記複数の作業機モジュールの各々が、前記複数の配置領域のうちの1つ以上のものを占有し、かつ、その複数の配置領域のうちの1つ以上のものに隣接するものにはみ出さないように配列されており、
前記複数のワーク台が、前記複数の配置領域に対応して、それら複数の配置領域の数だけ、それら複数の配置領域の各々の幅に等しいピッチで前記配列方向に並ぶように配置された(83)項または(84)項に記載の機械工作システム。
(86)前記ワーク台移動装置が、前記複数のワーク台を、前記ピッチと等しい距離だけ一斉に移動させるように構成された(85)項に記載の機械工作システム。
上記2つの項に係る態様は、複数の配置領域が設定された上述のシステムにおいて、ワーク搬送装置が、それら複数の配置領域に関連付けるようにして構成された態様である。前者の態様は、簡単に言えば、配置領域ごとにワーク台を設けた態様であり、後者の態様は、配置領域に関連してワーク台を移動させるように構成された態様である。
(87)前記複数の作業機モジュールの各々が、
設定された作業位置に位置させられたワークに対して作業を行うように構成されており、
前記複数のワーク台の1つに載置されているワークを前記作業位置に移送するとともに、作業が行われたワークを、前記作業位置から前記複数のワーク台の1つに移送するワーク移送装置を有する(83)項ないし(86)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様におけるワーク移送装置は、上記作業位置に対するワークの着脱を行う装置と考えることができる。なお、あるモジュールを「対象モジュール」とした場合において、その対象モジュールによる作業がこれから行われるワーク(以下、「作業未了ワーク」と言う場合がある)が載置されているワーク台と、その対象モジュールによる作業が終了したワーク(以下、「作業完了ワーク」と言う場合がある)が載置されるワーク台とが、別のものであってもよい。具体的には、例えば、対象モジュールに対応するワーク台に載置されている作業未了ワークが、ワーク移送装置によって作業位置まで移送されてもよく、作業未了ワークが、上流側モジュールにおける作業完了ワークとして、その上流側モジュールに対応するワーク台に載置され、そのワーク台が対象モジュールの受渡位置に移動させられた後、そのワーク台に載置されているワークがワーク移送装置によって作業位置まで移送されてもよいのである。また、例えば、作業完了ワークが、ワーク移送装置によって作業位置から対象モジュールに対応するワーク台に移送されてもよく、作業完了ワークが、下流側モジュールの作業未了ワークとして、対象モジュールの受渡位置に移動させられた下流側モジュールに対応するワーク台に、ワーク移送装置によって移送されてもよいのである。
(88)当該機械工作システムが、
前記ワーク移送装置によって移送される若しくは移送されたワークを反転させるワーク反転装置を備えた(87)項に記載の機械工作システム。
本態様は、対象モジュールの作業位置におけるワークの向きと、上流側モジュールあるいは下流側モジュールの作業位置におけるワークの向きとが反対となる場合に、好適である。本態様におけるワーク反転装置は、例えば、ワーク台の上方における位置に移動不能な状態で設けられたものであってよく、そのようなワーク反転装置は、比較的簡便な構造のものとなる。また、そのようなワーク反転装置は、例えば、ワークを、ワーク台に載置されている姿勢において上下方向における中間部を掴持して、ワーク台の上方において反転させるように構成することができる。なお、本態様におけるワーク反転装置は、作業未了ワークのみ若しくは作業完了ワークのみを反転可能に構成されてもよく、作業未了ワークと作業完了ワークとの両方を反転可能に構成されてもよい。また、ワーク反転装置は、作業機モジュールに設けられたものであってもよく、ワーク搬送装置に設けられたものであってもよい。さらに、すべてのモジュールの各々に対応してそれらモジュールの数だけ反転装置を備える必要はなく、一部のモジュールに対してだけワーク反転装置が設けられててもよい。
≪ワーク台昇降装置≫
(91)前記ワーク搬送装置が、
前記複数のワーク台の各々に対して、その各々を昇降させるワーク台昇降装置を有する(83)項ないし(88)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
先に説明したように、複数のワーク台を有するワーク搬送装置がベースの一側面に設置されている場合、モジュールの引出しの際に、ワーク搬送装置が干渉しないことが望まれる。また、モジュールがベースの上記一側面からはみ出している場合等には、ワーク台の配列方向の移動において、ワーク台若しくはワーク台に載置されたワークがモジュールに干渉することが考えられる。それらの干渉に鑑みれば、複数のワーク台を、相当に低い位置に配置することが望まれる。本態様によれば、上記ワーク台昇降装置を有しているため、ワーク台によるワークの受け渡しを、ワーク台が比較的高い位置に位置するときに行い、その一方で、通常時やモジュール引出しの際や、ワーク台の配列方向への移動の際に、比較的低い位置に位置させることができるため、上述の干渉を防止することが可能となる。
(92)前記ワーク搬送装置が、それぞれが前記ワーク台昇降装置によって下降させられた前記複数のワーク台を、前記ワーク台移動装置が移動させるように構成された(91)項に記載の機械工作システム。
(93)前記複数の作業機モジュールの各々が、前記ワーク台昇降装置によって上昇させられた前記複数のワーク台の1つに載置されているワークに対して作業を行い、作業が行われたワークを、前記ワーク台昇降装置によって上昇させられた前記複数のワーク台の1つに載置するように構成された(91)項または(92)項に記載の機械工作システム。
(94)前記複数の作業機モジュールの各々が、
設定された作業位置に位置させられたワークに対して作業を行うように構成されており、
前記ワーク昇降装置によって上昇させられた前記複数のワーク台の1つに載置されているワークを前記作業位置に移送するとともに、作業が行われたワークを、前記作業位置から、前記ワーク昇降装置によって上昇させられた前記複数のワーク台の1つに移送するワーク移送装置を有する(93)項に記載の機械工作システム。
(95)当該機械工作システムが、
前記ワーク移送装置によって移送される若しくは移送されたワークを反転させるワーク反転装置を備え、
前記ワーク昇降装置によって上昇させられた前記複数のワーク台の1つに載置されているワークを、前記ワーク反転装置によって反転させるように構成された(94)項に記載の機械工作システム。
上記4つの項に係る態様は、ワーク台昇降装置によって位置させられるワーク台の上下方向における位置である「ワーク台昇降位置」と、モジュールやワーク搬送装置の動作との関係についての限定を加えた態様である。本態様によれば、先に説明したように、ワーク台,ワーク台に載置されたワークに関する干渉を回避可能となる。なお、ワーク台昇降装置位置は、段階的に設定されていてもよく、また、無段階的に設定されていてもよい。段階的に設定される場合、上端位置と下端位置との2つだけが設定されていてもよく、上端位置と下端位置との間に、1以上の中間位置が設定されていてもよい。言い換えれば、2つ以上の上昇位置あるいは2つ以上の下降位置が設定されていてもよいのである。ちなみに、ワーク移送装置によってワークが移送される際にワーク台が位置する上昇位置と、ワーク反転装置がワークを反転させる際にワーク台が位置する上昇位置とは、互いに異なっていてもよい。その場合、具体的には、例えば、前者の位置よりも、後者の位置の方を低くするといったことも可能である。
(96)前記ワーク台昇降装置が、前記複数のワーク台の1つを2段階で昇降させる2段式昇降装置とされた(91)項ないし(95)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様におけるワーク台昇降装置は、いわゆるテレスコピック型の昇降装置と考えることができる。本態様によれば、比較的小さな昇降装置であっても、ワーク台の昇降ストローク(昇降距離)を比較的大きくすることが可能である。また、本態様におけるワーク台昇降装置は、ワーク台昇降位置として、上端位置,下端位置に加え中間位置が設定されている場合に、便利である。
≪クーラント,切削屑への対処≫
(101)前記ベースに、クーラントを収容するクーラントタンクが内蔵されている(1)項ないし(96)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
本態様における「クーラント」は、切削加工等においてワークに対して射出される切削油,切削液,加工液等を意味し、多くの機械加工モジュールに対して必要とされる。本態様によれば、ベース内にクーラントタンクが設けられることで、クーラントタンクをモジュールに設けなくてもよい分、モジュールを小型化することが可能である。
クーラントタンクは、ベースに1つだけ設けられてもよく、あるいは、複数のモジュール若しくは複数の配置領域に対応して複数設けられてもよい。また、複数のモジュールのうちの互いに隣接するいくつかのもの若しくは複数の配置領域のうちの互いに隣接するいくつかのものが共用するように、2以上のクーラントタンクが設けられてもよい。先に説明したように、ベースが複数のベースユニットから構成されている場合には、そのユニットごとに1つのクーラントタンクが設けられてもよい。なお、クーラントタンクは、清掃等に配慮して、ベースから引き出し可能とされることが望ましい。
(102)前記ベースが、
当該ベース上に突出して設けられ、前記複数の作業機モジュールのうちの1つのもののワークに対する作業が行われる作業空間において放出されたクーラントを前記クーラントタンクに受け入れるための受入口と、
前記複数の作業機モジュールのうちの1つのものの引き出しの際に、前記受入口との干渉を避けるために、その受入口を退避させる受入口退避機構と
を有する(101)項に記載の機械工作システム。
作業空間に放出されたクーラントをクーラントタンクに効率的に回収するためには、作業空間を囲う作業空間ハウジングの下部を、例えば、下方に向かうにつれて狭くなるように形成し、その部分の下端部に設けられた開口から、放出されたクーラントが、ベースに設けられた上記受入口に流れ込むような構造を採用することが望ましい。そのような構造を採用する場合、クーラントの飛散,漏洩を防ぐために、受入口を、例えばスリーブ状に形成する等して上方に突出させ、その受入口と作業空間ハウジングの下部に設けられた上記開口とが上下方向においてオーバーラップさせるように構成することが望ましい。つまり、開口が、受入口の上端より下方に位置するように構成することが望ましいのである。そのような構成とされる場合、受入口がモジュールの占有空間へはみ出すことになり、モジュールを引き出す際に、受入口が開口に干渉して、モジュールを適切には引き出せない事態が生じることが予想される。本態様では、そのような事態が生じないようにするために、上記受入口退避機構が設けられている。なお、本態様において、受入口は、モジュールごとに設けられてもよく、また、上述の配置領域ごとに設けられてもよい。
(103)前記複数の作業機モジュールの各々に対して、その各々を前記交差方向において設定された固定位置に固定するモジュール固定機構が設けられており、
前記受入口退避機構が、
前記モジュール固定機構による前記複数の作業機モジュールのうちの1つのものの固定の解除に連動して、前記受入口を退避させるように構成された(102)項に記載の機械工作システム。
本態様は、受入口退避機構を上述のモジュール固定機構と連動させる態様である。モジュール固定機構が採用される場合、モジュールを引き出す際には、モジュール固定機構によるそのモジュールの固定の解除が必然的に行われるため、本態様によれば、それら2つの機構を連動させることで、2つの機構の個別的な操作を行う必要がなくなる。また、本態様によれば、2つの機構に1つの駆動源を共用させることができるため、それらの2つの機構の構造がシンプルとなる。なお、モジュール固定機構が、上述のように、係止部,被係止部,係止部動作機構を含んで構成されている場合、受入口退避機構は、例えば、その係止部動作機構と連動させればよい。
(104)前記ベースが、
前記複数の作業機モジュールのうちの1つのものの当該ベースからの引き出しの際に、その1つのものの当該ベースに対してオーバーハングする部分の下方に展開し、その部分から滴下するクーラントを受ける展開型クーラント受けを有する(1)項ないし(103)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
作業機モジュールが工作機械モジュールである場合には、一般的に、作業空間にクーラントが放出されることから、そのモジュールを引き出した場合、作業空間内に残存するクーラント、詳しく言えば、例えば、作業空間ハウジングの内面に付着するようにして残存するクーラントが、作業空間ハウジングの上記開口から滴下する事態が予想される。そして、その開口が設けられたモジュールの部分が、ベースに対してオーバラップするときには、クーラントは当該システムが配置された床面に直接滴下する。本態様によれば、そのような事態を回避することが可能である。
本態様においては、展開型クーラント受けで受けられたクーラントは、ベースにクーラントタンクが内蔵されている場合、そのクーラントタンクに導入されることが望ましい。また、展開型クーラント受けの具体的な構造については、特に限定されないが、例えば、プレート,パン等がモジュールの引出しに合わせてベースから一側面に張り出すような構造のもの、捲回されたシートがモジュールの引出しに合わせて捲き延ばされるようにして展開するような構造のもの等を、採用することが可能である。
(105)前記ベースが、前記複数の作業機モジュールのうちの1つのもののワークに対する作業が行われる作業空間において生成される切削屑を、自身の内部に受け入れるように構成されており、
当該機械工作システムが、
前記ベースが受け入れた切削屑を、前記ベースの一側面から排出する切削屑排出装置を備えた(1)項ないし(104)項のいずれか1つに記載の機械工作システム。
作業機モジュールが工作機械モジュールであるような場合、多くは、それの作業空間から切削屑(いわゆる「切粉」である)が、落下するため、ベースがその落下した切削屑を受けるように構成することが望ましい。本態様は、そのような構成のシステムにおいて、受け入れた切削屑の排出のための構造に関する限定を加えた態様である。本項によれば、受け入れた切削屑が、都合よくシステム外に排出される。ベースにクーラントタンクが内蔵されている場合は、切削屑をクーラントと共にそのクーラントタンクが受け入れるように構成すればよく、そのような構成の場合、切削屑排出装置は、クーラントタンク内に配設すればよい。そのようにして配設される切削屑排出装置としては、具体的には、金属製のネットが周回するような構造のチップコンベア,らせん状の送り板を有するスクリューを回転させるような構造のスクリューコンベア等を採用することができる。ちなみに、排出された切削屑は、システムの一側面に配置された切削屑回収ボックス等に貯留すればよい。なお、切削屑排出装置は、ベースに対して1つしか設けられなくてもよく、例えば、モジュールごとに複数設けられてもよい。複数設けられる場合、例えば、複数のクーラントタンクが内蔵されているときには、クーラントタンクごとに設けることができ、ベースが複数のベースユニットからなるときには、ベースユニットごとに設けることができる。
(106)前記切削屑排出装置が、前記ベースの前記交差方向において互いに背向する2つの側面のうちの一方から排出するように構成された(105)項に記載の機械工作システム。
(107)前記交差方向において互いに反対となる両方向のうちの一方を、前方と、他方を、後方と定義した場合において、
前記複数の作業機モジュールのうちの1つのものが、ワークに対する作業が行われる作業空間を、前方の側に有し、
前記切削屑排出装置が、切削屑を前記ベースの後方側の側面から排出するように構成された(106)項に記載の機械工作システム。
上記2つの項の態様は、切削屑排出装置によって切削屑がベースのどの側面から排出さされるかについての限定を加えた態様である。上記2つの態様によれば、当該システムの上記配列方向における傍らに切削屑回収ボックス等を配置しなくてもよく、その切削屑回収ボックス等を含めたシステム全体の長さを短くすることが可能である。なお、後者の態様によれば、切削屑回収ボックス等を作業空間側に配置する必要がないため、その態様は、当該システムの稼働状態を容易に監視できる等のメリットを有する。
1つのベースに4つの作業機モジュールが配列されて載置された実施例の機械工作システムを右前方からの視点において示す斜視図である。 外装パネルの一部が解放された状態での実施例の機械工作システムを左前方からの視点において示す斜視図である。 外装パネル外した状態での実施例の機械工作システムを右前斜め上方からの視点において示す斜視図である。 ベースを構成する1つのベースユニットと、そのベースユニットに載置された2つの作業機モジュールとを、外装パネルを外した状態で示す斜視図である。 1つのベースユニットと、そのベースユニットに載置された1つの作業機モジュールとを示す斜視図である。 ベースを構成する1つのベースユニットと、そのベースユニットに載置された1つの作業機モジュールとを、外装パネルの一部が解放された状態で示す斜視図である。 外装パネルを外した状態での実施例の機械工作システムを左前方からの視点において示す斜視図である。 作業機モジュールがベースから後方に引き出される様子を示す斜視図である。 作業機モジュールを示す斜視図である。 作業機モジュールの作業機本体である旋盤本体を示す側面図である。 作業機モジュールに採用可能な別のツール保持ヘッドを示す側面図である。 作業機モジュールが有するスピンドルの取付けに関する構造を説明するための断面図である。 ベースを構成する1つのベースユニットを示す斜視図である。 作業機モジュールのベッドの正面図およびベッドの一部分の正面図である。 作業機モジュールのベッドの側面図である。 作業機モジュールが移載される移載台車を示す斜視図である。 ベースに配設された係止ロッド作動装置を示し、それの一部の断面をも示す側面図である。 作業機モジュールのベースからの引出しとモジュール固定機構との関係を説明するための模式図である。 ベースの内部にクーラントタンクが配設された状態を示す側面図である。 作業機モジュールの作業空間およびベースの内部を示す断面図である。 ベースに設けられたクーラント受入口を退避させるための構造を示す側面図である。 ベースに設けられた展開型クーラント受けを示す側面図である。 ベースの前側の側面に配設されたワーク搬送装置を構成する搬送装置ユニットを示す斜視図である。 ワーク搬送装置が備えるワーク台昇降装置の動作を説明するための側面図である。 ワーク台昇降装置に付設されたワーク反転装置を拡大して示す斜視図である。 ワーク反転装置の動作を説明するための模式図である。 ワーク搬送装置の動作を説明するための模式図である。 ワークローダを示す斜視図である。 ワークローダの動作を説明するための模式図である。 作業機モジュールが配置されるベース上の配置領域を説明するための模式図である。 作業機モジュールの配置に関する変形例を説明するための模式図である。
以下、請求可能発明の代表的な実施形態を、実施例として、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。また、〔発明の態様〕の各項の説明に記載されている技術的事項を利用して、下記の実施例の変形例を構成することも可能である。
[A]機械工作システムの全体構成
実施例としての機械工作システム(以下、単に「システム」と言う場合がある)は、図1~図3に示すように、ベース10と、ベース10上に載置されて配列された4つの作業機モジュール(以下、単に「モジュール」と言う場合がある)12とを含んで構成されている。図1は、外装パネルが張られた状態を、図2は、外装パネルの一部が解放された状態を示している。図3は、外装パネルを外した状態を示している。ちなみに、当該システムの正面側、すなわち、操作パネル14が設けられている側が、図1では左前を向くように、図2では右前を向くように、図3では左前を向くように、当該システムがそれぞれ表わされている。以下の説明では、当該システムに関する「前後」,「左右」,「上下」を、当該システムの正面側から見た場合における前後,左右,上下として扱うこととする。また、4つのモジュールは左右方向に配列されていることから、左右方向を「配列方向」と、前後方向を、配列方向と交差する方向(詳しくは直交する方向)という意味で、「交差方向」と呼ぶ場合があることとする。
なお、図1~図3を始め以下に説明する図のうちのいくつかのものは、模式的な図とされており、それらにおいては、構成要素の一部やワークが、省略されたり、また、模式的に表わされたりしている。ちなみに、図2において、W1は、設定された作業位置(作業に供される際の位置)に位置するワークを、W2は、後に説明するワーク搬送装置によって搬送されるワークを、W3は、後に説明するワーク移送装置によって移送される際のワークの存在空間領域を、それぞれ模式的に示しており、図3において、W4は、作業位置に位置するワークを模式的に示している。
図1~3から解るように、4つのモジュール12は、互いに、殆ど等しい形状,寸法,構造を有するものとされており、配列方向において、設定された配列ピッチで、互いに近接して配列されている。「配列ピッチ」の概念については後に説明するが、各モジュール12の間隔は、50mm以下とされており、実際には、殆ど隙間なく4つのモジュール12が配列されている。各モジュール12は、外装パネルが張られた状態では概して直方体形状とされており、左右方向の寸法(以下、「モジュール幅」と言う場合がある)が、前後方向の寸法(以下、「モジュール長」と言う場合がある)に対して相当に小さくされている。そして、ベース10は、4つのモジュール12が配列状態で載置された場合におけるそれら4つのモジュール12全体の左右方向の寸法と略等しい左右方向の寸法(以下、「ベース幅寸法」と言う場合がある)を有し、各モジュール12の前後方向の寸法よりも、ある程度短い前後方向の寸法(以下、「ベース奥行寸法」と言う場合がある)を有している。簡単に言えば、ベース10は、各モジュール12の前方側および後方側のはみ出しがあるものの、左右方向においては、4つのモジュール12が丁度載置される大きさのものとされているのである。以上のような構成から、本システムは、4つものモジュール12が配列されているにも拘わらず、モジュール12の配列方向における当該システム全体の長さ(以下、「システム長」と言う場合がある)が比較的短いものとされているのである。
ベース10は、並べられて互いに固定された2つのベースユニット16を含んで構成されており、図4に示すように、各ベースユニット16には、2つのモジュール12が載置されている。図5,図6は、1つのベースユニット16に1つのモジュール12が載置された状態を、図1と略同じ視点において示している。ちなみに、図6は、外装パネルの一部が解放された状態を示している。2つのベースユニット16は、各々が規格化されており、互いに同じ形状,寸法,構造のものとされている。
図1~図6から解るように、本システムは、それぞれが、1つのベースユニット16と、そのベースユニット16に載置された2つのモジュール12とを含んで構成される2つのシステムモジュールが並べられることによって構成されたものと考えることができる。また、見方を変えれば、それら2つのシステムモジュールの各々を、単一物である1つのベースに複数のモジュールが載置された1つの機械工作システムと考えることもできるのである。なお、本システムは、2つのベースユニット16によって構成されているが、単一物としての1つのベースに4つのモジュールが載置されたシステムも、請求可能発明に係るシステムとなり得る。
4つのモジュール12は、構造的にも、互いに略同じものとされており、各モジュール12は、後に詳しく説明するように、旋盤がモジュール化された旋盤モジュールであり、工作機械モジュールの一種である。図4に示すように、4つのモジュール12が配列された状態では、ワークW4に対する作業、つまり、作業位置(作業が行われるワークが位置する位置)に位置するワークW4に対しての切削加工(ワークに対する作業の一種である)が行われる空間である作業空間が、当該システムの前方側において配列方向に並ぶようになっている。
本システムは、各モジュール12が単独でベース10から引き出せることを1つの大きな特徴としている。言い換えれば、当該システムが稼働するにあたってモジュール12が位置すべき位置、つまり、図1,図3において各モジュール12が位置している位置を、通常時位置(標準位置)と呼べば、各モジュール12は、その通常時位置から交差方向に移動可能とされているのである。モジュール12を引き出し可能とする機構に関しては、後に詳しく説明するが、本システムでは、各モジュール12は、交差方向に延びる軌道に沿って、ベース10から引き出し可能とされている。詳しくは、交差方向における両側に、つまり、前方にも後方にも引き出し可能とされている。言い換えれば、前方,後方の両方が、モジュール12の引出方向とされているのである。さらに言えば、各モジュール12は、ベース10から離脱可能なまでに引き出し可能とされている。ちなみに、図2は、いちばん右側の1つのモジュール12だけが前方に引き出された状態を示している。また、図7は、外装パネルが外された状態を、図1とは異なる視点において示す斜視図であり、この図7では、右から2番目のモジュール12だけが前方に引き出された状態で示されている。さらに、図8は、1つのモジュール12が、ベース10から、詳しくは、1つのベースユニット16から、後方に、そのベースユニット16から離脱するように引き出された状態を示している。なお、図8では、外装パネルを外したモジュール12が示されているが、後に説明するように、モジュール12は外装パネルをも含んでモジュール化されているため、外装パネルが取り付いた状態のモジュール12をベース10から離脱するように引き出すことも可能である。また、外装パネルの前方側の部分は、ベース10に支持されており、その前方の部分の上部を手前に倒すことで、モジュール12の前方への引き出しが可能とされている。
後に詳しく説明するが、前方へのモジュール12の引き出しは、主に、ツールの交換,ワーク変更に伴う段取り換え等の際に行われ、モジュール12の交換の際には、主に、モジュール12は、後方側へ引き出される。このように、各モジュール12が引き出し可能とされているために、当該システムでは、モジュール12が近接して配置されているにも拘わらず、各モジュール12のメンテナンス,段取り換え,交換等の作業を簡単に行うことができるのである。
ここで、図3,図4に示すシステムと、図7に示すシステムとでは、細部において差異が存在するが、その差異は小さく、また、ともに、同一の機能を有するものであることから、いずれのシステムも、実施例のシステムとして扱うことができる。そして、便宜上、以下の説明は、特に断りのない限り、図7に示すシステムについて行うこととする。
[B]作業機モジュールの構成
作業機モジュール12は、先に説明したように、旋盤モジュールであり、図9に示すように、複数の車輪20を回転可能に保持する可動台としてのベッド22と、そのベッド22上に固定された作業機本体としての旋盤本体24と、旋盤本体24を制御する制御装置としての制御盤26とを備えている。旋盤本体24は、ベッド22に立設された躯体としての支柱30と、支柱30にそれの下部において支持されて自身の回転によってワークW4を回転させるためのスピンドル32(いわゆる主軸である)と、それぞれがツールである複数のバイト34を保持するツール保持ヘッド(以下、端に「ヘッド」と言う場合がある)36と、支柱30にそれの上部において支持されてヘッド36を上下および前後に移動させるヘッド移動装置38とを含んで構成されている。
図10を参照しつつ旋盤本体24について詳しく説明すれば、ベッド22に立設されて固定された支柱30は、下部に、スピンドル保持部40を有し、スピンドル32は、後に詳しく説明するが、そのスピンドル保持部40によって、スピンドルケーシング42を介して保持されている。スピンドル32の前端には、3本の爪44を有するチャック46が取り付けられている。チャック46は、機械加工に際してワークを把持するためのものであり、ワーク保持具の一種と考えることができる。詳しい構造の説明は省略するが、爪44は、自動で開閉するようにされている。スピンドル32の後端部には、プーリ48が外嵌されている。一方、支柱30の後側には、スピンドル回転用モータ50が、ベース板52を介して支持されており、このモータ50の軸にもプーリ54が嵌められている。2つのプーリ48,54には、Vベルト56が巻き掛けられており、モータ50の回転によって、スピンドル32は回転駆動される。
支柱30の上部には、スライダ60が、1対のガイド62に沿って上下に摺動可能に支持されている。スライダ60は、概して四角い筒状のものとされており、自身を挿通させるようにして、ビーム64を、それが前後に摺動可能な状態で保持している。スライダ60は、スライダ昇降用モータ66,ねじロッド68を主要構成要素とするボールねじ機構等によって構成されるスライダ昇降機構70によって昇降させられる。一方、支柱30の後側には、支持枠72が固定されており、その支持枠72に支持されたビーム前後移動用モータ74,ねじロッド76を主要構成要素とするボールねじ機構等によって構成されるビーム前後移動機構78によって、ビーム64は、前後に移動させられる。上述のヘッド36は、ビーム64の前端に固定されており、ヘッド36は、スライダ60の昇降によって上下に移動し、ビーム64の前後移動によって前後に移動する。つまり、先に説明したヘッド移動装置38は、それらスライダ60,ビーム64,スライダ昇降機構70,ビーム前後移動機構78等によって、構成されているのである。
ヘッド36は、基体82と、基体82に保持されたタレット84と、基体82に保持されてタレット84を間欠的に回転させるためのタレット間欠回転機構86と、そのタレット間欠回転機構86によるタレット84の回転の駆動源となるタレット回転用モータ88とを含んで構成されている。タレット84は、比較的短い概して八角柱形状をなしており、図10に示すように、外周面若しくは下面に、8つまでのバイト34を、バイト保持具90を介して取付可能とされている。例えば、間欠回転によって最も後方側に位置させられたバイト84によって、切削加工が行われる。ちなみに、詳しい説明は省略するが、タレット間欠回転機構86は、タレット84を下降させた状態で間欠回転させ、任意の間欠回転位置において上昇させることで、その位置でタレット84を固定するような構造のものとされている。なお、上記ヘッド36に代えて、櫛歯型のバイトホルダ、つまり、複数のバイトを保持するホルダであって、それら複数のバイトうちの任意の1つのものによる切削が可能なように移動するバイトホルダを有するヘッドを採用することも可能である。
なお、上記ツール保持ヘッド36に代えて、例えば、図11に示すようなツール保持ヘッド100を採用することも可能である。ヘッド100は、それぞれがツールとしてのドリル,ミル等の回転工具を保持し、それらを回転させることのできるヘッドである。図11は、回転工具として、ストレート型のドリル102,アンギュラ型のドリル104,エンドミル106が取り付けられた状態を示している。ヘッド100は、ヘッド36と同様に、基体108と,基体108に保持されたタレット110と、基体108に保持されてタレットを間欠的に回転させるためのタレット間欠回転機構として機能する回転機構112と、その回転機構112によるタレット110の回転の駆動源となる回転用モータ114とを含んで構成されている。例えば、間欠回転によって最も後方側に位置させられた回転工具によって、穴あけ加工やフライス加工が行われる。
詳しい構造についての説明は省略するが、回転用モータ114は、回転工具自体を回転させるためのモータとしても機能し、回転機構112は、そのモータ114の回転によって回転工具を回転させる回転伝達機構としても機能する。つまり、本ヘッド100は、1つのモータ114によって、タレット110の回転と回転工具の回転とが選択的に行われるような構造とされているのであり、回転機構112および回転用モータ114は、ツールをそれの軸線まわりに回転させるツール回転装置を構成しているのである。なお、ヘッド100を採用する場合、ワークに対して回転工具による加工がおこなわれている最中には、ヘリカル加工等の特殊な加工を除き、原則として、スピンドル32は回転することはない。その場合、スピンドル32は、いわゆるインデックステーブル(ワークの割り出しのための装置)を構成するものとなる。つまり、ヘッド100を採用するモジュール12は、スピンドル32の回転によってワークを任意の回転位置に位置させた状態でそのワークを固定し、それぞれがツールとしてのドリルとミルとの少なくとも一方によってそのワークに対して、穴あけ加工とフライス加工との少なくとも一方を行うボール盤/フライス盤モジュールとなる。
上記のような構造から、モジュール12は、スピンドル32が上記交差方向である前後方向に延びる姿勢で配設されているため、いわゆるスピンドル水平配置型モジュールと呼ぶことのできるものであり、水平スピンドル型モジュールであることから、モジュール幅を小さくすることが可能である。また、ヘッド移動装置38が、スピンドル32の上方に、より詳しく言えば、スピンドル32の軸線であるスピンドル軸線の真上に、スピンドル軸線と平行にビーム64が延びる姿勢で配設されており、そのことも、モジュール幅を小さくすることに貢献している。また、ヘッド36,100は、複数のツールを、それらのうちの1つを選択的に利用可能に保持し、ワークに対して、複数のツールのうちの選択された1つのものによる加工を行うように構成されている。そのため、本システムは、比較的少ないモジュールによって、比較的複雑な機械加工を行うことが可能となる。
旋盤本体24の制御装置である制御盤26は、図では省略しているが、後方側が扉となっており、モジュール12がベース10に配列して載置された状態においても、当該システムの後方側より、いずれのモジュール12の制御盤26も、それの内部の点検,調整,メンテナンス等を容易に行えるようになっている。なお、本システムでは、モジュール12は、その制御盤26をも含んでモジュール化されているため、そのモジュール12は、相当に高度にモジュール化されたものであると言える。ちなみに、本システムでは、モジュール12は、当該モジュール12の外装パネルをも含んでモジュール化されている。
ここで、スピンドル32の支柱30への取付に関して詳しく説明すれば、図12(a)に示すように、スピンドル32は、スピンドルケーシング42を介して、支柱30のスピンドル保持部40に設けられた保持穴120に挿入されるようにして取り付けられる。スピンドルケーシング42は、前端にフランジ122を有する概して円筒形状のものとされており、カラーと呼ぶこともできるものである。スピンドルケーシング42は、フランジ122に穿設された取付穴124を利用して、スピンドル保持部40にボルトにて締結されている。スピンドル32は、3つのベアリング126,128,130によって支持されることで、スピンドルケーシング42に対して、つまり、支柱30に対して回転可能とされている。
ワークの大きさ,切削負荷の大きさ等により、直径dのスピンドル32ではなく、それとは径の異なるスピンドルを取り付けたい場合もある。例えば、直径D(>d)のスピンドル132を取り付ける場合には、図12(b)に示すように、スピンドルケーシング42とは異なるスピンドルケーシング134、詳しく言えば、外形の寸法,形状が同じで内径の異なるスピンドルケーシング134を採用することにより、容易に、そのスピンドル132を取り付けることが可能である。なお、フランジ122に設けられている取付穴124の径,数,配設ピッチ等は、スピンドルケーシング42の径,数,配設ピッチ等と同じである。見方を代えれば、スピンドルケーシングの外形の寸法および形状の統一化、つまり、スピンドルケーシングの規格化を図ることにより、当該システムでは、スピンドルの変更や、互いに径において異なるスピンドルを有する2種の工作機械モジュールを混在させることが、容易に行えるのである。
[C]作業機モジュールのベースからの引出
図13に示すように、各ベースユニット16には、それに載置されるモジュール12の数に応じた数のレール対150が、具体的には、2つのレール対150が、配列方向(左右方向)に並んで設けられている。1つのレール対150は、間隔をおいて交差方向(前後方向)に延びるようにして敷設された1対のレール152からなる。レール152は、モジュール12の引き出しの際のモジュール12が移動する軌道を画定するもの、つまり、軌道画定部材として機能する。一方、各モジュール12には、前後のそれぞれに1対の車輪20が、つまり、2対の車輪20が、回転可能にベッド22に保持されている。1対の車輪20の間隔は、レール対150を構成する1対のレール152の間隔と等しく、1対の車輪20の一方が1対のレール152を、他方が他方を転動する。ベース10全体では、4つのモジュール12に対応して4つのレール対150が、設けられている。そのような構造により、モジュール12は、ベース10から、詳しくは、自身が載置されているベースユニット16から、容易に、交差方向に引き出すことが可能とされているのである。なお、1対のレール152と1対の車輪20との係合を示す図14(a)を参照して説明すれば、一対のレール対150を構成する2つのレール152の一方(右側のもの)は、山形の断面形状を有するのに対し、他方(左側のもの)は、互いに平行な両側面を有する形状とされている。1対の車輪20のうちの一方(左側のもの)が、上記両側面を殆ど隙間なく挟む形状とされているため、ベース10に載置された際のモジュール12の配列方向における位置が正確に規定される。
本システムでは、モジュール12の前方への引出しは、人力に拠らずに、電動モータの力を利用して行うことが可能となっている。図15に示すように、各モジュール12のベッド22には、それの前方右側に、それから前方に延び出すような状態で、ラックバー(単に、「ラック」と呼ぶこともできる)160が付設されている(図8参照)。このラックバー160は、下面にラック歯が形成されている。一方、ベース10の上面の前端部には、駆動源としてのモジュール引出用モータ162が配設されており(図8,図13参照)、そのモータ162のモータ軸には、ピニオン164が固定されている。このピニオン164は、モジュール12が通常時位置に位置している状態では、ラックバー160の前端部と噛合している。モータ162を正転させることにより、モジュール12は前方に駆動され、逆転させることにより、モジュール12は後方に駆動される。つまり、それらラックバー160,モータ162,ピニオン164を含んで、モジュール12を交差方向に駆動するモジュール駆動機構166が構成されているのである。
モジュール駆動機構166を利用したモジュール12の通常時位置からの引出しおよび通常時位置への引戻しは、そのモジュール12の操作盤14へのオペレータの操作入力によって行うことができる。ちなみに、その操作入力によるモジュール12の引出しでは、モジュール12が、通常時位置から設定距離前方に移動した位置、つまり、後述するところの設定された引出位置まで移動するようになっている。なお、本システムでは、モジュール駆動機構166を構成するラックバー160は、可動台としてのベッド22に配置されたモジュール側構成要素であり、モータ162およびピニオン164は、ベース12に配置されたベース側構成要素である。さらに言えば、可動台であるベッド22は、モジュール側構成要素としてのラックバー160をも含んでモジュール化されたのもであるといえる。なお、ラックバーをベース側構成要素としてベース10に配置し、モータおよびピニオンをモジュール側構成要素としてモジュール12に配置することによってモジュール駆動機構を構成することも可能である。また、本システムでは、4つのモジュール12に対応して4つのモジュール駆動機構が設けられているが、4つのモジュール12の一部である1以上のモジュール12だけに対応して、1以上のモジュール駆動機構を設けてもよい。
モジュール12の後方への引出しは、図8に示すように、移載台車170を利用して行われる。移載台車170は、図16に示すように、ベース172と、ベース172に支持されるとともに1対のレール174が固定されたフレーム176と、当該移載台車170を移動させる際にオペレータが掴むグリップ178と、当該移載台車170の移動を可能にするための3つのキャスタ180とを含んで構成されている。移載台車170は、図8に示すように、ベース10の後方の傍らに、ベース10に設けられた4つのレール対150の1つによって画定される上述の軌道を延長するようにして定置される。1対のレール174は、それぞれ、ベース10に設けられた1対のレール152と略同じ断面形状を有するとともに、左右方向の間隔が1対のレール152の間隔と等しくされており、具体的には、図8に示すように、1対のレール174がそれぞれ1対のレール152を延長するように、移載台車170がベース10に対してセットされる。ちなみにフレーム176は、ベース172に対して左右に移動可能とされており、調整ハンドル182を回すことで、図示を省略するボールねじ機構によって、フレーム176が左右に移動する。つまり、それらハンドル182,ボールねじ機構,フレーム176をベース172に対して移動可能とする構造等によって、1対のレール174の左右方向の位置を調整するためのレール位置調整機構184が構成されているのであり、その調整機構184を利用して、移載台車170が定置させられた状態において、1対のレール152に対する1対のレール174の左右方向における位置合わせを行うことが可能とされている。
移載台車170は、モジュール12の一部だけが移載台車170に載置される程度にモジュール12を引き出す際に利用されてもよく、また、モジュール12がベース10から離脱するように引き出してモジュール12の全体が移載台車170に載置される際に利用されてもよい。後者の際には、移載台車170を移動させることによって、載置されたモジュール12を容易に運ぶことができる。また、逆に、モジュール12が載置された移載台車170をベース10の傍らに定置させ、そのモジュール12をベース10上に引き入れることで、そのモジュール12をベース10に配置することも可能である。つまり、移載台車170は、モジュール12の交換等において、好適に利用できるのである。なお、本システムでは、移載台車170は、モジュール12の後方への引出しに利用されるものであるが、本システムは、前方への引出しにも適合した移載台車を採用することも可能である。
移載台車170には、モジュール12の引出し,引入れを容易にするために、モジュール移動装置190が設けられている。図16を参照しつつ説明すれば、フレーム176の左右方向における中央には、雄ねじが形成されたねじロッド192が、前後に延びるようにして回転可能に支持されており、そのねじロッド192と螺合するナットを保持するとともにねじロッド192の回転によって、前後に移動する可動部材194が設けられている。可動部材194は、モジュール12のベッド22の後端面に離脱可能に係合する可動係合体として機能するものであり、この可動部材194がベッド22と係合している状態において、ハンドル196によってねじロッド192を回転させることで、モジュール12は前後に移動する。つまり、ねじロッド192,可動部材194,ハンドル196等を含んでモジュール移動装置190が構成されているのであり、そのモジュール移動装置190を利用して、オペレータは、人力によって、容易に、モジュール12の引出し,引戻しを行うことができるのである。
なお、移載台車170のフレーム176の上面には、1対のレール174の左右方向における中間に、前後方向に延びるようにして、掛止部材198が付設されている。この掛止部材198は、断面が概してT字形状をなしている。モジュール12のベッド22の下部には、図14(a)に示すように、断面が概して逆三角形をなすスロット200(後に詳しく説明する)が、前後方向に貫通するようにして形成されており、モジュール12が後方に引き出された際には、掛止部材198がスロット200に挿入されることになる。この掛止部材198の挿入により、モジュール12が移載台車170に載置された状態におけるそのモジュール12の安定性が担保される。
[D]作業機モジュールのベースへの固定
本システムでは、モジュール12をベースに固定するためのモジュール固定機構を備えている。モジュール固定機構は、各モジュール12に対して設けられている。また、モジュール固定機構は、モジュール12を、交差方向において設定された複数の位置(以下、「固定位置」と言う場合がある)において、モジュール12をベース10に固定する機能を有している。以下に、このモジュール固定機構の構造および機能について説明する。
図13に示すように、ベース10には、載置されるモジュール12の数に応じた数の係止ロッド作動装置210が設けられている。詳しく言えば、2つのモジュール12が載置されるベースユニット16には、4つの係止ロッド作動装置210が設けられている。つまり、1つのモジュール12に対して、2つの係止ロッド作動装置210が、前後方向に並ぶようにして配設されている。
係止ロッド作動装置210は、図17に示すように、大まかには、アクチュエータ212と、上端部に円錐台を逆さまにした形状のロッド頭部214を有する係止ロッド216と、その係止ロッド216を昇降させるためのロッド昇降装置218とによって構成されている。アクチュエータ212は、シリンダハウジング220と、そのハウジング220の内部に前後に摺動可能なピストン(図示を省略)と、そのピストンに連結されてハウジング220から延び出すピストンロッド222とを含んで構成されており、圧搾エアの力でピストンロッド222を進退させる構造のものとされている。ロッド昇降装置218は、ハウジング224に前後に移動可能に保持されて中間部に楔面226を有する楔ロッド228と、係止ロッド216にそれの下端部においてカラー230およびボルト232によって締結されて自身が上下することで係止ロッド216を上下させる昇降片234と、昇降片234を下方から弾性的に支持するスプリング236とを含んで構成されている。楔ロッド228には、楔面226を上下に貫通するとともに前後に延びる長穴238が形成されており、係止ロッド216は、その長穴238を貫通する状態で、ロッド頭部214を含む上部がハウジング220から延び出している。アクチュエータ212のピストンロッド222の前端と楔ロッド228の後端とが連結されており、ピストンロッド212の進退に伴って、楔ロッド228は、前後に移動するようになっている。昇降片234は、楔ロッド228の楔面226に接する面を有する形状のものとされており、楔ロッド228の前後方向の移動に伴って昇降し、昇降片234に締結されている係止ロッド216も昇降する。つまり、アクチュエータ212の作動によって、係止ロッド216が昇降するのである。具体的に言えば、図17に示す状態は、ピストンロッド222が前進した状態であり、スプリング236の力によって、係止ロッド216は上昇した状態にある。ピストンロッド222が後退することにより、図において二点鎖線で示すように、スプリング236の力に抗して係止ロッド216は下降する。なお、2つの係止ロッド作動装置210は同時に作動し、2つの係止ロッド216が同時に昇降するようになっている。
図14(c)をも参照しつつ説明すれば、モジュール12のベッド22には、先に説明したように、前後方向に貫通するスロット200が形成されており、モジュール12がベース10に載置された状態において、係止ロッド216のロッド頭部214は、スロット200の内部に位置する。係止ロッド216が上昇している場合には、係止ロッド216はスロット200と係合せず、モジュール12は、ベース10上を、上述の軌道に沿って前後に移動可能な状態となる。スロット200には、所定の箇所に、ロッド頭部214のテーパ面240に合致した形状のテーパ面242を有する座ぐりが施された座ぐり部244を有しており、その箇所に、ロッド頭部214が位置するときには、係止ロッド216の下降によって、ロッド頭部214のテーパ面240が、座ぐり部244のテーパ面242にぴったりと接する状態となる。その状態においては、係止ロッド216は、座ぐり部244、すなわち、モジュール12を係止することになり、モジュール12は、ベース12上に固定される。つまり、モジュール12は、上記軌道に沿った移動が禁止されるのである。ちなみに、係止部作動装置である係止ロッド作動装置210は、アクチュエータ212の力によって、係止部である係止ロッド216を被係止部である座ぐり部244に向かって付勢するものとされており、モジュール固定機構は、モジュール12をベース10に押し付ける状態で固定する。
先に説明したように、1つのモジュール12に対して、2つの係止ロッド作動装置210がベース10に設けられており、それら2つの係止ロッド作動装置210の各々の係止ロッド216に対応して、座ぐり部244は、図15に示すように、スロット200の前後方向における中間部に、2つ設けられている。2つの座ぐり部244の前後方向における配設間隔Lは、2つの係止ロッド216の前後方向における配設間隔Lと等しくされている。また、模式図である図18を参照しつつさらに説明すれば、その図では、モジュール12に設けられた2つの座ぐり部244の位置およびベース10に設けられた2つの係止ロッド216の位置が、それぞれ“☆”で示されており、モジュール12が通常時位置に位置するときには、2つの座ぐり部244が、2つの係止ロッド216によって、それぞれ、係止される。一方、二点鎖線で示すように、モジュール12が前方に所定距離Lだけ引き出された場合には、つまり、2つの座ぐり部244の上記配設間隔Lと等しい距離だけ前方に引き出された場合には、後方側の座ぐり部244が前方側の係止ロッド216によって係止可能となり、モジュール12が後方に上記所定距離Lだけ引き出された場合には、前方側の座ぐり部244が後方側の係止ロッド216によって係止可能となる。したがって、本システムでは、通常時位置のみならず、前方,後方それぞれの引出しについて設定された2つの引出位置において、モジュール12がベース10に対して固定可能とされている。つまり、3つの固定位置においてモジュール12が固定可能とされているのである。
上記説明から解るように、上記座ぐり部244が、モジュール12に配設された被係止部として、上記係止ロッド216が、ベース10に配設された係止部として、それぞれ機能し、また、係止ロッド作動装置210が、ベース10に配設された係止部作動装置、つまり、座ぐり部244が係止ロッド216によって係止される状態と座ぐり部244が係止ロッド216によっては係止されない状態とを切り換えるべく係止ロッドを動作させる装置として機能する。本システムでは、それぞれが被係止部として機能する2つの座ぐり部244,それぞれが係止部として機能する2つの係止ロッド216,それぞれが係止部作動装置として機能する2つの係止ロッド作動装置210を含んで、上述のモジュール固定機構が構成されているのである。言い換えれば、本システムにおけるモジュール固定機構は、モジュール側構成要素としての2つの座ぐり部244と、ベース側構成要素としての2つの係止ロッド216および2つの係止ロッド作動装置210とを含んで構成されており、可動台としてのベッド22は、モジュール側構成要素である2つの座ぐり部244をも含んでモジュール化されたものとなっている。さらに言えば、モジュール固定機構は、上述したように、モジュール12をベース10に押し付ける状態で固定することから、押付型固定機構とされているのである。なお、本システムでは、被係止部がモジュール側構成要素としてモジュール12に、係止部および係止部作動装置がベース側構成要素としてベース10に、それぞれ配設されたモジュール固定機構が採用されているが、被係止部がベース側構成要素としてベース10に、係止部および係止部作動装置がモジュール側構成要素としてモジュール12に、それぞれ配設されたモジュール固定機構を採用することも可能である。また、本システムでは、4つのモジュール12に対応して4つのモジュール固定機構が設けられているが、4つのモジュール12の一部である1以上のモジュール12だけに対応して、1以上のモジュール固定機構を設けてもよい。
[E]クーラント,切削屑への対処
モジュール12は、旋盤モジュールであるため、ワークに切削加工を施す際、ワークにクーラント(「切削液」と呼ぶこともできる)をかけつつ切削加工が行われる。また、切削加工において、切削屑(「切粉」と呼ぶこともできる)が発生する。したがって、それれらクーラント,切削屑への対処が必要となる。モジュール12が、上述のボール盤/フライス盤モジュール等の機械加工モジュールである場合も、クーラント,切削屑には、同様の対処が必要となる。以下に、それらクーラント,切削屑に配慮した特別な構成について説明する。
ベース10の内部には、図19に示すように、クーラントを収容するクーラントタンク250が内蔵されている。図20は、クーラントタンク250が内蔵されたベース10およびそのベース10に載置された1つのモジュール12の断面図である。その断面図における切断面は、モジュール12が有するスピンドル32の前方に位置して、そのスピンドル32の軸線に直角な、つまり、前後方向に直角な平面であり、切削加工が行われる上述の作業空間(以下、「作業空間WS」と言う場合がある)を前後に分断する平面である。図には、1つのベースユニット16だけが記載されており、1つのベースユニットに1つのクーラントタンク250が内蔵され、ベース10全体では、2つのクーラントタンク250が内蔵される。
一方、モジュール12には、外装パネルの前方側の部分と、ベッド22の前方に配設されたロアパネル252とによって、上述の作業空間WSを囲う作業空間ハウジング254が形成されており、モジュール12は、その作業空間ハウジング254をも含んでモジュール化されている。ちなみに、ロアパネル252は、ベッド22の前端に付設されたフレーム256によって支持されている(図9参照)。ちなみに、図20では、ロアパネル252の右側に、後述するワークローダ260のベース梁262およびガイド264が簡略的に示されている。スピンドル32によって回転させられるワークに対して、図示を省略するクーラントノズルからクーラントが放出され、クーラントが放出された状態において、ワークの切削加工が行われる。そして、切削加工によって、切削屑が発生する。作業空間ハウジング254は、放出されたクーラントおよび発生した切削屑の外部への飛び出し、特に、左右側への飛び出しを、効果的に防止するものとなっている。放出されたクーラントおよび切削屑は、作業空間WSにおいて下方に落下し、ロアパネル256に設けられた開口270を通って、ベース10の内部に配設されたクーラントタンク250に収容される。なお、クーラントタンク250へのクーラントおよび切削屑の導出を効率的に行わせるため、ロアパネル256は、下方に向かうにつれて狭くなるような形状とされている。つまり、ロアパネル256には、テーパ面272が設けられている。
ベース10の上面には、クーラントおよび切削屑を、クーラントタンク250に受け入れるための受入口として機能する筒状の受入筒274が設けられており(図13参照)。詳しく言えば、ベース10の上面には、開口276が設けられており、受入筒274は、下端がその開口276に挿入されるようにして配設されている。また、受入筒274は、モジュール12が通常時位置に位置しているときには、上端がロアパネル256の開口270より上方に位置する状態となっている。そのような受入筒274によって、クーラントおよび切削屑は、効率的に、つまり、ベース10の上面にこぼれることなく、ベース10の内部に導入される。さらに、ベース10の内部には、受入筒274を通過したクーラントおよび切削屑がクーラントタンク250の左右の外側にこぼれ落ちることを防止するために、1対のガイド板278が設けられている。
クーラントタンク250には、落下したクーラントおよび切削屑を受け取る受け板280が設けられている。受け板280は、上面が左右の両側から中央に向かって下降する1対の傾斜面282を有し、かつ、中央部に窪み284を有する形状とされているため、落下したクーラントおよび切削屑は、それら傾斜面282に沿って中央の窪み284に集まる。図では省略しているが、受け板280には、窪み284が形成されている部分において、小さな孔が多数穿設されており、クーラントだけが受け板280を通過する。窪み284には、前後方向に延びる姿勢で配設されたスクリュー286が配設されており、このスクリュー286の回転により、受け板280に残る切削屑は、後方に移動する。図19を参照しつつ説明すれば、クーラントタンク250は、ベース10から、後方にはみ出しており、そのはみ出した後端部に、排出ダクト290が配設されている。スクリュー286後方に移動した切削屑は、その排出ダクト290を通って、当該システムの後方に排出される。つまり、それらスクリュー286,排出ダクト290等によって、切削屑排出装置として機能するスクリューコンベア292(チップコンベアの一種である)が構成されており、そのスクリューコンベア292は、ベース10の一側面、詳しくは、後方側面から、切削屑を排出するものとされている。なお、例えば、排出ダクト290の後端の下方に車輪の付いた切削屑回収ボックス292を配置することで、排出された切削屑を容易に運搬することが可能である。クーラントタンク250に収容されたクーラントは、図示を省略するポンプによって汲み上げられ、再度、上述のクーラントノズルから放出される。つまり、当該システムにおいては、クーラントは、循環するようにされているのである。
本システムでは、1つのベースユニット16に対して1つのクーラントタンク250が、つまり、2つのモジュール12に対して1つのクーラントタンク250が配設されているが、モジュール12ごとに1つのクーラントタンクを設けるように構成してもよく、また、ベース10全体で、1つのクーラントタンクを設けるように構成してもよい。同様に、切削屑排出装置も、1つのベースユニット16に対して1つ設けるのではなく、モジュール12ごとに設けてもよい。なお、切削屑排出装置として、上述のスクリューコンベア292に代えて、金属製のネットが周回するような構造のチップコンベア等、種々の形式の排出装置を採用することが可能である。なお、本システムでは、切削屑排出装置であるスクリューコンベア292は、切削屑を、交差方向において互いに反対となる両方向の一方、詳しく言えば、作業空間WSとは反対側の方向である後方に、排出するようにされている。したがって、例えば上記切削屑回収ボックスを、ベース10の配列方向の傍らに配置する必要がなく、そのボックスを含めた全システムのシステム長を短くすることが可能である。
先に説明したように、モジュール12はベース10に対して引き出し可能とされている。そのため、図20から解るように、モジュール12が引き出される際に、図の左側に示す受入筒274の状態では、モジュール12のロアパネル256がその受入筒274に干渉してしまう。そこで、本システムでは、その干渉を避けるため、モジュール12が引き出される際に、左側に示す受入筒274を、図の右側に示す受入筒274の状態とするための機構が設けられている。つまり、受入口として機能する受入筒274を退避させる受入口退避機構としての受入筒昇降機構が、モジュール12ごとに設けられている。この機構によって、受入筒274は、モジュール12の通常時位置からの引出しの際に、下方に退避させられる。
図21を参照しつつ詳しく説明すれば、受入筒274は、それぞれが駆動アーム300と従動アーム302とそれらを連結するリンクバー304とによって構成された1対の平行リンク機構306によって、左右から挟まれるようにして、支持されている。駆動アーム300,従動アーム302のそれぞれの基端部は、ベース10の上面に付設されたブラケット308に回動可能に支持されており、それぞれの先端部は、ローラ310を介して、受入筒274の側面に付設されたレール部材312を支持している。駆動アーム300は、概してL字形状をしており、もう一方の先端部は、長穴314を有する連結ブロック316に、その長穴314に沿って移動可能に軸支されている。先に説明したように、ベース10の上面には、モジュール固定機構を構成する2つの係止ロッド作動装置210が設けられており(図13参照)、連結ブロック316は、それら2つの係止ロッド作動装置210のうちの前方側に設けられたものが有する楔ロッド228の先端に固定されている。
図21に示す状態は、モジュール12の固定が解除された状態であり、モジュール12を固定すべく係止ロッド作動装置210を動作させることで、図において二点鎖線で示すように、受入筒274は上昇する。図20における左側の受入筒274は、そのようにしてその受入筒274が上昇した状態を示している。逆に、受入筒274が上昇している状態において、モジュール12の固定を解除すべく係止ロッド作動装置21を動作させることで、図20における右側の受入筒274のように、受入筒274が、モジュール12の引出しに際してモジュール12のロアパネル256が干渉しない位置まで下降させられることになる。つまり、本システムでは、上記平行リンク機構306,ブロック316,係止ロッド作動装置210等を含んで、モジュール固定機構によるモジュール12の固定の解除に連動して受入口としての受入筒274を退避させる受入筒昇降機構318が構成されているのである。そのような機構により、本システムでは、モジュール12の固定を解除するための操作によって、自動的に、受入筒274が退避させられるのである。ちなみに、詳しい説明は省略するが、上述の前方側の引出位置おいてモジュール12が固定される場合においては、受入筒274が上昇したとしても、その受入筒274がモジュール12のベッド22には干渉しないようにされている。なお、受入口退避機構としての受入筒昇降機構320と、モジュール固定機構とにおいて、駆動源であるアクチュエータ212が共用されているため、それらの機構は、構造的にシンプルなものとなっている。
さらに、本システムでは、モジュール12が前方へ引き出された際に、モジュール12の作業空間に残存するクーラントが、モジュール12の上記開口270から滴下することに配慮して、図22に示すように、その滴下するクーラントを受けるための展開型クーラント受け320を備えている。このクーラント受け320は、シート322を主要構成要素とするものである。シート322は、図示を省略する軸に捲回されており、その軸は、、ベース10の前端に立設された支持部材324によって、回転可能に支持されている。シート322の捲き終わり端は、開口270が設けられたロアパネル252を支持するフレーム256の前端に掛止されている。ちなみに、図13に、捲回されたシート322がベースユニット16の左前の部分に配設された様子が、示されている。シート322は、図示を省略するばねの力によって、捲かれる状態となるように付勢されている。つまり、軸が、図における反時計まわりに付勢されているのである。モジュール12を前方へ引き出した場合、フレーム256の前方への移動に伴って、シート322はばねの力に抗して延ばされ、フレーム12の下方に、開口270をカバーするようにして展開する。展開したシート322は、後方に向うにつれて低い状態となっており、開口270から滴下したクーラントは、シート322の上面に沿ってベース10の上面までつたい落ちる。ベース10上につたい落ちたクーラントは、ベース10の上面に穿設された穴326から、クーラントタンク250に導入される。ちなみに、図13には、捲回されたシート322が省略されているベースユニット16の右前の部分に、穴326が示されている。
モジュール12を通常時位置に戻す場合は、上述したばねの力によって、モジュール12の後方への移動に伴って、延ばされたシート322は捲回される。なお、本クーラント受け320では、モジュール12を通常時位置から後方に移動させる場合には、シート322の捲き終わり端のフレーム256への掛止が解除されるようになっている。ちなみに、本クーラント受け320は、シート322を主要構成要素とした上記構造のものとされているが、展開型クーラント受けとして、プレート,パン等がモジュール12の引出しに合わせて前方に迫り出すような構造のものを採用することも可能である。
[F]ワークのモジュール間の搬送およびモジュール内での作業位置への移送
本システムでは、図7に示すように、ベース10の一側面、詳しくは、上述の作業空間が存在する側である前方側の一側面に、ワークを搬送するワーク搬送装置350を備えている。このワーク搬送装置350は、ワークを各モジュール12を渡って搬送するものであり、最も左側(上流側)のモジュール12へのワークの搬入,各モジュール12の間におけるワークの搬送,最も右側(下流側)のモジュール12からのワークの搬出を担っている。図では、左側のベースユニット16の前方側の側面に配置された当該ワーク搬送装置350の部分のみが示されているが、右側のベースユニット16の前方側の側面にも同様の部分(後述する)が存在している。つまり、本システムでは、ワーク搬送装置350は、2つのベースユニット16に対応して、2つの搬送装置ユニット352によって構成され、2つのベースユニット16の各々は、ワーク搬送装置350の一部分である1つの搬送装置ユニット352を組み込んでモジュール化(ユニット)されているのである。なお、以下、左側のベースユニット16,左側のベースユニット16のそれぞれに配設されている搬送装置ユニット352を、それぞれ、左側搬送装置ユニット352L,右側搬送装置ユニット352Rと呼び分ける場合があることとする。そして、さらに、ワーク搬送装置350には、後に説明するワーク反転装置354が配設されている。
左側搬送装置ユニット352Lは、図23に示すように、可動ベース356と、それぞれにワークが載置される3つのワーク台358と、可動ベース356に支持されてそれぞれが3つのワーク台358のうちの対応するものを昇降させる3つのワーク台昇降装置360とを含んで構成されている。なお、図23では、前述のワーク反転装置354は省略されている。可動ベース356は、ベース10の前方側の側面に固定された1対のガイドレール362に沿って、上記配列方向(左右方向)に移動可能とされており、可動ベース356の後方側に設けられたアクチュエータ(図では可動ベース356に隠れている)によって、配列方向に移動させられる。アクチュエータは、圧縮エアの力によって作動するシリンダ型のものであり、そのアクチュエータ,上記ガイドレール362等を含んで、ワーク台358を配列方向に移動させるワーク台移動装置364が構成されているのである。
3つのワーク台358および3つのワーク台昇降装置360は、モジュール12の上記配列ピッチと同じピッチで、等間隔に配列方向に並べられている。3つのワーク台358のうちの中央のものおよび右側のものは、それぞれ、最も右側のモジュール12,右から2番目のモジュール12に対応する「対応ワーク台」とされており、左側のものは、ベース10から左側に張り出した位置に設けられた付加的なワーク台である「付加ワーク台」とされている。なお、図示を省略するが、右側搬送装置ユニット352Rは、その付加ワーク台を有しておらず、そのことに合わせて可動ベース356の左右方向の寸法が短くされている。したがって、当該システム全体では、5つのワーク台358が設けられており、ワーク搬送装置350は、それら5つのワーク台358が上記配列ピッチと同じピッチで等間隔に配列方向に並ぶように構成されている。
ワーク台昇降装置360は、昇降台366と、可動ベース356に固定されて昇降台364を昇降させる昇降アクチュエータ368と、昇降台366に上下に移動可能に保持されるとともに上端においてワーク台358に固定された1対のガイドロッド370と、昇降台366に配設されて昇降台366に対してワーク台358を上下に移動させるワーク台上下移動機構372とを含んで構成されている。ワーク台上下移動機構372は、ねじロッド374と、そのねじロッド372と螺合するナット(図示を省略)と、そのナットを回転させるモータ376とを含んで構成されており、いわゆるボールねじ機構を利用した移動機構とされている。
昇降アクチュエータ368は、圧縮エアの力によって、昇降台366を昇降させるものであり、昇降台366が可動ベース356に対して上端位置と下端位置との2つの位置を選択的にとるように作動する。それに対して、ワーク台上下移動機構372は、モータを制御することによって、ワーク台358を、昇降台366に対しての上端位置と下端位置との間の任意の位置に位置させることが可能とされている。ちなみに、図23では、左側のワーク台昇降装置360については、昇降台366が上記下端位置に位置するとともにワーク台358も上記下端位置に位置する状態が、中央のワーク台昇降装置360については、昇降台366が上記下端位置に位置するとともにワーク台358が上記上端位置に位置する状態が、右側のワーク台昇降装置360については、昇降台366が上記上端位置に位置するとともにワーク台358が上記下端位置に位置する状態が、それぞれ示されている。
上述のような構成により、ワーク台昇降装置360は、昇降アクチュエータ368が第1昇降装置として、ワーク台上下移動機構372が第2昇降装置として、それぞれ機能し、図24に示すように、ワーク台358を2段階で昇降させる2段式昇降装置、つまり、いわゆるテレスコピック型の昇降装置とされているのである。図24におけるSt1が、昇降アクチュエータ368による昇降台264の昇降ストロークであり、St2が、ワーク台上下移動機構372によるワーク台358の昇降ストロークである。昇降台366とワーク台358とがともに上記下端位置に位置している場合のワーク台358の高さレベル(以下、「最下端位置」と言う場合がある)と、それらがともに上記上端位置に位置している状態のワーク台358の高さレベル(以下、「最上端位置」と言う場合がある)との差が、当該ワーク台昇降装置360によるワーク台358の総ストローク(St1+St2)であり、その総ストロークは、比較的大きなものとなる。先に説明したように、モジュール12は、ベース10から前方に引き出し可能とされているため、最下端位置において、ワーク台358の上面は、ベース10の上面よりも下方に位置しているが、総ストロークが大きくされていることで、最上端位置において、ワーク台358は、後に説明するワークローダ260とのワークW5の受け渡しに充分な高さまで、そのワークW5を上昇させることができるのである。
左側搬送装置ユニット352Lでは、図7に示すように、中央のワーク台昇降装置360に、ワーク反転装置354が付設されている。図25に拡大して示すように、ワーク反転装置354は、1対の把持爪380とそれら1対の把持爪380を互いに接近離間させる爪動作アクチュエータ382とを含んで構成されるクランプ384を主要構成要素とするものであり、さらに、圧縮エアの力によってクランプ384を180°回転させるクランプ回転アクチュエータ386と、圧縮エアの力によってクランプ384を所定距離だけ昇降させるクランプ昇降アクチュエータ388とを備えている。クランプ昇降アクチュエータ388が、取付具390を介して、ワーク台昇降装置360の昇降台366に固定されており、ワーク反転装置354は、上記昇降アクチュエータ360によって、昇降台366とともに昇降する。なお、クランプ384が開いた状態においては、1対の把持爪380の間を、ワーク台358が通過可能とされている。また、1対の把持爪380は、反転させるワークの形状や寸法に応じて、適切なものに交換可能とされている。
図26を参照しつつ、ワークの反転について詳しく説明すれば、ワークW6を反転させる場合、まず、ワークW6が載置されたワーク台358が昇降台366に対する上記下端位置にある状態(図26(a))から、クランプ昇降アクチュエータ388によって、開いた状態のクランプ384を上記所定距離だけ上昇させる(図26(b))。次いで、ワーク台上下移動機構372によって、ワーク台358を、適切な位置、例えば、ワークW6の高さ方向の中央部をクランプ384が把持可能な位置にまで、上昇させる(図26(c))。次に、クランプ384にてワークW6を把持した後、ワーク台上下移動機構372によって、ワーク台358を、上記下端位置まで下降させ、クランプ回転アクチュエータ386によって、ワークW6を180°回転させる(図26(d))。その後、ワーク台上下移動機構372によって、ワーク台358を、適切な位置、つまり、ワークW6の下端面にワーク台358の上面が接する位置まで上昇させて、クランプ384による把持を解除する(図26(e))。そして、クランプ昇降アクチュエータ388によって、開いた状態のクランプ384を上記所定距離だけ下降させて、ワークW6の反転を完了させる(図26(f))。なお、図26(f)では、ワーク台358も下降させているが、ワークW6の反転の後にそのワークW6をモジュール12による切削加工に供する等の場合には、ワーク台358を上昇させてもよい。以上が、ワークの反転に関するワーク反転装置354およびワーク台昇降装置364の連携動作である。
以上が、左側搬送装置ユニット352Lについての説明であり、その説明および図27を参酌しつつ、図示を省略する右側搬送装置ユニット352Rについて説明すれば、右側搬送装置ユニット352Rは、大まかには、左側搬送装置ユニット352Lにおいて設けられていた上記付加ワーク台である左側のワーク台358と、そのワーク台358を昇降させるワーク台昇降装置364とが、除かれたものと考えることができる。つまり、対応ワーク台である2つのワーク台358と、それら2つのワーク台358をそれぞれ昇降させる2つのワーク台昇降装置364とを含んで構成されており、可動ベース356の左右方向の寸法が、1つのワーク台358および1つのワーク台昇降装置364が存在しない分、短くされている。したがって、当該システム全体では、5つのワーク台358が設けられており、5つのワーク台358が上記配列ピッチと同じピッチで等間隔に配列方向に並ぶように構成されている。なお、上述のワーク反転装置354は、右側搬送装置ユニット352Rにおいては、右側のワーク台昇降装置360にだけ付設されている。
ワーク搬送装置350は、左側搬送装置ユニット352Lの可動ベース356と右側搬送装置ユニット352Rの可動ベース356とが、互いに同期して同じ距離だけ左右に移動するように構成されている。つまり、上述のワーク台移動装置360によって、5つのワーク台358が、一斉に、上記配列ピッチに相当する距離だけ移動させられる。詳しく言えば、それら2つの可動ベース356およびそれらに配設されている5つのワーク台358が、図27(a)に示す位置と、図27(b)に示す位置との間で往復移動するように、ワーク搬送装置350は構成されているのである。ちなみに、図27(a)に示す状態では、4つの対応ワーク台358の各々が、対応するモジュール(以下、「対応モジュール」と言う場合がある)12に対するワークW7の受け渡しのために設定された位置(受渡位置)に位置している。言い換えれば、各ワーク台358が、ホームポジションに位置している。それに対し、図27(b)に示す状態では、上流側(左側)の3つの対応ワーク台358の各々が、1つのワークW7に対して対応モジュール12の後に切削加工を行うモジュール(以下、「下流側モジュール」と言う場合がある)12に対する受渡位置に位置するとともに、最も上流側に存在する付加ワーク台358が、最も上流側のモジュール12に対する受渡位置に位置している。したがって、5つのワーク台358は、一斉に、上記配列ピッチに等しい距離だけ、左右方向に移動させられるのである。なお、以下の説明において、1つのワークW7に対して対応モジュール12の前に切削加工を行うモジュール12を、「上流側モジュール」と言う場合があることとする。
ワーク搬送装置350によるワークの搬送は、図27(a)に示す状態と、図27(b)に示す状態とが繰り返し実現されることによって行われる。詳しく説明すれば、図27(a)に示す状態では、最も上流側に存在する付加ワーク台358に、外部に設置された搬入機からワークW7が載置されるとともに、4つの対応ワーク台358の各々に、対応モジュール12から、それによって切削加工が行われたワークW7が載置される。次いで、図27(b)の状態となるように、5つのワーク台358が移動させられ、その状態において、付加ワーク台358に載置されたワークW7が、最も上流側に位置するモジュール12に、上流側の3つの対応ワーク台358の各々に載置されているワークW7が、下流側モジュール12に、それぞれ渡されるとともに、最も下流側(右側)に位置する対応ワーク台358に載置されているワークW7が、外部に設置された搬出機に渡される。そして、その後に、いずれのワーク台358にもワークW7が載置されていない状態において、それら5つのワーク台358は、図27(a)に示す位置に位置させられる。つまり、ホームポジションに戻るのある。このような動作を繰り返すことで、複数のワークが、当該システム内において、順次、複数のモジュール12を経由して、搬送されることになる。
本システムでは、ワーク搬送装置350は、対応ワーク台358およびそれらを昇降させるワーク台昇降装置360以外に、付加ワーク台358およびそれを昇降させるワーク台昇降装置360が、上流側に設けられているが、付加ワーク台358およびそれを昇降させるワーク台昇降装置360は、下流側に設けられてもよい。その場合にも、同様の動作によってワークを搬送することが可能である。また、付加ワーク台358およびそれを昇降させるワーク台昇降装置360を設けなくてもよい。その場合には、ワーク搬送装置350を、ホームポジションに対して、上流側にもまた下流側にも、5つのワーク台が上記配列ピッチに相当する距離だけ移動するように構成することで、そのワーク搬送装置350によって、当該システムへのワークの搬入、当該システムからのワーク搬出、および、モジュール12間のワークの搬送を行なわせることが可能である。
また、本システムでは、左側搬送装置ユニット352Lの中央のワーク台358、および、右側搬送ユニット352Rの左側のワーク台358のそれぞれに対して、ワーク反転装置354が設けられている(図27の☆印の箇所)。そのように設けられたワーク反転装置354は、それぞれ、最も左側のモジュール12による切削加工と、左から2番目のモジュール12による切削加工との間で、および、右から2番目のモジュール12による切削加工と、最も右側のモジュール12による切削加工との間で、ワークの反転を行うことが可能となっている。つまり、ワーク反転装置354は、ワークを反転させたい箇所に応じたワーク台358に対して設ければよいのである。なお、すべての対応ワーク台358の各々に対してワーク反転装置354を設けることで、ワークを反転させるべき個所をワークの種類の変更によって変更すべき場合においても、ワーク反転装置354を付け替えることなく、その変更に迅速に対応することが可能である。
ワーク搬送装置350によって搬送されたワークは、図9に示す上述のワークローダ260によって、ワーク台358から運ばれてモジュール12のスピンドル32に取り付けられたチャック46に装着される。また、モジュール12において加工が完了したワークは、そのワークローダ260によって、チャック46から運ばれてワーク台358に載置される。ワークローダ260は、図28に示すように、ベット22から前方に延び出すようにしてそのベッド22に支持された上述のベース梁262と、そのベース梁262に支持された上述のガイド264と、そのガイド264に沿って前後方向に移動可能に設けられたスライド400と、そのスライド400を前後に移動させるスライド移動機構402と、スライド400に支持されてワークを保持するワーク保持装置404とを含んで構成されている。ガイド264には、レール406が敷設されており、スライド400は、そのレール406を摺動する。スライド移動機構402は、ベース梁262に支持されたモータ408と、ベース梁262に前後に延びる姿勢で回転可能に配設されたねじロッド410と、スライド400に保持されてねじロッド410と螺合するナット(図示を省略)とを含んで構成されている。そのナットおよびねじロッド410は、ボールねじ機構を構成するものとされている。モータ408の回転がプーリ412,414およびベルト416によって伝達されることで、ねじロッド410が回転し、その回転に伴って、スライド400が前後方向に移動する。ワーク保持装置404は、左右方向に延びる軸線回りに回転可能にスライド400に設けられたチャックテーブル418と、チャックテーブル418の互いに背向する2つの面にそれぞれ設けられてそれぞれがワークを保持する2つのチャック420とを有している。チャックテーブル418は、モータ422を有してスライド400に設けられたテーブル回転機構424によって、回転させられるともに、360°の範囲における任意の回転姿勢をとることが可能とされている。
なお、図29から解るように、ワーク保持装置404は、2つのチャック420の一方がチャック46と正対する状態において、それらの軸線が一致するように、かつ、上記受渡位置に位置するワーク台358の上方において2つのチャック420の一方がそのワーク台358と正対する状態において、それらの軸線が一致するように、配置されている。以下に、図29を参酌しつつ、ワークのチャック46に対する着脱、および、ワークのモジュール12とワーク搬送装置350と間でのワークの受け渡しについて、一例を掲げて説明する。なお、後者の状態におけるワーク保持装置404の位置も、その装置404についての受渡位置と呼ぶ場合があることとする。
加工が終了したワーク(以下、「加工完了ワーク」と言う場合がある)W8を、チャック46から離脱させる場合には、図29(a)に示すように、ワーク保持装置404は、チャック46の近傍である着脱位置に移動させられ、自身が有する2つのチャック420の一方においてチャック46からワークW8を受け取る。その際、2つのチャック420の他方は、既に、これから加工が行なわれるワーク(以下、「加工未了ワーク」と言う場合がある)W8を保持しており、ワーク保持装置404は、加工完了ワークW8を受け取った後、チャック46から少し離れた位置に移動して、その位置において、チャックテーブル418を180°回転させる。そして、再び着脱位置に戻って、チャック46に、加工未了ワークW8を渡す。このようにして、加工完了ワークW8の離脱と加工未了ワークW8の装着とが、短い時間で連続して行われるため、モジュール12がワークを加工していない時間が可及的に短くされるのである。
加工完了ワークW8を、受渡位置に位置するワーク台(対応ワーク台)358に載置する場合は、図29(b)に示すように、ワーク保持装置404が当該ワーク保持装置404についての受渡位置に移動させられ、かつ、加工完了ワークW8が当該ワーク保持装置404の真下に位置するようにワークテーブル418が回転させられた状態とされる。その状態において、ワーク台358をワーク台昇降装置360によって設定位置まで上昇させて、加工完了ワークW8のワーク台358への載置が行われる。ワーク台358を下端位置まで下降させた後、当該システムが有する5つのワーク台358が、ワーク台移動装置364により、一斉に、上記配列ピッチに相当する距離だけ下流側に移動させられる。その結果、加工未了ワークW8が載置されたワーク台(付加ワーク台若しくは上流側モジュールの対応ワーク台)358が、受渡位置に位置する状態となる。その状態において、ワーク台358を設定位置まで上昇させることで、ワーク台358に載置されていた加工未了ワークW8が、ワーク保持装置404によって保持される。このようにして、モジュール12とワーク搬送装置350との間での加工完了ワークW8および加工未了ワークW8の受け渡しが連続して行われる。なお、この受け渡しの間、モジュール12は、チャック46に装着されているワークW8の加工を行っている。
なお、上述のワークローダ260の動作に鑑みれば、ワークローダ260は、ワーク台358に載置されているワークを、切削加工が行われる位置、つまり、作業位置に移送するともに、ワークをその作業位置からワーク台358に移送するワーク移送装置として機能するものとなっている。
[G]モジュールの配置とモジュールのバリエーション
請求可能発明に係るシステムでは、モジュールのベース上の配置に関して、「配置領域」という概念を採用している。配置領域Rとは、図30に示すように、ベースB上に区画設定された仮想空間であり、モジュールMが配置される空間を規定するための単位空間と考えることができる。図30から解るように、配置領域Rは、間隔を置かずに、互いが接するようにして配列方向に並んでいる。それぞれの配置領域Rの幅を、領域幅WRと呼べば、各配置領域Rの領域幅WRは、互いに等しくされている。
図30は、4つのモジュール12がベース10上に配列された上記システムについて表現したものであり、ベース10上に4つの配置領域Rが設定され、それら配置領域Rの各々に、1つのモジュール12が配置されている。図1,図3,図7等をも参酌すれば、モジュールの幅をモジュール幅WMとした場合において、上記システムでは、各モジュール12のモジュール幅WMも、配置領域Rの領域幅WRと略等しくされており(厳密には、モジュール幅WMは、領域幅WRよりも若干小さくされている)、先に説明したように、4つのモジュール12は、互いに近接して配置されている。各モジュール12は、隣接する配置領域Rにはみだしておらず、1つの配置領域Rのみを占有している。したがって、各モジュール12は、「単一領域占有モジュール」と考えることができる。なお、4つのモジュール12の「配列ピッチ」は、モジュール12の幅方向の中心の配列方向の間隔と考えることができ、上記システムのモジュール12の配列ピッチPは、配置領域Rの幅方向の中心の配列方向の間隔、つまり、領域幅WRと等しいものとなっている。
図7,図8,図13等をも参酌しつつ上述のシステムについて説明すれば、ベース10には、4つのモジュール12に対応して、各モジュール12が有する1対の車輪20が転動する1対のレール152からなるレール対150が4つ設けられており、4つのレール対150は、4つの配置領域Rに、それぞれ配置されている。つまり、配置領域Rごとに、モジュール12の引出しの軌道を形成する軌道形成部材が配設されているのである。また、前述のモジュール駆動機構166を構成するベース側構成要素であるモジュール駆動用モータ162,ピニオン164等も、4つの配置領域Rに対応して、それら4つの配置領域Rの各々においてベース10に配置されている。同様に、前述のモジュール固定機構を構成するベース側構成要素である係止ロッド216,係止ロッド作動装置210等も、4つの配置領域Rに対応して、それら4つの配置領域Rの各々においてベース10に配置されている。なお、上記システムでは、ベース10は、複数の、詳しくは、2つのベースユニット16によって構成されており、いずれかの配置領域Rが分割されることなく、それぞれのベースユニット16に、複数の、詳しくは、2つの配置領域Rが設定されている。さらに、上記ワーク搬送装置350が有するワーク台358も、各配置領域Rに対応して設けられている。つまり、上述の対応ワーク台358は、配置領域Rごとに設けられているのである。
配置領域Rごとにレール対150,モジュール駆動機構166のベース側構成要素,モジュール固定機構のベース側構成要素がベース10に配設されているのに対し、モジュール12には、先に説明したように、可動台としてのベッド22において、2対の車輪20,モジュール駆動機構166のモジュール側構成要素,モジュール固定機構のモジュール側構成要素が、配設されている(図15参照)。レール対150,モジュール駆動機構166のベース側構成要素,モジュール固定機構のベース側構成要素は、どの配置領域Rのものも、同じ構成とされており、そのこと対応して、4つのモジュール12のベッド22は、寸法,形状,構造において、互いに同じものとされている。つまり、2対の車輪20,モジュール駆動機構166のモジュール側構成要素,モジュール固定機構が配設されたベッド22は、仕様,構成において共通化されているのであり、言い換えれば、ベッド22は、共通の構成となるようにしてモジュール化されているのである。この共通化のおかげで、本システムにおいては、例えば、旋盤本体24に代えて他の種類の作業機本体をそのベッド22に固定することによって、ベッド10に配列することのできる種々のモジュールを、容易に、製作することが可能となっている。
先に説明したシステムは、ベース10上に4つの配置領域Rが設定されていたが、2以上の配置領域Rが設定されていれば、好適なシステムとなり得る。また、先に説明したシステムでは、複数、具体的には、2つのベースユニット16によってベース10が構成されているが、3以上のベースユニットBUによって1つのベースが構成されてもよい。なお、複数のベースユニットを採用する場合、先に説明したシステムのように、それら複数ベースユニットの各々に、複数の配置領域Rが設定されることが望ましい。
配置領域Rは、原則として、2以上のモジュールM若しくはそれらの一部が当該領域R内に存在しないように設定されている。その原則に従って、先に説明したシステムでは、上述のように、各配置領域Rには、1つのモジュール12しか存在しないようにされており、かつ、システムが有する4つのモジュール12は、いずれも、1つの配置領域R内に収まる単一領域占有モジュールとされている。そのようなシステムとは異なる変形例のシステムとして、単一領域占有モジュールMに代え、図31(a)に示すように、複数の配置領域Rを占有するモジュールM’、つまり、複数領域占有モジュールM’が配置されたシステムを構築することもできる。図31(a)に示すシステムでは、具体的には、ベースBを構成する右側のベースユニットBUに載置されるモジュールMが’、2つの配置領域Rを占有するモジュールとされている。このシステムでも、3つのモジュールM,M’は、互いに近接して配置されており、モジュールM’のモジュール幅WM’は、モジュールMのモジュール幅WMの概ね整数倍、具体的には、2倍とされている。
上記複数領域占有モジュールを配置する場合、例えば、そのモジュールが有する1対の車輪20のうちの一方が、そのモジュールが占有する複数の配置領域Rのうちの1つに対応して配設されたレール対150を構成する1対のレール152の一方を転動し、他方が、複数の配置領域Rのうちの別の1つに対応して配設されたレール対150を構成する1対のレール152の一方を転動するようにすればよい。具体的に言えば、図31(a)に示すシステムでは、2つの配置領域を占有するモジュールM’の有する1対の車輪20の左側ものが、そのモジュールM’が占有する2つの配置領域Rの左側のものに対応して配設されたレール対150を構成する1対のレール152のうちの左側のものを転動し、1対の車輪20の右側のものが、2つの配置領域Rの右側のものに対応して配設されたレール対150を構成する1対のレール152のうちの右側のものを転動するようにされている。簡単に言えば、1対の車輪20が、2つの配置領域Rに配設されている4つのレール152のうちの配列方向における外側の2つのものを、それぞれ転動するようにされているのである。
なお、複数領域占有モジュールM’を配置する場合、そのモジュールM’に対して、モジュール駆動用モータ162,ピニオン164等の上記モジュール駆動機構166のベース側構成要素、および、である係止ロッド216,係止ロッド作動装置210等のモジュール固定機構のベース側構成要素は、それぞれ、複数の配置領域Rに対応した複数のものが対応することになる。その場合、複数領域占有モジュールM’に対して、それらベース側構成要素は、それぞれ、複数のもののうちのいずれか1つが使用されるようにしてもよい。また、複数領域占有モジュールM’に対して、上記ワーク搬送装置350が有するワーク台358も、複数の配置領域Rに対応した複数のものが対応ワーク台となる。その場合、ワーク搬送装置350の動作に鑑みれば、その複数領域占有モジュールM’には、複数の対応ワーク台358のうちの最上流側のものに載置された加工未了ワークを作業位置に移送し、加工完了ワークを作業位置から2つの対応ワーク台358のうちの最下流側のものに移送して載置するように構成されたワークローダを採用することが望ましい。
また、先に説明したシステムでは、4つのモジュール12のいずれもが、配置領域Rをはみ出さないようなモジュール幅WMを有するものとされていたが、例えば、配列方向における両端に配置された2つのモジュールの少なくとも一方が、配列方向における外側ににはみ出だすようしてもよい。図31(b)は、そのようにされたに示すシステムの一例を示しており、図31(b)に示されているシステムでは、最も右側のモジュールM”が、配置領域Rからはみ出している。詳しく言えば、配列方向において、オーバーハングする状態でベースBからはみ出すようにされているのである。このシステムでは、モジュール幅WMが領域幅WRよりも大きいモジュールM”であっても、ベース幅の比較的小さいベースB上に、配置することが可能とされているのである。
先に説明したシステムでは、モジュール12は、いずれも旋盤モジュール若しくはボール盤/フライス盤モジュールとされていたが、請求可能発明に係るシステムでは、ベース上に配列されるモジュールは、それら旋盤モジュール若しくはボール盤/フライス盤モジュールに限られず、マシニングセンタ,研削盤,研磨盤等の他の種類の工作機械がモジュール化された種々の工作機械モジュールを、ベース上に配置することも可能である。さらに、請求可能発明に係るシステムでは、工作機械モジュールの他に、機械加工に先立ってワークに前処理を行う前処理機がモジュール化された前処理機モジュールや、機械加工の作業結果を検査する検査機等の後処理機がモジュール化された後処理機モジュールをもベース上に配列させることが可能である。さらに、ワークを作業機モジュールに供給する供給作業を行う供給作業機がモジュール化された供給作業モジュールや、工作機械モジュールによる加工が完了したワークをそのモジュールから受け取って当該システムからの搬出のためにストックさせる完了ワーク貯蔵機がモジュール化された貯蔵機モジュール等、工作機械モジュール以外のものがモジュール化された種々の作業機モジュールをもベースに配列させることが可能である。
10:ベース 12:作業機モジュール〔工作機械モジュール〕〔旋盤モジュール〕〔ボール盤/フライス盤モジュール〕 16:ベースユニット 20:車輪 22:ベッド〔可動台〕 24:旋盤本体〔作業機本体〕 26:制御盤 32:スピンドル 34:バイト〔ツール〕 36:ツール保持ヘッド 38:ヘッド移動装置 42:スピンドルケーシング 100:ツール保持ヘッド 102:ストレート型のドリル〔ツール〕 104:アンギュラ型のドリル〔ツール〕 106:エンドミル〔ツール〕 132:スピンドル 134:スピンドルケーシング 150:レール対 152:レール 160:ラックバー〔ラック〕〔モジュール側構成要素〕 162:モジュール駆動用モータ〔駆動源〕〔ベース側構成要素〕 164:ピニオン〔ベース側構成要素〕 166:モジュール駆動機構 170:移載台車 190:モジュール移動装置 210:係止ロッド作動装置〔係止部作動装置〕〔モジュール固定機構〕〔ベース側構成要素〕 216:係止ロッド〔係止部〕〔モジュール固定機構〕〔ベース側構成要素〕 244:座ぐり部〔被係止部〕〔モジュール固定機構〕〔モジュール側構成要素〕 250:クーラントタンク 254:作業空間ハウジング 260:ワークローダ〔ワーク移送装置〕 270:開口 274:受入筒〔受入口〕 292:スクリューコンベア〔切削屑排出装置〕 318:受入筒昇降機構〔受入口退避機構〕 320:展開型クーラント受け 350:ワーク搬送装置 352:搬送装置ユニット 354:ワーク反転装置 358:ワーク台 360:ワーク台昇降装置 364:ワーク台移動装置 W1~W8:ワーク WS:作業空間 R:配置領域 B:ベース BU:ベースユニット M:モジュール〔単一領域占有モジュール〕 M’:モジュール〔複数領域占有モジュール〕 M”:モジュール WR:領域幅 WM:モジュール幅 WM’:モジュール幅 P:配列ピッチ

Claims (2)

  1. ベースと、そのベース上に載置された複数の作業機モジュールと、ワークをそれら複数の作業機モジュールに渡って搬送するとともにワーク反転装置が設けられたワーク搬送装置とを備えた機械工作システムであって、
    前記複数の作業機モジュールが、
    ワークを回転させるためのスピンドルと、バイトとドリルとを選択的に利用可能に保持するツール保持ヘッドとを備え、バイトとドリルとのうちの選択されたものによってワークに対する加工を行うように構成された工作機械モジュールを含み、
    前記ワーク反転装置が、
    ワークを把持するための1対の把持爪とそれら1対の把持爪を互いに接近離間させる爪動作アクチュエータとを含んで構成されるクランプと、ワークを把持した前記クランプを180°回転させるクランプ回転アクチュエータとを備え
    前記ベースに、前記複数の作業機モジュールの各々においてワークに対して射出されるクーラントを収容する1つのクーラントタンクが内蔵され、
    そのクーラントタンクが、複数の作業機モジュールの各々において生成される切削屑をクーラントと共に自身の内部に受け入れるように構成され、そのクーラントタンクに、それら受け入れた切削屑を排出する1つの切削屑排出装置が設けられたことを特徴とする機械工作システム。
  2. ベースと、そのベース上に載置された複数の作業機モジュールと、ワークをそれら複数の作業機モジュールに渡って搬送するとともにワーク反転装置が設けられたワーク搬送装置とを備えた機械工作システムであって、
    前記複数の作業機モジュールが、
    ワークを回転させるためのスピンドルと、バイトを保持するツール保持ヘッドとを備え、前記スピンドルによって回転させられたワークに対して、前記ツール保持ヘッドに保持されたバイトによって切削加工を行う旋盤モジュールと、
    ワークを回転させるためのスピンドルと、ドリルを保持するツール保持ヘッドと、そのツール保持ヘッドに保持されたドリルをそれの軸線まわりに回転させるツール回転装置とを備え、前記スピンドルによって任意の回転位置に位置させられたワークに対して、前記ツール保持ヘッドに保持されたドリルによって穴あけ加工を行うボール盤モジュールと
    を含み、
    前記ワーク反転装置が、
    ワークを把持するための1対の把持爪とそれら1対の把持爪を互いに接近離間させる爪動作アクチュエータとを含んで構成されるクランプと、ワークを把持した前記クランプを180°回転させるクランプ回転アクチュエータとを備え
    前記ベースに、前記複数の作業機モジュールの各々においてワークに対して射出されるクーラントを収容する1つのクーラントタンクが内蔵され、
    そのクーラントタンクが、複数の作業機モジュールの各々において生成される切削屑をクーラントと共に自身の内部に受け入れるように構成され、そのクーラントタンクに、それら受け入れた切削屑を排出する1つの切削屑排出装置が設けられたことを特徴とする機械工作システム。
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