JP7229654B2 - 多孔性高分子金属錯体の賦形体 - Google Patents

多孔性高分子金属錯体の賦形体 Download PDF

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Description

本発明は多孔性高分子金属錯体(多孔配位高分子(PCP:Porous Coordination Polymer)ともいう)の賦形体および触媒、ガス吸着材等としての利用ならびにこれを用いたガス分離装置およびガス貯蔵装置に関する。
多孔性高分子金属錯体は、金属イオンと有機配位子から得られる結晶性固体で、種々の金属イオン、有機配位子の組み合わせおよび骨格構造の多様性から、触媒やガス貯蔵、分離材料としての利用の可能性を秘めている。(特許文献1、非特許文献1参照)
多孔性高分子金属錯体は、通常、粉末または微粒子として得られる固体であって、吸着剤として用いることができる。工業的な利用を考えた場合、一般的に粉末は取扱いが困難である。粉末を触媒として用いる場合であれば、固体物質に担持した不均一触媒として調製する事で、反応後の生成物と触媒との分離を容易に行うことができる。
固体吸着材を用いてガス分離を行う典型的な方法として、圧力スイング吸着方式(Pressure Swing Adsorption)(以下、単に「PSAシステム」と略記する)が挙げられる。このシステムは、ガスの流通式システムであるため、このシステムに用いられる吸着材は、ガス流で飛散しないように、賦形化されている事が必須である。PSAシステムで用いられるガス貯蔵、分離材料として、既存のゼオライトが挙げられるが、これも通常、製造直後は微粉末であるため、多くの場合、1ミリ以上の顆粒、柱状物として賦形される。ゼオライトの賦形に際しては、バインダーを利用する方法、バインダーを利用しない方法のいずれもが知られている。バインダーを用いる場合は、糖類等が一般的に用いられている。
粉末等の賦形体を工業的に利用する場合、賦形体の崩壊、粉化が生じると、種々の不都合が生じる。触媒利用の場合は、反応生成物に触媒が混入する原因となる。PSAシステム場合は、配管の閉塞、電磁弁の動作不良が生じる。すなわち、賦形体は、使用時の形態維持性が重要である。ガス吸着用途として使用する場合は、賦形体内部へのガス拡散が妨げられることによるガス吸着能低下が生じないような賦形法である事も重要である。
賦形体の崩壊・粉化防止のためには高圧縮により賦形を行うこと、あるいは強固なバインダーを使用することが好ましいが、このようにして得られた賦形体は、ガス拡散が遅くなり、吸着・分離材料としては好ましくない。このため、ガス吸着材の賦形化は、賦形体の崩壊・粉化防止とガス拡散の遅延という、矛盾する特性を両立させる事が求められる。このためには、単なる粉末の圧縮による賦形化ではなく、賦形剤を用いる方法も知られているが、この場合であっても、使用時に賦形体の崩壊・粉化を起こさず、ガスの拡散を妨げず、ガス吸着材と相互作用してガス吸着材のガス吸着能を低下させない適切なバインダーを、適切量使用する事が求められる。多孔性高分子金属錯体もゼオライト同様、製造直後は微粉末であるため、PSAシステムで吸着材として利用するためにはゼオライトと同様、賦形化が必須であり、バインダー有りまたは無しで、顆粒や錠剤等に成形する方法が知られている。(特許文献2参照)
多孔性高分子金属錯体の賦形体を製造する方法としてポリスチレンオリゴマーとの複合体化(非特許文献2参照)が提案されている。但し、複合体の形態維持性、粉化に関しては情報が無い。
多孔性高分子金属錯体の一部には、ガスの吸脱着に伴い、多孔性高分子金属錯体の構造が変化する「柔軟性多孔性高分子金属錯体」が存在する。このような柔軟性多孔性高分子金属錯体の多くは、ガス吸着量が、圧力に対して非線形的に応答するゲート型の吸脱着を示す。
これらの柔軟性多孔性高分子金属錯体は、ガスの吸脱着に関して構造変化があるため、バインダーを使用しない賦形体または構造変化に追随できないバインダーを用いた賦形体は、ガス吸着の後に賦形体の崩壊、粉化が生じる。賦形体の崩壊、粉化が生じると、PSAシステムの配管、電磁弁等の閉塞、動作不良が生じるため、柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形化には、柔軟性を有する樹脂をバインダーとして使用する事が提案されている。(特許文献3、非特許文献3参照)
しかしこれらの樹脂は、多孔性材料ではなく、ガス透過率が低いため、ガスの吸着速度が低下するという問題がある。また、柔軟性樹脂と言っても、室温では硬質であり、多孔性高分子金属錯体の構造変化に追随仕切れず、結果として、柔軟性多孔性高分子金属錯体の構造変化が抑制され、ガス吸着量が低下する等の問題が生じやすい。実際、非特許文献3の記載内容では、賦形前のガス吸着量が300mL/gであり、賦形体のポリビニルアルコールの含有量が15%であることから、賦形体のガス吸着量は255mL/gあるべきであるが、観測値は200mL/gに過ぎず、賦形化により2割近く、ガス吸着性が低下していた。また、この文献の多孔性高分子金属錯体は柔軟性を有すると記載されているが、図4に示されている等温線はI型であった。これは、典型的な柔軟性多孔性高分子金属錯体が示す、ゲート型の等温線を示していないため、ゲート型の柔軟性多孔性高分子金属錯体として適用可能かどうかは不明である。また、ガス吸脱着後の形態維持性に関しても不明である。
本明細書にいうゲート型多孔性高分子金属錯体とは、ゲート型の等温線(ゲート現象)を示す材料である。ゲート型等温線とは、主として構造変化により、図1に示すような変曲点を示す吸着およびまたは脱着等温線を意味する。ゲート型多孔性高分子錯体の等温線は、図1に示すように、吸着開始ゲート圧力、吸着完了ゲート圧力、ゲート吸着量、脱着開始ゲート圧力、脱着完了ゲート圧力、ゲート脱着量で定義される。
また別の多孔性高分子金属錯体の賦形方法として、多孔性高分子金属錯体パルプとの複合体が知られている。
非特許文献4では、HKUST-1と呼ばれる多孔性高分子金属錯体とパルプの複合体が提案されているが、この複合体のガスの吸着性に関しては不明で有り、また形態維持性も不明である。
非特許文献5では、アセチル基による変性セルロースであるセルロース系材料と、MIL-53(Al)と呼ばれる柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体との複合体を用いて、天然ガス中の成分を除去する方法が提案されている。しかし、この複合体の等温線はゲート型の等温線を示していないため、ゲート型の柔軟性多孔性高分子金属錯体に適用可能かどうかは不明である。また、ガス吸脱着後の形態維持性も不明である。
さらにセルロース系材料と柔軟性多孔性高分子金属錯体との複合体を、ガス吸着用途として使用する場合、ガス拡散が速い賦形体を製造するための柔軟性多孔性高分子金属錯体の粒径とセルロース繊維の長さやアスペクト比との適切な関係は知られていない。またPSA用途の使用に際して崩壊・粉化を抑制するための柔軟性多孔性高分子金属錯体の粒径とパルプ繊維の適切な関係も知られていない。
また、柔軟性多孔性高分子金属錯体をガス吸着用途として利用するための適切なパルプを用いる複合体化方法は知られていない。特に柔軟性多孔性高分子金属錯体をガス吸着用途として利用するためのパルプを用いる複合体化方法も知られていない。
特開2000-109493号公報 特開2015-66512号公報 国際公開第2015/012373号
北川進(2001年).集積型金属錯体 講談社サイエンティフィク 214-218頁 Livingstonら、J. Am. Chem. Soc. (2013) 15201 Vosら, Microporous and mesoporous mater, (2009) 221 Kaskelら、 Advanced Engineering Materials (2009) 93 Jonesら、 ACS Applied Materials and Interfaces (2016) 9700
本発明は、賦形体の崩壊、粉化が起こりにくい柔軟性多孔性高分子金属錯体とパルプの複合体を提供する。また本発明は、ガス吸着材として優れた特性を有する、柔軟性多孔性高分子金属錯体とパルプの複合体を提供する。また本発明は、前記複合体を内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を併せて提供することを目的とする。
本発明者らは、前述のような問題点を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、適切なパルプを適切量、柔軟性多孔性高分子金属錯体と複合化させることで、賦形体の崩壊、粉化が生じにくい賦形体を製造出来る事を見いだし、本発明を完成するに到った。また、ガス吸着特性を低下させず、使用時に賦形体の崩壊・粉化が生じないパルプの特性と多孔性高分子金属錯体の特性の相関を明らかにすることで本発明に到った。
また、柔軟性多孔性高分子金属錯体のガス吸着特性を低下させず、使用時に賦形体の崩壊・粉化が生じないパルプの特性と多孔性高分子金属錯体の特性の相関を明らかにすることで本発明に到った。
かくして、本発明によれば、下記を提供する:
(1) 柔軟性多孔性高分子金属錯体およびバインダーとしてのパルプ繊維を含み、
前記パルプ繊維と前記柔軟性多孔性高分子金属錯体との質量比が、50:50~3:97であり、
前記パルプ繊維のアスペクト比が2以上240未満であり、
前記パルプ繊維の長さと柔軟性多孔性高分子金属錯体の粒径との比が0.3以上、120未満であることを特徴とする柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
(2) 前記柔軟性多孔性高分子金属錯体が、一次元鎖構造を有する多孔性高分子金属錯体、二次元ネットワークの積層型の多孔性高分子金属錯体、三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体から選ばれる(1)に記載の多孔性高分子金属錯体の賦形体。
(3) 前記一次元鎖構造を有する柔軟性多孔性高分子金属錯体が、式:[G(H)2(I)](式中、Gは遷移金属イオン、Hは第一配位子、Iは第二配位子である)、またはG2(J)3(L34(式中Gは遷移金属イオン、Jは配位子、Lは1価の対イオンである)である、(2)に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
(4) 前記二次元ネットワークの積層型の多孔性高分子金属錯体が、カゴメ型と総称される式:[GH](式中、Gは遷移金属イオン、Hは配位子を表す)、またはELMと総称される式:[GHX2](式中、Gは遷移金属イオン、Hは4,4-ビピリジル類、Xは1価の対イオンを表す)である、(2)に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
(5) 前記三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体が、MILやDUTと総称される多孔性高分子金属錯体である、(2)に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
(6) 前記柔軟性多孔性高分子金属錯体に含有される金属イオンが銅イオンである、(1)~(5)のいずれか1つに記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
(7) (1)~(6)のいずれか1つに記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体を含むガス吸着材。
(8) (7)に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
(9) (7)に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
本発明の多孔性高分子金属錯体とパルプの複合体である賦形体は、多量のガスを吸着し、放出し、且つガスの選択的分離を行うことができる。また本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体からなるガス吸着材料を用いて、内部に収容してなるガス貯蔵装置およびガス分離装置を製造することができる。また、多孔性高分子金属錯体とパルプの複合体は、安定な賦形体を形成するため、触媒反応に利用する事ができる。
また、本材料を用いて、加水分解、重合反応等を触媒する事ができる。また、本材料を用いて、あるいは本材料に導電材料をドープ(添加)してなる導電性材料を形成することができる。
さらにまた、本材料を用いて、あるいは本材料に導電材料をドープして、センサーを形成することができる。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体は、例えば、PSAシステムのガス分離装置として使用すれば、非常に効率良くガスを分離することができる。また、圧力変化に要する時間を短縮でき、省エネルギーにも寄与することができる。さらに、ガス分離装置の小型化にも寄与しうるため、高純度ガスを製品として販売する際のコスト競争力を高めることができることは勿論、自社工場内部で高純度ガスを用いる場合であっても、高純度ガスを必要とする設備に要するコストを削減でき、結局、最終製品の製造コストを削減する効果を有する。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体の他の用途としては、ガス貯蔵装置が挙げられる。本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体をガス貯蔵装置(業務用ガスタンク、民生用ガスタンク、車両用燃料タンクなど)に適用した場合には、搬送中や保存中の圧力を劇的に低減させることが可能である。搬送時や保存中のガス圧力を減少させ得ることに起因する効果としては、ガス貯蔵装置の形状自由度の向上がまず挙げられる。従来のガス貯蔵装置においては、保存中の圧力を維持しなくてはガス吸着量を高く維持できない。しかしながら、本発明のガス貯蔵装置においては、圧力を低下させても充分なガス吸着量を維持できる。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体からなるガス吸着材をガス分離装置やガス貯蔵装置に適用する場合における、容器形状や容器材質、ガスバルブの種類などに関しては、特別の装置を用いなくてもよく、従来、ガス分離装置やガス貯蔵装置に用いられているものを用いることが可能である。ただし、各種装置の改良を排除するものではなく、いかなる装置を用いたとしても、本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体を用いている限りにおいて、本発明の範囲に包含されるものである。
本発明に用いる多孔性高分子錯体の賦形体から成る吸着材の各ゲート圧力を表した図である。 優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料の分散状態の顕微鏡観察写真である。白く光っているのがパルプ繊維であり、その周辺の細かい粉状物が多孔性高分子金属錯体である。 優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料の分散状態の電子顕微鏡観察写真である。パルプが繊維形状を維持している。 吸着特性が低下するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料の分散状態の顕微鏡観察写真である。 優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の分散状態の顕微鏡観察写真である。 吸着特性が低下するパルプと多孔性高分子金属錯体の分散状態の顕微鏡観察写真である。パルプが短繊維化している。
本発明に用いる多孔性高分子金属錯体は、アルカリ土類金属、遷移金属等の金属イオンと、多座配位子からなる高分子金属錯体であって、二次元または三次元ネットワーク構造を有している。
本発明の柔軟性多孔性高分子金属錯体とは、ガス吸着、脱着に際し、構造が経変化する多孔性高分子金属錯体を意味する。構造の変化は、粉末X線回折測定等で確認する事ができる。
本発明に用いる柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体を含む吸着材は、図1に表す吸着等温線を示す。活性炭、ゼオライト等の既存材料およびほとんどの多孔性高分子錯体が、上に凸、または直線に近い吸着等温線を示すのに対し、ゲート型のガス吸着とは、一定のガス圧を超えたところで急激にガス吸着量が増加する現象および、脱着に関しては一定のガス圧以下で急激にガス吸着量が減少する現象である。これは、本発明の多孔性高分子金属錯体の構造に柔軟性があり、ガスの吸着によってよりガスを吸いやすい構造に構造が変化し(吸着の場合)、或いはガスを一定量放出することによりガスを吸いにくい構造に構造が変化し(脱着の場合)、この結果ガス吸着量が急激に変化する現象と考えられている。
柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体の例として、一次元鎖構造を有する多孔性高分子金属錯体、例えば、一次元鎖がかみ合い構造をしている多孔性高分子金属錯体を例示することできる。具体的には、北川らの、Angew, Chem. Int. Ed. (2003) 428に記載されている、式:[Cu(dhbc)2(4,4’-bpy)]H2Oで表される化合物1a、Rosseinskyらの、J. Am. Chem. Soc. (2001) 10001に記載の化合物Ni2(4,4’-bipyridine)3(NO34を例示することができる。本願発明では、かみ合い構造をしている多孔性高分子金属錯体を例示しているが、必ずしもかみ合い構造は必須ではない。1次元の鎖の間に、多数の水素結合などの結合が存在しない場合は、鎖間の相互作用が弱まり、多孔性高分子金属錯体が柔軟性を示す事が知られている。
柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体の例として、二次元ネットワークの積層型の多孔性高分子金属錯体を例示することができる。
二次元積層型の多孔性高分子金属錯体とは、多孔性高分子金属錯体のネットワーク構造が2次元層状構造を有しており、この構造がファンデルワールス力、水素結合等の弱い相互作用で積層する事で形成されている多孔性高分子金属錯体である。三次元型の柔軟性多孔性高分子金属錯体と比して、特定の方向(層間が広がる方向)にのみ体積膨張が生じるため、賦形体への負荷がかかりやすい。
具体的には、4,4’-ビピリジン(bpy)を配位子とする四角格子の積層体である、下式(X)で表されるELM(Elastic Layer-structured metal organic frameworks)類が例示できる。またELM類の一覧は、上代らの、Int. J. Mol. Sci. 2010, 3803に例示されている、ELM-11,ELM-12,ELM-12/3,ELM-13,ELM-22,ELM-31等が挙げられる。
[MA2B] (X)
(式中、Mは銅を含む遷移金属イオンであり、Aは対イオンを示し、Bはbpy類配位子である。)
また別の二次元ネットワークの積層型の柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体の例として、カゴメ型多孔性高分子金属錯体を例示することができる。
カゴメ型多孔性高分子金属錯体は、以下の式で表される
[DE]
(式中、Dは2価の遷移金属イオンであり、Eは置換または非置換のイソフタル酸イオンである)
カゴメ型多孔性高分子金属錯体は、例えば、以下の文献にて開示されている。
特開2012-228667号公報には、一般式:{M(OOC-R-COO}2
〔式中、MはCu2+、Zn2+、Ru2+、Rh2+、Mo2+、Cr2+から選択される2価の金属イオンであり、Rは2個のCOOH基がメタ位の位置関係にある2価の芳香族基を示す。〕で表される多孔性高分子金属錯体が記載されている。
Satoら、Science, (2014) 167には、銅イオンと、アジド基を置換基とするイソフタル酸イオンから構成されるカゴメ型と総称される多孔性高分子金属錯体が記載されている。
Zaworotkoら、 Chem. Commun. (2004) 2534には、銅イオンと、ベンジルオキシ基を置換基とするイソフタル酸イオンから構成される多孔性高分子金属錯体が記載されている。
Zaworotkoら、 Angew. Chem. Int. Ed. (2001), 2111には、亜鉛イオンまたは銅イオンとイソフタル酸から構成されるカゴメ型と総称される多孔性高分子金属錯体が記載されている。尚、pyで表記されているピリジンは、金属イオンに弱く配位しているだけであり、吸着測定の前処理で除去される為、ネットワーク構造は一般的なカゴメ構造と見なすことが出来る。
Zaworotkoら、 Cryst. Growth Des. (2003) 513には、銅イオンと、イソフタル酸イオンまたはエトキシ基を置換基とするイソフタル酸イオンから構成されるカゴメ型と総称される多孔性高分子金属錯体が記載されている。
特開2012-045533号公報には、一般式:[Cu2(ピリジン-3,5-ジカルボキシラート)2nで表されるカゴメ型と総称される多孔性高分子金属錯体が記載されている。
米国特許出願公開2002/120165号公報の[0022]には、図2に記載の配位子から合成される一般式:(MA)n(式中、Mは任意の金属、Aは二官能価のカルボキシラートを表す)で表されるカゴメ型と総称される多孔性高分子金属錯体が記載されている。
二次元ネットワークの積層型の例として、カゴメ型およびELMと総称される多孔性高分子金属錯体を例示したが、柔軟性を有する二次元ネットワークの積層型多孔性高分子金属錯体はこれらに限定される物では無い。例示された、カゴメ型およびELMの様に、層の間に、多数の水素結合などの結合が存在しない場合は、層間の相互作用が弱まり、多孔性高分子金属錯体が柔軟性を示す事が知られている。
また、柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体の例として、三次元ネットワークの積層型の多孔性高分子金属錯体が例示できる。
柔軟性を有する三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体の具体例としては、Fuchsら、Angew. Chem. Int. Ed. (2009), 8314等に記載のMILと通称される鉄やアルミニウム等の2価または3価の金属イオンとテレフタル酸類から合成される一群の多孔性高分子金属錯体が挙げられる。
また別の三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体の具体例は、以下の文献にて開示されている。Kaskelら、Phys. Chem. Chem. Phys. (2015) 17471に記載のDUTと総称されるニッケル等の2価遷移金属、ナフタレンジカルボン酸、1,8-ジアザビシクロオクタン(DABCO)等から合成されるNi2(2,6-ndc)2dabcoで表される、多孔性高分子金属錯体が挙げられる。また、北川ら、Chem. Soc. Rev. (2005) 109には、銅イオンと二価のカルボン酸であるpzdc、dpyg配位子から合成される、また銅イオンとピリジン型窒素を二個含有する配位子であるpymoから合成される、またはクロム(III)イオンとテレフタル酸であるBDC配位子から合成される、化合物番号9,10,11で表される多孔性高分子金属錯体が記載されている。北川ら、J. Solid State Chem. (2005) 2420には、[Cu2(pzdc)2(bpy)]で示される化合物名CPL-2で表される柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体が記載されている。
三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体の例として、MILおよびDUTと総称される多孔性高分子金属錯体を例示したが、柔軟性を有する三次元ネットワークの積層型多孔性高分子金属錯体はこれらに限定される物では無い。例示された、MILおよびDUTの様に、配位子がテレフタル酸の様にある程度の長さがある剛直な配位子で形成されているネットワークの場合、金属イオン周りの配位構造の角度が変化する事で、多孔性高分子金属錯体が柔軟性を示す事が知られている。
上記の柔軟性を有する多孔性高分子金属錯体は、ガスの吸脱着に際し、多孔性高分子金属錯体の格子構造が変化する特徴を有しているが、格子構造の変化の度合いと材料の体積変化の度合いの相関は一般に知られていない。しかし、ガスの吸脱着に伴う材料の体積変化およびその材料の体積変化の度合いは、KondoらNano Lett. (2006) 2581の図3に記載されているように、管に材料を詰めてガスを吸脱着させて、体積変化を実測することで測定できる。
本願発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体は、柔軟性多孔性高分子金属錯体のガス吸着脱着に際する体積膨張に追随できるパルプ繊維を用いる、多孔性高分子金属錯体とパルプ繊維との複合体である。パルプ繊維は以下に詳述するように、可撓性があるために体積膨張に追随することができる。しかし多孔性高分子金属錯体の体積膨張率が大きくなりすぎると追随不可能となる。このため、柔軟性多孔性高分子金属錯体のガス吸着脱着に際する体積膨張率は、0.01~250%であり、好ましくは、0.03~200%である。柔軟性多孔性高分子金属錯体特有のゲート型のガス吸着特性が明確であるという点で、さらに好ましくは、体積膨張率0.1~100%の範囲である。粉化防止が顕著で有り、材料の繰り返し吸着耐久性に優れるという点でさらに好ましくは0.4~75%である。
本明細書にいう柔軟性多孔性高分子金属錯体の体積膨張率とは、柔軟性多孔性高分子金属錯体がガスを吸着する前と、ガスを吸着した後の両者の体積比を意味する。体積膨張率は、ガス吸着装置の筒状の測定管に一定量の多孔性高分子金属錯体を充填し、この充填高さを測定しておき、この多孔性高分子金属錯体にガスを吸着させた後に、再度充填高さを測定し、それぞれの高さの比から体積膨張率を計算する事ができる。
本発明に用いるパルプ繊維とは植物繊維であり、木質パルプ、非木質パルプのいずれに由来するものであってもよい。例えば、リンターパルプや木材パルフ等のセルロース繊維、ケナフ、ジュート、竹なとの天然繊維が挙げられる。
原料として使用するパルプとしては、針葉樹由来のパルプ、広葉樹由来のパルプ、リンター由来のパルプ、非木材由来のパルプ等、いずれのパルプを用いることができ、特に限定されるものではない。非木材由来のパルプとは、ケナフ、稲わら、麦わら、竹、バガス(サトウキビバガス)、亜麻、三椏、楮、葦、マニラ麻、大麻などを公知の方法で蒸解して得られるパルプである。本発明に用いることができるパルプ繊維は、パルプ化の方法(蒸解法)によって、特に限定されるものではなく、クラフト蒸解法、サルファイト蒸解法、ソーダ・キノン蒸解法、オルガノソルブ蒸解法等によってパルプ化することができる。これらの中では、環境面の点から、クラフト蒸解法によるクラフトパルプが好ましい。
本発明に用いるパルプ繊維は、多孔性高分子金属錯体との親和性の観点から、多数の水酸基を含有している事が好ましい。ただし、親和性が高すぎる場合は、水酸基をアセチル基等で保護する事で、適切な親和性にする事で、賦形体の形態維持性、ガス吸着特性を向上させることが可能である。アセチル基等の保護基の導入量は、全水酸基の0~65%、好ましくは、0~40%である。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体は、多孔性高分子金属錯体とパルプ繊維が適切に複合化されている事が重要である。パルプ繊維が太すぎると剛直になり、多孔性高分子金属錯体粒子との複合化が起こりにくくなり、賦形体の崩壊、粉化が生じやすくなる。またパルプ繊維が細すぎる場合は、パルプ繊維が過剰に多孔性高分子金属錯体粒子表面を覆ってしまう為、露出している多孔性高分子金属錯体表面積が低下し、触媒能、ガス吸着特性等が低下する。また、パルプ繊維が柔軟性高分子の構造変化を妨げるため、ゲート現象が起こりにくくなる。このため、本発明で用いられるパルプ繊維のアスペクト比(繊維の太さと長さの比)は1以上720未満、特に好ましくは2以上240未満である。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体は、多孔性高分子金属錯体とパルプ繊維とが適切に複合化されている事が重要である。パルプ繊維が多孔性高分子金属錯体粒子に対して長すぎると、多孔性高分子金属錯体粒子との複合化が起こりにくくなり、賦形体の崩壊、粉化が生じやすくなる。また短かすぎる場合はパルプ繊維が過剰に多孔性高分子金属錯体粒子表面を覆ってしまう為、露出している多孔性高分子金属錯体表面積が低下し、触媒能、ガス吸着特性等が低下する。また、セルロースが柔軟性高分子の構造変化を妨げるため、ガス吸着特性が低下する。このため、本発明で用いられるパルプ繊維の長さと多孔性高分子金属錯体の粒径の比(繊維長/粒子径)は、好ましくは0.1以上、360未満である。特に好ましくは0.3以上、120未満である。本発明で用いられるパルプ繊維の長さは、50ミクロン以上、5ミリ以下である。
なお、パルプ繊維のアスペクト比、長さは、顕微鏡を使用してパルプ繊維5本以上について繊維長さ、繊維径を測定し、測定した繊維長さ、繊維径の個数平均を算出することにより求めることができる。
本願発明で使用されるPCPの平均粒径は、50nm~2mmであり、合成が容易という点でより好ましくは500nm~500μmである。使用するPCPの平均粒径が50nmよりも小さく、且つ2mmより大きい場合はパルプによる形態保持性が低下し、粉化しやすくなる。
PCPの粒径は、粒径に応じて、大きければ光学顕微鏡、小さければ走査型電子顕微鏡等で実測が可能である。粒径分布がある場合は、視野内の任意の粒子20個程度の粒径を測定し、その平均値を平均粒径とすることが出来る。
本発明では、パルプ繊維と多孔性高分子金属錯体とが適切に接触している事が重要である。このため、パルプ繊維のアスペクト比、パルプ繊維の長さと多孔性高分子金属錯体の粒径の比と共に、パルプ繊維と多孔性高分子金属錯体の混合比も重要である。パルプ量が少なすぎる場合は、多孔性高分子金属錯体粒子との複合化が起こりにくくなり、賦形体の崩壊、粉化が生じやすくなる。また多すぎるすぎる場合はパルプ繊維が過剰に多孔性高分子金属錯体粒子表面を覆ってしまう為、露出している多孔性高分子金属錯体表面積が低下し、触媒能、ガス吸着特性等が低下する。また、セルロースが柔軟性高分子の構造変化を妨げるため、ゲート現象が起こりにくくなる。このため、本発明で用いられるパルプ繊維と多孔性高分子金属錯体との質量比は、好ましくは35:65~3:97、特に好ましくは50:50~7:93である。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体に用いることができる、パルプ繊維の物性は、断面直径が5ミクロン~800ミクロンであることが好ましい。
本発明では、適切なアスペクト比、長さ、量のパルプ繊維が、適切な大きさ、量の多孔性高分子金属錯体と複合化されていればよく、賦形体の製造方法は特に限定されない。推奨される製造方法としては、パルプ繊維の粉末と多孔性高分子金属錯体の混合粉末の、打錠、押し出し、造粒等によって成形する方法、パルプ繊維と多孔性高分子金属錯体、溶媒とのスラリーを、打錠、押し出し、造粒、濾過、または塗布して、賦形した後、溶媒を乾燥させる方法が挙げられる。この際の溶媒としては、パルプと多孔性高分子金属錯体が十分に分散し、多孔性高分子金属錯体の特性を劣化させない溶媒であればよい。
また、パルプ繊維から成る成形体に、柔軟性多孔性高分子金属錯体の成分である金属イオン(または配位子)を前もって担持させておき、それに対して残成分の配位子(または金属イオン)を作用させて、本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体を製造することができる。パルプ繊維から成る成形体としては、多孔性高分子金属錯体の賦形体の用途に応じて、多種多様となることができるが、例えば、薄膜形態、フィルター用形態を挙げることができる。
図2は、優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料の分散状態の顕微鏡観察写真である。白く光っているのがパルプ繊維であり、その周辺の細かい粉状物が多孔性高分子金属錯体である。優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料は、パルプは適切な形状の繊維形状を有し、多孔性高分子金属錯体は適切な粒子径を有し、それぞれが一部で接触している事が重要である。これは一般的な光学顕微鏡観察により確認できる。
図3は、優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料の分散状態の電子顕微鏡観察写真である。パルプが繊維形状を維持している。また、優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料のそれぞれの形状、混合状態の詳細は、一般的な走査型電子鏡観察により確認できる。
図4は、吸着特性が低下するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料の分散状態の顕微鏡観察写真である。吸着特性が低下するパルプと多孔性高分子金属錯体の混合物では、パルプは適切な繊維形状を有しておらず、多孔性高分子金属錯体の粒子と渾然一体になっている。これは一般的な光学顕微鏡観察により確認できる。
図5は、優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の分散状態の顕微鏡観察写真である。優れた特性を発現するパルプと多孔性高分子金属錯体の賦形前の原料は、パルプは適切な形状の繊維形状を有し、多孔性高分子金属錯体は適切な粒子径を有し、それぞれが一部で接触している事が重要である。これは一般的な光学顕微鏡観察により確認できる。
図6は、吸着特性が低下するパルプと多孔性高分子金属錯体の分散状態の顕微鏡観察写真である。パルプが短繊維化している。吸着特性が低下するパルプと多孔性高分子金属錯体の混合物では、パルプは適切な繊維形状を有しておらず、多孔性高分子金属錯体の粒子と渾然一体になっている。これは詳細には一般的な走査型電子顕微鏡観察により確認できる。
パルプ繊維を分散させる際に用いる分散装置(解繊装置)としては、種々のものを使用することができる。具体的には、例えば、ボールミル、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー、二軸混練り装置、石臼、家庭用ミキサー、一般的なシェーカー等の解繊装置を用いることができる。これらのほかにも、工業生産用や家庭用に汎用的に用いられる解繊装置を用いることもできる。
本願発明の賦形体は、パルプ繊維に対し、多孔性高分子金属錯体の粒子が一部接触していれば良い。一部とは、多孔性高分子金属錯体の粒子50個中1個以上が1点以上、パルプ繊維と接触していることを意味する。パルプ繊維は、いわば、かごの様に多孔性高分子金属錯体の粒子を包み込むことで多孔性高分子金属錯体が粉化するのを防止するため、必ずしも多孔性高分子金属錯体の粒子が全てパルプ繊維に接している必要は無い。高分子金属錯体粒子に対し、パルプ繊維の一部が接触するだけであり、金属錯体粒子の大部分は接触しておらず、このため、ガスの透過性に優れ、高いガス吸着能が得られる。またパルプ繊維が折れ曲がった状態で賦形体を形成しているために、多孔性高分子金属錯体がガス吸着に伴い変形を起こしても、パルプ繊維が伸びる(変形する)ことで、多孔性高分子金属錯体の変形を阻害しないため、優れたゲート型のガス吸着特性が得られる。
通常、バインダーを用いないで行う賦形は、圧力により粒子同士を結合させることで賦形を行う方法である。しかし、この方法では、多孔性高分子金属錯体粒子表面が、接触、結合するために、粒子表面が減少し、触媒、ガス吸着材としての機能低下が生じやすい。また柔軟性多孔性高分子金属錯体の場合は、ガスの吸着脱着に際して構造が変化するため、粒子の結合部にストレスがかかり、容易に賦形体が崩壊しやすいという欠点がある。一般的なバインダーを用いた場合も、ガスの吸着用途に用いる場合は、バインダーが糖類であれ、樹脂であれ、ガス透過性が低いためガス吸着性の低下が起こりやすい。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体では、適切な長さ、アスペクト比を有し、多孔性高分子金属錯体粒子との適切な大きさの比率を有するパルプ繊維を用いた場合に、優れた賦形性および形態保持性の両立が出来る。形態保持性の為には、一般的にはバインダーと吸着剤粒子の接触面、接触点を増やす必要がある。多孔性高分子金属錯体は、金属イオンと配位子からなる錯体で、イオン性を有する材料であるため、多孔性高分子金属錯体の粒子同士の間にも適度なイオン性の相互作用が生じると考えられる。このため、多孔性高分子金属錯体と、バインダーであるパルプ繊維との接触面、接触点は少なくてよく、前記のような適切な長さ、アスペクト比を有し、多孔性高分子金属錯体粒子との適切な大きさの比率を有するパルプ繊維が優れた形態維持性を示す。またこのように、過度の多孔性高分子金属錯体とバインダーの接触面、接触点がない賦形体は、バインダーが多孔性高分子金属錯体の表面を被覆することに寄るガス吸着性の低下を起こしにくい。
また賦形体に際して、吸着材料の体積変化を生じる柔軟性多孔性高分子金属錯体の場合は、バインダーと柔軟性多孔性高分子金属錯体の結合部にストレスがかかり、容易に賦形体が崩壊しやすいという欠点がある。バインダーと柔軟性多孔性高分子金属錯体の結合力を強くするために、強い力で圧縮、または柔軟性多孔性高分子金属錯体との結合力が強いバインダーを用いた場合には、柔軟性多孔性高分子金属錯体の変形が阻害されるために、賦形体のガス吸着能の低下が起こりやすい。柔軟性樹脂を用いた賦形であっても、柔軟性樹脂は多孔体ではないため、ガス透過性が低いためガス吸着性の低下が起こりやすい。また、柔軟性多孔性高分子金属錯体のガス吸脱着時の変形は、ミリ秒単位で生じるもので有り、柔軟性樹脂といっても、この速度での変形を阻害しないような柔軟性は有していない。
本発明の多孔性高分子金属錯体の賦形体において、バインダーとしてパルプ繊維を用いる機能発現メカニズムは、次の様にかんがえられるが、ただしこれは推定であり、本発明はこれに限定される物では無い。本発明の、パルプ繊維による賦形体では、パルプ繊維に含まれている水酸基と多孔性高分子金属錯体の金属イオンまたは配位子の極性部の弱い水素結合で、パルプ繊維と多孔性高分子金属錯体間の弱い結合が形成されている。またパルプ繊維自体には延性はないものの、剛直ではなく、通常、繊維が折れ曲がった状態で存在しているため、適切なアスペクト比のパルプ繊維を用いる事で、繊維自体の柔軟性が存在し、また適切な繊維長/粒子径の条件下で賦形を行う事で、柔軟性多孔性高分子金属錯体の変形が生じても、パルプ繊維の変形(主として折れ曲がりの伸び等)が生じるために、柔軟性多孔性高分子金属錯体の変形を阻害することが無い。このため、ガスの吸着性が低下することも無ければ、賦形体の崩壊、粉化が生じることも少ない。また、パルプ繊維は、多孔性高分子金属錯体粒子の一部分と相互作用を有して、繊維の間に多孔性高分子金属錯体粒子を保持しているに過ぎないため、またパルプ繊維自体は存在している密度が低い事から、繊維間の空隙率が高く、多孔性高分子金属錯体へのガスや触媒基質のアクセスを妨げる事が無いと考えられる。したがって、ガス吸着用途や触媒用途に好適に使用出来る。
実施例1~10(但し、6および7は参考例)
富士里和製紙株式会社製Petite Marianダブル、トイレットペーパー、3.0g、水200mL,ジルコニアボール600gを容器に入れ、Fritsch社製ボールミル(型番=F-3-2-58)にて、回転数2.25rpmで、15分粉砕し、パルプスラリーを調製した。
柔軟性多孔性高分子金属錯体として、東京化成工業株式会社から市販されているELM-11(市販品はpre-ELM-11:[Cu(bpy)(BF4)2(H2O)2]bpyであるがELM-11の等価体)またはNano Lett. (2006) 2581に記載の方法で調製したELM-11を上記パルプスラリーに添加し、手で3分間震盪し混合した。この混合スラリーを、5C濾紙を用いて吸引濾過し、フィルター上の固体がウエットな状態で取り出し、手で直径約3ミリの球状物の賦形体に調製した。
パルプ繊維のアスペクト比、パルプ繊維の長さは、スラリーの調製時間とジルコニアボールの大きさと量を調節することで制御した。パルプ繊維の長さと柔軟性多孔性高分子金属錯体の粒径との比、多孔性高分子金属錯体粒子の大きさを、多孔性高分子金属錯体粒子の合成法、特に、反応時間を制御することで調整した。
体積膨張率は、種々の方法で測定可能である。たとえば、賦形体であれば、吸着測定管に賦形体を入れ、サンプルに合わせた温度で吸着前処理を行い、その後、吸着装置に測定管を装填し、その状態で管の外から大きさを測定し、これを元の大きさとする。次いで所定温度でガスを所定圧まで導入し、賦形体の大きさを測定し、元の大きさと比較する事で、体積膨張率は測定可能である。
また、サンプルが粉末の場合は、測定管等にサンプルを装填して、膨張率を測定する事が可能である。本願発明では、マイクロトラックベル社のNSD用ミニ試料管(内径7mm)に粉末サンプルを装填し、サンプルに合わせた温度で吸着前処理を行い、その後、サンプルの高さが変わらなくなるまでゴム管で軽くたたき、サンプル充填密度を上げ、これを基準高さとする。次いで吸着装置に装填し、所定温度でガスを所定圧まで導入し、サンプルの高さを測定し、この高さを基準高さと比較する事で体積膨張率を算出した。
多孔性高分子金属錯体(PCP)の粒径、パルプ繊維の形状の確認は、それぞれの大きさに応じて、一般的な光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡で確認した。走査型電子顕微鏡は、事前にカーボン等でコーティングすることで鮮明な像を得ることができた。走査型電子顕微鏡としてJEOL社製FE-SEM、JSM-6500Fを使用し、加速電圧5kVで観察した。
得られた球状物約100mgを、マイクロトラックベル製、ベルソープミニIIの測定管に装填し、110℃で6時間、減圧加熱処理をおこなった。その後、マイクロトラックベル製ベルソープミニIIにて所定温度、所定ガスでのガス吸着特性評価を行った。測定後、測定管内のサンプルを取り出し、賦形体の形態維持性、粉化の評価を行った。
実施例11(参考例)
美濃桜製紙(株)アーバン100mソフトトイレットペーパーを使用し、実施例1-10と同様に、ELM-11とパルプの複合体を調製し、評価した。
実施例12~14
佐藤ら、Science (2014) 167に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体A、北川ら、Angew. Chem. Int. Ed.(2003) 428の化合物1aである柔軟性多孔性高分子金属錯体B、Kaskelら、Phys. Chem. Chem. Phys. (2015) 17471に記載のDUT-8(Ni)をそれぞれ、各文献記載の方法で調製した。これらの柔軟性多孔性高分子金属錯体を使用した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを調製し、評価した。
比較例1~6
パルプ繊維のアスペクト比、パルプ繊維と柔軟性多孔性高分子金属錯体との質量比、パルプ繊維の長さと柔軟性多孔性高分子金属錯体の粒径との比を変えた以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを調製し、評価した。
ボールミルを用いた粉砕としては、容器にパルプ源,溶媒、ジルコニアボール10φを加え、蓋をして固定し、Fritsch社型番=F-3-2-58を用いて、所定時間粉砕した。
比較例7
国際公開第2015/012373号(特許文献1)の実施例2に記載の樹脂と、東京化成工業株式会社から市販されているELM-11(市販品はpre-ELM-11だがELM-11の等価体)を20:80の質量比で混合し、10ミリ径のペレット製造用の杵に装填し、5N/cm2で1分間加圧することでペレットを製造した。このペレットを用いて、ガス吸着特性他の特性評価を行った。
賦形体の形態維持性の評価
多孔性高分子金属錯体のガス吸着特性を、市販のガス吸着装置を用いて測定した。ガス吸着に用いた多孔性高分子金属錯体賦形体の形態維持性は、5回吸脱着を繰り返した後の複数の賦形体を目視で確認し、以下の基準で評価を行った。
ほとんどの賦形体の形態が変化していない物を◎、
賦形体の一部にわずかだが変形や割れが生じているものを○、
多くの賦形体にわずかだが変形や割れが生じているものを△、
ほとんど原型を止める賦形体が存在しない物を×と評価した。
賦形体の粉化の評価
賦形体の粉化は、上記の5回吸脱着を繰り返した後の賦形体を、篩により賦形体と粉を分離して、賦形体/粉の質量比を測定して、評価した。
賦形体/粉の質量比が30以上の場合を◎、
20以上、30未満の場合を○、
10以上、20未満の場合を△、10未満を×とした。
篩は(株)野中理化器製作所製、目開き=300μm、線径200μmを使用した。
ガス吸着特性の評価
ガス吸着特性は、以下の式を用いて賦形前後の吸着量の比を計算し、80以上を○、40以上80未満を△、40未満を×と評価した。賦形後のガス吸着量は、賦形体に含まれている多孔性高分子金属錯体の質量に換算した値である。
(賦形後のガス吸着量)×100/(賦形前のガス吸着量)
ガス吸着速度は、一定量のサンプルを吸着測定管に装填し、適切な温度で前処理して含有する水分等を除去した後、このサンプル管をマイクロトラックベル社のガス吸着装置、ベルソープミニIIに取り付け、一旦系を廃棄した後、約2秒で吸着ガスを導入した後バルブを閉じ、ガス圧の低下が一定値に落ち着くまでの時間で評価した。
ガス吸着速度が、賦形前のガス吸着速度の70%以上である場合を○、40%以上、70%未満の場合を△、40%未満の場合を×と評価した。
実施例、比較例で用いた、柔軟性多孔性高分子金属錯体およびパルプ繊維の諸元と、評価結果を、表1,2に示す。

Figure 0007229654000001
Figure 0007229654000002

Claims (9)

  1. 柔軟性多孔性高分子金属錯体およびバインダーとしてのパルプ繊維を含み、
    前記パルプ繊維と前記柔軟性多孔性高分子金属錯体との質量比が、50:50~3:97であり、
    前記パルプ繊維の平均アスペクト比が2以上240未満であり、
    前記パルプ繊維の平均長さと柔軟性多孔性高分子金属錯体の平均粒径との比が0.3以上、120未満であることを特徴とする柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
  2. 前記柔軟性多孔性高分子金属錯体が、一次元鎖構造を有する多孔性高分子金属錯体、二次元ネットワークの積層型の多孔性高分子金属錯体、三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体から選ばれる請求項1に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
  3. 前記一次元鎖構造を有する多孔性高分子金属錯体が、式:[G(H)2(I)](式中、Gは遷移金属イオン、Hは第一配位子、Iは第二配位子である)、またはG2(J)3(L3)4(式中Gは遷移金属イオン、Jは配位子、Lは1価の対イオンである)である、請求項2に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
  4. 前記二次元ネットワークの積層型の多孔性高分子金属錯体が、カゴメ型と総称される式:[GH](式中、Gは遷移金属イオン、Hは配位子を表す)、またはELMと総称される式:[GHX2](式中、Gは遷移金属イオン、Hは4,4-ビピリジル類、Xは1価の対イオンを表す)である、請求項2に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
  5. 前記三次元ネットワークの多孔性高分子金属錯体が、MILやDUTと総称される多孔性高分子金属錯体である、請求項2に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
  6. 前記柔軟性多孔性高分子金属錯体に含有される金属イオンが銅イオンである、請求項1~5のいずれか1項に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の柔軟性多孔性高分子金属錯体の賦形体を含むガス吸着材。
  8. 請求項7に記載のガス吸着材を用いるガス分離装置。
  9. 請求項7に記載のガス吸着材を用いるガス貯蔵装置。
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