JP7227579B2 - 人工弁尖用器具、並びに、人工弁尖及び弁付人工血管の製造方法 - Google Patents

人工弁尖用器具、並びに、人工弁尖及び弁付人工血管の製造方法 Download PDF

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本発明は、人工弁尖を血管内に縫合する弁形成術時や弁付人工血管の製造時等に用いる人工弁尖用器具に関し、また、当該人工弁尖用器具を用いた人工弁尖及び弁付人工血管の製造方法に関する。
ヒトの心臓弁のうち、大動脈弁は、相互に接離可能に動作する三枚の薄い半月状のポケット弁尖からなり、心収縮サイクルにおける圧勾配の変化によって開閉する。
ここで、大動脈弁の弁尖の動きが不十分となる大動脈弁膜症として、大動脈弁狭窄症及び大動脈弁閉鎖不全症がある。
前記大動脈弁狭窄症は、加齢等に伴い動脈硬化が進行すると、カルシウムの沈着による石灰化で弁尖が硬化し、大動脈弁に開放制限が生じる疾患である。当該大動脈弁狭窄症を発症すると、大動脈弁を通過する際に圧損失が生じ、その前後で圧較差をもたらす。これにより、失神状態を引き起こす脳虚血や、胸痛等を引き起こす心筋虚血等の虚血症状を招来する虞がある。更に、大動脈弁狭窄症では、前述の圧較差による大動脈圧の低下により、大動脈弁の上流側の左心室内圧が過剰に上昇し、左心室壁の求心性肥厚が増大する左心室肥大をもたらす虞もある。左心室肥大は、心筋の酸素需要を増加させるため、大動脈弁狭窄症の心筋は、酸素供給の低下、酸素需要の上昇の両面から常に虚血の危機に晒されている。
また、前記大動脈弁閉鎖不全症では、弁尖や近位大動脈の異常等によって大動脈弁の閉鎖障害が生じ、心臓の拡張期に大動脈から左心室への血液の逆流が生じる。この逆流血による左心室容量の増加により、左心室拡大が進行し、拍出効率の低下により心臓が疲弊して心不全に至る。
以上の大動脈弁膜症に対する最も標準的な治療として、患者の大動脈弁を人工弁に置き換える人工弁置換術がある。ここでの人工弁としては、カーボングラファイト等の工業材料を利用した機械弁と、ウシやブタの生体組織を利用した異種生体弁が知られている。いすれの人工弁を使用する場合にも、一長一短があり、様々な状況に応じて使用が選択されるが、人工弁置換術以外の治療を検討すべき症例も存在する。例えば、最小サイズの生体弁を植え込むことができない小柄な高齢者、至適サイズの人工弁を選択できるまでのブリッジ治療が必要な幼児、挙児希望のある若年女性等に対しては、自己の大動脈弁を修復する大動脈弁形成術を選択するケースとなり得る。しかしながら、当該症例では自己の大動脈弁を温存できないことが多く、自己生体膜を使用した大動脈弁再建による大動脈弁形成術が選択肢の一つとなり得る。自己生体膜での大動脈弁形成術は、機械弁の置換時のときのように抗凝固薬の服用を必要とせず、人工弁と比べて感染性心内膜炎のリスクが極めて低く、免疫学的観点から自己組織との癒着も起こしにくいと考えられ、将来的に弁置換術を計画している症例では、再手術時の手術侵襲を軽減することができる。
そこで、特許文献1等には、自己生体膜を使用した大動脈弁形成術として、専用のサイザーとテンプレートを用いた自己心膜による弁尖再建術が開示されている。当該弁尖再建術は、自己弁尖を切除した後に、各弁尖の弁輪径を専用のサイザーで計測し、弁輪径に対応したテンプレートを用いて心膜から作製した心膜弁尖を本来の自己弁輪部に縫合する。
特開2009-77838号公報
しかしながら、実際の大動脈弁の構造は三次元的に複雑であり、前記特許文献1に開示された弁尖再建術では、二次元的なテンプレートによる平面状の心膜弁尖しか作製できず、生理的な弁構造を再現することが極めて困難である。つまり、実際の弁動作において、平面状の自己心膜弁尖が三次元的に繰り返し変形することにより、異常な血行力学的ストレスがかかり、弁尖の石灰化や偏位を促進し、弁の耐久性を低下させる。更に、実際の大動脈弁の三次元的形態は、患者の上行大動脈径や大動脈基部の形状、サイズ等の複数のパラメータによって変化し、逆流を防止し十分な有効弁開口面積を確保して、正常な血行動態を維持するために必要な弁尖同士の接合長を弁輪径のみで画一的に決定することは不可能である。つまり、自己生体膜を用いた大動脈弁再建術が、異種生体弁置換術に劣らない有効性と耐久性を得るには、弁逆流を生じることなく必要十分な有効弁口面積を確保できる弁尖接合長を有し、且つ、実際と同様の挙動状態を再現して血行力学的ストレスの少ない大動脈弁を作製する必要がある。そこで、本発明者らの実験研究によれば、所定の立体形状を有する人工弁尖を用いて大動脈内の所定位置に縫合すると、有効な前記弁尖接合長の調整が可能となり、しかも、実際の弁挙動に近く、弁尖に対する血行力学的ストレスの少ない弁開閉状態が得られることを知見した。
本発明は、このような知見に基づいて案出されたものであり、その目的は、弁尖に対する血行力学的ストレスを少なくし、実際の弁挙動をより忠実に再現可能にするために用いられる人工弁尖用器具、並びに、これを用いた人工弁尖及び弁付人工血管の製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明は、人工的な形状をなす人工弁尖を作製し、血管の内壁に取り付けるための人工弁尖用器具において、前記人工弁尖の形状に対応した面部分を有し、当該面部分に所定の膜体を当接した状態で、前記面部分の形成縁に沿って前記膜体を切除することで、前記人工弁尖を形成可能に構成された弁尖形成用型を備え、前記弁尖形成用型は、頂部の周囲に湾曲面を有する三次元状の山型をなし、前記血管の内壁に取り付けられた複数の前記人工弁尖同士が弁閉鎖時に接合する部位に対応する接合長領域を前記面部分に含む、という構成を採っている。
また、本発明は、人工的な形状をなす人工弁尖を作製し、血管の内壁に取り付けるための人工弁尖用器具において、前記人工弁尖を前記内壁の所望の位置に固定する際のガイドとして機能する弁尖取付用ガイドを備え、前記弁尖取付用ガイドは、血管内壁のサイジングを行える形状をなすベースと、当該ベースの外縁側の複数箇所から起立する起立壁とを備え、前記各起立壁の間には、前記人工弁尖の下部領域にほぼ相当する形状をなす空間が形成される、という構成を採っている。
また、本発明は、人工弁尖の形状に対応する面部分を含む弁尖形成用型を用い、所定の膜体を前記面部分に当接した状態で、その形成縁に沿って前記膜体を切除することで前記人工弁尖を形成する人工弁尖の製造方法であって、前記弁尖形成用型として、頂部の周囲に湾曲面を有する三次元状の山型をなし、複数の前記人工弁尖が血管の内壁に取り付けられたときに、当該人工弁尖同士が弁閉鎖時に接合する部位に対応する接合長領域が前記面部分に含まれるものが用いられる、という手法を採っている。
更に、本発明は、血管に相当する筒状体の内壁の所望の位置に複数の人工弁尖を取り付ける際のガイドとして機能する弁尖取付用ガイドを含む人工弁尖用器具を用いて、弁付人工血管を製造する方法であって、前記弁尖取付用ガイドとして、円盤状をなすベースと、当該ベースの外縁側の複数箇所から起立するとともに、前記人工弁尖の下部領域にほぼ相当する形状をなす空間が形成される起立壁とを有するものが用いられ、前記筒状体の内部に前記弁尖取付用ガイドを挿入した後、前記空間内に前記人工弁尖の下部領域を配置した状態で、前記筒状体の内壁に前記各人工弁尖の下部領域の周縁側を固定するとともに、隣り合う前記人工弁尖の周縁における前記下部領域を除く一部分同士を接合して固定することで、前記弁付人工血管を作製する、という手法を採っている。
なお、本特許請求の範囲及び本明細書において、位置若しくは方向を示す用語である「上」、「下」、「左」、「右」とは、特に明記しない限り、図2の姿勢における「上」、「下」、「左」、「右」を意味する。
本発明の人工弁尖用器具を用いることにより、自己生体膜等によって新たな立体形状を有する人工弁尖が作製可能となり、当該人工弁尖を血管内の所定の位置に取り付けることで、弁尖に対する血行力学的ストレスを少なくし、実際の弁挙動がより忠実に再現可能になる。つまり、本発明の弁尖形成用型によって作製された人工弁尖は、平面状でなく、複数の人工弁尖同士が弁閉鎖時に接合する部位が立体形成されるため、平面状の人工弁尖を血管内に取り付けた場合に比べ、弁の開閉動作時における人工弁尖の所定部位に対する応力集中を抑制でき、実際の心臓弁として人工弁尖を使用したときの耐久性を高めることが期待できる。
また、弁尖形成用型に接合長領域が設けられることにより、弁閉鎖時に他の人工弁尖に対して接合する領域が人工弁尖の形成時に特定される。従って、当該弁尖形成用型として、接合長領域の長さの異なる複数のバリエーションのものを用意することにより、弁逆流を生じることなく、体格に比して必要十分な弁口面積を確保できる最小の前記弁尖接合長である至適弁尖接合長を術中に評価して、その値に対応した人工弁尖を適宜作製することができる。
更に、自己生体膜を用いた大動脈弁形成術が適応され得る疾患群には、弁尖形状に異常を有する大動脈弁奇形(大動脈弁二尖弁や一尖弁等)があり、これらは、時として冠動脈起始部異常を合併する。このような症例に対して大動脈弁形成術を行うには、自己の大動脈弁の切除前における自己弁輪部に拘らない新たな弁輪線の作製が必要となるが、本発明に係る弁尖取付用ガイドを用いることにより、このような新たな弁輪線を容易に作製可能となる。
本実施形態に係る人工弁尖用器具の概略斜視図である。 前記人工弁尖用器具の概略正面図である。 (A)、(B)は、円柱モデルを使った弁尖形成用型の形成手順を説明するための概念図である。 弁尖取付用ガイドの図1中A-A線に沿う方向の概略断面図である。 (A)は、提灯型モデルを使った弁尖形成用型の形成手順を説明するための概念図であり、(B)は、(A)の提灯型モデルを使って得られた弁尖形成用型の概略正面図であり、(C)は、(B)の弁尖形成用型に対応する弁尖取付用ガイドの概略斜視図である。 (A)は、変形例に係る弁尖取付用ガイドの概略分解断面図であり、(B)は、(A)の弁尖取付用ガイドを用いて人工血管を作製する手順を説明するための概略断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1には、本実施形態に係る人工弁尖用器具の概略斜視図が示されており、図2には、前記人工弁尖用器具の概略正面図が示されている。これらの図において、本実施形態における人工弁尖用器具10は、大動脈弁膜症の患者に対し、自己の大動脈弁を温存せずに、所定の膜体を使って大動脈弁を再建する大動脈弁形成術時に用いられる医療機器である。
この人工弁尖用器具10は、前記膜体から人工弁尖を形成するための弁尖形成用型11と、弁尖形成用型11で形成された人工弁尖の所定部分を大動脈基部内の所望位置に縫合固定する際のガイドとして機能する弁尖取付用ガイド12とからなる。
つまり、この人工弁尖用器具10は、大動脈弁形成術時において次のように用いられる。先ず、弁尖形成用型11により3枚の人工弁尖が形成され、弁尖取付用ガイド12を用いて大動脈基部の内壁の至適縫合ラインを特定し、当該至適縫合ラインに沿って、これら人工弁尖を大動脈基部に縫合することで人工弁尖が大動脈基部に固定される。
前記弁尖形成用型11は、頂部Tの周囲に湾曲面を有する三次元状の山型からなる立体形状に設けられている。この弁尖形成用型11は、所定の膜体を表裏何れかの面部分に被覆して当接した状態で、弁尖形成用型11の形成縁14に沿って前記膜体を切除(トリミング)することで、前記立体形状にほぼ一致する人工弁尖を形成可能に構成されている。
なお、前記膜体として、患者自身の心膜等の自己生体膜が想定される他、患者に対する生体適合性を有する限りにおいて、ウシやブタ等から得られる生体由来の膜様組織や人工材料等からなる膜体から、弁尖形成用型11を用いて人工弁尖を形成することも可能である。
前記形成縁14は、図2に示されるように、正面視において左右対称となるように形成されており、左右両側に位置してそれぞれほぼ上下方向に直線状に延びる第1の部分14Aと、これら第1の部分14A,14Aの各上端間に連なる第2の部分14Bと、第1の部分14A,14Aの各下端間に連なる第3の部分14Cとからなる。
前記第1の部分14Aは、前記トリミング後の人工弁尖が、大動脈基部内で隣り合う人工弁尖同士が縫合される交連接合部となるように形成される。
前記第2の部分14Bは、第1の部分14A,14Aの各上端から左右方向の中央部分Cに向かって、それぞれやや下向きに傾斜しながら延びる直線部分を含み、これら直線部分が交わる中央部分Cに円弧状のフィレットが形成されている。この第2の部分14Bは、前記トリミング後の人工弁尖が、大動脈基部内で縫合されずに、血管の内径を変化させる方向に変位可能な自由縁となるように形成される。
前記第3の部分14Cは、第1の部分14A,14Aの下端側から下方に尖るように湾曲する放物線状に近似する曲線からなる。この第3の部分14Cは、前記トリミング後の人工弁尖が、大動脈基部の内壁に縫合される弁輪形成縁となるように形成される。
以上の構成の弁尖形成用型11は、次のようにして形成される。
先ず、図3(A)に示されるように、想定される弁輪径(大動脈基部の内径)を直径とし、所望の人工弁尖の上下方向の長さに相当する高さの円柱モデルM1を設定し、当該円柱モデルM1を用いて前記形成縁14が特定される。具体的には、円柱モデルM1の表面上の二箇所に、図3(A)中上端部分から下方に延びる直線状の第1の描線D1を配置する。この第1の描線D1は、前記第1の部分14Aに対応し、その長さ(高さ)は、形成された人工弁尖同士の交連接合部における長さに相当する。つまり、当該長さが所望値となるように、第1の描線D1の長さが設定される。各第1の描線D1の間隔は、所望の交連配置角α(例えば、120度)に設定される。
また、円柱モデルM1の図3(A)中上端面における外周縁よりも中心寄りの地点から、所定距離下方に移動した地点を前記中央部分Cとし、前記各第1の描線D1,D1の図3(A)中上端から中央部分Cまで直線状の第2の描線D2で結び、当該中央部分Cにフィレットを形成する。この第2の描線D2は、前記第2の部分14Bに対応し、前記各第1の描線D1の上端の高さと中央部分Cの高さの差は、得られた人工弁尖の自由縁の高さに相当する。つまり、所望の自由縁の高さが得られるように、前記所定距離が設定される。
そして、図3(B)に示されるように、基になる直線Sを円柱モデルM1上で左右両方向に投影し、任意の曲線からなる第3の描線D3を設定し、各第1の描線D1,D1の同図中下端に接続する。この第3の描線D3は、前記第3の部分14Cに対応する。
その後、第2の描線D2の中央部分Cと、第3の描線D3における図3(B)下端の尖頭部分との間に、同図中上下方向に延びるガイドカーブが第4の描線D4として設定される。この第4の描線D4は、第1の描線D1の反対側に膨出する曲線状をなし、大動脈基部に縫合された3枚の人工弁尖の閉鎖時の接合部分を考慮して設定される。
更に、以上で設定された第1~第4の描線D1~D4を含む湾曲面が特定され、当該湾曲面に所望の厚みを設定した立体形状が特定される。そして、特に限定されるものではないが、所定の樹脂を材料として3Dプリンター等により、当該立体形状を有する弁尖形成用型11が造形される。
このようにして得られた弁尖形成用型11の面部分は、頂部Tから上下方向に延びる山の稜線のような中央領域が形成され、当該中央領域から左右両端側に向かって、図2中紙面直交方向の高さが徐々に減少する湾曲面となる。ここで、前記中央領域における頂部Tから中央部分Cまでの部分が、3枚の人工弁尖が大動脈基部に縫合された状態での弁閉鎖時における各人工弁尖の接合線(弁尖接合線)に対応し、その長さを弁尖接合長とする接合長領域Lとなる。この接合長領域Lは、予め獲得した様々な知見等に基づいて、弁逆流を生じることなく有効弁口面積が得られる人工弁尖が得られる長さに設定される。従って、弁尖形成用型11としては、各患者に対応可能に、接合長領域Lの長さを始めとした各種サイズの異なる複数種のものが用意される。
前記弁尖形成用型11で作製された人工弁尖は、前述したように、大動脈基部内で隣り合う人工弁尖同士が縫合される交連接合部と、血管の内径を変化させる方向に変位可能となる自由縁と、大動脈基部の内壁に縫合される弁輪形成縁と、弁尖形成用型11の頂部Tから中央部分Cまでの間に形成され、弁閉鎖時に各人工弁尖が接合して血液の流通を阻止する弁尖接合線とを備えた山型の三次元立体形状となる。
前記弁尖取付用ガイド12は、特に限定されるものではないが、所定の樹脂により、図1及び図2に示されるように、王冠に近似する形状に形成される。この弁尖取付用ガイド12は、円盤状のベース17と、当該ベース17の外周縁側から上方に起立する起立壁18と、ベース17の中心部に着脱自在に設けられ、当該中心部から起立壁18の内側の空間を通るように上方に延びる把持部材としての把持棒19とを備えている。
前記ベース17には、図4にも示されるように、その中心部に把持棒19が着脱自在に挿入される凹部21と、外周縁からやや内側に向かって延びる溝部22とが設けられている。この溝部22は、図1に示されるように、ベース17の上面側及び外周縁側の部分が共に外側に開放しており、後述するマーキングの際に用いられる。
前記起立壁18は、円筒面の表面をほぼ三角状に切断した同一形状の湾曲面が、ベースの外周縁に沿って等間隔となる3箇所に配置されてなる。この起立壁18の外縁部分は、ベース17に連なる下縁部18Aと、下縁部18Aにおける周方向両端縁からそれぞれ上方に向かって次第に近づくように延びる左右両側の側縁部18B,18Bと、これら側縁部18B,18Bが最上端側で繋がる尖った先端部18Cとからなる。
前記各側縁部18Bは、弁尖形成用型11の第3の部分14Cとほぼ同一の曲線からなり、隣り合う起立壁18の間には、弁尖形成用型11で作製された人工弁尖における前記弁尖接合線の間の下部領域がほぼぴったり配置可能となる空間Sが設けられている。つまり、各空間Sは、下方に向かって次第に窄まる形状となっており、その最下端のベース17部分に、前記溝部22がそれぞれ形成されている。
以上の起立壁18は、術者が把持棒19を使って弁尖取付用ガイド12を患者の大動脈基部に挿入した際に、術者により、患者の大動脈基部構造や冠動脈起始部の位置に応じ、所定範囲で回転させながら移動することにより、術者が自由に人工弁尖の前記交連接合部の高さや向きを決定できる構造となっている。
次に、大動脈弁形成術時における前記人工弁尖用器具10の使用方法について、以下に説明する。
先ず、様々なサイズの人工弁尖用器具10を予め用意し、患者の大動脈弁輪径等の条件に対応するサイズの人工弁尖用器具10が選択される。すなわち、患者の大動脈弁を切除した後、弁尖取付用ガイド12が患者の大動脈基部内に挿入され、そのベース17により大動脈弁輪径のサイジングが行われる。その結果、患者の大動脈内のサイズに対応する人工弁尖用器具10が選択される。そして、この弁尖取付用ガイド12に対応するサイズや所望形状の弁尖形成用型11の表面に、患者自身の生体膜(心膜)を当接させながらトリミングすることで、人工弁尖が3枚作製される。
次いで、当該サイズに対応する弁尖取付用ガイド12が大動脈基部に挿入され、術者によって人工弁尖の縫合ラインの位置決定がなされる。当該位置が決定されたら、作製した人工弁尖が弁尖取付用ガイド12の3箇所の空間Sに配置される。そして、ベース17の溝部22に針を通しながら、人工弁尖の下端側が大動脈基部に縫合される。
そして、人工弁尖の前記弁輪形成縁の部分が、起立壁18の下縁部18Aの端部(ボトム)から先端部18C(トップ)に向かって、側縁部18Bに沿って大動脈基部に縫合されるとともに、弁尖取付用ガイド12が大動脈内から取り外される。
最後に、隣接する人工弁尖の前記交連接合部同士が縫合され、更に、それら上端部分が大動脈基部に固定される。
以上により、実際の大動脈弁における挙動のように、心臓の拍動に応じて、3枚の人工弁尖の弁尖接合線がぴったり合う弁閉鎖時と、これら弁尖接合線が、3枚の人工弁尖の自由縁の移動によって相互に離れる弁開口時とが交互に繰り返される挙動が得られる。
従って、弁尖形成用型11に生体膜を押し当てながらトリミングするだけで、実際の弁挙動に近い挙動が得られる人工弁尖を短時間で作製することができる。また、弁尖取付用ガイド12で計測した患者の弁輪径に対応し、且つ、術中に決定した至適な弁尖接合線が得られる接合長領域Lを有する弁尖形成用型11を選択することで、至適な弁尖接合線での大動脈弁形成を行うことができる。
また、弁尖取付用ガイド12により、患者の弁輪径に合わせた人工弁尖の至適縫合ラインを容易に決定することができるともに、決定した縫合ラインに沿って人工弁尖を確実縫合することができる。
更に、ベース17に着脱自在に取り付けられた把持棒19を設けることにより、弁尖取付用ガイド12の大動脈基部への挿入及び位置決定や、人工弁尖縫合の際に、弁尖取付用ガイド12の把持固定が可能となる。また、術中、縫合糸の結紮や弁尖の接合評価等の視野の妨げになる際には、把持棒19を適宜取り外すことが可能になる、
総じて、前記人工弁尖用器具10によれば、本来の弁輪構造とは無関係に新しい弁輪縁を作製し、患者の弁輪径に応じた弁尖同士の接合が最も良いと想定される三次元弁構造を形成することができる。従って、弁形態や冠動脈口の位置における異常を有する症例であっても、正常な弁機能を有する三尖大動脈弁を形成することが可能となる。
なお、前記人工弁尖用器具10の形状としては、前述の実施形態の形状に限定されるものではなく、同様の作用効果を奏する限りにおいて、様々な変形が可能である。
例えば、弁尖形成用型11としては、人工弁尖が縫合される大動脈基部の内壁形状に対応した形状の人工弁尖を作製可能な形状であれば何でも良い。一例として、弁尖形成用型11の形成に際して利用した前述の円柱モデルM1に代えて提灯型モデルM2(図5(A)参照)を用い、前述と同様の手順で、同図(B)の弁尖形成用型11を形成し、前述と同様にして、当該弁尖形成用型11の形状に対応する同図(C)の王冠状の弁尖取付用ガイド12を形成することもできる。
また、本発明に係る人工弁尖用器具10は、手術現場での医療機器としての使用の他に、血管として機能する材質からなる筒状体の内壁に人工弁尖が一体的に取り付けられた弁付人工血管の製造に利用することもできる。
この弁付人工血管の製造に際しては、図6(A)に例示するように、弁尖取付用ガイド12として、ベース17に台座24を取り付けたものを利用すると良い。
この台座24は、ベース17よりも大径のドーナツ盤状をなし、中央穴24Aにベース17を挿脱自在にほぼぴったり収容可能となる構造のものを例示できる。
弁付人工血管の製造において、先ず、ベース17を台座24に取り付けた状態で、ベース17の外径に相当する内径を有する血管部分となる筒状体Bの内部に、ベース17及び起立壁18が挿入され、図6(B)に示されるように、フランジ状に外側に張り出した台座24の上面部分に筒状体Bの下端部を当接させて筒状体Bの移動を規制する。その状態で、前述と同様の手順により、弁尖形成用型11を使って得られた複数の人工弁尖Vの所定部分が、筒状体Bの内壁に固定されるとともに、各人工弁尖V同士の所定部分が接続され、弁付人工血管が得られることになる。
更に、本発明における人工弁尖用器具10は、前記実施形態のような大動脈弁に関する使用に限らず、それらの形状を変えることにより、他の血管弁等にも利用することができる。
その他、本発明における装置各部の構成は図示構成例に限定されるものではなく、実質的に同様の作用を奏する限りにおいて、種々の変更が可能である。
10 人工弁尖用器具
11 弁尖形成用型
12 弁尖取付用ガイド
14 形成縁
14A 第1の部分
14B 第2の部分
14C 第3の部分
17 ベース
18 起立壁
19 把持棒(把持部材)
24 台座
B 筒状体
C 中央部分
L 接合長領域
T 頂部
V 人工弁尖

Claims (8)

  1. 人工的な形状をなす人工弁尖を作製し、血管の内壁に取り付けるための人工弁尖用器具において、
    前記人工弁尖の形状に対応した面部分を有し、当該面部分に所定の膜体を当接した状態で、前記面部分の形成縁に沿って前記膜体を切除することで、前記人工弁尖を形成可能に構成された弁尖形成用型と、前記人工弁尖を前記内壁の所望の位置に固定する際のガイドとして機能する弁尖取付用ガイドとを備え、
    前記弁尖形成用型は、頂部の周囲に湾曲面を有する三次元状の山型をなし、前記血管の内壁に取り付けられた複数の前記人工弁尖同士が弁閉鎖時に接合する部位に対応する接合長領域を前記面部分に含み、
    前記弁尖取付用ガイドは、血管内壁のサイジングを行える形状をなすベースと、当該ベースの外縁側の複数箇所から起立する起立壁とを備え、
    前記各起立壁の間には、前記人工弁尖の下部領域にほぼ相当する形状をなす空間が形成されることを特徴とする人工弁尖用器具。
  2. 前記形成縁は、左右方向両側に位置してそれぞれ上下方向に直線状に延びる第1の部分と、これら第1の部分の上端間に連なる第2の部分と、同下端間に連なる第3の部分とからなり、
    前記第2の部分は、前記第1の部分から左右方向の中央部分に向かって延びる直線部分を含み、
    前記第3の部分は、前記第1の部分から下方に延びる放物線状に近似する曲線かならなることを特徴とする請求項1記載の人工弁尖用器具。
  3. 前記接合長領域は、前記中央部分と前記頂部との間に形成されることを特徴とする請求項2記載の人工弁尖用器具。
  4. 前記ベースには、その上面側及び外周縁側の部分が共に外側に開放し、当該外周縁からやや内側に向かって延びる溝部が設けられ、
    前記空間は、下方に向かって次第に窄まる形状となっており、その最下端の前記ベース部分に前記溝部が形成されていることを特徴とする請求項記載の人工弁尖用器具。
  5. 前記弁尖取付用ガイドは、前記ベース及び前記起立壁を前記血管内に挿入する際に把持される把持部材を更に備え、この把持部材は、前記ベースに着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項記載の人工弁尖用器具。
  6. 請求項1記載の人工弁尖用器具を用いて、所定の膜体から人工弁尖を製造する方法であって、
    前記弁尖形成用型の前記面部分に前記膜体を当接した状態で、その形成縁に沿って前記膜体を切除することで、相互に接合されていない状態の複数の前記人工弁尖を形成し、これら人工弁尖を、前記弁尖取付用ガイドの前記空間に配置した状態で隣り合う前記人工弁尖同士の縫合が可能な形状とすることを特徴とする人工弁尖の製造方法。
  7. 請求項1記載の人工弁尖用器具を用い、血管に相当する筒状体の内壁の所望の位置に複数の人工弁尖が取り付けられた弁付人工血管を製造する方法であって
    記筒状体の内部に前記弁尖取付用ガイドを挿入した後、前記空間内に前記人工弁尖の下部領域を配置した状態で、前記筒状体の内壁に前記各人工弁尖の下部領域の周縁側を固定するとともに、隣り合う前記人工弁尖の周縁における前記下部領域を除く一部分同士を接合して固定することで、前記弁付人工血管を作製することを特徴とする弁付人工血管の製造方法。
  8. 前記弁尖取付用ガイドとして、前記ベースを収容する台座を更に有するものが用いられ、前記台座に前記筒状体を当接することで、当該筒状体の移動を規制しながら、前記各人工弁尖を前記筒状体に取り付けることを特徴とする請求項記載の弁付人工血管の製造方法。
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