JP7227192B2 - 放射線で誘発された粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、及び胃腸管急性放射線症候群を予防又は治療するための胃腸管投与多孔質消化管吸着剤ポリマーの使用 - Google Patents
放射線で誘発された粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、及び胃腸管急性放射線症候群を予防又は治療するための胃腸管投与多孔質消化管吸着剤ポリマーの使用 Download PDFInfo
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Description
[0002]本発明は多孔質消化管吸着剤ポリマー(enteron sorbent polymers)の分野に存する。本発明はまた、口腔粘膜炎、食道炎、放射線小腸炎、大腸炎、及び胃腸管急性放射線症候群を低減、予防、及び/又は治療することの分野にも存する。
物質は、サイトカイン、スーパー抗原、モノカイン、ケモカイン、インターフェロン、フリーラジカル、プロテアーゼ、アラキドン酸代謝産物、プロスタサイクリン、βエンドルフィン、アナンジミド(anandimide)、2-アラカドニルグリセロール(arachadonylglycerol)、テトラヒドロビオプテリン、セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、可溶性CD40リガンド、生理活性脂質、酸化脂質、無細胞ヘモグロビン、成長因子、糖タンパク質、プリオン、毒素、細菌及びウィルス毒素、内毒素、薬物、血管作動性物質、外来抗原、及び抗体を含む。
[0017]好ましい消化管吸着剤ポリマーは生体適合性である。
態様1
放射線被爆によって引き起こされる急性又は慢性の口腔粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、又は胃腸管急性放射線症候群(GI-ARS)を予防又は治療する方法であって、消化管投与(例えば、経口で、栄養管若しくは胃経管で、造瘻経路で、又は直腸で投与)される1又はそれを越える消化管吸着剤ポリマーを用いる方法。
態様2
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、放射線癌治療の合併症(特に、胃腸管合併症、粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、及び胃腸管組織に対する損傷)を予防又は治療のために用いられる方法。
態様3
態様1に記載の方法であって、該放射線源が、放射線によるか、或いは空気、食品、又は水の汚染によって伝達される、ガンマ線、X線、又は宇宙線(例えば宇宙旅行又は飛行機旅行中、或いは太陽フレアからの被爆)である方法。
態様4
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、1又はそれを越える次の重合性モノマー:スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、セチルメタクリレート、セチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メチルメタクリレート、及びメチルアクリレートと、架橋剤との反応から誘導される架橋ポリマー材料を含む方法。
態様5
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、直径10~250,000Åの気孔の全容積として0.3cc/gより大きく~3.0cc/g乾燥ポリマーを有する気孔構造を有することを特徴とし;該架橋ポリマー材料の直径10~250,000Åの気孔容積の、直径250~250,000Åの気孔容積に対する比率が7:1より小さく、該架橋ポリマー材料の直径10~250,000Åの気孔容積の、直径50~250,000Åの気孔容積に対する比率が2:1より小さい方法。
態様6
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、カプセル、錠剤、膏薬、湿布、スラリー形態、坐薬、又は注腸、経口、経直腸、経鼻胃又は胃経管、或いは造瘻経路によって投与される方法。
態様7
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、サイトカイン、スーパー抗原、モノカイン、ケモカイン、インターフェロン、フリーラジカル、プロテアーゼ、アラキドン酸代謝産物、プロスタサイクリン、βエンドルフィン、アナンジミド、2-アラカ
ドニルグリセロール、テトラヒドロビオプテリン、セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、可溶性CD40リガンド、生理活性脂質、酸化脂質、無細胞ヘモグロビン、成長因子、糖タンパク質、プリオン、毒素、細菌及びウィルス毒素、内毒素、薬物、血管作動性物質、外来抗原、及び腸管内腔からの抗体を含むがこれらに限定されない炎症メディエーターを除去する方法。
態様8
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが生体適合性である方法。
態様9
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、粉末、懸濁液、ビーズ、又は他の規則的若しくは不規則形状の粒子の形態である方法。
態様10
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが0.1ミクロン~2センチメートルの範囲の直径を有する方法。
態様11
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、胃腸管粘膜破壊を予防するか、又は胃腸管粘膜の治癒を促進するか、又は両方を行う方法。
態様12
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、腸炎、腸管透過性を減少させ、腸管内腔から身体への細菌、内毒素、及び毒素の移動を予防し、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症を予防する方法。
態様13
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、ヘム急性放射線症候群(Heme-ARS)、急性放射線被爆の後遺症(DEARE)、又は肺のような他の臓器に対する急性放射線症候群の影響の危険性を減少させる方法。
態様14
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、GI-ARS又は急性放射線小腸炎若しくは大腸炎における生存率を向上させる方法。
態様15
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、GI-ARS又は急性放射線小腸炎若しくは大腸炎における体重減少、下痢、嘔吐、疼痛、体液喪失のような症状を軽減する方法。
態様16
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーがガンマ線安定性である方法。
態様17
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、ガンマ線安定性であり、放射線治療の前又はそれと同時に投与することができる方法。
態様18
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、放射線を吸収しないか又は極僅か吸収し(放射線透過性)、したがって癌のような疾患を治療するための放射線治療線量に影響を与えない方法。
態様19
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、放射線を吸収し(放射線不透過性)、追加の放射線防護を与える方法。
態様20
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、急性放射線小腸炎又は大腸炎を予防又は軽減しながら癌のような疾患を治療するための、放射線治療のより高くかつ潜在的により有効な線量、或いは放射線治療のより多い線量を可能にするところの放射線防護剤として機能する方法。
態様21
態様1に記載の方法であって、該消化管吸着剤ポリマーが、放射線吸収(放射線不透過性)に関係する合併症を予防又は治療し、追加の放射線防護を提供するために使用される方法。
態様22
放射線被曝によって引き起こされる急性又は慢性の口腔粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、又は胃腸管急性放射線症候群(GI-ARS)を予防又は治療するための組成物であって、1又はそれを越える消化管吸着剤ポリマーを含み;
(a)該消化管吸着剤ポリマーが、生体適合性の多孔質ポリマー吸着剤であり;又は
(b)該消化管吸着剤ポリマーが、本明細書において開示する任意の粒径範囲を含み;又は
(c)該消化管吸着剤ポリマーが、急性及び/又は遅発性/慢性放射線小腸炎及び放射線症候群のための放射線防護剤(予防療法)として役立つことができ;又は
(d)該消化管吸着剤ポリマーが、急性又は遅発性/慢性放射線小腸炎若しくは放射線症候群のための放射線被曝後の放射線緩和剤(動的療法)として役立つことができ;又は
(e)該消化管吸着剤ポリマーが、放射線介在性肺症候群に対して正の効果を有し;又は
(f)該消化管吸着剤ポリマーが、放射線介在性ヘム症候群に対して正の効果を有し;又は
(g)該消化管吸着剤ポリマーが、宇宙線又は宇宙放射線の合併症(例えば宇宙においてガンマ線に被爆した宇宙飛行士)を予防及び治療するために用いられ;又は
(h)該消化管吸着剤ポリマーが、放射線癌治療の合併症(特に胃腸管合併症)を予防及び治療するために用いられ;又は
(i)併用療法としての該消化管吸着剤ポリマーが、有効な癌治療のための放射線治療の線量を促進、維持、及び/又は増加させることができ;又は
(j)該消化管吸着剤ポリマーが、放射能爆弾の爆発、不測の原子力発電所の異常、及びテロ行為による放射線災害の合併症を予防及び治療するために用いられ;又は
(k)該消化管吸着剤ポリマーが、生存転帰を向上させ;又は
(l)該消化管吸着剤ポリマーが、体重維持を助け;又は
(m)該消化管吸着剤ポリマーが、腸炎、腸透過性を減少させ、腸上皮を保護又は治療
し、細菌、内毒素、及び毒素の移動を予防し、全身性炎症反応症候群(SIRS)、及び敗血症を予防し;又は
(n)該消化管吸着剤ポリマーが、下痢、嘔吐、及び腹痛の重篤度及び期間の症状改善を与え;又は
(o)該消化管吸着剤ポリマーが、1又はそれを越える次の重合性モノマー:スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、セチルメタクリレート、セチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メチルメタクリレート、及びメチルアクリレートと、架橋剤との反応から誘導される架橋ポリマー材料を含み;又は
(p)該消化管吸着剤ポリマーの固体形態が、直径10~250,000Åの気孔の全容積として0.3cc/gより大きく~3.0cc/g乾燥ポリマーを有する気孔構造を有することを特徴とし;該架橋ポリマー材料の直径10~250,000Åの気孔容積の、直径250~250,000Åの気孔容積に対する比率が7:1より小さく、該架橋ポリマー材料の直径10~250,000Åの気孔容積の、直径50~250,000Åの気孔容積に対する比率が2:1より小さく;又は
(q)該消化管吸着剤ポリマーが、炎症メディエーター及び毒素を吸着し、該炎症メディエーター及び刺激物質は、サイトカイン、スーパー抗原、モノカイン、ケモカイン、インターフェロン、フリーラジカル、プロテアーゼ、アラキドン酸代謝産物、プロスタサイクリン、βエンドルフィン、アナンジミド、2-アラカドニルグリセロール、テトラヒド
ロビオプテリン、セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、可溶性CD40リガンド、生理活性脂質、酸化脂質、無細胞ヘモグロビン、成長因子、糖タンパク質、プリオン、毒素、細菌及びウィルス毒素、内毒素、薬物、血管作動性物質、外来抗原、及び抗体を含み;又は
(r)該消化管吸着剤ポリマーが、経口、栄養管、胃経管、造瘻経路によって、又は直腸経路によって投与することができる形態であり;又は
(s)該消化管吸着剤ポリマーが、カプセル、錠剤、膏薬、湿布、注腸剤、坐薬、又はスラリー形態であり;又は
(t)(a)~(s)の2又はそれを越える任意の組合せである
組成物。
[0023]概説及び以下の詳細な説明は例示及び例証のみのものであり、添付の特許請求の範囲において規定される発明を限定するものではない。本発明の他の形態は、ここに与える発明の詳細な説明を考慮すれば当業者に明らかになるであろう。
[0038]「生体適合性」という用語は、消化管吸着剤ポリマーが生理液、生体組織、又は生物と接触している時間中に許容できない臨床的変化を生起させることなく、消化管吸着
剤ポリマーを生理液、生体組織、又は生物と接触させることができることを意味するように定義される。幾つかの態様においては、消化管吸着剤ポリマーは、生物の腸及び消化管によって許容されると意図される。本発明の消化管吸着剤ポリマーは、好ましくは非毒性である。生体適合性の吸着剤は、非生分解性、生分解性、又は吸収性ポリマーであってよい。
[0040]多孔質のST/DVBコポリマー樹脂上の被覆/分散剤によって、材料に向上した生体適合性を与えることができる。
[0047]反応器の構成:塔頂スターラー、バッフル、多段階スターラーブレード、水冷凝
縮器、熱電対、バブラー、及びガスケット(適当な場合)をジャケット付きケトル(5L)に取り付けた。全ての使用しないポートは適当な栓でキャップした。上記の熱電対を取り付けた温度制御装置を有する加熱/冷却ユニットを用いて温度を制御した。
SP、TSP、及び亜硝酸ナトリウム)を仕込水中に溶解した。PVA及び塩の溶液を撹拌しながら80℃に加熱した。適当な液滴寸法を形成するためのrpmに設定した撹拌速度を用いて、開始剤を含む予め混合した有機相を反応器中の水相の上に注ぎ入れた。温度が80℃に達したら、反応タイマー(16時間)を始動させた。
[0050]反応器の構成:塔頂スターラー、バッフル、水冷凝縮器、多段階スターラーブレード、熱電対、及びバブラーを、5Lのケトル反応器に取り付けた。頂部の蓋と底部のケトルの間にガスケットを取り付けた。全ての使用しないポートは適当な栓でキャップした。上述の熱電対を取り付けた温度制御装置によって調節した加熱マントルを用いて温度を制御した。
SP、及び亜硝酸ナトリウム)を仕込水の残りの中に溶解した。PVA及び塩溶液を反応器に加え、撹拌しながら87℃に加熱した。適当な液滴寸法を形成するための毎分回転数(rpm)(CY12030、480rpm)に設定した撹拌速度を用いて、開始剤を含む予め
混合した有機相を反応器中の水相の上に注ぎ入れた。温度が87℃に達したら、反応タイマーを16時間に設定して始動させ、反応を進行させた。
06/+45ミクロン)に篩別し、反応器装置に加えた。過剰の水を床レベルの直上まで吸い出し、次に仕込水を加えた。温度制御装置を40℃に設定した後に始動させた。塔頂スターラーも同様に始動させた。それぞれの試薬は、システムを40℃の設定点まで昇温している間に加えた。温度が30℃~34℃の間である時点で、水中の過硫酸アンモニウム(AMPS)を加えた。N,N,N,N-テトラメチルエチレンジアミン(TMED)及び水は35℃~36℃の間で加えた。ビニルピロリジノン(VP)は、39℃~40℃の間で加えた。温度が40℃に達した時点で2時間の反応タイマーを始動させて反応を進行させた。冷却した後、溶媒をビーズのレベルまで吸い出した。次に、ビーズをRT水によって30分あたり1ベッドボリュームの速度で3回洗浄した。ビーズを6時間水蒸気ストリッピングした。ビーズをイソプロピルアルコールで再湿潤し、精製H2O中で10回
洗浄した。次に、消化管吸着剤ポリマーをオーブン内で100℃において乾燥した。
[0055]消化管吸着剤ポリマーの気孔構造を、Micromeritics AutoPore IV9500 V1.09水
銀透過度計(Hg圧入装置)又はMicromeritics ASAP 2010装置(N2脱着)のいずれか
で分析した。図1~4を参照。
[0056]電離放射線に被爆すると急性放射線症候群(ARS)がもたらされる。Epistem
社は胃腸管症候群(GI-ARS)に対する影響を調査した経験があり、これは概して(健康状態/マウスの種/大きさ等に依存して)12Gyを超える放射線量において起こる。GI-ARSは、通常は重篤な体重減少、下痢、及び最終的には被爆の10日以内の死亡を引き起こす。この研究においては、部分照射(PBI)モデルを用いた。5%の骨髄線量抑制(sparing)のレベル(PBI-BM5)を選択し、照射中において下肢(脛骨、腓骨、及び脚部)を鉛遮蔽した。PBIモデル(2.5~5%の遮蔽)は不測又はテロリストが引き起こす被爆に関する現実的なモデルであると考えられており、即ちかかる場合においては骨髄の少量が何らかの形で遮蔽されるであろうと思われる。このモデルはまた、幾つかのマウスを血液症候群(H-ARS)に入るのに十分に長く生存させることができる利益も有しており、したがって最終的には両方の症候群の緩和剤を評価するために用いることができる。
のLD5010放射線量を選択した。これは、投与していない動物において10日目までに50%死亡率を引き起こす線量である。
させる消化管吸着剤ポリマーの50%スラリーの有効性を求めることである。
[0059]方法:40匹の雄の8~10週齢のC57BL/6マウスを購入し、次に20匹の2つ
の群にランダムに分けた。2週間馴致した後、300kVのX線源を用い、骨髄の約5%(両下肢の脛骨、腓骨、及び脚部)を遮蔽して、これらを13.5Gyの部分照射に被爆させた。次に、照射の24時間後から開始して、マウスに0.15mLの水又は0.15mLの消化管吸着剤ポリマーの50%スラリーを一日二回経口で強制投与した。投与の直後に、更に0.15mLの水を全てのマウスに強制投与して、治療剤(スラリー)の投与の移行を促進した。投与量は実験全体にわたって一定に維持した。15日間の実験全体にわたって、動物の生存数、体重、及び下痢の発症を追跡した。
2.1.動物及び飼育:
[0064]この実験のために、合計で40匹のC57BL/6の雄のマウス(Harlan Laboratories,英国)を購入した。動物は供給時に8~10週齢であり、10~12週齢において用い
た。全てのマウスを、SPF(特定病原体未感染)バリヤユニット内の個別換気ケージ(IVC)内に保持した。動物は、付番したケージ及び耳のパンチによって識別した。これらのケージの外側でのマウスの取扱いは、常に滅菌状態の層流装置内で行った。1回では最大で2つのケージを開放した。
[0065]動物には、通常飼料(2918x押出飼料、Harlan UK)を不断で給餌した。動物には
、到着時から実験の間中にわたって酸性水を与えた。酸性水はまた、4日目から飼料を湿潤させるのにも用いた。21±2℃の一定の室温、及び55±10%の平均相対湿度を存在させた。昼夜サイクルは、それぞれ12時間の明期及び暗期で一定にした(07:00/19:00に切り替えた)。動物の健康を毎日監視し、ケージは一定間隔で清掃した。
[0066]従前の研究に基づいて、LD5010線量を達成する目的で13.5Gyの線量を選択した。
層(HVL)の線質を与えるために更なる濾波器を有していた。マウスに麻酔をかけ、プレキシガラス治具内に下肢部を遮蔽して配置し、X線管の焦点から700mmの距離に配置した。部分照射(PBI-BM5)を0.812Gy/分の線量率で行った。
[0069]ビヒクルは滅菌水であり、予め調製したアリコートとして供給された。
[0070]投与の前に、シリンジを逆さまにして気泡を強制投与針に向かって上昇させることによってシリンジ内の気泡を除去した後に、押出して0.15mLの水を排出した。
[0072]消化管吸着剤多孔質ポリマービーズは、予め調製したアリコートとして供給された。消化管吸着剤多孔質ポリマービーズ(試料番号:CY14149)は、70本の2mLポリ
プロピレンチューブ内で供給され、到着したら4℃において貯蔵した。投与の前に、表面上に空のビーズが浮遊するのを回避するために、懸濁液を引き抜く前にチューブを数回逆さまにしてチューブの底部付近に強制投与針を配した。シリンジを逆さまにして気泡を強制投与針に向かって上昇させることによってシリンジ内の気泡を除去した後に、押出して0.15mLの消化管吸着剤ポリマーを排出した。
[0074]マウスは毎日体重測定し、4日目から臨床観察(下痢)を毎日記録した。マウスは、瀕死になったら安楽死させた。15%を超える体重減少を示した動物は具合が悪いとみなし、体重減少が24時間の間20%より大きい値で持続し、マウスが瀕死状態の兆候
(内向挙動、触って冷たい感触によって判断される減少した体温、毛繕いの消失、及びつまんだ際の持続的な皮膚のテンティングによって判断される脱水)も示した場合には、人道的に安楽死させた。7~9日目に消化管吸着剤ポリマー群からの6匹の瀕死のマウスを剖検のためにランダムに選択して、腸内における試験物の存在を調べた。
3.1.体重減少:
[0075]照射後には、予測されるように急激な体重減少があった。次に群平均は水平状態になり、その後、生存しているマウスにおいて体重の回復が起こった。消化管吸着剤ポリマーを摂取した群はビヒクル群よりも体重減少が少なく、最大体重減少は消化管吸着剤ポリマー治療群においては約5%少なかった。
[0077]体重が少なくとも25%減少するまでの0日目からの日数を、死亡までの期間と同様の方法で分析した(下記を参照)。25%体重減少は、しばしば安楽死基準として用いられているレベルであり、したがって多くの者による動物の生存プロットを反映している。広範囲の経験から動物はしばしば被爆後のこの体重減少のレベルから回復することが知られているので、Epistemにおいてはこれを他の苦痛の兆候と組み合わせている。それ
らの体重の25%より多くを失わなかった動物を治療群vs対照群ごとにプロットし(図7)、25%体重減少までの期間をまとめた(表1)。これは、25%体重減少までの期間が、消化管吸着剤ポリマー群においては2日間増加したことを示した。25%体重減少までの期間の中央値は、ビヒクル群における5.5日間と比べて7.5日間であった。この差は統計的に有意であった(p=0.03;ログランク検定)。
[0078]選択した放射線量は、非投与のマウスにおけるLD50線量の従前の評価値に基づいた。線量応答曲線は非常に急勾配であり、したがって実験がこれらのレベルの生存率を実際に与える可能性は低い。現時点での研究において用いた一日2回の経口強制投与は、水によってマウスに潤いを与える一方で、増加した処理及び投与のストレスによって(特に不健康なマウスにおいて)死亡率が大きく増加する可能性があるので、致死性のレベルに更に影響を与えると思われる。
3.3.下痢:
[0083]下痢は4日目から観察され、これを段階付けた(0は通常の便の硬さであり、1は緩い便であり、2は重症の顕在化した下痢であり;3のスコアは広く肛門周囲/尾の汚れを伴う液体状の糞である)。データを付表中において一覧にし、下図10においてプロットした。
はなかった(それぞれ、p=0.08及び0.06)。しかしながら、下痢を伴った期間の割合における治療の間の差は、統計的に有意であった(p=0.02)。
[0088]この初期の概念実証研究において、消化管吸着剤ポリマーは、高線量部分照射モデルにおいてGI-ARS期間中に有効性を示した。おそらくは消化管吸着剤ポリマー治療の後の減少した体重減少に直接関係して生存期間が増加し、下痢の重篤度及び期間も減少した。これらのデータは有益な統計的傾向を示し、非常に有望で、消化管吸着剤ポリマーをGI-ARS緩和剤又は防護剤として用いる可能性を更に調べる正当な理由となる。
[0091]1.強制投与(これは弱ったマウスにおける処理ストレスのために死亡率を増加させると仮定して)の数又は時間を減少させること。処理ストレスの厳しさは、補水効果によって少し弱めることができ、したがって両方を考慮する必要がある。
Claims (21)
- 放射線被爆によって引き起こされる急性又は慢性の口腔粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、又は胃腸管急性放射線症候群(GI-ARS)を予防又は治療するための組成物であって、1又はそれを越える消化管吸着剤ポリマーを含み、ここで、消化管吸着剤ポリマーが、ポリビニルピロリドンで被覆されており、重合性モノマーとしてジビニルベンゼンを用いる架橋ポリマーを含み、消化管吸着剤ポリマーが、直径10~250,000Åの細孔サイズの細孔の全容積として0.3より大きく3.0cc/gまでの乾燥ポリマーを有する細孔構造を有することを特徴とし;その架橋ポリマーの直径10~250,000Åの細孔容積の、直径250~250,000Åの細孔容積に対する比率が7:1より小さく、その架橋ポリマーの直径10~250,000Åの細孔容積の、直径50~250,000Åの細孔容積に対する比率が2:1より小さい、組成物。
- 放射線癌治療の合併症(例えば、胃腸管合併症、粘膜炎、食道炎、小腸炎、大腸炎、及び胃腸管組織に対する損傷)を予防又は治療するためである、請求項1に記載の組成物。
- 該放射線源が、放射線によるか、或いは空気、食品、又は水の汚染によって伝達される、ガンマ線、X線、又は宇宙線(例えば宇宙旅行又は飛行機旅行中、或いは太陽フレアからの被爆)である、請求項1に記載の組成物。
- 重合性モノマーとしてジビニルベンゼンを用いる該架橋ポリマーが、さらに
1又はそれを越える次の重合性モノマー:エチルビニルベンゼン、スチレン、エチルスチレン、アクリロニトリル、ブチルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ブチルアクリレート、オクチルアクリレート、セチルメタクリレート、セチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルベンジルアルコール、ビニルホルムアミド、メチルメタクリレート、及びメチルアクリレートを含む、請求項1に記載の組成物。 - 該消化管吸着剤ポリマーが、カプセル、錠剤、膏薬、湿布、スラリー形態、坐薬、又は注腸によって投与される、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、サイトカイン、スーパー抗原、モノカイン、ケモカイン、インターフェロン、フリーラジカル、プロテアーゼ、アラキドン酸代謝産物、プロスタサイクリン、βエンドルフィン、アナンジミド、2-アラカドニルグリセロール、テトラヒドロビオプテリン、セロトニン、ヒスタミン、ブラジキニン、可溶性CD40リガンド、生理活性脂質、酸化脂質、無細胞ヘモグロビン、成長因子、糖タンパク質、プリオン、毒素、細菌及びウィルス毒素、内毒素、薬物、血管作動性物質、外来抗原、及び腸管内腔からの抗体を含むがこれらに限定されない炎症メディエーターを除去する、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが生体適合性である、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、粉末、懸濁液、ビーズ、又は他の規則的若しくは不規則形状の粒子の形態である、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが0.1ミクロン~2センチメートルの範囲の直径を有する、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、胃腸管粘膜破壊を予防するか、又は胃腸管粘膜の治癒を促進するか、又は両方を行う、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、腸炎、腸管透過性を減少させ、腸上皮を保護又は治療し、腸管内腔から身体への細菌、内毒素、及び毒素の移動を予防し、全身性炎症反応症候群(SIRS)、敗血症を予防する、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、ヘム急性放射線症候群(Heme-ARS)、急性放射線被爆の後遺症(DEARE)、又は肺のような他の臓器に対する急性放射線症候群の影響の危険性を減少させる、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、GI-ARS又は急性放射線小腸炎若しくは大腸炎における生存率を向上させる、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、GI-ARS又は急性放射線小腸炎若しくは大腸炎における体重減少、下痢、嘔吐、疼痛(例えば、腹痛)、体液喪失のような症状を軽減する、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが放射線治療からのガンマ線に安定である、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、放射線治療からのガンマ線に安定であり、放射線治療の前又はそれと同時に投与することができる、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、放射線を吸収しないか又は極僅か吸収し(放射線透過性)、したがって癌のような疾患を治療するための放射線治療線量に影響を与えない、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、放射線を吸収し(放射線不透過性)、追加の放射線防護を与える、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、急性放射線小腸炎又は大腸炎を予防又は軽減しながら癌のような疾患を治療するための、放射線治療のより高くかつ潜在的により有効な線量、或いは放射線治療のより多い線量を可能にするところの放射線防護剤として機能する、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、放射線吸収(放射線不透過性)に関係する合併症を予防又は治療し、追加の放射線防護を提供するために使用される、請求項1に記載の組成物。
- 該消化管吸着剤ポリマーが、消化管投与(例えば、経口で、栄養管(例えば経鼻胃)若しくは胃経管で、造瘻経路で、又は直腸)される、請求項1に記載の組成物。
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