JP7226935B2 - 成形性に優れた熱交換器用フィン材および熱交換器 - Google Patents

成形性に優れた熱交換器用フィン材および熱交換器 Download PDF

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Description

この発明は、成形性に優れた熱交換器用フィン材および熱交換器に関するものである。
自動車用などの熱交換器には、熱伝導率の良いアルミニウム合金が使用され、フィンやチューブなどの各部材は、成形後、コアとして組み付けられてろう付を経て熱交換器となる。近年自動車の燃費向上ニーズの高まりとともに熱交換器も軽量化が求められ、熱交換器を構成する各アルミニウム合金部材にも薄肉化が求められるようになってきている。
中でもフィン材は求められる板厚が薄く、現在では80μm以下の板厚が主流となっている。フィン材を薄肉化した際の問題点として、コルゲート成形時の破断がある。板厚が薄く、伸びが低くなると、コルゲート成形時の張力、時に巻出し時の瞬間的な高張力で破断が頻発するようになる。この問題に対し、伸びを向上させようとして調質をH14からH24へ変更すると、今度は伸びが出過ぎてしまい、コルゲート成形時にフィンのルーバー部にバリが出てしまう。バリは通風抵抗を大きくし、熱交換器の放熱性能を低下させる。
さらに、薄肉のフィン材(板厚0.06mm以下)では、薄肉化分の強度を持たせるためにMnとSiを添加し、Al-Mn-Si系金属間化合物の微細析出によってろう付後のフィン材の強度を向上させることが考えられている。Znは犠牲陽極効果をフィン材に付与するために添加している。
このような材料を用いたフィン材としては、Mn、Si、Znを適量含有するものが特許文献1-5で提案されている。
また、特許文献6-9では、組織を金属組織とすることで伸び特性を改善したものが提案されている。
特開2017-66494号公報 特開2015-14035号公報 特開2014-205876号公報 特開2014-047384号公報 特開2013-040367号公報 特開2014-114475号公報 特開2010-255014号公報 特開2009-161831号公報 特開2008-308760号公報
また、フィン材は成形性の他、ろう付時の耐エロージョン性や耐食性、耐久性などの要求項目があり、成形性と併せて、それらの特性を満足するフィン材が求められている。
しかし、従来提案されている熱交換器用のフィン材では、これらの特性を全て良好に満足することができず、いずれかの特性において劣っている。
本願発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、成形性、ろう付時の耐エロージョン性、耐食性、耐久性などの要求項目において優れた特性を得ることが可能な熱交換器用フィン材を提供することを目的とする。
すなわち、本発明の成形性に優れた熱交換器用フィン材のうち、第1の形態は、Mn:0.6~1.8質量%、Si:0.1~1.4質量%、Zn:0.8~4.0質量%を含有するAl-Mn系合金からなり、
最終の圧延後、焼鈍に供しない圧延ままでまたは焼鈍後で、成形加工前の状態における素材であり、平均縦横比が7.0以上である繊維状の結晶粒を有し、かつLT-ST断面の結晶粒が板厚方向に3個以下、その断面の平均アスペクト比が2~5以下であり、さらに、L-LT面の表面において30mm×30mmの面積内に前記繊維状の結晶粒が20個以上存在していることを特徴とする。
他の形態の熱交換器用フィン材は、前記形態の発明において、引張試験による破断試験で、破断後の試験片平行部の減肉率((1-(破断後の試験片平行部の板厚/元板厚))×100が3.0~12.0%であることを特徴とする。
他の形態の熱交換器用フィン材は、前記形態の発明において、張力が180MPa~230MPaであり、かつ伸びが3~9%であることを特徴とする。
他の形態の熱交換器用フィン材は、前記形態の発明において、前記Al-Mn系合金が、さらに、Fe:0.05~0.70質量%を含有し、Cuが0.05質量%以下に規制されている。
他の形態の熱交換器用フィン材は、前記形態の発明において、電率が50%IACS以上であり、かつ、ろう付熱処理後において、その導電率の減少率(1-(ろう付熱処理後の導電率/前記素材導電率))×100が10~30%であることを特徴とする。
他の形態の熱交換器用フィン材は、前記形態の発明において、前記ろう付熱処理後において、抗張力が100MPa以上である。
他の形態の熱交換器用フィン材は、前記形態の発明において、前記ろう付熱処理後の結晶粒径が150μm以上であることを特徴とする。
本発明の熱交換器の発明は、前記形態のいずれか記載された熱交換器用フィン材からなるフィンとチューブとがろう付け接合されている。
以下に、本発明で規定する内容について、その作用と理由について説明する。なお、以下の含有量は、いずれも質量%で示されている。
フィン材板厚:0.06mm以下
フィン材の板厚を0.06mm以下にすることで軽量化を達成することができる。フィン材の板厚が0.06mmを超えると、熱交換器用薄肉フィンとしては板厚が厚すぎ、熱交換器重量が大きくなってしまう。このため、フィン材の板厚を0.06mm以下とするのが望ましい。
(Al-Mn系合金)
Mn:0.6~1.8%
Mnは、アルミニウム材料の強度と鋳造性を高めるので含有させる。Mnの含有量が過小であると、熱交換器用フィン材としての強度が不足する。一方、Mnの含有量が過剰であると、鋳造時に巨大金属間化合物が発生し、圧延時の破断原因となる。これらの理由によりMn含有量の下限を0.6%、上限を1.8%に定める。
なお、同様の理由で、Mn含有量の下限を0.8%、上限を1.7%に定めるのが望ましい。
Si:0.1~1.4%
Siは、強度と耐エロージョン性を高めるので含有させる。Siの含有量が過小であると、熱交換器用フィン材としての強度が不足する。一方、Si含有量が過剰であると、融点が低下し、ろう付時に著しいエロージョンが生じる。これらの理由によりSi含有量の下限を0.1%、上限を1.4%に定める。
なお、同様の理由で、Si含有量の下限を0.3%、上限を1.2%に定めるのが望ましい。
Zn:0.8~4.0%
Znは、犠牲陽極効果により熱交換器の耐食性を向上させるため含有させる。Znの含有量が過小であると、フィン材の電位が貴になり犠牲陽極効果が十分に得られない。一方、Zn含有量が過剰であると、フィン材の電位が卑になりすぎて自己耐食性が低下する。これらの理由により、Znを含有させる場合、Znの含有量は下限を0.8%、上限を4.0%とする。
なお、同様の理由で、Zn含有量の下限を1.0%、上限を3.0%に定めるのが望ましい。
Fe:0.05~0.70%
Feは鋳造性を改善するため、所望により含有させる。Feの含有量が過小であると、不純物としてのFeを排除しなければならず、高純度Al地金の使用によって、コストが増加し、量産が不可となる。一方、Feの含有量が過剰であると、鋳造時に巨大金属間化合物が発生し、圧延時の破断要因となる。これらの理由によりFe含有量は、下限を0.05%、上限を0.70%とするのが望ましい。
Cu:0.05%以下
Cuは、強度を高める効果があるので、所望により含有させる。但し、Cuを過剰に含有すると、鋳造時の割れ感受性を高め、鋳造時に割れが生じやすくなる。このため、Cuを含有する場合、Cu含有量の上限を0.05%とする。
また、Cuは、上記作用を十分に得るために、0.02%以上含有するのが望ましい。
その他の成分
Al-Mn系合金には、その他に、Ti:0.05~0.15%、Zr:0.05~0.15%などを含むことができる。
その他の不純物
Al-Mn系合金には、その他に、NiやCrなどの不純物を合計で0.2%程度含有することができる。
素材結晶粒が繊維状
素材の結晶粒は成形性に大きく影響し、素材結晶粒を繊維状とすることにより成形性、素材伸びを高めることができる。特にH14調質であっても結晶粒を繊維状とすることで、伸びを3%以上とすることができ、成形性が確保される。
例えば、調質焼鈍を再結晶温度以下とすることで、焼鈍時に再結晶が起こらず、繊維状の組織を維持することができる。
LT-ST断面方向で結晶粒≦3個
LT-ST断面方向の結晶粒の数は、素材強度に影響する。この数が多くなると、素材強度が高くなりすぎ、成形が困難となる。
なお、LT-ST断面は、圧延方向に垂直な断面をいう。
例えば、連続鋳造の製法によってフィン材を作製することで、均質化処理時の再結晶粒が粗大となり、最終板厚において所望の結晶粒数を得ることができる。また均質化処理時の昇温速度を20℃/hr~200℃/hrとし、温度を400~550℃、保持時間を3~10時間とすることで、均質化処理時の再結晶粒が細かくなることを防ぐことができる。
LT-ST断面の結晶粒のアスペクト比5:1以下
結晶粒は圧延によって扁平化する。アスペクト比を5:1以下とすることにより、成形性を良好に維持することができる。アスペクト比が5:1を超えると、異方性が大きくなり、成形が困難となる。一方、アスペクト比は小さくなり過ぎると作製が困難となるため、アスペクト比は2:1以上とするのが望ましい。
例えば、連続鋳造圧延の製法によって作製し、連続鋳造後の板厚から均質化処理を行う板厚までの圧延率を20%~70%とすることで、均質化処理時に得られる再結晶粒のサイズを適正化し、その後の圧延によって所定のアスペクト比を得ることができる。
L-LT面の表面において30mm×30mmの面積内に繊維状の結晶粒が20個以上
L-LT面における繊維状結晶粒を多くすることで成形性を向上させることができる。同様の理由で、上記結晶粒は30個以上であるのが望ましい。
30mm×30mmの面積内における繊維状の結晶粒が20個未満である場合、結晶粒密度が低く、その結果、伸びが低下し、成形が困難になる。
L-LT面は圧延表面を示す。
例えば、均質化処理から中間焼鈍までの圧延率を95%以上とすることで繊維状組織の密度を向上させることができる。また中間焼鈍を再結晶温度以下とすることで、焼鈍時に再結晶が生じず、所望の組織密度の繊維状組織を維持することができる。
減肉率が3.0%~12.0%
減肉率が適正であることにより、コルゲート成形時に破断しにくく、またルーバーが切りやすく(金型寿命の向上)、生産性を高めることができる。減肉率は塑性加工のし易さの目安となる。減肉率が低いことは加工時の塑性加工域が少ないことを表し、逆に減肉率が高いことは塑性加工域が大きく加工性に富む一方で、ルーバー部のように切断を伴う加工の場合はバリが大きくなる。
減肉率が3.0%未満であると塑性加工域が少ない影響で、コルゲート成形時の高張力負荷によってフィン材の破断が生じ易くなる。
減肉率が12.0%を超えるとバリが大きく成り過ぎ、成形不可となる。
なお、同様の理由で減肉率を5.0~10.0%とするのが望ましい。
例えば、連続鋳造圧延の製法によってフィン材を作製し、均質化処理から中間焼鈍までの圧延率を95%以上とし、かつ中間焼鈍を再結晶温度以下とすることで材料の組織を所望の密度とサイズに制御でき、減肉率を適正範囲内に収めることができる。
素材の導電率が50%IACS以上、かつ、ろう付熱処理後において、その導電率の減少率(1-(ろう付熱処理後の導電率/素材導電率))×100が10~30%
熱交換器の放熱性能は材料の導電率と相関がある。素材の導電率とろう付熱処理における導電率の減少率を規定することで、当該フィン材は優れた放熱性能を有す。
素材の導電率が50%IACS未満であると、放熱性能が低下する。
導電率の減少率が10%未満であると、ろう付時に晶出物からマトリクスへの固溶強化が効かず、ろう付後強度が低下し、熱交換器の耐久性が低下する。
導電率の減少率が30%を超えると、放熱性能が低下し、熱交換器としての能力が低下する。
連続鋳造圧延の製法によって添加元素の多くは固溶し導電率は低下するが、例えば、適切な均質化処理によって析出を促進することで、添加元素の固溶量を低下させ、導電率を向上させることができる。また、この均質化処理時に析出物を成長させることで、ろう付時の析出物の再固溶を抑制でき、ろう付時の導電率の減少率を適正範囲内に収めることができる。すなわち、均質化処理は温度400~550℃、保持時間3~10時間が望ましい。
素材の抗張力が180MPa~230MPa、かつ伸びが3~9%
素材の抗張力を適正な範囲にすることで成形性を確保できる。抗張力が180MPa未満であると、成形時にフィン材が破断し易くなり、逆に230MPaを超えるとスプリングバックが大きく成形が困難となる。伸びについても成形性に寄与し、3%未満では成形時に破断が生じやすくなり、9%を超えるとバリが大きく成り成形不可となる。素材の抗張力を180MPa~230MPa、かつ伸びを3~9%とすることで、良好な成形性を得ることができる。
例えば、中間焼鈍を再結晶温度以下とすることで繊維状組織を維持することができ、かつ調質をH14とすることで抗張力と伸びを適正範囲内に収めることができる。
ろう付け後の抗張力:100MPa以上
ろう付後の抗張力は熱交換器としての耐久性に関連し、下限を規定することで優れた耐久性を有す。
ろう付後の抗張力はフィン材の成分と均質化処理の条件に依存する。例えば、本発明に記載の成分範囲で、適切な均質化処理条件とすることでろう付後の抗張力を100MPa以上とすることができる。
ろう付熱処理後の結晶粒径が150μm以上
ろう付時に溶融ろうがフィン材へろう浸食するが、ろう浸食は結晶粒界を優先的に進行する。ろう付け時に結晶粒径が大きく維持されることで、溶融ろうの浸食経路が減少し、ろう付時にろう浸食による変形を生じにくくなる。
例えば、連続鋳造圧延の製法によってフィン材を作製し、均質化処理時を400~550℃で負荷することによって、連続鋳造圧延の製法後に一度固溶した添加元素を、均質化処理によって微細に析出することができ、ろう付熱処理時にこの微細析出物によるピンニングによって再結晶を遅延させ、ろう付後の再結晶粒径を150μm以上とすることができる。
本願発明によれば、良好な成形性を有し、強度や耐食性、導電性を満足することができる。
本発明の一実施形態における熱交換器の一部を示す斜視図である。 圧延後におけるフィン材の面表示を示す図である。 圧延後におけるフィン材のLT-ST断面の結晶粒を示す図である。 圧延後におけるフィン材のL-LT表面の結晶粒を示す図である。 引張試験における試験材を示す図である。 ろう付熱処理のヒートパターンを示す図である。 L-LT表面の結晶粒測定方法を示す図である。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
まず、アルミニウム合金フィン材の製法について説明する。
アルミニウム合金フィン材は、双ロール鋳造機等の連続鋳造圧延(CC法)を用いて鋳造し、鋳造板を均質化処理、冷間圧延して製造する。
質量%で、Mn:0.6~1.8質量%、Si:0.1~1.4質量%、Zn:0.8~4.0質量%を含有し、所望により、Fe:0.05~0.70質量%を含有し、かつCuを0.05質量%以下とし、残部がAlと不可避不純物であるアルミニウム合金の溶湯を作製し、CC(Continuous Casting)法等の常法によってアルミニウム合金の鋳塊あるいは鋳造板を得る。
得られたアルミニウム合金の鋳塊あるいは鋳造板に対しては適切な条件で均質化処理を行う必要がある。均質化処理は、例えば、400~550℃で保持時間を3~10時間とするのが望ましい。
均質化処理をこの範囲で実施することによって、材料中の添加元素の固溶量を低下することができ、析出物を微細分散させることで最終板厚において所望の組織サイズや導電率、物理的性質を得ることができる。
均質化処理後の表面結晶粒径は、300μm~700μmであることが望ましく、その結晶粒径を得る為に、連続鋳造後の板厚から均質化処理を行う板厚までの圧延率を20%~70%とし、且つ均質化処理時の昇温速度を20℃/時間~200℃/時間とするのが望ましい。また均質化処理から中間焼鈍までの圧延率は≧95%とするのが望ましい。
その後、得られたアルミニウム合金に対して、冷間圧延を行う。冷間圧延後の中間焼鈍は、温度を180~330℃、保持時間を1~8時間として行い、中間焼鈍後に圧延率5~35%で冷間圧延を行うことで、ろう付加熱前に繊維状の結晶組織を有するアルミニウム合金フィン材を得る。なお、板厚は、0.06mm以下とする。
フィン材は、さらにLT-ST断面の結晶粒が板厚方向に3個以下、その断面の平均アスペクト比が2~5以下であり、さらに、L-LT面の表面において30mm×30mmの面積内に繊維状の結晶粒が20個以上存在している。
また、引張試験による破断試験で、破断後の試験片平行部の減肉率((1-(破断後の試験片平行部の板厚/元板厚))×100が3.0~12.0%であり、素材の抗張力が180MPa~230MPaで、かつ伸びが3~9%である。
さらには、素材の導電率が50%IACS以上であり、かつ、ろう付熱処理後において、その導電率の減少率(1-(ろう付熱処理後の導電率/素材導電率))×100が10~30%である。
ろう付熱処理後においては、抗張力が100MPa以上であり、ろう付熱処理後の結晶粒径が150μm以上である。
上記各特性は、前述したように、フィン材の組成、連続鋳造圧延の採用、均質化処理条件、中間焼鈍条件、冷延率規制などによって得ることができる。
得られたフィン材にコルゲート加工してフィンとし、ヘッダー、チューブ、サイドプレート等の熱交換器用の部材と組み合わせてろう付接合を行うことで、熱交換器を製造することができる。本発明としてはろう付の熱処理条件や方法(ろう付温度、雰囲気、フラックスの有無、ろう材の種類等)は特に限定されず、所望の方法によってろう付を行うことができる。
得られた熱交換器は本実施形態のフィン材を備えているため、ろう付接合が良好で、かつ強度、導電性、および耐食性に優れたものとなっている。
図1は、本実施形態のフィン4にチューブ3、ヘッダー2、サイドプレート5を組み付けてろう付けにより製造された熱交換器1を示している。
本実施形態によれば、強度、導電性、耐食性、およびろう付性に優れる熱交換器用アル
ミニウム合金フィン材および熱交換器を得ることができる。
熱交換器は、自動車用に好適に用いることができるが、本発明としては、用途が自動車用に限定されるものではない。
以下に、本発明の実施例について比較例と比較しつつ説明する。
表1、2に示す組成(残部Al+不可避不純物)を有するアルミニウム合金を溶解後、CC製法によって5~10mm厚のコイルを作製した。得られたコイルに対して冷間圧延および所定条件で均質化処理を行った。
均質化処理は、温度450℃、昇温速度100℃/hr、保持時間6時間で行った。その後、冷間圧延、中間焼鈍などを経て、表1、2に示すように、H14調質で板厚0.03~0.06mmのフィン材とした。
CC鋳造後は、25%の冷間圧延を行なった後、均質化処理を施した。また、均質化処理から中間焼鈍までの圧延率は98%とした。中間焼鈍については再結晶温度以下にて実施し、均質化処理から中間焼鈍までの冷間圧延によって発達した繊維状組織が維持されるものとした。
次に、得られたフィン材の組織を確認した。
なお、以下で説明するL-LT面、L-ST面、LT-ST面の概略説明を図2に示す、
LT-ST面は、圧延方向に垂直な断面を示し、L-LT面は圧延表面を示し、L-ST面は、圧延方向に平行な断面を示している。
観察方法では、得られたフィン材に対し、LT-ST面を底面として樹脂埋め込みを実施し、樹脂硬化後に湿式研磨を実施し、0.1μm研磨剤によるバフ研磨まで仕上げた。その後バーカー氏液によって陽極酸化処理を実施し、金属光学顕微鏡によって断面組織を観察し、5mm×5mmの範囲を5視野観察した。観察では、板厚方向の平均結晶粒数を測定し、さらに同じ視野数にて結晶粒のアスペクト比を測定した。これらの結果を表1、2に示した。観察状況は、図3に示した。
次に、L-LT表面組織における観察を行った。
図4に観察状況を示す。
得られたフィン材のL-LT表面に対し、塩酸、硝酸、佛酸の混合水溶液によるエッチングを実施し、表面組織を明確にした。フィン材の組織をCCDカメラ等で撮影を実施し、30mm×30mmの面積内に平均縦横比が7.0以上の繊維状の結晶粒がいくつ個存在しているかを確認した。確認結果は、結晶粒数として表1、2に示した。
次に、素材に対し、引張試験を行った。試験材を図5に示す。フィン材を図5に示すように、JIS5号試験片形状に加工して試験材とし、引張試験をクロスヘッドスピード3mm/minにて実施した。破断後の試験片を用いて、試験片平行部の破断箇所から10mm以内の部位にて板厚測定を実施し、((1-(破断後の試験片平行部の板厚/元板厚))×100を算出した。その数値を減肉率として表1、2に示した。
例えば、破断後の試験片平行部の板厚46μm、元板厚51μmであれば、減肉率は下記式で算出される。
例:減肉率=(1-(破断後の試験片平行部の板厚46μm/元板厚51μm))×100=9.8%
次に、素材の抗張力、伸びを測定した。
得られたフィン材に対し、JIS5号試験片形状にて、クロスヘッドスピード3mm/minで引張試験を実施し、測定した。その結果を表1、2に示した。
ろう付加熱処理
得られたフィン材に対し、昇温速度昇温100℃/分にて室温から595℃までの熱処理を実施した。577℃以上の熱処理時間は2分とした。最高温度に到達後冷却を開始し、550℃~300℃の冷却速度が100℃/分になるように冷却速度を制御し、300℃~100℃まではファン冷却し、ろう付相当熱処理とした。この際のヒートパターンを図6に示した。
ろう付後の材料に対し、導電率を測定した。
得られたフィン材に対し、JISに則った導電率測定をダブルブリッジ法にて実施した。また、ろう付前の素材の導電率を測定しておき、ろう付け前後における減少率を測定した。
導電率の減少率は、(1-(ろう付熱処理後の導電率/素材導電率))×100で算出される、例えば、素材のフィン材の導電率が53%IACS、ろう付熱処理後の導電率が43%IACSである場合、
導電率の減少率=(1-(ろう付熱処理後の導電率43%IACS/素材導電率53%IACS))×100=18.9%で算出される。
各供試材の素材導電率および導電率減少率を表1、2に示した。
ろう付後の抗張力の測定
ろう付熱処理後のフィン材に対し、JIS5号試験片形状にて、クロスヘッドスピード3mm/minで引張試験を実施し、測定した。その結果を表1、2に示した。
ろう付後結晶粒径の測定
得られたフィン材に対し、上記のろう付熱処理を実施後、塩酸、硝酸、佛酸の混合水溶液にてエッチングを実施し、フィン材のL-LT表面の組織を明確にした。その後フィン材の組織をCCDカメラで撮影した。
得られた写真に対し、図7に示すように、写真と等倍の4000μmの直線を5本、L方向に平行に引き、その直線上にある結晶粒数を計測する。次に同一の組織写真について写真と等倍の4000μmの直線を5本、L方向に垂直に引き、その直線状にある結晶粒数を計測した。得られた結晶粒数の合計から、以下の式によって結晶粒径を算出した。その結果をろう付後結晶粒径として表1、2に示した。
結晶粒径(μm)=40000(直線10本の合計長さ)/合計結晶粒数
Figure 0007226935000001
Figure 0007226935000002
フィン材の評価は、鋳造性、バリ高さ、成形荷重、成形時の破断、成形精度、耐エロージョン性、耐久性、放熱性能、耐食性の各項目について実施し、その結果を表3、4に示した。各評価項目の判定基準を下記に示す。
(a)鋳造性
鋳造性は、実機での鋳造時に下工程の負荷が困難となるような割れが発生するか否かを判定した。
〇:鋳造時に鋳塊に割れが発生し、下工程の負荷が不可な場合、×:割れが発生しない、もしくは発生しても下工程の負荷が可能な場合
(b)バリ高さ
コルゲート成形後のフィン材のルーバー部にてバリの高さを測定し、基準値内にあるか判定した。
〇:バリ高さが板厚の≦13%、×:バリ高さ>13%
(c)成形荷重
コルゲート成形時の成形荷重を計測し、基準値内にあるか判定した。
〇:コルゲート成形機仕様上限の≦60%、×:仕様上限の>60%
(d)成形時の破断
コルゲート成形時にフィン材が破断するかを判定する。
〇:コルゲート成形時にフィン材の破断なし、×:破断する
(e)成形精度
コルゲート成形後のフィン材について、その成形精度が基準値内にあるかを判定した。
〇:コルゲート成形後のフィン材にて、フィンピッチが設計値の≦±2%、×: >±2%
(f)耐エロージョン性
ろう付後の熱交換器コアのフィン/チューブ接合部を観察し、エロージョンによるフィン材の座屈があるかを判定した。
〇:熱交換器コアにてフィンのエロージョンによる座屈がないこと、×:座屈発生
(g)耐久性
静圧試験にてフィン材の耐久性を判定した。
〇:熱交換器コアにて静圧試験200kPaでチューブ膨張によるフィンの潰れなし、×:フィンが潰れる
(h)放熱性能
熱交換器での放熱性能を試験し、設計値との乖離を判定した。
〇:熱交換器コアにて放熱性能が設計値の≧70%、×:<70%
(i)耐食性
耐食性試験を実施し、貫通孔の有無にて判定した。
〇:SST30日にて貫通孔の発生が無いこと、×:貫通孔発生
Figure 0007226935000003
Figure 0007226935000004
1 熱交換器
2 ヘッダー
3 チューブ
4 フィン
5 サイドプレート

Claims (8)

  1. 板厚0.06mm以下の熱交換器用フィン材であって、
    Mn:0.6~1.8質量%、Si:0.1~1.4質量%、Zn:0.8~4.0質量%を含有するAl-Mn系合金からなり、
    最終の圧延後、焼鈍に供しない圧延ままでまたは焼鈍後で、成形加工前の状態における素材であり、平均縦横比が7.0以上である繊維状の結晶粒を有し、かつLT-ST断面の結晶粒が板厚方向に3個以下、その断面の平均アスペクト比が2~5以下であり、さらに、L-LT面の表面において30mm×30mmの面積内に前記繊維状の結晶粒が20個以上存在していることを特徴とする成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  2. 引張試験による破断試験で、破断後の試験片平行部の減肉率((1-(破断後の試験片平行部の板厚/元板厚))×100が3.0~12.0%であることを特徴とする請求項1に記載の成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  3. 張力が180MPa~230MPaであり、かつ伸びが3~9%であることを特徴とする請求項1または2に記載の成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  4. 前記Al-Mn系合金が、さらに、Fe:0.05~0.70質量%を含有し、Cuが0.05質量%以下に規制されている請求項1~3のいずれか1項に記載の成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  5. 電率が50%IACS以上であり、かつ、ろう付熱処理後において、その導電率の減少率(1-(前記ろう付熱処理後の導電率/前記素材の導電率))×100が10~30%であることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  6. 前記ろう付熱処理後において、抗張力が100MPa以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  7. 前記ろう付熱処理後の結晶粒径が150μm以上であることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の成形性に優れた熱交換器用フィン材。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載された熱交換器用フィン材からなるフィンとチューブとがろう付け接合されている熱交換器。
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