JP6328472B2 - 熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法 - Google Patents
熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法 Download PDFInfo
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(1)mass%でSiを1.0〜1.8%、Feを0.3〜0.9%、Mnを1.0〜1.8%、Znを0.5〜2.0%、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用いる。
(4)冷間圧延における最終圧延率を30〜50%の範囲とする。
本発明のアルミニウム合金フィン材の組成は、mass%で、Siを1.0〜1.8%、Feを0.3〜0.9%、Mnを1.0〜1.8%、Znを0.5〜2.0%含有し、残部がAl及び不可避的不純物である。以下において、成分元素の添加理由及び含有範囲を限定する理由について説明する。
Siは材料の強度を向上させるのに必須の元素である。SiはAl、Fe、Mnと共にAl−Fe−Si系、Al−Mn−Si系、Al−Fe−Mn−Si系化合物を形成することで分散強化を起こし、又はマトリクス中に固溶することで固溶強化を起こして強度を向上させる。本発明ではSiの含有範囲を1.0〜1.8%、好ましくは1.2〜1.5%とする。含有量が1.0%未満では、分散強化と固溶強化が十分ではなく、ろう付け加熱後の強度が低下する。一方、含有量が1.8%を超えると固相線温度が低下し、ろう付け中にフィンが溶融する虞がある。
Feは材料の強度を向上させるのに必須の元素である。Feは、双ロール式連続鋳造圧延時に、Al−Fe系、Al−Fe−Si系、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系微細化合物として形成されるために、分散強化を起こして材料の強度を向上させる。また、それらの微細化合物はろう付け中に再結晶核を抑制するので、ろう付け後の結晶粒径を粗大にさせ、フィン材へのろう拡散を抑制する。本発明ではFeの含有範囲を0.3〜0.9%、好ましくは0.4〜0.7%とする。含有量が0.3%未満では、上記の効果を十分得ることができない。一方で、含有量が0.9%を超えると鋳造時に粗大晶出物が形成されるので、塑性変形性が低下し、圧延性及びコルゲート成形性が低下してしまう。また、微細化合物によるカソードサイトが増加するために、腐食起点が増加し、自己耐食性が低下する懸念がある。
Mnは材料の強度を向上させるのに必須の元素である。MnはAl、Fe、Siと共にAl−Fe−Mn系、Al−Mn−Si系、Al−Fe−Mn−Si系化合物を形成することで分散強化を起こし、又はマトリクス中に固溶することで固溶強化を起こして強度を向上させる。また、Mnは固溶Siが化合して、マトリクスの固溶Si量を低下させるので、材料の融点を向上させ、ろう付け時の溶融を防止することができる。本発明ではMnの含有量を1.0〜1.8%、好ましくは1.2〜1.5%とする。含有量が1.0%未満では上記の効果を十分得ることができない。一方、含有量が1.8%を超えると、鋳造時に粗大晶出物が形成されるので、塑性変形性が低下し、圧延性及びコルゲート成形性が低下してしまう。また、マトリクスへのMn固溶量が多くなり熱伝導率が低下しやすくなる。
Znは材料の自然電位を卑にし、犠牲防食効果の向上に寄与する。本発明ではZnの含有量を0.5〜2.0%、好ましくは1.0〜1.5%とする。含有量が0.5%未満では上記の効果を十分得ることが出来ない。一方、2.0%を超えると自己腐食速度が増大し、自己耐食性が低下する。
次に、本発明の実施形態では、上記組成からなるアルミニウム合金の溶湯を双ロール式連続鋳造圧延法によりアルミニウム合金板状鋳塊とし、このアルミニウム合金板状鋳塊に対して、少なくとも1回以上の焼鈍と1回以上の冷間圧延を施す。以下、工程毎に説明する。
まず、上記組成からなるアルミニウム合金の溶湯を双ロール式連続鋳造圧延法で板状鋳塊にする。双ロール式連続鋳造圧延法は、鋳造時のアルミニウム合金溶湯の冷却速度が100〜1000℃/秒であり、一般的なDC(Direct Chill)法の20〜100℃/秒よりも冷却速度が速い。そのために鋳造時にAl−Fe系、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系などの金属間化合物が微細に分散し易い。微細分散した金属間化合物はマトリクスに固溶したSi、Fe、Mnの析出を促進するので、分散強化により強度が向上しやすく、更には熱伝導率も向上し易い。また、微細化合物が多いためにコルゲート成形型の磨耗が少ない。
続いて、得られた板状鋳塊に対して、最終板厚にするまでに少なくとも1回以上の焼鈍を行う。ここで、焼鈍における入熱量は、一般的に計算される熱量とは異なる。一般的には、電流、電圧、時間の積で熱量を求められるが、工業的な焼鈍において電流及び電圧の規定をしても意味のある数値とはいえない。本発明では、i回目の一回当たりの焼鈍において、温度と各温度に対応した係数と時間の積を入熱量Ai(℃・h)と定義し、一回当たりの焼鈍による入熱量Aiを10≦Ai≦40000の範囲と規定する。その入熱量Aiは式3により計算される。
この温度チャートにおける焼鈍一回当たりの入熱量Aは、
A=a1+a2+a3+a4+a5
=α1×S1+α2×S2+α3×S3+α4×S4+α5×S5・・・(式4)と表すことができる。
図2に示す温度フローチャートに基づき、入熱量Aの計算した例を示す。
同図の温度フローチャートとして、昇温速度、降温速度共に50℃/hとし、430℃で2h焼鈍した場合を示し、表1に示した係数と各領域の面積(=温度と時間の積、この場合は台形に相当)の積を足し合わせて、以下のように入熱量Aを算出する。
入熱量A=α4×S4(430℃から400℃の面積)+α3×S3(400℃から350℃の面積)+α2×S2(350℃から300℃の面積)+α1×S1(300℃から250℃の面積)
=20×(430℃−400℃)×(2h+3.2h)/2
+10×(400℃−350℃)×(3.2h+5.2h)/2
+0.05×(350℃−300℃)×(5.2h+7.2h)/2
+0.01×(300℃−250℃)×(7.2h+9.2h)/2
= 3680(℃・h)
さらに、焼鈍を複数回行った場合の全回数の合計の入熱量Tは、
本製造方法では、冷間圧延における最終圧延率を20〜50%と規定する。最終圧延率が20%未満だと、ろう付け加熱中の再結晶の駆動力が低下し、再結晶が十分に起こらずにエロージョンが発生する虞がある。一方、最終圧延率が50%を超えると、ろう付け加熱前の強度が高くなりコルゲート成形性を確保できない虞やろう付け加熱後の再結晶が極めて微細になってろう付け性を確保できない虞がある。
本製造方法によれば、個々の焼鈍による入熱量及び合計の焼鈍による入熱量の範囲さえ満足していれば、焼鈍回数によらずコルゲート成形性や犠牲陽極効果に優れ、ろう付け加熱後に高い強度を有し、ろう付け性に優れ、かつ耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することができる。
まず、表2に示す組成の合金を用い、双ロール式連続鋳造圧延法により板状鋳塊を得た。なお、表2中の(※)は本発明で規定する範囲外であることを示している。
表3に焼鈍工程における入熱量と圧延工程における最終圧延率を示す。本実施例では焼鈍回数は3回としている。また、最終的なフィン材の板厚は全て0.05mmである。なお、表3中の(※)は本発明で規定する範囲外であることを示している。
No.56は、Si含有量が少ないため、ろう付け加熱後強度が低かった。
No.57は、Fe含有量が多いため、鋳造時に粗大晶出物が発生した。
No.58は、Fe含有量が少ないため、ろう付け加熱後強度に劣り、ろう付け加熱後の結晶粒が微細になりろう拡散性に劣った。
No.59は、Mn含有量が多いため、鋳造時に粗大晶出物が発生した。
No.60はMn含有量が少ないため、ろう付け加熱後の強度に劣り、ろう付け加熱後の結晶粒が微細になりろう拡散性に劣った。
No.61はZn含有量が多く、自己耐食性に劣った。
No.62はZn含有量が少なく、自然電位が貴になり、十分な犠牲防食効果を確保できなかった。
No.63は一回の焼鈍による入熱量が多すぎたため、ろう付け加熱後の強度が低下した。
No.64は合計の焼鈍による入熱量が多いため、ろう付け加熱後の強度が低下した。
No.65、66は一回の焼鈍による入熱量が少ないため、材料が十分に軟化せずろう付け加熱前強度が高かった。
No.67及びNo.69は最終圧延率が低いため、ろう拡散が発生した。
No.68及びNo.70は最終圧延率が高いため、ろう付け加熱後の結晶粒が微細化し、ろう拡散が発生した。
Claims (4)
- mass%でSiを1.0〜1.8%、Feを0.3〜0.9%、Mnを1.0〜1.8%、Znを0.5〜2.0%、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用いて鋳造したアルミニウム合金鋳塊に対して、少なくとも1回以上の焼鈍と1回以上の冷間圧延を施し、下記式1によって算出されるi回目の焼鈍一回当たりの入熱量Ai(℃・h)が10以上40000以下であり、
前記係数α k は、250℃以上300℃未満では0.01、300℃以上350℃未満では0.05、350℃以上400℃未満では10、400℃以上450℃未満では20、450℃以上では30であり、
かつ、前記冷間圧延における最終圧延率を30〜50%の範囲とすることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。 - 前記鋳造は、双ロール式連続鋳造圧延法により行うことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
- 最終板厚が0.04〜0.2mmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
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