JP6328472B2 - 熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法 - Google Patents

熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、コルゲート成形性及びろう付け加熱後の強度に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法に関するものである。
アルミニウム合金は軽量で強度に優れ、更には熱伝導率に優れることから、熱交換器、例えば、ラジエータ、ヒーターコア、コンデンサ、インタークーラ等に好適に用いられている。上記熱交換器は、例えば、コルゲート成形によって波形に成形されたアルミニウム合金のフィンを他の部材とろう付け接合して組み立てられる。アルミニウム合金フィン材の合金としては、熱伝導性に優れるJIS1050合金等の純アルミニウム系合金や、強度および耐座屈性に優れるJIS3003合金等のAl−Mn系合金が一般的に用いられてきた。
ところで、近年は熱交換器に対して軽量化、小型化及び高性能化の要求が高まってきている。これに伴い、ろう付け接合されるアルミニウム合金フィン材についても、薄肉で、ろう付け加熱後の強度、熱伝導性及び耐食性等の特性に優れていることが望まれている。特に、フィン材の薄肉化が進むに伴い、更なるろう付け加熱後の強度の向上が求められている。しかし、一般的にろう付け加熱後の強度を向上させると、同時にろう付け加熱前の強度が向上するためにコルゲート成形性が低下する。このため、ろう付け加熱後強度とコルゲート成形性を両立することは困難であった。
アルミニウム合金フィン材として、特許文献1には、双ベルト式連続鋳造圧延法により鋳造し、ろう付け加熱前の金属組織がファイバー組織である板厚が40〜200μmの高強度アルミニウム合金フィン材が記載されている。しかし、中間焼鈍時に再結晶させず、ろう付け加熱前の金属組織をファイバー組織としており、素材状態でのひずみ量が多くなる。その結果、素材強度が高くなり、薄肉のフィン材をコルゲート加工する際に、所定の寸法精度が得られず、熱交換器の性能が低下する虞がある。
特許文献2には、双ベルト式連続鋳造法により鋳造し、第1次中間焼鈍を250〜550℃、第2次中間焼鈍を360〜550℃の温度で行い、最終板厚を40〜200μmとした熱交換器用アルミニウム合金フィン材が開示されている。しかし、ろう付け加熱前の金属組織が規定されておらず、ろう付け加熱前の素材強度が高く、コルゲート成形性を低下させる可能性がある。
特許文献3には、連続鋳造圧延法により鋳造し、1回目の焼鈍を450〜600℃の温度で1〜10h行い、最終板厚を0.1mm以下とした耐エロージョン性に優れたアルミニウム合金材の製造方法が提案されている。しかし、中間焼鈍を高温で行っているため、前述したように焼鈍時に第2相粒子が粗大化して疎な分布になり、ろう付け加熱後の強度が低下してしまう。また、ろう付け加熱後の結晶粒径が微細になることが予想され、ろう付け性を確保できない虞がある。
特許文献4には、半連続鋳造法で鋳造し、Niを含有することにより優れた耐食性を有する熱交換器用アルミニウム合金フィン材が記載されている。しかし、Niを含む化合物はマトリクスとの電位差が大きく、腐食の起点となりやすいことから、自己耐食性が低く、実用上不十分である。また、半連続鋳造法では鋳造中に生成する化合物のサイズが連続鋳造圧延法と比較して大きく、腐食の起点となる化合物が多く腐食が進行し易いことから、自己耐食性に劣ることになる。
特開2007−31778号公報 特開2008−38166号公報 特開2008−308761号公報 特開2003−147466号公報
以上のように従来の熱交換器用フィン材では、コルゲート成形性及びろう付け加熱後強度を両立するような十分な性能を有するものは開発されておらず、また、焼鈍時の処理条件が厳しく規制されており、入熱量に自由度が無かった。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、コルゲート成形性及びろう付け加熱後の強度に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法であって、焼鈍時の入熱量に自由度を有する製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題について研究した結果、特定の合金組成を有するアルミニウム合金に対して焼鈍時の入熱量と最終圧延率を調整することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法は、以下の(1)〜(3)を特徴としている。
(1)mass%でSiを1.0〜1.8%、Feを0.3〜0.9%、Mnを1.0〜1.8%、Znを0.5〜2.0%、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用いる。
(2)上記アルミニウム合金を用いて鋳造したアルミニウム合金鋳塊に対して、少なくとも1回以上の焼鈍と1回以上の冷間圧延を施し、下記式1によって算出されるi回目の焼鈍一回当たりの入熱量Ai(℃・h)が10以上40000以下とする。
Figure 0006328472
(3)前記係数α は、250℃以上300℃未満では0.01、300℃以上350℃未満では0.05、350℃以上400℃未満では10、400℃以上450℃未満では20、450℃以上では30である。
)冷間圧延における最終圧延率を0〜50%の範囲とする。
また、下記式2によって算出される焼鈍全回数の合計の入熱量Tが10以上60000以下であることが好ましい。
Figure 0006328472
本発明の製造方法によれば、焼鈍時の入熱量に自由度を持たせつつ、コルゲート成形性及びろう付け加熱後の強度に優れた熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することができる。
焼鈍時の温度チャートと入熱量の計算方法を示す図である。 入熱量Aを計算するための温度チャートの一例を示す図である。
以下、本発明の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法について詳細に説明する。
[1.アルミニウム合金フィン材の組成]
本発明のアルミニウム合金フィン材の組成は、mass%で、Siを1.0〜1.8%、Feを0.3〜0.9%、Mnを1.0〜1.8%、Znを0.5〜2.0%含有し、残部がAl及び不可避的不純物である。以下において、成分元素の添加理由及び含有範囲を限定する理由について説明する。
(Si:1.0%以上1.8%以下)
Siは材料の強度を向上させるのに必須の元素である。SiはAl、Fe、Mnと共にAl−Fe−Si系、Al−Mn−Si系、Al−Fe−Mn−Si系化合物を形成することで分散強化を起こし、又はマトリクス中に固溶することで固溶強化を起こして強度を向上させる。本発明ではSiの含有範囲を1.0〜1.8%、好ましくは1.2〜1.5%とする。含有量が1.0%未満では、分散強化と固溶強化が十分ではなく、ろう付け加熱後の強度が低下する。一方、含有量が1.8%を超えると固相線温度が低下し、ろう付け中にフィンが溶融する虞がある。
(Fe:0.3%以上0.9%以下)
Feは材料の強度を向上させるのに必須の元素である。Feは、双ロール式連続鋳造圧延時に、Al−Fe系、Al−Fe−Si系、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系微細化合物として形成されるために、分散強化を起こして材料の強度を向上させる。また、それらの微細化合物はろう付け中に再結晶核を抑制するので、ろう付け後の結晶粒径を粗大にさせ、フィン材へのろう拡散を抑制する。本発明ではFeの含有範囲を0.3〜0.9%、好ましくは0.4〜0.7%とする。含有量が0.3%未満では、上記の効果を十分得ることができない。一方で、含有量が0.9%を超えると鋳造時に粗大晶出物が形成されるので、塑性変形性が低下し、圧延性及びコルゲート成形性が低下してしまう。また、微細化合物によるカソードサイトが増加するために、腐食起点が増加し、自己耐食性が低下する懸念がある。
(Mn:1.0%以上1.8%以下)
Mnは材料の強度を向上させるのに必須の元素である。MnはAl、Fe、Siと共にAl−Fe−Mn系、Al−Mn−Si系、Al−Fe−Mn−Si系化合物を形成することで分散強化を起こし、又はマトリクス中に固溶することで固溶強化を起こして強度を向上させる。また、Mnは固溶Siが化合して、マトリクスの固溶Si量を低下させるので、材料の融点を向上させ、ろう付け時の溶融を防止することができる。本発明ではMnの含有量を1.0〜1.8%、好ましくは1.2〜1.5%とする。含有量が1.0%未満では上記の効果を十分得ることができない。一方、含有量が1.8%を超えると、鋳造時に粗大晶出物が形成されるので、塑性変形性が低下し、圧延性及びコルゲート成形性が低下してしまう。また、マトリクスへのMn固溶量が多くなり熱伝導率が低下しやすくなる。
(Zn:0.5%以上2.0%以下)
Znは材料の自然電位を卑にし、犠牲防食効果の向上に寄与する。本発明ではZnの含有量を0.5〜2.0%、好ましくは1.0〜1.5%とする。含有量が0.5%未満では上記の効果を十分得ることが出来ない。一方、2.0%を超えると自己腐食速度が増大し、自己耐食性が低下する。
以上の各元素の他は、基本的にはAlおよび不可避的不純物とすれば良いが、通常アルミニウム合金に添加される上記以外の元素も、特性に大きな影響を与えない範囲内で許容される。例えば、鋳造時の微細化剤として添加されるTiやBはそれぞれ0.1%以下、0.01%以下であれば支障はなく、また強度向上のために添加されることがあるCrやV、Zrは、それぞれ0.1%以下であれば特に問題はない。
[2.製造工程]
次に、本発明の実施形態では、上記組成からなるアルミニウム合金の溶湯を双ロール式連続鋳造圧延法によりアルミニウム合金板状鋳塊とし、このアルミニウム合金板状鋳塊に対して、少なくとも1回以上の焼鈍と1回以上の冷間圧延を施す。以下、工程毎に説明する。
(双ロール式連続鋳造圧延法)
まず、上記組成からなるアルミニウム合金の溶湯を双ロール式連続鋳造圧延法で板状鋳塊にする。双ロール式連続鋳造圧延法は、鋳造時のアルミニウム合金溶湯の冷却速度が100〜1000℃/秒であり、一般的なDC(Direct Chill)法の20〜100℃/秒よりも冷却速度が速い。そのために鋳造時にAl−Fe系、Al−Fe−Mn系、Al−Fe−Mn−Si系などの金属間化合物が微細に分散し易い。微細分散した金属間化合物はマトリクスに固溶したSi、Fe、Mnの析出を促進するので、分散強化により強度が向上しやすく、更には熱伝導率も向上し易い。また、微細化合物が多いためにコルゲート成形型の磨耗が少ない。
双ロール連続鋳造圧延法では、溶湯温度を680〜800℃に保持することが好ましい。ここで、溶湯温度とは、給湯ノズル直前にあるヘッドボックスの温度である。溶湯温度が低過ぎると鋳造中に粗大晶出物が形成しやすく、材料の塑性変形性が低下するので、最悪の場合は後の冷間圧延中に板が破断する虞がある。一方、溶湯温度が高過ぎると、鋳造中に溶湯が凝固せず板状鋳塊を得ることができない。
(焼鈍)
続いて、得られた板状鋳塊に対して、最終板厚にするまでに少なくとも1回以上の焼鈍を行う。ここで、焼鈍における入熱量は、一般的に計算される熱量とは異なる。一般的には、電流、電圧、時間の積で熱量を求められるが、工業的な焼鈍において電流及び電圧の規定をしても意味のある数値とはいえない。本発明では、i回目の一回当たりの焼鈍において、温度と各温度に対応した係数と時間の積を入熱量A(℃・h)と定義し、一回当たりの焼鈍による入熱量Aを10≦A≦40000の範囲と規定する。その入熱量Aは式3により計算される。
Figure 0006328472
式3の係数αは表1に示すように各焼鈍温度領域で異なっており、各焼鈍温度領域で金属組織に及ぼす影響を示す指標となっている。
Figure 0006328472
表1に示すように、式3の係数αは、例えば、250℃以上300℃未満では0.01、300℃以上350℃未満では0.05、350℃以上400℃未満では10、400℃以上450℃未満では20、450℃以上では30とする。
また、本実施形態では入熱の対象とする温度を250℃以上の焼鈍温度とする。250℃未満の焼鈍温度では、材料の金属組織に与える影響は少なく、長時間の焼鈍を行ってもあまり意味はない。一般的に焼鈍温度が高いと、鋳造時の晶出物はマトリクス中の元素の固溶量が低下し、金属間化合物が粗大かつ疎に析出する。係数αはその程度を示す度合となっており、値が大きいほどその程度が強い。一方で、焼鈍温度が低いとマトリクス中の元素の固溶量が高いままで、金属間化合物は微細かつ密に析出する。
式3中のAは、10〜40000とする。Aが10未満では、入熱量が少ないためろう付け加熱後の強度は高いものの、材料の軟化が十分ではなく、ろう付け加熱前の強度が高いために、コルゲート成形性に劣る。一方で、Aが40000を超えると、ろう付け加熱前の強度は低くコルゲート成形性を損なわないが、ろう付け加熱後の強度が大きく下がるために、最終的な熱交換器の耐久性が低下してしまう。
図1に、焼鈍時の温度チャートの模式図を示す。
この温度チャートにおける焼鈍一回当たりの入熱量Aは、
A=a+a+a+a+a
=α×S+α×S+α×S+α×S+α×S・・・(式4)と表すことができる。
ここで、a:各温度領域の入熱量、α:各温度領域の係数、S:各温度領域の面積(温度×時間)である。
(入熱量Aの計算例)
図2に示す温度フローチャートに基づき、入熱量Aの計算した例を示す。
同図の温度フローチャートとして、昇温速度、降温速度共に50℃/hとし、430℃で2h焼鈍した場合を示し、表1に示した係数と各領域の面積(=温度と時間の積、この場合は台形に相当)の積を足し合わせて、以下のように入熱量Aを算出する。
入熱量A=α×S(430℃から400℃の面積)+α×S(400℃から350℃の面積)+α×S(350℃から300℃の面積)+α×S(300℃から250℃の面積)
=20×(430℃−400℃)×(2h+3.2h)/2
+10×(400℃−350℃)×(3.2h+5.2h)/2
+0.05×(350℃−300℃)×(5.2h+7.2h)/2
+0.01×(300℃−250℃)×(7.2h+9.2h)/2
= 3680(℃・h)
以上は、バッチ炉で焼鈍した場合を想定した場合の計算例である。計算を容易にするために入熱部分の面積を台形としたが、ソルトバスなどのように急速昇温(温度チャートは長方形に近似)した場合でも、入熱量さえ同じであればバッチ炉の場合と同等の性能を得ることができる。更に、実機では一般的に温度チャートは曲線を描くが、この場合でも曲線を積分すれば面積を得られ、入熱量が本発明で規定した範囲を満たしていれば、良好な性能の熱交換器用フィン材を得ることができる。また、入熱量が規定の範囲に入っていれば、温度と時間は自由に選択することが可能であり、どの場合でもコルゲート成形性、ろう付け加熱後強度、耐食性及びろう付け性に優れる熱交換器用フィン材得ることができる。
(焼鈍全回数の合計の入熱量T)
さらに、焼鈍を複数回行った場合の全回数の合計の入熱量Tは、
Figure 0006328472
で表すことができる。焼鈍全回数の合計の入熱量Tは、以下の実施例の結果を参酌して10〜60000とすることが好ましい。
(圧延)
本製造方法では、冷間圧延における最終圧延率を20〜50%と規定する。最終圧延率が20%未満だと、ろう付け加熱中の再結晶の駆動力が低下し、再結晶が十分に起こらずにエロージョンが発生する虞がある。一方、最終圧延率が50%を超えると、ろう付け加熱前の強度が高くなりコルゲート成形性を確保できない虞やろう付け加熱後の再結晶が極めて微細になってろう付け性を確保できない虞がある。
(効果)
本製造方法によれば、個々の焼鈍による入熱量及び合計の焼鈍による入熱量の範囲さえ満足していれば、焼鈍回数によらずコルゲート成形性や犠牲陽極効果に優れ、ろう付け加熱後に高い強度を有し、ろう付け性に優れ、かつ耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供することができる。
以下に、本発明の効果を実施例に基づいて詳細に説明する。
まず、表2に示す組成の合金を用い、双ロール式連続鋳造圧延法により板状鋳塊を得た。なお、表2中の(※)は本発明で規定する範囲外であることを示している。
Figure 0006328472
次に、この板状鋳塊に対して、表3に示す条件で焼鈍と冷間圧延を施した。
表3に焼鈍工程における入熱量と圧延工程における最終圧延率を示す。本実施例では焼鈍回数は3回としている。また、最終的なフィン材の板厚は全て0.05mmである。なお、表3中の(※)は本発明で規定する範囲外であることを示している。
Figure 0006328472
得られたフィン材に対して、フィン材単体でろう付け加熱を600℃で3分間行い、以下のフィン材の性能(a)〜(f)を調査した。このろう付け加熱条件は一般的に行われている条件である。表4にその評価結果を示す。なお、表4中の(※)は本発明で規定する範囲外の組成や工程を含んでいることを示している。
Figure 0006328472
(a)ろう付け加熱前強度:ろう付け加熱前強度が高すぎると、コルゲート成形性を損なうので、ろう付け加熱前強度は230MPa以下であることが望ましい。このため、230MPaを超えるものについては(×)を付した。
(b)固相線温度:固相線温度が低いと、ろう付け加熱時にフィンが溶融する懸念がある。従って、固相線温度は610℃以上であることが望ましいため、610℃未満のものに(×)を付した。また、固相線温度はDSC測定により求めた。
(c)ろう付け加熱後強度:ろう付け加熱後強度が高いほど、熱交換器の耐久性が向上する。従って、ろう付け加熱後強度が130MPa以上であることが望ましい。このため、130MPa未満のものに(×)を付した。
(d)ろう拡散性:フィンへのろう侵食量が多いと、熱交換器の耐久性及び熱交換性能が低下し、ろう付け加熱後の熱交換器の寸法が狙い通りにならないという問題がある。ろう拡散性の評価は以下のように行った。フィン材を幅16mm、山高さ5mm、山間隔3mmにコルゲート成形したフィンと、JIS3003の心材に5%の割合でJIS4045ろう材をクラッドした板厚0.5mmのブレージングシートを用いて評価用コアを組み、ろう付け加熱後に評価用コアの断面を光学顕微鏡によるミクロ観察を行い、ろう侵食の有無を確認した。ろう侵食の無いものは「○」、ろう侵食が起きていたものは「×」とした。
(e)自然電位:自然電位が貴になると犠牲陽極効果が小さく、熱交換器の耐食性を確保することが出来ない。ろう付け加熱後の自然電位が−720mV以下であれば、十分な犠牲陽極効果を有するフィン材であると判断し、表4中では「○」で示した。自然電位が−720mVを超えると、十分な犠牲陽極効果を有さないと判断し、「×」とした。自然電位の測定は、Ag/AgCl(s)を参照電極とし、測定溶液25℃の5%NaCl水溶液中で行った。
(f)自己腐食速度:フィン材の自己腐食速度が速いと、熱交換器中でフィンとして形状を維持している時間が短くなるために、熱交換器の耐久性及び耐食性が低下する。JIS Z2371に従って、200時間の塩水噴霧試験を行った後に腐食減少量を測定し、もとのサンプル質量に対する腐食減少量の比率を自己腐食速度の速さの指標(腐食減量)とした。腐食減量が5%未満であれば、実用上において十分な自己腐食速度があると判断した。このため、5%以上のものに(×)を付した。
表4の結果によれば、発明例No.1〜54は、ろう付け加熱前は強度が低くかつ固相線温度が高いのに対して、ろう付け加熱後は、強度が高く、ろう拡散が少なく、自然電位が卑であり、導電率が高く、腐食減量が少ないことが判明した。これにより、発明例No.1〜54では、コルゲート成形性に優れるとともに、ろう付け加熱中に溶融しにくく、ろう付け加熱後強度が大きいものとなることが確認できた。
一方、表4の比較例No.55〜70では、いずれも熱交換器用アルミニウム合金フィン材として必要な性能のいずれかが欠落或いは不十分であった。即ち、No.55は、Si含有量が多いため、固相線温度が低下した。
No.56は、Si含有量が少ないため、ろう付け加熱後強度が低かった。
No.57は、Fe含有量が多いため、鋳造時に粗大晶出物が発生した。
No.58は、Fe含有量が少ないため、ろう付け加熱後強度に劣り、ろう付け加熱後の結晶粒が微細になりろう拡散性に劣った。
No.59は、Mn含有量が多いため、鋳造時に粗大晶出物が発生した。
No.60はMn含有量が少ないため、ろう付け加熱後の強度に劣り、ろう付け加熱後の結晶粒が微細になりろう拡散性に劣った。
No.61はZn含有量が多く、自己耐食性に劣った。
No.62はZn含有量が少なく、自然電位が貴になり、十分な犠牲防食効果を確保できなかった。
No.63は一回の焼鈍による入熱量が多すぎたため、ろう付け加熱後の強度が低下した。
No.64は合計の焼鈍による入熱量が多いため、ろう付け加熱後の強度が低下した。
No.65、66は一回の焼鈍による入熱量が少ないため、材料が十分に軟化せずろう付け加熱前強度が高かった。
No.67及びNo.69は最終圧延率が低いため、ろう拡散が発生した。
No.68及びNo.70は最終圧延率が高いため、ろう付け加熱後の結晶粒が微細化し、ろう拡散が発生した。
以上の結果より、本発明によれば、ろう付け加熱前強度が低くコルゲート成形性に優れ、固相線温度が高くろう付け加熱中に溶融しにくく、ろう付け加熱後強度が高く熱交換器コアの耐久性を向上させ、ろう拡散が少なく熱交換器コアの性能を低下させにくく、自然電位が卑であり十分な犠牲防食効果を有し、ろう付け後の導電率が高く、腐食減量が少なく自己耐食性に優れる熱交換器用アルミニウム合金フィン材を提供できることが分かった。

Claims (4)

  1. mass%でSiを1.0〜1.8%、Feを0.3〜0.9%、Mnを1.0〜1.8%、Znを0.5〜2.0%、残部がAl及び不可避的不純物からなるアルミニウム合金を用いて鋳造したアルミニウム合金鋳塊に対して、少なくとも1回以上の焼鈍と1回以上の冷間圧延を施し、下記式1によって算出されるi回目の焼鈍一回当たりの入熱量Ai(℃・h)が10以上40000以下であり、
    Figure 0006328472

    前記係数α は、250℃以上300℃未満では0.01、300℃以上350℃未満では0.05、350℃以上400℃未満では10、400℃以上450℃未満では20、450℃以上では30であり、
    かつ、前記冷間圧延における最終圧延率を0〜50%の範囲とすることを特徴とする熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
  2. さらに、下記式2によって算出される焼鈍全回数の合計の入熱量Tが10以上60000以下であることを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
    Figure 0006328472
  3. 前記鋳造は、双ロール式連続鋳造圧延法により行うことを特徴とする請求項1又は2記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
  4. 最終板厚が0.04〜0.2mmであることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項記載の熱交換器用アルミニウム合金フィン材の製造方法。
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