JP7225694B2 - 磁気センサ - Google Patents

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本発明は、磁気検出部に印加される検出対象磁界に応じた電流を磁界発生導体に流す構成の磁気センサに関する。
下記特許文献1は、微小な磁界の検出が可能な磁界検出センサを開示する。この磁界検出センサは、ブリッジ回路を成す4つの磁気抵抗効果素子と、磁性体とを備える。当該4つの磁気抵抗効果素子の固定磁化方向は互いに同じである。磁性体は、ブリッジ回路からみて垂直方向の検出対象磁界を集磁し、集磁された当該検出磁界を、当該ブリッジ回路を構成する4つの磁気抵抗効果素子が有する固定磁化方向と概ね平行になる方向へ変化させる。ブリッジ回路からの差動出力は、差動演算回路に入力され、差動演算回路は、磁界発生導体に帰還電流を流す。帰還電流が流れる磁界発生導体は、4つの磁気抵抗効果素子に対して、検出対象磁界の向きとは逆方向の磁界を発生させる。帰還電流を測定することにより、検出対象磁界が測定される。
特開2015-219061号公報
特許文献1の磁気センサは、4つの磁気抵抗効果素子からなるブリッジ回路からの差動出力が実質ゼロとなるように(各磁気抵抗効果素子の位置での感磁面と平行な磁界が実質ゼロとなるように)、磁界発生導体に帰還電流を流す。このため、磁気抵抗効果素子のフリー層磁化方向が不安定で変動しやすく、センサ出力に現れるノイズが大きくなる。ノイズが大きくなると、S/N(SN比)が低下し、磁気センサの分解能が低下する。
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、ノイズを抑制することの可能な磁気センサを提供することにある。
本発明のある態様は、磁気センサである。この磁気センサは、
検出対象の第1磁界が印加される少なくとも1つの磁気抵抗効果素子を含み、前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子への印加磁界に応じた電圧を出力する磁気検出部と、
前記磁気検出部の出力電圧が入力され、前記第1磁界の大きさに応じた負帰還電流を供給する電流供給回路と、
前記負帰還電流が流れることにより、前記磁気検出部の出力電圧を所定電圧値にする第2磁界を発生する磁界発生導体と、を備え、
前記第2磁界を発生するための前記負帰還電流により前記第1磁界を検出する磁気センサであって、
前記負帰還電流が、前記第1磁界が存在しない場合はゼロではない所定電流となり、前記第1磁界が存在する場合は前記所定電流値に対して前記第1磁界に対応する分だけ増減した電流値となるよう構成されている
前記電流供給回路は、
一方の入力端子と他方の入力端子との間の電圧が前記磁気検出部の出力電圧される第1差動増幅器と、
一方の入力端子に前記第1差動増幅器の出力電圧が入力され、他方の入力端子にバイアス電圧が入力され、出力端子から前記磁界発生導体に前記負帰還電流を供給する第2差動増幅器と、を有してもよい。
前記電流供給回路は、一方の入力端子と他方の入力端子との間の電圧が前記磁気検出部の出力電圧される差動増幅器を含み、
前記差動増幅器は、オフセット調整機能を有し、自身への入力電圧がゼロの場合にゼロではない所定値の電流を出力するように調整されていてもよい。
前記磁気検出部は、前記第1磁界が印加されるブリッジ接続された複数の磁気抵抗効果素子を含み、前記複数の磁気抵抗効果素子への印加磁界に応じた電圧を出力し、
前記複数の磁気抵抗効果素子のうちの少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、前記複数の磁気抵抗効果素子のうちの他の磁気抵抗効果素子と、無磁界の場合の抵抗値が異なってもよい。
前記磁気検出部は、
前記第1磁界が印加され且つ無磁界の場合の抵抗値が互いに等しい4つの磁気抵抗効果素子をフルブリッジ接続したブリッジ回路であって、前記4つの磁気抵抗効果素子への印加磁界に応じた電圧を出力するよう構成されたブリッジ回路と、
前記ブリッジ回路の抵抗バランスを偏らせるよう接続された抵抗と、を含んでもよい。
前記抵抗は、前記ブリッジ回路の2つの出力端子の一方と電源ラインとの間に接続されてもよい。
前記磁気抵抗効果素子は、外部磁界によらず磁化方向が一定の固定層と、外部磁界によって磁化方向が変化するフリー層と、を含んでもよい。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、ノイズを抑制することの可能な磁気センサを提供することができる。
本発明の実施の形態1に係る磁気センサの磁気検出部を構成するブリッジ回路の概略回路図。 前記磁気センサにおける磁気検出部及びその近傍の概略断面図。 同概略平面図。 前記磁気センサにおける磁界発生導体の配線パターン説明図。 図1に示すブリッジ回路の各磁気抵抗効果素子の位置における検出対象磁界の向き及びそれによる各磁気抵抗効果素子の抵抗値変化を示す模式図。 図5の変形例を示す模式図。 実施の形態1に係る磁気センサの概略回路図。 前記磁気センサの磁気検出部に印加されるバイアス磁界と、前記磁気センサの磁気分解能と、の関係を示すグラフ。 検出対象磁界に対するセンサ出力の理想特性と実際の特性とを示すグラフ。 比較例に係る磁気センサの概略回路図。 磁気抵抗効果素子の磁界(感磁方向成分)に対する抵抗の特性、並びに当該特性上における実施の形態1及び比較例の各々における磁気抵抗効果素子の動作点を示す概略グラフ。 本発明の実施の形態2に係る磁気センサの概略回路図。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る磁気センサの磁気検出部を構成するブリッジ回路の概略回路図である。このブリッジ回路は、第1磁気抵抗効果素子10、第2磁気抵抗効果素子20、第3磁気抵抗効果素子30、及び第4磁気抵抗効果素子40、を備える。第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)は、外部磁界によらず磁化方向が一定の固定層と、外部磁界によって磁化方向が変化するフリー層と、を含み、固定層磁化方向は互いに同じである。第1磁気抵抗効果素子10の一端と、第2磁気抵抗効果素子20の一端は、第1電源電圧Vccが供給される第1電源ラインに接続される。第1磁気抵抗効果素子10の他端は、第4磁気抵抗効果素子40の一端に接続される。第2磁気抵抗効果素子20の他端は、第3磁気抵抗効果素子30の一端に接続される。第3磁気抵抗効果素子30の他端と、第4磁気抵抗効果素子40の他端は、第2電源電圧-Vccが供給される第2電源ラインに接続される。第1磁気抵抗効果素子10と第4磁気抵抗効果素子40の相互接続点に出力される電圧をVa、第2磁気抵抗効果素子20と第3磁気抵抗効果素子30の相互接続点に出力される電圧をVbとする。
図2は、実施の形態1に係る磁気センサにおける磁気検出部及びその近傍の概略断面図である。図3は、同概略平面図である。図2及び図3により、直交三軸であるXYZ軸を定義する。また、図2及び図3において、検出対象磁界の磁力線を併せて示している。本実施の形態の磁気センサにおいて、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)は、磁界発生導体70と共に、積層体5に設けられ、積層体5の表面上には磁性体80が設けられる。図3に示すように、 第1磁気抵抗効果素子10と第3磁気抵抗効果素子30は、X方向における位置が互いに等しい。同様に、第2磁気抵抗効果素子20と第4磁気抵抗効果素子40は、X方向における位置が互いに等しい。また、第1磁気抵抗効果素子10と第2磁気抵抗効果素子20は、Y方向における位置が互いに等しい。同様に、第3磁気抵抗効果素子30と第4磁気抵抗効果素子40は、Y方向における位置が互いに等しい。
図3において、第1磁気抵抗効果素子10及び第3磁気抵抗効果素子30の配置と、第2磁気抵抗効果素子20及び第4磁気抵抗効果素子40の配置と、が線対称となるX方向の中心線をAとする。また、第1磁気抵抗効果素子10及び第2磁気抵抗効果素子20の配置と、第3磁気抵抗効果素子30及び第4磁気抵抗効果素子40の配置と、が線対称となるY方向の中心線をBとする。磁性体80は、磁性体80のX方向の中心線とY方向の中心線がそれぞれAとBに合致する位置に配置されることが好ましい。また、磁性体80は、第1磁気抵抗効果素子10及び第2磁気抵抗効果素子20のY方向側に延在し、かつ、第3磁気抵抗効果素子30と第4磁気抵抗効果素子40の-Y方向側に延在することが好ましい。さらに、磁性体80は、積層体5側の端面がZ方向において第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)に最も近づいた配置、すなわち積層体5側の端面が積層体5の表面に接触していることが好ましい。このように配置にすることで、検出対象磁界の変化に応じた第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)の抵抗変化が、効率良く、さらに均等に発生することになる。また、積層体5内における、磁界発生導体70を形成する層は、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)が形成される層よりも下層(-Z方向側の層)であることが好ましい。磁界発生導体70を第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)が形成される層より下層に配置することで、磁性体80と第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)のZ方向の距離を近づけることができ、これにより検出対象磁界の変化に第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)が効率良く応答可能になる。磁性体80は軟磁性体であってもよい。磁性体80は、Z方向の検出対象磁界を集磁し、集磁した検出対象磁界を、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)が有する固定層磁化方向と概ね平行になる方向へ変化させる。
図4は、実施の形態1の磁気センサにおける磁界発生導体70の配線パターン説明図である。本図では、積層体5内の磁界発生導体70の配線パターンを実線で示している。磁界発生導体70は、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)と同じ積層体5内の好ましくは単一の層に形成される。図4の例では、磁界発生導体70は、1ターンに満たないU字状の平面コイルとしているが、スパイラル状に複数ターン周回する平面コイルであってもよい。磁界発生導体70の両端は、スルーホール等の端子部(ターミナル)71、72にそれぞれ電気的に接続される。磁界発生導体70は、図7で後述のように、磁気検出部を磁気平衡状態にする第2磁界を発生する。
図5は、図1に示すブリッジ回路の各磁気抵抗効果素子の位置における検出対象磁界の向き及びそれによる各磁気抵抗効果素子の抵抗値変化を示す模式図である。なお、図5及び図6では、後述のバイアス磁界は無視している。図5において検出対象磁界は、磁性体80が存在しなければ全体的に-Z方向と平行な磁界であり、磁性体80があることにより部分的に曲げられて、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)の位置において図5に示す方向の成分を持つようになっている。第1磁気抵抗効果素子10においては、検出対象磁界の方向は固定層磁化方向と同一方向となる成分を持つため、フリー層磁化方向が固定層磁化方向と一致し、第1磁気抵抗効果素子10の抵抗値は、無磁界時の抵抗値R0から-ΔRだけ変化する。一方、第2磁気抵抗効果素子20においては、検出対象磁界の方向は固定層磁化方向と逆方向となる成分を持つため、フリー層磁化方向が固定層磁化方向と逆になり、第2磁気抵抗効果素子20の抵抗値は、無磁界時の抵抗値R0から+ΔRだけ変化する。同様に、第3磁気抵抗効果素子30の抵抗値は無磁界時と比較して-ΔRだけ変化し、第4磁気抵抗効果素子40の抵抗値は無磁界時と比較して+ΔRだけ変化する。このような第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)の抵抗変化により、電圧Vaは無磁界時と比較して高くなり、電圧Vbは無磁界時と比較して低くなる。ゆえに、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)のブリッジ回路は、差動出力、すなわち検出対象磁界の変化に応じて互いに逆の変化をする電圧Vaと電圧Vbの出力が可能となっている。なお、図6のようにブリッジ回路の配線を変更し、かつ第3磁気抵抗効果素子30及び第4磁気抵抗効果素子40の固定層磁化方向を変更しても、同様に差動出力が可能である。
図7は、実施の形態1に係る磁気センサの概略回路図である。ブリッジ接続された第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)は、検出対象の第1磁界が印加される磁気検出部を構成する。第1差動増幅器51は、反転入力端子が第1磁気抵抗効果素子10と第4磁気抵抗効果素子40の相互接続点に接続され、非反転入力端子が第2磁気抵抗効果素子20と第3磁気抵抗効果素子30の相互接続点に接続され、出力端子が第2差動増幅器52の反転入力端子に接続される。第1差動増幅器51の出力端子とグランドとの間に、必要に応じて、第1差動増幅器51の出力端子の電圧を確実に決めるための抵抗を設けてもよい。第1差動増幅器51及び第2差動増幅器52はそれぞれ、単体の演算増幅器であってもよいし、演算増幅器と複数の抵抗を組み合わせたものであってもよい。第2差動増幅器52の非反転入力端子は、バイアス電圧源53のプラス端子に接続される。バイアス電圧源53のマイナス端子は、固定電圧端子としてのグランドに接続される。
バイアス電圧源53は、例えば、第1電源電圧Vccの電圧を所定の分圧比で分圧する2つの抵抗で構成できる。この場合、少なくとも一方の抵抗をトリミング可能な抵抗とすることで、任意の分圧比を設定できる。第2差動増幅器52の出力端子は、磁界発生導体70の一端に接続される。磁界発生導体70の他端とグランドとの間に、検出抵抗Rsが設けられる。第1差動増幅器51及び第2差動増幅器52は、共に両電源駆動であり、第1電源電圧Vccが供給される第1電源ラインと、第2電源電圧-Vccが供給される第2電源ラインと、にそれぞれ接続される。
第1差動増幅器51は、磁気検出部の出力電圧(電圧Va,Vb)が入力される。第2差動増幅器52は、反転入力端子に第1差動増幅器51の出力電圧が入力され、非反転入力端子にバイアス電圧源53の出力電圧(バイアス電圧)が入力され、出力端子から磁界発生導体70に負帰還電流を供給する。磁界発生導体70は、第2差動増幅器52が出力する負帰還電流が流れることにより、磁気検出部を磁気平衡状態にする第2磁界を発生する。第1差動増幅器51、第2差動増幅器52、及びバイアス電圧源53は、電流供給回路50を構成する。第2差動増幅器52及びバイアス電圧源53は、バイアス回路を構成する。電流供給回路50は、磁気検出部の出力電圧が入力され、前記第2磁界を発生するための電流(負帰還電流)を磁界発生導体70に供給する。
電流供給回路50は、第1差動増幅器51の出力電圧と、バイアス電圧源53の出力電圧と、が略一致するところで動作が安定する構成である。第2差動増幅器52は、第1差動増幅器51の出力電圧がバイアス電圧源53の出力電圧と略一致するように、すなわち第1差動増幅器51に入力される電圧Va,Vbの差がゼロではない所定値となるように、磁界発生導体70に負帰還電流を供給する。このため、本実施の形態の磁気センサにおいては、磁気検出部に印加される磁界が電圧Va,Vbの差を前記所定値にする状態が、磁気検出部の磁気平衡状態(閉ループの帰還点)となる。
磁界発生導体70に流れる負帰還電流は、磁界発生導体70に直列接続された抵抗Rsにも流れる。検出抵抗Rsの両端の電圧が、磁気センサとしての出力電圧Voutとなる。図7に示すように負帰還電流をIとすると、出力電圧Voutは、Vout=Rs×Iとなる。負帰還電流は、検出対象磁界(第1磁界)の大きさと一対一で対応するため、出力電圧Voutにより、検出対象磁界を検出することができる。なお、電流供給回路50は、検出対象磁界が存在しない場合に、磁界発生導体70にゼロではない所定値の電流(バイアス電流)を供給するため、出力電圧Voutは、検出対象磁界が存在しなくてもゼロにはならない。よって、検出対象磁界が存在するときの出力電圧Voutから、検出対象磁界が存在しないときの出力電圧Vout(既定値)を減じた電圧が、検出対象磁界に起因する電圧となる。
図8は、実施の形態1に係る磁気センサの磁気検出部に印加されるバイアス磁界と、前記磁気センサの磁気分解能と、の関係を示すグラフである。図8の横軸のバイアス磁界は、検出対象磁界が存在しない場合に磁気検出部に印加される磁界であり、同場合の第2差動増幅器52の出力電流(バイアス電流)に比例し、かつバイアス電圧源53の出力電圧(バイアス電圧)に比例する。図8から明らかなように、磁気検出部に印加するバイアス磁界をゼロから高めていくことで、磁気分解能を改善できる。これは、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)のフリー層磁化方向が拘束されることで、ノイズが抑制されることによる。但し、バイアス磁界をある程度以上高めると、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)の感度が低下する影響により、磁気分解能が悪化する。本実施の形態では、バイアス磁界がゼロの場合よりも磁気分解能が良好となるようにバイアス磁界を設定する。
図9は、検出対象磁界に対するセンサ出力の理想特性と実際の特性とを示すグラフである。図9に示す理想特性は、磁気分解能が極小であって僅かな磁界変化も検出できる磁気センサの出力特性であり、センサ出力が検出対象磁界に対して完全にリニアな特性となっている。一方、図9に示す実際の特性は、磁気分解能が任意の値の磁気センサの出力特性であり、センサ出力が検出対象磁界に対してステップ状の特性となっている。実際の特性では、識別できる最小のステップ(磁界変化)が、ノイズ成分を含むため、ある程度の幅を持っている。
図10は、比較例に係る磁気センサの概略回路図である。図10に示す比較例の磁気センサは、図7に示す実施の形態1の磁気センサと比較して、第2差動増幅器52及びバイアス電圧源53が無くなり、第1差動増幅器51の出力端子が磁界発生導体70の一端に接続されている点で相違し、その他の点で一致する。比較例の磁気センサでは、磁気検出部の磁界が電圧Va,Vbの差を略ゼロにする状態が、磁気平衡状態(閉ループの帰還点)となる。
図11は、磁気抵抗効果素子の磁界(感磁方向成分)に対する抵抗の特性、並びに当該特性上における実施の形態1及び比較例の各々における磁気抵抗効果素子の動作点を示す概略グラフである。比較例の磁気センサの各磁気抵抗効果素子の動作点がゼロ磁界点であるのに対し、実施の形態1の磁気センサの各磁気抵抗効果素子の動作点は、ゼロ磁界点から所定量だけシフトされている。
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
(1) 第2差動増幅器52及びバイアス電圧源53により、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)をゼロ磁界点からシフトするため、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)のフリー層磁化方向がある程度拘束され、フリー層磁化方向の変動が抑制される。このため、センサ出力に現れるノイズを抑制でき、S/N(SN比)を高め、磁気センサの分解能を良好にすることができる。
(2) 磁気検出部を磁気平衡状態とするための磁界を発生させる磁界発生導体70をバイアス磁界発生に用いるため、磁気センサの閉ループの帰還点をゼロ磁界点からシフトするために別途永久磁石や磁界発生導体を設ける必要がなく、部品点数とコストの増加を抑制できる。
(3) ブリッジ接続された第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)を磁気検出部としているため、磁界検出の分解能を高めることができる。
(4) 負帰還電流により磁気検出部における磁気平衡を保持することにより、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)における環境温度による抵抗変化率の変化を抑え、検出精度を維持することができる。
(5) 磁界発生導体70は、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)と同じ積層体5内に形成されるため、別体のソレノイドコイルを用いる場合よりも製品の小型化に有利になるほか、製造時における位置精度のバラつきを抑えることが可能となる。
(実施の形態2)
図12は、本発明の実施の形態2に係る磁気センサの概略回路図である。本実施の形態の磁気センサは、図10に示す比較例の磁気センサと比較して、磁気検出部に抵抗Raが付加された点で相違し、その他の点で一致する。抵抗Raの一端は、第1電源電圧Vccが供給される第1電源ラインに接続される。抵抗Raの他端は、第1磁気抵抗効果素子10と第4磁気抵抗効果素子40の相互接続点に接続される。
第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)の無磁界時の抵抗値R0が互いに等しいため、抵抗Raの存在により、抵抗Raが無い場合と比較して、無磁界時に、第1磁気抵抗効果素子10と第4磁気抵抗効果素子40の相互接続点に出力される電圧Vaが、第2磁気抵抗効果素子20と第3磁気抵抗効果素子30の相互接続点に出力される電圧Vbよりも高くなる。すなわち、磁気検出部は、無磁界時に、ゼロではない所定値の電圧(Va-Vb)を出力するように構成される。第1差動増幅器51は、電圧Vaが電圧Vbと一致するように磁界発生導体70に電流を供給するため、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)がゼロ磁界点からシフトする。本実施の形態によれば、抵抗Raの追加を要するものの、実施の形態1の電流供給回路50から第2差動増幅器52及びバイアス電圧源53を省略しながら、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)をゼロ磁界点からシフトし、S/Nを高め、磁気センサの分解能を良好にすることができる。
本実施の形態において、抵抗Raの一端の接続先は、グランド以外の電圧となる固定電圧端子であれば、第1電源ラインに限定されない。抵抗Raの一端の接続先は、第2電源電圧-Vccが供給される第2電源ラインであってもよい。抵抗Raの他端の接続先は、第2磁気抵抗効果素子20と第3磁気抵抗効果素子30の相互接続点であってもよい。抵抗Raは、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)からなるブリッジ回路の抵抗バランスを偏らせることができる任意の位置、すなわち無磁界時のブリッジ回路の出力電圧をゼロでは無い所定値にシフトさせることができる任意の位置に接続すればよい。
(実施の形態3)
本実施の形態の磁気センサは、図10に示す比較例の磁気センサと比較して、第1磁気抵抗効果素子10の無磁界時の抵抗値が、第2から第4磁気抵抗効果素子(20、30、40)の無磁界時の抵抗値R0と異なる値とされた点で相違し、その他の点で一致する。第1磁気抵抗効果素子10の印加磁界に対する抵抗変化率は、第2から第4磁気抵抗効果素子(20、30、40)の印加磁界に対する抵抗変化率ΔR/R0と一致することが望ましい。
本実施の形態では、第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)からなるブリッジ回路の抵抗バランスが偏り、無磁界時のブリッジ回路の出力電圧がゼロでは無い所定値にシフトする。第1差動増幅器51は、電圧Vaが電圧Vbと一致するように磁界発生導体70に電流を供給するため、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)がゼロ磁界点からシフトする。本実施の形態によれば、実施の形態1の電流供給回路50から第2差動増幅器52及びバイアス電圧源53を省略しながら、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)をゼロ磁界点からシフトし、S/Nを高め、磁気センサの分解能を良好にすることができる。
本実施の形態において、第1磁気抵抗効果素子10の無磁界時の抵抗値を変化させることに替えて又はそれに加えて、第3磁気抵抗効果素子30の無磁界時の抵抗値を変化させてもよい。あるいは、第1磁気抵抗効果素子10と第3磁気抵抗効果素子30の無磁界時の抵抗値は変化させず、第2磁気抵抗効果素子20と第4磁気抵抗効果素子40の少なくとも一方の無磁界時の抵抗値を変化させてもよい。第1から第4磁気抵抗効果素子(10、20、30、40)からなるブリッジ回路の抵抗バランスが偏るように、すなわち無磁界時のブリッジ回路の出力電圧をゼロでは無い所定値になるように、少なくとも1つの磁気抵抗効果素子の無磁界時の抵抗値を変化させればよい。
(実施の形態4)
本実施の形態の磁気センサは、図10に示す比較例の磁気センサと比較して、第1差動増幅器51が、オフセット調整機能を有するものであって、自身への入力電圧がゼロの場合に、ゼロではない所定値の電流を出力するように調整されている点で相違し、その他の点で一致する。第1差動増幅器51のオフセット調整機能は、周知のとおり、第1差動増幅器51への入力電圧がゼロの場合に第1差動増幅器51の出力電圧がゼロになるように調整する機能である。本実施の形態では、このオフセット調整機能を利用して、第1差動増幅器51への入力電圧がゼロの場合の第1差動増幅器51の出力電圧を敢えてゼロでは無い所定値に設定することで、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)をゼロ磁界点からシフトする。本実施の形態によれば、実施の形態1の電流供給回路50から第2差動増幅器52及びバイアス電圧源53を省略しながら、磁気検出部の磁気平衡状態(磁気センサの閉ループの帰還点)をゼロ磁界点からシフトし、S/Nを高め、磁気センサの分解能を良好にすることができる。
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。以下、変形例について触れる。
磁気検出素子の個数は、実施の形態で例示した4つに限定されず、1つ以上の任意の個数でよい。実施の形態では4つの磁気抵抗効果素子がフルブリッジ接続された磁気検出部を例に説明したが、磁気検出部は、2つの磁気抵抗効果素子がハーフブリッジ接続されたものであってもよいし、1つの磁気抵抗効果素子と1つの固定抵抗とがハーフブリッジ接続されたものであってもよい。磁気検出素子及び磁界発生導体は、共通の積層体に構成される場合に限定されず、互いに別々に設けられてもよい。磁気検出部、第1差動増幅器51、及び第2差動増幅器52は、両電源駆動に限定されず、片電源駆動であってもよい。
5 積層体、10 第1磁気抵抗効果素子、20 第2磁気抵抗効果素子、30 第3磁気抵抗効果素子、40 第4磁気抵抗効果素子、50 電流供給回路、51 第1差動増幅器、52 第2差動増幅器、53 バイアス電圧源、70 磁界発生導体、80 磁性体

Claims (7)

  1. 検出対象の第1磁界が印加される少なくとも1つの磁気抵抗効果素子を含み、前記少なくとも1つの磁気抵抗効果素子への印加磁界に応じた電圧を出力する磁気検出部と、
    前記磁気検出部の出力電圧が入力され、前記第1磁界の大きさに応じた負帰還電流を供給する電流供給回路と、
    前記負帰還電流が流れることにより、前記磁気検出部の出力電圧を所定電圧値にする第2磁界を発生する磁界発生導体と、を備え、
    前記第2磁界を発生するための前記負帰還電流により前記第1磁界を検出する磁気センサであって、
    前記負帰還電流が、前記第1磁界が存在しない場合はゼロではない所定電流となり、前記第1磁界が存在する場合は前記所定電流値に対して前記第1磁界に対応する分だけ増減した電流値となるよう構成されている、磁気センサ。
  2. 前記電流供給回路は、
    一方の入力端子と他方の入力端子との間の電圧が前記磁気検出部の出力電圧される第1差動増幅器と、
    一方の入力端子に前記第1差動増幅器の出力電圧が入力され、他方の入力端子にバイアス電圧が入力され、出力端子から前記磁界発生導体に前記負帰還電流を供給する第2差動増幅器と、を有する、請求項1に記載の磁気センサ。
  3. 前記電流供給回路は、一方の入力端子と他方の入力端子との間の電圧が前記磁気検出部の出力電圧される差動増幅器を含み、
    前記差動増幅器は、オフセット調整機能を有し、自身への入力電圧がゼロの場合にゼロではない所定値の電流を出力するように調整されている、請求項1に記載の磁気センサ。
  4. 前記磁気検出部は、前記第1磁界が印加されるブリッジ接続された複数の磁気抵抗効果素子を含み、前記複数の磁気抵抗効果素子への印加磁界に応じた電圧を出力し、
    前記複数の磁気抵抗効果素子のうちの少なくとも1つの磁気抵抗効果素子は、前記複数の磁気抵抗効果素子のうちの他の磁気抵抗効果素子と、無磁界の場合の抵抗値が異なる、請求項1からのいずれか一項に記載の磁気センサ。
  5. 前記磁気検出部は、
    前記第1磁界が印加され且つ無磁界の場合の抵抗値が互いに等しい4つの磁気抵抗効果素子をフルブリッジ接続したブリッジ回路であって、前記4つの磁気抵抗効果素子への印加磁界に応じた電圧を出力するよう構成されたブリッジ回路と、
    前記ブリッジ回路の抵抗バランスを偏らせるよう接続された抵抗と、を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の磁気センサ。
  6. 前記抵抗は、前記ブリッジ回路の2つの出力端子の一方と電源ラインとの間に接続される、請求項5に記載の磁気センサ。
  7. 前記磁気抵抗効果素子は、外部磁界によらず磁化方向が一定の固定層と、外部磁界によって磁化方向が変化するフリー層と、を含む、請求項1からのいずれか一項に記載の磁気センサ。
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