JP7225621B2 - サーボ制御装置 - Google Patents
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Description
しかし、内挿には誤差が存在するため、エンコーダによる位置検出値には、前述した物理的な目盛間隔を周期とした周期的誤差が含まれる。このような周期的誤差を含む位置検出値またはこれを微分した速度検出値を用いて位置制御や速度制御を行う場合、モータやモータに結合された駆動対象物に振動が発生する。
図7は、この位置検出器50のブロック図であり、60はモータ(図示せず)により駆動される位置検出対象物、50aは位置検出部、50bは検出位置に応じた位置誤差を補正量として出力する位置検出補正データ部、50cは補正前位置検出値と補正量とを加算して補正後位置検出値を演算する加算器、50dは補正後位置検出値を微分して速度を算出する速度算出部、50eは算出速度に応じたノッチ周波数を設定するノッチフィルタ周波数設定部、50fは補正後位置検出値からノッチ周波数成分を除去するノッチフィルタ部である。
この従来技術は、位置検出値の内挿誤差に起因する振動の周波数がモータ速度に依存する点に着目したものであり、算出速度に応じてノッチ周波数を変化させることにより上記の振動を抑制している。
図8は、このモータ制御装置のブロック図であり、51はモータMの回転子位置を検出するエンコーダ等の位置検出部、52は位置検出値を微分して速度を求める速度検出部、53は位置検出値に基づいて補正量を求める補正量算出部、54は速度検出値を補正する減算器、55は速度指令生成部、56は補正後の速度検出値が速度指令に一致するようにトルク指令を生成するトルク指令生成部、57はトルク指令に従い半導体スイッチング素子をオン・オフさせてモータMを駆動する電力変換器である。
図8の速度検出部52から出力される速度検出値には、位置検出部51に固有の内挿誤差に起因して周期λで繰り返し発生する速度検出誤差が含まれる。補正量算出部53は、位置検出値に基づき生成した複数の正弦波を重ね合わせて補正量を算出し、この補正量を速度検出値(速度検出誤差)から減算して速度検出誤差を低減している。
従って、特許文献2により速度指令値に対して行う補正と同様の補正を位置検出値に対して行おうとすると、補正のためのパラメータ調整が難しくなるという問題がある。
前記位置検出値補正部により得た補正後位置検出値から速度検出値を算出する速度検出部と、
前記回転子の位置指令と前記補正後位置検出値とから速度指令を生成する位置制御部と、
前記速度指令と前記速度検出値とからトルク指令を生成する速度制御部と、
前記トルク指令に基づいて前記モータにトルク電流を通電する電流制御部と、
を有するサーボ制御装置において、
前記補正後位置検出値と前記トルク指令またはトルク電流検出値とに基づいて位置推定値を出力する位置推定部であって、前記モータ及びその負荷を含む制御対象の運動方程式に基づく状態推定器を用いて速度推定及び位置推定を行い、これらの推定に要する時間としての推定時定数が、前記モータを所定速度にて運転したときの位置検出値または速度検出値に現れる周期的変動の周期よりも長くなるように、前記状態推定器のゲインベクトルを設計してなる位置推定部と、
前記補正後位置検出値と前記位置推定値との誤差を前記位置検出値または前記補正後位置検出値に応じて学習する誤差学習部と、
を備え、
前記位置検出値補正部は、前記誤差学習部による学習結果を用いて前記位置検出値の補正条件を修正しつつ前記位置検出値を補正することを特徴とする。
図1は、本発明の第1実施形態を示すブロック図である。図1において、モータMの回転子位置はエンコーダ11により検出され、この位置検出値は位置検出値補正部12に入力される。位置検出値補正部12では、後述の誤差学習部18から出力された学習結果を用いて位置検出値を補正し、補正後の位置検出値が位置制御部13、微分手段14、及び誤差学習部18に送られる。
電流制御部17は、トルク指令に従ってモータMに供給するトルク電流を制御する。
図2は、位置推定部16の構成例を示しており、dtは演算周期、JはモータM及びその負荷を合算した慣性、16aは電流制御遅れを模擬するフィルタ、16bはゲインベクトル乗算手段、16c,16dは遅延手段(前回値保持手段)である。
ただし、本発明では補正後位置検出値と位置推定値との誤差を扱っているため、位置検出値または補正後位置検出値に対して周期的に変動する成分がゼロに近付くように、位置検出値補正部12における補正条件を修正していく。
位置検出値補正部12の動作を更に具体的に説明すると、補正前の位置検出値には、エンコーダ11の内挿誤差に起因した、周期的に変動する誤差(周期的変動成分)が含まれている。位置検出値補正部12は、誤差学習部18から学習結果として得られる上記の周期的変動成分を打ち消すように、補正前の位置検出値に対して、複数の周期の正弦波を合成して生成される周期関数の出力を加算した値を、補正後位置検出値として出力する。ここで、位置検出値補正部12における「補正条件」とは、各周期の正弦波の位相オフセット及び振幅に相当しており、補正後位置検出値に残存する周期的変動成分がゼロに近付くように、各周期の正弦波の位相オフセット及び振幅を調整するものである。
周期的変動成分抽出部18bにおいて、エンコーダ11の量子化誤差等に起因する高周波ノイズや位置推定遅れに起因する直流成分の除去も行うようにすれば、位置検出値の補正が適切に行われるようになり、結果として高精度な位置制御に寄与することができる。
図4に示すように、エンコーダ11の物理的目盛間隔181を等間隔のN個(Nは複数)の領域に分割し、これらN個の領域において、誤差情報である補正後位置検出値と位置推定値との誤差の平均値を記憶する誤差平均値格納メモリ182を用意する。
上記のように、エンコーダ11の物理的目盛間隔181をN個に分割した各領域における誤差情報に基づくフーリエ級数成分を用いることで、補正条件を容易に修正することができる。
この第2実施形態と図1に示した第1実施形態との相違点は、新たに設けられた誤差学習・補正条件修正可否判定部19により、速度指令に基づいて誤差学習及び位置検出値の補正条件修正を中断すべきか否かを判定し、その結果を誤差学習部18及び位置検出値補正部12に伝える点である。なお、誤差学習・補正条件修正可否判定部19による判定には、速度指令の代わりに速度検出値を用いても良い。
上記判定の具体的基準としては、例えば、速度指令または速度検出値の絶対値が所定の値以下であった場合に誤差学習及び位置検出値の補正条件修正を中断する、等が考えられる。
例えば、モータMが著しく低速で回転している場合、位置検出値の誤差の周波数も低くなり、その結果、位置推定値にも検出誤差成分が加わるようになる。また、モータM及びその負荷の実際の位置も、位置検出誤差の影響を受けて変動するようになるため、位置検出値と位置推定値との差を検出誤差とみなすことが妥当ではなくなる。そこで、モータMの回転速度が極めて低い場合には誤差学習及び位置検出値の補正条件修正を中断し、中断前に記憶した補正条件を使用して位置検出値を補正しつつ運転することにより、極低速運転時でも高精度な位置制御を行えるようにしたものである。
図6において、誤差学習部18Aは、補正後位置検出値と位置推定値との誤差を求める減算手段18aと、補正後位置検出値からエンコーダ11の物理的目盛内位置を抽出する物理的目盛内位置抽出手段18cと、その出力のcos値、sin値を求めるcos関数18d、sin関数18eと、これらの関数18d,18eの出力を減算手段18aの出力とそれぞれ乗算する乗算手段18f,18gと、乗算手段18f,18gの出力がそれぞれ加えられるローパスフィルタ18h,18iと、を備え、ローパスフィルタ18h,18iの出力が学習結果として位置検出値補正部12に送られている。なお、減算手段18aを除いた誤差学習部18Aの各要素は、図3における周期的変動成分抽出部18bを構成している。
ここで、ローパスフィルタ18h,18iのカットオフ周波数は、モータMを等速運転したときの位置検出値または速度検出値に現れる周期的変動の周波数よりも低い値に設定されている。
誤差学習部18Aでは、物理的目盛内位置抽出手段18cが、補正後位置検出値θと上記のNとに基づいてエンコーダ11の物理的目盛内位置に相当するNθを算出する。このNθのcos成分及びsin成分を各関数18d,18eにより求めて補正後位置検出値と位置推定値との誤差Δθにそれぞれ乗算し、その後、ローパスフィルタ18h,18iに通すことにより、上述した2π/Nを周期とする周期的信号のcos成分及びsin成分を周期的変動成分(学習結果)として得ている。
誤差学習部18Aによる学習結果は、エンコーダ11の物理的目盛間隔の内挿誤差に起因する位置検出誤差を複数の正弦波状関数の和により近似する関数パラメータとしての意義を有し、この学習結果を用いて位置検出値補正部12における補正条件の修正を行う。
11:エンコーダ
12:位置検出値補正部
13:位置制御部
14:微分手段
15:速度制御部
16:位置推定部
16a:電流制御模擬フィルタ
16b:ゲインベクトル乗算手段
16c,16d:遅延手段
17:電流制御部
18,18A:誤差学習部
181:物理的目盛間隔
182:誤差平均値格納メモリ
18a:減算手段
18b:周期的変動成分抽出部
18c:物理的目盛内位置抽出手段
18d:cos関数
18e:sin関数
18f,18g:乗算手段
18h,18i:ローパスフィルタ
19:誤差学習・補正条件修正可否判定部
Claims (6)
- エンコーダにより得たモータの回転子の位置検出値を補正する位置検出値補正部と、
前記位置検出値補正部により得た補正後位置検出値から速度検出値を算出する速度検出部と、
前記回転子の位置指令と前記補正後位置検出値とから速度指令を生成する位置制御部と、
前記速度指令と前記速度検出値とからトルク指令を生成する速度制御部と、
前記トルク指令に基づいて前記モータにトルク電流を通電する電流制御部と、
を有するサーボ制御装置において、
前記補正後位置検出値と前記トルク指令またはトルク電流検出値とに基づいて位置推定値を出力する位置推定部であって、前記モータ及びその負荷を含む制御対象の運動方程式に基づく状態推定器を用いて速度推定及び位置推定を行い、これらの推定に要する時間としての推定時定数が、前記モータを所定速度にて運転したときの位置検出値または速度検出値に現れる周期的変動の周期よりも長くなるように、前記状態推定器のゲインベクトルを設計してなる位置推定部と、
前記補正後位置検出値と前記位置推定値との誤差を前記位置検出値または前記補正後位置検出値に応じて学習する誤差学習部と、
を備え、
前記位置検出値補正部は、前記誤差学習部による学習結果を用いて前記位置検出値の補正条件を修正しつつ前記位置検出値を補正することを特徴とするサーボ制御装置。 - 請求項1に記載したサーボ制御装置において、
前記誤差学習部は、前記補正後位置検出値と前記位置推定値との誤差から前記位置検出値または前記補正後位置検出値に対して周期的に変動する成分を抽出して学習結果として出力し、
前記位置検出値補正部は、前記学習結果がゼロに近付くように前記補正条件を修正することを特徴とするサーボ制御装置。 - 請求項2に記載したサーボ制御装置において、
前記誤差学習部は、前記エンコーダの物理的目盛間隔を複数かつ等間隔の領域に分割し、これらの領域において、誤差情報である前記補正後位置検出値と前記位置推定値との誤差の平均値を記憶するメモリを備え、前記モータの運転時に前記位置検出値または前記補正後位置検出値が複数の前記領域のうちどの領域に含まれるかを判別し、該当する領域の前記平均値の更新を繰り返して前記物理的目盛間隔を等間隔に分割してなる各分割位置における誤差情報を求め、当該誤差情報を前記分割位置に対してフーリエ級数展開することにより、前記物理的目盛間隔を基本周期とするフーリエ級数成分を得て当該成分を学習結果として出力することを特徴とするサーボ制御装置。 - 請求項1または2に記載したサーボ制御装置において、
前記誤差学習部は、
前記補正後位置検出値に基づいて前記エンコーダの物理的目盛内位置を抽出し、物理的目盛間隔を所定の自然数により除算した値を単位周期とし、前記物理的目盛内位置を位相として複数の正弦波状の関数に入力した場合の出力を求め、この出力を前記補正後位置検出値と前記位置推定値との誤差に乗算した結果を所定のカットオフ周波数のローパスフィルタに通して前記学習結果を得ることを特徴とするサーボ制御装置。 - 請求項4に記載したサーボ制御装置において、
前記カットオフ周波数を、前記モータを等速運転したときの前記位置検出値または前記速度検出値に現れる周期的変動の周波数よりも低い値に設定したことを特徴とするサーボ制御装置。 - 請求項1~5の何れか1項に記載したサーボ制御装置において、
前記速度指令または前記速度検出値の絶対値が所定値以下になったときに、前記誤差学習部における学習を中断し、かつ、前記位置検出値補正部における前記補正条件の修正を中断することを特徴とするサーボ制御装置。
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