JP7225497B2 - パンツ型吸収性物品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、パンツ型吸収性物品の製造方法に関する。
パンツ型のおむつ(吸収性物品)は、尿などを吸収する役割の吸収性パッドと、使用者が着用するための役割の外装体から構成される。近年、アクティブシニアの増加とともに、より下着に近い形状の大人用パンツ型のおむつが求められており、そのような大人用パンツ型のおむつでは弾性フィルムを用いた外装体が使用されている。
弾性フィルムを使用した外装体は、弾性フィルムを延伸させた状態で特定のパターンで溶着させることで不織布と貼り合わせた後、自然長に戻すことで細かいギャザーを設けている。通常は、外装体に吸収性パッドを取り付けるとき、外装体を延伸状態にして吸収性パッドが接合されるが、接合後に自然長に戻ると、伸縮可能な素材である外装体に対し吸収性パッドは伸縮不可能であるため皺が発生し、はき心地が悪くなる原因となる。
そのため、特許文献1は、吸収パッドと重なる部分では溶着パターンを変更することで非伸縮性とすることでこの問題を解決する方法を開示している。
特開2016-189931
しかしながら、上記方法では、溶着パターンで伸張性をコントロールする必要があり、溶着時に形成した非伸縮性領域がその後の工程で吸収性パッドの取り付け位置に合うように位相をコントロールする必要がある。しかしながら、伸長を伴う部材のテンションをコントロールしながら位相を合わせることは困難であり、生産速度を上げることへの妨げとなるという問題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、伸縮性複合部材によって吸収性パッドに皺が発生しない自然な接合部を有するパンツ型吸収性物品を高い生産速度で製造する製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、以下の構成によって把握される。
(1)本発明の第1の観点は、パンツ型吸収性物品の製造方法であって、第1非伸縮性シートと第2非伸縮性シートの間に自然長以上に延伸した状態にある弾性フィルムを重ね合わせ、一定のパターンで溶着により接合することで伸縮性複合部材を製造するステップAと、前記弾性フィルムを前記延伸状態より緩めた状態で、腹部側及び背部側として2つの前記伸縮性複合部材を同一平面上に間隙を設けて長手方向に並置させ、前記間隙を跨ぐように吸収性パッドを2つの前記伸縮性複合部材に取り付けるステップBと、前記弾性フィルムを前記延伸状態より緩めた状態で、脚周りの着用感を調整するために2つの前記伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットラインに沿ってカットするステップC1と、2つの前記伸縮性複合部材を同時に自然長以上に延伸した状態で、前記吸収性パッドの中央で折り畳み、2つの前記伸縮性複合部材を重ね合わせ、一定間隔で2つの前記伸縮性複合部材を短手方向に溶着するステップDと、を備える。
(2)本発明の第2の観点は、第1非伸縮性シートと第2非伸縮性シートの間に自然長以上に延伸した状態にある弾性フィルムを重ね合わせ、一定のパターンで溶着により接合することで伸縮性複合部材を製造するステップAと、前記弾性フィルムを前記延伸状態より緩めた状態で、腹部側及び背部側として2つの前記伸縮性複合部材を同一平面上に間隙を設けて長手方向に並置させ、前記間隙を跨ぐように吸収性パッドを2つの前記伸縮性複合部材に取り付けるステップBと、2つの前記伸縮性複合部材を同時に自然長以上に延伸した状態で、脚周りの着用感を調整するために2つの前記伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットラインに沿ってカットするステップC2と、2つの前記伸縮性複合部材を同時に自然長以上に延伸した状態で、前記吸収性パッドの中央で折り畳み、2つの前記伸縮性複合部材を重ね合わせ、一定間隔で2つの前記伸縮性複合部材を短手方向に溶着するステップDと、を備える。
(3)前記ステップBにおいて、前記吸収性パッドがアセテートトゥに高吸収性ポリマーを担持させた吸収体を備えてもよい。
(4)前記ステップDにおいて、2つの前記伸縮性複合部材が、超音波溶着によって、長手方向と平行な直線が短手方向に多数並んだ溶着パターンをもって溶着されてもよい。
本発明によれば、伸縮性複合部材によって吸収性パッドに皺が発生しない自然な接合部を有するパンツ型吸収性物品を高い生産速度で製造する製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態に係る製造方法において、伸縮性複合部材を製造するステップAを説明する図である。 製造された伸縮性複合部材の断面を模式的に示す図であって、(a)は弾性フィルムが延伸した状態を、(b)は弾性フィルムが自然長の状態を、それぞれ示す。 吸収性パッドの一例を説明する図であって、(a)は吸収性パッドの横断面((b)のA-A線断面)を、(b)は吸収性パッドの平面を、それぞれ示す。 本発明の実施形態に係る製造方法において、2つの伸縮性複合部材に吸収性パッドを取り付けるステップBを説明する図である。 本発明の実施形態に係る製造方法において、2つの伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットするステップC1を説明する図であって、(a)は弾性フィルムが自然長から自然長の1.5倍の状態を、(b)は弾性フィルムが延伸状態を、それぞれ示す。 本発明の実施形態に係る製造方法において、吸収性パッドの中央で折り畳み、2つの伸縮性複合部材を重ね合わせ、一定間隔で2つの伸縮性複合部材を短手方向に溶着するステップDを説明する図である。 製造されたパンツ型吸収性物品を示す図である。 図7の溶着部の領域Bを説明する拡大図である。 本発明の変形例に係る製造方法において、2つの伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットするステップC2を説明する図(その1)である。 本発明の変形例に係る製造方法において、2つの伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットするステップC2を説明する図(その2)である。
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施形態)について詳細に説明する。なお、実施形態の説明の全体を通して同じ要素には同じ番号を付している。説明中「自然長」とは、伸縮性複合部材に加工前の未延伸状態の弾性フィルムの長さを意味する。
本実施形態に係るパンツ型吸収性物品50の製造方法は、第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22の間に自然長の2から4倍(自然長以上)に延伸した状態にある弾性フィルム23を重ね合わせ、一定のパターンで溶着により接合することで伸縮性複合部材20を製造するステップAと、弾性フィルム23を自然長から自然長の1.5倍以下までに(延伸状態より)緩めた状態で、腹部側及び背部側として2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を同一平面上に間隙Gを設けて長手方向に並置させ、間隙Gを跨ぐように吸収性パッド30を2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)に取り付けるステップBと、弾性フィルム23を自然長から自然長の1.5倍以下までに(延伸状態より)緩めた状態で、脚周りの着用感を調整するために2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)の互いに対向する一部同士をカットライン25(25a,25b)に沿ってカットするステップC1と、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を同時に自然長の2から4倍(自然長以上)に延伸した状態で、吸収性パッド30の中央で折り畳み、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を重ね合わせ、一定間隔で2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を短手方向に溶着するステップDと、を備える。以下、各ステップについて、具体的に説明する。
まず、図1を参照して、ステップAについて説明する。図1は、伸縮性複合部材20を製造するステップAを説明する図である。図1に示すように、第1非伸縮性シート21(不織布)と第2非伸縮性シート22(不織布)は、伸縮性複合部材製造ユニット10のライン速度にしたがって、それぞれ、第1原反ロール11と第2原反ロール12から繰り出される。弾性フィルム23は、ライン速度より遅い周速で回転するニップロール14によって、第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22の間に挟まれるように、第3原反ロール13から繰り出される。アンビルロール15及びその下流のニップロール16は、ライン速度と同じ周速で回転している。
弾性フィルム23は、繰り出し速度とライン速度の速度差により、ニップロール14とアンビルロール15の間で延伸される。ニップロール14とアンビルロール15の間の距離は、長ければ長いほど弾性フィルム23のネックインを招くため、できるだけ短いほうがよく、長くとも3m以内であることが望ましい。繰り出された弾性フィルム23は、アンビルロール15と、それに対面する超音波溶着器のホーン17により、第1非伸縮性シート21及び第2非伸縮性シート22に溶着され、そこから下流側へは、第1非伸縮性シート21及び第2非伸縮性シート22と同じ速度で流れていく。
第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22は同じものでもよいが、肌触り、着色などを目的に、着用時に身体側の内面と反対側の外面で坪量、色などが異なるよう、別のものを使用してもよい。なお、弾性フィルム23の延伸は自然長の2倍から4倍が望ましく、さらに望ましくは2.5倍から3.5倍である。2.5倍より低いと着用した際のフィット感が悪く、5倍より延伸すると製造中に弾性フィルム23の断裂が発生する可能性がある。
このようにして製造された伸縮性複合部材20は、図2(a)及び図2(b)に示すような断面を有する。図2(a)は、弾性フィルム23が延伸した状態を、図2(b)は弾性フィルム23が自然長に緩められた状態を、それぞれ示している。図示したように、第1非伸縮性シート21、弾性フィルム23及び第2非伸縮性シート22はこの順に重ね合わせられており、これらは、前述したホーン17によって形成された溶着部24によって、一定のパターンで溶着により接合されている。
ここで、図3(a)及び図3(b)を参照して、本実施形態に用いられる吸収性パッド30について説明する。図3は吸収性パッド30の一例を説明するであって、図3(a)は吸収性パッド30の横断面(図3(b)のA-A線断面)を示している。吸収性パッド30は、身体側の表面を覆うトップシート31、外側の表面を覆うバックシート32、吸収体34をカバーするキャリアシート33、尿などが外部へ漏れることを防ぐために起立したギャザー35、ギャザー35を身体にフィットさせるための弾性体36を有する。
本実施形態に用いられる吸収性パッド30としては、特定のものに限定されないが、吸収体34として、好ましくは、アセテートトゥに高吸収性ポリマー粒子を担持した吸収体34を備える吸収性パッド30が効果的である。これは、アセテートトゥは、フラッフパルプを用いた吸収体と比べ、薄く柔軟で良好な着用感を与えるという特徴を有するためである。
しかしながら、この特徴は裏を返せばコシが弱いということでもあり、外装体が延伸状態から自然長に戻るときの応力に耐えることが難しいという課題がある。例えば、延伸状態の外装体にアセテートトゥを備える吸収性パッド30を伸縮性複合部材20に取り付けると、外装体を自然長に戻すとき外装体の伸縮応力に負けて縮み、皺が発生する。また、外装体の吸収パッド30を接合した面の伸縮性複合部材の不織布は接着剤により固くなり、自然長にもどるときギャザーに成りにくくなっており、伸縮性複合部材の表裏で縮みやすさに差が生じる。そのため外装体が自然長に戻るとき吸収性パッド30が接合された面を外側になるように筒状に丸まってしまうこともある。このような観点において、アセテートトゥのような柔軟で薄い吸収体を用いた吸収性パッド30を使用する場合に、本実施形態は大きな効果を奏することができる。
高吸収性ポリマー粒子が担持されたセルロースアセテートトゥは、例えば、セルロースアセテートトゥを力学的に又は気体を用いて開繊させて、高吸収性ポリマー粒子を添加させることで製造することができる。また、セルロースアセテートトゥを開繊させて、高吸収性ポリマー粒子を添加する際、バインダを添着させることも好ましく、バインダを添着させることで、繊維同士を結合させて立体的に絡み合わせて繊維間隙を広げることができ、液戻りを防止し、また液透過性を向上させることができる。高吸収性ポリマー粒子が担持されたセルロースアセテートトゥの製造方法の一例が、特開2018-003206号公報に記載されており、本実施形態においてもこの方法を用いてもよい。
2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)と吸収性パッド30の接合については、ホットメルト系の接着剤が望ましい。接着剤は伸縮性複合部材20と吸収性パッド30が重なる部分全体に塗布されていることが望ましいが、しっかりと固定されるのであれば一部でも問題ない。ただし、重なる部分の中心線には必ず塗布されていなければならず、少なくとも中心線を中心に50mmの幅は塗布されていることが望ましい。
次に、図4を参照して、ステップBについて説明する。図4は、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)に吸収性パッド30を取り付けるステップBを説明する図である。図2に示すように、まず、ステップAにおいて弾性フィルム23を自然長の2倍から4倍の延伸状態として製造された伸縮性複合部材20を、弾性フィルム23を自然長から自然長の1.5倍以下にまでに緩めた状態に戻す。通常、一度延伸された弾性フィルム23には永久ひずみが残ることが多い、そのため自然長に戻そうとしても、自然長の1.2から1.3倍程度までしか戻らない場合が多い。
また、製造ラインにおいて、伸縮性複合部材20(20a,20b)が蛇行なく走行するためには、軽くテンションが張っている方が安定するため、安定した操業を目的とした範囲で軽く延伸しておくようにしてもよい。そのため、本実施形態において、自然長から自然長の1.5倍までに緩めた状態に戻すとしているのは、伸縮性複合部材20(20a,20b)を可能な限り無延伸の状態に戻しつつ、伸縮性複合部材20が安定して走行できる状態を意味している。
腹部側及び背部側の外装体となるように、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を同一平面上に間隙Gを設けて長手方向に並置させる。そして、間隙Gを跨ぐように、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)に間隔W1で吸収性パッド30を取り付ける(以下、図4~図6、図9及び図10において、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)と吸収性パッド30との組み合わせを中間製品40として表示している)。間隔W1は等間隔に設定されるが、具体的な距離は、完成したパンツのサイズと、着用時に着用者がどのくらいパンツ型おむつを広げるかをもとに決定される。なお、図4では、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)において次のステップC1において行うカットのためのカットライン25(25a,25b)を示している。
次に、図5を参照して、ステップC1について説明する。図5は、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)の互いに対向する一部同士をカットライン25(25a,25b)に沿ってカットするステップC1を説明する図である。図5(a)に示すように、吸収性パッド30を取り付け後、着用者の動きやすさを確保したり、脚周りの着用感を調整したりするため、脚周りのカットを行う。カットライン25(25a,25b)は、図4に示したように、腹部側と背部側で形状を異ならせることが望ましい。すなわち、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)のうち、第1伸縮性複合部材20aを腹部側の外装体と、第2伸縮性複合部材20bを背部側の外装体として、腹部側のカットライン25aは歩きやすいように切り込んだ形状(図中、吸収性パッド30側に丸く切り込むようにカット)に、背部側のカットライン25bはお尻を包み込むような形状(図中、吸収性パッド30の反対側で直線状にカット)に、するのがよい。
カットした後、図5(b)に示すように、再度、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を自然長の2倍から4倍に延伸する。このとき、伸縮性複合部材20の製造時の弾性フィルム23の延伸状態と同じ倍率としてもよいが、弾性フィルム23は溶着部24に相当する部分が溶けて弱くなっているため、再度の延伸に際しては、少し低めの倍率としたほうがよい。例えば、伸縮性複合部材20の製造時の延伸倍率の0.3倍から0.8倍程度となるように、再度の延伸後の吸収性パッド30の間隔W2を調整することが望ましい。
次に、図6を参照して、ステップDについて説明する。図6は、吸収性パッド30の中央で折り畳み、2つの伸縮性複合部材20を重ね合わせ、一定間隔で2つの伸縮性複合部材20を短手方向に溶着するステップDを説明する図である。前のステップで再度延伸した後、吸収性パッド30を起点に折り畳み、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を重ね合わせ、順次、等間隔で短手方向に溶着部26をもって溶着する。溶着後、溶着部26の中央で切り離すことで、中間製品40から、図7に示すような個々のパンツ型吸収性物品50を得ることができる。図7は、パンツ型吸収性物品50を腹部側から見た正面図であり、前述したとおり、腹部側のカットライン25aは歩きやすいように切り込まれており、背部側のカットライン25bはお尻を包み込むように広くカットされている。
ここで、図8を参照して、溶着部26の溶着パターンについて説明する。図8は、図7の溶着部26に係る領域Bを拡大して示している。図8に示すように、溶着部26は、伸縮性複合部材20の短手方向すなわちパンツ型吸収性物品50の幅方向に水平な直線群の溶着パターン261によって構成されている。溶着パターン261の寸法は、1つの溶着パターン261の厚みL1が0.3から0.6mm、幅L2が3から10mm、隣接する溶着パターン261の間隔L3が2から4mmであることが望ましい。特に重要なのは、幅L2であり、溶着部26によって形成される接合部を丸くするためには、5mm以上の長さが必要である。
本実施形態では、再延伸後に腹部側と背部側の伸縮性複合部材20(20a,20b)を重ね合わせるように折り畳んだが、先に折り畳んだ後に再延伸しても同様の効果が得られる。ただし、溶着は延伸してからでないと十分な接着力が得られない。これは、自然長状態の伸縮性複合部材20では、図2(b)に示したように、第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22が波打っており、溶着のためのエネルギーが伝わりにくいからである。
一方で、現在市販されている大人用パンツおむつは、サイズによって延伸状態で480mmから720mmの幅で設計されている。製品構成が多くなると溶着部26の溶着後に個別にカットするとき、製品サイズに応じてカット幅を大きく変更する必要がある。
ところで、前述した再延伸時の延伸倍率の考え方として、延伸倍率を変えることで製品サイズをコントロールすることも可能である。たとえば同じ間隔でカットしても、再延伸時の倍率が小さいほど大きいサイズの製品にすることができる。
(変形例)
上記した実施形態は、次のように変形してもよく、図9及び図10を参照して、変形例について説明する。図9及び図10は、2つの伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットするステップC2を説明する図である。変形例では、ステップA及びステップBまでは上記実施形態と同様に行って、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)に吸収性パッド30を取り付けた後、ステップC1に代えて、次のように、ステップC2を行う。
ステップC2では、2つの伸縮性複合部材20(20a、20b)を同時に自然長の2から4倍に延伸した状態で、脚周りの着用感を調整するために2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)の互いに対向する一部同士をカットライン25(25a、25b)に沿ってカットする。すなわち、吸収性パッド30を2つの伸縮性複合部材20(20a、20b)に取り付け後、まず、図9に示すように、腹部側及び背部側の2つの伸縮性複合部材20(20a,20)を再度延伸し、その後、図10に示すように、脚周り用のカットライン25(25a,25b)に沿って、2つの伸縮性複合部材20をカットする。
この変形例においては、延伸した後に脚周りをカットする。これは、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)は自然長状態では第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22が波打つ形状になっており、弾性フィルム23の両表面との間にはポーラスな層が形成されることから、このような層へは力が分散するためカット用の刃が入りにくく、良好な切断面が得られないことがあるためである。
ステップC2の後は、上記実施形態と同様に、ステップDを行って、吸収性パッド30の中央で折り畳み、2つの伸縮性複合部材20を重ね合わせ、一定間隔で2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)を短手方向に溶着する。
本発明の実施形態によれば、ほぼ自然長状態の2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)に吸収性パッド30を固定しているため、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)により吸収性パッド30に皺が発生しない自然な接合部ができる。着用時は吸収性パッド30と2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)が重なった部分では延伸はおこらず、接合部を境に伸縮がおきる。伸縮性複合部材20は自然長にちかい状態では第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22が波打った状態で凹凸が形成されている。そのため、そのままでは超音波溶着することが困難である。そのためステップDでは延伸をかけ、できるだけ第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22がフラットな状態にしておく必要がある。また、パンツ型吸収性物品50の幅方向、すなわち伸縮性複合部材20の伸長方向と、平行な多数の線のパターンで、延伸状態の伸縮性複合部材20を重ねて溶着すると、溶着により伸縮性複合部材20の伸縮性が低下するが、2つの伸縮性複合部材20(20a,20b)の伸縮性の変化には差が生じる。そのため製品が個々に切り離され延伸状態から解放されたとき、サイドシール部26では、より伸縮性が低下した側が外に、伸縮性の低下が少ない方を内側にして、幅方向にカールが発生し、丸くたたまれるため、サイドシール(溶着部26)が目立たなくなる。
さらに、伸縮性複合部材20は溶着後いったん自然長状態に戻り、再度延伸される。このようにすることで、溶着時に発生した弾性フィルム23の孔の部分(図2の溶着部24)に形成される膜が破ける。この膜は第1非伸縮性シート21と第2非伸縮性シート22の溶融物が主体のものと考えられる。それにより、伸縮性複合部材20の通気性が上がり、パンツ型吸収性物品50を着用しているときの蒸れが改善される。
以上、実施形態及び変形例を用いて本発明を説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態や実施例に記載の範囲には限定されないことは言うまでもない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。またその様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
10 伸縮性複合部材製造ユニット
11 第1原反ロール
12 第2原反ロール
13 第3原反ロール
14 ニップロール
15 アンビルロール
16 ニップロール
17 超音波溶着器のホーン
20 伸縮性複合部材
21 第1非伸縮性シート(不織布)
22 第2非伸縮性シート(不織布)
23 弾性フィルム
24 溶着部
25 カットライン
26 溶着部(サイドシール部)
30 吸収性パッド
31 トップシート
32 バックシート
33 キャリアシート
34 吸収体
35 ギャザー
36 弾性体
40 中間製品
50 パンツ型吸収性物品

Claims (4)

  1. 第1非伸縮性シートと第2非伸縮性シートの間に自然長以上に延伸した状態にある弾性フィルムを重ね合わせ、一定のパターンで溶着により接合することで伸縮性複合部材を製造するステップAと、
    前記弾性フィルムを前記延伸状態より緩めた状態で、腹部側及び背部側として2つの前記伸縮性複合部材を同一平面上に間隙を設けて長手方向に並置させ、前記間隙を跨ぐように吸収性パッドを2つの前記伸縮性複合部材に取り付けるステップBと、
    前記弾性フィルムを前記延伸状態より緩めた状態で、脚周りの着用感を調整するために2つの前記伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットラインに沿ってカットするステップC1と、
    2つの前記伸縮性複合部材を同時に自然長以上に延伸した状態で、前記吸収性パッドの中央で折り畳み、2つの前記伸縮性複合部材を重ね合わせ、一定間隔で2つの前記伸縮性複合部材を短手方向に溶着するステップDと、を備える、
    ことを特徴とするパンツ型吸収性物品の製造方法。
  2. 第1非伸縮性シートと第2非伸縮性シートの間に自然長以上に延伸した状態にある弾性フィルムを重ね合わせ、一定のパターンで溶着により接合することで伸縮性複合部材を製造するステップAと、
    前記弾性フィルムを前記延伸状態より緩めた状態で、腹部側及び背部側として2つの前記伸縮性複合部材を同一平面上に間隙を設けて長手方向に並置させ、前記間隙を跨ぐように吸収性パッドを2つの前記伸縮性複合部材に取り付けるステップBと、
    2つの前記伸縮性複合部材を同時に自然長以上に延伸した状態で、脚周りの着用感を調整するために2つの前記伸縮性複合部材の互いに対向する一部同士をカットラインに沿ってカットするステップC2と、
    2つの前記伸縮性複合部材を同時に自然長以上に延伸した状態で、前記吸収性パッドの中央で折り畳み、2つの前記伸縮性複合部材を重ね合わせ、一定間隔で2つの前記伸縮性複合部材を短手方向に溶着するステップDと、を備える、
    ことを特徴とするパンツ型吸収性物品の製造方法。
  3. 前記ステップBにおいて、前記吸収性パッドがアセテートトゥに高吸収性ポリマーを担持させた吸収体を備える、ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
  4. 前記ステップDにおいて、2つの前記伸縮性複合部材が、超音波溶着によって、長手方向と平行な直線が短手方向に多数並んだ溶着パターンをもって溶着される、ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のパンツ型吸収性物品の製造方法。
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