実施の形態1.
実施の形態1を図1から図28に基づいて説明する。図1は、実施の形態1に係る交通管制システムを示す概念図である。交通管制システム1000は、交差点CRの路側などに設置された交通環境認識装置91(図1内では「環境認識装置」と記載)から交通状況情報Xを送受信するとともに、交差点CRを通過する車両92から目標通過方向情報Yを受信し、交通状況情報Xおよび目標通過方向情報Yから指令Zを生成し、交通状況情報Xおよび指令Zを車両92に送信する交通管制装置100を備える。図1では交通環境認識装置91を1つのみ記載しているが、交通環境認識装置91は複数であってもよい。
交通環境認識装置91は、カメラ、レーダー、通信機(いずれも図示省略)を搭載し、その認識範囲S内において、交差点CRに関する情報、および、交差点CRおよびその周辺において走行中または待機中の車両92の台数、各車両92の形状、位置、および速度などの情報をリアルタイムで取得するとともに、これらの情報を交通状況情報Xとして交通管制装置100に送信する。また後述するように、交通環境認識装置91が複数ある場合は、交通管制装置100によって同期された交通状況情報Xを交通管制装置100から受信する。
車両92は、車両92の走行を制御する車両走行システム93を備えた自動運転車両である。車両92の動作は車両走行システム93に制御指令に基づき、また、車両92と交通管制装置100との通信も車両走行システム93により実行されるが、以後の説明では、車両92の内部での処理の説明は省略する。
車両92は、交差点CRにおける自車両の通過方向(直進、左折、右折)を目標通過方向情報Yとして交通管制装置100に送信する。また車両92は、交通管制装置100から交通状況情報Xおよび指令Zを受信し、必要に応じて交通状況情報Xを自車両の制御に用いるとともに、指令Zに基づいて交差点CRへの進入時刻を遅らせたり、停止線SLの手前で待機したりする。
交通管制装置100は、車両92に関する情報として、各車両の車両情報を収集する。ここで「車両情報」は、交通状況情報Xから得られる各車両92の位置および速度と、目標通過方向情報Yから得られる、車両92の交差点CRにおける通過方向とが含まれる。また、車両92が交通管制装置100からの指令により待機している場合、その車両の待機時間も車両情報に含まれる。また、車両92の後続車両の台数も取得可能な範囲で車両情報として取得する。
交差点CRは、実際には様々なものがあるが、実施の形態1における交差点CRはそれぞれ2車線(車両92を幅方向に2台配置可能)の道路が交差する十字路であり、交差点CRには4本の道路に接続されている。図1では図中上側の道路を道路R1、左側の道路を道路R2、下側の道路を道路R3、右側の道路を道路R4としている。道路R1、R2、R3、R4は、交差点CRから予め定められた距離離れた位置に停止線SLが設けられている。実施の形態1の車両92は左側通行をする。このため、停止線SLも2車線のうちの左側の車線に設けられている。
図2は、実施の形態1における交通管制装置を示すブロック図である。交通管制装置100は、交通環境認識装置91および車両92との間の通信を行う通信部110、すなわち指令送信部と、交通状況情報Xおよび目標通過方向情報Yに基づいて、車両92の走行を調整する指令Zを生成する調整部120と、指令Zの生成に用いる基本情報が予め記憶された記憶部130とを備える。
通信部110は、1つまたは複数の交通環境認識装置91から交通状況情報Xを受信するとともに、1台または複数台の車両92から目標通過方向情報Yを受信する。通信部110は、交通状況情報Xおよび目標通過方向情報Yを調整部120に送信する。また通信部110は、複数の交通環境認識装置91からそれぞれ受信した交通状況情報Xを図示省略した同期部に送信する。同期部は、通信部110から受信した複数の交通状況情報Xを同期し、同期された交通状況情報Xを通信部110に返す。通信部110は、同期された交通状況情報Xを複数の交通環境認識装置91にそれぞれ送信する。このように、交通環境認識装置91が複数ある場合の交通状況情報Xの同期は交通管制装置100にて行われる。また通信部110は、交通状況情報X(または同期された交通状況情報X)および指令Zを車両92に送信する。
調整部120は、交差点CRに1つまたは複数の「エリア」を設定するエリア設定部121と、車両92が交差点CRを通過する際の通過スケジュールを予測して計算する通過スケジュール計算部122と、複数の車両92が交差点CRを通過する場合に車両92が衝突を起こす可能性の有無を判定する衝突判定部123と、複数の車両92が交差点CRを通過する場合に、各車両92が交差点CRを通過する順序である通過順位を設定する通過順位設定部124と、車両92に対する指令Zを生成する指令生成部125と、必要に応じて通過スケジュールの調整を行う通過スケジュール調整部126とを備えている。
エリア設定部121は、予め定められた基準に基づき、交差点CRに1つまたは複数のエリアを設定する。このエリアの設定の仕方は交差点CRの種類によって異なるが、ここでは、交差点CRを区画し、4つのエリアを設定する。エリアの数および具体的な区画については後述する。
通過スケジュール計算部122は、エリア設定部121によって設定された各エリアについて、交差点CRに進入する車両92の各エリアへの進入時刻および各エリアからの退出時刻を計算することにより、各エリアが通過中エリアとなる時間帯または通過予定エリアとなる時間帯を求め、車両92の通過スケジュールを計算する。
衝突判定部123は、通過スケジュール計算部により計算された各車両の通過スケジュールおよび予め定められた衝突判定基準に基づき、車両92が交差点CRで衝突を起す可能性の有無を判定する。
通過順位設定部124は、衝突判定部123により衝突の可能性が有ると判定されている場合に、予め定められた優先度に基づいて、各車両92が交差点CRを通過する順序としての通過順位を設定する。
指令生成部125は、通過スケジュール計算部122によって計算された通過スケジュールまたは通過スケジュール調整部126によって調整された通過スケジュールに基づいて、交差点CRに進入する各車両92に対する指令Zを生成する。指令Zは、現状のまま交差点CRを通過させる維持指令、交差点CRへの進入時刻を遅らせる調整指令、および交差点CRへの進入を一時的に止める待機指令が含まれる。
通過スケジュール調整部126は、衝突判定部123により衝突の可能性があると判定された場合に、衝突の可能性があると判定された車両92の通過スケジュールを比較して調整時間を計算し、通過スケジュールの調整を行う。通過スケジュールの調整については後述する。
記憶部130は、交差点情報記憶部131と、衝突判定基準記憶部132と、優先度記憶部133とを備える。
交差点情報記憶部131は、交差点CRおよび交差点CRにおけるエリアの設定に関する情報が記憶されている。交差点情報記憶部131は、交差点CRの位置(緯度および経度)および形状のデータを含む地図情報が記憶されている。エリア設定部121は、交差点情報記憶部131に記憶された地図情報にエリアの設定情報(実施の形態1の場合、交差点CRの区画に関する情報)を追加し、交差点CRの地図情報を更新することでエリアの設定を行う。交差点CRのエリアの設定は、交通管制装置100の運用開始前に行われる。このため、以降の説明では交差点CRのエリアは予め設定されているものとする。
衝突判定基準記憶部132は、車両92の通過スケジュールを用いて衝突判定を行うための基準である衝突判定基準が予め記憶されている。衝突判定部123は、衝突判定基準記憶部132に記憶されている衝突判定基準に基づいて衝突の可能性の有無を判定する。衝突判定基準の具体的な内容については後述する。
優先度記憶部133は、交差点CRを通過する車両92の通過順位を設定するための優先度が予め記憶されている。通過順位設定部124は、優先度記憶部133に記憶されている優先度に基づいて通過順位を設定する。優先度の具体的な内容については後述する。
交差点CRにおけるエリアの設定について説明する。図3は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が2車線道路と2車線道路が交差する十字路である場合について説明する図である。図3に示すように、交差点CRは図中上下方向および図中左右方向にそれぞれ2車線分の幅があるので、交差点CRに接続された道路R1及び道路R3の中心線、および、道路R2および道路R4の中心線をそれぞれ区画線として4等分に区画され、この区画により4つのエリアA、B、C、Dが設定されている。
エリア設定部121によって交差点CRに設定されるエリアは、少なくとも1台の車両92が通行可能な幅を有する。すなわち、車両92が進入および退出する方向と直交する方向に少なくとも一車線分の幅を有する。このようにエリアを設定することにより、互いに隣接するエリアを順次通過することで、交差点CRを任意の方向に通過することが可能となっている。
次に、「通過中エリア」および「通過予定エリア」について説明する。図4は、実施の形態1に係る通過中エリアおよび通過予定エリアを説明する図である。図4に示す例では、交差点CRを直進して通過する車両92が道路R1から交差点CRに進入している。この場合、車両92はエリアAからエリアBの順に通過するが、交差点CRに進入開始した時点で車両92とエリアAが重なる状況であり、車両92はエリアAを通過している。この場合のエリアAのように、車両92が現在通過中のエリアを「通過中エリア」とし、菱形グリッドで表す。一方エリアBは、現在は車両92と重なっていないが、交差点CRを通過し終えるまでに車両92が通過する。このように、現時点は通過中ではないが、現時点以降で交差点CRを通過し終えるまでに車両92が通過するエリアを「通過予定エリア」とし、対角ストライプで表す。ある車両が交差点CRを通過するとき、どのエリアが通過中エリアおよび通過予定エリアになるか、またはそのいずれにもならないのかは、車両92の通過方向および車両92が位置する道路(どの道路から交差点CRに進入するか)により決まる。また、それぞれのエリアがどのようなタイミングで通過中エリアまたは通過予定エリアになるかは、車両92の通過方向、車両92が位置する道路、および車両92の速度によって決まる。
次に、「調整可能エリア」および「調整不可エリア」について説明する。図5は、実施の形態1に係る調整可能エリアおよび調整不可エリアを説明する図である。調整可能エリアAR、調整不可エリアNRは、それぞれの道路R1、R2、R3、R4において、停止線SLよりも交差点CRから離れた領域に設定される。調整不可エリアNRは、停止線SLから距離L1の間のエリアであり、車両92が進入すると停止線SLの前で停止できずに停止線SLを越えてしまう領域である。調整可能エリアARは、調整不可エリアNRよりも交差点CRから離れた領域である。調整不可エリアNRを決める距離L1は、交差点CRに接近する車両92の速度vactにより定まる。
調整可能エリアARおよび調整不可エリアNRの設定は、エリア設定部121により行えばよい。調整可能エリアARおよび調整不可エリアNRは、交通環境認識装置91により、ある道路上で交差点CRに接近する先頭の車両92を検知した際に設定される。エリア設定部121は、速度vactを交通状況情報Xから取得し、距離L1を計算して調整可能エリアARおよび調整不可エリアNRを設定する。ただし、車両92が停止した場合は調整可能エリアARおよび調整不可エリアNRの設定を解除する。車両92が再発進した場合は調整可能エリアARおよび調整不可エリアNRを再設定する。
次に、通過スケジュールの計算について説明する。図6Aから図6Cは、車両92が交差点CRを通過する際の通過スケジュールの計算について説明する図であり、図6Aは交差点CRおよびその周辺において定義される距離を示す図、図6Bは、交差点CRに進入する車両92のパラメータを示す図、図6Cは、図6Aおよび図6Bに示した状況における通過スケジュールを示す図である。図6Aに示すように、車両92は道路R1から交差点CRに進入し、直進してエリアAおよびエリアBを通過して、道路R3に進入する。調整可能エリアARと調整不可エリアNRとの境界と、交差点CR(エリアA)と道路R1との境界との間の距離をd1、エリアAと道路R1との境界と、エリアAとエリアBとの境界との間の距離をd2とし、エリアAとエリアBとの境界と、エリアBと道路R3との境界との間をd3とする。
また図6Bに示すように、車両92の進行方向についての車体の長さをlveh、車両92の速度をvcrsとする。この場合、以下の式(1)から式(4)が成り立つ。
ここで、t0は車両92が調整不可エリアNRに進入する時刻、t1は、車両92がエリアAに進入する時刻、t2は、車両92がエリアBに進入する時刻、t3は、車両92がエリアAから退出する時刻、t4は、車両92がエリアBから退出する時刻である。
上記の結果から、各エリアにおける通過スケジュールは図6Cに示すようになる。通過スケジュールは、横軸に時刻を示し、そのエリアが通過中エリアか通過予定エリアであるかを縦軸で示すことによって表す。図6Cに示すように、時刻t0から時刻t1の間は、エリアAおよびエリアBの両方が通過予定エリアである。時刻t1から時刻t2の間は、エリアAは通過中エリアであるが、エリアBは通過予定エリアである。時刻t2から時刻t3の間は、エリアAおよびエリアBの両方が通過中エリアである。時刻t3から時刻t4の間は、エリアAは通過中エリアまたは通過予定エリアのいずれでもないが、エリアBは通過中エリアである。
なお、図6Aから図6Cでは車両92が交差点CRを直進して通過する場合の例であるが、車両92が右折または左折して交差点CRを通過する場合、車両92の車速および走行経路が直進の場合と異なるので、d1、d2、d3、およびvcrsを適宜調整することとなる。
車両92が直進する場合の通過スケジュールについて、図7Aから図7Dを用いてさらに説明する。図7Aから図7Dに示す例においても、道路R1から交差点CRに進入する車両92が直進してエリアAおよびエリアBを通過し、道路R3に進入する。車両92がエリアAに進入した後の時刻t11の状況を図7Aに示し、車両92がエリアBに進入した後の時刻t12の状況を図7Bに示し、車両92が道路R3に進入した時刻t13の状況を図7Cに示す。図7Dには、車両92が直進する場合の通過スケジュール全体をエリアごとに示している。
車両92が左折する場合の通過スケジュールを図8Aから図8Dに示す。図8Aから図8Dに示す例では、道路R1から交差点CRに進入する車両92が左折して道路R4に進入する。この場合、車両92はエリアAのみ通過する。図8Aは、車両92がエリアAに進入する直前の時刻t21の状況を示し、図8Bは、車両92がエリアAに進入した後の時刻t22の状況を示す。また図8Cは、車両92がエリアAから退出した後の時刻t23の状況を示す。図8Dには、車両92が左折する場合の通過スケジュール全体をエリアごとに示している。
車両92が右折する場合の通過スケジュールを図9Aから図9Eに示す。図9Aから図9Eに示す例では、道路R1から交差点CRに進入する車両92が右折して道路R2に進入する。この場合、車両92は全てのエリアを通過する。図9Aは、車両92がエリアAに進入する直前の時刻t31の状況を示し、図9Bは、車両92がエリアAに進入した後の時刻t32の状況を示している。図9Cは、車両92がおおむね交差点CRの中心を通過している時刻t33の状況を示し、図9Dは、車両92が道路R2に進入した時刻t34の状況を示している。また、図9Eは、車両92が右折する場合の通過スケジュール全体をエリアごとに示している。上述したように、右折の場合は車両92が全てのエリアを通過するので、時刻t31において全てのエリアが通過予定エリアとなっている。
時刻t32において、エリアAのみが通過中エリアとなり、エリアB、C、Dは通過予定エリアとなっている。時刻t33において、全てのエリアが通過中エリアとなっている。時刻t34において、エリアCのみが通過中エリアとなっている。
次に、複数の車両が交差点に進入する場合について説明する。図10は、交差点に複数の車両が進入する場合について説明する図である。区別のため、道路R1から交差点に進入する車両を車両921、道路R1から交差点CRに進入する車両を車両921、道路R3から交差点CRに進入する車両を車両923、道路R4から交差点CRに進入する車両を車両924とする。車両921は交差点CRを直進して通過し、道路R3に進入する。車両923は交差点CRを右折して通過し、道路R4に進入する。車両924は交差点CRを左折して通過し、道路R3に進入する。車両921、923、924は、いずれも調整可能エリアAR内にあり、調整不可エリアNRには進入していないとする。車両921は直進するので、エリアAから交差点CRに進入した後、エリアA、エリアBを順に通ってエリアBから道路R3に進入する。車両923は右折するので、エリアCから交差点に進入して全てのエリアを通過した後、エリアAから道路R4に進入する。車両924は左折するので、エリアBのみ通過する。
車両921に「1」、車両923に「3」、車両924に「2」の数字をそれぞれ付している。これらの数字は衝突判定後に設定される通過順位を示すが、詳細は後述する。最初は、車両921、923、924が同時に交差点CRに進入すると仮定する。各車両が交差点CRに向けて動き出す時刻を時刻tAとする。
図10の例における通過スケジュールを図11Aから図11Dに示す。図11Aは、各車両の通過スケジュールを比較する図であり、エリアAにおける各車両の通過スケジュールを比較する図である。図11Bは、各車両の通過スケジュールを比較する図であり、エリアBにおける各車両の通過スケジュールを比較する図である。図11Cは、各車両の通過スケジュールを比較する図であり、エリアCにおける各車両の通過スケジュールを比較する図である。図11Dは、各車両の通過スケジュールを比較する図であり、エリアDにおける各車両の通過スケジュールを比較する図である。なお、図11Aから図11Dに示す各時刻は比較のための一例である。
エリアAには車両921と車両923が通過する。このため、図11Aに示すように、時刻tAにおいてエリアAは車両921と車両923の通過予定エリアとなる。その後、時刻tBに車両921がエリアAに進入し、時刻tCに車両921がエリアAから退出する。さらにその後、時刻tDに車両923がエリアAに進入し、時刻tEに車両923がエリアAから退出する。この場合、時刻tAから時刻tBにおいて、エリアAは車両921と車両923の通過予定エリアとなる。時刻tBから時刻tCにおいて、エリアAは車両921の通過中エリアとなるとともに、車両923の通過予定エリアとなる。時刻tCから時刻tDにおいて、エリアAは車両923のみの通過予定エリアとなる。時刻tDから時刻tEにおいて、エリアAは車両923のみの通過中エリアとなる。
エリアBには車両921、車両923、および車両924が通過する。このため、図11Bに示すように、時刻tAにおいてエリアBは車両921車両923、および車両924の通過予定エリアとなる。その後、時刻tFに車両924がエリアBに進入し、時刻tGには車両921がエリアBに進入する。その後、時刻tHに車両924がエリアBから退出し、時刻tIに車両923がエリアBに進入する。その後、時刻tJに車両921がエリアBから退出し、時刻tKに車両923がエリアBから退出する。この場合、時刻tAから時刻tFにおいて、エリアBは車両921、車両923、および車両924の通過予定エリアとなる。時刻tFから時刻tGにおいて、エリアBは車両924の通過中エリアとなるとともに、車両921と車両923の通過予定エリアとなる。時刻tGから時刻tHにおいて、エリアBは車両921と車両924の通過中エリアとなるとともに、車両923の通過予定エリアとなる。時刻tHから時刻tIにおいて、エリアBは車両921の通過中エリアとなるとともに、車両923の通過予定エリアとなる。時刻tIから時刻tJにおいて、エリアBは車両921と車両923の通過中エリアとなる。時刻tJから時刻tKにおいて、エリアBは車両923のみの通過中エリアとなる。
エリアCには車両923のみが通過する。このため、図11Cに示すように、時刻tAにおいてエリアCは車両923の通過予定エリアとなる。その後、時刻tLに車両923がエリアCに進入する。その後、時刻tMに車両923がエリアCから退出する。この場合、時刻tAから時刻tLにおいて、エリアCは車両923のみの通過予定エリアとなる。時刻tLから時刻tMにおいて、エリアCは車両923のみの通過中エリアとなる。
エリアDには車両923のみが通過する。このため、図11Dに示すように、時刻tAにおいてエリアDは車両923の通過予定エリアとなる。その後、時刻tNに車両923がエリアDに進入する。その後、時刻tPに車両923がエリアDから退出する。この場合、時刻tAから時刻tNにおいて、エリアDは車両923のみの通過予定エリアとなる。時刻tNから時刻tPにおいて、エリアDは車両923のみの通過中エリアとなる。
衝突判定部123は、各エリアにおける各車両の通過スケジュールを比較することで、衝突可能性の有無を判定する。図12は、実施の形態1に係る衝突判定基準の例を示す図である。図12に示すように、衝突判定部123は、同じ時刻において同じエリアが複数の車両の通過中エリアとなっている場合、および、同じ時刻において同じエリアが複数の車両の通過予定エリアとなっている場合に衝突可能性が有るとする。換言すると、特定のエリアについて、複数の車両92のうちの第1の車両の通過中エリアとなる時間帯と、特定のエリアが第1の車両とは異なる第2の車両の通過中エリアとなる時間帯とが重なる場合、または、特定のエリアについて、第1の車両の通過予定エリアとなる時間帯と、特定のエリアが第2の車両の通過予定エリアとなる時間帯とが重なる場合に、第1の車両と第2の車両は衝突の可能性があると判定する。一方、同じ時刻において同じエリアがある車両の通過中エリア(通過予定エリア)であり、他の車両の通過予定エリア(通過中エリア)となっている場合は、衝突可能性は無いと判定する。
また、図12には記載していないが、比較対象の一方の車両の通過中エリアまたは通過予定エリアであって、他方の車両については過中エリアまたは通過予定エリアのいずれにもなっていない場合も、衝突可能性は無いと判定する。なお、通過予定エリアと通過予定エリアの組み合わせで衝突可能性が有ると判定するのは、何らかの理由で一方の車両の通過時刻がずれた場合に、通過時刻が他方の車両と重なる可能性があるためである。また、通過中エリアと通過予定エリアの組み合わせでは衝突可能性が無いと判定するのは、あるエリアが一方の車両の通過中エリアである場合は、その車両はそのエリアからすぐに退出するものと考えられるからである。
図12に示した衝突判定基準に基づき、図10の例の衝突可能性を判定する。上述したとおり、エリアAは、時刻tAから時刻tBにおいて車両921と車両923の通過予定エリアとなっているので、車両921と車両923はエリアAで衝突を起こす可能性があると判定される。エリアBは、時刻tAから時刻tFにおいて車両921、車両923、および車両924の通過予定エリアとなっている。またエリアBは、時刻tFから時刻tGにおいて車両921および車両923の通過予定エリアとなっている。さらにエリアBは、時刻tGから時刻tHにおいて車両921と車両924の通過中エリアとなっている。また、時刻tIから時刻tJにおいて車両921と車両923の通過中エリアとなっている。以上より、エリアAについては車両921と車両923の衝突可能性があると判定される。またエリアBについては、車両921、車両923、および車両924の衝突可能性があると判定される。エリアCおよびエリアDは車両923しか通過しないので、衝突可能性は無い。
上記のように、図10に示す例では、衝突が起こる可能性があるので、衝突が起こらないように各車両の通過時刻を調整する必要がある。実施の形態1では、衝突判定部123によって衝突可能性が有ると判定された場合、予め定められた優先度により各車両の通過順位を設定し、通過順位を設定した後に、後から交差点CRを通過する車両の通過時刻をどの程度遅らせるかを決定する。通過順位設定部124は、衝突判定部123から衝突可能性有りとの判定結果を受信すると、予め定められた優先度を優先度記憶部133から読み出し、交通状況情報Xおよび目標通過方向情報Yを参照して、各車両が交差点CRを通過する順序を設定する。なお、「予め定められた優先度」には様々なものが考えられるが、実施の形態1では図13に示すように優先度を設定する。図13に示す優先度では、小さい数ほど優先度が高いことを示し、通過順位が先になるように設定されている。すなわち、数が小さい優先度の条件に該当する車両から先に交差点CRを通過することとなる。
ある車両が複数の優先度の条件を満たす場合、最も高い優先度を適用する。また、同じ優先度の条件に複数の車両が該当し、かつ、これらの車両が衝突を可能性がある場合は、当該優先度よりも低い優先度のうち、最も高い優先度の条件に該当する車両の方が、優先度が高いとする。同じ優先度でも衝突の可能性が無い場合は、通過順位も同じとしてよい。
優先度1は、車両の位置に基づく優先度であり、既に調整不可エリアNRに進入した車両は、停止線SLの前では停止できず、また、通常であれば交差点CRを通過するように既に指令Zを受けていることから、最優先で通行させるものとしている。優先度2から優先度8は、交通状況に基づく優先度である。「交差点のデフォルト優先度」とは、例えば南北方向の道路よりも東西方向の道路を優先するなどの優先度であり、交差点CRごとに設定される。ただし、実施の形態1の交差点CRにはデフォルト優先度が設定されていないものとする。
なお、図13に示した優先度は、異なる道路から交差点CRに進入する車両の通過順位を設定するための優先度である。同じ道路を走行する複数の車両については、先頭の車両が最初に交差点CRを通過するように、より交差点CRに近い車両ほど優先度が高いとする。
上記の優先度に基づいて図10の例における各車両の通過順位を設定する場合、優先度1から3に該当する車両はないが、車両921が優先度4の条件に該当し、車両924が優先度5の条件に該当する。また、車両923が優先度6の条件に該当する。このため、通過順位は車両921、車両924、車両923の順となる。
通過順位設定部124により通過順位が設定された後、通過スケジュール調整部126は、衝突を起こすことがないように、通過順位が後の車両の交差点CRへの進入時刻を遅らせる調整を行う。この調整は、衝突を起こす可能性のある各車両について各エリアにおいて行った後、いずれのエリアでも衝突が起こらないように全体の調整時間Tを最終的に決定する。上述した図10の例では、エリアAとエリアBで衝突が起こる可能性があるので、各車両について、エリアA、エリアBにおいてそれぞれの調整時間をそれぞれ求めた後、それぞれのエリアの調整時間を比較して、全体の調整時間Tを決定する。
エリアAについて、時刻tAから時刻tBにおいてエリアAが車両921と車両923の通過予定エリアとなっているために、車両921と車両923の衝突の可能性があると判定されている。図11Aより、衝突を回避するためには、車両921よりも通過順位が後である車両923の交差点CRへの進入時刻を少なくとも(tB-tA)遅らせる必要がある。このように、通過順位が後の車両を遅らせる時間を調整時間TAとする。スムーズな通行のためには調整時間TAは短い方が好ましいので、車両923のエリアAついての調整時間TAは(tB-tA)となる。車両923の交差点CRへの進入時刻を調整時間TA(=tB-tA)遅らせた場合のエリアAの各車両の通過スケジュールを図14Aに示す。図14Aにおいて、時刻tD*およびtE*は、上記のように車両923の交差点CRへの進入時刻を調整時間TA遅らせた場合の車両923のエリアAへの進入時刻およびエリアAからの退出時刻であり、tD*=tD+tB-tA、tE*=tE+tB-tAとなる。
エリアBについて、時刻tAから時刻tGにおいてエリアBが車両921と車両923の通過予定エリアとなっており、時刻tIから時刻tJにおいてエリアBが車両921と車両923の通過中エリアとなっているために、車両921と車両923の衝突の可能性があると判定されている。また、時刻tAから時刻tFおいてエリアBが車両921と車両924の通過予定エリアとなっており、時刻tGから時刻tHにおいてエリアBが車両921と車両924の通過中エリアとなっているために、車両921と車両924の衝突の可能性があると判定されている。また、時刻tAから時刻tFにおいてエリアBは車両923と車両924の通過予定エリアとなっているために、車両923と車両924の衝突の可能性があると判定され、時刻tAから時刻tFにおいては、車両921、車両923、および車両924の3台について衝突可能性があると判定される。
このように3台以上の衝突の可能性が考えられる場合、通過順位が先の車両から調整を行う。すなわち、まずは車両921と車両924の衝突の回避を考える。図11Bより、車両921と車両924の衝突を回避するためには、車両921よりも通過順位が後である車両924のエリアBへの進入時刻(時刻tF)が車両921のエリアBからの退出時刻(時刻tJ)以降になるように、車両924の交差点CRへの進入時刻を少なくとも(tJ-tF)遅らせる必要がある。上述のように、調整時間は短い方が好ましいので、車両924のエリアBついての調整時間TB1は(tJ-tF)となる。なお、通過順位が先の車両から調整を行うのは、通過順位が後の車両の通過スケジュールの調整を先に行ってしまうと、その後に行われる通過順位が先の車両の通過スケジュールの調整の結果次第では、通過順位が後の車両の通過スケジュールの調整を再度行う必要が生じる可能性があるためである。
次に、車両923と車両924の衝突の回避を考える。この時、車両924の通過スケジュールは上述したように調整されたものとする。なお、厳密には、通過順位が先の車両の通過スケジュールの調整が全てのエリアについて完了し、通過順位が先の車両の全体のスケジュールを調整した後に、通過順位が後の車両の通過スケジュールの調整を行うが、後述するように車両924の通過スケジュールの調整はエリアBのみしか行われず、エリアBについての通過スケジュールの調整をもって全体の通過スケジュールが調整できたとみなして差し支えない。図11Bより、車両923と車両924の衝突を回避するためには、車両924よりも通過順位が後である車両923の交差点CRへの進入時刻が、車両924のエリアBへの進入時刻以降になるように、車両923の交差点CRの進入時刻を遅らせる必要がある。ここで、車両924の交差点CRへの進入時刻を(tJ-tF)遅らせた場合の車両924のエリアBへの進入時刻は時刻tJであるので、車両923の交差点CRへの進入時刻は、少なくとも(tJ-tA)遅らせる必要があることとなる。上述のように、調整時間は短い方が好ましいので、車両923のエリアBついての調整時間TB2は(tJ-tA)となる。
車両923の交差点CRへの進入時刻を調整時間TB2(=tJ-tA)遅らせ、車両924の交差点CRの進入時刻を調整時間TB1(=tJ-tF)遅らせた場合のエリアBの各車両の通過スケジュールを図14Bに示す。図14Bにおいて、時刻tA*は、上記のように車両924の交差点CRへの進入時刻を調整時間TB1遅らせた場合の車両924の交差点CRへの進入時刻であり、tA*=tA+tJ-tFである。時刻tF*は、車両924の交差点CRへの進入時刻を調整時間TB1遅らせた場合の車両924のエリアBへの進入時刻である。tF*=tF+tJ-tF=tJであるため、時刻tF*は時刻tJと同時刻となる。時刻tH*は、車両924の交差点CRへの進入時刻を調整時間TB1遅らせた場合の車両924のエリアBからの退出時刻であり、tH*=tH+tJ-tFである。時刻tI*およびtK*は、車両923の交差点CRへの進入時刻を調整時間TB2遅らせた場合の車両923のエリアBの進入時刻およびエリアBからの退出時刻であり、tI*=tI+tJ-tA、tK*=tK+tJ-tAとなる。
ある車両92について、全てのエリアについての調整時間を計算した後、それぞれのエリアにおける調整時間を比較し、最も時間が長いものをその車両92に適用する調整時間とする。車両924はエリアBについて調整時間TB1を計算したのみであるので、エリアBについて計算した調整時間TB1(=tJ-tF)を用いて全体の通過スケジュールを調整する。すなわち、車両924の交差点CRへの進入時刻を(tJ-tF)遅らせる。
車両923はエリアAとエリアBについて調整時間TA、TB2をそれぞれ計算したので、エリアAについて計算した調整時間TA(=tB-tA)とエリアBについて計算した調整時間TB2(=tJ-tA)とを比較し、より長い方の調整時間を用いて全体の通過スケジュールを調整する。すなわち、調整時間TAが調整時間TB2よりも長い場合は車両923の交差点CRへの進入時刻を(tB-tA)遅らせ、調整時間TB2が調整時間TA、よりも長い場合は車両923の交差点CRへの進入時刻を(tJ-tA)遅らせる。
通過スケジュールの調整を行った後の各車両の通過スケジュールを図15Aから図15Cに示す。なお、図15Aから図15Cでは、各車両の全体の通過スケジュールをエリアごとに示しているが、その車両が通過しないエリアについては省略している。また、車両923の通過スケジュールについて、エリアAにおける調整時間TAよりもエリアBにおける調整時間TB2の方が長かったとし、調整時間TB2(tJ-tA)用いて車両923の通過スケジュールの調整を行っている。
図15Aは、通過スケジュールの調整を行った後の車両921の通過スケジュールを示している。上述したとおり、車両921は最初に交差点CRを通過するので、調整の前後で通過スケジュールの変更は無い。
図15Bは、通過スケジュールの調整を行った後の車両923の調整後の通過スケジュールを示している。上述したとおり、車両923の通過スケジュールの調整は調整時間TB2(tJ-tA)を用いて行っており、各時刻は調整前よりも(tJ-tA)だけ遅くなっている。すなわち、図15Bに示す各時刻は、tA**=tA+tJ-tA(=tJ)、tD**=tD+tJ-tA、tE**=tE+tJ-tA、tL*=tL+tJ-tA、tM*=tM+tJ-tA、tN*=tN+tJ-tA、tP*=tIP+tJ-tAとなる。
図15Cは、通過スケジュールの調整を行った後の車両924の調整後の通過スケジュールを示している。上述したとおり、車両924の通過スケジュールの調整は調整時間TB1(tJ-tF)を用いて行っており、各時刻は調整前よりも(tJ-tF)だけ遅くなっている。
なお、通過スケジュールの調整を1回行ったのみでは衝突の可能性が無くならない可能性もある。このため、調整後の通過スケジュールに基づいて衝突可能性の判断を再度行い、衝突可能性が無いと判定されるまで通過スケジュールの調整を繰り返すことも考えられる。
次に、交差点CRに複数の車両が進入する場合の他の例について、図16を用いて説明する。図16に示す例では、交差点CRを直進する車両921が道路R1から交差点CRに進入し、車両921の後続車である車両925が交差点CRを直進する。また、交差点CRを右折する車両922が道路R2で待機している。車両922は、既に一定時間以上待機しており、図13に示した優先度2の条件を満たしているとする。また車両922は、既に通過指令を受けており、すぐに発進可能な状態であるとする(発進に伴うタイムラグは無いとする)。また、交差点CRを直進する車両923が道路R3から交差点CRに進入する。また、交差点CRを左折する車両924が道路R4から交差点CRに進入する。車両921、922、923、925は調整不可エリアNRに進入していないが、車両924は既に調整不可エリアNRに進入しているとする。
図16に示す例の場合、図13に示した優先度1の条件に車両924が該当する。また、優先度2の条件に車両922が該当する。また、優先度4の条件に車両921、車両923、および車両925が該当する。優先度5の条件には車両924が該当する。優先度6の条件には車両922が該当する。車両922は優先度2と優先度6の条件に該当するが、上述したとおり、より高い優先度を採用するので、車両922の優先度は2となる。同様に、車両924は優先度1と優先度5の条件に該当するが、より高い優先度を採用し、車両922の優先度は1となる。車両921、車両923、および車両925は、いずれも優先度4の条件に該当している。車両921と車両925は同じ道路R1を走行しており、車両921の方が交差点CRに近いため、車両925よりも車両921の方が、通過順位が先になる。車両921と車両923については、車両921がエリアAとエリアBのみを通過するのに対し、車両923はエリアCとエリアDのみを通過し、衝突の可能性が無い。このため、車両921と車両923は同順位とする。以上より、図16の例における通過順位は、車両924、車両922、車両921および車両923(同順位)、車両925となる。
交差点CRに複数の車両が進入する場合のさらに別の例について、図17を用いて説明する。図17に示す例では、交差点CRを右折する車両921が道路R1から交差点CRに進入し、車両921の後続車である車両925が交差点CRを直進する。また、交差点CRを直進する車両922が道路R2から交差点CRに進入する。また、交差点CRを右折する車両923が道路R3から交差点CRに進入する。また、交差点CRを左折する車両924が道路R4から交差点CRに進入する。なお、車両923の後方には一定以上の数の後続車両920があり、車両923は、図13に示した優先度3の条件を満たしているとする。また、車両921、922、923、924、925は、いずれも調整不可エリアNRに進入していない。
図17に示す例の場合、図13に示した優先度1、2の条件に該当する車両は無い。一方で、上述したように優先度3の条件に車両923が該当する。また、優先度4の条件に車両922および車両925が該当する。優先度5の条件には車両924が該当する。優先度6の条件には車両921と車両923が該当する。車両923は優先度3と優先度6の条件に該当するが、上述したとおり、より高い優先度を採用するので、車両923の優先度は3となる。車両925の優先度は4であるが、同じ道路R1を走行し、かつ、車両925よりも交差点CRに近い車両921よりも後になるので、車両921の優先度である優先度6よりも下の優先度となる。以上より、図17の例における通過順位は、車両923、車両922、車両924、車両921、車両925となる。
なお、調整不可エリアNRの設定は必須ではない。調整不可エリアNRを設定しない場合、図13に示した優先度1は省略され、優先度2以降の優先度が1ずつ繰り上がる。
次に、実施の形態1における交通管制装置を実現するハードウェア構成について説明する。図18は、実施の形態1における交通管制装置を実現するハードウェア構成の例を示す図である。交通管制装置100は、主に、プロセッサ71と、主記憶装置としてのメモリ72および補助記憶装置73から構成される。プロセッサ71は、例えばCPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などで構成される。
メモリ72はランダムアクセスメモリ等の揮発性記憶装置で構成され、補助記憶装置73はフラッシュメモリ等の不揮発性記憶装置またはハードディスクなどで構成される。補助記憶装置73には、プロセッサ71により実行される所定のプログラムが記憶されており、プロセッサ71は、このプログラムを適宜読み出して実行し、各種演算処理を行う。この際、補助記憶装置73からメモリ72に上記所定のプログラムが一時的に保存され、プロセッサ71はメモリ72からプログラムを読み出す。実施の形態1に係る制御系の各種演算処理は、上記のようにプロセッサ71が所定のプログラムを実行することで実現される。プロセッサ71による演算処理の結果は、一旦メモリ72に記憶され、実行された演算処理の目的に応じて補助記憶装置73に記憶される。
また、交通管制装置100は、交通環境認識装置91などの外部の機器および車両92に対してデータを送信する送信装置74と、交通環境認識装置91などの外部の機器および車両92からデータを受信する受信装置75とを備えている。
各種のデータの送信および受信を行う通信部110は、送信装置74および受信装置75により実現される。各種の演算処理を行う調整部120は、プロセッサ71、メモリ72、および補助記憶装置73により実現される。また記憶部130は、メモリ72または補助記憶装置73により実現される。
次に、動作について説明する。図19は、実施の形態1における交通管制装置の動作を示すフロー図である。交通管制装置100は、図19に示すフローを予め定められた周期(例えば1秒)で繰り返し実行する。まず、交通管制装置100は、交差点周辺の車両情報を収集する(ステップST110:車両情報収集工程)。
図20は、実施の形態1に係る車両情報収集工程を示すフロー図である。車両情報収集工程では、交差点CRおよびその周辺の交通状況から、交差点CRに進入する車両92および交差点CRの手前で待機中の車両の車両情報を順次取得する。まず、交差点CRおよびその周辺の車両について、車両情報を未取得の車両があるかを判定する。(ステップST111)。車両情報を未取得の車両92がある場合、必要に応じて交通環境認識装置91および車両92から交通状況情報Xおよび目標通過方向情報Yをそれぞれ受信し、車両情報を取得する(ステップST112)。車両情報を未取得の車両92が無い場合、すなわち、交差点CRおよびその周辺の全ての車両の車両情報を取得した場合、車両情報収集工程を終了する。なお、車両情報を収集する範囲は、交差点CRおよびその周辺の一定の範囲内を走行中あるいは待機中の車両であり、具体的にどの範囲内で車両情報を収集するかは予め定められる。
車両情報収集工程の次に、車両情報を取得した各車両92の通過スケジュールを計算する(ステップST120:通過スケジュール計算工程)。これにより、現状での通過スケジュール、すなわち、調整前の各車両92の通過スケジュールを取得する。
通過スケジュール計算工程の次に、各車両92をそれぞれ計算された通過スケジュールで交差点CRを通過させた場合に衝突が起こる可能性が無いかの判定を行う(ステップST130:衝突判定工程)。衝突の可能性の有無の判定は上述したとおりであり、図12に示した衝突判定基準に基づき、エリアごとに衝突の可能性を判断する。衝突可能性の有無によって、以下のように処理を変える(ステップST140)。
衝突判定工程において衝突可能性が有ると判定した場合、衝突を回避するために通過順位の設定を行う(ステップST150:通過順位設定工程)。上述したとおり、通過順位設定工程では図13に示した優先度に基づいて交差点CRを通過する車両92の通過順位を設定する。
通過順位設定工程の後、必要に応じて各車両92の通過スケジュールを調整する(ステップST160:通過スケジュール調整工程)。図21は、実施の形態1に係る通過スケジュール調整工程を示すフロー図である。実施の形態1における通過スケジュールの調整は、通過順位の順序で各車両92について行い(ループL1)、ある車両92における通過スケジュールの調整は、エリアごとに行った後に(ループL2)、全体の通過スケジュールを調整する。ループL1およびループL2において、通過スケジュールの調整を行う対象の車両92を「対象の車両」、対象の車両の通過スケジュールを調整するか否かを判定し、調整時間を計算する対象のエリアを「対象のエリア」と呼ぶこととする。また、対象の車両と衝突を起こす可能性があると判定さている車両92を「衝突相手の車両」と呼ぶ。
まず、衝突判定の結果から、対象のエリアにおいて対象の車両が衝突を起こす可能性があり、かつ、衝突相手の車両の通過順位が対象の車両の通過順位よりも先である場合は、対象のエリアについて対象の車両の通過スケジュールの調整を行う必要があると判定し、ステップST162に進む(ステップST161)。対象のエリアにおいて対象の車両が衝突を起こす可能性が無いか、衝突を起こす可能性があっても衝突相手の車両の通過順位が対象の車両の通過順位よりも後である場合は何もせず、対象のエリアにおいては通過スケジュールの調整は行わない。
対象のエリアにおいて対象の車両の通過スケジュールを調整する場合、衝突を回避するように対象の車両の通過スケジュールを調整する(遅らせる)。上述したように、
スムーズな交通のためには調整時間は短い方が好ましいので、衝突を回避可能であり、かつ、最短の時間を対象のエリアにおける調整時間として記憶する。対象のエリアにおける調整時間を記憶したら、次のエリアにおける通過スケジュールに調整に進む。これにより、全てのエリアについてループL2内の処理(ステップST161およびステップST162)を実施する。なお、通過スケジュールの調整が必要ないと判定したエリアについては、調整時間をゼロとしておけばよい。
全てのエリアについて、(必要な場合に)対象の車両の調整時間を計算した後、各エリアについての調整時間のうち、最も長い調整時間を対象の車両の通過スケジュール全体の調整時間として選択し、対象の車両の通過スケジュール全体、すなわち、全てのエリアの通過スケジュールを調整時間だけ遅らせる(ステップST163)。以後、対象の車両よりも通過順位が後の車両について通過スケジュールの調整を行っていき、全ての車両92についてループL1内の処理(ループL2およびステップST163)を実施する。通過順位の順序で各車両92の通過スケジュールを調整していくため、通過順位が先の車両の通過スケジュールの調整を逐次反映させながら、通過順位が後の車両の通過スケジュールの調整を行うこととなる。
通過スケジュール調整工程の後、衝突判定工程を再度行い、調整後の通過スケジュールで衝突可能性が無くなっているかを確認する。衝突可能性が有ると判定された場合は、通過順位設定工程と通過スケジュール調整工程を繰り返す。なお、2回目以降の通過順位設定工程は省略してもよい。また、1回の通過スケジュールの調整で衝突可能性が無くなると見込まれる場合は、再度の衝突判定は行わずに後述の指令生成工程に進んでもよい。
衝突判定工程において衝突可能性が無いと判定した場合、各車両92への指令Zを生成する。(ステップST170:指令生成工程)。図22は、実施の形態1に係る指令生成工程を示すフロー図である。図22では、指令Zを送信する車両のうちの、1つの車両92に対する指令の生成について示しており、実際は、指令Zを送信する全ての車両について、後述するステップST171からステップST173の処理を行い、各車両92に対する指令Zを生成する。
まず、通過スケジュールが調整により変更されたかを判定する(ステップST171)。通過スケジュールが調整により変更されている場合、調整後の通過スケジュールに従って交差点に進入するように、調整指令を生成する(ステップST172)。通過スケジュールが変更されていない場合、車両の通行を調整しない現状維持指令を生成する。
調整指令は、調整後の通過スケジュールに従って車両に交差点CRを通過させる指令である。調整指令には、減速指令、または待機指令などが含まれる。減速指令は、減速の度合いおよび減速を行う時間を指示する。待機指令は待機時間を指示し、待機時間終了後に車両を発進させる。すなわち待機指令は、待機時間経過後は通過指令として機能する。具体的な待機時間は、交通環境認識装置91により取得される交通状況情報Xに基づいて決定される。
指令生成工程の後、指令生成工程によって生成した指令Zを各車両92に送信する(ステップST180)。
上記の説明では、交差点CRはそれぞれ2車線の道路が交差する十字路とし、これに伴って交差点内のエリアの設定も行った。しかしながら、実施の形態1は様々な交差点CRに適用が可能である。
図23は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が2車線道路と1車線道路が交差する十字路である場合について説明する図である。図23に示す交差点CRには、図中上側および図中下側にそれぞれ1車線の道路R1および道路R3が接続され、図中左側および右側にそれぞれ2車線の道路R2および道路R4が接続されている。このような場合、交差点CRは図中上下方向に2車線分の幅があるので、道路R2および道路R4のそれぞれの中心線を区画線として2等分に区画され、この区画により2つのエリアA、Bが設定される。
図24は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が1車線道路と1車線道路が交差する十字路である場合について説明する図である。図24に示す交差点CRには、図中上側および図中下側にそれぞれ1車線の道路R1および道路R3が接続され、図中左側および右側にそれぞれ1車線の道路R2および道路R4が接続されている。このような場合、交差点CRは図中上下方向にも図中左右方向にも1車線分しか幅が無く、複数のエリアに区画することはできない。このため、交差点CR全体がエリアAとして設定される。
図25は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が2車線道路と2車線道路が交差するT字路である場合について説明する図である。図25に示す交差点CRは、図中左側および右側にそれぞれ2車線の道路R5および道路R7が接続され、図中下側に2車線の道路R6が接続されている。このような場合、交差点CRは図中上下方向および図中左右方向にそれぞれ2車線分の幅があるので、交差点CRに接続された道路R5および道路R7の中心線、および道路R6の中心線を区画線として4等分に区画され、この区画により4つのエリアA、B、C、Dが設定される。
図26は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が2車線道路と1車線道路が交差するT字路である場合について説明する図である。図26に示す交差点CRは、図中左側および右側にそれぞれ2車線の道路R5および道路R7が接続され、図中下側に1車線の道路R6が接続されている。このような場合、交差点CRは図中上下方向に2車線分の幅があるので、道路R5および道路R7のそれぞれの中心線を区画線として2等分に区画され、この区画により2つのエリアA、Bが設定される。
図27は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が1車線道路と1車線道路が交差するT字路である場合について説明する図である。図27に示す交差点CRは、図中左側および右側にそれぞれ1車線の道路R5および道路R7が接続され、図中下側に1車線の道路R6が接続されている。このような場合、交差点CRは図中上下方向にも図中左右方向にも1車線分しか幅が無く、複数のエリアに区画することはできない。このため、交差点CR全体がエリアAとして設定される。
図28は、交差点のエリア設定について説明する図であり、交差点が3本の2車線道路が交差するY字路である場合について説明する図である。図28に示す交差点CRは、図中左上側および右上側にそれぞれ2車線の道路R8および道路R10が接続され、図中下側に2車線の道路R9が接続されている。このような場合、
交差点CRは、左下から右上に延びる辺(道路R8との境界線)、左上から右下に延びる辺(道路R10との境界線)、および左右に延びる辺(道路R9との境界線)の3辺で囲まれる三角形をなし、この三角形の各辺は2車線分の幅を持つ。このため、各辺の中点を結ぶ3本の接続線を区画線として交差点CRを区画することにより交差点CRが4等分に区画され、この区画により4つのエリアA、B、C、Dが設定される。
上述したいずれの交差点CRにおいても、交差点CRに進入する車両92の通過スケジュールを計算し、各エリアは通過予定エリアまたは通過中エリアになるタイミングを計算することは可能であるので、衝突判定を行うことができる。また、交差点CRに進入する複数の車両92について通過順位を設定することも可能であるので、上述したような通過スケジュールの調整を行うことも可能である。
実施の形態1によれば、交差点における円滑な交通を実現することができる。より具体的には、交差点に進入する車両の車両情報に基づいて、車両が交差点を通過する際の通過スケジュールを計算する通過スケジュール計算部と、通過スケジュールに基づいて、車両の衝突の可能性を判定する衝突判定部と、衝突判定部により衝突の可能性があると判定された場合に、車両の通過順位を設定する通過順位設定部と、車両への指令を生成する指令生成部と、衝突の可能性があると判定された車両の通過スケジュールを比較した結果から調整時間を計算し、衝突の可能性があると判定された車両のうち、通過順位が後の車両の通過スケジュールを調整時間だけ遅らせることにより、通過スケジュールの調整を行う通過スケジュール調整部とを備えた。通過スケジュール調整部は、衝突を回避するために必要な調整時間を計算し、通過順位が後の車両の通過スケジュールは遅らせるが、衝突を回避するために必要な調整時間だけ通過スケジュールを遅らせるため、必要以上に長い待機時間を発生させることがなく、交差点における円滑な交通が実現される。
実施の形態2.
次に、実施の形態2を図29から図32に基づいて説明する。なお、図1から図28と同一または相当部分については同一符号を付し、その説明を省略する。図29は、実施の形態2における交通管制装置を示すブロック図である。交通管制装置200の調整部220は、後述する調整周期T_nを設定する調整周期設定部227を備えている。また、指令生成部225および通過スケジュール調整部226が実施の形態1の指令生成部125および通過スケジュール調整部126と異なる。
図30は、実施の形態2に係る調整周期を説明する図である。実施の形態1との比較のため、図14Bに示した通過スケジュールを基にしている。実施の形態2では、調整周期設定部227により調整周期T_nを予め定めている。通過順位の順で通過スケジュールの調整を行う際に、ある車両92の通過完了時刻が現在の調整周期の終了時刻よりも遅くなった場合、上記ある車両92よりも通過順位が後の車両については、通過スケジュール調整部226による通過スケジュールの調整は行われず、上記ある車両92よりも通過順位が後の車両を待機させることのみが決定される。また指令生成部225は、上記ある車両92よりも通過順位が後の車両への指令Zとして待機指令を生成する。
「通過完了時刻」は、車両92が交差点CRを通過して交差点CRから退出する時刻である。交差点CRを通過する際に車両92が1つのエリアのみを通過する場合はそのエリアからの退出時刻が通過完了時刻となり、車両92が複数のエリアを通過する場合はそれぞれのエリアからの退出時刻のうち、最も遅いものが通過完了時刻となる。図30は、図10に示して例の通過スケジュールを示すので、図15Aから図15Cより分かるように、車両921および車両924の通過完了時刻はエリアBの退出時刻である。また、車両923の通過完了時刻はエリアAからの退出時刻である。通過スケジュールの調整前後で各車両が通過するエリアの順序は変わらないので、どのエリアの退出時刻が通過完了時刻になるのかも通過スケジュールの調整前後で変わらない。
待機指令を出された車両は、次の調整周期に交差点CRを通過することとなる。図30に基づいて説明すると、車両924のエリアBからの退出時刻である時刻tH*は調停期間T_nの終了時刻よりも後である。この場合、車両924よりも通過順位が後である車両923については通過スケジュールの調整を行わず、待機指令を出すのみとする。この場合の待機時間は調整周期T_nの終了時刻、すなわち、次の調整周期T_n+1の開始時刻までとなる。車両923の交差点CRへの進入時刻は、実施の形態1のように調整周期が無い場合は時刻tF*であったが、実施の形態2では、車両923の交差点CRへの進入時刻が調整周期T_n+1の開始時刻がとなっている。
調整周期T_nを用いる場合、通過スケジュールの調整を行う対象の車両92が多く、調整時間の計算量が膨大になる場合、一定範囲で通過スケジュールの調整を打ち切ることで計算処理の負担を軽減することができる。特に、交通管制装置200による調整の対象の範囲を広げるほど、通過スケジュールの調整のための計算量も多くなるため、上記のような調整周期T_nを用いることの効果は大きい。さらに、通過順位が2番目、3番目の車両の通過スケジュールの調整が4番目以降の通過スケジュールに影響を及ぼす場合も計算量が膨大になるので、調整周期T_nを用いることの効果が大きい。なお、調整周期T_nは特に限定されないが、例えば30秒または1分とすることが考えられる。
次に、動作について説明する。図31は、実施の形態2における交通管制装置の動作を示すフロー図である。まず、交通管制装置200は、調整周期T_nを設定する(ステップST200:調整周期設定工程)。T_n以降の周期(T_n+1、T_n+2・・)も同時に設定される。
次に、実施の形態1と同様に、車両情報収集工程(ステップST110)、通過スケジュール計算工程(ステップST120)、衝突判定工程(ステップST130)を順に行う。また、衝突判定工程において衝突の可能性があると判定された場合(ステップST140)、通過順位設定工程(ステップST150を行う。)
通過順位設定工程の後、必要に応じて各車両92の通過スケジュールを調整する(ステップST260:通過スケジュール調整工程)。図32は、実施の形態2に係る通過スケジュール調整工程を示すフロー図である。実施の形態2における通過スケジュールの調整は、通過順位の順序で各車両92について行う(ループL3)点は実施の形態1と同様である。まず、実施の形態1と同様の方法(図21に示したステップST161からステップST163)により、対象の車両の通過スケジュールの調整を行う(ステップST261)。
次に、対象の車両の調整後の通過スケジュールにおいて、交差点CRの通過完了時刻が調整周期T_n内であるか否を判定する(ステップST262)。通過完了時刻が調整周期T_n内である場合、対象の車両の通過スケジュールの調整を終了し、次の車両の通過スケジュールの調整に進む。
通過完了時刻が調整周期T_n内でない、すなわち、通過完了時刻が調整周期T_nの終了時刻よりも後である場合、対象の車両よりも通過順位が後の車両については「待機」とし、通過スケジュール調整工程を終了する(ステップST263)。この場合、対象の車両よりも通過順位が後の車両については通過スケジュールの調整を行わない。
通過スケジュール調整工程の後、実施の形態1と同様に衝突判定工程を再度行い、調整後の通過スケジュールで衝突可能性が無くなっているかを確認する。衝突可能性が有ると判定された場合は、通過順位設定工程と通過スケジュール調整工程を繰り返す。
衝突判定工程において衝突可能性が無いと判定した場合、各車両92への指令Zを生成する。(ステップST270:指令生成工程)。実施の形態2に係る指令生成工程は、図22に示した、実施の形態1に係る指令生成工程と同様であるが、通過スケジュール調整工程において「待機」とされた車両92については、次の調整周期T_n+1の開始時刻(調整周期T_nの終了時刻と同じ)、まで待機させる「待機指令」を生成する。
指令生成工程の後、実施の形態1と同様に、指令生成工程によって生成した指令Zを各車両に送信する(ステップST180)。
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
また、調停周期を予め定め、調停周期の終了時刻よりも後に交差点の通過を完了する車両がある場合は、当該車両よりも通過順位が後の車両については通過スケジュールの調整を行わず、次の調整周期の開始まで待機させるように待機指令を出す。このため、調整対象の車両が多い場合、通過順位が先の車両の通過スケジュールの調整が後の車両の通過スケジュールに累積的影響を及ぼす場合など、通過スケジュールの調整に伴う計算量が膨大になる可能性が有る場合に、計算量の増加を抑制することができる。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるのではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれるものとする。